以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の調合システムを説明する図である。
図1に示すように、液状製品を調合する調合システム1は、液体供給手段10と供給路20と調合タンク30と加圧供給手段40とを備える。
液体供給手段10は、液状製品の調合に使用する溶媒となる液体を供給するものである。また、液体供給手段10は、液体を第1の圧力P1で供給可能なものである。なお、液体供給手段10が供給する液体としては、例えば、水、冷水、温水、精製水、イオン液体等が用いられる。例えば、液体供給手段10が冷水を供給する場合、比較的小型の冷却装置では冷水の単位時間当たりの供給量が少なく、供給する第1の圧力が小さくなってしまう。ちなみに、液体供給手段10から供給可能な冷水の単位時間当たりの供給量を多くするには、冷却装置を大型化して冷却能力を上げる必要になるなど、液体供給手段10が大型化及び高コスト化してしまう。その他の温水、精製水、イオン液体等においても同様に単位時間当たりの供給量が少なく、液体を供給する第1の圧力P1は比較的小さくなる。本実施形態では、詳しくは後述するが、液体供給手段10として、比較的小型の装置を用いた比較的低い第1の圧力P1で液体を供給するものを使用することができる。また、液体供給手段10は、システムを構成する他の装置等に共通して液体を供給するものを想定している。このため別の装置のために供給する圧力(第1の圧力P1)を変更することが困難なものである。
このような液体供給手段10からの液体は、供給路20を介して調合タンク30に供給される。供給路20は、管状部材などの供給部材21に設けられたものである。供給部材21は、例えば、複数の管状部材が接続されて構成されている。このような供給路20は、一端が液体供給手段10に接続され、他端が調合タンク30内に配置されている。供給路20の調合タンク30内に配置された他端部には、シャワーボールからなる噴射ノズル22が設けられており、液体供給手段10から供給路20を介して供給された液体は、噴射ノズル22から調合タンク30内に供給される。なお、供給路20の他端部に設けられた噴射ノズル22は、シャワーボールに限定されず、例えば、ローラーボール式、プッシュアウトボール式、ジェットワッシャー式、噴射する液体の反力でノズル自体が回転する2Dノズル、噴射する液体の反力でノズル自体が自転及び公転を行う3Dノズルなどを用いることができる。
調合タンク30は、様々な原料が供給され、これら原料を攪拌して液状製品を調合するものである。なお、液状製品の具体例としては、液状の医薬品、飲料、インクなどが挙げられる。
本実施形態の調合タンク30は、粉体と液体供給手段10からの液体とが原料として供給され、供給された原料を攪拌することで調合された液状製品を一時的に貯留する容器である。なお、本実施形態では、原料として粉体を例示したが、特にこれに限定されず、液状製品の原料であれば粉体以外の原料、例えば、原液等であってもよい。ただし、原料として粉体を用いた場合の方が、調合タンク30に投入した際に舞い上がり易く、調合タンク30の内面の側面や天面に付着し易い。本実施形態の調合タンク30は、タンク本体31と蓋部材32とを具備する。
タンク本体31は、上部に開口する中空の容器であり、蓋部材32は、タンク本体31の上部の開口を塞ぐものである。
蓋部材32には、供給部33が設けられている。供給部33は、特に図示しないが、調合タンク30の内部に連通した開口部と、当該開口部を開閉する蓋や弁などの開閉手段と、開閉手段を開閉させるための機構などの装置群とからなる。
調合タンク30内に粉体を供給する場合は、供給部33の開口部を開けて、その開口部から粉体を調合タンク30内に供給する。粉体の供給は、人手で行ってもよいし、粉体を調合タンク30に供給する装置等を用いてもよい。
また、蓋部材32には、供給部材21が当該蓋部材32を貫通して、調合タンク30の内部と外部とを連通するように設けられている。
また、タンク本体31の底部には、調合タンク30に貯留された原料を調合して得られた液状製品を取り出すための取出部34が設けられている。取出部34は、特に図示しないが、調合タンク30の内部に連通した開口部と、当該開口部を開閉する蓋や弁などの開閉手段と、開閉手段を開閉させるための機構などの装置群とからなる。もちろん、取出部34はこれに限定されず、調合タンク30の内部と連通する取出流路と、取出流路の途中に設けられて取出流路を開閉する弁機構等であってもよい。
なお、調合タンク30から液状製品を取り出す場合は、取出部34の開口部を開けて、その開口部から液状製品を調合タンクの外に取り出す。液状製品の取り出しは、人手で行ってもよいし、液状製品を調合タンクの外部に取り出す装置等を用いてもよい。
また、蓋部材32をタンク本体31に装着することで、調合タンク30の内部は密閉される。このため、調合タンク30には、特に図示していないが、内部の圧力が所定圧力以上に上昇した際に自動的に圧力を放出させ、内部圧力の降下と共に自動的に閉じる安全弁が設けられている。
また、調合タンク30には、投入された原料を攪拌する攪拌手段35が設けられている。本実施形態の攪拌手段は、タンク本体31の底面側に設けられた攪拌翼35aと攪拌翼35aを回転させるモーター35bとを具備する。このような攪拌手段35は、モーター35bによって攪拌翼35aを回転させることで調合タンク30内に投入された原料を攪拌して液状製品を調合する。
加圧供給手段40は、供給路20の液体を一時貯留し、一時貯留した液体を第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2(P2>P1)に加圧して、調合タンク30に供給する。本実施形態では、液体を第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2に加圧して調合タンク30に供給することを、「加圧供給」と称する。
具体的には、加圧供給手段40は、バッファー室41と開閉手段42と加圧手段43と制御手段44とを具備する。
バッファー室41は、供給路20の途中に設けられて液体供給手段10から供給された液体を一時貯留するものである。本実施形態のバッファー室41の径R1は、バッファー室41よりも下流側の供給路20の径R2よりも大きい。すなわち、流路長における単位長さ当たりの容積は、バッファー室41の方が供給路20よりも大きい。このため、バッファー室41を含めた供給路20の流路長が短い場合であっても、供給路20の容積を比較的大きくすることができ、バッファー室41内の液体を調合タンク30に加圧供給する際の液体の量を多くすることができる。ちなみに、例えば、バッファー室41を設けずに、供給路20のみで構成した場合、加圧手段43によって液体を調合タンク30に加圧供給する際の液体の量が少なくなってしまう。このため、加圧供給する液体の量を多くするには、供給路20を長い流路で形成しなくてはならず、システムが大型化してしまうと共に供給路20の洗浄等のメンテナンスも煩雑になってしまう。本実施形態では、供給路20の途中に下流の供給路20の径R2よりも大きな径R1のバッファー室41を設けることで、供給路20の流路長を長くすることなく、液体を調合タンク30に加圧供給する際の液体の量を多くすることができる。
このようなバッファー室41は、底面に噴射ノズル22につながる供給路20が開口している。また、バッファー室41の底面は、噴射ノズル22につながる供給路20の開口に向かって傾斜したテーパー面となっている。また、本実施形態では、バッファー室41の天面に液体供給手段10につながる供給路20が開口しており、バッファー室41の天面は、液体供給手段10につながる供給路20の開口に向かって傾斜したテーパー面となっている。このようにバッファー室41の側面と底面及び天面との角部の角度を鈍角となることで、角部に液体が表面張力等によって残留し難くすることができる。したがって、バッファー室41内の液体を調合タンク30に供給して液状製品を調合する際に、液体がバッファー室41内に残留することによって液状製品の液体の不足や、液体の量のばらつきが生じるのを抑制することができる。なお、バッファー室41は、底面の方がより液体が滞留し易いため、少なくとも底面がテーパー面となっているのが好ましい。
開閉手段42は、バッファー室41と噴射ノズル22との間の供給路20に設けられて当該供給路20を開閉する開閉弁からなる。開閉手段42は、手動によって開閉するものであってもよいが、本実施形態では、制御手段44の制御によって開閉するもの、例えば、調整弁(コントロールバルブ)等からなる。開閉手段42は、供給路20を閉じることで、液体供給手段10からの供給された液体をバッファー室41内に一時貯留する。また、開閉手段42は、供給路20を開くことで、バッファー室41内に一時貯留されて加圧手段43によって加圧された液体を調合タンク30に供給する。すなわち、開閉手段42は、供給路20を開閉することで、バッファー室41内への液体の一時貯留と、一時貯留されたバッファー室41内の液体の調合タンク30への供給と、を行う。
加圧手段43は、バッファー室41内に貯留された液体を液体供給手段10による液体の供給する圧力である第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2(P2>P1)に加圧するものである。本実施形態の加圧手段43は、圧縮機43aと加圧流路43bと加圧流路開閉手段43cとを具備する。圧縮機43aは、バッファー室41内の液体を加圧するための気体をバッファー室41に供給するエアーコンプレッサーからなる。圧縮機43aから供給された気体は、加圧流路43bを介して供給路20に接続される。加圧流路43bは、供給路20のバッファー室41と上流側開閉手段11との間である。これにより、圧縮機43aからの気体は、上流側開閉手段11よりも下流のバッファー室41に供給することができる。また、加圧流路43bには、当該加圧流路43bを開閉する開閉弁からなる加圧流路開閉手段43cが設けられている。加圧流路開閉手段43cは、手動によって開閉するものであってもよいが、本実施形態では、制御手段44の制御によって開閉するもの、例えば、調整弁(コントロールバルブ)等からなる。また、本実施形態では、制御手段44は、圧縮機43aの動作を制御して、圧縮機43aから供給される気体の圧力を調整することができる。もちろん、制御手段44が圧縮機43aの制御を行わず、圧縮機43a自体が自律的に一定の圧力の気体を供給するものであってもよい。また、圧縮機43aは、システムを構成する他の装置等に共通して気体を供給するものであってもよい。さらに、制御手段44が、圧縮機43aを制御して、圧縮機43aからの気体の供給及び停止や、圧縮機43aから供給される気体の圧力を調整可能な場合には、加圧流路開閉手段43cに代わって、供給路20から圧縮機43aに向かう液体の流れを防止する逆止弁等を設けるようにすればよい。なお、加圧手段43がバッファー室41に送る気体としては、空気、窒素等の不活性ガスなどを用いることができる。もちろん、加圧手段43は、バッファー室41内に一時貯留された液体を第2の圧力P2に加圧することができるものであれば、上述した構成に限定されず、バッファー室41よりも上流の供給路20に設けられて、液体を加圧しながら送液する送液ポンプ等であってもよい。ただし、加圧手段43として、送液ポンプを用いた場合には、送液ポンプ内の複雑な流路内を液体が流れることになり、送液ポンプ内の洗浄等のメンテナンスが煩雑であると共に、複雑な流路内で異物が生じ易く、液体に異物が混入し易い。本実施形態のように加圧手段43として圧縮気体を送風する圧縮機43a等を用いることで、液体が送液ポンプの内部などの複雑な経路を経由することなく、バッファー室41内の液体を容易に加圧することができるため、複雑な経路の洗浄等のメンテナンスが不要となり、液体への異物の混入を抑制することができる。
また、本実施形態では、上述のようにバッファー室41の径R1は、バッファー室41よりも下流の供給路20の径R2よりも大きい。このため、バッファー室41内において加圧手段43が加圧可能な液体110の水面を広くすることができる。したがって、加圧手段43から比較的低い圧力で気体を供給しても、液体110を比較的高い圧力に容易に加圧することができる。よって、加圧手段43の圧縮機43aとして比較的能力が低く、小型の装置を用いることができる。
制御手段44は、プログラマブルコントローラ又はシーケンサとも称される装置である。制御手段44は、開閉手段42の開閉動作や、加圧手段43による加圧動作を制御することが可能となっている。
制御手段44は、バッファー室41内に一時貯留して加圧手段43によって加圧し、加圧した液体を調合タンク30に加圧供給する液体の量がユーザーなどにより設定可能となっている。以降、この加圧供給するのに設定された液体の量を加圧供給の設定量と称する。制御手段44は、調合タンク30に加圧供給する液体の量が加圧供給の設定量となるように、開閉手段42を制御する。また、本実施形態では、加圧供給の設定量として設定した量の液体に粉体が溶け込むことで液状製品ができる。したがって、液状製品として調合するのに必要な液体(溶媒)の量が、加圧供給の設定量として設定されている。
また、制御手段44は、バッファー室41内に貯留された液体を加圧手段43によって所定の第2の圧力P2となるまで加圧するようにユーザーなどにより設定可能となっている。制御手段44は、バッファー室41内に一時貯留された液体が第2の圧力P2となるまで加圧手段43を制御する。例えば、本実施形態では、制御手段44が圧縮機43aから供給される気体の圧力を制御すると共に加圧流路開閉手段43cによる加圧流路43bの開弁時間を制御することで、バッファー室41内の液体が第2の圧力P2となるまで加圧する。もちろん、制御手段44が加圧手段43による加圧時間を制御するのに限定されず、例えば、バッファー室41内に圧力センサーを設け、制御手段44は、圧力センサーが検出した圧力に基づいて第2の圧力P2まで加圧するように加圧手段43を制御するようにしてもよい。
また、本実施形態の液体供給手段10とバッファー室41との間の供給路20には、供給路20の開閉を行う開閉弁である上流側開閉手段11が設けられている。上流側開閉手段11は、手動によって動作するものであってもよいが、本実施形態では、制御手段44の制御によって開閉するもの、例えば、調整弁(コントロールバルブ)等からなる。この上流側開閉手段11によって供給路20を開閉することで、液体供給手段10からバッファー室41への液体の供給及び停止を制御することができる。また、上流側開閉手段11は、供給路20を閉じることで、加圧手段43によってバッファー室41内の加圧された液体が液体供給手段10に向かう逆流を防止する逆流防止手段としても機能する。なお、逆流防止手段は、供給路20を開閉する開閉弁からなる上流側開閉手段11に限定されず、例えば、供給路20の液体が液体供給手段10に逆流するのを防止する逆止弁であってもよい。また、液体供給手段10自体が、液体の供給を停止する開閉弁等の弁機構を有する場合には、逆流防止手段は設けなくてもよく、制御手段44が液体供給手段10を制御することで、バッファー室41への液体の供給及び停止の制御や、バッファー室41内で加圧された液体の逆流を防止するようにしてもよい。
このような制御手段44は、開閉手段42、加圧手段43及び上流側開閉手段11を制御することで、液体供給手段10から供給される第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2で液体を調合タンク30内に供給する加圧供給を行わせることができる。
ここで、本実施形形態の調合システムを用いた液状製品の調合方法について図2〜図4を参照して説明する。
まず、図2(a)に示すように、供給部33から調合タンク30内に原料である粉体100を投入する。このように供給部33から投入された粉体100は、その一部が調合タンク30の側面や天面などの内面に付着する。
次に、加圧供給手段40によって加圧された液体を調合タンク30内に加圧供給する加圧供給工程を行う。具体的には、まず図2(b)に示すように、液体供給手段10からバッファー室41内に液体110を一時貯留する。すなわち、開閉手段42によってバッファー室41と調合タンク30との間の供給路20を閉じた状態で、上流側開閉手段11によって供給路20を開くことで、液体供給手段10からの液体110をバッファー室41内(供給路20の一部も含む)内に一時的に貯留する。バッファー室41(供給路20の一部も含む)内に一時的に貯留される液体110の量は、加圧供給の設定量である。つまり、バッファー室41(供給路20の一部も含む)内に貯留する液体110が加圧供給の設定量となったら上流側開閉手段11を閉じる。この加圧供給の設定量は、上流側開閉手段11を開いている時間によって規定してもよく、図示しない流量計等によって計測してもよい。このような制御は、上述のように制御手段44によって行われる。
次に、図3(a)に示すように、開閉手段42及び上流側開閉手段11が供給路20を閉じた状態で、バッファー室41内に貯留された液体110を加圧手段43によって第2の圧力P2になるまで加圧する。本実施形態では、制御手段44が圧縮機43aから供給される気体の圧力を制御すると共に加圧流路開閉手段43cによる加圧流路43bの開弁時間を制御することで、バッファー室41内の液体が第2の圧力P2となるまで加圧する。
次に、図3(b)に示すように、開閉手段42によって供給路20を開くことで、バッファー室41内で第2の圧力P2まで加圧された液体110を調合タンク30内に加圧供給する。これにより、調合タンク30内で噴射ノズル22から液体110を勢いよく噴射させて、噴射ノズル22から噴射された液体110によって調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落とすことができる。このため、調合タンク30の内面に付着した粉体100によって、液状製品に含まれる粉体100の量に不足やばらつきが生じるのを抑制して、安定した成分の液状製品を調合することができる。特に、本実施形態では、バッファー室41(供給路20の一部も含む)内で液体供給手段10が液体を供給する第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2まで加圧して、加圧した液体を調合タンク30内に供給するため、例えば、冷水などの単位時間当たりの供給量が少ない液体を用いた液状製品を調合する際であっても、調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落とすことができる。これに対して、例えば、液体供給手段10から単位時間当たりの供給量が少ない液体を第1の圧力P1で直接、調合タンク30内に供給しても、噴射ノズル22から液体を勢いよく噴射させることができず、調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落とすことができない。このため、液状製品に含まれる粉体100が不足することや、液状製品に含まれる粉体100の量にばらつきが生じてしまう。また、例えば、冷水などの単位時間当たりの供給量の少ない液体で調合タンク30の内面に付着した液体を流し落とすことができない場合、冷水などの単位時間当たりの供給量の少ない液体を用いることができず、単位時間当たりの供給量が比較的多い常温水などを用いるか、液体供給手段10として大型及び高コストな冷却装置に変更する必要がある。本実施形態では、例えば、冷水などの単位時間当たりの供給量が少ない液体110であっても、液体を加圧供給することで調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落とすことができるため、液体の供給量によって液体の使用が制限されることがなく、液体供給手段10を大型な装置に入れ替える必要がない。
なお、この加圧供給を行う際に、加圧手段43によって液体110を加圧し続けてもよいし、加圧手段43による加圧を停止してもよい。
次に、図4に示すように、開閉手段42によって供給路20を閉じることで加圧供給を停止する。バッファー室41(供給路20の一部も含む)内には加圧供給の設定量の液体110が貯留されているので、バッファー室41(供給路20の一部も含む)内の液体110が全て調合タンク30に加圧供給された後、直ちに開閉手段42によって供給路20を閉じて加圧供給を停止する。これにより、バッファー室41内及び供給路20内の液体が加圧手段43から送風された気体によって調合タンク30内に吹き出され(エアーブロー)、バッファー室41及び供給路20内に液体110が残留することなく、一時貯留された全ての液体110を調合タンク30に供給することができる。このため、調合する液状製品の液体110が不足することや、ばらつきが生じることを抑制することができる。なお、バッファー室41(供給路20の一部も含む)内の液体110が全て調合タンク30に加圧供給された後、加圧供給を停止するまでの時間が長いと、調合タンク30内に加圧手段43によって加圧された気体も供給され、調合タンク30内の圧力が高くなり調合タンク30の寿命が短くなることや、安全弁が作動することで安全弁の交換などが必要になってしまう。本実施形態では、バッファー室41(供給路20の一部も含む)内の液体110が全て調合タンク30に加圧供給された後、直ちに開閉手段42によって供給路20を閉じて加圧供給を停止することで、調合タンク30の寿命が短くなるのを抑制することができると共に安全弁の交換等を不要として、煩雑な作業が不要となる。
また、本実施形態では、バッファー室41を設けることで、供給路20の流路長を延長することなく、液状製品に必要な液体110を全て加圧供給することができる。このため、供給路20の流路長が長くなることによる大型化や、洗浄の手間を低減することができる。
その後は、攪拌手段によって粉体100と液体110とを攪拌することで、液状製品を調合することができる。
以上説明したように、本実施形態の調合システム1は、液体供給手段10から供給された液体110を供給路20の途中で一時保留し、一時保留した液体110を液体供給手段10から供給する液体の第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2に加圧した後、第2の圧力P2に加圧された液体110を調合タンク30に供給する加圧供給を行う加圧供給手段40を具備する。このように調合システム1に加圧供給手段40を設けることで、液体供給手段から供給される液体の単位時間当たりの供給量が少ない場合(第1の圧力P1による供給)であっても、加圧供給手段40によって液体110を第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2に加圧して、比較的高い第2の圧力P2で噴射ノズル22から調合タンク30内に液体110を噴射することができる。したがって、調合タンク30の内面に付着した粉体を流し落とすことができ、液状製品に含まれる粉体の量が不足することや、粉体の量にばらつきが生じるのを抑制することができる。また、液体供給手段10として、液体の単位時間当たりの供給量が少ないもの、例えば、冷水を供給する手段を用いることができる。したがって、液体110の使用に制限されることなく、液体供給手段10を大型の装置に交換する必要がない。
また、本実施形態の加圧供給手段40は、供給路20の途中に設けられて液体110を一時貯留するバッファー室41と、バッファー室41内に気体を供給してバッファー室41内の圧力を第2の圧力P2に加圧する加圧手段43と、バッファー室41と噴射ノズル22との間に設けられて供給路20を開閉する開閉手段42と、を具備する。加圧手段43が、バッファー室41内に気体を供給してバッファー室41内の圧力を第2の圧力P2に加圧することで、複雑な経路の洗浄が不要となり、液体への異物の混入を抑制することができる。また、開閉手段42の開閉によって、バッファー室41内への液体110の一時貯留及び加圧手段43による加圧と、加圧された液体110の調合タンク30への供給とを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、バッファー室41の径R1は、当該バッファー室41よりも下流側の供給路20の径R2よりも大きい。このように、バッファー室41の径R1を、下流側の供給路20の径R2よりも大きくすることで、供給路20の流路長を長くすることなく、加圧供給手段40によって加圧供給可能な液体の量を多くすることができる。また、径R1の大きなバッファー室41内の液体を加圧手段43が気体を送風して加圧することで、加圧可能な液体110の水面を広くすることができる。したがって、加圧手段43から比較的低い圧力で気体を送風しても、液体110を比較的高い圧力に加圧することができる。
また、本実施形態の加圧供給手段40は、加圧手段43及び開閉手段42を制御する制御手段44を具備し、制御手段44は、開閉手段42によって供給路20を閉じて、バッファー室41内に液体110を貯留し、加圧手段43によってバッファー室41内に貯留された液体110を第2の圧力P2に加圧し、開閉手段42によって供給路20を開くことで、第2の圧力P2に加圧された液体110を調合タンク30内に供給する加圧供給を行わせる制御を行う。このように制御手段44が、加圧手段43、開閉手段42を制御して加圧供給を行うことで、加圧供給を自動化することができる。また、加圧供給する液体の量を制御手段44によって制御可能である。
また、本実施形態の制御手段44は、バッファー室41内及び供給路20内の液体110を調合タンク30に加圧供給した後で、開閉手段42により供給路20を閉じるように制御する。このように、制御手段44は、加圧供給した後に、開閉手段42によって供給路20を閉じることで、加圧手段43によるエアーブローを行うことができ、バッファー室41及び供給路20内に液体110が残留するのを抑制することができる。これにより、調合する液状製品の液体110が不足することや、ばらつきが生じることを抑制することができる。
(実施形態2)
図5〜図7は、本発明の実施形態2に係る調合方法を説明する図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
また、本実施形態の調合システム1は、上述した実施形態1の調合システム1と同様に、加圧供給手段40を具備する。
本実施形態の加圧供給手段40に設けられた制御手段44は、第2の圧力P2よりも低い圧力で、液体を調合タンク30内に供給させる制御を実行可能である。なお、加圧供給手段40による加圧供給時の第2の圧力P2よりも低い圧力で、液体を調合タンク30に供給することを非加圧供給と称する。本実施形態の非加圧供給では、液体供給手段10から第1の圧力P1で供給された液体を直接、調合タンク30に供給するようにしている。つまり、本実施形態の非加圧供給は、第1の圧力P1で液体を供給することである。もちろん、非加圧供給は、これに限定されず、液体供給手段10から供給される液体の第1の圧力P1よりもさらに低い圧力で液体を調合タンク30に供給するようにしてもよい。
そして、制御手段44は、非加圧供給する液体の量が設定可能となっている。以降、この非加圧供給するのに設定された液体の量を非加圧供給の設定量と称する。制御手段44は、調合タンク30に非加圧供給する液体の量が非加圧供給の設定量となるように、開閉手段42を制御する。また、非加圧供給の設定量と加圧供給の設定量との合計が、液状製品に必要な液体の量となるように設計されている。
ここで、このような調合システム1を用いた液状製品の調合方法について参照して説明する。なお、上述した実施形態と同様の工程については詳細な説明は省略する。
まず、図5(a)に示すように、供給部33から調合タンク30内に原料である粉体100を投入する。このとき、粉体100の一部は、舞い上がることで調合タンク30の内壁面、例えば、側面や天面などに付着する。
次に、図5(b)に示すように、液体供給手段10から第1の圧力P1で供給された液体110を調合タンク30に供給する非加圧供給を行う。本実施形態では、開閉手段42及び上流側開閉手段11が供給路20を開くことで、液体供給手段10から液体110を第1の圧力P1で直接、調合タンク30に供給する。非加圧供給で供給する液体110の量は、非加圧供給の設定量である。この非加圧供給の設定量は、液状製品に必要な液体の量から加圧供給の設定量を減算した量である。
この非加圧供給では、比較的低い圧力、本実施形態では、第1の圧力P1で液体110が供給されるため、噴射ノズル22から液体110を勢いよく吹き出させることができない。したがって、調合タンク30の内面に付着した粉体100は、流し落とすことができない。
次に、上述した実施形態1と同様に加圧供給手段40によって加圧された液体を調合タンク30内に加圧供給する加圧供給工程を行う。具体的には、まず図6(a)に示すように、液体供給手段10からバッファー室41内に液体110を一時貯留する。
次に、図6(b)に示すように、開閉手段42及び上流側開閉手段11が供給路20を閉じた状態で、バッファー室41内に貯留された液体110を加圧手段43によって第2の圧力P2になるまで加圧する。
次に、図7(a)に示すように、開閉手段42によって供給路20を開くことで、バッファー室41内で第2の圧力P2まで加圧された液体110を調合タンク30内に加圧供給する。これにより、調合タンク30内で噴射ノズル22から液体110を勢いよく噴射させて、噴射ノズル22から噴射された液体110によって調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落とすことができる。
また、本実施形態では、加圧供給は、非加圧供給の後に行うようにした。このため、非加圧供給によって液体110を調合タンク30内に供給することで、調合タンク30の底面に堆積した粉体100が舞い上がって調合タンク30の内面に付着したとしても、非加圧供給の後に加圧供給を行うことによって、調合タンク30の内面に付着した粉体を流し落とすことができる。
次に、図7(b)に示すように、開閉手段42によって供給路20を閉じることで加圧供給を停止する。これにより、調合タンク30内には、非加圧供給によって供給された液体110と、加圧供給によって供給された液体110とが貯留される。つまり、液状製品に必要な液体の量が、加圧供給によって供給可能な液体の量よりも多い場合であっても、非加圧供給することによって供給することができる。また、加圧供給も行うため、調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落とすることができる。なお、上述した実施形態1と同様に、バッファー室41(供給路20の一部も含む)内の液体110が全て調合タンク30に加圧供給された後、直ちに開閉手段42によって供給路20を閉じて加圧供給を停止する。これにより、バッファー室41内及び供給路20内の液体が加圧手段43から送風された気体によって調合タンク30内に吹き出され(エアーブロー)、バッファー室41及び供給路20内に液体110が残留することなく、一時貯留された全ての液体110を調合タンク30に供給することができる。本実施形態では、加圧供給を非加圧供給の後に行うことで、非加圧供給の後にエアーブローが行われるため、バッファー室41及び供給路20内に液体110が残留するのをさらに抑制することができる。ちなみに、加圧供給を行った後で非加圧供給を行ってもよいが、非加圧供給の後、加圧供給のエアーブローが行われないことから、バッファー室41及び供給路20内に液体が残留し易い。このため、加圧供給を行った後で非加圧供給を行う場合には、非加圧供給を行った後、加圧手段43による気体の送風を行ってエアーブローのみを実行するのが好ましい。
その後は、攪拌手段によって粉体100と液体110とを攪拌することで、液状製品を調合することができる。
以上説明したように、本実施形態の制御手段44は、第2の圧力P2よりも低い圧力で調合タンク30に液体110を供給させる非加圧供給を行わせることで、液状製品を調合する際に必要な液体の量が、バッファー室41及び供給路20で加圧供給することが可能な液体の量よりも多い場合であっても、供給路20の流路長を長くすることなく、また、バッファー室41の容積を大きくすることなく、調合タンク30の内面に付着した粉体100を流し落としつつ液状製品に必要な液体を供給することができる。もちろん、液状製品に必要な量が、加圧供給可能な液体の量よりも少ない場合であっても、非加圧供給と加圧供給との両方を行うようにしてもよい。
また、本実施形態の制御手段44は、液体110の加圧供給を非加圧供給の後に行わせることで、非加圧供給によって液体110を調合タンク30内に供給することで舞い上がった粉体100が調合タンク30の内面に付着したとしても、調合タンク30の内面に付着した粉体100を加圧供給によって流し落とすことができる。また、非加圧供給の後に加圧供給を行うことで、加圧供給によるエアーブローを実行することができ、バッファー室41及び供給路20内に液体110が残留するのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、加圧供給は、非加圧供給の後に行うようにしたが、特にこれに限定されず、加圧供給は、非加圧供給の前に行うようにしてもよく、また、非加圧供給の途中、すなわち、加圧供給の前後に非加圧供給を行うようにしてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、加圧供給手段40は、バッファー室41を有する構成としたが、特にこれに限定されず、加圧供給手段40は、供給路20の途中にバッファー室41を有さない構成であってもよい。すなわち、加圧手段43は、供給路20内の液体を加圧するようにしてもよい。ただし、供給路20の途中にバッファー室41を設けた方が、比較的短い流路長であっても加圧供給する液体の量を多くすることができるため、供給路20の流路長を短くすることができる。また、バッファー室41を設けることで、加圧手段43による気体の供給圧が低くてもバッファー室41内の液体を比較的高い第2の圧力P2に加圧することができる。
また、上述した各実施形態では、制御手段44が、加圧手段43及び開閉手段42を制御して調合タンク30に液体を加圧供給するようにしたが、特にこれに限定されず、加圧供給手段40に制御手段44を設けずに、加圧手段43及び開閉手段42等の制御を人手で行うようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、調合タンク30に加圧供給する液体110として、液状製品の溶媒となる液体110を用いる構成を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、調合タンク30に加圧供給する液体110として供給路20や調合タンク30内を洗浄する洗浄液を用いるようにしてもよい。これにより、少ない洗浄液を調合タンク30の内面の全面に亘って散布することができる。