JP6785600B2 - 硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法 - Google Patents

硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法に関する。より詳細には、本発明は、硬質表面における微細なキズ等の凹凸面に付着した微生物を効果的に殺菌し得る硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法に関する。
従来、住環境設備には、タイル、プラスチック、金属等の硬質表面が多く存在する。これら硬質表面には、様々な微生物や汚れが付着する。特に、人が直接触れる機会の多い浴室、床、台所等の硬質表面には、石鹸やシャンプーのかす、各種タンパク質、炭水化物、油脂、塩類を含む垢等の汚れが蓄積しやすい。このような汚れは、微生物の栄養成分となり得る。そのため、これら硬質表面では、微生物がさらに付着、増殖しやすい。
このような硬質表面に付着した微生物を殺菌する方法として、硬質表面に対し、殺菌効果のある洗浄剤組成物を塗布し、物理的に汚れと微生物を除去する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開平10−330792号公報
微生物は、硬質表面の表層だけでなく、微細なキズ等の凹凸面の深部(内部)においても付着、増殖し得る。深部に付着した微生物は、ぬめりや黒ずみ等の原因となり、かつ、微生物の栄養成分となる汚れ成分が周囲に存在するため、容易に増殖し得る。そのため、表層だけでなく、深部における微生物も充分に殺菌する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のような物理的に汚れ等を除去する方法では、深部に付着した微生物を充分に除去することができない。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、硬質表面における汚れに浸透し、微細なキズ等の凹凸面(特に深部)に付着した微生物を効果的に殺菌し得る硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)硬質表面に対して使用され、フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、接触角が10〜65°である、硬質表面用殺菌処理剤。
(2)フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、接触角が10〜65°である殺菌処理剤を微生物が生育し得る硬質表面に対して処理する殺菌処理方法。
本発明によれば、硬質表面における汚れに浸透し、微細なキズ等の凹凸面(特に深部)に付着した微生物を効果的に殺菌し得る硬質表面用殺菌処理剤および殺菌処理方法を提供することができる。
殺菌効果を確認する際の検体処理方法を説明するための模式図である。
<硬質表面用殺菌処理剤>
本発明の一実施形態の硬質表面用殺菌処理剤(以下、殺菌処理剤ともいう)は、硬質表面に対して使用される殺菌処理剤である。硬質表面としては特に限定されない。一例を挙げると、硬質表面は、台所、浴室、トイレ、洗面台等の壁、床、器具、機器等に設けられる表面であり、プラスチック、セラミックス、金属、ガラス等からなる。プラスチックとしては、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ポリアミド、アクリル、ポリスチレン等が例示される。セラミックスとしては各種窒化物、炭窒化物、酸化物等が例示される。金属としては、ステンレス、アルミニウム等が例示される。硬質表面には、微細なキズ等の凹凸面が形成され得る。本実施形態の殺菌処理剤は、フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、接触角が10〜65°である。これにより、殺菌処理剤は、硬質表面における汚れに浸透し、微細なキズ等の凹凸面に付着した微生物を効果的に殺菌し得る。
特に、本実施形態の殺菌処理剤は、硬質表面が、微生物が付着し、増殖し得る面である場合に、充分な殺菌効果を発揮し得る。一例を挙げると、浴室等は、高温多湿になりやすく、かつ、石鹸滓、各種タンパク質、皮脂等の汚れが蓄積しやすい。そのため、浴室等における硬質表面では、微生物が容易に付着し、増殖し得る。対象となる微生物は、真菌類、細菌類等が例示される。細菌としては、具体的に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)などのエシェリヒア(Escherichia)属、Methylobacterium mesophilicum等のメチロバクテリウム(Methylobacterium)属、Serratia marcescens等のセラチア(Serratia)属などのグラム陰性菌、Bacillus subtilis、Bacillus cereus等のバチルス(Bacillus)属細菌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等のスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、乳酸菌などのグラム陽性菌等が挙げられる。真菌としては、具体的に、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides)等のクラドスポリウム(Cladosporium)属、アオカビ(Penicillium citrinum)等のペニシリウム(Penicillium)属、コウジカビ(Aspergillus brasiliensis)等のアスペルギルス(Aspergillus)属、ススカビ(Alternaria alternata)等のアルテルナリア(Alternaria)属、アカカビ(Fusarium solani)等のフザリウム(Fusarium)属、Eurotium herbariorum等のユーロチウム(Eurotium)属、ロドトルラ属(Rhodotorula mucilaginosa)等の赤色酵母類、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、エキソフィアラ(Exophiala)属等の黒色酵母類、フォーマ(Phoma)属、カンジダ(Candida)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等が例示される。本実施形態の殺菌処理剤は、特に浴室等において発生しやすいロドトルラ属、クラドスポリウム属、メチロバクテリウム属に好適である。
たとえば微生物が硬質表面に付着すると、硬質表面の表層だけでなく、凹凸面の深部においても付着、増殖し得る。凹凸面の深部に付着、増殖した微生物は、物理的な除去(たとえば上記特許文献1に記載の方法)では、除去することが困難である。しかしながら、本実施形態の殺菌処理剤は、硬質表面における汚れに浸透し得るため、微生物が硬質表面の凹凸面の深部に付着している場合であっても、これらを効果的に殺菌し得る。深部における菌が充分に殺菌された硬質表面は、表層だけが殺菌された硬質表面と比較して、長期間にわたって微生物の増殖を抑制できる。なお、本実施形態において、凹凸面の深部とは、硬質表面の組織内部だけでなく、たとえば硬質表面に微細な傷(溝)が形成されている場合における溝の側面や底面も含む。
フェノール系殺菌剤としては特に限定されない。一例を挙げると、フェノール系殺菌剤は、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、チモール、パラクロロメタクレゾール、レゾルシン、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、トリクロサン等である。これらの中でも、殺菌効果に優れ、殺菌剤特有の臭気が少ない点から、フェノール系殺菌剤は、IPMP、チモール、トリクロサンであることが好ましい。フェノール系殺菌剤は、併用されてもよい。
フェノール系殺菌剤の含有量は、殺菌処理剤中、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、フェノール系殺菌剤の含有量は、上限は特に制限されない。殺菌剤特有の臭気を抑える点から、フェノール系殺菌剤の含有量は、5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。フェノール系殺菌剤の含有量が上記範囲内であれば、殺菌処理剤は、アルコールと併用されることにより、充分な殺菌効力が得られる。
アルコールとしては特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等の低級アルコール等の1価アルコール、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールである。これらの中でも、特にフェノール系殺菌剤と併用した際に殺菌効力の増強効果が顕著に得られる点から、アルコールは、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノールであることが好ましい。アルコールは、併用されてもよい。
アルコールの含有量は、殺菌処理剤中、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲内であれば、殺菌処理剤は、フェノール系殺菌剤と併用されることにより、殺菌効力が増強されやすい。
殺菌処理剤におけるフェノール系殺菌剤およびアルコールの濃度は、適宜溶剤を配合することにより調整し得る。溶剤の一例を挙げると、水、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン等の飽和炭化水素、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリジグリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン等の脂肪族系炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等が挙げられる。
本実施形態の殺菌処理剤は、アルミニウム表面に対する接触角が10〜65°である。その中でも接触角が20〜50°であることが好ましい。接触角が上記範囲内である場合、殺菌処理剤は、硬質表面上に拡散しにくいため、硬質表面上に無駄に広がらず、硬質表面の内部方向に浸透しやすい。そのため、殺菌処理剤は、硬質表面における汚れの深部に到達しやすく、微生物をより効果的に殺菌し得る。なお、アルミニウム表面に対する接触角は、たとえば、アルミ片(寸法:3cm×3cm)に対して殺菌処理剤を滴下し、液滴の接触角を、接触角計(CA−X型(画像処理式) 協和界面科学(株)製)を使用することにより測定し得る。また、殺菌処理剤の接触角を調整する方法は特に限定されない。一般に、液体の表面張力が小さく、粘度が低いと接触角が小さくなり、液体の表面張力が大きく、粘度が高いと接触角は大きくなる。接触角の調整には、界面活性剤、糖類やポリマー類を含む増粘剤、溶剤、分散剤等が適宜配合され得る。なお、フェノール系殺菌剤とアルコールとを混合して得られた殺菌処理剤の接触角が所望の値である場合には、接触角は特に調整されなくてもよい。
界面活性剤は、殺菌処理剤の接触角を調整するために適宜配合され得る。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤等が例示される。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう)ソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエートなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル、POEモノラウレート、POEモノステアレート、POEモノオレエートなどのPOE脂肪酸エステル、POEグリセリルモノステアレート、POEグリセリルモノオレエートなどのPOEグリセリン脂肪酸エステル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう)セチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノミリステート、デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルジオレエート、ヘキサグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルモノオレエートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油等が例示される。陽イオン性界面活性剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアナイド、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、また、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウムなどのジアルキルジメチルアンモニウム塩等が例示される。陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル酢酸塩、ミリスチン酸カリウムなどの脂肪酸石けん、ラウロイルメチルタウリンナトリウムのようなアシルタウリン塩等が例示される。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどのアルキルアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどのアルキルジメチルアミンオキサイド等が例示される。シリコーン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、PEGジメチコンやPEG・PPGジメチコンなどのポリエーテル変性シリコーン、PEGポリジメチルシロキシエチルジメチコンなどの分岐シリコーン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン、アモジメチコンなどのアミノ変性シリコーン等が例示される。
界面活性剤が含有される場合、界面活性剤の含有量は、殺菌処理剤中、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態の殺菌処理剤は、適宜、任意成分が含有されてもよい。一例を挙げると、任意成分は、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、香料、着色剤等である。
粘度調整剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、架橋ポリアクリル酸塩,ポリ−N−ビニルアセトアミド(PNVA)等が例示される。
酸化防止剤としては、ビタミンC、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、緑茶抽出物やローズマリー抽出物などの天然抽出物等が例示される。
防腐剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤、メチルパラベン、エチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸、デヒドロ酢酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウムなどの有機酸および有機酸塩等が例示される。
pH調整剤としては、リン酸、クエン酸、炭酸、酢酸、ホウ酸、リンゴ酸、安息香酸、およびこれらの塩類等が例示される。
以上、本実施形態の殺菌処理剤は、フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、接触角が10〜65°である。このような殺菌処理剤は、硬質表面の表層を殺菌するだけでなく、硬質表面における汚れに浸透し得る。その結果、殺菌処理剤は、微細なキズ等の凹凸面に付着した微生物を効果的に殺菌し得る。
<殺菌処理方法>
本発明の一実施形態の殺菌処理方法は、微生物が生育し得る硬質表面に対し、フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、接触角が10〜65°である殺菌処理剤を接触させる方法である。なお、硬質表面は、殺菌処理剤の実施形態において上記した硬質表面と同様である。また、アルコールおよびフェノール系殺菌剤としては、殺菌処理剤の実施形態において上記したアルコールおよびフェノール系殺菌剤と同様である。
本実施形態において、殺菌処理を行う際に、アルコールおよびフェノール系殺菌剤を硬質表面に接触させる方法は特に限定されない。一例を挙げると、フェノール系殺菌剤は、アルコールが予め塗布された硬質表面に対してさらに塗布されてもよく、アルコールと混合された状態で硬質表面に対して塗布されてもよい。また、塗布は、フェノール系殺菌剤やアルコールを硬質表面に滴下することにより行われてもよく、ウェットティッシュやスポンジ等にフェノール系殺菌剤やアルコールを吐出してから、硬質表面に塗り拡げることにより行われてもよい。また、フェノール系殺菌剤やアルコールは、ポンプ容器やエアゾール容器に別々にまたは混合した状態で充填してから硬質表面に吐出されてもよい。
本実施形態の殺菌処理方法は、浴室、台所、トイレ等における床面や壁、天井、排水口、浴槽、シンク、便器、洗面台等の硬質表面に上記殺菌処理剤を処理する方法である。硬質表面に対して、フェノール系殺菌剤の処理量を1cm2あたり7.5μg以上処理することが好ましく、特に上限は制限されない。殺菌剤特有の臭気を抑え、充分な殺菌効果を得るには、処理量は、15μg〜2000μgとするのがさらに好ましい。
以上、本実施形態の殺菌処理方法は、微生物が生育し得る硬質表面に対し、フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、接触角が10〜65°である殺菌処理剤を接触させる。このような方法によれば、フェノール系殺菌剤は、アルコールと混合されることにより殺菌効力が増強され、かつ、硬質表面における汚れに浸透し、微細なキズ等の凹凸面に付着した微生物を効果的に殺菌し得る。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
<供試微生物>
実施例および比較例において使用した微生物を以下に示す。
酵母:ロドトルラ(Rhodotorula mucilaginosa)
細菌:メチロバクテリウム(Methylobacterium mesophilicum)
カビ:クラドスポリウム(Cladosporium cladosporioides)
<浸透除菌効果の試験方法>
(培地の作製)
・実施例1〜10および比較例5において使用した培地
直径66mm、高さ34mmのプラスチックカップ(KP−60M、鴻池プラスチック(株)製)本体の底に、直径1cmの開口部を形成し、ポリエチレンフィルムで開口部を封止した。カップ本体の蓋に、空気抜き用の孔を針で開けた。汚濁面培地(ジャガイモデンプン 1.2g/L、グルコース 6.0g/L、寒天15.0g/L)を作製し、オートクレーブ滅菌した。オートクレーブ滅菌後の培地2mLをプラスチックカップに注ぎ、固化させて汚濁面モデルとした。汚濁面モデルの厚みは、約0.3mmであった。
・実施例11〜13において使用した培地
オートクレーブ滅菌後の培地に、皮脂やタンパク質等による汚濁を想定するための以下のモデル物質を、所定の濃度(後述する表6参照)となるよう添加した点以外は、実施例1〜10および比較例5において使用した培地と同様に培地を作製した。
(モデル物質)
オレイン酸/ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液(汚濁面モデル中のオレイン酸濃度:0.1質量%)
トリオレイン/DMSO溶液(汚濁面モデル中のトリオレイン濃度:0.1質量%)
BSA(牛血清アルブミン)/生理食塩水溶液(汚濁面モデル中のBSA濃度:0.15質量%)
<試験菌液の作製>
(ロドトルラおよびメチロバクテリウムの場合)
ロドトルラおよびメチロバクテリウムのそれぞれについて、PDB培地(DifcoTM Potato Dextrose Broth、ベクトン・ディッキンソン社製)を用いて30℃で充分に振とう培養した。培養後の菌液を生理食塩水で100倍に希釈し、試験菌液とした。
(クラドスポリウムの場合)
クラドスポリウムを、PDA斜面培地(DifcoTM Potato Dextrose Agar、ベクトン・ディッキンソン社製)にて25℃で充分に前培養した。生理食塩水を10mL加え、滅菌ループにて胞子をかきとった後に菌液をろ過した後に、生理食塩水で100倍に希釈し、試験菌液とした。
<検体処理の方法>
図1は、検体処理方法を説明するための模式図である。まず、プラスチックカップ1からポリエチレンフィルム(図示せず)を剥がし、汚濁面モデル2の裏面を開口部3から露出させた。図1に示されるように、開口部3から露出した汚濁面モデル2に対して試験菌液4を4μL接種した。次いで、接種された試験菌液4と対向する位置において、汚濁面モデル2の表面に、それぞれの実施例または比較例(ただし比較例2を除く)の殺菌処理剤5を30μL滴下し、蓋(図示せず)をした。なお、比較例2において、IPMPの結晶は、汚濁面モデル2の表面に載置した。25℃、RH90%以上の環境下で1週間培養し、形成されたコロニーの様子を目視で観察した。以下の評価基準にしたがって、殺菌処理効果を評価した。なお、以下の評価基準において、○または×の評価が示される場合のコロニーの状態を表1に例示した。
(評価基準)
○:微生物の生育が抑制され、コロニーが形成されなかった。
×:微生物の生育が抑制されず、コロニーが形成された。
それぞれの実施例および比較例における殺菌処理剤の調製方法を以下に示す。
(実施例1)
実施例1の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
(実施例2)
実施例2の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が1.67w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
(実施例3)
実施例3の殺菌処理剤は、チモールの配合量が0.3w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
(比較例1)
比較例1の殺菌処理剤は、フェノール系殺菌剤を配合せず、無水エタノールそのものを用いた。
(比較例2)
比較例2の殺菌処理剤は、アルコールを配合せず、IPMPの結晶(500μg)そのものを用いた。
(比較例3)
比較例3の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%となるようペンタンで希釈することにより調製した。
実施例1〜3および比較例1〜3の殺菌処理剤を用いて上記検体処理を行った結果を表2に示す。
表2に示されるように、フェノール系殺菌剤とアルコールとを含み、接触角が10〜65°である実施例1〜3の殺菌処理剤は、いずれの微生物に対しても優れた殺菌効果を示した。一方、アルコールのみを含む比較例1の殺菌処理剤、IPMPのみを含む比較例2の殺菌処理剤、および、アルコールに代えて炭化水素を使用した比較例3の殺菌処理剤は、いずれの微生物に対しても殺菌効果を発揮せず、硬質表面における汚れに浸透する効果が確認できなかった。
(実施例4)
実施例4の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.05w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
(実施例5)
実施例5の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.1w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
(実施例6)
実施例6の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が1.0w/v%となるよう無水タノールで希釈することにより調製した。
実施例1、4〜6殺菌処理剤を用いて上記検体処理を行った結果を表2に示す。
表3に示されるように、実施例1および4〜6の殺菌処理剤は、いずれの微生物に対しても優れた殺菌効果を示した。特に、実施例4のような殺菌成分が微量である場合であっても、アルコールとの併用によって充分に殺菌効果が増強されることが分かった。
(比較例4)
比較例4の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%、無水エタノールの濃度が10%となるよう水で希釈することにより調製した。
(実施例7)
実施例7の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%、無水エタノールの濃度が20%となるよう水で希釈することにより調製した。
(実施例8)
実施例8の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%、無水エタノールの濃度が30%となるよう水で希釈することにより調製した。
(実施例9)
実施例9の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%、無水エタノールの濃度が50%となるよう水で希釈することにより調製した。
(実施例10)
実施例10の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%、POE硬化ヒマシ油(40E.O.)が1.0w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
(比較例5)
比較例5の殺菌処理剤は、IPMPの配合量が0.3w/v%、POEソルビタンモノオレエート(20E.O.)が1.0w/v%となるよう無水エタノールで希釈することにより調製した。
比較例4〜5、実施例1、7〜10の殺菌処理剤を用いてロドトルラに対して上記検体処理を行うとともに、以下の測定方法にしたがって接触角を測定した。結果を表4に示す。
(接触角の測定方法)
接触角は、25℃、RH55%±5%の条件下でアルミ片(寸法:3cm×3cm)に対してそれぞれの殺菌処理剤を滴下し、アルミ片に対する接触角を、接触角計(CA−X型(画像処理式) 協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
表4に示されるように、IPMPとアルコールとを含み、接触角が10〜65°である実施例1および7〜10の殺菌処理剤は、ロドトルラに対して優れた殺菌効果を示した。一方、接触角が65°を超えた比較例4の殺菌処理剤、および、接触角が10°未満であった比較例5の殺菌処理剤は、ロドトルラに対して殺菌効果を発揮せず、硬質表面における汚れに浸透する効果が確認できなかった。
次いで、ロドトルラに対する殺菌処理効果が確認できた実施例1、7〜9の殺菌処理剤を用いて、メチロバクテリウム、クラドスポリウムに対する殺菌処理効果をさらに確認した。結果を表5に示す。
表5に示されるように、IPMPとアルコールとを含み、接触角が10〜65°である実施例1および7〜9の殺菌処理剤は、メチロバクテリウムおよびクラドスポリウムに対しても、優れた殺菌効果を示した。
次に、実施例1で調製した殺菌処理剤について、各種モデル物質が添加された汚濁面を設けた培地を用いて殺菌評価を行った。
(実施例11)
モデル物質としてオレイン酸が添加された汚濁面を設けた培地を用いて、実施例1の殺菌処理剤の殺菌評価を行った。結果を表6に示す。
(実施例12)
モデル物質としてトリオレインが添加された汚濁面を設けた培地を用いて、実施例1の殺菌処理剤の殺菌評価を行った。結果を表6に示す。
(実施例13)
モデル物質としてBSAが添加された汚濁面を設けた培地を用いて、実施例1の殺菌処理剤の殺菌評価を行った。結果を表6に示す。
表6に示されるように、実施例11〜13より、本発明の殺菌処理剤は脂肪酸やタンパク質が多量に存在する条件下においても、硬質表面における汚れに殺菌処理剤が浸透し、優れた殺菌効果を示した。
1 プラスチックカップ
2 汚濁面モデル
3 開口部
4 試験菌液
5 殺菌処理剤

Claims (2)

  1. 硬質表面に対して使用され、フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、アルミニウム表面に対する接触角が10〜65°であり、
    前記フェノール系殺菌剤は、イソプロピルメチルフェノールおよびチモールからなる群から選択される少なくとも1つを含み、
    前記アルコールの含有量は、硬質表面用殺菌処理剤中、20質量%以上である、硬質表面用殺菌処理剤。
  2. フェノール系殺菌剤と、アルコールとを含み、アルミニウム表面に対する接触角が10〜65°であり、前記フェノール系殺菌剤は、イソプロピルメチルフェノールおよびチモールからなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記アルコールの含有量は、硬質表面用殺菌処理剤中、20質量%以上である殺菌処理剤を微生物が生育し得る硬質表面に対して処理する殺菌処理方法。
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