以下、本発明の第1実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
図1は、第1実施形態である車両用灯具10の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、車両V0に搭載され、車両前方の標識(案内標識)を照明可能なヘッドランプ14を備えた車両用灯具である。ヘッドランプ14が本発明の灯具ユニットに相当する。
車両用灯具10は、前方検出装置12、ヘッドランプ14、ヘッドランプ制御部16、ナビゲーション装置64、標識認識部66、経路案内標識検出部68、周辺車両及び障害物等認識部70、投影必要性及び可否判断部72等を備えている。また、図2に示すように、車両用灯具10は、光偏向器駆動部&同期信号制御部32、電流強化レーザー駆動部34、記憶装置36等を備えている。
前方検出装置12、ヘッドランプ14、ナビゲーション装置64、標識認識部66、経路案内標識検出部68、周辺車両及び障害物等認識部70、投影必要性及び可否判断部72、光偏向器駆動部&同期信号制御部32、電流強化レーザー駆動部34、及び記憶装置36は、ヘッドランプ制御部16に接続されている。ヘッドランプ制御部16は、前方検出装置12によって撮像された画像等に基づいてヘッドランプ14を制御する。
前方検出装置12は、例えば、車両V0前方を撮像するカメラ(CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む)で、車両V0の所定箇所(例えば、車室内)に設けられている。前方検出装置12によって撮像された画像(画像データ)は、ヘッドランプ制御部16に入力される。
ナビゲーション装置64は、経路探索部64a、経路誘導案内部64b、現在位置検出部64c、地図情報記憶部64d等を備えている。経路探索部64aは、地図情報記憶部64dに記憶された地図情報に基づいて、出発地(例えば、車両V0の現在位置)から車両V0の目的地までの経路を探索する。経路誘導案内部64bは、経路探索部64aによって探索された経路の案内を行う。現在位置検出部64cは、車両V0に設けられたGPS(図示せず)からの信号に基づき、車両V0の現在位置を検出する。地図情報記憶部64dには、地図情報が記憶されている。経路探索部64a、経路誘導案内部64b、現在位置検出部64c、及び地図情報記憶部64dは、例えば、ナビゲーション装置64に設けられた制御部(図示せず)が、ナビゲーション装置64に設けられた記憶装置(図示せず)に記憶された所定プログラムを実行することによって実現される。
ヘッドランプ制御部16は、映像エンジンCPU等のCPUを備えている。ヘッドランプ制御部16が本発明の灯具ユニット制御部に相当する。ヘッドランプ制御部16は、車両V0前方の標識(案内標識)のうち、目的地までの経路を案内する標識の少なくとも一部を強調する形態で照明するようにヘッドランプ14を制御する。具体的には、ヘッドランプ制御部16は、経路案内標識検出部68によって検出された経路案内標識の少なくとも一部を強調する形態で照明するようにヘッドランプ14を制御する。
ヘッドランプ14によって強調する形態で照明される経路案内標識の少なくとも一部は、例えば、図3に示すように、経路探索部64aによって探索された経路Rを案内する矢印AR1、及び当該矢印AR1に隣接して配置された文字CH1(ここでは、「高松駅」等)を含む領域、又は経路探索部64aによって探索された経路Rを案内する矢印AR1を含む経路案内標識SI1の全領域である(経路案内標識が1つの矢印を含む場合)。また例えば、ヘッドランプ14によって強調する形態で照明される経路案内標識の少なくとも一部は、例えば、図4に示すように、経路探索部64aによって探索された経路を案内する矢印AR9、及び当該矢印AR9に隣接して配置された文字CH9(ここでは、「栗林トンネル」等)を含む領域である(経路案内標識が複数の矢印を含む場合)。
また、経路案内標識の少なくとも一部を強調する形態は、当該一部を、相対的に明るく、又は点滅する形態である。例えば、図3に示すように、経路探索部64aによって探索された経路Rを案内する矢印AR1、及び当該矢印AR1に隣接して配置された文字CH1(ここでは、「高松駅」等)を含む領域を、相対的に明るく、又は点滅する形態である。また例えば、図4に示すように、経路探索部64aによって探索された経路を案内する矢印AR9、及び当該矢印AR9に隣接して配置された文字CH9(ここでは、「栗林トンネル」等)を含む領域を、相対的に明るく、又は点滅する形態である。
なお、ヘッドランプ制御部16の動作については、後に詳述する。
標識認識部66は、前方検出装置12によって撮像された画像(画像データ)に基づき、当該画像に含まれる車両V0前方の標識を認識する。
標識認識部66によって認識される標識は、例えば、図3に示すように、方面(又は方向)を指示する矢印AR1〜AR8を含む標識SI1〜SI8である。標識認識部66によって認識される標識は、方面を指示する矢印AR1〜AR8に加えて、さらに、方面を表す文字CH1〜CH5を含む場合もある(図3中の標識SI1〜SI5参照)。
また、標識認識部66によって認識される標識は、1つの矢印を含む場合もある(例えば、図3に示す標識SI1参照)し、複数の矢印を含む場合もある(例えば、図4に示す標識SI9参照)。
経路案内標識検出部68は、標識認識部66によって認識された標識のうち、経路探索部64aによって探索された経路を案内する標識(以下、経路案内標識ともいう)を検出する。例えば、経路案内標識検出部68は、経路案内標識として、標識認識部66によって認識された標識(例えば、図3に示す標識SI1〜SI8)のうち、経路探索部64aによって探索された経路(例えば、図3に示す経路R)を案内する矢印(例えば、図3に示す矢印AR1)を含む標識を検出する。なお、経路案内標識検出部68の動作については、後に詳述する。
周辺車両及び障害物等認識部70は、前方検出装置12によって撮像された画像(画像データ)に基づき、当該画像に含まれる車両V0前方のマスク対象物や障害物等を認識する。周辺車両及び障害物等認識部70によって認識されるマスク対象物は、例えば、対向車、先行車である。また、周辺車両及び障害物等認識部70によって認識される障害物は、例えば、歩行者、自転車である。
投影必要性及び可否判断部72は、車両V0前方の標識のうち、目的地までの経路を案内する標識、すなわち、経路案内標識を強調する形態で照明する必要性があるか否か、又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能か否かを判定する。例えば、投影必要性及び可否判断部72は、経路案内標識検出部68の検出結果や周辺車両及び障害物等認識部70の認識結果に基づき判定する。ヘッドランプ制御部16は、この投影必要性及び可否判断部72の判定結果に基づいて、経路案内標識を強調する形態で照明するようにヘッドランプ14を制御する。
標識認識部68、周辺車両及び障害物等認識部70、及び投影必要性及び可否判断部72は、例えば、ヘッドランプ制御部16が記憶装置36に記憶された所定プログラムを実行することによって実現される。
ヘッドランプ14は、配光可変型のヘッドランプ(ADB:Adaptive Driving Beam)で、車両V0の前端部に設けられている。
図2は、ヘッドランプ14の概略構成図である。
図2に示すように、ヘッドランプ14は、主に、レーザー光源22、光偏向器24、蛍光体プレート26、投影レンズ28を備えている。
レーザー光源22は、例えば、青色域のレーザー光を放出するレーザーダイオード(LD)である。レーザー光源22は、電流強化レーザー駆動部34に接続されており、電流強化レーザー駆動部34から印加される駆動電流によって制御される。電流強化レーザー駆動部34は、ヘッドランプ制御部16からの制御に従って、所望の光分布の配光画像(例えば、ロービーム用配光画像、又はハイビーム用配光画像)が形成されるように調整された駆動電流を、レーザー光源22に印加する。レーザー光源22からのレーザー光は、集光レンズ(図示せず)で集光されて光偏向器24(ミラー部24a)に入射する。
蛍光体プレート26は、光偏向器24によって走査されるレーザー光を受けて当該レーザー光の少なくとも一部を異なる波長の光(例えば、黄色域の光)に変換する外形が矩形形状の板状(又は層状)の波長変換部材である。
光偏向器24は、駆動方式が圧電方式、1軸共振・1軸非共振タイプの光偏向器(例えば、MEMSスキャナ)で、第1軸(共振駆動軸)及びこれに直交する第2軸(非共振駆動軸)を中心に揺動可能に支持されたミラー部24a(例えば、MEMSミラー)、ミラー部24aを第1軸を中心に往復揺動させる第1アクチュエーター(圧電アクチュエーター。図示せず)、ミラー部24aを第2軸を中心に往復揺動させる第2アクチュエーター(圧電アクチュエーター。図示せず)等を含む。
光偏向器24(各アクチュエーター)は、偏向装置駆動部&同期信号制御部32に接続されており、偏向装置駆動部&同期信号制御部32から印加される駆動電圧によって制御される。偏向装置駆動部&同期信号制御部32は、ヘッドランプ制御部16からの制御に従って、所望のサイズの配光画像(例えば、ロービーム用配光画像、又はハイビーム用配光画像)が形成されるように調整された駆動電圧(共振駆動用の駆動電圧及び非共振駆動用の駆動電圧)を、光偏向器24(各アクチュエーター)に印加する。
これによって、ミラー部24aは、各軸を中心に往復揺動し、これに同期して変調されるレーザー光源22からのレーザー光を例えば、図5に示すように、水平方向及び鉛直方向に走査することで、蛍光体プレート26の全域又は一部領域に所望の光分布及び所望のサイズの白色(正確には、擬似白色)の配光画像(例えば、ロービーム用配光画像pLo、又はハイビーム用配光画像pHi)を形成する。この配光画像が投影レンズ28によって車両前方に投影(反転投影)されることで、ロービーム用配光パターンPLo(例えば、図6(a)参照)やハイビーム用配光パターンPHi(例えば、図7(a)参照)が形成される。
配光画像(例えば、ロービーム用配光画像pLo、又はハイビーム用配光画像pHi)は、縦横方向に格子状に配置された複数ピクセル(例えば、縦640×横360ピクセル)によって構成される。図7(c)中の各々の矩形は、図7(b)に示すハイビーム用配光画像pHiを構成する複数ピクセルの一例である。なお、図7(c)では、説明の便宜上、一部のピクセル群のみを示してある。
各々のピクセルの明るさ(例えば、輝度)は、所望の光分布の配光画像(例えば、ロービーム用配光画像pLo、又はハイビーム用配光画像pHi)が形成されるように調整された駆動電流がレーザー光源22に印加されることで個別に制御される。各々のピクセルサイズは、0.5°×0.5°以下が望ましい。このようにすれば、より高解像度のヘッドランプ14を実現できる。
各々のピクセルから出て投影レンズ28を透過した光(白色光。正確には擬似白色光)は、車両前後方向に延びる光軸AX(図1参照)に対して各々のピクセル位置に応じた角度方向(角度範囲)に照射される。
例えば、蛍光体プレート26の基準位置(例えば、蛍光体プレート26の中心位置)から出て投影レンズ28を透過した光は、光軸AXに対して平行の方向に照射されて水平線Hと鉛直線Vとの交点に向かう。また例えば、各々のピクセルサイズが0.2°×0.2°の場合、基準位置に対して下に隣接するピクセルから出て投影レンズ28を透過した光は、光軸AXに対して上0°〜0.2°の角度範囲に照射される。また例えば、基準位置に対して右(車両前方に向かって右)に隣接するピクセルから出て投影レンズ28を透過した光は、光軸AXに対して左0°〜0.2°の角度範囲に照射される。他のピクセルから出て投影レンズ28を透過した光についても同様で、各々のピクセル位置に応じた角度方向に照射される。
次に、車両V0前方の標識のうち、目的地までの経路を案内する経路案内標識を強調する形態で照明する処理の一例について説明する。
以下、ロービームで走行中に、車両前方の標識のうち、目的地までの経路を案内する経路案内標識を強調する形態で照明する処理の一例について説明する。
図8は、ロービームで走行中に、車両V0前方の標識のうち、目的地までの経路を案内する経路案内標識を強調する形態で照明する処理の一例を示すフローチャートである。
以下の処理は、主に、ヘッドランプ制御部16が記憶装置36から読み込まれた所定プログラムを実行することにより実現される。
まず、ロービーム点灯スイッチ(図示せず)がオンされ(ステップS10:Yes)、ナビゲーション装置64に接続された入力装置(図示せず)から車両V0の目的地が入力されると、経路探索部64aが、地図情報記憶部64dに記憶された地図情報に基づいて、出発地(例えば、車両V0の現在位置)から車両V0の目的地までの経路を探索する(ステップS12)。ここでは、図3下段に示すように、経路Rが探索されたものとする。
次に、標識認識部66が、前方検出装置12によって撮像された画像(画像データ)に基づき、当該画像に含まれる車両V0前方の標識を認識する(ステップS14)。
ここでは、図3に示すように、方面(又は方向)を指示する矢印AR1〜AR8を含む標識SI1〜SI8が認識されたものとする。
次に、経路案内標識検出部68が、標識認識部66によって認識された標識SI1〜SI8のうち、経路探索部64aによって探索された経路Rを案内する標識、すなわち、経路案内標識を検出する(ステップS16)。ここでは経路案内標識として、標識SI1(図3参照)が検出されたものとする。以下、この検出された標識SI1のことを、経路案内標識SI1という。
経路案内標識SI1は、次のようにして検出される。
まず、経路案内標識検出部68が、経路探索部64aによって探索された経路R(さらには、車両V0の現在位置等)に基づき、標識認識部66によって認識された標識SI1〜SI8が設置されている交差点(又は分岐点)での進行方向(ここでは、右折方向。図3参照)を検出する。
次に、経路案内標識検出部68が、標識認識部66によって認識された標識SI1〜SI8に基づき画像処理等を実行することで、各々の標識SI1〜SI8に含まれる矢印AR1〜AR8が指示する方向を検出する。
次に、経路案内標識検出部68が、上記検出された進行方向と各々の標識SI1〜SI8に含まれる矢印AR1〜AR8が指示する方向とを比較する。
そして、経路案内標識検出部68が、標識認識部66によって認識された標識SI1〜SI8のうち、上記検出された進行方向(ここでは、右折方向)に一致する方向の矢印(及び文字)を含む標識(ここでは、矢印AR11を含む標識SI1。図3参照)を、経路案内標識として検出する。
以上のようにして、経路案内標識SI1が検出される。
次に、投影必要性及び可否判断部72が、経路案内標識を強調する形態で照明する必要性があるか否か(又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能か否か)を判定する(ステップS18)。
ここでは、経路案内標識SI1が検出されているため、投影必要性及び可否判断部72は、経路案内標識を強調する形態で照明する必要性があると判定する(ステップS18:Yes)。
投影必要性及び可否判断部72によって経路案内標識を強調する形態で照明する必要性がある(又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能)と判定された場合(ステップS18:Yes)、ヘッドランプ制御部16は、図6(b)に示すように、経路案内標識SI1の少なくとも一部を強調する形態で照明する強調照明領域B1、及びロービーム用配光パターンPLoを形成するようにヘッドランプ14を制御する。なお、強調照明領域B1は、水平線Hより上に形成される。
具体的には、まず、強調照明領域B1、及びロービーム用配光画像pLoが形成されるように調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される(ステップS20)。なお、駆動電流は、強調照明領域B1が625cd以下となるように調整される(UN規格批准国の場合)。
例えば、経路案内標識SI1の少なくとも一部を相対的に明るくする形態で照明する場合、光偏向器24によって走査されるレーザー光源22からのレーザー光が経路案内標識SI1(強調照明領域B1)、及びロービーム用配光画像pLoを照射するタイミングで発光強度が相対的に強くなり、かつ、光偏向器24によって走査されるレーザー光源22からのレーザー光が経路案内標識SI1(強調照明領域B1)、及びロービーム用配光画像pLo以外を照射するタイミングで発光強度が相対的に弱くなるように(すなわち、レーザー光源22が消灯又は減光するように)調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される。
また例えば、経路案内標識SI1の少なくとも一部を点滅する形態で照明する場合、ロービーム用配光画像pLo、及び明るさが相対的に強い強調照明領域B1と、ロービーム用配光画像pLo、及び明るさが相対的に弱い強調照明領域B1と、が交互に形成されるように調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される。
そして、光偏向器24のミラー部24aが、各軸を中心に揺動し、これに同期して変調されるレーザー光源22からのレーザー光を例えば、図5に示すように、水平方向及び鉛直方向に走査することで、蛍光体プレート26の全域又は一部領域に白色の強調照明領域B1、及びロービーム用配光画像pLoを形成する(ステップS22)。
この強調照明領域B1(正確には、強調照明領域B1に対応する配光画像)、及びロービーム用配光画像pLoが投影レンズ28によって車両前方に投影(反転投影)される(ステップS24)ことで、図6(b)に示すように、強調照明領域B1、及びロービーム用配光パターンPLoが形成される。この強調照明領域B1により、図3に示すように、経路案内標識検出部68によって検出された経路案内標識SI1の少なくとも一部を強調する形態で照明することができる。
次に、ステップS16において複数の矢印AR9〜AR11を含む標識SI9(図4参照)が検出された場合の動作例について説明する。以下、この検出された標識SI9のことを、経路案内標識SI9という。
まず、投影必要性及び可否判断部72が、経路案内標識を強調する形態で照明する必要性があるか否か(又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能か否か)を判定する(ステップS18)。
ここでは、経路案内標識SI9が検出されているため、投影必要性及び可否判断部72は、経路案内標識を強調する形態で照明する必要性があると判定する(ステップS18:Yes)。
投影必要性及び可否判断部72によって経路案内標識を強調する形態で照明する必要性がある(又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能)と判定された場合(ステップS18:Yes)、ヘッドランプ制御部16は、図6(b)に示すのと同様に、水平線Hより上に配置され、経路案内標識SI9の一部を強調する形態で照明する強調照明領域B2、B3、及びロービーム用配光パターンPLoを形成するようにヘッドランプ14を制御する。
具体的には、まず、強調照明領域B2、B3、及びロービーム用配光画像pLoが形成されるように調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される(ステップS20)。
例えば、経路案内標識SI9の一部を相対的に明るくする形態で照明する場合、光偏向器24によって走査されるレーザー光源22からのレーザー光が経路案内標識SI9(強調照明領域B2、B3)、及びロービーム用配光画像pLoを照射するタイミングで発光強度が相対的に強くなり、かつ、光偏向器24によって走査されるレーザー光源22からのレーザー光が経路案内標識SI9(強調照明領域B2、B3)、及びロービーム用配光画像pLo以外を照射するタイミングで発光強度が相対的に弱くなるように(すなわち、レーザー光源22が消灯又は減光するように)調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される。
また例えば、経路案内標識SI9の一部を点滅する形態で照明する場合、ロービーム用配光画像pLo、及び明るさが相対的に強い強調照明領域B2、B3と、ロービーム用配光画像pLo、及び明るさが相対的に弱い強調照明領域B2、B3と、が交互に形成されるように調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される。
そして、光偏向器24のミラー部24aが、各軸を中心に揺動し、これに同期して変調されるレーザー光源22からのレーザー光を例えば、図5に示すように、水平方向及び鉛直方向に走査することで、蛍光体プレート26の全域又は一部領域に白色の強調照明領域B2、B3、及びロービーム用配光画像pLoを形成する(ステップS22)。
この強調照明領域B2、B3(正確には、強調照明領域B2、B3に対応する配光画像)、及びロービーム用配光画像pLoが投影レンズ28によって車両前方に投影(反転投影)される(ステップS24)ことで、図6(b)に示すのと同様に、強調照明領域B2、B3、及びロービーム用配光パターンPLoが形成される。この強調照明領域B2、B3により、図4に示すように、経路案内標識SI9の一部を強調する形態で照明することができる。
なお、ステップS16において経路案内標識が検出されず、投影必要性及び可否判断部72によって経路案内標識を強調する形態で照明する必要性がない(又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能でない)と判定された場合(ステップS18:No)、ロービーム用配光画像pLoのみが形成されるように(強調照明領域が形成されないように)調整された駆動電流がレーザー光源22に印加される(ステップS26)。
そして、光偏向器24のミラー部24aが、各軸を中心に揺動し、これに同期して変調されるレーザー光源22からのレーザー光を例えば、図5に示すように、水平方向及び鉛直方向に走査することで、蛍光体プレート26の全域又は一部領域に白色のロービーム用配光画像pLoを形成する(ステップS28)。
このロービーム用配光画像pLoが投影レンズ28によって車両前方に投影(反転投影)される(ステップS24)ことで、図6(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLoが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、車両V0前方の標識のうち、目的地までの経路を案内する標識を容易に判断することができる車両用灯具10を提供することができる。
これは、ヘッドランプ制御部16(灯具ユニット制御部)の作用により、車両V0前方の標識のうち、目的地までの経路を案内する経路案内標識(例えば、経路案内標識SI1)の少なくとも一部を強調する形態で(例えば、相対的に明るく、又は点滅する形態で)照明できること、そして、これにより、当該目的地までの経路を案内する経路案内標識を運転者に報知できることによるものである。
また、本実施形態によれば、次の効果を奏する。
第1に、標識(案内標識等の道路標識)は道路の行先を最も明確に運転者に伝える手段として公的に設置されているものであり、視認性を向上させるため、高反射の塗料等を用いて明るく見え、また遠方からでも視認出来る様に十分な大きさに作成されている。本実施形態によれば、他のデバイスを見ることなく、進路変更に関する情報(目的地までの経路を案内する経路案内標識)を運転者が受け取ることが出来るため、目を離している時間が最少で済むため、危険性が低い。
第2に、雨等により路面の反射率が低下したり、路面の状況が良くない場合でも標識は常に判読可能な形態で設置されているので、運転者により確実に情報(目的地までの経路を案内する経路案内標識)を伝えることができる。
第3に、文字や図形を描くよりも低い解像度にて進路変更等の情報(目的地までの経路を案内する経路案内標識)を運転者に伝えることができる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、図6(b)に示すように、ヘッドランプ制御部16が、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及びロービーム用配光パターンPLoを形成するようにヘッドランプ14を制御する例について説明したが、これに限らない。
例えば、図6(c)に示すように、ヘッドランプ制御部16は、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)を含むオーバーヘッドサイン用配光パターンPOH、及びロービーム用配光パターンPLoを形成するようにヘッドランプ14を制御してもよい。
また例えば、ヘッドランプ制御部16は、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)を含むオーバーヘッドサイン用配光パターンPOHのみを形成するようにヘッドランプ14を制御してもよい。この場合、車両V0に搭載された、ヘッドランプ14とは別のロービーム用ヘッドランプ(図示せず)によってロービーム用配光パターンPLoを形成することができる。
また例えば、ヘッドランプ制御部16は、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)のみを形成するようにヘッドランプ14を制御してもよい。この場合、車両V0に搭載された、ヘッドランプ14とは別のロービーム用ヘッドランプ(図示せず)によってロービーム用配光パターンPLoを形成することができる。
また例えば、図7(a)に示すように、ヘッドランプ制御部16は、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)を含むハイビーム用配光パターンPHiを形成するようにヘッドランプ14を制御してもよい。
また例えば、図7(b)に示すように、ヘッドランプ制御部16は、周辺車両及び障害物等認識部70(マスク対象物認識部)によってマスク対象物(例えば、対向車V1)が認識された場合、当該認識されたマスク対象物(例えば、対向車V1)を照射しない非照射領域Aを含むハイビーム用配光パターンPHiを形成するようにヘッドランプ14を制御してもよい。
また例えば、ヘッドランプ制御部16は、周辺車両及び障害物等認識部70(マスク対象物認識部)によってマスク対象物が認識されない場合、マスク対象物が認識された場合と比べ、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)が相対的に明るくなるようにヘッドランプ14を制御してもよい。
また例えば、ヘッドランプ制御部16は、周辺車両及び障害物等認識部70(マスク対象物認識部)によってマスク対象物が認識された場合、少なくともハイビーム用配光パターンPHiのうち水平線Hより上の光度が、マスク対象物が認識される前と比べ、低くなるようにヘッドランプ14を制御してもよい。このようにすれば、マスク対象物に幻惑光が照射されるのを抑制できる。
また、例えば、ヘッドランプ制御部16は、周辺車両及び障害物等認識部70(マスク対象物認識部)によって認識されたマスク対象物と車両V0との距離が十分離れている場合、当該認識されたマスク対象物と車両V0との距離が接近している場合と比べ、強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)が相対的に明るくなるようにヘッドランプ14を制御してもよい。このようにすれば、マスク対象物に幻惑光が照射されるのを抑制できる。
また、上記実施形態では、車両V0がロービームで走行中に、経路案内標識検出部68によって経路案内標識(例えば、経路案内標識SI1)が検出された場合、投影必要性及び可否判断部72が、当該経路案内標識を強調する形態で照明する必要性があると判定する(ステップS18:Yes)例について説明したが、これに限らない。
例えば、車両V0がハイビームで走行中に、経路案内標識検出部68によって経路案内標識(例えば、経路案内標識SI1)が検出され、かつ、周辺車両及び障害物等認識部70(マスク対象物認識部)によってマスク対象物が検出された場合、当該検出されたマスク対象物と車両V0との距離がしきい値を超えているとき、経路案内標識を強調する形態で照明する必要性がある(又は経路案内標識を強調する形態で照明することが可能)と判定してもよい。
また、上記実施形態では、前方検出装置12として、カメラを用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、前方検出装置12として、レーダー装置(例えば、ミリ波レーダー、赤外線レーザーレーダー)を用いてもよい。これらは、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
また、上記実施形態では、レーザー光源22として、青色域のレーザー光を放出するレーザーダイオードを用い、かつ、蛍光体プレート26として、レーザー光源22からのレーザー光を受けて当該レーザー光の少なくとも一部を異なる波長の光(例えば、黄色域の光)に変換する波長変換部材を用いる例について説明したが、これに限らない。
例えば、レーザー光源22として、近紫外域のレーザー光を放出するレーザーダイオードを用い、かつ、蛍光体プレート26として、レーザー光源22からのレーザー光を受けて当該レーザー光の少なくとも一部を異なる波長の光(例えば、赤、緑、青の三色の光)に変換する波長変換部材を用いてもよい。この場合、レーザー光源22からの近紫外域のレーザー光が光偏向器24によって走査されることで、蛍光体プレート26に白色の配光画像(例えば、ロービーム用配光画像pLo、又はハイビーム用配光画像pHi)が形成される。この配光画像が投影レンズ28によって車両前方に投影(反転投影)されることで、ロービーム用配光パターンPLo(例えば、図6(a)参照)やハイビーム用配光パターンPHi(例えば、図7(a)参照)が形成される。
また例えば、レーザー光源22に代えて白色光源(例えば、白色レーザー光源)を用い、かつ、蛍光体プレート26に代えて拡散板(図示せず)を用いてもよい。この場合、白色光源からの白色光が光偏向器24によって走査されることで、拡散板に白色の配光画像(例えば、ロービーム用配光画像pLo、又はハイビーム用配光画像pHi)が形成される。この配光画像が投影レンズ28によって車両前方に投影(反転投影)されることで、ロービーム用配光パターンPLo(例えば、図6(a)参照)やハイビーム用配光パターンPHi(例えば、図7(a)参照)が形成される。
また、上記実施形態では、光偏向器24として、駆動方式が圧電方式の光偏向器を用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、光偏向器24として、駆動方式が静電方式、電磁方式、その他の方式の光偏向器を用いてもよい。
また、上記実施形態では、光偏向器24として、1軸共振・1軸非共振タイプの光偏向器を用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、光偏向器24として、2軸非共振タイプ、2軸共振タイプの光偏向器を用いてもよい。
また、上実施形態では、ヘッドランプ14として、光偏向器24を備えたヘッドランプを用いる例について説明したが、これに限らない。
例えば、ヘッドランプ14として、DMD46(DMD:Digital Mirror Device)を備えたヘッドランプ14Aを用いてもよい。
図9は、DMD46を備えたヘッドランプ14Aの一例である。
図9に示すように、本変形例のDMD46を備えたヘッドランプ14Aは、光源42(白色LEDや白色LD等の白色光源)、集光レンズ44、DMD46、投影レンズ48、不用光吸収体50等を備えている。
DMD46は、アレイ状に配列された複数のマイクロミラー(図示せず)を備えている。集光レンズ44で集光された光源42からの光は、複数のマイクロミラーに入射する。複数のマイクロミラーのうちオン位置のマイクロミラーで反射された光は、投影レンズ48に入射し、当該投影レンズを透過して車両V0前方に照射される。一方、複数のマイクロミラーのうちオフ位置のマイクロミラーで反射された光は、不用光吸収体50に入射し、当該不用光吸収体50に吸収される。各々の画素(ピクセル)の明るさは、各々のマイクロミラーのオンオフする周期を個別に制御することで、個別に制御される。DMDを備えたヘッドランプについては、特開2016−34785号公報や特開2004−210125号公報等に詳細に記載されているため、これ以上の説明は省略する。
上記構成のヘッドランプ14A(DMD46)によれば、各々のマイクロミラーを個別にオンオフすることで、ヘッドランプ14(光偏向器24)と同様、白色の強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及び配光画像(例えば、ロービーム用配光画像、又はハイビーム用配光画像)を形成することができる。そして、この強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及び配光画像を投影レンズ48によって車両前方に投影(反転投影)することで、図6(b)等に示すのと同様の強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及び配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターンPLo、又はハイビーム用配光パターンPHi)を形成することができる。
本変形例のDMD46を備えたヘッドランプ14Aを用いても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また例えば、ヘッドランプ14として、LCD58(LCD:liquid crystal display)を備えたヘッドランプ14Bを用いてもよい。
図10は、LCD58を備えたヘッドランプ14Bの一例である。
図10に示すように、本変形例のLCD58を備えたヘッドランプ14Bは、光源52(白色LEDや白色LD等の白色光源)、集光光学系54、偏光軸が互いに直交する2枚の偏光板56a、56b、2枚の偏光板56a、56bの間に配置されたLCD58(LCD素子)、投影レンズ60等を備えている。
集光光学系54で整えられた光源52からの光は、各々の画素(図示せず)の偏光方向が個別に制御されたLCD58に入射する。各々の画素を透過する光の透過量は、偏光板56a、56bの偏光方向とLCD58の各々の画素で偏光された光の偏光方向との関係により決まる。各々の画素(ピクセル)の明るさは、各々の画素の偏光方向を個別に制御することで、個別に制御される。LCDを備えたヘッドランプについては、特開平1−244934号公報、特開2005−183327号公報等に詳細に記載されているため、これ以上の説明は省略する。
上記構成のヘッドランプ14B(LCD58)によれば、各々の画素の偏光方向を個別に制御することで、ヘッドランプ14(光偏向器24)と同様、白色の強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及び配光画像(例えば、ロービーム用配光画像、又はハイビーム用配光画像)を形成することができる。そして、この強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及び配光画像を投影レンズ60によって車両前方に投影(反転投影)することで、図6(b)等に示すのと同様の強調照明領域(例えば、強調照明領域B1)、及び配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターンPLo、又はハイビーム用配光パターンPHi)を形成することができる。
本変形例のLCD58を備えたヘッドランプ14Bを用いても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。