JP6784614B2 - 熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。より詳細には電気電子封止用熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。
従来、白金触媒によるアルケニル基と水素基との間のヒドロシリル化によって硬化する熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物が知られている。該オルガノポリシロキサンはエポキシ系樹脂組成物を凌駕する耐熱性及び耐候性を有するため、電子素子のための封止材料として用いられている。該ヒドロシリル化反応型熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、一般にアルケニル基を含むベース樹脂と水素基を含むベース樹脂を混合した2成分系付加硬化型樹脂組成物と、一つの樹脂内にアルケニル基及び水素基の両方を有する1成分系付加硬化型樹脂組成物に大別される。2成分系付加硬化型樹脂組成物は2つの樹脂を相溶させるために両樹脂中のフェニル基量を多くする必要がある。これに対し1成分系付加硬化型樹脂組成物ではフェニル基量を減量できるため、その硬化物は高いガラス転移温度を有することができる。そのため1成分系付加硬化型樹脂組成物は電子素子の封止材料として好適に用いられている。電子素子の封止は室温でも行うことが可能だが、封止対象が大型の電子素子の場合、封止工程の作業性向上のため、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は70℃〜100℃に加温され低粘度化される。そのため、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物には100℃で長時間の取り扱いに耐え得るポットライフが要求される。
特開昭54−159460号公報(特許文献1)は、1成分系ベースレジンに対して硬化遅延剤として2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体100重量ppmと、白金触媒を白金量で20重量ppm含有する熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を記載しており、80℃の温度条件下での良好なポットライフと200℃における硬化性を両立する事が記載されている。
特開昭54−159460号公報
しかし特許文献1に記載の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は高温域である100℃の条件下でのポットライフに劣る。さらに特許文献1記載の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は200℃の環境下で硬化物が黄変するため光学用途の電子素子の封止には適さないという問題点がある。硬化物の黄変は硬化物中に残留する白金触媒が原因の1つとして挙げられるが、白金触媒を低減する事によって組成物の硬化性が損なわれてしまうという問題点もある。また一般的に、ポットライフを改善するためには硬化遅延剤を増量するが、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体の増量は組成物の硬化性を悪化させ、またメルカプトベンゾチアゾール誘導体が沈降するおそれがある。特許文献1は種々のメルカプトベンゾチアゾール誘導体を記載しているが、80℃超の温度領域における組成物のポットライフを改善するために最適なメルカプトベンゾチアゾール誘導体は言及されていない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、100℃の温度条件下において良好なポットライフを有し、且つ200℃において優れた硬化性を有し、さらに良好な耐黄変性を有する硬化物を与える、電気電子封止用材料として最適な熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する事を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の含硫黄白金触媒制御剤と、特定量の白金触媒を含有する組成物が、白金触媒量を低減しても硬化性を損なうことなく、70℃〜100℃の温度域における長期のポットライフを有し、かつ得られる硬化物は200℃の高温条件下で黄変が抑制されることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、
(A)1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1つ及びSi−H基を少なくとも1つ有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量500〜10,000を有するシリコーン樹脂
(B)白金系触媒 上記(A)成分100重量部に対して白金量換算で2×10−4〜15×10−4重量部、及び
(C)2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド 上記(A)成分100重量部に対して0.5×10−2〜3×10−2重量部
を含有する熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
更には、本発明は、電気電子封止用熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、硬化性を損なうことなく、70℃〜100℃、特には80℃超〜100℃の高温域、更に特には100℃におけるポットライフに優れ、且つ、該組成物から得られる硬化物は200℃における黄変が抑制される。
以下、各成分について詳細に説明する。
(A)シリコーン樹脂
本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物(以下「本発明の組成物」ということもある)に含まれる(A)シリコーン樹脂は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1つ及びSi−H基を少なくとも1つ有する、1成分系付加硬化型のシリコーン樹脂である。本発明の組成物は、25℃において液状であり、白金系触媒の存在下、150℃以上にて、該シリコーン樹脂中のアルケニル基とSiH基との架橋反応(付加反応)により硬化物を与える。
該シリコーン樹脂は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1つ及びSi−H基を少なくとも1つ有すればよく、従来公知のシリコーン樹脂であってよい。例えば、下記平均単位式(1)で表されるシリコーン樹脂が好ましい。
Figure 0006784614
(式中、mは0≦m≦0.6を満たす数であり、d1、d2、及びd3は0.2≦d1+d2+d3≦0.8を満たす数であり、tは0.2≦t≦0.8を満たす数であり、qは0≦q≦0.6を満たす数であり、但し、m+d1+d2+d3+t+q=1であり、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、R及びRはそれぞれ独立に、脂肪族不飽和基を有しない炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数2〜18の置換または非置換のアルケニル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基である)
式(1)中、Rで示される、炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜18のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などの炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素原子数6〜18の非置換のアリール基;トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基などの炭素原子数7〜18のアルキルアリール基;ベンジル基、フェネチル基などの炭素原子数7〜18のアラルキル基;等が挙げられる。これらのうち、炭素原子数6〜18の非置換のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
式(1)中、(RSiO2/2)単位はヒドロシリル化に寄与しないシロキサン単位である。該単位を有することによりシリコーン樹脂の仕上がり粘度を低くし、作業性に優れる樹脂組成物を与える。好ましくは式(1)におけるd1が0≦d1≦0.05を満たす数であり、かつq=0であるシリコーン樹脂が良い。
式(1)中、R及びRで示される、脂肪族不飽和基を有しない炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素原子数6〜18の非置換のアリール基;トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基などの炭素原子数7〜18のアルキルアリール基;ベンジル基、フェネチル基などの炭素原子数7〜18のアラルキル基;等が挙げられる。これらのうち、炭素原子数6〜18の非置換のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
式(1)中、Rで示される、炭素原子数2〜18の置換または非置換の一価のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、これらのうち、硬化性が優れるという理由から、ビニル基、アリル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
式(1)中、Rで示される、炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜18のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などの炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素原子数6〜18の非置換のアリール基;トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基などの炭素原子数7〜18のアルキルアリール基;ベンジル基、フェネチル基などの炭素原子数7〜18のアラルキル基;等が挙げられる。これらのうち、硬化物にクラックが入りにくいという理由から、炭素原子数6〜18の非置換のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
特に好ましい態様としては、上記平均単位式(1)において、R、R、及びRがそれぞれ独立にメチル基又はエチル基であり、Rがビニル基であり、及びRがフェニル基であるシリコーン樹脂である。
シリコーン樹脂の粘度は、機械特性、取り扱いのしやすさ、および、反応操作の容易さの観点から、50〜10,000mm/sが好ましく、500〜2,000mm/sがより好ましい。なお、本発明における粘度は、JIS Z 8803の6.2に準拠し、キャノン‐フェンスケ粘度計にて25℃で測定されたものとする。
シリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、機械特性、取り扱いのしやすさ、および、反応操作の容易さの観点から、500〜10,000が好ましく、1,000〜3,000がより好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算値であるものとする。
本発明におけるシリコーン樹脂の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、上記式(1)に示される各構成単位を与える原料化合物を、特定の反応溶媒の存在下に、加水分解及び重縮合反応させる工程を経て製造することができる。原料化合物は、例えば、加水分解性基としてクロル或いはアルコキシを1〜4個有し、上記R〜Rで示される基に相当する有機置換基を有するシラン化合物であればよい。
上記シリコーン樹脂の原料化合物としては、下記に限定されるものではないが、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジクロロシラン、ハイドロジェンジメチルメトキシシラン、ハイドロジェンジメチルエトキシシラン、ハイドロジェンジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、メチルハイドロジェンジクロロシラン、ジハイドロジェンジメトキシシラン、ジハイドロジェンジエトキシシラン、ジハイドロジェンジクロロシラン、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、ハイドロジェントリクロロシラン及びこれらの部分加水分解物、ヘキサメチルジシロキサン、ジハイドロジェンテトラメチルジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジフェニルテトラメチルジシロキサンなどのヘキサオルガノジシロキサンなどの各種有機ケイ素化合物が挙げられる。これらシラン化合物の1種又は2種以上の混合物を使用してもよい。またこれらの原料に加え、例えばテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランを反応させることにより、得られるシリコーン樹脂はSiO4/2で表される構成単位を有することができる。操作性、副生物の溜去のし易さから、メトキシシラン或いはエトキシシランを使用するのがより好ましい。
上記加水分解性シラン化合物を有機溶剤中で加水分解することにより、加水分解性シリル基及びシラノールを含有するシリコーン樹脂を得ることができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系化合物、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系化合物、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類が挙げられる。加水分解時に使用する水の添加量を原料化合物が有するアルコキシ基の全てを加水分解するために必要な量よりも少なくすることで、得られるシリコーン樹脂は、メトキシ基やエトキシ基等の加水分解性シリル基を多く含むシリコーン樹脂となる。一方、水の添加量をアルコキシ基の全てを加水分解するために必要な量よりも多くすることで、シラノールを多く含むシリコーン樹脂となる。
加水分解には加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒は、従来公知の触媒を使用することができ、その水溶液がpH2〜7の酸性を示すものがよい。特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性或いは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂などの固体酸などが好ましい。例えば、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸に代表される有機カルボン酸、メチルスルホン酸、表面にスルホン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂などが挙げられる。加水分解触媒の量は珪素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範囲内であることが好ましい。さらに加水分解工程(第一工程)の後に、反応溶媒、副生物、残留モノマー及び水等を留去させる工程(第二工程)を経るのが好ましい。
(B)白金系触媒
白金系触媒は、上記した(A)シリコーン樹脂の付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するものとして従来公知の触媒であればよい。白金系触媒は、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸−オレフィン錯体、塩化白金酸−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、塩化白金酸−アルコール配位化合物、及び白金のジケトン錯体等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物は該白金系触媒を特定量含むことを特徴とする。白金系触媒の含有量は、上記した(A)シリコーン樹脂100重量部に対し、白金の量に換算して2×10−4〜15×10−4重量部であり、好ましくは5×10−4〜12×10−4重量部がよい。該範囲となる量で含有することにより高温下でのポットライフと十分な硬化性を両立させることができる。白金系触媒の量が上記下限値未満では組成物に十分な硬化性を与えることができない。上記上限値超では高温域でのポットライフを確保できず、高温下に長時間おくと組成物が増粘し、また硬化物が黄変してしまう。
(C)2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド
本発明の組成物は2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィドを含有することを特徴とする。該化合物は、組成物の硬化速度や作業可使時間を調整する。種々あるメルカプトベンゾチアゾール誘導体の中で該化合物を選択したことにより、硬化性を損ねることなく100℃という高温下で良好なポットライフを有する組成物を提供することができる。2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィドの含有量は、上記した(A)シリコーン樹脂100重量部に対して0.5×10−2〜3.0×10−2重量部であり、好ましくは1×10−2〜2.5×10−2重量部である。該範囲内となる量で含むことにより、組成物は高温下でのポットライフに優れ、且つ上述したように白金系触媒量を低減したにも関わらず良好に硬化することができる。また2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィドはシリコーン樹脂に対し良好に溶解することができる。また本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物において(B)成分中の白金量に対する(C)成分の重量比は6〜50であることが好ましい。この範囲内であれば組成物のポットライフと硬化性の両立をより確実にする事ができる。
本発明の組成物の調製方法は従来公知の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、上述した(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を混合することにより調製できる。組成物の硬化条件も従来公知の付加型オルガノポリシロキサン組成物の硬化条件に従えばよい。例えば、150℃〜200℃で、10分〜960分加熱することで硬化できる。また、本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、本発明の効果を損ねない範囲で、その他の添加剤を更に含むことができる。その他の添加剤とは電気電子封止用組成物に含まれる公知の添加剤であればよい。例えば、無機充填剤、蛍光体、シランカップリング剤、接着助剤、老化防止剤等を含有することができる。
本発明の組成物は、硬化性を損なうことなく高温下(70℃〜100℃、特には80℃超〜100℃、さらに特には100℃)でのポットライフに優れ、かつ、該組成物を硬化して得られる硬化物は黄変を抑制される。そのため、本発明の組成物は、例えば、電子部品のコーティング材料や電子素子の封止材用途等に好適である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお下記においてMeはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を表す。
[合成例1]
攪拌装置、リービッヒ冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた10リットルのフラスコに、[PhSi(OMe)]Oで表される化合物2,630質量部、MeViSi(OMe)で表される化合物717質量部、Me(H)Si(OMe)で表される化合物576質量部、MeSi(OMe)で表される化合物84部、[MeSi]Oで表される化合物680質量部、及びトルエン3,500質量部を仕込み、攪拌しながらメタンスルホン酸52gを投入した後、更に水575質量部を1時間掛けて滴下し、67℃で2時間熟成させ、さらに80℃で3時間熟成させた。得られた液を抽出水の液性が中性になるまで水洗した後、溶媒を留去することで、生成物を得た。
得られた生成物は、下記平均単位式で表される、アルケニル基およびSiH基を有する付加硬化型シリコーン樹脂(A−1)であった。

[PhSiO3/25.7[MeViSiO2/22.0[Me(H)SiO2/21.8[MeSiO2/20.2[MeSiO1/22.8
(Mw:2,000、粘度:900mm/s)
[実施例1〜5、及び比較例1〜5]
表1又は2に示す配合比にて、合成例1で得られたシリコーン樹脂(A−1)と、(C)2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド(東京化成工業製)を混合し、80℃で3時間加熱溶解させた後25℃に冷却した。該混合物中に(B)白金系触媒(白金(0)‐1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、Pt含有率0.08%)を添加し、25℃で溶解させる事で、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得た。なお、表中において、白金含有量[ppm]および(C)成分の配合量[ppm]とは、(A)成分の重量を100万重量部とした重量割合である。
[比較例6]
実施例1において(C)成分を2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成工業製)に替えた他は実施例1を繰り返し、熱硬化性オルガノポリシロキサンを調製した。
[比較例7]
実施例1において(C)成分を亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(東京化成工業製)に替えた他は実施例1を繰り返し、熱硬化性オルガノポリシロキサンを調製した。
[比較例8]
平均単位式[PhSiO2/27.2[MeViSiO2/26.4[PhSiO3/22.4で表されるオルガノポリシロキサン(A−2)の70wt%トルエン溶液(Mw:1,500、粘度:20mm/s)と、平均単位式[Me(H)SiO1/2[Me(H)SiO2/2[PhSiO2/2で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−3)(Mw:1,100、粘度:20mm/s)を固形分重量比[(A−2):(A−3)=70:30]で混合し、溶媒を減圧留去して混合物を得た[粘度:2,000mm/s]。実施例1において、(A−1)成分を上記混合物に替えた他は実施例1を繰り返し熱硬化性オルガノポリシロキサンを調製した。
[比較例9]
平均単位式[MeSiO2/211.3[MeSiO3/24.9[PhSiO3/217.4[ViSiO3/23.8で構成されるオルガノポリシロキサンの60wt%トルエン溶液(A−4)(Mw:67,000、粘度:70mm/s)と、平均単位式[MeSiO3/2[Me(H)SiO2/238[PhSiO2/2の単位で構成されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのトルエン溶液(A−5)(Mw:7,500、粘度:10mm/s)とを固形分重量比[(A−4):(A−5)=88:12]で混合し、全固形分が60wt%となるようトルエンで希釈して混合物を得た[Mw:64,400、粘度:76mm/s]。実施例1において、(A−1)成分を上記混合物に替えた他は実施例1を繰り返し熱硬化性オルガノポリシロキサンを調製した。
[ポットライフ評価方法]
各熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物について、25℃における粘度をキャノンフェンスケ粘度計を用いて測定した。熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を100℃で72時間加熱した後、25℃まで冷却した際の粘度と、初期粘度との差を増粘幅として評価した。
ポットライフとして望ましい増粘幅500mm/s以下のものは良とし、500mm/sを上回ったものは不良とし、高粘度のため測定不能のものは測定不能とした。評価結果を表1〜表3に示す。
[硬化性評価方法]
各実施例及び比較例で得られた熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を型に流し込み、200℃で1時間加熱し、25℃まで放冷して厚み1.3mmの硬化物を作成した。得られた硬化物の硬度をShore D硬度計を用いて測定した。得られた値を表1〜3に示す。Shore D硬度60以上であるものを良とし、60を下回ったものは不良とした。評価結果を表1〜表3に示す。
[黄色度評価方法]
上記硬化性評価方法に記載したのと同じ手順で厚み1.3mmの硬化物を作成した。該硬化物を更に200℃で48時間加熱した後、色差計(日本電色工業株式会社製 Z−300A)を用いてイエローインデックス(YI)を測定した。得られた値を表1〜3に示す。YIが10を下回ったものは良、YIが10以上のものは不良とした。評価結果を表1〜表3に示す。
Figure 0006784614
Figure 0006784614
Figure 0006784614
表2及び3に示す通り、比較例1の組成物は白金触媒量が少ないため増粘幅は小さいが、硬化性に劣る。比較例2の組成物は白金触媒量が過剰なため硬化性は十分であるが増粘幅が大きい。また、比較例2および比較例3の組成物は白金触媒量が多いため、200℃に長時間おくと硬化物が黄変する。比較例4の組成物は(C)成分の配合量が多すぎるため増粘幅が小さいが硬化性に劣る。比較例5の組成物は(C)成分の量が少なすぎるため100℃における組成物の増粘幅が大きい。また2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド以外のメルカプトベンゾチアゾール誘導体を用いた比較例6ならびに比較例7の組成物では、100℃における組成物の増粘幅が大きい。さらに、シリコーン樹脂として2成分系の硬化型オルガノポリシロキサンを用いた比較例8および比較例9の組成物は100℃で著しく増粘した。
これに対し、実施例1〜5に示す通り、本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、100℃、72時間加熱後の増粘幅が500mm/s以下に抑えられ、良好なポットライフを有する。また、該熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を200℃、1時間加熱して得られる硬化物は十分なShoreD硬度を有する。更に得られた硬化物を200℃下48時間加熱した後の黄色度(YI)は10を下回り、黄変が抑制される。
本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、硬化性を損ねることなく高温下(特には100℃)における優れたポットライフを有し、かつ200℃における耐黄変性に優れた硬化物を与える。本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、電気電子用、特に電子素子の封止材として有用である。

Claims (5)

  1. (A)1分子中に、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1つ及びSi−H基を少なくとも1つ有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量500〜10,000を有するシリコーン樹脂
    (B)白金系触媒 上記(A)成分100重量部に対して白金量換算で2×10−4〜15×10−4重量部、及び
    (C)2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド 上記(A)成分100重量部に対して0.5×10−2〜3×10−2重量部
    を含有する熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. 前記シリコーン樹脂(A)が下記平均単位式(1)で表される、請求項1に記載の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
    Figure 0006784614
    (式中、mは0≦m≦0.6を満たす数であり、d1、d2、及びd3は0.2≦d1+d2+d3≦0.8を満たす数であり、tは0.2≦t≦0.8を満たす数であり、qは0≦q≦0.6を満たす数であり、但し、m+d1+d2+d3+t+q=1であり、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、R及びRはそれぞれ独立に、脂肪族不飽和基を有しない炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数2〜18の置換または非置換のアルケニル基であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1〜18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、但し、該シリコーン樹脂はケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1つ及びSi−H基を少なくとも1つ有する)。
  3. 上記平均単位式(1)において、R、R、及びRがそれぞれ独立にメチル基又はエチル基であり、Rがビニル基であり、及びRがフェニル基である、請求項2に記載の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  4. 上記平均単位式(1)において、d1が0≦d1≦0.05を満たす数であり、かつq=0である、請求項2又は3に記載の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  5. 電子素子封止用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
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