JP6784322B2 - 複合酸化物 - Google Patents

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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N15/00Thermoelectric devices without a junction of dissimilar materials; Thermomagnetic devices, e.g. using the Nernst-Ettingshausen effect
    • H10N15/10Thermoelectric devices using thermal change of the dielectric constant, e.g. working above and below the Curie point

Description

本発明は、複合酸化物、詳細には、電気熱量効果を示す複合酸化物に関する。
近年、小型携帯機器(スマートフォン、タブレットPC)、さらにはデータサーバー等の電子機器においては、中央処理装置(CPU)やハードディスク(HDD)等の発熱による、機器のパフォーマンスの低下、電子機器の寿命の短命化、故障といった問題が顕在化している。このような問題に対しては、電子機器における熱マネージメントが重要である。しかしながら、スマートフォン等の小型電子機器は、その電源容量が小さく、また、大きな冷却デバイスを設置可能なスペースを有していない。したがって、このような小型電子機器では、現状、温度の制御は、筺体を介する放熱による手段しかなく、熱源と筺体をサーマルシートなどで熱結合し熱を逃がしている。一方、サーバーなどの大型電子機器では、電源容量およびスペースが十分にあるので、エアコンディショナーなどの空調設備、ペルチェ式冷却デバイス等が用いられている。
上記のような電気熱量効果を示す材料としては、例えば非特許文献1には、Pb0.99[(Zr0.75Sn0.20Ti0.050.98Nb0.02]O(Pb0.99Nb0.02[(Zr0.789Sn0.2110.95Ti0.05]Oと等価)という組成からなるペロブスカイト構造を有するニオブ添加チタン酸ジルコン酸スズ酸鉛系セラミックスが開示されている。非特許文献1では、このセラミックスの電気熱量効果をDirect測定法により評価し、161℃で3MV/mの電場印加時にΔT=2.6Kの電気熱量効果が発現することが記載されている。
また、非特許文献2には、BaTiOをベースとした商用の積層セラミックスコンデンサが開示されている。このセラミックスコンデンサの電気熱量効果を評価し、30MV/mの電場印加が可能であること、ΔT=0.55Kの電気熱量効果が発現することが記載されている。
B. A. Tuttle and D. A. Payne, Ferroelectrics, 37, 603-606 (1981) S Kar-Narayan and N D Mathur, J. Phys. D: Appl. Phys.43(2010) 032002 (4pp)
小型電子機器において、上記のような筺体を介する放熱は、筺体の表面積が限られていることから限界がある。したがって、各熱源の温度を測定し、温度が所定の温度以上になった場合に、CPUなどのパフォーマンスを制限する(発熱自体を抑制する)ことで対応している。即ち、筺体の温度上昇が、CPU等のパフォーマンスの妨げになっていることがある。
また、大型電子機器では、上記のような空調設備等により十分な冷却効果を得ることはできるが、消費電力が非常に大きいため熱マネジメントのために電力コストがかかる問題がある。
そこで、本発明者は、上記の電気熱量効果に着目し、この電気熱量効果を示す複合酸化物を熱搬送デバイスに利用することに思い至った。本現象では制御電圧が必要であるが、上記複合酸化物は、絶縁体の強誘電体であるために消費電力は非常に小さく、電力コストが低く、電源容量の限られた小型携帯機器でも使用可能である。
電気熱量効果をサーバー冷却などの高温環境で利用する際に問題となるのが取り扱える熱量と素子の絶縁性である。電気熱量効果を用いた素子単一で取り扱える熱量をより大きくするためには、大きな電気熱量効果を示す材料を素子の誘電体層に用いる必要がある。また、電気熱量効果は印加できる電場が高いほど取り扱える熱量が大きくなるが、誘電体セラミックスは一般に高温で絶縁性が低下し、電圧印加時にリーク電流が流れることでジュール熱が発生してしまう。
上記の非特許文献1に開示されたセラミックスは、高電場を印加することが難しいという問題がある。また、非特許文献2に開示されたセラミックスは、電気熱量効果の小さいBaTiOをベースとした強誘電体材料を用いているため、ΔTが小さいという問題がある。
従って、本発明の目的は、大きな電気熱量効果を示し、かつ、絶縁性の高い複合酸化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、Pb(Zr,Sn,Ti)複合酸化物に、Nb、Ta、WまたはMoをドープし、さらにこれらの割合を所定の範囲内とすることにより、大きな電気熱量効果と高い絶縁性を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の要旨によれば、下記式(I)または(II):
Pb1−z/2([ZrSn1−x1−yTi1−z (I)
Pb1−w([ZrSn1−x1−yTi1−w (II)
[式中:
は、NbまたはTaであり、
は、WまたはMoであり、
xおよびyは、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点A1(0.50,0.07)、
点A2(0.50,0.17)、
点A3(0.65,0.17)、
点A4(0.75,0.13)、
点A5(0.75,0.05)、
点A6(0.70,0.03)、および
点A7(0.60,0.07)
を直線で結んだ領域(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
zは、0.02以上0.06以下であり、
wは、0.02以上0.06以下である。]
で表される複合酸化物が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、
下記式(I)または(II):
Pb1−z/2([ZrSn1−x1−yTi1−z (I)
Pb1−w([ZrSn1−x1−yTi1−w (II)
[式中:
は、NbまたはTaであり、
は、WまたはMoであり、
xおよびyは、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点A11(0.55,0.15)、
点A12(0.70,0.15)、
点A13(0.75,0.13)、
点A14(0.75,0.05)、
点A15(0.70,0.05)、
点A16(0.65,0.08)、
点A17(0.60,0.09)および
点A18(0.55,0.09)
を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
zは0.02以上0.06以下であり、
wは0.02以上0.06以下である。]
式(I)または(II)で表される複合酸化物が提供される。
本発明の第3の要旨によれば、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMを含む複合酸化物であって、
は、NbまたはTaであり、
は、WまたはMoであり、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C1(50,7)、
点C2(50,17)、
点C3(65,17)、
点C4(75,13)、
点C5(75,5)、
点C6(70,3)、および
点C7(60,7)
を直線で結んだ領域(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下である、
複合酸化物が提供される。
本発明の第4の要旨によれば、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMを含む複合酸化物であって、
は、NbまたはTaであり、
は、WまたはMoであり、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C11(55,15)、
点C12(70,15)、
点C13(75,13)、
点C14(75,5)、
点C15(70,5)、
点C16(65,8)、
点C17(60,9)および
点C18(55,9)
を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下である、
複合酸化物が提供される。
本発明の第5の要旨によれば、複数の電極層と、該電極層間に位置する複数の誘電体層とを有して成る積層体を含んで成る吸発熱素子であって、前記誘電体層が、上記の複合酸化物から構成される吸発熱素子が提供される。
本発明の第6の要旨によれば、上記の吸発熱素子を有してなる電子機器が提供される。
本発明の第7の要旨によれば、
Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C1(50,7)、
点C2(50,17)、
点C3(65,17)、
点C4(75,13)、
点C5(75,5)、
点C6(70,3)、および
点C7(60,7)
を直線で結んだ領域(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下である、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
となる割合で混合し、焼成後に前記割合となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法が提供される。
本発明の第8の要旨によれば、
Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C11(55,15)、
点C12(70,15)、
点C13(75,13)、
点C14(75,5)、
点C15(70,5)、
点C16(65,8)、
点C17(60,9)および
点C18(55,9)
を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下であり、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
となる割合で混合し、焼成後に前記割合となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法が提供される。
本発明によれば、電気熱量効果が大きく、絶縁性が高い複合酸化物を提供することができる。
図1は、本発明に用いられる吸発熱素子の概略断面図である。 図2は、本発明に用いられる別の吸発熱素子の概略断面図である。 図3は、実施例におけるz=0.02の試料(試料番号1〜27)についてのZr、SnおよびTiの組成三角相図である。 図4は、試料番号22に関する、ΔTの電場依存性を示すグラフである。 図5は、試料番号22に関する、電場印加時のΔTの温度依存性を示すグラフである。
本発明の電気熱量効果を示す材料は、MまたはMがドープされたPb(Zr,Sn,Ti)複合酸化物である。
一の態様において、本発明の複合酸化物は、下記式(I)または(II):
Pb1−z/2([ZrSn1−x1−yTi1−z (I)
Pb1−w([ZrSn1−x1−yTi1−w (II)
[式中:
は、NbまたはTaであり、
は、WまたはMoであり、
xは、0.55以上0.75以下、好ましくは0.55以上0.70以下であり、
yは、0.05以上0.15以下であり、
zは、0.02以上0.06以下であり、
wは、0.02以上0.06以下である。]
で表される複合酸化物である。
上記式中、xは、0.55以上0.75以下、好ましくは0.55以上0.70以下、より好ましくは0.60より大きく0.70以下であり、例えば0.60より大きく0.65以下または0.65以上0.70以下であり得る。
上記式中、yは、0.05以上0.15以下、好ましくは0.05以上0.10以下、より好ましくは0.05以上0.08未満、例えば0.05、0.06または0.07であり得る。また、別の態様において、yは、好ましくは0.07以上0.10以下、より好ましくは0.09以上0.10以下であってもよい。
xおよびyについて、上記の範囲とすることにより、本発明の複合酸化物は、大きな電気熱量効果を発現し得る。特に、本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度範囲であっても、大きな電気熱量効果を発現し得る。さらに、本発明の複合酸化物は、高い耐電圧性等を有し得る。特に、本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度範囲であっても、高い耐電圧性を有し得る。
上記式中、zは、0.02以上0.06以下、例えば0.03以上0.06以下または0.03以上0.05以下であり得る。
上記式中、wは、0.02以上0.06以下、例えば0.03以上0.06以下または0.03以上0.05以下であり得る。
zおよびwについて、上記の範囲とすることにより、本発明の複合酸化物は、広い温度範囲にわたって高い絶縁性を有し得る。
一の態様において、本発明の複合酸化物は、
xおよびyが、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点A1(0.50,0.07)、
点A2(0.50,0.17)、
点A3(0.65,0.17)、
点A4(0.75,0.13)、
点A5(0.75,0.05)、
点A6(0.70,0.03)、および
点A7(0.60,0.07)
を直線で結んだ領域(即ち、A1−A2−A3−A4−A5−A6−A7−A1を順に結んだ領域)(ただし、境界は含まない)に囲まれる範囲にあり、
zが0.02以上0.06以下であり、
wが0.02以上0.06以下である、上記式(I)または(II)で表される複合酸化物であり得る。
別の態様において、本発明の複合酸化物は、
xおよびyが、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点A1(0.50,0.07)、
点A2(0.50,0.17)、
点A3(0.65,0.17)、
点A4(0.75,0.13)、
点A5(0.75,0.05)、
点A6(0.70,0.03)、および
点A8(0.65,0.07)
を直線で結んだ領域(即ち、A1−A2−A3−A4−A5−A6−A8−A1を順に結んだ領域)(ただし、境界は含まない)に囲まれる範囲にあり、
zが0.02以上0.06以下であり、
wが0.02以上0.06以下である、上記式(I)または(II)で表される複合酸化物であり得る。
好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
xおよびyが、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点A11(0.55,0.15)、
点A12(0.70,0.15)、
点A13(0.75,0.13)、
点A14(0.75,0.05)、
点A15(0.70,0.05)、
点A16(0.65,0.08)、
点A17(0.60,0.09)および
点A18(0.55,0.09)
を直線で結んだ領域(即ち、A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−A18−A11を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、
zが0.02以上0.06以下であり、
wが0.02以上0.06以下である、上記式(I)または(II)で表される複合酸化物であり得る。
好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
xおよびyが、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点B1(0.55,0.15)、
点B2(0.60,0.15)、
点B3(0.65,0.15)、
点B4(0.70,0.13)、
点B5(0.70,0.09)、
点B6(0.70,0.05)、
点B7(0.65,0.07)、
点B8(0.60,0.09)および
点B9(0.55,0.09)
を直線で結んだ領域(即ち、B1−B2−B3−B4−B5−B6−B7−B8−B9−B1を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、
zが0.02以上0.06以下であり、
wが0.02以上0.06以下である、上記式(I)または(II)で表される複合酸化物であり得る。
別の好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
xおよびyが、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点B1(0.55,0.15)、
点B2(0.60,0.15)、
点B3(0.65,0.15)、
点B4(0.70,0.13)、
点B5(0.70,0.09)、
点B6(0.70,0.05)、
点B7’(0.65,0.08)、
点B8(0.60,0.09)および
点B9(0.55,0.09)
を直線で結んだ領域(即ち、B1−B2−B3−B4−B5−B6−B7’−B8−B9−B1を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、
zが0.02以上0.06以下であり、
wが0.02以上0.06以下である、上記式(I)または(II)で表される複合酸化物であり得る。
より好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
xおよびyが、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
点B11(0.60,0.13)、
点B12(0.70,0.13)および
点B13(0.70,0.09)
を直線で結んだ領域(即ち、B11−B12−B13−B11を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、
zが0.02以上0.06以下であり、
wが0.02以上0.06以下である、上記式(I)または(II)で表される複合酸化物であり得る。
上記の範囲とすることにより、本発明の複合酸化物は、より大きな電気熱量効果およびより高い耐電圧性等を有し得る。
一の態様において、本発明の複合酸化物は、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMを含む複合酸化物であって、
は、NbまたはTaであり、
は、WまたはMoであり、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pは、55以上75以下、好ましくは55以上70以下であり、
qは、5以上15以下であり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下である、
複合酸化物であり得る。
上記pは、55以上75以下、好ましくは55以上70以下、より好ましくは60より大きく70以下であり、例えば60より大きく65以下または65以上70以下であり得る。
上記qは、5以上15以下、好ましくは5以上10以下、より好ましくは5以上8未満、例えば5、6または7であり得る。また、別の態様において、qは、好ましくは7以上10以下、より好ましくは9以上10以下であってもよい。
pおよびqについて、上記の範囲とすることにより、本発明の複合酸化物は、大きな電気熱量効果を発現し得る。特に、本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度範囲であっても、大きな電気熱量効果を発現し得る。さらに、本発明の複合酸化物は、高い耐電圧性等を有し得る。特に、本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度範囲であっても、高い耐電圧性を有し得る。
上記rは、2以上6以下、例えば3以上6以下または3以上5以下であり得る。
上記sは、2以上6以下、例えば3以上6以下または3以上5以下であり得る。
rおよびsについて、上記の範囲とすることにより、本発明の複合酸化物は、広い温度範囲にわたって高い絶縁性を有し得る。
一の態様において、本発明の複合酸化物は、
pおよびqが、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C1(50,7)、
点C2(50,17)、
点C3(65,17)、
点C4(75,13)、
点C5(75,5)、
点C6(70,3)、および
点C7(60,7)
を直線で結んだ領域(即ち、C1−C2−C3−C4−C5−C6−C7−C1を順に結んだ領域)(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
rが2以上6以下であり、
sが2以上6以下である、上記の複合酸化物であり得る。
別の態様において、本発明の複合酸化物は、
pおよびqが、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C1(50,7)、
点C2(50,17)、
点C3(65,17)、
点C4(75,13)、
点C5(75,5)、
点C6(70,3)、および
点C8(65,7)
を直線で結んだ領域(即ち、C1−C2−C3−C4−C5−C6−C8−C1を順に結んだ領域)(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
rが2以上6以下であり、
sが2以上6以下である、上記の複合酸化物であり得る。
好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
pおよびqが、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C11(55,15)、
点C12(70,15)、
点C13(75,13)、
点C14(75,5)、
点C15(70,5)、
点C16(65,8)、
点C17(60,9)および
点C18(55,9)
を直線で結んだ領域(即ち、C11−C12−C13−C14−C15−C16−C17−C18−C11を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、
rが2以上6以下であり、
sが2以上6以下である、上記の複合酸化物であり得る。
好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
pおよびqが、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点D1(55,15)、
点D2(60,15)、
点D3(65,15)、
点D4(70,13)、
点D5(70,9)、
点D6(70,5)、
点D7(65,7)、
点D8(60,9)および
点D9(55,9)
を直線で結んだ領域(即ち、D1−D2−D3−D4−D5−D6−D7−D8−D9−D1を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、rが2以上6以下であり、sが2以上6以下である、上記の複合酸化物であり得る。
別の好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
pおよびqが、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点D1(55,15)、
点D2(60,15)、
点D3(65,15)、
点D4(70,13)、
点D5(70,9)、
点D6(70,5)、
点D7’(65,8)、
点D8(60,9)および
点D9(55,9)
を直線で結んだ領域(即ち、D1−D2−D3−D4−D5−D6−D7−D8−D9−D1を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、rが2以上6以下であり、sが2以上6以下である、上記の複合酸化物であり得る。
より好ましい態様において、本発明の複合酸化物は、
pおよびqが、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点D11(60,13)、
点D12(70,13)および
点D13(70,9)
を直線で結んだ領域(即ち、D11−D12−D13−D11を順に結んだ領域)に囲まれる範囲にあり、rが2以上6以下であり、sが2以上6以下である、上記の複合酸化物であり得る。
上記の範囲とすることにより、本発明の複合酸化物は、より大きな電気熱量効果およびより高い耐電圧性等を有し得る。
一の態様において、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部は、(100−(r/2))モル部であり、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部は、(100−s)モル部である。
本発明の複合酸化物は、ペロブスカイト構造を有し得る。
本発明の複合酸化物は、サーバーや電子部品の冷却に必要な80℃以上160℃以下の温度領域で大きな電気熱量効果を奏し得る。本発明は如何なる理論にも拘束されないが、本発明の複合酸化物は、母相の有する強誘電、反強誘電および常誘電の3つの相転移点が1点に集まるような組成領域を利用することで無電場下での状態数が多くなり、低電場でも大きなエントロピー変化を引き起こすことが可能になると考えられる。その結果、これまでにない大きなΔTを達成できる。また、本発明の複合酸化物は、Nb、Ta、WまたはMo等のドナー元素を添加することにより、高い温度領域まで、例えば80℃以上160℃以下の温度領域において、絶縁性が高く、印加電場の低下が抑制される。また、素子の熱的破壊につながるリーク電流によるジュール発熱が抑制される。
上記のように本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度領域において、大きな電気熱量効果を示す。具体的には、本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度領域において、10MV/mの電場を印加した場合に、2.0K以上、好ましくは2.5K以上、より好ましくは3.0K以上のΔTを示す。
ここに、ΔTとは、試料への電場の印加および除去により生じる試料の温度変化を意味する。ΔTは、試料に極細熱電対を直接はりつけ、電場印加時および除去時の温度変化を測定することにより、求めることができる。また、ΔTの測定方法は試料の温度が測定可能な方法であれば白金測温抵抗体やサーミスタ素子を直接貼りつけてもよく、非接触でIRカメラ(赤外線カメラ・サーモビュワー)を用いてもよい。
また、本発明の複合酸化物は、広い温度範囲にわたって高い絶縁性を有し得る。
本発明の複合酸化物は、例えば、80℃以上160℃以下の温度領域において、1×10Ω・cm以上、1×1014Ω・cm以下、好ましくは1×10Ω・cm以上、1×1012Ω・cm以下、より好ましくは1×1010Ω・cm以上、1×1012Ω・cm以下の比抵抗を有する。
また、本発明の複合酸化物は、広い温度範囲にわたって高い耐電圧特性を有し得る。
本発明の複合酸化物は、80℃以上160℃以下の温度領域において、10MV/m以上、好ましくは20MV/m以上、より好ましくは30MV/mの耐電圧を示す。
また、本発明の複合酸化物は、比較的低い電場であっても、相転移することができ、即ち大きな電気熱量効果を発現することができる。従って、本発明の複合酸化物は、強電場を印加しにくい比較的厚みの大きな形状であっても、高い電気熱量効果を発現し得る。
本発明の複合酸化物は、例えば、Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を混合し、焼成することにより得ることができる。Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMが所定の割合となるように混合し、鉛雰囲気中で焼成を行うことにより、得られる複合酸化物からの鉛揮発を抑制することができる。
即ち、本発明は、
Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pは、55以上75以下、好ましくは55以上70以下であり、
qは、5以上15以下であり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下である、
となる割合で混合し、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法を提供する。
一の態様において、本発明は、Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C1(50,7)、
点C2(50,17)、
点C3(65,17)、
点C4(75,13)、
点C5(75,5)、
点C6(70,3)、および
点C7(60,7)
を直線で結んだ領域(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下であり、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
となる割合で混合し、焼成後に前記割合となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法を提供する。
別の態様において、本発明は、Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C1(50,7)、
点C2(50,17)、
点C3(65,17)、
点C4(75,13)、
点C5(75,5)、
点C6(70,3)、および
点C8(65,7)
を直線で結んだ領域(ただし、境界含まない)に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下であり、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
となる割合で混合し、焼成後に前記割合となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法を提供する。
一の態様において、本発明は、Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
点C11(55,15)、
点C12(70,15)、
点C13(75,13)、
点C14(75,5)、
点C15(70,5)、
点C16(65,8)、
点C17(60,9)および
点C18(55,9)
を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
rは、2以上6以下であり、
sは、2以上6以下であり、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
となる割合で混合し、焼成後に前記割合となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法を提供する。
好ましくは、上記の製造方法の混合工程において、さらに、
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部であるように、あるいは
を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部であるように、
Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩、好ましくは酸化物を混合する。
本発明の複合酸化物は、優れた電気熱量効果を示すことから、吸発熱素子の材料として用いることができる。
以下、本発明の吸発熱素子について、図面を参照しながら説明する。但し、下記する実施形態の吸発熱素子および各構成要素の形状および配置等は、図示する例に限定されない。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の吸発熱素子1aは、一対の電極2,4と、該一対の電極の間に位置する本発明の複合酸化物から構成される誘電体部6とを有して成る。電極2,4間に電圧が印加されると、誘電体部6に電場が印加される。その結果、誘電体部6は発熱する。また、電極2,4間の電圧が除去されると、誘電体部6に印加された電場が消失する。その結果、誘電体部6は吸熱する。
誘電体部6の形状は、特に限定されず、例えばシート状、ブロック状、その他種々の形状に成形することができる。成形方法は、特に限定されず、圧縮、焼結等を用いることができる。また、樹脂またはガラス等のバインダーと混合して成形してもよい。
電極2,4を構成する材料としては、特に限定されないが、Ag、Cu、Pt、Ni、Al、Pd、Au、またはこれらの合金(例えば、Ag−Pd等)が挙げられる。中でも、Pt、Ag、PdまたはAg−Pdが好ましい。
電極2,4は、誘電体部に電場を与える機能に加え、誘電体部の熱量を搬送する機能をも有し得る。従って、熱搬送の観点からは、電極を構成する材料は、熱伝導率が高い材料、例えばAgが好ましい。
電極2,4の形状は、特に限定されないが、熱搬送の観点からは、誘電体部6の一の表面全体を覆うような形状が好ましい。
本発明の吸発熱素子は、優れた電気熱量効果を示すことから、熱マネジメント素子、特に冷却素子として用いることができる。
本発明の吸発熱素子は、80℃以上160℃以下の温度領域において、大きな電気熱量効果を示す材料から構成される誘電体部を用いている。従って、本発明の吸発熱素子は、特にサーバーなど比較的高温環境下での用途において好適に用いることができる。
好ましい態様において、本発明の吸発熱素子は、複数の電極と複数の誘電体層の積層体を含み得る。即ち、本発明は、複数の電極層と、該電極層間に位置する複数の誘電体層とを有して成る積層体を含んで成る吸発熱素子であって、前記誘電体層が、本発明の複合酸化物から構成される吸発熱素子を提供する。
例えば、図2に示すような吸発熱素子1bとすることができる。本発明の第2の実施形態の吸発熱素子1bにおいて、複数の内部電極12a,12bと、複数の誘電体部14が交互に積層されている。内部電極12aおよび12bは、それぞれ、吸発熱素子1bの端面に配置される外部電極16aおよび16bに、電気的に接続されている。外部電極16aおよび16bから電圧を印加すると、内部電極12aおよび12b間に電場が形成される。この電場により誘電体部14は発熱する。また、電圧が除去されると、電場が消失し、その結果、誘電体部14は吸熱する。
一の態様において、積層される誘電体部14は、すべて同じ組成であってもよく、異なる組成を有する1またはそれ以上誘電体部を積層してもよい。
このような構造とすることにより、誘電体部14により強い電場を印加することが可能になり、より大きなΔTを得ることができる。また、内部電極が、誘電体部内部への熱の伝搬経路としても機能することから、効率のよい熱マネジメントを可能にする。
以上で説明した吸発熱素子1aおよび1bは、電極と誘電体部が、実質的に全面で接触しているが、本発明はこのような構造に限定されず、誘電体部に電場を印加できる構造であればよい。また、吸発熱素子1aおよび1bは、直方体のブロック形状であるが、本発明の吸発熱素子の形状はこれに限定されず、例えば円筒状、シート状であってもよく、さらに凹凸または貫通孔等を有していてもよい。
本発明の吸発熱素子は、主に電場が解除されて吸熱する際に、またはこの吸熱により吸発熱素子の温度が低下した際に、発熱源で生じた熱を吸収する。また、本発明の吸発熱素子は、主に電場が印加されて放熱する際に、吸収した熱を外部に放出する。従って、本発明の吸発熱素子は、冷却デバイスとして利用することができる。
以上、本発明の吸発熱素子を説明したが、本発明は、上記の実施態様に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
本発明はまた、本発明の吸発熱素子を有して成る電子部品、ならびに本発明の吸発熱素子または電子部品を有して成る電子機器をも提供する。
電子部品としては、特に限定するものではないが、例えば、中央処理装置(CPU)、ハードディスク(HDD)、パワーマネージメントIC(PMIC)、パワーアンプ(PA)、トランシーバーIC、ボルテージレギュレータ(VR)などの集積回路(IC)、発光ダイオード(LED)、白熱電球、半導体レーザーなどの発光素子、電界効果トランジスタ(FET)などの熱源となり得る部品、および、その他の部品、例えば、リチウムイオンバッテリー、基板、ヒートシンク、筐体等の電子機器に一般的に用いられる部品が挙げられる。
電子機器としては、特に限定するものではないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型端末、ハードディスクドライブ、データサーバー等が挙げられる。
・吸発熱素子の調製
Pb1−z/2([ZrSn1−x1−yTi1−zNbにおいて、Pb、ZrO、SnO、TiOおよびNbを準備して、表1に示した組成(試料番号1〜39)になるように秤量した後、ボールミルにより粉砕および混合した。得られた混合物を、850℃にて大気中で仮焼を行うことで、ペロブスカイト構造を有する仮焼粉を調製した。
この仮焼粉に、ポリビニルブチラール系バインダー、可塑剤およびエタノールを加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを作製した。このセラミックスラリーをドクターブレード法により、焼成後の誘電体層の厚みが40μmになるようにシート成形し、グリーンシートを得た。次に、上記セラミックスグリーンシート上にPtペーストをスクリーン印刷し、内部電極を構成した。
次に、内部電極が形成されたセラミックスグリーンシートを内部電極の引き出されている側が互い違いになるように複数枚積層し、積層体グリーンチップを得た。この積層体を450〜550℃のN:大気=1:1雰囲気下で脱脂後、アルミナ密閉鞘に10gのPbZrO粉末と1〜2gのグリーンチップを封入し1300℃で4時間焼成を行い、セラミックス積層体を得た。最後にAgペーストを外部電極として塗布し、焼き付けを行うことで、積層体の吸発熱素子を調製した。
上記のようにして得られた積層吸発熱素子の外形寸法は、幅7.2mm、長さ10mm、厚さ0.92mmであり、内部電極間に介在する誘電体層の厚みは40μm、内部電極厚みは1.5μmであった。また、有効誘電体層の総数は20であり、一層当たりの対向電極面積は40.2mmであった。
Figure 0006784322
(評価)
・元素分析
上記で得られた積層吸発熱素子を溶解し、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析をしたところ、内部電極成分のPtを除いて、Zr、Sn、[ZrSn]、Ti、[ZrSnTi]、Nbの各組成が表1に示すような組成であることが確認された。
・XRD構造解析
上記で得られた積層吸発熱素子を、XRD(X‐ray diffraction)構造解析により分析したところ、主成分がペロブスカイト構造を有していることが確認された。
・電気熱量効果の測定(ΔT測定)
上記で得られた積層吸発熱素子の電気熱量効果特性を、φ=0.5mmの極細熱電対を素子に直接貼り付け80℃〜200℃にて、電場印加時の温度変化ΔTを測定し、ΔTの温度依存性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006784322
80℃〜200℃の温度範囲で10MV/mの電場印加時に絶縁破壊を生じる試料は、小型電子機器の冷却デバイスとして利用するのに不利であるためNGとした。さらに、ΔTのピークトップ温度が80℃〜200℃の温度範囲にない試料、およびピークトップ温度におけるΔTが2K未満の試料も、同理由によりNGとした。ΔTのピークトップ温度が80℃〜200℃の温度範囲にあり、ピークトップ温度におけるΔTが2K以上である試料をGとし、特にピークトップ温度におけるΔTが3K以上である試料をG※とした。z=0.02の試料(試料番号1〜27)に関して、Zr、SnおよびTiの組成三角相図を図3に示す。図3において、●はG※を、○はGを、×はNGを示す。また、試料番号22のΔTの電場依存性を図4に示し、電場印加時のΔTの温度依存性を図5に示す。
尚、上記の実施例では、チタン酸ジルコン酸スズ酸鉛系反強誘電体セラミックスに対してNbやTaを添加した例を示したが、添加元素はこれに限るものではない。母材セラミックにドナーとして働き、かつ、ペロブスカイト構造である母材セラミックのBサイト元素(Zr、Sn、Ti)の組成比を考慮した平均イオン半径より、添加元素の平均イオン半径が小さい場合であればよいと考えられる。これを満たす元素としてはMo、Wがあり、これらを添加した場合も、同様の効果を得ることができると考えられる。
本発明の複合酸化物は、高い電気熱量効果を発現することが吸発熱素子の材料として好適に用いることができる。本発明の吸発熱素子は、冷蔵庫または冷凍庫などにおける熱マネジメント素子として用いることができ、また、種々の電子機器、例えば、熱対策問題が顕著化している携帯電話などの小型電子機器の冷却デバイスとして利用することができる。
1a,1b…吸発熱素子
2,4…電極
6…誘電体部
12a,12b…内部電極
14…誘電体層
16a,16b…外部電極

Claims (8)

  1. 下記式(I)または(II):
    Pb1−z/2([ZrSn1−x1−yTi1−z (I)
    Pb1−w([ZrSn1−x1−yTi1−w (II)
    [式中:
    は、NbまたはTaであり、
    は、WまたはMoであり、
    xおよびyは、(x,y)の値によって描画される三角相図上で
    点B11(0.60,0.13)、
    点B12(0.70,0.13)および
    点B13(0.70,0.09)
    を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
    zは0.02以上0.06以下であり、
    wは0.02以上0.06以下である。]
    で表される複合酸化物。
  2. Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMを含む複合酸化物であって、
    は、NbまたはTaであり、
    は、WまたはMoであり、
    ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
    Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
    Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
    Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
    pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
    点D11(60,13)、
    点D12(70,13)および
    点D13(70,9)
    を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
    rは2以上6以下であり、
    sは2以上6以下である、
    複合酸化物。
  3. を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部は、(100−(r/2))モル部であり、
    を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部は、(100−s)モル部である、請求項1または2に記載の複合酸化物。
  4. 前記複合酸化物は、主成分がペロブスカイト構造を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の複合酸化物。
  5. 複数の電極層と、該電極層間に位置する複数の誘電体層とを有して成る積層体を含んで成る吸発熱素子であって、前記誘電体層が、請求項1〜4のいずれかに記載の複合酸化物から構成される、吸発熱素子。
  6. 請求項に記載の吸発熱素子を有してなる電子機器。
  7. Pb、Zr、Sn、TiおよびM(Mは、NbまたはTaである)またはM(Mは、WまたはMoである)を含む複合酸化物の製造方法であって、
    Pb、Zr、Sn、TiおよびMまたはMの酸化物または塩を、
    ZrおよびSnの合計100モル部におけるZrの含有モル部が、pモル部であり、
    Zr、SnおよびTiの合計100モル部におけるTiの含有モル部が、qモル部であり、
    Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、rモル部であり、
    Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部におけるMの含有モル部が、sモル部であり、
    pおよびqは、(p,q)の値によって描画される三角相図上で
    点D11(60,13)、
    点D12(70,13)および
    点D13(70,9)
    を直線で結んだ領域に囲まれる範囲にあり、
    rは、2以上6以下であり、
    sは、2以上6以下であり、
    を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−(r/2))モル部、または
    を含む場合、Zr、Sn、TiおよびMの合計100モル部に対するPbの含有モル部が、(100−s)モル部、
    となる割合で混合し、焼成後に前記割合となるような鉛雰囲気下で焼成することによる製造方法。
  8. 前記複合酸化物は、主成分がペロブスカイト構造を有する、請求項に記載の複合酸化物の製造方法。
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