JP6783974B1 - ピリミジン化合物又はその塩 - Google Patents

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Abstract

HER2活性を阻害し、脳移行性を示す新規なピリミジン化合物又はその塩、及びこれを含有する医薬組成物を提供する。
下記一般式(I)で表される化合物又はその塩。
【化8】
Figure 0006783974
(式中、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)

Description

本発明はHER2阻害活性を有する新規なピリミジン化合物又はその塩、及びこれを有効成分として含有する医薬組成物に関するものである。
HER2(ErbB2とも呼ばれる)は、ErbBファミリーに属する受容体型チロシンキナーゼである。
HER2は、がん原因遺伝子として考えられ、HER2の遺伝子増幅や過剰発現、変異等が様々ながんで報告されている。非臨床・臨床研究データから、これらHER2の遺伝子異常・過剰発現等を伴うがん細胞において、HER2及び下流シグナルの活性化が、がん細胞の生存・増殖等において重要な役割を担っていると考えられている(非特許文献1)。
従って、HER2のキナーゼ活性を制御できる阻害剤は、HER2の遺伝子増幅や過剰発現、変異を有するがん細胞において、HER2及び下流シグナル伝達を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮することが想定されるため、がん患者の治療、延命やQOL向上に有用であると考えられる。
肺癌では約25−40%、乳癌では約15−30%、その他複数のがんにおいても一定の割合で脳転移を生じるとの報告がある(非特許文献2、3)。実際に、HER2陽性の乳癌では、約20−30%が脳転移を生じるとの報告がある(非特許文献4)。
HER2阻害活性を有する化合物としては、Lapatinib、NeratinibなどがHER2陽性乳癌に対する治療剤として承認されている。しかしながら、いずれもp−gp、Bcrpの基質であることから、非臨床試験では脳移行性は限定的であるとの報告がある(非特許文献5)。実際に、LapatinibやNeratinibの臨床試験において、脳転移がんに対する十分な効果は得られていない(非特許文献6、7、8、9)。
脳転移巣も含めた病態のコントロールという観点から、HER2に対して阻害活性を持ち、かつ、脳移行性も有するHER2阻害剤が望まれている。
HER2変異の一つであるHER2ex20ins変異は、肺癌等で活性化変異として報告されており(非特許文献10)、複数の治験が実施されているが、未だ治療法は確立されていない状況である。従って、HER2ex20ins変異に対して阻害活性を持つHER2阻害剤が求められている。
国際公開第2017/146116号 国際公開第2017/038838号
Cancer Treatment Reviews,40,p.770−780(2014) Current Oncology,25,p.S103−S114(2018) Breast Cancer Reseach,18(1),8,p.1−9(2016) Journal of Clinical Oncology,28,p3271−3277(2010) Journal of Medicinal Chemistry,59,p10030−10066(2016) Journal of Medicinal Chemistry,26,p2999−3005(2008) Journal of Clinical Oncology,26,p1993−1999(2008) Journal of Clinical Oncology,28,p1301−1307(2010) Journal of Clinical Oncology,34,p945−952(2016) Proc Natl Acad Sci USA.,106,p474−479(2009)
本発明の課題は、HER2活性を阻害し、脳移行性を示す新規なピリミジン化合物又はその塩、及びこれを含有する医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意探索した結果、ピリミジンを基本骨格とする下記式(I)で表される新規な化合物を見出した。これらの化合物は、ピロロ[2,3−d]ピリミジンを基本骨格とし、その5位がカルボキサミドで置換され、そして6位がアルキンで置換され、さらに7位にはアクリルアミドで置換されたピロリジン基を有する構造を特徴とする新規な化合物である。
すなわち、本発明の一形態は、次の[1]〜[25]を提供する。
[1] 下記一般式(I)
Figure 0006783974
(式中、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
で表される化合物又はその塩。
[2]下記一般式(II)
Figure 0006783974
(式中、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
は、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
で表される、[1]に記載の化合物又はその塩。
[3] Rが、置換基としてC1−C4アルコキシ基を1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[4] Rが、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[5] Rが、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[6] Rが、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基である、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[7] Rが、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、又はエトキシメチル基である、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[8] Rが、メチル基である、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[9] Rが、水素原子である、[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[10] Rが、フェニル基である、[1]〜[9]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[11] 化合物が、以下の(1)〜(3)から選択される化合物である、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
[14] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする経口投与用の抗腫瘍剤。
[15] 医薬組成物を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[16] 抗腫瘍剤を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[17] 経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[18] 医薬として使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[19] 腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[20] 経口投与して腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[21] 腫瘍の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、[1]〜[12]のいずれかに記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、方法。
[22] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防及び/又は治療に使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[23] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防及び/又は治療に用いる医薬組成物を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[24] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防又は治療に用いる医薬として使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[25] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、方法。
本発明は以下の一以上の効果を有する。
(1)本発明によれば、脳移行性を有するHER2阻害剤として有用な上記一般式(I)で表される新規化合物、その塩、医薬組成物、抗腫瘍剤、又は経口投与用の抗腫瘍剤が提供される。
(2)本発明の化合物又はその塩は、優れたHER2選択的阻害活性を有し、且つがん細胞株に対する増殖抑制効果を示す。
(3)本発明の化合物又はその塩は、脳移行性が期待できる。
(4)本発明の化合物又はその塩は、重篤な副作用がなく、かつ薬効が期待できる。
(5)本発明の化合物又はその塩は、変異型HER2(例えばエクソン20のYVMA挿入変異を有するHER2)に対して優れた阻害活性を示す。
(6)本発明の化合物又はその塩は、腫瘍の予防及び/又は治療剤として有用である。
(7)本発明の化合物又はその塩は、癌患者を治療するために有用な上記一般式(I)で表される新規化合物、その塩、医薬組成物、抗腫瘍剤、又は経口投与用の抗腫瘍剤が提供される。
実施例2の化合物のLusiferase遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する抗腫瘍効果を示す。 実施例11の化合物のLusiferase遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する抗腫瘍効果を示す。 実施例12の化合物のLusiferase遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する抗腫瘍効果を示す。 実施例2の化合物のLusiferase遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する体重増減率を示す。 実施例11の化合物のLusiferase遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する体重増減率を示す。 実施例12の化合物のLusiferase遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する体重増減率を示す。
本発明の一形態は、下記一般式(I)
Figure 0006783974
で表される化合物又はその塩に関する。
本発明の好ましい一形態は、下記一般式(II)
Figure 0006783974
で表される化合物又はその塩に関する。
本発明の上記一般式(I)または一般式(II)で表される化合物は、ピロロ[2,3−d]ピリミジンを基本構造とする化合物であり、前記のいずれの先行技術文献等にも記載されていない新規な化合物である。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、具体的には塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、フッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
本明細書において、「アルキル基」とは、直鎖状若しくは分枝状の飽和炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、tert−ブチル基である。
本明細書において、「ハロアルキル基」とは、直鎖状若しくは分枝状の飽和炭化水素基のうち、1個〜全ての水素原子が前記のハロゲン原子で置換された基を示し、具体的にはモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、モノクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、1,1−ジクロロエチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状の飽和炭化水素基のうち、1個〜3個の水素原子が前記のハロゲン原子で置換された基であり、より好ましくはモノフルオロメチル基である。
本明細書において、「シクロアルキル基」とは、炭素数3〜7の単環式若しくは多環式の飽和炭化水素基を示し、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられ、好ましくはシクロプロピル基、シクロブチル基である。
本明細書において、「芳香族炭化水素基」とは、不飽和結合を有する炭素及び水素からなる環状の置換基であって、環状のπ電子系に4e+2個(eは1以上の整数)の電子が含まれる置換基を示す。
本明細書において、「C6−C14芳香族炭化水素基」とは、炭素数6〜14の単環式若しくは多環式の芳香族炭化水素基を示し、具体的にはフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
本明細書において、「アラルキル基」とは、前記芳香族炭化水素基で置換された前記アルキル基を示し、具体的にはベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等のC7−C16アラルキル基が挙げられ、好ましくはベンジル基である。
本明細書において、「不飽和炭化水素基」とは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合若しくは三重結合を含む炭素数2〜6の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基を示し、具体的にはビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチニル基、2−プロピニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基、アリル基、1−プロペニル基である。
本明細書において、「アルケニル基」とは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む炭素数2〜6の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基を示し、具体的にはビニル基、アリル基2−メチル−2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−、2−若しくは3−ブテニル基、2−、3−若しくは4−ペンテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、5−ヘキセニル基等のC2−C6アルケニル基が挙げられ、好ましくはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基である。
本明細書において「アルキニル基」としては、三重結合を少なくとも1個(例えば、1〜2個、好ましくは1個)有する、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和炭化水素基を示し、具体的にはエチニル基、1−若しくは2−プロピニル基、1−、2−若しくは3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基等のC2−C6アルキニル基が挙げられ、好ましくはエチニル基、2−プロピニル基である。
本明細書において、「C3−C10環状不飽和炭化水素基」とは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む炭素数3〜10の単環式若しくは多環式の炭化水素基を示し、具体的にはシクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノニル基等が挙げられ、好ましくは少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む炭素数3〜7の単環式若しくは多環式の炭化水素基であり、より好ましくはシクロプロペニル基である。
本明細書において、「アルコキシ基」とは、前記アルキル基を有するオキシ基を示し、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等のC1−C6アルコキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。
本明細書において「ハロアルコキシ基」としては、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは1〜13個、より好ましくは1〜3個)有する前記アルコキシ基を示し、具体的にはフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、フルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基、モノフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロ−イソプロポキシ基等のC1−C6ハロアルコキシ基が挙げられる。
本明細書において「シクロアルコキシ基」としては、前記シクロアルキル基を有するオキシ基を示し、具体的にはシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びシクロヘプチルオキシ基等のC3−C7シクロアルコキシ基が挙げられ、好ましくはシクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基である。
本明細書において「アラルキルオキシ基」としては、前記アラルキル基を有するオキシ基を示し、具体的にはベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フルオレニルメチルオキシ基等のC7−C20アラルキルオキシ基が挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基である。
本明細書において「アルキルチオ基」としては、前記アルキル基を有するチオキシ基を示し、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等のC1−C6アルキルチオ基が挙げられ、好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基である。
本明細書において「アルコキシアルキル基」としては、前記アルコキシ基を少なくとも1個有する前記アルキル基を示し、具体的にはメトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基等のC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基が挙げられる。
本明細書において、「アルキルアミノ基」とは、1個又は2個の水素原子の代わりに炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたアミノ基を示し、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙げられ、好ましくは1個又は2個の水素原子の代わりに炭素数1〜3の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたアミノ基で置換されたアミノ基である。
本明細書において、「モノアルキルアミノ基」とは、1個の水素原子の代わりに直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたアミノ基を示し、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基等が挙げられ、好ましくは1個の水素原子の代わりに炭素数1〜3の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたアミノ基である。
本明細書において、「ジアルキルアミノ基」とは、2個の水素原子の代わりに炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換したアミノ基を示し、具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙げられ、好ましくは2個の水素原子の代わりに炭素数1〜3の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたアミノ基であり、より好ましくはジメチルアミノ基である。
本明細書において、「アシル基」とは、水素原子の代わりに直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたホルミル基を示し、具体的にはアセチル基、n−プロパノイル基、イソプロパノイル基、n−ブチロイル基、tert−ブチロイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基の水素原子の代わりに炭素数1〜3の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換された基であり、より好ましくはアセチル基である。
本明細書において「アシルオキシ基」は、前記アシル基を有するオキシ基を示し、具体的にはアルキルカルボニルオキシ基又はアリールカルボニルオキシ基が挙げられ、好ましくはホルミル基の水素原子の代わりに炭素数1〜3の直鎖状若しくは分枝状の炭化水素基で置換されたオキシ基であり、好ましくはアルキルカルボニルオキシ基である。
本明細書において「アルコキシカルボニル基」としては、前記アルコキシ基を有するカルボニル基を示し、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基及びヘキシルオキシカルボニル基等の(C1−C6アルコキシ)カルボニル基が挙げられ、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基である。
本明細書において「アラルキルオキシカルボニル基」としては、前記アラルキルオキシを有するカルボニル基を示し、具体的にはベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、ナフチルメチルオキシカルボニル基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基等の(C6−C20アラルキル)オキシカルボニル基が挙げられ、好ましくはベンジルオキシカルボニル基である。
本明細書において「飽和複素環基」としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個(好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個)有する単環式若しくは多環式の飽和の複素環基を示し、具体的にはアジリジニル基、アゼチジニル基、イミダゾリジニル基、モルホリノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、チアゾリジニル基、オキサゾリジニル基等が挙げられ、好ましくはアゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基であり、より好ましくはアゼチジニル基、ピロリジニル基である。
本明細書において「不飽和複素環基」としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個(好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個)有する単環式若しくは多環式の完全不飽和又は部分不飽和の複素環基を示し、具体的にはイミダゾリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、トリアゾロピリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、キノキサリル基、メチレンジオキシフェニル基、エチレンジオキシフェニル基、ジヒドロベンゾフラニル基等が挙げられ、好ましくはイミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソキサゾリル基、フラニル基であり、より好ましくはイミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基であり、最も好ましくはイミダゾリル基である。
本明細書において「飽和複素環オキシ基」としては、前記飽和複素環基を有するオキシ基を示し、具体的にはモルホリニルオキシ基、1−ピロリジニルオキシ基、ピペリジノオキシ基、ピペラジニルオキシ基、4−メチル−1−ピペラジニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロチオフェニルオキシ基、チアゾリジニルオキシ基、オキサゾリジニルオキシ基等が挙げられ、好ましくは1−ピロリジニルオキシ基、ピペリジノオキシ基、ピペラジニルオキシ基である。
本発明の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物において、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基である。
で示される「置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基」における「C1−C4アルコキシ基」としては、好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基である。ここで置換基の個数は、好ましくは1から3個であり、最も好ましくは1個である。置換基が2個以上の場合、置換基は同一又は異なっていても良い。
で示される「置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基」における「C1−C4アルキル基」としては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、最も好ましくはメチル基、又はtert−ブチル基である。
で示される「置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基」としては、好ましくは置換基としてメトキシ基を1から3個有しても良いC1−C4アルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、又は1−メチル−1−メトキシエチル基であり、最も好ましくはメチル基、又はtert−ブチル基である。
で示される「C3−C4シクロアルキル基」としては、好ましくはシクロプロピル基、又はシクロブチル基であり、最も好ましくはシクロプロピル基である。
は、好ましくは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を1から3個有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基である。
は、より好ましくは、置換基としてメトキシ基を1から3個有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基である。
は、より好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、又はシクロプロピル基である。
は、最も好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基である。
本発明の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基である。
で示される「ハロゲン原子」としては、好ましくはフッ素原子又は塩素原子である。
で示される「置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基」の「C1−C4アルコキシ基」としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基である。
で示される「置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基」の「C1−C6アルキル基」としては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
で示される「置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基」としては、好ましくは置換基としてメトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基(具体的には、メチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等)であり、より好ましくはC1−C6アルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
で示される「C1−C6アルコキシ基」としては、好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基である。
は、好ましくは置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である。一実施形態において、Rは、置換基としてメトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である。さらなる実施形態において、Rは、置換基としてメトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基(好ましくは、メチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基)である。
は、より好ましくは置換基としてC1−C4アルコキシ基を1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である。一実施形態において、Rは、置換基としてメトキシ基、エトキシ基をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である。さらなる実施形態において、Rは、置換基としてメトキシ基又はエトキシ基をそれぞれ1から5個有しても良いメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基(好ましくは、メチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基)である。さらなる実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、又はエトキシメチル基である。
は、より一層好ましくはC1−C6アルキル基である。
は、さらに好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基である。
は、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
は、最も好ましくはメチル基である。
本発明の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物において、Rは、水素原子、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基である。
で示される「置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基」の「C1−C4アルキル基」としては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、より好ましくはメチル基、又はエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
で示される「置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基」としては、好ましくはメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基であり、より好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
は、好ましくは、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基である。
は、より好ましくは、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基である。
は、より好ましくは、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基である。
は、さらに好ましくは、メチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基である。
は、特に好ましくは、メチル基、又はエチル基である。
は、最も好ましくは、メチル基である。
本発明の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物において、Rは水素原子、又はC1−C4アルキル基である。
で示される「C1−C4アルキル基」としては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、より好ましくはメチル基、又はエチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基である。
は、より好ましくは水素原子、メチル基、又はエチル基である。
は、さらに好ましくは水素原子、又はメチル基である。
は、最も好ましくは水素原子である。
本発明の一般式(I)または一般式(II)で表される化合物において、Rは、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基である。
は、好ましくは、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である。
は、さらに好ましくはフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、又は3,5−ジフルオロフェニル基である。
は、最も好ましくはフェニル基である。
本発明の化合物は、一般式(I)または一般式(II)中、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基であり、
は、C1−C6アルキル基であり、
は、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基であり、
は、水素原子、又はC1−C4アルキル基であり、
は、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である、化合物又はその塩が好ましい。
より好ましくは、一般式(I)または一般式(II)中、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、シクロプロピル基、又はシクロブチル基であり、
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はtert−ブチル基であり、
は、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、
は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基であり、
は、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、又は3,5−ジクロロフェニル基である、化合物又はその塩である。
より好ましくは、一般式(II)中、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、又はシクロプロピル基であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基であり、
は、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、
は、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、又は3,5−ジフルオロフェニル基である、化合物又はその塩である。
さらに好ましくは、一般式(II)中、Rは、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基であり、
は、水素原子、又はメチル基であり、
は、フェニル基である、化合物又はその塩である。
特に好ましくは、一般式(II)中、Rは、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、水素原子であり、
は、フェニル基である、化合物又はその塩である。
具体的な本発明の化合物としては、以下の実施例にて製造される化合物が例示できるが、これらには限定されない。
本発明の一実施形態は、以下の(1)〜(18)から選択される化合物、又はその塩である。本発明の一実施形態は、下記の(1)〜(15)から選択される化合物、又はその塩である。
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(4)7−(R)−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(5)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−フェニルプロパン−2−イル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(6)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルプロピル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(7)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(8)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(3−クロロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(9)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(10)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−N−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(11)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−(2−フェニルプロパン−2−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(12)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(13)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3−メトキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(14)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(ブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(15)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−6−(3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(16)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(17)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(18)7−((3R,5R)−1−アクリロイル−5−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(19)7−((3R,5R)−1−アクリロイル−5−(エトキシメチル)ピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
好適な本発明の化合物としては以下の(1)〜(3)から選択される化合物、又はその塩が例示できる。
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
<式(I)で表される化合物の製造方法>
本発明に係わる化合物は、例えば下記の製造方法又は実施例に示す方法により製造することができる。ただし、本発明に係わる化合物の製造方法はこれらの例に限定されるものではない。
本発明の化合物(I)は、例えば下記製造方法を用いて製造することができる。
<製造方法>
Figure 0006783974
[式中、L、L、Lは、同一または異なって脱離基を示し、P、Pは同一または異なって保護基を示し、その他の記号は前記と同義である]
<第1工程>
本工程は、式1で表される化合物と、市販または、公知の方法によって製造できる式2で表される化合物との光延反応により、式3で表される化合物を得る方法である。光延反応は、通常、光延試薬およびホスフィン試薬の存在下で行われる。
式2で表される化合物(式2中Pはアミノ基の保護基を表す)の使用量は、式1で表される化合物(1モル)に対して、1〜10当量用いることができ、好ましくは1〜3当量である。
「アミノ基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、クミル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基等の低級アルカノイル基;例えばベンゾイル基;例えばフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えばp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基等の低級アルキルスルホニル基等;例えばtert−ブチルスルフィニル基等の低級アルキルスルフィニル基等;例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等、例えばフタルイミド基等のイミド基が挙げられ、特にトリフルオロアセチル基、アセチル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、又はクミル基が好ましい。
光延試薬としては、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート等が用いられる。光延試薬の使用量は、式1で表される化合物(1モル)に対して、通常約1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
ホスフィン試薬としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフリルホスフィン等が用いられる。ホスフィン試薬の使用量は、式1で表される化合物(1モル)に対して、通常約1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式3で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第2工程>
本工程は、式3で表される化合物を、アンモニア又はその塩と反応させることにより、式4で表される化合物を得る方法である。
アンモニア又はその塩としては、その使用量は、式3で表される化合物(1モル)に対して、1〜1000当量用いることができ、好ましくは1〜100当量である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜150℃である。
このようにして得られる式4で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第3工程>
本工程は、式4で表される化合物を一酸化炭素雰囲気下、例えば、遷移金属触媒、塩基及びアルコール存在下、式5で表される化合物を得る方法である。
本工程に於いて、一酸化炭素の圧力は、通常、1気圧から20気圧であり、好ましくは1気圧から10気圧である。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルアミノエタノール、イソブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、3−モルホリノプロパノール、ジエチルアミノプロパノール等が挙げられる。
アルコールの使用量は、式4で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜50モル程度である。
遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(例、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、パラジウム炭素等)等が用いられ、必要に応じて、リガンド(例、トリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等)を添加して用いても良い。遷移金属触媒の使用量は、触媒の種類により異なるが、化合物4(1モル)に対して、通常約0.0001〜1モル、好ましくは約0.01〜0.5モル程度、リガンドの使用量は、式4で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜4モル、好ましくは約0.01〜2モル程度である。
塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等)、アルカリ金属ジシラジド(例;リチウムジシラジド、ナトリウムジシラジド、カリウムジシラジド等)等が挙げられる。なかでも、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機アミン類等が好適である。塩基の使用量は、式4で表される化合物(1モル)対して、通常0.1〜50モル、好ましくは約1〜20モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルピロリドン等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜150℃である。
この反応後に、使用したアルコールに対応したエステル体、又は、エステル体と式5で表される化合物との混合物に対して加水分解反応を行うことにより式5で表される化合物に変換処理を行う事ができる。
塩基としては炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等用いることが好ましく、使用量は、式4で表される化合物(1モル)に対して、通常0.5〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドなどを単一又は混合して用いることができる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式5で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第4工程>
本工程は、式5で表される化合物のカルボキシル基に保護基を導入して、式6で表される化合物(式6中Pがカルボキシル基の保護基を表す)を得る方法である。保護の方法としては、通常公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis third edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons(1999年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
「カルボキシル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えば2,2,2−トリクロロエチル基等のハロ低級アルキル基;例えばアリル基等の低級アルケニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基、tert−ブチル基、アリル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、又はトリメチルシリルエトキシメチル基が好ましい。
本反応においては、例えばtert−ブチルエステル基、メチルエステル基、エチルエステル基等の保護基を導入することが好ましい。
本反応の保護基化剤は、例えば、2−tert−ブチル−1,3−ジイソプロピルイソウレア等が挙げられる。これらの保護基化剤の使用量は、式5で表される化合物(1モル)に対して、通常1〜50モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式6で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第5工程>
本工程は、式6で表される化合物をハロゲン化し、式7で表される化合物(式7中Lがハロゲン原子を表す)を得る方法である。ハロゲン化は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を用いる方法、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等を用いる方法により行うことができる。本反応においては、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等を用いる方法が好ましい。
N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等は式6で表される化合物(1モル)に対して1〜10当量用いることができ、好ましくは1〜3当量である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式7で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第6工程>
本工程は、式7で表される化合物のアミノ基の保護基(式7中のP)を脱保護して式8で表される化合物を得る方法である。脱保護の方法としては、通常公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis third edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons(1999年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
保護基としてはtert−ブチルオキシカルボニル等が例示される。例えば、保護基としてtert−ブチルオキシカルボニル基を用いた場合、酸性条件下での脱保護が好ましく、酸としては塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、トシル酸等が挙げられる。
酸の使用量は、式7で表される化合物(1モル)に対して、好ましくは約1〜100当量である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミドなど)、あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0〜100℃であり、好ましくは0〜50℃である。
このようにして得られる式8で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第7工程>
本工程は、式8で表される化合物のアミノ基とアクリル酸ハライド、又はアクリル酸無水物とのアミド化反応により、式9で表される化合物を得る方法である。
アクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物を用いる場合、式8で表される化合物(1モル)に対して、アクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物を通常0.5〜10モル、好ましくは約1〜5モル程度である。なお、当該アクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物は、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
また、必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、イロプロピルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等)等が挙げられる。塩基の使用量は、式8で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式9で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第8工程>
本工程は、式9で表される化合物を、市販品または、公知の方法によって製造できるアセチレン誘導体と薗頭反応させることにより、式10で表される化合物を得る方法である。
アセチレン誘導体としては、その使用量は、式9で表される化合物(1モル)に対して、1〜50当量用いることができ、好ましくは1〜10当量である。
遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(例、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム等)、ニッケル触媒(例、塩化ニッケル等)等が用いられ、必要に応じて、リガンド(例、トリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等)を添加し、銅触媒(例、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅)等を共触媒として用いても良い。遷移金属触媒の使用量は、触媒の種類により異なるが、式9で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜1モル、好ましくは約0.01〜0.5モル程度、リガンドの使用量は、式9で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜4モル、好ましくは約0.01〜2モル程度、銅触媒の使用量は、式9で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜4モル、好ましくは約0.010〜2モル程度である。
塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド、(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等)、アルカリ金属ジシラジド(例、リチウムジシラジド、ナトリウムジシラジド、カリウムジシラジド等)等が挙げられる。なかでも、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機アミン類等が好適である。塩基の使用量は、式9で表される化合物(1モル)対して、通常0.1〜10モル、好ましくは約1〜5モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜150℃である。
このようにして得られる式10で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第9工程>
本工程は、式10で表される化合物のカルボキシル基の保護基(式10中のP)を脱保護して式11で表される化合物を得る方法である。脱保護の方法としては、通常公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis, T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons(1981年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
保護基としてはtert−ブチルエステル等が例示される。例えば、保護基としてtert−ブチルエステル基を用いた場合、酸性条件下での脱保護が好ましく、酸としては塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、トシル酸等が挙げられる。
酸の使用量は、式10で表される化合物(1モル)に対して、好ましくは約1〜100当量である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0〜100℃であり、好ましくは0〜50℃である。
このようにして得られる式11で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
<第10工程>
本工程は、式11で表される化合物のカルボキシル基と、市販品または、公知の方法によって製造できるアミンとのアミド化反応により、式(I)で表される化合物を得る方法である。
アミド化の方法は、従来公知の方法によって行うことが可能であり、縮合剤の存在下で反応させる方法、又カルボン酸部分を従来公知の方法により活性化させ反応性誘導体とし、次いで該誘導体とアミンとをアミド化する方法、が例示される(いずれの方法も、「ペプチド合成の基礎と実験」(泉屋信夫他、丸善株式会社、1983年)を参照のこと)。
縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムホスフェート(PyAOP)、ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BroP)、クロロトリス(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyCroP)、3−(ジエトキシホスホリロキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(DEPBT)、O−(アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、4−(5,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン塩酸塩(DMTMM)などが挙げられ、そのときの添加剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等が挙げられる。これらの使用量は、式11で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
また、必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等)等が挙げられる。塩基の使用量は、式11で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる化合物(I)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
上記製造方法では、「式5で表される化合物のカルボキシル基に保護基を導入」(第4工程)から「式11で表される化合物のカルボキシル基と、市販品または、公知の方法によって製造できるアミンとのアミド化反応」(第10工程)を順番に行っているが、この順番を入れ替えることができる。また、「式5で表される化合物のカルボキシル基に保護基を導入」(第4工程)および「式10で表される化合物のカルボキシル基の保護基の脱保護」(第9工程)を省略することができる。
具体的には、「式11で表される化合物のカルボキシル基と、市販品または、公知の方法によって製造できるアミンとのアミド化反応」(第10工程)、「式6で表される化合物をハロゲン化」(第5工程)、「式7で表される化合物のアミノ基の保護基の脱保護」(第6工程)、「式8で表される化合物のアミノ基とアクリル酸ハライド、又はアクリル酸無水物とのアミド化反応」(第7工程)、「式9で表される化合物のL3がハロゲン等の脱離基を有する場合、市販品または、公知の方法によって製造できるアセチレン誘導体との薗頭反応」(第8工程)の順序で各工程を経て、式(I)で表される化合物へと導くことができる。各工程の条件は前記の条件と同じである。
本発明の化合物が、光学異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体等の異性体を有する場合には、特に明記しない限り、いずれの異性体も混合物も本発明の化合物に包含される。例えば、本発明の化合物に光学異性体が存在する場合には、特に明記しない限り、ラセミ体及びラセミ体から分割された光学異性体も本発明の化合物に包含される。
本発明の化合物の塩とは、薬学的に許容される塩を意味し、塩基付加塩又は酸付加塩を挙げることができる。
本発明の化合物又はその塩には、そのプロドラッグも含まれる。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により本発明の化合物又はその塩に変換する化合物、即ち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明の化合物又はその塩に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして本発明の化合物又はその塩に変化する化合物をいう。また、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で本発明の化合物又はその塩に変化するものであってもよい。
本発明の化合物又はその塩は、アモルファスであっても、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても多形混合物であっても本発明の化合物又はその塩に包含される。結晶は、公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。本発明の化合物又はその塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)であっても、無溶媒和物であってもよく、いずれも本発明の化合物又はその塩に包含される。同位元素(例えば、H、14C、35S、125Iなど)などで標識された化合物も、本発明の化合物又はその塩に包含される。
本発明の化合物又はその塩は、優れたHER2阻害活性を有する。また、HER2に対する優れた選択性を有している。したがって、本発明の化合物又はその塩は、HER2過剰発現、HER2遺伝子増幅、又はHER2変異等を有する悪性腫瘍に対し、抗腫瘍剤として有用であり、またマウスの顕著な体重減少が見られなかったことから副作用が少ないという利点を有する。
本明細書において「HER2」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物のHER2を含み、好ましくはヒトHER2である。また、「HER2」の語にはアイソフォームが含まれる。
本発明の化合物又はその塩は、その優れたHER2阻害活性により、HER2が関与する疾患の予防または治療のための医薬として有用である。
「HER2が関与する疾患」とは、HER2の機能を欠失、抑制及び/又は阻害することによって、発症率の低下、症状の寛解、緩和、及び/又は完治する疾患が挙げられる。このような疾患として、例えば、悪性腫瘍等が挙げられるがこれに限定はされない。好ましくは、HER2過剰発現、HER2遺伝子増幅、又はHER2変異を有する悪性腫瘍である。
本発明の一実施形態は、本発明の化合物又はその塩を含むHER2に対する阻害剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、HER2に対する阻害方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。また、本発明の一実施形態は、HER2に対する阻害剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。また、本発明の一実施形態は、HER2に対する阻害剤として使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。また、本発明の一実施形態は、HER2を阻害するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。本発明の別の実施形態において、本発明は、HER2が関与する疾患を予防または治療するための、本発明の化合物又はその塩の使用を提供する。
本発明の別の実施形態は、本発明の化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、腫瘍の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。本発明の一実施形態は、抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。
また、本発明の一実施形態は、腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。
本発明の一形態の化合物又はその塩は、野生型HER2、及びエクソン20挿入変異などのHER2ドメイン内に1つ以上の挿入変異、点変異、または欠失変異などを有する変異型HER2を選択的に阻害する。本発明の一実施形態は、野生型HER2、及びエクソン20挿入変異の一つであるYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2に対する阻害活性を有する化合物またはその塩、またはこれを含む医薬もしくは医薬組成物を提供する。本発明の一実施形態は、本発明の化合物又はその塩を含む、野生型HER2、及びYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2に対する阻害剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、野生型HER2、及びYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2に対する阻害方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。また、本発明の一実施形態は、野生型HER2、及びYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2に対する阻害剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。また、本発明の一実施形態は、野生型HER2、及びYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2に対する阻害剤として使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。また、本発明の一実施形態は、野生型HER2、及びYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2を阻害するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。本発明の別の実施形態において、本発明は、野生型HER2、及びYVMA挿入変異を有するHER2などを含む変異型HER2が関与する疾患を予防または治療するための、本発明の化合物又はその塩の使用を提供する。
ヒトHER2遺伝子は、例えば配列番号1、配列番号3、または配列番号5に示されるものであり、野生型HER2タンパク質は、例えば配列番号2、配列番号4、または配列番号6に示されるアミノ酸配列からなる。ヒトHER2遺伝子の塩基配列情報および野生型HER2タンパク質のアミノ酸配列情報は、例えばアクセッション番号NM_004448、またはNM_001289936、またはNM_001005862などにより得ることができる。
いくつかの実施形態において、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、G309A、S310F、R678Q、L755S、L755_T759del、D769H、A775_G776insYVMA、V777L、V842I、R896Cのうちの1つ以上の変異を含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。他の実施形態では、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、A775_G776insYVMAを含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。
いくつかの実施形態において、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を基準として、G294A、S295F、R663Q、L740S、L740_T744del、D754H、A760_G761insYVMA、V762L、V827I、R881Cのうちの1つ以上の変異を含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。他の実施形態では、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を基準として、A760_G761insYVMAを含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。
いくつかの実施形態において、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を基準として、G279A、S280F、R648Q、L725S、L725_T729del、D739H、A745_G746insYVMA、V747L、V812I、R866Cのうちの1つ以上の変異を含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。他の実施形態では、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を基準として、A745_G746insYVMAを含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。
また、いくつかの実施形態において、あるHER2アイソフォームにおける変異において、アミノ酸の欠失や挿入によって、配列番号2で示されるアミノ酸の位置とは異なる場合であっても配列番号2で示されるアミノ酸の位置に相当する位置の変異と同様であると解される。そのため、例えば、配列番号2で表されるHER2における309番目のグリシンは、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるHER2においては、294番目のグリシンに相当する。そのため、例えば、「G309A」は、配列番号2で表されるHER2の309番目のグリシンがアラニンに変異していることを意味するが、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるHER2においては、294番目のアミノ酸に相当する位置であるため、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるHER2における「G294A」は配列番号2で表されるHER2における「G309A」に相当する。なお、あるHER2アイソフォームのあるアミノ酸が、配列番号2で示されるアミノ酸のどの位置に相当するアミノ酸であるかどうかは、例えば、BLASTのMultiple Alignmentにより確認することができる。
配列リスト
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本明細書において、本発明の化合物の「有効量」という用語は、対象の生物学的または医学的応答、例えば、酵素やタンパク質活性の減少もしくは阻害を引き起こし、または症状を改善し、状態を緩和し、疾患の進行を遅くもしくは遅延させ、または疾患を予防する、などの、本発明の化合物の量(治療有効量)を指す。
本明細書において、「対象」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、限定されないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット、ハリネズミ、カンガルー、モグラ、イノシシ、クマ、トラ、ライオンなどが挙げられる。非哺乳動物の例としては、限定されないが、鳥類、魚類、は虫類などが挙げられる。一実施形態において、対象はヒトであり、本明細書で開示される症状、状態、または疾患のための処置を必要とすると診断されたヒトであってもよい。
本発明の化合物又はその塩は医薬として用いるにあたっては、必要に応じて薬学的に許容される担体を配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能であり、該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等のいずれでもよく、好ましくは、経口剤が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
本発明の一実施形態は、本発明の化合物又はその塩を有効成分とする経口投与用の抗腫瘍剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、腫瘍の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を経口投与することを含む方法を提供する。また、本発明の一実施形態は、経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。また、本発明の一実施形態は、経口投与して腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。
本発明の一形態は、本発明の化合物又はその塩を含む医薬組成物が提供される。本発明の一実施形態の医薬組成物は、本発明の化合物又はその塩、および薬学的に許容される担体を含む。また、本発明の一実施形態は、医薬組成物を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。本発明の別の一実施形態は、医薬として使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、甘味剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
経口用固形製剤を調製する場合は、本発明の化合物に賦形剤、必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。
注射剤を調製する場合は、本発明の化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。
上記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明の化合物の量は、これを適用すべき対象の症状、その剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では0.05〜1000mg、注射剤では0.01〜500mg、坐剤では1〜1000mgとするのが好ましい。
また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、対象の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、本発明の化合物として通常成人(体重50kg)1日あたり0.05〜5000mg、好ましくは0.1〜1000mgとすればよい。
本発明の対象となる腫瘍は特に制限はされないが、例えば、脳腫瘍、頭頚部癌、消化器癌(食道癌、胃癌、十二指腸癌、肝臓癌、胆道癌(胆嚢・胆管癌等)、膵臓癌、結腸直腸癌(結腸癌、直腸癌等)等)、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌、中皮腫等)、乳癌、生殖器癌(卵巣癌、子宮癌(子宮頚癌、子宮体癌等)等)、泌尿器癌(腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍等)、造血器腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)、骨・軟部腫瘍、皮膚癌等が挙げられ、好ましくは肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、又は子宮癌であり、より好ましくは肺癌、乳癌、胃癌、膀胱癌、又は胆道癌である。
一実施態様において、腫瘍は脳腫瘍である。本発明の化合物は、血液脳関門の通過を必要とする脳の症状の治療に有用であり得る。一実施態様の化合物は、脳への送達のための血液脳関門の好ましい通過性、すなわち優れた脳移行性を有する。化合物の脳への移行性の指標としては、脳内の化合物濃度、Kp値(脳対血漿中薬物濃度比)がある。
本発明の化合物で治療される脳腫瘍は、転移性脳腫瘍及び原発性脳腫瘍を含む。
脳腫瘍は特に制限はないが、例えば、転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌等(好ましくは肺癌、乳癌又は胃癌)の脳転移)、毛様細胞性星状細胞腫、びまん性星細胞腫、乏突起膠腫・乏突起星細胞腫、退形成性星細胞腫・退形成性乏突起膠腫、退形成性乏突起星細胞腫、膠芽腫、上衣腫、退形成性上衣腫、神経節膠腫、中枢性神経細胞腫、髄芽腫、胚腫(germinoma)、中枢神経系悪性リンパ腫、髄膜腫、神経鞘腫、GH産生下垂体腺腫、PRL産生下垂体腺腫、ACTH産生下垂体腺腫、非機能性下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、血管芽腫、類上皮腫等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
本明細書において、「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。また以下の化合物の実施例において、%は特記しない限り重量パーセントを示す。
実施例で用いた各種試薬は、特に記載のない限り市販品を使用した。シリカゲルクロマトグラフィーには、バイオタージ社製バイオタージSNAPカートリッジUltraまたは塩基性シリカゲルクロマトグラフィーにはバイオタージ社製バイオタージSNAPカートリッジIsolute Flash−NH2を用いた。
分取用薄層クロマトグラフィーにはメルク社製KieselgelTM60F254,Art.5744または和光社製NH2シリカゲル60F254プレートワコーを用いた。
H−NMRはJEOL社製AL400(400MHz)、Varian社製Mercury(400MHz)またはVarian社製Inova(400MHz)を使用し、テトラメチルシランを標準物質として測定した。またマススペクトルは、Waters社製MicromassZQまたはSQDを使用し、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)もしくは大気圧化学イオン化法(APCI)で測定した。マイクロウェーブ反応は、バイオタージ社製Initiatorを用いて行った。
略号の意味を以下に示す。
s:シングレット
d:ダブレット
t:トリプレット
q:カルテット
dd:ダブル ダブレット
dt:ダブル トリプレット
td:トリプル ダブレット
tt:トリプル トリプレット
ddd:ダブル ダブル ダブレット
ddt:ダブル ダブル トリプレット
dtd:ダブル トリプル ダブレット
tdd:トリプル ダブル ダブレット
m:マルチプレット
br:ブロード
ATP:アデノシン三リン酸
DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド
CDCl:重クロロホルム
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
NMP:N−メチルピロリドン
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HPMC:ヒプロメロース
PdCl(PPh:ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
参考例1
参考例1(1) tert−ブチル (2S,4R)−4−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート
tert−ブチル (2S,4S)−4−ヒドロキシ−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート(19.0g)と4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(13.1g)をTHF(190mL)に溶解して、0℃に冷却後、トリフェニルホスフィン(37.2g)とジイソプロピルアソジカルボキシラート(28.1mL)を加え、室温に昇温して1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、対応するカップリング体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。
耐圧管中に、得られたカップリング体とTHF(114mL)とアンモニア水(114mL)を加え、100℃にて14時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、水(285mL)に注ぎ込み、室温にて5時間撹拌した。析出した固体をろ取し、水で洗浄し、乾燥することで目的物(34.5g)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.27(s,1H) 7.15(s,1H) 5.55−5.73(m,2H) 5.12−5.25(m,1H) 3.86−4.18(m,2H) 3.43−3.57(m,1H) 2.59−2.69(m,1H) 1.92−2.03(m,1H) 1.48(s,9H) 1.30−1.40(m,3H)
ESI−MS m/z 444(MH+)
参考例1(2) 4−アミノ−7−((3R,5S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−メチルピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボン酸
耐圧管に、参考例1(1)の化合物(28.0g)、10%パラジウム炭素触媒(720mg)、NMP(84mL)、メタノール(26mL)、トリエチルアミン(17.6mL)を加えた後、一酸化炭素置換して、100℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、2M水酸化ナトリウム水溶液(79mL)を加え、80℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトろ過し、メタノールで洗浄し、ろ液のメタノールを減圧濃縮した。さらに水を加えた後、水層をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。水層に1M硫酸水素カリウム水溶液を加えpHを約3に調整し、析出した固体をろ取し、水で洗浄し、乾燥することで目的物(23.4g)を得た。
HNMR(400MHz, DMSO−d6)δ: 8.14(s,1H) 8.08(s,1H) 5.16−4.93(m,1H) 4.07−3.79(m,2H) 3.61−3.45(m,1H) 2.53(m,1H) 2.33−2.02(m,1H) 1.42(s,9H) 1.29(d,J=6.1Hz,3H) ESI−MS m/z 362(MH+)
実施例
実施例1(1)tert−ブチル−4−アミノ−6−ブロモ−7−((3R,5S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−メチルピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキシラート
窒素雰囲気下、参考例1(2)の化合物(15.0g)をクロロホルム(150mL)に溶解し、2−tert−ブチル−1,3−ジイソプロピルイソウレア(25mL)を加え60℃に昇温して2時間撹拌した。さらに2−tert−ブチル−1,3−ジイソプロピルイソウレア(25mL)を加え2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテルを加え、析出した固体をろ取し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。さらにろ液を減圧濃縮し、得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテルを加え、析出した固体をろ取し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、tert−ブチルエステル体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次のハロゲン化反応に用いた。
得られたtert−ブチルエステル体をクロロホルム(140mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(11.8g)を加え、室温にて24時間撹拌した。反応混合物に順次クロロホルム、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(13.8g)を得た。
HNMR(CDCl3)δ: 8.02(s,1H) 5.74−5.13(m,2H) 4.07−3.64(m,2H) 2.43−2.29(m,1H) 2.07−1.97(m,1H) 1.63(s,9H) 1.48(m,12H)
ESI−MS m/z 496,498(MH+)
実施例1(2)tert−ブチル−7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−ブロモ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキシラート
実施例1(1)の化合物(11.4g)をTHF(57mL)に溶解し、0℃に冷却した後、4M塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(114mL)を加え、0℃にて10時間攪拌した。反応混合物に5M水酸化ナトリウム水溶液(92mL)、アセトニトリル(57mL)、ジイソプロピルエチルアミン(20mL)、塩化アクリル(2.0mL)を加え30分間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(7.72g)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.26−8.16(m,1H) 6.62−6.30(m,2H) 5.81−5.64(m,1H) 5.33−5.14(m,1H) 4.81−3.75(m,3H) 3.07−2.86(m,1H) 2.67−2.33(m,1H) 1.69−1.61(m,9H) 1.60−1.51(m,3H)
ESI−MS m/z 450,452(MH+)
実施例1(3)tert−ブチル−7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキシラート
実施例1(2)の化合物(7.72g)、アセトニトリル(154mL)、トリエチルアミン(7.2mL)、PdCl(PPh(1.2g)、ヨウ化銅(I)(330mg)に1.0MプロピンのDMF溶液(85.7mL)を加え、窒素置換した後、70℃にて4時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(4.06g)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.29−8.17(m,1H) 6.63−6.30(m,2H) 5.81−5.63(m,1H) 5.42−5.15(m,1H) 4.66−3.81(m,3H) 3.01−2.82(m,1H) 2.65−2.32(m,1H) 2.92−2.13(m,3H) 1.65−1.59(m,9H) 1.57−1.49(m,3H)
ESI−MS m/z 410(MH+)
実施例1(4)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボン酸
実施例1(3)の化合物(1.52g)をクロロホルム(5mL)に溶解した後、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、室温にて2時間撹拌し、反応混合物を減圧濃縮した。残渣にクロロホルムを加え、再度減圧濃縮した。残渣を減圧乾燥することによって目的物(1.25g)を得た。
ESI−MS m/z 354(MH+)
実施例1(5)7−(R)−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(4)の化合物(100mg)のDMF(1.0mL)溶液に、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミン(89.0mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.25mL)、HATU(215mg)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、表題化合物(60mg)を得た。
HNMR(DMSO−d6)δ: 8.51(d,J=7.3Hz,1H) 8.16(s,1H) 7.25−7.07(m,3H) 6.74−6.47(m,1H) 6.25−6.08(m,1H) 5.78−5.58(m,1H) 5.41−5.21(m,1H) 5.21−5.06(m,1H) 4.45−4.29(m,1H) 4.24−3.91(m,2H) 2.78−2.58(m,1H) 2.52−2.41(m,1H) 2.23(s,3H) 1.48(d,J=7.1Hz,3H) 1.39(d,J=6.1Hz,3H)
ESI−MS m/z 493(MH+)
実施例2 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−1−フェニルエタン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(DMSO−d6)δ: 8.35(d,J=7.8Hz,1H) 8.17−8.13(m,1H) 7.48−7.23(m,5H) 6.76−6.46(m,1H) 6.28−6.06(m,1H) 5.81−5.58(m,1H) 5.43−5.02(m,2H) 4.42−4.28(m,1H) 4.21−3.96(m,2H) 2.74−2.59(m,1H) 2.54−2.41(m,1H) 2.17(s,3H) 1.50(d,J=6.8Hz,3H) 1.42−1.33(m,3H)
ESI−MS m/z 457(MH+)
実施例3 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−フェニルプロパン−2−イル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3.5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、2−フェニルプロパン−2−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(DMSO−d6)δ: 8.26(s,1H) 8.16−8.08(m,1H) 7.44(dd,J=8.8,1.2Hz,2H) 7.38−7.28(m,2H) 7.21(tt,J=7.3,1.27Hz,1H) 6.76−6.50(m,1H) 6.25−6.10(m,1H) 5.79−5.62(m,1H) 5.45−5.19(m,1H) 4.45−4.30(m,1H) 4.26−4.01(m,2H) 2.79−2.42(m,2H) 2.29−2.22(m,3H) 1.71(s,6H) 1.43−1.36(m,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例4 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルプロピル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−1−フェニルプロパン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(DMSO−d6)δ: 8.35(brd,J=8.0Hz,1H) 8.17−8.11(m,1H) 7.46−7.22(m,5H) 6.74−6.50(m,1H) 6.26−6.08(m,1H) 5.79−5.60(m,1H) 5.40−5.21(m,1H) 4.99−4.87(m,1H) 4.43−4.30(m,1H) 4.23−3.94(m,2H) 2.76−2.42(m,2H) 2.21(s,3H) 1.95−1.74(m,2H) 1.44−1.34(m,3H) 0.91(t,J=7.3Hz,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例5 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl3)δ: 8.28(s,1H) 8.11(d,J=4.4Hz,1H) 8.02(s,1H) 7.47−7.42(m,1H) 7.29−7.23(m,1H) 7.15(t,J=7.7Hz,1H) 7.02(ddd,J=12.5,8.1,1.1Hz,1H) 6.58−6.35(m,2H) 5.79−5.70(m,1H) 5.30−5.19(m,1H) 4.53(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.38−4.25(m,1.6H) 3.92(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.91−2.78(m,1H) 2.70−2.60(m,0.3H) 2.54−2.43(m,0.7H) 2.28(d,J=7.0Hz,3H) 1.88(dt,J=10.0,5.0Hz,6H) 1.53(t,J=6.2Hz,3H)
ESI−MS m/z 489(MH+)
実施例6 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(3−クロロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−(+)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミン塩酸塩を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl3)δ: 8.22(d,J=5.9Hz,1H) 7.75(d,J=7.0Hz,1H) 7.38(s,1H) 7.35−7.27(m,3H) 6.58−6.33(m,2H) 5.78−5.66(m,1H) 5.29−5.19(m,2H) 4.56(t,J=10.3Hz,0.7H) 4.39−4.20(m,1.6H) 3.89(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.94−2.82(m,1H) 2.66−2.58(m,0.3H) 2.46(dt,J=14.5,6.1Hz,0.7H) 2.18(d,J=11.0Hz,3H) 1.60(d,J=7.0Hz,3H) 1.55−1.51(m,3H)
ESI−MS m/z 491,493(MH+)
実施例7 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−(+)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.20(d,J=5.9Hz,1H) 7.98(d,J=7.7Hz,1H) 7.37−7.31(m,1H) 6.90−6.81(m,2H) 6.58−6.35(m,2H) 5.78−5.65(m,1H) 5.44−5.37(m,1H) 5.30−5.19(m,1H) 4.56(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.38−4.23(m,1.6H) 3.88(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.94−2.83(m,1H) 2.66−2.57(m,0.3H) 2.51−2.42(m,0.7H) 2.27(d,J=9.2Hz,3H) 1.61(d,J=7.0Hz,3H) 1.56−1.51(m,3H)
ESI−MS m/z 493(MH+)
実施例8 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−N−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエタン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.40(d,J=8.8Hz,1H) 8.16(s,1H) 7.44(s,5H) 6.58−6.38(m,2H) 5.92−5.84(m,1H) 5.81−5.69(m,1H) 5.29−5.19(m,1H) 4.55(t,J=10.3Hz,0.7H) 4.41−4.24(m,1.6H) 3.91(t,J=8.6Hz,0.7H) 2.92−2.80(m,1H) 2.70−2.61(m,0.3H) 2.54−2.46(m,0.7H) 2.35(d,J=8.4Hz,3H) 1.54(t,J=7.3Hz,3H)
ESI−MS m/z 511(MH+)
実施例9 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−(2−フェニルプロパン−2−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(3)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用い、実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、2−フェニルプロパン−2−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.15(s,1H) 8.00(s,1H) 7.44(d,J=7.7Hz,2H) 7.37(t,J=7.7Hz,2H) 7.32−7.27(m, 1H) 6.66−6.30(m,2H) 5.81−5.69(m,1H) 5.38−5.24(m,1H) 4.48(t,J=9.9Hz,0.7H) 4.42−4.29(m,1.6H) 4.22(t,J=10.4Hz,0.7H) 2.77−2.68(m,1H) 2.67−2.60(m,0.3H) 2.59−2.52(m,0.7H) 1.83(s,6H) 1.60−1.52(m,4H) 1.08−1.01(m,2H) 0.92−0.88(m,2H)
ESI−MS m/z 497(MH+)
実施例10 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(3)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用い、実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−(+)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.17(d,J=4.0Hz,1H) 8.04(d,J=8.1Hz,1H) 7.15−7.05(m,3H) 6.58−6.36(m,2H)5.80−5.68(m,1H) 5.49−5.42(m,1H) 5.34−5.24(m,1H) 4.52(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.37−4.23(m,1.6H) 3.92(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.86−2.76(m,1H) 2.69−2.63(m,0.3H) 2.52−2.46(m,0.7H) 1.73−1.63(m,4H) 1.55(t,J=5.3Hz,3H) 1.14−1.07(m,2H) 1.01−0.92(m,2H)
ESI−MS m/z 519(MH+)
実施例11
実施例11(1) tert−ブチル(2S,4R)−4−(4−アミノ−6−ブロモ−5−(((R)−1−フェニルエチル)カルバモイル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート
参考例1(2)の化合物(1.00g)、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(0.503g)、ジイソプロピルエチルアミン(1.79g)、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)を加え、続いてHATU(1.58g)を加えて室温にて終夜攪拌した。反応混合物に酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、アミド体(1.53g)を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。
アミド体(1.53g)にクロロホルム(15mL)を加え、0℃に冷却した後、N−ブロモスクシンイミド(0.88g)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(1.39g)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.21(s,1H) 7.42−7.28(m,5H) 6.97(d,J=7.3Hz,1H) 5.36−5.29(m,1H) 5.20−5.07(m,1H) 4.30(t,J=10.3Hz,1H) 4.04−3.72(m,2H) 3.00−2.86(m,1H) 2.38(dt,J=14.3,6.0Hz,1H) 1.63(d,J=7.0Hz,3H) 1.53−1.43(m,12H)
ESI−MS m/z 543,545(MH+)
実施例11(2) 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−ブロモ−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例11(1)の化合物(600mg)にクロロホルム(3mL)を加え、0℃に冷却した後、トリフルオロ酢酸(4.44g)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にアセトニトリル(5mL)を加えて再度減圧濃縮し、アミン体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。
得られたアミン体にアセトニトリル(3mL)を加え、0℃に冷却した後、塩化アクリル(99.9mg)、ジイソプロピルエチルアミン(713mg)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール)にて精製し、目的物(281mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.20(d,J=7.3Hz,1H) 7.42−7.36(m,4H) 7.32−7.28(m,1H) 7.00−6.94(m,1H) 6.57−6.33(m,2H) 5.76−5.66(m,1H) 5.36−5.29(m, 1H) 5.14−5.08(m,1H) 4,71(t,J=9.9Hz,0.7H) 4.42−4.23(m,1.6H) 3.83(t,J=8.6Hz,0.7H) 3.03−2.92(m,1H) 2.60−2.57(m,0.3H) 2.44−2.40(m, 0.7H) 1.64(d,J=6.6Hz,3H) 1.56(dd,J=11.7,6.2Hz,3H)
ESI−MS m/z 497,499(MH+)
実施例11(3) 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例11(2)の化合物(65mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム(9.2mg)、ヨウ化銅(I)(5.0mg)、シクロプロピルアセチレン(13.0mg)、トリエチルアミン(39.7mg)、N,N−ジメチルホルムアミド(1.3mL)を加え、系内を窒素置換した後、70℃にて2.5時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)にて精製し、目的物(50mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.22(d,J=5.1Hz,1H) 7.82(d,J=7.3Hz,1H) 7.43−7.35(m,4H) 7.30(t,J=6.8Hz,1H) 6.58−6.34(m,2H) 5.77−5.66(m,1H) 5.35−5.20(m,2H) 4.54(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.35−4.25(m,1.6H) 3.88(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.90−2.78(m,1H) 2.65−2.56(m,0.3H) 2.49−2.40(m,0.7H) 1.63(d,J=7.0Hz,3H) 1.56−1.45(m,4H) 1.03−0.91(m,2H) 0.84−0.69(m,2H)
ESI−MS m/z 483(MH+)
実施例12 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、3,3−ジメチル−1−ブチンを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.22(d,J=5.9Hz,1H) 7.75(d,J=7.7Hz,1H) 7.38(dt,J=15.5,7.1Hz,4H) 7.31−7.25(m,1H) 6.57−6.34(m,2H) 5.77−5.65(m,1H) 5.44−5.35(m,1H) 5.33−5.15(m,1H) 4.63(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.40−4.20(m,1.6H) 3.89(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.90−2.76(m,1H) 2.65−2.55(m,0.3H) 2.49−2.40(m,0.7H) 1.85(s,1H) 1.64(d,J=7.0Hz,3H) 1.55(d,J=5.9Hz,3H) 1.26(s,9H)
ESI−MS m/z 499(MH+)
実施例13 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3−メトキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチンを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.17(s,1H) 7.61(d,J=7.7Hz,1H) 7.43−7.35(m,4H) 7.30(d,J=7.0Hz,1H) 6.57−6.33(m,2H) 5.81−5.68(m,1H) 5.43−5.33(m,1H) 5.29−5.12(m,1H) 4.59(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.38−4.22(m,1.6H) 3.92(t,J=8.6Hz,0.7H) 3.30(s,3H) 2.86−2.72(m,1H) 2.70−2.60(m,1.3H) 2.52−2.44(m,0.7H) 1.64(d,J=7.0Hz,3H) 1.55(t,J=5.5Hz,3H) 1.46(d,J=2.2Hz,6H)
ESI−MS m/z 515(MH+)
実施例14 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(ブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、1−トリメチルシリル−1−ブチン、およびフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.26−8.25(m,1H) 7.79(d,J=7.3Hz,1H) 7.42−7.36(m,4H) 7.32−7.30(m,1H) 6.57−6.37(m,2H) 5.76−5.66(m,1H) 5.33−5.20(m,2H) 4.57(t,J=10.3Hz,0.7H) 4.36−4.22(m,1.6H) 3.88(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.92−2.81(m,1H) 2.65−2.57(m,0.3H) 2.48−2.38(m,2.7H) 1.63(d,J=7.0Hz,3H) 1.54−1.51(m,3H) 1.17−1.12(m,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例15 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−6−(3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例11(1)において、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミンに代えて、2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−アミンを用い、実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、3−メチル−1−ブチンを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 7.92(s,1H) 7.44(t,J=7.9Hz,1H) 7.30−7.23(m,1H) 7.14(t,J=7.5Hz,1H) 7.02(dd,J=12.6,8.2Hz,1H) 6.58−6.35(m,2H) 5.80−5.69(m,1H) 5.33−5.16(m,1H) 4.58(t,J=9.9Hz,0.7H) 4.38−4.23(m,1.6H) 3.91(t,J=8.4Hz,0.7H) 3.03−2.93(m,1H) 2.89−2.75(m,1H) 2.69−2.60(m,0.3H) 2.53−2.43(m,0.7H) 1.88(s,6H) 1.55(d,J=5.1Hz,3H) 1.36(d,J=6.6Hz,6H)
ESI−MS m/z 517(MH+)
実施例16
実施例16(1)tert−ブチル (2R,4S)−4−(ベンジルオキシ)−2−((トシロキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート
tert−ブチル (2R,4S)−4−(ベンジルオキシ)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(2.0g)を塩化メチレン(20mL)に溶解して、0℃に冷却後、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(2.2g)と塩化トシラート(1.9g)を加え、室温に昇温して4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(4.32g)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 7.78(d,J=8.1Hz,2H),7.42−7.29(m,7H),4.57−4.41(m,2H),4.39−3.96(m,4H),3.61−3.20(m,2H),2.46(s,3H),2.27−2.02(m,2H),1.48−1.31(m,9H)
ESI−MS m/z 462(MH
実施例16(2)tert−ブチル (2S,4S)−4−(ベンジルオキシ)−2−エチルピロリジン−1−カルボキシラート
窒素雰囲気下、ヨウ化銅(2.04g)をジエチルエーテル(12mL)に懸濁させ、0℃に冷却後、1.04Mメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(0.36mL)を加え、0℃にて30分間攪拌した。ついで、実施例16(1)の化合物(1.98g)の塩化メチレン(4.0mL)溶液を加え、室温に昇温して1時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(707mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ 7.42−7.25(m,5H),4.66−4.40(m,2H),4.17−4.03(m,1H),4.00−3.26(m,3H),2.24−2.09(m,1H),1.96−1.71(m,2H),1.48(s,9H),1.45− 1.31(m,1H),0.86(t,J=7.4Hz,3H)
ESI−MS m/z 306(MH
実施例16(3)tert−ブチル (2S,4S)−2−エチル−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート
実施例16(2)の化合物(1.06g)、10%水酸化パラジウム炭素触媒(160mg)をエタノール(11mL)とTHF(11mL)に懸濁させた後、水素置換して、室温にて20時間攪拌した。反応混合物をセライト濾過して、エタノールで洗浄して、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(709mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ 4.46−4.36(m,1H),4.02−3.81(m,1H),3.71−3.35(m,2H),2.15−1.99(m,1H),1.95−1.72(m,2H),1.49(s,9H),1.46−1.35(m,1H),0.86(t,J=7.5Hz,3H)
ESI−MS m/z 216(MH
実施例16(4)tert−ブチル (2S,4R)−4−(4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−エチルピロリジン−1−カルボキシラート
実施例16(3)の化合物(709mg)と4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1.11g)をTHF(7.1mL)に溶解して、0℃に冷却後、トリフェニルホスフィン(1.3g)とジイソプロピルアゾジカルボキシラート(1.00mL)を加え、室温に昇温して1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、対応するカップリング体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。耐圧管中に、得られたカップリング体とTHF(5.4mL)とアンモニア水(5.4mL)を加え、100℃にて14時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、水(12.8mL)に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(797mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ 8.29(s,1H),7.14(s,1H),5.67(br s,2H),5.32−5.09(m,1H),4.24−4.08(m,1H),3.95−3.79(m,1H),3.46(dd,J=9.3,11.0Hz,1H),2.70−2.55(m,1H),2.06−1.95(m,1H),1.59−1.51(m,2H),1.49(s,9H),0.91(t,J=7.5Hz,3H)
ESI−MS m/z 458(MH
実施例16(5)tert−ブチル (2S,4R)−4−(4−アミノ−6−ブロモ−5−(((R)−1−フェニルエチル)カルバモイル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−エチルピロリジン−1−カルボキシラート
実施例16(4)の化合物(797mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム(25mg)、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(0.55mL)をDMF(8.0mL)に懸濁させた後、一酸化炭素置換して、80℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、対応するアミド体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。得られたアミド体をアセトニトリル(8.2mL)に溶解して、−10℃に冷却後、N−ブロモスクシンイミド(457mg)のアセトニトリル(8.2mL)溶液をゆっくりと滴下して、反応混合物に30分間攪拌した。反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(650mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ 8.23(s,1H),7.49−7.29(m,5H),6.98(d,J=7.4Hz,1H),5.41−5.28(m,1H),5.24−5.04(m,1H),4.38−4.22(m,1H),4.07−3.68(m,1H),3.19−2.83(m,1H),2.43−2.29(m,1H),2.25−1.67(m,3H),1.66(d,J=6.9Hz,3H),1.51(s,9H),0.98(t,J=7.4Hz,3H)
ESI−MS m/z 557,559(MH
実施例16(6)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−ブロモ−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例16(5)の化合物(650mg)にアセトニトリル(9.7mL)を加え、0℃に冷却した後、ヨウ化ナトリウム(1.05g)と塩化トリメチルシリル(0.89mL)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物に順次、エタノール(9.7mL)、イロプロピルエチルアミン(2.0mL)とアクリル酸無水物(0.16mL)を加え、0℃にて30分間攪拌した。反応混合物にアンモニア水と水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(256mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ 8.27−8.16(m,1H),7.47−7.29(m,5H),6.98(d,J=7.3Hz,1H),6.61−6.29(m,2H),5.84−5.63(m,1H),5.43−5.26(m,1H),5.22−5.01(m,1H),4.80−3.82(m,3H),3.23−2.92(m,1H),2.58−2.30(m,1H),2.22−1.79(m,2H),1.66(d,J=7.0Hz,3H),1.07−0.96(m,3H)
ESI−MS m/z 511,513(MH
実施例16(7)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例16(6)の化合物(120mg)、アセトニトリル(1.2mL)、トリエチルアミン(0.10mL)、PdCl(PPh(8.2mg)、ヨウ化銅(I)(0.4mg)に1.0MプロピンのDMF溶液(0.70mL)を加え、窒素置換した後、60℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール)にて精製し、目的物(102mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.26(s,1H),7.79(br d,J=7.0Hz,1H),7.46−7.30(m,5H),6.58−6.31(m,2H),5.80−5.65(m,1H),5.33−5.15(m,2H),4.59−3.85(m,3H),3.03−2.33(m,2H),2.25−1.70(m,5H),1.65(d,J=6.8Hz,6H),1.09−0.91(m,3H)
ESI−MS m/z 471(MH
実施例17 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例16(7)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.31−8.16(m,1H),7.84(d,J=7.4Hz,1H),7.46−7.30(m,5H),6.64−6.32(m,2H),5.82−5.67(m,1H),5.39−5.17(m,2H),4.67−3.81(m,3H),3.02−2.80(m,1H),2.62−1.71(m,3H),1.65(d,J=6.9Hz,3H),1.58−1.47(m,1H),1.06−0.92(m,5H),0.85−0.70(m,2H)
ESI−MS m/z 497(MH
実施例18 7−((3R,5R)−1−アクリロイル−5−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例16(4)において、実施例16(3)の化合物に代えて、tert−ブチル (2R,4S)−4−ヒドロキシ−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシラートを用い、実施例16(7)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.29−8.22(m,1H),7.86−7.80(m,1H),7.36−7.44(m,4H),7.34−7.28(m,1H),6.48−6.37(m,2H),5.78−5.69(m,1H),5.29−5.15(m,2H),4.55−4.30(m,2H),3.96−3.65(m,3H),3.42(s,3H),3.18−3.06(m,0.3H),2.90−2.80(m,0.3H),2.64−2.58(m,0.3H),2.47−2.35(m,0.7H),1.64(d,3H,J=6.9Hz),1.58−1.47(m,1H),1.04−0.94(m,2H),0.87−0.69(m,2H)
ESI−MS m/z 513(MH
実施例19 7−((3R,5R)−1−アクリロイル−5−(エトキシメチル)ピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例16(4)において、実施例16(3)の化合物に代えて、tert−ブチル (2R,4S)−2−(エトキシメチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキサミドを用い、実施例16(7)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.28−8.18(m,1H),7.84(br d,J=7.0Hz,1H),7.47−7.29(m,5H),6.82−6.35(m,2H),5.79−5.68(m,1H),5.40−5.14(m,2H),4.63−3.53(m,7H),3.20−2.79(m,1H),2.69−2.40(m,1H),1.67−1.63(m,3H),1.59−1.47(m,1H),1.22(t,J=7.0Hz,3H),1.05−0.92(m,2H),0.87−0.72(m,2H)
ESI−MS m/z 527(MH
比較例1 4−アミノ−N−(4−(メトキシメチル)フェニル)−7−(1−メチルシクロプロピル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
国際公開第2017/146116号の実施例95に記載の方法により、表題化合物を得た。
ESI−MS m/z 390(MH+)
比較例2 1−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(4−(2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル)−2,3−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−カルボキサミド
国際公開第2017/038838号の実施例79に記載の方法により、表題化合物を得た。
ESI−MS m/z 505(MH+)
比較例3 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(シクロヘキシルメチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、シクロヘキシルメタンアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(DMSO−d6)δ:8.68−8.31(m,1H) 8.20−8.10(m,1H) 8.09−7.97(m,1H) 7.59−7.20(m,1H) 6.74−6.49(m,1H) 6.25−6.09(m,1H) 5.78−5.60(m,1H) 5.40−5.20(m,1H) 4.44−4.29(m,1H) 4.23−3.92(m,2H) 3.25−3.12(m,2H) 2.76−2.40(m,2H) 2.25(s,3H) 1.81−1.45(m,5H) 1.43−1.34(m,3H) 1.30−0.90(m,6H)
ESI−MS m/z 449(MH+)
比較例4 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−メチルベンジル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、o−トリルメタンアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(DMSO−d6)δ:8.37−8.27(m,1H) 8.19−8.09(m,1H) 7.39−7.30(m,1H) 7.26−7.11(m,4H) 6.68−6.48(m,1H) 6.24−6.07(m,1H) 5.80−5.60(m,1H) 5.36−5.17(m,1H) 4.52(d,J=5.7Hz,2H) 4.42−4.28(m,1H) 4.22−3.92(m,2H) 2.73−2.42(m,2H) 2.33(s,3H) 2.02(s,3H) 1.43−1.32(m,3H)
ESI−MS m/z 457(MH+)
比較例5 7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−メチル−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−N−メチル−1−フェニルエタン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.23(d,J=5.9Hz,1H) 7.50−7.28(m,4H) 7.09−6.88(m,1H) 6.57−6.34(m,2H) 5.79−5.64(m,1H) 5.22(t,J=9.3Hz,1H) 4.48(t,J=9.7Hz,0.6H) 4.39−4.20(m,1.9H) 3.90(t,J=8.6Hz,0.5H) 2.85(s,4H) 2.66−2.63(m,0.4H) 2.51−2.44(m,0.6H) 2.07(s,2H) 1.66(d,J=4.8Hz,3H) 1.52(d,J=5.9Hz,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
比較例6(1) tert−ブチル(2S,4R)−4−(4−アミノ−5−(((R)−1−フェニルエチル)カルバモイル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート
実施例11(1)(230mg)、アセトニトリル(4.6mL)、トリエチルアミン(0.29mL)、PdCl(PPh(5.9mg)、ヨウ化銅(I)(1.6mg)に1.0MプロピンのDMF溶液(2.1mL)を加え、窒素置換した後、70℃にて1時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(193mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.23(s,1H) 7.79(d,J=6.8Hz,1H)7.46−7.27(m,5H) 5.40−5.17(m,2H) 4.28−3.64(m,3H) 2.85−2.68(m,1H) 2.46−2.36(m,1H) 2.15−1.97(m,3H) 1.62(d,J=6.8Hz,3H) 1.56−1.32(m,12H)
ESI−MS m/z 503(MH+)
比較例6(2)4−アミノ−7−((3R,5S)−5−メチルピロリジン−3−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド塩酸塩
比較例6(1)(530mg)に4M塩酸の1,4−ジオキサン溶液(5mL)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、目的物(420mg)を得た。
ESI−MS m/z 403(MH+)
比較例6(3) 4−アミノ−7−((3R,5S)−1−((E)−ブツ−2−エノイル)−5−メチルピロリジン−3−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
比較例6(2)(18mg)にアセトニトリル(0.5mL)を加え、0℃に冷却した後、塩化アクリル(0.004mL)、ジイソプロピルエチルアミン(0.036mL)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、逆相分取HPLC(水:アセトリトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、目的物(8.7mg)を得た。
HNMR(CDCl)δ: 8.31(s,1H) 8.14(d,J=6.2Hz,1H)7.77(d,J=7.0Hz,1H) 7.39−7.36(m,4H) 7.33−7.31(m,1H) 7.03−6.90(m,1H) 6.06(dd,J=14.3Hz,1H) 5.28−5.17(m,2H) 4.48(t,J=10.1Hz,1H) 4.35−4.20(m,2H) 3.88(t,8.8Hz,1H) 2.84−2.76(m,1H) 2.64−2.40(m,1H) 2.05(d,J=10.6Hz,3H) 1.92(d,J=6.6Hz,1H) 1.85(d,J=7.0Hz,2H) 1.62(d,J=7.0Hz,3H) 1.55(dd,J=9.0,5.7Hz,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
以下に、上記実施例および比較例で合成した化合物を示す。
Figure 0006783974
Figure 0006783974
Figure 0006783974
Figure 0006783974
試験例1 HER2リン酸化活性阻害作用(in vitro)の測定
HER2リン酸化活性に対する化合物のインビトロでの阻害活性測定法の条件設定において、パーキンエルマー社のProfilerPro Peptide 22と同配列(5−FAM−EEPLYWSFPAKKK−CONH)のペプチドを基質として用いたHER2キナーゼ反応の報告(Xie H et al., PLoS One.2011;6(7):e21487)に基づき、ProfilerPro Peptide 22を基質に用いた。試験に用いた精製リコンビナントヒトHER2蛋白質はカルナバイオサイエンス社から購入した。化合物の阻害活性測定においては、まず、本発明の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で段階希釈した。次に、キナーゼ反応用緩衝液(13.5mM Tris(pH 7.5)、2mM ジチオトレイトール、0.009% Tween20)中にHER2蛋白質、基質ペプチド(終濃度は1μM)、塩化マンガン(終濃度は10mM)、ATP(終濃度は5μM)と本発明の化合物のDMSO溶液(DMSOの終濃度は5%)を加えて25℃で30分間インキュベーションしキナーゼ反応を行った。そこへ終濃度30mMになるようEDTAを加えることで反応を停止させた。最後に、LabChip(登録商標) EZ Reader II(パーキンエルマー社)で、リン酸化されなかった基質ペプチド(S)とリン酸化されたペプチド(P)をマイクロ流路キャピラリー電気泳動によって分離・検出した。SとPそれぞれのピークの高さからリン酸化反応量を求め、リン酸化反応を50%抑制することのできる化合物濃度をIC50値(nM)と定義し以下の表1に示した。
試験例2 エクソン20挿入変異型HER2(HER2ex20insYVMA)リン酸化活性阻害作用(in vitro)の測定
エクソン20挿入変異型HER2リン酸化活性に対する化合物のインビトロでの阻害活性測定法の条件設定において、HER2と同様にProfilerPro Peptide 22を基質に用いた。試験に用いた精製リコンビナントヒトエクソン20挿入変異型HER2(A775_G776insYVMA)蛋白質は配列番号7に示されるものであり、SignalChem社から購入した。化合物の阻害活性測定においては、まず、本発明の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で段階希釈した。次に、キナーゼ反応用緩衝液(13.5mM Tris(pH 7.5)、2mM ジチオトレイトール、0.009% Tween20)中にエクソン20挿入変異型HER2蛋白質と本発明の化合物DMSO溶液(DMSOの終濃度は5%)を加えて25℃で30分間プレインキュベーションした。その後、基質ペプチド(終濃度は1μM)、塩化マンガン(終濃度は25mM)、塩化マグネシウム(終濃度は20mM)、ATP(終濃度は200μM)を加えて25℃で220分間インキュベーションしキナーゼ反応を行った。そこへ終濃度30mMになるようEDTAを加えることで反応を停止させた。最後に、LabChip(登録商標) EZ Reader II(パーキンエルマー社)で、リン酸化されなかった基質ペプチド(S)とリン酸化されたペプチド(P)をマイクロ流路キャピラリー電気泳動によって分離・検出した。SとPそれぞれのピークの高さからリン酸化反応量を求め、リン酸化反応を50%抑制することのできる化合物濃度をIC50値(nM)と定義し以下の表1に示した。
Figure 0006783974
以上の結果より、本発明の化合物は、HER2リン酸化の優れた阻害活性およびエクソン20挿入変異型HER2リン酸化に対して、優れた阻害活性を有することが明らかとなった。
試験例3 HER2発現細胞株に対する増殖阻害活性の測定
HER2過剰発現ヒト乳癌細胞株であるSK−BR−3細胞を、10%ウシ胎児血清を含むMcCoy’s 5a培地(ライフテクノロジーズ社製)中に懸濁させた。細胞懸濁液を、384ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解し、DMSOを用いて化合物を終濃度の500倍の濃度になるように希釈した。化合物のDMSO溶液を細胞の懸濁に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.2%になるように加え、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃でさらに3日培養した。化合物存在下で3日間培養後の細胞数計測をCellTiter−Glo2.0(プロメガ社製)を用いて行い、以下の式より増殖阻害率を算出した。増殖を50%阻害することのできる化合物濃度をIC50(nM)と定義した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/(C)×100
T:被検化合物を添加したウェルの発光強度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの発光強度
結果を以下の表2に示した。
試験例4 エクソン20挿入変異型HER2発現細胞株に対する増殖阻害活性の測定
エクソン20挿入変異型HER2に対する増殖阻害活性は、ヒトエクソン20挿入変異型HER2遺伝子を導入したマウスBリンパ球前駆細胞株であるBa/F3細胞を用いて行った。Ba/F3細胞は10%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン(サーモフィッシャーサイエンティフィック)及び1ng/mL マウスインターロイキン−3(mIL−3)(CST)を含むRPMI−1640培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック)にて維持し、ヒトエクソン20挿入変異型HER2遺伝子(A775_G776insYVMA(HER2ex20insYVMA))、Internal Ribosome Binding Sequence(IRES)およびクサビラオレンジ遺伝子を組み込んだpCDNA3.1−hyg(+)ベクターをAmaxa(登録商標) Cell Line Nucleofector (登録商標) Kit Vによる電気穿孔法により導入した。ハイグロマイシンB(ナカライテスク)にて選択したエクソン20挿入変異型HER2を発現したBa/F3細胞(Ba/F3−HER2insYVMA)はmIL−3非依存的な増殖を示した。
細胞増殖阻害活性の評価に際し、Ba/F3−HER2insYVMA細胞を10% FBS、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地にて懸濁し、細胞懸濁液を96ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解し、DMSOもしくは細胞の懸濁に用いた培地を用いて希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.2%になるように加え、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃でさらに3日培養した。化合物存在下で3日間培養後の細胞数計測はCellTiter−Glo(プロメガ社製)を用い、以下の式より増殖阻害率を算出した。増殖を50%阻害することのできる化合物濃度をIC50(nM)と定義した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/(C)×100
T:被検化合物を添加したウェルの発光強度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの発光強度
結果を以下の表2に示した。
Figure 0006783974
以上の結果より、本発明の化合物群は、HER2発現細胞株(SK−BR−3)およびエクソン20挿入変異型HER2発現細胞株(Ba/F3−HER2insYVMA)においても優れた細胞増殖抑制活性を有することが明らかとなった。
試験例5 HER2発現細胞株(NCI−N87)に対する増殖阻害活性の測定
HER2過剰発現ヒト胃がん細胞株であるNCI−N87細胞(American Type Culture Collection,Cat No.ATCC(登録商標) CRL−5822)を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(和光純薬工業株式会社)中に懸濁させた。次いで、細胞懸濁液を、96ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解し、DMSOを用いて被検化合物を終濃度の1000倍の濃度になるように希釈した。被検化合物のDMSO溶液を細胞の懸濁に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.1%になるように加えた。Control用ウェルには、DMSOを細胞の懸濁に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.1%になるように加えた。薬液を添加後、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃でさらに3日培養した。化合物存在下で3日間培養後の細胞数計測はCellTiter−Glo2.0(プロメガ社製)を用い、プロメガ社の推奨するプロトコールに準じて行った。以下の式より増殖阻害率を算出し、増殖を50%阻害することのできる被検化合物の濃度をIC50値(nM)と定義した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/C×100
T:被検化合物を添加したウェルの発光強度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの発光強度
結果を以下の表3に示した。
Figure 0006783974
以上の結果より、本発明の化合物は、HER2過剰発現細胞株(NCI−N87)においても優れた細胞増殖抑制活性を有することが明らかとなった。
試験例6 経口吸収性の評価
本発明の化合物を0.5%HPMC水溶液、0.1N塩酸に懸濁又は溶解し、BALB/cAマウス(日本クレア株式会社)に50mg/kg/dayの用量にて経口投与した。経口投与後、0.5、1、2、4及び6時間後に顔面静脈より経時採血し血漿を得た。得られた血漿中の化合物濃度をLC−MS/MSにより測定し、経口吸収性の評価を行った。
結果を以下の表4に示した。
Figure 0006783974
以上の結果より、本発明の化合物は十分な血漿中濃度が観測され、良好な経口吸収性を示した。それに対して、比較例2は経口吸収性が本発明の化合物と比較して4倍以上減弱した。
試験例7 脳移行性の評価
本発明の化合物を0.5%HPMC水溶液、0.1N塩酸に懸濁又は溶解し、BALB/cAマウス日本クレア株式会社)に50mg/kg/dayの用量にて経口投与した。経口投与後、0.5時間後に顔面静脈より採血後、全脳を摘出し血漿及び脳サンプルを得た。得られた脳サンプルに3倍量の水を添加後、超音波ホモジナイザーを用いてホモジナイズし、脳ホモジネートを得た。得られた血漿中及び脳ホモジネート中の化合物濃度をLC−MS/MSにより測定し、脳/血漿中化合物濃度から脳移行性を評価した。
結果を以下の表5に示した。
Figure 0006783974
以上の結果より、本発明の化合物は比較例2と比較して脳/血漿中化合物濃度(Kp値)が高く、良好な脳移行性を示した。また、比較例2は脳中化合物濃度が、本発明の化合物と比較して80倍以上減弱していた。
試験例8 Lusiferase 遺伝子導入HER2発現細胞株(NCI−N87−luc)の脳直接移植モデルに対する抗腫瘍効果確認試験(in vivo)
脳直接移植モデルによる被検化合物の抗腫瘍効果は、American Type Culture Collectionから購入したヒト胃癌腫瘍細胞であるNCI−N87にLusiferase遺伝子を導入した、NCI−N87−Lucを使用した。NCI−N87−Lucは、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI−1640 (4.5g/L グルコース、10mM HEPES及び1mMピルビン酸ナトリウム含有)(和光純薬株式会社)培地において、5% CO2インキュベーター中において37℃で細胞株を培養した。
NCI−N87−Luc細胞をPBS中に6.25×10 cells/mLの濃度で再懸濁した。
マウス用イヤーバーを用いて約6〜7週齢のヌードマウス(BALB/cAJcl−nu/nu、日本クレア株式会社)を脳定位固定装置に固定し、脳上部の皮膚をアルコール綿にて消毒後に、メスにて切開した。
マイクロドリルを用いて、頭蓋骨に穴をあけ、針、マニュピュレーター、シリンジポンプを用いて、細胞懸濁液4μLを 0.8μL/minの条件で脳内に移植した。
脳内腫瘍量の目安として、移植約3週間後に生存例全例について、IVIS(PerkinElmer,Inc.,型式:Lumina II)を用いてTotal Flux(Photon/sec)を測定した。その結果から、MiSTAT(Ver.2.00)の群分けプログラムを用いて、各群6匹ずつの動物を割り付けた。
被検化合物は1日1回、群分け翌日から21日間(Day1−21)連日経口投与した。効果の有無の判断には、判定日(Day22)のTotal Fluxを対数変換(Log10)した値を用いた。実施例2(Example 2)、および実施例11(Example 11)は25mg/kg/day、実施例12(Example 12)は50mg/kg/dayの用量にて投与した。
縦軸に各群の平均Total Fluxを対数変換(Log10)した値、横軸に移植後の日数(Day)を設定したグラフを作成し、薬剤投与期間中のTotalFluxの経時的推移を観察した。
被検化合物としては、実施例2、実施例11、および実施例12の化合物を用い、コントロール(Control)としては0.1N HCl,0.5%HPMC水溶液を用いた。
結果を以下の図1から図3に示した。各群のDay22のTotal Fluxを対数変換(Log10)した値をDunnett検定,もしくはStudent−t検定で解析した結果、被検化合物群はコントロール群に比して、統計学的に有意(有意水準両側5%)に低いことが示された(図1:実施例2の化合物を使用、P=0.0077;図2:実施例11の化合物を使用、P=0.0007;図3:実施例12の化合物を使用、P=0.0012)。また、体重の測定には動物用電子天秤を用いた。n日目の体重(BWn)からn日目体重変化率(BWCn)を下記の式により算出した。
BWCn(%)=[(n日目の体重)−(群分け日の体重)]/(群分け日の体重)×100
この試験結果から、本発明の化合物は、ヌードマウス脳内に移植したHER2過剰発現細胞株(NCI−N87−luc)に対して,優れた抗腫瘍効果を有することが明らかとなった。また、実施例2(Example 2)、実施例11(Example 11)を投与したマウスは、全ての個体で−20%以上の体重減少は見られなかったため、重篤な副作用はないことが明らかとなった。
なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、本願の優先権主張の基礎となる日本国特許出願である特願2019-003403号(2019年1月11日出願)の特許請求の範囲、明細書、および図面の開示内容を包含する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (17)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0006783974

    (式中、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
    は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
    は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
    は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
    で表される化合物又はその塩。
  2. 下記一般式(II)
    Figure 0006783974

    (式中、Rは、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
    は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
    は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
    は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
    で表される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. が、置換基としてC1−C4アルコキシ基を1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  4. が、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  5. が、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  6. が、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  7. が、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、又はエトキシメチル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  8. が、メチル基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  9. が、水素原子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  10. が、フェニル基である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  11. 化合物が、以下の(1)〜(3)から選択される化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
    (1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
    (2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
    (3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分とする経口投与用の抗腫瘍剤。
  15. 医薬組成物を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
  16. 抗腫瘍剤を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
  17. 経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
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