JP6783974B1 - ピリミジン化合物又はその塩 - Google Patents
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Abstract
下記一般式(I)で表される化合物又はその塩。
【化8】
(式中、R1は、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
R3は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
R4は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
R5は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
Description
HER2は、がん原因遺伝子として考えられ、HER2の遺伝子増幅や過剰発現、変異等が様々ながんで報告されている。非臨床・臨床研究データから、これらHER2の遺伝子異常・過剰発現等を伴うがん細胞において、HER2及び下流シグナルの活性化が、がん細胞の生存・増殖等において重要な役割を担っていると考えられている(非特許文献1)。
従って、HER2のキナーゼ活性を制御できる阻害剤は、HER2の遺伝子増幅や過剰発現、変異を有するがん細胞において、HER2及び下流シグナル伝達を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮することが想定されるため、がん患者の治療、延命やQOL向上に有用であると考えられる。
脳転移巣も含めた病態のコントロールという観点から、HER2に対して阻害活性を持ち、かつ、脳移行性も有するHER2阻害剤が望まれている。
[1] 下記一般式(I)
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
R3は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
R4は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
R5は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
で表される化合物又はその塩。
[2]下記一般式(II)
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
R3は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
R4は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
R5は、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
で表される、[1]に記載の化合物又はその塩。
[3] R2が、置換基としてC1−C4アルコキシ基を1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[4] R3が、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[5] R5が、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[6] R1が、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基である、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[7] R2が、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、又はエトキシメチル基である、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[8] R3が、メチル基である、[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[9] R4が、水素原子である、[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[10] R5が、フェニル基である、[1]〜[9]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[11] 化合物が、以下の(1)〜(3)から選択される化合物である、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
[14] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする経口投与用の抗腫瘍剤。
[15] 医薬組成物を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[16] 抗腫瘍剤を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[17] 経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[18] 医薬として使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[19] 腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[20] 経口投与して腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[21] 腫瘍の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、[1]〜[12]のいずれかに記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、方法。
[22] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防及び/又は治療に使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[23] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防及び/又は治療に用いる医薬組成物を製造するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
[24] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防又は治療に用いる医薬として使用するための[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[25] 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌、食道癌、頭頸部癌等の脳転移)の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、方法。
(1)本発明によれば、脳移行性を有するHER2阻害剤として有用な上記一般式(I)で表される新規化合物、その塩、医薬組成物、抗腫瘍剤、又は経口投与用の抗腫瘍剤が提供される。
(2)本発明の化合物又はその塩は、優れたHER2選択的阻害活性を有し、且つがん細胞株に対する増殖抑制効果を示す。
(3)本発明の化合物又はその塩は、脳移行性が期待できる。
(4)本発明の化合物又はその塩は、重篤な副作用がなく、かつ薬効が期待できる。
(5)本発明の化合物又はその塩は、変異型HER2(例えばエクソン20のYVMA挿入変異を有するHER2)に対して優れた阻害活性を示す。
(6)本発明の化合物又はその塩は、腫瘍の予防及び/又は治療剤として有用である。
(7)本発明の化合物又はその塩は、癌患者を治療するために有用な上記一般式(I)で表される新規化合物、その塩、医薬組成物、抗腫瘍剤、又は経口投与用の抗腫瘍剤が提供される。
R2は、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
R2は、最も好ましくはメチル基である。
R3は、特に好ましくは、メチル基、又はエチル基である。
R3は、最も好ましくは、メチル基である。
R4は、最も好ましくは水素原子である。
R2は、C1−C6アルキル基であり、
R3は、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基であり、
R4は、水素原子、又はC1−C4アルキル基であり、
R5は、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である、化合物又はその塩が好ましい。
R2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はtert−ブチル基であり、
R3は、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基であり、
R4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基であり、
R5は、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、又は3,5−ジクロロフェニル基である、化合物又はその塩である。
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基であり、
R4は、水素原子、メチル基、又はエチル基であり、
R5は、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、又は3,5−ジフルオロフェニル基である、化合物又はその塩である。
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基、トリフルオロメチル基、又はエチル基であり、
R4は、水素原子、又はメチル基であり、
R5は、フェニル基である、化合物又はその塩である。
R2は、メチル基であり、
R3は、メチル基であり、
R4は、水素原子であり、
R5は、フェニル基である、化合物又はその塩である。
本発明の一実施形態は、以下の(1)〜(18)から選択される化合物、又はその塩である。本発明の一実施形態は、下記の(1)〜(15)から選択される化合物、又はその塩である。
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(4)7−(R)−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(5)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−フェニルプロパン−2−イル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(6)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルプロピル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(7)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(8)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(3−クロロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(9)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(10)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−N−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(11)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−(2−フェニルプロパン−2−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(12)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(13)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3−メトキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(14)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(ブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(15)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−6−(3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(16)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(17)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−エチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(18)7−((3R,5R)−1−アクリロイル−5−(メトキシメチル)ピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(19)7−((3R,5R)−1−アクリロイル−5−(エトキシメチル)ピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
本発明に係わる化合物は、例えば下記の製造方法又は実施例に示す方法により製造することができる。ただし、本発明に係わる化合物の製造方法はこれらの例に限定されるものではない。
本発明の化合物(I)は、例えば下記製造方法を用いて製造することができる。
<製造方法>
本工程は、式1で表される化合物と、市販または、公知の方法によって製造できる式2で表される化合物との光延反応により、式3で表される化合物を得る方法である。光延反応は、通常、光延試薬およびホスフィン試薬の存在下で行われる。
式2で表される化合物(式2中P1はアミノ基の保護基を表す)の使用量は、式1で表される化合物(1モル)に対して、1〜10当量用いることができ、好ましくは1〜3当量である。
「アミノ基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、クミル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基等の低級アルカノイル基;例えばベンゾイル基;例えばフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えばp−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基等の低級アルキルスルホニル基等;例えばtert−ブチルスルフィニル基等の低級アルキルスルフィニル基等;例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等、例えばフタルイミド基等のイミド基が挙げられ、特にトリフルオロアセチル基、アセチル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、又はクミル基が好ましい。
ホスフィン試薬としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフリルホスフィン等が用いられる。ホスフィン試薬の使用量は、式1で表される化合物(1モル)に対して、通常約1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式3で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式3で表される化合物を、アンモニア又はその塩と反応させることにより、式4で表される化合物を得る方法である。
アンモニア又はその塩としては、その使用量は、式3で表される化合物(1モル)に対して、1〜1000当量用いることができ、好ましくは1〜100当量である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜150℃である。
このようにして得られる式4で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式4で表される化合物を一酸化炭素雰囲気下、例えば、遷移金属触媒、塩基及びアルコール存在下、式5で表される化合物を得る方法である。
本工程に於いて、一酸化炭素の圧力は、通常、1気圧から20気圧であり、好ましくは1気圧から10気圧である。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルアミノエタノール、イソブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、3−モルホリノプロパノール、ジエチルアミノプロパノール等が挙げられる。
アルコールの使用量は、式4で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜50モル程度である。
塩基としては炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等用いることが好ましく、使用量は、式4で表される化合物(1モル)に対して、通常0.5〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドなどを単一又は混合して用いることができる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式5で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式5で表される化合物のカルボキシル基に保護基を導入して、式6で表される化合物(式6中P2がカルボキシル基の保護基を表す)を得る方法である。保護の方法としては、通常公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis third edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons(1999年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
「カルボキシル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えば2,2,2−トリクロロエチル基等のハロ低級アルキル基;例えばアリル基等の低級アルケニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基、tert−ブチル基、アリル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、又はトリメチルシリルエトキシメチル基が好ましい。
本反応においては、例えばtert−ブチルエステル基、メチルエステル基、エチルエステル基等の保護基を導入することが好ましい。
本反応の保護基化剤は、例えば、2−tert−ブチル−1,3−ジイソプロピルイソウレア等が挙げられる。これらの保護基化剤の使用量は、式5で表される化合物(1モル)に対して、通常1〜50モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式6で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式6で表される化合物をハロゲン化し、式7で表される化合物(式7中L3がハロゲン原子を表す)を得る方法である。ハロゲン化は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を用いる方法、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等を用いる方法により行うことができる。本反応においては、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等を用いる方法が好ましい。
N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等は式6で表される化合物(1モル)に対して1〜10当量用いることができ、好ましくは1〜3当量である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式7で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式7で表される化合物のアミノ基の保護基(式7中のP1)を脱保護して式8で表される化合物を得る方法である。脱保護の方法としては、通常公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis third edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons(1999年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
保護基としてはtert−ブチルオキシカルボニル等が例示される。例えば、保護基としてtert−ブチルオキシカルボニル基を用いた場合、酸性条件下での脱保護が好ましく、酸としては塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、トシル酸等が挙げられる。
酸の使用量は、式7で表される化合物(1モル)に対して、好ましくは約1〜100当量である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミドなど)、あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0〜100℃であり、好ましくは0〜50℃である。
このようにして得られる式8で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式8で表される化合物のアミノ基とアクリル酸ハライド、又はアクリル酸無水物とのアミド化反応により、式9で表される化合物を得る方法である。
アクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物を用いる場合、式8で表される化合物(1モル)に対して、アクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物を通常0.5〜10モル、好ましくは約1〜5モル程度である。なお、当該アクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物は、市販品、又は公知の方法に準じて製造することができる。
また、必要に応じて塩基を添加することができる。塩基としては、例えば、有機アミン類(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、イロプロピルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザピシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等)、アルカリ金属塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属水素化物(例、水素化カリウム、水素化ナトリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等)等が挙げられる。塩基の使用量は、式8で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる式9で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式9で表される化合物を、市販品または、公知の方法によって製造できるアセチレン誘導体と薗頭反応させることにより、式10で表される化合物を得る方法である。
アセチレン誘導体としては、その使用量は、式9で表される化合物(1モル)に対して、1〜50当量用いることができ、好ましくは1〜10当量である。
遷移金属触媒としては、例えば、パラジウム触媒(例、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム等)、ニッケル触媒(例、塩化ニッケル等)等が用いられ、必要に応じて、リガンド(例、トリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等)を添加し、銅触媒(例、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅)等を共触媒として用いても良い。遷移金属触媒の使用量は、触媒の種類により異なるが、式9で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜1モル、好ましくは約0.01〜0.5モル程度、リガンドの使用量は、式9で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜4モル、好ましくは約0.01〜2モル程度、銅触媒の使用量は、式9で表される化合物(1モル)に対して、通常約0.0001〜4モル、好ましくは約0.010〜2モル程度である。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、エーテル類(例、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール等)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド等)、水あるいはそれらの混合物等が挙げられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜150℃である。
このようにして得られる式10で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式10で表される化合物のカルボキシル基の保護基(式10中のP2)を脱保護して式11で表される化合物を得る方法である。脱保護の方法としては、通常公知の方法、例えばProtective Groups in Organic Synthesis, T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons(1981年)に記載の方法、又はそれに準じる方法により行うことができる。
保護基としてはtert−ブチルエステル等が例示される。例えば、保護基としてtert−ブチルエステル基を用いた場合、酸性条件下での脱保護が好ましく、酸としては塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、トシル酸等が挙げられる。
酸の使用量は、式10で表される化合物(1モル)に対して、好ましくは約1〜100当量である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0〜100℃であり、好ましくは0〜50℃である。
このようにして得られる式11で表される化合物は、公知の分離精製手段により単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
本工程は、式11で表される化合物のカルボキシル基と、市販品または、公知の方法によって製造できるアミンとのアミド化反応により、式(I)で表される化合物を得る方法である。
アミド化の方法は、従来公知の方法によって行うことが可能であり、縮合剤の存在下で反応させる方法、又カルボン酸部分を従来公知の方法により活性化させ反応性誘導体とし、次いで該誘導体とアミンとをアミド化する方法、が例示される(いずれの方法も、「ペプチド合成の基礎と実験」(泉屋信夫他、丸善株式会社、1983年)を参照のこと)。
縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムホスフェート(PyAOP)、ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BroP)、クロロトリス(ピロリジン−1−イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyCroP)、3−(ジエトキシホスホリロキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(DEPBT)、O−(アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、4−(5,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン塩酸塩(DMTMM)などが挙げられ、そのときの添加剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等が挙げられる。これらの使用量は、式11で表される化合物(1モル)対して、通常1〜100モル、好ましくは約1〜10モル程度である。
反応に用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば、アルコール類(例、メタノール等)炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなど)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、など)あるいはそれらの混合物が用いられる。反応時間は0.1〜100時間であり、好ましくは0.5〜24時間である。反応温度としては0℃〜溶媒の沸騰する温度であり、好ましくは0℃〜100℃である。
このようにして得られる化合物(I)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
上記製造方法では、「式5で表される化合物のカルボキシル基に保護基を導入」(第4工程)から「式11で表される化合物のカルボキシル基と、市販品または、公知の方法によって製造できるアミンとのアミド化反応」(第10工程)を順番に行っているが、この順番を入れ替えることができる。また、「式5で表される化合物のカルボキシル基に保護基を導入」(第4工程)および「式10で表される化合物のカルボキシル基の保護基の脱保護」(第9工程)を省略することができる。
本明細書において「HER2」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物のHER2を含み、好ましくはヒトHER2である。また、「HER2」の語にはアイソフォームが含まれる。
「HER2が関与する疾患」とは、HER2の機能を欠失、抑制及び/又は阻害することによって、発症率の低下、症状の寛解、緩和、及び/又は完治する疾患が挙げられる。このような疾患として、例えば、悪性腫瘍等が挙げられるがこれに限定はされない。好ましくは、HER2過剰発現、HER2遺伝子増幅、又はHER2変異を有する悪性腫瘍である。
本発明の一実施形態は、本発明の化合物又はその塩を含むHER2に対する阻害剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、HER2に対する阻害方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。また、本発明の一実施形態は、HER2に対する阻害剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。また、本発明の一実施形態は、HER2に対する阻害剤として使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。また、本発明の一実施形態は、HER2を阻害するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。本発明の別の実施形態において、本発明は、HER2が関与する疾患を予防または治療するための、本発明の化合物又はその塩の使用を提供する。
本発明の別の実施形態は、本発明の化合物又はその塩を含む抗腫瘍剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、腫瘍の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。本発明の一実施形態は、抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。
また、本発明の一実施形態は、腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。
いくつかの実施形態において、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を基準として、G294A、S295F、R663Q、L740S、L740_T744del、D754H、A760_G761insYVMA、V762L、V827I、R881Cのうちの1つ以上の変異を含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。他の実施形態では、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を基準として、A760_G761insYVMAを含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。
いくつかの実施形態において、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を基準として、G279A、S280F、R648Q、L725S、L725_T729del、D739H、A745_G746insYVMA、V747L、V812I、R866Cのうちの1つ以上の変異を含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。他の実施形態では、本発明の一形態の化合物又はその塩は、配列番号6に示されるアミノ酸配列を基準として、A745_G746insYVMAを含む変異型HER2に対する阻害活性を示す。
本明細書において、「対象」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、限定されないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット、ハリネズミ、カンガルー、モグラ、イノシシ、クマ、トラ、ライオンなどが挙げられる。非哺乳動物の例としては、限定されないが、鳥類、魚類、は虫類などが挙げられる。一実施形態において、対象はヒトであり、本明細書で開示される症状、状態、または疾患のための処置を必要とすると診断されたヒトであってもよい。
本発明の一実施形態は、本発明の化合物又はその塩を有効成分とする経口投与用の抗腫瘍剤を提供する。また、本発明の一実施形態は、腫瘍の予防及び/又は治療方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又はその塩の有効量を経口投与することを含む方法を提供する。また、本発明の一実施形態は、経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための本発明の化合物またはその塩の使用が提供される。また、本発明の一実施形態は、経口投与して腫瘍の予防及び/又は治療に使用するための本発明の化合物またはその塩が提供される。
注射剤を調製する場合は、本発明の化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。
また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、対象の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、本発明の化合物として通常成人(体重50kg)1日あたり0.05〜5000mg、好ましくは0.1〜1000mgとすればよい。
本発明の化合物で治療される脳腫瘍は、転移性脳腫瘍及び原発性脳腫瘍を含む。
脳腫瘍は特に制限はないが、例えば、転移性脳腫瘍(例えば、肺癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膀胱癌、胆道癌、子宮癌等(好ましくは肺癌、乳癌又は胃癌)の脳転移)、毛様細胞性星状細胞腫、びまん性星細胞腫、乏突起膠腫・乏突起星細胞腫、退形成性星細胞腫・退形成性乏突起膠腫、退形成性乏突起星細胞腫、膠芽腫、上衣腫、退形成性上衣腫、神経節膠腫、中枢性神経細胞腫、髄芽腫、胚腫(germinoma)、中枢神経系悪性リンパ腫、髄膜腫、神経鞘腫、GH産生下垂体腺腫、PRL産生下垂体腺腫、ACTH産生下垂体腺腫、非機能性下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、血管芽腫、類上皮腫等が挙げられる。
本明細書において、「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。また以下の化合物の実施例において、%は特記しない限り重量パーセントを示す。
実施例で用いた各種試薬は、特に記載のない限り市販品を使用した。シリカゲルクロマトグラフィーには、バイオタージ社製バイオタージSNAPカートリッジUltraまたは塩基性シリカゲルクロマトグラフィーにはバイオタージ社製バイオタージSNAPカートリッジIsolute Flash−NH2を用いた。
分取用薄層クロマトグラフィーにはメルク社製KieselgelTM60F254,Art.5744または和光社製NH2シリカゲル60F254プレートワコーを用いた。
1H−NMRはJEOL社製AL400(400MHz)、Varian社製Mercury(400MHz)またはVarian社製Inova(400MHz)を使用し、テトラメチルシランを標準物質として測定した。またマススペクトルは、Waters社製MicromassZQまたはSQDを使用し、エレクトロスプレイイオン化法(ESI)もしくは大気圧化学イオン化法(APCI)で測定した。マイクロウェーブ反応は、バイオタージ社製Initiatorを用いて行った。
略号の意味を以下に示す。
s:シングレット
d:ダブレット
t:トリプレット
q:カルテット
dd:ダブル ダブレット
dt:ダブル トリプレット
td:トリプル ダブレット
tt:トリプル トリプレット
ddd:ダブル ダブル ダブレット
ddt:ダブル ダブル トリプレット
dtd:ダブル トリプル ダブレット
tdd:トリプル ダブル ダブレット
m:マルチプレット
br:ブロード
ATP:アデノシン三リン酸
DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド
CDCl3:重クロロホルム
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
NMP:N−メチルピロリドン
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HPMC:ヒプロメロース
PdCl2(PPh3)2:ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
参考例1(1) tert−ブチル (2S,4R)−4−(4−アミノ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート
tert−ブチル (2S,4S)−4−ヒドロキシ−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート(19.0g)と4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(13.1g)をTHF(190mL)に溶解して、0℃に冷却後、トリフェニルホスフィン(37.2g)とジイソプロピルアソジカルボキシラート(28.1mL)を加え、室温に昇温して1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、対応するカップリング体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。
耐圧管中に、得られたカップリング体とTHF(114mL)とアンモニア水(114mL)を加え、100℃にて14時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、水(285mL)に注ぎ込み、室温にて5時間撹拌した。析出した固体をろ取し、水で洗浄し、乾燥することで目的物(34.5g)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.27(s,1H) 7.15(s,1H) 5.55−5.73(m,2H) 5.12−5.25(m,1H) 3.86−4.18(m,2H) 3.43−3.57(m,1H) 2.59−2.69(m,1H) 1.92−2.03(m,1H) 1.48(s,9H) 1.30−1.40(m,3H)
ESI−MS m/z 444(MH+)
耐圧管に、参考例1(1)の化合物(28.0g)、10%パラジウム炭素触媒(720mg)、NMP(84mL)、メタノール(26mL)、トリエチルアミン(17.6mL)を加えた後、一酸化炭素置換して、100℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、2M水酸化ナトリウム水溶液(79mL)を加え、80℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトろ過し、メタノールで洗浄し、ろ液のメタノールを減圧濃縮した。さらに水を加えた後、水層をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。水層に1M硫酸水素カリウム水溶液を加えpHを約3に調整し、析出した固体をろ取し、水で洗浄し、乾燥することで目的物(23.4g)を得た。
1HNMR(400MHz, DMSO−d6)δ: 8.14(s,1H) 8.08(s,1H) 5.16−4.93(m,1H) 4.07−3.79(m,2H) 3.61−3.45(m,1H) 2.53(m,1H) 2.33−2.02(m,1H) 1.42(s,9H) 1.29(d,J=6.1Hz,3H) ESI−MS m/z 362(MH+)
実施例1(1)tert−ブチル−4−アミノ−6−ブロモ−7−((3R,5S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−メチルピロリジン−3−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキシラート
窒素雰囲気下、参考例1(2)の化合物(15.0g)をクロロホルム(150mL)に溶解し、2−tert−ブチル−1,3−ジイソプロピルイソウレア(25mL)を加え60℃に昇温して2時間撹拌した。さらに2−tert−ブチル−1,3−ジイソプロピルイソウレア(25mL)を加え2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテルを加え、析出した固体をろ取し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。さらにろ液を減圧濃縮し、得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテルを加え、析出した固体をろ取し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、tert−ブチルエステル体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次のハロゲン化反応に用いた。
得られたtert−ブチルエステル体をクロロホルム(140mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(11.8g)を加え、室温にて24時間撹拌した。反応混合物に順次クロロホルム、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(13.8g)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.02(s,1H) 5.74−5.13(m,2H) 4.07−3.64(m,2H) 2.43−2.29(m,1H) 2.07−1.97(m,1H) 1.63(s,9H) 1.48(m,12H)
ESI−MS m/z 496,498(MH+)
実施例1(1)の化合物(11.4g)をTHF(57mL)に溶解し、0℃に冷却した後、4M塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(114mL)を加え、0℃にて10時間攪拌した。反応混合物に5M水酸化ナトリウム水溶液(92mL)、アセトニトリル(57mL)、ジイソプロピルエチルアミン(20mL)、塩化アクリル(2.0mL)を加え30分間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(7.72g)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.26−8.16(m,1H) 6.62−6.30(m,2H) 5.81−5.64(m,1H) 5.33−5.14(m,1H) 4.81−3.75(m,3H) 3.07−2.86(m,1H) 2.67−2.33(m,1H) 1.69−1.61(m,9H) 1.60−1.51(m,3H)
ESI−MS m/z 450,452(MH+)
実施例1(2)の化合物(7.72g)、アセトニトリル(154mL)、トリエチルアミン(7.2mL)、PdCl2(PPh3)2(1.2g)、ヨウ化銅(I)(330mg)に1.0MプロピンのDMF溶液(85.7mL)を加え、窒素置換した後、70℃にて4時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(4.06g)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.29−8.17(m,1H) 6.63−6.30(m,2H) 5.81−5.63(m,1H) 5.42−5.15(m,1H) 4.66−3.81(m,3H) 3.01−2.82(m,1H) 2.65−2.32(m,1H) 2.92−2.13(m,3H) 1.65−1.59(m,9H) 1.57−1.49(m,3H)
ESI−MS m/z 410(MH+)
実施例1(3)の化合物(1.52g)をクロロホルム(5mL)に溶解した後、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、室温にて2時間撹拌し、反応混合物を減圧濃縮した。残渣にクロロホルムを加え、再度減圧濃縮した。残渣を減圧乾燥することによって目的物(1.25g)を得た。
ESI−MS m/z 354(MH+)
実施例1(4)の化合物(100mg)のDMF(1.0mL)溶液に、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミン(89.0mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.25mL)、HATU(215mg)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、表題化合物(60mg)を得た。
1HNMR(DMSO−d6)δ: 8.51(d,J=7.3Hz,1H) 8.16(s,1H) 7.25−7.07(m,3H) 6.74−6.47(m,1H) 6.25−6.08(m,1H) 5.78−5.58(m,1H) 5.41−5.21(m,1H) 5.21−5.06(m,1H) 4.45−4.29(m,1H) 4.24−3.91(m,2H) 2.78−2.58(m,1H) 2.52−2.41(m,1H) 2.23(s,3H) 1.48(d,J=7.1Hz,3H) 1.39(d,J=6.1Hz,3H)
ESI−MS m/z 493(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−1−フェニルエタン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6)δ: 8.35(d,J=7.8Hz,1H) 8.17−8.13(m,1H) 7.48−7.23(m,5H) 6.76−6.46(m,1H) 6.28−6.06(m,1H) 5.81−5.58(m,1H) 5.43−5.02(m,2H) 4.42−4.28(m,1H) 4.21−3.96(m,2H) 2.74−2.59(m,1H) 2.54−2.41(m,1H) 2.17(s,3H) 1.50(d,J=6.8Hz,3H) 1.42−1.33(m,3H)
ESI−MS m/z 457(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3.5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、2−フェニルプロパン−2−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6)δ: 8.26(s,1H) 8.16−8.08(m,1H) 7.44(dd,J=8.8,1.2Hz,2H) 7.38−7.28(m,2H) 7.21(tt,J=7.3,1.27Hz,1H) 6.76−6.50(m,1H) 6.25−6.10(m,1H) 5.79−5.62(m,1H) 5.45−5.19(m,1H) 4.45−4.30(m,1H) 4.26−4.01(m,2H) 2.79−2.42(m,2H) 2.29−2.22(m,3H) 1.71(s,6H) 1.43−1.36(m,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−1−フェニルプロパン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6)δ: 8.35(brd,J=8.0Hz,1H) 8.17−8.11(m,1H) 7.46−7.22(m,5H) 6.74−6.50(m,1H) 6.26−6.08(m,1H) 5.79−5.60(m,1H) 5.40−5.21(m,1H) 4.99−4.87(m,1H) 4.43−4.30(m,1H) 4.23−3.94(m,2H) 2.76−2.42(m,2H) 2.21(s,3H) 1.95−1.74(m,2H) 1.44−1.34(m,3H) 0.91(t,J=7.3Hz,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.28(s,1H) 8.11(d,J=4.4Hz,1H) 8.02(s,1H) 7.47−7.42(m,1H) 7.29−7.23(m,1H) 7.15(t,J=7.7Hz,1H) 7.02(ddd,J=12.5,8.1,1.1Hz,1H) 6.58−6.35(m,2H) 5.79−5.70(m,1H) 5.30−5.19(m,1H) 4.53(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.38−4.25(m,1.6H) 3.92(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.91−2.78(m,1H) 2.70−2.60(m,0.3H) 2.54−2.43(m,0.7H) 2.28(d,J=7.0Hz,3H) 1.88(dt,J=10.0,5.0Hz,6H) 1.53(t,J=6.2Hz,3H)
ESI−MS m/z 489(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−(+)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミン塩酸塩を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.22(d,J=5.9Hz,1H) 7.75(d,J=7.0Hz,1H) 7.38(s,1H) 7.35−7.27(m,3H) 6.58−6.33(m,2H) 5.78−5.66(m,1H) 5.29−5.19(m,2H) 4.56(t,J=10.3Hz,0.7H) 4.39−4.20(m,1.6H) 3.89(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.94−2.82(m,1H) 2.66−2.58(m,0.3H) 2.46(dt,J=14.5,6.1Hz,0.7H) 2.18(d,J=11.0Hz,3H) 1.60(d,J=7.0Hz,3H) 1.55−1.51(m,3H)
ESI−MS m/z 491,493(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−(+)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.20(d,J=5.9Hz,1H) 7.98(d,J=7.7Hz,1H) 7.37−7.31(m,1H) 6.90−6.81(m,2H) 6.58−6.35(m,2H) 5.78−5.65(m,1H) 5.44−5.37(m,1H) 5.30−5.19(m,1H) 4.56(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.38−4.23(m,1.6H) 3.88(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.94−2.83(m,1H) 2.66−2.57(m,0.3H) 2.51−2.42(m,0.7H) 2.27(d,J=9.2Hz,3H) 1.61(d,J=7.0Hz,3H) 1.56−1.51(m,3H)
ESI−MS m/z 493(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエタン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.40(d,J=8.8Hz,1H) 8.16(s,1H) 7.44(s,5H) 6.58−6.38(m,2H) 5.92−5.84(m,1H) 5.81−5.69(m,1H) 5.29−5.19(m,1H) 4.55(t,J=10.3Hz,0.7H) 4.41−4.24(m,1.6H) 3.91(t,J=8.6Hz,0.7H) 2.92−2.80(m,1H) 2.70−2.61(m,0.3H) 2.54−2.46(m,0.7H) 2.35(d,J=8.4Hz,3H) 1.54(t,J=7.3Hz,3H)
ESI−MS m/z 511(MH+)
実施例1(3)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用い、実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、2−フェニルプロパン−2−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.15(s,1H) 8.00(s,1H) 7.44(d,J=7.7Hz,2H) 7.37(t,J=7.7Hz,2H) 7.32−7.27(m, 1H) 6.66−6.30(m,2H) 5.81−5.69(m,1H) 5.38−5.24(m,1H) 4.48(t,J=9.9Hz,0.7H) 4.42−4.29(m,1.6H) 4.22(t,J=10.4Hz,0.7H) 2.77−2.68(m,1H) 2.67−2.60(m,0.3H) 2.59−2.52(m,0.7H) 1.83(s,6H) 1.60−1.52(m,4H) 1.08−1.01(m,2H) 0.92−0.88(m,2H)
ESI−MS m/z 497(MH+)
実施例1(3)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用い、実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−(+)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.17(d,J=4.0Hz,1H) 8.04(d,J=8.1Hz,1H) 7.15−7.05(m,3H) 6.58−6.36(m,2H)5.80−5.68(m,1H) 5.49−5.42(m,1H) 5.34−5.24(m,1H) 4.52(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.37−4.23(m,1.6H) 3.92(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.86−2.76(m,1H) 2.69−2.63(m,0.3H) 2.52−2.46(m,0.7H) 1.73−1.63(m,4H) 1.55(t,J=5.3Hz,3H) 1.14−1.07(m,2H) 1.01−0.92(m,2H)
ESI−MS m/z 519(MH+)
実施例11(1) tert−ブチル(2S,4R)−4−(4−アミノ−6−ブロモ−5−(((R)−1−フェニルエチル)カルバモイル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート
参考例1(2)の化合物(1.00g)、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(0.503g)、ジイソプロピルエチルアミン(1.79g)、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)を加え、続いてHATU(1.58g)を加えて室温にて終夜攪拌した。反応混合物に酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、アミド体(1.53g)を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。
アミド体(1.53g)にクロロホルム(15mL)を加え、0℃に冷却した後、N−ブロモスクシンイミド(0.88g)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(1.39g)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.21(s,1H) 7.42−7.28(m,5H) 6.97(d,J=7.3Hz,1H) 5.36−5.29(m,1H) 5.20−5.07(m,1H) 4.30(t,J=10.3Hz,1H) 4.04−3.72(m,2H) 3.00−2.86(m,1H) 2.38(dt,J=14.3,6.0Hz,1H) 1.63(d,J=7.0Hz,3H) 1.53−1.43(m,12H)
ESI−MS m/z 543,545(MH+)
実施例11(1)の化合物(600mg)にクロロホルム(3mL)を加え、0℃に冷却した後、トリフルオロ酢酸(4.44g)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にアセトニトリル(5mL)を加えて再度減圧濃縮し、アミン体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。
得られたアミン体にアセトニトリル(3mL)を加え、0℃に冷却した後、塩化アクリル(99.9mg)、ジイソプロピルエチルアミン(713mg)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール)にて精製し、目的物(281mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.20(d,J=7.3Hz,1H) 7.42−7.36(m,4H) 7.32−7.28(m,1H) 7.00−6.94(m,1H) 6.57−6.33(m,2H) 5.76−5.66(m,1H) 5.36−5.29(m, 1H) 5.14−5.08(m,1H) 4,71(t,J=9.9Hz,0.7H) 4.42−4.23(m,1.6H) 3.83(t,J=8.6Hz,0.7H) 3.03−2.92(m,1H) 2.60−2.57(m,0.3H) 2.44−2.40(m, 0.7H) 1.64(d,J=6.6Hz,3H) 1.56(dd,J=11.7,6.2Hz,3H)
ESI−MS m/z 497,499(MH+)
実施例11(2)の化合物(65mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム(9.2mg)、ヨウ化銅(I)(5.0mg)、シクロプロピルアセチレン(13.0mg)、トリエチルアミン(39.7mg)、N,N−ジメチルホルムアミド(1.3mL)を加え、系内を窒素置換した後、70℃にて2.5時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール)にて精製し、目的物(50mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.22(d,J=5.1Hz,1H) 7.82(d,J=7.3Hz,1H) 7.43−7.35(m,4H) 7.30(t,J=6.8Hz,1H) 6.58−6.34(m,2H) 5.77−5.66(m,1H) 5.35−5.20(m,2H) 4.54(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.35−4.25(m,1.6H) 3.88(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.90−2.78(m,1H) 2.65−2.56(m,0.3H) 2.49−2.40(m,0.7H) 1.63(d,J=7.0Hz,3H) 1.56−1.45(m,4H) 1.03−0.91(m,2H) 0.84−0.69(m,2H)
ESI−MS m/z 483(MH+)
実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、3,3−ジメチル−1−ブチンを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.22(d,J=5.9Hz,1H) 7.75(d,J=7.7Hz,1H) 7.38(dt,J=15.5,7.1Hz,4H) 7.31−7.25(m,1H) 6.57−6.34(m,2H) 5.77−5.65(m,1H) 5.44−5.35(m,1H) 5.33−5.15(m,1H) 4.63(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.40−4.20(m,1.6H) 3.89(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.90−2.76(m,1H) 2.65−2.55(m,0.3H) 2.49−2.40(m,0.7H) 1.85(s,1H) 1.64(d,J=7.0Hz,3H) 1.55(d,J=5.9Hz,3H) 1.26(s,9H)
ESI−MS m/z 499(MH+)
実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチンを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.17(s,1H) 7.61(d,J=7.7Hz,1H) 7.43−7.35(m,4H) 7.30(d,J=7.0Hz,1H) 6.57−6.33(m,2H) 5.81−5.68(m,1H) 5.43−5.33(m,1H) 5.29−5.12(m,1H) 4.59(t,J=10.1Hz,0.7H) 4.38−4.22(m,1.6H) 3.92(t,J=8.6Hz,0.7H) 3.30(s,3H) 2.86−2.72(m,1H) 2.70−2.60(m,1.3H) 2.52−2.44(m,0.7H) 1.64(d,J=7.0Hz,3H) 1.55(t,J=5.5Hz,3H) 1.46(d,J=2.2Hz,6H)
ESI−MS m/z 515(MH+)
実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、1−トリメチルシリル−1−ブチン、およびフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.26−8.25(m,1H) 7.79(d,J=7.3Hz,1H) 7.42−7.36(m,4H) 7.32−7.30(m,1H) 6.57−6.37(m,2H) 5.76−5.66(m,1H) 5.33−5.20(m,2H) 4.57(t,J=10.3Hz,0.7H) 4.36−4.22(m,1.6H) 3.88(t,J=8.8Hz,0.7H) 2.92−2.81(m,1H) 2.65−2.57(m,0.3H) 2.48−2.38(m,2.7H) 1.63(d,J=7.0Hz,3H) 1.54−1.51(m,3H) 1.17−1.12(m,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例11(1)において、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミンに代えて、2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−アミンを用い、実施例11(3)において、シクロプロピルアセチレンに代えて、3−メチル−1−ブチンを用いたこと以外は実施例11と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 7.92(s,1H) 7.44(t,J=7.9Hz,1H) 7.30−7.23(m,1H) 7.14(t,J=7.5Hz,1H) 7.02(dd,J=12.6,8.2Hz,1H) 6.58−6.35(m,2H) 5.80−5.69(m,1H) 5.33−5.16(m,1H) 4.58(t,J=9.9Hz,0.7H) 4.38−4.23(m,1.6H) 3.91(t,J=8.4Hz,0.7H) 3.03−2.93(m,1H) 2.89−2.75(m,1H) 2.69−2.60(m,0.3H) 2.53−2.43(m,0.7H) 1.88(s,6H) 1.55(d,J=5.1Hz,3H) 1.36(d,J=6.6Hz,6H)
ESI−MS m/z 517(MH+)
実施例16(1)tert−ブチル (2R,4S)−4−(ベンジルオキシ)−2−((トシロキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート
tert−ブチル (2R,4S)−4−(ベンジルオキシ)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(2.0g)を塩化メチレン(20mL)に溶解して、0℃に冷却後、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(2.2g)と塩化トシラート(1.9g)を加え、室温に昇温して4時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(4.32g)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 7.78(d,J=8.1Hz,2H),7.42−7.29(m,7H),4.57−4.41(m,2H),4.39−3.96(m,4H),3.61−3.20(m,2H),2.46(s,3H),2.27−2.02(m,2H),1.48−1.31(m,9H)
ESI−MS m/z 462(MH+)
窒素雰囲気下、ヨウ化銅(2.04g)をジエチルエーテル(12mL)に懸濁させ、0℃に冷却後、1.04Mメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(0.36mL)を加え、0℃にて30分間攪拌した。ついで、実施例16(1)の化合物(1.98g)の塩化メチレン(4.0mL)溶液を加え、室温に昇温して1時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(707mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ 7.42−7.25(m,5H),4.66−4.40(m,2H),4.17−4.03(m,1H),4.00−3.26(m,3H),2.24−2.09(m,1H),1.96−1.71(m,2H),1.48(s,9H),1.45− 1.31(m,1H),0.86(t,J=7.4Hz,3H)
ESI−MS m/z 306(MH+)
実施例16(2)の化合物(1.06g)、10%水酸化パラジウム炭素触媒(160mg)をエタノール(11mL)とTHF(11mL)に懸濁させた後、水素置換して、室温にて20時間攪拌した。反応混合物をセライト濾過して、エタノールで洗浄して、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(709mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ 4.46−4.36(m,1H),4.02−3.81(m,1H),3.71−3.35(m,2H),2.15−1.99(m,1H),1.95−1.72(m,2H),1.49(s,9H),1.46−1.35(m,1H),0.86(t,J=7.5Hz,3H)
ESI−MS m/z 216(MH+)
実施例16(3)の化合物(709mg)と4−クロロ−5−ヨード−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1.11g)をTHF(7.1mL)に溶解して、0℃に冷却後、トリフェニルホスフィン(1.3g)とジイソプロピルアゾジカルボキシラート(1.00mL)を加え、室温に昇温して1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、対応するカップリング体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。耐圧管中に、得られたカップリング体とTHF(5.4mL)とアンモニア水(5.4mL)を加え、100℃にて14時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、水(12.8mL)に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(797mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ 8.29(s,1H),7.14(s,1H),5.67(br s,2H),5.32−5.09(m,1H),4.24−4.08(m,1H),3.95−3.79(m,1H),3.46(dd,J=9.3,11.0Hz,1H),2.70−2.55(m,1H),2.06−1.95(m,1H),1.59−1.51(m,2H),1.49(s,9H),0.91(t,J=7.5Hz,3H)
ESI−MS m/z 458(MH+)
実施例16(4)の化合物(797mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム(25mg)、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(0.55mL)をDMF(8.0mL)に懸濁させた後、一酸化炭素置換して、80℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、対応するアミド体を得た。得られた化合物はさらに精製することなく次の反応に用いた。得られたアミド体をアセトニトリル(8.2mL)に溶解して、−10℃に冷却後、N−ブロモスクシンイミド(457mg)のアセトニトリル(8.2mL)溶液をゆっくりと滴下して、反応混合物に30分間攪拌した。反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(650mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ 8.23(s,1H),7.49−7.29(m,5H),6.98(d,J=7.4Hz,1H),5.41−5.28(m,1H),5.24−5.04(m,1H),4.38−4.22(m,1H),4.07−3.68(m,1H),3.19−2.83(m,1H),2.43−2.29(m,1H),2.25−1.67(m,3H),1.66(d,J=6.9Hz,3H),1.51(s,9H),0.98(t,J=7.4Hz,3H)
ESI−MS m/z 557,559(MH+)
実施例16(5)の化合物(650mg)にアセトニトリル(9.7mL)を加え、0℃に冷却した後、ヨウ化ナトリウム(1.05g)と塩化トリメチルシリル(0.89mL)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物に順次、エタノール(9.7mL)、イロプロピルエチルアミン(2.0mL)とアクリル酸無水物(0.16mL)を加え、0℃にて30分間攪拌した。反応混合物にアンモニア水と水を加え、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン)にて精製し、目的物(256mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ 8.27−8.16(m,1H),7.47−7.29(m,5H),6.98(d,J=7.3Hz,1H),6.61−6.29(m,2H),5.84−5.63(m,1H),5.43−5.26(m,1H),5.22−5.01(m,1H),4.80−3.82(m,3H),3.23−2.92(m,1H),2.58−2.30(m,1H),2.22−1.79(m,2H),1.66(d,J=7.0Hz,3H),1.07−0.96(m,3H)
ESI−MS m/z 511,513(MH+)
実施例16(6)の化合物(120mg)、アセトニトリル(1.2mL)、トリエチルアミン(0.10mL)、PdCl2(PPh3)2(8.2mg)、ヨウ化銅(I)(0.4mg)に1.0MプロピンのDMF溶液(0.70mL)を加え、窒素置換した後、60℃にて2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール)にて精製し、目的物(102mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.26(s,1H),7.79(br d,J=7.0Hz,1H),7.46−7.30(m,5H),6.58−6.31(m,2H),5.80−5.65(m,1H),5.33−5.15(m,2H),4.59−3.85(m,3H),3.03−2.33(m,2H),2.25−1.70(m,5H),1.65(d,J=6.8Hz,6H),1.09−0.91(m,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例16(7)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.31−8.16(m,1H),7.84(d,J=7.4Hz,1H),7.46−7.30(m,5H),6.64−6.32(m,2H),5.82−5.67(m,1H),5.39−5.17(m,2H),4.67−3.81(m,3H),3.02−2.80(m,1H),2.62−1.71(m,3H),1.65(d,J=6.9Hz,3H),1.58−1.47(m,1H),1.06−0.92(m,5H),0.85−0.70(m,2H)
ESI−MS m/z 497(MH+)
実施例16(4)において、実施例16(3)の化合物に代えて、tert−ブチル (2R,4S)−4−ヒドロキシ−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシラートを用い、実施例16(7)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.29−8.22(m,1H),7.86−7.80(m,1H),7.36−7.44(m,4H),7.34−7.28(m,1H),6.48−6.37(m,2H),5.78−5.69(m,1H),5.29−5.15(m,2H),4.55−4.30(m,2H),3.96−3.65(m,3H),3.42(s,3H),3.18−3.06(m,0.3H),2.90−2.80(m,0.3H),2.64−2.58(m,0.3H),2.47−2.35(m,0.7H),1.64(d,3H,J=6.9Hz),1.58−1.47(m,1H),1.04−0.94(m,2H),0.87−0.69(m,2H)
ESI−MS m/z 513(MH+)
実施例16(4)において、実施例16(3)の化合物に代えて、tert−ブチル (2R,4S)−2−(エトキシメチル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキサミドを用い、実施例16(7)において、1.0MプロピンのDMF溶液に代えて、シクロプロピルアセチレンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.28−8.18(m,1H),7.84(br d,J=7.0Hz,1H),7.47−7.29(m,5H),6.82−6.35(m,2H),5.79−5.68(m,1H),5.40−5.14(m,2H),4.63−3.53(m,7H),3.20−2.79(m,1H),2.69−2.40(m,1H),1.67−1.63(m,3H),1.59−1.47(m,1H),1.22(t,J=7.0Hz,3H),1.05−0.92(m,2H),0.87−0.72(m,2H)
ESI−MS m/z 527(MH+)
国際公開第2017/146116号の実施例95に記載の方法により、表題化合物を得た。
ESI−MS m/z 390(MH+)
国際公開第2017/038838号の実施例79に記載の方法により、表題化合物を得た。
ESI−MS m/z 505(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、シクロヘキシルメタンアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6)δ:8.68−8.31(m,1H) 8.20−8.10(m,1H) 8.09−7.97(m,1H) 7.59−7.20(m,1H) 6.74−6.49(m,1H) 6.25−6.09(m,1H) 5.78−5.60(m,1H) 5.40−5.20(m,1H) 4.44−4.29(m,1H) 4.23−3.92(m,2H) 3.25−3.12(m,2H) 2.76−2.40(m,2H) 2.25(s,3H) 1.81−1.45(m,5H) 1.43−1.34(m,3H) 1.30−0.90(m,6H)
ESI−MS m/z 449(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、o−トリルメタンアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6)δ:8.37−8.27(m,1H) 8.19−8.09(m,1H) 7.39−7.30(m,1H) 7.26−7.11(m,4H) 6.68−6.48(m,1H) 6.24−6.07(m,1H) 5.80−5.60(m,1H) 5.36−5.17(m,1H) 4.52(d,J=5.7Hz,2H) 4.42−4.28(m,1H) 4.22−3.92(m,2H) 2.73−2.42(m,2H) 2.33(s,3H) 2.02(s,3H) 1.43−1.32(m,3H)
ESI−MS m/z 457(MH+)
実施例1(5)において、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エタン−1−アミンに代えて、(R)−N−メチル−1−フェニルエタン−1−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表題化合物を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.23(d,J=5.9Hz,1H) 7.50−7.28(m,4H) 7.09−6.88(m,1H) 6.57−6.34(m,2H) 5.79−5.64(m,1H) 5.22(t,J=9.3Hz,1H) 4.48(t,J=9.7Hz,0.6H) 4.39−4.20(m,1.9H) 3.90(t,J=8.6Hz,0.5H) 2.85(s,4H) 2.66−2.63(m,0.4H) 2.51−2.44(m,0.6H) 2.07(s,2H) 1.66(d,J=4.8Hz,3H) 1.52(d,J=5.9Hz,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
実施例11(1)(230mg)、アセトニトリル(4.6mL)、トリエチルアミン(0.29mL)、PdCl2(PPh3)2(5.9mg)、ヨウ化銅(I)(1.6mg)に1.0MプロピンのDMF溶液(2.1mL)を加え、窒素置換した後、70℃にて1時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)にて精製し、目的物(193mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.23(s,1H) 7.79(d,J=6.8Hz,1H)7.46−7.27(m,5H) 5.40−5.17(m,2H) 4.28−3.64(m,3H) 2.85−2.68(m,1H) 2.46−2.36(m,1H) 2.15−1.97(m,3H) 1.62(d,J=6.8Hz,3H) 1.56−1.32(m,12H)
ESI−MS m/z 503(MH+)
比較例6(1)(530mg)に4M塩酸の1,4−ジオキサン溶液(5mL)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、目的物(420mg)を得た。
ESI−MS m/z 403(MH+)
比較例6(2)(18mg)にアセトニトリル(0.5mL)を加え、0℃に冷却した後、塩化アクリル(0.004mL)、ジイソプロピルエチルアミン(0.036mL)を加え、0℃にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、逆相分取HPLC(水:アセトリトリル(0.1%ギ酸))にて精製し、目的物(8.7mg)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ: 8.31(s,1H) 8.14(d,J=6.2Hz,1H)7.77(d,J=7.0Hz,1H) 7.39−7.36(m,4H) 7.33−7.31(m,1H) 7.03−6.90(m,1H) 6.06(dd,J=14.3Hz,1H) 5.28−5.17(m,2H) 4.48(t,J=10.1Hz,1H) 4.35−4.20(m,2H) 3.88(t,8.8Hz,1H) 2.84−2.76(m,1H) 2.64−2.40(m,1H) 2.05(d,J=10.6Hz,3H) 1.92(d,J=6.6Hz,1H) 1.85(d,J=7.0Hz,2H) 1.62(d,J=7.0Hz,3H) 1.55(dd,J=9.0,5.7Hz,3H)
ESI−MS m/z 471(MH+)
HER2リン酸化活性に対する化合物のインビトロでの阻害活性測定法の条件設定において、パーキンエルマー社のProfilerPro Peptide 22と同配列(5−FAM−EEPLYWSFPAKKK−CONH2)のペプチドを基質として用いたHER2キナーゼ反応の報告(Xie H et al., PLoS One.2011;6(7):e21487)に基づき、ProfilerPro Peptide 22を基質に用いた。試験に用いた精製リコンビナントヒトHER2蛋白質はカルナバイオサイエンス社から購入した。化合物の阻害活性測定においては、まず、本発明の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で段階希釈した。次に、キナーゼ反応用緩衝液(13.5mM Tris(pH 7.5)、2mM ジチオトレイトール、0.009% Tween20)中にHER2蛋白質、基質ペプチド(終濃度は1μM)、塩化マンガン(終濃度は10mM)、ATP(終濃度は5μM)と本発明の化合物のDMSO溶液(DMSOの終濃度は5%)を加えて25℃で30分間インキュベーションしキナーゼ反応を行った。そこへ終濃度30mMになるようEDTAを加えることで反応を停止させた。最後に、LabChip(登録商標) EZ Reader II(パーキンエルマー社)で、リン酸化されなかった基質ペプチド(S)とリン酸化されたペプチド(P)をマイクロ流路キャピラリー電気泳動によって分離・検出した。SとPそれぞれのピークの高さからリン酸化反応量を求め、リン酸化反応を50%抑制することのできる化合物濃度をIC50値(nM)と定義し以下の表1に示した。
エクソン20挿入変異型HER2リン酸化活性に対する化合物のインビトロでの阻害活性測定法の条件設定において、HER2と同様にProfilerPro Peptide 22を基質に用いた。試験に用いた精製リコンビナントヒトエクソン20挿入変異型HER2(A775_G776insYVMA)蛋白質は配列番号7に示されるものであり、SignalChem社から購入した。化合物の阻害活性測定においては、まず、本発明の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で段階希釈した。次に、キナーゼ反応用緩衝液(13.5mM Tris(pH 7.5)、2mM ジチオトレイトール、0.009% Tween20)中にエクソン20挿入変異型HER2蛋白質と本発明の化合物DMSO溶液(DMSOの終濃度は5%)を加えて25℃で30分間プレインキュベーションした。その後、基質ペプチド(終濃度は1μM)、塩化マンガン(終濃度は25mM)、塩化マグネシウム(終濃度は20mM)、ATP(終濃度は200μM)を加えて25℃で220分間インキュベーションしキナーゼ反応を行った。そこへ終濃度30mMになるようEDTAを加えることで反応を停止させた。最後に、LabChip(登録商標) EZ Reader II(パーキンエルマー社)で、リン酸化されなかった基質ペプチド(S)とリン酸化されたペプチド(P)をマイクロ流路キャピラリー電気泳動によって分離・検出した。SとPそれぞれのピークの高さからリン酸化反応量を求め、リン酸化反応を50%抑制することのできる化合物濃度をIC50値(nM)と定義し以下の表1に示した。
HER2過剰発現ヒト乳癌細胞株であるSK−BR−3細胞を、10%ウシ胎児血清を含むMcCoy’s 5a培地(ライフテクノロジーズ社製)中に懸濁させた。細胞懸濁液を、384ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解し、DMSOを用いて化合物を終濃度の500倍の濃度になるように希釈した。化合物のDMSO溶液を細胞の懸濁に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.2%になるように加え、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃でさらに3日培養した。化合物存在下で3日間培養後の細胞数計測をCellTiter−Glo2.0(プロメガ社製)を用いて行い、以下の式より増殖阻害率を算出した。増殖を50%阻害することのできる化合物濃度をIC50(nM)と定義した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/(C)×100
T:被検化合物を添加したウェルの発光強度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの発光強度
結果を以下の表2に示した。
エクソン20挿入変異型HER2に対する増殖阻害活性は、ヒトエクソン20挿入変異型HER2遺伝子を導入したマウスBリンパ球前駆細胞株であるBa/F3細胞を用いて行った。Ba/F3細胞は10%ウシ胎児血清(FBS)、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン(サーモフィッシャーサイエンティフィック)及び1ng/mL マウスインターロイキン−3(mIL−3)(CST)を含むRPMI−1640培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック)にて維持し、ヒトエクソン20挿入変異型HER2遺伝子(A775_G776insYVMA(HER2ex20insYVMA))、Internal Ribosome Binding Sequence(IRES)およびクサビラオレンジ遺伝子を組み込んだpCDNA3.1−hyg(+)ベクターをAmaxa(登録商標) Cell Line Nucleofector (登録商標) Kit Vによる電気穿孔法により導入した。ハイグロマイシンB(ナカライテスク)にて選択したエクソン20挿入変異型HER2を発現したBa/F3細胞(Ba/F3−HER2insYVMA)はmIL−3非依存的な増殖を示した。
細胞増殖阻害活性の評価に際し、Ba/F3−HER2insYVMA細胞を10% FBS、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地にて懸濁し、細胞懸濁液を96ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解し、DMSOもしくは細胞の懸濁に用いた培地を用いて希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.2%になるように加え、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃でさらに3日培養した。化合物存在下で3日間培養後の細胞数計測はCellTiter−Glo(プロメガ社製)を用い、以下の式より増殖阻害率を算出した。増殖を50%阻害することのできる化合物濃度をIC50(nM)と定義した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/(C)×100
T:被検化合物を添加したウェルの発光強度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの発光強度
結果を以下の表2に示した。
HER2過剰発現ヒト胃がん細胞株であるNCI−N87細胞(American Type Culture Collection,Cat No.ATCC(登録商標) CRL−5822)を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(和光純薬工業株式会社)中に懸濁させた。次いで、細胞懸濁液を、96ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をDMSOに溶解し、DMSOを用いて被検化合物を終濃度の1000倍の濃度になるように希釈した。被検化合物のDMSO溶液を細胞の懸濁に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.1%になるように加えた。Control用ウェルには、DMSOを細胞の懸濁に用いた培地で希釈し、これを細胞の培養プレートの各ウェルにDMSOの最終濃度が0.1%になるように加えた。薬液を添加後、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃でさらに3日培養した。化合物存在下で3日間培養後の細胞数計測はCellTiter−Glo2.0(プロメガ社製)を用い、プロメガ社の推奨するプロトコールに準じて行った。以下の式より増殖阻害率を算出し、増殖を50%阻害することのできる被検化合物の濃度をIC50値(nM)と定義した。
増殖阻害率(%)=(C−T)/C×100
T:被検化合物を添加したウェルの発光強度
C:被検化合物を添加しなかったウェルの発光強度
結果を以下の表3に示した。
本発明の化合物を0.5%HPMC水溶液、0.1N塩酸に懸濁又は溶解し、BALB/cAマウス(日本クレア株式会社)に50mg/kg/dayの用量にて経口投与した。経口投与後、0.5、1、2、4及び6時間後に顔面静脈より経時採血し血漿を得た。得られた血漿中の化合物濃度をLC−MS/MSにより測定し、経口吸収性の評価を行った。
結果を以下の表4に示した。
本発明の化合物を0.5%HPMC水溶液、0.1N塩酸に懸濁又は溶解し、BALB/cAマウス日本クレア株式会社)に50mg/kg/dayの用量にて経口投与した。経口投与後、0.5時間後に顔面静脈より採血後、全脳を摘出し血漿及び脳サンプルを得た。得られた脳サンプルに3倍量の水を添加後、超音波ホモジナイザーを用いてホモジナイズし、脳ホモジネートを得た。得られた血漿中及び脳ホモジネート中の化合物濃度をLC−MS/MSにより測定し、脳/血漿中化合物濃度から脳移行性を評価した。
結果を以下の表5に示した。
脳直接移植モデルによる被検化合物の抗腫瘍効果は、American Type Culture Collectionから購入したヒト胃癌腫瘍細胞であるNCI−N87にLusiferase遺伝子を導入した、NCI−N87−Lucを使用した。NCI−N87−Lucは、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むRPMI−1640 (4.5g/L グルコース、10mM HEPES及び1mMピルビン酸ナトリウム含有)(和光純薬株式会社)培地において、5% CO2インキュベーター中において37℃で細胞株を培養した。
NCI−N87−Luc細胞をPBS中に6.25×107 cells/mLの濃度で再懸濁した。
マウス用イヤーバーを用いて約6〜7週齢のヌードマウス(BALB/cAJcl−nu/nu、日本クレア株式会社)を脳定位固定装置に固定し、脳上部の皮膚をアルコール綿にて消毒後に、メスにて切開した。
マイクロドリルを用いて、頭蓋骨に穴をあけ、針、マニュピュレーター、シリンジポンプを用いて、細胞懸濁液4μLを 0.8μL/minの条件で脳内に移植した。
脳内腫瘍量の目安として、移植約3週間後に生存例全例について、IVIS(PerkinElmer,Inc.,型式:Lumina II)を用いてTotal Flux(Photon/sec)を測定した。その結果から、MiSTAT(Ver.2.00)の群分けプログラムを用いて、各群6匹ずつの動物を割り付けた。
被検化合物は1日1回、群分け翌日から21日間(Day1−21)連日経口投与した。効果の有無の判断には、判定日(Day22)のTotal Fluxを対数変換(Log10)した値を用いた。実施例2(Example 2)、および実施例11(Example 11)は25mg/kg/day、実施例12(Example 12)は50mg/kg/dayの用量にて投与した。
縦軸に各群の平均Total Fluxを対数変換(Log10)した値、横軸に移植後の日数(Day)を設定したグラフを作成し、薬剤投与期間中のTotalFluxの経時的推移を観察した。
被検化合物としては、実施例2、実施例11、および実施例12の化合物を用い、コントロール(Control)としては0.1N HCl,0.5%HPMC水溶液を用いた。
BWCn(%)=[(n日目の体重)−(群分け日の体重)]/(群分け日の体重)×100
この試験結果から、本発明の化合物は、ヌードマウス脳内に移植したHER2過剰発現細胞株(NCI−N87−luc)に対して,優れた抗腫瘍効果を有することが明らかとなった。また、実施例2(Example 2)、実施例11(Example 11)を投与したマウスは、全ての個体で−20%以上の体重減少は見られなかったため、重篤な副作用はないことが明らかとなった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
Claims (17)
- 下記一般式(II)
(式中、R1は、置換基としてC1−C4アルコキシ基を有しても良いC1−C4アルキル基、又はC3−C4シクロアルキル基を示し;
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基としてC1−C4アルコキシ基若しくはフッ素原子をそれぞれ1から5個有しても良いC1−C6アルキル基、又はC1−C6アルコキシ基を示し;
R3は、水素原子、又は置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基を示し;
R4は、水素原子、又はC1−C4アルキル基を示し;
R5は、フッ素原子及び塩素原子から選択される置換基を1から3個有してもよいフェニル基を示す。)
で表される、請求項1に記載の化合物又はその塩。 - R2が、置換基としてC1−C4アルコキシ基を1から5個有しても良いC1−C6アルキル基である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
- R3が、置換基としてフッ素原子を1から5個有しても良いC1−C4アルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- R5が、フッ素原子及び塩素原子からなる群から選択される置換基を1又は2個有してもよいフェニル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- R1が、メチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピル基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- R2が、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、又はエトキシメチル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- R3が、メチル基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- R4が、水素原子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- R5が、フェニル基である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- 化合物が、以下の(1)〜(3)から選択される化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
(1)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−N−((R)−1−フェニルエチル)−6−(プロプ−1−イン−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(2)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(シクロプロピルエチニル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド
(3)7−((3R,5S)−1−アクリロイル−5−メチルピロリジン−3−イル)−4−アミノ−6−(3,3−ジメチルブチ−1−イン−1−イル)−N−((R)−1−フェニルエチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボキサミド - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を有効成分とする経口投与用の抗腫瘍剤。
- 医薬組成物を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
- 抗腫瘍剤を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
- 経口投与用の抗腫瘍剤を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
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