JP6783955B2 - ハキリバチ属のハチを用いるLactuca属植物種子の生産方法 - Google Patents

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Description

関連出願の参照
本願は、先行する日本国特許出願である特願2017−234674号(出願日:2017年12月6日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照することによりここに組み込まれる。
本発明は、花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用いる、効率的なLactuca属植物の種子の生産方法に関する。より詳しくは本発明は、花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用い、かつ花粉親Lactuca属植物と種子親Lactuca属植物に加えて、補助蜜源植物を用いる、Lactuca属植物の種子の生産方法に関する。さらに詳しくは本発明は、レタスの雑種第一代種子(F1種子)の生産方法に関する。
植物品種には、固定種と雑種第一代(以下「F1」と略すことがある)品種があり、主要作物においてはF1品種が普及している。
F1品種は、雑種強勢(ヘテロシス)により生育が旺盛で、生育が速く、収量性が高まるなど大きな利点がある。さらにF1品種は、生育が旺盛になることにより、病害虫への耐性や、耐寒・耐暑性などの環境適応性の向上も期待できる。また、F1品種の遺伝子型はヘテロ性でありながら同一の遺伝子型であるため、表現型は極めて高い均一性を示すことから、生産物の市場性が高まる。さらに、F1品種の両親に優性遺伝子に支配されている有用形質を集積できるため、迅速な育種が可能となる。以上のような優位性があることから、F1品種は、主要作物において栽培品種の主流を占めるようになった。
Lactuca属植物、なかでもレタス(Lactuca sativa)は、世界各国で生産され、市場規模の非常に大きな野菜であり、F1品種化が強く望まれている。本発明者らは、かつて、レタスF1品種開発のために必要な細胞質雄性不稔レタスの開発に成功し、レタスにおいてもF1種子の作製ができることを示した(国際公開公報、WO2007/049730A(特許文献1))。
レタスF1種子の採種は、手交配により実施できるが、レタスは朝の数時間しか開花しないため作業効率が悪く、1花の交配により得られる種子数も10粒前後と少ない。このため、手交配による採種では、経済性が低く、代わりとなる経済性の高い効率的な採種方法の開発が望まれていた。他の作物で実施されているように、送粉昆虫による経済性の高い交配、採種方法の開発が望ましいが、一般的に送粉昆虫として知られているセイヨウミツバチは、レタスに訪花しないため、セイヨウミツバチ以外の送粉昆虫を利用しなければならない。
そこで、レタスにおいて、上記のような問題点を解決するため、これまでに、種々の送粉昆虫の利用が検討されてきた。
例えば、特許第3635036号公報(特許文献2)には、ケナガチビコハナバチを利用してレタスのF1種子を採種する方法が開示されている。しかしながら、ケナガチビコハナバチは、生息数が少なく、捕獲できたとしても、その増殖方法は開示されていない。また、この特許文献に記載のデータによれば、その採種効率も1株当たり330粒(レタスの1000粒重は、約1gであるため、約0.33g)と非常に少なく、経済的観点から商業採種に利用することは困難であろうと考えられる。また、ケナガチビコハナバチは、市場における販売もなく、通常は入手困難なため、送粉昆虫を大量に必要とする商業採種に利用することは困難であろうと考えられる。
また特許第4471983号公報(特許文献3)には、ヒロズキンバエを利用してレタスのF1種子を採種する方法が開示されている。しかしながら、この特許文献に記載された、ヒロズキンバエによる送粉能力試験結果によれば、稔実数は2株から、合計245粒(約0.245g)に留まっており、特許文献2の場合と同様に、経済的観点から商業採種に利用することは困難であろうと考えられる。また、ハエ類は、帰巣性がないため、採種には、閉鎖系施設が必要となる。商業採種では、生産コストの低い、開放系の圃場で種子を生産できることが望ましい。したがって、この特許文献2の方法では、コストの増大につながる虞がある。
特許第5627894号公報(特許文献4)には、クロバエ科の双翅目であるCalliphora vomitariaCalliphora erythrocephala、またはLucilia Caesarを利用して、レタスF1種子を採種する方法が開示されている。この特許文献の方法では、レタス1株あたり1.67g〜11.25gのF1種子が得られている。
しかしながら、この特許文献の段落0040に記載されているように、双翅目(Diptera)は、レタスの花に定常的に受粉する虫ではなく、さらにその蜜を餌とすることは、知られていない。特許文献では、閉鎖環境に過剰数を導入すると、双翅目は、レタスの花粉授粉者としてふるまう、と記載されているに過ぎない。また、この特許文献の審査の過程の審査書類(出願人らによる書面)によれば、双翅目は、レタスの花に特異的に引き寄せられるのではなく、多数の双翅目を用いることにより確率論的に、少なくともその一部が花冠に着地し、花粉に接触することにより、送粉が成し遂げられる、と説明されている。したがって、この方法では、採餌のため積極的に花を訪花する送粉昆虫に比較して、送粉効率が悪いため、過剰数の双翅目を導入しなければならない。また、特許文献3の場合と同様に、ハエ類には、帰巣性がないため、採種には、閉鎖系施設が必要となる。したがって、種子の生産コストの増大につながる虞がある。
特表2009−539409号公報(特許文献5)(国際公開公報WO2007/146420A号パンフレット)には、ハキリバチ属のハチ、具体的には、アルファルファハキリバチ(Megachile rotundata)を利用してレタスのF1種子を採種する方法が開示されている。ここでは、アルファルファをレタスの近くで栽培することにより、アルファルファハキリバチを誘引し、レタスに訪花させる方法を開示している。また、国際公開公報WO2009/086173A号(特許文献6)には、特許文献5と同様に、ハキリバチ属のハチ、具体的には、アルファルファハキリバチを利用してレタスのF1種子を採種する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献5の実施例には、雄性不稔性の花24個について平均5.6粒の種子が得られたこと(特許文献5、段落0065)、及び13頭の異なるアルファルファハキリバチのメスが2分間毎に観察され、1分間平均7.1の花を訪れているのが見られたこと(特許文献5、段落0096)を開示しているのみである。この特許文献5には、具体的かつ定量的な採種量、例えば1株あたりのレタスF1種子の収量や、圃場面積あたりのレタスF1種子の収量は開示されていない。これらの点は、特許文献6についても同様である。
したがって、特許文献5および特許文献6を見た当業者が、ここに開示された方法によって、レタスのF1種子の商業レベルでの採種ができると考えるのは困難であった。
国際公開公報WO2007/049730A号パンフレット 特許第3635036号公報 特許第4471983号公報 特許第5627894号公報 特表2009−539409号公報(国際公開公報WO2007/146420A号パンフレット) 国際公開公報WO2009/086173A号パンフレット
本発明の目的は、花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用いつつ、これまでに比べて効率的かつ経済的に、Lactuca属植物の種子を生産する方法を提供することにある。
アルファルファハキリバチは、北米のアルファルファの採種において、最も広く用いられているポリネーターである(参考文献1(W. P. KEMP et al., (2000))、p904)。また、アルファルファハキリバチは、アルファルファ以外の作物、具体的には、Blueberries, Borage, Canola, Carrot, Cranberries, Crown vetch, Hairy vetch, Mint, Onion, Sweet vetchのポリネーターとしても知られている(参考文献2(Eric Mader et al., (2010))、p10、Table 1.2)。さらに、アルファルファハキリバチは、ポリネーターとして優れた特徴(一化性、連続同種訪花性、高い花粉媒介効率、管理の容易さ、人工環境に適応した営巣性)を有している(参考文献3(松香光男,「昆虫利用科学シリーズ7」(1996))、p99)。
アルファルファハキリバチなどのハナバチ類は、子孫のために花粉や蜜を集める必要があるため、どの種においても送粉効率は高い。一方、例えば、ハエ類であれば、親バエは、産卵するだけで子孫の幼虫は、自ら腐敗物などから採餌するため、親バエは、自らの活動エネルギーと卵を作るための栄養源として、蜜を集めるだけでよい。
ハナバチ類では、子孫が成虫になるまでの栄養源を、親バチが集めて与える必要があるため、1子孫あたりに大量の蜜と花粉が必要となる。特に単独性のハナバチは、次世代の繁殖が親バチの働きにかかっており、短い期間にそれを成し遂げようとする。このため、ハナバチ類では、1個体の働きは目覚しく、社会性のあるミツバチの20〜80倍の働きを示すと言われている。
このように、アルファルファハキリバチは、ポリネーターとしての能力が非常に高く、ミツバチに代わるポリネーターとして様々な作物において、有望視されている。また、アルファルファの採種は、主に米国西部で行われており、アルファルファハキリバチは、カナダで生産され、毎年大量に米国へ輸入されている。レタスの主要な採種地も米国西部であるため、大量のアルファルファハキリバチを容易に入手できることも大きな利点である。
アルファルファハキリバチは、マメ科植物に強い選好性があると同時に、キク科植物の広い範囲に訪花する広食性種であることが報告されている(参考文献4(Dave Goulson, Annu. Rev. Ecol. Evol. Syst. 34:1-26 (2003))、p3)。
前記した特許文献5(特表2009−539409号公報)に記載の方法では、アルファルファを誘引植物として利用している。しかしながら、アルファルファハキリバチの訪花選好性は、レタスよりもアルファルファの方が高いことから、レタスとアルファルファを混植した場合、アルファルファハキリバチの訪花は、アルファルファに集中してしまう。その結果、レタスでの受粉の効率が高まらないため、採種は限定的なものにならざるを得なかった。
特許文献5(段落0048)ではさらに、レタスが開花した後に、アルファルファハキリバチがレタスに集中するようにアルファルファの花を切り落とすことができると記載されている。
しかしながら、ここでアルファルファの花を切り落とすことは、次のような重大な問題を生じさせることが懸念される。
すなわち、レタスの花は、午前中早い時間帯に開花し数時間後には閉花する特殊な開花習性をもつため、アルファルファの花を切り落とした場合には、レタスの花が閉じた後、採種圃場からすべての蜜源が失われる。一方、アルファルファハキリバチは、約25℃以上の温度があれば、一日中でも、採餌活動を続けようとする。このため、蜜源を探すための活発な飛行を繰り返し、大部分の個体は、体力を消耗し、密源が不十分であれば、その日のうちに餓死に至る。したがって、前記したように、アルファルファの花の切り落しによって、レタスの閉花後、採種圃場に蜜源が存在しなくなると、アルファルファハキリバチは、順次、餓死してしまうことになる。
また、アルファルファハキリバチの放飼の度に採種圃場において、圃場の全てのアルファルファの花を切り落とすことは、作業が煩雑であり、非常に多くの労働コストが必要となる。
上述のように、レタスは、朝の数時間しか開花しないという特殊な開花習性をもっている一方、特許文献2(段落0006)にも記載されているように、送粉昆虫の多くは、日中に長時間にわたって採餌活動を行うタイプの訪花日周性をもつ。
このため、送粉昆虫を、特定の植物に午前中の短時間だけ集中して採餌活動をさせることは困難であった。
また、前記した特許文献5には、アルファルファを誘引植物として利用することの他に、アルファルファハキリバチを誘引する植物組成物を含む植物抽出産物をレタスの近くか、またはレタスに接触させて置くことができると記載されている。しかしながら、アルファルファハキリバチに効果のあるそのような誘引抽出産物の報告は実際には知られておらず、特許文献5中にも具体的に開示されていない。このため、当業者がそのような誘引抽出産物を容易に入手して、使用することは困難であった。
このような状況のもと、本発明者らは鋭意検討を重ねた。
本発明者らは今般、Lactuca属植物の種子の生産を行う際に、Lactuca属植物の採種圃場において、花粉親Lactuca属植物と種子親Lactuca属植物を用意し、花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用いてLactuca属植物の交配を行うことを検討した。このとき、Lactuca属植物の閉花時にハチが飢餓状態になることを防ぐために、補助蜜源植物を併せて用意し、ハキリバチ属のハチを花粉媒介手段とするLactuca属植物の交配を行った。補助蜜源植物としては、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種を用いた。その結果、補助蜜源植物を用意することによって、ハキリバチが飢餓状態となることを実際に抑制することができ、これによって、効率的にLactuca属植物の交配を行うことができ、より効率的に種子生産を行うことに成功した。
本発明においてはこれら知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
<1> 花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用い、かつ
花粉親Lactuca属植物と種子親Lactuca属植物に加えて、補助蜜源植物として、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種を用いて、Lactuca属植物の交配を行うことを含む、Lactuca属植物の種子の生産方法。
<2> Lactuca属植物の種子が、Lactuca属植物の雑種第一代種子(F1種子)である、前記<1>に記載の方法。
<3> Lactuca属植物が、レタス(Lactuca sativa)である、前記<1>または<2>の方法。
<4> ハキリバチ属のハチが、アルファルファハキリバチである、前記<1>〜<3>のいずれかの方法。
<5> 補助蜜源植物が、Lactuca属植物の閉花時にも開花する開花習性を有するものである、前記<1>〜<4>のいずれかの方法。
<6> 補助蜜源植物として、Anthemi属植物、Coriandrum属植物、Hyssopus属植物、Monarda属植物、Nepeta 属植物、Pentapetes属植物、Salvia属植物、Erigeron属植物、Foeniculum 属植物、Melampodium属植物、Portulaca属植物、およびTorenia属植物からなる群より選択される1属以上を使用する、前記<1>〜<5>のいずれかの方法。
<7> 補助蜜源植物として、ダイヤーズカモミール(Anthemis tinctoria)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、タイマツバナ(Monarda didyma)、イヌハッカ(Nepeta cataria)、ゴジカ(Pentapetes phoenicea)、サルビア・アズレア(Salvia azurea)、エリゲロン(Erigeron karvinskianus)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、メランポジウム(Melampodium paludosum)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、およびトレニア(Torenia fournieri) からなる群より選択される1種以上を使用する、前記<1>〜<6>のいずれかの方法。
<8> 補助蜜源植物として、エリゲロン、フェンネル、メランポジウム、マツバボタン、およびトレニアからなる群より選択される1種以上を使用する、前記<1>〜<7>のいずれかの方法。
<9> 補助蜜源植物として、メランポジウムおよびトレニアからなる群より選択される1種または2種を使用する、前記<1>〜<8>のいずれかの方法。
<10> 補助蜜源植物として、メランポジウムを使用する、前記<1>〜<9>のいずれかの方法。
<11> 花粉親レタス植物が雄性可稔系統であり、かつ種子親レタス植物が雄性不稔系統である、前記<1>〜<10>のいずれかの方法。
<12> 花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用いる、Lactuca属植物の交配方法であって、
補助蜜源植物として、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種を用いることを特徴とする方法。
<13> Lactuca属植物の交配が、Lactuca属植物の雑種第一代(F1)の種子を得るためのものである、前記<12>の方法。
<14> Lactuca属植物が、レタス(Lactuca sativa)である、前記<12>または<13>の方法。
<15> ハキリバチ属のハチが、アルファルファハキリバチである、前記<12>〜<14>のいずれの方法。
<16> 補助蜜源植物が、Lactuca属植物の閉花時にも開花する開花習性を有するものである、前記<12>〜<15>のいずれかの方法。
本発明によれば、Lactuca属植物の採種圃場に補助蜜源植物を育成し、ハキリバチ属のハチを花粉媒介手段として用いることによって、これまで送粉昆虫により効率的に生産することが困難であったLactuca属植物の種子を、従来に比べて効率的に生産することが可能となる。また本発明の方法によって、Lactuca属植物の種子の生産のための作業や労力を大幅に削減でき、生産コストの大幅な低減も可能となる。
図のグラフは、実施例3の異なる植物種間における訪花頻度の調査の結果を示す。 図は、実施例4における温室内での種子親、花粉親、および補助蜜源植物(アルファルファまたはメランポジウム)(図中は「密源植物」)の配置を示す。 図は、実施例5における温室内での種子親、花粉親、および補助蜜源植物(トレニア)(図中は「密源植物」)の配置を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明によるLactuca属植物の種子の生産方法は、前記したように、花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用い、かつ花粉親Lactuca属植物と種子親Lactuca属植物に加えて、補助蜜源植物として、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種を用いて、Lactuca属植物の交配を行うことを含む。
本発明においては、Lactuca属植物の種子の生産を行う。ここで、種子の生産とは、花粉親となるLactuca属植物と、種子親となるLactuca属植物を交配、すなわち花粉親の花粉を種子親に受粉させ、その種子親を栽培して得られる種子を採種することで、種子を生産することを意味する。
ここでLactuca属植物としては、例えば、レタス(Lactuca sativa)、ラクツカ・セリオラ(Lactuca serriola)、L. aculeateL. scarioloidesL. azerbaijanicaL. georgicaL. dregeanaL. altaicaL. salignaL. virosaL. tataricaL. indica、もしくはL. debilisなどが挙げられる。またLactuca属植物には、レタス(Lactuca sativa)と、それ以外の前記したLactuca属植物種との細胞融合による雑種や、種属間交雑による雑種も包含されうる。好ましくはLactuca属植物は、前記で列記した種の群から選択される一種以上であり、より好ましくはレタス(Lactuca sativa)である。
本発明の方法においては、花粉親植物から花粉を運び、種子親植物へ受粉させる際の花粉媒介手段として、訪花昆虫を用いる。このような訪花昆虫としては、Lactuca属植物に訪花することが知られているハキリバチ属のハチを使用する。このようなハキリバチ属のハチは、特に制限されてないが、具体的には、例えば、アルファルファハキリバチ(Megachile rotundata)、M. latimanus(参考文献5)、M. brevis(参考文献6)、M. montivaga(参考文献7)、M. onobrychidis(参考文献8)、M. dentitarsus(参考文献9)、M. relativa(参考文献10)が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく複数種を併用してもよい。本発明において訪花昆虫として使用するハキリバチ属のハチとしては、市場で容易に入手できることから、アルファルファハキリバチが好ましい。
本発明において生産するLactuca属植物の種子は、好ましくは雑種第一代種子(F1種子)である。ここで、雑種第一代(F1)は、ある対立遺伝子のそれぞれをホモにもつ両親の間の交雑によって生じる第一代目の子をいう。
本発明において、種子親は、本発明の方法により生産される種子の親系統であって、自らの受精能力のある花粉による受粉がされないように処置(水による花粉の洗い流し等)または育成された(すなわち、雄性不稔性をもつように育成された)親植物をいう。本発明において生産する種子がF1種子である場合には、種子親は、好ましくは、自ら受精能力のある花粉が形成できないよう育成された系統(雄性不稔系統)である。具体的には、例えば、雄性不稔細胞質を有する系統を母本、かつ、1回親とし、稔性回復因子を有していないことが確認されている目的系統を反復親として戻し交雑を行い、目的系統の細胞質を雄性不稔細胞質に置換することにより、雄性不稔性を付与させることができ、これにより、種子親系統を得ることができる。
また本発明において、種子親Lactuca属植物とは、種子親となるLactuca属植物を意味する。種子親Lactuca属植物は、好ましくは、雄性不稔系統であり、より好ましくは細胞質雄性不稔(CMS)系統である。このようなCMS系統の例としては、例えば、特許文献1に記載の系統等が挙げられる。
本発明において、花粉親は、本発明の方法により生産される種子の親系統であって、花粉を供給する系統をいう。本発明において生産する種子がF1種子である場合には、この花粉親は、雄性可稔系統である。
また本発明において、花粉親Lactuca属植物とは、花粉親となるLactuca属植物を意味する。花粉親Lactuca属植物は、好ましくは、雄性可稔系統である。
通常、採種圃場においては、花粉親(好ましくは雄性可稔系統)と、種子親(好ましくは雄性不稔系統)は、花粉の送粉を均一にするために、花粉親と種子親の比率に応じて、一列ごとまたは、それに準じて交互に定植することが望ましい。
本発明においては、花粉親植物と種子親植物に加えて、補助蜜源植物を用いる。
Lactuca属植物の花、例えばレタスの花は、午前中早い時間帯に開花し、数時間後には閉花する開花習性をもつ。このため、花粉媒介手段としてのハチが、レタス閉花後に、蜜源の不足から餓死してしまうことを防止するために、本発明では、補助蜜源植物を用いる。補助蜜源植物は、ハチの巣箱の周辺、または、花粉親および/もしくは種子親のLactuca属植物の周辺に用意し、そこで開花させ、蜜源とする。
このため、本発明における補助蜜源植物は、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種である。訪花選好性がLactuca属植物と同等である場合であっても、Lactuca属植物の閉花時に密源となりうるのであれば、ハキリバチ属のハチを用いたLactuca属植物の種子生産を効率的に行うことができる。なお、植物種について、ハチによる訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低いかどうかについては、例えば、後述する実施例1に記載の方法により確認することができる。好ましくは、補助蜜源植物は、アルファルファハキリバチが訪花選好性を有し、その訪花選好性がレタスと同等かそれよりも低い植物種である。
より好ましくは、補助蜜源植物は、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物よりも低い植物種であり、さらに好ましくは、アルファルファハキリバチが訪花選好性を有し、その訪花選好性がレタスよりも低い植物種である。
補助蜜源植物となりうる植物種としては、前記した訪花選好性に加えて、レタス閉花時にも開花する開花習性を有するものであることが好ましい。補助蜜源植物となりうる植物種としては、具体的には、後述する実施例1で示した開花持続性にも優れるものであることが好ましい。さらに、補助蜜源植物となりうる植物種は、耐暑性に優れるものが有利である。ここでいう耐暑性は、例えば、後述する実施例1に記載の方法で評価することができる。
本発明において、補助蜜源植物となりうる植物としては、特に制限はないが、例えば、Anthemi属植物、Coriandrum属植物、Hyssopus属植物、Monarda属植物、Nepeta 属植物、Pentapetes属植物、Salvia属植物、Erigeron属植物、Foeniculum属植物、Melampodium属植物、Portulaca属植物、およびTorenia属植物が挙げられる。本発明の一つの好ましい態様によれば、補助蜜源植物として、これら列挙された属の植物から選択される1種以上を使用することができる。本発明において、これら列挙された属の植物において好ましく使用されるのは、これら属の植物において、前記した訪花選好性に加えて、レタス閉花時にも開花する開花習性を有するものである。
本発明のさらに好ましい態様によれば、補助蜜源植物となりうる植物としては、Erigeron属植物、Foeniculum 属植物、Melampodium属植物、Portulaca属植物、およびTorenia属植物から選択される1種以上を使用することができ、さらにより好ましくは、Melampodium属植物、およびTorenia属植物からなる群より選択される1種または2種を使用し、特に好ましくは、Melampodium属植物を使用する。
本発明の好ましい態様によれば、補助蜜源植物となりうる植物種としては、ダイヤーズカモミール(Anthemis tinctoria)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、タイマツバナ(Monarda didyma)、イヌハッカ(Nepeta cataria)、ゴジカ(Pentapetes phoenicea)、サルビア・アズレア(Salvia azurea)、エリゲロン(Erigeron karvinskianus)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、メランポジウム(Melampodium paludosum)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、およびトレニア(Torenia fournieri)が挙げられる。本発明の一つの好ましい態様によれば、補助蜜源植物として、これら列挙された植物種から選択される1種以上を使用することができる。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明の方法において、補助蜜源植物として、エリゲロン、フェンネル、メランポジウム、マツバボタン、およびトレニアからなる群より選択される1種以上を使用する。さらに好ましくは、補助蜜源植物として、メランポジウムおよびトレニアからなる群より選択される1種または2種を使用し、特に好ましくは、メランポジウムを使用する。
補助蜜源植物は、その開花特性に応じて、Lactuca属植物の開花期に合うように、適宜定植時期を調整することが望ましい。例えば、メランポジウムおよびトレニアは、春の播種後1.5か月程度で開花し、その後は、晩秋まで咲き続ける連続開花性があるため、Lactuca属植物の開花期とあわせる必要はないが、Lactuca属植物と同時に播種、定植することで、作業を効率化することができる。したがって、メランポジウムおよびトレニアは、Lactuca属植物と同時に播種、定植することが望ましい。一方、連続開花性の低い植物種を補助蜜源植物として使用する場合には、その開花特性に合わせて、Lactuca属植物の開花期に合うように、適宜定植時期を調整することが必要である。
補助蜜源植物とLactuca属植物の定植数の比率は、特に制限されないが、補助蜜源植物の種類、栽培環境によって任意に調整することができる。例えば、定植数の比率は、Lactuca属植物:補助蜜源植物=2:1〜20:1の範囲であり、好ましくはLactuca属植物:補助蜜源植物=2:1〜4:1であり、より好ましくはLactuca属植物:補助蜜源植物=5:2程度である。
補助蜜源植物の定植場所は、花粉媒介手段とするハチの巣の周辺であることが望ましいが、圃場内または、圃場の周辺に分散して配置してもよい。
ハキリバチ属のハチ(例えば、アルファルファハキリバチ)の活発な訪花活動には、通常、25℃以上の温度が必要である。このため、採種に使用するLactuca属植物は、開花期の温度が日中25℃以上となる環境で栽培することが望ましい。
ハキリバチ属のハチ(例えば、アルファルファハキリバチ)は、帰巣性があるため、閉鎖系の網室に加えて、開放系の圃場などであっても利用可能である。すなわち、本発明は、開放系または閉鎖系のいずれの圃場施設においても実施可能である。したがって、交雑の恐れのあるLactuca属植物が周辺に存在しない環境下であれば、生産コストの低い開放系の圃場での使用が望ましい。
ハキリバチ属のハチのインキュベーション及び放飼の方法などについては、当業者に公知の慣用の方法を利用することができる。例えば、参考文献3などを適宜参照することができる。また、アルファルファハキリバチのインキュベーション及び放飼の方法などは、慣用のアルファルファの採種方法に準じて実施可能である。
ハキリバチ属のハチ(例えば、アルファルファハキリバチ)を、Lactuca属植物の採種に用いる場合には、放飼を1〜2週間間隔で行うことが望ましい。
また、ハキリバチ属のハチ(例えば、アルファルファハキリバチ)の望ましい放飼密度は、1回の放飼毎に、株あたり5頭以上が望ましいが、使用するLactuca属植物の系統の違い、栽培環境によっても左右されるため、コスト面も考慮して、適宜調整することが好ましい。
ハキリバチ属のハチ(例えば、アルファルファハキリバチ)の放飼は、前日の夕方または日の出前の早朝に実施することが好ましい。Lactuca属植物の花粉親は、結実すると開花が休止するため、花粉親が連続開花し、長期間花粉が供給できるように適宜切り戻すことが望ましい。
[参考文献]
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[参考文献6] ”American Museum of Natural History, Bee Specimen Record database”、ID_parent AMNH_BEE00015546 、[online]、American Museum of Natural History、[平成29年11月6日検索]、インターネット(http://www.discoverlife.org/mp/20l?id=AMNH_BEE00015546;AMNH_BEE00015755 )
[参考文献7] John Pickering、”DISCOVER LIFE”、[online]、[平成29年11月6日検索]、インターネット( http://www.discoverlife.org/mp/20q )
[参考文献8] ”American Museum of Natural History, Bee Specimen Record database”、ID_parent AMNH_BEE00220721 、[online]、American Museum of Natural History、[平成29年11月6日検索]、インターネット(http://www.discoverlife.org/mp/20l?id=AMNH_BEE00220721;AMNH_BEE00015741 )
[参考文献9] ”Bee Biology and Systematics Laboratory database”、ID_parent BBSL200815、[online]、Bee Biology and Systematics Laboratory、[平成29年11月6日検索]、インターネット( http://www.discoverlife.org/mp/20l?id=BBSL200815 )
[参考文献10] ”American Museum of Natural History, Bee Specimen Record database”、ID_parent AMNH_BEE00107046 、[online]、American Museum of Natural History、[平成29年11月6日検索]、インターネット(http://www.discoverlife.org/mp/20l?id=AMNH_BEE00107046;AMNH_BEE00107116)
下記の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1: 補助蜜源植物の検討
本発明において、補助蜜源植物として重要な特性は、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低いことである。そこで、このような特性を有する植物種の選抜、検討を行った。
試験では、ハキリバチ属のハチとして、アルファルファハキリバチを使用し、Lactuca属植物としては、レタスを使用した。
レタスの主要な採種地は、内陸性の高温と乾燥した気候である米国カリフォルニア州のサンワキンバレーなどである。サンワキンバレーでの採種において、レタスの開花、結実時期の最高気温は、40℃以上にも達するため、補助蜜源植物には、耐暑性が必要となる。一般的に、レタスの生育適温は、20℃前後とされている。しかし、高温環境下では、ウイルスを媒介するアブラムシが生存できないため、ウイルスフリーの種子を生産することを目的として、高温環境下での採種が行われている。レタスは、結球葉のある状態では、耐暑性が低いが、結球葉を適宜取り除くことにより、耐暑性が高くなり、抽苔をはじめると極めて高い耐暑性を示すようになる。
レタスの開花期間は、1〜2か月に及ぶが、その時期に補助蜜源植物も開花していることが必須となるため、補助蜜源植物は、連続開花性をもつ植物種が望ましい。また、補助蜜源植物の栽培面積が広くなると、レタスの栽培面積が制限され、単位面積当たりのレタスの採種収量が減少するため、花数の多い多花性の植物種が望ましい。
そこで、レタスF1種子採種における、補助密源植物の候補となる植物種を見出すため、耐暑性が比較的高く、夏季に開花する57種の植物種を選抜し、それらの特性評価を行った。
レタスと補助蜜源候補となる各植物種は、静岡県掛川市にある無加温のガラス温室を使用して、5月上旬に播種、または育苗を開始した。
各植物種は、適切な時期に直径15cmのプラスチック製の鉢に1〜2本植えとして、定植した。各植物の栽培は、主要な採種地の高温に耐えられる植物種を選抜するため、栽培適温よりも高い35℃設定とした。実際の7月〜8月の晴れの日の日中は、温室内の気温が40℃を越える日も度々発生し、かなりの高温条件となった。レタスの栽培は、実際の採種の方法に準じるため、抽苔するまで結球葉を取り除く作業を実施した。
そこで、アルファルファハキリバチの訪花選好性を評価するために以下の試験を行った。
具体的には、アルファルファハキリバチの訪花開始から他の植物種へ訪花するまでの時間を調査した。これを最適な補助蜜源植物種の選抜の基準とした。
(訪花選好性の評価)
選抜した57種の植物を同一の温室内で栽培し、栽培棚の上に30cm間隔で配置した。調査対象の植物種の鉢を1m離れた別の栽培棚へ移し、アルファルファハキリバチの訪花行動を調査した。アルファルファハキリバチは、ガラス温室内に約300頭を放飼し、1植物種あたり5回の訪花時間を調査し、平均訪花時間を算出した。
訪花選好性は、訪花開始から別の植物種へ訪花するまでの平均訪花時間を、以下の5段階の評点に分けて評価した。
(評点) (平均訪花時間)
1: 訪花なし,
2: 1秒以上15秒未満,
3: 15秒以上30秒未満,
4: 30秒以上60秒未満,
5: 60秒以上
結果は表1に示される通りであった。
なお表中の「−」は、レタス開花時期にその植物種の開花がみられなかったか、あるいは栽培の途中で枯死したため開花がみられなかったことを示す。
アルファルファハキリバチの訪花時の行動を観察したところ、訪花選好性が高い植物種では、訪花開始から次の別の植物種へ移るまでの時間が長く、同じ植物種に繰り返し訪花する傾向が観察された。
表1の訪花選好性の評価結果より、アルファルファハキリバチは、開花に至った33種の植物中30種に訪花し、広範囲な植物種に訪花選好性を示すことが確認された。
したがって、レタスの訪花選好性の評点は3となった。
アルファルファハキリバチが訪花選好性を有するが、その訪花選好性がレタスと同等と考えられる植物種は、訪花性の評点が3である、ダイヤーズカモミール、コリアンダー、ヒソップ、タイマツバナ、イヌハッカ、ゴジカ、サルビア・アズレアの7種であった。
アルファルファハキリバチが訪花選好性を有するが、その訪花選好性がレタスよりも低いと考えられる植物種は、訪花性の評点が2である、エリゲロン、フェンネル、メランポジウム、マツバボタン、トレニアの5種であった。
(耐暑性の評価)
上記の訪花選好性の評価試験に加えて、耐暑性の評価も行った。
耐暑性の試験は、35℃設定の温室内で栽培を実施し、レタスの開花期における、各植物種の生育状況を目視で観察し、評価した。具体的には、枯死に至った植物種を評点1(枯死)、適温環境下での通常の生育と比較して生育の弱勢化がみられた植物種を評点2(耐暑性弱)、適温環境下での通常の生育と比較して、同等の生育を示した植物種を評点3(耐暑性強)とした。
結果は、表1に示される通りであった。
この試験では、耐暑性が比較的高く、夏季に開花する植物種を候補として選んだものの、極めて高温環境であったことから、表1の耐暑性の評価の結果に示されたように、21種の植物が枯死に至り(耐暑性評点1)、20種の植物が高温による生育不良(耐暑性評点2)となる結果となった。
この試験において、レタスの耐暑性評点は、3であり、生育不良は、全く認められず、抽苔したレタスは、極めて耐暑性が高かったため、補助蜜源植物も同等の耐暑性が必要であると考えられた。
したがって、耐暑性を、訪花性評価の結果を合わせて考えれば、エリゲロン、フェンネル、マツバボタンは、やや耐暑性が劣るため、メランポジウム、トレニアが補助蜜源植物としてより有望な候補であると考えられた。
(開花持続性の評価)
開花持続性の評価試験も、上記の訪花選好性の評価試験に併せて行った。
具体的には開花持続性は、開花開始から閉花終了までの期間を、以下の5段階に分けて評価した。
(評点) (開花開始から閉花終了までの期間)
1: 2週間未満,
2: 2週間以上1か月未満,
3: 1か月以上2か月未満,
4: 2か月以上3か月未満,
5: 3か月以上
結果は、表1に示される通りであった。
開花持続性の評価においては、レタスが8月中旬から開花を始めたのに対して、メランポジウムは、6月下旬から、トレニアは、7月上旬から咲き始め、レタスのF1種子の収穫が完了するまで、両種とも連続的に開花しており、開花持続性については全く問題がないことが確認できた。
以上の結果から、エリゲロン、フェンネル、マツバボタンは、高温環境下でない採種地であれば、補助蜜源植物として利用できる一方で、現在の主要なレタスの採種地のような高温環境下では、メランポジウムとトレニアがより補助蜜源植物として有望であると考えられた。
Figure 0006783955
Figure 0006783955
実施例2:アルファルファハキリバチの飢餓耐性の調査
レタスの花は、午前中早い時間帯に開花し数時間後には閉花する特殊な開花習性をもつため、レタスの採種圃場にアルファルファハキリバチをそのまま放飼した場合、レタスの閉花後に蜜源が失われる。アルファルファハキリバチは、気温が25℃以上の晴天であれば、活発に採餌活動を継続する性質がある。
そこで、蜜源が失われることによる影響、すなわち、アルファルファハキリバチの飢餓耐性について評価した。
試験は以下の通りに実施した。
静岡県掛川市にあるガラス温室に、それぞれ10号鉢(直径約30cm)で栽培した開花期のレタス8鉢を配置し、一方のガラス温室のみにメランポジウム4鉢を配置した。メランポジウムを配置しないガラス温室を試験区A、メランポジウムを配置するガラス温室を試験区Bとした。
それぞれのガラス温室に、約50頭のアルファルファハキリバチを調査前日の夕方に導入し、アルファルファハキリバチの訪花虫数を調査した。
訪花虫数の調査は、朝のレタスの開花時に実施し、レタス8鉢の花に訪花しているアルファルファハキリバチの数を目視で計数し、約5分間隔で3回繰り返した。
訪花虫数として、レタスに訪花したアルファルファハキリバチの訪花虫数の平均を求めた。
結果は、表2に示される通りであった。
Figure 0006783955
試験期間中、レタスの花は、午前7時前後に開花し、午前9時前後に閉花した。
1日目(アルファルファハキリバチを導入した翌日)の朝のアルファルファハキリバチの訪花虫数は、試験区Aで28.0頭、試験区Bで25.7頭となり、大きな違いは認められなかった。
2日目は、試験区Aで3.7頭、試験区Bで23.0頭となり、大きな差となった。
試験区Aでは、レタスの閉花後、温室内から蜜源が失われるため、アルファルファハキリバチの大部分は、体力を消耗し、餓死あるいは訪花余力を失ったと考えられた。試験区Aでは、3日目に、2頭となり、4日目以降は、訪花が観察されず、すべてのアルファルファハキリバチが餓死に至ったと考えられた。
試験区Bでは、訪花虫数が減少傾向にあるものの、5日目でも20頭近くのアルファルファハキリバチの訪花が認められ、ガラス温室内で定着し、安定的な送粉活動が観察された。
本試験期間中は、好天に恵まれたため、アルファルファハキリバチの活動は、午前7時前後より始まり、午後4時前後まで続いた。すなわち、アルファルファハキリバチは、試験区Aでは、午前9時から午後4時までの約7時間の間、蜜源を失った状態となったと考えられた。
以上の結果より、アルファルファハキリバチは、レタスが閉花し、蜜源のない環境であっても、採餌活動を継続しようとするため、蜜源が失われる7時間の間に体力を消耗し、大部分は、餓死あるいは訪花余力を失ったと考えられた。したがって、特許文献5(段落0048)に記載されているように、アルファルファハキリバチがレタスに集中するようにアルファルファの花を切り落とすことは、アルファルファハキリバチの翌日からの送粉を減少させる、重大な要因になると考えられた。
一方で、補助蜜源植物を配置した場合には、レタス閉花後も、午後4時前後の帰巣まで、アルファルファハキリバチの補助蜜源を利用した正常な採餌活動が観察され、蜜源が失われることによる餓死を防ぐことができ、翌日からの送粉活動を継続させることができることを確認した。
実施例3:植物種の違いによる訪花頻度の調査
レタス、メランポジウムおよびトレニアを同一のガラス温室内に配置した場合のアルファルファハキリバチの採餌活動、すなわち訪花頻度を調査した。
試験は以下の通りに実施した。
静岡県掛川市にあるガラス温室に、10号鉢で栽培した開花期のレタス8鉢、メランポジウム2鉢、トレニア2鉢を配置した。
アルファルファハキリバチは、約100頭を導入した。温室の設定温度は主要な採種地の温度に近い35℃とした。
試験では、訪花したアルファルファハキリバチの数(VN)と、訪花したアルファルファハキリバチの占有率(VS)とを求めた。
結果は表3および図1に示される通りであった。
異なる植物種間における訪花頻度の調査結果を表3に示し、その結果をグラフ化し、図1に示した。
Figure 0006783955
レタスの花は、午前7時頃より開花を開始した。
採餌活動の調査は、午前8時より開始し、大部分のアルファルファハキリバチは、レタスの花に訪花した。レタスの花は、午前8時30分頃より閉じ始めた。
アルファルファハキリバチは、レタスの花が閉じ始める午前8時35分頃より徐々にメランポジウムへの訪花頻度(すなわち、訪花占有率(VS))が高まり、午前8時55分にレタスとメランポジウムの訪花頻度が逆転した。この頃には大部分のレタスの花が閉じた状態となっており、アルファルファハキリバチのレタスに対する採餌活動が難しくなっていた。午前9時25分にすべてのレタスの花が完全に閉じ、大部分のアルファルファハキリバチがメランポジウムに訪花した。この時、トレニアへの訪花頻度は、10%以下に抑えられていた。メランポジウムは、トレニアよりもアルファルファハキリバチの訪花選好性が高く、レタスよりも訪花選好性が低いためであると考えられた。
以上の結果より、アルファルファハキリバチは、レタスの開花中はレタスへ集中的に訪花し、レタスの閉花後には、メランポジウムに集中して訪花することが確認できた。したがって、メランポジウムは、レタスF1種子の採種において、最も適した補助蜜源植物であると考えられた。アルファルファハキリバチの訪花選好性は、レタス、メランポジウム、トレニアの順で高いと考えられた。本試験の結果からトレニアは、アルファルファハキリバチの訪花選好性がレタスよりも低いことは、確認できており、レタスとトレニアのみを配置した場合には、補助密源植物として利用できることが示唆された。
実施例4:メランポジウムを補助蜜源植物として使用したレタスF1種子の採種試験
レタスのF1種子の採種において、メランポジウムを補助蜜源植物として使用する方法の実用性について評価するために、ガラス温室を用いて、採種試験を実施した。
花粉親として雄性可稔系統の「Vレタス」と、種子親として細胞質雄性不稔系統の「CMS Vレタス」をそれぞれ供試した。
レタスは、静岡県掛川市において、2016年2月10日に72穴プラグトレーに播種し、20℃設定の人工気象器(16時間日長)で育苗した。3月16日に実生苗を3号鉢(直径9cm)に移植し、無加温のガラス温室で育苗を継続した。4月11日に10号鉢に定植し、30℃設定のガラス温室で栽培した。また、補助蜜源植物として使用するメランポジウム、アルファルファは、レタスと同時期に同一環境、同一方法にて、播種、移植、定植し、栽培した。
メランポジウムとアルファルファの補助蜜源植物としての有用性を比較するため、静岡県掛川市にある同一環境の温室2室を使用した。各温室には、レタスの花粉親5株と種子親5株を、ガラス温室内に図2のように配置させた。メランポジウムとアルファルファは、それぞれの温室に、各4株を図2の蜜源植物の位置に配置した。
ただし、アルファルファは、結実すると結実にエネルギーが奪われ、開花を一時休止するため、レタスの開花が予想される2週間前に切り戻し、レタスの開花時期と合わせる必要があった。
アルファルファハキリバチは、使用するまで4℃の冷蔵庫で保存しておき、放飼日の23日前にリーフセルを、30℃設定の人工気象器に移し、羽化のためのインキュベーションを実施した。放飼は、6月28日、7月14日、8月5日の夕方に、2週間間隔で3回に分けて実施した。1回の放飼量は、リーフセルの容量として200ml(約250頭)とした。
雄性可稔系統のレタスは、結実すると開花が休止するため、花粉親は、6月27日に半量を切り戻し、その後7月11日、7月25日に2週間間隔で半量ずつを切り戻し、花粉親が連続開花するように工夫した。
第1花の開花から2か月後の8月25日に、種子親1株毎に種子の収穫を行った。収穫した種子は、精選し、種子親1株毎に種子重量を電子天秤により計量した。
結果は表4に示される通りであった。
Figure 0006783955
アルファルファを補助蜜源植物として使用した実験区Cでは、1株あたりの平均採種量は、5.5gとなった。メランポジウムを補助蜜源植物として使用した実験区Dでは、1株あたりの平均採種量は、12.3gとなり、アルファルファを使用した場合に比較して、2.2倍となった。
アルファルファを補助蜜源植物として使用した場合、アルファルファハキリバチは、アルファルファへの訪花選好性がレタスに比較して非常に高く、レタスが開花してもアルファルファへの訪花頻度が高いため、レタスの花粉の花粉親から種子親への送粉量が少なかったと考えられた。それに対して、メランポジウムを補助蜜源植物として使用した場合には、アルファルファハキリバチは、メランポジウムへの訪花選好性がレタスに比較して低いため、レタスの開花中は、アルファルファハキリバチのレタスへの訪花頻度は高く、レタスの花粉の花粉親から種子親への送粉量が多かったと考えられた。アルファルファハキリバチは、レタスの花が閉じた後には、メランポジウムを訪花し通常の採餌活動に移行していたため、補助蜜源植物として有効に機能していると考えられた。
レタスF1種子の採種量が2倍以上となる結果は、メランポジウムを補助蜜源植物として使用することで、生産コストを半分以下に削減できることを意味し、利用価値が非常に高いと考えられた。また、アルファルファは、一旦結実すると、花が止まるため、レタスの開花期に合わせて切り戻す作業が必要となるが、メランポジウムは、連続開花性が高く、切り戻しの作業が不要となる。したがって、メランポジウムを補助蜜源植物として利用する方法は、労力削減の面でもメリットが大きいと考えられた。
実施例5: トレニアを補助蜜源植物として使用したレタスF1種子の採種試験
レタスのF1種子の採種において、トレニアを補助蜜源植物として使用する方法の実用性について評価するために、ガラス温室を用いて、別途採種試験を実施した。
花粉親として雄性可稔系統の「Vレタス」と種子親として細胞質雄性不稔系統の「CMS Vレタス」を供試した。
レタスは、静岡県掛川市において、2017年4月16日に72穴プラグトレーに播種し、20℃設定の無加温のガラス温室で育苗した。
5月8日に実生苗を3号鉢(直径9cm)に移植し、無加温のガラス温室で育苗を継続した。5月29日に10号鉢に定植し、30℃設定のガラス温室で栽培した。また、補助蜜源植物として使用するトレニアは、レタスと同時期に同一環境、同一方法にて、播種、移植、定植し、栽培を行った。トレニアの補助蜜源植物としての有用性を調査するために、ガラス温室には、レタスの花粉親5株と種子親5株を、ガラス温室内に図3のように配置させた。
トレニアは、4株を図3の蜜源植物の位置に配置した。トレニアは、レタス種子親、花粉親合計8株に対して、4鉢を供試した。アルファルファハキリバチの放飼は、7月19日、8月2日、8月16日の夕方に、2週間間隔で3回に分けて実施した。1回の放飼量は、リーフセルの容量として200ml(約250頭)とした。雄性可稔系統のレタスは、結実すると開花が休止するため、花粉親は、7月21日に半量を切り戻し、その後8月4日、8月18日に2週間間隔で半量ずつを切り戻し、花粉親が連続開花するように工夫した。
第1花の開花から2か月後の9月19日に、種子親1株毎に種子の収穫を行った。収穫した種子は、精選し、種子親1株毎に種子重量を電子天秤により計量した。
結果は表5に示される通りであった。
Figure 0006783955
トレニアを補助蜜源植物として使用した実験区Eでは、1株あたりの平均採種量は、8.9gとなり、実施例4のアルファルファを使用した場合に比較して、1.6倍となった。メランポジウムを使用した場合に比較して、採種量は劣るが、トレニアも補助蜜源植物として利用できることを確認できた。




Claims (16)

  1. 花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用い、かつ
    花粉親Lactuca属植物と種子親Lactuca属植物に加えて、補助蜜源植物として、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種を用いて、Lactuca属植物の交配を行うことを含む、Lactuca属植物の種子の生産方法。
  2. Lactuca属植物の種子が、Lactuca属植物の雑種第一代種子(F1種子)である、請求項1に記載の方法。
  3. Lactuca属植物が、レタス(Lactuca sativa)である、請求項1または2に記載の方法。
  4. ハキリバチ属のハチが、アルファルファハキリバチである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 補助蜜源植物が、Lactuca属植物の閉花時にも開花する開花習性を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 補助蜜源植物として、Anthemi属植物、Coriandrum属植物、Hyssopus属植物、Monarda属植物、Nepeta 属植物、Pentapetes属植物、Salvia属植物、Erigeron属植物、Foeniculum 属植物、Melampodium属植物、Portulaca属植物、およびTorenia属植物からなる群より選択される1属以上を使用する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 補助蜜源植物として、ダイヤーズカモミール(Anthemis tinctoria)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、タイマツバナ(Monarda didyma)、イヌハッカ(Nepeta cataria)、ゴジカ(Pentapetes phoenicea)、サルビア・アズレア(Salvia azurea)、エリゲロン(Erigeron karvinskianus)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、メランポジウム(Melampodium paludosum)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、およびトレニア(Torenia fournieri) からなる群より選択される1種以上を使用する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 補助蜜源植物として、エリゲロン、フェンネル、メランポジウム、マツバボタン、およびトレニアからなる群より選択される1種以上を使用する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 補助蜜源植物として、メランポジウムおよびトレニアからなる群より選択される1種または2種を使用する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 補助蜜源植物として、メランポジウムを使用する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 花粉親Lactuca属植物が雄性可稔系統であり、かつ種子親Lactuca属植物が雄性不稔系統である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 花粉媒介手段としてハキリバチ属のハチを用いる、Lactuca属植物の交配方法であって、
    補助蜜源植物として、ハキリバチ属のハチが訪花選好性を有し、かつその訪花選好性がLactuca属植物と同等かそれよりも低い植物種を用いることを特徴とする方法。
  13. Lactuca属植物の交配が、Lactuca属植物の雑種第一代(F1)の種子を得るためのものである、請求項12に記載の方法。
  14. Lactuca属植物が、レタス(Lactuca sativa)である、請求項12または13に記載の方法。
  15. ハキリバチ属のハチが、アルファルファハキリバチである、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 補助蜜源植物が、Lactuca属植物の閉花時にも開花する開花習性を有するものである、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。




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