以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」の語は、図示する方向に基づいており便宜的なものである。
図1及び図2に示すように、コネクタアセンブリ100は、ハウジング2と、ハウジング2の上部2Aに着脱可能に組み付けられる上部カバー3と、ハウジング2と上部カバー3との間に配置される複数の第1の絶縁導体4と、ハウジング2の底部2Bに着脱可能に組み付けられる底部カバー6と、ハウジング2と底部カバー6との間に配置される複数の第2の絶縁導体7と、第1の絶縁導体4及び第2の絶縁導体7に接触して互いを電気的に接続する複数の電気接触端子16と、を備える。また、図18に示すように、コネクタアセンブリ100は、粘着力を有すると共に第1の絶縁導体4に沿って変形している上部粘弾性体110A,120と、粘着力を有すると共に第2の絶縁導体7に沿って変形可能な底部粘弾性体110B,130と、を備える。このうち、コネクタ1は、ハウジング2と、上部カバー3と、底部カバー6と、電気接触端子16と、上部粘弾性体110A,120と、底部粘弾性体110B,130と、を備えた部品として構成される。本実施形態に係るコネクタ1は、対応する複数の第1の絶縁導体4と複数の第2の絶縁導体7との間を電気的に接続するものである。複数の第1の絶縁導体4の束を「支線70」と称し、複数の第2の絶縁導体7の束を「幹線71」と称する。コネクタ1は、ハウジング2の底部2Bに配置される幹線71から、ハウジング2の上部2Aに配置される支線70へ分岐させることができる。なお、本実施形態では、支線70及び幹線71は、4本の絶縁導体4,7で構成されているものとする。ただし、絶縁導体4,7の本数は複数本であれば特に限定されない。
また、上部カバー3及び底部カバー6をハウジング2に組み付ける前段階におけるコネクタ1を、コネクタキット150と称する。コネクタキット150は、組み立て前段階におけるハウジング2と、ハウジング2の上部に着脱可能な上部カバー3と、ハウジング2の底部に着脱可能な底部カバー6と、粘着力を有すると共に第1の絶縁導体4に沿って変形可能な上部粘弾性体110A,120と、粘着力を有すると共に第2の絶縁導体7に沿って変形可能な底部粘弾性体110B,130と、を備える。コネクタキット150の状態におけるハウジング2、上部粘弾性体110A、及び底部粘弾性体110Bは、図3及び図4に示される。ただし、図3及び図4は展開図であるため、上部粘弾性体110A、及び底部粘弾性体110Bは、ハウジング2から離間している。コネクタキット150の出荷時においては、上部粘弾性体110A、及び底部粘弾性体110Bはハウジング2に取り付けられた状態となっている。コネクタキット150の状態における上部カバー3及び上部粘弾性体110Aは、図6(a)に示される。ただし、図6(a)は展開図であるため、上部粘弾性体120は、上部カバー3から離間している。コネクタキット150の出荷時においては、上部粘弾性体120は上部カバー3に取り付けられた状態となっている。コネクタキット150の状態における底部カバー6及び上部粘弾性体110Aは、図7に示される。ただし、図7は展開図であるため、底部粘弾性体130は、上部カバー3から離間している。コネクタキット150の出荷時においては、底部粘弾性体130は底部カバー6に取り付けられた状態となっている。
なお、本明細書中においては、支線70及び幹線71が水平方向に延びると共に、幹線71が下側に配置されて支線70が上側に配置されている状態(図1に示す状態)を基準として、「上」「下(底)」の語を用いる。ただし、コネクタ1の使用時においては、向きが限定されるものではない。また、説明のために、コネクタ1のハウジング2に対してXYZ座標系を設定して説明を行う。水平面内において互いに直交する「X軸方向」「Y軸方向」を定義すると共に、X軸方向及びY軸方向に直交する「Z軸方向」を定義する。請求項における「第1の方向」がX軸方向に該当し、「第2の方向」がY軸方向に該当し、「上下方向」がZ軸方向に該当するものとする。上側がZ軸方向正側であり、下側がZ軸方向負側であるものとする。すなわち、「上方」がZ軸正方向に該当し、「下方」がZ軸負方向に該当するものとする。
[ハウジング]
図3及び図4を参照して、ハウジング2の構成について説明する。ハウジング2は、ベース10と、第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12と、第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14と、複数の電気接触端子16と、複数の第1の溝17及び複数の第2の溝18と、を備えている。また、ハウジング2の上部主面10eには、上部粘弾性体110Aが配置される。ハウジング2の底部主面10fには、底部粘弾性体110Bが配置される。また、組み付け前のコネクタキット150の状態では、上部粘弾性体110Aの表面(ここでは上面)は剥離部材111Aで覆われ、底部粘弾性体110Bの表面(ここでは底面)は剥離部材111Bで覆われる。なお、各粘弾性体110A,110Bの詳細については後述する。
ベース10は、ハウジング2の基板として機能する矩形板状の部材である。ベース10は、X軸方向において互いに対向する第1の縁部10a及び第2の縁部10bと、Y軸方向において互いに対向する第3の縁部10c及び第4の縁部10dと、Z軸方向において互いに対向する上部主面10e及び底部主面10fと、を有する。第1の縁部10aはX軸正側の縁部であり、第2の縁部10bはX軸負側の縁部である。第3の縁部10cはY軸正側の縁部であり、第4の縁部10dはY軸負側の縁部である。第3の縁部10c及び第4の縁部10dは、第1の縁部10aと第2の縁部10bとの間でX軸方向に沿って延びる。ベース10は、X軸方向に沿った長さと、Y軸方向に沿った幅と、を有する。
第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12は、ベース10の上部主面10eから上方へ延びて、上部主面10eを挟んで第1の対向方向に対向する。第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14は、ベース10の底部主面10fから下方へ延びて、底部主面10fを挟んで第2の対向方向に対向する。各端壁11,12,13,14は、矩形板状をなしている。本実施形態では、第1の対向方向と第2の対向方向は一致しており、いずれもX軸方向である。従って、第1の上部端壁11と第1の底部端壁13とは、上下方向に連続した第1の端壁15として構成される。第2の上部端壁12と第2の底部端壁14とは、上下方向に連続した第2の端壁19として構成される。各端壁11,12,13,14の位置関係については、後述する。
第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12には、第1の上部開口部21及び第2の上部開口部22が形成される。第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14には、第1の底部開口部23及び第2の底部開口部24が形成される。開口部21,22,23,24は、ベース10のY軸方向における中央位置に形成される、矩形状の貫通孔(X軸方向へ貫通する)によって構成される。ただし、開口部21,22,23,24はY軸方向における中央位置に形成されていなくともよく、当該中央位置からずれた位置に形成されてもよい。また、開口部21,22,23,24は矩形状でなくともよく、形状は特に限定されない。本実施形態では、ベース10の第1の縁部10aが切欠かれることにより、第1の上部開口部21及び第1の底部開口部23が連続する。すなわち、第1の端壁15に長方形状の第1の開口部26が形成される。ただし、開口部21,23は連続していなくともよい。ベース10の第2の縁部10bが切欠かれることにより、第2の上部開口部22及び第2の底部開口部24が連続する。すなわち、第2の端壁19に長方形状の第2の開口部27が形成される。ただし、開口部22,24は連続していなくともよい。なお、開口部21,22,23,24は、各端壁を完全に貫通する貫通孔によって構成されていなくともよく、例えば、端壁の外側の面まで貫通しない有底の溝部によって構成されていてもよい。
第1の上部開口部21及び第2の上部開口部22の上縁は、上部カバー3の係合部と係止するための被係合部21a,22aとして構成される。被係合部21a,22aの上方には、上部端壁11,12の上端部を切り欠くことによってX軸方向内側へ向って下方へ傾斜する傾斜面11a,12aが形成される。第1の底部開口部23及び第2の底部開口部24の上縁は、底部カバー6の係合部と係止するための被係合部23a,24aとして構成される。被係合部23a,24aの下方には、底部端壁13,14の下端部を切り欠くことによってX軸方向内側へ向って上方へ傾斜する傾斜面13a,14aが形成される。底部端壁13,14の外面には、Y軸方向へ延びる突出部によって構成される目印28が形成される。
複数の第1の溝17は、上部主面10eに設けられ、複数の第1の絶縁導体4を各々受容する。複数の第1の溝17は、上部主面10eにおける第3の縁部10c及び第4の縁部10dに設けられている。具体的には、ベース10の第3の縁部10c及び第4の縁部10dには、上方に延びる上側段差部31,32が形成される。上側段差部31,32は、X軸方向における両端部が、第1の縁部10a及び第2の縁部10bからX軸方向内側へ離間した位置に配置される。複数の第1の溝17は、上側段差部31,32の上面を円弧状に切り欠くことによって形成される。複数の第1の溝17は、Y軸方向に沿って延びると共に、X軸方向に等間隔に並設されている。第1の溝17は、上側段差部31,32にのみ形成されている。すなわち、上部主面10eのうち、上側段差部31,32の間の領域には第1の溝17は形成されない。これによって、第1の溝17は、溝長さ方向(Y軸方向)に沿って不連続になる。上側段差部31の複数の第1の溝17と上側段差部32の複数の第1の溝17とは、X軸方向において互いに対応した位置に配置されている。従って、Y軸方向からみた場合、上側段差部31の複数の第1の溝17は、上側段差部32の複数の第1の溝17と重なるように配置される。ただし、第1の溝17は、溝長さ方向(Y軸方向)に沿って連続していてもよい。
複数の第2の溝18は、底部主面10fに設けられ、複数の第2の絶縁導体7を各々受容する。複数の第2の溝18は、底部主面10fにおける第3の縁部10c及び第4の縁部10dに設けられている。具体的には、ベース10の第3の縁部10c及び第4の縁部10dには、下方に延びる下側段差部33,34が形成される。下側段差部33,34は、X軸方向における両端部が、第1の縁部10a及び第2の縁部10bからX軸方向内側へ離間した位置に配置される。複数の第2の溝18は下側段差部33,34の上面を円弧状に切り欠くことによって形成される。複数の第2の溝18は、Y軸方向に沿って延びると共に、X軸方向に等間隔に並設されている。第2の溝18は、下側段差部33,34にのみ形成されている。すなわち、底部主面10fのうち、下側段差部33,34の間の領域には第2の溝18は形成されない。これによって、第2の溝18は、溝長さ方向(Y軸方向)に沿って不連続になる。下側段差部33の複数の第2の溝18と下側段差部34の複数の第2の溝18とは、X軸方向において互いに対応した位置に配置されている。従って、Y軸方向からみた場合、下側段差部33の複数の第2の溝18は、下側段差部34の複数の第2の溝18と重なるように配置される。ただし、第2の溝18は、溝長さ方向(Y軸方向)に沿って連続していてもよい。
複数の第1の溝17及び複数の第2の溝18とは、互いに対応する位置に形成されている。具体的には、複数の第1の溝17と第2の溝18とは、ベース10を挟んで面対称な位置関係にある。Z軸方向から見た場合、上側段差部31,32に形成される複数の第1の溝17は、下側段差部33,34に形成される複数の第2の溝18と重なるように配置される。
複数の電気接触端子16は、第1の溝17及び第2の溝18に対応して設けられると共に、第1の溝17に受容された第1の絶縁導体4及び第2の溝18に受容された第2の絶縁導体7に接触して互いを電気的に接続する導電性の部材である。図8に示すように、電気接触端子16は、第1の溝17及び第2の溝18と対応する位置においてベース10に埋設される中央部36と、中央部36の上端から上方へ延びる第1の接続部37と、中央部36の下端から下方へ延びる第2の接続部38と、を備える。第1の接続部37は、第1の溝17に受容された第1の絶縁導体4と電気的に接続可能である。第2の接続部38は、第2の溝18に受容された第2の絶縁導体7と電気的に接続可能である。複数の電気接触端子16は、ベース10のY軸方向における中央領域に、各溝17,18に対応するようにX軸方向に並設される。複数の電気接触端子16は、千鳥状に配置されている。すなわち、複数の電気接触端子16のうちの一つの電気接触端子16がベース10のY軸方向における中央位置よりもY軸負側に配置されている場合、それとX軸方向において隣り合う電気接触端子16は、Y軸方向における中央位置よりもY軸正側に配置される。なお、複数の電気接触端子16は、千鳥状に配置されていなくともよく、X軸方向に沿って一直線に並ぶように配置されていてもよく、X軸方向に対して傾斜する方向へ斜め一直線に並ぶように配置されていてもよい。
電気接触端子16は、金属板を所定の形状に加工することによって構成されており、実質的に平面状に構成されている。第1の接続部37は、中央部36から上方へ延びる一対の刃部37a,37aによって構成されている。刃部37a,37a同士の間には上方へ延びる隙間37bが形成される。刃部37a,37aは、隙間37bの部分において第1の絶縁導体4の被覆を除去する機能を有する。すなわち、上部カバー3で上方から押圧された第1の絶縁導体4は、隙間37bに入り込むと共に刃部37a,37aで被覆が部分的に切断される。これによって、刃部37a,37aと第1の絶縁導体4の導体4aが接触する。第2の接続部38は、中央部36から下方へ延びる一対の刃部38a,38aによって構成されている。刃部38a,38a同士の間には下方へ延びる隙間38bが形成される。刃部38a,38aは、隙間38bの部分において第2の絶縁導体7の被覆を除去する機能を有する。すなわち、底部カバー6で下方から押圧された第2の絶縁導体7は、隙間38bに入り込むと共に刃部38a,38aで被覆が部分的に切断される。これによって、刃部38a,38aと第2の絶縁導体7の導体7aが接触する。これによって、第1の絶縁導体4の導体4aと第2の絶縁導体7の導体7aとが、電気接触端子16を介して電気的に接続される。なお、第1の絶縁導体4の導体4aよりも第2の絶縁導体7の導体7aの径が太い場合、第1の接続部37の隙間37bの大きさよりも第2の接続部38の隙間38bの大きさが大きくなる。ただし、第1の接続部37の隙間37bの大きさよりも第2の接続部38の隙間38bの大きさが小さくてもよく、同じであってもよい。
図3に示すように、上部主面10eを上方から下方へ向かって(すなわちZ軸負方向へ向かって)見た場合、上部主面10eに設定された上部対称点CP1を基準として、少なくとも第1の上部端壁11と第2の上部端壁12とが点対称をなす。本実施形態では、上部対称点CP1がベース10の上部主面10eの中央位置(X軸方向における中心線とY軸方向における中心線が交差する点)に設定される。従って、ハウジング2の上部2A全体が上部対称点CP1を基準として点対称をなしている。すなわち、ベース10の形状、複数の第1の溝17、及び複数の電気接触端子16の形状及び配置が上部対称点CP1を基準として点対称をなしている。なお、ここでの「点対称」とは、全ての形状が完全に点対称になっている必要はなく、例えばベース10や上部端壁11,12に(コネクタとしての機能に影響がない)リブや穴などが形成されていた場合は、それらの構造を無視してよい。なお、以降の説明において「点対称」という語を用いた場合は、同様に、リブや穴などのコネクタとしての性能に影響を及ぼさない構造については無視してよい。なお、少なくとも上部端壁11,12が点対称であればよく、例えばベース10の形状や電気接触端子16の配置によっては、それらは点対称でなくともよい。以下の部品においても同様である。
図4に示すように、底部主面10fを下方から上方へ向かって(すなわちZ軸正方向へ向かって)見た場合、底部主面10fに設定された底部対称点CP2を基準として、少なくとも第1の底部端壁13と第2の底部端壁14とが点対称をなす。本実施形態では、底部対称点CP2がベース10の底部主面10fの中央位置(X軸方向における中心線とY軸方向における中心線が交差する点)に設定される。従って、ハウジング2の底部2B全体が底部対称点CP2を基準として点対称をなしている。すなわち、ベース10の形状、複数の第2の溝18、及び複数の電気接触端子16の形状及び配置が底部対称点CP2を基準として点対称をなしている。
本実施形態では、上部対称点CP1及び底部対称点CP2は、いずれもベース10の中央位置に設定されており、上下方向から見て対称点CP1,CP2は互いに重なる位置に設定されている。従って、ハウジング2には、X軸方向及びY軸方向と直交する一本の対称軸SL1を設定することができる。対称軸SL1は、上部対称点CP1及び底部対称点CP2を通過する。ここでの「対称軸」とは、ハウジング2を,当該対称軸のまわりに180°回転したとき,回転前の形状と重なり合うような関係が成り立つ軸をいう。対称軸SL1は、ハウジング2に対して設定される仮想面SP1と仮想面SP2とが交差する部分に形成される仮想的な線である。仮想面SP1は、ハウジング2をY軸方向における中央位置で分断する、Y軸と直交するように広がる面である。仮想面SP2は、ハウジング2をX軸方向における中央位置で分断する、X軸と直交するように広がる面である。
次に、図9を参照して、ハウジング2の上部2Aの点対称構造について、より詳細に説明する。図9は、上部主面10eを上方から下方へ向かって(すなわちZ軸負方向へ向かって)見た上部2Aの様子を示す概略図である。図9に示すように、第1の上部端壁11のY軸方向に沿った長さは、ベース10の第1の縁部10aの長さよりも短い。第2の上部端壁12のY軸方向に沿った長さは、ベース10の第2の縁部10bの長さよりも短い。第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12は、いずれも第3の縁部10c及び第4の縁部10dに達していない。すなわち、上部端壁11,12のY軸方向における両端部は、それぞれ縁部10c,10dから離間している。
第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12は、X軸方向において互いに重なり合う部分である共通部11A,12Aを有する。共通部11A,12Aの寸法は寸法A1である。第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12は、Y軸方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の上部オフセット部11B及び第2の上部オフセット部12Bをそれぞれ有する。第1の上部オフセット部11Bのオフセット量と第2の上部オフセット部12Bのオフセット量は同じであり、いずれも寸法B1である。第1の上部オフセット部11B及び第2の上部オフセット部12Bは、上部対称点CP1に対する時計回りの方向を基準としてオフセットしている。なお、「オフセット量」とは、第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12のうち、共通部11A,12AよりもY軸方向における何れか一方にはみ出た部分(すなわちオフセット部)の、Y軸方向に沿った寸法である。以降の、底部端壁13,14、及び溝部43,44,53,54の「オフセット量」も同趣旨である。
上部対称点CP1に対して時計回りの方向を設定した場合、上部対称点CP1よりもX軸正側の領域(第1の縁部10a側の領域)においては、Y軸負方向(第3の縁部10cから第4の縁部10dへ向かう方向)への方向成分が生じる。従って、当該領域に配置されている第1の上部端壁11は、Y軸負方向へオフセットする。第1の上部オフセット部11Bは、共通部11AからY軸負方向へ寸法B1だけ突出する。従って、第1の上部端壁11は、第3の縁部10cに比して第4の縁部10dに近い位置に配置される。一方、上部対称点CP1に対して時計回りの方向を設定した場合、上部対称点CP1よりもX軸負側の領域(第2の縁部10b側の領域)においては、Y軸正方向(第4の縁部10dから第3の縁部10cへ向かう方向)への方向成分が生じる。従って、当該領域に配置されている第2の上部端壁12は、Y軸正方向へオフセットする。第2の上部オフセット部12Bは、共通部12AからY軸正方向へ寸法B1だけ突出する。従って、第2の上部端壁12は、第4の縁部10dに比して第3の縁部10cに近い位置に配置される。
上述のような構成により、図9(a)と図9(b)を比較すれば分かるように、ハウジング2を上部対称点CP1周りに180°回転させた場合の、上部2Aの見た目は同一となる。
次に、図10を参照して、ハウジング2の底部2Bの点対称構造について、より詳細に説明する。図10は、底部主面10fを下方から上方へ向かって(すなわちZ軸正方向へ向かって)見た底部2Bの様子を示す概略図である。図10に示すように、第1の底部端壁13のY軸方向に沿った長さは、ベース10の第1の縁部10aの長さよりも短い。第2の底部端壁14のY軸方向に沿った長さは、ベース10の第2の縁部10bの長さよりも短い。第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14は、いずれも第3の縁部10c及び第4の縁部10dに達していない。すなわち、底部端壁13,14のY軸方向における両端部は、それぞれ縁部10c,10dから離間している。
第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14は、X軸方向において互いに重なり合う部分である共通部13A,14Bを有する。共通部13A,14Bの寸法は寸法A2である。第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14は、Y軸方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の底部オフセット部13B及び第2の底部オフセット部14Bをそれぞれ有する。第1の底部オフセット部13Bのオフセット量と第2の底部オフセット部14Bのオフセット量は同じであり、いずれも寸法B2である。第1の底部オフセット部13B及び第2の底部オフセット部14Bは、底部対称点CP2に対する反時計回りの方向を基準としてオフセットしている。なお、本実施形態では、オフセット量である寸法B2は、上部2A側のオフセット量である寸法B1と同一である。また、共通部13A,14Bの寸法A2も、上部2A側の共通部11A,12Aの寸法A1と同一である。ただし、寸法B2は寸法B1と異なっていてもよく、寸法A2も寸法A1と異なっていてよい。
底部対称点CP2に対して反時計回りの方向を設定した場合、底部対称点CP2よりもX軸正側の領域(第1の縁部10a側の領域)においては、Y軸正方向(第4の縁部10dから第3の縁部10cへ向かう方向)への方向成分が生じる。従って、当該領域に配置されている第1の底部端壁13は、Y軸正方向へオフセットする。第1の底部オフセット部13Bは、共通部13AからY軸正方向へ寸法B2だけ突出する。従って、第1の底部端壁13は、第4の縁部10dに比して第3の縁部10cに近い位置に配置される。一方、底部対称点CP2に対して反時計回りの方向を設定した場合、底部対称点CP2よりもX軸負側の領域(第2の縁部10b側の領域)においては、Y軸負方向(第3の縁部10cから第4の縁部10dへ向かう方向)への方向成分が生じる。従って、当該領域に配置されている第2の底部端壁14は、Y軸負方向へオフセットする。第2の底部オフセット部14Bは、共通部14AからY軸負方向へ寸法B2だけ突出する。従って、第2の底部端壁14は、第3の縁部10cに比して第4の縁部10dに近い位置に配置される。
上述のような構成により、図10(a)と図9(b)を比較すれば分かるように、ハウジング2を底部対称点CP2周りに180°回転させた場合の、底部2Bの見た目は同一となる。
[上部カバー]
図5及び図6を参照して上部カバー3の構成について説明する。なお、上部カバー3は、ハウジング2から独立して移動可能である。従って、説明のために、ハウジング2に対して設定されたXYZ座標とは異なる座標系を上部カバー3に対して設定する。水平面内において互いに直交する「X1軸方向」「Y1軸方向」を定義すると共に、X1軸方向及びY1軸方向に直交する「Z1軸方向」を定義する。上部カバー3は、ハウジング2の上部2Aに着脱可能に組み付けられるカバー部材である。上部カバー3は、第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12と着脱可能に係合する。上部カバー3は、上壁40と、互いに対向する第1の上部カバー側壁41及び第2の上部カバー側壁42と、を備える。また、上部カバー3の底面40fには、上部粘弾性体120が配置される。上部粘弾性体120の表面(ここでは下面)は剥離部材121で覆われる。なお、上部粘弾性体120の詳細については後述する。
上壁40は、上部カバー3の基板として機能する矩形板状の部材である。上壁40は、X1軸方向において互いに対向する第1の縁部40a及び第2の縁部40bと、Y軸方向において互いに対向する第3の縁部40c及び第4の縁部40dと、Z軸方向において互いに対向する上面40e及び底面40fと、を有する。第1の縁部40aはX1軸正側の縁部であり、第2の縁部40bはX1軸負側の縁部である。第3の縁部40cはY1軸正側の縁部であり、第4の縁部40dはY1軸負側の縁部である。第3の縁部40c及び第4の縁部40dは、第1の縁部40aと第2の縁部40bとの間でX1軸方向に沿って延びる。上壁40は、X1軸方向に沿った長さと、Y1軸方向に沿った幅と、を有する。
第1の上部カバー側壁41及び第2の上部カバー側壁42は、上壁40の底面40fから下方へ延びて、底面40fを挟んでX1軸方向に対向する。第1の上部カバー側壁41及び第2の上部カバー側壁42は、ハウジング2の第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12を受容する上部カバー溝部43,44をそれぞれ有する。上部カバー溝部43,44は、上部端壁11,12と対応する形状を有している。
第1の上部カバー側壁41及び第2の上部カバー側壁42は、ハウジング2の第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12に設けられた被係合部21a,22aに着脱可能に係合する係合部41a,42aをそれぞれ有する。係合部41a,42aは、被係合部21a,22aである開口部21,22の上縁と係合するラッチ部によって構成されている。係合部41a,42aは、上部カバー溝部43,44の側面43a,44aに形成されている。また、係合部41a,42aの下方であって、側面43a,44aの下縁には、上部カバー3をハウジング2に仮止めするための一対の突起部46,47がそれぞれ形成されている。この突起部46,47は、上部カバー3をハウジング2に押圧する前段階において、上部端壁11,12の被係合部21a,22aと当接して支持することによって、仮止めを行うものである(図8参照)。
上部カバー3の底面40fには、複数の第1の絶縁導体4を各々受容する複数の溝48が形成されている。溝48は、縁部40c,40dとの間でY1軸方向に沿って略全域にわたって延びている。各溝48には、上部カバー3をハウジングに取り付けたときに、電気接触端子16の刃部37aとの干渉を避けるための穴49が形成されている。また、穴49には、第1の絶縁導体4を刃部37aの隙間に37bに挿入する際の支えのための突起部49aが設けられている(図8参照)。また、底面40fには、溝48に収納された状態の第1の絶縁導体4を上部カバー3に保持するためのフック61が設けられている。
このような構成により、上部カバー3に保持された第1の絶縁導体4は、カバー3の第4の縁部40dの開口部分から引き出される。一方、第3の縁部40c側には、第1の絶縁導体4の端部を当接させることによって引き出しを規制する規制部62が設けられている。規制部62は、第3の縁部40cの開口部分に対してY1軸正方向に離間する壁状部材によって構成されている。なお、規制部62と第3の縁部40cとの間にはスリット63が形成されている。当該スリット63は、上部カバー3に保持された第1の絶縁導体4の状態を確認するための覗き窓として機能する。また、図13に示すように、規制部62はスリット63の部分で容易に切断することができる。従って、規制部62を除去することによって第1の絶縁導体4を、上部カバー3の両側から引き出してもよい。
上部カバー3には、上壁40の中央位置に設定された対称点CP3、及び対称点CP3を通過すると共にX1軸及びY1軸方向に直交する対称軸SL2が設定される。上面40eを上方から下方へ向かって(すなわちZ1軸正方向へ向かって)見た場合、上面40eに設定された対称点CP3を基準として、少なくとも上部カバー溝部43,44が点対称をなす。本実施形態では、上部カバー3全体が対称点CP3を基準として点対称をなしている。ただし、ここでの「点対称」とは、ハウジング2と上部カバー3との組み付けに関係のない、規制部62及びスリット63の構造は無視している。
次に、図9を参照して、上部カバー3の点対称構造について、より詳細に説明する。図9は、上面40eを上方から下方へ向かって(すなわちZ1軸負方向へ向かって)見た様子を示す概略図である。第1の上部カバー溝部43及び第2の上部カバー溝部44は、X1軸方向において互いに重なり合う部分である共通部43A,44Aを有する。共通部43A,44Aの寸法は寸法A1である。第1の上部カバー溝部43及び第2の上部カバー溝部44は、Y1軸方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の上部オフセット部43B及び第2の上部オフセット部44Bをそれぞれ有する。第1の上部オフセット部43Bのオフセット量と第2の上部オフセット部44Bのオフセット量は同じであり、いずれも寸法B1である。第1の上部オフセット部43B及び第2の上部オフセット部44Bは、上部対称点CP3に対する時計回りの方向を基準としてオフセットしている。第1の上部カバー溝部43は、Y1軸負方向へオフセットする。従って、第1の上部オフセット部43Bは、共通部43AからY1軸負方向へ寸法B1だけ延びる。第1の上部カバー溝部43は、第3の縁部40cに比して第4の縁部40dに近い位置に配置される。一方、第2の上部カバー溝部44は、Y1軸正方向へオフセットする。従って、第2の上部オフセット部44Bは、共通部44AからY1軸正方向へ寸法B1だけ延びる。第2の上部カバー溝部44は、第4の縁部40dに比して第3の縁部40cに近い位置に配置される。
上述のような構成により、図9(a)と図9(b)を比較すれば分かるように、上部カバー3を上部対称点CP3周りに180°回転させた場合の見た目は同一となる。
[底部カバー]
図7を参照して底部カバー6の構成について説明する。なお、底部カバー6は、ハウジング2から独立して移動可能である。従って、説明のために、ハウジング2に対して設定されたXYZ座標とは異なる座標系を底部カバー6に対して設定する。水平面内において互いに直交する「X2軸方向」「Y2軸方向」を定義すると共に、X2軸方向及びY2軸方向に直交する「Z2軸方向」を定義する。底部カバー6は、ハウジング2の底部2Bに着脱可能に組み付けられるカバー部材である。底部カバー6は、第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14と着脱可能に係合する。底部カバー6は、底壁50と、互いに対向する第1の底部カバー側壁51及び第2の底部カバー側壁52と、を備える。また、底部カバー6の上面50eには、底部粘弾性体130が配置される。底部粘弾性体130の表面(ここでは上面)は剥離部材131で覆われる。なお、底部粘弾性体130の詳細については後述する。
底壁50は、底部カバー6の基板として機能する矩形板状の部材である。底壁50は、X2軸方向において互いに対向する第1の縁部50a及び第2の縁部50bと、Y2軸方向において互いに対向する第3の縁部50c及び第4の縁部50dと、Z2軸方向において互いに対向する上面50e及び底面50fと、を有する。第1の縁部50aはX2軸正側の縁部であり、第2の縁部50bはX2軸負側の縁部である。第3の縁部50cはY2軸正側の縁部であり、第4の縁部50dはY2軸負側の縁部である。第3の縁部50c及び第4の縁部50dは、第1の縁部50aと第2の縁部50bとの間でX2軸方向に沿って延びる。底壁50は、X2軸方向に沿った長さと、Y2軸方向に沿った幅と、を有する。
第1の底部カバー側壁51及び第2の底部カバー側壁52は、底壁50の上面50eから上方へ延びて、上面50eを挟んでX2軸方向に対向する。第1の底部カバー側壁51及び第2の底部カバー側壁52は、ハウジング2の第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14を受容する底部カバー溝部53,54をそれぞれ有する。底部カバー溝部53,54は、底部端壁13,14と対応する形状を有している。
第1の底部カバー側壁51及び第2の底部カバー側壁52は、ハウジング2の第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14に設けられた被係合部23a,24aに着脱可能に係合する係合部51a,52aをそれぞれ有する。係合部51a,52aは、被係合部23a,24aである開口部23,24の上縁と係合するラッチ部によって構成されている。係合部51a,52aは、底部カバー溝部53,54の側面53a,54aに形成されている。また、係合部51a,52aの上方であって、側面53a,54aの上縁には、底部カバー6をハウジング2に仮止めするための一対の突起部56,57がそれぞれ形成されている。この突起部56,57は、底部カバー6をハウジング2に押圧する前段階において、底部端壁13,14の被係合部23a,24aと当接して支持することによって、仮止めを行うものである(図8参照)。
底部カバー6の上面50eには、複数の第2の絶縁導体7を各々受容する複数の溝58が形成されている。溝58は、縁部50c,50dとの間でY2軸方向に沿って略全域にわたって延びている。なお、上部カバー3と底部カバー6をハウジング2に組み付けたコネクタアセンブリ100の状態においては、上部カバー3及び底部カバー6は、上部カバー3と底部カバー6との間に設定される対称面を基準として、互いに面対称となる構成を有する(面対称の構成の詳細については後述する)。従って、底部カバー6の上面50eの構成は、上部カバー3の底面40fと同趣旨の構成を有しているため、説明を省略する。ただし、底部カバー6は、規制部を有していない。また、底部カバー6のX2軸方向における外面には、目印69が形成されている。
底部カバー6には、底壁50の中央位置に設定された対称点CP4、及び対称点CP4を通過すると共にX2軸及びY2軸方向に直交する対称軸SL3が設定される。底面50fを下方から上方へ向かって(すなわちZ2軸正方向へ向かって)見た場合、底面50fに設定された対称点CP4を基準として、少なくとも底部カバー溝部53,54が点対称をなす。本実施形態では、底部カバー6全体が対称点CP4を基準として点対称をなしている。
次に、図10を参照して、底部カバー6の点対称構造について、より詳細に説明する。図10は、底面50fを下方から上方へ向かって(すなわちZ2軸正方向へ向かって)見た様子を示す概略図である。第1の底部カバー溝部53及び第2の底部カバー溝部54は、X2軸方向において互いに重なり合う部分である共通部53A,54Aを有する。共通部53A,54Aの寸法は寸法A2である。第1の底部カバー溝部53及び第2の底部カバー溝部54は、Y2軸方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の底部オフセット部53B及び第2の底部オフセット部54Bをそれぞれ有する。第1の底部オフセット部53Bのオフセット量と第2の底部オフセット部54Bのオフセット量は同じであり、いずれも寸法B2である。第1の底部オフセット部53B及び第2の底部オフセット部54Bは、底部対称点CP4に対する反時計回りの方向を基準としてオフセットしている。第1の底部カバー溝部53は、Y2軸正方向へオフセットする。従って、第1の底部オフセット部53Bは、共通部53AからY2軸正方向へ寸法B2だけ延びる。第1の底部カバー溝部53は、第4の縁部50dに比して第3の縁部50cに近い位置に配置される。一方、第2の底部カバー溝部54は、Y2軸負方向へオフセットする。第2の底部オフセット部54Bは、共通部54AからY2軸負方向へ寸法B2だけ延びる。従って、第2の底部カバー溝部54は、第3の縁部50cに比して第4の縁部50dに近い位置に配置される。
上述のような構成により、図10(a)と図10(b)を比較すれば分かるように、底部カバー6を上部対称点CP4周りに180°回転させた場合の見た目は同一となる。
上部カバー3と底部カバー6をハウジング2に組み付けたコネクタアセンブリ100の状態においては、図1に示すように、上部カバー3及び底部カバー6は、上部カバー3と底部カバー6との間に設定される対称面SP3を基準として、互いに面対称となる構成を有する。図1の構造においては、ハウジング2のベース10をZ軸方向における中央位置で分断してZ軸と直交するように広がる仮想面が、対称面SP3として設定される。コネクタアセンブリ100においては、ハウジング2の対称軸SL1と、上部カバー3の対称軸SL2と、底部カバー6の対称軸SL3とが一致するように、各部品が配置される。従って、対称面SP3は、対称軸SL1,SL2,SL3と直交するように広がる。なお、ここでの「面対称」とは、上部カバー3と底部カバー6の全ての形状が完全に点対称になっている必要はなく、例えば上壁40及び底壁50やカバー側壁41,42,51,52に(コネクタとしての機能に影響がない)リブや穴などが形成されていた場合は、それらの構造を無視してよい。なお、少なくとも上部カバー側壁41,42と底部カバー側壁51,52とが面対称であればよく、例えば上壁40及び底壁50の形状などによっては、それらは面対称でなくともよい。
次に、図9〜図12を参照して、コネクタ1の組み付け性について説明する。
図9に示すように、ハウジング2の上部主面10eを上方から下方へ向かって(すなわちZ軸負方向へ向かって)見た場合、上部主面10eに設定された上部対称点CP1を基準として、少なくとも第1の上部端壁11と第2の上部端壁12とが点対称をなす。また、上部カバー3の上面40eを上方から下方へ向かって(すなわちZ1軸正方向へ向かって)見た場合、上面40eに設定された対称点CP3を基準として、少なくとも第1の上部カバー溝部43,44が点対称をなす。従って、上部カバー溝部43が第1の上部端壁11を受容すると共に、第2の上部カバー溝部44が第2の上部端壁12を受容した状態で、上部カバー3をハウジング2の上部2Aに組み付けることができる。また、上部カバー溝部43が第2の上部端壁12を受容すると共に、第2の上部カバー溝部44が第1の上部端壁11を受容した状態で、上部カバー3をハウジング2の上部2Aに組み付けることもできる。従って、ハウジング2と上部カバー3との向きによらず、上部カバー3をハウジング2の上部2Aに組み付けることができるため、作業者は向きを気にすることなく取付作業を行うことができる。
図10に示すように、ハウジング2は、底部主面10fを下方から上方へ向かって(すなわちZ軸正方向へ向かって)見た場合、底部主面10fに設定された底部対称点CP2を基準として、少なくとも第1の底部端壁13と第2の底部端壁14とが点対称をなす。また、底面50fを下方から上方へ向かって(すなわちZ2軸正方向へ向かって)見た場合、底面50fに設定された対称点CP4を基準として、少なくとも底部カバー溝部53,54が点対称をなす。従って、底部カバー溝部53が第1の底部端壁13を受容すると共に、第2の底部カバー溝部54が第2の底部端壁14を受容した状態で、底部カバー6をハウジング2の底部2Bに組み付けることができる。また、底部カバー溝部53が第2の底部端壁14を受容すると共に、第2の底部カバー溝部54が第1の底部端壁13を受容した状態で、底部カバー6をハウジング2の底部2Bに組み付けることもできる。従って、ハウジング2と底部カバー6との向きによらず、底部カバー6をハウジング2の底部2Bに組み付けることができるため、作業者は向きを気にすることなく取付作業を行うことができる。従って、作業効率が向上する。
また、第1の上部端壁11及び第2の上部端壁12は、Y軸方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の上部オフセット部11B及び第2の上部オフセット部12Bをそれぞれ有する。第1の底部端壁13及び第2の底部端壁14は、Y軸方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の底部オフセット部13B及び第2の底部オフセット部14Bをそれぞれ有する。ここで、第1の上部オフセット部11B及び第2の上部オフセット部12Bは、上部対称点CP1に対する時計回りの方向を基準としてオフセットしている。その一方、第1の底部オフセット部13B及び第2の底部オフセット部14Bは、底部対称点CP2に対する反時計回りの方向を基準としてオフセットしている。このような構成により、図11(a)に示すように、ハウジング2の上部2Aに対して底部カバー6を取り付けようとした場合、上部オフセット部11B,12Bが底部カバー6の縁部50a,50b(底部オフセット部53B,54Bのオフセット方向とは反対側の部分であり、図中Tで示す部分)と干渉する。従って、作業者がハウジング2の上部2Aに対して底部カバー6を誤って組み付けることを防止できる。また、図11(b)に示すように、ハウジング2の底部2Bに対して上部カバー3を取り付けようとした場合、底部オフセット部13B,14Bが上部カバー3の縁部40a,40b(上部オフセット部43B,44Bのオフセット方向とは反対側の部分であり、図中Tで示す部分)と干渉する。従って、作業者がハウジング2の底部2Bに対して上部カバー3を誤って組み付けることを防止できる。従って、作業者は、誤組み付けに対して注意を払う必要がなくなるため、作業効率が向上する。
本実施形態に係るコネクタ1では、上部カバー3に対する支線70の取り付け向き、及び底部カバー6に対する幹線71の取り付け向きに関しても、作業者が注意を払う必要が無くなる。例えば、図12に示すように、作業者が複数の第2の絶縁導体7のうち、色付き(図中、グレースケールで示す第2の絶縁導体7)のものが、X軸負側に配置されるように、底部カバー6及び幹線71を組み付けた場合を考慮する。この場合、色付きの第2の絶縁導体7に対して、色付きの第1の絶縁導体4が電気的に接続されるように、支線70をハウジング2に組み付ける必要がある。しかし、作業者は、支線70を上部カバー3に取り付ける際は、どのような向きで支線70を組み付けてもよい。例えば、色付きの第1の絶縁導体4が、上部カバー3の第1の縁部40a側に配置された場合であっても、第2の縁部40b側に配置された場合であっても、上部カバー3をハウジング2に組み付ける時に上部カバー3を回転させて、正しい方向に調整して組付ければよい。すなわち、作業者は、底部カバー6に幹線71を組み付ける時、底部カバー6をハウジング2に組み付ける時、及び上部カバー3に支線70を組み付ける時には、向きに注意を払う必要はなく、最終的に上部カバー3をハウジング2に組み付ける時にだけ、色付きの絶縁導体4,7を見て、組み付ける向きに注意を払えばよい。以上より、作業の煩わしさ、及び組み付け方向を判断する作業を減少させることができるため、作業効率が向上する。
以上説明したように、本発明の一側面に係るコネクタは、対応する複数の第1の絶縁導体と複数の第2の絶縁導体との間を電気的に接続するコネクタであって、コネクタはハウジングを備え、ハウジングは、互いに対向する第1の縁部と第2の縁部との間で第1の方向に沿った長さと、第1の方向と直交する第2の方向に沿った幅と、を有するベースと、第1の縁部及び第2の縁部の各々から、上下方向に延びる第1の端壁及び第2の端壁と、ベースの互いに対向する上部主面及び底部主面に設けられ、複数の第1の絶縁導体及び複数の第2の絶縁導体を各々受容する複数の第1の溝及び複数の第2の溝と、第1の溝及び第2の溝に対応して設けられると共に、第1の溝に受容された第1の絶縁導体及び第2の溝に受容された第2の絶縁導体に接触して互いを電気的に接続する複数の電気接触端子と、を備え、ハウジングには、第1の方向及び第2の方向と直交する対称軸が設定される。
このような側面においては、ハウジングは、上下方向に延びる第1の端壁及び第2の端壁と、複数の第1の絶縁導体及び複数の第2の絶縁導体を各々受容する複数の第1の溝及び複数の第2の溝と、複数の電気接触端子と、を有している。従って、ハウジングに複数の第1の絶縁導体と共に上部カバーと組み付け、ハウジングに複数の第2の絶縁導体と共に底部カバーを組み付けることができる。また、複数の第1の溝及び複数の第2の溝で受容した複数の第1の絶縁導体及び複数の第2の絶縁導体同士を、電気接触端子によって互いに電気的に接続できる。ここで、ハウジングには、第1の方向及び第2の方向と直交する対称軸が設定される。従って、ハウジングの上部に対しては、上部カバーを向きによらずに組み付けることができ、ハウジングの底部に対しては、底部カバーを向きによらずに組み付けることができる。以上によって、コネクタアセンブリの組み付け作業の容易性を向上できる。
また、他の側面に係るコネクタにおいて、第1の端壁及び第2の端壁は、第2の方向に沿って、互い違いにオフセットしていてよい。これによって、第1の上部端壁及び第2の上部端壁のオフセット方向と、第1の底部端壁及び第2の底部端壁のオフセット方向が異なる構成となる。従って、ハウジングに対する上部カバーと底部カバーとの誤組み付けを防止できる。
また、他の側面に係るコネクタにおいて、ベースは、第1の縁部と第2の縁部との間で第1の方向に沿って延びる、互いに対向する第3の縁部及び第4の縁部を有し、ベースは、上部主面から上方へ突出し、第3の縁部及び第4の縁部に沿って延びる上側段差部と、底部主面から下方へ突出し、第3の縁部及び第4の縁部に沿って延びる下側段差部と、を備え、上側段差部は第1の溝を備え、下側段差部は第2の溝を備えてよい。これによって、上部主面から突出する上側段差部、及び底部主面から突出する下側段差部にて溝で絶縁導体を受容することができる。これによって、絶縁導体をしっかりと支持することができる。
また、他の側面に係るコネクタにおいて、第1の端壁及び第2の端壁におけるベースから上方へ延びる部分と着脱可能に係合する上部カバーと、第1の端壁及び第2の端壁におけるベースから下方へ延びる部分と着脱可能に係合する底部カバーと、を更に備えてよい。
本発明の一側面に係るコネクタアセンブリは、ハウジングと、ハウジングの上部に着脱可能に組み付けられる上部カバーと、ハウジングと上部カバーとの間に配置される複数の第1の絶縁導体と、ハウジングの底部に着脱可能に組み付けられる底部カバーと、ハウジングと底部カバーとの間に配置される複数の第2の絶縁導体と、第1の絶縁導体及び第2の絶縁導体に接触して互いを電気的に接続する複数の電気接触端子と、を備え、ハウジングには、対称軸が設定され、上部カバー及び底部カバーは、上部カバーと底部カバーとの間に設定される対称面を基準として、互いに面対称となる構成を有する。
このような側面においては、上述のコネクタと同様な作用・効果を得ることができる。
本発明の一側面に係るコネクタは、対応する複数の第1の絶縁導体と複数の第2の絶縁導体との間を電気的に接続するコネクタであって、コネクタはハウジングを備え、ハウジングは、互いに対向する上部主面及び底部主面を有するベースと、ベースから上方へ延びて、上部主面を挟んで第1の対向方向に対向する第1の上部端壁及び第2の上部端壁と、ベースから下方へ延びて、底部主面を挟んで第2の対向方向に対向する第1の底部端壁及び第2の底部端壁と、ベースに保持され、第1の絶縁導体及び第2の絶縁導体に接触して互いを電気的に接続する複数の電気接触端子と、を備え、上部主面を上方から下方へ向かって見た場合、上部主面に設定された上部対称点を基準として、第1の上部端壁と第2の上部端壁とが点対称をなし、第1の上部端壁及び第2の上部端壁は、第1の対向方向と直交する方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の上部オフセット部及び第2の上部オフセット部をそれぞれ有し、第1の上部オフセット部のオフセット量と第2の上部オフセット部のオフセット量は同じであり、第1の上部オフセット部及び第2の上部オフセット部は、上部対称点に対する時計回り及び反時計回りの何れか一方の方向を基準としてオフセットし、底部主面を下方から上方へ向かって見た場合、底部主面に設定された底部対称点を基準として、第1の底部端壁と第2の底部端壁とが点対称をなし、第1の底部端壁及び第2の底部端壁は、第2の対向方向と直交する方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の底部オフセット部及び第2の底部オフセット部をそれぞれ有し、第1の底部オフセット部のオフセット量と第2の底部オフセット部のオフセット量は同じであり、第1の底部オフセット部及び第2の底部オフセット部は、底部対称点に対する時計回り及び反時計回りの何れか他方の方向を基準としてオフセットする。
このような側面においては、上部主面を上方から下方へ向かって見た場合、上部主面に設定された上部対称点を基準として、第1の上部端壁と第2の上部端壁とが点対称をなしているため、ハウジングの上部に対して、作業者が向きに注意を払う必要なく、上部カバーを組み付けることができる。また、底部主面を下方から上方へ向かって見た場合、底部主面に設定された底部対称点を基準として、第1の底部端壁と第2の底部端壁とが点対称をなしているため、ハウジングの底部に対して、作業者が向きに注意を払う必要なく、底部カバーを組み付けることができる。また、第1の上部端壁及び第2の上部端壁は、第1の対向方向と直交する方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の上部オフセット部及び第2の上部オフセット部をそれぞれ有する。第1の底部端壁及び第2の底部端壁は、第2の対向方向と直交する方向に沿って、互い違いにオフセットすることによって、第1の底部オフセット部及び第2の底部オフセット部をそれぞれ有する。このような構成において、第1の上部オフセット部及び第2の上部オフセット部は、上部対称点に対する時計回り及び反時計回りの何れか一方の方向を基準としてオフセットし、第1の底部オフセット部及び第2の底部オフセット部は、底部対称点に対する時計回り及び反時計回りの何れか他方の方向を基準としてオフセットする。従って、上部側と底面側とで、上部オフセット部と底部オフセット部のオフセット方向が互いに異なっているため、作業者は、ハウジングの上部に対して底部カバーを誤組み付けすること、及びハウジングの底部に対して上部カバーを誤組み付けすることを防止することができる。以上によって、コネクタアセンブリの組み付け作業の容易性を向上できる。
また、他の側面に係るコネクタにおいて、第1の対向方向と第2の対向方向が一致すると共に、第1の上部端壁と第1の底部端壁とは、上下方向に連続した端壁として構成され、第2の上部端壁と第2の底部端壁とは、上下方向に連続した端壁として構成されてよい。このような構成においては、上下方向に連続した端壁を形成することで、各上部端壁及び底部端壁を同時に形成できるので、構造をシンプルにすることができる。
また、他の側面に係るコネクタにおいて、ハウジングの上部に着脱可能に組み付けられる上部カバーと、ハウジングの底部に着脱可能に組み付けられる底部カバーと、を更に備え、上部カバーは、互いに対向する第1の上部カバー側壁及び第2の上部カバー側壁を有し、第1の上部カバー側壁及び第2の上部カバー側壁は、ハウジングの第1の上部端壁及び第2の上部端壁を受容する上部カバー溝部をそれぞれ有し、第1の上部カバー側壁及び第2の上部カバー側壁は、ハウジングの第1の上部端壁及び第2の上部端壁に設けられた被係合部と着脱可能に係合する係合部をそれぞれ有し、底部カバーは、互いに対向する第1の底部カバー側壁及び第2の底部カバー側壁を有し、第1の底部カバー側壁及び第2の底部カバー側壁は、ハウジングの第1の底部端壁及び第2の底部端壁を受容する底部カバー溝部をそれぞれ有し、第1の底部カバー側壁及び第2の底部カバー側壁は、ハウジングの第1の底部端壁及び第2の底部端壁に設けられた被係合部と着脱可能に係合する係合部をそれぞれ有してよい。このように構成された上部カバー及び底部カバーを用いることで、上述したコネクタの作用・効果をより確実に実現できる。
本発明の一側面に係るコネクタアセンブリは、上述のコネクタを用いたコネクタアセンブリであって、ハウジングと、ハウジングの上部に着脱可能に組み付けられる上部カバーと、ハウジングの底部に着脱可能に組み付けられる底部カバーと、ハウジングと上部カバーとの間に配置される複数の第1の絶縁導体と、ハウジングと底部カバーとの間に配置される複数の第2の絶縁導体と、を備える。
このような側面においては、上述のコネクタと同様な作用・効果を得ることができる。
[粘弾性体]
コネクタキット150においては、上部粘弾性体が、上部カバー3の底面40f及びベース10の上部主面10eの少なくとも一方に配置される。また、底部粘弾性体が、底部カバー6の上面50e及びベース10の底部主面10fの少なくとも一方に配置される。本実施形態では、上部粘弾性体は、上部カバー3の底面40f及びベース10の上部主面10eの両方に配置される。底部粘弾性体は、底部カバー6の上面50e及びベース10の底部主面10fの両方に配置される。
具体的には、図2、図3、図4、図15、図16に示すように、上部主面10eには上部粘弾性体110Aが配置される。上部粘弾性体110Aは、矩形状のシート部材として構成される。図16に示すように、上部粘弾性体110Aは、上部主面10eのうち、上部端壁11,12及び上側段差部31,32で囲まれる領域に配置される。当該領域は平面状に構成されているため、当該領域に配置された上部粘弾性体110Aも平面状に構成される。ただし、上側段差部31,32の溝17がベース10の全長にわたって形成されている場合、上部主面10e全体に溝17が形成されるため、上部粘弾性体110Aも溝17に対応して複数の溝を形成する。このような構成の場合、上部粘弾性体110Aがそれぞれの第1の絶縁導体4同士の間の隙間に入り込みやすくなる。
なお、上部粘弾性体110Aを上部主面10eに配置する際、各電気接触端子16と対応する位置においては、各電気接触端子16が上部粘弾性体110Aを貫通して上方へ露出する。上部粘弾性体110Aには、予め電気接触端子16に対応する位置に切れ目や貫通孔が形成されてよい。または、図3及び図4に示すように、上部粘弾性体110Aには、予め切れ目や貫通孔が形成されておらず、上部粘弾性体110Aを上部主面10eに配置する際に、貫通孔が形成されてもよい。
このように、各電気接触端子16が上部粘弾性体110Aを貫通することで、図16に示すように、上下方向から見て、上部粘弾性体110Aが、電気接触端子16の各々を取り囲むように配置されている。なお、図16に示す例では、上部粘弾性体110Aが電気接触端子16の側面と接触するように配置されているが、上部粘弾性体110Aの貫通孔が電気接触端子16よりも大きく形成されることで、上部粘弾性体110Aが電気接触端子16から離間した状態で、当該電気接触端子16を取り囲んでもよい。
また、組み付け前のコネクタキット150の状態では、上部粘弾性体110Aの表面(ここでは上面)は剥離部材111Aで覆われる。剥離部材111Aの形状は、上部粘弾性体110Aと同形状、または上部粘弾性体110Aよりも大きな形状に形成される。組み付け時には剥離部材111Aは上部粘弾性体110Aの表面から剥離される。コネクタアセンブリ100(コネクタ1)の状態では、上部粘弾性体110Aの表面が露出された状態で第1の絶縁導体4に押し付けられる。剥離部材111Aの材質として、シリコーン等による離型処理が施された紙類、ポリエチレンフィルム等が採用される。なお、剥離部材111B,121,131も同様の材質が採用される。本発明の実施において使用する粘弾性体から離型が可能な離型処理および材質であれば、剥離部材は前述のものに限定されない。
また、図3、図4、図15に示すように、底部主面10fには底部粘弾性体110Bが配置される。底部粘弾性体110Bは、矩形状のシート部材として構成される。なお、底部粘弾性体110Bは、上部粘弾性体110Aと同趣旨の構成を有しているため、説明を省略する。
また、組み付け前のコネクタキット150の状態では、底部粘弾性体110Bの表面(ここでは底面)は剥離部材111Bで覆われる。剥離部材111Bの形状は、底部粘弾性体110Bと同形状、または底部粘弾性体110Bよりも大きな形状に形成される。組み付け時には剥離部材111Bは底部粘弾性体110Bの表面から剥離される。コネクタアセンブリ100(コネクタ1)の状態では、底部粘弾性体110Bの表面が露出された状態で第2の絶縁導体7に押し付けられる。
図5、図6、図15及び図16に示すように、上部カバー3の底面40fには上部粘弾性体120が配置される。上部粘弾性体120は、矩形状のシート部材として構成される。図16に示すように、上部粘弾性体120は、組み付け状態において、上下方向から見て、ベース10の上部粘弾性体110Aと重なるように、同形状及び同位置に配置されている。ただし、防止性を確保できる限り、上部粘弾性体110Aと上部粘弾性体120とは同形状をなしていてもよいが、互いに異なる形状となっていてもよい。図7及び図15に示すように、底部カバー6の上面50eには底部粘弾性体130が配置される。底部粘弾性体130は、矩形状のシート部材として構成される。底部粘弾性体130は、組み付け状態において、上下方向から見て、ベース10の底部粘弾性体110Bと重なるように、同形状及び同位置に配置されている。ただし、防止性を確保できる限り、底部粘弾性体110Bと底部粘弾性体130とは同形状をなしていてもよいが、互いに異なる形状となっていてもよい。
また、組み付け前のコネクタキット150の状態では、上部粘弾性体120の表面(ここでは底面)は剥離部材121で覆われる。また、底部粘弾性体130の表面(ここでは上面)は剥離部材131で覆われる。剥離部材121の形状は、上部粘弾性体120と同形状、または上部粘弾性体120よりも大きな形状に形成される。また、剥離部材131の形状は、底部粘弾性体130と同形状、または底部粘弾性体130よりも大きな形状に形成される。組み付け時には剥離部材121は上部粘弾性体120の表面から剥離され、剥離部材131は底部粘弾性体130の表面から剥離される。コネクタアセンブリ100(コネクタ1)の状態では、上部粘弾性体120の表面が露出された状態で第1の絶縁導体4に押し付けられ、底部粘弾性体130の表面が露出された状態で第2の絶縁導体7に押し付けられる。
上部粘弾性体110A,120は、粘着力を有すると共に第1の絶縁導体4に沿って変形可能である。また、底部粘弾性体110B,130は、粘着力を有すると共に第2の絶縁導体7に沿って変形可能である。各粘弾性体110A,120,110B,130が、所望の粘着力及び変形性を有するためには、材料及び厚みを選択する必要がある。また、各粘弾性体110A,120,110B,130は、水分に対して防水性を有している。
各粘弾性体110A,120,110B,130の粘度は、本発明実施における使用温度において、10000cP以上であって、100000cP以上であってよい。当該数値以上であることにより、粘弾性体110A,120,110B,130を、カバー3,6、ハウジング2へ取り付けた状態で粘弾性体110A,120,110B,130の形状を維持することができ、コネクタアセンブリ100を組み立てた後に、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状に沿って変形し、隙間を埋めることで防水性が得られ、かつ粘弾性体110A,120,110B,130がコネクタアセンブリ100から流出して防水性を損なうことが無い、という効果が得られる。実際の本発明の実施においては、粘度は、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状や材質、アセンブリ時の隙間などの構造設計に合わせて、アセンブリ時に粘弾性体110A,120,110B,130が、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状に沿い、隙間に入り込むことが可能な範囲にて、設定をする。
各粘弾性体110A,120,110B,130の粘着力は、1N/cm以上であってよい。当該数値以上であることにより、粘弾性体110A,120,110B,130を、カバー3,6、ハウジング2へ取り付けた状態を維持することができ、コネクタアッセンブリ時に粘弾性体110A,120,110B,130が、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7に粘着することで、粘弾性体110A,120,110B,130が密着し、温度変化による、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7、粘弾性体110A,120,110B,130の熱膨張収縮の差が発生しても、隙間が発生せず、防水性を維持することができる、という効果が得られる。実際の本発明実施においては、粘着力は、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状や材質、アセンブリ時の隙間などの構造設計に合わせて、アセンブリ時に粘弾性体が、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状に沿い、隙間に入り込むことが可能な範囲にて、設定をする。
各粘弾性体110A,120,110B,130が各絶縁導体4,7に沿って変形するには、所定の弾性率を有すると共に所定の厚みを有する必要がある。各粘弾性体110A,120,110B,130の弾性率は1GPa以下であって、10MPa以下であってよい。当該数値以下であることにより、コネクタアッセンブリ時に、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状に沿って、粘弾性体110A,120,110B,130は変形し、かつ弾性力によって、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の隙間を埋めることができ、防水性を維持することができ、温度変化による、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7、粘弾性体110A,120,110B,130の熱膨張収縮の差が発生しても、隙間が発生せず、防水性を維持することができる、という効果が得られる。実際の本発明の実施においては、弾性率は、カバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状や材質、アセンブリ時の隙間などの構造設計に合わせて、アセンブリ時に粘弾性体110A,120,110B,130がカバー3,6、ハウジング2、絶縁導体4,7の形状に沿い、隙間に入り込むことが可能な範囲にて、設定をする。
上部粘弾性体110A,120の厚みは、ハウジング2に上部カバー3を組み付けた状態において、電気接触端子16と電気的に接続されている第1の絶縁導体4と、上部カバー3との間の隙間の寸法(図18において、t1で示される寸法)よりも大きい。これによって、ハウジング2に上部カバー3を組み付けた時に、第1の絶縁導体4に対して上部粘弾性体110A,120が押し付けられて十分な変形代を確保することができる。一方、上部粘弾性体110A,120の厚みは、第1の絶縁導体4の径よりも小さい。これによって、上部粘弾性体110A,120の反発力によって、上部カバー3がハウジング2に対して組み付け難くなること、及びハウジング2に組み付けた上部カバー3が外れることを防止できる。底部粘弾性体110B,130の厚みは、ハウジング2に底部カバー6を組み付けた状態において、電気接触端子16と電気的に接続されている第2の絶縁導体7と、底部カバー6との間の隙間の寸法(図18において、t2で示される寸法)よりも大きい。これによって、ハウジング2に底部カバー6を組み付けた時に、第2の絶縁導体7に対して底部粘弾性体110B,130が押し付けられて十分な変形代を確保することができる。一方、底部粘弾性体110B,130の厚みは、第2の絶縁導体7の径よりも小さい。これによって、底部粘弾性体110B,130の反発力によって、底部カバー6がハウジング2に対して組み付け難くなること、及びハウジング2に組み付けた底部カバー6が外れることを防止できる。
また、粘弾性体110A,120,110B,130の吸水性は、2%以下であってよい。
粘弾性体110A,120,110B,130の材料として、例えば、ブチルゴム、EPDMゴム、シリコンゴム、などを主成分としたもの、またはそれらの混合物からなるものに、粘着性付与剤を添加したものを採用してよい。
上述のようなコネクタキット150を用いたコネクタアセンブリ製造方法について説明する。まず、上部カバー3とハウジング2のベース10の上部主面10eとの間に第1の絶縁導体4を配置する工程が実行される。当該工程では、図15に示すように、上部主面10e側の電気接触端子16上に第1の絶縁導体4が配置される。このとき、上部カバー3をハウジング2に対して仮止めすることによって、第1の絶縁導体4を仮固定してもよい。また、当該工程は、図15に示す剥離部材111A,121が各粘弾性体110A,120から剥離された状態で実行される。次に、底部カバー6とハウジング2のベース10の底部主面10fとの間に第2の絶縁導体7を配置する工程が実行される。当該工程では、図15に示すように、底部主面10f側の電気接触端子16上に第2の絶縁導体7が配置される。このとき、底部カバー6をハウジング2に対して仮止めすることによって、第2の絶縁導体7を仮固定してもよい。また、当該工程は、図15に示す剥離部材111B,131が各粘弾性体110B,130から剥離された状態で実行される。
次に、上部主面10eに対して上部カバー3を押圧して組み付けることにより、第1の絶縁導体4に沿って上部粘弾性体110A,120を変形させる工程が実行される。当該工程では、第1の絶縁導体4が電気接触端子16に電気的に接続される。また、底部主面10fに対して底部カバー6を押圧して組み付けることにより、第2の絶縁導体7に沿って底部粘弾性体110B,130を変形させる工程が実行される。当該工程では、第2の絶縁導体7が電気接触端子16に電気的に接続される。これらの工程は、例えば、ハウジング2に対して仮止めした上部カバー3及び底部カバー6を工具で同時に押圧することによって実行されてよい。これによって、コネクタアセンブリ100(コネクタ1)が製造される。
このように製造されたコネクタアセンブリ100では、図18に示すように、上部粘弾性体110A,120が第1の絶縁導体4に沿って変形することで、各第1の絶縁導体4同士の隙間に上部粘弾性体110A,120が入り込む。これによって各第1の絶縁導体4が横断面視(図18に示す方向)において、上部粘弾性体110A,120に取り囲まれる状態となる。また、上部粘弾性体110A,120は第1の絶縁導体4の外周面に粘着される。これによって、外部から第1の絶縁導体4を伝って水分がコネクタ1内に入り込んだ場合であっても、上部粘弾性体110A,120によって遮断され、第1の絶縁導体4と電気接触端子16との接続部の防水性が確保される。底部粘弾性体110B,130が第2の絶縁導体7に沿って変形することで、各第2の絶縁導体7同士の隙間に底部粘弾性体110B,130が入り込む。これによって各第2の絶縁導体7が横断面視(図18に示す方向)において、底部粘弾性体110B,130に取り囲まれる状態となる。また、底部粘弾性体110B,130は第2の絶縁導体7の外周面に粘着される。これによって、外部から第2の絶縁導体7を伝って水分がコネクタ1内に入り込んだ場合であっても、底部粘弾性体110B,130によって遮断され、第2の絶縁導体7と電気接触端子16との接続部の防水性が確保される。
次に、本実施形態に係るコネクタキット150、コネクタアセンブリ100、コネクタの製造方法の作用・効果について説明する。
上部カバー3とハウジング2のベース10との間では、上部粘弾性体110A,120が第1の絶縁導体4と電気接触端子16との接続部における防水性を確保する。また、底部カバー6とハウジング2のベース10との間では、底部粘弾性体110B,130が第2の絶縁導体7と電気接触端子16との接続部における防水性を確保する。このように、防水性を確保するために、形状保持性を有する部材である粘弾性体110A,120,110B,130を用いることによって、流れ落ちることなく、所望の位置に配置することができる。また、各粘弾性体110A,120,110B,130は、粘着力を有すると共に対応する絶縁導体4,7に沿って変形可能である。従って、粘弾性体110A,120,110B,130は、絶縁導体4,7に沿って変形することで複数の絶縁導体4同士の隙間に入り込むことができ,複数の絶縁導体7同士の隙間に入り込むことができる。また、粘弾性体110A,120,110B,130は、絶縁導体4,7に対して粘着することができるため、絶縁導体4,7の位置ずれなどが生じた場合であっても、防水性を確保できる。以上によって、コネクタキット150によれば、電気接触端子16と絶縁導体4,7との接続部に対する防水性を向上できる。
なお、上部カバー3や底部カバー6に、絶縁導体4,7を仮止めしておくために、薄い粘弾性体のシートを貼り付けておくようなコネクタキットについて検討する。当該コネクタキットにおいては、各カバー3,6の粘弾性体のシートは薄く、絶縁導体4,7を仮止めすることができても、当該絶縁導体4,7に沿って変形することができない。従って、本実施形態に係るコネクタキットのように防水性を確保することができない。
以上説明したように、本発明の一側面に係るコネクタキットは、対応する複数の第1の絶縁導体と複数の第2の絶縁導体との間を電気的に接続するコネクタを形成するコネクタキットであって、コネクタキットは、ハウジングと、ハウジングの上部に着脱可能な上部カバーと、ハウジングの底部に着脱可能な底部カバーと、を備え、ハウジングは、互いに対向する上部主面及び底部主面を有するベースと、ベースに保持され、上部主面側で第1の絶縁導体に電気的に接続されると共に、底部主面側で第2の絶縁導体に電気的に接続されることで、第1の絶縁導体と第2の絶縁導体とを互いを電気的に接続する複数の電気接触端子と、を備え、粘着力を有すると共に第1の絶縁導体に沿って変形可能な上部粘弾性体が、上部カバーの底面及びベースの上部主面の少なくとも一方に配置され、粘着力を有すると共に第2の絶縁導体に沿って変形可能な底部粘弾性体が、底部カバーの上面及びベースの底部主面の少なくとも一方に配置される。
このような側面においては、上部カバーとハウジングのベースとの間では、上部粘弾性体が第1の絶縁導体と電気接触端子との接続部における防水性を確保する。また、底部カバーとハウジングのベースとの間では、底部粘弾性体が第2の絶縁導体と電気接触端子との接続部における防水性を確保する。このように、防水性を確保するために、形状保持性を有する部材である粘弾性体を用いることによって、流れ落ちることなく、所望の位置に配置することができる。また、各粘弾性体は、粘着力を有すると共に対応する絶縁導体に沿って変形可能である。従って、粘弾性体は、絶縁導体に沿って変形することで複数の絶縁導体同士の隙間に入り込むことができる。また、粘弾性体は、絶縁導体に対して粘着することができるため、絶縁導体の位置ずれなどが生じた場合であっても、防水性を確保できる。以上によって、コネクタキットによれば、電気接触端子と絶縁導体との接続部に対する防水性を向上できる。
また、他の側面に係るコネクタキットにおいて、上部粘弾性体は、上部カバーの底面及びベースの上部主面の両方に配置され、底部粘弾性体は、底部カバーの上面及びベースの底部主面の両方に配置されてよい。このような構成によれば、第1の絶縁導体を上部カバー側及びベース側の両方からの上部粘弾性体で挟み込むことができる。これによって、各第1の絶縁導体同士の隙間に対し、より確実に上部粘弾性体を回り込ませることができる。また、第2の絶縁導体を底部カバー側及びベース側の両方からの底部粘弾性体で挟み込むことができる。これによって、各第2の絶縁導体同士の隙間に対し、より確実に底部粘弾性体を回り込ませることができる。
また、他の側面に係るコネクタキットにおいて、上部粘弾性体及び底部粘弾性体の弾性率は1GPa以下であり、粘度は10000cP以上であり、粘着力は1N/cm以上であってよい。これによって、十分な粘着性と変形性を確保することで、防水性を確保することができる。
また、他の側面に係るコネクタキットにおいて、上部粘弾性体及び底部粘弾性体の表面は、剥離部材で覆われていてよい。これによって、組み付け前の状態において、埃等が粘弾性体の表面に付着すること等を防止できる。
また、他の側面に係るコネクタキットにおいて、上部粘弾性体及び底部粘弾性体の少なくとも一方は、上下方向から見て、複数の電気接触端子の各々を取り囲むように配置されていてよい。これによって、電気接触端子付近の防水性をより確実に確保することができる。
本発明の一側面に係るコネクタアセンブリは、ハウジングと、ハウジングの上部に着脱可能に組み付けられる上部カバーと、ハウジングと上部カバーとの間に配置される複数の第1の絶縁導体と、ハウジングの底部に着脱可能に組み付けられる底部カバーと、ハウジングと底部カバーとの間に配置される複数の第2の絶縁導体と、を備え、ハウジングは、互いに対向する上部主面及び底部主面を有するベースと、ベースに保持され、上部主面側で第1の絶縁導体に電気的に接続されると共に、底部主面側で第2の絶縁導体に電気的に接続されることで、第1の絶縁導体と第2の絶縁導体とを互いを電気的に接続する複数の電気接触端子と、を備え、粘着力を有すると共に第1の絶縁導体に沿って変形している上部粘弾性体が、上部カバーの底面及びベースの上部主面の少なくとも一方に配置され、粘着力を有すると共に第2の絶縁導体に沿って変形している底部粘弾性体が、底部カバーの上面及びベースの前記底部主面の少なくとも一方に配置されている。
このような側面においては、上述のコネクタキットと同様な作用・効果を得ることができる。
また、他の側面に係るコネクタアセンブリにおいて、上部粘弾性体の厚みは、電気接触端子と電気的に接続されている第1の絶縁導体と、上部カバーとの間の隙間の寸法よりも大きく、第1の絶縁導体の径よりも小さく、底部粘弾性体の厚みは、電気接触端子と電気的に接続されている第2の絶縁導体と、底部カバーとの間の隙間の寸法よりも大きく、第2の絶縁導体の径よりも小さくてよい。このような構成により、各絶縁導体に対する粘弾性体の変形代を十分に確保できると共に、粘弾性体が厚すぎることによるカバーの外れ等を防止できる。
本発明の一側面に係るコネクタアセンブリ製造方法は、上述のコネクタキットを用いたコネクタアセンブリ製造方法であって、上部カバーとベースの上部主面との間に第1の絶縁導体を配置する工程と、底部カバーとベースの底部主面との間に第2の絶縁導体を配置する工程と、上部主面に対して上部カバーを押圧して組み付けることにより、第1の絶縁導体に沿って上部粘弾性体を変形させる工程、及び底部主面に対して底部カバーを押圧して組み付けることにより、第2の絶縁導体に沿って底部粘弾性体を変形させる工程の少なくとも一方の工程と、を備える。
このような側面においては、上述のコネクタキットと同様な作用・効果を得ることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、上部端壁の対向方向と底部端壁の対向方向が一致している例について説明を行ったが、これらの方向が互いに異なっていてもよい。例えば、図14に示すコネクタ202を用いたコネクタアセンブリ200では、上部端壁の対向方向と底部端壁の対向方向が直交している。ただし、直交していなくともよく、他の角度で交差していてもよい。
また、上述の実施形態では、ハウジングは、絶縁導体を受容するための第1の溝、及び第2の溝を備えていたが、これらの溝を省略してもよい。例えば、幹線及び支線としてフラットケーブルを用いる場合、複数の絶縁導体の束の断面が長方形状となる。従って、ここの絶縁導体を受容する溝は不要となる。この場合、溝を有しない上側段差部及び下側段差部を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、ハウジング、上部カバー及び底部カバーは所定の基準軸や基準面に対して対称な形状を有していたが、対称でなくともよい。すなわち、ハウジング、上部カバー及び底部カバーは、どのような構成であってもよい。
上述の実施形態では、粘弾性体は、矩形状のシートであったが、形状は特に限定されない。
また、図17に示すような粘弾性体の配置にしてもよい。図17では、上部粘弾性体及び底部粘弾性体の少なくとも一方が、上下方向から見て、複数の電気接触端子をまとめて取り囲むように配置されている。このような構成であっても、電気接触端子と絶縁導体との接続部への水分の進入を防止できる。また、図16に示す配置の場合において、粘弾性体を四分割して、それぞれの電気接触端子に対して一つずつ配置してもよい。
また、図19に示すような粘弾性体の配置にしてもよい。図19では、上部粘弾性体(底部粘弾性体も同様な構成を有してよい)が、上下方向から見て、複数の電気接触端子をまとめて取り囲むように配置されており、且つ、上部粘弾性体が複数(ここでは二つ)のピース110a,110bに分割されている。図17の形態の場合は、一枚の粘弾性体を上方から貫通孔に電気接触端子を挿入させて被せることで、ハウジングに配置されている。一方、図19に示す形態では、上から被せる必要がない(横から配置してよい)ため、電子接触端子の先端及び中心の接触部へ粘弾性体が付着するリスクを低減できる。また、治具を用いなくとも容易に取り付けることができる。なお、図19(a)に示すようにアセンブリ前の状態では、ピース110aとピース110bの間に隙間が形成される。図19(b)に示すように、アセンブリ時には、粘弾性体が押圧されることによって、当該隙間が埋められるため、防水性が確保される。
また、第1の絶縁導体4、及び第2の絶縁導体7の少なくとも一方における先端部を封止した状態で本発明を実施してもよい。例えば、図20(a)に示すように、第1の絶縁導体4を上部カバー3付近で切断することで先端部TPを形成してよい。また、図20(b)に示すように、第1の絶縁導体4を上部カバー3内部で切断することで先端部TPを形成してよい。封止方法として、例えば、先端部TPをキャップ部材で覆う方法を採用してよい。例えば、図21に示すように、内部にブチルゴム混合物などの粘弾性体やシリコーングリス等の防湿材料等の充填材171が充填されたキャップ部材170を先端部TPに被せてよい。または、先端部TPをシートで覆う方法を採用してよい。例えば、図22に示すように、フィルム162上に粘弾性体110Aと同じ素材のシート161を積層させた部材を準備し、先端部TPに巻きつけ封止してよい。