JP6780108B2 - 符号化装置、復号装置、平滑化装置、逆平滑化装置、それらの方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
[原理]
各サンプルに対して予め決めた符号長を割り当てると、符号化装置が出力した符号が復号装置に入力されるまでの間に線形予測係数符号に誤りが生じる可能性があるという条件下でも、復号により得られるサンプルのサンプル数が符号化装置で符号化されたサンプルのサンプル数と同じになることが保証される。特に、符号化装置に入力された時系列信号の周波数スペクトル系列の各周波数スペクトル値を当該時系列信号のスペクトル包絡系列の各スペクトル包絡値で除算すること(すなわち平滑化すること)で得られた平滑化スペクトル系列は、系列に含まれる平滑化スペクトルの振幅値がおおよそ一定範囲内に収まっていることが多い。そのため、平滑化スペクトル系列の各サンプルには、短い符号長の固定長の符号を割り当てることができる。この場合、復号装置では符号を復号して得た平滑化スペクトル系列の各平滑化スペクトル値にスペクトル包絡系列の各スペクトル包絡値を乗算する処理(すなわち逆平滑化)を行う必要がある。
ただし、Nは正の整数であり、pは2以上の整数である。・を実数としてexp(・)はネイピア数を底とする指数関数、jは虚数単位である。このスペクトル包絡値H0,H1,…,HN-1の対数値の合計は近似的に0となることが知られており、スペクトル包絡値Hkの2を底とする対数値Lk(=log2(Hk), k=0,…,N-1)の合計もほぼ0となる。また、スペクトル包絡値の対数値Lkが整数値である場合、量子化スペクトル系列の各量子化スペクトル値に対するスペクトル包絡値での除算^Xk/Hkは、量子化スペクトル値^Xkの2進数表記において桁を増やす、或いは減らす操作に相当する。上記2つの性質を用いて、符号化装置の信号平滑化部における情報の欠落の無い除算と、この除算と可逆な、復号装置の信号逆平滑化部における情報の欠落が無い乗算と、を実現する。
この発明の第一実施形態のシステムは、符号化装置および復号装置を含む。符号化装置は、フレーム単位で入力された時間領域の時系列信号、例えば、音声や音楽などの音信号(音響信号)を符号化して符号を得て、出力する。符号化装置が出力する符号は復号装置へ入力される。復号装置は入力された符号を復号してフレーム単位の時間領域の時系列信号、例えば、音信号を出力する。以下、時系列信号が音信号である場合の符号化装置と復号装置について説明する。なお、符号化装置に入力される音信号は、例えば、音声や音楽などの音をマイクロホンで収音し、AD変換して得られた時系列信号である。また、復号装置が出力した音信号は、例えば、DA変換され、スピーカで再生されることで、受聴可能とされる。
図1Aおよび図1Bを参照して、第一実施形態の符号化装置11の機能構成、および符号化装置11が実行する符号化方法の処理手続きを説明する。
周波数領域変換部111には、符号化装置11に入力された時間領域の音信号が入力される。周波数領域変換部111は、所定の時間長のフレーム(所定時間区間)単位で、入力された時間領域の音信号を、例えば修正離散コサイン変換(MDCT)などで、周波数領域のN点のサンプルの系列である周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1に変換して出力する。Nは正の整数であり、例えばN=1024などである。周波数領域への変換方法として、MDCTではない様々な公知の変換方法等(例えば、離散フーリエ変換、短時間フーリエ変換等)を用いてもよい。MDCTを用いた場合には、周波数スペクトル系列はMDCT係数列である。周波数領域変換部111は、変換により得た周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1を、線形予測分析部112および量子化部115に出力する。なお、周波数領域変換部111は、変換により得た周波数スペクトル系列に対して聴覚的な重み付けのためのフィルタ処理や圧伸処理を施し、フィルタ処理後や圧伸処理後の系列を周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1として出力してもよい。
線形予測分析部112には、周波数領域変換部111が出力した周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1が入力される。線形予測分析部112は、入力された周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1に対応する線形予測係数α1,α2,…,αpと、当該線形予測係数α1,α2,…,αpに対応する線形予測係数符号Cα(包絡符号CL)と、を得て出力する。線形予測係数符号Cαの例は線形予測係数α1,α2,…,αpに対応するLSP(Line Spectrum Pairs)パラメータ列に対応する符号であるLSP符号である。pは、線形予測の次数であり、2以上の整数である。線形予測分析部112は、線形予測係数α1,α2,…,αpをスペクトル包絡生成部113に、線形予測係数符号Cαを多重化部117に、それぞれ出力する。
スペクトル包絡生成部113には、線形予測分析部112が出力した線形予測係数α1,α2,…,αpが入力される。スペクトル包絡生成部113は、入力された線形予測係数α1,α2,…,αpを用いて、以下の式(1)により求まるスペクトル包絡値H0,H1,…,HN-1によるスペクトル包絡系列である所定時間区間の時系列信号のスペクトル包絡系列を得て対数包絡生成部114に出力する。
対数包絡生成部114には、スペクトル包絡生成部113が出力したスペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1が入力される。対数包絡生成部114は、スペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1から対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得て出力する。ただし、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1は、スペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1の各サンプル値であるスペクトル包絡値Hk(ただし、k=0,1,...,N-1)の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である。例えば対数包絡生成部114は、以下のstep I〜IVの各処理を行って対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得て出力する。
(a) Step IIIで求めた総和が0よりも大きければ、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1の中で最も大きい値から順に、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1に含まれる対数スペクトル包絡値の総和が0になるように、1ずつ値を引いたものを対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1とする。すなわち、Step IIIで求めた整数値列に含まれる値の総和が0よりも大きければ、整数値列の中で最も大きい値から順に、整数値列に含まれる値の総和が0になるように、1ずつ値を引いたものを対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1とする。例えば、Step IIで得た対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1が含む対数スペクトル包絡値Lk(ただし、k=0,1,...,N-1)の値の順序(大きいほうからの順序)を表す指標をφ(Lk)=0,…,N-1とする。ただし、大きな値のLkほどφ(Lk)の値が小さい。対数包絡生成部114は、iをi=0に初期化し(Step a-1)、φ(Lk(i))=iとなる調整対象のLk(i)(ただし、k(i)=0,…,N-1)から1を引いた値Lk(i)-1を新たなLk(i)とし(Step a-2)、L0,L1,…,LN-1の総和が0になるかを判定し(Step a-3)、L0,L1,…,LN-1の総和が0でなければi+1を新たなiとしてStep a-2に戻り(Step a-4)、L0,L1,…,LN-1の総和が0であれば当該L0,L1,…,LN-1による系列を対数スペクトル包絡系列として信号平滑化部116に出力する(Step a-5)。なお、Step a-4においてi+1がN-1を超えてしまった場合にはStep a-1に戻ってもよい。
(b) Step IIIで求めた総和が0よりも小さければ、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1の中で最も小さい値から順に、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1に含まれる対数スペクトル包絡値の総和が0になるように1ずつ値を足したものを対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1とする。すなわち、Step IIIで求めた整数値列に含まれる値の総和が0よりも小さければ、整数値列の中で最も小さい値から順に、整数値列に含まれる値の総和が0になるように、1ずつ値を足したものを対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1とする。例えば、Step IIで得た対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1が含む対数スペクトル包絡値Lk(ただし、k=0,1,...,N-1)の値の順序(小さいほうからの順序)を表す指標をμ(Lk)=0,…,N-1とする。ただし、小さな値のLkほど(絶対値|Lk|が大きいほど)μ(Lk)の値が小さい。対数包絡生成部114は、iをi=0に初期化し(Step b-1)、μ(Lk(i))=iとなる調整対象のLk(i)(ただし、k(i)=0,…,N-1)に1を加えた値Lk(i)+1を新たなLk(i)とし(Step b-2)、L0,L1,…,LN-1の総和が0になるかを判定し(Step b-3)、L0,L1,…,LN-1の総和が0でなければi+1を新たなiとしてStep b-2に戻り(Step b-4)、L0,L1,…,LN-1の総和が0であれば当該L0,L1,…,LN-1を対数スペクトル包絡系列として信号平滑化部116に出力する(Step b-5)。なお、Step b-4においてi+1がN-1を超えてしまった場合にはStep b-1に戻ってもよい。
量子化部115には、周波数領域変換部111が出力した周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1が入力される。量子化部115は、入力された周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1の各周波数スペクトル値を量子化幅で割り算した結果の整数部分の値による系列である量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を得て信号平滑化部116へ出力する。この量子化幅は従来的な方法で決めればよく、例えば、量子化部115が入力された周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1のエネルギーや振幅の最大値に比例するような値を量子化幅として決定すればよい。
図1Bに例示するように、信号平滑化部116は、例えば、平滑化部116aと平滑化系列符号化部116bとを備える。信号平滑化部116には、量子化部115が出力した量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1、および対数包絡生成部114が出力した対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1が入力される。まず、信号平滑化部116の平滑化部116aが、入力された量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を入力された対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1に基づいて平滑化して平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得て出力する。次に、信号平滑化部116の平滑化系列符号化部116bが、信号平滑化部116の平滑化部116aによる平滑化により得た平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を、例えばサンプル毎に4ビットずつなどのように、予め定められたビット数の固定長符号で表現した信号符号CXを得て多重化部117に出力する。
多重化部117は、線形予測分析部112またはスペクトル包絡生成部113が出力したスペクトル包絡を表す符号である線形予測係数符号Cαまたは包絡符号CL(対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を特定可能な符号である包絡符号CL)と、量子化部115が出力した量子化幅符号CQと、信号平滑化部116が出力した信号符号CXと、を受け取り、これらの符号全てを含む出力符号(例えば全ての符号を繋ぎ合わせて得た出力符号)を、出力する。
図2Aおよび図2Bを参照して、第一実施形態の復号装置12の機能構成、および復号装置12が実行する復号方法の処理手続きを説明する。
多重分離部127には、復号装置12に入力された入力符号が入力される。多重分離部127は、入力符号をフレーム毎に受け取り、入力符号を分離して、入力符号に含まれるスペクトル包絡を表す符号である線形予測係数符号Cαまたは包絡符号CLをスペクトル包絡生成部123へ、入力符号に含まれる量子化幅符号CQを逆量子化部125へ、入力符号に含まれる信号符号CXを信号逆平滑化部126へ、それぞれ出力する。
スペクトル包絡生成部123には、多重分離部127が出力した線形予測係数符号Cα(包絡符号CL)が入力される。スペクトル包絡生成部123は、符号化装置11の線形予測分析部112が行った符号化方法に対応する例えば従来的な復号技術によって、線形予測係数符号Cαを復号して線形予測係数α1,α2,…,αpを得る。さらに、スペクトル包絡生成部123は、得た線形予測係数α1,α2,…,αpを用いて符号化装置11のスペクトル包絡生成部113と同一の手順によりスペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1を生成し(すなわち、包絡符号を復号してスペクトル包絡系列を得)、対数包絡生成部124に出力する。ここで、従来的な復号技術とは、例えば、線形予測係数符号Cαが量子化された線形予測係数に対応する符号である場合に線形予測係数符号Cαを復号して量子化された線形予測係数と同じ線形予測係数を得る技術、線形予測係数符号Cαが量子化されたLSPパラメータに対応する符号である場合に線形予測係数符号Cαを復号して量子化されたLSPパラメータと同じLSPパラメータを得る技術などである。また、線形予測係数とLSPパラメータは互いに変換可能なものであり、入力された線形予測係数符号Cαと後段での処理において必要な情報に応じて、線形予測係数とLSPパラメータの間での変換処理を行なえばよいのは周知である。以上から、上記の線形予測係数符号Cαの復号処理と必要に応じて行なう上記の変換処理とを包含したものが「従来的な復号技術による復号」ということになる。なお、符号化装置11のスペクトル包絡生成部113が周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1や時間領域の音信号からスペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1と当該スペクトル包絡系列に対応する符号を包絡符号CLとして得た場合には、符号化装置11のスペクトル包絡生成部113が包絡符号CLを得た方法に対応する復号方法で包絡符号CLを復号してスペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1を得る。
対数包絡生成部124には、スペクトル包絡生成部123が出力したスペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1が入力される。対数包絡生成部124は、入力されたスペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1を用いて、符号化装置11の対数包絡生成部114と同一の手順により、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得、信号逆平滑化部126に出力する。すなわち、対数包絡生成部124は、スペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1の各サンプル値であるスペクトル包絡値Hk(ただし、k=0,1,...,N-1)の2底対数に対応する整数値列を得、当該整数値列に含まれる値の総和が0である場合には、当該整数値列を対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1とし、当該整数値列に含まれる値の総和が0でない場合には、予め定めた規則により、調整後の整数値列に含まれる値の総和が0となるように、スペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列に含まれる少なくとも一部の整数値を調整し、調整後の整数値列を対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1として得る。前述のように、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1は、スペクトル包絡系列H0,H1,…,HN-1の各サンプル値であるスペクトル包絡値Hk(ただし、k=0,1,...,N-1)の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である。
図2Bに例示するように、信号逆平滑化部126は、例えば、平滑化系列復号部126bと逆平滑化部126aとを備える。信号逆平滑化部126には、多重分離部127が出力した信号符号CXと、対数包絡生成部124が出力した対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、が入力される。まず、信号逆平滑化部126の平滑化系列復号部126bが、入力された信号符号CXを復号して平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得て出力する。ここで、信号符号CXは、符号化装置11の信号平滑化部116が出力した信号符号CXと同じ構成、すなわち、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1の各サンプル~Xkに対応する予め定められたビット数の固定長符号で表現されたものである。そのため、平滑化系列復号部126bは、信号符号CXに対して固定長の復号を行うことで、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1の各サンプル値である平滑化スペクトル値~Xkを得ることができる。
逆量子化部125には、多重分離部127の出力した量子化幅符号CQと、信号逆平滑化部126が出力した量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1と、が入力される。逆量子化部125は、入力された量子化幅符号CQを復号して量子化幅を得る。また、逆量子化部125は、入力された量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1の各量子化スペクトル値と、復号により得た量子化幅とを掛け合わせたサンプルの系列である復号スペクトル系列X0,X1,…,XN-1を得て時間領域変換部121に出力する。すなわち、逆量子化部125は、量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を逆量子化して復号スペクトル系列X0,X1,…,XN-1(周波数領域スペクトル系列)を得て時間領域変換部121に出力する。つまり、逆量子化部125は、量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を逆量子化して所定時間区間の復号された周波数領域スペクトルの系列である復号スペクトル系列X0,X1,…,XN-1(周波数領域スペクトル系列)を得て時間領域変換部121に出力する。
時間領域変換部121には、逆量子化部125が出力した復号スペクトル系列X0,X1,…,XN-1が入力される。時間領域変換部121は、フレーム毎に、周波数領域のN点のサンプルの系列である復号スペクトル系列X0,X1,…,XN-1を、符号化装置11の周波数領域変換部111に対応する逆変換である(例えば逆MDCT)を用いて、時間領域の信号に変換してフレーム単位の音信号(復号音信号)を得、出力信号として出力する。なお、符号化装置11における周波数領域変換部111において、変換により得た周波数スペクトル系列に対して聴覚的な重み付けのためのフィルタ処理や圧伸処理が施されている場合には、時間領域変換部121は、まず、符号化装置11が行ったフィルタ処理や圧伸処理に対応する逆変換を復号スペクトル系列X0,X1,…,XN-1に行い、逆変換後の系列を時間領域の信号に変換して出力する。すなわち、時間領域変換部121は、周波数領域スペクトル系列を時間領域に変換して所定時間区間の復号された時系列信号を得る。
第一実施形態の符号化装置11が出力した出力符号が復号装置12に入力されるまでの間で誤りが生じた場合の例を、図5Aから図5Cを用いて説明する。この例では、入力符号に含まれる信号符号CXに誤りが含まれずに、信号符号CXの復号により正しい平滑化スペクトル系列~X0=6, ~X1=6, ~X2=10, ~X3=8, ~X4=15が得られたものの、入力符号に含まれる線形予測係数符号Cα(スペクトル包絡を表す符号)に誤りが含まれ、正しくは対数スペクトル包絡系列L0=1, L1=3, L2=1, L3=-2, L4=-3であるところが、線形予測係数符号Cαを復号して得た対数スペクトル包絡系列がL0=2, L1=2, L2=0, L3=-2, L4=-2であったとする。この場合、平滑化スペクトル値~X0=6については、対応する対数スペクトル包絡値L0=2であるため、2桁の数値を追加することになる。平滑化スペクトル値~X1=6については、対応する対数スペクトル包絡値L1=2であるため、2桁の数値を追加することになる。平滑化スペクトル値~X2=10については、対応する対数スペクトル包絡値L2=0であるため、桁の追加や削除は行わないことになる。平滑化スペクトル値~X3=8については、対応する対数スペクトル包絡値L3=-2であるため、最下位から2桁の数値0, 0を取り除くことになる。平滑化スペクトル値~X4=15については、対応する対数スペクトル包絡値L4=-2であるため、最下位から2桁の数値1, 1を取り除くことになる(図5A)。取り除かれた4つの数値は、上記の予め定めた規則Rrに従って、平滑化スペクトル値~X0および平滑化スペクトル値~X1に追加され(図5B)、量子化スペクトル値^Xo=24, ^X1=27, ^X2=10, ^X3=2, ^X4=3が得られる(図5C)。得られた量子化スペクトル値は正しくないものの、量子化スペクトル値には対数スペクトル包絡値の誤りと同程度の誤りが生じるだけである。例えば、対数スペクトル包絡の値が誤りにより1増えてしまった場合には、それに対応するスペクトル包絡値は2倍されたことに相当する。この誤った包絡で逆平滑化した場合、復号により得られる量子化スペクトル値は本来の値の2倍程度の誤りで収まることになる。また例えば、対数スペクトル包絡の値が誤りにより1減ってしまった場合には、それに対応するスペクトル包絡値は1/2倍されたことに相当する。この誤った包絡で逆平滑化した場合、復号により得られる量子化スペクトル値は本来の値の1/2倍程度の誤りで収まることになる。また、線形予測係数符号Cαにいくら誤りが生じても、量子化スペクトル系列のサンプル数には誤りは絶対に生じない。
フレームが十分短い場合、つまり上記Nが小さい場合(例えば、N=32の場合)においては、周波数スペクトル系列から線形予測係数を求めて、求めた線形予測係数に対応する対数スペクトル包絡系列を求めるよりも、周波数スペクトル系列から対数スペクトル包絡系列を直接求めるほうが、少ない演算量で実装できることがある。第二実施形態では、周波数スペクトル系列から対数スペクトル包絡系列を直接求める方法として対数スペクトル包絡系列をベクトル量子化により得る符号化装置、およびこの符号化装置に対応する復号装置について説明する。
図6Aを参照して、第二実施形態の符号化装置21が実行する符号化方法の処理手続きを説明する。第二実施形態の符号化装置21は、第一実施形態の符号化装置11における線形予測分析部112、スペクトル包絡生成部113、および対数包絡生成部114に代えて、対数包絡符号化部214を備える以外は、第一実施形態の符号化装置11と同一の構成である。以下、第一実施形態の符号化装置11と異なる点について説明する。以降、第一実施形態と共通する部分については、第一実施形態と同じ参照番号を用いて説明を簡略化する。
対数包絡符号化部214には、周波数領域変換部111が出力した周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1が入力される。対数包絡符号化部214は、入力された周波数スペクトル系列X0,X1,…,XN-1に含まれる周波数スペクトル値に基づいて対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を求め、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を信号平滑化部116へ、対数スペクトル包絡系列に対応する符号である包絡符号CLを多重化部117へ出力する。
多重化部117は、スペクトル包絡を表す符号として、第一実施形態の線形予測分析部112またはスペクトル包絡生成部113が出力した線形予測係数符号Cαまたは包絡符号CLに代えて、対数包絡符号化部214が出力した包絡符号CLを用いる以外は、第一実施形態の多重化部117と同じ動作をする。
図6Bを参照して、第二実施形態の復号装置22の機能構成、および復号装置22が実行する復号方法の処理手続きを説明する。第二実施形態の復号装置22は、第一実施形態の復号装置12におけるスペクトル包絡生成部123、および対数包絡生成部124に代えて、対数包絡復号部224を備える以外は、第一実施形態の復号装置12と同様の構成である。以下、第一実施形態の復号装置12と異なる点について説明する。
多重分離部127には、復号装置22に入力された入力符号が入力される。多重分離部127は、入力符号をフレーム毎に受け取り、入力符号を分離して、入力符号に含まれるスペクトル包絡を表す符号である包絡符号CLを対数包絡復号部224へ、入力符号に含まれる量子化幅符号CQを逆量子化部125へ、入力符号に含まれる信号符号CXを信号逆平滑化部126へ、それぞれ出力する。
対数包絡復号部224内の図示しない記憶部には、予め、対応する符号化装置21の対数包絡符号化部214の図示しない記憶部に記憶されているのと同じ、総和が0となるようなN個の整数で構成される対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1の複数個の候補について、各候補の対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、各系列に対応する符号と、による組を記憶しておく。すなわち、対数包絡復号部224内の図示しない記憶部には、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1の候補と、当該対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1の候補を特定可能な符号と、による組が複数組予め記憶されている。対数包絡復号部224には、多重分離部127が出力した包絡符号CLが入力される。対数包絡復号部224は、入力された包絡符号CLに対応する対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を記憶部から得て信号逆平滑化部126に出力する。すなわち、対数包絡復号部224は、当該記憶部に予め記憶された複数個の組のうち、符号が包絡符号CLに対応する組を選択し、当該選択した組の対数スペクトル包絡系列の候補を対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1として得て信号逆平滑化部126に出力する。
以上説明したように、第一実施形態の符号化装置11も第二実施形態の符号化装置21も要するに図7Aに示す符号化装置31に相当する。符号化装置31は、周波数領域変換部111、対数スペクトル包絡生成部314、量子化部115、信号平滑化部116、および多重化部117を含む。対数スペクトル包絡生成部314は、所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、当該対数スペクトル包絡系列を特定可能な符号である包絡符号CLと、を得て出力する。第一実施形態の符号化装置11では、線形予測分析部112(包絡符号化部)、スペクトル包絡生成部113、および対数包絡生成部114を含む機能構成が対数スペクトル包絡生成部314に相当する。第二実施形態の符号化装置21では、対数包絡符号化部214を含む機能構成が対数スペクトル包絡生成部314に相当する。また、信号平滑化部116は、時系列信号の周波数領域スペクトル系列の各サンプル値を量子化して得た量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1について、^Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが正値である^Xkについて、^Xkの二進数表記における最下位桁からLk桁だけ数値を取り除いたものを平滑化スペクトル値~Xkとし、^Xkに対応するLkが負値である^Xkについて、予め定めた規則に従って、^Xkの二進数表記における最下位桁に-Lk桁だけ数値を追加したものを平滑化スペクトル値~Xkとし、^Xkに対応するLkが0である場合には、^Xkを平滑化スペクトル値~Xkとすることにより、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得て、得た平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1の各サンプルを固定長で符号化して信号符号CXを得るものである。この予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である。
図8Aに例示するように、音信号などの時系列信号である入力信号を入力とし、第一実施形態の符号化装置11、第二実施形態の符号化装置21、または第三実施形態の符号化装置31の信号平滑化部116の平滑化部116aで得られる平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を出力する平滑化装置41が構成されてもよい。平滑化装置41は、周波数領域変換部111、対数スペクトル包絡生成部414、量子化部115、および平滑化部116aを含む。対数スペクトル包絡生成部414は、所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得て出力する。対数スペクトル包絡生成部414は、第三実施形態の対数スペクトル包絡生成部314と同一構成であってもよいし、対数スペクトル包絡生成部314の機能構成から包絡符号CLを得て出力する機能構成を除外したものであってもよい。平滑化部116aは、時系列信号の周波数領域スペクトル系列の各サンプル値を量子化して得た量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1について、^Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが正値である^Xkについて、^Xkの二進数表記における最下位桁からLk桁だけ数値を取り除いたものを平滑化スペクトル値~Xkとし、^Xkに対応するLkが負値である^Xkについて、予め定めた規則に従って、^Xkの二進数表記における最下位桁に-Lk桁だけ数値を追加したものを平滑化スペクトル値~Xkとし、^Xkに対応するLkが0である場合には、^Xkを平滑化スペクトル値~Xkとすることにより、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得て出力する。予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である。対数スペクトル包絡生成部414が包絡符号CLを出力するのであれば、平滑化装置41が包絡符号CLを出力してもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態の符号化装置11,21,31の信号平滑化部116の平滑化系列符号化部116bでは、平滑化により得た平滑化スペクトル系列の各サンプルを固定長で符号化して信号符号CXを得ているが、可変長符号化して信号符号CXを得る構成としてもよい。その際には、復号装置12,22,32の信号逆平滑化部126の平滑化系列復号部126bでは、信号符号CXを可変長復号して平滑化スペクトル系列を得ればよい。この変形例では、復号装置の入力符号に含まれる信号符号CXに誤りが含まれた場合には信号符号CX中の誤りが生じたビットが対応する平滑化スペクトルの値以外にも誤りの影響が生じることはあるが、復号装置12,22,32の入力符号に含まれる包絡符号CLにいくら誤りが生じても量子化スペクトル系列のサンプル数には誤りが生じないのは上記の各実施形態と同様である。
12,22,32,1012 復号装置
41 平滑化装置
42 逆平滑化装置
Claims (20)
- 所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、
当該対数スペクトル包絡系列を特定可能な符号である包絡符号と、
を得る対数スペクトル包絡生成部と、
前記時系列信号の周波数領域スペクトル系列の各サンプル値を量子化して得た量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1について、
^Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが正値である^Xkについて、^Xkの二進数表記における最下位桁からLk桁だけ数値を取り除いたものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが負値である^Xkについて、予め定めた規則に従って、^Xkの二進数表記における最下位桁に-Lk桁だけ数値を追加したものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが0である場合には、^Xkを平滑化スペクトル値~Xkとする
ことにより、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得て、
前記得た平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1の各サンプルを固定長で符号化して信号符号を得るものであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
信号平滑化部と、
を含む符号化装置。 - 請求項1の符号化装置であって、
前記対数スペクトル包絡生成部は、
前記対数スペクトル包絡系列の候補と、当該対数スペクトル包絡系列の候補に対応するスペクトル包絡系列の候補と、当該対数スペクトル包絡系列の候補を特定可能な符号と、による組が複数組予め記憶されており、
前記予め記憶された複数個の組のうち、スペクトル包絡系列の候補が前記所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列に対応する組を選択して、当該選択した組の対数スペクトル包絡系列の候補を前記対数スペクトル包絡系列として得、当該選択した組の符号を包絡符号として得る対数包絡符号化部
を含む符号化装置。 - 請求項1の符号化装置であって、
前記対数スペクトル包絡生成部は、
前記時系列信号に対応するスペクトル包絡系列と、当該スペクトル包絡系列に対応する包絡符号と、を得、
前記スペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列を得、
前記整数値列に含まれる値の総和が0である場合には、前記整数値列を前記対数スペクトル包絡系列とし、
前記整数値列に含まれる値の総和が0でない場合には、予め定めた規則により、調整後の整数値列に含まれる値の総和が0となるように、前記整数値列に含まれる少なくとも一部の整数値を調整し、調整後の整数値列を前記対数スペクトル包絡系列として得る
ものである
符号化装置。 - 入力された包絡符号を復号し、所定時間区間のスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得る対数スペクトル包絡復号部と、
固定長の符号である信号符号を復号して前記所定時間区間の平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得、
前記平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1について、
~Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが負値である~Xkについて、~Xkの二進数表記における最下位桁から-Lk桁だけ数値を取り除いたものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが正値である~Xkについて、予め定めた規則に従って、~Xkの二進数表記における最下位桁にLk桁だけ数値を追加したものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが0である場合には、~Xkを量子化スペクトル値^Xkとする
ことにより、前記所定時間区間の量子化されたスペクトルの系列である量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を得るものであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
信号逆平滑化部と、
を含む復号装置。 - 請求項4の復号装置であって、
前記対数スペクトル包絡復号部は、
前記対数スペクトル包絡系列の候補と、当該対数スペクトル包絡系列の候補を特定可能な符号と、による組が複数組予め記憶されており、
前記予め記憶された複数個の組のうち、符号が前記包絡符号に対応する組を選択し、当該選択した組の対数スペクトル包絡系列の候補を前記対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1として得る対数包絡復号部を含む、復号装置。 - 請求項4の復号装置であって、
前記対数スペクトル包絡復号部は、
前記包絡符号を復号して前記スペクトル包絡系列を得るスペクトル包絡生成部と、
前記スペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列を得、
前記整数値列に含まれる値の総和が0である場合には、前記整数値列を前記対数スペクトル包絡系列とし、
前記整数値列に含まれる値の総和が0でない場合には、予め定めた規則により、調整後の整数値列に含まれる値の総和が0となるように、前記整数値列に含まれる少なくとも一部の整数値を調整し、調整後の整数値列を前記対数スペクトル包絡系列として得る対数包絡生成部と、
を含む復号装置。 - 所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得る対数スペクトル包絡生成部と、
前記時系列信号の周波数領域スペクトル系列の各サンプル値を量子化して得た量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1について、
^Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが正値である^Xkについて、^Xkの二進数表記における最下位桁からLk桁だけ数値を取り除いたものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが負値である^Xkについて、予め定めた規則に従って、^Xkの二進数表記における最下位桁に-Lk桁だけ数値を追加したものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが0である場合には、^Xkを平滑化スペクトル値~Xkとする
ことにより、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得るものであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
平滑化部と、
を含む平滑化装置。 - 所定時間区間のスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、前記所定時間区間の平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1と、を入力とし、
前記平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1について、
~Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが負値である~Xkについて、~Xkの二進数表記における最下位桁から-Lk桁だけ数値を取り除いたものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが正値である~Xkについて、予め定めた規則に従って、~Xkの二進数表記における最下位桁にLk桁だけ数値を追加したものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが0である場合には、~Xkを量子化スペクトル値^Xkとする
ことにより、前記所定時間区間の量子化されたスペクトルの系列である量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を得るものであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
逆平滑化部
を含む逆平滑化装置。 - 所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、
当該対数スペクトル包絡系列を特定可能な符号である包絡符号と、
を得る対数スペクトル包絡生成ステップと、
前記時系列信号の周波数領域スペクトル系列の各サンプル値を量子化して得た量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1について、
^Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが正値である^Xkについて、^Xkの二進数表記における最下位桁からLk桁だけ数値を取り除いたものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが負値である^Xkについて、予め定めた規則に従って、^Xkの二進数表記における最下位桁に-Lk桁だけ数値を追加したものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが0である場合には、^Xkを平滑化スペクトル値~Xkとする
ことにより、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得て、
前記得た平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1の各サンプルを固定長で符号化して信号符号を得るステップであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
信号平滑化ステップと、
を含む符号化方法。 - 入力された包絡符号を復号し、所定時間区間のスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得る対数スペクトル包絡復号ステップと、
固定長の符号である信号符号を復号して前記所定時間区間の平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得、
前記平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1について、
~Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが負値である~Xkについて、~Xkの二進数表記における最下位桁から-Lk桁だけ数値を取り除いたものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが正値である~Xkについて、予め定めた規則に従って、~Xkの二進数表記における最下位桁にLk桁だけ数値を追加したものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが0である場合には、~Xkを量子化スペクトル値^Xkとする
ことにより、前記所定時間区間の量子化されたスペクトルの系列である量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を得るステップであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
信号逆平滑化ステップと、
を含む復号方法。 - 所定時間区間の時系列信号に対応するスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である、対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1を得る対数スペクトル包絡生成ステップと、
前記時系列信号の周波数領域スペクトル系列の各サンプル値を量子化して得た量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1について、
^Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが正値である^Xkについて、^Xkの二進数表記における最下位桁からLk桁だけ数値を取り除いたものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが負値である^Xkについて、予め定めた規則に従って、^Xkの二進数表記における最下位桁に-Lk桁だけ数値を追加したものを平滑化スペクトル値~Xkとし、
^Xkに対応するLkが0である場合には、^Xkを平滑化スペクトル値~Xkとする
ことにより、平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1を得るステップであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
平滑化ステップと、
を含む平滑化方法。 - 所定時間区間のスペクトル包絡系列の各サンプル値の2底対数に対応する整数値列であり、かつ、総和が0となる整数値列である対数スペクトル包絡系列L0,L1,…,LN-1と、前記所定時間区間の平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1と、を入力とし、
前記平滑化スペクトル系列~X0,~X1,…,~XN-1について、
~Xk(kはサンプル番号でありk∈{0,…,N-1})に対応するLkが負値である~Xkについて、~Xkの二進数表記における最下位桁から-Lk桁だけ数値を取り除いたものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが正値である~Xkについて、予め定めた規則に従って、~Xkの二進数表記における最下位桁にLk桁だけ数値を追加したものを量子化スペクトル値^Xkとし、
~Xkに対応するLkが0である場合には、~Xkを量子化スペクトル値^Xkとする
ことにより、前記所定時間区間の量子化されたスペクトルの系列である量子化スペクトル系列^X0,^X1,…,^XN-1を得るものであり、
前記予め定めた規則は、取り除いた数値が過不足なく追加する数値となるように、サンプル番号順と桁番号順とに基づいて、定めた規則である
逆平滑化ステップ
を含む逆平滑化方法。 - 請求項1から3の何れかの符号化装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 請求項4から6の何れかの復号装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 請求項7の平滑化装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 請求項8の逆平滑化装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 請求項1から3の何れかの符号化装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項4から6の何れかの復号装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項7の平滑化装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項8の逆平滑化装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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