以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。まず、後述する実施例1〜7に共通する画像形成装置の実施例について図1を用いて説明する。図1において一部の参照符号の末尾に付加されたY,M,C,Bkは、その構成要素が現像剤としてのトナーの色であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応することを示す。ただし、本実施例の説明文においては、各色に対応する構成要素の説明を参照符号にY,M,C,Bkを付加することなくまとめて行う。
各色の帯電部1は、図中の細矢印方向に回転駆動する各色の感光ドラム2を一様に帯電する。各色の露光部3は、対応する感光ドラム2にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像部4は、現像バイアスを印加することで静電潜像にトナーを供給して感光ドラム2上に可視像としてのトナー像を形成する。現像部4および感光ドラム2により現像手段が構成される。
各色の一次転写ローラー5は、一次転写バイアスの印加により各色の感光ドラム2上のトナー像を像担持体である中間転写ベルト6に転写する。中間転写ベルト6は、駆動ローラー7によって太矢印方向に回転駆動されており、各色の感光体ドラム2から1つの中間転写ベルト6上にトナー像を重ねて転写することでカラー画像が形成される。
搬送ローラー8,9,10は、カセット20内の記録材を搬送路11に沿って二次転写ローラー12まで搬送する。二次転写ローラー12は、二次転写バイアスの印加により中間転写ベルト6上のトナー像(カラー画像)を記録材に転写する。記録材に転写されずに中間転写ベルト6に残ったトナーは、クリーニングブレード13により除去され、廃トナー回収容器14へと回収される。
トナー像が転写された記録材に対して定着部15において加熱および加圧が行われることで記録材に対してトナー像が定着し、該記録材は搬送ローラー16により装置外に排出される。
エンジン制御部(算出手段)17は、マイクロコンピュータを含み、画像形成装置の各種駆動制御やセンサを用いた制御等を行う。中間転写ベルト6のうち駆動ローラー7に巻き掛けられた部分(以下、ローラー巻掛け部分という)に対向する位置には、光センサとしての色ずれ検出センサ18が設けられている。
実施例1では、色ずれ検出センサ18として、中間転写ベルト6上に2つの参照領域を設ける鏡面反射型色ずれ検出センサを用いる場合について、図2(a),(b)を用いて説明する。図2(a)では、説明のために色ずれ検出センサ(以下、単にセンサという)200が対向する中間転写ベルト6を平面状に示しているが、実際のセンサ200は中間転写ベルト6のうちローラー巻掛け部分に対向配置されている。ただし、センサ200を中間転写ベルト6の平面部分に対向配置してもよい。以下の説明において、トナー(後述する各パッチ)を搬送する中間転写ベルト6の駆動方向(太矢印で示す)を搬送方向といい、該中間転写ベルト6においてパッチが転写される表面の速度を中間転写ベルト6の速度またはパッチの搬送速度という。
図2(a),(b)を用いて、本実施例のセンサ200の構成について説明する。図2(b)は、図2(a)に示したセンサ200から遮光部材206を取り外した状態を示している。
センサ200の基板213上には、1つの光源201が実装されている。光源201から発せられた光束202,203はそれぞれ、中間転写ベルト6上に搬送方向に互いに離間して設定された参照領域(第1の検出領域)211および参照領域(第2の検出領域)212に照射される。搬送方向における参照領域211,212間の間隔(所定間隔)は、色ずれを検出するための基準間隔となる。
中間転写ベルト6上の参照領域211,212に照射された光束202,203はそれぞれ、中間転写ベルト6の表面にて鏡面反射する。鏡面反射光202’,203’はそれぞれ、図2(b)に示すようにセンサ200の遮光部材206に設けられた開口部206a,206bを通過して基板213上に設けられた第1の受光部209および第2の受光部210により受光される。
中間転写ベルト6上には、感光ドラム2から基準色(第1の色)のブラックのトナーにより形成される基準色パッチ(第1のパッチ)204が転写される。また、比較色(第2の色)のイエロー、マゼンタまたはシアンのトナーにより形成される比較色パッチ(第2のパッチ)205が転写される。基準色パッチ204と比較色パッチ205は、色ずれがなければ上記基準間隔と同じ間隔(所定間隔)で転写され、色ずれがあれば基準間隔に対して異なる間隔を有するように転写される。基準色および比較色パッチ204,205は光拡散性を有し、各パッチからの鏡面反射光は中間転写ベルト6の表面からの鏡面反射光に比べて弱くなる。このため、基準色および比較色パッチ204,205の参照領域211,212の通過は、第1および第2の受光部210が受光する鏡面反射光202’,203’の強度が該通過に伴って減衰することを利用して行われる。
第1および第2の受光部209,210は、基準色および比較色パッチ204,205間の間隔および参照領域211,212の間隔が基準間隔である場合に該パッチ204,205の参照領域211,212の通過を同時に検出する位置に配置されている。このため、基準色および比較色パッチ204,205が参照領域211,212を通過する通過タイミング(以下、通過時刻という)の差から、基準色および比較色パッチ204,205の基準間隔に対するずれ量である色ずれ量が算出される。
本実施例では、パッチ204,205間のクロストーク光や参照領域211,212ではない非参照領域からの不要な反射光によって検出誤差が生じることを抑制するために、開口部206a,206bを有する遮光部材206を用いている。ただし、このような検出誤差のおそれがないような場合は遮光部材206を設けなくてもよい。
次に、パッチ204,205を検出したセンサ200(第1および第2の受光部209,210)から出力される検出信号(電圧)の波形と第1の演算による色ずれ量の算出方法について、図3(a),(b)を用いて説明する。図3(a)は、第1の受光部209から出力される検出信号の波形(実線)と、第2の受光部210から出力される検出信号の波形(破線)とを示す。参照領域211,212をパッチ204,205が通過する際における該パッチ204,205からの鏡面反射光の強度は中間転写ベルト6からの鏡面反射光の強度に比べて弱いため、各検出信号の波形は各パッチの通過時刻にて谷状に凹となる波形となる。図3(a)は、基準色パッチ204が参照領域211を通過した後、参照領域212を通過するのに対してやや遅れて比較色パッチ205が参照領域212を通過する場合を示している。また図3(a)は、基準色パッチ204として無彩色(黒)パッチを、比較色パッチ205として有彩色パッチを用いる場合を示している。比較色パッチ205の検出時に減衰する鏡面反射光に該比較色パッチ205からの拡散反射光が重畳されることで、基準色パッチ204の検出時とは検出信号に振幅差が発生している。
図3(b)は、基準色パッチ204が参照領域212に到達する時刻に対してやや遅れて比較色パッチ205が参照領域212に到達する際の第1および第2の受光部209,210からの検出信号(アナログ信号)を2値化した2値化信号を示す。アナログ信号の信号値が基準レベルに対して低いときは2値化信号はハイレベルとなり、基準レベルより高いときには2値化信号はローレベルとなる。
以下に説明する色ずれ量の算出は、エンジン制御部17のマイクロコンピュータによりコンピュータプログラムとしての色ずれ量演算プログラムに従って行われる。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
第1の受光部209に対応する参照領域211を基準色パッチ204が通過する時刻T1(第1の通過タイミング)は、以下の式(1)に示すように2値化信号の立ち上がり時刻t11と立ち下り時刻t12との平均時刻で表現される。
同様に、第2の受光部210に対応する参照領域212を比較色パッチ205が通過する時刻T2(第2の通過タイミング)は、以下の式(2)に示すように2値化信号の立ち上がり時刻t21と立ち下り時刻t22との平均時刻で表現される。
このとき、色ずれ量Xを算出するための第1の演算を以下の式(3)により行う。
式(3)において、V12は時刻T1,T2間での中間転写ベルト6の平均速度である。
ただし、駆動ローラー7の偏心を主要因として変動するV12を検出することは難しいため、V12の代わりに(T2−T1)間より十分に長い時間内での中間転写ベルト6の平均速度Vaveを用いる。このときの算出誤差について説明する。Vaveを用いる場合、算出される色ずれ量は、
X×Vave/V12
で表現される。ここで、駆動ローラー7の周長が100mmで、駆動ローラー7の偏心量が±0.05mmである場合、該偏心に起因する中間転写ベルト6の速度の変化は±0.31%となる。すなわち、平均速度Vaveを用いることにより、真の色ずれ量Xに対してVave/V12=最大0.31%の誤差を与える結果となる。一般的にカラーレジストレーションで要求される検出精度は一桁μmオーダーであり、色ずれ量が0.33mm発生したときの算出誤差はおよそ0.001mmとなる。色ずれ量が小さいほど算出誤差の影響は低減されるため、V12に代えてVaveを用いても十分な精度で色ずれ量の算出が可能となる。なお、色ずれ量に相当する(T2−T1)が大きくて演算結果への影響が大きくなる場合は、中間転写ベルト6の速度の変化の主要因である駆動ローラー7の回転周期に対応した複数の通過時刻で平均化処理を行うといった追加の処理を行えばよい。
また、式(3)に示す色ずれ量Xは間隔を示すが、通過時刻差(T2−T1)を感光体ドラム2への露光開始時刻の補正に用いて色ずれ量を補正することもできる。通過時刻差(T2−T1)の補正量はV12における瞬時の色ずれ量となるが、上述したように平均速度Vaveにおける平均的な色ずれ量との誤差は十分小さくなる。またこの場合も、色ずれ量が大きくて演算結果への影響が大きくなる場合は、中間転写ベルト6の速度の変化の主要因である駆動ローラー7の回転周期に対応した複数の通過時刻で平均化処理を行うといった追加の処理を行えばよい。この際、感光体ドラム2から中間転写ベルト6への転写性向上のために感光体ドラム2と中間転写ベルト6とに速度比を与えている場合は、その速度比を考慮してカラーレジストレーションタイミングを補正する必要がある。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例では、実施例1のセンサ200を中間転写ベルト6のローラー巻掛け部分に対向配置した場合において発生し得る参照領域間の間隔の誤差やパッチ周期の誤差の影響を受けずに色ずれを検出する方法について図4(a)〜(f)を用いて説明する。
図4(a)は、センサ200に対向する中間転写ベルト6のローラー巻掛け部分を平面状に展開して示している。図中の実線丸は図2(a),(b)に示した第1の受光部209に対応する参照領域211と第2の受光部210に対応する参照領域212を示す。実際の参照領域211,212の間隔はL’であり、破線丸で示された設計上の2つの参照領域403の間隔(以下、設計間隔Lという)に対して誤差を持つ。すなわち、L’≠Lである。なお、ここにいう参照領域間の間隔とは該参照領域の中心間の間隔であり、このことは後述するパッチ間の間隔についても同じである。
図4(b)〜(f)を用いて、実際の参照領域211,212の中心404,405を基準色および比較色パッチ204,205により構成される色ずれ検査パターンが通過する過程について説明する。
まず図4(b)を用いて色ずれ検査パターンについて説明する。色ずれ検査パターンは間隔2×Lで形成された2つの基準色パッチ204a,204bと、搬送方向においてこれら基準色パッチ204a,204bにより挟まれた1つの比較色パッチ205とにより構成されている。各基準色パッチ(204a,204b)と比較色パッチ205間の間隔は、これらに色ずれがない場合は参照領域211,212間の設計間隔Lに対応する。なお、ここでは2つの基準色パッチ204a,204b間の間隔を2×Lとしているが、これは、後述するように該基準色204a,204b間の間隔の誤差が色ずれ検出の結果に影響を及ぼすことを抑制するためである。図4(b)では、比較色パッチ205が基準色パッチ204a,204bに対して+Xの色ずれ量を有する場合を示している。すなわち、基準色パッチ204a,204b間の中心に対して比較色パッチ205の中心が+Xだけずれている。
図4(b)は、一方の基準色パッチ204aが参照領域212を通過する時刻T1での状態を示している。図4(c)は、比較色パッチ205が参照領域212を通過する時刻T2(第2の通過タイミング)での状態を示している。図4(d)は、基準色パッチ204aが参照領域211を通過する時刻T3(第1の通過タイミング)の状態を示している。通過時刻差(T3−T2)での各パッチの移動量ΔL1は、以下の式(4)で表される第1の演算により算出される。
ただし、V23は時刻T2,T3間での中間転写ベルト6の平均速度である。
図4(e)は、比較色パッチ205が参照領域211を通過する時刻T4(第3の通過タイミング)の状態を示している。図4(f)は、他方の基準色パッチ204bが参照領域212を通過する時刻T5(第4の通過タイミング)の状態を示している。通過時刻差(T5−T4)での各パッチの移動量ΔL2は、以下の式(5)で表される第2の演算により算出される。
ただし、V45は時刻T4,T5間での中間転写ベルト6の平均速度である。
上記第1の演算の結果と第2の演算の結果とを用いた色ずれ量Xの演算を式(6)に示す。
このように、原理的にはL,L’に関わらず色ずれ量Xの検出が可能となる。しかしながら、実際の瞬時速度V23,V45を検出することが難しいため、V23,V45に代えて中間転写ベルト6の平均速度Vaveを用いると、ΔL1とΔL2はそれぞれ以下のΔL1’とΔL2’のように書き換えることができる。
これにより、色ずれ量Xを、
と表すことができる。
式(9)において、前半の項(L−L’) ×Vave×(V23−V45)/(V23×V45)/2は0に近似した。この理由を、速度変動の主要因となる駆動ローラー7の想定周長をおよそ100mmとし、最大偏心量を50μmとし、中間転写ベルト6の目標速度を300mm/sとした場合を例として説明する。このとき、中間転写ベルト6において発生する速度変動は最大で±0.31%程度、すなわち±0.94mm/sとなる。また、V23およびV45の検出位置の差、すなわちLを2mm程度に想定し、駆動ローラー7の偏心による速度変動が正弦波状に発生する場合に、この想定距離2mmにおける速度変動が最大となる位相は該正弦波における0とπである。つまり、V23−V45≒0.118mm/sとなる。このため、Vave×(V23−V45)/(V23×V45)≒0.118/300=0.0004となる。
したがって、仮にL’に20%の誤差(L’=0.8mm)が発生しても、(L−L’)×Vave×(V23−V45)/(V23×V45)=0.00008mmとなる。一般的にカラーレジストレーションで要求される検出精度は一桁μmオーダーであり、(L−L’)×V45/Vave−V23/Vaveの項はこの精度に対して十分小さい値となることから無視できる項と判断して0とした。
また、Vave×(V23+V45)/(V23×V45)/2は、上記条件下において、
最大V23≒V45≒±0.94mm/s=±0.31%
の誤差を与えることになる。しかし、色ずれ量が0.33mm以下の場合では、誤差量が0.001mm以下に抑えられる結果となり、中間転写ベルト6の速度変動の影響を抑制した色ずれ検出が可能となる。
したがって、誤差量が0.001mm以下という許容条件下においては、
によって色ずれ量Xの算出が可能である。
色ずれ量が大きく演算結果への影響が大きくなる場合は、実施例1と同様に、中間転写ベルト6の速度の変化の主要因である駆動ローラー7の回転周期に対応した複数の通過時刻で平均化処理を行うといった追加の処理を行えばよい。
このように、センサ200が中間転写ベルト6におけるローラー巻掛け部分のような曲面部分に対向配置されて参照領域の間隔やパッチ周期にずれが生じている場合でも、事前の補正を行うことなく色ずれ量を精度良く算出することができる。
次に、本発明の実施例3について説明する。センサが中間転写ベルト6におけるローラー巻掛け部分等の曲面部分に対向配置される場合には、該センサと中間転写ベルト6との間のギャップの変化やセンサの実装誤差により参照領域間の間隔が変化するおそれがある。このため、本実施例では、この参照領域間の間隔変化やパッチ周期の誤差の影響を信号処理によりキャンセル可能とする構成について図5(a),(b)を用いて説明する。本実施例のセンサ500には、図5(b)に示すように、2つの第1の受光部519,521が搬送方向(曲線矢印で示す)において1つの第2の受光部520を間(中心)に挟んで配置されている。
図5(a)において、基板513に実装された光源501から発せられた光束502,503,504は、駆動ローラー7に巻き掛けられた中間転写ベルト6に向けて照射される。中間転写ベルト6には、2つの基準色パッチ514,516とこれら基準色パッチ514,516の間に位置する比較色パッチ515とを含む色ずれ検査パターンが転写されている。
図5(b)は、図5(a)に示したセンサ500から遮光部材506を取り外した状態を示している。基板513上には、前述したように搬送方向において第2の受光部520を中心に挟んで2つの第1の受光部519,521が配置されている。第1の受光部519は、遮光部材506に設けられた開口部506aを通して中間転写ベルト6上の参照領域(第1の検出領域)511からの反射光502’を受光する。第2の受光部520は、遮光部材506に設けられた開口部506bを通して中間転写ベルト6上の参照領域(第2の検出領域)512からの反射光503’を受光する。さらにもう1つの第1の受光部521は、遮光部材506に設けられた開口部506cを通して中間転写ベルト6上の参照領域(第1の検出領域)513からの反射光504’を受光する。
図6(a)は、2つの第1の受光部519,521と上記パッチ514~516を含む色ずれ検査パターンとの関係を示している。色ずれ検査パターンは中間転写ベルト6によって搬送方向(曲線矢印方向)に搬送される。
図6(b)は、色ずれ検査パターンの構成を示している。色ずれ検査パターンは、2つの基準色パッチ(第1のパッチ)514,516と2つの比較色パッチ(第2のパッチ)515,517とが1つずつ交互に転写されている。この4つのパッチ514〜517により第1のパッチグループと第2のパッチグループとが構成される。第1のパッチグループは、間隔Pで形成された上記2つの基準色パッチ514,516と該基準色パッチ514,516の間に形成された上記比較色パッチ515とを含む。
色ずれがない理想状態であれば、比較色パッチ515は基準色パッチ514,516間の中心に位置する。第2のパッチグループは、第1のパッチグループの基準色と比較色の関係が反転した構成を有する。該第2のパッチグループは、上記比較色パッチ515と、これに対して間隔Pで形成された比較色パッチ517と、これら比較色パッチ515,517の間に形成された基準色パッチ516を含む。理想状態では、基準色パッチ516は比較色パッチ515,517間の中心に位置する。
図7(a)は、図6(a),(b)に示した構成において理想状態で各受光部から出力される検出信号の2値化波形を示す。理想状態では、上記4つのパッチ514〜517のうち3つが3つの参照領域511〜513を通過する時刻T1,T2,T3は同時刻となる。ここで、物理的な位置関係として、参照領域512は参照領域511と参照領域513の中心に位置するように設定される。このため、時刻T1と時刻T2の平均時刻(T1+T2)/2は、比較色パッチ515が参照領域512を仮想的に通過する時刻となる。したがって、この仮想的な通過時刻と実際に比較色パッチ515が参照領域512を通過する時刻T2とを比較すれば、色ずれ量を算出することが可能となる。
図6(c)は、中間転写ベルト6上の参照領域511〜513を含む曲面を平面に展開して示している。この図を用いて、センサ500の実装誤差により生じる参照領域511〜513の間隔の変化の影響について説明する。
図中に破線で示した設計上の参照領域603に対して、第2の受光部520に対応する参照領域512はΔLc’だけずれている。また、第2の受光部520を中心として配置された第1の受光部519,521に対応する参照領域511,513間の間隔はL’となり、それぞれの参照領域512との間隔はL2とL1(≠L2)となる。
第1のパッチグループにおいて、図6(c)および図7(b)に示すように時刻T3(第2の通過タイミング)にて比較色パッチ515の参照領域512の通過が第2の受光部520により検出される。また、時刻T3より前の時刻T1,T2(>T1)(2つの第1の通過タイミング)にてそれぞれ、基準色パッチ514,516の参照領域511,513の通過が第1の受光部519,521により検出される。時刻T1,T2の平均時刻(T1+T2)/2では、2つの基準色パッチ514,516がそれぞれ参照領域511,513の中心から等距離L”に位置している。このことから仮想的に基準色パッチ514,516が参照領域511,513の中心を通過する時刻を算出できる。ただし、第2の受光部520に対応する参照領域512は設計上の参照領域603に対してL1−(L1+L2)/2だけずれた位置に存在する。
時刻(T1+T2)/2と時刻T3との間での各パッチの移動量ΔL3を算出する第1の演算は、参照領域間の間隔の差による誤差L1−(L1+L2)/2と色ずれ量Xとから式(11)のように表現される。
第2のパッチグループにおいても同様に、図6(c)に示す時刻T4(第4の通過タイミング)にて基準色パッチ516の参照領域512の通過が第2の受光部520により検出される。また、時刻T4より後の時刻T5,T6(>T5)(2つの第3の通過タイミング)にてそれぞれ、比較色パッチ515,517の参照領域511,513の通過が第1の受光部519,521により検出される。そして、時刻(T5+T6)/2と時刻T4との間での各パッチの移動量ΔL4を算出する第2の演算は、参照領域間の間隔の差による誤差L1−(L1+L2)/2と色ずれ量Xとから式(12)のように表現される。
実施例2と同様に、パッチの位置関係が反転した色ずれ検査パターンによる色ずれ検出結果には、参照領域間の間隔の誤差と色ずれ量がそれぞれ逆極性となるように含まれる。このため、参照領域間の間隔の誤差は第1の演算の結果と第2の演算の結果を用いた以下の式(13)の演算によって相殺され、色ずれ量Xのみを抽出することができる。
さらに、時刻T3,T4での中間転写ベルト6の速度V3,V4を該中間転写ベルト6の平均速度Vaveで代用すると、ΔL3とΔL4はそれぞれ以下のΔL3’とΔL3’のように書き換えることができる。
となる。これら色ずれ量ΔL3’,ΔL4’の平均値としての色ずれ量は、以下の式(16)で求められる。
式(16)において、実施例2で説明した条件下においては同様に前半の項は十分小さく無視できるので、
と、近似することができる。
さらに実施例2と同様に、Vave×(V3+V4)/(V3×V4)/2は、実施例2で示した条件下において±0.31%の誤差を与えることになる。しかし、色ずれ量が0.33mm以下では、算出誤差量が0.001mm以下に抑えられており、検出時の速度変動の影響を抑制した色ずれ検出が可能となる。したがって、誤差量が0.001mm以下という許容条件下においては、
によって色ずれ量Xの算出が可能である。
色ずれ量が大きく演算結果への影響が大きくなる場合は、実施例1と同様に、中間転写ベルト6の速度の変化の主要因である駆動ローラー7の回転周期に対応した複数の通過時刻で平均化処理を行うといった追加の処理を行えばよい。
このように、本実施例では、色ずれ検査パターンを基準色または比較色パッチの間に比較色または基準色パッチを配置した構成とし、センサ500に受光部を3つ設ける。これにより、センサ500と中間転写ベルト6とのギャップの変化やセンサ500の位置ずれによって参照領域の間隔が変化したりパッチ周期に誤差が生じたりしている場合でも、色ずれ量を精度良く算出することができる。
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例では、中間転写ベルト6からの拡散反射光を用いた色ずれ検出について説明する。例えば実施例3において図6(a)に示したように鏡面反射光を用いた色ずれ検出方法では、鏡面反射光の光線パスが中間転写ベルト6の曲面部分の傾き変化によって振れて(すなわち、光線振れが生じて)誤差を発生させるおそれがある。
これに対して、拡散反射光を用いることで、開口部と受光部の位置によって受光部が受光する光線のパスが一意に決まるため、センサを中間転写ベルト6の曲面部分に対向配置しても該曲面部分の傾き変化に起因する光線振れの影響を受けない色ずれ検出が可能となる。また、拡散反射光を用いることで、第1および第2の受光部間の間隔よりも参照領域間の間隔(つまりはパッチ間の間隔)を広くすることもできる。このような構成を採ることにより、駆動系の誤差抑制を目的とした検査パッチの配置の自由度が向上する。また、センサの小型化のために受光素子を小さくしても中間転写ベルト上の参照領域が狭くなるのを抑制できる。このため、検査パターンのサイズが小さくなって該検査パターンからの反射光量が低下しないようにして、センサの小型化に伴う検査パッチの検出精度の低下を抑制することができる。
まず、図8(a),(b)を用いて、本実施例における拡散反射型色ずれ検出センサ(以下、単にセンサという)800の構成について説明する。図8(b)は、図8(a)に示す遮光部材806を取り外した状態を示す
センサ800の基板813上には光源801が実装されている。該光源801から発せられた拡散光は中間転写ベルト6に照射される。中間転写ベルト6上の2つの参照領域(第1の検出領域)811および参照領域(第2の検出領域)812は、遮光部材806に設けられた1つの開口部806aと第1の受光部809および第2の受光部810との位置関係およびサイズにより決まる。参照領域811,812間の間隔は、色ずれがない場合の基準色パッチ(第1のパッチ)804と比較色パッチ(第2のバッチ)805の間隔と等しくなるように設定されている。
図8(c)は、中間転写ベルト6から第1および第2の受光部809,810に向かう拡散反射光の光線パスを示している。第1の受光部809に対応する参照領域811と第2の受光部810に対応する参照領域812との間隔はLである。中間転写ベルト6上の参照領域811,812からの拡散反射光のうち互いに交差する光線パスに沿った一部の光のみが開口部806aを通って第1および第2の受光部809,810により受光される。そして各パッチが各参照領域を通過する際には、各参照領域からの拡散反射光量が中間転写ベルト6の表面からの拡散反射光量に対して減衰することで、第1および第2の受光部809,810の出力が変化する。このため、該出力変化に基づいて各参照領域を各パッチが通過した時刻を取得することができる。
中間転写ベルト6の表面からの拡散反射光と各パッチからの拡散反射光の光量の増減はほぼ等方的に生じる。このため、各参照領域が設定される中間転写ベルト6の表面の傾きが変化することで第1および第2の受光部809,810の受光量の絶対値に差が生ずることもあるが、受光量の時間に対する変化の傾向はそれに依存しない。したがって、例えば駆動ローラー7の偏心による中間転写ベルト6の表面の傾き変化に起因する光線振れによる色ずれ量の算出誤差は発生しない。色ずれ検査パッチの構成やパッチの通過時刻に基づく色ずれ検出方法は鏡面反射型色ずれ検出センサを用いる実施例2と同様であり、前述した式(7),(8),および(10)を用いた演算によって色ずれ量の算出が可能である。
本実施例によれば、センサ800が対向する中間転写ベルト6の曲面部分の傾き変化等による反射光の光線振れの影響を受けずに色ずれ量を精度良く検出することができる。
なお、本実施例ではパッチが参照領域を通過する際の拡散反射光量の減衰によりパッチの通過時刻を取得する場合について説明したが、パッチからの拡散反射光が増加することで通過時刻を取得してもよい。
次に、本発明の実施例5について説明する。図9(a),(b)は、実施例4と同様の拡散反射型色ずれ検出センサであって受光部を3つ有するセンサの構成を示す。図9(b)は、図9(a)に示した本実施例のセンサ900から後述する遮光部材906,930を取り外した状態を示している。
基板913に実装された光源901からの拡散光は、そのうち光源側遮光部材930の開口部930aを通った一部のみが中間転写ベルト6に照射される。中間転写ベルト6上の3つの参照領域911〜913からの拡散反射光は、受光部側遮光部材906の開口部906aを通って基板913上の第1の受光部919,921および第2の受光部920により受光される。参照領域(第1の検出領域)911は第1の受光部919に、参照領域(第2の検出領域)912は第2の受光部920に、参照領域(第1の検出領域)913は第1の受光部921にそれぞれ対応する。
中間転写ベルト6上には、色ずれ検査パッチとして、基準色パッチ914,916と、それらの間に位置する比較色パッチ915とが転写されている。本実施例でも、各パッチが通過することによる各参照領域からの拡散反射光の光量変化(各受光部からの出力変化)に基づいてパッチの通過時刻を取得する。色ずれ検査パッチの構成や色ずれ検出方法は実施例5で説明した鏡面反射型色ずれ検出センサを用いる場合と同じである。
図10(a)は、本実施例のセンサ900における光源901からの拡散光と各参照領域からの拡散反射光の光線パスを搬送方向から見て示している。光源901と光源側遮光部材930の開口部930aとにより中間転写ベルト6への実線で示した鏡面反射光1004が定義される。受光部側遮光部材906の開口部906aは、鏡面反射光1004の光線パスを避け、かつ破線で示す拡散反射光1006が各受光部(ここでは第2の受光部920を示す)に導ける位置に形成される。
図10(b)は、中間転写ベルト6上の参照領域911〜9013から第1および第2の受光部919〜921への拡散反射光の光線パスを示している。参照領域911〜9013からの拡散反射光は受光部側遮光部材906の開口部906aを通りつつ互いに交差して第1および第2の受光部919〜921により受光される。
本実施例における色ずれ検査パッチの構成や色ずれ検出方法は、鏡面反射型色ずれ検出センサを用いる実施例3と同じであり、前述した式(14),(15)および(18)を用いた演算により色ずれ量の算出が可能である。
本実施例によれば、センサ900が対向する中間転写ベルト6の曲面部分の傾き変化等による反射光の光線振れの影響を受けずに色ずれ量を精度良く算出することができる。しかも、センサ900と中間転写ベルト6とのギャップの変化やセンサ900の位置ずれによって参照領域の間隔が変化したりパッチ周期に誤差が生じたりしている場合でも、色ずれ量を精度良く算出することができる。
なお、本実施例では光源からの拡散光を制限するための光源側遮光部材を設けたが、各受光部と受光部側遮光部材の開口部との位置関係を鏡面反射光が各受光部に入射しないように設定することで、光源側遮光部材を省略することも可能である。
次に、本発明の実施例6について図11を用いて説明する。本実施例では、センサ1100の受光部側遮光部材1106に2つの開口部1106a,1106bを設けることで、光線振れの影響を抑制しつつセンサ1100と中間転写ベルト6とのギャップの変化による参照領域間の間隔変化を抑制する。
図11は、中間転写ベルト6上の参照領域1111,1112から第1および第2の受光部1109,1110への拡散反射光の光線パスを示している。なお、不図示の光源から参照領域への光線パス(光源側遮光部材を設ける構成)については実施例5と同じである。
第1および第2の受光部1109,1110に対して参照領域1111,1112は、センサ1100に対して中間転写ベルト6が配置された方向を上とするとき真上に間隔Lで位置する。参照領域(第1の検出領域)1111からの拡散反射光は開口部1106aを通って第1の受光部1109により受光される。また、参照領域(第2の検出領域)1112からの拡散反射光は、参照領域1111からの拡散反射光と交差することなく互いに並行して進み、開口部1106bを通って第2の受光部1110により受光される。
本実施例でも、実施例5と同様に、センサ1100が対向する中間転写ベルト6の曲面部分の傾き変化等による反射光の光線振れの影響を受けずに色ずれ量を精度良く算出することができる。しかも、センサ1100と中間転写ベルト6とのギャップの変化やセンサ1100の位置ずれによって参照領域の間隔が変化したりパッチ周期に誤差が生じたりしている場合でも、色ずれ量を精度良く算出することができる。
本実施例では2つの受光部を設けているが、実施例3や実施例5のように3つの受光部を設けるとともに、受光部側遮光部材に3つの開口部を設けてもよい。
また、第1および第2の受光部1109,1110が実装された基板1113に対して搬送方向に受光部側遮光部材1106の位置がずれると、第1および第2の受光部1109,1110に導かれる光は、それぞれ傾いて互いに並行に進む光となる。このとき中間転写ベルト6の曲面部分上に設定された2つの参照領域間の間隔が変化して、該間隔変化による色ずれ量の算出誤差が発生する。しかし、実施例2および実施例3で説明したように2つの基準色パッチ間に比較色パッチを挟んだ色ずれ検出パターンを用いることで、誤差を除去することができる。
次に、本発明の実施例7について説明する。本実施例では、参照領域間の間隔に誤差が発生する場合に上述した実施例とは別の手法を用いて該誤差を低減する。例えば、センサが中間転写ベルトの曲面部分に対向配置されている実施例1の構成において、センサの設置状況により発生する参照領域間の間隔の誤差を、色ずれ検出を行う前に補正用パターンの検出により補正する。
図12(a)には、中間転写ベルト6におけるローラー巻掛け部分である曲面部分に対向配置された本実施例のセンサ1200の構成を示している。基板1213に実装された不図示の光源から中間転写ドラム6に光が照射される。曲面部分上の参照領域(第1および第2の検出領域)1211,1212からの鏡面反射光1202,1203は、第1および第2の受光部1209,1210により受光される。中間転写ベルト6上の後述する補正パッチ1204,1205が参照領域1211,1212を通過することによる第1および第2の受光部1209,1210からの出力変化に基づいて各補正パッチの通過時刻を取得することができる。
本実施例では、第1および第2の受光部1209,1210間の間隔が実施例1での間隔と同じである場合について説明する。この場合、中間転写ベルト6の曲面部分の曲率の影響によって、該曲面部分上の参照領域1211,1212間の間隔L’は、中間転写ベルト6の平面部分にセンサが対向している場合の参照領域間の間隔L(図示せず)に対して小さくなる(L’<L)。また、中間転写ベルト6の表面とセンサ1200との間のギャップ(Gap)が設計値からずれることで参照領域1211,1212間の間隔が変化する。参照領域1211,1212間の間隔の変化は色ずれ検出のための基準寸法の変化に相当し、この結果として色ずれ量の算出誤差が生じるので、参照領域1211,1212間の間隔の変化を補正する必要がある。
本実施例では、参照領域1211,1212間の設計上の間隔(以下、設計間隔という)Lと同一間隔で同色の2つの補正パッチ1204,1205を中間転写ベルト6上に形成する。そして、第1および第2の受光部1209,1210による両補正パッチ1204,1206の通過時刻差に基づいて参照領域1211,1212間の間隔の変化を補正する。
図12(b)は、第1および第2の受光部1209,1210からの検出信号の波形であり、図12(c)はそれらの2値化信号である。図12(b),(c)に示すように、参照領域1211,1212間の実際の間隔が設計間隔Lからずれている(L’<L)と、検出信号に遅延が生じる。間隔Lで形成された補正パッチの1204,1206を第1および第2の受光部1209,1210により検出することで得られた通過時刻差に基づく参照領域1211,1212間の間隔ずれを補正するための補正式は、以下の式(19)で表される。L’は参照領域1211,1212間の補正された間隔(補正間隔)である。
上述したようにLは参照領域1211,1212の設計間隔(補正パッチの1204,1206間の間隔)であり、t31およびt32は第1の受光部1209からの2値化信号の立ち上がりおよび立ち下がり時刻を示す。また、t41およびt42は第2の受光部1210からの2値化信号の立ち上がりおよび立ち下がり時刻を示し、V34は検出時の中間転写ベルト6の平均速度を示す。そして、色ずれ検出では、実施例2にて説明した演算において式(19)により算出した参照領域の補正間隔L’を用いることで、参照領域間の間隔の誤差の影響を抑制した色ずれ量を算出することができる。
このように、本実施例では、同色の補正パッチを設けてこれを検出することで、参照領域間の間隔ずれが生じた場合でもこれを色ずれ検出の前に検出して補正することができる。感光ドラム2や駆動ローラー7の偏心による描画ピッチむらを考慮して、補正パッチの複数回の検出結果を平均化することで補正間隔L’を算出してもよい。
また、センサが中間転写ローラー6の曲面部分に対向配置されている場合には参照領域間の間隔に該曲面部分の曲率による周長分が参照領域間の間隔増加分として加算されるが、本実施例の補正方法によりその増加分も同時に検出して補正することができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。