以下、本開示に係る燃料供給システムの一の実施形態について、図面に基づいて説明する。また、その説明では、本開示に係る燃料供給システムを、顧客自身が給油機の給油ノズルを操作して車両等の供給対象に対する給油作業を行うセルフサービス方式の給油所に適用した場合を例に説明する。なお、本開示に係る燃料供給システムが適用されるセルフサービス方式の燃料供給所は、セルフサービス方式の給油所に限られるものではなく、セルフサービス方式の液化燃料ガス供給所等にも適用可能である。
図1は、本開示に係る燃料供給システムの一実施例としての給油システムの全体構成図である。
本実施例に係る給油システム1は、給油所内の給油作業エリアE毎に設けられたセルフサービス給油方式に適用可能な給油機10と、1乃至は複数の給油機10に対応させて設けられた釣銭機(精算機)20と、これら給油機10及び釣銭機20を備えた給油所全般の作業管理を行う給油所管理装置30とを含む。給油システム1は、給油所内のSS−LAN(Service Station - Local Area Network)6を介して、これら給油機10、釣銭機20、給油所管理装置30をシリアル通信接続して構成され、これら各機器間では各種信号及び各種情報データの交信が可能になっている。
給油機10は、給油機筐体11内に、ポンプ等の送液機器、流量計等の流量計測機器、及び装置各部の作動制御や給油量の演算を行う給油機制御装置等を収容している。給油機筐体11からは、先端に給油ノズル13を有するホース12が延設され、ホース12に基端側は、給油機筐体11内の流量計の流出側と連通されている。給油ノズル13には、操作レバーの操作に応動して開弁し、車両等の供給対象内における燃料油液の液面がノズル先端の吐出パイプに達すると操作レバーの操作位置にかかわらず閉弁する自動閉弁機構が備えられている。給油ノズル13は、給油機筐体11に設けられたノズル収納部14に対して取り出し・収納自在になっており、給油作業が行われていない間はノズル収納部14に収納される。
給油機10は、給油機筐体11内に収容されているポンプの作動によって、図示せぬ地下タンク(貯液タンク)から燃料油液を汲み上げ、汲み上げた燃料油液は、流量計を介して、ホース先端の給油ノズル13に向けて送液される。
給油作業者は、給油ノズル13をノズル収納部14から取り出してその吐出パイプを車両等の供給対象の給油口(燃料補給口)に挿入し、操作レバーを開弁操作して供給対象に対する燃料補給を行う。供給対象に対する燃料油液の給液量(給油量)は、流量計に付設された流量発信器から出力される流量パルス信号を基に給油機制御装置によって演算され、給油機筐体11に設けられた表示器15に表示される。
図示の例では、給油機10は、例えばハイオク,レギュラー,軽油といった供給液種の違いに対応させて、ホース12、給油ノズル13、及びノズル収納部14が、給油機筐体11に複数設けられた構成になっている。これに伴い、給油機筐体11内のポンプ及び流量計といった機器も、油種の違いに対応して、給油機筐体11内に複数収容された構成になっている。これにより、給油機10に対応した一の給油作業エリアEでは、給油機制御装置がポンプをはじめとする給油機各部を作動制御することによって、これらハイオク,レギュラー,軽油といった複数の油種の中から選択された所望の油種の燃料油液を、車両等の供給対象に対して給油できるようになっている。
さらに、図示の例では、セルフサービス方式の給油所に適用されるため、給油機10には、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18等といったセルフサービス適応装置が、給油機筐体11に一体的に設けられている。
設定器16は、給油作業者である顧客が、給油ノズル13をノズル収納部14から取り出して給油作業を開始するに当たって、顧客自身の識別情報、供給対象に供給する燃料油液の供給液種(例えば、ハイオク,レギュラー,軽油といった油種)や供給液量(例えば、満タン或いは所望のプリセット量やプリセット金額)等を設定入力するためのセルフサービス適応装置である。設定器16には、キー入力部や、顧客識別カードの読み取りを行うカード読取部が備えられている。設定器16により設定入力された情報は、給油機制御装置に供給される。
給油代金払込装置17は、顧客がセルフサービス方式の給油作業を行うに当たって、予め給油代金(給油料金)を現金若しくはプリペイドカード等によって前払いするためのセルフサービス適応装置である。給油代金払込装置17に投入された前払い給油代金の金額情報は、給油機制御装置に供給される。
給油機10の給油機制御装置では、設定器16により設定入力された顧客自身の識別情報、供給液種、供給液量や、給油代金払込装置17により設定入力された前払い給油代金の金額情報を基に、これから給油ノズル13を操作して開始される給油作業の給油作業情報(燃料供給作業情報)が作成される。その際、給油機制御装置では、前払い給油代金の金額情報を基にして、満タン給油等における給油上限値等のような給油制御情報も作成される。給油作業情報は、SS−LAN6を介して、給油機10から給油所管理装置30に送信される。
伝票発行装置18は、例えば給油作業に用いられていた給油ノズル13がノズル収納部14に収納される等して給油作業が終了した際に、給油機10の給油機制御装置によって演算された該当する給油作業の実際の給油量及び給油金額等の給油結果情報(燃料供給結果情報)を基にして、当該給油作業の精算伝票を発行するためのセルフサービス対応装置である。給油結果情報は、SS−LAN6を介して、給油機10から給油所管理装置30にも送信される。
本実施例では、伝票発行装置18から発行された精算伝票は、前払い給油代金、供給液種、実際の給油量、給油金額、釣銭等といった給油結果情報の内容確認に加えて、実際の給油金額が予め給油代金払込装置17に入金した前払い給油代金に達していない顧客には、釣銭機20から釣銭の返却を受ける際の識別片としても利用される。そのため、伝票発行装置18は、精算伝票の印刷出力にあたっては、釣銭機20で釣銭がある顧客であることを特定できるように当該精算伝票の識別情報を生成する。この生成された識別情報は、伝票発行装置18によって給油結果情報とともに精算伝票に印刷出力される。また、識別情報は、給油機制御装置に供給されて、給油機10から給油所管理装置30に送信される給油結果情報の中に含められるようになっている。
なお、図示の例では、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18からなるセルフサービス適応装置については、給油機10毎に給油機筐体11と一体的に設ける構成としたが、給油機筐体11とは別個の、複数の給油機10に対応させたセルフサービス適応ユニット機器として、SS−LAN6に接続して設けることも可能である。この場合、顧客は、給油作業情報として、給油作業に用いる給油機10の番号等の識別情報も設定入力する。
釣銭機20は、セルフサービス方式の給油作業で、給油作業者である顧客が予め支払った給油代金に実際の燃料油液の給油量(供給液量)に基づく給油金額が達せず、釣銭が生じた場合に、顧客が釣銭を受け取るための装置である。釣銭機(精算機)20には、給油機10からセルフサービス方式の給油作業が行われる度に送信される給油結果情報が取り込まれ、その中の釣銭の返却が必要な顧客についての精算伝票の識別情報や釣銭等が精算情報として蓄積されている。釣銭機20は、その伝票識別部で顧客の精算伝票の識別情報が読み取られると、蓄積された精算情報を照会し、返却を受けるべき顧客であることが確認されると、その釣銭の支払を行う。図示の例では、釣銭機20は、給油所係員による釣銭補充作業を容易にするため、複数の給油機10に対応させて、事務所3の屋内、又は屋外の入口近傍に設置されている。
給油所管理装置30は、給油所の事務所3内等に設置され、給油所における販売時点管理を行う給油所POS端末機40と、作業監督者としての給油所係員が給油所内の様子を監視するための監視装置50と、給油所係員が顧客自身による給油機10を用いたセルフサービス方式の給油作業を実行管理するための給油作業管理装置60とを有する構成になっている。その中、給油所POS端末機40及び給油作業管理装置60はSS−LAN6に接続され、各給油機10、釣銭機20ともに給油所内ネットワークを構成している。
給油所POS端末機40は、SS−LAN6を介して、各給油機10から送信される、給油作業を開始するに当たって設定された顧客自身の識別情報、供給液種、供給液量、前払い給油代金、等を含む給油作業情報や実際の給油作業開始(給油ノズルへの送液作動開始)の許可要求、及び実際の給油作業の終了後に当該給油機10から送信される、顧客自身の識別情報、供給液種、実際の給油量、給油金額、釣銭等といった給油結果情報を受信し、給油所における燃料油液の販売時点管理を行う。
監視装置50は、各給油作業エリアE及び釣銭機20にそれぞれ対応させて設けられた監視カメラ51と画像データ専用信号線7を介して接続されたモニタ装置52とを有して構成されている。モニタ装置52は、各監視カメラ51によって撮影された各給油作業エリアE及び釣銭機20周辺の動画像若しくは静止画像からなる撮影画像をモニタディスプレイ53に表示する。これにより、給油所係員は、各給油機10の給油作業エリアEを含む給油所内の各所の様子を、事務所内に居ながらにして監視できるようになっている。モニタディスプレイ53の表示画像は、モニタ装置52の図示せぬ操作部の操作によって、複数の監視カメラ51それぞれによる撮影画像を分割表示させたり、その中の所望の撮影画像を選択表示させたりすることが可能になっている。
給油作業管理装置60は、SS−LAN6を介して、各給油機10から送信される給油作業情報や実際の給油作業開始の許可要求、及び実際の給油作業の終了後に当該給油機10から送信される給油結果情報を、給油所POS端末機40と同様にして受信し、取得する。また、給油作業管理装置60は、監視装置50ともデータ接続され、所望の監視カメラ51の撮影画像の供給が受けられるようになっている。給油作業管理装置60は、給油所POS端末機40による販売時点管理下で、顧客自身が給油機10の給油ノズル13を操作して行うセルフサービス方式の給油作業を、ウェアラブル端末のヘッドマウントディスプレイ装置(HMD装置)70を使用して実行管理する。給油作業管理装置60とヘッドマウントディスプレイ装置70とは、それぞれの無線通信部68、78によって無線通信接続され、両装置間で各種信号及び各種情報データの交信が可能になっている。
図2は、セルフサービス方式の給油作業に係り、給油作業管理装置及びヘッドマウントディスプレイ装置による制御構成を示したブロック図である。
給油作業管理装置60は、顧客自身による給油機10を用いたセルフサービス方式の給油作業を実行管理するために、給油機作動制御部61と、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部(HMD装置制御部)65とを有する。
給油機作動制御部61は、給油機状態記憶部62と、給油機状態表示・選択機構63とを有し、各給油機10からSS−LAN6を介して送信されてくる給油作業情報、実際の給油開始の許可要求、及び給油作業の終了後の給油結果情報や、HMD装置制御部65から入力されるヘッドマウントディスプレイ装置70の装着者の視線指示による操作指示に基づいて、給油機10それぞれの作動、特にポンプ等の送液機器の作動を制御する。給油機作動制御部61は、各給油機10から送信されてくる、給油作業情報、実際の給油開始の許可要求、及び給油作業の終了後の給油結果情報等を基に、給油機10それぞれの現在の装置状態を、給油機状態記憶部62に記憶しておく。これにより、給油機状態記憶部62には、給油機10の装置状態として、例えば、給油機10からの給油作業情報、実際の給油開始の許可要求、給油結果情報のそれぞれ受信に基づき判別される、給油機10の給油作業受付状態、作動許可待ち状態、給油作業終了状態(待機状態)や、実際の給油開始の許可要求に応答して給油機10に送信される作動許可又は作動禁止の送信に基づき判別される、給油機10の給油中状態(送液作動状態)又は給油禁止状態等が、給油機10毎に更新記憶される。
給油機状態表示・選択機構63は、給油作業管理装置60自体の入出力操作部として、複数ある給油機10のそれぞれ最新の給油作業情報、給油結果情報等を表示し、その中の1つの給油機10を選択して給油開始の許可や給油の禁止を行うことができる。給油開始の準備の整った給油機10を給油機状態表示・選択機構63で選択すると、該当給油機10の許可釦64が操作可能となる。許可釦64は、給油機状態表示・選択機構63により選択された給油機10に対して作動許可を出力するための操作釦である。なお、一の給油機10に対する給油開始の許可は、許可釦64の操作、または後述するヘッドマウントディスプレイ装置70の操作のいずれによっても可能であり、給油機10の作動許可待ち状態(送液許可待ち状態)においてその操作が有効となる。
ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65は、給油機状態記憶部62に逐次更新記憶される給油機10それぞれの装置状態を基に、入出力端末としてのヘッドマウントディスプレイ装置70を作動制御する。ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65は、表示制御部66と、指示判断部67を有し、無線通信部68を介して、ヘッドマウントディスプレイ装置70の無線通信部78と無線通信接続されている。
表示制御部66は、後述する指示判断部67によって判断された画像切替指示に基づいて、監視装置50からこの画像切替指示に応じた所望の監視カメラ51による撮影画像の供給を受ける。表示制御部66は、監視装置50から撮影画像の供給を受けると、この供給を受けた撮影画像の撮影対象(監視対象)を基に、ヘッドマウントディスプレイ装置70のディスプレイ画面上に当該撮影画像と一緒に表示する指示表示画像(指示表示画面)を生成する。その際、表示制御部66は、監視装置50から供給を受ける撮影画像が、一の給油作業エリアEの撮影画像である場合は、当該給油作業エリアEに対応する給油機10の装置状態や給油作業情報、及び作動許可待ち状態になっている他の給油機10の識別情報を、給油機作動制御部61の給油機状態記憶部62から随時取得し、これら情報を基にその撮影画像とされる撮影対象(監視対象)に応じた指示表示画像を生成する。そして、表示制御部66は、監視装置50から供給を受ける撮影画像、及びこの撮影画像の撮影対象(監視対象)に対応する指示表示画像を圧縮符号化して、無線通信部68を介してヘッドマウントディスプレイ装置70に無線送信する。
指示判断部67は、ヘッドマウントディスプレイ装置70から送信される視線指示を無線通信部68を介して受信し、その視線指示に対応する指示内容を、表示制御部66がヘッドマウントディスプレイ装置70に送信している指示表示画像(指示表示画面)を基に判断し、該当する画像切替指示や該当給油機10に対しての操作指示を監視装置50や給油機作動制御部61に供給する。これにより、画像切替指示を受けた監視装置50は、給油作業管理装置60に供給する撮影画像を変更するともに、該当給油機10に対する操作指示を受けた給油機作動制御部61は、該当給油機10に対し指示内容に該当する制御信号をSS−LAN6を介して送信する。
一方、ヘッドマウントディスプレイ装置(HMD装置)70は、表示画面部71、端末制御部72、視線位置検出部73を有して構成され、無線通信部78を介して給油作業管理装置60の無線通信部68と無線通信接続されている。
ヘッドマウントディスプレイ装置70は、例えば図1に示したような単眼透過型HMD装置によって構成され、装着時には、表示画面部71が給油所係員の片眼の眼前又はその一部に配置されるようになっている。これにより、給油所係員は、片眼で表示画面部71を視るとともに、他方の片眼又は両眼で実際の目前の状況を見ることができる。なお、実施例では、ヘッドマウントディスプレイ装置70は単眼透過型としたが、表示画面部71に透過部が形成されていれば表示画面部71が両眼を覆う型式であってもよい。ヘッドマウントディスプレイ装置70は、給油所係員が装着したままの状態で、セルフサービス方式に不慣れな顧客に対しての説明・教示や車両のタイヤ空気圧調整等といった給油管理作業以外の別の個別作業を行える構造であるならば、どのような型式であってもよい。
端末制御部72は、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65から送信される監視装置50による撮影画像、及びこの撮影画像の撮影対象(監視対象)に対応する指示表示画像を無線通信部78を介して受信して復号化及び展開し、この撮影画像及び指示表示画像を表示画面部71上で重ね合わせて合成表示する。
視線位置検出部73は、端末制御部72より表示画面部71上に表示している指示表示画像の画像領域について、表示画面部71の画面上においての表示領域を取得し、装着者である給油所係員が所定時間以上継続(連続)してこの表示領域に視線(視点)を留めているか否かを監視する。視線位置検出部73は、視線(視点)を留めていることを検出した場合には、その表示領域を指示表示画像上の対応する画像領域に変換して出力する。視線位置検出部73により検出された指示表示画像上の画像領域は、無線通信部78を介して給油作業管理装置60に視線指示として送信される。これにより、給油作業管理装置60では、無線通信部68を介して受信された視線指示が、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65の指示判断部67によって、監視装置50や給油機作動制御部61に対する所定の指示に変換される。
次に、セルフサービス方式の給油作業で、顧客自身が給油機10を用いて行う作業処理と、その際に、給油作業管理装置60の給油機作動制御部61が該当給油機10に対して行う給油機の作動制御処理について、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3及び図4は、セルフサービス方式の給油作業において、顧客自身が給油機を用いて行う作業処理と、給油作業管理装置の給油機作動制御部が行う該当給油機の作動制御処理との対照フローチャートである。
顧客は、セルフサービス方式の給油作業を行うため、供給対象の車両を給油所内における所望の給油機10の給油作業エリアEに停車させる(ステップSA01)。そして、顧客は、給油機10の設定器16を操作して顧客自身の識別情報、供給液種、供給液量を設定入力し、給油代金払込装置17により給油代金の前払いを行って、顧客自身の識別情報、供給液種、供給液量、前払い給油代金、等を含む給油作業情報を設定する(SA02)。顧客により給油作業情報は、給油機10の給油機制御装置によって、SS−LAN6を介して送信される。
給油作業管理装置60は、SS−LAN6を介して給油作業情報が送信されてくると(ステップSB21)、その給油機作動制御部61が取り込み、給油機作動制御部61は、給油機状態記憶部62に記憶されている送信元の給油機10の給油機状態を、待機状態から給油作業情報の設定が行われた給油作業受付状態に更新記憶し、設定された給油作業情報を対応付けて記憶する(SB22)。
顧客は、設定器16による給油作業情報の設定後、供給液種に該当する給油ノズル13をノズル収納部14から取り出して(SA03)、その吐出パイプを車両の給油口に挿入する。その際、給油機10の給油機制御装置60は、給油ノズル13がノズル収納部14から取り出されたのを例えばノズル収納部14に設けられたノズルスイッチの出力に基づいて検知すると、給油機10からは、当該給油ノズル13を用いた実際の給油開始の許可要求、すなわち当該給油ノズル13に燃料油液を送液する送液機器の作動許可要求が、SS−LAN6を介して送信される。
給油作業管理装置60は、SS−LAN6を介して給油機10から送液機器の作動許可要求(送液許可要求)が送信されてくると(SB31)、その要求を給油機作動制御部61が取り込み、給油機作動制御部61は、給油機状態記憶部62に記憶されている送信元の給油機10の給油機状態を、給油作業受付状態から作動許可待ち(送液許可待ち)状態に更新記憶する(SB32)。
その後、給油作業管理装置60においては、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65からヘッドマウントディスプレイ装置70による視線指示として、当該給油機10の実際の給油開始の許可要求に対応する許可指示が給油機作動制御部61に入力されるか、給油機状態表示・選択機構63において送液許可待ちである当該給油機10を選択して許可釦64が操作されると(SB41)、給油機作動制御部61は、SS−LAN6を介して、当該給油機10宛に送液作動許可を送信し(SB42)、給油機状態記憶部62に記憶されている送信元の給油機10の給油機状態を、作動許可待ち状態から給油中状態に更新記憶する(SB43)。これにより、送信先の当該給油機10においては、給油機制御装置が送液作動許可の受信によって送液機器による該当する給油ノズル13への燃料供給を開始する。これにより、顧客が操作レバーを開弁操作すると(SA04)、開弁操作された供給液種の該当給油ノズル13の吐出パイプからは燃料油液が吐出され、実際の給油が開始される。
これに対し、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65からヘッドマウントディスプレイ装置70による視線指示として、当該給油機10の実際の給油開始の許可要求に対する禁止指示が給油機作動制御部61に入力されるか、給油機状態表示・選択機構63において送液許可待ちである当該給油機10を選択し図示せぬ禁止釦が操作されると(SB44)、給油機作動制御部61は、SS−LAN6を介して当該給油機10宛に送液作動許可を送信せず、給油機状態記憶部62に記憶されている送信元の給油機10の給油機状態を、作動許可待ち状態から給油禁止状態に更新記憶する(SB45)。これにより、送信先の当該給油機10においては、給油機制御装置には送液作動許可が送信されず、送液機器による該当する給油ノズル13への燃料供給は開始されないので、顧客が操作レバーを開弁操作しても(SA04)、実際の給油は開始されない。そのため、例えば車両の給油口への吐出パイプの挿入が不十分である等、準備作業が適切でないまま顧客による実際の給油が開始されてしまうのを防ぐことができる。この当該給油機10の給油禁止状態は、予め定められた所定の復帰操作が別途行われるまで、給油機状態記憶部62に記憶されて保持される。例えば、所定の復帰操作として、給油ノズル13を閉弁してノズル収納部14に収納することにより、当該給油機10の給油機状態を後述の待機状態に復帰させるようにしてもよい。
また、ステップSB43で示した処理により、給油機状態記憶部62に給油中状態が記憶されている給油機10であっても、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65からヘッドマウントディスプレイ装置70による視線指示として、当該給油機10の緊急停止指示が給油機作動制御部61に入力されるか、給油機状態表示・選択機構63において給油中状態の当該給油機10を選択して図示せぬ緊急停止釦が操作されると(SB46)、給油機作動制御部61は、SS−LAN6を介して当該給油機10宛に緊急停止(送液作動禁止)を送信し(SB47)、給油機状態記憶部62に記憶されている当該給油機10の給油機状態を、給油中状態から緊急停止状態に更新記憶する(SB48)。これにより、送信先の当該給油機10においては、給油機制御装置が緊急停止の受信によって直ちに給油ノズル13に燃料油液を送液する送液機器の作動が停止するので、実際の給油は中断される。そのため、例えば顧客が給油ノズル13から手を離している等、顧客による不適切な給油作業で実際の給油が行われてしまうのを防ぐことができる。この当該給油機10の緊急停止状態は、給油禁止状態の場合と同様に、予め定められた所定の復帰操作が別途行われるまで、給油機状態記憶部62に記憶されて保持される。
顧客は、供給液量の燃料供給が済んだならば、給油ノズル13の操作レバーを閉弁操作し(SA05)、給油ノズル13をノズル収納部14に収納して(SA06)、給油機10を用いた実際の給油作業を終了する。給油機10の給油機制御装置は、給油ノズル13がノズル収納部14から収納されたのをノズル収納部14に設けられたノズルスイッチの出力に基づいて検知すると、給油機10からは、顧客自身の識別情報、供給液種、実際の給油量、給油金額、釣銭等といった給油結果情報が、SS−LAN6を介して送信されるとともに、伝票発行装置18から精算伝票が発行される。顧客は、伝票発行装置18から発行される精算伝票を受け取り、釣銭の返却がある場合は釣銭機20を使用して釣銭を受け取る(SA07)。
給油作業管理装置60においては、SS−LAN6を介して給油作業結果情報が送信されてくると(SB61)、その給油機作動制御部61が取り込み、給油機作動制御部61は、給油機状態記憶部62に記憶されている送信元の給油機10の給油機状態を、給油中状態から待機状態に更新記憶し、ステップSB22で対応付けて記憶されていた給油作業情報を消去する(SB62)。
次に、セルフサービス方式の給油作業において、給油作業管理装置60の給油機作動制御部61が図3及び図4に示した給油機の作動制御処理を行っているときに、給油作業管理装置60のヘッドマウントディスプレイ装置制御部65によって行われるヘッドマウントディスプレイ装置70の制御処理について、図5を参照しながら説明する。
図5は、給油作業管理装置のヘッドマウントディスプレイ装置制御部によって行われる制御処理のフローチャートである。
ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65には、給油システム1の起動時、監視作業エリアMEとして一の給油作業エリアE(=Em)が初期設定される(ステップS010)。なお、以下では、説明簡便のため、釣銭機20周辺も含めて、給油作業エリアEm(m=1,2,…)で総称する。
そして、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65においては、表示制御部66が当該設定された給油作業エリアEmの撮影画像VEmを監視装置50のモニタ装置52に送信させ、受信した給油作業エリアEmの撮影画像VEmを無線通信部68を介してヘッドマウントディスプレイ装置70に無線送信し、ヘッドマウントディスプレイ装置70の表示画面部71に表示させる(S020)。
また、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65の表示制御部66は、監視作業エリアMEである給油作業エリアEmの撮影画像VEmの取得及び送信と並行して、給油作業エリアEmに対応する給油機10の給油機状態を、給油機作動制御部61の給油機状態記憶部62を参照して確認する(S030)。本実施例の場合、給油機状態としては、図3、図4において説明した給油作業受付状態(SB22)、送液許可待ち状態(SB32)、給油中状態(SB43)、給油禁止状態(SB45)、緊急停止状態(SB48)、待機状態(SB62)が該当する。
また、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65の表示制御部66は、給油機作動制御部61の給油機状態記憶部62を確認する際には、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)に対応する給油機10の給油機状態の確認とともに、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)に対応する給油機10でなくとも、給油機状態が送液許可待ち状態(SB32)になっている給油機10及び給油作業エリアEnも確認するようになっている(S040)。
ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65の表示制御部66は、このようにして給油機作動制御部61の給油機状態記憶部62の確認により得られた
◇ 監視作業エリアME(給油作業エリアEm)に対応する給油機10の給油機状態、 ◇ 監視作業エリアME以外の給油機状態が送液許可待ち状態になっている給油機10及び給油作業エリアEn
を基に、
◆ 監視作業エリアME(給油作業エリアEm)に対応する給油機10の給油機状態に応じた視線指示項目P、
◆ 監視作業エリアME(給油作業エリアEm)に対応する給油機10の給油機状態に応じた情報表示項目Q、
◆ 監視作業エリアME以外の、給油機状態が送液許可待ち状態になっている給油機10及び給油作業エリアEn
を含む、監視作業エリアMEである給油作業エリアEmの撮影画像VEmに応じた指示表示画像VGEmを生成する。そして、表示制御部66は、この指示表示画像VGEmも、無線通信部68を介してヘッドマウントディスプレイ装置70に無線送信し、ヘッドマウントディスプレイ装置70の表示画面部71に表示させる(S050)。
これにより、ヘッドマウントディスプレイ装置70では、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65から送信される監視作業エリアMEである給油作業エリアEmの撮影画像VEm、及びこの給油作業エリアEmの撮影画像VEmに応じた指示表示画像VGEmを、端末制御部72が無線通信部78を介して受信し、端末制御部72は、撮影画像VEm及び指示表示画像VGEmを表示画面部71上で重ね合わせて合成表示し、表示画面部71に監視作業エリアMEである給油作業エリアEmの監視画像VMEmを表示する。
一方、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65の指示判断部67は、無線通信部68を介してヘッドマウントディスプレイ装置70から送信されてきた視線指示を受信したか否かを確認している(S060)。
指示判断部67は、ヘッドマウントディスプレイ装置70からの視線指示を受信した場合は、その視線指示に対応する指示内容を、表示制御部66がヘッドマウントディスプレイ装置70に送信している指示表示画像(指示表示画面)VGEmを基に判断し、その指示内容が監視装置50から撮影画像VEmを供給を受けている給油作業エリアEm、すなわち監視作業エリアMEの切り替え変更に係るものであるか否かを確認する(S070)。そして、指示判断部67は、その指示内容が監視作業エリアMEの切り替え変更に係るものである場合は、監視作業エリアMEとしての既存の給油作業エリアEmを新たな切り替え変更先の給油作業エリアEmに設定変更し、記憶保持しておく(S080)。
その後、指示判断部67は、表示制御部66がヘッドマウントディスプレイ装置70に送信している指示表示画像(指示表示画面)を基に判断した指示内容の指示を、監視作業エリアME及び監視作業エリアMEに対応する給油機10を出力先に指定して、給油機作動制御部61又は監視装置50のモニタ装置52に対して出力する(S090)。これにより、画像切替指示を受けた監視装置50は、給油作業管理装置60に供給する撮影画像VEmを変更するともに、監視作業エリアME及び監視作業エリアMEに対応する給油機10を出力先に指定した指示を受けた給油機作動制御部61は、該当給油機10に対し指示に該当する制御信号をSS−LAN6を介して送信する。
なお、上述した制御では、ヘッドマウントディスプレイ装置制御部65は、指示表示画像VGEmをヘッドマウントディスプレイ装置70に逐次送信する構成としたが、監視作業エリアMEが変更された場合、監視作業エリアMEに対応する給油機10の給油機状態に変化があった場合、又は監視作業エリアME以外の、給油機状態が送液許可待ち状態になっている給油機10及び給油作業エリアEnが生じた場合等、指示表示画像VGEmの変更が必要な場合に送信する構成として、無線通信量を低減することも可能である。
図6A〜図6Cは、ヘッドマウントディスプレイ装置の表示画面部に表示される監視作業エリアMEである給油作業エリアEmの監視画像VMEmの実施例である。上述した給油作業管理装置60のヘッドマウントディスプレイ装置制御部65によって、ヘッドマウントディスプレイ装置70の表示画面部71には、図6A〜図6Cに示すような監視作業エリアMEである給油作業エリアEmの監視画像VMEmが表示される。
図6A(1)は、図3のステップSA01で顧客が車両を停車させる前の、対応する給油機10の給油機状態が待機状態(SB62)になっている状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA01)である。
監視画像VMEm(SA01)として、
◆ 給油機状態に応じた視線指示項目Pとしての監視作業エリアMEの切り替え変更指示P1と、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての監視作業エリアMEの識別情報Q1、及び待機状態の給油機状態Q2と、
を有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
図6A(2)は、図3のステップSA02で設定器16によって給油作業情報が入力された後の、対応する給油機10の給油機状態が給油作業受付状態(SB22)になっている状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA02)である。
監視画像VMEm(SA02)では、図6A(1)に示した監視画像VMEm(SA01)に対し、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての給油作業情報Q3、
をさらに有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
図6A(3)は、図3のステップSA03で給油ノズル13が取り出され、対応する給油機10から送液許可要求が送信され、その給油機状態が送液許可待ち状態(SB32)になっている状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA03)である。
監視画像VMEm(SA03)では、図6A(2)に示した監視画像VMEm(SA02)に対し、
◆ 給油機状態に応じた視線指示項目Pとしての送液許可及び送液禁止の選択指示P2、
をさらに有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
図6B(4)は、給油機状態が、図3のステップSA04で開弁操作された給油ノズル13へ給油作業管理装置60からの送液作動許可によって燃料油液が送液されている給油中状態(SB43)になっている状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA04)である。
監視画像VMEm(SA04)として、
◆ 給油機状態に応じた視線指示項目Pとしての監視作業エリアMEの切り替え変更指示P1及び緊急停止指示P3と、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての監視作業エリアMEの識別情報Q1、及び給油中状態の給油機状態Q2と、
を有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
図6B(5)は、給油機状態が、図6B(1)に示した給油中状態(SB43)のときに、緊急停止指示P3が視線操作されて緊急停止状態(図4、SB46)になっている状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA04v1)である。
監視画像VMEm(SA04v1)として、
◆ 給油機状態に応じた視線指示項目Pとしての監視作業エリアMEの切り替え変更指示P1と、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての監視作業エリアMEの識別情報Q1、及び緊急停止状態の給油機状態Q2と、
を有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
図6B(6)は、図4のステップSA06で給油ノズル13が収納され、対応する給油機10から給油結果情報が送信され、その給油機状態が待機状態(SB62)に戻った状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA06)である。
監視画像VMEm(SA06)として、
◆ 給油機状態に応じた視線指示項目Pとしての監視作業エリアMEの切り替え変更指示P1と、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての監視作業エリアMEの識別情報Q1、給油終了状態の給油機状態Q2、及び給油結果情報Q4と、
を有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。さらに、本実施例では、給油作業管理装置60のヘッドマウントディスプレイ装置制御部65は、給油機10からの給油結果情報の受信後、所定時間経過すると、この監視画像VMEm(SA06)の指示表示画像VGEmを図6A(1)に示した監視画像VMEm(SA01)の指示表示画像VGEmに自動変更するようになっている。
図6C(7)は、図6A(1)に示した監視作業エリアMEに対応する給油機10が待機状態(SB62)になっている状況で、別の給油作業エリアEnに対応する給油機10の給油機状態が送液許可待ち状態(SB32)になった状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA01v1)である。
監視画像VMEm(SA01v1)では、図6A(1)に示した監視画像VMEm(SA04)に対し、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての,送液許可待ち状態(SB32)になった別の給油作業エリアEn又はその対応する給油機10の識別表示Q5、
をさらに有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
図6C(8)は、図6B(4)に示した監視作業エリアMEに対応する給油機10が給油中状態(SB43)になっている状況で、別の給油作業エリアEnに対応する給油機10の給油機状態が送液許可待ち状態(SB32)になった状況の、監視作業エリアME(給油作業エリアEm)の監視画像VMEm(SA04v2)である。
監視画像VMEm(SA04v2)では、図6B(4)に示した監視画像VMEm(SA04)に対し、
◆ 給油機状態に応じた情報表示項目Qとしての,送液許可待ち状態(SB32)になった別の給油作業エリアEn又はその対応する給油機10の識別表示Q5、
をさらに有する指示表示画像VGEmが、監視作業エリアMEの撮影画像VEmと一緒に表示される。
本実施例によれば、セルフサービス方式の燃料供給システム1において、顧客が給油作業に用いる給油機10に対応した給油作業エリアEmの状態を装着者が監視できるヘッドマウントディスプレイ装置70を備えているため、給油所係員は、ヘッドマウントディスプレイ装置70を装着することによって給油管理作業以外の別作業を行っている場合であっても、顧客が給油作業で使用する給油機10に対応した給油作業エリアEmの状態を容易にかつ確実に確認することができる。加えて、このヘッドマウントディスプレイ装置70の表示画面上で、対応する給油機10の送液作動の許可・禁止等を含む給油管理作業を容易に行うことができ、例えば、給油を行う顧客、給油以外のサービスを受ける顧客等、各顧客に対する迅速、適確なサービス対応をはかることができる。