以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図である。同図には、衛星電波腕時計1の外装(時計ケース)である胴内に配置された文字板53と、時刻を示す指針である時針52a、分針52b、秒針52cが示されている。また、胴の3時側の側面には衛星電波腕時計1の使用者が種々の操作を行うための操作部60である竜頭60a、及びプッシュボタン60bが配置されている。
衛星電波腕時計1には、文字板53を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が胴に取り付けられている。また、風防の反対側においては裏蓋が胴に取り付けられている。本明細書では、以降、衛星電波腕時計1の風防が配置される方向(図1における紙面手前方向)を表側、裏蓋が配置される方向(図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。
文字板53の裏側には、太陽電池42が配置され、表側から入光した光により発電がなされる。そのため、文字板53はある程度光線を透過する材質で形成される。太陽電池42と重畳しない領域には、衛星電波を受信するためのパッチアンテナが配置される。パッチアンテナは、表側の面が衛星からの電波を受信する受信面となっている。パッチアンテナの受信面、太陽電池42の受光面、文字板53は、互いに平行に設けられており、いずれも表側を向いている。なお、パッチアンテナに代えて、チップアンテナや逆Fアンテナを採用してもよい。
なお、本明細書では、衛星電波腕時計という用語を、腕時計であって、かつ、GPS(Global Positioning System)衛星などの日付や時刻に関する情報(時刻情報)を送信する衛星から当該衛星信号を受信し、それに含まれる時刻情報に基づき、腕時計内部に保持している時刻の情報である内部時刻を修正する機能を有している腕時計を指すものとして用いる。但し、本発明は衛星電波腕時計に限らず、腕時計ではない小型の時計、例えば懐中時計に適用することもできる。また、衛星電波腕時計は、衛星信号に含まれる位置情報も併せて受信する。なお、衛星電波腕時計が受信する衛星信号を発信する衛星は、GSP衛星以外に運用され、又は将来的に運用が計画されている衛星、例えば、グロナス、ガリレオ、コンパス(北斗)等であってもよい。
GPS衛星から送信される衛星電波は、周波数約1.6GHzの搬送波(L1帯の電波)を位相偏位変調により変調した電波である。衛星電波に符号化される信号は、各GPS衛星に固有の擬似乱数(Pseudo Random Number、PRN)と、時刻情報を含む衛星信号とを重畳した信号である。衛星電波腕時計1は、複数の衛星から送信される複数の衛星電波を受信して、いずれの衛星のPRNとの相関が大きいかを判定することにより、受信された複数の衛星電波それぞれが、いずれの衛星から送信されたものであるかを判別する。本明細書では、このような衛星の判別処理を衛星電波の追尾と呼ぶ。衛星信号には時刻情報が含まれ、時刻情報は、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点とした現在時刻を示すTOW(Time Of Week)と、所定の基準時点から数えて現在が第何週かを示す週番号WNと、から構成されている。そのため、衛星電波腕時計1は、場合によって、TOWだけを受信することもあれば、TOWと週番号WNとを併せて受信することもある。また、GPS時刻は、協定世界時に対して閏秒に起因するずれがあるため、GPS衛星は、このずれを補正するための閏秒情報も送信している。そのため、衛星電波腕時計1は、GPS衛星から時刻情報だけでなく、この閏秒情報も受信する。さらに、衛星信号には位置情報が含まれる。位置情報は、全衛星の位置情報であるアルマナックと、各衛星の位置情報であるエフェメリスと、から構成されている。衛星電波腕時計1は、受信した位置情報に基づいて上空を周回する複数のGPS衛星からの距離を算出し、現在位置の緯度、経度及び高度を算出する。
図1に示す衛星電波腕時計1の例では、文字板53の周囲に、「RX」の文字である受信中文字53aと、「OK」の文字である受信成功文字53bと、「NG」の文字である受信失敗文字53cと、「NA」の文字である不定処理文字53dとが表されている。受信成功文字53bと受信失敗文字53cは、例えば秒針52cを用いて、衛星電波腕時計1による受信処理の結果の成否を指し示すインデックスである。また、受信中文字53aは受信処理を実行中であることを知らせるインデックスである。不定処理文字53dは、後に詳細に説明する不定処理が行われたことを知らせるインデックスである。これらのインデックスを用いて、受信処理の実行に先立って、前回の受信処理の結果を指し示す動作を行うこともできる。
都市表示53eは、現在設定されているタイムゾーンの代表都市を示すものである。図1に示す例では、「LON」の文字により代表都市がロンドンであることを示している。この他に、現在のサマータイム設定の有無を示すこととしてもよい。例えば、設定されているタイムゾーンにおいて、サマータイムが実施されているか否かを秒針52c等により指し示したり、別途副針を設けて示したりしてよい。
図1に示した衛星電波腕時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭60aやプッシュボタン60bの有無、数、配置は任意である。また、本実施形態では、指針を時針52a、分針52b、秒針52cの3本としているが、これに限定されず、秒針52cを省略しても、あるいは、曜日、タイムゾーンの別やサマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよい。
詳細は後に説明するが、衛星電波腕時計1の胴の内部には、指針を駆動するための駆動機構50、太陽電池42で発電された電力を蓄積する二次電池40、衛星電波腕時計1の動作制御のための制御回路30、受信した衛星信号を処理する受信回路20などが収容されている。
図2は、衛星電波腕時計1の内部構成を示す構成ブロック図である。同図に示されるように、衛星電波腕時計1は、アンテナ10と、受信回路20と、制御回路30と、二次電池40と、スイッチ41と、太陽電池42と、駆動機構50と、時刻表示部51と、操作部60と、を含んで構成される。
アンテナ10は、時刻情報を含んだ電波として、衛星から送信される衛星電波を受信する。特に本実施形態では、アンテナ10は、GPS衛星から送信される衛星電波を受信するパッチアンテナである。
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星電波を復号して、復号の結果として得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21及びデコード回路22を含んで構成されている。
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。
制御回路30は、マイクロコンピュータ等の情報処理装置であって、演算部31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、RTC(Real Time Clock)34と、モータ駆動回路35と、を含んで構成される。
演算部31は、ROM32に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。本実施形態において演算部31が実行する処理の詳細については、後述する。RAM33は、演算部31のワークメモリとして機能し、演算部31の処理対象となるデータが書き込まれる。特に本実施形態では、受信回路20によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM33内のバッファ領域に順次書き込まれる。RTC34は、衛星電波腕時計1内部での計時に使用されるクロック信号を供給する。本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、演算部31が、RTC34から供給される信号によって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された衛星信号に基づいて修正して、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。さらに、モータ駆動回路35が、この決定された表示時刻に応じて、後述する駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、制御回路30によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
二次電池40は、太陽電池42によって発電された電力を蓄積する電池であって、リチウムイオン電池等である。そして、蓄積された電力を、受信回路20や制御回路30に対して供給する。二次電池40から受信回路20への電力供給路の途中にはスイッチ41が設けられており、このスイッチ41のオン/オフは制御回路30が出力する制御信号によって切り替えられる。制御回路30がスイッチ41のオン/オフを切り替えることで、受信回路20の動作タイミングが制御される。受信回路20は、スイッチ41を介して二次電池40から電力が供給されている間だけ動作し、その間にアンテナ10が受信した衛星電波の復号を行う。
太陽電池42は、文字板53の裏側に配置されており、衛星電波腕時計1に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池40に供給する。
駆動機構50は、前述したモータ駆動回路35から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、指針52を回転させる。時刻表示部51は、指針52及び文字板53によって構成される。指針52は、時針52a、分針52b、及び秒針52cからなり、これらの指針52が文字板53上を回転することによって、現在時刻が表示される。
操作部60は、竜頭60aやプッシュボタン60b等であって、衛星電波腕時計1の使用者による操作を受け付けて、その操作内容を制御回路30に対して出力する。制御回路30は、操作部60が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。特に本実施形態では、制御回路30は、使用者による操作部60に対する操作入力に応じて、衛星信号の受信処理を行う。
以下、本実施形態において制御回路30の演算部31が実行する処理の具体例について説明する。図3に示すように、演算部31は、ROM32に格納されたプログラムを実行することにより、機能的に、タイムゾーン決定部31aと、時差詳細決定部31bと、例外処理範囲設定部31cと、高緯度処理部31dと、時刻修正部31eとを実現する。
タイムゾーン決定部31aは、RAM33に格納された位置情報33aと、ROM32に格納され、時差区分・交点情報32bに含まれる時差区分情報及び交点情報とに基づいて、衛星電波腕時計1の属するタイムゾーンを決定する。ここで、記憶部であるROM32には、基準線毎に、時差区分情報及び交点情報の少なくともいずれかを示すアドレスを含むアドレス情報32aが格納される。また、ROM32には、時差区分情報及び交点情報を、属する基準線毎に、アドレスにより参照可能に含む時差区分・交点情報32bが格納される。また、ROM32には、時差区分に関連付けられた、タイムゾーン情報と、サマータイム情報及び都市情報の少なくともいずれかと、を含む時差詳細情報32cが格納される。
時差詳細決定部31bは、少なくとも位置情報、交点情報及び時差区分情報に基づいて、サマータイム及び都市の少なくともいずれかを決定する。
例外処理範囲設定部31cは、タイムゾーン決定部31aに対して例外処理を行わせる範囲を設定する。位置情報33aの示す位置が例外処理範囲内にある場合、タイムゾーン決定部31aは、タイムゾーンを変更せずに維持する。
高緯度処理部31dは、位置情報33aの示す位置が所定の緯度以上である場合に、タイムゾーンを維持するか、又は特定のタイムゾーンとする。本実施形態に係る衛星電波腕時計1において、高緯度処理部31dは、位置情報33aの示す位置が北緯80°又は南緯80°以上である場合に、タイムゾーンを変更せずに維持する。
時刻修正部31eは、時差詳細決定部31bによる時差の決定を受けて、衛星電波腕時計1の内部で計時されている内部時刻の修正を行う。
図4は、タイムゾーンの境界線71及び本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分領域70を示す概略図である。また、図5は、タイムゾーンの境界線71及び本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計において扱われる時差区分領域70を平面において示した概略図である。
図4及び5では、一例としてタイムゾーンの境界線71を2本示している。両図に示したタイムゾーンの境界線71は、北極(北緯90°の点)及び南極(南緯90°の点)に端部を有する折れ線である。もっとも、タイムゾーンの境界線71は北極及び南極に端部を有するとは限らず、地表の閉じた領域が1つのタイムゾーンとして定められている場合もある。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、時差区分領域70を指定する基準線として、地球における特定の大円に直交する大円に沿った基準線を用いる。具体的に、特定の大円は赤道(緯度0°の緯線)であり、特定の大円に直交する大円は経線である。本実施形態において、時差区分領域70は、2本の基準線である2本の経線で挟まれる領域である。後述するように、基準線として、地球における特定の大円若しくは該大円に平行な円に沿った基準線を用いてもよい。その場合に特定の大円を赤道にとるならば、特定の大円に平行な円は緯線である。本実施形態では、東北、西北、東南及び西南の各領域を経度1分毎に区切って時差区分領域70を設定している。すなわち、時差区分領域70は、北緯0°〜90°又は南緯0°〜90°の領域であって、経度1分の楔状(メルカトル図法で該領域を表す場合帯状)の領域である。
図4及び5に示す例において、タイムゾーンの境界線71で挟まれる領域の時差区分は「1」である。また、該領域の西側の時差区分は「0」であり、該領域の東側の時差区分は「2」である。時差区分は、後述するように、タイムゾーンと、サマータイム及び都市の少なくともいずれかと、関連付けられており、衛星電波腕時計1がいずれの時差区分に属するかを判定することで詳細な時刻修正を行うことができる。
図4及び5に示す例において、時差区分領域70は東北に位置する領域である。本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、地表を東北、西北、東南及び西南の4つの領域に分けて扱うことにより、負の緯度を扱う必要が無くなりデータ構造が簡略化される。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分領域70の第1の例を示す図である。本例の時差区分領域70は、北緯0°〜90°及び東経E1〜E2の領域である。時差区分領域70を指定する第1の基準線72は、東経E1の経線であり、第2の基準線73は、東経E2の経線である。第1の基準線72は、タイムゾーンの境界線71と4回交わる。それぞれの交点を、北緯N1に位置する第1の交点、北緯N2に位置する第2の交点、北緯N3に位置する第3の交点及び北緯N4に位置する第4の交点と称する。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分は、基準線に隣接する楔状又は帯状の領域であって、基準線とタイムゾーンの境界線71との交点が属する領域毎に定められる。具体的に、該領域は、隣接する2本の基準線(第1の基準線72及び第2の基準線73)と、基準線に直交する線(区分境界線74)とで指定される。ここで、区分境界線74は、緯線である。本例では、東経E1〜E2の範囲であって、北緯0°から北緯N1までの領域の時差区分は「1」であり、北緯N1から北緯N2までの領域の時差区分は「0」であり、北緯N2から北緯N3までの領域の時差区分は「1」であり、北緯N3から北緯N4までの領域の時差区分は「0」であり、北緯N4から北緯80°までの領域の時差区分は「1」である。また、東経によらず、北緯80°以上の領域の時差区分は「NA」(Not Applicable)であり、時差区分は設定されていない。このことは、南緯80°以上の領域についても同様である。これは、仮に、緯度80°以上の極地付近で時差区分を設定することとすると、極地付近では比較的小さな移動で経度が大きく変化するため、衛星電波腕時計1の属する時差区分が頻繁に変化してしまい、かえって実用性を損なうことが予想されるためである。
高緯度処理部31dは、位置情報33aの示す位置が所定の緯度以上である場合に、タイムゾーンを維持するか、又は特定のタイムゾーンとする。本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、高緯度処理部31dは、現在位置の緯度(北緯又は南緯)が80°以上である場合に、タイムゾーンをUTC(世界協定時)とする。ここで、緯度80°を基準とするのは一例であって、高緯度処理部31dは、現在位置の緯度が例えば85°以上である場合にタイムゾーンをUTCとしてもよい。また、UTC+0ではなく、その他の時差を設定することとしてもよい。また、高緯度処理部31dは、位置情報33aの示す位置が所定の緯度以上である場合に、タイムゾーンを維持することとしてもよい。その場合、極地に侵入する経度に応じで極地におけるタイムゾーンが変わることとなる。高緯度処理部31dがタイムゾーンを維持するか、又は特定のタイムゾーンとするかを衛星電波腕時計1の利用者が選択できることとしてもよい。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、高緯度処理部31dによりタイムゾーンを維持するか、又は特定のタイムゾーンとする処理が行われた場合、秒針52cにより不定処理文字53dを指し示すことにより、時差区分が「NA」である場合の処理が行われたことを示す。これにより、衛星電波腕時計1の利用者は、時差区分が不定である場合の処理が行われたことを確認することができる。本実施形態に係る衛星電波腕時計1によれば、極地における頻繁な時刻修正が抑止される。また、例外的な処理が行われたことを視認することができる。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1のタイムゾーン決定部31aは、衛星信号に含まれる位置情報33aから現在位置を算出し、現在位置がいずれの時差区分領域70に属するか判定する。そして、時差区分領域70を指定する基準線とタイムゾーンの境界線71との交点の緯度と、現在位置の緯度とを比較して、現在位置がいずれの時差区分に属するかを判定し、時差区分から現在位置のタイムゾーンを決定する。また、時差詳細決定部31bは、時差区分から現在位置のサマータイム及び都市を決定する。タイムゾーン及びサマータイムが決定されれば、時差が完全に決定される。そのような時差決定のために必要とされる種々の情報について、以下で説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1のROM32に記憶されるアドレス情報32aを示す図である。アドレス情報32aは、基準線毎(本実施形態の場合、経度1分毎)に、時差区分情報及び交点情報の少なくともいずれかを示すアドレスを含む。本実施形態において、アドレスは、属する基準線毎の時差区分情報及び交点情報の先頭アドレスである。アドレス情報32aは、東北、西北、東南及び西南の順に並べて記憶される。同図では、一例として東北領域におけるアドレス情報32aを詳細に示しているが、西北、東南及び西南の範囲についても同様な情報が格納されている。
同図では、データ構造を簡明に表現するため、アドレス情報32aが格納されるメモリのアドレスを表している。アドレス=0には、第1先頭アドレスが格納されている。第1先頭アドレスは、現在位置が東経0°0′〜0°1′の時差区分領域に属する場合に参照すべき時差区分・交点情報32bのアドレスである。同様に、アドレス=1には、第2先頭アドレスが格納されており、第2先頭アドレスは、現在位置が東経0°1′〜0°2′の時差区分領域に属する場合に参照すべき時差区分・交点情報32bのアドレスである。本実施形態では、東北、西北、東南及び西南の各領域を経度1分毎に区切って時差区分領域を設定しているから、例えば東北領域におけるアドレス情報32aは、180×60=10800だけ存在する。西北、東南及び西南の各領域についても同様であるから、アドレス情報32aは、全部で10800×4=43200だけ存在する。西北領域におけるアドレス情報32aは、アドレス=10800〜21599に格納され、東南領域におけるアドレス情報32aは、アドレス=21600〜32399に格納され、西南領域におけるアドレス情報32aは、アドレス=32400〜43199に格納される。
アドレス情報32aは、複数の時差区分領域について重複してもよい。タイムゾーンの境界線が一定緯度の線である場合、複数の基準線と同じ緯度で交わることとなる。その場合、複数の基準線で指定される複数の時差区分領域について、それぞれ時差区分情報及び交点情報を記憶すると記憶容量の無駄が生じる。そのため、時差区分情報及び交点情報が同一である複数の時差区分領域については、同一の先頭アドレスを格納することとして、同一の時差区分情報及び交点情報を参照する。このようにすれば、時差区分情報及び交点情報が重複なく記憶され、記憶容量が削減できる。また、記憶される時差区分情報及び交点情報の数は時差区分領域毎に異なる。そのため、仮に各時差区分情報及び交点情報を一定のデータ長を確保して記憶すると、最長のデータ長に合わせることとなり、大半の時差区分領域について使用されないデータ領域が発生して記憶容量の無駄が生じる。この点、アドレス情報32aにより時差区分・交点情報32bの先頭アドレスを指定することとすれば、時差区分領域毎に時差区分情報及び交点情報を可変長で記憶することができ、記憶容量を無駄なく使用することができる。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1に記憶される時差区分・交点情報32bを示す図である。ここで、交点情報は、基準線とタイムゾーンの境界線71との交点の位置を示す。また、時差区分情報は、基準線に隣接する楔状又は帯状の領域であって、基準線とタイムゾーンの境界線71との交点が属する領域のタイムゾーン情報、サマータイム情報及び都市情報に関連付けられている。時差区分・交点情報32bは、時差区分情報及び前記交点情報を、属する基準線毎に、アドレス情報32aに含まれるアドレスにより参照可能に含む。
図8では、図6に示した時差区分領域70の時差区分情報及び交点情報を示している。時差区分・交点情報32bは、時差区分情報と交点情報が交互に記憶されたデータ構造を有する。時差区分・交点情報32bが記憶されるメモリの先頭アドレス=0には、時差区分=1という情報が記憶され、次のアドレスには交点=8°34′(N1)という第1の交点の緯度が記憶されている。このようなデータ構造により、東経E1〜E2の範囲であって、北緯0°〜8°34′(N1)の範囲の時差区分は「1」であることが表される。同様に、時差区分・交点情報32bより、東経E1〜E2の範囲であって、北緯8°34′(N1)〜28°6′(N2)の範囲の時差区分は「0」であり、北緯28°6′(N2)〜45°24′(N3)の範囲の時差区分は「1」であり、北緯45°24′(N3)〜65°0′(N4)の範囲の時差区分は「0」であることが表される。また、アドレス=8に格納された時差区分=1という時差区分情報と、アドレス=9に格納された「END」という情報(属する基準線毎のデータの終点を示す符号)により、北緯65°0′(N4)〜80°の範囲の時差区分は「1」であり、北緯65°0′(N4)以北には第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点が存在しないことが表される。アドレス=9に格納された「END」という情報は、「交点=80°」としてもよい。先頭アドレス=10以降に格納された情報は、第2の基準線73の東側に位置する時差区分領域の時差区分情報及び交点情報である。このように、本実施形態に係る衛星電波腕時計1に記憶される時差区分・交点情報32bは、時差区分情報と交点情報が1対1に対応するデータ構造を有する。
なお、アドレス情報32aと時差区分・交点情報32bの構成は上述したものに限られない。例えば、アドレス情報32aを記憶せずに、時差区分・交点情報32bとして上述のデータ構造のものを採用し、時差区分・交点情報32bをアドレス=0から順に読み込み、「END」データが表れる回数を数えることで、現在位置の経度に応じた時差区分情報及び交点情報を得てもよい。また、アドレス情報32aを記憶せずに、時差区分領域70毎に、等しいデータ長を確保して時差区分情報及び交点情報を記憶することとしてもよい。その場合、現在位置が属する時差区分領域70を判定し、時差区分・交点情報32bのメモリアドレスを現在位置の経度分だけアドレス=0からオフセットすれば対応する時差区分情報及び交点情報が得られる。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1に記憶される時差詳細情報32cを示す図である。時差詳細情報32cは、時差区分情報に関連付けられた、タイムゾーン情報と、サマータイム情報及び都市情報の少なくともいずれかと、を含む。本実施形態では、時差詳細情報32cは、それぞれの時差区分に関連付けられたタイムゾーン、サマータイム及び都市を表す情報である。タイムゾーンは、UTC(世界協定時)に対するオフセットにより表される。時差区分「0」である領域のタイムゾーンはUTCと一致しており、時差区分「1」である領域のタイムゾーンはUTCから1時間進んでおり、時差区分「2」である領域のタイムゾーンはUTCから1時間進んでいる。サマータイムは、1年のうち夏を中心とした期間に実施される時刻である。時差区分「0」である領域では、サマータイムは実施されないため「NA」(指定が無いことを表す符号)が格納されている。時差区分「1」である領域では、日時ST1から日時ED1までの期間においてサマータイムが実施され、時刻が1時間進められる。また、時差区分「2」である領域では、日時ST2からED2までの期間においてサマータイムが実施され、時刻が0.5時間進められる。時差区分「1」である領域と、時差区分「2」である領域は、タイムゾーンは同じであるが、サマータイムの実施時期と修正量が異なる。都市は、各時差区分における代表都市名を表す。ここでは具体名を記載せず、時差区分「0」である領域の都市名は「A」、時差区分「1」である領域の都市名は「B」、時差区分「2」である領域の都市名は「C」と例示している。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分領域70の第2の例を示す図である。本例において、北緯N2の第2の交点を通るタイムゾーンの境界線71と、北緯N3の第3の交点を通るタイムゾーンの境界線71とで挟まれる領域は、タイムゾーンに関する国際的な合意が得られていない領域である。そのような領域として、例えば紛争地域がある。このような領域について、本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、北緯N2の第2の交点を通る区分境界線74と、北緯N3の第3の交点を通る区分境界線74とで挟まれる領域の時差区分をNA(設定されていないことを表す符号)とする。時差区分がNAである場合、時差詳細情報32cには、関連付けられるタイムゾーンとしてタイムゾーン不定であることが示される。時差区分情報に関連付けられたタイムゾーンがタイムゾーン不定であることを示す場合、タイムゾーン決定部31aは、タイムゾーンを維持するか、又は特定のタイムゾーンとする決定をする。本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、タイムゾーン決定部31aは、タイムゾーン不定である場合、タイムゾーンを維持する決定をする。図10に示す例の場合、東経E1〜E2の範囲を北緯0°から北上することを考えると、はじめ時差区分「0」の領域に属するので、図9に示す時差詳細情報32cによれば、関連付けられたタイムゾーンはUTC+0であり、北緯N1を越えたところで時差区分「2」となり、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST2からED2までの期間において+0.5時間のサマータイムが実施されるゾーンとなる。さらに、北緯N5を越えたところで時差区分「1」となり、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST1から日時ED1までの期間において+1時間のサマータイムが実施されるゾーンとなる。さらに北上して、北緯N6を越えたところで時差区分「2」となり、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST2からED2までの期間において+0.5時間のサマータイムが実施されるゾーンとなる。さらに、北緯N2を越えたところで時差区分「NA」となり、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST2からED2までの期間において+0.5時間のサマータイムが実施されるゾーンに維持される。そして、北緯N3を越えた場合に時差区分は「0」となり、タイムゾーンはUTC+0になる。一方、東経E1〜E2の範囲を北緯80°から南下することを考えると、はじめ時差区分「1」の領域に属するので、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST1から日時ED1までの期間において+1時間のサマータイムが実施されるゾーンであり、その後北緯N4を越えたところで時差区分「0」となり、タイムゾーンはUTC+0となる。さらに、北緯N3を越えたところで時差区分「NA」となり、タイムゾーンはUTC+0に維持される。そして、北緯N2を越えたところで時差区分「2」となり、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST2からED2までの期間において+0.5時間のサマータイムが実施されるゾーンとなる。さらに、北緯N6を越えたところで時差区分「1」となり、タイムゾーンはUTC+1で、日時ST1から日時ED1までの期間において+1時間のサマータイムが実施されるゾーンになる。このように、タイムゾーン不定地域にどちらの方角から侵入するかによって衛星電波腕時計1の採用するタイムゾーンは異なることとなり、時刻修正部31eの行う時刻修正も異なることとなる。このように、本実施形態に係る衛星電波腕時計1によれば、タイムゾーンが不定であっても時刻表示が行われる。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、タイムゾーン決定部31aによりタイムゾーン不定である場合の処理が行われた場合、秒針52cにより不定処理文字53dを指し示して、時差区分が「NA」である場合の処理が行われたことを示す。これにより、衛星電波腕時計1の利用者は、時差区分が不定である場合の処理が行われたことを確認することができる。本実施形態では、タイムゾーン決定部31aは、時差区分が「NA」であった場合にタイムゾーンを維持することとしたが、特定のタイムゾーン、例えばUTC+0とする決定をしてもよい。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1による時刻修正処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、利用者による操作部60の操作を受け付けて時刻修正処理を開始し、はじめに衛星電波の受信を行う(S1)。そして、衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報を取得してRAM33に格納する(S2)。
次に、タイムゾーン決定部31aにより、取得された位置情報により示される現在位置の緯度が80°以上であるか否かが判定される(S3)。現在位置の緯度が80°以上でなかった場合、現在位置は、東北、西北、東南及び西南のいずれの領域に属するかが特定される(S4)。そして、現在位置の経度のうち秒以下を四捨五入して(S5)、現在位置がいずれの時差区分領域に属するかを特定する。例えば、現在位置の東経のうち秒以下を四捨五入した値がE1であった場合、図6に示す時差区分領域70に属することとする。一方、現在位置の東経のうち秒以下を四捨五入した値がE2であった場合、第2の基準線73の東側に位置する時差区分領域に属することとする。
現在位置が属する時差区分領域が特定されると、対応する先頭アドレスが特定される(S6)。先頭アドレスが特定されると、参照すべき時差区分・交点情報32bのアドレスが判明する。次に、交点情報に基づいて、交点を始点とする緯線と現在位置の緯度を比較する(S7)。そして、現在位置の緯度がいずれの交点緯度の間に位置するかを判定することにより、現在位置の時差区分が特定される(S8)。続いて、時差詳細情報32cを参照することで、特定された時差区分に対応するタイムゾーンが決定される。また、時差詳細決定部31bにより、サマータイム及び都市といった時差の詳細が決定される(S9)。
一方、現在位置の緯度が80°以上であった場合、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンをUTC+0に決定する(S10)。前述のように、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンを維持し、それまでのタイムゾーンを引き継ぐこととしてもよい。
衛星電波腕時計1の現在位置の時差に関する詳細な情報が決定されると、時刻修正部31eは、時差に関する情報に基づいて、時刻を修正する(S11)。以上により、衛星電波腕時計1による時刻修正処理は終了する。
図12は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る衛星電波腕時計1において設定される例外処理範囲75を示す図である。図12に示す時差区分領域70は、図6に示した時差区分領域と同じである。しかし、本変形例に係る衛星電波腕時計1では、例外処理範囲設定部31cにより、タイムゾーンの境界線付近に例外処理範囲75が設定される。
図12に示す時差区分領域70では、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点は、南側から順に、北緯NL1、NL2、NL3及びNL4にある。また、第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71との交点は、南側から順に、北緯NR1、NR2、NR3及びNR4にある。ここで、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点のうち北緯NL1に位置する交点を第1の交点と称し、第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71との交点のうち北緯NR1に位置する交点を第2の交点と称することとする。例外処理範囲75は、隣接する2本の基準線(第1の基準線72と第2の基準線73)と、第1の交点を通り、基準線に直交する線(北緯NL1の緯線)と、第2の交点を通り、基準線に直交する線(北緯NR1の緯線)とで指定される範囲である。図12に示す例では、例外処理範囲75は4つあり、それぞれ緯度方向の幅が異なる。例外処理範囲75の緯度方向の幅は、タイムゾーンの境界線71の傾きに応じて増減する。
本変形例では、現在位置が属する時差区分領域70を特定した後、現在位置の時差区分を特定する前に、例外処理範囲設定部31cは、時差区分領域70に属する交点を読み込んで例外処理範囲75を設定する。そして、タイムゾーン決定部31aは、位置情報33aの示す位置が例外処理範囲75内にある場合に、タイムゾーンを維持する。例えば、東経E1〜E2の範囲において、北緯0°の地点から北上する場合を考えると、衛星電波腕時計1は、はじめ時差区分「1」の領域に属する。その後、北緯NL1を越えてもタイムゾーンは変わらず、時差区分「1」のタイムゾーンが維持される。さらに北上して北緯NR1を越えると、時差区分は「0」となり、タイムゾーンが変更される。そこで進路を反転し、南下すると、北緯NR1を越えてもタイムゾーンは変更されず、時差区分「0」に対応するタイムゾーンに維持される。さらに南下して北緯NL1を越えると、時差区分は「1」となり、タイムゾーンが変更される。このように、本変形例に係る衛星電波腕時計1によれば、タイムゾーンの境界付近で時差が変わらず、元の時差が維持される。
図13は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る衛星電波腕時計1において設定される例外処理範囲75を示す図である。図13に示す時差区分領域70は、図6に示した時差区分領域と同じであるが、本変形例に係る衛星電波腕時計1では、例外処理範囲設定部31cにより、タイムゾーンの境界線71付近に緯度方向に一定の幅を持った例外処理範囲75が設定される。
図13に示す例外処理範囲75は、基準線とタイムゾーンの境界線71との交点を含む範囲であって、隣接する2本の基準線と、所定の距離だけ離間した2本の基準線に直交する線(緯線)とで指定される範囲である。具体的に、北緯NL1に位置する交点及び北緯NR1に位置する交点を含む例外処理範囲75は、第1の基準線72及び第2の基準線73と、緯度方向に所定の距離だけ離間した2本の緯線とで指定される範囲である。図13に示す例では、4つの例外処理範囲75が示されており、それらの緯度方向の幅はそれぞれ等しい。このように、例外処理範囲75の緯度方向の幅は予め定めておくことで、タイムゾーンの境界線の傾きに依存せずに例外処理範囲75を設定することができる。そのため、演算負荷が軽減される。
本変形例に係る衛星電波腕時計1においても、現在位置が属する時差区分領域70を特定した後、現在位置の時差区分を特定する前に、例外処理範囲設定部31cは、時差区分領域70に属する交点を読み込んで例外処理範囲75を設定する。そして、タイムゾーン決定部31aは、位置情報33aの示す位置が例外処理範囲75内にある場合に、タイムゾーンを維持する。このように、本変形例に係る衛星電波腕時計1によれば、タイムゾーンの境界を含む所定範囲で時差が変わらず、元の時差が維持される。
本実施形態の第1の変形例及び第2の変形例に係る衛星電波腕時計1は、時刻修正の例外処理が行われた場合、秒針52cにより不定処理文字53dを指し示すことにより、時差区分が「NA」である場合の処理が行われたことを示す。これにより、衛星電波腕時計1の利用者は、時差区分が不定である場合の処理が行われたことを確認することができる。
図14は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例及び第2の変形例に係る衛星電波腕時計1による時刻修正の例外処理を示すフローチャートである。第1の変形例及び第2の変形例に係る衛星電波腕時計1は、利用者による操作部60の操作を受け付けて時刻修正処理を開始し、はじめに衛星電波の受信を行う(S20)。そして、衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報を取得してRAM33に格納する(S21)。
次に、タイムゾーン決定部31aにより、取得された位置情報により示される現在位置の緯度が80°以上であるか否かが判定される(S22)。現在位置の緯度が80°以上でなかった場合、現在位置は、東北、西北、東南及び西南のいずれの領域に属するかが特定される(S23)。そして、現在位置の経度のうち秒以下を四捨五入して(S24)、現在位置がいずれの時差区分領域に属するかを特定する。
現在位置が属する時差区分領域が特定されると、対応する先頭アドレスが特定される(S25)。その後、例外処理範囲設定部31cは、交点情報を読み込み、緯線により例外処理範囲75を設定する(S26)。ここで、第1の変形例に係る衛星電波腕時計1では、例外処理範囲設定部31cは、基準線とタイムゾーンの境界線との交点を通る緯線により例外処理範囲75を設定する。また、第2の変形例に係る衛星電波腕時計1では、例外処理範囲設定部31cは、所定の距離だけ離間した緯線により例外処理範囲75を設定する。
次に、位置情報33aにより示される位置が例外処理範囲75内にあるか否かが判定される(S27)。現在位置が例外処理範囲内に無かった場合、特定された先頭アドレスより時差区分・交点情報32bを参照し、交点情報に基づいて、交点を始点とする緯線と現在位置の緯度を比較する(S28)。そして、現在位置の緯度がいずれの交点緯度の間に位置するかを判定することにより、現在位置の時差区分が特定される(S29)。続いて、時差詳細情報32cを参照することで、特定された時差区分に対応するタイムゾーンが決定される。また、時差詳細決定部31bにより、サマータイム及び都市といった時差の詳細が決定される(S30)。
一方、現在位置が例外処理範囲内にあった場合、タイムゾーン決定部31aは、タイムゾーンを維持する決定をする(S31)。また、現在位置の緯度が80°以上であった場合、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンをUTC+0に決定する(S32)。前述のように、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンを維持し、それまでのタイムゾーンを引き継ぐこととしてもよい。
その後、時刻修正部31eは、決定された時差に関する情報に基づいて、時刻を修正する(S33)。以上により、第1の変形例及び第2の変形例に係る衛星電波腕時計1による時刻修正の例外処理は終了する。
[第2の実施形態]
図15は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分領域70の第1の例を示す図である。第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1は、記憶される時差区分・交点情報32bの内容が第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1と異なり、時差区分の特定方法が異なる。それ以外の構成について、第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1と第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1とは対応する構成を有する。以下、第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1の構成のうち、第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1の構成と相違する点について説明する。
図15に示す時差区分領域70は、北緯0°〜90°かつ東経E1〜E2の領域である。同図に示す例では、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71は、北緯NL1、北緯NL2、北緯NL3及び北緯NL4で互いに交わる。また、第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71は、北緯NR1、北緯NR2、北緯NR3及び北緯NR4で互いに交わる。北緯NL1に位置する交点に対して、北緯NR1に位置する交点を隣接交点と称する。本実施形態では、ROM32に、時差区分・交点情報32bの一部として、交点情報と対となる隣接交点情報が記憶される。北緯NL2に位置する交点に対しては、北緯NR2に位置する交点が隣接交点であり、北緯NL3に位置する交点に対しては、北緯NR3に位置する交点が隣接交点である。同様に、北緯NL4に位置する交点に対しては、北緯NR4に位置する交点が隣接交点である。タイムゾーンの境界線71のうち1つの時差区分領域70に含まれる線分を考えると、交点と隣接交点は、1つの線分の両端に位置する点である。
図15には、位置情報33aにより示される衛星電波腕時計1の現在位置76を三角形で示している。現在位置76は、北緯N、東経Eの地点に位置する。北緯Nは、北緯NL1と北緯NR1の間に位置する。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分は、基準線に隣接する楔状又は帯状の領域であって、基準線とタイムゾーンの境界線との交点が属する領域毎に定められる。具体的に、該領域は、第1の基準線72と、第2の基準線73と、第1の交点と第2の交点(第1の交点の隣接交点)とを結ぶ線と、で指定される。時差区分が定められる領域の一例は、北緯0°東経E1の点、北緯NL1東経E1の点、北緯NR1東経E2の点及び北緯0°東経E2の点を結ぶ四角形領域であり、そこでの時差区分は「1」である。
図15に示す例では、現在位置76が上記領域内にあるから、その時差区分は「1」である。一方、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1が同一の位置にある場合、現在位置76の緯度は北緯NL1より大きく、NL2以下であるから、時差区分は「0」と判断されることになる。ただし、第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1であっても、時差区分領域70の経度方向の幅を十分に小さく(例えば経度1分の幅に)とれば、タイムゾーンの境界線71が緯線に対して傾いていることに起因する誤差は十分に小さい。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1によれば、タイムゾーンの境界線71が直線で構成されていれば、時差区分が定められる領域の境界をタイムゾーンの境界線71に一致させることができる。そのため、第1の実施形態では、時差区分領域70の経度方向の幅をそれぞれ等しく(具体的には1分毎と)していたが、本実施形態では、時差区分領域70の経度方向の幅を位置に応じて変化させてもよい。例えば、タイムゾーンの境界線71が折れ曲がったり、合流したりする経度に基準線を設けて、基準線とタイムゾーンの境界線71との交点間を直線補間することとしてもよい。そのような構成を採用することで、時差区分の判定精度を高精度に保ったまま、位置情報からタイムゾーンを判定するための情報の記憶容量を大幅に減らすことができる。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1における時差区分の決定は、具体的には以下のようにして行われる。はじめに、第1の基準線72から現在位置76までの緯線に沿った距離と、第1の基準線72から第2の基準線73までの緯線に沿った距離の比Z=(E−E1)/(E2−E1)を求める。次に、求めた比に基づいて、北緯NL1東経E1の点と北緯NR1東経E2の点を結ぶ補間直線と、現在位置76を通る経線との交点の北緯NM1を、NM1=NL1+(NR1−NL1)×Zにより求める。同様に、求めた比に基づいて、現在位置76を通る経線と、それぞれの補間直線との交点の北緯NM2、NM3及びNM4を求める。そして、現在位置76の北緯Nが、北緯NM1、NM2、NM3及びNM4のいずれの間に属するかを判定することで、現在位置76の属する時差区分が決定される。なお、現在位置の北緯Nが例えば北緯NM1と一致する場合、北緯NM1の南側の時差区分に属すると判定してよい。もっとも、北緯NM1の北側の時差区分に属すると判定することとしてもよい。
具体的に数値を代入した例を挙げると以下のようになる。例えば、E1=10°00′、E2=10°01′、現在位置76の東経E=9°00′である場合、NM1=9°08′30″、NM2=27°55′30″、NM3=45°49′30″及びNM4=64°04′30″と求まる。ここから、現在位置76の北緯N=9°00′は、0°以上NM1未満であると判定され、現在位置76の時差区分は「1」と判定される。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1に記憶される時差区分・交点情報32bを示す図である。本実施形態に係る衛星電波腕時計1のROM32は、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点である第1の交点の位置を示す第1の交点情報に関連付けて、第1の基準線72と隣り合う第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71との交点である第2の交点(第1の交点の隣接交点)の位置を示す第2の交点情報(隣接交点情報)を記憶する。時差区分・交点情報32bは、時差区分情報、交点情報及び隣接交点情報が繰り返し記憶されたデータ構造を有する。時差区分・交点情報32bが記憶されるメモリの先頭アドレス=0には、時差区分=1という情報が記憶され、次のアドレスには交点=8°34′(NL1)という第1の交点の緯度が記憶されている。さらに次のアドレスには、隣接交点=9°20′(NR1)という第2の交点の緯度(第1の交点に対する隣接交点の緯度)が記憶されている。このようなデータ構造により、北緯0°東経E1の点、北緯8°34′東経E1の点、北緯9°20′東経E2の点及び北緯0°東経E2の点を結ぶ四角形領域の時差区分は「1」であることが表される。また、アドレス=3には、時差区分=0という情報が記憶され、続いて交点=28°06′(NL2)、隣接交点=27°52′(NR2)という情報が記憶されている。これにより、北緯8°34′東経E1の点、北緯28°06′東経E1の点、北緯27°52′東経E2の点及び北緯9°20′東経E2の点を結ぶ四角形領域の時差区分は「0」であることが表される。先頭アドレス=14以降に格納された情報は、第2の基準線73の東側に位置する時差区分領域の時差区分情報及び交点情報である。このように、本実施形態に係る衛星電波腕時計1によれば、タイムゾーンの境界線71に対してより忠実に時差区分が定められる領域が指定される。
なお、隣接交点情報として記憶する値は、隣接する基準線における交点情報の値である。そのため、時差区分・交点情報32bには、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との各交点の緯度にそれぞれ関連付けて、第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71との交点の番号を記憶することとしてもよい。ここで、交点の番号とは、交点情報のメモリ上での記憶順番を表す番号である。本実施形態では、北半球に属する交点情報は、南から北に向かって記憶しているため(南半球では北から南に向かって記憶)、交点の番号とは、交点を基準線毎に緯度0°から北緯90°に向かって数えた番号である。例えば、図15に示す例では、第1の基準線72に隣接する第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71との交点は4つあり、南側から順に、第1の交点(北緯NR1の交点)、第2の交点(北緯NR2の交点)、第3の交点(北緯NR3の交点)及び第4の交点(北緯NR4の交点)と称することができる。そして、時差区分・交点情報32bでは、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点である北緯NL1の交点の緯度に関連付けて、隣接交点の番号「1」を記憶し、北緯NL2の交点の緯度に関連付けて、隣接交点の番号「2」を記憶し、北緯NL3の交点の緯度に関連付けて、隣接交点の番号「3」を記憶し、北緯NL4の交点の緯度に関連付けて、隣接交点の番号「4」を記憶することとしてもよい。ある交点について隣接交点の番号が判明すれば、当該隣接交点の緯度を読み出して、補間直線を算出することができ、現在位置の緯度と比較することで現在位置の時差区分を判定することができる。このようなデータ構造を採用することで、位置情報からタイムゾーンを判定するための情報の記憶容量をさらに少なくしつつ、精度良くタイムゾーンを決定することができる。
図17は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分領域70の第2の例を示す図である。同図では、隣接する2つの時差区分領域70を示しており、タイムゾーンの境界線71の一部は、北緯NM1の地点で分岐している。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、タイムゾーンの境界線71が分岐点を有する場合であっても、時差区分が定められる領域を一意に構成することができる。本実施形態では、時差区分・交点情報32bとして、各交点情報と対となる隣接交点情報が与えられている。そのため、交点と隣接交点を結ぶ補間直線を引くことで、時差区分が定められる領域が一意に指定されることとなる。
具体的に、図17に示す例では、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点のうち、北緯NL1に位置する交点の隣接交点は、北緯NM1に位置する交点であり、北緯NL2に位置する交点の隣接交点は、北緯NM1に位置する交点であり、北緯NL3に位置する交点の隣接交点は、北緯NM2に位置する交点である。これらの情報は、時差区分・交点情報32bのうち図17の左側の時差区分領域70に対応する先頭アドレスから始まるメモリ領域に書き込まれている。また、第2の基準線73とタイムゾーンの境界線71との交点のうち、北緯NM1に位置する交点の隣接交点は、北緯NR1に位置する交点であり、北緯NM2に位置する交点の隣接交点は、北緯NR2に位置する交点である。タイムゾーンの境界線71は、北緯NM1の交点の地点で分岐しているが、交点と隣接交点を併せて記憶することで、交点と隣接交点を結ぶ補間直線を一意に引くことができ、時差区分が定められる領域が一意に指定される。
図18は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1において扱われる時差区分領域70の第3の例を示す図である。本例では、タイムゾーンの境界線71が、西から東に向かって(図18の左から右に向かって)分岐している。本実施形態では、このような場合であっても一意に補間直線を引くために、分岐点である交点に2つの交点情報を対応させる。
具体的に、図18に示す例では、第1の基準線72とタイムゾーンの境界線71との交点のうち、北緯NM1に位置する交点と、北緯NM2に位置する交点とは、同緯度に位置する交点である。図18では、説明を簡明にするため、北緯NM1に位置する交点と、北緯NM2に位置する交点とをずらして記載しているが、北緯NM1と北緯NM2は同緯度である。北緯NM1に位置する交点の隣接交点は、北緯NR1に位置する交点であり、北緯NM2に位置する交点の隣接交点は、北緯NR2に位置する交点であるとして、時差区分・交点情報32bに記憶されている。このように、交点と隣接交点が1対1に対応するように交点の数を適宜増やすことで、交点と隣接交点を結ぶ補間直線を一意に引くことができ、時差区分が定められる領域が一意に指定される。
図19は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1による時刻修正処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、利用者による操作部60の操作を受け付けて時刻修正処理を開始し、はじめに衛星電波の受信を行う(S40)。そして、衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報を取得してRAM33に格納する(S41)。
次に、タイムゾーン決定部31aにより、取得された位置情報により示される現在位置の緯度が80°以上であるか否かが判定される(S42)。現在位置の緯度が80°以上でなかった場合、現在位置は、東北、西北、東南及び西南のいずれの領域に属するかが特定される(S43)。そして、現在位置の経度のうち秒以下を四捨五入して(S44)、現在位置がいずれの時差区分領域に属するかを特定する。
現在位置が属する時差区分領域が特定されると、対応する先頭アドレスが特定される(S45)。先頭アドレスが特定されると、参照すべき時差区分・交点情報32bのアドレスが判明する。その後、交点情報及び隣接交点情報に基づいて、交点と隣接交点を結ぶ補完直線と、現在位置の緯度を比較する(S46)。そして、現在位置の緯度がいずれの補間直線の間に位置するかを判定することにより、現在位置の時差区分が特定される(S47)。続いて、時差詳細情報32cを参照することで、特定された時差区分に対応するタイムゾーンが決定される。また時差詳細決定部31bにより、サマータイム及び都市といった時差の詳細が決定される(S48)。
一方、現在位置の緯度が80°以上であった場合、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンをUTC+0に決定する(S49)。前述のように、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンを維持し、それまでのタイムゾーンを引き継ぐこととしてもよい。
衛星電波腕時計1の現在位置の時差に関する詳細な情報が決定されると、時刻修正部31eは、時差に関する情報に基づいて、時刻を修正する(S50)。以上により、衛星電波腕時計1による時刻修正処理は終了する。
図20は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る衛星電波腕時計1における例外処理範囲75の例を示す図である。図20に示す時差区分領域70は、図15に示した時差区分領域と同じであるが、本変形例に係る衛星電波腕時計1では、例外処理範囲設定部31cにより、タイムゾーンの境界線付近に例外処理範囲75が設定される。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1の例外処理範囲設定部31cは、隣接する2本の基準線(第1の基準線72及び第2の基準線73)と、第1の交点と第2の交点(第1の交点の隣接交点)とを結ぶ線に平行な線であって第1の交点を通る線と、第1の交点と第2の交点とを結ぶ線に平行な線であって第2の交点を通る線とで指定される範囲である。具体的に、図20に示す例では4つの例外処理範囲75が示され、最も南に位置する例外処理範囲75は、第1の交点である北緯NL1に位置する交点と、第2の交点である北緯NR1に位置する交点とを結ぶ線に平行な線(補間線)であって、北緯NL1に位置する交点を通る線と、補間線に平行な線であって北緯NR1に位置する交点を通る線とで指定される平行四辺形の範囲である。図20に示す例では、4つの例外処理範囲75の面積はそれぞれ同じであり、平行線の間隔はそれぞれ同じである。
本変形例では、現在位置が属する時差区分領域70を特定した後、現在位置の時差区分を特定する前に、例外処理範囲設定部31cは、時差区分領域70に属する交点及び隣接交点を読み込んで例外処理範囲75を設定する。そして、タイムゾーン決定部31aは、位置情報33aの示す位置が例外処理範囲75内にある場合に、タイムゾーンを維持する。衛星電波腕時計1のタイムゾーンは、補間直線に平行な線を越えて例外処理範囲75に侵入する際には維持され、補間直線に平行な線を越えて例外処理範囲75から脱出する際に変更される。本変形例のように例外処理範囲75を設定することで、基準線と緯線により例外処理範囲を設定する場合と比較して、タイムゾーンの境界線71に対してより忠実な例外処理範囲を設定することができる。
本変形例に係る衛星電波腕時計1は、時刻修正の例外処理が行われた場合、秒針52cにより不定処理文字53dを指し示すことにより、時差区分が「NA」である場合の処理が行われたことを示す。これにより、衛星電波腕時計1の利用者は、時差区分が不定である場合の処理が行われたことを確認することができる。
図21は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る衛星電波腕時計1による時刻修正の例外処理を示すフローチャートである。第2の実施形態の変形例に係る衛星電波腕時計1は、利用者による操作部60の操作を受け付けて時刻修正処理を開始し、はじめに衛星電波の受信を行う(S60)。そして、衛星信号に含まれる時刻情報及び位置情報を取得してRAM33に格納する(S61)。
次に、タイムゾーン決定部31aにより、取得された位置情報により示される現在位置の緯度が80°以上であるか否かが判定される(S62)。現在位置の緯度が80°以上でなかった場合、現在位置は、東北、西北、東南及び西南のいずれの領域に属するかが特定される(S63)。そして、現在位置の経度のうち秒以下を四捨五入して(S64)、現在位置がいずれの時差区分領域に属するかを特定する。
現在位置が属する時差区分領域が特定されると、対応する先頭アドレスが特定される(S65)。その後、例外処理範囲設定部31cは、交点情報及び隣接交点情報を読み込み、補間直線に平行な線により例外処理範囲75を設定する(S66)。
次に、位置情報33aにより示される位置が例外処理範囲75内にあるか否かが判定される(S67)。現在位置が例外処理範囲内に無かった場合、特定された先頭アドレスより時差区分・交点情報32bを参照し、交点情報及び隣接交点情報に基づいて、補間直線と現在位置の緯度を比較する(S68)。そして、現在位置の緯度がいずれの補間直線の間に位置するかを判定することにより、現在位置の時差区分が特定される(S69)。続いて、時差詳細情報32cを参照することで、特定された時差区分に対応するタイムゾーンが決定される。また、時差詳細決定部31bにより、サマータイム及び都市といった時差の詳細が決定される(S70)。
一方、現在位置が例外処理範囲内にあった場合、タイムゾーン決定部31aは、タイムゾーンを維持する決定をする(S71)。また、現在位置の緯度が80°以上であった場合、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンをUTC+0に決定する(S72)。前述のように、高緯度処理部31dは、現在位置のタイムゾーンを維持し、それまでのタイムゾーンを引き継ぐこととしてもよい。
その後、時刻修正部31eは、決定された時差に関する情報に基づいて、時刻を修正する(S73)。以上により、第2の実施形態の変形例に係る衛星電波腕時計1による時刻修正の例外処理は終了する。
本発明の実施形態は、以上に説明したものに限られない。図22は、タイムゾーンの境界線71及び時差区分領域70の他の例を示す概略図である。この例では、地球における特定の大円若しくは該大円に平行な円に沿った基準線により時差区分領域70を指定する。ここで、特定の大円は赤道であり、該大円に平行な円は緯線である。本例のように時差区分領域70を指定する場合であっても、例えば緯度方向に関して1分毎に基準線をとることで時差区分領域70を指定して、緯線とタイムゾーンの境界線71との交点情報、及び時差区分情報を記憶することとすれば、これまでに説明した実施形態と同様に時差を決定することができる。