以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物9に形成された開口部に納められた建具1における障子2、3の面方向(見付面に沿った方向)を意味し、「見込方向」とは、開口部に納められた建具1における上記障子2、3の厚さ方向を意味する。また、奥方向とは、見込方向のうちの屋外側から屋内側へ向う方向を意味し、手前方向とは、奥方向の逆の方向を意味する。また、左方向とは、見込方向のうちの屋外側から屋内側へ向う方向で見たときの建物9の左方向を意味し、その反対の方向は右方向を意味し、また、左方向と右方向とを併せて一の方向としての左右方向と定義する。また、手前方向と奥方向とを併せて他の方向としての前後方向と定義する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建具1の障子2、3が閉じた状態を示す屋外側から見た斜視図である。図2は、上記実施形態に係る建具1の障子2の縦断面図である。図3は、上記実施形態に係る建具1の障子3の縦断面図である。図4は、上記実施形態に係る建具1の横断面図である。図30は、上記実施形態に係る建具1の障子3を回転させている様子を示す、屋外側から見た斜視図である。図31は、上記実施形態に係る建具1の障子3を側壁902に配置させた様子を示す、屋外側から見た斜視図である。図32は、上記実施形態に係る建具1の障子2を回転させている様子を示す図であり、(A)は、屋外側から見た斜視図であり、(B)は、平面模式図であり、(C)は、側面模式図である。図33は、上記実施形態に係る建具1の障子2を回転させ終えて、開口部全体が開かれた状態を示す図であり、(A)は、屋外側から見た斜視図であり、(B)は、屋内側から見た斜視模式図である。
本実施形態の建具1としての窓は、左右方向の寸法が大きく設定された横長の窓であり、建物9の正面の壁部901に形成された開口部から、正面に沿って建物9の外壁の屋外側の右端部の角部903に至り、その位置から見込方向へ建物9の右側の側壁902に沿って所定の位置に至るまでの外壁の屋外側に配置される。建物9の開口部は、建物9の左右方向に広く形成されている。建物9の左右方向における外壁の長さであって、開口部の右端部(後述の障子3の右縦框34の位置)から建物9の右端部の角部903までの外壁の長さは、障子3が開口部を閉じた状態のときの左右方向における障子3の幅(図1に示す障子3の左右方向における幅)よりも小さい。
図1等に示すように窓としての建具1は、建物9の開口部に取り付けられる枠体10と、枠体10に開閉可能に配置されて納められた障子2と、第2の障子としての障子3と、を備える。
枠体10は、上枠11と、下枠15と、左の縦枠17と、により略コの字形状に枠組みされて形成される。上枠11、下枠15、及び、左の縦枠17は、例えば、アルミニウムで構成される。
左の縦枠17は、開口部の左辺の部分において、躯体911(例えば、梁部材、柱部材、床部。図4参照)に図示しないボルトにより固定されている。図1等に示すように、上枠11は、左の縦枠17の上端部から開口部の上辺に沿って右方向へ延び、開口部の右辺よりも更に右方向に延びて建物9の右の角部903に至る。そして、上枠11は、建物9の側面の壁面に沿って奥方向へ延び、所定の位置に至るまで配置されており、ボルト921(図2参照)を介して躯体911に固定されている。同様に、下枠15は、左の縦枠17の下端部から開口部の下辺に沿って右方向へ延び、開口部の右辺よりも更に右方向に延びて建物9の右の角部903に至る。そして、下枠15は、建物9の側壁902に沿って奥方向へ延び、所定の位置にまで至るまで配置されており、ボルト922を介して躯体911に固定されている。ここで、所定の位置とは、角部903から奥方向へ、図1に示す障子3の左右方向における幅よりも長い距離で進んだ位置である。
上枠11、下枠15、及び左の縦枠17の部分であって、建物9の正面に平行な壁部901に沿って建物9の右の角部903に至るまで延びている部分を、図1に示すように、以下、「第1ガイド部101」と言い、建物9の右の角部903から建物9の側壁902に沿って奥方向へ延び、所定の位置にまで至るまでの部分を、以下、「第2ガイド部102」と言う。第1ガイド部101は、障子3を左右方向にスライド移動可能に支持しガイドする。第2ガイド部102は、障子3を前後方向へスライド移動可能に支持しガイドする。
障子2は、枠体10の左側の部分であって、開口部の左半分の部分を開閉可能に配置されており、左右方向における長さが3m、上下方向における長さが2.7m、重量が300kgの寸法を有している。障子2は、左縦框23、右縦框24の上端寄りの部分に回転軸を有している。
回転軸の軸心は、見付面に沿った左右方向且つ水平方向に指向している。回転軸は、左の縦枠17と、開口部の中央に配置された垂下部材としての支持アーム部930と、に回転可能に支持されており、これにより、障子2は、縦枠17及び支持アーム部930に対して回転可能に支持されている。即ち、障子2の回転軸は、開口部を遮るように設けられ上枠11から下枠15に至るまで延びる柱部材には支持されておらず、上枠11が固定される躯体911の部分から下方に向って、下枠15の上方の所定の位置,即ち、下枠15から2m程度の高さの位置に至るまで延びている支持アーム部91の下端部と、縦枠17と、に支持される。障子2が回転することにより、図33に示すように、開口部の左半分の部分が開いた状態とされる。
障子3は、枠体10の右側の部分であって、開口部の右半分の部分を開閉可能に配置されており、障子2の寸法、重量とほぼ同一の寸法、重量を有している。障子3は、図31、図32(A)に示すように、上枠11及び下枠15にガイドされて正面に沿って右方向へスライド移動し、建物9の角部903よりも右側に突出し、建物9の角部903の壁面に沿って回転し、建物9の側壁の壁面に沿って奥方向へスライド移動して、建物9の側壁902に沿った状態で収容されるように構成されている。以下、各部について詳細に説明する。
先ず、障子2について詳細に説明する。
図5は、上記実施形態に係る建具1の障子2の分解斜視図である。図6は、図5のAの部分を示す拡大斜視図である。図7は、図5のBの部分を示す拡大斜視図である。図8は、図5のCの部分を示す拡大斜視図である。図9は、図5のDの部分を示す拡大斜視図である。
障子2は、図5に示すように、上桟21(上框)と、下桟22(下框)と、左縦框23と、右縦框24と、により矩形に框組みされて形成された框体20と、框体20内に嵌め込まれたガラス200と、を備える。上桟21、下桟22、左縦框23、及び、右縦框24は、例えば、アルミニウムで構成される。
上桟21、下桟22、左縦框23、及び、右縦框24には、それぞれ、内側(障子側)に開口して形成される溝21a,22a,23a,24aが形成される。溝21a,22a,23a,24aには、ガラス200の端縁部が配置される。
上桟21は、図2に示すように、溝21aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室211aを形成する角筒状部211を有している。溝21aを形成する上桟21の部分であって角筒状部211に接続されている部分には、パッキン212が設けられている。パッキン212は、上桟の右端部から左端部に至るまで、左右方向に延びており、屋内側と屋外側との気密性を高める。角筒状部211の上部には、板状部材2111、2112を介して、ヒンジ408の一端部側がボルト4083により固定されている。ヒンジ408の回転軸4081は、見付面に沿った水平の方向に平行な位置関係を有している。
下桟22は、図2に示すように、溝22aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室221aを形成する角筒状部221を有している。また、下桟22は、溝22aの下側の位置に、断面矩形状の空気室222aを形成する角筒状部222を有している。角筒状部222の下部の屋内側の部分には、パッキン223が設けられている。パッキン223は、下桟22の右端部から左端部に至るまで、左右方向に延びており、屋内側と屋外側との気密性を高める。
左縦框23は、図4に示すように、溝23aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室231aを形成する角筒状部231を有している。溝23aを形成する左縦框23の部分には一対のパッキン233が設けられている。パッキン233は、左縦框23の上端部から下端部に至るまで、上下方向に延びており、屋内側と屋外側との気密性を高める。
右縦框24は、溝24aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室241aを形成する角筒状部241を有している。溝42aを形成する右縦框24の部分には一対のパッキン243が設けられている。パッキン243は、右縦框24の上端部から下端部に至るまで、上下方向に延びており、屋内側と屋外側との気密性を高める。
図7等に示すように、右縦框24と上桟21との間には、上側接続補強部材260が設けられている。上側接続補強部材260は、L字形状を有するコーナーブラケット261と、上側直方体部材262と、下側直方体部材263と、を有している。コーナーブラケット261は、水平方向に延びる水平部2611と、上下方向に延びる垂直部2612とを有しており、上側接続補強部材260は、水平部2611にボルト2621で固定され、下側直方体部材263は、垂直部2612の上部にボルト2613で固定されている。上側直方体部材262が固定された水平部2611の部分は、上桟21の角筒状部211に挿入されボルト2615(図6参照)によって固定されている。そして、上桟21は、ネジ2616によって右縦框24に固定されている。下側直方体部材263が固定された垂直部2612の部分は、右縦框24にボルト2614によって固定されている。
垂直部2612の下部の位置においては、回転軸部244が右縦框24に固定されている。回転軸部244は、図円柱状部2441と、長方形板状部2442とを有しており、長方形板状部2442は、円柱状部2441の軸方向における一端部に一体的に接続されている。長方形板状部2442がばね座金2443を介してねじ2444によって右縦框24に固定されることにより、回転軸部244が右縦框24に固定されている。円柱状部2441は、見付面に沿って水平に延びており、障子2の右縦框24の上下方向における中央部よりも上側に偏った位置、具体的には、右縦框24の上から、右縦框24の上下方向における長さの4分の1程度の位置に、固定されている。
円柱状部2441には、円筒状のサッシュ部材245が円柱状部2441を環装している。サッシュ部材245は、円筒状部2351と、円柱状部2441の軸方向における一端部に一体的に接続されているフランジ部2452とを有しており、円筒状部2451は、右縦框24に形成された貫通孔24bを貫通して、右縦框24よりも右側へ突出している。円筒状部2451の突出端部には、円板形状を有する抜け防止板246が、ねじ2461により固定されている。抜け防止板246とフランジ部2452との間には、円筒状部2451の周方向に沿った回転溝が形成される。
左縦框23と上桟21との間にも、上述の右縦框24と上桟21との間の上側接続補強部材260と同一の構成の上側接続補強部材260が設けられており、これについては、説明を省略する。また、左縦框23にも、右縦框24に固定されていた回転軸部244、サッシュ部材245、抜け防止板246と同一の構成の回転軸部234、サッシュ部材235、抜け防止板236が設けられており、これについては、説明を省略する。
図8等に示すように、左縦框23と下桟22との間には、下側接続補強部材270が設けられている。下側接続補強部材270は、L字形状を有するコーナーブラケット271と、下側直方体部材272と、を有している。コーナーブラケット271は、水平方向に延びる水平部2711と、上下方向に延びる垂直部2712とを有しており、垂直部2712がボルト2713によって左縦框23に固定されることにより、下側接続補強部材270が左縦框23に固定されている。そして、左縦框23は、ネジ2716によって下桟22に固定されている。
下側直方体部材272は、水平部2711の上面にボルト2714で固定されている。下側直方体部材272が固定された水平部2711の部分は、下桟22の角筒状部221の下側に配置されボルト2715によって下桟22の角筒状部に固定されている。これにより、下側接続補強部材270における下側直方体部材272が固定された水平部2711の部分は、下桟22の下方から下桟22支持する。右縦框24と下桟22との間にも、上述の左縦框23と下桟22との間の下側接続補強部材270と同一の構成の下側接続補強部材270が設けられており、これについては、説明を省略する。
図20、図21に示すように、前室171a、後室172aをそれぞれ形成している左の縦枠17の部分の上部と下部とには、それぞれ長方形状の板状部材2321が、ネジ2323により固定されている。また、後室172aを形成している左の縦枠17の部分の上部には、長方形状の板状部材2322が、ネジ2324により固定されている。
ガラス200は、図2等に示すように、屋内側の板ガラス201と、屋外側の板ガラス202と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ203と、を備える複層ガラスである。この複層ガラスで構成されたガラス200は、優れた断熱性を有する。ガラス200の周縁部は、溝21a,22a,23a,24a内で、見込方向において、ガラス200の端縁部がシーリング材2041に挟まれるように、且つ、ガラス200の端縁部がシーリング材支持材2042に挟まれるように構成されている。また、溝22aの底部には、位置決め部材2043が設けられており、ガラス200の下端縁部は、位置決め部材2043の上に載置されることにより、下桟22に対して位置決めなされている。また、ガラス200の左端縁部、上端縁部、右端縁部にそれぞれ当接するように、図5に示すように、左押縁部2061、上押縁部2062、右押縁部2063が、溝21a、23a、24a内にそれぞれ設けられており、これらによって、ガラス200は、溝22a内の位置決め部材2043に押し付けられている。
次に、障子3について詳細に説明する。
図10は、上記実施形態に係る建具1の障子3の分解斜視図である。図11は、図10のEの部分を示す拡大斜視図である。図12は、図10のFの部分を示す拡大斜視図である。図13は、図10のGの部分を示す拡大斜視図である。図14は、図10のHの部分を示す拡大斜視図である。図15は、図10のIの部分を示す拡大斜視図である。図16は、図10のJの部分を示す拡大斜視図である。
障子3は、図10に示すように、上桟31と、下桟32と、左縦框33と、右縦框34と、により矩形に框組みされて形成された框体30と、框体30内に嵌め込まれたガラス300と、を備える。上桟31、下桟32、左縦框33、及び、右縦框34は、例えばアルミニウムで構成される。
図3、図4に示すように、上桟31、下桟32、左縦框33、及び、右縦框34には、それぞれ、内側(障子側)に開口して形成される溝31a,32a,33a,34aが形成される。溝31a,32a,33a,34aには、ガラス300の端縁部が配置される。
図3に示すように、上桟31は、溝31aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室311aを形成する角筒状部311を有している。図10に示すように、上桟31の左右方向における端部の近傍には、角筒状部311の内部の空気室311aと、角筒状部311の外部とを連通するT字形状の切り欠き3116がそれぞれ形成されている。
図3に示すように、下桟32は、溝32aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室321aを形成する角筒状部321を有している。また、下桟32は、溝32aの下側の位置に、断面矩形状の空気室322aを形成する角筒状部322を有している。図10、図16に示すように、左右方向における下桟32の中央部には、下方へ開口する直方体形状のソケット部323が、ボルト3231及びばね座金3232により固定されている。
図4に示すように、左縦框33は、溝33aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室331aを形成する角筒状部331を有している。溝33aを形成する左縦框33の部分には、一対のパッキン333が設けられている。パッキン333は、左縦框33の上端部から下端部に至るまで、上下方向に延びており、障子2、障子3が開口部を閉じているときに、パッキン243にそれぞれ当接して、屋内側と屋外側との気密性を高める。
また、図10に示すように、左縦框33には、左方向及び屋内側へ開口する支持アーム部収容切り欠き331bが形成されている。支持アーム部収容切り欠き331bは、支持アーム部930(図1等参照)を収容可能な大きさを有しており、障子3が開口部を閉じて、障子2と障子3戸を隣接配置させた状態のときに、支持アーム部930は、支持アーム部収容切り欠き331bに収容され、屋外側及び屋内側から目視できないように構成されている。支持アーム部収容切り欠き331bが形成されている左縦框33の部分は、収容部を構成する。
図4に示すように、右縦框24は、溝24aの屋内側に隣接する位置に、断面矩形状の空気室241aを形成する角筒状部241を有している。
図3に示すように、溝32aの下側の角筒状部の下面は、上方に窪んだ戸車固定用凹部322bが形成されている。戸車固定用凹部322bには、図14に示すように、戸車324が金属カラー3241及び小ねじ3242により固定されている。戸車324は、多数設けられており、障子3が正面に沿って左右方向へスライド移動する際に、また、建物9の壁面に沿って左右方向や前後方向にスライド移動する際に、下桟22を支持し、障子3のスライド移動に伴い戸車324が回転するように構成されている。
図12に示すように、左縦框33と上桟31との間には、接続補強部材360が設けられている。接続補強部材360は、L字形状を有するコーナーブラケットにより構成されている。コーナーブラケットは、水平方向に延びる水平部3601と、上下方向に延びる垂直部3602とを有しており、垂直部3602がボルトによって左縦框33に固定されることにより、接続補強部材360が左縦框33に固定されている。水平部3601は、上桟31の角筒状部311に挿入されボルト3605によって固定されている。垂直部3602は、ボルト3606によって左縦框33に固定されている。
図15に示すように、左縦框33と下桟32との間には、接続補強部材370が設けられている。接続補強部材370は、見込方向における幅が接続補強部材360よりも広いL字形状を有するコーナーブラケットにより構成されている。コーナーブラケットは、水平方向に延びる水平部3701と、上下方向に延びる垂直部3702とを有している。垂直部3702がボルト3706によって左縦框33に固定されることにより、接続補強部材が左縦框33に固定されている。また、水平部3701がボルト3707(図14参照)によって下桟32に固定されることにより、接続補強部材370が下桟32に固定されている。また、ネジ3708によって、図15に示すように、左縦框33は下桟32に固定されている。
右縦框34と下桟32との間にも、上述の左縦框33と下桟32との間の接続補強部材370と同一の構成の接続補強部材370が設けられており、これについては、説明を省略する。同様に、右縦框34と上桟31との間にも、上述の左縦框33と下桟32との間の接続補強部材370と同一の構成の接続補強部材370が設けられており、これについては、説明を省略する。
図10に示すように、上桟31には、1つの中央ガイドローラ3141と、被ガイド部としての2つのガイドローラ3151とが上桟31に対して回転可能に設けられている。中央ガイドローラ3141は、左右方向における上桟31の中央部に配置されている。2つのガイドローラ3151は、左右方向における上桟31の端部に配置されている。
より詳細には、図13に示すように、左右方向における上桟31の中央部には、中央ガイドローラ基部3142がボルト3149によって固定されている。中央ガイドローラ基部3142は、長方形の板状を有する板状基板3143と、板状基板3143から円筒状に延びるローラ支持筒状部3144とを有している。中央ガイドローラ3141の軸心位置には、ガイドピン3145が中央ガイドローラ3141を貫通しており回転軸を構成している。貫通したガイドピン3145の先端部には、環状の止め輪3146が固定されている。ガイドピン3145は、上下方向に平行の位置関係を維持した状態で、ローラ支持筒状部3144に対して回転可能である。
また、図11、図12に示すように、左右方向における上桟31の端部には、ガイドローラ基部3152がボルト3155によって固定されている。ガイドローラ基部3152は、長方形の板状を有する板状基板3153と、板状基板3153から円筒状に延びるローラ支持筒状部3154とを有している。ガイドローラ3151の回転軸は、ローラ支持筒状部3154に回転可能に支持されており、上下方向に平行の位置関係を維持した状態で回転可能である。
図3に示すように、ガラス300は、屋内側の板ガラス301と、屋外側の板ガラス302と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ303と、を備える複層ガラスである。ガラス300の構成及び、ガラス300を上桟31、下桟32、左縦框33、及び、右縦框34によって支持する構成については、ガラス200についての構成と同一であるため、説明を省略する。
次に、枠体10について詳細に説明する。
図17は、上記実施形態に係る建具1の障子2側の枠体10の各部分を示す分解斜視図である。図18は、図17のLの部分を示す拡大斜視図である。図19は、図17のKの部分を示す拡大斜視図である。図20は、図17のMの部分を示す拡大斜視図である。図21は、図17のNの部分を示す拡大斜視図である。図22は、上記実施形態に係る建具1の障子3側の枠体10の各部分を示す分解斜視図である。図23は、図22のOの部分を示す拡大斜視図である。図24は、図22のPの部分を示す拡大斜視図である。図25は、上記実施形態に係る建具1の障子2を回転駆動する回転駆動装置4を示す図であり、(A)は屋外側から見た斜視図であり、(B)は屋内側から見た斜視図である。図26は、上記実施形態に係る建具1の枠体10のコーナー部103の下方斜視図である。図27は、上記実施形態に係る建具1の障子回転装置6の分解斜視図である。図28は、上記実施形態に係る建具1の枠体10の上枠11の切り欠き131eを示す正面図である。図29は、上記実施形態に係る建具1の障子3をスライド移動させる障子移動部材5を示す下方斜視図である。
枠体10を構成する上枠11は、図22に示すように、上側上枠111と、下側上枠131とを有している。上側上枠111は、開口部の左半分の部分においては、図2、図17等に示すように、左右方向に平行に延びる長方形状の板状の前板部1111と、前板部1111の上端部に接続されて前板部1111の上端部から見込方向の屋内側へ延びる長方形状の板状の上板部1112と、上板部1112の後端部から、建物9の正面に平行に下方向へ延びる長方形状の板状の後板部1113と、を有しており、図2に示すように、左右方向に直交する断面視では、下方向へ向けて開口するコ字形状を有している。上板部1112の下面には、長方形状の板状部材1114が、ボルト921及び平座金9211によって固定されている。前板部1111、上板部1112、及び、後板部1113は、開口部の左端部から開口部の中央部に至るまで左右方向に延びている。
また、後板部1113の後面(屋内側の面)には、支持部材112が設けられている。支持部材112は、左右方向に平行に延びる長方形状の板状の前側板部1121と、前側板部1121の下端部に接続されて前側板部1121の下端部から見込方向の屋内側へ延びる長方形状の板状の下側板部1122と、を有しており、図2に示すように、左右方向に直交する断面視では、L字形状を有している。支持部材112の前側板部1121は、上側上枠111の後板部に固定されている。
また、上側上枠111は、開口部の中央部から建物9の右側の角部903までの部分においては、図3、図22等に示すように、左右方向に平行に延びる長方形状の板状の後板部1116と、後板部1116の上端部に接続されて後板部1116の上端部から見込方向の屋外側へ延びる長方形状の板状の上板部1117と、上板部1117の前端部に接続されて上板部1117の前端部から下方向に延びると共に、左右方向に延びる前板部1118とを有している。上側上枠111は、図3に示すように、左右方向に直交する断面視では、下方向へ向けて開口するコの字形状を有している。
また、上側上枠111は、建物9の右側の側壁に沿った部分においては、図22等に示すように、当該建物9の右側の側壁に沿って水平に延びる長方形状の板状の後板部1116と、後板部1116の上端部に接続されて後板部の上端部から右方向へ延びる(建物9の右側の側壁から離れる方向へ延びる)長方形状の板状の上板部1117と、を有しており、建物9の正面に沿った断面視では、右方向下方へ向けて開口するL字形状を有している。上板部1117の下面には、長方形状の板状部材1114が、ボルト921及び平座金9211によって固定されている。
建物9の正面に配置された下側上枠131の右端部と、建物9の右側の側壁に配置された下側上枠131の前端部とは、図23に示すようなL字状の上枠間接続部材160によって接続されている。上枠間接続部材160は、上下方向に平行の位置関係を有するL字状垂直部1601と、L字状垂直部1601の下端から建物9の内方へ延びる水平な板状のL字状水平部1602とを有している。L字状垂直部1601の一端部が、ボルト1606によって、建物9の正面に沿って配置された下側上枠131の部分に固定され、L字状垂直部1601の他端部が、図示しないボルトによって、建物9の右側の側壁に沿った下側上枠131の部分に固定されることによって、建物9の正面に沿って配置された下側上枠131と建物9の右側の側壁902に沿った下側上枠131とを、互いに連結するように構成されている。このように連結されている部分を、以下、「コーナー部103」(図1等参照)と言う。即ち、コーナー部103において、第1ガイド部101と第2ガイド部102とが連結されている。
L字状水平部の直角の部分の下面には、ボルト1615によりガイドピン受け部161が固定されている。ガイドピン受け部161は、後述のように障子回転装置6によって障子3が上方へ持上げられたときに、ガイドピン3145(図13参照)の上端部が係合するように構成されている。
下側上枠131は、角柱形状を有しており、図3に示すように、下側上枠131の上端部に設けられた被係合部1315が、上側上枠111に設けられた係合部1115に係合することにより、上側上枠111に固定されている。被係合部1315、係合部1115は、図3に示すように、それぞれフック形状を有しており、互いにフック形状の部分が引っ掛かり合うことにより、被係合部1315と係合部1115との係合がなされるように構成されている。下側上枠131は、上側上枠111の後板部1116と平行に、後板部1116の一端部から他端部に至るまで後板部1116に対向して延びている。
角柱形状の下側上枠131の内部は、上室131aと下室131bとに区画されている。
上室131aには、図3に示すように、左右方向に直交する断面視でコの字形状を有するコの字部材1311が配置されている。コの字部材1311の中央部分がボルト1316によって下側上枠131の屋内側の面に固定されることにより、コの字部材1311は、下側上枠131に固定されている。
角柱形状の下側上枠131の下部は、下方へ向って開口しており、下室131bは、当該開口を介して下室131bの外部に連通している。下室131bを形成している下側上枠131の下部の内面には、室内上下区画板部1313が設けられている。室内上下区画板部1313は、下室131bを形成している下側上枠131の下部の内面であって上下方向における中央部に、見込方向において対向するように一対設けられている。室内上下区画板部1313は、図3に示すように、下室131bを形成している下側上枠131の下部の内面からそれぞれ突出し、建物9の正面に沿って下側上枠131の一端部から他端部に至るまで延びている。室内上下区画板部1313は、下室131bを上側室131cと下側室131dとに区画しているが、上側室131cと下側室131dとは互いに連通している。
また、建物9の正面に沿って配置された下側上枠131の上側室131cと、建物9の右側の側壁に沿った下側上枠131の上側室131cとは、前述の上枠間接続部材160によって連通しており、後述のように、中央ガイドローラ3141が、建物9の正面に沿って配置された下側上枠131の上側室131cと、建物9の右側の側壁902に沿った下側上枠131の上側室131cとを、往き来できるように構成されている。これに対して、建物9の正面に沿って配置された下側上枠131の下室131bは、右方向へ向けて開口しており、また、建物9の右側の側壁902に沿った下側上枠131の下室131bは、見込方向の屋外側へ向けて開口している。従って、障子3の上桟31の左右両端部に設けられた2つのガイドローラ3151は、後述のように、下室131bの当該開口している部分から、下室131bの外部へ外れた状態となることが可能である。
上側室131cには、障子3の上桟の中央部に配置された中央ガイドローラ3141が配置される。中央ガイドローラ3141の周縁部が、上側室131cを形成している下側上枠131の内面に当接しながら中央ガイドローラ3141が上側室131c内を移動することにより、中央ガイドローラ3141は、下側上枠131にガイドされるように構成されている。
下側室131dには、障子3の上桟の両端部に配置されたガイドローラ3151が配置される。ガイドローラ3151の周縁部が、下側室131dを形成している下側上枠131の内面に当接しながらガイドローラ3151が下室131b内を移動することにより、ガイドローラ3151は、下側上枠131にガイドされるように構成されている。このように、ガイドローラ3151が下側上枠131にガイドされることにより、障子3は、下側上枠131にガイドされて、建物9の正面に沿ってスライド移動可能であり、また、建物9の側壁に沿って見込方向に平行にスライド移動可能である。
下側室131dを形成している下側上枠131の下部の屋外側の面には、図28に示すように、T字状切り欠き131eが形成されている。T字状切り欠き131eは、コーナー部103から建物9の正面に沿った左方向へ、障子3の幅の半分の長さ程度の下側上枠131の位置と、コーナー部103から建物9の側壁に沿って見込方向に平行の方向へ、障子3の幅の半分の長さ程度の下側上枠131の位置と、に形成されており、下側室131dの内部と下側室131dの外部とを連通している。T字状切り欠き131eにおいては、障子3の上桟の両端部に設けられたガイドローラ3151が通過可能である。即ち、T字状切り欠き131eが形成されている下側上枠131の下部は、障子3が障子回転装置6によって回転させられているときに、ガイドローラ3151が第1ガイド部101又は第2ガイド部102にガイドされている状態となる被ガイド位置と、ガイドローラ3151が第1ガイド部101又は第2ガイド部102にガイドされていない状態となる被ガイド解除位置と、の間でガイドローラ3151を移動可能とする被ガイド状態切換え可能部を構成する。
図26に示すように、コーナー部103の上部、より具体的には、コーナー部103の近傍の下側上枠131の部分には、一対の倒れ止め部材133が設けられている。倒れ止め部材133は、倒れ止め基部1331と、倒れ止め駆動部1332とを有しており、倒れ止め基部1331は、ボルト1336により、コーナー部103の近傍の下側上枠131の部分であって、建物9の正面に沿った部分と、建物9の側壁に沿って見込方向に平行に延びる部分と、にそれぞれ1つずつ固定されている。
倒れ止め駆動部1332は、図示しないソレノイドにより、倒れ止め基部1331に対して上下方向に移動可能に構成されている。具体的には、倒れ止め基部1331には、上下方向に延びる長穴1331aが形成されており、長穴1331aには、倒れ止め駆動部1332に固定されたボルト1337が挿通している。従って、長穴1331a内をボルト1337が倒れ止め基部1331に対して移動可能であり、これにより、図示しないソレノイドにより、倒れ止め基部1331に対して倒れ止め駆動部1332が相対的に移動可能である。
倒れ止め駆動部1332は、後述のように障子回転装置6によって障子3が上方へ持上げられたときに、上桟21によって、上方へ移動させられるように構成されている。また、倒れ止め駆動部1332は、後述のように中央ガイドローラ3141がコーナー部103に位置したときであって、未だ障子回転装置6によって障子3が上方へ持上げられていないときに、障子3が倒れて、中央ガイドローラ3141が、第1ガイド部101を構成する上側室131cから第2ガイド部102を構成する上側室131cへ、又は、第2ガイド部102を構成する上側室131cから第1ガイド部101を構成する上側室131cへ、倒れて入ってしまうことを防止する。
上枠11と、障子2の上桟21との間には、障子2の回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)を中心として上桟21を回動させて、障子2を回転させる回転駆動装置4が一対設けられている。図17、図25に示すように、回転駆動装置4は、モータ401と、ユニバーサルジョイント部402と、ボールネジ403と、アーム404と、リニアガイド405と、上枠固定板406と、ヒンジ固定板407と、を有している。
モータ401は、図示しない電源からの電力の供給により、出力軸を回転駆動する。モータ401の出力軸は、ユニバーサルジョイント部402の一端部に接続されている。ユニバーサルジョイント部402の他端部は、ユニバーサルジョイント部402に入力したモータ401の回転をボールネジ403のねじ軸4031に伝達可能にボールネジ403に連結されている。
上枠固定板406は、建物9の正面に平行に延びる長方形状の板状の前板部4061と、前板部4061の上端部に接続されて前板部4061の上端部から見込方向の屋内側へ延びる長方形状の板状の固定板前板部4062と、固定板前板部4062の下端部に接続されて固定板前板部4062の下端部から見込方向の屋外側へ延びる長方形状の板状の固定板下板部4063と、を有している。上枠固定板406は、上枠11に固定されており、ユニバーサルジョイント部402の近傍から離れるように、ボールネジ403のねじ軸4031に沿って、建物9の正面に沿って水平に、左右のアーム404をそれぞれ覆うように延びている。
ヒンジ固定板407は、図2及び図25に示すように、障子2が閉じた状態のときに、建物9の正面に平行に延びる長方形状の板状のヒンジ固定前板部4071と、ヒンジ固定前板部4071の下端部に接続されてヒンジ固定前板部4071の下端部から見込方向の屋外側へ延びる長方形状の板状の固定板下板部4072と、を有している。ヒンジ固定板407は、ヒンジ408(図2参照)の他端部側にボルト4082で固定されており、ヒンジ408を介して障子2の上桟に接続されている。
アーム404は、図32(B)等に示すように、ユニバーサルジョイント部402を中心として、一対設けられており、それぞれ第1アーム部4041と第2アーム部4042との2本の棒状のアーム部材の中央部分が、互いに回動可能に、回動軸4043によって支持されて構成されている。従って、アーム404は、第1アーム部4041と第2アーム部4042とでX字状を構成する。
一対のアーム404において、左右方向の中央寄りに位置する第2アーム部4042の一端部は、それぞれボールネジ403のナット部4032に接続されている。ナット部4032は、ねじ軸4031の軸心を中心として回転可能である。ナット部4032は、それぞれ上枠固定板406に支持され左右方向に延びる図示しないガイドレールに対して、左右方向に直線的に滑らかにスライド移動可能なリニアガイド405に、ネジ固定されており、リニアガイド405と一体で左右方向へ移動可能である。
また、左右方向の中央寄りに位置する第1アーム部4041の一端部は、ヒンジ固定板407に支持され左右方向に延びる図示しないガイドレールに対して、左右方向に直線的に滑らかにスライド移動可能なリニアガイド405に固定されており、リニアガイド405は左右方向へ移動可能である。
また、左右方向の両端側に位置する第2アーム部4042の他端部は、それぞれヒンジ固定板407に固定された固定部4033に固定されている。また、左右方向の両端側に位置する第1アーム部4041の他端部は、それぞれ上枠固定板406に固定された固定部4033に固定されている。
即ち、一対の回転駆動装置4は、左右方向における中央に近い位置にリニアガイド405が配置されており、中央から遠い位置には、固定部4033が配置されている位置関係を有している。即ち、回転駆動装置4は、左右方向における障子2の中央に関して対称的な構造で一対設けられている。
モータ401が駆動することにより、ユニバーサルジョイント部402を介してモータ401の回転がボールネジ403のねじ軸4031に伝達されて、ねじ軸4031が回転する。これにより、ボールネジ403のナット部4032がボールネジ403の軸心方向に移動するとともにねじ軸4031を中心として回転する。これに伴い、X字形状のアーム404の第1アーム部4041に対する第2アーム部4042の交差角度が変化して、上枠固定板406に対するヒンジ固定板407の距離が変化し、障子2の上桟21が屋内方向且つ下方向へ押下げられて、障子2が回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)を中心に回転して、障子2が開かれた状態となる。
図29に示すように、上側上枠111の後板部と、下側上枠131との間には、図示しないレール部材と障子移動部材5とが設けられている。障子移動部材5は、第1ガイド部101としての上枠11の部分と、第2ガイド部102としての上枠11の部分と、のそれぞれに1つずつ設けられている。図示しないレール部材は、上側上枠111の後板部と、下側上枠131との間において、上枠11に沿って延びている。障子移動部材5は、図示しないモータを備えており、電力がモータに供給されることにより、レール部材にガイドされて、上側上枠111の後板部1116と、下側上枠131との間において、上枠11に沿って移動可能である。
障子移動部材5の下面には下方へ突出する障子係合部501が設けられている。障子係合部501は、上桟31のT字形状の切り欠き3116(図10参照)に係合することにより、上桟31に係合可能である。また、障子係合部501は、上桟31のT字形状の切り欠き3116を通して、上桟31に係合している状態から係合が解除された状態となることが可能である。障子係合部501が上桟31に係合している状態のときに、障子移動部材5が図示しないレール部材にガイドされて移動することにより、上桟31を有する障子3が上枠11に沿って移動するように構成されている。
図22に示すように、下枠15は、平面視で長方形状の板状に形成されており、建物9の正面に沿った部分と、建物9の右側の側壁に沿った部分と、の計2つ設けられている。下枠15は、図3に示すように、躯体911にボルト922により固定されており、図2に示すように、断面矩形状の空気室151aを形成する角筒状部151と、断面矩形状の空気室152aを形成する角筒状部152とを有している。屋外側に位置する角筒状部152の部分は、屋内側に位置する角筒状部151の部分よりも、上下方向に薄く構成されている。角筒状部152には、1本のレール153が形成されている。レール153は、下枠15の一端部から他端部に至るまで延びており、レール153には、障子3の戸車324が係合した状態で、障子3がレール153に案内されて移動する。
コーナー部103は、コーナー部103において障子3の下部を支持した状態で障子3を回転させて、第1ガイド部101と第2ガイド部102とのうちの一方に支持されている障子3を、第1ガイド部101と第2ガイド部102とのうちの他方に支持されている状態とする障子回転装置6を備えている。
具体的には、障子回転装置6は、図27に示すように、基板部601と、中間板部602と、上側板状部603と、回転駆動部604と、コーナーベース605と、を有している。基板部601は、板状を有しており、ナット6011と平座金6012と、長ねじ6013と、平座金6014と2つのボルト6015、6016とによって挟まれるようにして、躯体911に固定されており、また、基板部601の各辺に当接するL型アングル6017により安定して位置決めがなされている。上側板状部603は、ボルト6018等により、基板部601に対して一定の高さの位置に固定されており、これに対して中間板部602は、基板部601に対して高さが可変に構成されている。中間板部602は、後述のように、伸縮アクチュエータ6042が駆動することより、回転円板部6043の軸方向へ回転円板部6043が移動する際に、回転円板部6043と共に一体で移動する。
上側板状部603は、細長い板状に形成されており、上側板状部603の両端部は、基板部601に中間板部602及び上側板状部603を固定するボルト6018の上端部に固定されている。即ち、上側板状部603は、当該ボルト6018同士を掛け渡すように配置されている。当該ボルト6018によって、低板部6061と高板部6062とこれらを接続する接続部6063とを有する取り付け金具606の低板部6061が、上側板状部603に固定されている。取り付け金具606の高板部6062は、調整シム6065と、ボルト6066とに挟まれるようにして正方形状の板状に形成されたコーナーベース605の3箇所の角部にそれぞれ1つずつ固定されている。
コーナーベース605は、例えばアルミニウムで構成される。取り付け金具606が固定されていない、コーナーベース605の残りの1箇所の角部は、L字形状に形成された取り付け部材607とボルト6071、6072により、建物9の正面に沿った下枠15の部分と、建物9の右側の側壁に沿った下枠15の部分とに、それぞれ固定されている。
コーナーベース605の中央部には、円形状の貫通孔605aが形成されている。コーナーベース605の上面には、レール6051が設けられている。レール6051は、貫通孔の部分を除いて、コーナーベース605の対向する各辺の中央同士を、それぞれ結ぶように延びている。また、レール6051の脇には、レール6051を挟むような位置関係で対をなすローラ部6052が、計4対設けられている。
回転駆動部604は、コアレスモータ6041及び伸縮アクチュエータ6042と、回転円板部6043と、を有している。回転円板部6043は、円板形状に形成されており、回転円板部6043の上部は、コーナーベース605の中央の貫通孔605aから上方へ突出可能である。回転円板部6043の上端面には、上方へ突出する下桟係合部6044が設けられている。下桟係合部6044は、直方体形状に上方へ突出する下部凸部6045と、下部凸部6045の上面から、更に、直方体形状に上方へ突出する上部凸部6046と、を有している。下桟係合部6044は、後述のように、障子3を回転させる際に、下桟32のソケット部323に係合する。コアレスモータ6041に電力が供給されてコアレスモータ6041が駆動することにより、回転円板部6043が回転する。また、伸縮アクチュエータ6042に電力が供給されて伸縮アクチュエータ6042が駆動することより、回転円板部6043の軸方向へ回転円板部6043が移動する。
縦枠17は、角柱形状を有しており、躯体911に図示しないボルトにより固定されており、上枠11から下枠15に至るまで延びている。角柱形状の縦枠17の内部は、図4に示すように、前室171aと後室172aとに区画されている。前室171aを形成している縦枠17の部分の右側の部分には、障子2のパッキン233が当接している。また、図18に示すように、後室172aを形成している縦枠17の部分の右側の部分には、貫通孔17aが形成されている。貫通孔17aの下側の縦枠17の部分には、上方に開口する半円形状の切り欠き173aが形成された回転軸係止部材173が、ボルト1731、ばね座金1732、及び被固定部材175により固定されている。半円形状の切り欠き173aが貫通孔17aの周縁に一致した位置関係で、回転軸係止部材173は、縦枠17に固定されている。
これにより、半円形状の切り欠き173aが形成された回転軸係止部材173の部分が、障子2の回転軸部234に装着されたサッシュ部材235と抜け防止板236とにより形成される回転溝に係合して、ガラス200が框体20に嵌め込まれる前に、左縦框33が縦枠17によって支持される。そして、半円形状の切り欠き173aを塞いで、回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)が切り欠き173aから外れない状態を維持する棒状の開口閉鎖部材174が、ボルト1741及びばね座金1742により、回転軸係止部材173の開口の部分に固定されている。
支持アーム部930の上端部は、左右方向における開口部の上辺の中央に位置する躯体911に固定されており、支持アーム部930の下端部は、下枠15の上方の2m程度の高さに位置している。支持アーム部930の下端部には図示しない凹部が形成されている。凹部の下側の支持アーム部930の部分には、図19に示すように、上方に開口する半円形状の切り欠き173aが形成された回転軸係止部材173が、ボルト1731及びばね座金1732により固定されている。半円形状の切り欠き173aが凹部の周縁に一致した位置関係で、回転軸係止部材173は、支持アーム部930に固定されている。これにより、半円形状の切り欠き173aが形成された回転軸係止部材173の部分に、障子2の回転軸部の回転溝が係合して、ガラス200が框体20に嵌め込まれる前に、左縦框23が支持アーム部930によって支持される。
以下、障子2、障子3を開く動作について説明する。以下の全ての動作は、図示しないスイッチを操作することにより、自動的に行なわれる。
図1に示すように、障子3が第1ガイド部101に支持されており、障子2及び障子3が閉まっている状態から、枠体10の第1ガイド部101に設けられている障子移動部材5を駆動させて、障子3を右方向へスライド移動させてゆく。そして、障子3の右端部が建物9の右の角部903に至ると、障子3の上桟31の端部に設けられている2つのガイドローラ3151のうちの右側のガイドローラ3151は、下側上枠131の下室131bの右端部の開口している部分から、下室131bの右方の外部へ外れた状態となる。
そして、更に障子3を右方向へスライド移動させてゆき、左右方向における障子3の中央部が建物9のコーナー部103に位置したときに、障子移動部材5の駆動を停止させる。このとき、上桟31の側面が、倒れ止め部材133の倒れ止め駆動部1332の側面に当接して、中央ガイドローラ3141が、第1ガイド部101を構成する上側室131cから第2ガイド部102を構成する上側室131cへ入ってしまうことが防止される。
次に、障子回転装置6の伸縮アクチュエータ6042を駆動させて、回転円板部6043を上方向へ移動させる。すると、下桟係合部6044が、コーナーベース605の中央部の貫通孔605aから上方向へ突出し、障子3の下桟32に固定されているソケット部323に係合する。そして、更に、回転円板部6043を上方向へ移動させてゆくことにより、回転円板部6043によって障子3が上方向へ持上げられ、障子3の戸車324が下枠15のレール153から浮き上がった状態となる。このとき、倒れ止め部材133の倒れ止め駆動部1332が、障子3と共に上昇する。そして、中央ガイドローラ3141を回転可能に支持するガイドピン3145の上端部が、ガイドピン受け部161に係合し、ガイドピン3145がガイドピン受け部161に対して回転可能にガイドピン受け部161に支持される。
次に、障子回転装置6のコアレスモータ6041を駆動させて、回転円板部6043を回転させる。すると、回転円板部6043と共に、障子3が、図30に示すように、外壁の屋外側において回転する。このとき、上桟31に設けられている2つのガイドローラ3151のうちの左側のガイドローラ3151は、T字状切り欠き131eを通して下側室131dの内部から下側室131dの外部へ出る。また、障子移動部材5の障子係合部501が、上桟31のT字形状の切り欠き3116を通して、上桟31に係合している状態から係合が解除された状態となる。即ち、障子3は、中央ガイドローラ3141を回転可能に支持しているガイドピン3145と回転円板部6043とを結ぶ軸心を中心として、障子3は回転する。
そして、障子3が回転されてゆくと、障子3の上桟31の右端部のガイドローラ3151は、建物9の右側の側壁902に配置された下側上枠131のT字状切り欠き131eを通して、下側室131dの外部から下側室131dの内部へ入る。また、建物9の右側の側壁902に配置された上枠11(第2ガイド部102)に配置されている障子移動部材5の障子係合部501が、上桟31の右側のT字形状の切り欠き3116を通して、上桟31に係合していない状態から係合している状態となる。そして、障子回転装置6のコアレスモータ6041の駆動を停止させて、回転円板部6043及び障子3の回転を停止させる。
次に、障子回転装置6の伸縮アクチュエータ6042を駆動させて、回転円板部6043を下方向へ移動させる。すると、ガイドピン受け部161へのガイドピン3145の上端部の係合が解除され、ガイドピン3145がガイドピン受け部161の下方に位置する状態となる。そして、更に、回転円板部6043を下方向へ移動させる。すると、下桟係合部6044が、コーナーベース605の中央部の貫通孔から上方向へ突出していない状態となり、障子3の下桟32に固定されているソケット部323への下桟係合部6044の係合が解除された状態となる。これにより、戸車324は、第2ガイド部102を構成する下枠15のレール153に係合し、レール153に戸車324がガイドされることにより、障子3が第2ガイド部102によりガイドされてスライド移動可能な状態となる。次に、建物9の右側の側壁902に配置された上枠11(第2ガイド部102)の障子移動部材5を駆動させて、障子3を右方向へスライド移動させてゆき、図31に示すように、所定の位置に障子3を配置させる。
次に、回転駆動装置4のモータ401を駆動させることにより、図32に示すように、アーム404を開いてゆき、上枠固定板406(図25参照)とヒンジ固定板407との間の距離を広げてゆく。これにより、障子2の上桟を、障子2の回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)を中心として下方向且つ屋内側へ回動させることにより、障子2の回転軸よりも下側に位置する障子2の部分を上方向且つ屋外側へ回動させる。
この際上桟は、ヒンジ408(図2参照)の回転軸4081を中心としてヒンジ固定板407に対して回動し、また、ボールネジ403において、ねじ軸4031に対してナット部4032が、ねじ軸4031の軸心を中心として回転するとともに、リニアガイド405をガイドする図示しないガイドレールが、ガイドレールの軸心を中心として、上枠固定板406に対して回転する。そして、更に、アーム404を開いてゆき、障子2の左縦框23、右縦框24の長手方向が、見込方向において水平方向と平行の位置関係となったときに、回転駆動装置4のモータ401の駆動を停止させる。
以上の工程を経て、障子2、障子3が開かれた状態となる。この状態のときには、開口部の左半分においては、下枠15から障子2までの高さは2m程度確保されている。また、開口部の右半分においては、障子3が完全に開かれて、開口部に存在しない状態となっている。開口部を閉じる際には、上述の工程の逆の工程を行なう。
以上説明した本実施形態の建具1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の、建物9の躯体911に固定される枠体10と、枠体10間に配置され、建物9の正面に沿って水平に延びる回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)を中心として回転可能な障子2と、を備える建具1の当該回転軸は、障子2の縦框(左縦框23、右縦框24)の上下方向における中央部よりも上側に偏った位置に配置されている。
これにより、障子2が開いている状態の障子2の下端部から、下枠15までの距離(開いているときの障子2の高さ)を人の身長よりも長く確保することが可能となり、例えば、本実施形態のように、上下方向の障子2の寸法が大きい場合には、障子2が開いている開口部から、人が容易に出入りできるようにすることが可能となる。
また、本実施形態の、建物9の躯体911に固定される枠体10と、枠体10間に配置され、建物9の正面に沿って水平に延びる回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)を中心として回転可能な障子2と、を備える建具1の枠体10は、上枠11及び下枠15を有する。回転軸は、上枠11から下枠15に至るまで延びる柱部材に支持されずに、上枠11が固定される躯体911の部分から下方に向って、下枠15の上方の所定の位置に至るまで延びる垂下部材としての支持アーム部930に支持される。
これにより、障子2が開いている状態のときに、障子2を回転可能に支持する柱部材を不要とするため、開口部を遮るものを無くすることが可能となり、開口部の見た目が良好となり、また、開放的で広い開口部とすることが可能となる。
また、本実施形態では、障子2は、上框としての上桟21と下框としての下桟22と左右の縦框23、24とを有し、下桟22と左右の縦框23、24との接続部分には、下框の下方から下框を支持する接続補強部材としての下側接続補強部材270が設けられている。
これにより、下桟22が単に左右の縦框23、24に接続されるのみならず、下桟22の下方から下桟22が支持されるため、本実施形態のように障子2の重量が大きい場合であっても、大きな重量に耐えることが可能となる。また、下桟22と左右の縦框23、24との接続部分に下側接続補強部材270が設けられているため、障子2のガラス2000の重量が大きい場合であっても、下桟22で受け止めた大きい重量のガラス200を、左右の縦框23、24を介して、回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)で支持することが可能となる。
また、本実施形態では、障子2を回転させる回転駆動装置4を備える。障子2は上框としての上桟21と下框としての下桟22とを有する。回転駆動装置4は、障子2の上桟21に接続され、上桟21を回動可能である。これにより、回転駆動装置4が障子2の上桟21を下方へ押下げることによって回動させて、障子2を開くことが可能となる。
また、本実施形態では、回転駆動装置4は、障子2の上框としての上桟21を下方へ回動させることにより、回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)よりも下側に位置する障子2の部分を上方へ回動させて障子2が開いた状態とする。これにより、障子2の開閉を、上桟21に対して回転駆動装置4が駆動することにより行なうことが可能となる。
また、本実施形態では、回転駆動装置4は、左右方向における障子2の中央に関して対称的な構造を有するように一対設けられている。これにより、例えば、本実施形態のように、アーム404の端部がナット部4032及びリニアガイド405と固定部4033とにそれぞれ固定される場合には、固定部4033のみならず、ナット部4032及び左右方向に直線的に滑らかにスライド移動可能なリニアガイド405にも荷重がかかる。このような構成でも、対称的な構成で一対設けることにより、アーム404にかかる荷重のバランスを良好とすることができる。また、一方の回転駆動装置4に不具合が生じた場合であっても、開いている障子2が閉じてしまう事故を防止することが可能となる。
また、本実施形態の建具1は、枠体10に配置され、一の方向である左右方向と、一の方向に交差する他の方向とにスライド移動可能な第2の障子3を備える。枠体10は、第2の障子3を一の方向である左右方向にスライド移動可能に支持しガイドする第1ガイド部101と、第2の障子3を、他の方向へスライド移動可能に支持しガイドする第2ガイド部102と、第1ガイド部101と第2ガイド部102とが連結されるコーナー部103と、を有する。コーナー部103は、コーナー部103において第2の障子3の下部を支持した状態で第2の障子3を回転させて、第1ガイド部101と第2ガイド部102とのうちの一方に支持されている第2の障子3を、第1ガイド部101と第2ガイド部102とのうちの他方に支持されている状態とする障子回転装置6を備える。
これにより、開口部の範囲外に障子3を持ち出す構成とすることができる。この結果、左右方向における開口部の端部から、左右方向における建物9の壁部の角部903に至るまでの長さが、左右方向における障子3の長さよりも短い場合であっても、障子3を開口部から外れた位置に配置させることができ、開口部に障子3が存在しない全開の状態とすることができる。また、障子3が回転する際に、障子3の回転軸よりも建物9の屋内側(障子3の回転の内側)へ障子3の一部が入り込むことがない。このため、障子3のスライド移動する経路よりも建物9の屋内側に、デッドスペースが発生することを防止することが可能となる。
また、本実施形態では、枠体10は、上枠11及び下枠15を有し、回転軸は、上枠11から下枠15に至るまで延びる柱部材に支持されずに、上枠11が固定される躯体911の部分から下方に向って、下枠15の上方の所定の位置に至るまで延びる垂下部材としての支持アーム部930に支持される。第2の障子3は、一対の縦框としての左縦框33及び右縦框34を有する。縦框としての左縦框33は、障子2及び第2の障子3により開口部を閉じて第2の障子3を障子2に隣接して配置させたときに、支持アーム部930を収容可能な収容部としての支持アーム部収容切り欠き331bを有する。
これにより、障子2及び障子3で開口を閉じた状態のときに、支持アーム部930が支持アーム部収容切り欠き331bに収容することを可能とする。このため、障子2及び障子3で開口を閉じた状態のときに、屋外側、屋内側のうちの少なくとも一方から見たときに、支持アーム部930が左縦框33に隠された状態とすることができ、意匠性を高めることが可能となる。
また、本実施形態では、枠体10は、上枠11及び下枠15を有する。回転軸(回転軸部234、サッシュ部材235,及び、抜け防止板236)は、上枠11から下枠15に至るまで延びる柱部材に支持されずに、上枠11が固定される躯体911の部分から下方に向って、下枠15の上方の所定の位置に至るまで延びる支持アーム部930に支持される。
支持アーム部930は、上方に向けて開口し回転軸を係止可能な切り欠き173aが形成された回転軸係止部材173と、回転軸係止部材173の切り欠き173aに回転軸が配置された状態で、回転軸係止部材173の切り欠き173aの開口を塞いで、回転軸が切り欠き173aから外れない状態を維持する開口閉鎖部材174と、を有する。
これにより、例えば、本実施形態の建具1を施行する際に、作業者の背丈よりも高い位置に障子2の回転軸が配置される場合には、ガラス200が組み込まれていない障子2の左右の縦框23、24の回転軸を、左縦枠17、支持アーム部930に回転可能に支持させてから、ガラス200を縦框23、24の間に挿入する施行方法が考えられる。このような場合に、回転軸を容易に回転軸係止部材173の切り欠きに引っ掛けて配置させることが可能となる。特に、障子2の重量が大きい場合には、施行作業を容易として、作業性を高めることができる。
また、本実施形態では、コーナー部103の上部は、第1ガイド部101と第2ガイド部102とのうちの一方に支持されている状態の障子3が、第1ガイド部101と第2ガイド部102とのうちの他方の側へ倒れることを防止する倒れ止め部材133を備える。
これにより、倒れ止め駆動部1332は、中央ガイドローラ3141がコーナー部103に位置したときであって、未だ障子回転装置6によって障子3が上方へ持上げられていないときに、障子3が倒れて、中央ガイドローラ3141が、第1ガイド部101を構成する上側室131cから第2ガイド部102を構成する上側室131cへ、又は、第2ガイド部102を構成する上側室131cから第1ガイド部101を構成する上側室131cへ、倒れて入ってしまうことを防止することができる。
また、本実施形態では、障子3には、障子3が一の方向にスライド移動しているときに第1ガイド部101にガイドされ、障子3が他の方向へスライド移動しているときに第2ガイド部102にガイドされる被ガイド部としてのガイドローラ3151が設けられている。第1ガイド部101及び第2ガイド部102は、障子3が障子回転装置6によって回転させられているときに、ガイドローラ3151が第1ガイド部101又は第2ガイド部102にガイドされている状態となる被ガイド位置と、ガイドローラ3151が第1ガイド部101又は第2ガイド部102にガイドされていない状態となる被ガイド解除位置と、の間でガイドローラ3151を移動可能とする被ガイド状態切換え可能部としてのT字状切り欠き131eが形成された下側上枠131を備える。
これにより、障子3が回転する際に、被ガイド部としてのガイドローラ3151が、第1ガイド部101にガイドされている状態の被ガイド位置から、第1ガイド部101にガイドされていない状態となる被ガイド解除位置に、容易に移動することができ、障子3の回転を可能とする。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、建具1の障子2は、ガラス200を有していたが、この構成に限定されない。例えば、ガラス200に、通電時に光を透過して非通電時に遮光する液晶調光シートを貼付けた構成としてもよい。これにより、障子2を開いた状態のときに、非通電状態とすることで、障子2を、見込方向の屋外側に広い庇として使用することが可能となる。また、障子2を閉じているときには、非通電状態とすることで、カーテンの機能を発揮する。
また、上記実施形態では、建具1は、障子2と障子3とを有していたが、この構成に限定されない。例えば、建具は、複数の回転可能な障子2が、建物9の正面に沿って隣接して配置される構成を有していてもよい。即ち、上記実施形態では、左縦枠17と支持アーム部930とにより障子2が回転可能に支持されたが、これに限定されず、一対の支持アーム部930により1つの障子2が回転可能に支持されてもよい。このような構成とすることで、開口部に、障子2を回転可能に支持するために、上枠11から下枠15に至るまで延びる柱部材を設ける必要がなくなり、当該柱部材のない広い開口部を形成することができる。
また、上記実施形態では、障子2、障子3を開く際には、全ての動作は、図示しないスイッチを操作することにより、自動的に行なわれ、先ず、障子3を開き、その後に、障子2を開いたが、これに限定されない。先に障子2を開き、その後で障子3を開いてもよいし、障子2と障子3とを同時に開いてもよい。また、障子3については、人が出入るできる程度の幅や換気をできる程度の幅だけを手動で開くことができる構成とし、全開するためには、図示しないスイッチを操作することにより、自動で開いて全開できるようにしてもよい。
また、支持アーム部収容切り欠き331bは、左方向及び屋内側へ開口する形状を有していたが、この形状に限定されない。例えば、左方向へのみ開口する形状を有していてもよい。このような形状とすることにより、屋内側からも支持アーム部930を見えない様に隠すことができ、意匠性を高めることが可能となる。また、例えば、回転する障子2が建物9の正面に沿って複数並べられる構成を建具が有する場合には、隣接する障子2のうちの一方の障子2の右縦框に、支持アーム部930の左半部が収容可能な形状の支持アーム部収容切り欠きが形成され、他方の障子2の左縦框23に、支持アーム部930の右左半部が収容可能な形状の支持アーム部収容切り欠きが形成されていてもよい。
また、建具の各部の構成、形状、寸法、数等は、本実施形態の構成における各部の構成、形状、寸法、数等に限定されない。例えば、障子2、障子3は、左右方向における長さが3m、上下方向における長さが2.7m、重量が300kgの寸法で形成されていたが、この数値に限定されない。例えば、建具は、障子2、障子3よりも極めて小さい障子を有していてもよい。
また、例えば、中央ガイドローラ3141は、左右方向における上桟31の中央部に配置され、コーナー部103に中央ガイドローラ3141が位置したときに、障子3は回転させられたが、この構成に限定されない。例えば、中央ガイドローラ3141は、左右方向における上桟31の正確な中央の位置に配置されなくてもよく、中央部分に配置されていればよい。
また、例えば、障子3は戸車324を有していたが、この構成に限定されない。例えば、戸車を有しておらず、中央ガイドローラ3141、及び、ガイドローラ3151によって吊られた状態でスライド移動可能に構成されていてもよい。この場合であっても、コーナー部103においては、障子は、障子回転装置6によって、障子の下方から上方向へ障子の下部が持上げられて、回転させられる。
また、例えば、上枠11、下枠15は、建物9の外壁に沿って建物9の角部903で直角に折れ曲がっていたが、この構成に限定されない。例えば、上枠、下枠は、建物9の角部903で折れ曲がらずに、建物9の正面に沿って、建物の角部903から更に延びていてもよい。
また、例えば、障子3は、コーナー部103において90°回転させられたが、この角度に限定されない。また、障子3は、開口部を開いているときには、建物の側壁902に沿った状態で収容されたが、この構成に限定されない。例えば、側壁を902に沿ってスライド移動して側壁902を通過し、建物の正面の壁部901に対向する裏面の壁部に沿った位置で収容されてもよい。
また、例えば、垂下部材、接続補強部材、収容部、回転軸係止部材、開口閉鎖部材、倒れ止め部材、被ガイド部、被ガイド状態切換え可能部は、本実施形態における支持アーム部930、下側接続補強部材270、支持アーム部収容切り欠き331b、回転軸係止部材173、開口閉鎖部材174、倒れ止め部材133、ガイドローラ3151、T字状切り欠き131eに限定されない。