JP6777655B2

JP6777655B2 - 気道チューブホルダー

Info

Publication number: JP6777655B2
Application number: JP2017560524A
Authority: JP
Inventors: マシアス・モルデン; ロバート・プロヴォ・クルイト
Original assignee: レーダル・メディカル・エーエス
Priority date: 2015-05-21
Filing date: 2016-05-20
Publication date: 2020-10-28
Anticipated expiration: 2036-05-20
Also published as: CA2985437C; US20160339194A1; WO2016185446A1; EP3297714B1; EP3297714A1; JP2018515265A; KR20180031636A; US10046130B2; AU2016263179A1; NZ737207A; CN206473641U; CN107847703B; AU366262S; KR102219034B1; ES2877428T3; CA2985437A1; AU2016263179B2; CN107847703A; JP1558434S

Description

本発明は気道チューブを安定化するための装置に関する。

気管内チューブおよび喉頭チューブは、酸素および二酸化炭素の交換のために患者の気道を確立および維持する。これらのチューブは、一般に、全身麻酔および蘇生の間に患者の肺を機械的に換気するために使用される。それらはまた、救命救急や救急医療セッティングにも使用される。

いったん挿入されると、治療中にチューブが患者の咽喉内を動くのを防止するために気道チューブを固定しなければならない。この目的のために、さまざまなデバイスが提案されている。最近提案されたデバイスの大半は、気道チューブを受容し、固定するための特別な適合度を有するフェイスプレートを含む。これらのデバイスのいくつかでは、フェイスプレートは、このフェイスプレートを通る開口と整列する「ｖ」または「ｕ」字形状のチューブ受入れ面を含む。

使用時には、気道チューブを患者の体内に挿入した後、介護者がフェイスプレートを患者の顔の上に配置する。気道チューブの患者の口腔から出る部分は、フェイスプレートのチューブ受入れ面の近くに配置される。次に、介護者はクランプヘッドを気道チューブに向けて、それらが係合するまで前進させる。クランプヘッドとチューブ受入れ面との間に挟まれて気道チューブは固定される。

クランプヘッドは、介護者がクランプヘッドを適切な位置へと動かすために操作する作動デバイスを使用して前進させられる。作動デバイスの最も一般的な実施態様はサムスクリューまたはラチェットアセンブリである。サムスクリューを組み込んだ気道チューブホルダーのいくつかの例が特許文献１ないし４に開示されている。ラチェットアセンブリを使用する気道チューブホルダーのいくつかの例が特許文献５ないし７に開示されている。

これらおよびその他の先行技術の気道チューブホルダーは、気道チューブを固定および安定化するのに有効であることが判明している。しかしながら、それらはさまざまな程度で、一様に扱いにくい。結果として、この技術分野は、気道チューブホルダーの設計の人間工学的およびその他の側面における改善から利益を得るあろう。

米国特許第５，４０２，７７６号明細書米国特許第５，５１３，６３３号明細書米国特許第６，０６７，９８５号明細書米国特許第８，３６０，０６３号明細書米国特許第６，０１０，４８４号明細書米国特許第６，６３４，３５９号明細書国際公開第２０１４／０６２０１２号パンフレット

本発明は、従来技術の欠点のいくつかを克服する気道チューブホルダーを提供する。

本発明者は、従来の気道チューブホルダーの欠点を特定するために、それらを研究した。本発明者は、大部分の先行技術の気道チューブホルダーの作動デバイス（例えばサムスクリュー、ラチェット機構等）が、介護者が気道チューブを迅速に固定する能力または患者から迅速に引き抜く能力を妨げていることを見出した。

特に、クランプヘッドが気道チューブに当接するまで、またはそれがそこから後退するまで、サムスクリューを複数回回転させるには時間がかかる。さらに、いくつかの気道チューブホルダーでは、スクリューまたはラチェット機構は、それが気道チューブに向かう途中の少なくとも一部を前進するまでフェイスマスクに緩く結合される。そのような場合には、作動デバイスを前進させるプロセスを開始するのが厄介になることがあり、二つの手が必要とされ、時間が失われる。医療緊急事態では、そのような遅延はしばしば単なる不便ではなく、むしろ、生命を脅かす可能性がある。

本発明の例示的な実施形態による気道チューブホルダーは、とりわけ、
・改善された人間工学、
・押すだけで前進させることができるサムスクリュー、
・クイックリリース機能で解放できるサムスクリュー
によって上述した問題を解決する。

例示的な実施形態によれば、気道チューブホルダーは、フェイスプレートを通る開口の一方の側と整列する、ノッチの形態の、ｖ字形状のチューブ受入れ面を有するフェイスプレートを備える。フェイスプレートは、開口の第２の側の近くに配置された保持ブロックを含む。保持ブロックはサムスクリューおよび係合アームを受け入れる。係合アームは、チューブ受入れ面に直接対向するクランプヘッドを含む。係合アームに動作可能に結合されるサムスクリューは、クランプヘッドをチューブ受入れ面に向かって動作させるよう構成される。したがって、クランプヘッドおよびチューブ受入れ面は、気道チューブを固定するためのクランプまたは調節可能な空隙を協働で形成する。

サムスクリューは、通常、一つ以上の相補的な雌スクリューネジに係合させられる。しかしながら、サムスクリューに対する雌スクリューネジの配置によって、そしてサムスクリューのネジ輪郭の結果として、サムスクリューを容易に定位置にスライドさせることができる。これは、サムスクリューから雌スクリューネジを積極的に係合解除するためのステップを実施する必要性を伴わずに生じる。係合アームのクランプヘッドが気道チューブの側壁と当接あるいは概ね当接関係となったならば、サムスクリューを手で回転させ（すなわちねじ込み）、チューブの側壁に対して、これによって提供される圧力の大きさを微調整することができる。

気道チューブを引き抜く時刻になると、気道チューブホルダーのクリックリリース機構を作動させることができる。この機構は、雌スクリューネジをサムスクリューから確実に外し、その結果、サムスクリューおよび係合アームを気道チューブから迅速に後退させることができる。

さまざまな実施形態において、フェイスプレート、サムスクリュー、係合アーム、およびクイックリリース機構は、とりわけ以下の特徴または特性の一つ以上を提供するよう構造的に具現化される。
・クランプ圧力の粗調整および微調整の実現
・定位置へのクランプヘッドのスライドおよび／またはねじ込み、あるいは定位置からのクランプヘッドのスライドおよび／またはネジを緩めることによる取り外し
・クイックリリース機構の損傷を防止するための機械的ストッパー
・クイックリリース機構が誤って作動するのを防ぐための面
・気道チューブからの解放時におけるサムスクリューの滑らかな動作の促進
・気道チューブとの接触の改善
・サムスクリューが気道チューブに対して締め付けられる際のサムスクリューと雌ネジとの間のネジグリップの増大
・係合アームを安定させるための適合
・係合アームの滑り動作の促進
・サムスクリューを押圧する際の改善された人間工学のためのシリンジグリップ

本発明の例示的な実施形態による気道チューブホルダーの正面図である。図１の気道チューブホルダーの斜視図である。図１の気道チューブホルダーの「分解」斜視図である。図１の気道チューブホルダーの患者に面する表面の斜視図である。図１の気道チューブホルダーのサムスクリューの実施形態を示す図である。図１の気道チューブホルダーの係合アームの実施形態を示す図である。図１の気道チューブホルダーの保持ブロックの斜視図である。図６Ａの保持ブロックの上面斜視図である。図４のサムスクリューおよび図６の保持ブロックに結合された図５の係合アームを示す図である。力線図である。力線図である。サムスクリューネジのトレーリング面およびリーディング面に関する詳細図である。図１の気道チューブホルダーの第２の代替実施形態の斜視図である。図９Ａの気道チューブホルダーの一部の分解図である。図９Ａの気道チューブホルダーの保持ブロックの上面斜視図である。図９Ａの気道チューブホルダーの保持ブロックの底面斜視図である。図１の気道チューブホルダーの第１の代替実施形態の正面図である。図１１Ａの気道チューブホルダーの保持ブロックの上面斜視図である。図１１Ａの気道チューブホルダーの保持ブロックの底面斜視図である。

図面に描かれた物品の「左」側または「右」側への言及は、観察者ではなく、物品の「視点」からであると理解されるべきである。図面に関連した「上」、「上方」、「下」、「下方」への言及は、別段の指定がない限り、図面を見る際のこれらの方向の観察者の知覚による認識結果を意味する。

気道チューブホルダーの概要
ここで、図１Ａ、図１Ｂ、図２および図３を参照すると、例示的な実施形態では、気道チューブホルダー１００は、フェイスプレート１０２と、サムスクリュー１３０と、係合アーム１４２と、パッド１６０とを含んでいる。

フェイスプレート１０２は、鼻の下でかつ顎の上にある患者の口腔にフィットするように寸法決めされ、構成されている。フェイスプレート１０２はアーチ形状を有し、フェイスプレートの患者に面する側（以下、「内面」）は、患者の顔の輪郭を顔の上記領域に適合させるために湾曲させられる。上述の説明は、本開示および特許請求の範囲で使用される「フェイスプレート」という用語の最小限の定義としての役割を果たす。すなわち、フェイスプレートは、最低限、上記構成を呈しなければならない。

例示的な実施形態では、フェイスプレートは、上側周囲１０４と、（部分的な）下側周囲１０６とによって画定される略長円形状を有する。例示的な実施形態では、フェイスプレート１０２を軽量で、柔軟で、容易に変形可能な材料から形成することで、患者の顔面に対するフィットがやはり促進される。適切な材料には、ポリプロピレンなどの熱可塑性材料ならびに当業者には公知のその他のものが含まれる。

例示的な実施形態では、フェイスプレート１０２はモノリシック形態（すなわちシングルピース加工品）であるが、さまざまな表面構造的特徴を含む。例えば、フェイスプレート１０２は、フェイスプレートの外を向く側（以下、「外面」）と直交して外向きに延びる壁またはフランジ１１０を含む。例示的な実施形態では本質的に連続した形態であるが、壁の異なる部分はフェイスプレート１０２上の異なる構造体と関連付けられる。例えば、壁１１０の右側部分は保持ブロック１１２の一部であり、かつ、壁１１０の左側部分はチューブ受入れ面１１４を画定する。フェイスプレート１０２がモノリシックである例示的な実施形態では、その中／その上に形成される全ての構造体は同じ材料（例えばフレキシブルな熱可塑性樹脂等）を含む。いくつかの別な実施形態では、フェイスプレート１０２はモノリシック形態ではない。すなわちフェイスプレート１０２のさまざまな構造的特徴の一つ以上が、適切な接着技術等によって、フェイスプレート１０２に一体化され／取り付けられてもよい。フェイスプレート１０２中に／その上に形成される、さまざまな構造体について、以下でさらに詳細に説明する。

フェイスプレート１０２の顕著な特徴は、略長方形の形状を有しかつフェイスプレート１０２の中央部分を占めるチャネル１２２である。このチャネルは、フェイスプレートの下側周囲１０６から上側周囲１０４に向かって、途中の約３分の２だけ上方に延在する。チャネル１２２は、左側の下側周囲１０６から上方に延在する垂直縁部１２４と、垂直縁部１２４上のチューブ受入れ面１１４と、（壁／フランジ１１０の中央部分である）水平上側縁部１２６と、保持ブロック１１２の最も左側の縁部と、保持ブロックの下方に配置されると共に右側の下側周囲１０６で終端する垂直縁部１２８とによって画定される。上述したようにフェイスプレート１０２はフレキシブルであることが好ましいが、いくつかの実施形態では、補強リブが、チャネル１２２の真上で、フェイスプレート１０２の一部分の内面上に配置される（例えば、図１１Ｃ：補強リブ１１９２参照）。チャネル１２２はフェイスプレート１０２の大きな部分を効果的に除去するので、リブはフェイスプレートのための追加の構造的補強を提供する。

例示的な実施形態では、ｖ字形状を有するチューブ受入れ面１１４は、垂直縁部１２４の左側にチャネル１２２を延長する。保持ブロック１１２は、チューブ受入れ面１１４からチャネル１２２を直接横切って配置される。例示的な実施形態では、保持ブロックは、サムスクリュー１３０および係合アーム１４２を受け入れ、後者はクランプヘッド１４４を含む。本明細書において後に説明するように、係合アームおよびサムスクリューは、サムスクリューが、２自由度の動作（回転および直線）を有するが、係合アームは１自由度の動作（直線）しか持たないように互いに結合される。サムスクリューは、気道チューブを固定するか、またはそこから外すように、クランプヘッドの位置を調節するために使用される。

それらの相対的な位置により、サムスクリュー１３０、係合アーム１４２、およびチューブ受入れ面１１４は協働でクランプを画定する。そして、クランプヘッド１４４およびチューブ受入れ面１１４は、協働で、その中に配置される気道チューブを固定することができるクランプの調節可能な空隙１５８を画定する。

説明として、デバイスの使用時、気道チューブ（図示せず）はまず患者の口および咽喉内に配置される。気道チューブホルダー１００が、続いて、気道チューブがチューブ受入れ面１１４の近くのチャネル１２２内に配置された状態で、鼻の下および顎の上で患者の顔面上に配置される。例示的な実施形態では「鼻」のエンボスイメージであるアライメント特徴部１２０は、適切なフェイスプレート対顔面整列を容易にする。特に、フェイスプレートは、アライメント特徴部１２０が患者の鼻と整列するように配置される。本発明者は、言語理解の問題を回避し、気道チューブホルダー１００に関する介護者の熟知度の欠如に関連する問題を最小限にするために、言語（すなわち、「鼻」）または非記述的な基準とは対照的に、鼻のイメージを使用することを好む。

スロット１１６に取り付けられた調整可能なストラップ（図示せず）が、気道チューブホルダー１００を患者の首の周りに固定する。本明細書において後述するように、介護者は、クランプヘッド１４４が気道チューブの側壁に当接するまでサムスクリュー１３０および係合アーム１４２を気道チューブに向けて前進させ、これによって気道チューブを固定する。アクセス路１１８は、介護者が、例えば患者の口から延びている別なチューブ等にアクセスすることを可能にする。

調整可能なストラップを受け入れるためのスロット１１６は、フェイスプレート１０２の左右端部に配置されたフランジ状領域１０８内に配置される。フランジ状領域は、フェイスプレートの本体のアーチ形状から逸脱している。すなわち、フェイスプレート１０２の主要部分の内方に湾曲する輪郭に従うのではなく、フランジ１０８は、それがサムスクリュー１３０および係合アーム１４２と実質的に平行な平面内に存在するように、「外側」（前方）に曲がっている。フランジ１０８内で、スロット１１６は、各スロットの下側部分がその上側部分の横方向内側になるように傾けられている。本発明者は、ストラップ保持スロットが従来技術のように垂直に（すなわち真っ直ぐ上下に）向けられている場合、ストラップはしばしば滑り（それが耳の上に位置しないと仮定して）、その初期位置から患者の方へ下頚部に向かって下方にスライドすることを見出した。これによりストラップが弛み、その結果、フェイスプレートが緩む。気道チューブはフェイスプレートと一緒に使用されるどのようなクランプ機構によっても固定されたままであるが、チューブは患者に対して自由に動くことができ、これは許容できない。この問題に対処するために、かつ先行技術とは異なり、スロット１１６は上述のように傾斜している。これにより、ストラップを首の周りの低い位置に最初に配置することが容易になり、滑りの可能性が大幅に低減される。

パッド１６０は、フェイスプレート１０２の内面上に配置され、患者に快適さを提供する。パッドは典型的にはフォームである。パッドは、この引用によって本明細書中に組み込まれる米国特許第８，３６０，０６３号に開示されているように、それに対して一体でかつその内面から延びるリベット（例えば、図１１Ｃ：リベット１１９４参照）を介してフェイスプレート１０２に対して取り付けることができる。当業者が思い付くであろうようなパッドをフェイスプレートの内面に取り付けるための、その他の方法も適宜使用することができる。

気道チューブホルダー１００はまた、図３に最もよく示されるバイトブロック３６２を含む。フェイスプレート１０２の内面から延在するバイトブロックは、本質的にチューブ受入れ面１１４の延長部であり、チューブ受入れ面１１４と同じ形状を有する。バイトブロック３６２は、二つの離間した壁３６４および３６６を有する。この構成は、ブロック３６２に、それに取り付けられた気道チューブに影響を与えることなく、患者の歯によってそれが把持されることを可能とするのに十分な柔軟性を付与する。

図４はサムスクリュー１３０を示す。サムスクリューは、ヘッド４３６、ネジ４３２、およびカプラー４４０を含む。例示的な実施形態では、ネジ４３２は、従来のネジとは異なり、非対称の輪郭を有する。

本開示および特許請求の範囲で使用されるように、「非対称」という用語は、スクリューネジを説明するために使用される場合、ネジの一方側の傾斜角が、同じネジの他方側の傾斜と異なることを意味する。本開示および特許請求の範囲において使用されるように、「リーディング側」との用語は、ネジ方向を参照するとき、サムスクリュー１３０がチューブ受入れ面１１４に向かって前進させられる際に「先導する」ネジの側を意味する。「トレーリング側」との用語は、ネジ方向を参照するとき、サムスクリュー１３０がチューブ受入れ面１１４に向かって前進させられる際に「後を追う」ネジの側を意味する。これらの用語は、ネジが逆方向に前進させられたときでも、この意味を維持する。すなわち、スクリューがチューブ受入れ面１１４から離れるように動作させられるときネジの「トレーリング側」が先頭に立っても、それは「トレーリング側」の名称を維持する。

例示的な実施形態では、ヘッド４３６はローレット加工されている。ヘッドは、環形状を有すると共に係合アーム１４２のステム５５０（図５参照）の端部５５６を受け入れる保持溝４３８を含む。ネジ４３２と同軸であるカプラー４４０はサムスクリュー１３０の前方面４３４から延在する。例示的な実施形態では、カプラー４４０は、その自由端において拡大された二つの離間した部材として具現化される。拡大部は、適切な大きさの開口を通って押し込まれると、キャッチとして機能するショルダーを各部材に形成する。

当業者には理解されるように、それが（気道チューブホルダー１００のために）ステム５５０の端部を受け入れる溝状の溝４３８を含む限り、異なるスタイルのヘッド（例えばスペード、ウィング等）をサムスクリュー１３０と組み合わせて使用することができる。サムスクリューは、軽量で、低応力から中応力の部品において使用するのに十分な強度を有する比較的低コストの材料から作られる。適切な材料には、当業者にはよく知られている材料の中でも、さまざまなナイロン等のいくつかの熱可塑性樹脂が含まれる。

図６、図７および図８に関連して後述するように、その非対称ネジによって促進される（だが必要ではない）とき、サムスクリュー１３０は一方向に沿ってスライド可能であり、他方の方向においてはロックする。

図５は係合アーム１４２を示す。係合アームは、ステム５５０と、その一端に配置されたクランプヘッド１４４とを含む。ステムの上面５５２は凸状の輪郭を有し、その下面５５４は凹状の輪郭を有する。これにより、サムスクリュー１３０のヘッドの保持溝４３８（例えば図１Ｂ参照）に対するステム５５２の端部５５６の結合が容易になる。クランプヘッド１４４の表面５４７は、気道チューブの側壁との係合を容易にするように湾曲させられている。例示的な実施形態では、リブ５４８は表面５４７上に配置される。表面５４７のような比較的大きな平面と比較して、リブ５４８（これは、例示的な実施形態では、表面５４７の湾曲に一致するアーチ形状を有する）は、気道チューブの側壁との積極的な接触を保証し、かつ、それに対して、より大きな圧力が加えられることを可能にする。クランプヘッド１４４の開口５４６はサムスクリュー１３０のカプラー４４０を受け入れ、二つの部品を一つにスナップ嵌合させる。いくつかの実施形態では、係合アームの全ての特徴部はサムスクリュー１３０と同じ材料から作られる。

保持ブロック
図６Ａ、図６Ｂおよび図７は、保持ブロック１１２ならびにサムスクリュー１３０と係合アーム１４２とがそれと協働する様式のさらなる詳細を提供する。図６Ａ、図６Ｂおよび図７に関連して、「上方」、「より高い」または「〜の外側」との用語は、「フェイスプレート１０２の表面から遠い」ことを意味する。逆に、「下方」、「より低い」または「〜の内側」との用語は、「フェイスプレート１０２の表面に近い」ことを意味する。

ここで図６Ａを参照すると、例示的な実施形態では、保持ブロック１１２は、壁６１０Ａ，６１０Ｂ，６１０Ｃおよび６１０Ｄ（集合的に「壁６１０」）によって画定されるような、略正方形の周囲を有する。これらの壁は、壁／フランジ１１０の特定のセグメントである。壁６１０Ａおよび６１０Ｃはそれぞれ、隆起したガード部分６７０を有する。これらのガード部分は、プレート部材６９０との意図しない接触の可能性を低減するが、その意味については以下でさらに説明する。

壁６１０Ｂおよび６１０Ｄはそれぞれ開口６７２を含む。例示的な実施形態では、これらの開口は円形であり、サムスクリュー１３０を受け入れるように寸法決めされている。溝６７６は、その開口６７２の上方において壁６１０Ｂおよび６１０Ｄ内に配置される。各溝６７６は、底面６７８および側壁６８０Ａおよび６８０Ｂによって画定される。溝６７６は、係合アーム１４２のステム５５０を受け入れるように寸法決めされ、配置される。その結果、各溝の対向する側壁６８０Ａおよび６８０Ｂ間の間隔は、ステム５５０の幅よりもわずかに大きい。さらに、ステム５５０の下面５５４は凹形状を有するので、各溝の底面６７８は相補的な凸形状を有する。これは、溝６７６内での係合アーム１４２のステム５５０の滑らかなスライド動作を容易にする。

ここで図６Ｂを参照すると、いくつかの実施形態では、二つの離間したアーム６８４が、壁６１０Ｂの基部の近傍で（すなわちフェイスプレート１０２の表面に比較的近接して）壁６１０Ｂから延在している。アーム６８４は外向きに傾斜しており、主に壁６１０Ｂとの交点で撓むことができる。部分的な雌ネジ６８６は、離間したアーム６８４間の隙間に設けられている。

例示的な実施形態では、部分的な雌ネジ６８６は三つの部分的なネジを備えるが、これは、必要に応じて、それらが係合する好ましくは非対称のサムスクリューネジ４３２と協働して、十分なネジグリップを提供する。いくつかの他の実施形態では、雌ネジ６８６は、一つまたは二つの部分的なネジを備え、さらにいくつかのさらなる実施形態では、三つ以上の部分的なネジが使用される。単一のネジとは対照的に、いくつかの部分的なネジを使用することは、サムスクリュー１３０によって加えられる力を分配し、より耐久性の低いプラスチックを雌ネジのために使用することを可能にする。

記述子「部分的な」が示すように、雌ネジ６８６は、３６０度の弧にわたって延びないという意味で「完全な」ネジではない。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「部分的な」という用語は、雄または雌ネジに対する言及のために使用される場合、３６０度未満の弧にわたって延びるネジのセグメントを意味する。言い換えると、「部分的な」との用語は、ネジの数を指すのではなく、ネジの円周範囲を指す。部分的な雌ネジ６８６の使用の重要性については本明細書の後の方で詳細に説明する。

各アーム６８４の自由端において、アーム６８８は外方に延び、壁６１０Ｄの上面６８２の上に上昇する。プレート部材６９０はアーム６８８の上端に配置される。開口６９６は、アーム６８８と下方のプレート部材６９０との間に形成される。この開口は、開口６７２と共に、保持ブロック１１２をサムスクリュー１３０が通過することを可能にする。

ギャップ６９８（図６Ａ）が、壁６１０Ｄの上側面６８２とプレート部材６９０の下側面との間に形成される。さらに後述するように、アーム６８４、アーム６８８、およびプレート部材６９０は協働で、部分的な雌ネジ６８６からサムスクリュー１３０のネジを分離させるためのクイックリリース機構として機能する。例示的な実施形態では、プレート部材６９０の上面にエンボス加工されたアイコン６９２は、開いた「ロック」の絵画的表現である。これは、プレート部材６９０を押すことによってクイックリリース機構が作動することをユーザーに知らせることを意図したものである。

ここで、図４、図５、図６Ａ、図６Ｂおよび図７を参照すると、気道チューブホルダー１００を組み立てるために、サムスクリュー１３０が、壁６１０Ｂの開口６７２を通り、クイックリリース機構６９４の開口６９６を通り、そして壁６１０Ｄの開口６７２を通って挿入される。係合アーム１４２のステム５５０の端部５５６は、壁６１０Ｄの溝６７６内に配置され、保持ブロック１１２を横切って前進させられるが、それはそこで壁６１０Ｂの溝６７６によって受け入れられる。

ステム５５０の端部５５６は、サムスクリューのヘッド４３６の環状保持溝４３８によって受け入れられるまで前進させられる。同時に、係合アームのクランプヘッド１４４の開口５４６が、（サムスクリュー１３０の）カプラー４４０を受け入れ、係合アーム１４２をサムスクリュー１３０に固定的に結合する。上記の製造プロセスを逆にすることができることを理解されたい。すなわち、係合アーム１４２はサムスクリュー１３０の前に保持ブロック１１２に挿入することができる。

部分的な雌ネジに対するサムスクリューの係合
上述したように、例示的な実施形態では、サムスクリュー１３０のネジ４３２は非対称の輪郭を有し、そして部分的な雌ネジ６８６は相補的な（反対の）非対称ネジ輪郭を有する。示された方向性の非対称な輪郭（すなわちネジのリーディング側は幅狭から幅広へとテーパー状になっている）を有することにより、サムスクリュー１３０を、部分的な雌ネジ６８６から、ほとんど抵抗を伴わずに、チューブ受入れ面１１４に向かって押すことが容易になる。気道チューブの側壁と当接あるいは略当接関係になると、ユーザーはサムスクリュー１３０を押すのではなく回転させる（すなわちねじ込む）ことができ、これによって気道チューブに加えられるクランプ力を微調整することができる。

サムスクリュー１３０のネジ４３２の非対称性は、サムスクリューの二機能性を促進し（すなわちスライド動作またはねじ込み動作を可能にする）、その点でその性能を改善する。しかしながら、いくつかのその他の実施形態では、サムスクリュー４３２は対称であり、部分的な雌ネジ６８６が支持される様式の結果として、依然として部分的な雌ネジ６８６（これはサムスクリューが対称である実施形態においては対称である）の上でスライドすることができる。

例示的な実施形態の特に有利な特徴は、係合デバイス１４２のクランプヘッド１４４が気道チューブの側壁に押し付ける場合のようにサムスクリュー１３０がいったん抵抗に出会うと、サムスクリューが徐々に締め付けられるにつれて、ネジグリップが増大することである。

これは、例示的な実施形態では、（部分的な雌ネジ６８６を支持する）アーム６８４が支持される点と、雄および雌ネジ間の係合点との間の「垂直」オフセットおよび「水平」オフセットの結果である。この現象についは、二つの構成に関する力線図を示す図８Ａおよび図８Ｂに関連して、以下でさらに詳しく説明する。これらの図に描かれた分析のために、アーム８８４Ａおよび８８４Ｂは剛体であり、全ての曲げは弾性「ヒンジ」点８０２において生じ、弾性ヒンジ点８０２でアームを曲げると復元トルクが生じると仮定する。

図８Ａは、弾性ヒンジ点８０２Ａと、スクリューネジ８３２と部分的な雌ネジ８８６とが互いに係合する点との間に、本質的に「垂直」オフセットＯ_ｖは存在しないが、些細ではない「水平」オフセットＯ_ｈが存在する構成を示す。

図８Ａに示される構成は、弾性ヒンジ点８０２Ａにおいてアーム８８４Ａを支持する壁８１０Ｂを含む。アームは部分的な雌ネジ８８６を支持する。この実施形態では非対称であるネジ８３２を有するスクリューは、壁８１０Ｂの開口を通り、雌ネジ８８６と係合する。スクリューは気道チューブ８０４に当接する。

アーム８８４Ａにスクリューによって加えられる力はＦであり、アーム８８４Ａからの反力はＦ'である。力Ｆおよび反力Ｆ'は共に水平である。すなわち、これらの力は、弾性ヒンジ点８０２Ａと、雄および雌ネジが互いに係合する点との間に垂直オフセットＯ_ｖが存在しないので、互いに「ゼロ角度」を有する。（簡単にするために、図８Ａは実際には小さな垂直オフセットＯ_ｖを示しているが、以下に示す力解析は垂直オフセットが存在しないものと仮定する。）このように、アーム８８４Ａからスクリューネジ８３２への垂直力（これはアーム８８４Ａに提供される上向きプレテンションの量の関数である）は一定である。この結果、ネジグリップはアーム８８４Ａの十分に強いプレテンションに依存する。

図８Ｂは、水平オフセットＯ_ｖに加えて、弾性ヒンジ点８０２Ｂと、雄および雌ネジが互いに係合している点（以下、「ネジ係合点」）との間に些細ではない垂直オフセットＯ_ｖが存在する構成を示している。

図８Ｂに示す構成は、弾性ヒンジ点８０２Ｂにおいてアーム８８４Ｂを支持する壁８１０Ｂを含む。アームは、部分的な雌ネジ８８６を支持する。この実施形態では非対称であるネジ８３２を有するスクリューは、壁８１０Ｂの開口を通り、雌ネジ８８６と係合する。スクリューは気道チューブ８０４に当接する。

アームの弾性ヒンジ点８０２Ｂとネジ係合点８８７との間の有意な垂直オフセットＯ_ｖを示す本実施例の力解析は、図８に示すゼロオフセットの場合のそれとは異なる。図８Ｂに示すように、スクリューによって加えられる力Ｆは水平であるが、アーム８８４Ｂからの反力Ｆ'は水平ではない。すなわち、それは、弾性ヒンジ点８０２Ｂとネジ係合点８８７との間の（垂直オフセットＯ_ｖおよび水平オフセットＯ_ｈに基づく）角度α_１と一致する、それに対する非ゼロの角度で方向付けられている。例示／分析目的のために、ネジ係合点８８７は、ネジの垂直中点とネジの水平中点との交点であると見なされる。

反力Ｆ'は、二つのスカラー成分Ｆ'_ｘおよびＦ'_ｙに分解することができる。力Ｆの増加に伴って反力の垂直成分Ｆ'_ｙ（および水平成分Ｆ'_ｘ）は増大する。その結果、スクリューが気道チューブ８０４に対して締め付けられると、ネジグリップ（これは垂直反力から生じる）が増大する。反対に、気道チューブ８０４によって与えられるような抵抗がない場合に、雄および雌ネジが最初に係合されていてもスクリューを部分的な雌ネジの上で押し込むことができる。

（弾性ヒンジ点８０２においてのみではなく）アームの長さにわたって屈曲が生じるように部分的な雌ネジを支持するアームが剛体でない場合でさえ、ネジグリップは上記分析によって増大することは当業者には明らかである。

ネジの非対称性／対称性に関して、例示的な実施形態におけるよりも相対的に非対称性が低い（相対的に対称性が高い）ネジ輪郭のサムスクリューを繰り返し押すことにより、雄および雌ネジの両方に、より大きな磨耗が生じることが予想されることは注目に値する。上述したように、例示的な実施形態では、チューブ受入れ面１１４へのサムスクリュー１３０の「スライド」を容易にするために、ネジのリーディング側は幅狭（フロントエッジ）から幅広（バックエッジ）へとテーパー状になる。

ここで図８に示される構成の部分図を示す図８Ｃを参照すると、サムスクリューネジ８３２のリーディングエッジ８３３の傾斜角α_３は、約５度から約５０度の範囲、より好ましくは約１０度から約４０度の範囲、最も好ましくは約１５度から３０度の範囲にある。与えられたクレスト高に関して、傾斜角度α_３が小さくなるにつれてネジの長さは増大する。傾斜角度α_３が増大するにつれて、サムスクリューが部分的な雌ネジを越えてスライドするとき、より大きな騒音が発生する。

サムスクリューのネジ８３２のトレーリング側８３３の傾斜角度α_２は、典型的には、約０度から１５度の範囲内にある（すなわち、０度は図８Ｃにおいて「垂直」である）。アーム８８４Ｂの角度α_１（図８Ｂ）は、サムスクリューを固定する能力がネジ内の摩擦に依存しないように傾斜角度α_２よりも大きいべきである。

当業者にとっては、図８Ｂに示すシナリオに関して例示的な実施形態と同様に、スクリューの垂直運動は制限されなければならないことは明らかである。すなわち、（ネジのクレストにおいて測定される）サムスクリューのネジ４３２の最外直径と開口６７２との間のクリアランスは、雌ネジを支持するアーム（すなわち例示的な実施形態ではアーム６８４）のプレテンション（すなわち上向きのバイアス）に関連する量に制限されなければならない。いくつかの実施形態では、ギャップは０．１ミリメートル（ｍｍ）に制限される。スクリューの移動のための垂直公差がアームのプレテンションおよびネジの高さよりも大きい場合、アームはスクリューネジにグリップテンションを発生させることはできず、雌ネジに対するスクリューの意図しないスライドが生じる可能性がある。本発明の実施形態によれば、グリップおよびネジテンションをゼロにする唯一の方法は、クイックリリース機構を使用することである。

クイックリリース機構
係合アーム１４２／サムスクリュー１３０によって気道チューブに加えられる圧力は、二つの方法のいずれかで解除することができる。介護者は、ヘッド４３６を反時計回りに回転させることで、サムスクリュー１３０を簡単に「ネジを緩めて外す」ことができる。係合アームおよびサムスクリューを解放するより迅速な方法は、クイックリリース機構６９４を作動させることである。

再び図６Ａおよび図６Ｂを参照すると、上述したように、アーム６８４、アーム６８８およびプレート部材６９０は、サムスクリュー１３０のネジ４３２を部分的な雌ネジ６８６から分離するためのクイックリリース機構６９４として集合的に機能する。クイックリリース機構６９４は、プレート部材６９０を押すことによって作動させられる。プレート部材は、アーム６８８を介して、部分的な雌ネジ６８６を支持するアーム６８４に連結される。したがって、プレート部材６９０を押すことによりネジ６８６が下方に移動する。サムスクリュー１３０が開口６７２によって側方動作に拘束されるので、部分的な雌ネジ６８６の下向き動作が、それらをサムスクリュー１３０のネジ４３２から係合解除させる。いったん雌ネジが係合解除されると、サムスクリュー１３０および係合アーム１４２を、以前は固定状態であった気道チューブから離れるようにスライドさせることができる。

非対称ネジ４３２の指向性の結果として、気道チューブから離れる動作の場合、スクリューがチューブに向かって移動させられているときのように、サムスクリューを雌ネジの上で単にスライドさせることはできない。これは、ネジが非対称な部分的な雌ネジ６８６に対して急な（すなわち約７５度ないし９０度の範囲の）角度を有するエッジを提示するからであり、これは、クイックリリース機構６９４が作動させられなければサムスクリュー１３０の動きを実質的に妨げるかまたは抑止するであろう。

図６Ｂから最もよく分かるように、プレート部材６９０の下方への動作は、プレート部材の底面と壁６１０Ｄの上面６８２との間のギャップ６９８によって可能になる。上面６８２は、したがって、アーム６８４の過度の下方への動作を防止するための機械的「ストッパー」として機能する。繰返される過剰な動作により、アーム６８４が故障する可能性がある。

簡単な、複雑ではない様式でクイックリリース機構を具現化するために、雌ネジは雄ネジ４３２を完全に取り囲むことはできない。例示的な実施形態での使用のために、雌ネジ６８６の弧の長さは１８０度未満、好ましくは約９０度（すなわち円周の４分の１）でなければならない。さもなければ、雌ネジは雄ネジから完全に分離できないであろう。

最大許容弧長は、雌ネジ６８６が雄ネジ４３２から離れるように動くことができる距離だけでなく、ネジの寸法に基づいている。これらの考察に基づいて、当業者は、雌ネジの最大許容弧長を計算することができる。代替的に、必要なクリアランスを提供する弧長を決定するために、簡単な実験を用いることができる。

例示的な実施形態では、雌ネジ６８６が雄ネジから離れるように移動できる距離は、プレート部材６９０の底面と壁６１０Ｄの面６８２との間のギャップ６９８のサイズによって制限される。そして、ギャップ６９８の大きさは、ネジ支持アーム６８４がその曲げ限界を超えて破損しないことを保証するように選択される。本教示に照らして、当業者は、部分的な雌ネジ６８６およびクイックリリース機構６９４の設計を展開する際に、これらの要因をどのようにバランスさせるかを知るであろう。

気道チューブから離れるサムスクリュー１３０の滑らかなスライドを動作を容易にするために、表面６７３における壁６１０Ｄの開口６７２の周囲の少なくとも一部は面取り部６７４を含む。

第１の代替実施形態
図１１Ａないし図１１Ｃは気道チューブホルダー１１００を示す。気道チューブホルダーのこの実施形態は、保持ブロックの設計の点で気道チューブホルダー１００とは異なるが、それ以外は同一である。具体的には、気道チューブホルダー１１００において、保持ブロック１１１２は、部分的な雌ネジ１１８６を支持するための単一のアーム、アーム１１８４のみを含む。先の実施形態におけるように、二つのアーム１１８８はプレート部材１１９０を支持するために使用される。

この実施形態では、アーム１１８４は、アーム上の単一の位置での屈曲を促進する物理的適応を含む。すなわち、アームは剛性部材として振る舞い、物理的適応は、図８Ａおよび図８Ｂで説明したように、屈曲時の復元トルクで弾性ヒンジをエミュレートする。例示的な実施形態では、物理的適応は、アーム１１８４の薄くされた領域１１８５である。アームは、薄くされた領域１１８５において、アームに沿った他の場所よりもより屈曲しやすい。これは、「リビング」ヒンジに類似した構造であり、剛性部分が「ヒンジ」の線に沿って曲がることを可能とするために材料が薄くされるかまたはカットされる。しかしながら、リビングヒンジは、通常、曲げの際に復元トルクを提供しない。薄くされた領域１１８５を有するアーム１１８４はそのような復元トルクを提供する。本開示および特許請求の範囲における使用に関して、「弾性リビングヒンジ」との用語は、復元トルクを提供するリビングヒンジを指すために使用される。薄くされた領域１１８５は、アーム１１８４と壁１１１０Ｂとの接合部の近くに配置される。いくつかの他の実施形態では、ヒンジの機能をエミュレートして、壁１１１０Ｂの近くでのアーム１１８４の屈曲を促進するために別な構造が使用される。

第２の代替実施形態
図９Ａ、図９Ｂ、図１０Ａおよび図１０Ｂは、気道チューブホルダー１００の第１の代替実施形態である気道チューブホルダー９００を示している。気道チューブホルダー９００と気道チューブホルダー１００との主な相違点は、保持ブロック、クイックリリース機構および係合アームの設計に関する。

ここで、図９Ａおよび図９Ｂを参照すると、気道チューブホルダー９００は、フェイスプレート９０２、サムスクリュー９３０および係合アーム９４２を含む。図示されていないパッドが、フェイスプレート９０２の内側の（患者に面する）面に配置される。フェイスプレート９０２の形状はフェイスプレート１０２のそれと同じである。

フェイスプレート１０２と同様に、フェイスプレート９０２は、フェイスプレートの外面に直交して外側に延びる壁またはフランジ９１０を含む。本質的に連続的な形態であるが、壁９１０の異なる部分がフェイスプレート９０２上の異なる構造体と関連付けられる。壁９１０の右側部分は保持ブロック９１２の一部を形成し、壁１１０の左側部分はチューブ受入れ面９１４を画定する。

フェイスプレート９０２の中央部分は、フェイスプレート１０２のチャネル１２２のような略矩形の形状を有するチャネル９２２によって占められている。ｖ字形状を有するチューブ受入れ面９１４は、チャネル９２２の左側部分を形成する。保持ブロック９１２は、チューブ受入れ面９１４からチャネル９２２を横切って直接配置される。保持ブロックはサムスクリュー９３０および係合アーム９４２を受け入れ、後者はクランプヘッド９４４を含む。気道チューブホルダー１００のように、気道チューブホルダー９００の係合アームおよびサムスクリューは、サムスクリューが２自由度の動き（回転および直線）を有する一方で係合アームは１自由度の動き（直線）しか持たないように互いに結合する。クランプヘッド９４４およびチューブ受入れ面９１４は、集合的に、その中に位置する気道チューブを固定することができるクランプまたは調節可能な空隙９５８を画定する。

サムスクリュー９３０は、ヘッド９３６、ネジ９３２（これはネジ４３２のような非対称輪郭を有する）およびカプラー９４０を含む。ネジ９３２と同軸であるカプラーは、サムスクリュー９３０の前方表面から延在する。

係合アーム９４２は、ステム９５０と、その一端に配置されたクランプヘッド９４４とを含む。係合アーム１４２のステムとは異なり、ステム９５０の上面および下面は平坦である。また、係合アーム１４２とは異なり、係合アーム９４２は、ステム９５０の端部９５６に配置された結合リング９５７を有する。結合リングはサムスクリュー９３０のネジ９３２を受け入れる。これにより、係合アーム９４２とサムスクリュー９３０とが互いに結合することが可能になる。さらに、気道チューブホルダー１００のように、カプラー９４０はクランプヘッド９４４の孔９４６に受け入れられ、係合アームとサムスクリューとを互いに固定する。クランプヘッド９４４の表面９４７は、気道チューブの側壁との係合を容易にするように湾曲させられている。

図１０Ａおよび図１０Ｂは、保持ブロック９１２と、サムスクリュー９３０および係合アーム９４２がそれと協働する様式のさらなる詳細を示す。

ここで図１０Ａを参照すると、保持ブロック９１２は、壁１０１０Ａ，１０１０Ｂ，１０１０Ｃおよび１０１０Ｄ（集合的に「壁１０１０」）によって画定されるような略正方形の周囲を有する。これらの壁は壁／フランジ９１０の特定のセグメントである。

壁１０１０Ｂの近くで、壁１０１０Ａは「上方」に湾曲する。壁１０１０Ａの近くで、壁１０１０Ｂは真っ直ぐ「上方」に延びる。これらの二つの壁の延長部分は、フレア領域１０１１Ａを形成するために合流する。フレア領域１０１１Ｂは、壁１０１０Ｃおよび１０１０Ｂの「下」方向ではあるが、同じ延長構成から生じる。二つのフレア領域１０１１Ａおよび１０１１Ｂは、サムスクリュー９３０をチューブ受入れ領域９１４に向かって押すとき、改善された人間工学のための「シリンジ」グリップを協働で形成する。

壁１０１０Ｂおよび１０１０Ｄはそれぞれ開口１０７２を含む。例示的な実施形態では、これらの開口は円形であり、サムスクリュー９３０を受け入れる。溝１０７６が、壁１０１０Ｂおよび１０１０Ｄに、それ自体の開口１０７２の「内向き」に配置される。各溝１０７６は、面１０７８ならびに側壁１０８０Ａおよび１０８０Ｂによって画定される。溝１０７６は、係合アーム９４２のステム９５０を受け入れるように寸法決めされ配置される。その結果、各溝の対向する側壁１０８０Ａおよび１０８０Ｂの間の間隔は、ステム９５０の幅よりもわずかに大きい。

二つの離間したアーム１０８４は、その基部に近接して（すなわちフェイスプレート９０２の表面の比較的近くで）壁１０１０Ｄから延在する。アーム１０８４は外側に傾斜しており、主に壁１０１０Ｄとの交点において屈曲することができる。図９Ａから最もよく分かるように、アーム１０８８が各アーム１０８４から外側に延びている。再度、図１０Ｂを参照すると、部分的な雌ネジ１０８６は二つのアーム１０８８間のギャップにまたがる。これらのネジがサムスクリュー９３０の外側に位置するために、部分的な雌ネジは「内側」を向く。

アーム１０８８は外側に延び、壁１０１０の上に突出する。プレート部材１０９０はアーム１０８８を橋渡しする。プレート部材１０９０は外側に広がり、壁１０１０Ｂの方向に壁１０１０を超えて延びる。

ここで、図９Ａ、図９Ｂ、図１０Ａおよび図１０Ｂを参照すると、気道チューブホルダー９００を組み立てるために、係合アーム９４２は、チューブ受入れ面９１４に最も近いクランプヘッド９４４を伴って、壁１０１０Ｂおよび１０１０Ｄの「底」に位置する溝１０７６内に配置される。サムスクリュー９３０は、係合アーム９４２のリング９５７を経て挿入され、壁１０１０Ｂの開口１０７２を通り、そして壁１０１０Ｄの開口１０７２を通って挿入される。係合アームのクランプヘッド９４４の開口９４６は、サムスクリュー９３０のカプラー９４０を受け入れ、係合アーム９４２をサムスクリューに対して固定的に結合する。

ネジ９３２の非対称ネジ輪郭によって、気道チューブホルダー１００のサムスクリュー１３０の操作と同様、部分的な雌ネジ１０８６からの抵抗をほとんど伴わずに、サムスクリュー１３０をチューブ受入れ面９１４に向かって押すことが可能となる。そして、例示的な実施形態におけるように、いったんクランプ面９４４が気道チューブの側壁に当接または概ね当接関係になると、ユーザーはサムスクリュー９３０を（押すのではなく）回転させて、気道チューブに加えられるクランプ力を微調整することができる。

気道チューブホルダー１００と同様に、係合アーム９４２／サムスクリュー９３０によって気道チューブに加えられる圧力は、二つの方法のいずれかで解除することができる。すなわち、それを「ネジを緩めて外す」か、あるいはクイックリリース機構１０９４を作動させるかのいずれかである。

再び図９Ａ、図９Ｂおよび図９Ｃを参照すると、アーム１０８４、アーム１０８８およびプレート部材１０９０は、サムスクリュー９３０のネジ９３２を部分的な雌ネジ１０８６から分離させるためのクイックリリース機構１０９４として集合的に機能する。クイックリリース機構はプレート部材１０９０を持ち上げることによって作動させられる。これは、プレート部材６９０がクイックリリース機能を作動させるために押される例示的な実施形態とは対照的である。

プレート部材１０９０を持ち上げることによって、部分的な雌ネジ１０８６は外側に移動させられる。これにより、雌ネジ１０８６はサムスクリュー９３０のネジ９３２から外れる。いったん雌ネジが外れると、サムスクリュー９３０を、以前固定された気道チューブから離れるようにスライドさせることができる。

気道チューブホルダー１００と同様、雌ネジはサムスクリューの雄ネジ９３２を完全に取り囲まない。気道チューブホルダー１００に関しては、雌ネジ１０８６の弧の長さは、雌ネジが雄ネジから完全に外れることを確実にするために、１８０度未満、好ましくは９０度未満でなければならない。

さらなる代替実施形態
傾斜したストラップ保持スロット１１６、エンボス加工されたアイコン１２０，６９２およびリブ５４８のような特徴は、気道チューブホルダー１００に関連して開示されているが、このような特徴は気道チューブホルダー９００に関連して使用することができることを理解されたい。同様に、気道チューブホルダー９００に関連して開示されたシリンジグリップは、気道チューブホルダー１００と共に使用することができる。

気道チューブホルダーのいくつかのさらなる代替実施形態では、別個の係合アーム１４２／９４２を含むのではなく、係合アームからのクランプヘッド（すなわち、クランプヘッド１４４／９４４）をサムスクリュー１３０／９３０の端部に対して簡単に結合できる。そうした実施形態では、クランプヘッドはサムスクリューとは独立して自由に回転しなければならない。これにより、サムスクリューの回転位置にかかわらず、クランプヘッドを、その湾曲したクランプ面が気道チューブに対して適切な向きとなるように必要に応じて回転させることが可能であることが保証される。そうした実施形態は、例示的または第１の代替実施形態よりも機械的にわずかに単純であるが、それらは操作上優雅ではなく、上述した調整が介護者によってなされることを必要とするであろう。

直前に述べたものと類似のさらにいくつかの実施形態では、クランプヘッドは、サム１３０／９３０の回転方向に関係なくクランプヘッドが気道チューブに対して常に正しい姿勢をとるように重み付けすることができる。例えば、図１Ａを参照すると、クランプヘッド１４４の「底部」（フェイスプレート１０２の下側の部分的な周囲１０６に最も近い部分）は、例えば内部に配置された高密度金属またはその他の高密度材料のピースを用いて重み付けされるであろう。

本開示はいくつかの実施形態を説明していること、本開示を読んだ後に当業者によって本発明の多くの変形例が容易に創出され得ること、そして本発明の範囲は請求項の記載によって特定されることは明らかである。

１００気道チューブホルダー
１０２フェイスプレート
１０４上側周囲
１０６下側周囲
１０８フランジ状領域
１１０壁（フランジ）
１１２保持ブロック
１１４チューブ受入れ面
１１６ストラップ保持スロット
１１８アクセス路
１２０アライメント特徴部（アイコン）
１２２チャネル
１２４垂直縁部
１２６水平上側縁部
１２８垂直縁部
１３０サムスクリュー
１４２係合デバイス（係合アーム）
１４４クランプヘッド
１５８空隙
１６０パッド
３６２バイトブロック
３６４，３６６壁
４３２非対称ネジ（雄ネジ）
４３４前方面
４３６ヘッド
４３８環状保持溝
４４０カプラー
５４６開口
５４７表面
５４８リブ
５５０ステム
５５２上面
５５４下面
５５６端部
６１０，６１０Ａ〜６１０Ｄ壁
６７０ガード部分
６７２開口
６７３表面
６７４面取り部
６７６溝
６７８底面
６８０Ａ，６８０Ｂ側壁
６８２上面
６８４ネジ支持アーム
６８６雌ネジ
６８８アーム
６９０プレート部材
６９２アイコン
６９４クイックリリース機構
６９６開口
６９８ギャップ
８０２，８０２Ａ，８０２Ｂ弾性ヒンジ点
８０４気道チューブ
８１０Ｂ壁
８３２サムスクリューネジ
８３３リーディングエッジ
８８４Ａ，８８４Ｂアーム
８８６雌ネジ
８８７ネジ係合点
９００気道チューブホルダー
９０２フェイスプレート
９１０壁（フランジ）
９１２保持ブロック
９１４チューブ受け入れ面
９２２チャネル
９３０サムスクリュー
９３２雄ネジ
９３６ヘッド
９４０カプラー
９４２係合アーム
９４４クランプヘッド
９４６孔
９４７表面
９５０ステム
９５６端部
９５７結合リング
９５８空隙
１０１０，１０１０Ａ〜１０１０Ｄ壁
１０１１Ａ，１０１１Ｂフレア領域
１０７２開口
１０７６溝
１０７８面
１０８０Ａ，１０８０Ｂ側壁
１０８４アーム
１０８６雌ネジ
１０８８アーム
１０９０プレート部材
１０９４クイックリリース機構
１１００気道チューブホルダー
１１１０Ｂ壁
１１１２保持ブロック
１１８４アーム
１１８５薄くされた領域
１１８６雌ネジ
１１８８アーム
１１９０プレート部材
１１９２補強リブ
１１９４リベット

Claims

気道チューブを固定するための気道チューブホルダーであって、
スクリュー（１３０，９３０）と、係合アーム（１４２，９４２）と、患者の口腔にフィットするように構成されたフェイスプレート（１０２）とを有し、前記係合アームはクランプヘッド（１４４，９４４）を有し、前記フェイスプレートはチューブ受入れ面（１１４）及び保持ブロック（１１２）を有し、前記スクリューの一端が前記係合アームに結合し、この結合状態において、前記スクリューの一端は前記クランプヘッドに取り付き、さらに、前記保持ブロックは前記スクリュー及び前記係合アームを受け入れ、この受け入れ状態において、前記クランプヘッドが前記チューブ受入れ面に直接的に対向し、前記クランプヘッド及び前記チューブ受入れ面は、該気道チューブが使用時に固定されるよう構成されてなる、気道チューブホルダーにおいて、
前記スクリューは２自由度を有し、１つは、気道チューブが前記チューブ受入れ面に対して位置決めされているときに前記クランプヘッドにより気道チューブに付与されるクランプ力を微調整するよう、該スクリューが前記保持ブロックとネジ係合する回転動作の自由度であり、１つは、前記スクリューが前記保持ブロックとネジ係合していないときに前記クランプヘッドが迅速に前記気道チューブに向かって前進、又は前記気道チューブから後退できるための直線動作の自由度であることを特徴とする、気道チューブホルダー。
前記保持ブロックが少なくとも一つの部分的な雌ネジを備え、前記保持ブロック及び該部分的な雌ネジは、
（ａ）前記部分的な雌ネジが前記スクリュー（１３０，９３０）のネジ（４３２，８３２，９３２）と係合し、
（ｂ）前記直線動作の自由度が提供され、前記スクリューが、第１の向きを有すると共に前記スクリューの長手方向軸線と同軸である力を受けたとき、前記スクリューが前記部分的な雌ネジを通過してスライドし、
（ｃ）前記回転動作の自由度が提供され、前記第１の向きと反対の向きの力を受けたとき、前記スクリューが前記部分的な雌ネジによって固定される、
請求項１に記載の気道チューブホルダー。
前記スクリューがネジ（４３２，８３２，９３２）を有し、前記ネジは非対称ネジ輪郭を有する、請求項１に記載の気道チューブホルダー。
前記保持ブロックは、前記部分的な雌ネジを支持する第１の部材（６８４，１０８４，１１８４）をさらに備え、前記第１の部材は、前記スクリューの漸進的締め付けに起因する力に応答して、前記部分的な雌ネジと前記スクリューの前記ネジとの間のネジグリップを増大させる反力を発生させる構成および位置を有する、請求項３に記載の気道チューブホルダー。
前記第１の部材が支持される位置は、弾性ヒンジ点（８０２）とネジ係合点（８８７）との間の垂直オフセット（Ｏ_ｖ）をもたらす、請求項４に記載の気道チューブホルダー。
前記第１の部材が支持される位置は、弾性ヒンジ点とネジ係合点との間の水平オフセット（Ｏ_h）をもたらす、請求項４または請求項５に記載の気道チューブホルダー。
プレート部材をさらに備え、前記プレート部材（６９０，１０９０，１１９０）は前記第１の部材に対して結合され、前記プレート部材および前記第１の部材は、第２の向きを有する力を前記プレート部材に加えることによって作動させられたとき前記部分的な雌ネジが前記スクリューの前記ネジから外れるよう物理的に構成されたクイックリリース機構を協働で備える、請求項４から請求項６のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
前記第２の向きは前記フェイスプレートに向かう向きであり、前記プレート部材を押圧することによって該第２の向きを有する力が加えられる、請求項７に記載の気道チューブホルダー。
前記第２の向きは前記フェイスプレートから離れる向きであり、前記プレート部材を持ち上げることによって該第２の向きを有する力が加えられる、請求項７に記載の気道チューブホルダー。
物理的ストッパー（６８２）をさらに備え、前記物理的ストッパーは、前記プレート部材の動作を制限する、請求項７または請求項８に記載の気道チューブホルダー。
前記クランプヘッド（１４４）は、前記気道チューブに対する結合を容易にするためにアーチ形状の表面（５４７）およびその上に配置された少なくとも二つのアーチ形状のリブ（５４８）を有する、請求項１から請求項１０のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
前記係合アーム（１４２，９４２）はステム（５５０，９５０）を備え、前記ステムの第１の端部（５５６，９５６）は、スクリューヘッド（４３６，９３６）に近接してその第１の端部において前記スクリューに結合し、かつ、前記クランプヘッド（１４４，９４４）はその第２の端部に近接して前記スクリューに結合する、請求項１から請求項１１のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
前記スクリューヘッドは、前記ステム（５５０）の前記第１の端部（５５６）を受け入れる溝（４３８）をさらに備える、請求項１２に記載の気道チューブホルダー。
前記係合アーム（１４２）は、前記フェイスプレートに対して前記スクリューの外側に配置される、請求項１から請求項１３のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
前記フェイスプレートの主面に対して直交する方向に延在する壁（１１０）をさらに備え、前記壁は前記保持ブロック（１１２）の一部およびチューブ受入れ面（１１４）の少なくとも一部を形成する、請求項１から請求項１４のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
左側ストラップ保持スロット（１１６）および右側ストラップ保持スロットをさらに備え、これらストラップ保持スロットは、前記フェイスプレートを患者に結合するストラップを受け入れ、
前記左側ストラップ保持スロットは前記フェイスプレートの左側縁部に近接して配置され、かつ、前記右側ストラップ保持スロットは前記フェイスプレートの右側縁部に近接して配置され、
前記ストラップ保持スロットは、前記フェイスプレートが使用されているとき、垂直方向に対して傾けられ、前記左側ストラップ保持スロットの上側部分はその下側部分に対してさらに左側に延在し、かつ、前記右側ストラップ保持スロットの上側部分はその下側部分に対してさらに右側に延在する、請求項１から請求項１５のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
前記保持ブロックは、
（ａ）それ自体に、（ｉ）第１の円形開口（６７２）および（ii）第１の溝（６７６，１０７６）を有する第１の壁（６１０Ｂ）と、
（ｂ）前記第１の壁から離間させられると共にそれに対して平行な第２の壁（６１０Ｄ）であって、それ自体に、（ｉ）第２の円形開口（６７２）および（ii）第２の溝（６７６，１０７６）を有する第２の壁（６１０Ｄ）と、
（ｃ）第１のアームおよび第２のアームであって、これらアーム（６８４，１０８４）が、〈ｉ）互いに離間させられると共に互いに平行であり、（ii）前記第１の壁と前記第２の壁との間に配置され、かつ（iii）その底部に近接して前記第１の壁から延びてなる、第１のアームおよび第２のアームと、
（ｄ）前記第１および第２のアーム間に配置されると共に前記第１および第２のアームに対して結合される少なくとも一つの部分的な雌ネジ（６８６，１０８６）と、
をさらに備える、請求項１に記載の気道チューブホルダー。
前記部分的な雌ネジが非対称である、請求項１７に記載の気道チューブホルダー。
前記スクリューのネジが、前記第１の円形開口および前記第２の円形開口を通って延びる、請求項１７または請求項１８に記載の気道チューブホルダー。
前記スクリューのネジが非対称である、請求項１７から請求項１９のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
プレート部材（６９０，１０９０）をさらに備え、前記プレート部材は前記第１および第２のアーム（６８４，１０８４）に対して結合され、前記プレート部材ならびに前記第１および第２のアームは、力を前記プレート部材に加えることによって作動させられたとき前記部分的な雌ネジ（６８６，１０８６）が前記スクリューのネジから外れるよう物理的に構成されたクイックリリース機構を協働で備える、請求項１７から請求項２０のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。
前記プレート部材（６９０，１０９０）の一部分が前記第２の壁（６１０Ｄ）と重なり、前記プレート部材の前記一部分および前記第２の壁の上端部が、第１の距離を有するギャップ（６９８）によって分離させられる、請求項２１に記載の気道チューブホルダー。
前記プレート部材、前記第１および第２のアーム、および前記部分的な雌ネジの動作が前記第１の距離に制限される、請求項２２に記載の気道チューブホルダー。
前記係合アーム（１４２，９４２）は、前記第１の溝（６７６，１０７６）および前記第２の溝（６７６，１０７６）によって受け入れられる、請求項１７から請求項２３のいずれか１項に記載の気道チューブホルダー。