JP6777584B2 - 蓄熱装置 - Google Patents

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Description

本開示は、蓄熱装置に関する。
蓄熱材は、熱又は冷熱を蓄えることができる材料であり、蓄熱材に蓄えられた熱又は冷熱は需要に応じて放出される。物質の相変化に伴う発熱反応及び吸熱反応を主に利用して熱又は冷熱を蓄えることができる蓄熱材は潜熱蓄熱材と呼ばれている。本明細書では、冷熱を蓄え需要に応じて冷熱を放出できる潜熱蓄熱材を潜熱蓄冷材、又は、単に蓄冷材と呼ぶこともある。潜熱蓄熱材の中には、過冷却特性を有する材料が存在し、このような潜熱蓄熱材の過冷却を解除する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、図14Aに示す通り、蓄冷装置300が記載されている。蓄冷装置300は、密閉容器301と、蓄熱材302と、プロペラ(刺激付与体)310と、モータ320とを備えている。蓄熱材302は、密閉容器301内に封入されており、過冷却特性を有する。蓄熱材302は、例えば、酢酸ナトリウム三水和物である。プロペラ310は、蓄熱材302に刺激を付与可能である。モータ320はプロペラ310を回転させる。プロペラ310の回転軸には永久磁石312が取付けられ、永久磁石312は密閉容器301の内面に近接して臨んでいる。モータ320は、密閉容器301の外部に配置され、支持板321によって支持されている。支持板321は、密閉容器301の外面に取付けられている。モータ320の回転軸には永久磁石322が取付けられ、永久磁石322は密閉容器301の外面に近接して臨んでいる。プロペラ310の刃が鋏のように作用し、蓄熱材302に痛烈な刺激が付与され、放熱の誘導が効果的に行われる。
特許文献2には、図14Bに示す通り、発核装置502が記載されている。発核装置502は、支持枠520と、支持片521と、軸枠部材522と、回転体523と、複数の爪524と、水車525と、板状部材529とを備えている。軸枠部材522は、収容容器514の側壁を貫通することによって収容容器514内とウォータージャケット513内とに跨って配置されている。軸枠部材522の内部には、シャフト522aが回転自在に支持されている。回転体523はシャフト522aに対して回転可能に連結されている。複数の爪524は回転体523から放射線状に延びている。水車525はシャフト522aに回転可能に連結されている。板状部材529はバイメタルよりなる。ウォータージャケット513内に流通する冷却水によって水車525が回転すると、この水車525の回転力がシャフト522aを介して回転体523に伝達されて各爪524が回転する。この回転する爪524が板状部材529に対し摺動して板状部材529の表面が引っ掻かれて、新生面が形成される。この新生面を過冷却状態の蓄熱材Xに直に接触させることによって蓄熱材Xを発核させる。蓄熱材Xは、例えば酢酸ナトリウム・3水和物からなる。
特開平7−12479号公報 国際公開第2007/023794号
特許文献1及び2に記載の技術では、蓄熱材の結晶化を完了化させるのに要する時間について具体的に検討されていない。そこで、本開示は、蓄熱材の結晶化を短期間で完了させるのに有利な蓄熱装置を提供する。
本開示は、
容器と、
前記容器の内部に位置する蓄熱材と、
前記容器の内部に位置し、前記蓄熱材と接触するとともに、回転することによって前記蓄熱材を攪拌させる攪拌子と、
前記蓄熱材と接触し、前記攪拌子から突出し、前記攪拌子の回転に伴って回転する突起と、を備え、
前記攪拌子が回転する期間に、前記突起は、前記蓄熱材に接触している前記容器の内表面に連続的に接触する、
蓄熱装置を提供する。
上記の蓄熱装置は、蓄熱材の結晶化を短期間で完了させるうえで有利である。
図1Aは、本開示の蓄熱装置の一例を示す上面図である。 図1Bは、図1Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図2Aは、本開示の蓄熱装置の別の例を示す上面図である。 図2Bは、図2Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図3Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図3Bは、図3Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図4Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図4Bは、図4Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図5Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図5Bは、図5Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図6Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図6Bは、図6Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図7Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図7Bは、図7Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図8Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図8Bは、図8Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図9Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図9Bは、図9Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図10Aは、本開示の蓄熱装置のさらに別の例を示す上面図である。 図10Bは、図10Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図11Aは、比較例1に係る蓄熱装置を示す上面図である。 図11Bは、図11Aに示す蓄熱装置の正面図である。 図12は、攪拌子の射影の面積に対する突起の射影の面積の比(P2/P1)と核生成効率との関係を示すグラフである。 図13は、容器の内表面の面積に対する攪拌子の表面積の比と蓄熱材の結晶化の進行率との関係を示すグラフである。 図14Aは、従来の蓄冷装置を示す断面図である。 図14Bは、従来の発核装置の断面図である。
<本発明者らの検討に基づく知見>
短い期間(例えば1分以内)で蓄熱材の結晶化を完了させることができれば、蓄熱材の用途はさらに広がる。例えば、アイドリングストップを自動的に行う機能を有する自動車において、アイドリングストップ時の車室の冷房のために蓄熱材を利用することが考えられる。この場合、アイドリングストップ時には、エンジンによってコンプレッサーを駆動することにより得られる冷熱の代わりに、蓄熱材に蓄えられた冷熱が利用される。つまり、自動車の走行中にコンプレッサーを利用して蓄熱材を結晶化させて冷熱を蓄えつつ、アイドリングストップ時に蓄冷材を融解させて冷熱を放出するというサイクルを繰り返す方法が考えられる。都市部における自動車の交通事情を考慮すると、交通信号機同士の間隔が短く自動車が走行する期間が短くなる場合がある。このため、蓄熱材の結晶化をより短期間で完了でき、蓄熱材の全体で短期間に冷熱を潜熱として蓄えることができることが望ましい。
そこで、本発明者らは、蓄熱材の結晶化を短期間で完了させることができる技術について日夜検討を重ねた。その結果、本発明者らは、蓄熱材が入っている容器の内部に配置された攪拌子から突出している突起が、攪拌子が回転する期間に、蓄熱材に接触している容器の内表面に連続的に接触することにより、蓄熱材の結晶化が短期間で完了可能であることを新たに見出した。本発明者らは、この新たな知見に基づいて本開示の蓄熱装置を案出した。なお、上記の知見は本発明者らの検討に基づくものであり、上記の知見は先行技術ではない。
本開示の第1態様は、
容器と、
前記容器の内部に位置する蓄熱材と、
前記容器の内部に位置し、前記蓄熱材と接触するとともに、回転することによって前記蓄熱材を攪拌させる攪拌子と、
前記蓄熱材と接触し、前記攪拌子から突出し、前記攪拌子の回転に伴って回転する突起と、を備え、
前記攪拌子が回転する期間に、前記突起は、前記蓄熱材に接触している前記容器の内表面に連続的に接触する、
蓄熱装置を提供する。
第1態様によれば、攪拌子が回転する期間に、蓄熱材に接触している容器の内表面に突起が連続的に接触する。攪拌子の回転に伴う突起と容器の内表面との連続的な接触により、突起の表面の微小な凹凸及び容器の内表面の微小な凹凸との間に形成される微小な隙間の大きさが変動し、経時的な圧力変動が発生する。この圧力変動により、蓄熱材の結晶核が連続的に生成される。連続的に生成された結晶核は攪拌子の回転に伴う攪拌作用により蓄熱材の全体に拡散する。拡散した結晶核によって連鎖反応的に新たな結晶核の生成が促される。このため、容器内部の蓄熱材全体において同時多発的に結晶化が進行する。これにより、蓄熱材の過冷却が解除されると同時に速やかに蓄熱材の結晶化が完了し、蓄冷に必要な時間を短くできる。このように、第1態様によれば、蓄熱材の結晶化を短期間で完了できるので、例えば、交通信号機同士の間を自動車が走行する期間が短い場合であっても、蓄熱材の全体の結晶化を完了させることができる。
特許文献1に記載の技術によれば、密閉容器301の内部でプロペラ310及び永久磁石312が回転するものの、プロペラ310及び永久磁石312は密閉容器301の内表面と接触しながら回転するわけではない。特許文献1には、突起の存在についての記載がなく、突起が蓄熱材に接触している密閉容器301の内表面に連続的に接触する旨の記載もない。このため、プロペラ310の回転軸又は永久磁石312が密閉容器301との連続的な接触による経時的な圧力変動は生じない。このため、蓄熱材の結晶化を短期間で完了することは難しいと考えられる。
特許文献2に記載の技術によれば、回転する爪524が板状部材529に対し摺動して板状部材529の表面が引っ掻かれて形成された新生面に過冷却状態の蓄熱材Xが直に接触して蓄熱材Xが発核する。特許文献2には、蓄熱材Xの発核により生じた結晶核を蓄熱材の全体に拡散させることは記載されていない。実際に、板状部材529は、回転体523の回転中心から離れて位置しており、板状部材529の新生面に対する蓄熱材Xの接触による発核によって生じた結晶核が蓄熱材Xの全体に広がるのには時間がかかると考えられる。このため、特許文献2に記載の技術は蓄熱材の結晶化を短期間で完了させることは難しいと考えられる。しかも、回転する爪524が板状部材529に接触することにより軸枠部材522は、曲げ荷重を繰り返し受ける。また、回転する爪524と板状部材529との接触により、板状部材529は摩耗又は損傷し、板状部材529の信頼性が低下する。このため、軸枠部材522が必要な強度を有するように特別な検討を行う必要がある。
本開示の第2態様は、第1態様に加えて、前記攪拌子は、前記容器の外部で生じた物理的変化に従い、当該攪拌子の回転の開始、当該攪拌子の回転の停止、及び当該攪拌子の回転速度の変更を生じさせる、蓄熱装置を提供する。第2態様によれば、容器の外部で物理的変化を生じさせることにより攪拌子の回転を制御できる。
本開示の第3態様は、第1態様又は第2態様に加えて、前記攪拌子は、磁性体を含むとともに前記容器の外部から隔絶して配置されており、前記容器の外部で発生した磁界の変化により回転する、蓄熱装置を提供する。第3態様によれば、容器の外部で発生した動力を攪拌子に伝達する機構が不要であり、例えば、容器の内部の密閉性を高めやすい。
本開示の第4態様は、第1態様〜第3態様のいずれか1つの態様に加えて、前記攪拌子の回転軸線に垂直な面に対して、前記攪拌子及び前記突起をそれぞれ前記回転軸線に平行な方向に射影して得られる射影の面積をP1及びP2と表したときに、P2がP1の90%以下である、蓄熱装置を提供する。攪拌子が軽量であると、突起と容器の内表面との接触により生じる圧力が小さく、攪拌子の回転に伴う突起と容器の内表面との連続的な接触により生じる圧力変動が小さくなりやすい。第4態様によれば、攪拌子が軽量であっても、突起の面積が大きすぎず、突起と容器の内表面との接触により生じる圧力が大きい。これにより、十分な大きさの圧力変動を発生させることができ、結晶核の生成効率が高まる。その結果、より確実に、蓄熱材の結晶化を短期間で完了できる。
本開示の第5態様は、第1態様〜第4態様のいずれか1つの態様に加えて、前記攪拌子及び前記突起は、金属又は合金を含み、前記攪拌子は、前記攪拌子が回転する期間において、前記容器の内表面に接触せず、前記攪拌子及び前記突起の表面積の合計は、前記容器の内表面の面積の10%以上である、蓄熱装置を提供する。攪拌子及び突起が、金属又は合金を含み、攪拌子及び突起の表面積の合計が容器の内表面の面積の10%以上であると、蓄熱材の体積に比べて攪拌子及び突起の合計の体積が小さい場合でも、蓄熱材の相転移により発生する熱が特定の場所に集中しにくく蓄熱材の外部に放出されやすい。このため、蓄熱材の結晶化が進みやすい。また、攪拌子及び突起の表面積の合計が容器の内表面の面積の10%以上であるとき、攪拌子及び突起が大きな質量を有しやすい。このため、回転している攪拌子の回転力(慣性力)が蓄熱材の粘性力に勝り攪拌子が滑らかに回転しやすい。これにより、発生した結晶核が蓄熱材の全体に効率的に拡散する。このように、第5態様によれば、蓄熱材の体積に比べて攪拌子及び突起の合計の体積が小さい場合又は蓄熱材の粘度が比較的高い場合でも、蓄熱材の結晶化を短期間で完了できる。
本開示の第6態様は、第1態様〜第5態様のいずれか1つの態様に加えて、前記攪拌子は、板状であり、前記攪拌子の回転軸線は、前記攪拌子の重心及び前記突起の先端を通り、前記突起は、前記回転軸線に垂直な面で切ったときの断面積が前記先端に向かって縮小する部分を含み、前記回転軸線方向から前記攪拌子及び前記突起を見たときに、前記攪拌子と重ならない前記突起の部位は存在しない、蓄熱装置を提供する。換言すると、前記回転軸線方向から前記攪拌子及び前記突起を見たときに、前記突起の全ての部位が前記攪拌子と重なる。
本開示の第7態様は、第1態様〜第6態様のいずれか1つの態様に加えて、
前記攪拌子は、
前記攪拌子の回転軸線上に重心を有し、前記回転軸線の周りに配置された第一板と、
前記第一板の前記重心から離れた位置において前記第一板に固定され、前記第一板の主面に垂直な方向において前記第一板の厚みより大きい寸法を有する翼であって、前記攪拌子の回転方向において前記蓄熱材と接触している前面を有する翼と、を備え、
前記蓄熱装置は第一空間をさらに含み、
前記第一空間は、前記攪拌子の回転軸線方向において、前記容器の前記内表面と前記第一板との間に存在し、
前記攪拌子の前記回転軸線に最も近い前記翼の部位を第一の端と定め、前記攪拌子が回転するときに前記第一の端が描く軌跡を第一軌跡と定めるときに、
前記第一空間は、前記第一軌跡と前記突起との間に存在し、
前記攪拌子の回転により前記蓄熱材は前記第一空間を循環可能である、
蓄熱装置を提供する。
蓄熱材が結晶化するときには結晶化熱が発生する。このため、結晶核が発生する場所の近傍では蓄熱材の温度が上昇し、蓄熱材の結晶化が妨げられやすい。このため、速やかな蓄熱材の結晶化には結晶化熱が速やかに取り除かれることが望ましい。第7態様によれば、発生した結晶化熱が第一板を通って容器の外部に向かって伝わる。これにより、結晶化熱が速やかに取り除かれやすい。加えて、攪拌子が翼を備えるので、結晶核が容器の全体に速やかに散らばりやすい。さらに、第一軌跡と突起との間に第一空間が存在することにより、蓄熱材の結晶核が第一空間から第一空間の外部に散らばりやすいとともに、第一空間の外部の液体の蓄熱材が第一空間に導かれやすい。このため、攪拌子の回転に伴う突起と容器の内表面との連続的な接触により生成された結晶核は、結晶核の生成により発生した結晶化熱が第一板に放熱された状態で、第一空間の外部に散らばりやすい。このように、結晶核は、蓄熱材の凝固点から結晶核の温度を差し引いた温度差が大きい状態を維持したまま、第一空間の外部に散らばりやすい。その結果、第一空間の外部に散らばった結晶核によって、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第8態様は、第7態様に加えて、前記攪拌子の前記回転軸線と前記第一の端との距離は、前記攪拌子の前記回転軸線から最も離れた前記第一板の端と前記回転軸線との距離の40%〜100%である、蓄熱装置を提供する。第8態様によれば、第一空間が、攪拌子の回転による蓄熱材の循環の観点から望ましい容積を有しやすい。
本開示の第9態様は、第7態様又は第8態様に加えて、前記容器の前記内表面と前記第一板との最短距離は、前記第一板の前記厚みの2〜100倍である、蓄熱装置を提供する。第9態様によれば、第一空間が、攪拌子の回転による蓄熱材の循環の観点から望ましい容積を有しやすい。
本開示の第10態様は、第7態様〜第9態様のいずれか1つの態様に加えて、前記容器は、前記容器の前記内表面と向かい合っている対面を有し、前記攪拌子の回転軸線方向において、前記容器の前記内表面と前記第一板との距離は、前記容器の前記対面と前記第一板との距離よりも大きい、蓄熱装置を提供する。第10態様によれば、第一空間が、攪拌子の回転による蓄熱材の循環の観点から望ましい容積を有しやすい。加えて、容器の対面と第一板との距離が短いので、第一板が受け取った結晶化熱が容器の外部に放熱されやすい。
本開示の第11態様は、第7態様〜第10態様のいずれか1つの態様に加えて、前記攪拌子の前記回転軸線から最も遠い前記攪拌子の部位を第二の端と定め、前記攪拌子が回転するときに前記第二の端が描く軌跡を第二軌跡と定めるときに、前記容器の内部に配置され、かつ、前記回転軸線に垂直な方向において、前記第二軌跡の外側に配置された整流板であって、近位部及び前記近位部よりも前記第二軌跡から遠くに位置する遠位部を有する、整流板をさらに備えた蓄熱装置を提供する。第11態様によれば、攪拌子によって第一空間から送り出され、攪拌子の回転方向に流れている蓄熱材の流れが、整流板によって堰き止められ、第二軌跡から離れる方向に向かう。これにより、結晶核が容器の内部において第二軌跡から離れた位置に供給され、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。整流板の働きにより容器の内部において第二軌跡から離れた位置に供給された蓄熱材の一部は、容器の内側面に沿って流れ、攪拌子によって第一空間に導かれる。このように、蓄熱材が、容器の内部の全体にわたって循環しやすい。その結果、攪拌子に対して容器の内部空間が比較的大きい場合でも、容器の内部において結晶核が第二軌跡から離れた位置に散らばりやすく、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第12態様は、第11態様に加えて、前記容器は、前記容器の前記内表面の端から前記攪拌子の前記回転軸線に沿って延びて前記攪拌子を囲んでいる内側面を有し、前記整流板は、前記内側面から離れて位置しており、前記第二軌跡と前記整流板との最短距離は、前記容器の前記内側面と前記整流板との最短距離よりも小さい、蓄熱装置を提供する。第12態様によれば、第二軌跡と整流板との最短距離が小さいため、攪拌子と整流板との間隙において蓄熱材の流動抵抗が大きい。このため、攪拌子によって第一空間から送り出された蓄熱材は、整流板に沿って流れ、容器の内側面と整流板との間隙に流れ込みやすい。これにより、蓄熱材が、整流板及び容器の内側面を沿って流れ、さらに攪拌子によって第一空間に導かれやすい。このように、蓄熱材が、容器の内部の全体にわたって循環しやすい。
本開示の第13態様は、第11態様又は第12態様に加えて、前記容器は、前記容器の前記内表面と向かい合っている対面を有し、前記整流板は、前記蓄熱材が有する熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料でできており、前記整流板は、前記容器の前記内表面及び前記対面に接触している、蓄熱装置を提供する。容器の内部の全体に拡散した結晶核が新たな結晶核の生成を促すことにより、結晶が成長する。結晶の成長により発生する結晶化熱は容器の外部に放熱される必要がある。第13態様によれば、整流板が、蓄熱材が有する熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料でできており、容器の内表面及び容器の対面に接触しているので、蓄熱材の結晶の成長により発生する結晶化熱が容器の外部に放熱されやすく、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第14態様は、第11態様〜第13態様のいずれか1つの態様に加えて、前記整流板の前記遠位部は、前記攪拌子の回転方向に湾曲している、蓄熱装置を提供する。第14態様によれば、第二軌跡から離れた位置において、蓄熱材の流れが遠位部に沿って攪拌子の回転方向に流れるので、整流板の働きにより容器の内部において第二軌跡から離れた位置に供給された蓄熱材の一部が第一空間に向かって流れやすい。これにより、第一空間において蓄熱材が循環しやすい。
本開示の第15態様は、第11態様〜第14態様のいずれか1つの態様に加えて、前記容器の前記内表面は、短辺の2倍以上の長辺を有する長方形状であり、前記近位部は前記内表面の前記長辺に沿って延びている、蓄熱装置を提供する。第15態様によれば、容器の内表面が短辺の2倍以上の長辺を有する長方形状であっても、整流板の近位部が容器の内表面の長辺に沿って延びているので、結晶核を含む蓄熱材が容器の隅に供給されやすく、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第16態様は、第11態様〜第14態様のいずれか1つの態様に加えて、前記容器の前記内表面は、短辺の2倍未満の長辺を有する長方形状、正方形状、又は円状であり、放射状に配置された複数の前記整流板を備えた、蓄熱装置を提供する。第16態様によれば、容器の内表面の縦横比が低い場合において、放射状に配置された複数の整流板によって、容器の内部の全体において、第二軌跡から離れた位置に結晶核を含む蓄熱材が供給されやすい。このため、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第17態様は、第11態様〜第14態様のいずれか1つの態様に加えて、前記整流板は、前記第二軌跡に向かって開口しており、かつ、前記遠位部において湾曲しているU字状の形状を有する、蓄熱装置を提供する。第17態様によれば、攪拌子によって第一空間から送り出された蓄熱材が整流板に沿って流れて第二軌跡から離れるとともに、遠位部近傍の蓄熱材が整流板に沿って流れて第二軌跡に近づく。これにより、蓄熱材が、第一空間と遠位部の近傍との間において循環しやすい。その結果、容器の全体において蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第18態様は、第7態様〜第9態様のいずれか1つの態様に加えて、
前記容器は、前記容器の前記内表面と向かい合っている対面を有し、
前記攪拌子は、前記攪拌子の前記回転軸線上に重心を有し、前記攪拌子の回転軸線方向における前記対面と前記第一板との間で前記回転軸線の周りに配置された第二板をさらに備え、
前記第一板は、第一貫通孔を有し、
前記第二板は、第二貫通孔を有する、
蓄熱装置を提供する。
第18態様によれば、結晶核の生成により発生した結晶化熱が第一板に加えて、第二板を通って容器の外部に向かって伝わるので、容器の内表面と容器の対面との距離が比較的大きい場合でも、結晶化熱が速やかに取り除かれやすい。加えて、攪拌子の回転に伴う突起と容器の内表面との連続的な接触により生成された結晶核の一部は、第一貫通孔、場合によっては第二貫通孔を通って、攪拌子の回転軸線方向に移動しやすい。これにより、容器の内表面と容器の対面との距離が比較的大きい場合に、攪拌子の回転軸線方向における容器の対面と第一板との間でも、結晶核が容器の全体に散らばりやすい。その結果、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第19態様は、第18態様に加えて、前記攪拌子の前記回転軸線から最も遠い前記攪拌子の部位を第二の端と定め、前記攪拌子が回転するときに前記第二の端が描く軌跡を第二軌跡と定めるときに、前記第二軌跡の外側に位置するとともに、前記攪拌子の回転軸線方向に前記容器の内部空間を仕切る仕切りをさらに備えた、蓄熱装置を提供する。第19態様によれば、仕切りによって仕切られた複数の空間のうち、回転軸線方向において第一板よりも容器の対面に近い空間において、第一貫通孔、場合によっては第二貫通孔を通って攪拌子の回転軸線方向に移動した結晶核の対流が生じる。これにより、結晶核が容器の全体に散らばりやすい。その結果、容器の全体において蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
本開示の第20態様は、第19態様に加えて、前記仕切りによって仕切られた各空間に配置され、それぞれ、近位部及び前記近位部よりも前記第二軌跡から遠くに位置する遠位部を有する、複数の整流板をさらに備えている、蓄熱装置を提供する。第20態様によれば、仕切りによって仕切られた各空間において、結晶核が第二軌跡から離れた位置に供給されやすく、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明は本開示の蓄熱装置を例示的に説明するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1A及び図1Bに示す通り、第1実施形態に係る蓄熱装置1aは、蓄熱材20と、容器30と、攪拌子12と、突起15とを備えている。蓄熱材20は、容器30の内部に位置している。攪拌子12は、容器30の内部に位置し、蓄熱材20と接触するとともに、回転することによって蓄熱材20を攪拌させる。図1Bに示す通り、突起15は、攪拌子12から突出している。換言すると、突起15は、攪拌子12に接続されている。突起15は、攪拌子12の回転に伴って回転する。突起15は、攪拌子12が回転する期間に、蓄熱材20に接触している容器30の内表面に連続的に接触する。この場合、典型的には突起15の先端が容器30の内表面に連続的に接触する。
典型的には、蓄熱材20は潜熱蓄熱材であり、蓄冷装置1aは液相の蓄熱材20を結晶化させることによって冷熱を蓄える。蓄冷装置1aでは、例えば、蓄熱材20に冷熱を潜熱として蓄える場合に攪拌子12が回転する。攪拌子12が回転する期間に、攪拌子12から突出している突起15が蓄熱材20に接触している容器30の内表面に連続的に接触する。これにより、攪拌子12の重量と回転加速度の積である慣性力が発生し、蓄熱材20が攪拌される。これにより、蓄熱材20の対流が引き起こされる。また、攪拌子12とともに回転する突起15と容器30の内表面との接触により、突起15の先端表面の微小な(例えば、nmオーダーの)凹凸及び容器30の内表面の微小な(例えば、nmオーダーの)凹凸との間に形成される微小な隙間の大きさが変動し、経時的な圧力変動が発生する。この圧力変動により、蓄熱材20の微小な結晶核が連続的に生成される。連続的に生成された微小な結晶核は攪拌子12の回転に伴う攪拌作用により蓄熱材20の全体に速やかに拡散する。拡散した結晶核によって連鎖反応的に新たな結晶核の生成が促される。このため、容器30の内部の蓄熱材20全体に拡散した微小な結晶核を起点として同時多発的に結晶化が進行する。すなわち、1つの微結晶が成長する距離が短くなる。これにより、蓄熱材20の過冷却が解除されると同時に速やかに蓄熱材20の結晶化が完了し、蓄冷に必要な時間を短くできる。例えば、1分程度の短期間で蓄熱材20の結晶化を完了できる。
都市部における交通信号機による自動車の停止は自動車が動き出してから1分程度で起こり得る。このため、蓄熱装置1aを自動車に搭載してアイドリングストップ時の車室の冷房に利用する場合、蓄熱装置1aは1分以内に蓄熱材20の結晶化を完了できることが望ましい。
攪拌子12は、例えば、容器30の外部で生じた物理的変化に従い、攪拌子12の回転の開始、攪拌子12の回転の停止、及び攪拌子12の回転速度の変更を生じさせる。
図1A及び図1Bに示す通り、攪拌子12には回転軸11が接続されている。回転軸11は、攪拌子12の回転軸線方向に延びている。回転軸11の端部に攪拌子12が固定されている。回転軸11は、その一部が容器30に定められた貫通孔の内部に配置された状態で容器30の外部まで延びている。回転軸11は、モータ(図示省略)に連結されており、モータの作動に伴い回転する。この場合、モータの回転の開始、モータの回転の停止、及びモータの回転数の変更のそれぞれが容器30の外部で生じた物理的変化に相当する。
容器30の形態は、特に制限されないが、典型的には、容器30は、蓄熱材20に対して良好な耐食性を有する金属、合金、又は樹脂でできた密閉容器である。容器30の形状は、例えば、塊状、板状、又はシート状である。容器30の内容積に対して容器30の内表面の面積が大きいと、蓄熱材20が蓄冷材として機能する場合に、蓄冷又は放冷の応答性を向上させることができる。
容器30の材料は、望ましくは、アルミニウム、銅、及びステンレスなどの良好な熱伝導性を有する金属である。容器30の材料は、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、及びポリプロピレン(PP)樹脂等の良好な耐腐食性を有する樹脂であってもよい。また、容器30は、アルミニウム箔と樹脂フィルムとが積層された積層フィルム等の可撓性の材料によって形成されていてもよい。
例えば、自動車のアイドリングストップ時の車室の冷房のために蓄熱装置1aを利用する場合、蓄熱材20への蓄熱及び蓄熱材20からの放熱からなるサイクルが短期間で繰り返される必要がある。しかし、多くの場合、蓄熱材20の熱伝導率は低い。このため、蓄熱材20から放出される熱が速やかに容器30の外部に放出されるように容器30の形状及び寸法が定められていることが望ましい。例えば、蓄熱材20が固体状態であるときに、蓄熱材20の厚みは、望ましくは5mm以下、より望ましくは3mm以下、さらに望ましくは2mm以下である。例えば、蓄熱材20の厚みの望ましい値に見合うように、容器30の特定方向の寸法が定められている。例えば、図1Bに示す通り、攪拌子12の回転軸線に平行な方向における容器30の内表面の寸法は、攪拌子12の回転軸線に垂直な方向における容器30の内表面の寸法よりも小さい。なお、容器30の内部の蓄熱材20は、容器30の内部おいて伝熱促進のためのフィンを配置することによって望ましい厚みを有する複数の薄い蓄熱材20に区分けされてもよい。
攪拌子12の形状は、例えば平面又は曲面を有する板状、棒状、又は複数枚の羽根を有する形状であり、攪拌子12は、望ましくは容器30の内部で蓄熱材20を効果的に攪拌できる形状を有する。攪拌子12は、例えば、伝熱フィンのような長方形状の薄板、長方形状の薄板の一部を折り曲げた形状、又はこれらが連結された形状であってもよい。攪拌子12の回転軸線は、攪拌子12の重心及び突起15の先端を通っていてもよい。突起15は、回転軸線に垂直な面で切ったときの断面積が先端に向かって縮小する部分を含んでいてもよい。突起15の形状は、円錐形状であってもよいし、テーパー形状であってもよい。攪拌子12及び突起15は、回転軸線方向からを見たときに、攪拌子12と重ならない突起15の部位は存在しないように構成されていてもよい。攪拌子12が回転する期間に、突起15の先端は、容器30の内表面と点接触することが望ましい。
容器30の内部に収容可能な蓄熱材20の容量を高め、かつ、攪拌子12の伝熱性を高める観点から、攪拌子12は、望ましくは、薄肉で大きな表面積を有し、又は、多くの羽根を有する。
攪拌子12及び突起15の材料は、容器30と同一種類の材料であってもよいし、異なる種類の材料であってもよい。攪拌子12及び突起15の材料は、望ましくは良好な熱伝導性を有する材料であるが、攪拌子12及び突起15は、場合によっては、ガラス、セラミック、樹脂、又はゴムでできていてもよい。上記の通り、突起15は容器30の内表面に接触するので、容器30の材料の種類及び突起15の材料の種類の組み合わせとして、突起15又は容器30において腐食が発生しにくい材料が選択されることが望ましい。この場合、例えば、突起15が腐食しにくい材料でできている。蓄冷のために短期間で蓄熱材20の結晶化を完了させる場合、蓄熱材20の結晶化に伴い発生する熱が特定の場所に集中することを防止しつつその熱を容器30の外部に放出する必要がある。このため、攪拌子12及び突起15の形状及び材料は、望ましくは、良好な熱伝導性が発揮されるように決定される。
攪拌子12が軽量であると、突起15と容器30の内表面との接触により生じる圧力が小さく、攪拌子12の回転に伴う突起15と容器30の内表面との連続的な接触により生じる圧力変動が小さくなりやすい。このため、例えば、攪拌子12の回転軸線に垂直な面に対して、攪拌子12及び突起15をそれぞれ回転軸線に平行な方向に射影して得られる射影の面積をP1及びP2と表したときに、望ましくは、P2がP1の90%以下である。この場合、攪拌子12が軽量であっても、突起15の面積が大きすぎず、突起15と容器30の内表面との接触により生じる圧力が大きい。これにより、十分な大きさの圧力変動を発生させることができ、蓄熱材20の結晶核の生成効率が高まる。その結果、より確実に、蓄熱材20の結晶化を短期間で完了できる。
攪拌子12が回転し始めると蓄熱材20の微小な結晶核が生成される。蓄熱材20の攪拌による対流で微小な結晶核が容器30の内部に拡散し、拡散した微小な結晶核が新たな結晶核の生成を誘発する。容器30の内部に拡散した結晶核のそれぞれが成長して合一化し、最終的には多結晶体になると考えられる。蓄熱材20の結晶化の際には相転移熱が発生する。相転移熱が発生する場所の近傍では蓄熱材20の温度が上昇し、蓄熱材20の結晶化が妨げられやすい。このため、速やかな蓄熱材20の結晶化には相転移熱の除熱が必要である。
蓄熱材20の結晶化が始まると蓄熱材20の粘度が上昇するので、攪拌子12の回転が停止し、微小な結晶核の拡散も停止する。容器30の内部の蓄熱材20の全体にわたって微小な結晶核が拡散しなかった場合、結晶化が逐次的に進むので蓄熱材20の結晶化の完了に長期間を要する。過冷却解除と同時に速やかに結晶化を完了させるためには、攪拌子12の回転に伴う突起15と容器30の内表面との接触により発生した微小な結晶核を蓄熱材20の攪拌及び対流によって短期間に蓄熱材20の全体に拡散する必要がある。蓄熱材20の粘度が比較的高くても攪拌子12による攪拌により容器30の内部の蓄熱材20の全体が澱みなく対流するためには、攪拌子12の大きさは容器30の寸法に対して所定の大きさの関係を満たしていることが望ましい。
例えば、攪拌子12及び突起15は、望ましくは、金属又は合金を含むとともに、攪拌子12は、攪拌子12が回転する期間において、容器30の内表面に接触せず、攪拌子12及び突起15の表面積の合計は、容器30の内表面の面積の10%以上である。攪拌子12及び突起15が、金属又は合金を含み、攪拌子12及び突起15の表面積の合計が容器30の内表面の面積の10%以上であると、蓄熱材20の体積に比べて攪拌子12及び突起15の合計の体積が小さい場合でも、蓄熱材20の相転移により発生する熱が特定の場所に集中することを防止しやすく、その熱が蓄熱材20の外部に放出されやすい。このため、蓄熱材20の結晶化が進みやすい。また、攪拌子12及び突起15の表面積の合計が容器30の内表面の面積の10%以上であると、攪拌子12及び突起15が大きな質量を有しやすい。このため、回転している攪拌子12及び突起15の回転力(慣性力)が蓄熱材20の粘性力に勝り攪拌子12及び突起15が滑らかに回転しやすい。これにより、発生した結晶核が蓄熱材20の全体に効率的に拡散する。このため、蓄熱材20の体積に比べて攪拌子12及び突起15の合計の体積が小さい場合又は蓄熱材20の粘度が比較的高い場合でも、蓄熱材20の結晶化を短期間で完了できる。
容器30の内部には複数の攪拌子12が配置されていてもよい。このことは、蓄熱材20の効率的な攪拌及び対流からは有利であるが、蓄熱装置1aの製造コストを上昇させる。このため、容器30の内部に単数の攪拌子12を配置して蓄熱材20の効率的な攪拌及び対流を生じさせることが望ましい。
突起15の表面粗さは、攪拌子12の他の部分の表面粗さと異なっていてもよいし、又は、突起15に接触する容器30の内表面の表面粗さは容器30の他の部分の表面粗さと異なっていてもよい。突起15の表面又は突起15に接触する容器30の内表面は、相対的に大きな表面粗さを有していてもよい。これにより、突起15と容器30の内表面が接触する際の圧力及び摩擦力を変動させやすい。突起15の表面又は突起15に接触する容器30の内表面の表面粗さRaは、特に限定されないが、例えば0.01μm〜100μmであり、望ましくは0.1μm〜100μmであり、より望ましくは1.0μm〜100μmである。なお、表面粗さRaは、日本工業規格(JIS)B 0601に定められた算術平均粗さを意味する。表面粗さを大きくする方法としては、例えば、セラミック微粒子を表面に吹き付けて物理的に表面を粗面化するサンドブラスト法又は表面を薬液に浸して化学的に表面を浸食するウエットエッチング法等の方法が挙げられる。
突起15の面積を小さくするほど突起15と容器30の内表面との接触圧が大きくなる。この場合、攪拌子12が回転する期間に発生する圧力変動が大きくなるので、蓄熱材20の過冷却の解除に有効である。一方、突起15と容器30の内表面との接触圧が大きすぎると、攪拌子12の回転のために過大なエネルギーが必要になることに加えて、容器30の内表面の磨耗及び容器30の壁の穿孔が起こる可能性がある。このため、突起15の面積は、これらの点を踏まえて適切な範囲に定められていることが望ましい。攪拌子12及び突起15をそれぞれ回転軸線に平行な方向に射影して得られる射影の面積をP1及びP2と表したときに、P2は、例えばP1の0.01%〜50%であり、望ましくはP1の0.1%〜10%である。
一般的に、蓄熱材の過冷却度が大きい程、蓄熱材の過冷却を解除しやすく、蓄熱材の結晶化速度も速い。しかし、冷房用途に蓄熱材に冷熱を蓄える場合に、蓄熱材の過冷却度を大きくとることは冷熱を発生させるための冷凍サイクルのコンプレッサーの動力コストを増加させる。このため、蓄熱材20の過冷却度は、例えば10K以下であり、望ましくは8K以下であり、より望ましくは7K以下である。蓄熱材20の過冷却度が小さいほど、コンプレッサーの動作に要するコストを低減できる。なお、本明細書において過冷却度とは、蓄熱材の凝固点から過冷却状態の蓄熱材の温度を差し引いた差を意味する。
蓄熱材20は、特に制限されないが、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)と水との混合物、テトラヒドロフラン(THF)と水との混合物、シクロペンタンと水との混合物、クラスレートハイドレートを形成可能な物質と水との別の混合物、クラスレートハイドレート以外の水和物を形成可能な水和塩、又は水単体である。なお、クラスレートハイドレート(包接水和物)とは、水分子が作る分子規模のかご構造の中に疎水性相互作用により様々なゲスト分子が入り込んだ包接化合物の総称である。ゲスト分子とは、水分子が作る「かご構造」の中に収まって安定化する分子を意味する。蓄熱材20は、例えば、冷房に適した温度範囲、暖房に適した温度範囲、又は冷凍に適した温度範囲に属する融点を有する。蓄熱材20は、安価で入手可能な材料であることが望ましい。蓄熱材20は、単一の種類の蓄熱材料であってもよく、2種類以上の蓄熱材料を含んでいてもよい。また、蓄熱材20はガスを含んでいてもよい。蓄熱材20がガスを含むことにより、蓄熱材20の潜熱量を増加させることができる場合がある。
蓄熱材20は、各種の添加剤を含んでいてもよい。蓄熱材20に含まれる添加剤の例としては、防腐剤、防錆剤、粘度調整剤、整泡剤、酸化防止剤、脱泡剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、粘着付与剤、硬化触媒、安定剤、シランカップリング剤、及びワックスが挙げられる。蓄熱材20には、これらの添加剤が単独で含まれていてもよいし、2種類以上の添加剤の組み合わせが含まれていてもよい。蓄熱材20に含まれる添加剤の種類及び含有量は特に制限されない。
蓄熱材20がクラスレートハイドレートを形成可能な材料である場合、蓄熱材20は例えば以下のように調製できる。まず、容器に入れた純水又はイオン交換水にクラスレートハイドレートを形成するためのゲスト物質を純水又はイオン交換水を攪拌しながら所定量まで徐々に加え、純水又はイオン交換水とゲスト物質とを十分に混合する。必要に応じて、上記の添加剤を、ゲスト物質と同時に、ゲスト物質に先立って、又はゲスト物質に続いて、純水又はイオン交換水に加えて、混合及び/又は攪拌してもよい。このようにして、蓄熱材20を調製できる。また、ゲスト物質と上記の添加剤とを予め混合した容器に純水又はイオン交換を供給する方法によっても蓄熱材20を調製できる。ゲスト物質及び添加剤を加える順序は特に制限されない。また、ゲスト物質又は添加剤の溶解又は分散を促進するために所定の温度に加熱して蓄熱材20を調製してもよい。この場合、ゲスト物質又は添加剤が化学的に分解することがないように加熱処理が行われる。
(変形例)
蓄熱装置1aは、図2A及び図2Bに示す蓄熱装置1bのように変更されてもよい。蓄熱装置1bは、特に説明する場合を除き蓄熱装置1aと同様に構成されている。蓄熱装置1aの構成要素と同一又は対応する蓄熱装置1bの構成要素には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。蓄熱装置1aに関する説明は技術的に矛盾しない限り蓄熱装置1bにもあてはまる。
図2A及び図2Bに示す通り、蓄熱装置1bにおける攪拌子12は、磁性体を含むとともに容器30の外部から隔絶して配置されており、容器30の外部で発生した磁界の変化により回転する。この場合、容器30の外部で発生した磁界の変化が容器30の外部で生じた物理的変化に相当する。容器30の外部には磁界の変化を生じさせるマグネチックコントローラ(図示省略)が配置されている。マグネチックコントローラは、例えば、永久磁石及び永久磁石を回転させるモータを含んで構成されていてもよいし、電磁誘導により磁場を発生させる機構(コイル等)を含んで構成されていてもよい。蓄熱装置1bによれば、容器30の外部で発生した動力を攪拌子12に伝達する機構が不要であり、例えば、容器30の内部の密閉性を高めやすい。また、蓄熱装置1bの構造を簡素にできるので、蓄熱装置1bの製造コストが低い。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る蓄熱装置1cについて説明する。第2実施形態は、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様に構成される。第1実施形態に係る蓄熱装置1aの構成要素のうち同一又は対応する蓄熱装置1cの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。第1実施形態及びその変形例に関する説明は、技術的に矛盾しない限り第2実施形態にもあてはまる。
図3A及び図3Bに示す通り、蓄熱装置1cの攪拌子12は、第一板12aと、翼12bとを備えている。第一板12aは、攪拌子12の回転軸線上に重心を有し、その回転軸線の周りに配置されている。翼12bは、第一板12aの重心から離れた位置において第一板12aに固定され、第一板12aの主面に垂直な方向において第一板12aの厚みより大きい寸法を有する。加えて、翼12bは、攪拌子12の回転方向において蓄熱材20と接触している前面Fを有する。蓄熱装置1cは第一空間S1をさらに含む。第一空間S1は、攪拌子12の回転軸線方向において、容器30の内表面30aと第一板12aとの間に存在する。第一空間S1は、第一軌跡L1と突起15との間に存在する。第一軌跡L1は、攪拌子12の回転軸線に最も近い翼12bの部位を第一の端と定め、攪拌子12が回転するときに第一の端が描く軌跡である。蓄熱材20が液体であるときに攪拌子12の回転により蓄熱材20は第一空間S1を循環可能である。
蓄熱装置1cにおいて、結晶核の発生により生じた結晶化熱は第一板12aを通って容器30の外部に向かって伝わる。これにより、結晶化熱が速やかに取り除かれやすい。加えて、攪拌子12が翼12bを備えるので、結晶核が容器30の全体に速やかに散らばりやすい。さらに、第一軌跡L1と突起15との間に第一空間S1が存在することにより、蓄熱材20の結晶核が第一空間S1から第一空間S1の外部に散らばりやすいとともに、第一空間S1の外部の液体の蓄熱材20が第一空間S1に導かれやすい。このため、攪拌子12の回転に伴う突起15と容器30の内表面30aとの連続的な接触により生成された結晶核は、結晶核の生成により発生した結晶化熱が第一板12aに放熱された状態で、第一空間S1の外部に散らばりやすい。これにより、結晶核は、過冷却度を大きく維持した状態で、第一空間S1の外部に散らばりやすい。その結果、第一空間S1の外部に散らばった結晶核によって、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。
第一板12aが攪拌子12の回転軸線上に重心を有する限り、第一板12aの形状は、特に制限されず、例えば、円板状、楕円板状、又は矩形板状等の多角板状であってもよい。第一板12aの厚みは、例えば、0.5〜2.0mmである。これにより、第一板12aが適切な強度を有するとともに、攪拌子12が回転するときに第一板12aが蓄熱材20から受ける抵抗の大きさが小さい。第一板12aが攪拌子12の回転軸線の周りに配置されている限り、第一板12aの配置は特定の配置に制限されないが、例えば、第一板12aは、攪拌子12の回転軸線に垂直な方向に延びている。この場合、攪拌子12が回転するときに第一板12aが蓄熱材20から受ける抵抗の大きさが小さく、攪拌子12を回転させるために必要な動力が少ない。
第一板12aは、典型的には良好な熱伝導性を有する材料によってできている。第一板12aは、例えば、20℃において10〜190W/(mK)以上の熱伝導率を有する材料でできている。第一板12aは、例えば、アルミニウム、銅、及びステンレス等の金属又は合金でできている。
翼12bの形状は、特定の形状に限定されず、例えば、棒状、板状、又は羽根状である。翼12bの形状は、攪拌子12の回転により蓄熱材20に対して高い攪拌効果を発揮できる形状であることが望ましい。翼12bの形状は、例えば、伝熱用のフィンのような、長方形状の薄板又は長方形状の薄板を折り曲げた形状であってもよい。蓄熱材20が占める容積を大きくし、かつ、伝熱性を高める観点から、翼12bの形状は、小さい厚みを有し、かつ、大きな表面積を有する形状であることが望ましい。攪拌子12における翼12bの数(図3Aでは4つ)は、特に制限されず、蓄熱材20の攪拌効率、翼12bの伝熱性、及び製造コストの観点から適切に決定される。攪拌子12における翼12bの数が複数である場合、複数の翼12bは、例えば、攪拌子12の回転軸線周りに均等に配置される。
翼12bは、容器30の材料と同一種類の材料でできていてもよいし、容器30の材料とは異なる種類の材料でできていてもよい。翼12bは、望ましくは、良好な熱伝導性を有する材料でできている。翼12bは、例えば、ガラス、セラミック、樹脂、又はゴムでできていてもよい。翼12bは、磁性材料と非磁性材料との組み合わせ等の2種類以上の材料の組み合わせによってできていてもよい。第一板12aの材料と翼12bの材料とが異なる場合、第一板12aの材料と翼12bの材料との組み合わせは、第一板12aと翼12bとの境界において腐食の発生を抑制可能な組み合わせであることが望ましい。
蓄熱材20の結晶化を短期間で完了するためには結晶化熱を速やかに取り除くことが有効である。このため、翼12bの形状及び材料は、熱伝導性を重視して決定することが望ましい。
攪拌子12の回転軸線と攪拌子12の第一の端との距離は、例えば、攪拌子12の回転軸線から最も離れた第一板12aの端と回転軸線との距離の40%〜100%である。これにより、第一空間S1が、攪拌子12の回転による蓄熱材20の循環の観点から望ましい容積を有しやすい。
容器30の内表面30aと第一板12aとの最短距離は、例えば、第一板12aの厚みの2〜100倍である。これにより、第一空間S1が、攪拌子12の回転による蓄熱材20の循環の観点から望ましい容積を有しやすい。
図3Bに示す通り、容器30は、容器30の内表面30aと向かい合っている対面30bを有する。攪拌子12の回転軸線方向において、容器30の内表面30aと第一板12aとの距離は、例えば、容器30の対面30bと第一板12aとの距離よりも大きい。この場合、第一空間S1が、攪拌子12の回転による蓄熱材20の循環の観点から望ましい容積を有しやすい。加えて、容器30の対面30bと第一板12aとの距離が短いので、第一板12aが受け取った結晶化熱が容器30の外部に放熱されやすい。
蓄熱装置1cにおいて、攪拌子12は、例えば、容器30の内表面30aの中央に配置されている。攪拌子12は、容器30の内表面30aの中心から離れた位置に配置されていてもよい。
(変形例)
蓄熱装置1cは、様々な観点から変更可能である。例えば、蓄熱装置1cは、図4A〜図10Bに示す通り、蓄熱装置1d〜1jのように変更されてもよい。蓄熱装置1d〜1jは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1cと同様に構成される。蓄熱装置1cの構成要素と同一又は対応する蓄熱装置1d〜1jの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図4A及び図4Bに示す通り、蓄熱装置1dは、整流板16をさらに備えている。整流板16は、容器30の内部に配置され、かつ、攪拌子12の回転軸線に垂直な方向において、第二軌跡L2の外側に配置されている。第二軌跡L2は、攪拌子12の回転軸線から最も遠い攪拌子12の部位を第二の端と定めたときに、攪拌子12が回転するときに第二の端が描く軌跡である。整流板16は、近位部16a及び遠位部16bを有する。遠位部16bは、近位部16aよりも第二軌跡L2から遠くに位置する。
蓄熱装置1dにおいて、蓄熱材20に冷熱を蓄えるために攪拌子12が回転する場合、攪拌子12によって第一空間S1から送り出され、攪拌子12の回転方向に流れている蓄熱材20の流れは、整流板16によって堰き止められる。その後、蓄熱材20は、整流板16に沿って第二軌跡L2から離れる方向に流れる。このような蓄熱材20の流れに伴う結晶核の対流により、結晶核が容器30の内部において第二軌跡L2から離れた位置に供給される。このため、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。整流板16の働きにより容器30の内部において第二軌跡L2から離れた位置に供給された蓄熱材20の一部は、容器30の内側面に沿って流れ、攪拌子12によって第一空間S1に導かれる。このように、蓄熱材20が、容器30の内部の全体にわたって循環しやすい。その結果、攪拌子12に対して容器30の内部空間が比較的大きい場合でも、容器30の内部において結晶核が第二軌跡L2から離れた位置に散らばりやすく、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。
整流板16の遠位部16bは、例えば、攪拌子12の回転方向に湾曲している。これにより、第二軌跡L2から離れた位置において、蓄熱材20の流れが遠位部16bに沿って攪拌子12の回転方向に流れる。このため、整流板16の働きにより容器30の内部において第二軌跡L2から離れた位置に供給された蓄熱材20の一部が第一空間S1に向かって流れやすい。これにより、第一空間S1において蓄熱材20が循環しやすい。
蓄熱装置1dは、例えば、一対の整流板16を備える。攪拌子12は、例えば、一対の整流板16の間に配置されている。
蓄熱装置1dにおいて、容器30は、典型的には内側面30cを有する。内側面30cは、容器30の内表面30aの端から攪拌子12の回転軸線に沿って延びて攪拌子12を囲んでいる。整流板16は、例えば、内側面30cから離れて位置している。第二軌跡L2と整流板16との最短距離は、例えば、容器30の内側面30cと整流板16との最短距離よりも小さい。この場合、第二軌跡L2と整流板16との最短距離が小さいため、攪拌子12と整流板16との間隙において蓄熱材20の流動抵抗が大きい。このため、攪拌子12によって第一空間S1から送り出された蓄熱材は、整流板16に沿って流れ、容器30の内側面30cと整流板16との間隙に流れ込みやすい。これにより、蓄熱材20が、整流板16及び容器30の内側面30cを沿って流れ、さらに攪拌子12によって第一空間S1に導かれやすい。このように、蓄熱材20が、容器30の内部の全体にわたって循環しやすい。
蓄熱装置1dにおいて、容器30は、典型的には、容器の内表面30aと向かい合っている対面30bを有する。整流板16は、典型的には、蓄熱材20が有する熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料でできている。加えて、整流板16は、容器30の内表面30a及び対面30bに接触している。このため、蓄熱材20の結晶の成長により発生する結晶化熱が容器30の外部に放熱されやすく、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。
整流板16は、例えば、20℃において15W/(mK)以上の熱伝導率を有する材料でできている。整流板16は、例えば、アルミニウム、銅、及びステンレス等の金属又は合金でできている。
蓄熱装置1dにおいて、容器30の内表面30aは、例えば、短辺の2倍以上の長辺を有する長方形状である。この場合、整流板16の近位部16aは、内表面30aの長辺に沿って延びている。これにより、結晶核を含む蓄熱材が容器30の隅に供給されやすく、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
蓄熱装置1eは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1dと同様に構成されている。図5A及び図5Bに示す通り、蓄熱装置1eは、一対の整流板16に加えて、一対の邪魔板17を備えている。一対の邪魔板17のそれぞれは、第一端及び第二端を有する。邪魔板17の第一端は第二軌跡L2の近傍に位置し、邪魔板17の第二端は容器30の内側面30cに接触している。一対の整流板16及び一対の邪魔板17は、例えば、攪拌子12の回転方向において整流板16と邪魔板17とが交互に現れるように配置されている。蓄熱装置1eにおいて、攪拌子12は、例えば、内表面30aの中央に配置されている。
蓄熱装置1fは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1eと同様に構成されている。図6A及び図6Bに示す通り、蓄熱装置1fにおいて、攪拌子12は、例えば、内表面30aの一対の短辺の一方に片寄って配置されている。さらに、内表面30aの長辺に平行な方向において、内表面30aの一対の短辺の一方と攪拌子12との間に配置された整流板16の寸法は、内表面30aの一対の短辺の他方と攪拌子12との間に配置された整流板16の寸法よりも小さい。
蓄熱装置1dは、容器30の内表面30aが短辺の2倍未満の長辺を有する長方形状、正方形状、又は円状であり、放射状に配置された複数の整流板16を備えるように変更されてもよい。この場合、容器30の内表面30aの縦横比が低い場合において、放射状に配置された複数の整流板16によって、容器30の内部の全体において、第二軌跡L2から離れた位置に結晶核を含む蓄熱材が供給されやすい。このため、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
蓄熱装置1gは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1dと同様に構成されている。図7A及び図7Bに示す通り、蓄熱装置1gにおいて、容器30の内表面30aは正方形状である。蓄熱装置1gは、放射状に配置された複数(図7Aでは4つ)の整流板16を備えている。なお、図7Bにおいて、説明の便宜のために一部の整流板16を省略して描いている。整流板16は、第二軌跡L2の近傍から容器30の内表面30aの対角線に沿って延びており、かつ、容器30の内側面30cの近傍において攪拌子12の回転方向に湾曲し内側面30cに沿って延びている。整流板16は、例えば、整流板16の内側面30cに沿って延びている部分にスリットを有する。
蓄熱装置1hは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1dと同様に構成されている。図8A及び図8Bに示す通り、蓄熱装置1hにおいて、容器30の内表面30aは円状である。蓄熱装置1hは、放射状に配置された複数(図8Aでは4つ)の整流板16を備えている。なお、図8Bにおいて、説明の便宜のために一部の整流板16を省略して描いている。
蓄熱装置1iは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1dと同様に構成されている。図9A及び図9Bに示す通り、蓄熱装置1iにおいて、整流板16は、第二軌跡L2に向かって開口しており、かつ、遠位部16bにおいて湾曲しているU字状の形状を有する。攪拌子12によって第一空間S1から送り出された蓄熱材20が整流板16に沿って流れて第二軌跡L2から離れるとともに、遠位部16bの近傍の蓄熱材が整流板16に沿って流れて第二軌跡L2に近づく。これにより、蓄熱材20が、第一空間S1と遠位部16bの近傍との間において循環しやすい。また、蓄熱材20中に熱伝導性の良い整流板16が密に存在するので、結晶化熱が除去されやすい。その結果、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。
蓄熱装置1iは、例えば、複数の整流板16を備える。複数の整流板16は、例えば、第一整流板16p及び第二整流板16sを含む。第二整流板16sは、第一整流板16pの内側に配置されている。この場合、蓄熱装置1iは、第一整流板16pと第二整流板16sとの間にU字状の流路を有する。
蓄熱装置1iは、例えば、少なくとも一対の整流板16を備え、一対の整流板16は互いに反対方向に開口している。攪拌子12は、一対の整流板16の間に配置されている。
蓄熱装置1jは、特に説明する場合を除き、蓄熱装置1dと同様に構成されている。図10A及び図10Bに示す通り、蓄熱装置1jにおいて、容器30は、容器30の内表面30aと向かい合っている対面30bを有する。攪拌子12は、第二板12cをさらに備えている。第二板12cは、攪拌子12の回転軸線上に重心を有し、攪拌子12の回転軸線方向における対面30bと第一板12aとの間でその回転軸線の周りに配置されている。第一板12aは、第一貫通孔H1を有する。第二板12cは、第二貫通孔H2を有する。
蓄熱装置1jによれば、結晶核の生成により発生した結晶化熱が第一板12aに加えて、第二板12cを通って容器30の外部に向かって伝わるので、容器30の内表面30aと容器30の対面30bとの距離が比較的大きい場合でも、結晶化熱が速やかに取り除かれやすい。加えて、攪拌子12の回転に伴う突起15と容器30の内表面30aとの連続的な接触により生成された結晶核の一部は、第一貫通孔H1、場合によっては第二貫通孔H2を通って、攪拌子12の回転軸線方向に移動しやすい。これにより、容器30の内表面30aと容器30の対面30bとの距離が比較的大きい場合に、攪拌子12の回転軸線方向における容器30の対面30bと第一板12aとの間でも、結晶核が容器30の全体に散らばりやすい。その結果、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。
第二板12cの形状及び材料は、例えば、第一板12aの形状及び材料と同様に定められている。
蓄熱装置1jにおいて、翼12bは、例えば、第一板12aに加えて、第二板12cにも固定されている。翼12bは、例えば、攪拌子12の回転軸線方向における第一板12aと第二板12cとの距離よりも大きい寸法を有する。
蓄熱装置1jにおいて、攪拌子12は、例えば複数(図10Bでは5つ)の第二板12cを備えている。この場合、第一板12a及び複数の第二板12cは、攪拌子12の回転軸線方向において所定の間隔で配置されている。例えば、第一板12a及び複数の第二板12cは、攪拌子12の回転軸線方向において等間隔で配置されている。
蓄熱装置1jは、例えば、仕切り18をさらに備えている。仕切り18は、第二軌跡L2の外側に位置するとともに、攪拌子12の回転軸線方向に容器30の内部空間を仕切っている。これにより、攪拌子12の回転軸線方向において第一板12aよりも容器30の対面30bに近い空間において、第一貫通孔H1、場合によっては第二貫通孔H2を通って攪拌子12の回転軸線方向に移動した結晶核の対流が生じる。これにより、結晶核が容器30の全体に散らばりやすい。その結果、蓄熱材の結晶化が短期間で完了しやすい。
仕切り18は、例えば、容器30の材料と同様の材料でできている。
蓄熱装置1jは、例えば、複数の整流板16をさらに備えている。整流板16は、仕切り18によって仕切られた複数の空間のそれぞれに配置されている。整流板16は、近位部16a及び遠位部16bを有する。遠位部16bは、近位部16aよりも第二軌跡L2から遠くに位置する。この場合、仕切り18によって仕切られた各空間において、結晶核が第二軌跡L2から離れた位置に供給されやすく、蓄熱材20の結晶化が短期間で完了しやすい。
以下に、実施例により本開示の蓄熱装置をより詳細に説明する。ただし、本開示の蓄熱装置は、以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
図1A及び図1Bに示すような実施例1に係る蓄熱装置を作製した。まず、薄型直方体状の容器(内側寸法:縦30mm×横30mm×高さ3.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の壁の一部には貫通孔が形成されていた。また、攪拌子(直径:29mm、高さ:2.0mm)を準備した。高さ0.4mm(半径0.4mmの半球状)の突起部が攪拌子の中心部に取り付けられ、攪拌子の中心部に回転軸が取付けられていた。図1Bに示す通り、攪拌子の回転中心に位置する突起が容器の底面に接触し、かつ、回転軸が容器の内部から貫通孔を貫いて容器の外部に延びるように攪拌子を容器の内部に配置した。回転軸はモータに連結させた。容器の内部には蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。40質量%のTBAB水溶液の融点は12℃であった。このようにして実施例1に係る蓄熱装置を作製した。
<動作例1>
実施例1に係る蓄熱装置の容器の温度を50℃に調整した後、水冷により容器を冷却した。容器の温度が7℃になった時点でモータを作動させて回転軸及び攪拌子を回転させた。回転軸及び攪拌子の回転速度は600rpm(revolutions per minute)に設定した。その後、攪拌子の回転の開始からの時間を計測しながら容器の内部の蓄熱材の様子を目視により観察した。回転の開始からの時間の経過に伴い蓄熱材の粘性が高くなった。蓄熱材の粘性力が回転軸の回転の駆動力を上回った時点で攪拌子が停止した。回転軸の駆動力が大き過ぎると、結晶を破壊する可能性があるので、回転軸の駆動力は、蓄熱材の粘性を考慮して安定的に攪拌できるように低く定めた。攪拌子が停止した時点で、結晶核は容器の内部の全体に拡散しており、結晶核が成長する段階に入ると考えた。相転移熱の除熱にある程度の時間が必要であると考え、除熱が完了した時点を蓄熱材の結晶化の完了と定めた。40質量%のTBAB水溶液は、液相から固相に変化するときに密度が大きくなり体積が縮小するので、除熱が完了すると蓄熱材の体積が収縮する。このため、攪拌子の停止からしばらくして蓄熱材の結晶の内部に微細な空洞が形成された。蓄熱材に微細な空洞が十分に形成された時点で蓄熱材の結晶化が完了したとみなした。攪拌子の回転開始から20秒経過時に攪拌子が停止した。また、攪拌子の回転開始から60秒経過時に蓄熱材の結晶化が完了した。なお、攪拌子の回転開始から攪拌子が停止するまでの時間を回転時間と定め、攪拌子の回転開始から蓄熱材の結晶化が完了するまでの時間を結晶化完了時間と定めた。動作例1についての評価結果を表1に示す。ここで、回転時間の評価、結晶化完了時間の評価、及び総合的な評価は以下の基準に基づいて評価している。
(回転時間の評価基準)
回転時間が1分未満:A
回転時間が1分以上10分未満:B
回転開始から10分経過しても攪拌子が停止しない:C
(結晶化完了時間の評価基準)
結晶化完了時間が1分以下:A
結晶化完了時間が1分〜10分:B
回転開始から10分間経過しても蓄熱材の結晶化が完了しない:C
(総合評価)
回転時間及び結晶化完了時間がともにA評価:A
回転時間及び結晶化完了時間の少なくともいずれかがB評価:B
回転時間及び結晶化完了時間の少なくともいずれかがC評価:C
<比較例1>
次に、図11A及び図11Bに示す通り、突起が容器の底面に接触しないように攪拌子を容器の内部に配置した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る蓄熱装置を作製した。比較例1に係る蓄熱装置の温度を50℃に調整した後、水冷により容器を冷却した。容器の温度が7℃になった時点でモータを作動させて回転軸、攪拌子、及び突起を回転させた。回転の開始から10分経過しても、攪拌子は停止せず、蓄熱材は結晶化しなかった。攪拌子が回転するときに突起が容器の内表面に接触していないと、蓄熱材に経時的な圧力変動が生じないので蓄熱材は結晶化しなかったと考えられる。比較例1についての評価結果を表1に示す。
<実施例2>
図2A及び2Bに示すような実施例2に係る蓄熱装置を作製した。実施例2に係る蓄熱装置の容器は、貫通孔を有しない以外、実施例1に係る蓄熱装置の容器と同様に構成されていた。容器の内側寸法は、縦30mm×横30mm×高さ3.0mmであった。また、磁性体でできた攪拌子(直径:29mm、高さ:2.0mm)を準備した。高さ0.4mm(半径0.4mmの半球状)の突起が攪拌子の中心部に取り付けられていた。この攪拌子を容器の内部に配置した。蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。マグネチックスターラーのコントロール部が内蔵された制御台の上に容器を載せた状態で、コントロール部を操作することにより攪拌子の回転が可能であった。このようにして、実施例2に係る蓄熱装置を作製した。
<動作例2>
実施例2に係る蓄熱装置の温度を50℃に調整した後、水冷により容器を冷却した。容器の温度が7℃になった時点でマグネチックスターラーのコントロール部を操作して攪拌子を回転させた。攪拌子の回転速度は600rpm(revolutions per minute)に設定した。攪拌子の回転期間に突起が容器の底面に接触していた。攪拌子の回転の開始からの時間を計測しながら容器の内部の蓄熱材の様子を目視により観察した。攪拌子の回転開始から20秒経過時に攪拌子が停止した。また、攪拌子の回転開始から60秒経過時に蓄熱材の結晶化が完了した。動作例2の評価結果を表1に示す。
<動作例3>
攪拌子の回転速度を300rpmに設定して5秒間攪拌子を回転させた後、攪拌子の回転速度を600rpmに変更した以外は、動作例2と同様にして実施例2に係る蓄熱装置を動作させた。攪拌子の回転速度を600rpmに変更してから5秒経過時に攪拌子が停止した。換言すると、攪拌子の回転開始から10秒経過時に攪拌子が停止した。また、攪拌子の回転開始から50秒経過時に蓄熱材の結晶化が完了した。動作例3の評価結果を表1に示す。
動作例2では、攪拌子の回転速度が600rpmで一定に設定されているので、攪拌子の回転期間の初期に大きな揚力が攪拌子に働き、突起と接触している容器の内表面に係る荷重が減少したと考えられる。このため、容器の内表面と突起との接触部分での圧力変動が小さく、結晶核の生成速度が低くなり、動作例2における結晶化完了時間が動作例3における結晶化完了時間より長かったと考えられる。
<動作例4>
攪拌子の回転速度を400rpmに設定した以外は動作例2と同様にして実施例2に係る蓄熱装置を動作させた。攪拌子の回転開始から17秒経過時に攪拌子が停止した。また、攪拌子の回転開始から58秒経過時に蓄熱材の結晶化が完了した。
<実施例3>
容器を、縦60mm×横60mm×高さ3.0mmの内側寸法を有する容器に変更した以外は、実施例2と同様にして実施例3に係る蓄熱装置を作製した。容器の底面に平行な方向における容器の内表面と攪拌子とのクリアランスは15.5mmであった。
<動作例5>
実施例2に係る蓄熱装置の代わりに実施例3に係る蓄熱装置を用いた以外は動作例4と同様にして実施例3に係る蓄熱装置を動作させた。攪拌子の回転開始から19秒経過時に攪拌子が停止した。また、攪拌子の回転開始から450秒経過時に蓄熱材の結晶化が完了した。実施例3の蓄熱装置において、容器の長辺(縦又は横の内側寸法)に対する攪拌子の直径の割合は48.3%と小さかった。攪拌子が停止した時、攪拌子の近傍の蓄熱材は、結晶核の拡散により白く見えたが、攪拌子から遠い部位の蓄熱材は透明なままであった。容器の内表面と攪拌子とのクリアランスが大きいので、攪拌によっても結晶核が攪拌子から遠い部位まで拡散しにくかったと考えられる。このため、動作例5では、攪拌子の回転停止後に逐次的な発核により蓄熱材の結晶化が進行したと考えられる。その結果、結晶化完了時間が450秒になったと考えられる。結晶化完了時間の短縮化のためには攪拌子の攪拌効果が重要であり、生成された結晶核は、蓄熱材の粘度に関わらず、容器内部の蓄熱材の全体に拡散することが望ましいことが示唆された。
Figure 0006777584
アイドリングストップ時の車室の冷房のために蓄熱装置を利用する場合、都市部での交通状況を考慮すると、蓄冷時間は1分以内であることが望ましい。ここで、蓄冷時間とは、結晶化完了時間に相当し、過冷却解除に向けて攪拌子が回転を開始してから結晶化が完了するまでの時間を意味する。動作例1〜4に示す蓄熱装置の動作はアイドリングストップ時の車室の冷房の用途に適している。このため、実施例1及び2に係る蓄冷装置はアイドリングストップ時の車室の冷房の用途に適していることが示された。なお、実施例3に係る蓄冷装置は、10分程度の蓄冷時間が許容される用途には適していることが示された。
攪拌子の回転軸線に垂直な面(容器の底面)に対して、攪拌子及び突起をそれぞれ回転軸線に平行な方向に射影して得られる射影の面積をP1及びP2と表したときに、P2/P1と核生成効率との関係を調べた。直径22mm及び高さ3.0mmの内側寸法を有する円筒状の容器を準備した。長さ20mm×幅5mm×高さ2.5mmの寸法を有する棒状の攪拌子を準備した。攪拌子に取り付けられた突起の大きさを調整することにより、P2/P1が10%〜100%である攪拌子を準備した。攪拌子を容器の内部に配置し、蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を容器の内部に充填した。このようにして作製した蓄熱装置を動作例4と同様にして20回以上動作させた。核生成効率は、攪拌子の回転開始から30秒以内に攪拌子が停止する確率と定めた。結果を図12に示す。図12に示す通り、P2/P1が70%以上になると、核生成効率が低下することが示された。これは、突起と容器の内表面との接触面積が大きいと、突起と容器の内表面との接触圧が小さくなり、攪拌子の回転による圧力変動が小さくなったためと考えられる。P2/P1が90%以下であれば、核生成効率が80%以上であるので、望ましいことが示唆された。
容器の内表面の面積に対する攪拌子の表面積の比と結晶化の進行率との関係を調べた。直径22mm及び高さ3.0mmの内側寸法を有する円筒状の容器を準備した。5mmの幅及び2.5mmの高さを有し、回転軸線から回転軸線に垂直な方向に延びている複数の羽根を備えた、直径20mmの攪拌子(攪拌子A)を準備した。また、5mmの幅及び1.5mmの高さを有し、回転軸線から回転軸線に垂直な方向に延びている複数の羽根を備えた、直径20mmの攪拌子(攪拌子B)を準備した。回転軸線から回転軸線に垂直な方向に延びている羽根の枚数を2枚〜10枚に調整して、容器の内表面の面積に対する攪拌子の表面積の比を変化させた。攪拌子A又は攪拌子Bを容器の内部に配置し、蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を容器の内部に充填した。このようにして作製した蓄熱装置を動作例4と同様にして動作させた。この場合に、各動作における分表示の結晶完了化時間の逆数を攪拌子の回転開始から1分経過した時点における蓄熱材の結晶化の進行率と定めた。ただし、結晶化完了時間が1分未満の場合、蓄熱材の結晶化の進行率は100%と定めた。結果を図13に示す。図13において、ひし形のプロットは攪拌子Aを用いた場合の結果を示し、正方形のプロットは攪拌子Bを用いた場合の結果を示す。攪拌子の回転開始から1分経過した時点における蓄熱材の結晶化の進行率は高いことが望ましいが、容器の内表面の面積に対する攪拌子の表面積の比が10%以上であると、結晶化の進行率が50%以上となるので、望ましいことが示された。
<実施例4>
図3A及び図3Bに示すような実施例4に係る蓄熱装置を作製した。直方体状の容器(内側寸法:縦50mm×横100mm×高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の内部において底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子は、第一板と、翼とを備えていた。第一板は、直径30mm及び厚み0.5mmの円板であった。第一板の中心には高さ1.3mm及び直径0.8mmの柱状の突起が固定されていた。突起は、容器の底面に接触していた。4つの翼が、攪拌子の回転方向において等間隔で第一板の外周部に固定されていた。それぞれの翼は、第一板の半径方向に10mmの長さを有し、かつ、1.6mmの高さを有していた。第一板の半径方向に2mmの長さに相当する翼の上端部が第一板に固定され、翼の残りの上端部が第一板の半径方向外側に突出していた。翼の厚みは1.0mmであった。攪拌子の一部は磁性材料でできており、容器の外部の磁界を変化させることにより、攪拌子は回転可能であった。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例4に係る蓄熱装置を作製した。
<動作例6及び7>
動作例6として、実施例4に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。また、動作例7として、容器の温度が3℃以下になった時点で攪拌子を回転させた以外は動作例6と同様に実施例4に係る蓄熱装置を動作させた。結果を表2に示す。動作例6及び7では、結晶化完了時間が1分以下であり、実施例4に係る蓄熱装置は優れた特性を有することが示唆された。第一板と容器の底面との距離が比較的大きいので、攪拌子の回転により、突起と翼との間の空間において蓄熱材が循環しやすかったため、実施例4に係る蓄熱装置は優れた特性を発揮できたと考えられる。
Figure 0006777584
<実施例5〜7>
図4A及び図4Bに示すような実施例5に係る蓄熱装置を作製した。直方体状の容器(内側寸法:縦50mm×横200mm×高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の内部において底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子として、実施例4に係る蓄熱装置の攪拌子と同一の攪拌子を用いた。また、容器の内部にステンレス製の2つの整流板(高さ:2.0mm)を配置した。各整流板は、攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2の近傍から容器の底面の長辺に沿って延びている近位部と、攪拌子の回転方向に湾曲している遠位部とを有していた。第二軌跡L2と各整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と各整流板との最短距離は10mmであった。攪拌子の一部は磁性材料でできており、容器の外部の磁界を変化させることにより、攪拌子は回転可能であった。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例5に係る蓄熱装置を作製した。一対の整流板を配置しなかった以外は、実施例5と同様にして実施例6に係る蓄熱装置を作製した。第二軌跡L2と各整流板との最短距離を3mmに変更し、かつ、容器の内側面と各整流板との最短距離を10mmに変更した以外は、実施例5と同様にして実施例7に係る蓄熱装置を作製した。
<動作例8〜10>
動作例8として、実施例5に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。動作例9として、実施例6に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。動作例10として、実施例7に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。結果を表3に示す。動作例8〜10において、結晶化完了時間は10分未満であり、実施例5〜7に係る蓄熱装置は良好な特性を有していた。特に、動作例8では、結晶化完了時間が1分以下であり、実施例5に係る蓄熱装置は優れた特性を有していた。整流板の配置を工夫することにより、容器の底面が高いアスペクト比を有する場合でも、攪拌子の近傍から容器の隅に蓄熱材の流れを生じさせ、1分以下の結晶化完了時間が実現可能であることが示された。
Figure 0006777584
<実施例8>
図5A及び図5Bに示すような実施例8に係る蓄熱装置を作製した。まず、直方体状の容器(内側寸法:縦50mm×横200mm×高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の内部において底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子は、第一板と、翼とを備えていた。第一板は、直径15mm及び厚み0.5mmの円板であった。第一板の中心には高さ1.3mm及び直径0.8mmの柱状の突起が固定されていた。突起は、容器の底面に接触していた。4つの翼が、等間隔で第一板の外周部に固定されていた。それぞれの翼は、第一板の半径方向に7mmの長さを有し、かつ、1.6mmの高さを有していた。第一板の半径方向に2mmの長さに相当する翼の上端部が第一板に固定され、翼の残りの上端部が第一板の半径方向外側に突出していた。翼の厚みは1.0mmであった。容器の内部にステンレス製の2つの整流板(高さ:2.0mm)を配置した。各整流板は、攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2の近傍から容器の底面の長辺に沿って延びている近位部と、攪拌子の回転方向に湾曲している遠位部とを有していた。第二軌跡L2と各整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と各整流板との最短距離は16mmであった。攪拌子の一部は磁性材料でできており、容器の外部の磁界を変化させることにより、攪拌子は回転可能であった。容器にステンレス製の2つの邪魔板を取り付けた。各邪魔板は第一端及び第二端を有し、邪魔板の第一端は第二軌跡L2の近傍に配置し、邪魔板の第二端は容器30の内側面に接触させた。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例8に係る蓄熱装置を作製した。
<実施例9>
図6A及び図6Bに示すような実施例9に係る蓄熱装置を作製した。まず、直方体状の容器(内側寸法:縦50mm×横200mm×高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の底面の一方の短辺から50mm離れた位置に攪拌子を配置した。攪拌子として、実施例8に係る蓄熱装置の攪拌子と同一の攪拌子を用いた。また、容器の内部にステンレス製の2つの整流板(高さ:2.0mm)を配置した。容器の底面の長辺に平行な方向において、一方の整流板の寸法は他方の整流板の寸法よりも大きかった。各整流板は、攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2の近傍から容器の底面の長辺に沿って延びている近位部と、攪拌子の回転方向に湾曲している遠位部とを有していた。第二軌跡L2と各整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と各整流板との最短距離は16mmであった。容器にステンレス製の2つの邪魔板を取り付けた。各邪魔板は第一端及び第二端を有し、邪魔板の第一端は第二軌跡L2の近傍に配置し、邪魔板の第二端は容器の内側面に接触させた。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例9に係る蓄熱装置を作製した。
<実施例10>
図7A及び図7Bに示すような実施例10に係る蓄熱装置を作製した。まず、直方体状の容器(内側寸法:縦100mm×横100mm×高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子として、実施例8に係る蓄熱装置の攪拌子と同一の攪拌子を用いた。また、容器の内部にステンレス製の4つの整流板(高さ:2.0mm)を放射状に配置した。各整流板は、近位部及び遠位部を有していた。近位部は、攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2の近傍から容器の底面の対角線に沿って延びていた。遠位部は、近位部の近くで攪拌子の回転方向に湾曲し、容器の底面の一辺に沿って延びていた。遠位部は、5mmの幅を有する2つのスリットを有していた。第二軌跡L2と各整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と各整流板との最短距離は10mmであった。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例10に係る蓄熱装置を作製した。
<実施例11>
図8A及び図8Bに示すような実施例11に係る蓄熱装置を作製した。まず、円筒状の容器(内側寸法:直径100mm、高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子として、実施例8に係る蓄熱装置の攪拌子と同一の攪拌子を用いた。また、容器の内部にステンレス製の4つの整流板(高さ:2.0mm)を放射状に等間隔で配置した。各整流板は、近位部及び遠位部を有していた。近位部は、攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2の近傍から容器の底面の半径方向外側に延びていた。遠位部は、攪拌子の回転方向に湾曲していた。第二軌跡L2と各整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と各整流板との最短距離は10mmであった。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例11に係る蓄熱装置を作製した。
<動作例11〜14>
動作例11として、実施例8に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。動作例12として、実施例9に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。動作例13として、実施例10に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。動作例14として、実施例11に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。結果を表4に示す。動作例11〜14において、結晶化完了時間は1分以下であり、実施例8〜11に係る蓄熱装置は優れた特性を有していた。
Figure 0006777584
<実施例12>
図9A及び図9Bに示すような実施例12に係る蓄熱装置を作製した。まず、直方体状の容器(内側寸法:縦50mm×横200mm×高さ2.0mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子として、実施例4に係る蓄熱装置の攪拌子と同一の攪拌子を用いた。また、容器の内部にそれぞれ異なる寸法を有するステンレス製の4対(8つ)の整流板(高さ:2.0mm)を配置した。各整流板は、近位部及び遠位部を有していた。各整流板は、攪拌子に向かって開口しており、かつ、遠位部において湾曲しているU字状の形状を有していた。各対の整流板は、互いに反対方向に開口している2つの整流板を含んでいた。4対の整流板の同一方向に開口している4つの整流板において、大きい寸法を有する整流板の内側に小さい寸法を有する整流板が所定の間隔で配置されていた。これにより、整流板同士の間にU字状の流路が形成されていた。攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2と整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と最も大きい寸法を有する整流板との最短距離は4.2mmであった。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例12に係る蓄熱装置を作製した。
<実施例13>
図10A及び図10Bに示すような実施例13に係る蓄熱装置を作製した。まず、直方体状の容器(内側寸法:縦50mm×横200mm×高さ19.5mm)を準備した。容器の一面はガラス製であり、容器の他の面はステンレス製であった。容器の底面の中心付近に攪拌子を配置した。攪拌子は、30mmの直径及び0.5mmの厚みを有する6つの円板と、4つの翼と、突起(回転軸)とを備えていた。6つの円板は、攪拌子の回転軸線に沿ってその回転軸線に垂直に配置され、円板同士の距離は2.3mmであった。容器の底面に最も近い円板と底面との距離は2.5mmであり、容器の底面と向かい合っている容器の頂面に最も近い円板と頂面との距離は2.5mmであった。各円板は、10mmの直径を有する4つの円状の貫通孔を有し、4つの貫通孔の中心は円板の中心から等しい距離に位置していた。突起は、19.5mmの高さ及び0.8mmの直径を有し、各円板の中心に固定されていた。突起の一端が容器の底面に接触し、突起の他端が容器の頂面に接触していた。4つの翼は、攪拌子の回転方向において等間隔で各円板の外周部に固定されていた。それぞれの翼は、円板の半径方向に10mmの長さを有し、かつ、18.5mmの高さを有していた。円板の半径方向に2mmの長さに相当する翼の内側部分が円板に固定され、翼の残りの部分(外側部分)が円板の半径方向外側に突出していた。翼の厚みは1.5mmであった。攪拌子が回転するときに攪拌子の回転軸線から最も遠い攪拌子の端が描く軌跡である第二軌跡L2の外側において、容器の内部空間が、0.5mmの厚みを有する7対のステンレス製の仕切りによって攪拌子の回転軸線方向に仕切られていた。攪拌子の回転軸線方向において、仕切り同士の距離は2.0mmであり、容器の底面に最も近い仕切りと底面との距離は2.0mmであり、容器の頂面に最も近い仕切りと頂面との距離は2.0mmであった。仕切りによって仕切られた各空間には整流板が配置されていた。整流板は、第二軌跡L2の近傍から容器の底面の長辺に沿って延びている近位部と、攪拌子の回転方向に湾曲している遠位部とを有していた。第二軌跡L2と各整流板との最短距離は0.15mmであった。容器の内側面と各整流板との最短距離は10mmであった。攪拌子の一部は磁性材料でできており、容器の外部の磁界を変化させることにより、攪拌子は回転可能であった。容器に蓄熱材として40質量%のTBAB水溶液を充填した。このようにして、実施例13に係る蓄熱装置を作製した。
<動作例15及び16>
動作例15として、実施例12に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。動作例16として、実施例13に係る蓄熱装置を動作例2と同様に動作させた。結果を表5に示す。動作例15及び16において、結晶化完了時間は1分以下であり、実施例12及び13に係る蓄熱装置は優れた特性を有していた。複数対の整流板が密に配置されていたため、実施例12に係る蓄熱装置は優れた特性を発揮できたと考えられる。実施例13に係る蓄熱装置は、その容器の内部空間の容積が比較的大きかったのにも拘らず優れた特性を発揮できた。その理由としては、(i)仕切りが2mm間隔で配置されていたことにより結晶化熱が速やかに容器の外部に放熱されたこと、(ii)結晶核が、円板の形成された貫通孔を通って仕切りによって仕切られた各空間に移動したことが考えられる。
Figure 0006777584
本開示の蓄熱装置は、冷房に必要な冷熱を潜熱として速やかに蓄冷し、かつ、融点近傍の特定温度で蓄えた冷熱を取り出せるシステムに利用可能である。本開示の蓄熱装置は、低温用の蓄熱材のみならず、冷凍用、冷蔵用、又は高温用の潜熱蓄熱材を用いて実施できる。
1a〜1j 蓄熱装置
12 攪拌子
12a 第一板
12b 翼
12c 第二板
15 突起
16 整流板
16a 近位部
16b 遠位部
18 仕切り
20 蓄熱材
30 容器
30a 内表面
30b 対面
30c 内側面
F 前面
H1 第一貫通孔
H2 第二貫通孔
L1 第一軌跡
L2 第二軌跡
S1 第一空間

Claims (20)

  1. 容器と、
    前記容器の内部に位置する蓄熱材と、
    前記容器の内部に位置し、前記蓄熱材と接触するとともに、回転することによって前記蓄熱材を攪拌させる攪拌子と、
    前記蓄熱材と接触し、前記攪拌子から突出し、前記攪拌子の回転に伴って回転する突起と、を備え、
    前記攪拌子が回転する期間に、前記突起は、前記蓄熱材に接触している前記容器の内表面に連続的に接触する、
    蓄熱装置。
  2. 前記攪拌子は、前記容器の外部で生じた物理的変化に従い、当該攪拌子の回転の開始、当該攪拌子の回転の停止、及び当該攪拌子の回転速度の変更を生じさせる、請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 前記攪拌子は、磁性体を含むとともに前記容器の外部から隔絶して配置されており、前記容器の外部で発生した磁界の変化により回転する、請求項1又は2に記載の蓄熱装置。
  4. 前記攪拌子の回転軸線に垂直な面に対して、前記攪拌子及び前記突起をそれぞれ前記回転軸線に平行な方向に射影して得られる射影の面積をP1及びP2と表したときに、P2がP1の90%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  5. 前記攪拌子及び前記突起は、金属又は合金を含み、
    前記攪拌子は、前記攪拌子が回転する期間において、前記容器の内表面に接触せず、
    前記攪拌子及び前記突起の表面積の合計は、前記容器の内表面の面積の10%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  6. 前記攪拌子は、平面又は曲面を有する板状であり、
    前記攪拌子の回転軸線は、前記攪拌子の重心及び前記突起の先端を通り、
    前記突起は、前記回転軸線に垂直な面で切ったときの断面積が前記先端に向かって縮小する部分を含み、
    前記回転軸線方向から前記攪拌子及び前記突起を見たときに、前記攪拌子と重ならない前記突起の部位は存在しない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  7. 前記攪拌子は、
    前記攪拌子の回転軸線上に重心を有し、前記回転軸線の周りに配置された第一板と、
    前記第一板の前記重心から離れた位置において前記第一板に固定され、前記第一板の主面に垂直な方向において前記第一板の厚みより大きい寸法を有する翼であって、前記攪拌子の回転方向において前記蓄熱材と接触している前面を有する翼と、を備え、
    前記蓄熱装置は第一空間をさらに含み、
    前記第一空間は、前記攪拌子の回転軸線方向において、前記容器の前記内表面と前記第一板との間に存在し、
    前記攪拌子の前記回転軸線に最も近い前記翼の部位を第一の端と定め、前記攪拌子が回転するときに前記第一の端が描く軌跡を第一軌跡と定めるときに、
    前記第一空間は、前記第一軌跡と前記突起との間に存在し、
    前記攪拌子の回転により前記蓄熱材は前記第一空間を循環可能である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  8. 前記攪拌子の前記回転軸線と前記第一の端との距離は、前記攪拌子の前記回転軸線から最も離れた前記第一板の端と前記回転軸線との距離の40%〜100%である、請求項7に記載の蓄熱装置。
  9. 前記容器の前記内表面と前記第一板との最短距離は、前記第一板の前記厚みの2〜100倍である、請求項7又は8に記載の蓄熱装置。
  10. 前記容器は、前記容器の前記内表面と向かい合っている対面を有し、
    前記攪拌子の回転軸線方向において、前記容器の前記内表面と前記第一板との距離は、前記容器の前記対面と前記第一板との距離よりも大きい、請求項7〜9のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  11. 前記攪拌子の前記回転軸線から最も遠い前記攪拌子の部位を第二の端と定め、前記攪拌子が回転するときに前記第二の端が描く軌跡を第二軌跡と定めるときに、
    前記容器の内部に配置され、かつ、前記回転軸線に垂直な方向において、前記第二軌跡の外側に配置された整流板であって、近位部及び前記近位部よりも前記第二軌跡から遠くに位置する遠位部を有する、整流板をさらに備えた、請求項7〜10のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  12. 前記容器は、前記容器の前記内表面の端から前記攪拌子の前記回転軸線に沿って延びて前記攪拌子を囲んでいる内側面を有し、
    前記整流板は、前記内側面から離れて位置しており、
    前記第二軌跡と前記整流板との最短距離は、前記容器の前記内側面と前記整流板との最短距離よりも小さい、
    請求項11に記載の蓄熱装置。
  13. 前記容器は、前記容器の前記内表面と向かい合っている対面を有し、
    前記整流板は、前記蓄熱材が有する熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料でできており、
    前記整流板は、前記容器の前記内表面及び前記対面に接触している、
    請求項11又は12に記載の蓄熱装置。
  14. 前記整流板の前記遠位部は、前記攪拌子の回転方向に湾曲している、請求項11〜13のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  15. 前記容器の前記内表面は、短辺の2倍以上の長辺を有する長方形状であり、
    前記近位部は前記内表面の前記長辺に沿って延びている、
    請求項11〜14のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  16. 前記容器の前記内表面は、短辺の2倍未満の長辺を有する長方形状、正方形状、又は円状であり、
    放射状に配置された複数の前記整流板を備えた、
    請求項11〜14のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  17. 前記整流板は、前記第二軌跡に向かって開口しており、かつ、前記遠位部において湾曲しているU字状の形状を有する。請求項11〜14のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  18. 前記容器は、前記容器の前記内表面と向かい合っている対面を有し、
    前記攪拌子は、前記攪拌子の前記回転軸線上に重心を有し、前記攪拌子の回転軸線方向における前記対面と前記第一板との間で前記回転軸線の周りに配置された第二板をさらに備え、
    前記第一板は、第一貫通孔を有し、
    前記第二板は、第二貫通孔を有する、
    請求項7〜9のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  19. 前記攪拌子の前記回転軸線から最も遠い前記攪拌子の部位を第二の端と定め、前記攪拌子が回転するときに前記第二の端が描く軌跡を第二軌跡と定めるときに、
    前記第二軌跡の外側に位置するとともに、前記攪拌子の回転軸線方向に前記容器の内部空間を仕切る仕切りをさらに備えた、請求項18に記載の蓄熱装置。
  20. 前記仕切りによって仕切られた各空間に配置され、それぞれ、近位部及び前記近位部よりも前記第二軌跡から遠くに位置する遠位部を有する、複数の整流板をさらに備えた、請求項19に記載の蓄熱装置。
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