JP6777259B2 - カートリッジ - Google Patents

カートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP6777259B2
JP6777259B2 JP2020098689A JP2020098689A JP6777259B2 JP 6777259 B2 JP6777259 B2 JP 6777259B2 JP 2020098689 A JP2020098689 A JP 2020098689A JP 2020098689 A JP2020098689 A JP 2020098689A JP 6777259 B2 JP6777259 B2 JP 6777259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cartridge
magnetic tape
magnetic
recording
cartridge according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020098689A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020173885A (ja
Inventor
栄治 中塩
栄治 中塩
和男 阿武
和男 阿武
伸哉 栃久保
伸哉 栃久保
孝信 岩間
孝信 岩間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2020098689A priority Critical patent/JP6777259B2/ja
Priority to JP2020169001A priority patent/JP6977846B2/ja
Publication of JP2020173885A publication Critical patent/JP2020173885A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6777259B2 publication Critical patent/JP6777259B2/ja
Priority to JP2021181116A priority patent/JP7024907B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

本開示は、カートリッジに関する。
近年、コンピュータ用データストレージとして利用されている磁気テープ(テープ状の磁気記録媒体)では、データの記録密度を向上するために、トラック幅および隣接するトラック間の距離は非常に狭くなっている。このようにトラック幅およびトラック間の距離が狭くなると、温湿度変化等の環境要因に起因するテープ自体の寸法変化量として最大許容される変化量がますます小さくなる。
このため、特許文献1では、環境要因に起因する幅方向の寸法変化を小さく抑え、オフトラックが少ない安定した記録再生特性を確保できる磁気テープ媒体が提案されている。また、特許文献1には、長手方向のテンション変化に対する幅方向の寸法変化量を小さくすることが記載されている。
特開2005−332510号公報
近年においては、磁気テープの大容量化の要請から、記録トラックの数が多くなり、記録トラックの幅が狭くなってきている。このため、磁気テープにデータが記録されたのち、何らかの原因で磁気テープの幅がわずかにでも変動してしまうと、記録再生装置が、磁気テープに記録されたデータを正確に再生できずに、エラーが発生してしまう可能性がある。すなわち、再生の信頼性が低下してしまう可能性がある。
本開示の目的は、再生の信頼性低下を抑制することができるカートリッジを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本開示は、
テープ状の磁気記録媒体と、
カートリッジメモリを含むカートリッジであって、
磁気記録媒体は複数のサーボバンドを有し、
磁気記録媒体の長手方向の弾性限界値σ MD が、0.8[N]≦σ MD であり、
カートリッジメモリが、
カートリッジが記録再生装置にロードされた状態において記録再生装置と通信を行う通信部と、
記憶部と、
通信部を介して記録再生装置から受信した情報を記憶部に記憶し、かつ、記録再生装置の要求に応じて、記憶部から情報を読み出し、通信部を介して記録再生装置に送信する制御部と
を備え、
情報は、気記録媒体の長手方向にかかるテンションを調整するための調整情報を含み、
記憶部が第1の記憶領域と第2の記憶領域を有し、第1の記憶領域がカートリッジの製造情報を記憶し、第2の記憶領域が調整情報を記憶するカートリッジである。
テープ状の磁気記録媒体は、記録層、下地層、基体、およびバック層を含むテープ状の磁気記録媒体であって、磁気記録媒体の平均厚みtTが、3.5[μm]≦tT≦5.5[μm]であり、磁気記録媒体の長手方向のテンション変化に対する磁気記録媒体の幅方向の寸法変化量Δwが、700[ppm/N]≦Δw≦20000[ppm/N]であってもよい。
本開示の第1の実施形態に係る記録再生システムの構成の一例を示す概略図である。 カートリッジの構成の一例を示す分解斜視図である。 カートリッジメモリの構成の一例を示すブロック図である。 磁気テープの構成の一例を示す断面図である。 図5Aは、データバンドおよびサーボバンドのレイアウトの概略図である。図5Bは、データバンドの拡大図である。 測定装置の構成を示す斜視図である。 データ記録時における記録再生装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 データ再生時における記録再生装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 本開示の第2の実施形態に係る記録再生システムの構成の一例を示す概略図である。 データ記録時における記録再生装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。 データ再生時における記録再生装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
本開示の実施形態について以下の順序で説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1 第1の実施形態
2 第2の実施形態
3 変形例
<1 第1の実施形態>
[概要]
本発明者らは、磁気テープの長手方向のテンションを調整することで、磁気テープの幅を一定またはほぼ一定に保つことができる記録再生装置における使用に適している磁気テープを検討している。また、上記テンションの調整を、カートリッジメモリに予め記憶されたテンション調整情報を用いて行うことが考えられる。しかしながら、本発明者らの知見によれば、一般的な磁気テープは、上述したように、長手方向のテンション変化に対する幅方向の寸法変化量が小さいため、上記記録再生装置により磁気テープの幅を一定またはほぼ一定に保つことは困難である。
そこで、本発明者らは、上記記録再生装置により磁気テープの幅を一定またはほぼ一定に保つことが可能な磁気テープについて鋭意検討した。その結果、上記の一般的な磁気テープとは反対に、長手方向のテンション変化に対する幅方向の寸法変化量を大きくした磁気テープ、具体的には長手方向のテンション変化に対する幅方向の寸法変化量Δwを650[ppm/N]≦Δwとした磁気テープを案出するに至った。
[記録再生システムの構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る記録再生システム100の構成の一例を示す概略図である。記録再生システム100は、磁気テープ記録再生システムであり、カートリッジ10と、カートリッジ10をロードおよびアンロード可能に構成された記録再生装置50とを備える。
[カートリッジの構成]
図2は、カートリッジ10の構成の一例を示す分解斜視図である。カートリッジ10は、LTO(Linear Tape-Open)規格に準拠した磁気テープカートリッジであり、下シェル12Aと上シェル12Bとで構成されるカートリッジケース12の内部に、磁気テープ(テープ状の磁気記録媒体)MTが巻かれたリール13と、リール13の回転をロックするためのリールロック14およびリールスプリング15と、リール13のロック状態を解除するためのスパイダ16と、下シェル12Aと上シェル12Bに跨ってカートリッジケース12に設けられたテープ引出口12Cを開閉するスライドドア17と、スライドドア17をテープ引出口12Cの閉位置に付勢するドアスプリング18と、誤消去を防止するためのライトプロテクト19と、カートリッジメモリ11とを備える。リール13は、中心部に開口を有する略円盤状であって、プラスチック等の硬質の材料からなるリールハブ13Aとフランジ13Bとにより構成される。磁気テープMTの一端部には、リーダーピン22が設けられている。
カートリッジメモリ11は、カートリッジ10の1つの角部の近傍に設けられている。カートリッジ10が記録再生装置50にロードされた状態において、カートリッジメモリ11は、記録再生装置50のリーダライタ57と対向するようになっている。カートリッジメモリ11は、LTO規格に準拠した無線通信規格で記録再生装置50、具体的にはリーダライタ57と通信を行う。
[カートリッジメモリの構成]
図3は、カートリッジメモリ11の構成の一例を示すブロック図である。カートリッジメモリ11は、規定の通信規格でリーダライタ57と通信を行うアンテナコイル(通信部)31と、アンテナコイル31により受信した電波から、誘導起電力を用いて発電、整流して電源を生成する整流・電源回路32と、アンテナコイル31により受信した電波から、同じく誘導起電力を用いてクロックを生成するクロック回路33と、アンテナコイル31により受信した電波の検波およびアンテナコイル31により送信する信号の変調を行う検波・変調回路34と、検波・変調回路34から抽出されるデジタル信号から、コマンドおよびデータを判別し、これを処理するための論理回路等で構成されるコントローラ(制御部)35と、情報を記憶するメモリ(記憶部)36とを備える。また、カートリッジメモリ11は、アンテナコイル31に対して並列に接続されたキャパシタ37を備え、アンテナコイル31とキャパシタ37により共振回路が構成される。
メモリ36は、カートリッジ10に関連する情報等を記憶する。メモリ36は、不揮発性メモリ(Non Volatile Memory:NVM)である。メモリ36の記憶容量は、好ましくは約32KB以上である。
メモリ36は、第1の記憶領域36Aと第2の記憶領域36Bとを有する。第1の記憶領域36Aは、LTO8以前のLTO規格のカートリッジメモリ(以下「従来のカートリッジメモリ」という。)の記憶領域に対応しており、LTO8以前のLTO規格に準拠した情報を記憶するための領域である。LTO8以前のLTO規格に準拠した情報は、例えば製造情報(例えばカートリッジ10の固有番号等)、使用履歴(例えばテープ引出回数(Thread Count)等)等である。
第2の記憶領域36Bは、従来のカートリッジメモリの記憶領域に対する拡張記憶領域に相当する。第2の記憶領域36Bは、付加情報を記憶するための領域である。ここで、付加情報とは、LTO8以前のLTO規格で規定されていない、カートリッジ10に関連する情報を意味する。付加情報の例としては、テンション調整情報、管理台帳データ、Index情報、または磁気テープMTに記憶された動画のサムネイル情報等が挙げられるが、これらのデータに限定されるものではない。テンション調整情報は、磁気テープMTに対するデータ記録時における、隣接するサーボバンド間の距離(隣接するサーボバンドに記録されたサーボパターン間の距離)を含む。隣接するサーボバンド間の距離は、磁気テープMTの幅に関連する幅関連情報の一例である。サーボバンド間の距離の詳細については後述する。以下の説明において、第1の記憶領域36Aに記憶される情報を「第1の情報」といい、第2の記憶領域36Bに記憶される情報を「第2の情報」ということがある。
メモリ36は、複数のバンクを有していてもよい。この場合、複数のバンクうちの一部のバンクにより第1の記憶領域36Aが構成され、残りのバンクにより第2の記憶領域36Bが構成されてもよい。具体的には例えば、メモリ36は約16KBの記憶容量を有する2つのバンクを有し、2つのバンクのうちの一方のバンクにより第1の記憶領域36Aが構成され、他のバンクにより第2の記憶領域36Bが構成されてもよい。
アンテナコイル31は、電磁誘導により誘起電圧を誘起する。コントローラ35は、アンテナコイル31を介して、規定の通信規格で記録再生装置50と通信を行う。具体的には例えば、相互認証、コマンドの送受信またはデータのやり取り等を行う。
コントローラ35は、アンテナコイル31を介して記録再生装置50から受信した情報をメモリ36に記憶する。コントローラ35は、記録再生装置50の要求に応じて、メモリ36から情報を読み出し、アンテナコイル31を介して記録再生装置50に送信する。
[磁気テープの構成]
図4は、カートリッジ10に用いられる磁気テープMTの構成の一例を示す断面図である。磁気テープMTは、例えば垂直磁気記録方式の磁気テープであって、長尺状の基体41と、基体41の一方の主面上に設けられた下地層(非磁性層)42と、下地層42上に設けられた記録層(磁性層)43と、基体41の他方の主面上に設けられたバック層44とを備える。なお、下地層42およびバック層44は、必要に応じて備えられるものであり、無くてもよい。以下では、磁気テープMTの両主面のうち、記録層43が設けられた側の面を磁性面といい、それとは反対となる、バック層44が設けられた側の面をバック面ということがある。
磁気テープMTは長尺状を有し、記録再生の際には長手方向に走行される。また、磁気テープMTは、好ましくは100nm以下、より好ましくは75nm以下、更により好ましくは60nm以下、特に好ましくは50nm以下の最短記録波長で信号を記録可能に構成されており、例えば最短記録波長が上記範囲である記録再生装置に用いられる。この記録再生装置は、記録用ヘッドとしてリング型ヘッドを備えるものであってもよい。
(基体)
支持体となる基体41は、可撓性を有する長尺状の非磁性基体である。基体41はフィルムであり、基体41の平均厚みTsubは、好ましくは3μm以上8μm以下、より好ましくは3μm以上4.2μm以下、さらにより好ましくは3μm以上3.8μm以下、特に好ましくは3μm以上3.4μm以下である。
基体41の平均厚みTsubは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気テープMTを準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。続いて、サンプルの基体41以外の層(すなわち下地層42、記録層43およびバック層44)をMEK(メチルエチルケトン)または希塩酸等の溶剤で除去する。次に、測定装置としてMitutoyo社製レーザーホロゲージを用いて、サンプル(基体41)の厚みを5点以上の位置で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、基体41の平均厚みTsubを算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。
基体41は、例えば、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、芳香族ポリエーテルケトン(PAEK)類、およびその他の高分子樹脂のうちの少なくとも1種を含む。基体41が上記材料のうちの2種以上を含む場合、それらの2種以上の材料は混合されていてもよいし、共重合されていてもよいし、積層されていてもよい。
ポリエステル類は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PCT(ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、PEB(ポリエチレン−p−オキシベンゾエート)およびポリエチレンビスフェノキシカルボキシレートのうちの少なくとも1種を含む。
ポリオレフィン類は、例えば、PE(ポリエチレン)およびPP(ポリプロピレン)のうちの少なくとも1種を含む。セルロース誘導体は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、CAB(セルロースアセテートブチレート)およびCAP(セルロースアセテートプロピオネート)のうちの少なくとも1種を含む。ビニル系樹脂は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)およびPVDC(ポリ塩化ビニリデン)のうちの少なくとも1種を含む。芳香族ポリエーテルケトン(PAEK)類は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。
その他の高分子樹脂は、例えば、PA(ポリアミド、ナイロン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド、アラミド)、PI(ポリイミド)、芳香族PI(芳香族ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、芳香族PAI(芳香族ポリアミドイミド)、PBO(ポリベンゾオキサゾール、例えばザイロン(登録商標))、ポリエーテル、PEK(ポリエーテルケトン)、ポリエーテルエステル、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PSF(ポリスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PC(ポリカーボネート)、PAR(ポリアリレート)およびPU(ポリウレタン)のうちの少なくとも1種を含む。
(記録層)
記録層43は、いわゆる垂直記録層であり、例えば、磁性粉および結着剤を含む。記録層43が、必要に応じて、潤滑剤、導電性粒子、研磨剤および防錆剤等からなる群より選ばれる1種以上の添加剤をさらに含んでいてもよい。
記録層43は、多数の孔部が設けられた表面を有し、これらの多数の孔部には、潤滑剤が蓄えられていることが好ましい。これにより、磁気テープMTとヘッドの接触による摩擦を低減することができる。多数の孔部は、記録層43の表面に対して垂直方向に延設されていることが好ましい。記録層43の表面に対する潤滑剤の供給性を向上することができるからである。なお、多数の孔部の一部が垂直方向に延設されていてもよい。
記録層43の平均厚みtmが、好ましくは35[nm]≦tm≦90[nm]、より好ましくは35[nm]≦tm≦80[nm]、さらにより好ましくは35[nm]≦tm≦70[nm]、特に好ましくは35[nm]≦tm≦50[nm]である。記録層43の平均厚みtmが35[nm]≦tmであると、再生ヘッドとしてはMR型ヘッドを用いた場合に、出力を確保できるため、電磁変換特性を向上することができる。一方、記録層43の平均厚みtmがtm≦90[nm]であると、記録ヘッドとしてリング型ヘッドを用いた場合に、反磁界の影響を軽減できるため、電磁変換特性を向上することができる。
記録層43の平均厚みtmは以下のようにして求められる。まず、磁気テープMTを、その主面に対して垂直に薄く加工して試料片を作製し、その試料片の断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)により、下記の条件で観察を行う。
装置:TEM(日立製作所製H9000NAR)
加速電圧:300kV
倍率:100,000倍
次に、得られたTEM像を用い、磁気テープMTの長手方向で少なくとも10点以上の位置で記録層43の厚みを測定したのち、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して記録層43の平均厚みtm(nm)とする。
記録層43は、図5Aに示すように、複数のサーボバンドSBと複数のデータバンドDBとを予め有していることが好ましい。複数のサーボバンドSBは、磁気テープMTの幅方向に等間隔で設けられている。隣り合うサーボバンドSBの間には、データバンドDBが設けられている。サーボバンドSBには、磁気ヘッドのトラッキング制御をするためのサーボ信号が予め書き込まれている。データバンドDBには、記録再生装置50によりユーザデータが記録される。
記録層43の表面の面積Sに対するサーボバンドSBの総面積SSBの割合RS(=(SSB/S)×100)の上限値は、高記録容量を確保する観点から、好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらにより好ましくは2.0%以下である。一方、記録層43の表面の面積Sに対するサーボバンドSBの総面積SSBの割合RSの下限値は、5以上のサーボトラックを確保する観点から、好ましくは0.8%以上である。
記録層43の表面の面積Sに対するサーボバンドSBの総面積SSBの割合RSは以下のようにして求められる。まず、記録層43の表面を磁気力顕微鏡(Magnetic Force Microscope:MFM)を用いて観察し、MFM像を取得する。続いて、取得されたMFM像を用いて、サーボバンド幅WSBおよびサーボバンドSBの本数を測定する。次に、以下の式から割合RSを求める。
割合RS[%]=(((サーボバンド幅WSB)×(サーボバンドSBの本数))/(磁気テープMTの幅))×100
サーボバンドSBの数の下限値は、好ましくは5以上、より好ましくは5+4n(但し、nは正の整数である。)以上、さらにより好ましくは9+4n以上である。サーボバンドSBの数が5以上であると、磁気テープMTの幅方向の寸法変化によるサーボ信号への影響を抑制し、よりオフトラックが少ない安定した記録再生特性を確保できる。サーボバンドSBの数の上限値は特に限定されるものではないが、例えば33以下である。
サーボバンドSBの数は以下のようにして確認可能である。まず、記録層43の表面を磁気力顕微鏡(MFM)を用いて観察し、MFM像を取得する。次に、MFM像を用いてサーボバンドSBの数をカウントする。
サーボバンド幅WSBの上限値は、高記録容量を確保する観点から、好ましくは95μm以下、より好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは30μm以下である。サーボバンド幅WSBの下限値は、好ましくは10μm以上である。10μm未満のサーボバンド幅WSBのサーボ信号を読み取り可能な記録ヘッドは製造が困難である。
サーボバンド幅WSBは以下のようにして求められる。まず、記録層43の表面を磁気力顕微鏡(MFM)を用いて観察し、MFM像を取得する。次に、MFM像を用いてサーボバンド幅WSBを測定する。
記録層43は、図5Bに示すように、データバンドDBに複数のデータトラックTkを形成可能に構成されている。記録層43に形成可能なデータトラックTkの総数は、高記録容量を確保する観点から、6000以上であることが好ましい。データトラック幅Wの上限値は、トラック記録密度を向上し、高記録容量を確保する観点から、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは1.6μm以下、さらにより好ましくは0.95μm以下、特に好ましくは0.51μm以下である。データトラック幅Wの下限値は、磁性粒子サイズを考慮すると、好ましくは0.02μm以上である。
記録層43は、磁化反転間距離の最小値Lとデータトラック幅Wが好ましくはW/L≦200、より好ましくはW/L≦60、さらにより好ましくはW/L≦45、特に好ましくはW/L≦30となるように、データを記録可能に構成されている。磁化反転間距離の最小値Lが一定値であり、磁化反転間距離の最小値Lとトラック幅WがW/L>200であると(すなわちトラック幅Wが大きいと)、トラック記録密度が上がらないため、記録容量を十分に確保できなくなる虞がある。また、トラック幅Wが一定値であり、磁化反転間距離の最小値Lとトラック幅WがW/L>200であると(すなわち磁化反転間距離の最小値Lが小さいと)、ビット長さが小さくなり、線記録密度が上がるが、スペーシングロスの影響により、SNRが著しく悪化してしまう虞がある。したがって、記録容量を確保しながら、SNRの悪化を抑えるためには、上記のようにW/LがW/L≦60の範囲にあることが好ましい。但し、W/Lは上記範囲に限定されるものではなく、W/L≦23またはW/L≦13であってもよい。W/Lの下限値は特に限定されるものではないが、例えば1≦W/Lである。
記録層43は、高記録容量を確保する観点から、磁化反転間距離の最小値Lが好ましくは50nm以下、より好ましくは48nm以下、さらにより好ましくは44nm以下、特に好ましくは40nm以下となるように、データを記録可能に構成されている。磁化反転間距離の最小値Lの下限値は、磁性粒子サイズを考慮すると、好ましくは20nm以上である。
(磁性粉)
磁性粉は、ε酸化鉄を含有するナノ粒子(以下「ε酸化鉄粒子」という。)の粉末を含む。ε酸化鉄粒子は、微粒子でも高保磁力を得ることができる硬磁性粒子である。ε酸化鉄粒子に含まれるε酸化鉄は、磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)に優先的に結晶配向していることが好ましい。
ε酸化鉄粒子は、球状もしくはほぼ球状を有しているか、または立方体状もしくはほぼ立方体状を有している。ε酸化鉄粒子が上記のような形状を有しているため、磁性粒子としてε酸化鉄粒子を用いた場合、磁性粒子として六角板状のバリウムフェライト粒子を用いた場合に比べて、磁気テープMTの厚み方向における粒子同士の接触面積を低減し、粒子同士の凝集を抑制することができる。したがって、磁性粉の分散性を高め、より良好なSNR(Signal-to-Noise Ratio)を得ることができる。
ε酸化鉄粒子は、コアシェル型構造を有する。具体的には、ε酸化鉄粒子は、コア部と、このコア部の周囲に設けられた2層構造のシェル部とを備える。2層構造のシェル部は、コア部上に設けられた第1シェル部と、第1シェル部上に設けられた第2シェル部とを備える。
コア部は、ε酸化鉄を含む。コア部に含まれるε酸化鉄は、ε−Fe23結晶を主相とするものが好ましく、単相のε−Fe23からなるものがより好ましい。
第1シェル部は、コア部の周囲のうちの少なくとも一部を覆っている。具体的には、第1シェル部は、コア部の周囲を部分的に覆っていてもよいし、コア部の周囲全体を覆っていてもよい。コア部と第1シェル部の交換結合を十分なものとし、磁気特性を向上する観点からすると、コア部の表面全体を覆っていることが好ましい。
第1シェル部は、いわゆる軟磁性層であり、例えば、α−Fe、Ni−Fe合金またはFe−Si−Al合金等の軟磁性体を含む。α−Feは、コア部に含まれるε酸化鉄を還元することにより得られるものであってもよい。
第2シェル部は、酸化防止層としての酸化被膜である。第2シェル部は、α酸化鉄、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む。α酸化鉄は、例えばFe34、Fe23およびFeOのうちの少なくとも1種の酸化鉄を含む。第1シェル部がα−Fe(軟磁性体)を含む場合には、α酸化鉄は、第1シェル部に含まれるα−Feを酸化することにより得られるものであってもよい。
ε酸化鉄粒子が、上述のように第1シェル部を有することで、熱安定性を確保するためにコア部単体の保磁力Hcを大きな値に保ちつつ、ε酸化鉄粒子(コアシェル粒子)全体としての保磁力Hcを記録に適した保磁力Hcに調整できる。また、ε酸化鉄粒子が、上述のように第2シェル部を有することで、磁気テープMTの製造工程およびその工程前において、ε酸化鉄粒子が空気中に暴露されて、粒子表面に錆び等が発生することにより、ε酸化鉄粒子の特性が低下することを抑制することができる。したがって、磁気テープMTの特性劣化を抑制することができる。
磁性粉の平均粒子サイズ(平均最大粒子サイズ)は、例えば22.5nm以下である。磁性粉の平均粒子サイズ(平均最大粒子サイズ)は、好ましくは22nm以下、より好ましくは8nm以上22nm以下、さらにより好ましくは12nm以上22nm以下、特に好ましくは12nm以上15nm以下、最も好ましくは12nm以上14nm以下である。磁気テープMTでは、記録波長の1/2のサイズの領域が実際の磁化領域となる。このため、磁性粉の平均粒子サイズを最短記録波長の半分以下に設定することで、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。したがって、磁性粉の平均粒子サイズが22nm以下であると、高記録密度の磁気テープMT(例えば44nm以下の最短記録波長で信号を記録可能に構成された磁気テープMT)において、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。一方、磁性粉の平均粒子サイズが8nm以上であると、磁性粉の分散性がより向上し、より優れた電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。
磁性粉の平均アスペクト比が、好ましくは1.0以上3.0以下、より好ましくは1.0以上2.5以下、さらにより好ましくは1.0以上2.1以下、特に好ましくは1.0以上1.8以下である。磁性粉の平均アスペクト比が1.0以上3.0以下の範囲内であると、磁性粉の凝集を抑制することができる。また、記録層43の形成工程において磁性粉を垂直配向させる際に、磁性粉に加わる抵抗を抑制することができる。したがって、磁性粉の垂直配向性を向上することができる。
上記の磁性粉の平均粒子サイズおよび平均アスペクト比は、以下のようにして求められる。まず、測定対象となる磁気テープMTをFIB(Focused Ion Beam)法等により加工して薄片を作製し、TEMにより薄片の断面観察を行う。次に、撮影したTEM写真から50個のε酸化鉄粒子を無作為に選び出し、各ε酸化鉄粒子の長軸長DLと短軸長DSを測定する。ここで、長軸長DLとは、ε酸化鉄粒子の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のもの(いわゆる最大フェレ径)を意味する。一方、短軸長DSとは、ε酸化鉄粒子の長軸と直交する方向におけるε酸化鉄粒子の長さのうち最大のものを意味する。
続いて、測定した50個のε酸化鉄粒子の長軸長DLを単純に平均(算術平均)して平均長軸長DLaveを求める。このようにして求めた平均長軸長DLaveを磁性粉の平均粒子サイズとする。また、測定した50個のε酸化鉄粒子の短軸長DSを単純に平均(算術平均)して平均短軸長DSaveを求める。そして、平均長軸長DLaveおよび平均短軸長DSaveからε酸化鉄粒子の平均アスペクト比(DLave/DSave)を求める。
磁性粉の平均粒子体積は、好ましくは5600nm3以下、より好ましくは250nm3以上5600nm3以下、さらにより好ましくは900nm3以上5600nm3以下、特に好ましくは900nm3以上1800nm3以下、最も好ましくは900nm3以上1500nm3以下である。一般的に磁気テープMTのノイズは粒子個数の平方根に反比例(すなわち粒子体積の平方根に比例)するため、粒子体積をより小さくすることで、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。したがって、磁性粉の平均粒子体積が5600nm3以下であると、磁性粉の平均粒子サイズを22nm以下とする場合と同様の効果に、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。一方、磁性粉の平均粒子体積が250nm3以上であると、磁性粉の平均粒子サイズを8nm以上とする場合と同様の効果が得られる。
ε酸化鉄粒子が球状またはほぼ球状を有している場合には、磁性粉の平均粒子体積は以下のようにして求められる。まず、上記の磁性粉の平均粒子サイズの算出方法と同様にして、平均長軸長DLaveを求める。次に、以下の式により、磁性粉の平均粒子体積Vを求める。
V=(π/6)×DLave3
ε酸化鉄粒子が立方体状またはほぼ立方体状を有している場合には、磁性粉の平均粒子体積は以下のようにして求められる。まず、測定対象となる磁気テープMTをFIB法等により加工して薄片を作製し、TEMにより薄片の断面観察を行う。続いて、撮影したTEM写真から、TEM断面と平行な面を有する50個のε酸化鉄粒子を無作為に選び出し、各ε酸化鉄粒子の一辺の長さLを測定する。次に、測定した50個のε酸化鉄粒子の一辺の長さLを単純に平均(算術平均)して平均の辺の長さLaveを求める。
V=Lave3
(結着剤)
結着剤としては、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等に架橋反応を付与した構造の樹脂が好ましい。しかしながら結着剤はこれらに限定されるものではなく、磁気テープMTに対して要求される物性等に応じて、その他の樹脂を適宜配合してもよい。配合する樹脂としては、通常、塗布型の磁気テープMTにおいて一般的に用いられる樹脂であれば、特に限定されない。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂、または反応型樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
また、上述した各結着剤には、磁性粉の分散性を向上させる目的で、−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2等の極性官能基が導入されていてもよい。ここで、式中Mは、水素原子、あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。
更に、極性官能基としては、−NR1R2、−NR1R2R3+-の末端基を有する側鎖型のもの、>NR1R2+-の主鎖型のものが挙げられる。ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子、または炭化水素基であり、X-は弗素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオン、または無機もしくは有機イオンである。また、極性官能基としては、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等も挙げられる。
(添加剤)
記録層43は、非磁性補強粒子として、酸化アルミニウム(α、βまたはγアルミナ)、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル型またはアナターゼ型の酸化チタン)等をさらに含有していてもよい。
(下地層)
下地層42は、いわゆる非磁性層であり、例えば、非磁性粉および結着剤を含む。下地層42が、必要に応じて、導電性粒子、潤滑剤、硬化剤および防錆剤等からなる群より選ばれる1種以上の添加剤をさらに含んでいてもよい。
下地層42の平均厚みtuは、好ましくは0.6μm以上2.0μm以下、より好ましくは0.8μm以上1.4μm以下である。なお、下地層42の平均厚みtuは、記録層43の平均厚みtmと同様にして求められる。但し、TEM像の倍率は、下地層42の厚みに応じて適宜調整される。
(非磁性粉)
非磁性粉は、無機物質でも有機物質でもよい。また、非磁性粉は、カーボンブラック等でもよい。無機物質としては、例えば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等が挙げられる。非磁性粉の形状としては、例えば、針状、球状、立方体状、板状等の各種形状が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(結着剤)
結着剤は、上述の記録層43と同様である。
(バック層)
バック層44は、結着剤および非磁性粉を含む。バック層44が、必要に応じて潤滑剤、硬化剤および帯電防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。結着剤および非磁性粉は、上述の下地層42と同様である。
無機粒子の平均粒子サイズは、好ましくは10nm以上150nm以下、より好ましくは15nm以上110nm以下である。無機粒子の平均粒子サイズは、上記の磁性粉の平均粒子サイズDと同様にして求められる。
バック層44の平均厚みtbは、tb≦0.6[μm]であることが好ましい。バック層44の平均厚みtbが上記範囲であることで、磁気テープMTの平均厚みtTをtT≦5.5[μm]にした場合でも、下地層42や基体41の厚みを厚く保つことができ、これにより磁気テープMTの記録再生装置内での走行安定性を保つことができる。
バック層44の平均厚みtbは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気テープMTを準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。次に、測定装置としてMitutoyo社製レーザーホロゲージを用いて、サンプルの異なる場所の厚みを5点以上測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、平均厚みtT[μm]を算出する。続いて、サンプルのバック層44をMEK(メチルエチルケトン)等の溶剤や希塩酸等で除去したのち、再び上記のレーザーホロゲージを用いてサンプルの異なる場所の厚みを5点以上測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して平均厚みtB[μm]を算出する。その後、以下の式よりバック層44の平均厚みtb(μm)を求める。
b[μm]=tT[μm]−tB[μm]
(磁気テープの平均厚みtT
磁気テープMTの平均厚みtTが、tT≦5.5[μm]、好ましくはtT≦5.2[μm]、より好ましくはtT≦5.0[μm]、さらにより好ましくはtT≦4.6[μm]、特に好ましくはtT≦4.4[μm]である。磁気テープMTの平均厚みtTがtT≦5.5[μm]であると、1データカートリッジ内に記録できる記録容量を従来よりも高めることができる。磁気テープMTの平均厚みtTの下限値は特に限定されるものではないが、例えば、3.5[μm]≦tTである。
磁気テープMTの平均厚みtTは、バック層44の平均厚みtbにおける平均厚みtTと同様にして求められる。
(寸法変化量Δw)
磁気テープMTの長手方向のテンション変化に対する磁気テープMTの幅方向の寸法変化量Δw[ppm/N]は、650ppm/N≦Δwであり、好ましくは670ppm/N≦Δwであり、より好ましくは680ppm/N≦Δwであり、さらにより好ましくは700ppm/N≦Δwであり、特に好ましくは750ppm/N≦Δwであり、最も好ましくは800ppm/N≦Δwである。寸法変化量ΔwがΔw<650ppm/Nであると、記録再生装置50による磁気テープMTの長手方向のテンションの調整では、磁気テープMTの幅の変化を抑制することが困難となる虞がある。寸法変化量Δwの上限値は特に限定されるものではないが、例えばΔw≦1700000ppm/N、好ましくはΔw≦20000ppm/N、より好ましくはΔw≦8000ppm/N、さらにより好ましくはΔw≦5000ppm/N、Δw≦4000ppm/N、Δw≦3000ppm/N、またはΔw≦2000ppm/Nでありうる。
寸法変化量Δwは、基体41の選択により所望の値に設定することが可能である。例えば、寸法変化量Δwは、基体41の厚みおよび基体41の材料の少なくとも一方を選択することにより所望の値に設定されうる。また、寸法変化量Δwは、例えば基体41の幅方向および長手方向の延伸強度を調整することによって、所望の値に設定されてもよい。例えば、基体41の幅方向により強く延伸することによって、寸法変化量Δwはより低下し、反対に、基体41の長手方向における延伸を強めることによって、寸法変化量Δwは上昇する。
寸法変化量Δwは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気テープMTを準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプル10Sを作製する。次に、サンプル10Sの長手方向に0.2N、0.6N、1.0Nの順で荷重をかけ、0.2N、0.6N、および1.0Nの荷重におけるサンプル10Sの幅を測定する。続いて、以下の式より寸法変化量Δwを求める。なお、0.6Nの荷重をかけた場合の測定は、測定において異常が生じていないかを確認するため(特にはこれら3つの測定結果が直線的になっていることを確認するため)に行われるものであり、その測定結果は以下の式において用いられない。
Figure 0006777259
(但し、式中、D(0.2N)およびD(1.0N)はそれぞれ、サンプル10Sの長手方向に0.2Nおよび1.0Nの荷重をかけたときのサンプル10Sの幅を示す。)
各荷重をかけたときのサンプル10Sの幅は以下のようにして測定される。まず、測定装置としてキーエンス社製のデジタル寸法測定器LS−7000を組み込んだ、図6に示す測定装置を準備し、この測定装置にサンプル10Sをセットする。具体的には、長尺状のサンプル(磁気テープMT)10Sの一端を固定部231により固定する。次に、図6に示されるとおり、サンプル10Sを、5本の略円柱状且つ棒状の支持部材2321〜2325に乗せる。サンプル10Sは、そのバック面が5本の支持部材2321〜2325に接するように、これら支持部材2321〜2325に乗せられる。5本の支持部材2321〜2325(特にその表面)はいずれもステンレス鋼SUS304から形成されており、その表面粗さRz(最大高さ)は0.15μm〜0.3μmである。
5本の棒状の支持部材2321〜2325の配置を、図6を参照しながら説明する。図6に示されるとおり、サンプル10Sは、5本の支持部材2321〜2325に乗せられている。5本の支持部材2321〜2325について、以下では、固定部231に最も近いほうから「第1支持部材2321」、「第2支持部材2322」、「第3支持部材2323」(スリット232Aを有する)、「第4支持部材2324」、および「第5支持部材2325」(重り233に最も近い)という。これら5本の第1〜第5支持部材2321〜2325の直径はいずれも、7mmである。第1支持部材2321と第2支持部材2322との距離d1(特にはこれら支持部材の中心軸の間の距離)は20mmである。第2支持部材2322と第3支持部材2323との距離d2は30mmである。第3支持部材2323と第4支持部材2324との距離d3は30mmである。第4支持部材2324と第5支持部材2325との距離d4は20mmである。
また、サンプル10Sのうち第2支持部材2322、第3支持部材2323、および第4支持部材2324の間に乗っている部分が、重力方向に対して略垂直な平面を形成するように、これら3つの支持部材2322〜2324は配置されている。また、サンプル10Sが、第1支持部材2321と第2支持部材2322との間では、上記略垂直の平面に対してθ1=30°の角度を形成するように、第1支持部材2321および第2支持部材2322は配置されている。さらに、サンプル10Sが、第4支持部材2324と第5支持部材2325との間では、上記の略垂直な平面に対してθ2=30°の角度を形成するように、第4支持部材2324および第5支持部材2325は配置されている。また、5本の第1〜第5支持部材2321〜2325のうち、第3支持部材2323は回転しないように固定されているが、その他の4本の第1、第2、第4、第5支持部材2321、2322、2324、2325は全て回転可能である。
サンプル10Sは、支持部材2321〜2325上でサンプル10Sの幅方向に移動しないように保持される。なお、支持部材2321〜2325のうち、発光器234および受光器235の間に位置し、かつ、固定部231と荷重をかける部分とのほぼ中心に位置する支持部材2323にはスリット232Aが設けられている。スリット232Aを介して発光器234から受光器235に光Lが照射されるようになっている。スリット232Aのスリット幅は1mmであり、光Lは、スリット232Aの枠に遮られることなく、当該スリット232Aを通り抜けられる。
続いて、温度25℃相対湿度50%の一定環境下に制御されたチャンバー内に測定装置を収容したのち、サンプル10Sの他端に、0.2Nの荷重をかけるための重り233を取り付け、サンプル10Sを上記環境内に2時間置く。2時間置いた後に、サンプル10Sの幅を測定する。次に、0.2Nの荷重をかけるための重りを、0.6Nの荷重をかけるための重りに変更し、当該変更の5分後にサンプル10Sの幅を測定する。最後に、1.0Nの荷重をかけるための重りに変更し、当該変更の5分後にサンプル10Sの幅を測定する。
以上のとおり、重り233の重さを調整することによりサンプル10Sの長手方向に加わる荷重を変化させることができる。各荷重が加えられた状態で、発光器234から受光器235に向けて光Lを照射し、長手方向に荷重が加えられたサンプル10Sの幅を測定する。当該幅の測定は、サンプル10Sがカールしていない状態で行われる。発光器234および受光器235は、デジタル寸法測定器LS−7000に備えられているものである。
(温度膨張係数α)
磁気テープMTの温度膨張係数αは、6[ppm/℃]≦α≦8[ppm/℃]であることが好ましい。温度膨張係数αが上記範囲であると、記録再生装置による磁気テープMTの長手方向のテンションの調整により、磁気テープMTの幅の変化を更に抑制することができる。
温度膨張係数αは以下のようにして求められる。まず、寸法変化量Δwの測定方法と同様にしてサンプル10Sを作製し、寸法変化量Δwの測定方法と同様の測定装置にサンプル10Sをセットしたのち、測定装置を温度29℃相対湿度24%の一定環境に制御されたチャンバー内に収容する。次に、サンプル10Sの長手方向に0.2Nの荷重をかけ、上記環境にサンプル10Sを馴染ませる。その後、相対湿度24%を保持したまま、45℃、29℃、10℃の順で温度を変え、45℃、10℃におけるサンプル10Sの幅を測定し、以下の式より温度膨張係数αを求める。なお、温度29℃におけるサンプル10Sの幅の測定は、測定において異常が生じていないかを確認するため(特にはこれら3つの測定結果が直線的になっていることを確認するため)に行われるものであり、その測定結果は以下の式において用いられない。
Figure 0006777259
(但し、式中、D(45℃)、D(10℃)はそれぞれ、温度45℃、10℃におけるサンプル10Sの幅を示す。)
(湿度膨張係数β)
磁気テープMTの湿度膨張係数βは、β≦5[ppm/%RH]であることが好ましい。湿度膨張係数βが上記範囲であると、記録再生装置による磁気テープMTの長手方向のテンションの調整により、磁気テープMTの幅の変化を更に抑制することができる。
湿度膨張係数βは以下のようにして求められる。まず、寸法変化量Δwの測定方法と同様にしてサンプル10Sを作製し、寸法変化量Δwの測定方法と同様の測定装置にサンプル10Sをセットしたのち、測定装置を温度29℃相対湿度24%の一定環境に制御されたチャンバー内に収容する。次に、サンプル10Sの長手方向に0.2Nの荷重をかけ、上記環境にサンプル10Sを馴染ませる。その後、温度29℃を保持したまま、80%、24%、10%の順で相対湿度を変え、80%、10%におけるサンプル10Sの幅を測定し、以下の式より湿度膨張係数βを求める。なお、湿度24%におけるサンプル10Sの幅の測定は、測定において異常が生じていないかを確認するため(特にはこれら3つの測定結果が直線的になっていることを確認するため)に行われるものであり、その測定結果は以下の式において用いられない。
Figure 0006777259
(但し、式中、D(80%)、D(10%)はそれぞれ、湿度80%、10%におけるサンプル10Sの幅を示す。)
(ポアソン比ρ)
磁気テープMTのポアソン比ρは、0.3≦ρであることが好ましい。ポアソン比ρが上記範囲であると、記録再生装置による磁気テープMTの長手方向のテンションの調整により、磁気テープMTの幅の変化を更に抑制することができる。
ポアソン比ρは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気テープMTを準備し、それを150mmの長さに切り出しサンプルを作製したのち、そのサンプルの中央部に6mm×6mmのサイズのマークを付与する。次に、チャック間の距離が100mmとなるようにサンプルの長手方向の両端部をチャックし、初期荷重2Nをかけ、その際のサンプルの長手方向のマークの長さを初期長とし、サンプルの幅方向のマークの幅を初期幅とする。続いて、引張速度0.5mm/minで、インストロンタイプの万能引張試験装置にて引張り、キーエンス製イメージセンサーにて、サンプルの長手方向のマークの長さ、およびサンプルの幅方向のマークの幅それぞれの寸法変化量を測定する。その後、以下の式よりポアソン比ρを求める。
Figure 0006777259
(長手方向の弾性限界値σMD
磁気テープMTの長手方向の弾性限界値σMDが、0.8[N]≦σMDであることが好ましい。弾性限界値σMDが上記範囲であると、記録再生装置による磁気テープMTの長手方向のテンションの調整により、磁気テープMTの幅の変化を更に抑制することができる。また、ドライブ側の制御がし易くなる。磁気テープMTの長手方向の弾性限界値σMDの上限値は特に限定されるものではないが、例えばσMD≦5.0[N]である。弾性限界値σMDが、弾性限界測定を行う際の引張速度Vに依らないことが好ましい。弾性限界値σMDが上記引張速度Vに依らないことで、記録再生装置における磁気テープMTの走行速度や、記録再生装置のテンション調整速度とその応答性に影響を受けること無く、効果的に磁気テープMTの幅の変化を抑制できるからである。弾性限界値σMDは、例えば、下地層42、記録層43およびバック層44の硬化条件の選択、基体41の材質の選択により所望の値に設定される。例えば、下地層形成用塗料、記録層形成用塗料およびバック層形成用塗料の硬化時間を長くするほど、あるいは硬化温度を上げるほど、これらの各塗料に含まれるバインダと硬化剤の反応が促進する。これにより、弾性的な特徴が向上し、弾性限界値σMDが向上する。
弾性限界値σMDは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気テープMTを準備し、それを150mmの長さに切り出しサンプルを作製し、チャック間距離λ0がλ0=100mmとなるように、万能引張試験装置にサンプルの長手方向の両端をチャックする。次に、引張速度0.5mm/minでサンプルを引張り、チャック間距離λ(mm)に対する荷重σ(N)を連続的に計測する。続いて、得られたλ(mm)、σ(N)のデータを用い、Δλ(%)とσ(N)の関係をグラフ化する。但し、Δλ(%)は以下の式により与えられる。
Δλ(%)=((λ−λ0)/λ0)×100
次に、上記のグラフ中、σ≧0.2Nの領域で、グラフが直線となる領域を算出し、その最大荷重σを弾性限界値σMD(N)とする。
(層間摩擦係数μ)
磁性面とバック面の層間摩擦係数μが、0.20≦μ≦0.80であることが好ましい。層間摩擦係数μが上記範囲であると、磁気テープMTをリール(例えば図2のリール13)に巻いたときに、巻ズレが発生することを抑制できる。より具体的には、層間摩擦係数μがμ<0.20であると、カートリッジリールに既に巻かれている磁気テープMTのうち最外周に位置する部分の磁性面と、その外側に新たに巻こうとしている磁気テープMTのバック面との間の層間摩擦が極端に低い状態となり、新たに巻こうとしている磁気テープMTが、既に巻かれている磁気テープMTのうち最外周に位置する部分の磁性面からズレやすくなる。したがって、磁気テープMTの巻ズレが発生する。一方、層間摩擦係数μが0.80<μであると、ドライブ側リールの最外周から正に巻き出されようとしている磁気テープMTのバック面と、その直下に位置する、未だドライブリールに巻かれたままの磁気テープMTの磁性面との間の層間摩擦が極端に高い状態となり、上記バック面と上記磁性面とが貼り付いた状態となる。したがって、カートリッジリールへと向かう磁気テープMTの動作が不安定となり、これにより磁気テープMTの巻ズレが発生する。
層間摩擦係数μは以下のようにして求められる。まず、1インチ径の円柱に、1/2インチ幅の磁気テープMTをバック面を表にして巻き付け、磁気テープMTを固定する。次に、この円柱に対し、1/2インチ幅の磁気テープMTを今度は磁性面が接触する様に抱き角θ(°)=180°+1°〜180°−10°で接触させ、磁気テープMTの一端を可動式ストレインゲージと繋ぎ、他方端にテンションT0=0.6(N)を付与する。可動式ストレインゲージを0.5mm/sにて8往復させた際の各往路でのストレインゲージの読みT1(N)〜T8(N)を測定し、T4〜T8の平均値をTave(N)とする。その後、以下の式より層間摩擦係数μを求める。
Figure 0006777259
(バック面の表面粗度Rb
バック面の表面粗度(バック層44の表面粗度)Rbが、Rb≦6.0[nm]であることが好ましい。バック面の表面粗度Rbが上記範囲であると、電磁変換特性を向上することができる。
バック面の表面粗度Rbは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気テープMTを準備し、そのバック面を上にしてスライドガラスに貼り付け、試料片とする。次に、その試料片のバック面を下記の光干渉を用いた非接触粗度計により、面粗度を測定する。
装置:光干渉を用いた非接触粗度計
(株式会社菱化システム製 非接触表面・層断面形状計測システム VertScan R5500GL-M100-AC)
対物レンズ:20倍(約237μm×178μm視野)
分解能:640points×480points
測定モード:phase
波長フィルター:520nm
面補正:2次多項式近似面にて補正
上述のようにして、長手方向で少なくとも5点以上の位置にて面粗度を測定したのち、各位置で得られた表面プロファイルから自動計算されたそれぞれの算術平均粗さSa(nm)の平均値をバック面の表面粗度Rb(nm)とする。
(保磁力Hc)
磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)に測定した保磁力Hcが、好ましくは220kA/m以上310kA/m以下、より好ましくは230kA/m以上300kA/m以下、更により好ましくは240kA/m以上290kA/m以下である。保磁力Hcが220kA/m以上であると、保磁力Hcが十分な大きさとなるため、記録ヘッドからの漏れ磁界により、隣接するトラックに記録された磁化信号が劣化することを抑制できる。したがって、より優れたSNRを得ることができる。一方、保磁力Hcが310kA/m以下であると、記録ヘッドによる飽和記録が容易になるため、より優れたSNRを得ることができる。
上記の保磁力Hcは以下のようにして求められる。まず、長尺状の磁気テープMTから測定サンプルを切り出し、振動試料型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer:VSM)を用いて測定サンプルの厚み方向(磁気テープMTの厚み方向)に測定サンプル全体のM−Hループを測定する。次に、アセトンまたはエタノール等を用いて塗膜(下地層42、記録層43等)を払拭し、基体41のみを残してバックグラウンド補正用とし、VSMを用いて基体41の厚み方向(磁気テープMTの厚み方向)に基体41のM−Hループを測定する。その後、測定サンプル全体のM−Hループから基体41のM−Hループを引き算して、バックグラウンド補正後のM−Hループを得る。得られたM−Hループから保磁力Hcを求める。なお、上記のM−Hループの測定はいずれも、25℃にて行われるものとする。また、M−Hループを磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。また、使用するVSMの感度に合わせて、測定するサンプルを複数枚重ねてM−Hループを測定してもよい。
(保磁力Hc(50)と保磁力Hc(25)との比率R)
50℃にて磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)に測定した保磁力Hc(50)と25℃にて磁気テープMTの厚み方向に測定した保磁力Hc(25)との比率R(=(Hc(50)/Hc(25))×100)が、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、更により好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上である。上記比率Rが95%以上であると、保磁力Hcの温度依存性が小さくなり、高温環境下におけるSNRの劣化を抑制することができる。
上記の保磁力Hc(25)は、上記の保磁力Hcの測定方法と同様にして求められる。また、上記の保磁力Hc(50)は、測定サンプルおよび基体41のM−Hループの測定をいずれも50℃にて行うこと以外は上記の保磁力Hcの測定方法と同様にして求められる。
(走行方向に測定した角形比S1)
磁気テープMTの走行方向に測定した角形比S1が、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下である。角形比S1が35%以下であると、磁性粉の垂直配向性が十分に高くなるため、より優れたSNRを得ることができる。したがって、より優れた電磁変換特性を得ることができる。また、サーボ信号形状が改善され、よりドライブ側の制御がし易くなる。
上記の角形比S1は以下のようにして求められる。まず、長尺状の磁気テープMTから測定サンプルを切り出し、VSMを用いて磁気テープMTの走行方向(長手方向)に対応する測定サンプル全体のM−Hループを測定する。次に、アセトンまたはエタノール等を用いて塗膜(下地層42、記録層43等)を払拭し、基体41のみを残して、バックグラウンド補正用とし、VSMを用いて基体41の走行方向(磁気テープMTの走行方向)に対応する基体41のM−Hループを測定する。その後、測定サンプル全体のM−Hループから基体41のM−Hループを引き算して、バックグラウンド補正後のM−Hループを得る。得られたM−Hループの飽和磁化Ms(emu)および残留磁化Mr(emu)を以下の式に代入して、角形比S1(%)を計算する。なお、上記のM−Hループの測定はいずれも、25℃にて行われるものとする。また、使用するVSMの感度に合わせて、測定するサンプルを複数枚重ねてM−Hループを測定してもよい。
角形比S1(%)=(Mr/Ms)×100
(垂直方向に測定した角形比S2)
磁気テープMTの垂直方向(厚み方向)に測定した角形比S2が、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらにより好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上である。角形比S2が65%以上であると、磁性粉の垂直配向性が十分に高くなるため、より優れたSNRを得ることができる。したがって、より優れた電磁変換特性を得ることができる。また、サーボ信号形状が改善され、よりドライブ側の制御がし易くなる。
角形比S2は、M−Hループを磁気テープMTおよび基体41の垂直方向(厚み方向)に測定すること以外は角形比S1と同様にして求められる。なお、角形比S2の測定においては、M−Hループを磁気テープMTの垂直方向に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。
角形比S1、S2は、例えば、記録層形成用塗料に印加される磁場の強度、記録層形成用塗料に対する磁場の印加時間、記録層形成用塗料中における磁性粉の分散状態、または記録層形成用塗料中における固形分の濃度等を調整することにより所望の値に設定される。具体的には例えば、磁場の強度を強くするほど、角形比S1が小さくなるのに対して、角形比S2が大きくなる。また、磁場の印加時間を長くするほど、角形比S1が小さくなるのに対して、角形比S2が大きくなる。また、磁性粉の分散状態を向上するほど、角形比S1が小さくなるのに対して、角形比S2が大きくなる。また、固形分の濃度を低くするほど、角形比S1が小さくなるのに対して、角形比S2が大きくなる。なお、上記の調整方法は単独で使用してもよいし、2以上組み合わせて使用してもよい。
(Hc2/Hc1)
垂直方向における保磁力Hc1と、長手方向における保磁力Hc2の比Hc2/Hc1が、Hc2/Hc1≦0.8、好ましくはHc2/Hc1≦0.75、より好ましくはHc2/Hc1≦0.7、さらにより好ましくはHc2/Hc1≦0.65、特に好ましくはHc2/Hc1≦0.6の関係を満たす。保磁力Hc1、Hc2がHc2/Hc1≦0.8の関係を満たすことで、磁性粉の垂直配向度を高めることができる。したがって、磁化遷移幅を低減し、かつ信号再生時に高出力の信号を得ることができるので、電磁変換特性(例えばC/N)を向上することができる。なお、上述したように、Hc2が小さいと、記録ヘッドからの垂直方向の磁界により感度良く磁化が反応するため、良好な記録パターンを形成することができる。
比Hc2/Hc1がHc2/Hc1≦0.8である場合、記録層43の平均厚みが90nm以下であることが特に有効である。記録層43の平均厚みが90nmを超えると、記録ヘッドとしてリング型ヘッドを用いた場合に、記録層43の下部領域(下地層42側の領域)が長手方向に磁化されてしまい、記録層43を厚み方向に均一に磁化することができなくなる虞がある。したがって、比Hc2/Hc1をHc2/Hc1≦0.8としても(すなわち、磁性粉の垂直配向度を高めても)、電磁変換特性(例えばC/N)を向上することができなくなる虞がある。
Hc2/Hc1の下限値は特に限定されるものではないが、例えば0.5≦Hc2/Hc1である。なお、Hc2/Hc1は磁性粉の垂直配向度を表しており、Hc2/Hc1が小さいほど磁性粉の垂直配向度が高くなる。
(SFD)
磁気テープMTのSFD(Switching Field Distribution)曲線において、メインピーク高さXと磁場ゼロ付近のサブピークの高さYとのピーク比X/Yが、好ましくは3.0以上、より好ましくは5.0以上、更により好ましくは7.0以上、特に好ましくは10.0以上、最も好ましくは20.0以上である。ピーク比X/Yが3.0以上であると、実際の記録に寄与するε酸化鉄粒子の他にε酸化鉄特有の低保磁力成分(例えば軟磁性粒子や超常磁性粒子等)が磁性粉中に多く含まれることを抑制できる。したがって、記録ヘッドからの漏れ磁界により、隣接するトラックに記録された磁化信号が劣化することを抑制できるので、より優れたSNRを得ることができる。ピーク比X/Yの上限値は特に限定されるものではないが、例えば100以下である。
上記のピーク比X/Yは、以下のようにして求められる。まず、上記の保磁力Hcの測定方法と同様にして、バックグラウンド補正後のM−Hループを得る。次に、得られたM−HループからSFDカーブを算出する。SFDカーブの算出には測定機に付属のプログラムを用いてもよいし、その他のプログラムを用いてもよい。算出したSFDカーブがY軸(dM/dH)を横切る点の絶対値を「Y」とし、M−Hループで言うところの保磁力Hc近傍に見られるメインピークの高さを「X」として、ピーク比X/Yを算出する。なお、M−Hループの測定は、上記の保磁力Hcの測定方法と同様に25℃にて行われるものとする。また、M−Hループを磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。また、使用するVSMの感度に合わせて、測定するサンプルを複数枚重ねてM−Hループを測定してもよい。
(活性化体積Vact
活性化体積Vactが、好ましくは8000nm3以下、より好ましくは6000nm3以下、更により好ましくは5000nm3以下、特に好ましくは4000nm3以下、最も好ましくは3000nm3以下である。活性化体積Vactが8000nm3以下であると、磁性粉の分散状態が良好になるため、ビット反転領域を急峻にすることができ、記録ヘッドからの漏れ磁界により、隣接するトラックに記録された磁化信号が劣化することを抑制できる。したがって、より優れたSNRが得られなくなる虞がある。
上記の活性化体積Vactは、Street&Woolleyにより導出された下記の式により求められる。
act(nm3)=kB×T×Χirr/(μ0×Ms×S)
(但し、kB:ボルツマン定数(1.38×10-23J/K)、T:温度(K)、Χirr:非可逆磁化率、μ0:真空の透磁率、S:磁気粘性係数、Ms:飽和磁化(emu/cm3))
上記式に代入される非可逆磁化率Χirr、飽和磁化Msおよび磁気粘性係数Sは、VSMを用いて以下のようにして求められる。なお、VSMによる測定方向は、磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)とする。また、VSMによる測定は、長尺状の磁気テープMTから切り出された測定サンプルに対して25℃にて行われるものとする。また、M−Hループを磁気テープMTの厚み方向(垂直方向)に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。また、使用するVSMの感度に合わせて、測定するサンプルを複数枚重ねてM−Hループを測定してもよい。
(非可逆磁化率Χirr
非可逆磁化率Χirrは、残留磁化曲線(DCD曲線)の傾きにおいて、残留保磁力Hr付近における傾きと定義される。まず、磁気テープMT全体に−1193kA/m(15kOe)の磁界を印加し、磁界をゼロに戻し残留磁化状態とする。その後、反対方向に約15.9kA/m(200Oe)の磁界を印加し再びゼロに戻し残留磁化量を測定する。その後も同様に、先ほどの印加磁界よりもさらに15.9kA/m大きい磁界を印加しゼロに戻す測定を繰り返し行い、印加磁界に対して残留磁化量をプロットしDCD曲線を測定する。得られたDCD曲線から、磁化量ゼロとなる点を残留保磁力Hrとし、さらにDCD曲線を微分し、各磁界におけるDCD曲線の傾きを求める。このDCD曲線の傾きにおいて、残留保磁力Hr付近の傾きがΧirrとなる。
(飽和磁化Ms)
まず、磁気テープMTの厚み方向に磁気テープMT(測定サンプル)全体のM−Hループを測定する。次に、アセトンおよびエタノール等を用いて塗膜(下地層42、記録層43等)を払拭し、基体41のみを残して、バックグラウンド補正用として、基体41のM−Hループを同様に厚み方向に測定する。その後、磁気テープMT全体のM−Hループから基体41のM−Hループを引き算して、バックグラウンド補正後のM−Hループを得る。得られたM−Hループの飽和磁化Ms(emu)の値と、測定サンプル中の記録層43の体積(cm3)から、Ms(emu/cm3)を算出する。なお、記録層43の体積は測定サンプルの面積に記録層43の平均厚みを乗ずることにより求められる。また、使用するVSMの感度に合わせて、測定するサンプルを複数枚重ねてM−Hループを測定してもよい。記録層43の体積の算出に必要な記録層43の平均厚みの算出方法については後述する。
(磁気粘性係数S)
まず、磁気テープMT(測定サンプル)全体に−1193kA/m(15kOe)の磁界を印加し、磁界をゼロに戻し残留磁化状態とする。その後、反対方向に、DCD曲線より得られた残留保磁力Hrの値と同等の磁界を印加する。磁界を印加した状態で1000秒間、磁化量を一定の時間間隔で継続的に測定する。このようにして得られた、時間tと磁化量M(t)の関係を以下の式に照らし合わせて、磁気粘性係数Sを算出する。
M(t)=M0+S×ln(t)
(但し、M(t):時間tの磁化量、M0:初期の磁化量、S:磁気粘性係数、ln(t):時間の自然対数)
(BET比表面積)
潤滑剤を除去した状態における磁気テープMTの全体のBET比表面積の下限値は、3.5m2/mg以上、好ましくは4m2/mg以上、より好ましくは4.5m2/mg以上、さらにより好ましくは5m2/mg以上である。BET比表面積の下限値が3.5m2/mg以上であると、繰り返し記録または再生を行った後にも(すなわち磁気ヘッドを磁気テープMTの表面に接触させて繰り返し走行を行った後にも)、記録層43の表面と磁気ヘッドの間に対する潤滑剤の供給量の低下を抑制することができる。したがって、動摩擦係数の増加を抑制することができる。
潤滑剤を除去した状態における磁気テープMTの全体のBET比表面積の上限値は、好ましくは7m2/mg以下、より好ましくは6m2/mg以下、さらにより好ましくは5.5m2/mg以下である。BET比表面積の上限値が7m2/mg以下であると、多数回走行後にも潤滑剤を枯渇することなく十分に供給できる。したがって、動摩擦係数の増加を抑制することができる。
BJH法により求められる磁気テープMTの全体の平均細孔直径は、6nm以上11nm以下、好ましくは7nm以上10nm以下、より好ましくは7.5nm以上10nm以下である。平均細孔直径が6nm以上11nm以下であると、上述した動摩擦係数の増加を抑制する効果をさらに向上することができる。
BET比表面積および細孔分布(細孔容積、脱着時最大細孔容積の細孔直径)は以下のようにして求められる。まず、磁気テープMTをヘキサンで24時間洗浄したのち、面積0.1265m2のサイズに切り出すことにより、測定サンプルを作製する。次に、比表面積・細孔分布測定装置を用いて、BET比表面積を求める。また、BJH法により細孔分布(細孔容積、脱着時最大細孔容積の細孔直径)を求める。以下に、測定装置および測定条件を示す。
測定装置:Micromeritics社製 3FLEX
測定吸着質:N2ガス
測定圧力範囲(p/p0):0〜0.995
(算術平均粗さRa)
磁性面の算術平均粗さRaは、好ましくは2.5nm以下、より好ましくは2.0nm以下である。Raが2.5nm以下であると、より優れたSNRを得ることができる。
上記の算術平均粗さRaは以下のようにして求められる。まず、AFM(Atomic Force Microscope)(ブルカー製、Dimension Icon)を用いて記録層43が設けられている側の表面を観察して、断面プロファイルを取得する。次に、取得した断面プロファイルから、JIS B0601:2001に準拠して算術平均粗さRaを求める。
[磁気テープの製造方法]
次に、上述の構成を有する磁気テープMTの製造方法の一例について説明する。まず、非磁性粉および結着剤等を溶剤に混練、分散させることにより、下地層形成用塗料を調製する。次に、磁性粉および結着剤等を溶剤に混練、分散させることにより、記録層形成用塗料を調製する。記録層形成用塗料および下地層形成用塗料の調製には、例えば、以下の溶剤、分散装置および混練装置を用いることができる。
上述の塗料調製に用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜混合して用いてもよい。
上述の塗料調製に用いられる混練装置としては、例えば、連続二軸混練機、多段階で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダー、ロールニーダー等の混練装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。また、上述の塗料調製に用いられる分散装置としては、例えば、ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミル、ピンミル、タワーミル、パールミル(例えばアイリッヒ社製「DCPミル」等)、ホモジナイザー、超音波分散機等の分散装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。
次に、下地層形成用塗料を基体41の一方の主面に塗布して乾燥させることにより、下地層42を形成する。続いて、この下地層42上に記録層形成用塗料を塗布して乾燥させることにより、記録層43を下地層42上に形成する。なお、乾燥の際に、例えばソレノイドコイルにより、磁性粉を基体41の厚み方向に磁場配向させる。また、乾燥の際に、例えばソレノイドコイルにより、磁性粉を基体41の走行方向(長手方向)に磁場配向させたのちに、基体41の厚み方向に磁場配向させるようにしてもよい。記録層43の形成後、基体41の他方の主面にバック層44を形成する。これにより、磁気テープMTが得られる。
その後、得られた磁気テープMTを大径コアに巻き直し、硬化処理を行う。最後に、磁気テープMTに対してカレンダー処理を行った後、所定の幅(例えば1/2インチ幅)に裁断する。以上により、目的とする細長い長尺状の磁気テープMTが得られる。
[記録再生装置の構成]
記録再生装置50は、上述の構成を有する磁気テープMTの記録および再生を行う。記録再生装置50は、磁気テープMTの長手方向に加わるテンションを調整可能な構成を有している。また、記録再生装置50は、カートリッジ10を装填可能な構成を有している。ここでは、説明を容易とするために、記録再生装置50が、1つのカートリッジ10を装填可能な構成を有している場合について説明するが、記録再生装置50が、複数のカートリッジ10を装填可能な構成を有していてもよい。
記録再生装置50は、ネットワーク70を介してサーバ71およびパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)72等の情報処理装置に接続されており、これらの情報処理装置から供給されたデータをカートリッジ10に記録可能に構成されている。また、これらの情報処理装置からの要求に応じて、カートリッジ10からデータを再生し、これらの情報処理装置に供給可能に構成されている。記録再生装置50の最短記録波長は、好ましくは100nm以下、より好ましくは75nm以下、更により好ましくは60nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
記録再生装置50は、図1に示すように、スピンドル51と、記録再生装置50側のリール52と、スピンドル駆動装置53と、リール駆動装置54と、複数のガイドローラ55と、ヘッドユニット56と、通信部としてのリーダライタ57と、通信インターフェース(以下、I/F)58と、制御装置59とを備えている。
スピンドル51は、カートリッジ10を装着可能に構成されている。磁気テープMTには、サーボ信号としてハの字状のサーボパターンが予め記録されている。リール52は、テープローディング機構(図示せず)を介してカートリッジ10から引き出された磁気テープMTの先端(リーダーピン22)を固定可能に構成される。
スピンドル駆動装置53は、制御装置59からの命令に応じて、スピンドル51を回転させる。リール駆動装置54は、制御装置59からの命令に応じて、リール52を回転させる。複数のガイドローラ55は、カートリッジ10とリール52との間に形成されるテープパスがヘッドユニット56に対して所定の相対位置関係となるように磁気テープMTの走行をガイドする。
磁気テープMTに対してデータの記録が行われる際、または磁気テープMTからデータの再生が行われる際には、スピンドル駆動装置53およびリール駆動装置54により、スピンドル51およびリール52が回転駆動され、磁気テープMTが走行する。磁気テープMTの走行方向は、順方向(カートリッジ10側からリール52側に流れる方向)および逆方向(リール52側からカートリッジ10側へ流れる方向)での往復が可能とされている。
本実施形態では、スピンドル駆動装置53によるスピンドル51の回転の制御、およびリール駆動装置54によるリール52の回転の制御により、データ記録時またはデータ再生時における磁気テープMTの長手方向のテンションが調整可能とされる。なお、磁気テープMTのテンション調整は、スピンドル51およびリール52の回転の制御に代えて、またはこの制御に加えて、ガイドローラ55の移動の制御により行われてもよい。
リーダライタ57は、制御装置59からの命令に応じて、カートリッジメモリ11に対して第1の情報および第2の情報を書き込むことが可能に構成されている。また、リーダライタ57は、制御装置59からの命令に応じて、カートリッジメモリ11から第1の情報および第2の情報を読み出すことが可能に構成されている。リーダライタ57とカートリッジメモリ11との間の通信方式としては、例えば、ISO14443方式が採用される。第2の情報は、テンション調整情報を含む。テンション調整情報は、データ記録時情報の一例である。
制御装置59は、例えば、制御部、記憶部、通信部等を含む。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等により構成されており、記憶部に記憶されたプログラムに従い、記録再生装置50の各部を制御する。例えば、制御装置59は、サーバ71およびPC72等の情報処理装置の要求に応じて、情報処理装置から供給されるデータ信号をヘッドユニット56により磁気テープMTに記録する。また、制御装置59は、サーバ71およびPC72等の情報処理装置の要求に応じて、ヘッドユニット56により、磁気テープMTに記録されたデータ信号を再生し、情報処理装置に供給する。
記憶部は、各種のデータや各種のプログラムが記録される不揮発性のメモリと、制御部の作業領域として用いられる揮発性のメモリとを含む。上記各種のプログラムは、光ディスク等の可搬性の記録媒体または半導体メモリ等の可搬性の記憶装置から読み取られてもよいし、ネットワーク上のサーバ装置からダウンロードされてもよい。
制御装置59は、磁気テープMTに対するデータの記録時または磁気テープMTからデータの再生時に、ヘッドユニット56により、隣接する2本のサーボバンドSBに記録されたサーボ信号を読み取る。制御装置59は、2本のサーボバンドSBから読み取られるサーボ信号を用いて、ヘッドユニット56がサーボパターンを追従するように、ヘッドユニット56の位置を制御する。
制御装置59は、磁気テープMTに対するデータの記録時に、隣接する2本のサーボバンドSBから読み取られるサーボ信号の再生波形から、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離(磁気テープMTの幅方向における距離)d1を求める。そして、求めた距離をリーダライタ57によりメモリ36に書き込む。
制御装置59は、磁気テープMTからのデータの再生時に、隣接する2本のサーボバンドSBから読み取られるサーボ信号の再生波形から、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離(磁気テープMTの幅方向における距離)d2を求める。それと共に、制御装置59は、リーダライタ57によりメモリ36から、磁気テープMTに対するデータの記録時に求めた、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離d1を読み出す。制御装置59は、磁気テープMTに対するデータの記録時に求めたサーボバンドSB間の距離d1と、磁気テープMTからのデータの再生時に求めたサーボバンドSB間の距離d2との差分Δdが規定の範囲内になるように、スピンドル駆動装置53およびリール駆動装置54の回転を制御し、磁気テープMTの長手方向にかかるテンションを調整する。このテンション調整の制御は、例えばフィードバック制御により行われる。
ヘッドユニット56は、制御装置59からの指令に応じて、磁気テープMTに対してデータを記録することが可能に構成されている。また、ヘッドユニット56は、制御装置59からの指令に応じて、磁気テープMTに記録されたデータを再生することが可能に構成されている。ヘッドユニット56は、例えば、2つのサーボリードヘッドおよび複数のデータライト/リードヘッド等を有している。
サーボリードヘッドは、磁気テープMTに記録されたサーボ信号から発生する磁界をMR素子(MR:Magneto Resistive)等により読み取ることで、サーボ信号を再生可能に構成されている。2つのサーボリードヘッドの幅方向の間隔は、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離と略同じとされている。
データライト/リードヘッドは、2つのサーボリードヘッドに挟み込まれる位置に、一方のサーボリードヘッドから他方のサーボリードヘッドに向かう方向に沿って等間隔に配置されている。データライト/リードヘッドは、磁気ギャップから発生する磁界によって、磁気テープMTに対してデータを記録することが可能に構成されている。また、データライト/リードヘッドは、磁気テープMTに記録されたデータから発生する磁界をMR素子等により読み取ることで、データを再生可能に構成されている。
通信I/F58は、サーバ71およびPC72等の情報処理装置と通信するためのものであり、ネットワーク70に対して接続される。
[データ記録時における記録再生装置の動作]
以下、図7を参照して、データ記録時における記録再生装置50の動作の一例について説明する。
まず、制御装置59は、記録再生装置50にカートリッジ10をローディングする(ステップS11)。次に、制御装置59は、スピンドル51およびリール52の回転を制御し、磁気テープMTの長手方向に規定のテンションをかけながら磁気テープMTを走行させる。そして、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドによりサーボ信号を読み取ると共に、ヘッドユニット56のデータライト/リードヘッドにより磁気テープMTに対してデータを記録する(ステップS12)。
このとき、ヘッドユニット56は、ヘッドユニット56の2つのサーボリードヘッドにより隣接する2本のサーボバンドSBをトレースしながら、ヘッドユニット56のデータライト/リードヘッドによりデータバンドDBに対してデータを記録する。
次に、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドにより読み取られたサーボ信号の再生波形から、データ記録時における、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離d1を求める(ステップS13)。次に、制御装置59は、リーダライタ57により、データ記録時のサーボバンドSB間の距離d1をカートリッジメモリ11に書き込む(ステップS14)。制御装置59は、サーボバンドSB間の距離d1を連続的に計測し、カートリッジメモリ11に書き込んでもよいし、サーボバンドSB間の距離d1を一定間隔で計測し、カートリッジメモリ11に書き込んでもよい。サーボバンドSB間の距離d1を一定間隔で計測し、カートリッジメモリ11に書き込む場合には、メモリ36に書き込まれる情報量を低減することができる。
[データ再生時における記録再生装置の動作]
以下、図8を参照して、データ再生時における記録再生装置50の動作の一例について説明する。
まず、制御装置59は、記録再生装置50にカートリッジ10をローディングする(ステップS21)。次に、制御装置59は、リーダライタ57によりカートリッジメモリ11から記録時のサーボバンドSB間の距離d1を読み出す(ステップS22)。
次に、制御装置59は、スピンドル51およびリール52の回転を制御し、磁気テープMTの長手方向に規定のテンションをかけながら磁気テープMTを走行させる。そして、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドによりサーボ信号を読み取ると共に、ヘッドユニット56のデータライト/リードヘッドにより磁気テープMTからデータを再生する(ステップS23)。
次に、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドにより読み取られたサーボ信号の再生波形から、データ再生時における、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離d2を算出する(ステップS24)。
次に、制御装置59は、ステップS22において読み出したサーボバンドSB間の距離d1と、ステップS24において算出したサーボバンドSB間の距離d2との差分Δdが規定値以内であるか否かを判断する(ステップS25)。
ステップS25にて差分Δdが規定値以内であると判断された場合には、制御装置59は、規定のテンションが維持されるように、スピンドル51およびリール52の回転を制御する(ステップS26)。
一方、ステップS25にて差分Δdが規定値以内でないと判断された場合には、制御装置59は、差分Δdが小さくなるように、スピンドル51およびリール52の回転の制御し、走行する磁気テープMTにかかるテンションを調整し、処理をステップS24に戻す(ステップS27)。
[効果]
以上説明したように、第1の実施形態では、磁気テープMTの平均厚みtTが、tT≦5.5[μm]であり、かつ、磁気テープMTの長手方向のテンション変化に対する磁気テープMTの幅方向の寸法変化量Δwが650[ppm/N]≦Δwである。また、カートリッジメモリ11のメモリ(記憶部)36は、データ記録時の磁気テープMTの幅に関連する幅関連情報を書き込む領域(第2の記憶領域36B)を有する。これにより、磁気テープMTの幅が何らかの理由(例えば温湿度変化等)で変動したような場合でも、上記幅関連情報をデータ再生時に利用して、記録再生装置50により磁気テープMTの長手方向のテンションを調整することで、磁気テープMTの幅の変化を抑制することができる。したがって、磁気テープMTの幅が何らかの理由で変動したような場合でも、再生の信頼性低下を抑制することができる。
<2 第2の実施形態>
[記録再生装置の構成]
図9は、本開示の第2の実施形態に係る記録再生システム100Aの構成の一例を示す概略図である。記録再生システム100Aは、カートリッジ10と、記録再生装置50Aとを備える。
記録再生装置50は、温度計60と、湿度計61とをさらに備える。温度計60は、磁気テープMT(カートリッジ10)の周囲の温度を測定し、制御装置59へ出力する。また、湿度計40は、磁気テープMT(カートリッジ10)の周囲の湿度を測定し、制御装置59へ出力する。
制御装置59は、磁気テープMTに対するデータの記録時に、温度計39および湿度計40により、磁気テープMT(カートリッジ10)の周囲の温度Tm1および湿度H1を測定し、リーダライタ57を介してカートリッジメモリ11に書き込む。温度Tm1および湿度H1は、磁気テープMTの周囲の環境情報の一例である。
制御装置59は、磁気テープMTに対するデータの記録時に、スピンドル51およびリール52の駆動データに基づいて、磁気テープMTの長手方向にかけられていたテンションTn1を求め、リーダライタ57を介してカートリッジメモリ11に書き込む。
制御装置59は、磁気テープMTに対するデータの記録時に、隣接する2本のサーボバンドSBから読み取られるサーボ信号の再生波形から、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離d1を求める。そして、この距離d1に基づいて、データ記録時の磁気テープMTの幅W1を算出し、リーダライタ57によりメモリ36に書き込む。
制御装置59は、磁気テープMTからのデータの再生時に、温度計39および湿度計40により、磁気テープMT(カートリッジ10)の周囲の温度Tm2および湿度H2を測定する。
制御装置59は、磁気テープMTからのデータの再生時に、スピンドル51およびリール52の駆動データに基づいて、磁気テープMTの長手方向にかけられていたテンションTn2を求める。
制御装置59は、磁気テープMTからのデータの再生時に、隣接する2本のサーボバンドSBから読み取られるサーボ信号の再生波形から、隣接する2本のサーボバンドSB間の距離d2を求める。そして、この距離d2に基づいて、データ再生時の磁気テープMTの幅W2を算出する。
制御装置59は、磁気テープMTからのデータの再生時に、リーダライタ57を介してカートリッジメモリ11から、データ記録時に書き込んだ温度Tm1、湿度H1、テンションTn1および幅W1を読み出す。そして、制御装置59は、データの記録時における温度Tm1、湿度H1、テンションTn1および幅W1と、データの再生時における温度Tm2、湿度H2、テンションTn2および幅W2を用いて、データ再生時における磁気テープMTの幅W2がデータ記録時における磁気テープの幅W1に等しくまたはほぼ等しくなるように、磁気テープMTにかけるテンションを制御する。
カートリッジメモリ11のコントローラ35は、アンテナコイル31を介して記録再生装置50Aから受信した温度Tm1、湿度H1、テンションTn1および幅W1をメモリ36の第2の記憶領域36Bに記憶する。カートリッジメモリ11のコントローラ35は、記録再生装置50Aからの要求に応じて、メモリ36から温度Tm1、湿度H1、テンションTn1および幅W1を読み出し、アンテナコイル31を介して記録再生装置50Aに送信する。
[データ記録時における記録再生装置の動作]
以下、図10を参照して、データ記録時における記録再生装置50Aの動作の一例について説明する。
まず、制御装置59は、記録再生装置50にカートリッジ10をローディングする(ステップS101)。次に、制御装置59は、スピンドル51およびリール52の回転を制御し、磁気テープMTの長手方向に規定のテンションをかけながら磁気テープMTを走行させる。そして、制御装置59は、ヘッドユニット56により磁気テープMTに対してデータを記録する(ステップS102)。
次に、制御装置59は、温度計39および湿度計40から、データ記録時における磁気テープMTの周囲の温度Tm1および湿度H1(環境情報)を取得する(ステップS103)。
次に、制御装置59は、データ記録時におけるスピンドル51およびリール52の駆動データに基づいて、データ記録時において磁気テープMTの長手方向にかけられていたテンションTn1を算出する(ステップS104)。
次に、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドにより読み取られたサーボ信号の再生波形から、隣接する2本のサーボバンドSBの距離d1を求める。次に、制御装置59は、この距離d1に基づいて、データ記録時の磁気テープMTの幅W1を算出する(ステップS105)。
次に、制御装置59は、リーダライタ57により、温度Tm1、湿度H1、テンションTn1および磁気テープMTの幅W1をデータ記録時情報としてカートリッジメモリ11に書き込む(ステップS106)。
[データ再生時における記録再生装置の動作]
以下、図11を参照して、データ再生時における記録再生装置50Aの動作の一例について説明する。
まず、制御装置59は、記録再生装置50にカートリッジ10をローディングする(ステップS111)。次に、制御装置59は、カートリッジメモリ11に書き込まれたデータ記録時情報(温度Tm1、湿度H1、テンションTn1および磁気テープMTの幅W1)を、リーダライタ57によりカートリッジメモリ11から読み出して取得する(ステップS112)。次に、制御装置59は、温度計39および湿度計40により、データ再生時における現在の磁気テープMTの周囲の温度Tm2の情報および湿度H2の情報を取得する(ステップS113)。
次に、制御装置59は、データ記録時における温度Tm1と、データ再生時における温度Tm2との温度差TmD(TmD=Tm2−Tm1)を算出する(ステップS114)。また、制御装置59は、データ記録時における湿度H1と、データ再生時における湿度H2との湿度差HD(HD=H2−H1)を算出する(ステップS115)。
次に、制御装置59は、温度差TmDに係数αを乗算し(TmD×α)、湿度差HDに係数βを乗算する(HD×β)(ステップS116)。係数αは、温度差1℃当たり、磁気テープMTのテンションをデータ記録時のテンションTn1と比べてどの程度変更すればよいかを示す値である。係数βは、湿度差1%あたり、磁気テープMTのテンションをデータ記録時のテンションTn1と比べてどの程度変更すればよいかを示す値である。
次に、制御装置59は、データ記録時におけるテンションTn1に対して、TmD×αの値と、HD×βの値とを加算することで、データ再生時(現在)において、磁気テープMTの長手方向にかけるべきテンションTn2を算出する(ステップS117)。
Tn2=Tn1+TmD×α+HD×β
データ再生時における磁気テープMTのテンションTn2を決定した後、制御装置59は、スピンドル51およびリール52の回転を制御し、そのテンションTn2で磁気テープMTが走行するように磁気テープMTの走行を制御する。そして、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドによりサーボバンドSBのサーボ信号を読み取りながら、ヘッドユニット56のデータライト/リードヘッドにより、データトラックTkに記録されたデータの再生を行う。
このとき、磁気テープMTのテンションの調整により、磁気テープMTの幅がデータ記録時の幅に合わせられているので、ヘッドユニット56のデータライト/リードヘッドは、データトラックTkに対して正確に位置合わせすることができる。これにより、何らかの原因(例えば、温度、湿度の変動)で、磁気テープMTの幅が変動したような場合でも、磁気テープMTに記録されたデータを正確に再生することができる。
なお、データ再生時(現在)において、磁気テープMTにかけるべきテンションTn2の値は、データ再生時の温度の方がデータ記録時の温度よりも高ければ高くなる。このため、温度が高くなり、データ記録時よりも磁気テープMTの幅が広くなってしまった場合には、磁気テープMTの幅を狭めてデータ再生時と同じ幅を再現することができる。
逆に、データ再生時(現在)において、磁気テープMTにかけるべきテンションTn2の値は、データ再生時の温度の方がデータ記録時の温度よりも低ければ低くなる。このため、温度が低くなり、データ記録時よりも磁気テープMTの幅が狭くなってしまった場合には、磁気テープMTの幅を広げてデータ再生時と同じ幅を再現することができる。
また、データ再生時(現在)において、磁気テープMTにかけるべきテンションTn2の値は、データ再生時の湿度の方がデータ記録時の湿度よりも高ければ高くなる。このため、湿度が高くなり、データ記録時よりも磁気テープMTの幅が広くなってしまった場合には、磁気テープMTの幅を狭めてデータ再生時と同じ幅を再現することができる。
逆に、データ再生時(現在)において、磁気テープMTにかけるべきテンションTn2の値は、データ再生時の湿度の方がデータ記録時の湿度よりも低ければ低くなる。このため、湿度が低くなり、データ記録時よりも磁気テープMTの幅が狭くなってしまった場合には、磁気テープMTの幅を広げてデータ再生時と同じ幅を再現することができる。
ここで、データ再生時において、磁気テープMTにかけるべきテンションTn2を求めるために、データ記録時の温度Tm1、湿度H1、磁気テープMTのテンションTn1に加えて(あるいは、テンションTn1に代えて)、更に、データ記録時における磁気テープMTの幅W1の情報が用いられてもよい。
この場合も、同様に、制御装置59は、温度差TmD(TmD=Tm2−Tm1)と、湿度差HD(HD=H2−H1)とを算出する。そして、制御装置59は、温度差TmDに係数γを乗算し(TmD×γ)、湿度差HDに係数δを乗算する(HD×δ)(ステップS118)。
ここで、係数γは、温度差1℃当たり磁気テープMTの幅がどの程度変動するかを示す値(温度に基づく単位長さ(幅方向)当たりの膨張率を示す値)である。また、係数δは、湿度差1%あたり、磁気テープMTの幅がどの程度変動するかを示す値(湿度に基づく単位長さ(幅方向)当たりの膨張率を示す値)である。
次に、制御装置59は、以下の式により、データ記録時における過去の磁気テープMTの幅W1に基づいて、データ再生時における現在の磁気テープMTの幅W2を予測する。
W2=W1(1+TmD×γ+HD2×δ)
次に、制御装置59は、データ再生時における現在の磁気テープMTの幅W2と、データ記録時における過去の磁気テープMTの幅W1との差WDを算出する(WD=W2−W1=W1(TmD×γ+HD2×δ))。
そして、制御装置59は、幅の差WDに係数εを乗算した値を、データ記録時における磁気テープMTのテンションTn1に加算して、データ再生時における磁気テープMTのテンションTn2を算出する
Tn2=Tn1+WD×ε
ここで、係数εは、磁気テープMTの幅を単位距離分変化させるために必要な磁気テープMTの長手方向でのテンションを表す値である。
データ再生時における磁気テープMTのテンションTn2を決定した後、制御装置59は、スピンドル51およびリール52の回転を制御し、そのテンションTn2で磁気テープMTが走行するように磁気テープMTの走行を制御する。そして、制御装置59は、ヘッドユニット56のサーボリードヘッドによりサーボバンドSBのサーボ信号を読み取りながら、ヘッドユニット56のデータライト/リードヘッドにより、データトラックTkに記録されたデータの再生を行う。
このような方法でテンションTn2が決定された場合においても、何らかの原因(例えば、温度、湿度の変動)で、磁気テープMTの幅が変動したような場合に、磁気テープMTに記録されたデータを正確に再生することができる。
[効果]
以上説明したように、第2の実施形態では、磁気テープMTのデータ記録時情報がカートリッジメモリ11に記憶されているので、この情報をデータ再生時に利用することで、磁気テープMTの幅を適切に調整することができる。したがって、磁気テープMTの幅が何らかの理由で変動したような場合でも、磁気テープMTに記録されたデータを正確に再生することができる。
また、本実施形態では、データ記録時情報として、データ記録時における磁気テープMTの周囲の温度Tm1および湿度H1(環境情報)が書き込まれる。したがって、温度および湿度の変動による、磁気テープMTの幅およびデータトラックTkの幅の変動に適切に対応することができる。
<3 変形例>
(変形例1)
上述の実施形態では、ε酸化鉄粒子が2層構造のシェル部を有している場合について説明したが、ε酸化鉄粒子が単層構造のシェル部を有していてもよい。この場合、シェル部は、第1シェル部と同様の構成を有する。但し、ε酸化鉄粒子の特性劣化を抑制する観点からすると、上述の実施形態におけるように、ε酸化鉄粒子が2層構造のシェル部を有していることが好ましい。
(変形例2)
上述の実施形態では、ε酸化鉄粒子がコアシェル構造を有している場合について説明したが、ε酸化鉄粒子が、コアシェル構造に代えて添加剤を含んでいてもよいし、コアシェル構造を有すると共に添加剤を含んでいてもよい。この場合、ε酸化鉄粒子のFeの一部が添加剤で置換される。ε酸化鉄粒子が添加剤を含むことによっても、ε酸化鉄粒子全体としての保磁力Hcを記録に適した保磁力Hcに調整できるため、記録容易性を向上することができる。添加剤は、鉄以外の金属元素、好ましくは3価の金属元素、より好ましくはAl、GaおよびInのうちの少なくとも1種、さらにより好ましくはAlおよびGaのうちの少なくとも1種である。
具体的には、添加剤を含むε酸化鉄は、ε−Fe2-xx3結晶(但し、Mは鉄以外の金属元素、好ましくは3価の金属元素、より好ましくはAl、GaおよびInのうちの少なくとも1種、さらにより好ましくはAlおよびGaのうちの少なくとも1種である。xは、例えば0<x<1である。)である。
(変形例3)
上述の実施形態では、磁性粉がε酸化鉄粒子の粉末を含む場合について説明したが、磁性粉が、ε酸化鉄粒子の粉末に代えて、六方晶フェライトを含有するナノ粒子(以下「六方晶フェライト粒子」という。)の粉末を含むようにしてもよい。六方晶フェライト粒子は、例えば、六角板状またはほぼ六角板状を有する。六方晶フェライトは、好ましくはBa、Sr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種、より好ましくはBaおよびSrのうちの少なくとも1種を含む。六方晶フェライトは、具体的には例えばバリウムフェライトまたはストロンチウムフェライトであってもよい。バリウムフェライトは、Ba以外にSr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。ストロンチウムフェライトは、Sr以外にBa、PbおよびCaのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
より具体的には、六方晶フェライトは、一般式MFe1219で表される平均組成を有する。但し、Mは、例えばBa、Sr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種の金属、好ましくはBaおよびSrのうちの少なくとも1種の金属である。Mが、Baと、Sr、PbおよびCaからなる群より選ばれる1種以上の金属との組み合わせであってもよい。また、Mが、Srと、Ba、PbおよびCaからなる群より選ばれる1種以上の金属との組み合わせであってもよい。上記一般式においてFeの一部が他の金属元素で置換されていてもよい。
磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは30nm以下、より好ましくは12nm以上25nm以下、さらにより好ましくは15nm以上22nm以下である。磁性粉の平均粒子サイズが30nm以下であると、高記録密度の磁気テープMTにおいて、良好な電磁変換特性(例えばC/N)を得ることができる。一方、磁性粉の平均粒子サイズが12nm以上であると、磁性粉の分散性がより向上し、より優れた電磁変換特性(例えばC/N)を得ることができる。磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均アスペクト比は上述の一実施形態と同様である。
なお、磁性粉の平均粒子サイズおよび平均アスペクト比は以下のようにして求められる。まず、測定対象となる磁気テープMTをFIB法等により加工して薄片を作製し、TEMにより薄片の断面観察を行う。次に、撮影したTEM写真から、水平方向に対して75度以上の角度で配向した磁性粉を50個無作為に選び出し、各磁性粉の最大板厚DAを測定する。続いて、測定した50個の磁性粉の最大板厚DAを単純に平均(算術平均)して平均最大板厚DAaveを求める。
次に、磁気テープMTの記録層43の表面をTEMにより観察を行う。次に、撮影したTEM写真から50個の磁性粉を無作為に選び出し、各磁性粉の最大板径DBを測定する。ここで、最大板径DBとは、磁性粉の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のもの(いわゆる最大フェレ径)を意味する。続いて、測定した50個の磁性粉の最大板径DBを単純に平均(算術平均)して平均最大板径DBaveを求める。このようにして求めた平均最大板径DBaveを磁性粉の平均粒子サイズとする。次に、平均最大板厚DAaveおよび平均最大板径DBaveから磁性粉の平均アスペクト比(DBave/DAave)を求める。
磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子体積は、好ましくは5900nm3以下、より好ましくは500nm3以上3400nm3以下、さらにより好ましくは1000nm3以上2500nm3以下である。磁性粉の平均粒子体積が5900nm3以下であると、磁性粉の平均粒子サイズを30nm以下とする場合と同様の効果が得られる。一方、磁性粉の平均粒子体積が500nm3以上であると、磁性粉の平均粒子サイズを12nm以上とする場合と同様の効果が得られる。
なお、磁性粉の平均粒子体積は以下のようにして求められる。まず、上記の磁性粉の平均粒子サイズの算出方法と同様にして、平均最大板厚DAaveおよび平均最大板径DBaveを求める。次に、以下の式により、磁性粉の平均粒子体積Vを求める。
V=3√3/8×DAave×DBave2
(変形例4)
上述の実施形態では、磁性粉がε酸化鉄粒子の粉末を含む場合について説明したが、磁性粉が、ε酸化鉄粒子の粉末に代えて、Co含有スピネルフェライトを含有するナノ粒子(以下「コバルトフェライト粒子」という。)の粉末を含むようにしてもよい。コバルトフェライト粒子は、一軸異方性を有することが好ましい。コバルトフェライト粒子は、例えば、立方体状またはほぼ立方体状を有している。Co含有スピネルフェライトが、Co以外にNi、Mn、Al、CuおよびZnのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
Co含有スピネルフェライトは、例えば以下の式(1)で表される平均組成を有する。
CoxyFe2Z ・・・(1)
(但し、式(1)中、Mは、例えば、Ni、Mn、Al、CuおよびZnのうちの少なくとも1種の金属である。xは、0.4≦x≦1.0の範囲内の値である。yは、0≦y≦0.3の範囲内の値である。但し、x、yは(x+y)≦1.0の関係を満たす。zは3≦z≦4の範囲内の値である。Feの一部が他の金属元素で置換されていてもよい。)
磁性粉がコバルトフェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは25nm以下、より好ましくは8nm以上23nm以下である。磁性粉の平均粒子サイズが25nm以下であると、高記録密度の磁気テープMTにおいて、良好な電磁変換特性(例えばC/N)を得ることができる。一方、磁性粉の平均粒子サイズが8nm以上であると、磁性粉の分散性がより向上し、より優れた電磁変換特性(例えばC/N)を得ることができる。磁性粉がコバルトフェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均アスペクト比は上述の一実施形態と同様である。また、磁性粉の平均粒子サイズおよび平均アスペクト比の算出方法も上述の一実施形態と同様にして求められる。
磁性粉の平均粒子体積は、好ましくは15000nm3以下、より好ましくは500nm3以上12000nm3以下である。磁性粉の平均粒子体積が15000nm3以下であると、磁性粉の平均粒子サイズを25nm以下とする場合と同様の効果が得られる。一方、磁性粉の平均粒子体積が500nm3以上であると、磁性粉の平均粒子サイズを8nm以上とする場合と同様の効果が得られる。なお、磁性粉の平均粒子体積の算出方法は、上述の一実施形態における磁性粉の平均粒子体積の算出方法(ε酸化鉄粒子が立方体状またはほぼ立方体状を有している場合の平均粒子体積の算出方法)と同様である。
(変形例5)
磁気テープMTをライブラリ装置に用いるようにしてもよい。この場合、ライブラリ装置は、磁気テープMTの長手方向に加わるテンションを調整可能な構成を有しており、第1の実施形態における記録再生装置50を複数備えるものであってもよい。
(変形例6)
磁気テープMTをサーボライタに用いてもよい。すなわち、サーボライタが、サーボ信号の記録時等に磁気テープMTの長手方向のテンションを調整することで、磁気テープMTの幅を一定またはほぼ一定に保つようにしてもよい。この場合、サーボライタが、磁気テープMTの幅を検出する検出装置を備え、この検出装置の検出結果に基づき、磁気テープMTの長手方向のテンションを調整するようにしてもよい。
(変形例7)
磁気テープMTは、垂直記録型の磁気記録媒体に限定されるものであなく、水平記録型の磁気記録媒体であってもよい。この場合、磁性粉としてはメタル磁性粉等の針状磁性粉を用いてもよい。
(変形例8)
上述の第1の実施形態では、データ記録時における磁気テープMTに関連する幅関連情報として、サーボバンドSB間の距離を用いる場合について説明したが、磁気テープMTの幅を用いるようにしてもよい。
この場合、制御装置59は、データ記録時に、サーボバンドSB間の距離d1から磁気テープMTの幅W1を算出し、この幅W1をリーダライタ57によりカートリッジメモリ11に書き込む。
制御装置59は、データ再生時に、データ記録時の磁気テープMTの幅W1をカートリッジメモリ11から読み出すと共に、データ再生時のサーボバンドSB間の距離d2からデータ再生時の磁気テープMTの幅W2を算出する。そして、制御装置59は、データ記録時の磁気テープMTの幅W1と、データ再生時の磁気テープMTの幅W2との差分ΔWを算出し、差分ΔWが規定値以内であるか否かを判断する。
差分ΔWが規定値以内である場合には、制御装置59は、規定のテンションが維持されるように、スピンドル51およびリール52の回転駆動を制御する。一方、差分ΔWが規定値以内でない場合には、差分ΔWが規定値以内に収まるように、スピンドル51およびリール52の回転駆動の制御し、走行する磁気テープMTにかかるテンションを調整する。
(変形例9)
上述の第2の実施形態では、データ記録時情報として、温度Tm1、Tm2、湿度H1、H2、テンションTn1、Tn2、幅W1、W2の全てが用いられる場合について説明したが、データ記録時情報は、温度Tm1、Tm2、湿度H1、H2、テンションTn1、Tn2、および幅W1、W2のうちいずれか1つであってもよいし、任意の2つ、3つの組合せであってもよい。
カートリッジメモリ11に対して、データ記録時の情報(温度Tm1、湿度H1、テンションTn1、幅W1)だけでなく、データ再生時の情報(温度Tm2、湿度H2、テンションTn2、幅W2)が記憶されてもよい。例えば、このデータ再生時の情報は、データが再生された後、さらに別の機会に磁気テープMT内のデータが再生されるときに使用される。
(変形例10)
上述の第1、第2の実施形態では、磁気テープMTが、下地層および記録層等が塗布工程(ウエットプロセス)により作製された塗布型の磁気テープである場合について説明したが、下地層および記録層等がスパッタリング等の真空薄膜の作製技術(ドライプロセス)により作製される薄膜型の磁気テープであってもよい。薄膜型の磁気テープの場合、記録層の平均厚みtmは、好ましくは9[nm]≦tm≦90[nm]、より好ましくは9[nm]≦tm≦20[nm]、更により好ましくは9[nm]≦tm≦15[nm]である。記録層43の平均厚みtmが9[nm]≦tm≦90[nm]であると、電磁変換特性を向上することができる。
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、基体の平均厚みTsub、磁気テープの平均厚みtT、磁気テープの長手方向のテンション変化に対する磁気テープの幅方向の寸法変化量Δw、磁気テープの温度膨張係数α、磁気テープの湿度膨張係数β、磁気テープのポアソン比ρ、磁気テープの長手方向の弾性限界値σMD、弾性限界測定を行う際の引張速度V、記録層の平均厚みtm、角形比S2、バック層の平均厚みtb、バック層の表面粗度Rb、および磁性面とバック面の層間摩擦係数μは、第1の実施形態にて説明した測定方法により求められた値である。但し、後述するように、実施例11では、長手方向の弾性限界値σMDを測定する際の引張速度Vを、第1の実施形態とは異なる値とした。
[実施例1]
(記録層形成用塗料の調製工程)
記録層形成用塗料を以下のようにして調製した。まず、下記配合の第1組成物をエクストルーダで混練した。次に、ディスパーを備えた攪拌タンクに、混練した第1組成物と、下記配合の第2組成物を加えて予備混合を行った。続いて、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、記録層形成用塗料を調製した。
(第1組成物)
ε酸化鉄ナノ粒子(ε−Fe23結晶粒子)の粉末:100質量部
塩化ビニル系樹脂(シクロヘキサノン溶液30質量%):10質量部
(重合度300、Mn=10000、極性基としてOSO3K=0.07mmol/g、2級OH=0.3mmol/gを含有する。)
酸化アルミニウム粉末:5質量部
(α−Al23、平均粒径0.2μm)
カーボンブラック:2質量部
(東海カーボン社製、商品名:シーストTA)
(第2組成物)
塩化ビニル系樹脂:1.1質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
n−ブチルステアレート:2質量部
メチルエチルケトン:121.3質量部
トルエン:121.3質量部
シクロヘキサノン:60.7質量部
最後に、上述のようにして調製した記録層形成用塗料に、硬化剤として、ポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製):4質量部と、ミリスチン酸:2質量部とを添加した。
(下地層形成用塗料の調製工程)
下地層形成用塗料を以下のようにして調製した。まず、下記配合の第3組成物をエクストルーダで混練した。次に、ディスパーを備えた攪拌タンクに、混練した第3組成物と、下記配合の第4組成物を加えて予備混合を行った。続いて、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、下地層形成用塗料を調製した。
(第3組成物)
針状酸化鉄粉末:100質量部
(α−Fe23、平均長軸長0.15μm)
塩化ビニル系樹脂:55.6質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
カーボンブラック:10質量部
(平均粒径20nm)
(第4組成物)
ポリウレタン系樹脂UR8200(東洋紡績製):18.5質量部
n−ブチルステアレート:2質量部
メチルエチルケトン:108.2質量部
トルエン:108.2質量部
シクロヘキサノン:18.5質量部
最後に、上述のようにして調製した下地層形成用塗料に、硬化剤として、ポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製):4質量部と、ミリスチン酸:2質量部とを添加した。
(バック層形成用塗料の調製工程)
バック層形成用塗料を以下のようにして調製した。下記原料を、ディスパーを備えた攪拌タンクで混合を行い、フィルター処理を行うことで、バック層形成用塗料を調製した。
カーボンブラック(旭社製、商品名:#80):100質量部
ポリエステルポリウレタン:100質量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:N−2304)
メチルエチルケトン:500質量部
トルエン:400質量部
シクロヘキサノン:100質量部
(成膜工程)
上述のようにして作製した塗料を用いて、基体(非磁性支持体)である平均厚みTsub:3.8μm、長尺のポレエチレンナフタレートフィルム(以下「PENフィルム」という。)上に平均厚みtu:1.0μmの下地層、および平均厚みtm:90nmの記録層を以下のようにして形成した。まず、フィルム上に、下地層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、フィルム上に下地層を形成した。次に、下地層上に、記録層形成用塗料を塗布し、乾燥させることにより、下地層上に記録層を形成した。なお、記録層形成用塗料の乾燥の際に、ソレノイドコイルにより、磁性粉をフィルムの厚み方向に磁場配向させた。また、記録層形成用塗料に対する磁場の印加時間を調整し、磁気テープの厚み方向(垂直方向)における角形比S2を65%に設定した。
続いて、下地層、および記録層が形成されたフィルムに対して、平均厚みtb:0.6μmのバック層を塗布し乾燥させた。そして、下地層、記録層、およびバック層が形成されたフィルムに対して硬化処理を行った。続いて、カレンダー処理を行い、記録層表面を平滑化した。この際、磁性面とバック面の層間摩擦係数μが0.5となるように、カレンダー処理の条件(温度)を調整した後、再硬化処理を施し、平均厚みtT:5.5μmの磁気テープが得られた。
(裁断の工程)
上述のようにして得られた磁気テープを1/2インチ(12.65mm)幅に裁断した。これにより、表1、2に示す特性を有する、目的とする長尺状の磁気テープが得られた。
(サーボパターン記録の工程)
上述のようにして得られた磁気テープに対して、ハの字の磁気パターン(サーボパターン)の列を長手方向に平行に2列以上記録した。
(カートリッジの作製工程)
まず、カートリッジとして、テンション調整情報を書き込む領域をカートリッジメモリに有し、上記領域に対するテンション調整情報の書き込み、および上記領域からのテンション調整情報の読み出しを行うことが可能なものを準備した。次に、このカートリッジに、磁気パターンの列を記録した磁気テープを巻き取った。その後、カートリッジを記録再生装置にローディングし、規定のデータを記録すると共に、上記のハの字の磁気パターン列の2列以上を同時に再生し、もしくはデータ記録を行わずに、上記のハの字の磁気パターン列の2列以上の再生のみを行い、それぞれの列の再生波形の形状から、データ記録時の磁気パターン列の間隔d1を一定間隔(1mの間隔毎)で計測し、その位置と間隔をカートリッジメモリに書き込んだ。これにより、目的とするカートリッジが得られた。
[実施例2]
寸法変化量Δwが750[ppm/N]となるように、実施例1よりもPENフィルムの厚みを薄くした。これ以外のことは実施例1と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例3]
寸法変化量Δwが800[ppm/N]となるように、実施例1よりもPENフィルムの厚みを薄くし、更にバック層および下地層の平均厚みを薄くした。これ以外のことは実施例1と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例4]
寸法変化量Δwが800[ppm/N]となるように、実施例1よりもPENフィルムの厚みを薄くし、更にバック層および下地層の平均厚みを薄くした。更に下地層、記録層、およびバック層が形成されたフィルムの硬化処理条件を調整した。これ以外のことは実施例1と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例5]
温度膨張係数αが8[ppm/℃]となるように、下地層形成用塗料の組成を変更したこと以外は実施例4と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例6]
湿度膨張係数βが3[ppm/%RH]となるように、PENフィルムの両表面に薄いバリア層を形成したこと以外は実施例4と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例7]
ポアソン比ρが0.31となるように、バック層形成用塗料の組成を変更したこと以外は実施例4と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例8]
ポアソン比ρが0.35となるように、バック層形成用塗料の組成を変更したこと以外は実施例4と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例9]
長手方向の弾性限界値σMDが0.80[N]となるように、下地層、記録層、およびバック層が形成されたフィルムの硬化条件を調整したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例10]
長手方向の弾性限界値σMDが3.50[N]となるように、下地層、記録層、およびバック層が形成されたフィルムの硬化条件、並びに再硬化条件を調整したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例11]
実施例9と同様にして磁気テープを得た。そして、得られた磁気テープの弾性限界値σMDを、長手方向の弾性限界値σMDを測定する際の引張速度Vを5mm/minに変更して測定した。その結果、長手方向の弾性限界値σMDは、上記引張速度Vが0.5mm/minの長手方向の弾性限界値σMD(実施例9)に対して変化はなく0.80[N]であった。
[実施例12]
記録層の平均厚みtmが40nmとなるように、記録層形成用塗料の塗布厚を変更したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例13]
(SULの成膜工程)
まず、以下の成膜条件にて、非磁性支持体としての長尺の高分子フィルムの表面上に、平均厚み10nmのCoZrNb層(SUL)を成膜した。なお、高分子フィルムとしては、PENフィルムを用いた。
成膜方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:CoZrNbターゲット
ガス種:Ar
ガス圧:0.1Pa
(第1のシード層の成膜工程)
次に、以下の成膜条件にて、CoZrNb層上に平均厚み5nmのTiCr層(第1のシード層)を成膜した。
スパッタリング方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:TiCrターゲット
到達真空度:5×10-5Pa
ガス種:Ar
ガス圧:0.5Pa
(第2のシード層の成膜工程)
次に、以下の成膜条件にて、TiCr層上に平均厚み10nmのNiW層(第2のシード層)を成膜した。
スパッタリング方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:NiWターゲット
到達真空度:5×10-5Pa
ガス種:Ar
ガス圧:0.5Pa
(第1の下地層の成膜工程)
次に、以下の成膜条件にて、NiW層上に平均厚み10nmのRu層(第1の下地層)を成膜した。
スパッタリング方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:Ruターゲット
ガス種:Ar
ガス圧:0.5Pa
(第2の下地層の成膜工程)
次に、以下の成膜条件にて、Ru層上に平均厚み20nmのRu層(第2の下地層)を成膜した。
スパッタリング方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:Ruターゲット
ガス種:Ar
ガス圧:1.5Pa
(記録層の成膜工程)
次に、以下の成膜条件にて、Ru層上に平均厚みtm:9nmの(CoCrPt)−(SiO2)層(記録層)を成膜した。
成膜方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:(CoCrPt)−(SiO2)ターゲット
ガス種:Ar
ガス圧:1.5Pa
(保護層の成膜工程)
次に、以下の成膜条件にて、記録層上に平均厚み5nmのカーボン層(保護層)を成膜した。
成膜方式:DCマグネトロンスパッタリング方式
ターゲット:カーボンターゲット
ガス種:Ar
ガス圧:1.0Pa
(潤滑層の成膜工程)
次に、潤滑剤を保護層上に塗布し、潤滑層を成膜した。
(バック層の成膜工程)
次に、記録層とは反対側の面に、バック層形成用塗料を塗布し乾燥することにより、平均厚みtb:0.3μmのバック層を形成した。これにより、平均厚みtT:4.0μmの磁気テープが得られた。
(裁断の工程)
上述のようにして得られた磁気テープを1/2インチ(12.65mm)幅に裁断した。これにより、表1、2に示す特性を有する、目的とする長尺状の磁気テープが得られた。
上述のようにして得られた磁気テープを用いる以外は実施例1と同様にして、サーボパターンの記録およびカートリッジの作製を行い、カートリッジを得た。
[実施例14]
バック層の平均厚みtbが0.3μmとなるように、バック層形成用塗料の塗布厚を変更したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例15]
バック層の表面粗度Rbが3[nm]となるように、バック層形成用塗料の組成(無機フィラー(カーボンブラック)の添加量)を変更したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例16]
磁性面とバック面の層間摩擦係数μが0.2となるように、カレンダー処理の条件(温度)を調整したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例17]
磁性面とバック面の層間摩擦係数μが0.8となるように、カレンダー処理の条件(温度)を調整したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例18]
記録層の平均厚みtmが110nmとなるように、記録層形成用塗料の塗布厚を変更したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例19]
バック層の表面粗度Rbが7[nm]となるように、バック層形成用塗料の組成(無機フィラー(カーボンブラック)の添加量)を変更したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例20]
磁性面とバック面の層間摩擦係数μが0.18となるように、カレンダー処理の条件(温度)を調整したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例21]
磁性面とバック面の層間摩擦係数μが0.82となるように、カレンダー処理の条件(温度)を調整したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例22]
磁性層形成用塗料に対する磁場の印加時間を調整し、磁気テープの厚み方向(垂直方向)における角形比S2を73%に設定したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例23]
磁性層形成用塗料に対する磁場の印加時間を調整し、磁気テープの厚み方向(垂直方向)における角形比S2を80%に設定したこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例24]
長手方向の弾性限界値σMDが5.00[N]となるように、下地層、記録層、およびバック層が形成されたフィルムの硬化条件、並びに再硬化条件を調整したこと以外は実施例10と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例25]
ε酸化鉄ナノ粒子に代えてバリウムフェライト(BaFe1219)ナノ粒子を用いたこと以外は実施例7と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例26]
寸法変化量Δwが670[ppm/N]となるように、幅方向の延伸強度が実施例7のPENフィルムよりも高いPENフィルムを用いた。これ以外のことは実施例25と同様にしてカートリッジを得た。
[実施例27]
寸法変化量Δwが650[ppm/N]となるように、幅方向の延伸強度が実施例1のPENフィルムよりも高いPENフィルムを用いた。これ以外のことは実施例1と同様にしてカートリッジを得た。
[比較例1]
寸法変化量Δwが630[ppm/N]となるように、幅方向の延伸強度が実施例26のPENフィルムよりも高い、平均厚みTsubが4.0μmのPENフィルムを用いた。これ以外のことは実施例1と同様にしてカートリッジを得た。
[比較例2]
寸法変化量Δwが500[ppm/N]となるように、幅方向の延伸強度が実施例26のPENフィルムよりも高い、平均厚みTsubが5.0μmのPENフィルムを用いた。また、バック層の平均厚みtbを0.4μmとした。これ以外のことは実施例1と同様にしてカートリッジを得た。
[参考例1〜26、比較例3〜5]
まず、実施例1〜27、比較例1、2と同様にして、磁気テープを得たのち、磁気テープに対してハの字の磁気パターンの列を記録した。続いて、カートリッジとして、テンション調整情報の書き込み、およびテンション調整情報の読み出しを行うことができないものを準備した。次に、このカートリッジに、磁気パターンの列を記録した磁気テープを巻き取った。その後、カートリッジを記録再生装置にローディングし、規定のデータを記録した。これにより、目的とするカートリッジが得られた。
(テープ幅の変化量の判定(1))
まず、実施例1〜27、比較例1、2のカートリッジを記録再生装置にローディングし、磁気テープの長手方向にかかるテンションを調整しながら、磁気テープを再生し、往復走行させた。この際、記録再生装置により、テンションの調整を以下のようにして行った。すなわち、ハの字の磁気パターン列の2列以上をデータと共に再生し、それぞれの列の再生波形の形状から、データ再生時の磁気パターン列の間隔d2を連続的(サーボの位置情報があるポイント毎(具体的には約6mm毎))に計測すると共に、カートリッジメモリからデータ記録時の磁気パターン列の間隔d1を読み出した。そして、データ再生時の磁気パターン列の間隔d2が、データ記録時の磁気パターン列の間隔d1に近づくように、スピンドル駆動装置とリール駆動装置の回転駆動を制御し、磁気テープの長手方向のテンションを自動で調整した。この磁気パターン列の間隔の1往復分全ての計測値を「計測された磁気パターン列の間隔d2」とし、これと「予め走行した際の既知の磁気パターン列の間隔d1」の差分の最大値を「テープ幅の変化」とした。
また、記録再生装置による往復走行は、恒温恒湿槽中で行った。往復走行の速度は5m/secであった。往復走行中の温湿度は、上記の往復走行とは独立に、温度範囲10℃〜45℃、相対湿度範囲10%〜80%で、予め組まれた環境変化プログラム(10℃10%→29℃80%→10℃10%を2回繰り返す。10℃10%から29℃80%へ2時間で変化させ、且つ、29℃80%→10℃10%へ2時間で変化させる。)に従って、徐々に且つ繰り返し変化させた。
この評価を、「予め組まれた環境変化プログラム」が終了するまで繰り返した。評価終了後、各往復時に得られた「テープ幅の変化」それぞれの絶対値全てを用いて平均値(単純平均)を計算し、その値をそのテープの「実効的なテープ幅の変化量」とした。この「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離(小さい程望ましい)に従った判定を各カートリッジに対して行い、8段階の判定値をそれぞれ付与した。なお、評価“8”が最も望ましい判定結果を示し、評価“1”が最も望ましくない判定結果を示すものとした。上記8段階のいずれかの評価を有する磁気テープは、テープ走行時に以下の状態が観察される。
8:何も異常が発生しない
7:走行時に、軽度のエラーレートの上昇がみられる
6:走行時に、重度のエラーレートの上昇がみられる
5:走行時に、サーボ信号が読めず軽度(1〜2回)の再読み込みがかかる
4:走行時に、サーボ信号が読めず中度(10回以内)の再読み込みがかかる
3:走行時に、サーボ信号が読めず重度(10回超)の再読み込みがかかる
2:サーボが読めず、システムエラーで時々停止する
1:サーボが読めず、システムエラーで即時に停止する
(テープ幅の変化量の判定(2))
参考例1〜26、比較例1〜3のカートリッジを記録再生装置にローディングし、磁気テープの長手方向にかかるテンションを調整しながら、磁気テープを再生し、往復走行させた。この際、記録再生装置により、テンションの調整を以下のようにして行った。すなわち、ハの字の磁気パターン列の2列以上をデータと共に再生し、それぞれの列の再生波形の形状から、データ再生時の磁気パターン列の間隔d2を連続的に計測した。そして、データ再生時の磁気パターン列の間隔d2が規定の間隔d3に近づくように、スピンドル駆動装置とリール駆動装置の回転駆動を制御し、磁気テープの長手方向のテンションを自動で調整した。これ以外のことはテープ幅の変化量の判定(1)と同様にして、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離に従った判定を各カートリッジに対して行い、8段階の判定値をそれぞれ付与した。なお、規定の間隔d3は、磁気テープの長手方向のテンションを調整するときに基準となる既知の磁気パターン列の間隔であり、記録再生装置の制御装置に予め記憶されている。
(電磁変換特性の評価)
まず、ループテスター(Microphysics社製)を用いて、実施例1〜27、比較例1、2のカートリッジに用いた磁気テープの再生信号を取得した。以下に、再生信号の取得条件について示す。
head : GMR head
speed : 2m/s
signal : 単一記録周波数(10MHz)
記録電流:最適記録電流
次に、再生信号をスペクトラムアナライザ(spectrum analyzer)によりスパン(SPAN)0〜20MHz(resolution band width = 100kHz, VBW = 30kHz)で取り込んだ。次に、取り込んだスペクトルのピークを信号量Sとすると共に、ピークを除いたfloor noise を積算して雑音量Nとし、信号量Sと雑音量Nの比S/NをSNR(Signal-to-Noise Ratio)として求めた。次に、求めたSNRを、リファレンスメディアとしての比較例1のSNRを基準とした相対値(dB)に変換した。次に、上述のようにして得られたSNR(dB)を用いて、電磁変換特性の良否を以下のようにして判定した。
良好:磁気テープのSNRが評価基準サンプル(比較例1)のSNR(=0(dB))と同等、もしくはこのSNR(=0(dB))を超える。
不良:磁気テープのSNRが評価基準サンプル(比較例1)のSNR(=0(dB))未満である。
(巻ズレの評価)
まず、上記の“テープ幅の変化量の判定(1)”後のカートリッジサンプルを準備した。次に、カートリッジサンプルからテープが巻かれたリールを取り出し、巻かれたテープの端面を目視にて観察した。なお、リールにはフランジがあり、少なくとも1つのフランジは透明または半透明であり、内部のテープ巻き状態をフランジ越しに観察することができる。
観察の結果、テープの端面が平坦でなく、段差やテープの飛び出しがある場合、テープの巻ズレがあるものとした。また、これらの段差やテープの飛び出しが複数個観察される程、「巻ズレ」は悪いものとした。上記の判定をサンプル毎に行った。各サンプルの巻ズレ状態を、リファレンスメディアとしての比較例1の巻ズレ状態と比較し、良否を以下のようにして判定した。
良好:サンプルの巻ズレ状態が、基準サンプル(比較例1)の巻ズレ状態と同等もしくは少ない場合
不良:サンプルの巻ズレが、基準サンプル(比較例1)の巻ズレより多い場合
表1、2は、実施例1〜27、比較例1、2のカートリッジの構成および評価結果を示す。
Figure 0006777259
Figure 0006777259
表3は、参考例1〜26、比較例3〜5のカートリッジの評価結果を示す。
Figure 0006777259
なお、表1、2中の各記号は、以下の測定値を意味する。
sub:基体の平均厚み
T:磁気テープの厚み
Δw:磁気テープの長手方向のテンション変化に対する磁気テープの幅方向の寸法変化量
α:磁気テープの温度膨張係数
β:磁気テープの湿度膨張係数
ρ:磁気テープのポアソン比
σMD:磁気テープの長手方向の弾性限界値
V:弾性限界測定を行う際の引張速度
m:記録層の平均厚み
R2:磁気テープの厚み方向(垂直方向)における角形比
u:下地層の平均厚み
b:バック層の平均厚み
b:バック層の表面粗度
μ:磁性面とバック面の層間摩擦係数
表1〜4から以下のことがわかる。
実施例1〜3、26、27、比較例1、2等の評価結果の比較から、磁気テープの寸法変化量Δwを650[ppm/N]≦Δwとし、かつ、データ記録時にカートリッジメモリに記憶されたテンション調整情報を用いて、磁気テープの長手方向にかかるテンションを調整することで、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制することができることがわかる。
実施例1〜3、26、27、比較例1、2、および参考例1〜3、参考例26、比較例3〜5等の評価結果の比較から以下のことがわかる。すなわち、データ記録時にカートリッジメモリに記憶されたテンション調整情報を用いて、磁気テープの長手方向にかかるテンションを調整することで、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制するために要求される寸法変化量Δwの下限値を670[ppm/N]から650[ppm/N]≦Δwに引き下げることができる。
実施例1〜3、26、27、比較例1、2等の評価結果の比較から、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制する観点からすると、寸法変化量Δwが、好ましくは670[ppm/N]≦Δwであり、より好ましくは680[ppm/N]≦Δwであり、さらにより好ましくは700[ppm/N]≦Δwであり、特に好ましくは750[ppm/N]≦Δwであり、最も好ましくは800[ppm/N]≦Δwであることがわかる。
参考例3〜5等の評価結果の比較から、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制する観点からすると、温度膨張係数αが6[ppm/℃]≦α≦8[ppm/℃]であることが好ましいことがわかる。
参考例3、4、6等の評価結果の比較から、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制する観点からすると、湿度膨張係数βがβ≦5[ppm/%RH]であることが好ましいことがわかる。
参考例6〜8等の評価結果の比較から、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制する観点からすると、ポアソン比ρが0.3≦ρであることが好ましいことがわかる。
参考例7、9、10、24等の評価結果の比較から、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離を抑制する観点からすると、長手方向の弾性限界値σMDが、0.8[N]≦σMDであることが好ましいことがわかる。
実施例9、11等の弾性限界値σMDが、弾性限界測定を行う際の引張速度Vに寄らないことがわかる。
なお、実施例1〜27では、温度膨張係数α、湿度膨張係数β、ポアソン比ρおよび長手方向の弾性限界値σMDの値によらず、「テープ幅の変化量の判定(1)」の結果が「8」になっている。これは、テープ幅の変化量の判定を8段階で評価しているためである。より詳細な評価(例えば10段階の評価)を行った場合には、実施例1〜27においても、参考例1〜26と同様の温度膨張係数α、湿度膨張係数β、ポアソン比ρおよび長手方向の弾性限界値σMDの数値範囲において、「実効的なテープ幅の変化量」の理想からの乖離をより抑制することができる評価結果が得られると推測される。
実施例9、12、18等の評価結果の比較から、電磁変換特性の向上の観点からすると、記録層の平均厚みtmが、tm≦90[nm]であることが好ましいことがわかる。
実施例7、15、19等の評価結果の比較から、電磁変換特性の向上の観点からすると、バック層の表面粗度 Rbが、Rb≦6.0[nm]であることが好ましいことがわかる。
実施例7、16、17、21等の評価結果の比較から、巻ズレを抑制する観点からすると、磁性面とバック面の層間摩擦係数μが0.20≦μ≦0.80であることが好ましいことがわかる。
実施例7、22、23等の評価結果の比較から、電磁変換特性の向上の観点からすると、垂直方向における磁気テープの角形比S2が80%以上であることが好ましいことがわかる。
実施例7、25、26等の評価結果の比較から、磁性粒子としてバリウムフェライトナノ粒子を用いた場合にも、寸法変化量Δw、温度膨張係数αおよび湿度膨張係数β等の各パラメータを調整することで、磁性粒子としてε酸化鉄ナノ粒子を用いた場合と同様の評価結果が得られることがわかる。
以上、本開示の実施形態および変形例について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。また、化合物等の化学式は代表的なものであって、同じ化合物の一般名称であれば、記載された価数等に限定されない。
また、上述の実施形態および変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値または下限値は、他の段階の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本開示は以下の構成を採用することもできる。
(1)
テープ状の磁気記録媒体と、
記録再生装置と通信を行う通信部と、
記憶部と、
前記通信部を介して前記記録再生装置から受信した情報を前記記憶部に記憶し、かつ、前記記録再生装置の要求に応じて、前記記憶部から前記情報を読み出し、前記通信部を介して前記記録再生装置に送信する制御部と
を備え、
前記情報は、前記磁気記録媒体の長手方向にかかるテンションを調整するための調整情報を含み、
前記磁気記録媒体の平均厚みtTが、tT≦5.5[μm]であり、
前記磁気記録媒体の長手方向のテンション変化に対する幅方向の寸法変化量Δwが、650[ppm/N]≦Δwであるカートリッジ。
(2)
前記寸法変化量Δwが、700[ppm/N]≦Δwである(1)に記載のカートリッジ。
(3)
前記寸法変化量Δwが、750[ppm/N]≦Δwである(1)に記載のカートリッジ。
(4)
前記寸法変化量Δwが、800[ppm/N]≦Δwである(1)に記載のカートリッジ。
(5)
前記調整情報は、前記磁気記録媒体に対するデータ記録時に取得される(1)から(4)のいずれかに記載のカートリッジ。
(6)
前記調整情報は、前記磁気記録媒体の幅に関連する幅関連情報を含む(5)に記載のカートリッジ。
(7)
前記幅関連情報は、隣接するサーボトラック間の距離情報、または前記磁気記録媒体の幅情報である(6)に記載のカートリッジ。
(8)
前記調整情報は、前記磁気記録媒体の周囲の環境情報を含む(5)から(7)のいずれかに記載のカートリッジ。
(9)
前記環境情報は、前記磁気記録媒体の周囲の温度情報を含む(8)に記載のカートリッジ。
(10)
前記環境情報は、前記磁気記録媒体の周囲の湿度情報を含む(8)または(9)に記載のカートリッジ。
(11)
前記調整情報は、前記磁気記録媒体のテンション情報を含む(5)から(10)のいずれかに記載のカートリッジ。
(12)
前記記憶部は、
磁気テープ規格に準拠した第1の情報を記憶するための第1の記憶領域と、
前記第1の情報以外の第2の情報を記憶するための第2の記憶領域と
を有し、
前記第2の情報は、前記調整情報を含む(1)から(11)のいずれかに記載のカートリッジ。
(13)
前記磁気記録媒体の温度膨張係数αが、6[ppm/℃]≦α≦8[ppm/℃]である(1)から(12)のいずれかに記載のカートリッジ。
(14)
前記磁気記録媒体の湿度膨張係数βが、β≦5[ppm/%RH]である(1)から(13)のいずれかに記載のカートリッジ。
(15)
前記磁気記録媒体のポアソン比ρが、0.3≦ρである(1)から(14)のいずれかに記載のカートリッジ。
(16)
前記磁気記録媒体の長手方向の弾性限界値σMDが、0.8[N]≦σMDである(1)から(15)のいずれかに記載のカートリッジ。
(17)
前記磁気記録媒体が、6000以上のデータトラックを形成可能に構成されている(1)から(16)のいずれかに記載のカートリッジ。
(18)
LTO9以降の規格に準拠している(1)から(17)のいずれかに記載のカートリッジ。
(19)
前記磁気記録媒体は、記録層を備え、
前記記録層の平均厚みtmが、9[nm]≦tm≦90[nm]である(1)から(18)のいずれかに記載のカートリッジ。
(20)
前記記録層の平均厚みtmが、35[nm]≦tm≦90[nm]である(19)に記載のカートリッジ。
(21)
バック層を備え、
前記バック層の平均厚みtbが、tb≦0.6[μm]である(1)から(20)のいずれかに記載のカートリッジ。
(22)
バック層を備え、
前記バック層の表面粗度Rbが、Rb≦6.0[nm]である(1)から(21)のいずれかに記載のカートリッジ。
(23)
磁性面と該磁性面とは反対側となるバック面とを有し、
前記磁性面と前記バック面の層間摩擦係数μが、0.20≦μ≦0.80である(1)から(22)のいずれかに記載のカートリッジ。
(24)
前記磁気記録媒体は、磁性粉を含む記録層を備え、
前記磁性粉は、ε酸化鉄、六方晶フェライトまたはCo含有スピネルフェライトを含む(1)から(23)のいずれかに記載のカートリッジ。
(25)
前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比が、65%以上である(1)から(24)のいずれかに記載のカートリッジ。
(26)
前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比が、70%以上である(1)から(25)のいずれかに記載のカートリッジ。
(27)
前記磁気記録媒体の垂直方向における保磁力Hc1と、前記磁気記録媒体の長手方向における保磁力Hc2とが、Hc2/Hc1≦0.8の関係を満たす(1)から(26)のいずれかに記載のカートリッジ。
(28)
前記磁気記録媒体は、潤滑剤を含む磁性層を備え、
前記磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、
前記潤滑剤を除去した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/mg以上である(1)から(27)のいずれかに記載のカートリッジ。
(29)
テープ状の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体の長手方向にかかるテンションを調整するための調整情報を書き込む領域を有する記憶部と
を備え、
前記磁気記録媒体の平均厚みtTが、tT≦5.5[μm]であり、
前記磁気記録媒体の長手方向のテンション変化に対する幅方向の寸法変化量Δwが、650[ppm/N]≦Δwであるカートリッジ。
(30)
テープ状の磁気記録媒体に用いられるカートリッジメモリであって、
記録再生装置と通信を行う通信部と、
記憶部と、
前記通信部を介して前記記録再生装置から受信した情報を前記記憶部に記憶し、かつ、前記記録再生装置の要求に応じて、前記記憶部から前記情報を読み出し、前記通信部を介して前記記録再生装置に送信する制御部と
を備え、
前記情報は、前記磁気記録媒体の長手方向にかかるテンションを調整するための調整情報を含むカートリッジメモリ。
(31)
テープ状の磁気記録媒体に用いられるカートリッジメモリであって、
前記磁気記録媒体の長手方向にかかるテンションを調整するための調整情報を書き込む領域を有する記憶部を備えるカートリッジメモリ。
10 カートリッジ
11 カートリッジメモリ
31 アンテナコイル
32 整流・電源回路
33 クロック回路
34 検波・変調回路
35 コントローラ
36 メモリ
36A 第1の記憶領域
36B 第2の記憶領域
41 基体
42 下地層
43 記録層
44 バック層
50、50A 記録再生装置
51 スピンドル
52 リール
53 スピンドル駆動装置
54 リール駆動装置
55 ガイドローラ
56 ヘッドユニット
57 リーダライタ
58 通信インターフェース
59 制御装置
60 温度計
61 湿度計
100、100A 記録再生システム
MT 磁気テープ

Claims (27)

  1. テープ状の磁気記録媒体と、
    カートリッジメモリを含むカートリッジであって、
    前記磁気記録媒体は複数のサーボバンドを有し、
    前記磁気記録媒体の長手方向の弾性限界値σ MD が、0.8[N]≦σ MD であり、
    前記カートリッジメモリが、
    前記カートリッジが記録再生装置にロードされた状態において前記記録再生装置と通信を行う通信部と、
    記憶部と、
    前記通信部を介して前記記録再生装置から受信した情報を前記記憶部に記憶し、かつ、前記記録再生装置の要求に応じて、前記記憶部から前記情報を読み出し、前記通信部を介して前記記録再生装置に送信する制御部と
    を備え、
    前記情報は、記磁気記録媒体の長手方向にかかるテンションを調整するための調整情報を含み、
    前記記憶部が第1の記憶領域と第2の記憶領域を有し、前記第1の記憶領域が前記カートリッジの製造情報を記憶し、前記第2の記憶領域が前記調整情報を記憶するカートリッジ。
  2. 前記カートリッジメモリはさらに整流・電源回路を備える請求項1に記載のカートリッジ。
  3. 前記カートリッジメモリはさらにクロック回路を備える請求項1から2のいずれかに記載のカートリッジ。
  4. 前記カートリッジメモリはさらに検波・変調回路を備える請求項1から3のいずれかに記載のカートリッジ。
  5. 前記記憶部が不揮発性メモリを含む請求項1から4のいずれかに記載のカートリッジ。
  6. 前記記憶部が前記制御部の作業領域として用いられる揮発性のメモリを含む請求項1から5のいずれかに記載のカートリッジ。
  7. 前記記憶部が複数のバンクを有し、前記複数のバンクの内の一部のバンクにより前記第1の記憶領域が構成され、前記複数のバンクの前記第1の記憶領域を構成するバンク以外のバンクにより前記第2の記憶領域が構成される請求項6に記載のカートリッジ。
  8. 前記調整情報は、前記磁気記録媒体に対するデータ記録時に取得される請求項1から7のいずれかに記載のカートリッジ。
  9. 前記調整情報は、前記磁気記録媒体の幅情報を含む請求項1から8のいずれかに記載のカートリッジ。
  10. 前記調整情報は、前記複数のサーボバンドの隣接するサーボバンド間の距離情報を含む請求項1から9のいずれかに記載のカートリッジ。
  11. 前記調整情報は、前記磁気記録媒体の周囲の環境情報を含む請求項1から10のいずれかに記載のカートリッジ。
  12. 前記環境情報は、前記磁気記録媒体の周囲の温度情報を含む請求項11に記載のカートリッジ。
  13. 前記環境情報は、前記磁気記録媒体の周囲の湿度情報を含む請求項11または12に記載のカートリッジ。
  14. 前記調整情報は、前記磁気記録媒体のテンション情報を含む請求項1から13のいずれかに記載のカートリッジ。
  15. 前記情報は、前記カートリッジの使用履歴情報を含む請求項1から14のいずれかに記載のカートリッジ。
  16. 前記情報は、管理台帳データ、Index情報、または前記磁気記録媒体に記憶された動画のサムネイル情報のうち少なくとも一つを含む請求項1から14のいずれかに記載のカートリッジ。
  17. 前記記憶部が32KB以上の記憶容量を有する請求項1から16のいずれかに記載のカートリッジ。
  18. 前記通信部がアンテナコイルを有する請求項1から17のいずれかに記載のカートリッジ。
  19. 前記サーボバンドにはサーボ信号が書き込まれている請求項1から18のいずれかに記載のカートリッジ。
  20. 前記サーボ信号がハの字状のサーボパターンである請求項19に記載のカートリッジ。
  21. 前記サーボバンドの数が5以上である請求項1から20のいずれかに記載のカートリッジ。
  22. 前記サーボバンドの数が9以上である請求項1から20のいずれかに記載のカートリッジ。
  23. 前記サーボバンドの幅が10μm以上95μm以下である請求項1から22のいずれかに記載のカートリッジ。
  24. 前記サーボバンドの幅が10μm以上60μm以下である請求項1から22のいずれかに記載のカートリッジ。
  25. 前記カートリッジメモリは、前記カートリッジが前記記録再生装置にロードされた状態において前記記録再生装置のリーダライタと対向する位置に配置される請求項1から24のいずれかに記載のカートリッジ。
  26. 前記磁気記録媒体の湿度膨張係数βが、β≦5[ppm/%RH]である請求項1から25のいずれかに記載のカートリッジ。
  27. 前記磁気記録媒体の温度膨張係数αが、6[ppm/℃]≦α≦8[ppm/℃]である請求項1から26のいずれかに記載のカートリッジ。
JP2020098689A 2020-06-05 2020-06-05 カートリッジ Active JP6777259B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020098689A JP6777259B2 (ja) 2020-06-05 2020-06-05 カートリッジ
JP2020169001A JP6977846B2 (ja) 2020-06-05 2020-10-06 カートリッジ
JP2021181116A JP7024907B2 (ja) 2020-06-05 2021-11-05 カートリッジ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020098689A JP6777259B2 (ja) 2020-06-05 2020-06-05 カートリッジ

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019223710A Division JP6741140B1 (ja) 2019-12-11 2019-12-11 磁気記録媒体およびカートリッジ

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020169001A Division JP6977846B2 (ja) 2020-06-05 2020-10-06 カートリッジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020173885A JP2020173885A (ja) 2020-10-22
JP6777259B2 true JP6777259B2 (ja) 2020-10-28

Family

ID=72831510

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020098689A Active JP6777259B2 (ja) 2020-06-05 2020-06-05 カートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6777259B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022097542A1 (ja) * 2020-11-09 2022-05-12 ソニーグループ株式会社 磁気記録媒体、磁気記録カートリッジおよび記録再生装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002025227A (ja) * 2000-06-30 2002-01-25 Sony Corp 情報記録装置及び方法、情報編集装置及び方法、情報編集システム
JP4278001B2 (ja) * 2004-09-30 2009-06-10 日立マクセル株式会社 磁気テープの記録再生方法および記録再生装置
JP4429245B2 (ja) * 2005-09-27 2010-03-10 富士フイルム株式会社 感光性記録媒体用記録再生装置とそのカートリッジ
JP4864929B2 (ja) * 2008-03-31 2012-02-01 富士フイルム株式会社 記録テープカートリッジ
JP5857521B2 (ja) * 2011-08-16 2016-02-10 富士通株式会社 テープドライブ装置、テープカートリッジ、テープライブラリ装置、及びデータ保存方法
JP6657152B2 (ja) * 2017-09-04 2020-03-04 富士フイルム株式会社 記録装置、制御装置、記録方法、記録テープカートリッジ、及びデータ記録再生システム
JP6662487B1 (ja) * 2019-11-14 2020-03-11 ソニー株式会社 磁気記録媒体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022097542A1 (ja) * 2020-11-09 2022-05-12 ソニーグループ株式会社 磁気記録媒体、磁気記録カートリッジおよび記録再生装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020173885A (ja) 2020-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6610824B1 (ja) カートリッジおよびカートリッジメモリ
JP6669302B1 (ja) カートリッジ、メモリ、データ記録装置及びデータ再生装置
JP7318552B2 (ja) カートリッジ、データ記録装置及びデータ再生装置
JP2020184391A (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ
JP2020184392A (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ
JP6888718B2 (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ
JP2021034112A (ja) 磁気記録媒体
JP2021034076A (ja) 磁気記録媒体
JP6669326B1 (ja) カートリッジ、メモリ、データ記録装置及びデータ再生装置
WO2021065018A1 (ja) 磁気記録媒体
JP7439702B2 (ja) カートリッジ
JP6610828B1 (ja) 磁気記録媒体
JP6777259B2 (ja) カートリッジ
JP2021061080A (ja) 磁気記録媒体
JP6760528B1 (ja) カートリッジ、データ記録装置及びデータ再生装置
JP6977846B2 (ja) カートリッジ
JP7024907B2 (ja) カートリッジ
JP7052940B1 (ja) カートリッジ
JP6690769B1 (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ
JP6741140B1 (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ
JP2021034111A (ja) 磁気記録媒体
JP7260027B2 (ja) カートリッジ
JP2020184401A (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ
JP2021061081A (ja) 磁気記録媒体
JP2020184395A (ja) 磁気記録媒体およびカートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200623

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200623

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200812

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200908

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200921

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6777259

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151