JP6775429B2 - 波長変換部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光体粒子を含む波長変換部材の製造方法に関する。
蛍光体を用いた発光装置は、LED等の光源からの吸収光によって励起した蛍光体が異なる波長の変換光を放出する現象を利用している。近年、エネルギー効率が高く、小型化、高エネルギー密度に対応しやすい高出力のレーザダイオード(LD)を励起源として用いたアプリケーションが増えている。
しかし、従来用いられていたエポキシやシリコーンなどに代表される樹脂に蛍光体を分散させた構造では、レーザ照射箇所の樹脂が焼け焦げてしまい、長寿命化することができなかった。そこで、無機材料に蛍光体を分散させた構造の波長変換部材が考案され、耐熱性の課題が解決された。
特許文献1は、低融点ガラスをバインダとする蛍光体をLEDチップの周囲に配置し、さらにその周囲を低融点ガラスによる充填部材で充填した面実装型LED素子を開示している。
また、特許文献2は、波長変換部位が、蛍光体と蛍光体よりも粒径の小さな無機微粒子を含有するポリシラザンを原料として作製したセラミック層からなる発光装置を開示している。この発光装置は、ポリシラザン中に無機微粒子を一定量添加することで高温での焼成過程をなくし、また、無機微粒子で空隙を埋めることで水分の浸透を防止している。
また、特許文献3は、蛍光体膜が、蛍光体材料と、加水分解あるいは酸化により酸化ケイ素となる酸化ケイ素前駆体等のバインダ原料とを含む蛍光体膜原料を塗布し、常温で反応させるか、又は、500℃以下の温度で熱処理することにより形成された発光素子及び発光装置を開示している。この技術は、蛍光体膜における蛍光体材料の充填率を高くし、蛍光体膜の厚さを薄くすることで、基板の一面に半導体発光素子を形成し、基板の他面に蛍光体膜を形成して、発光素子及び発光装置を小型化している。
特開2004−200531号公報 WO2011/077548号公報 特開2015−119172号公報
発光装置を小型化し色むらを低減するには蛍光体層の層厚を薄く均一にする必要があり、発光装置を長寿命化するには蛍光体層自体の強度を上げる必要がある。しかし、これまで蛍光体層の強度は注目されておらず、薄く強度の大きい蛍光体層を形成するための方法も確立されていなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、膜厚を均一に制御でき、十分な強度の蛍光体層を容易に形成できる波長変換部材の製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の製造方法は、特定範囲の波長の光を別の波長の光に変換する波長変換部材の製造方法であって、蛍光体粒子を溶剤に分散させた蛍光体ペーストを準備する工程と、無機バインダに対し、平均粒子径5nm以上100nm以下の無機粒子を混合した混合バインダを作製する工程と、前記蛍光体ペーストに、前記混合バインダを混合し、印刷用ペーストを作製する工程と、基材上に前記印刷用ペーストを塗布してペースト層を作製する工程と、前記ペースト層を焼成する工程と、を含み、前記混合バインダにおける前記無機粒子の含有量は、2wt%以上18wt%以下であり、前記印刷用ペーストにおける前記混合バインダの含有量は40wt%以上100wt%以下であることを特徴としている。
このように、あらかじめ混合バインダを作製した上で蛍光体ペーストと混合することで、無機粒子を分散させて適切な粘度の印刷用ペーストを作製できる。その結果、印刷時に印刷用ペーストの膜厚を均一に制御でき、必要な膜厚の高強度の蛍光体層を容易に形成できる。
(2)また、本発明の製造方法は、前記無機粒子は、SiO、Al、ZrOまたはTiOからなることを特徴としている。このような材料を用いることで、ナノ粒子がバインダ内に充填されてクラックが抑制され、蛍光体層の硬度を高くすることができる。
(3)また、本発明の製造方法は、前記無機バインダは、有機シリケートであることを特徴としている。このように、有機シリケートを用いることで無機粒子が分散し、印刷性の観点で適切な粘度の印刷用ペーストを作製することができる。
本発明によれば、印刷時に印刷用ペーストの膜厚を均一に制御でき、必要な膜厚の高強度の蛍光体層を形成した、波長変換部材を容易に製造できる。
本発明の波長変換部材の印刷用ペースト作製方法を示すフローチャートである。 本発明の波長変換部材の製造方法により製造された波長変換部材を表す模式図である。 印刷性および鉛筆硬度の試験条件、試験の結果を表す表である。 印刷性および鉛筆硬度の試験条件、試験の結果を表す表である。 印刷性および鉛筆硬度の試験条件、試験の結果を表す表である。 印刷性および鉛筆硬度の試験条件、試験の結果を表す表である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
[波長変換部材の製造方法]
波長変換部材の製造方法の一例を説明する。図1は、本発明の波長変換部材の印刷用ペースト作製方法を示すフローチャートである。
最初に蛍光体ペーストを作製する。まず、蛍光体粒子を準備する(ステップS1)。蛍光体粒子は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG系蛍光体)およびルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG系蛍光体)を用いることができる。蛍光体粒子の平均粒子径は、1μm以上30μm以下であり、5μm以上20μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において平均粒子径とは、メジアン径(D50)である。平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置の乾式測定または湿式測定を用いて計測することができる。
次に、準備した蛍光体粒子を溶剤と混合、分散し、蛍光体ペーストを作製する(ステップS2)。混合にはボールミル等を用いることができる。溶剤は、α−テルピネオール、ブタノール、イソホロン、グリセリン等の高沸点溶剤を用いることができる。
蛍光体ペーストの作製とは別に、混合バインダを作製する。まず、無機バインダと無機粒子を準備する(ステップS3)。無機バインダは、エチルシリケート等の有機シリケートであることが好ましい。有機シリケートを用いることで無機粒子が分散し、印刷性の観点で適切な粘度の印刷用ペーストを作製することができる。例えば、無機バインダとしてエチルシリケートを用いるときは、水および触媒の重量に対して、エチルシリケートを70wt%以上100wt%以下、好ましくは80wt%以上90wt%以下混合する。その他、無機バインダは、加水分解あるいは酸化により酸化ケイ素となる酸化ケイ素前駆体、ケイ酸化合物、シリカ、およびアモルファスシリカからなる群のうちの少なくとも1種を含む原料を、常温で反応させるか、または、500℃以下の温度で熱処理することにより得られたものであってもよい。酸化ケイ素前駆体としては、例えば、ペルヒドロポリシラザン、エチルシリケート、メチルシリケートを主成分としたものが挙げられる。なお、印刷性の観点の判断基準については後述する。
無機粒子は、近紫外から近赤外において、光学的に透光性を持ち、無機粒子による光の散乱を軽減するため、光の波長よりも十分に小さい粒子径とすることが必要である。例えば、波長の10分の1以下の平均粒子径とするとよい。無機粒子は、SiO、Al、ZrOまたはTiOからなる群から1種以上が選択され用いられるのが好ましい。このような材料を用いることで、ナノ粒子(無機粒子)がバインダ内に充填されてクラックが抑制され、蛍光体層の硬度を高くすることができる。
無機粒子の平均粒子径は、5nm以上100nm以下である。5nmより小さいと一次粒子の凝集が発生し、良好な分散状態が得られなく、100nmより大きいと光の散乱が顕著となるため光学特性に影響が出るからである。無機粒子の平均粒子径は、10nm以上60nm以下であるとより好ましい。また、無機粒子の形状は球状に近いものほど好ましく、粒度分布は狭く最大粒子径が100nm以下の粒子で構成されているものが好ましい。
次に、無機バインダと無機粒子を混合して混合バインダを作製する(ステップS4)。混合する無機バインダと無機粒子の割合は、無機バインダの重量に対して、無機粒子の重量が2wt%以上18wt%以下である。このような割合で無機バインダと無機粒子を混合することで、無機粒子を分散させた適切な粘度の混合バインダとすることができ、適切な粘度の印刷用ペーストを作製できる。
そして、蛍光体ペーストと混合バインダを混合して印刷用ペーストを作製する(ステップS5)。混合する蛍光体ペーストと混合バインダの割合は、蛍光体ペーストの重量に対して、混合バインダの重量が40wt%以上100wt%以下である。あらかじめ混合バインダを作製した上で、このような割合で蛍光体ペーストと混合バインダを混合することで、無機粒子を分散させた適切な粘度の印刷用ペーストを作製できる。その結果、印刷時に印刷用ペーストの膜厚を均一に制御でき、容易に必要な膜厚の高強度の蛍光体層を形成できる。
印刷用ペーストの作製後、基材上に印刷用ペーストを塗布してペースト層を作製する。基材は板状であることが好ましい。印刷用ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法、ディスペンサーによる描画法、インクジェット法を用いることができる。スクリーン印刷法を用いると、薄い厚さのペースト層を安定的に形成できるので好ましい。ペースト層の厚さは、5μm以上200μm以下であることが好ましい。上記のように作製した印刷用ペーストは適切な粘度を有するので、必要な膜厚のペースト層を均一に制御できる。
次に、作製したペースト層を焼成する。焼成温度は、150℃以上500℃以下であることが好ましく、焼成時間は、0.5時間以上2.0時間以下であることが好ましい。また、昇温速度は、50℃/h以上200℃/h以下であることが好ましい。また、焼成前に乾燥工程を設けてもよい。
このような製造工程により、必要な膜厚の高強度の蛍光体層を形成した、波長変換部材を容易に製造できる。また、本発明の製造方法により製造された波長変換部材は、蛍光体層が無機材料からなるので、高出力のレーザダイオードを励起源として用いた発光装置に好適に使用され、蛍光体層の強度が高いので、長寿命の発光装置を構成できる。
[波長変換部材の構成]
図2は、本発明の波長変換部材の製造方法により製造された波長変換部材10を表す模式図である。波長変換部材10は、基材12上に蛍光体層14が形成されている。波長変換部材10は、光源から照射された吸収光を透過または反射させつつ、吸収光により励起して波長の異なる光を発生させる。例えば、青色光の吸収光を透過または反射させつつ、蛍光体層14で変換された緑と赤や黄色の変換光を放射させて、変換光と吸収光を合わせて、または、変換光のみを利用し、様々な色の光に変換できる。
基材12の材料は、アルミニウム、サファイア、ガラス、蛍光体の焼結体等を用いることができる。透過型の波長変換部材は、透光性を有する材料で製造する。反射型の波長変換部材は、基材のすべてを、光を反射する材料で製造することもできるが、透光性を有する材料の一面に光を反射する材料をメッキなどで設けてもよい。発光強度の観点から、光が透過する部分は少なくとも吸収光を吸収しにくい材料とする。また、高エネルギーの光が照射されて温度が高くなるので、熱伝導性が高い方がよい。
蛍光体層14は、基材12上に層状として設けられ、蛍光体粒子16、無機粒子18および結合材20により形成されている。なお、図2では、蛍光体層14のうち、蛍光体粒子16以外の部分は無機粒子18および結合材20であり、模式的に無機粒子18をドットで表している。結合材20は、蛍光体粒子16および無機粒子18を結合すると共に蛍光体粒子16および無機粒子18と基材12とを結合している。これにより、高エネルギー密度の光の照射に対して、放熱材として機能する基材12と接合しているため効率よく放熱でき、蛍光体の温度消光を抑制できる。蛍光体層14の厚さは、ペースト状態で5μm以上200μm以下であればよく、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
蛍光体粒子16は、YAG系蛍光体やLAG系蛍光体以外にも、発光させる色の設計に応じて以下のような材料から選択できる。例えば、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag,Cl、BaAl:EuあるいはCaMgSi:Euなどの青色系蛍光体、ZnSiO:Mn、(Y,Gd)BO:Tb、ZnS:Cu,Al、(M1)SiO:Eu、(M1)(M2)S:Eu、(M3)Al12:Ce、SiAlON:Eu、CaSiAlON:Eu、(M1)SiN:Euあるいは(Ba,Sr,Mg)SiO:Eu,Mnなどの黄色または緑色系蛍光体、(M1)SiO:Euあるいは(M1)S:Euなどの黄色、橙色または赤色系蛍光体、(Y,Gd)BO:Eu,YS:Eu、(M1)Si:Eu、(M1)AlSiN:EuあるいはYPVO:Euなどの赤色系蛍光体が挙げられる。なお、上記化学式において、M1は、Ba,Ca,SrおよびMgからなる群のうちの少なくとも1つが含まれ、M2は、GaおよびAlのうちの少なくとも1つが含まれ、M3は、Y、Gd、LuおよびTeからなる群のうち少なくとも1つが含まれる。なお、上記の蛍光体粒子16は一例であり、波長変換部材10に用いられる蛍光体粒子16が必ずしも上記に限られるわけではない。
結合材20は、無機バインダが加水分解または酸化されて形成されたものであり、透光性を有する無機材料により構成されている。結合材20は、例えばシリカ(SiO)、リン酸アルミニウムで構成される。結合材20は無機材料からなるので、レーザダイオード等の高エネルギーの光が照射されても変質しない。また、結合材20は透光性を有するので、吸収光や変換光を透過させることができる。無機バインダとしては、エチルシリケート、リン酸アルミニウム水溶液等を用いることができる。
なお、透光性を有する物質とは、0.5mmの対象物質に対して、可視光の波長領域(λ=380〜780nm)で光を垂直に入射したとき、反対側から抜けた光の放射束が入射光の80%を超える特性を有する物質をいう。
[実施例および比較例]
蛍光体粒子(YAG粒子)とα−テルピネオール(溶剤)を混合して蛍光体ペーストを作製した。α−テルピネオールには分散溶媒としての働きを持たせている。また、88wt%のエチルシリケート(無機バインダ)を作製し、エチルシリケートの重量に対して、SiOナノ粒子(無機粒子)を0〜20wt%の割合で混合した混合バインダを作製した。次に、作製した蛍光体ペーストの重量に対して、混合バインダを10wt%〜150wt%の割合で混合した印刷用ペーストを作製した。そして、スクリーン印刷法を用いてアルミニウム基板に印刷用ペーストを30μmの厚さになるよう塗布した。塗布後に100℃で20分乾燥させた後、無機バインダで封孔処理をした。最後に150℃/hで350℃まで昇温し、30分焼成して試料が完成した。
図3〜図6は、上記の印刷性および鉛筆硬度の試験条件、試験結果を表す表である。鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4の引っかき硬度(鉛筆法)による試験を実施して蛍光体層の膜の強度を測定した。
印刷性は「蛍光体粒子の欠損有無」、「膜厚の均一性」、「にじみ」の3点を判定基準として、判定基準を満たす場合は良好と判断した。そして、判定基準のすべてを満たした試料を○、いずれか1つでも満たさない試料を×で表した。「蛍光体粒子の欠損有無」の判定基準は、発光させ、二次元色彩輝度計(コニカミノルタ CA−2500)を用いて測定した際に面内における吸収光(励起光)のスペクトルピークの平均値に対して、局所的な吸収光(励起光)のスペクトルピーク値が2倍未満であることとした。「膜厚の均一性」の判定基準は、面内の複数点で膜厚を測定したときに最大値と最小値の差が±5μm以内であることとした。「にじみ」の判定基準は、狙いの蛍光体層の形状(大きさ)に対して0.5mm以内に納まることとした。総合評価は、印刷性が良好で、鉛筆硬度が4B以上の試料を合格とし、○で表した。印刷性のいずれかの基準を満たさない(印刷性が良好でない)試料、または、鉛筆硬度が5B以下の試料は不合格とし、×で表した。
図3の試料No.1〜3は、無機粒子を添加していない無機バインダを用いて、無機バインダ添加量を変化させた試料である。これによると、無機バインダ添加量を増加させると、鉛筆硬度が高くなることが分かる。しかし、無機粒子を添加していない無機バインダは蛍光体ペーストに比べて粘度が低いので、表には記載していないが、これ以上無機バインダ添加量を増加させると印刷用ペーストの粘度が低くなりすぎ、印刷性が悪くなり均一な膜を形成させることができなかった。
図3の試料No.4〜11は、平均粒径が40nmのSiOを添加した無機バインダを用いた試料である。試料No.3と試料No.4を比べると、無機バインダ添加量は同じであるが、試料No.4の方が鉛筆硬度が高くなる。これは、試料No.4は無機粒子を添加した無機バインダを用いているからである。つまり、無機バインダ添加量を増加させなくても、無機バインダに無機粒子を添加することで、蛍光体層の強度を高くすることができる。
試料No.4と試料No.6を比べると、無機バインダに添加した無機粒子の量は同じであるが、試料No.6の方が鉛筆硬度が高くなる。これは、試料No.6の方が無機バインダの添加量が多いからである。これにより、無機粒子を添加した無機バインダであっても、無機バインダ添加量を増加させると、鉛筆硬度が高くなることが分かる。
試料No.5〜10は、無機バインダの添加量は一定にして、無機バインダに添加する無機粒子の量を変化させて、試験を行った試料である。試料No.6〜9によると、無機バインダの添加量が一定のとき、無機バインダに添加する無機粒子の量が増加すると、最初は鉛筆硬度が少し低くなり、その後一定になることが分かる。しかし、試料No.5は印刷用ペーストの粘度が低くなりすぎ、印刷性が悪くなり均一な膜を形成させることができなかった。また、試料No.10は印刷用ペーストの粘度が高くなりすぎ、印刷性が悪くなり均一な膜を形成させることができなかった。
試料No.11は、試料No.8と同じ無機バインダを用いて、添加量を増加させた試料である。試料No.11と試料No.8を比べると、無機バインダに添加した無機粒子の量は同じであっても、試料No.11は無機バインダの添加量が多すぎたため、印刷性が悪くなり均一な膜を形成させることができなかった。これらの結果から、印刷性を維持しつつ蛍光体層の強度を高くするための、無機粒子の添加量および無機バインダの添加量の範囲を決めることができる。
図4の試料No.12〜16は、無機粒子の材料、無機バインダに添加する無機粒子の量およびバインダ添加量を一定にして、無機粒子の平均粒径を変化させた試料である。これによると、試料No.13〜15の無機粒子の平均粒径が5nm以上100nm以下のときは、印刷性、鉛筆硬度共に良好な結果となった。試料No.12は平均粒径が小さかったため印刷用ペーストの粘度が低くなりすぎ、印刷性が悪くなり均一な膜を形成させることができなかった。また、試料No.16は平均粒径が大きかったため、印刷性は良好であったが鉛筆硬度は低いままであった。これは、無機粒子の平均粒径が大きかったため、バインダ内のクラックを抑制する効果が得られなかったためと考えられる。これらの結果から、印刷性を維持しつつ蛍光体層の強度を高くするための、無機粒子の平均粒径の範囲を決めることができる。
図5の試料No.17〜19は、無機粒子の平均粒径やバインダ添加量を一定にして、無機粒子の材料を変更した試料である。これによると、Al、ZrO、TiOのいずれもSiOと同様の平均粒径、無機バインダに添加する無機粒子の量およびバインダ添加量で、印刷性、鉛筆硬度共に良好な結果となった。したがって、無機バインダに添加する無機粒子の材料は、SiO以外にAl、ZrO、TiOも好適であることが分かる。
図6の試料No.20、21は、蛍光体、無機バインダ、無機粒子を本発明の波長変換部材の製造方法によらず一度に混合して製造した試料である。これによると、同時混合の印刷用ペーストは、印刷性が悪くなり均一な膜を形成させることができなかった。これは、同時混合では、個別混合に比べて印刷用ペーストの粘度が低くなり、また、印刷時にまだら模様のムラが発生して、膜厚を均一に制御できなかったためである。
以上の結果によって、本発明の波長変換部材の製造方法により、印刷時に印刷用ペーストの膜厚を均一に制御でき、必要な膜厚の高強度の蛍光体層を形成した、波長変換部材を容易に製造できることが分かる。
10 波長変換部材
12 基材
14 蛍光体層
16 蛍光体粒子
18 無機粒子
20 結合材

Claims (3)

  1. 特定範囲の波長の光を別の波長の光に変換する波長変換部材の製造方法であって、
    蛍光体粒子を溶剤に分散させた蛍光体ペーストを準備する工程と、
    無機バインダに対し、平均粒子径5nm以上100nm以下の無機粒子を混合した混合バインダを作製する工程と、
    前記蛍光体ペーストに、前記混合バインダを混合し、印刷用ペーストを作製する工程と、
    基材上に前記印刷用ペーストを塗布してペースト層を作製する工程と、
    前記ペースト層を焼成する工程と、を含み、
    前記混合バインダにおける前記無機粒子の含有量は、2wt%以上18wt%以下であり、
    前記印刷用ペーストにおける前記混合バインダの含有量は40wt%以上100wt%以下であることを特徴とする波長変換部材の製造方法。
  2. 前記無機粒子は、SiO、Al、ZrOまたはTiOからなることを特徴とする請求項1記載の波長変換部材の製造方法。
  3. 前記無機バインダは、有機シリケートであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の波長変換部材の製造方法。
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