JP6774261B2 - 遠心振子動吸振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、遠心振子動吸振装置に関するものである。
トルクコンバータのロックアップ機構(ダンパ3,4)の一方の中間板(ダンパ4)に遠心振子動吸振装置を設け、当該遠心振子動吸振装置の固有振動数をエンジンの励振次数よりも高い次数に設定したものが知られている(特許文献1)。
特表2011−504987号公報
しかしながら、エンジンから駆動輪に至る多自由度の振動系に遠心振子動吸振装置を適用する場合に、単に当該遠心振子動吸振装置の固有振動数をエンジンの励振次数よりも高い次数に設定しても、他の振動モードの固有振動数の値によっては共振現象を起こす可能性がある。
本発明が解決しようとする課題は、目的とする制振作用を有し、多自由度の振動系にも適用することができる遠心振子動吸振装置を提供することである。
本発明は、振子が設けられた回転体の回転中心から前記振子の重心までの距離R1と、前記振子の振れ角中心点と前記振子の重心の距離R2との比の値を、内燃機関の主加振次数に対応する角周波数よりも前記振子を含む遠心振子動吸振装置全体の固有角振動数が小さくなるように、設定することによって、上記課題を解決する。
本発明によれば、内燃機関の気筒数に固有の主加振次数に対応する角周波数よりも振子を含む遠心振子動吸振装置全体の固有角振動数が小さくなるので、共振することがない。これにより、目的とする制振作用を奏し、多自由度の振動系にも適用することができる。
遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析で用いた捩り振動する駆動系の解析モデルを示す斜視図である。 図1のモデルにおいて、捩れ角変位θ、振子17の角変位φの関係を示す図である。 図1のモデルにおいて、復元力k=aω2を有する振子の捩れ角変位θ、角変位φ´の関係を示す図である。 図1において振子を省略したモデルの数値シミュレーションによる共振曲線を示すグラフである。 図1の非線形の遠心振子モデルの数値シミュレーションによる共振曲線を示すグラフである。 図1のモデルにおいて、振子を省略したモデルの固有角振動数の変化を示すグラフである。 復元力を線形化した遠心振子モデルを用いた固有値解析により得られた固有角振動数の変化を示すグラフである。 本発明に係る遠心振子動吸振装置を適用した一実施の形態を簡略的に示す構成図である。 図8の中間板と振子を示す正面図である。 図9のX−X線に沿う断面図である。 本発明に係る遠心振子動吸振装置を適用した他の実施の形態を簡略的に示す構成図である。 6自由度モデルの振動系に遠心振子動吸振装置を組み込んだ場合における振動系の回転中心から振子の重心までの距離R1と振子の重心の回転半径(振子の振れ角中心点と振子の重心の距離)R2との比を任意の所定値としたときの、励起速度、エンジン回転速度と固有振動数との関係を示すグラフである。 図12Aと同じ6自由度モデルの振動系に遠心振子動吸振装置を組み込んだ場合における振動系の回転中心から振子の重心までの距離R1と振子の重心の回転半径(振子の振れ角中心点と振子の重心の距離)R2との比を所定量だけチューニングしたときの、励起速度、エンジン回転速度と固有振動数との関係を示すグラフである。 可変圧縮比エンジンの一例を示す断面図である。
最初に、本発明を完成するに至った原理、すなわち遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析について説明し、その後に本発明の実施の形態を説明する。
《遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析》
自動車や船舶などで使用されている多気筒レシプロエンジンでは、駆動軸に捩り振動が発生する。この捩り振動を低減する方法として、フライホイールやラバーダンパを改善したものもあるが、いずれの方法も共振のピークを小さくすることはできるが振動をなくすことはできない。この種の捩り振動を抑える動吸振器の一つとして遠心振子動吸振装置が知られている。以下において、遠心振子動吸振装置について、線形な復元力を有する振子を想定し、その振子を含む系の固有値解析から制振の仕組みを考察する。
図1は、本例で用いた捩り振動する駆動系の解析モデル1である。駆動側の軸13では何らかの要因により、例えば回転数の整数倍の回転速度変動をもつことがある。本例では、角速度ω[rad/s]で回転するモータ11からユニバーサルジョイント12を介することにより、軸13には角速度Ω(=2ω)[rad/s]、振幅h[rad]の回転速度変動が生じる場合を考える。ユニバーサルジョイント12の従動側の回転角Θ[rad]は、次式で与えらえる。
[数1]Θ=ωt+hcosΩ …式(1)
ロータ14は、捩り剛性k[Nm/rad]のバネ15により、ユニバーサルジョイント12の従動側の軸16と繋がっている。ロータ14の減衰係数をc[Nms/rad]、ロータ14の慣性モーメントをJ[kg・m]、回転角をΘ[rad]、捩れ角変位をθ(=Θ−ωt)[rad]とする。このロータ14には、n個の振子17が取り付けられている。j番目の振子17の質量をm[kg]、角変位をφ[rad]、振子17の支点から振子17の重心までの距離をRj1[m]、ロータ14の中心から振子17の支点までの距離をRj0[m]、振子の減衰係数をc[Nms/rad]とする。図2は、捩れ角変位θ、振子17の角変位φの関係を示す図である。
非線形振子モデルの場合は、次の運動方程式を用いる。
[数2]
Figure 0006774261
振子17の復元力は、回転角速度の二乗を係数として含むという特徴をもつ。そのため、振子17は、固有振動数が回転角速度とともに変化し、常に反共振の状態を達成することが可能である。その特徴をもち、且つ振子17の回転角速度に関して運動方程式が線形となる復元力をもつ振子17を想定する。そのような復元力を再現するバネのバネ定数をkideal=aω[Nm/rad](aはチューニング定数)とする。また、振子17のモーメントは、m(Rj0+Rj1である。ここで、運動方程式の連成を少なくするためにj番目の振子17の角変位をφ´(=Φ−ωt)[rad]とする。これらの関係を図3に示す。
この復元力をもつ振子17の固有角振動数Pp[rad/s]は、
[数3]
Pp={kideal/m(Rj0+Rj11/2=ω{a/m(Rj0+Rj11/2 …式(3)
となる。振子17の固有角振動数Ppを、外力の次数Ω(=2ω)にするチューニング定数aは次式で決定される。
[数4]a=4m(Rj0+Rj1 …式(4)
この復元力の振子17をもつロータ系14の運動方程式は容易に求まり次式となる。なお、ロータ14の係数及びユニバーサルジョイント12の従動側の回転角Θ[rad]や減衰、ロータ14の中心から振子17の重心までの距離等の値は、非線形モデルの値と同一とする。
[数5]
Figure 0006774261
次に、非線形の遠心振子モデルの運動方程式の式(2)の数値シミュレーションより、ロータ14と振子17の挙動を調べた。本例では、振子17が1つの場合(n=j=1)を考える。また、シミュレーションで用いたパラメータの値は表1のとおりである。
Figure 0006774261
図4は、図1において振子17を省略したモデルの数値シミュレーションによる共振曲線を示すグラフである。この振子17を省略したモデルの運動方程式は、式(2)においてm=0としたものである。これに対して図5は、非線形の遠心振子モデルの数値シミュレーションによる共振曲線を示すグラフである。いずれの図も、横軸はロータ14の回転角速度を示し、縦軸はロータの捩り振動の振幅を示す。図4のシミュレーション結果より、振子なしのモデルでは、66rad/s付近で共振が発生している。これに対して図5のシミュレーション結果より、非線形の遠心振子モデルでは、66rad/s付近の共振は抑えられているものの、低速領域である20rad/s付近(ピーク1)と30rad/s付近(ピーク2)において二次と三次の超調波共振が発生している。
振子17を省略したモデルの固有角振動数の変化を図6に示す。横軸はロータ14の回転角速度[rad/s]を示し、縦軸は固有角振動数P[rad/s]を示す。また、同図において点線で示すP=2ωの直線は、加振角速度を示す。このモデルでは、振子17が省略されているため、固有角振動数Pは、ロータ14の回転角速度ωに拘わらず一定である。そして、ロータ14の回転角速度ω=66rad/s付近において、P=Ω(=2ω)の交点が確認され、この回転角速度で共振が発生することが予想される。図4のω=66rad/s付近の共振は、この図6により説明できる。
これに対して復元力を線形化した遠心振子モデルの固有角振動数の変化を図7に示す。図7は上述した式(5)を固有値解析することにより得た。横軸はロータ14の回転角速度[rad/s]を示し、縦軸は固有角振動数P[rad/s]を示す。また、同図において点線で示すP=2ω,4ω,6ωの各直線は、加振角速度を示し、実線で示すP1、P2は、それぞれ第1モード(2000rpm)及び第2モード(1000rpm)の固有角振動数を示す。図7により、図6で確認された66rad/s付近のP1=Ω(=2ω)の交点がなく、P1及びP2の曲線のように、ロータ14の回転角速度ωの変化にともない遠心振子は振動系の固有角振動数P1,P2を変化させている。その結果、P1=Ω(=2ω)の交点がなくなり、これにより共振が発生しなくなる。
ちなみに図7において、P=6ωの直線と第2モードP2の交点の回転角速度と、P=4ωの直線と第2モードP2の交点の回転角速度は、図5の超調波共振(ピーク1及びピーク2)の発生回転角速度とそれぞれ一致している。非線形の遠心振子モデルのシミュレーションにて超調波共振が発生する回転角速度と、復元力を線形化した遠心振子モデルを用いた固有値解析から予想される回転角速度を求めると、ピーク1について前者は21.9548rad/s、後者は21.5912rad/s、ピーク2について前者は33.6842rad/s、後者は33.2027rad/sであった。いずれも両者の差は0.5rad/s以下であり、共振が発生する回転角速度を精度良く表せていることが確認できた。
以上のとおり、本例の遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析によれば、復元力を線形化した振子17を含んだ系の固有値解析により、振子17の制振効果は固有角振動数を変化させることにより行われていると考察した。また、復元力を線形化した振子17を含んだ系の固有値解析により、超調波共振の発生角速度の予想が可能である。
次に、以上の遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析結果を応用した、自動車の内燃機関から駆動輪に至る動力伝達系(多自由度の振動系)の回転体に振子を設けた遠心振子動吸振装置の実施形態を説明する。以下の実施形態では、代表的な設置例として、遠心振子動吸振装置をトルクコンバータのロックアップ装置に設けた例(第1実施形態)と、ダブルマスフライホイール(デュアルマスフライホイール)のセカンダリーホイールに設けた例(第2実施形態)を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定される趣旨ではなく、その他の振動系、特に多自由度の振動系の制振装置として適用することができる。
《第1実施形態》
図8は、本発明に係る遠心振子動吸振装置を適用した車両の動力伝達系を簡略的に示す構成図、図9は、図8の中間板を示す正面図、図10は、図9のX−X線に沿う断面図である。図8に示す車両の動力伝達系は、エンジンEGと、トルクコンバータ2と、トランスミッションTM(本例では自動変速機)と、ドライブシャフトDSと、タイヤTRとを備える。図8において符号RSは路面を示す。エンジンEGは、直列4気筒、直列3気筒、V型6気筒、V型8気筒のレシプロエンジンのいずれでもよい。また、低負荷運転時あるいはアイドリング時に、一部または全部のシリンダーを休止させる機能を搭載した気筒休止エンジン(可変排気量エンジン、片バンク休止エンジン、可変シリンダエンジンともいう)や、要求負荷に応じて圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備えたエンジンでもよい。特に限定はされないが、高負荷時には過給機や圧縮比可変で対応し、排気量を小さくした(ダウンサイジング)エンジンに適用することがより好ましい。
トルクコンバータ2は、エンジンEGのクランクシャフトCSからトランスミッションTMの入力シャフトISにトルクを伝達する装置であり、主として、エンジンEGに固定されるフロントカバー21と、3種の羽根車(インペラ22、タービン23、ステータ24)と、ロックアップ機構25と、を備える。
フロントカバー21は、円板状の部材であり、その外周部はトランスミッションTM側に突出し、ここにインペラ22が固定されている。タービン23は、流体室内でインペラ22に対向して配置されている。タービン23は、トランスミッションTMの入力シャフトISにスプライン係合されている。ステータ24は、インペラ22とタービン23の内周部間に配置され、タービン23からインペラ22へと戻る作動油を整流するための機構である。ステータ24は、ワンウエイクラッチ241を介して固定シャフト242に支持されている。
ロックアップ機構25は、フロントカバー21とタービン23との間の空間に配置されている。ロックアップ機構25は、ピストン251と、複数のトーションスプリング252a,252bと、中間板253と、を有する。ピストン251は、円板状のプレートであり、フロントカバー21のトランスミッションTM側に配置されている。ピストン251の中心部は、筒状にエンジンEG側に延びるように形成され、トランスミッションTM側の部材の外周面に対して軸方向に移動自在及び相対回転自在に支持されている。また、ピストン251の外周部のフロントカバー21側の面には、環状の摩擦部材254が固定されている。この摩擦材254がフロントカバー21に押し付けられることによって、フロントカバー21からピストン251にトルクが伝達される。すなわち、ピストン251と摩擦部材254によってクラッチが構成される。
中間板253は、環状の部材であり、ピストン251とタービン23との軸方向間に配置され、一方側にピストン251に向かって折り曲げられた複数の係合部255aを有し、他方側にタービン23に向かって折り曲げられた複数の係合部255bを有する。これら係合部255a,255bは、中間板253の表裏面に円周方向に所定の間隔で設けられている。そして、一方側の係合部255aは、隣接する2つのトーションスプリング252aの間に配置され、一方のトーションスプリング252aの一端と他方のトーションスプリング252aの他端とに係合されている。同様に、他方側の係合部255bは、隣接する2つのトーションスプリング252bの間に配置され、一方のトーションスプリング252bの一端と他方のトーションスプリング252bの他端とに係合されている。中間板253の中心部は、入力シャフトISにスナップリングなどにより回動可能に支持されている。本実施形態における中間板253が、本発明の車両の内燃機関から駆動輪に至る動力伝達系の回転体に相当する。
ロックアップ機構25が作動していないクラッチオフ状態では、エンジンEGからのトルクはフロントカバー21からインペラ22に伝達される。インペラ22のインペラブレードにより駆動された作動油は、タービン23を回転させる。このタービン23のトルクはトランスミッションTMの入力シャフトISに伝達される。そして、例えば車両の速度が所定の速度以上になると、ピストン251がフロントカバー21側に移動させられ、摩擦部材254がフロントカバー21の摩擦面に押し付けられる。これによりクラッチオン状態になり、フロントカバー21のトルクは、ピストン251からトーションスプリング252を介して中間板253に伝達される。中間板253に伝達されたトルクは、タービン23を介して又は直接トランスミッションTMの入力シャフトISに伝達される。
上述したトルクコンバータ2において、本実施形態では、中間板253の表裏に複数の振子(マス)17が設けられている。本実施形態の振子17は、図9の正面図に示すように、中間板253の外周に沿って4個設けられているが、1〜3個であっても5個以上であってもよい。また、本実施形態の振子17の形状、重量、材質は特に限定されず、中間板253の周囲の部品と干渉しなければよい。また本実施形態では中間板253の表裏に振子17を設けたが、いずれか一方に設けてもよい。
本実施形態の振子17を振子運動させるために、図10の断面図に示すように、1個の振子17に対し、中間板253には2つの貫通孔253aが形成されるとともに、振子17には貫通孔253aに対応する位置に2つのカム孔257が形成されている。そして、カム孔257の径より大径の頭部を有するピン256を貫通孔253a及びカム孔257に挿通し、これにより中間板253とピン256とによって表裏の振子17,17を支持する。
中間板253における振子17の装着位置(振子17の重心位置)は、駆動系の回転中心から振子17の重心までの距離R1を決定し、カム孔257の形状は、振子17の回転半径(振子17の振れ角中心点と振子17の重心との距離)R2を決定する。そして上述した遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析に基づいて、このR1/R2の値を目的とする値にチューニングする。すなわち、制振目的とする加振角速度の固有角振動数に対し、遠心振子動吸振装置の固有角振動数が小さくなるように、R1/R2の値をチューニングする。制振目的とする加振角速度とは、当該エンジンEGの気筒数に固有の主加振次数に対する角周波数、例えば4気筒エンジンならば2次、3気筒エンジンならば1.5次の加振角速度を挙げることができ、これら(気筒数/2)次の加振角速度の固有角振動数より、当該遠心振子動吸振装置の固有角振動数が小さくなるように、R1/R2の値をチューニングする。この場合に、複数の振子17を設けた場合に、距離R1と回転半径R2との比を振子17毎にチューニングしてもよい。
《第2実施形態》
図11は、本発明に係る遠心振子動吸振装置を適用した車両の動力伝達系を簡略的に示す構成図である。図11に示す車両の動力伝達系は、エンジンEGと、ダブルマスフライホイール(デュアルマスフライホイール)3と、クラッチ4と、トランスミッションTM(本例では手動変速機)と、ドライブシャフトDSと、タイヤTRとを備える。図11において符号RSは路面を示す。エンジンEGは、直列4気筒、直列3気筒、V型6気筒、V型8気筒のレシプロエンジンのいずれでもよい。また、低負荷運転時あるいはアイドリング時に、一部または全部のシリンダーを休止させる機能を搭載した気筒休止エンジン(可変排気量エンジン、片バンク休止エンジン、可変シリンダエンジンともいう)や、要求負荷に応じて圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備えたエンジンでもよい。特に限定はされないが、高負荷時には過給機や圧縮比可変で対応し、排気量を小さくした(ダウンサイジング)エンジンに適用することがより好ましい。
ダブルマスフライホイール3は、エンジンEGのクランクシャフトCSに連結されるプライマリフライホイール31と、トランスミッションTMの入力シャフトISへ接続されるセカンダリフライホイール32と、を有する。また、セカンダリフライホイール32に取り付けられるクラッチカバー41には、クラッチペダル(図示省略)の操作に応じてセカンダリフライホイール32と入力シャフトISとの動力伝達を断続するクラッチディスク42が設けられている。プライマリフライホイール31とセカンダリフライホイール32とは、弾性体・ダンパーとしてのスプリング33を介して接続され、かつ、ベアリング34を介して車体側に回転可能に支持されている。この二分割型のフライホイール3によって、エンジンEGで発生したエンジントルクは、クランクシャフトCSからトランスミッションTMへ伝達されるとともに、スプリング33の弾性を利用してエンジンEGのトルク変動を有効に吸収・低減することができる。従って、駆動系の捩り振動を抑制し、これに起因する騒音・振動の発生を効果的に低減・回避することができる。本実施形態におけるセカンダリフライホイール32が、本発明の車両の内燃機関から駆動輪に至る動力伝達系の回転体に相当する。
上述したダブルマスフライホイール3において、本実施形態では、セカンダリフライホイール32の一方の面に複数の振子(マス)17が設けられている。本実施形態の振子17は、一方の面にのみ振子17を設けたが、表裏に設けてもよい。なお、振子17の個数や配置などの具体的構成は、上述した第1実施形態の図9の正面図に示すように構成すればよい。このとき、セカンダリフライホイール32の外周に沿って4個設けられているが、1〜3個であっても5個以上であってもよい。また、本実施形態の振子17の形状、重量、材質は特に限定されず、セカンダリフライホイール32の周囲の部品と干渉しなければよい。
本実施形態においても、セカンダリフライホイール32における振子17の装着位置(振子17の重心位置)は、駆動系の回転中心から振子17の重心までの距離R1を決定し、カム孔257の形状は、振子17の回転半径(振子17の振れ角中心点と振子17の重心との距離)R2を決定する。そして上述した遠心振子動吸振装置を組み込んだ捩り振動の固有値解析に基づいて、このR1/R2の値を目的とする値にチューニングする。すなわち、制振目的とする加振角速度の固有角振動数に対し、遠心振子動吸振装置の固有角振動数が小さくなるように、R1/R2の値をチューニングする。制振目的とする加振角速度とは、当該エンジンEGの気筒数に固有の主加振次数に対する角周波数、例えば4気筒エンジンならば2次、3気筒エンジンならば1.5次の加振角速度を挙げることができ、これら(気筒数/2)次の加振角速度の固有角振動数より、当該遠心振子動吸振装置の固有角振動数が小さくなるようにR1/R2の値をチューニングする。この場合に、複数の振子17を設けた場合に、距離R1と回転半径R2との比を振子17毎にチューニングしてもよい。
上述した第1実施形態又は第2実施形態のような多自由度の振動系において、本実施形態に係る遠心振子動吸振装置の作用効果を検証した。図12Aは、6自由度モデルの3気筒エンジンEG(1.5次加振)を含む振動系に遠心振子動吸振装置を組み込んだ場合における振動系の回転中心から振子の重心までの距離R1と振子の重心の回転半径(振子17の振れ角中心点と振子17の重心との距離)R2との比を任意の所定値としたとき、励起速度(rad/s)、エンジン回転速度(Hz)と固有振動数(Hz, rad/s)との関係を示すグラフ、図12Bは、図12Aと同じ6自由度モデルの3気筒エンジンEG(1.5次加振)を含む振動系に遠心振子動吸振装置を組み込んだ場合における振動系の回転中心から振子の重心までの距離R1と振子の重心の回転半径(振子17の振れ角中心点と振子17の重心との距離)R2との比を、図12Aに示す条件から所定量だけチューニングしたときの、励起速度(rad/s)、エンジン回転速度(Hz)と固有振動数(Hz, rad/s)との関係を示すグラフである。なお、図12A及び図12Bにおいて点線で囲まれたエンジン回転速度(約15Hz〜約30Hz)の領域は、車両としての制振目的とする領域を示す。
まず、図12Aに示すように、任意のR1/R2値とした場合においては、直線で示す加振固有振動数と4thモードの固有振動数とが、制振目的とする領域の低回転側において近似する値を示している。これに対して、図12Aに示す条件からR1/R2値を所定量だけチューニングすると、図12Bに示すように、4thモードの固有振動数が小さくなる方向に変動し、直線で示す加振固有振動数と4thモードの固有振動数との差が、制振目的とする領域の低回転側を含めて大きくなっている。また、3rdモードの固有振動数についても、低回転側において小さくなり、直線で示す加振固有振動数との差が大きくなっている。このチューニングは一例であって、振動系の特性に応じてR1/R2値を加振固有振動数に対して小さくなるようにチューニングすることで、制振目的とする領域において共振を抑制することができる。
ちなみに、可変圧縮比エンジンの一例を図13に示す。図13に示す可変圧縮比エンジンEGは、例えば直列4気筒エンジンであり、図13は一つの気筒の断面を示している。本実施形態の圧縮比エンジンEGは、ピストン上死点位置を変化させて圧縮比を変更するマルチリンク機構(圧縮比可変機構)101を備える。マルチリンク機構101は、ピストン102とクランクシャフト103とを、アッパリンク104及びロアリンク105で連結し、コントロールリンク106によってロアリンク105の姿勢を制御することで圧縮比を変更するものである。
アッパリンク104は、その上端においてピストンピン107を介して且つ当該ピストンピン107を中心にしてピストン102に回動可能に連結されている。アッパリンク104は、その下端においてアッパピン108を介して且つ当該アッパピン108を中心にしてロアリンク105の一端に回動可能に連結されている。ロアリンク105の他端は、コントロールピン109を介して且つ当該コントロールピン109を中心にしてコントロールリンク106に回動可能に連結されている。
ロアリンク105には、アッパピン108の中心とコントロールピン109の中心との間にクランクピン110が配置されるように、クランクピン110が連結される連結孔111が形成されている。ロアリンク105は、ほぼ中央に連結孔111を有し、後からクランクピン110に組み付けることができるように、図示する上下の2部材から分割可能に構成されている。ロアリンク105は、連結孔111にクランクシャフト103のクランクピン110が挿入されることで、クランクピン110を中心に揺動する。
クランクシャフト103は、クランクピン110、ジャーナル112及びカウンターウェイト113を備える。クランクピン110の中心110Cは、ジャーナル112の中心(すなわちクランクシャフト103の回転軸中心103C)から所定量偏心している。カウンターウェイト113は、クランクアームに一体形成されて、ピストン運動の回転1次振動成分を低減する。
コントロールリンク106の上端は、コントロールピン109を介して且つ当該コントロールピン109を中心にロアリンク105に対して回動可能に連結されている。コントロールリンク106の下端は、コントロールシャフト114の偏心軸(揺動軸)115に連結されている。コントロールリンク106は、偏心軸115を中心に揺動する。コントロールシャフト114は、クランクシャフト103と平行(図面の紙面に対して垂直な方向に平行)に配置され、シリンダブロック116に回転自在に支持されている。コントロールシャフト114の偏心軸115は、コントロールシャフト114の軸心から所定量だけ偏心した位置に形成されている。コントロールシャフト114は、ウォーム&ウォームホイール等の機構を介してアクチュエータ117によって回転制御され、これにより偏心軸115を移動させる。
アクチュエータ117によってコントロールシャフト114が回転し、偏心軸115がコントロールシャフト114の中心軸に対して相対的に低くなる方向に移動すると、ロアリンク105はクランクピン110を中心としてアッパピン108の位置が相対的に上昇する方向に傾く。これによりピストン102の上死点位置が上昇して、エンジン1の幾何学的な圧縮比(ピストン上死点位置での燃焼室容積に対するピストン下死点位置での燃焼室容積の比)が高くなる。これに対して、偏心軸115がコントロールシャフト114の中心軸に対して相対的に高くなる方向に移動すると、ロアリンク105はクランクピン110を中心としてアッパピン108の位置が相対的に低くなる方向に傾く。これによりピストン102の上死点位置が下降して、エンジン1の圧縮比が低くなる。なお実際の有効圧縮比は、上述した幾何学的な圧縮比に加えて、吸気弁の開閉時期によって変動する。
要求負荷に応じて圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を備えたエンジンは、例えば低負荷域では高圧縮比に設定することで低燃費を実現する一方で、高負荷域では低圧縮比に設定することで過給圧によるノッキングを抑制する。この種の可変圧縮比エンジンでは、同じ出力帯域のエンジンに比べて高トルクが実現できるため、本発明に係る遠心振子動吸振装置を適用して好ましいものである。
以上のとおり、第1及び第2実施形態によれば、エンジンEGの気筒数に固有の主加振次数に対応する角周波数よりも振子17の固有角振動数が小さいので、共振することがない。これにより、目的とする制振作用を奏し、多自由度の振動系にも適用することができる。また、こうした遠心振子動吸振装置を、トルクコンバータのロックアップ機構25の中間板253や、ダブルマスフライホイール3のセカンダリーフライホイール32に設けることで、専用の遠心振子動吸振装置の設置スペースを設けることもない。
また、遠心振子動吸振装置に複数の振子17を設け、R1/R2値を各振子のそれぞれについてチューニングする(例えば、R1とR2との比の値は、振子17の全てについて等しくならないように設定する)ことで、より精度の高い制振効果を奏することができる。特に、可変圧縮比機構を有するエンジンEGを含む駆動系に本実施形態の遠心振子動吸振装置を設けることで、エンジンをダウンサイジングしつつ制振効果のある車両を提供することができる。
1…駆動系の解析モデル
11…モータ
12…ユニバーサルジョイント
13…軸
14…ロータ
15…バネ
16…軸
17…振子
2…トルクコンバータ
21…フロントカバー
22…インペラ
23…タービン
24…ステータ
241…ワンウェイクラッチ
242…固定シャフト
25…ロックアップ機構
251…ピストン
252a,252b…トーションスプリング
253…中間板
253a…貫通孔
254…摩擦部材
255a,255b…係合部
256…ピン
257…カム孔
3…ダブルマスフライホイール(デュアルマスフライホイール)
31…プライマリフライホイール
32…セカンダリフライホイール
33…スプリング
34…ベアリング
4…クラッチ
41…クラッチカバー
42…クラッチディスク
EG…エンジン(内燃機関)
101…マルチリンク機構(圧縮比可変機構)
102…ピストン
103…クランクシャフト
103C…クランクシャフトの回転軸中心
104…アッパリンク
105…ロアリンク
106…コントロールリンク
107…ピストンピン
108…アッパピン
109…コントロールピン
110…クランクピン
110C…クランクピンの中心
111…連結孔
112…ジャーナル
113…カウンターウェイト
114…コントロールシャフト
115…偏心軸(揺動軸)
116…シリンダブロック
117…アクチュエータ
CS…クランクシャフト
TM…トランスミッション
IS…入力シャフト

Claims (5)

  1. 車両の内燃機関から駆動輪に至る動力伝達系の回転体に振子を設けた遠心振子動吸振装置であって、
    前記回転体の回転中心から前記振子の重心までの距離R1と、前記振子の振れ角中心点と前記振子の重心の距離R2との比の値が、前記内燃機関の主加振次数に対応する角周波数よりも、前記振子を含む遠心振子動吸振装置全体の固有角振動数が小さくなるように、設定されている遠心振子動吸振装置。
  2. 前記回転体には複数の振子を有し、
    それぞれの振子の前記距離R1と前記距離R2との比の値は、全ての振子について互いに等しくならないように設定されている請求項1に記載の遠心振子動吸振装置。
  3. トルクコンバータのロックアップ機構の中間板に設けられている請求項1又は2に記載の遠心振子動吸振装置。
  4. ダブルマスフライホイールのセカンダリーフライホイールに設けられている請求項1又は2に記載の遠心振子動吸振装置。
  5. 前記内燃機関は、可変圧縮比機構を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠心振子動吸振装置。
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