JP6773699B2 - 誘導電動機の駆動装置 - Google Patents

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この発明は、誘導電動機の駆動装置に関する。
特開平7−7995号公報(特許文献1)には、誘導電動機の駆動装置として、直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器と誘導電動機との間に変圧器を設けた構成が開示される。この構成では、変圧器の一次巻線の端子間に電力変換器により生成された交流電圧が印加されると、二次巻線の端子間に、この交流電圧に応じた電圧レベルの交流電圧が発生する。誘導電動機は、二次巻線に発生した交流電圧によって駆動される。
特開平7−7995号公報
上記の誘導電動機の駆動装置においては、誘導電動機の始動時などの誘導電動機の回転子の回転速度が低い場合において、電力変換器の出力電圧に直流成分が発生することがある。電力変換器の出力電圧に直流成分が発生すると、変圧器において偏磁現象が発生し、励磁電流が増大する虞がある。
特許文献1では、電力変換器と変圧器の一次巻線との間に遮断器を介して三相短絡器を接続し、誘導電動機の回転子の回転速度が零から所定の回転速度に上昇するまでの期間、遮断器を閉じて三相短絡器を作動させ、変圧器の一次巻線側の三相を短絡している。これにより、回転速度が零近傍において変圧器における偏磁現象が発生することを防止している。しかしながら、特許文献1によれば、遮断器および三相短絡器を設置することが必要となり、装置が大型化および高コスト化することが懸念される。したがって、より簡易な構成で、変圧器における偏磁現象の発生を抑制することが求められる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、電力変換器により誘導電動機を駆動する誘導電動機駆動装置において、電力変換器および誘導電動機の間に設けられる変圧器における偏磁現象の発生を抑制することである。
この発明に係る誘導電動機の駆動装置は、直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器と、電力変換器の出力電圧を受けて誘導電動機に交流電圧を与える変圧器と、誘導電動機の回転角速度を検出する速度検出器と、電力変換器を流れる電流を検出する電流検出器と、電力変換器を流れる磁化成分電流およびトルク成分電流が、磁化成分電流指令およびトルク成分電流指令にそれぞれ一致するように、電力変換器を制御する制御装置とを備える。制御装置は、速度検出器により検出される誘導電動機の回転角速度に基づいて、回転子磁束指令を生成する磁束指令演算器と、磁束指令演算器により生成された回転子磁束指令に基づいて、磁化成分電流指令を生成する磁化電流演算器と、回転子磁束指令およびトルク指令に基づいて、滑り角周波数指令を生成する滑り角周波数指令演算器と、下限角周波数以上および上限角周波数以下の範囲内となるように、滑り角周波数指令演算器により生成された滑り角周波数指令を制限するリミッタと、回転子磁束指令および、リミッタから出力される滑り角周波数指令に基づいて、トルク成分電流指令を生成するトルク電流演算器とを含む。リミッタは、速度検出器により検出される誘導電動機の回転角速度が第1の値よりも低いときには、誘導電動機の回転角速度が第1の値よりも高いときに比べて、下限角周波数を高く設定する。
この発明によれば、電力変換器により誘導電動機を駆動する誘導電動機駆動装置において、電力変換器および誘導電動機の間に設けられる変圧器における偏磁現象の発生を抑制することができる。
この発明の実施の形態に係る誘導電動機の駆動装置の回路構成を示す概略ブロック図である。 図1に示した制御装置の構成を示す回路ブロック図である。 滑り角周波数指令リミッタの動作を説明するための図である。 滑り角周波数指令リミッタにおける上限角周波数および下限角周波数を説明するための図である。 磁束指令演算器の動作を説明するための図である。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中における同一または相当部分には同一の符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態に係る誘導電動機(IM)の駆動装置の回路構成を示す概略ブロック図である。図1を参照して、本実施の形態に係る誘導電動機の駆動装置100は、インバータ3と、変圧器4と、電流検出器8,9,10と、速度検出器11と、制御装置5とを備える。
インバータ3は、直流電源1および誘導電動機2の間に接続されており、直流電源1から供給される直流電圧を、誘導電動機2の駆動に適した電圧に変換するように構成される。
インバータ3は、制御装置5から供給される制御信号S1〜S6によって制御され、直流電源1から供給される直流電圧を交流電圧に変換する。変圧器4は、インバータ3によって生成された交流電圧に応じたレベルの交流電圧を誘導電動機2に供給する。誘導電動機2は、変圧器4から供給される交流電圧によって駆動される。換言すると、直流電源1の直流電力がインバータ3によって交流電力に変換され、その交流電力が変圧器4を介して誘導電動機2に供給され、誘導電動機2が交流電力によって駆動される。
インバータ3は、半導体スイッチング素子を含む半導体スイッチにより構成される。本実施の形態では、半導体スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる構成を例示する。インバータ3は、IGBT素子Q1〜Q6と、ダイオードD1〜D6とを含む。IGBT素子Q1,Q3,Q5のドレインはともに直流正母線PLに接続され、それらのソースはそれぞれ交流端子Tu,Tv,Twに接続される。IGBT素子Q2,Q4,Q6のドレインはそれぞれ交流端子Tu,Tv,Twに接続され、それらのソースはともに直流負母線NLに接続される。ダイオードD1〜D6は、それぞれIGBT素子Q1〜Q6に逆並列に接続される。
IGBT素子Q1〜Q6は、それぞれ制御装置5から供給される制御信号S1〜S6によってオンオフが制御される。本実施の形態では、IGBT素子Q1〜Q6の制御方式として、PWM(Pulse Width Modulation)制御を適用することができる。
インバータ3によって生成された交流電圧が変圧器4の一次巻線4aに印加されると、二次巻線4bに交流電圧に応じたレベルの交流電圧が発生する。一次巻線4aに印加される交流電圧の振幅と二次巻線4bに発生する交流電圧の振幅との比は、一次巻線4aの巻回数と二次巻線4bの巻回数との比に等しい。
速度検出器11は、誘導電動機2の回転軸に設けられ、誘導電動機2の回転角速度を検出する。速度検出器11は、誘導電動機2の回転角速度ωmを示す信号を制御装置5に出力する。電流検出器8,9,10は、インバータ3の出力電流(U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iw)を検出し、出力電流Iu,Iv,Iwを示す信号を制御装置5に出力する。
制御装置5は、速度検出器11からの回転角速度ωmを示す信号、および電流検出器8,9,10からのインバータ3の出力電流Iu,Iv,Iwを示す信号等を受けてPWM制御を実行することにより、制御信号S1〜S6を生成する。
図2は、図1に示した制御装置5の構成を示す回路ブロック図である。
制御装置5は、誘導電動機2の固定子電流を、回転子鎖交磁束と同相の電流成分である「磁化成分電流」と、回転子鎖交磁束に直交してトルクを発生する電流成分である「トルク成分電流」とに分解し、各電流成分を独立に制御することで、回転子鎖交磁束を直接検出することなく誘導電動機2の瞬時トルクを制御するように構成されている。このような制御は、「間接形ベクトル制御」または「滑り周波数形ベクトル制御」とも呼ばれる。
滑り周波数形ベクトル制御においては、回転子鎖交磁束指令φ*およびトルク指令T*を用いて、磁化成分電流指令iγ1*およびトルク成分電流指令iδ1*を生成する。なお、制御装置5内部では、回転角速度ωmおよび滑り角周波数指令ωs*の和に相当する角速度で回転する推定d軸(γ軸)と、これに直交するδ軸とからなるγ−δ座標系を利用する。γ−δ座標系において、各軸の状態量は直流量となる。ただし、γ−δ座標軸上の状態量は直接測定できないため、固定子に直交した座標系であるα−β座標軸上の測定値を推定位置により座標変換して使用する。
γ−δ座標系において、誘導電動機2の電圧方程式および発生瞬時トルクは式(1)および(2)でそれぞれ与えられる。
Figure 0006773699
また、回転子磁束と電流との関係は式(3)となる。
Figure 0006773699
ただし、r,L:固定子巻線の抵抗および自己インダクタンス、r,L:回転子巻線の抵抗および自己インダクタンス、M:固定子巻線および回転子巻線の相互インダクタンス、P=d/dt、p:極対数、φδ1:δ軸固定子鎖交磁束、φδ2:δ軸回転子鎖交磁束、iγ1:γ軸固定子電流、iγ2:γ軸回転子電流、iδ1:δ軸固定子電流、iδ2:δ軸回転子電流である。
ここで、回転子鎖交磁束の方向をγ軸とし、これと直交する方向をδ軸とすると、式(4)のようにおくことができる。
Figure 0006773699
式(1)に式(4)の条件を導入すると、式(5)および式(6)が得られる。
Figure 0006773699
Figure 0006773699
また、発生トルクTは、式(4)の条件のもとで回転子磁束φおよび回転子電流の出δ軸成分iδ2の積として式(7)のように表すことができる。
Figure 0006773699
さらに、式(3)の関係からiδ2を求めて式(7)に代入すれば、発生トルクTは、回転子磁束φおよびトルク成分電流iδ1で式(8)のように表すことができる。
Figure 0006773699
式(8)に式(6)を代入することにより、滑り角周波数ωsは、式(9)のように表すことができる。
Figure 0006773699
図2を参照して、制御装置5は、滑り角周波数指令演算器20、滑り角周波数指令リミッタ22、トルク電流演算器24、磁束指令演算器26、磁化電流演算器28、電流制御部30、座標変換器32,36、PWM回路34、積分器38、および加算器40を含む。
磁束指令演算器26は、速度検出器11により検出される誘導電動機2の回転角速度ωmに基づいて、回転子磁束指令φ*を生成する。回転子磁束指令φ*は、一般に、定格出力時の値に一定に維持される。トルク指令に対する発生過渡トルクの時間遅れをなくすためである。
磁化電流演算器28は、磁束指令演算器26により生成された回転子磁束指令φ*を式(5)に代入することにより、磁化成分電流指令iγ1*を生成する。生成された磁化成分電流指令iγ1*は、電流制御部30に与えられる。
滑り角周波数指令演算器20は、トルク指令T*および回転子磁束指令φ*を、式(9)に代入することにより、滑り角周波数指令ωs*を演算する。
滑り角周波数指令リミッタ22は、下限角周波数ωL以上および上限角周波数ωH以下の範囲内となるように、滑り角周波数指令ωs0*を制限する。図3は、滑り角周波数指令リミッタ22の動作を説明するための図である。図3の横軸は滑り角周波数指令ωs*を示し、縦軸は滑り角周波数指令ωs*を示す。
図3を参照して、滑り角周波数指令リミッタ22は、正側に上限角周波数ωHを有し、負側に下限角周波数ωLを有している。上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLは、インバータ3の出力電流が許容電流を超えるのを制限するために設定されている。
滑り角周波数指令リミッタ22は、滑り角周波数指令ωs*が上限角周波数ωHを超える場合には、上限角周波数ωHを滑り角周波数指令ωs*に設定する。また、滑り角周波数指令リミッタ22は、滑り角周波数指令ωs*が下限角周波数ωLを下回る場合には、下限角周波数ωLを滑り角周波数指令ωs*に設定する。滑り角周波数指令ωs*が下限角周波数ωL以上および上限角周波数ωH以下である場合には、滑り角周波数指令リミッタ22は、滑り角周波数指令ωs*を、そのまま滑り角周波数指令ωs*に設定する(ωs*=ωs*)。
滑り角周波数指令リミッタ22は、さらに、速度検出器11により検出される誘導電動機2の回転角速度ωmに応じて、上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLを調整するように構成されている。誘導電動機2の回転角速度ωmと上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLとの関係については、後述する。
トルク電流演算器24は、式(10)を用いて、滑り角周波数指令ωs*および回転子磁束指令φ*に基づいて、トルク成分電流指令iδ1*を生成する。生成されたトルク成分電流指令iδ1*は電流制御部30に与えられる。
Figure 0006773699
γ軸およびδ軸は、α軸およびβ軸上を角周波数ω*(=ωm+ωs*)で回転する。γ軸とα軸とのなす角である位相θ*は、式(11)のように示される。
Figure 0006773699
加算器40は、滑り角周波数指令ωs*と、速度検出器11により検出した回転角周波数ωmとの和(ωm+ωs*)を求める。積分器38は、和(ωm+ωs*)を時間積分して位相θ*を求める。
座標変換器36は、位相θ*を用いて、電流検出器8,9,10により検出したインバータの出力電流iu,iv,iwを、磁化成分電流iγ1およびトルク成分電流iδ1に変換する。
電流制御部30は、磁化成分電流iγ1およびトルク成分電流iδ1を、磁化成分電流指令iγ1*およびトルク成分電流指令iδ1*にそれぞれ一致させるための制御演算を実行することにより、γ軸電圧指令Vγ*およびδ軸電圧指令Vδ*を生成する。
座標変換器32は、位相θ*を用いて、γ軸電圧指令Vγ*およびδ軸電圧指令Vδ*を、U相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*に変換する。
PWM回路34は、U相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*に基づいて、インバータ3のIGBT素子Q1〜Q6のオンオフを制御するための制御信号S1〜S6を生成する。
以上説明したように、滑り周波数形ベクトル制御においては、回転子磁束指令φ*およびトルク指令T*より求めた磁化成分電流指令iγ1*およびトルク成分電流指令iδ1*に一致するように、磁化成分電流iγ1およびトルク成分電流iδ1を制御する。
しかしながら、誘導電動機2の始動時のように誘導電動機2の回転角周波数ωmが低い場合には、インバータ3の出力電圧の波形が、U相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*に従った理想的な正弦波にならず、正側と負側とが非対称な波形となることがある。この場合、インバータ3の出力電圧には直流成分が発生する。
ここで、インバータ3および誘導電動機2の間には変圧器4が接続されているため、インバータ3の出力電圧に直流成分が発生すると、変圧器4の鉄心4c内の磁束に直流成分が発生する。鉄心4c内の磁束に直流成分が発生することを偏磁という。偏磁が発生すると、変圧器4の励磁電流が増大し、インバータ3の出力電圧の波形が劣化したり、変圧器4に過電流が流れて電力変換器が破壊する虞がある。
そこで、本実施の形態に係る誘導電動機の駆動装置100においては、変圧器4において偏磁現象が発生する可能性がある、誘導電動機2の回転角周波数ωmが低いときには、滑り周波数形ベクトル制御における滑り角周波数指令ωs*を高める制御を実行する。
具体的には、滑り角周波数指令リミッタ22において、誘導電動機2の回転角周波数ωmが低くなるに従って下限角周波数ωLを高くする。図4は、滑り角周波数指令リミッタ22における上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLを説明するための図である。図4の横軸は誘導電動機2の回転角周波数ωmを示し、縦軸は上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLを示す。
図4を参照して、誘導電動機2の回転角速度ωmが回転角速度ω1(第1の値)よりも高いときには、上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLはともに一定値に設定される。これに対して、回転角速度ωmが回転角速度ω1より低いときには、下限角周波数ωLは、より高い値に設定される。図4の例では、下限角周波数ωLは、回転角速度ωmが低くなるにつれて高くなるように設定される。さらに、下限角周波数ωLが上限角周波数ωHと一致する回転角速度ω2(第2の値)を下回ると、上限角周波数ωHおよび下限角周波数ωLの規定がなくなり、回転角周波数ωmに対して滑り角周波数指令ωs*が一対一に設定されている。図4の例では、滑り角周波数指令ωs*は、回転角速度ωmの低下とともに線形的に増加するように設定されている。
これによると、誘導電動機2の回転角周波数ωmが回転角周波数ω1よりも低いときには、回転角周波数ωmが回転角周波数ω1よりも高いときに比べて、下限周波数ωLが嵩上げされることになる。その結果、トルク指令T*が同じ大きさであっても、滑り角周波数指令ωs*が高い値になる。この場合、滑り角周波数指令ωs*と回転角周波数ωmとの和である出力角周波数ω*も高い値となる。したがって、高められた出力角周波数ω*でインバータ3が駆動されるため、インバータ3の出力電圧に直流成分が発生することを抑制することができる。この結果、変圧器4において偏磁現象が発生することを防止することができる。
しかしながら、その一方で、滑り角周波数指令リミッタ22によって滑り角周波数指令ωs*を高くすると、式(10)において、トルク成分電流指令iδ1*が、滑り角周波数指令ωs*に比例して大きくなる。このトルク成分電流指令iδ1*に従ってトルク成分電流iδ1も大きくなると、インバータ3の出力電流が増大して定格電流を超えてしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態に係る誘導電動機の駆動装置100においては、滑り角周波数指令リミッタ22における下限角周波数ωLの嵩上げに並行して、回転子磁束指令φ*を制限する制御を実行する。
図5は、磁束指令演算器26の動作を説明するための図である。図5の横軸は誘導電動機2の回転角周波数ωmを示し、縦軸は回転子磁束指令φ*を示す。
磁束指令演算器26は、図5に示される誘導電動機2の回転角周波数ωmおよび回転子磁束指令φ2*の関係を参照して、回転角周波数ωmに基づいて回転子磁束指令φ*を生成するように構成される。
図5に示すように、誘導電動機2の回転角速度ωmが回転角速度ω1よりも高いときには、回転子磁束指令φ*は、定格出力時の値φに一定に維持される。トルク指令に対する発生過渡トルクの時間遅れをなくすためである。なお、回転角速度ωmが増加して基底速度に達すると、電源の制約からインバータ3の出力電圧を上げられなくなるため、回転子磁束指令φ2*は定トルク領域から弱め界磁領域に移行する。弱め界磁領域では、回転子磁束指令φ2*は、回転角速度ωmに逆比例する。
これに対して、回転角速度ωmが回転角速度ω1よりも低いときには、回転角速度ωmが低くなるにつれて回転子磁束指令φ*が低くなるように設定する。ただし、回転子磁束指令φ*は、滑り角周波数指令ωs*の増加によってもインバータ3の出力電流が許容電流を超えないように、制限される。たとえば、トルク成分電流指令iδ1*および磁化成分電流指令iγ1*からなるインバータ3の出力電流指令が許容電流と等しい大きさとなるように、回転子磁束指令φ*を設定することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る誘導電動機の駆動装置100においては、誘導電動機2の回転角周波数ωmが低く、インバータ3の出力電圧に直流成分が発生する可能性がある場合には、滑り周波数形ベクトル制御において、下限角周波数ωLの嵩上げによる滑り角周波数指令ωs*を高める制御を実行する。これによると、インバータ3の出力角周波数ω*が高められるため、インバータ3の出力電圧に直流成分が発生することを抑制することができる。この結果、変圧器4において偏磁現象が発生することを防止することができる。
さらに、誘導電動機2の回転角周波数ωmが低いときには、上述した滑り角周波数指令ωs*を高める制御と並行して、回転子磁束指令φ2*を制限する制御を実行することで、滑り角周波数指令ωs*を高めたことによりインバータ3の出力電流が増大することを抑制することができる。
このように、本実施の形態に係る誘導電動機の駆動装置100は、インバータ3を制御するための制御構成を変更することで、変圧器4における偏磁現象の発生を防止することができるため、従来の誘導電動機の駆動装置における遮断器および三相短絡器の設置が不要となる。したがって、駆動装置の小型化および低コスト化を実現することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 交流電源、2 誘導電動機、3 電力変換器、4 変圧器、5 制御装置、8〜10 電流検出器、11 検出器、20 滑り角周波数指令演算器、22 滑り角周波数指令リミッタ、24 トルク電流演算器、26 磁束指令演算器、28 磁化電流演算器、30 電流制御部、32,36 座標変換器、34 PWM回路、38 積分器、40 加算器、100 駆動装置。

Claims (6)

  1. 誘導電動機の駆動装置であって、
    直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器と、
    前記電力変換器の出力電圧を受けて前記誘導電動機に交流電圧を与える変圧器と、
    前記誘導電動機の回転角速度を検出する速度検出器と、
    前記電力変換器を流れる電流を検出する電流検出器と、
    前記電力変換器を流れる磁化成分電流およびトルク成分電流が、磁化成分電流指令およびトルク成分電流指令にそれぞれ一致するように、前記電力変換器を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記速度検出器により検出される前記誘導電動機の回転角速度に基づいて、回転子磁束指令を生成する磁束指令演算器と、
    前記磁束指令演算器により生成された前記回転子磁束指令に基づいて、前記磁化成分電流指令を生成する磁化電流演算器と、
    前記回転子磁束指令およびトルク指令に基づいて、滑り角周波数指令を生成する滑り角周波数指令演算器と、
    下限角周波数以上および上限角周波数以下の範囲内となるように、前記滑り角周波数指令演算器により生成された前記滑り角周波数指令を制限するリミッタと、
    前記回転子磁束指令および、前記リミッタから出力される前記滑り角周波数指令に基づいて、前記トルク成分電流指令を生成するトルク電流演算器とを含み、
    前記リミッタは、前記速度検出器により検出される前記誘導電動機の回転角速度が第1の値よりも低いときには、前記誘導電動機の回転角速度が前記第1の値よりも高いときに比べて、前記下限角周波数を高く設定する、誘導電動機の駆動装置。
  2. 前記リミッタは、前記誘導電動機の回転角速度が前記第1の値より低下するに従って、前記下限角周波数が高くなるように、前記下限角周波数を設定する、請求項1に記載の誘導電動機の駆動装置。
  3. 前記リミッタは、前記誘導電動機の回転角速度が前記第1の値よりも低い第2の値を下回るときには、前記滑り角周波数指令を、前記誘導電動機の回転角速度が低下するに従って高くなるように設定する、請求項1または2に記載の誘導電動機の駆動装置。
  4. 前記磁束指令演算器は、前記速度検出器により検出される前記誘導電動機の回転角速度が前記第1の値よりも低いときには、前記誘導電動機の回転角速度が前記第1の値よりも高いときに比べて、前記回転子磁束指令が小さくなるように、前記回転子磁束指令を生成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
  5. 前記磁束指令演算器は、前記誘導電動機の回転角速度が前記第1の値より低下するに従って、前記回転子磁束指令が小さくなるように、前記回転子磁束指令を生成する、請求項4に記載の誘導電動機の駆動装置。
  6. 前記制御装置は、
    前記電流検出器により検出される前記電力変換器に流れる電流を、γ軸電流およびδ軸電流にγ−δ変換する第1の座標変換器と、
    前記γ軸電流と前記磁化成分電流指令との偏差、および前記δ軸電流と前記トルク成分電流指令との偏差に基づいて、γ軸電圧指令およびδ軸電圧指令を生成する電流制御器と、
    前記γ軸電圧指令および前記δ軸電圧指令を三相電圧指令に逆γ−δ変換する第2の座標変換器とをさらに含み、
    前記第1および第2の座標変換器の各々は、前記リミッタから出力される前記滑り角周波数指令と、前記速度検出器により検出される前記誘導電動機の回転角速度との和を時間積分して得られた位相を用いて、γ−δ変換する、請求項1から5のいずれか1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
JP2018011602A 2018-01-26 2018-01-26 誘導電動機の駆動装置 Active JP6773699B2 (ja)

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