以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態に係る搬送ロボットA1の概略を示している。図1(a)は、搬送ロボットA1の平面図である。図1(b)は、搬送ロボットA1の側面図であり、図1(a)において右側の側面を見た図を示している。図1(c)は、図1(a)のI−I線断面図である。図1(c)においては、一部の構成(後述する第2アーム4a,4bおよびハンド5a,5b)の記載を省略しており、旋回部2および第1アーム3a,3bの内部構造の記載も省略している。
搬送ロボットA1は、カセット内に多段収納された半導体基板などのワークを取り出したり、当該ワークをカセットに収納したりする作業を行うロボットである。本実施形態においては、搬送ロボットA1は、真空環境下でワークの搬送を行う真空ロボットである。また、搬送ロボットA1は、2つのハンドを備えている。図1に示すように、搬送ロボットA1は、支持部1、旋回部2、第1アーム3a,3b、第2アーム4a,4b、および、ハンド5a,5bを備えている。図1において、ハンド5a,5bが移動する方向であるx方向、水平面内でx方向と直交する方向であるy方向、および、鉛直方向であるz方向とするローカル座標系に基づいて説明を行う(以下の図においても同様)。当該ローカル座標系は、旋回部2を基準に設定されており、旋回部2の旋回に応じてx方向およびy方向が回転し、旋回部2の昇降に応じてz方向に平行移動する。
支持部1は、真空環境を提供する真空チャンバに固定されており、旋回部2を昇降移動可能に、かつ、旋回可能に支持している。なお、支持部1は、床面に直接固定されていてもよいし、x方向およびy方向によって規定されるxy平面に平行に移動可能であってもよい。本実施形態においては、支持部1は、有底円筒形状の金属製であり、上端部にはフランジ部11が設けられている。なお、支持部1の形状、寸法、材質は限定されない。
旋回部2は、中空の円柱形状のアルミニウム製であり、支持部1の内部に配置されている。なお、旋回部2の形状、寸法、材質は限定されない。旋回部2は、支持部1の開口部1aから突出するようにして、昇降移動可能に設けられている。本実施形態においては、旋回部2は、50mm程度の昇降移動が可能になっている。なお、もっと昇降移動が可能であってもよい。図1においては、旋回部2が上昇して開口部1aから突出している状態を示している。また、旋回部2は、支持部1に対して、z方向に延びる旋回軸Z1周りに旋回可能に設けられている。旋回部2は、エンドレス機構を備えているので、制限なく旋回を行うことができる。旋回部2を昇降移動させるための駆動機構および旋回部2を旋回させるための駆動機構(エンドレス機構)については、図示および説明を省略する。旋回部2は、旋回することでハンド5aおよびハンド5bの向きを変更して、ハンド5a,5bの移動する方向を変更する。また、旋回部2は、昇降移動することで、ハンド5a,5bの鉛直方向の位置を変更する。
第1アーム3aは、旋回部2に対して、z方向に延びる回動軸Z2a周りに回動可能に設けられている。第1アーム3bは、旋回部2に対して、z方向に延びる回動軸Z2b周りに回動可能に設けられている。本実施形態においては、第1アーム3a,3bが、本発明の「アーム」に相当する。第1アーム3aの回動軸Z2aおよび第1アーム3bの回動軸Z2bは、x方向においては旋回軸Z1と同じ位置であり、y方向においては旋回軸Z1から等距離に配置されている(図1(b)参照)。つまり、回動軸Z2a、旋回軸Z1および回動軸Z2bは、この順番でy方向に一列に等間隔で配置されている。なお、回動軸Z2aおよび回動軸Z2bの配置は、これに限定されない。第1アーム3aおよび第1アーム3bは、同じ高さ(z方向において同じ位置)に配置されているが、両者の回動範囲は制限されているので、両者が接触することはない。第1アーム3aおよび第1アーム3bを回動させるための駆動機構については、図示および説明を省略する。
第2アーム4aは、第1アーム3aに対して、z方向に延びる回動軸Z3a周りに回動可能に設けられている。第2アーム4bは、第1アーム3bに対して、z方向に延びる回動軸Z3b周りに回動可能に設けられている。本実施形態においては、第2アーム4a,4bが、本発明の「第2のアーム」に相当する。回動軸Z3aは、第1アーム3aの先端側に配置されており、回動軸Z3bは、第1アーム3bの先端側に配置されている。第2アーム4aおよび第2アーム4bは、同じ高さ(z方向において同じ位置)に配置されているが、両者の回動範囲は制限されているので、両者が接触することはない。第2アーム4aおよび第2アーム4bを回動させるための駆動機構については、図示および説明を省略する。
ハンド5a,5bは、ワークが載置されるものである。ハンド5aは、ハンドホルダ5cに固定されて、第2アーム4aに対して、z方向に延びる回動軸Z4a周りに回動可能に設けられている。ハンド5bは、ハンドホルダ5dに固定されて、第2アーム4bに対して、z方向に延びる回動軸Z4b周りに回動可能に設けられている。回動軸Z4aは、第2アーム4aの先端側に配置されており、回動軸Z4bは、第2アーム4bの先端側に配置されている。ハンドホルダ5dは、側面視(x方向から見た場合)において、断面が略コの字形状となっており(図1(b)参照)、ハンド5bは、ハンドホルダ5dの上側の内側の面に固定されている。また、ハンド5aは、ハンドホルダ5cの上面に固定されている。ハンド5bは、z方向における位置がハンド5aより高い位置になっている(図1(b)参照)ので、ハンド5aとハンド5bとが接触することはない。また、ハンド5aとハンド5bとは、平面視(z方向から見た場合)において、同じ軌道上を移動することができる。ハンド5aおよびハンド5bを回動させるための駆動機構については、図示および説明を省略する。
第1アーム3a、第2アーム4aおよびハンド5aがそれぞれ連動して回動することで、ハンド5aは、x方向に移動する。また、第1アーム3b、第2アーム4bおよびハンド5bがそれぞれ連動して回動することで、ハンド5bは、x方向に移動する。ハンド5aおよびハンド5bのx方向の移動は、それぞれ互いに独立して制御される。また、上述したように、互いに接触することがないように構成されている。なお、第1アーム3a,3b、第2アーム4a,4bおよびハンド5a,5bのz方向の配置は、上述したものに限定されない。第1アーム3a,3b、第2アーム4a,4b、ハンドホルダ5c,5dおよびハンド5a,5bは、ある程度の強度が必要であり、軽量であることが望ましいので、本実施形態においては、いずれもアルミニウム製としている。なお、これらの形状、寸法、材質は限定されない。
搬送ロボットA1は、旋回部2を旋回させることでハンド5a,5bの移動する方向(x方向)を変更し、旋回部2を昇降移動させることでハンド5a,5bの鉛直方向の位置を変更し、第1アーム3a,3b、第2アーム4a,4bおよびハンド5a,5bを回動させることで、ハンド5a,5bをx方向に移動させる。搬送ロボットA1は、これらの各動作によって、カセット内のワークを取り出したり、ワークをカセットに収納したりする。
ハンド5a(5b)は、動作をしていないときは、旋回部2の上方の所定の位置である基本位置に位置している。このとき、第1アーム3a(3b)および第2アーム4a(4b)もそれぞれ対応した基本位置に位置することになる。図1(a)においては、ハンド5a、第1アーム3aおよび第2アーム4aがそれぞれ基本位置に位置している状態(基本状態)を示している。旋回部2が旋回するときには、ハンド5a,5b(第1アーム3a,3bおよび第2アーム4a,4bも)がいずれも基本位置に位置するように制御される。
次に、搬送ロボットA1における電力の供給について説明する。
搬送ロボットA1は、旋回部2が同じ方向に旋回を繰り返した場合に断線が発生しないように、支持部1から第1アーム3a,3bに、非接触で電力を供給する。また、旋回部2が旋回してどの位置にあるときでも電力供給ができるようになっている。
図2は、搬送ロボットA1における電力の供給を説明するための図である。図2(a)は、搬送ロボットA1の概略平面図であり、第1アーム3b、第2アーム4a,4bおよびハンド5a,5bを省略したものである。
支持部1のフランジ部11の上面(第1アーム3aに対向する面)には、全周にわたってドーナツ状の絶縁シート12が配置されている。そして、絶縁シート12の上面には、2本の平行な導体線131,132を備えた平行二線13が、フランジ部11の上面の周方向に沿って、全周にわたって延びるようにして、配置されている(図2(a)および図1(c)参照)。絶縁シート12は、平行二線13を支持部1から絶縁するものである。支持部1が絶縁体であれば、絶縁シート12を配置しなくてもよい。また、支持部1が絶縁体であれば、平行二線13をフランジ部11の内部に配置するようにしてもよい。2本の平行な導体線131,132は、旋回軸Z1を中心とした同心円状に配置されている。また、2本の平行な導体線131,132によって規定される面は、フランジ部11の上面に平行になっている。また、本実施形態においては、導体線131,132の終端は短絡されている。なお、導体線131,132の終端は開放されていてもよいし、特定のインピーダンスを接続した状態であってもよい。平行二線13には、高周波電源装置61から高周波電力が供給される。高周波電流が流れることで、導体線131と導体線132との間に、z方向の高周波磁界が発生する。つまり、平行二線13は、高周波電源装置61が出力する電力を送電する送電アンテナ(送電コイル)として機能する。本実施形態においては、平行二線13が、本発明の「送電部」に相当する。
高周波電源装置61は、支持部1の内部に配置されており、平行二線13に高周波電力を供給する。高周波電源装置61は、図示しない直流電源装置とインバータ装置とを備えている。直流電源装置は、直流電力を生成して出力するものであり、例えば、商用電源から入力される交流電圧(例えば、商用電圧200[V]など)を整流、平滑して、所定のレベル(目標電圧)の直流電圧に変換して、インバータ回路に出力する。インバータ回路は、直流電力を高周波電力に変換するものであり、直流電源装置より入力される直流電力を高周波電力に変換して出力する。インバータ回路は、例えば、単相フルブリッジ型のインバータ回路である。インバータ回路は、所定の周波数f0(例えば13.56[MHz]など)の高周波電力を出力する。なお、高周波電源装置61の構成は限定されず、高周波電力を出力するものであればよい。
高周波電源装置61と平行二線13とは接続線で接続されており、一方の接続線には共振コンデンサ62が直列接続されている。共振コンデンサ62は、平行二線13とで直列共振回路を構成するためのものである。平行二線13および共振コンデンサ62は、共振周波数が高周波電源装置61より供給される高周波電力の周波数f
0と一致するように設計される。すなわち、平行二線13の自己インダクタンスL
tと、共振コンデンサ62のキャパシタンスC
tとが、下記(1)式の関係になるように設計される。
第1アーム3aの下面(支持部1に対向する面)には、絶縁シート31が配置されていいる。そして、絶縁シート31の下面には、受電コイル32が、コイル面が第1アーム3aの下面と平行になるように配置されている。(図2(a)および図1(c)参照)。図2(a)において、絶縁シート31および受電コイル32は、第1アーム3aの下面にあるので、破線で示している。絶縁シート31は、受電コイル32を第1アーム3aから絶縁するものである。第1アーム3aが絶縁体であれば、絶縁シート31を配置しなくてもよい。また、第1アーム3aが絶縁体であれば、受電コイル32を第1アーム3aの内部に配置するようにしてもよい。
受電コイル32は、平行二線13と磁気結合して、非接触で受電するものである。すなわち、高周波電源装置61から入力される高周波電流によって平行二線13が生成した高周波磁界の範囲内に受電コイル32が配置されることで、受電コイル32に鎖交する磁束が変化し、受電コイル32に高周波電流が流れる。これにより、平行二線13から受電コイル32に非接触で電力を供給することができる。本実施形態においては、受電コイル32は、略矩形状の巻き数が1のコイルである。なお、受電コイル32の形状および巻き数は限定されない。受電コイル32は,例えば、図3(a)に示すように、矩形の渦巻き状のコイル(コイル面と同じ面上で巻き線が巻かれているコイル)としてもよい。この場合、受電コイル32の厚さ(z方向の寸法)を大きくすることなく、受電コイル32のインダクタンスを大きくすることができる。また、図3(b)に示すように、矩形の筒形状のコイル(コイル面に直交する方向に積み上げるように巻き線が巻かれているコイル)としてもよいし、図3(c)に示すように、円形の渦巻き状のコイルとしてもよいし、図3(d)に示すように、円筒形状のコイル(いわゆるソレノイドコイル)としてもよい。ただし、図3(b)、(d)のように筒形状とする場合は、受電コイル32の厚さ(z方向の寸法)が大きくなるので、旋回部2が最も下の位置に移動したときでも、平行二線13に接触しないように設計する必要がある。
また、受電コイル32のコイル面の形状は、第1アーム3aが基本位置に位置するときに、受電コイル32が最も受電できるように、設計されている。すなわち、第1アーム3aが基本位置に位置するときに、受電コイル32のコイル面の長辺が、平面視において、それぞれ導体線131,132に重なるようになっている(図2(a)参照)。この場合、平面視において、受電コイル32のコイル面と平行二線13との重なりが大きいので、受電コイル32の受電量が大きい。導体線131,132は旋回軸Z1を中心とした同心円状であり、旋回部2は旋回軸Z1を中心として旋回する(図2(a)に示す実線矢印参照)。したがって、第1アーム3aが基本位置に位置する場合は、旋回部2が旋回によってどの方向を向いていても、受電コイル32のコイル面が、平面視において、平行二線13に重なることになる。つまり、第1アーム3aが基本位置に位置する場合は、常に、受電コイル32の受電量を大きくすることができる。逆に考えると、第1アーム3aが基本位置に位置する状態で、旋回部2が旋回したときの、受電コイル32のコイル面の軌道に対向する位置に、平行二線13が配置されているともいえる。
一方、第1アーム3aは、旋回軸Z1とは異なる回動軸Z2aを中心として回動する(図2(a)に示す破線矢印参照)。したがって、第1アーム3aが基本位置に位置しないとき(基本位置から回動した位置にあるとき)は、受電コイル32のコイル面が、平面視において、平行二線13からずれることになる(図2(a)の破線で記載した第1アーム3aの受電コイル32参照)。この場合、受電コイル32のコイル面のずれ具合によって(平面視における平行二線13との重なり部分の面積に応じて)、受電コイル32の受電量が小さくなる。したがって、ハンド5aが移動している間は、基本位置に位置する場合と比べて、受電コイル32の受電量が小さくなる。
受電コイル32には共振コンデンサ71が直列接続されている。共振コンデンサ71は、受電コイル32とで直列共振回路を構成するためのものである。受電コイル32および共振コンデンサ71は、共振周波数が高周波電源装置61より供給される高周波電力の周波数f
0と一致するように設計される。すなわち、受電コイル32の自己インダクタンスL
rと、共振コンデンサ71のキャパシタンスC
rとが、下記(2)式の関係になるように設計される。
受電コイル32が受電した電力は、直流電源回路72によって直流電力に変換され、電力負荷73に供給される。直流電源回路72は、図示しない整流回路、平滑回路、および、DC/DCコンバータ回路を備えている。整流回路は、例えば、4つのダイオードをブリッジ接続した全波整流回路であり、入力される高周波電圧を整流し、直流電圧として、平滑回路に出力する。平滑回路は、整流回路から入力される直流電圧を平滑して、DC/DCコンバータ回路に出力する。DC/DCコンバータ回路は、整流回路から入力される直流電圧を所定の電圧に変換して、電力負荷73に出力する。なお、直流電源回路72の構成は限定されず、高周波電力を直流電力に変換するものであればよい。本実施形態においては、直流電源回路72が、本発明の「整流回路」に相当する。
共振コンデンサ71および直流電源回路72は、第1アーム3aの内部に配置されている。なお、共振コンデンサ71および直流電源回路72は、第1アーム3aの外部(例えば下面)に配置するようにしてもよい。直流電源回路72と電力負荷73とは例えばケーブルで接続されている。電力負荷73がハンド5aに配置されている場合、第1アーム3aとハンド5aとの間にケーブルが配置される。第2アーム4aおよびハンド5aの回動の範囲は限定されているので、無制限に同じ方向に回転してケーブルがねじ切れることはない。なお、共振コンデンサ71および直流電源回路72、または、直流電源回路72を、電力負荷73が配置されるハンド5aに配置するようにしてもよい。
電力負荷73は、直流電源回路72から入力される直流電力によって駆動するものである。本実施形態における電力負荷73は、ハンド5aに設けられている把持機構である。図4(a)は、把持機構を説明するための図であり、ハンド5aを示す平面図である。図4(a)に示すように、把持機構は、係止部51、当接部52、および、図示しない駆動機構を備えている。係止部51は、ハンド5aの上面の先端部(ハンド5aの移動方向(x方向)前方側)に、固定されており、ワークWの縁(ハンド5aの移動方向前方側の縁)を係止する。本実施形態においては、係止部51は2つ設けられている。当接部52は、ハンド5aの上面の中央付近に、x方向に移動可能に設けられている。当接部52は、駆動機構によって、ワーク側に移動させられて、ワークWの縁(係止部51によって係止させられている縁とは反対側の縁)に当接する。本実施形態においては、当接部52は1つ設けられている。駆動機構は当接部52を移動させるものである。当接部52は、駆動機構がオフのとき、バネなどによって、ハンド5aの移動方向後方側に移動させられている(図4(a)の破線で示す当接部52参照)。そして、当接部52は、駆動機構がオンになると、ハンド5aの移動方向前方側に移動させられて、ワークWの縁に当接して、係止部51との間でワークWを把持する(図4(a)の実線で示す当接部52参照)。なお、係止部51および当接部52の数、形状および配置場所は限定されない。また、把持機構は、他の構成であってもよい。例えば、静電チャックなどであってもよい。
なお、電力負荷73は、これに限られない。例えば、ワークWを検出するためのセンサであってもよい。図4(b)は、検出センサ53を説明するための図であり、ハンド5aを示す平面図である。図4(b)に示すように、検出センサ53は、ハンド5aの上面に2つ設けられている。検出センサ53は、例えば反射型のフォトセンサであり、ハンド5aの上面に載置されるワークWの有無を検出する。なお、検出センサ53の数は限定されないし、他の方法で検出するものであってもよい。また、電力負荷73は、その他のセンサであってもよい。
ハンド5aに検出センサ53を設ける場合、検出結果を送信するための通信部を設ける必要がある。通信部も、通信を行うために電力を必要とするので、電力負荷73である。
第1アーム3bおよびハンド5bの構成は、それぞれ、第1アーム3aおよびハンド5aと同様である。
図2(b)は、搬送ロボットA1における電力供給に関する部分を示す回路図である。図2(b)に示すように、平行二線13と共振コンデンサ62とは直列共振回路を構成して、高周波電源装置61から供給される高周波電力を送電する。また、平行二線13に磁気結合した受電コイル32と共振コンデンサ71とは直列共振回路を構成して、平行二線13から送電される高周波電力を受電する。つまり、搬送ロボットA1においては、磁界共鳴方式で、非接触電力伝送が行われている。
次に、本実施形態に係る搬送ロボットA1の作用および効果について説明する。
本実施形態によると、高周波電源装置61から出力された高周波電流が、支持部1に配置された平行二線13に流れ、導体線131と導体線132との間にz方向の高周波磁界が発生する。そして、第1アーム3a(3b)に配置された受電コイル32が当該高周波磁界の範囲内に配置されて、受電コイル32に高周波電流が流れる。すなわち、平行二線13と受電コイル32との磁界結合により、非接触での電力伝送が行われる。したがって、支持部1と第1アーム3a(3b)との間にケーブルを設けなくても、支持部1から第1アーム3a(3b)に高周波電力を供給することができる。すなわち、ケーブルが旋回部2を通過しなくても、支持部1から見て旋回部2よりも下流側(本実施形態では、第1アーム3a,3b、第2アーム4a,4b、ハンド5a,5b、ハンドホルダ5c,5d)に電力を供給することが可能となる。受電コイル32が受電した高周波電力は、直流電源回路72で直流電力に変換されて、ハンド5a(5b)に設けられた把持機構(電力負荷73)に供給される。したがって、エンドレス機構を備えている搬送ロボットA1においても、ハンド5a(5b)に電力を供給することができる。これにより、従来のエンドレス機構を備えた搬送ロボットには備えることができなかった把持機構を備えて、ワークWを把持できるので、ハンド5a(5b)の移動速度を、従来のものより速くできる。また、従来のエンドレス機構を備えた搬送ロボットには備えることができなかった検出センサを備えて、ワークWの検出を行えるので、搬送ロボットA1が搭載される装置側に検出センサを設ける必要がない。
本実施形態によると、平行二線13から受電コイル32への非接触電力伝送に磁界共鳴方式を用いているので、旋回部2が上昇して、平行二線13と受電コイル32との距離が比較的に離れた場合でも、平行二線13から受電コイル32に電力を供給できる。
本実施形態によると、支持部1のフランジ部11の上面の全周にわたって、平行二線13が配置されている。したがって、旋回部2の旋回によって受電コイル32の位置が変化しても、受電コイル32は受電できる。
本実施形態によると、第1アーム3a(3b)が基本位置に位置するときに、平面視における、受電コイル32のコイル面と平行二線13との重なりが最も大きく、受電コイル32の受電量が最も大きくなる。ハンド5a(5b)が動作をしていないときや、旋回部2が旋回するときには、第1アーム3a(3b)は基本位置に位置するので、第1アーム3a(3b)が基本位置に位置している時間は長い。したがって、効率よく電力を伝送することができる。
本実施形態によると、2つのハンド5a,5bを備えている。したがって、ハンドが1つの場合より作業効率を向上することができる。
なお、上記第1実施形態においては、平行二線13と共振コンデンサ62とが直列共振回路を構成し、受電コイル32と共振コンデンサ71とが直列共振回路を構成する場合について説明したが、これに限られない。いずれか一方または両方が、並列共振回路を構成するようにしてもよい。また、上記第1実施形態においては、平行二線13から受電コイル32への非接触電力伝送が磁界共鳴方式を用いた場合について説明したが、これに限られない。例えば、電磁誘導方式を用いるようにしてもよい。
上記第1実施形態においては、高周波電源装置61を常に稼動しておいて、電力負荷73に常に電力を供給する場合について説明したが、これに限られない。高周波電源装置61は、電力負荷73が電力を必要とするときのみ稼働するようにしてもよい。例えば、電力負荷73が把持機構の場合、把持機構が電力を必要とするのはワークWを把持するときだけである。したがって、ワークWの把持を行わない間は、高周波電源装置61を停止していても問題ない。
図5は、高周波電源装置61の稼動制御について説明するためのタイムチャートの一例である。
同図(a)は、搬送ロボットA1の動作に応じたハンド5aのx方向の位置を示している。搬送ロボットA1は、時刻t0から時刻t1において、ワークWが収納されたカセットの方に向きを変えるために、旋回部2の旋回を行っている。旋回時にはハンド5aは基本位置に位置している。搬送ロボットA1は、時刻t1から時刻t2において、カセットに向かってハンド5aを移動させている。したがって、ハンド5aのx方向の位置は、基本位置から徐々に離れている。時刻t2では、ハンド5aは、搬送対象のワークWの下方に差し込まれた状態となっている。
次に、搬送ロボットA1は、時刻t2から時刻t3において、旋回部2を上昇させて、ハンド5aの上面にワークWを載置し、把持機構でワークWを把持している。この間は、ハンド5aのx方向の移動はない。そして、搬送ロボットA1は、時刻t3から時刻t4において、カセットからワークWを取り出すために、ハンド5aを基端側(支持部1側)に移動させている。時刻t4では、ハンド5aは、基本位置まで戻っている。
次に、搬送ロボットA1は、時刻t4から時刻t5において、ワークWを収納するためのカセットの方に向きを変えるために、旋回部2の旋回を行っている。旋回時にはハンド5aは基本位置に位置したままである。搬送ロボットA1は、時刻t5から時刻t6において、カセットに向かってハンド5aを移動させている。したがって、ハンド5aのx方向の位置は、基本位置から徐々に離れている。時刻t6では、ハンド5aは、カセット内のワークWを載置する位置の上方に差し込まれた状態となっている。
次に、搬送ロボットA1は、時刻t6から時刻t7において、把持機構によるワークWの把持を解除し、旋回部2を下降させて、ワークWをカセット内に載置している。この間は、ハンド5aのx方向の移動はない。そして、搬送ロボットA1は、時刻t7から時刻t8において、ハンド5aを基端側に移動させている。時刻t8では、ハンド5aは、基本位置まで戻っている。
図5(b)は、把持機構の動作状態を示している。把持機構は、時刻t2と時刻t3の間の、ワークWの把持開始から、時刻t6と時刻t7の間の、ワークWの把持の解除までの間、ワークWを把持している。それ以外のときは、把持機構は動作を停止している。
図5(c)は、把持機構の動作状態に応じて高周波電源装置61を制御する場合の、高周波電源装置61の稼動状態を示している。把持機構は、把持動作を行っている間だけ、電力が供給されればいいので、高周波電源装置61は、把持機構の動作状態に応じて稼働させればよい。図5(c)に示すように、必要がないときは高周波電源装置61を停止させているので、常に稼動させる場合より、消費される電力を節約することができる。なお、搬送ロボットA1は、もう1つのハンド5bを備えており、ハンド5bも把持機構を備えているので、高周波電源装置61を停止できるのは、両方の把持機構が停止中の場合のみになる。なお上記から分かるように、ある一例では、ハンド5a,5bが基本位置でないときに把持機構(電力負荷)がオンになる時間の方が長い。そのため、上記ではハンド5a,5bが基本位置に位置したときに受電コイル32の受電量が大きくなるように平行二線13と受電コイル32との位置関係を設定したが、これに限定されるものではなく、実際の状況に応じて平行二線13と受電コイル32との位置関係を設定してもよい。
上記第1実施形態においては、直流電源回路72が出力する電力を電力負荷73が直接消費する場合について説明したが、これに限られない。直流電源回路72と電力負荷73との間に、バッテリやキャパシタなどの蓄電手段を接続して、直流電源回路72が出力する直流電力を蓄電手段に蓄積するようにしてもよい。この場合、ハンド5a(5b)が基本位置から離れて、受電コイル32の受電量が小さくなっても、蓄電手段に蓄積された電力を供給できるので、電力負荷73が電力不足になることを防止できる。また、蓄電手段の充電状態に応じて、高周波電源装置61の稼動状態を制御することもできる。例えば、蓄電手段が所定の充電量未満の場合にのみ、高周波電源装置61を稼働するようにしてもよい。また、図5(d)に示すように、ハンド5a(5b)が基本位置にあるときに高周波電源装置61を稼動させると、効率よく蓄電手段に蓄電できる。この際に蓄電した電力だけで電力負荷の電力を賄えるのであれば、ハンド5a(5b)が基本位置にあるときだけ高周波電源装置61を稼動させればよい。しかし、電力が不足するのであればハンド5a(5b)が基本位置以外の位置のときにも高周波電源装置61を稼動させればよい。
上記第1実施形態においては、支持部1が備えている平行二線13が送電を行う場合について説明したが、これに限られない。支持部1が平行二線13に代えて、送電コイルを備え、当該送電コイルが送電を行うようにしてもよい。送電コイルによって送電を行う場合を、第2,3実施形態として、以下に説明する。
図6(a)は、第2実施形態に係る搬送ロボットA2の一部を省略した概略平面図であり、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図2(a)に相当する図である。図6(a)において、第1実施形態に係る搬送ロボットA1(図2(a)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、図6(a)においては、高周波電源装置61、共振コンデンサ62,71、直流電源回路72、電力負荷73および絶縁シート31の記載も省略している。図6(a)に示すように、搬送ロボットA2は、平行二線13に代えて、送電コイル13’を備えている点で、第1実施形態に係る搬送ロボットA1と異なる。
送電コイル13’は、フランジ部11の上面の周方向に沿って、全周にわたって延びる巻き数が2のコイルであり、図3(a)に示す矩形の渦巻き状のコイルと同様のコイルを、コイル面と同一の平面上で引き伸ばして円形状に形成したものである。なお、本実施形態においては、巻き数が2の場合を示しているが、巻き数は限定されない。送電コイル13’は、高周波電源装置61からの高周波電流が流れることで、コイル面を貫くz方向の高周波磁界を発生させる。つまり、送電コイル13’は、高周波電源装置61が出力する電力を送電する送電コイルとして機能する。本実施形態においては、送電コイル13’が、本発明の「送電部」に相当する。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2実施形態においては、巻き数を多くすることで、送電コイル13’と受電コイル32との相互インダクタンスを大きくすることができ、受電コイル32の受電量を多くすることができる。
なお、送電コイル13’を、渦巻き状のコイルではなく、筒形状のコイルとしてもよい。図6(b)は、送電コイル13’を筒形状のコイルとした変形例を示しており、絶縁シート12および送電コイル13’だけを記載している。図6(c)は、図6(b)のVI−VI線断面図である。当該変形例における送電コイル13’は、図3(b)に示す矩形の筒形状のコイルと同様のコイルを、コイル面と同一の平面上で引き伸ばして円形状に形成し、全体として円筒形状としたものである。なお、当該変形例においては、巻き数が2の場合を示しているが、巻き数は限定されない。
図7は、第3実施形態に係る搬送ロボットA3の一部を省略した概略平面図であり、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図2(a)に相当する図である。図7において、第1実施形態に係る搬送ロボットA1(図2(a)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、図7においては、高周波電源装置61、共振コンデンサ62,71、直流電源回路72、電力負荷73および絶縁シート31の記載も省略している。図7に示すように、搬送ロボットA3は、平行二線13に代えて、複数の送電コイル13”を備えている点で、第1実施形態に係る搬送ロボットA1と異なる。
送電コイル13”は、例えば図3(c)に示す円形の渦巻き状のコイルと同様のコイルであり、フランジ部11の上面の周方向に沿って、全周にわたって多数並べられている。なお、送電コイル13”の形状は限定されず、図3(d)のように円筒形状であってもよいし、図3(a)のように矩形の渦巻き状であってもよいし、図3(b)のように矩形の筒形状であってもよい。また、巻き数も限定されない。各送電コイル13”は、並列に高周波電源装置61に接続されており、各送電コイル13”にはそれぞれ共振コンデンサが直列接続されている。なお、高周波電源装置61が定電流源である場合は、各送電コイル13”は直列接続される。各送電コイル13”は、高周波電源装置61からの高周波電流が流れることで、コイル面を貫くz方向の高周波磁界を発生させる。つまり、各送電コイル13”は、高周波電源装置61が出力する電力を送電する送電コイルとして機能する。本実施形態においては、各送電コイル13”または複数の送電コイル13”をまとめたものが、本発明の「送電部」に相当する。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第3実施形態においては、送電コイル13”によって巻き数を変更するなどして、受電コイル32の位置によって送電量を変化させるようにすることもできる。
なお、各送電コイル13”を、平面視において隣の送電コイル13”と一部が重なるように配置してもよい。また、受電コイル32が、どこに位置しても、いずれかの送電コイル13”が生成する磁束に鎖交できるのであれば、各送電コイル13”を、隣との間隔をより広くして配置してもよい。また、受電コイル32が位置することがない領域には、送電コイル13”を配置する必要はない。
上記第1実施形態においては、第1アーム3aが基本位置に位置するときに、受電コイル32が最も受電できるように、設計されている。したがって、第1アーム3aが基本位置に位置しないとき(基本位置から回動した位置にあるとき)は、受電コイル32のコイル面が、平面視において、平行二線13からずれることになる(図2(a)の破線で記載した第1アーム3aの受電コイル32参照)ので、受電コイル32の受電量が小さくなる。第1アーム3aが基本位置に位置するときと位置しないときとで、受電コイル32の受電量が大きく変化してしまうことを抑制できる実施形態を、第4実施形態として以下に説明する。
図8は、第4実施形態に係る搬送ロボットA4の一部を省略した概略平面図であり、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図2(a)に相当する図である。図8において、第1実施形態に係る搬送ロボットA1(図2(a)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、図8においては、高周波電源装置61、共振コンデンサ62,71、直流電源回路72、電力負荷73および絶縁シート31の記載も省略している。図8に示すように、搬送ロボットA4は、平行二線13における導体線131と導体線132との間隔が、第1実施形態に係る搬送ロボットA1と比べて広くなっている。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第4実施形態においては、第1アーム3aが基本位置に位置するとき(図8の実線で記載した第1アーム3a参照)と、位置しないとき(図8の破線で記載した第1アーム3a参照)とで、平面視における、第1アーム3aの受電コイル32と平行二線13との重なり部分の面積が大きく変化しない。したがって、第1アーム3aが基本位置に位置するときと位置しないときとで、受電コイル32の受電量が大きく変化してしまうことを抑制できる。
上記第1実施形態においては、平行二線13をフランジ部11の上面に備えている場合について説明したが、これに限られない。例えば、平行二線13をフランジ部11の側面に備えるようにしてもよい。平行二線13をフランジ部11の側面に備えた場合を、第5実施形態として、以下に説明する。
図9は、第5実施形態に係る搬送ロボットA5の概略を示している。図9(a)は、一部を省略した概略平面図であり、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図2(a)に相当する図である。図9(b)は、搬送ロボットA5の側面図であり、図9(a)において右側の側面を見た図を示している。図9(b)は、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図1(b)に相当する図である。図9において、第1実施形態に係る搬送ロボットA1(図2(a)および図1(b)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、図9(a)においては、高周波電源装置61、共振コンデンサ62,71、直流電源回路72、電力負荷73および絶縁シート31の記載も省略している。また、図9(b)においては、第1アーム3b、第2アーム4a,4bおよびハンド5a,5bの記載も省略している。図9に示すように、搬送ロボットA5は、平行二線13をフランジ部11の上面ではなく、フランジ部11の側面に備えている点で、第1実施形態に係る搬送ロボットA1と異なる。
平行二線13は、フランジ部11の側面に、周方向に沿って、全周にわたって延びている。2本の導体線131,132は、それぞれ旋回軸Z1を中心とした同じ半径の円形状に形成され、z方向に所定の距離を空けて平行に並べて配置されている。したがって、高周波電流が流れることで、導体線131と導体線132との間に、フランジ部11の径方向の高周波磁界が発生する。
第1アーム3aは、下面に下方に突出する板状の突出部33を備えている。図9(a)において、突出部33は、第1アーム3aの下面にあるので、破線で示している。突出部33は、第1アーム3aが基本位置に位置するときに、フランジ部11の側面に対して略平行になるように設けられている。また、突出部33は、第1アーム3aが回動した場合でも、フランジ部11の側面に接触しないように設計されている。突出部33のフランジ部11に対向する面には、絶縁シート31が配置されている。そして、絶縁シート31のフランジ部11に対向する面には、受電コイル32が、コイル面が突出部33のフランジ部11に対向する面と平行になるように配置されている。(図9(b)参照)。図9(b)において、絶縁シート31および受電コイル32は、突出部33のフランジ部11に対向する面にあるので、破線で示している。受電コイル32は、平行二線13が生成した高周波磁束に鎖交するので、平行二線13と受電コイル32とが磁気結合して、平行二線13から非接触で電力を供給される。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、フランジ部11の上面に平行二線13を配置するためのスペースを必要としないので、当該スペース分だけフランジ部11の径方向の寸法を小さくできる。これにより、支持部1の径方向の寸法を小さくできる。
なお、旋回部2の昇降移動によって、受電コイル32と平行二線13との重なり部分の面積が大きく変化することを抑制するために、平行二線13における導体線131と導体線132との間隔を広くするようにしてもよい。また、受電コイル32のz方向の寸法を大きくするようにしてもよい。
上記第1実施形態においては、ハンドを2つ備えている場合について説明したが、これに限られない。例えば、ハンドは1つだけであってもよい。ハンドを1つだけ備えている場合を、第6実施形態として、以下に説明する。
図10は、第6実施形態に係る搬送ロボットA6の概略を示している。図10(a)は、搬送ロボットA6の平面図であり、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図1(a)に相当する図である。図10(b)は、一部を省略した概略平面図であり、第1実施形態に係る搬送ロボットA1における図2(a)に相当する図である。図10において、第1実施形態に係る搬送ロボットA1(図1(a)および図2(a)参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。なお、図10(b)においては、高周波電源装置61、共振コンデンサ62,71、直流電源回路72、電力負荷73および絶縁シート31の記載も省略している。図10に示すように、搬送ロボットA6は、第1アーム3b,第2アーム4bおよびハンド5bを備えていない点で、第1実施形態に係る搬送ロボットA1と異なる。
第1アーム3aは、旋回部2に対して、旋回軸Z1周りに回動可能に設けられている。つまり、第1アーム3aの回動の中心軸である回動軸Z2aと、旋回部2の旋回の中心軸である旋回軸Z1とが一致している。したがって、旋回部2が旋回したときと、第1アーム3aが回動したときとで、受電コイル32のコイル面の軌道が同じになる。
第6実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第6実施形態においては、第1アーム3aが回動したときの受電コイル32のコイル面の軌道が、旋回部2が旋回したときの受電コイル32のコイル面の軌道に一致する。したがって、第1アーム3aの回動位置に関係なく、受電コイル32の受電量を一定にできる。
上記第1〜6実施形態においては、搬送ロボットA1〜A6が円形状のワークWを搬送する場合について説明したが、これに限られない。ワークWは、液晶基板などの矩形状のワークであってもよい。またワークWは、半導体基板や液晶基板に限定されない。
上記第1〜6実施形態においては、搬送ロボットA1〜A6が真空環境下で使用される真空ロボットである場合について説明したが、これに限られない。本発明は、大気環境下で使用される大気ロボットにおいても適用することができる。つまり、本発明は、使用環境に関係なく、エンドレス機構を備えている搬送ロボットに対して、特に有効である。
上記第1〜6実施形態においては、搬送ロボットA1〜A6がエンドレス機構を備えている場合について説明したが、これに限られない。本発明は、エンドレス機構を備えていない搬送ロボットにおいても適用することができる。エンドレス機構を備えていない場合でも、本発明を適用すれば、支持部1の電源に接続するためのケーブルを不要にするので、ケーブルが邪魔になることを回避できる。
本発明に係る搬送ロボットは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る搬送ロボットの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。