JP6772897B2 - フレキシブルデバイス用基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルデバイス用基板及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、水分バリア性及び絶縁層の密着性に優れていると共に表面欠陥がなく、有機EL関連の用途にも好適に使用可能なフレキシブルデバイス用基板及びその製造方法に関する。
有機EL照明や有機ELディスプレイ、有機太陽電池などに用いられるフレキシブルデバイス用基板は、水分バリア性及び蒸気バリア性等のバリア性の他、平滑性及び絶縁性が要求されている。
下記特許文献1には、プラスチックフィルム基材上に、透明導電層、有機発光媒体層、陰極層を順次積層し、接着層を介して金属箔が積層された有機EL素子の構造が提案されているが、かかるプラスチックフィルム基材は水分バリア性の点で満足するものではない。
また下記特許文献2には、ステンレス基材上にポリイミド樹脂から成る平坦化層を設けたフレキシブルデバイス用基板が提案されているが、ポリイミド樹脂の吸水性が高いことから、やはり水分バリア性の点で満足するものではない。
更に下記特許文献3には、ステンレス基材上にシリカ系ガラスを製膜したフレキシブル太陽電池基板が提案されているが、シリカ系ガラスは一般にステンレスに比べて熱膨張係数が小さく、ステンレス基材に対する密着性に欠けると共に、シリカ系ガラスは曲げ加工や衝撃に弱いという問題を有している。
また薄膜電気回路やフレキシブルディスプレイの基板として利用可能なガラス基板も種々提案されているが(特許文献4等)、ガラス基板はひねりなどの曲げに弱いという特徴があり、フレキシブルデバイス用基板としてより強度の高いものが望まれている。
このような問題を解決するために、本発明者等は、金属基材の表面にニッケルめっき層を形成し、そのニッケルめっき層の表面に、電気絶縁性を有するビスマス系ガラスを積層して成るフレキシブルデバイス用金属基板を提案した(特許文献5)。
特開2004−171806号公報 特開2011−97007号公報 特開2006−80370号公報 特開2012−197185号公報 特開2014−107053号公報
上記フレキシブルデバイス用金属基板は、機械的強度に優れた金属基材上に、水分バリア性及び金属基材との密着性に優れたビスマス系ガラスを積層していることから、曲げ耐性に優れていると共に、絶縁性及び平坦性にも優れ、軽量でフレキシブル性を有しているが、焼成後のガラス層表面に、微小凸部であるブツや微小凹部であるはじきが発生する場合があり、このような微小欠陥によりガラス層の平滑性が損なわれる場合があった。
本発明者等は、ガラス層表面に形成されるこれらの微小欠陥についてその発生原因を研究した結果、ガラス層表面に形成されるこれらの微小欠陥は、ガラスからの結晶の発生や、気泡の破裂痕等を原因として形成され、特にはじきは気泡の破裂痕やガラスの結晶化などによるガラス層の乱れを基点とした表面張力の影響により発生することが分かった。
従って本発明の目的は、水分バリア性及びガラス層の密着性に優れていると共に、ガラス層表面のブツやはじきの発生が有効に抑制された、表面平滑性に優れたフレキシブルデバイス用金属基板及びその製造方法を提供することである。
本発明によれば、金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材と、前記ニッケルめっき層又はニッケル系基材の上に電気絶縁性を有するビスマス系ガラスが層状に形成されたガラス層とを有するフレキシブルデバイス用基板であって、前記ニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面には、表面に凹凸を有する酸化物膜が形成されており、該酸化物膜の厚みが、40〜1200nmの範囲にあり、前記ビスマス系ガラスが、Biを70〜84重量%、ZnOを10〜12重量%、Bを6〜12重量%の量で含有することを特徴とするフレキシブルデバイス用基板が提供される。
本発明のフレキシルブルデバイス用基板においては、
1.前記ビスマス系ガラスが、SiO及び/又はAlを含有し、SiOの含有量が0〜2重量%、Alの含有量が0〜1重量%の量(SiO及びAlの両方がゼロの場合を含まない)であること、
2.前記ビスマス系ガラスが、CuO及び/又はNiOを含有し、CuOの含有量が0〜2重量%、NiOの含有量が0〜2重量%の量(CuO及びNiOの両方がゼロの場合を含まない)であること、
3.前記ビスマス系ガラスが、Y、ZrO、La、CeO、TiO、CoO、Feの何れかを1.5重量%以下(ゼロを含まない)の量で含有すること、
4.前記酸化物膜の表面の算術平均粗さ(Ra)が、30〜100nmの範囲にあること、
5.前記酸化物膜の表面の最大高さ粗さ(Rz)が、420〜900nmの範囲にあること、
.前記ガラス層の厚みが、2〜45μmであること、
.前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に、鉄が存在すること、
.前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に存在する鉄のうち、金属鉄が3atomic%以下であること、
.前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層における酸素の割合が30atomic%以上であること、
10.前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に存在するニッケルのうち、金属ニッケルの割合が20atomic%以下であること、
11.前記ガラス層の厚み方向の任意の面における酸素量を100%とした場合に、前記ガラス層とニッケルめっき層又はニッケル系基材との界面における酸素量が80%以上であること、
12.前記ガラス層の表面に、電極層形成のための下地となる下地層が形成されており、該下地層が、ニッケル又は酸化インジウム錫から成ること、
が好適である。
本発明によればまた、金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材と、前記ニッケルめっき層又はニッケル系基材の上に電気絶縁性を有するビスマス系ガラスが層状に形成されたガラス層と、該ガラス層の表面に電極層形成のための下地となる下地層を有することを特徴とするフレキシブルデバイス用基板が提供される。
本発明の上記フレキシルブルデバイス基板においては、上記下地層が、ニッケル,酸化インジウム錫,銀,金,銅,マグネシウム−銀,金−銅,銀−銅,酸化亜鉛,コバルト,パラジウムの何れかから成ることが好適である。
本発明によればまた、金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材を酸素含有雰囲気中で焼成(以下、「仮焼」ということがある。)することにより、ニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面に酸化物膜を形成する酸化物膜形成工程、前記酸化物膜上に、Bi,ZnO,Bを含有するビスマス系ガラス層を形成するガラス層形成工程、を含むことを特徴とするフレキシブルデバイス用基板の製造方法が提供される。
本発明のフレキシブルデバイス用基板の製造方法においては、
1.前記酸化物膜形成工程において、ニッケルめっき層又はニッケル系基材表面を、550〜900℃の温度で焼成すること、
2.前記ガラス層形成工程において、ニッケルめっき層上、又はニッケル系基材上に塗工されたビスマス系ガラス組成物を、550〜900℃の温度で10〜300秒間焼成すること、
が好適である。
本発明によればまた、前記フレキシブルデバイス用基板と、該フレキシブルデバイス用基板の前記ガラス層又は前記下地層の上に形成された電極層と、該電極層の上に形成された有機薄膜発光層と、該有機薄膜発光層の上に形成された透明電極層とを有することを特徴とする有機ELデバイス用基板が提供される。
本発明においては、ガラス層表面の結晶(ブツ)やはじきの発生が抑制され、表面平滑性及び絶縁性に優れたガラス層を有するフレキシブルデバイス用基板が提供される。また本発明のフレキシブルデバイス用基板においては、表面に凹凸を有する酸化物膜が形成されている、ニッケルめっき層を有する金属基材又はニッケル系基材を用いることで、ガラス層の密着性に優れており、ロールツーロールの工程に供した場合でも剥離などが起こらない、十分なフレキシブル性を有している。
また本発明においては、密な構造で水分の透過を完全に防ぐことが可能なガラス層を有していることから、水分バリア性にも優れており、有機EL関連用の基板として有効に使用できる。
更に、ガラス層の上に電極層形成のための下地となる下地層が形成されていることにより、電極層のフレキシブルデバイス用基板との密着性が向上し、電極層の剥離を有効に防止することができる。
更にまた本発明のフレキシブルデバイス用基板の製造方法によれば、表面欠陥のないフレキシブルデバイス用基板を連続的に製造することができ、生産性及び経済性にも優れている。
本発明のフレキシブルデバイス用基板の一例の断面構造を示す図である。 本発明のフレキシブルデバイス用基板の他の一例の断面構造を示す図である。 図1に示す本発明のフレキシブルデバイス用基板を用いた有機ELデバイス用基板の断面構造を示す図である。 図2に示す本発明のフレキシブルデバイス用基板を用いた有機ELデバイス用基板の断面構造を示す図である。 表1におけるニッケルめっき鋼板の基材No.1、No.6について仮焼後のニッケルめっき層表面のSEM写真((A)及び(B))及び基材No.4のニッケルめっき層表面のSEM写真(C)である。 表5における実施例12及び比較例1について、ニッケルめっき層とガラス層の界面のTEM写真((A)及び(B))である。
(フレキシブルデバイス用基板)
本発明のフレキシブルデバイス用基板は、金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材と、前記ニッケルめっき層又はニッケル系基材の上に電気絶縁性を有するビスマス系ガラスが層状に形成されたガラス層とを有するフレキシブルデバイス用基板であって、前記ニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面には、表面に凹凸を有する酸化物膜が形成されていること、及び前記ビスマス系ガラスが、Biを70〜84重量%、ZnOを10〜12重量%、Bを6〜12重量%の量で含有することを重要な特徴とする。
図1は、金属基材10の表面にニッケルめっき層11が形成されたニッケルめっき金属基材を用いた、本発明のフレキシルブルデバイス用基板の断面構造の一例を示す図であり、ニッケルめっき層11の表面にガラス層13が形成され、ニッケルめっき層11の表面に形成された酸化物膜12の表面が凹凸12aに形成されている。
[金属基材]
本発明のフレキシブルデバイス用基板に用いられる、ニッケルめっき層を形成する金属基材としては、これに限定されないが、鉄、ステンレス、チタン、アルミニウム、銅等を使用することができ、熱膨張係数が8×10−6〜25×10−6/℃、特に10×10−6〜20×10−6/℃の範囲にあるものを使用することが好ましい。
また本発明においては、ニッケルめっき層を形成することなく、金属基材自体をニッケル系基材、すなわち、純ニッケル板又はニッケル合金板とすることもできる。ニッケル合金板において、ニッケルと合金可能な金属としては、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)を用いることができる。
金属基材又はニッケル系基材の厚みは、10〜200μm、特に20〜100μmの範囲にあることが好適であり、これにより十分なフレキシブル性を得ることができる。
[ニッケルめっき層]
本発明のフレキシブルデバイス用基板において、金属基材表面に形成されるニッケルめっき層は、ニッケルめっきによって形成される層であり、後述するように電解めっき又は無電解めっきの何れであってもよい。ニッケルめっき層は、図1に示した例では、金属基材の一方の表面にのみ形成されていたが、もちろん金属基材の両面に形成されていてもよい。
ニッケルめっき層の厚みは、上記酸化物膜を含んだ値で0.1〜10μm、特に0.5〜5μmの範囲にあることが好適であり、上記範囲よりもニッケルめっき層の厚みが薄いと、上記範囲にある場合に比してガラス層の密着性が劣るようになり、一方、上記範囲よりもニッケルめっき層の厚みが厚くても更なる効果は期待できず、経済性に劣るようになる。
ニッケルめっき層は、金属基材との界面に合金層を有していてもよい。
[酸化物膜]
前述したとおり、本発明においては、ニッケルめっき層又はニッケル系基材の表面に、表面が凹凸の酸化物膜が形成されていることが重要な特徴であり、この酸化物とガラスとが反応することにより密着層が形成され、ガラス層の密着性が向上される。従って、ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に存在する金属ニッケルは20atomic%以下、特に18atomic%以下であることが好ましい。
酸化物膜は、ニッケルめっき層又はニッケル系基材の表面が後述する酸素含有雰囲気中で仮焼されることにより形成されるニッケル酸化物から少なくとも成るが、ニッケル酸化物と金属基材から拡散した金属の酸化物から成っていてもよい。
すなわち、金属素材として鋼板を用いた場合や、ニッケル系基材としてニッケル−鉄合金板を用いた場合には、ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層には鉄が存在することが望ましく、この表層に存在する鉄は酸化物として存在することにより、上記ニッケル酸化物の存在と相俟ってガラス層の密着性をさらに向上できることから、ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に存在する鉄のうち金属鉄は3atomic%以下であることが好ましい。
またニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層における酸素の割合が、30atomic%以上、特に35〜50atomic%の範囲にあることが好適であり、これによりガラス層との密着性に優れた酸化物膜が形成される。
ニッケルめっき層又はニッケル系基材とガラス層の界面(以下、「(ニッケルめっき層/ガラス層)界面」ということがある)における酸素量は、後述するガラス層の厚み方向の任意の面(以下、「ガラス層内部」ということがある)における酸素量を100%とした場合に、80%以上、特に85〜100%であることが好ましい。すなわち、ニッケルめっき層又はニッケル系基材がガラス層の界面において、ガラス層に存在する酸素量に近い酸素量を有していることにより、ニッケルめっき層又はニッケル系基材の表面はガラス層からのアンカー効果を受けていると考えられ、後述する実施例の結果からも明らかなように、界面における層間密着性が顕著に向上する。尚、ガラス層の厚み方向の任意の面とは、ニッケルめっき層又はニッケル系基材表面との界面付近や後述する下地層を形成するような表面付近を除いた外部の影響をほとんど受けることがなく、どの任意の面においてもガラス層の組成がほぼ同じであるガラス層の厚み方向の任意の面を意味する。
本発明において酸化物膜の表面には結晶粒と思われる凸部が形成されることにより凹凸(粗面)が形成されており、これによりガラス層の形成に際してガラス組成物の引き拡がりが抑制されて、はじきの発生が有効に抑制される。
酸化物膜表面における凹凸(表面粗度)は、算術平均粗さ(Ra)が30〜100nm、特に50〜90nmの範囲にあり、最大高さ粗さ(Rz)が420〜900nm、特に600〜850nmの範囲にあるように形成されていることが望ましい。
またこの酸化物膜の厚みは、40〜1200nm、好ましくは500〜1000nm、より好ましくは500〜900nmの範囲にあることが望ましい。上記範囲よりも酸化物膜の厚みが薄い場合には、上記範囲にある場合に比してニッケルめっき層又はニッケル系基材の表面改質が不十分になるおそれがあり、一方上記範囲よりも酸化物膜の厚みが厚い場合には、上記範囲にある場合に比してニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層の合金化が進みニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層が脆弱化されるおそれがあり、ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層が剥離するおそれがある。
[ガラス層]
本発明のフレキシブルデバイス用基板は、上述したニッケルめっき層又はニッケル系基材の上に形成された凹凸表面を有する酸化物膜上に、絶縁層として、Bi,ZnO,Bを含有するビスマス系ガラスからなるガラス層が形成されている。
ビスマス系ガラスは、優れた水分バリア性、及び金属基材との優れた密着性を有することは知られているが、本発明においては、このようなビスマス系ガラスにおいて、主成分たるBiと共に、ZnO及びBを必須の成分として含有し、且つこれらの成分の配合が共晶点周辺の範囲にあることにより、結晶化しにくいガラスネットワーク構造を形成でき、上述したニッケルめっき層との組み合わせと相俟って、ガラス表面にはじきの発生が有効に抑制されたフレキシブルデバイス用基板を提供することが可能になる。
上記ビスマス系ガラスは、Biが70〜84重量%、ZnOが10〜12重量%、Bが6〜12重量%の量で含有されていることが重要であり、これらの成分が上記範囲にあることにより、ガラス層の結晶化が抑制され、はじきの発生が有効に抑制される。
本発明に用いる上記ビスマス系ガラスは、上記必須成分に加えて、更にSiO及び/又はAlが、SiOが0〜2重量%、Alが0〜1重量%の量(SiO及びAlの両方がゼロの場合を含まない)で含有されていることが好適である。これらの少なくとも一方の成分が配合されることにより、耐久性等が向上し、ガラス層を安定化することが可能になる。
また本発明に用いる上記ビスマス系ガラスは、上記必須成分に加えて、更にCuO及び/又はNiOが、CuOを0〜2重量%、NiOを0〜2重量%の量(CuO及びNiOの両方がゼロの場合を含まない)で含有されていることが好適であり、これらの少なくとも一方の成分が配合されていることにより、ニッケルめっき層との密着性が更に向上され、はじき抑制効果が更に改善される。
更に本発明に用いる上記ビスマス系ガラスは、上記必須成分に加えて、Y、ZrO、La、CeO、TiO、CoO、Feの何れかを1.5重量%以下(ゼロを含まない)の量で含有することが好適であり、これにより、ガラスの耐久性を向上させることができ、また、フレキシブルデバイス用基板の反りを有効に防止することができる。尚、これらの成分は、複数種を組み合わせで使用することも可能であるが、その場合には、合計量が1.5重量%以下であることが好ましい。
本発明において、ガラス層の厚みは2〜45μmの範囲にあることが好適である。上記範囲よりもガラス層の厚みが薄い場合には、上記範囲にある場合に比して酸化物膜による凹凸を充分に平滑化することができないおそれがあり、その一方上記範囲よりも厚いと、上記範囲にある場合に比してフレキシブル性が劣るおそれがある。
[電極層形成のための下地層]
本発明のフレキシブルデバイス用基板においては、ガラス層表面に直接アノード又はカソード等の電極層を形成することができるが、好適には図2に示すように、ガラス層13の表面に、ニッケル(Ni)、酸化インジウム錫(ITO)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、マグネシウム−銀(MgAg)、金−銅(AuCu)、銀−銅(AgCu)、酸化亜鉛(ZnO)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)等から成る下地層14を形成することが、電極層の密着性の点から好ましい。
この下地層は、有機EL基板に使用されるアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)やこれらの合金等から成るすべての電極層に対して優れた密着性を発現できるが、特にアルミニウム(Al)、銀(Ag)から成る電極層を形成する場合には、下地層は上記金属又は酸化金属等の中でもニッケル、酸化インジウム錫から成ることが好適である。
下地層の厚みは、5〜100nmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも薄い場合には、電極層の密着性を充分に向上することができないおそれがあり、一方上記範囲よりも厚くても更なる密着性の向上を期待できず、経済的に劣るだけである。
尚、この下地層は、フレキシブルデバイス用基板に用いられる電気絶縁性を有するビスマス系ガラス全般に対して優れた密着性を有していることから、前述した特定のビスマス系ガラスを用いた場合に限定されず、フレキシブルデバイス用基板において電極層を形成する場合に、この下地層を好適に使用することができる。
(フレキシブルデバイス用基板の製造方法)
本発明のフレキシブルデバイス用基板は、金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材を酸素含有雰囲気中で焼成することにより、ニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面に酸化物膜を形成する酸化物膜形成工程前記酸化物膜上に、Bi,ZnO,Bを含有するビスマス系ガラス層を形成するガラス層形成工程、を含む製造方法により製造することができる。
また上記ガラス層形成工程の後に、ガラス層の表面に、ニッケル、酸化インジウム錫等から成る電極層を形成するための下地層を形成する工程を有することもできる。
[ニッケルめっき層形成工程]
本発明のフレキシブルデバイス用金属基板において、ニッケルめっき金属基材におけるニッケルめっき層の形成方法自体は従来公知の方法により行うことができる。
ニッケルめっき層形成工程においては、用いる金属基材によって処理方法が異なるが、金属基材として鋼板を使用する場合には、めっき処理に先立って、アルカリ電解等により脱脂を行い、水洗した後、硫酸浸漬等による酸洗等の従来公知の前処理を施す。
前処理が施された金属基材を、前述したとおり、電解めっき、無電解めっき等従来公知のめっき方法によってニッケルめっき層を形成することができる。連続生産性の観点から電解めっきによることが好ましい。ニッケルめっき浴は、ワット浴、スルファミン酸浴等一般に広く使用されている浴を公知の処方に従って、公知の電解条件で使用することができる。尚、ニッケルめっき層は前述したとおり、0.1〜10μm、特に0.5〜5μmの範囲の厚みとなるように形成されることが好ましい。
[酸化物膜形成工程]
本発明のフレキシブルデバイス用基板の製造方法においてはニッケルめっき金属基材のニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面を酸素含有雰囲気中で仮焼することにより、ニッケルめっき層又はニッケル系基材の表面に凹凸を有する酸化物膜を形成することが重要である。
仮焼条件は、前述した酸化物膜が形成される限り、特に限定されないが、仮焼温度が550〜900℃、特に750〜850℃の温度であることが好ましい。仮焼時間は、酸素含有雰囲気の酸素濃度、仮焼温度によって適宜変更することができるが、大気中で上記温度範囲で仮焼する場合には、上記仮焼温度で、5〜120秒間仮焼することが好適である。酸化物膜は、前述したとおり、40〜1200nm、好ましくは500〜1000nm、より好ましくは500〜900nmの範囲となるように形成されることが好ましい。
尚、本工程の酸化物膜形成のための焼成により、仮焼条件によっては、ニッケルめっき層或いはニッケル系基材の表面に合金層が形成される場合がある。
[ガラス層形成工程]
次いで、酸化物膜が形成されたニッケルめっき層上に、Bi,ZnO,Bを含有するビスマス系ガラス層を形成する。
ガラス層の形成工程は、この手順に限定されないが、大まかに言って、ガラス粉体とビヒクルを混合・分散してガラスペーストを調製し、このガラスペーストをニッケルめっき層表面の酸化物膜上に塗工・乾燥した後、焼成することにより形成することができる。
<ガラスペーストの調製>
ガラス層形成に用いるガラス粉体は、Bi,ZnO,Bを基本構成とし、前述したとおり、Biが70〜84重量%、ZnOが10〜12重量%、Bが6〜12重量%の量で含有されているガラスフリットを用いる。
また前述したとおり、ガラス組成物には上記必須成分以外に、ガラスの安定性の見地から、更にSiO及び/又はAlが、SiOが0〜2重量%、Alが0〜1重量%の量で含有されていること、ニッケルめっき層との密着性を向上する見地から、CuO及び/又はNiOが、CuOを0〜2重量%、NiOを0〜2重量%の量で含有されていること、また、安定性向上、焼成後の基板の反りを防止する見地から、Y、ZrO、La、CeO、TiO、CoO、Feの何れかが1.5重量%以下の量で含有されていることが好適である。
ガラス組成物は、軟化点温度が300〜500℃の範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも低温で軟化するビスマス系ガラスは、上記範囲にある場合に比して本焼成時に結晶化を起こしやすいと共に、脱バインダ処理を行う必要がある場合には、脱バインダ処理の温度で軟化するおそれがあり、バインダの分解ガスがガラス中に入り込み、ピンホールの原因になるおそれがある。一方上記範囲よりも軟化点温度が高い場合には、上記範囲にある場合に比して本焼成時に高い温度が必要となり、ニッケルめっきの耐熱温度付近での製膜が困難になるおそれがある。また比較的低温で本焼成すると、ガラスの溶融が不十分となり、表面平滑性が失われるおそれがある。
ガラス粉体は、上記ガラス組成物を混合し、800〜1200℃の温度で加熱して溶融ガラス化し、急冷してガラスフリットを得た後、JET粉砕法等によって粉砕することにより得られる。平滑なガラス面を得るためには平均粒径が20μm以下、好適には1〜10μm、より好適には1〜5μmの粒径に粉砕することが望ましい。尚、本発明においてガラス粉体の平均粒径は、レーザ回折・散乱法による測定値である。
ガラスペーストは、上記ガラス粉体とビヒクルとを、ビーズミルやペイントシェーカー、ロール等で均一に混合し、分散させることにより得られる。また分散性の観点から、分散液とすることもできる。
ビヒクルとしては、従来公知の溶剤系又は水系のビヒクルを用いることができ、これに限定されないが、以下の有機バインダ及び溶剤を例示することができる。
有機バインダとしては、これに限定されないが、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂等の有機樹脂;ポリプロピレンカーボネート等の脂肪族ポリオレフィン系カーボネート樹脂を例示することができる。
また溶剤は用いる有機バインダによって適宜選択され、これに限定されないが、セルロース系樹脂の場合は、水、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等;アクリル系樹脂の場合は、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等;脂肪族ポリオレフィン系カーボネートの場合は、炭酸プロピレン、トリアセチン等;の溶媒を用いることができる。
また、ガラスペーストには、必要に応じて、公知の増粘剤、分散剤等を公知の処方に従って添加することもできる。
<ガラスペーストの塗工・乾燥・焼成>
調製されたガラスペーストを、ガラスペーストの粘度に対応した塗工方法でニッケルめっき層上に塗工する。塗工方法としては、これに限定されないが、バーコーター、ダイコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スクリーン印刷等によっては行うことができ、形成されるガラス層の厚みが2〜45μmとなるように、塗工することが望ましい。
塗工されたガラスペーストは、80〜180℃の温度で乾燥する。乾燥後、必要により、脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理は、180〜450℃の温度で10分以上加熱することが好ましい。
乾燥後、必要により脱バインダ処理に賦された塗工面を、550〜900℃、好適には650〜850℃の温度で、10〜300秒間、焼成することによりガラス層が形成される。上記範囲よりも焼成温度が低い場合には、上記範囲にある場合に比して溶融が不十分になるおそれがあり、一方上記範囲よりも焼成温度が高い場合には、上記範囲にある場合に比してニッケルめっき層に影響を与えるおそれがある。
[下地層形成工程]
本発明のフレキシブルデバイス用基板においては、ガラス層に直接電極層を形成することもできるが、前述したとおり、下地層を形成し、この下地層上に電極層を形成することが好適である。
下地層は、ニッケル、酸化インジウム錫等の下地層を構成する金属又は金属酸化物等をスパッタリング法、蒸着法、CVD法等従来公知の方法によって形成することができるが、特にスパッタで成膜することが好適である。
スパッタの条件は特に限定されず、5〜100nmの範囲の厚みの下地層を形成し得る限り、従来公知の条件で行うことができる。また下地層の形成に先立って、従来公知の洗浄・乾燥方法によりガラス層表面を清浄化することが好ましい。
(有機ELデバイス用基板)
図3は、図1に示した本発明のフレキシブルデバイス用基板を用いた、有機ELデバイス用基板の一例の断面構造を示す図である。
全体を1で示すフレキシブルデバイス用基板は、両面にニッケルめっき層11a,11bが形成された金属基材10の一方のニッケルめっき層11aの表面に、表面に凹凸を有する酸化物膜12が形成され、この酸化物膜12上にガラス層13が形成されている。
全体を2で示す本発明の有機ELデバイス用基板は、上記フレキシブルデバイス用基板のガラス13層上に形成された電極層(Ag、Al)20、電極層20の上に形成された有機薄膜発光層21、有機薄膜発光層21の上に形成された透明電極層22、を少なくとも有しているが、図3に示す具体例では、透明電極層22の上に透明封止層23、透明封止材24が更に積層されていると共に、ニッケルめっき層11bの上に耐食性層25が積層されている。
また図4は、図2に示したガラス13層の上に下地層14を形成したフレキシブルデバイス用基板1’を用いて形成された有機ELデバイス用基板の断面構造を示す図である。
(基材No.1〜11,15)
1.ニッケルめっき鋼板
[金属基材]
金属基材として、下記に示す化学組成を有する普通鋼の冷間圧延板(厚さ50μm)を焼鈍脱脂して得られた鋼板を準備した。
組成:C;0.03重量%、Si;0.01重量%、Mn;0.25重量%、P;0.008重量%、S;0.005重量%、Al;0.051重量%、残部;Feおよび不可避的に含有する成分を含む。
[ニッケルめっき層の形成]
次いで、準備した鋼板(サイズ:縦12cm、横10cm、厚み50μm)について、アルカリ電解脱脂、硫酸浸漬の酸洗を行った後、下記条件にてニッケルめっきを行い、厚さ1μm、表面粗度(Ra)30.1nmのニッケルめっき層を両面に形成した。
浴組成:硫酸ニッケル300g/L、塩化ニッケル40g/L、ほう酸35g/L、ピット抑制剤(ラウリル硫酸ナトリウム)0.4mL/L
pH:4〜4.6
浴温:55℃〜60℃
電流密度:25A/dm
(基材No.12〜14)
2.純ニッケル板
ニッケル系基材として、厚さ100μmの純ニッケル板を準備した。
3.酸化物膜の形成
上記ニッケルめっき鋼板及び純ニッケル板を用いて、表1に示す条件で、基材No.1〜3,5〜7,15のニッケルめっき鋼板、及び基材No.13,14の純ニッケル板を薄鋼板熱処理シュミレーター(真空理工株式会社製、品番;CCT−AV)を用いて仮焼した。基材No.4,12は比較のため仮焼を行わなかった。また基材No.8〜11についてはNH雰囲気下で仮焼した。
仮焼されたニッケルめっき鋼板、基材No.4のニッケルめっき鋼板、仮焼された純ニッケル板及び基材No.12の純ニッケル板について、表面粗度として算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ粗さ(Rz)、表面酸化物の厚みについて調べた。結果を表1にあわせて示す。
また、基材No.1及び6について仮焼後のニッケルめっき層表面のSEM写真、及び基材No.4のニッケルめっき層表面のSEM写真を図5に示す。
尚、表1の酸化物膜の厚み、表面粗度(Ra,Rz)については、以下の方法により測定した。
算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ粗さ(Rz):JIS B 0601に準拠して、顕微鏡(オリンパス社製、ナノサーチ顕微鏡、品番;OLS3500)のSPM測定モードで測定した。
酸化物膜厚み:フィールドエミッションオージェマイクロプローブ(AES:日本電子社製 品番JAMP−9500F)を用いて測定した。
4.基材表層のXPSによる測定
上記基材No.1,4,6,10,11の表層について、炭素,酸素,鉄,ニッケルの割合(合計100atomic%)と、金属鉄,鉄酸化物の割合(合計100atomic%),及び金属ニッケル、ニッケル酸化物の割合(合計100atomic%)とを、スキャニングXPSマイクロプローブ(XPS装置 アルバックファイ社製 品番PHI5000VersaProbeII)を用いて測定した。結果を表2に示す。
5.基材表層の鉄の存在の確認
上記基材1、4,6,12〜14の表層について、上記スキャニングXPSマイクロプローブを用いて鉄の存在を確認した。結果を表3に示す。
6.ガラス層の形成
脱脂工程:基材No.1〜15を用い、各基材の表面をアルコールに浸したガーゼで拭き取り、脱脂した。
塗膜形成工程:有機溶剤とバインダとを混合したビヒクルを用意し、ビヒクルと、表4に記載されたガラス組成No.A〜Kのビスマス系ガラスフリットとを重量比が25:75になるように乳鉢で混合し、セラミック製ロールにて分散処理を行ない、塗膜形成用ガラスペーストを作成した。そして、基材No.1〜15の表面に塗膜形成用ガラスペーストを焼成後の膜厚が20μmになるようにバーコーターで塗布し、塗膜を形成した。
(実施例1〜13,比較例1〜20)
7.フレキシブルデバイス用基板評価(ガラス層評価)
基材(基材No.)と塗膜形成用ガラスペースト(ガラス組成No.)を表5の様に組み合わせて、フレキシブルデバイス用基板を作製した。ガラス焼成工程は、電気炉を用いて、乾燥(温度:110℃、時間:20分)、脱バインダ(温度:330℃、時間:20分)、焼成(温度:750℃、時間:15秒)である。
得られたフレキシブルデバイス用基板について、ガラス層中の気泡の有無、はじきの有無、結晶化(ブツ)の有無について、下記のように評価した。結果を表5に示す。
はじきの主原因は気泡であるが、気泡起因以外のはじきもあるため、気泡の有無と、全はじき(気泡起因のものを含む)の有無を分けて評価した。
[気泡評価]
気泡評価は、100×100mmサイズのフレキシブルデバイス用基板につき、光学顕微鏡にて焦点を各基材表面(各基材とガラス層の界面)からガラス層表面方向に焦点移動していく際に気泡が確認できるか否かで判断した。
[はじき評価]
はじき評価は、同じ100×100mmサイズのフレキシブルデバイス用基板につき、目視確認できるはじきの個数を下記の評価基準で評価した。
◎:はじきは皆無
○:はじき個数5個未満
△:はじき個数が5個以上10個未満
×:はじき個数が10個以上
[結晶化評価]
結晶化評価は、同じ100×100mmサイズのフレキシブルデバイス用基板につき、目視確認できる結晶化の有無を評価した。
[総合評価]
上記気泡評価、はじき評価及び結晶化評価から、下記の基準で総合評価を行った。
◎:気泡、はじき共に皆無、結晶化なし
○:気泡あり、はじき評価○、結晶化なし
△:気泡あり、はじき評価△、結晶化なし
△△:気泡あり、はじき評価△、結晶化あり
×:気泡あり、はじき評価×、結晶化なし
××:気泡あり、はじき評価×、結晶化あり
8.(ニッケルめっき層/ガラス層)界面の酸素量
実施例12、比較例1について、ガラス層内部((ニッケルめっき層/ガラス層)界面から0.4μmガラス側の箇所)の酸素量と、(ニッケルめっき層/ガラス層)界面の酸素量とを、TEM(電界放射型透過電子顕微鏡)を用いて測定した。ガラス層内部の酸素量を100%とすると、(ニッケルめっき層/ガラス層)界面における酸素量は実施例12では89.1%であるのに対し、比較例1では75.3%であった。実施例12の(ニッケルめっき層/ガラス層)界面のTEM写真を図6(A)に、比較例1の(ニッケルめっき層/ガラス層)界面のTEM写真を図6(B)にそれぞれ示した。
(実験例1〜7)
上記実施例12のフレキシブルデバイス用基板を用い、20mm×20mmの小片にカットし、ガラス層表面を下記洗浄方法により表面を洗浄した。洗浄されたガラス層表面に、下記成膜方法に従い、ニッケル、酸化インジウム錫(酸化錫10重量%)から成る下地層を形成すると共に、該下地層上にアルミニウムから成る電極層(アノード)を形成した。電極形成後のフレキシルブルデバイス用基板について以下の評価を行った。下記表6に、下地層及び電極層の種類、厚み及び成膜レート、並びに評価結果を示した。
[洗浄方法]
洗剤、イオン交換水、アルコールの順で順次洗浄し、ドライヤーで乾燥した。
[成膜方法]
(1)洗浄済みのフレキシルデバイス用基板をRFマグネトロンスパッタ装置にセットし、1×10−5Pa台まで真空を引いた。
(2)成膜チャンバー内の圧力が0.3Paになるようにアルゴン(Ar)を導入した。
(3)表6に示した成膜レートで所定時間成膜した。
[評価方法]
評価はクロスカット部とクロスカット部以外の部位の両者について、テープ剥離法で行った。
クロスカット部は以下(1)〜(4)に示すクロスカット法(JIS K5600−5−6準拠)により切り込みを入れ、テープ剥離後、25マスのうち剥離しなかったマスの数をカウントした。クロスカット部以外の領域については剥離の有無を評価した。
(1)カッターナイフを用い、成膜面に2mm間隔の直角格子パターンの切り込みを作成した(2mm間隔 25マス)。
(2)粘着テープ(特殊アクリル系粘着剤3M製PPS−15)を格子パターン上に貼り付け、プラスチック消しゴムでこすり、粘着テープを付着させる。
(3)粘着テープを試験片に対して60度に近い角度で一気に剥す。
(4)粘着テープによって剥離しなかった成膜領域のマスの数をカウントした。
本発明のフレキシブルデバイス用基板においては、優れた水分バリア性、絶縁性、ガラス層の表面平滑性及び密着性を有しており、有機EL照明、有機ELディスプレイ、有機薄膜太陽電池等の基板として好適に使用することができる。
1 フレキシブルデバイス用基板、2 有機ELデバイス用基板、10 金属基材、11 ニッケルめっき層、12 酸化物膜、13 ガラス層、14 下地層、20 電極層(Ag、Al)、21 有機薄膜発光層、22 透明電極層、23 透明封止層、24 透明封止材、25 耐食性層。

Claims (17)

  1. 金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材と、前記ニッケルめっき層又はニッケル系基材の上に電気絶縁性を有するビスマス系ガラスが層状に形成されたガラス層とを有するフレキシブルデバイス用基板であって、
    前記ニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面には、表面に凹凸を有する酸化物膜が形成されており、該酸化物膜の厚みが、40〜1200nmの範囲にあり、
    前記ビスマス系ガラスが、Biを70〜84重量%、ZnOを10〜12重量%、Bを6〜12重量%の量で含有することを特徴とするフレキシブルデバイス用基板。
  2. 前記ビスマス系ガラスが、SiO及び/又はAlを含有し、SiOの含有量が0〜2重量%、Alの含有量が0〜1重量%の量(SiO及びAlの両方がゼロの場合を含まない)である請求項1記載のフレキシブルデバイス用基板。
  3. 前記ビスマス系ガラスが、CuO及び/又はNiOを含有し、CuOの含有量が0〜2重量%、NiOの含有量が0〜2重量%の量(CuO及びNiOの両方がゼロの場合を含まない)である請求項1又は2記載のフレキシブルデバイス用基板。
  4. 前記ビスマス系ガラスが、Y、ZrO、La、CeO、TiO、CoO、Feの何れかを1.5重量%以下(ゼロを含まない)の量で含有する請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  5. 前記酸化物膜の表面の算術平均粗さ(Ra)が、30〜100nmの範囲にある請求項1〜4の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  6. 前記酸化物膜の表面の最大高さ粗さ(Rz)が、420〜900nmの範囲にある請求項1〜5の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  7. 前記ガラス層の厚みが、2〜45μmである請求項1〜の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  8. 前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に、鉄が存在する請求項1〜の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  9. 前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に存在する鉄のうち、金属鉄が3atomic%以下である請求項記載のフレキシルブルデバイス用基板。
  10. 前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層における酸素の割合が30atomic%以上である請求項1〜の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  11. 前記ニッケルめっき層表層又はニッケル系基材表層に存在するニッケルのうち、金属ニッケルの割合が20atomic%以下である請求項1〜10の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  12. 前記ガラス層の厚み方向の任意の面における酸素量を100%とした場合に、前記ガラス層とニッケルめっき層又はニッケル系基材の界面における酸素量が80%以上である請求項1〜11の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  13. 前記ガラス層の表面に、電極層形成のための下地となる下地層が形成されており、該下地層が、ニッケル、酸化インジウム錫の何れかから成る請求項1〜12の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板。
  14. 金属基材の少なくとも一方の表面にニッケルめっき層が形成されて成るニッケルめっき金属基材又はニッケル系基材を酸素含有雰囲気中で焼成することにより、ニッケルめっき層表面又はニッケル系基材表面に酸化物膜を形成する酸化物膜形成工程、
    前記酸化物膜上に、Bi,ZnO,Bを含有するビスマス系ガラス層を形成するガラス層形成工程、
    を含むことを特徴とするフレキシブルデバイス用基板の製造方法。
  15. 前記酸化物膜形成工程において、ニッケルめっき層又はニッケル系基材表面を、550〜900℃の温度で焼成する請求項14記載のフレキシブルデバイス用基板の製造方法。
  16. 前記ガラス層形成工程において、ニッケルめっき層上又はニッケル系基材上に塗工されたビスマス系ガラス組成物を、550〜900℃の温度で10〜300秒間焼成する請求項14又は15に記載のフレキシブルデバイス用基板の製造方法。
  17. 請求項1〜13の何れかに記載のフレキシブルデバイス用基板と、該フレキシブルデバイス用基板の前記ガラス層又は前記下地層の上に形成された電極層と、該電極層の上に形成された有機薄膜発光層と、該有機薄膜発光層の上に形成された透明電極層とを有することを特徴とする有機ELデバイス用基板。
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