JP6771747B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は積層体に関するものであり、例えばハードコートフィルム、反射防止フィルム、粘着フィルム、透明導電フィルム等に用いることができ、特に離型フィルムに好適に用いることができる積層体に関するものである。
透明なポリエステルフィルムは、液晶偏光板、位相差板等の光学フィルム製造時に用いる保護用フィルムとして近年多用されており、特にポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムは、粘着剤保護用離型フィルムとして用いられている。
光学フィルムの粘着層は、離型フィルムから剥離され、所定の材料に貼合されることでその機能を発揮する層である。そのため離型フィルムの基本機能は、粘着層の剥離力を経時や保管環境、保管期間により変化させず、粘着層に求められる機能を発揮させることにある。
離型フィルムの機能は、前述の基本機能に加えて、粘着層の貼合工程の作業負荷や作業時間を短くする観点から、剥離力が十分に低いこと、離型フィルム自身や、離型フィルムから剥離した粘着層の帯電による製品の故障、帯電による粘着層への埃の付着、粘着層塗布時の表面荒れを防ぐ観点から、離型フィルムの「帯電防止性」が求められている。
さらに粘着層の形成工程にて、粘着層側に離型フィルム基材の低分子量成分(オリゴマー)が移行し、粘着層中に異物が発生しないこと(以降「オリゴマーブロック性」とする)や、離型フィルム上に粘着剤を塗布−乾燥した際に、離型層が溶出しないこと(以降「溶媒密着性」とする)が求められる。
この離型フィルムに求められる上記4つの点の特性に対し、特許文献1では「平均粒子径0.5〜3.0μmのコア・シェル型粒子を表層に含有する積層ポリエステルフィルムの一方の面に、四級アンモニウム塩基含有ポリマー、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー、および架橋剤を含有する塗布液を塗布して得られたA層を有し、当該A層上に、少なくとも一種のオルガノシロキサン化合物を含有する塗布剤を塗布して形成された、厚みが10〜100nmのB層を有するポリエステルフィルムであって、当該B層上に離型層を有することを特徴とする離型ポリエステルフィルム。」が提案されている。
また特許文献2では「二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、四級アンモニウム基含有ポリマーおよび多価アルデヒド化合物を含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られた下引き層を有し、当該下引き層上に離型層を有することを特徴とする離型フィルム。」が提案されている。
さらに特許文献3では「ポリエステルフィルムおよびその少なくとも一方の面に帯電防止剤および離型剤を含む帯電防止離型層を有する帯電防止離型性ポリエステルフィルムであって、該帯電防止剤がポリオキシアルキレン鎖を含有するカチオンポリマーであり、該カチオンポリマーが、下記式(1)または下記式(2)で表わされる単量体から形成された構成単位A、および下記式(3)または下記式(4)で表わされる単量体から形成された構成単位Bを含んでなり、該離型剤がシリコーン化合物であり、含有量が帯電防止離型層の重量を基準として20重量%以上であることを特徴とする帯電防止離型性ポリエステルフィルム。」が提案されている。
特開2015−62999号公報 特開2014−226924号公報 特許第5623767号公報
かかる背景技術において、本発明が実現しようとする項目は、以下の4点である。
1.積層体の剥離力が低いこと
2.積層体が帯電防止性を有すること
3.積層体がオリゴマーブロック性を有すること
4.積層体が溶媒密着性を有すること。
これに対し、本発明者らが確認したところ前述の公知技術は以下の状況にある。
特許文献1の技術は、オリゴマーブロック性は良好だが、帯電防止性が不十分である。特許文献2の技術は、帯電防止性は良好だが、溶媒密着性が不十分である。特許文献3の技術は、帯電防止性は良好だが、オリゴマーブロック性が不十分である。
以上の点から、これらいずれの技術、またはこれらの技術の組み合わせを行っても前記4つの項目を満たすことはできない。
本発明者らは、従来技術の実情に鑑み鋭意検討の結果、以下の発明に至った。
1.支持基材の少なくとも一方の面に、アルコキシシランおよびオニウム塩を含む層Aを有することを特徴とする、積層体。
2.前記層Aに含まれるアルコキシシランが、(メタ)アクリロキシアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、アミノアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランであることを特徴とする、1.に記載の積層体。
3.前記層Aに含まれるオニウム塩が、イオン液体であることを特徴とする、1.または2.に記載の積層体。
4.前記層Aに含まれるイオン液体が、下記のカチオン化合物群に記載のカチオン化合物およびアニオン化合物群に記載のアニオン化合物から構成されるイオン液体であることを特徴とする、3.に記載の積層体。
(カチオン化合物群) ホスホニウム系カチオン化合物、アンモニウム系カチオン化合物およびピリジニウム系カチオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオン化合物。
(アニオン化合物群) 含フッ素系アニオン化合物、スルホン酸系アニオン化合物、カルボン酸系アニオン化合物および無機酸系アニオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン化合物。
5.1.〜4.のいずれかに記載の層A上に層Bを有することを特徴とする、積層体。
本発明によれば、帯電防止性、オリゴマーブロック性、溶媒密着性に優れた積層体を得ることができる。
上記課題を達成するにあたり、まず本発明者らは従来技術の問題点について以下のように考察した。まず、特許文献1に記載の技術で帯電防止性が不十分となる原因は積層構成にあり、帯電防止剤として用いられる四級アンモニウム塩基含有ポリマーを含む層Aは、層A上に層B、さらに層B上に層Cが積層されており、帯電防止性が必要な最表面からの距離が遠く、その結果帯電防止性が低下したためと考えている。
特許文献2に記載の技術で溶媒密着性が不十分となる原因は、支持基材と離型層の間にある塗布層が、離型層に対して密着性が弱いことにあり、その本質的な原因は、塗布層に含まれる成分に、離型層と密着性が良い成分を含まないためと考えている。
特許文献3に記載の技術でオリゴマーブロック性が不十分となる原因は、離型剤としてシリコーン化合物を用いているため架橋密度が低く、オリゴマーを通過させたためであると考えている。
次に、本発明の実施の形態について具体的に述べる。本発明者らは、前述の3つの課題に対して、支持基材の少なくとも一方の面に、アルコキシシランおよびオニウム塩を含む層Aを有することを特徴とすることが好ましいことを見いだした。
ここで「アルコキシシラン」とは、Si−O−Siからなるシロキサン骨格を繰り返し単位としたセグメントが、1次元から4次元に規則的またはランダムに連なることができる化合物を指す。さらにSiに有機基がついていてもよい。
層Aがアルコキシシランを含むことで、その架橋構造によりオリゴマーブロック性を発現することができる。
また「オニウム塩」とは、カチオン(陽イオン)化合物とアニオン(陰イオン)化合物を含む塩であり、水素化物のプロトン化により生じたカチオン(陽イオン)化合物を含む塩を指す。オニウム塩の具体例としては、ブロモニウム塩、ヨードニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩などがある。層Aがオニウム塩を含むことで、帯電防止性を発現することができる。
さらに層Aに含まれるアルコキシシランは、(メタ)アクリロキシアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、アミノアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランであることが好ましい。
本発明におけるアルコキシシランは、化学式1または化学式2で示される化合物で、nは0〜3の整数、mは0〜2の整数、Rは(メタ)アクリル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基、アミノ基等、Rは炭素数1から4のアルキル基、Rは炭素数1から3のアルキレン基及びそれらから導出されるエステル構造、Rは水素又は炭素数が1から4のアルキル基が好ましい。
Figure 0006771747
Figure 0006771747
また、本発明におけるアルコキシシランはアルコキシシランの加水分解縮合物であることが好ましい。加水分解縮合物とは化学式3にその一例が示されるもので、Rは(メタ)アクリル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基、アミノ基、水酸基等、Rは炭素数1から4のアルキル基が好ましい。すなわち、アルコキシシランの加水分解縮合物とは上記アルコキシシランのアルコキシ基(OR)が部分的に加水分解してシラノール基(Si−OH)になると共に、シラノール縮合することにより、シロキサン結合(Si−O−Si)を形成したものを指す。
Figure 0006771747
本発明におけるアルコキシシランの加水分解縮合物は、化学式1において、n=0(このときRは存在しない)、Rはアルキル基、すなわちテトラアルコキシシランの加水分解縮合物であることがより好ましい。テトラアルコキシシランを用いることにより、より緻密なシロキサン結合を形成することができ、オリゴマーブロック性が向上するため好ましい。
また、テトラアルコキシシランは、オリゴマーを用いることがより好ましい。オリゴマーを用いることにより、シロキサン骨格の大部分がラダー構造(緻密構造)となり、オリゴマーブロック性が向上するため好ましい。
層Aが上記アルコキシシランを含むことで、有機基、またはアルキル部分の存在により、基材との親和性が得られるため、溶媒密着性を発現することができるため好ましい。さらに層Aがシロキサン骨格を有することで、層A上に層Bを設けた際も溶媒密着性を発現することができるため好ましい。
さらに層Aに含まれるオニウム塩がイオン液体であることが好ましい。
ここで「イオン液体」とは、カチオン(陽イオン)化合物とアニオン(陰イオン)化合物を含む塩の一種であり、100℃以下で液体状態の塩を指す。イオン液体は高い電気伝導度を示すことから、優れた帯電防止性を発現することができるため好ましい。イオン液体の具体例としては、カチオン部分がイミダゾリウム系、ピリジニウム系、アンモニウム系、スルホニウム系、ホスホニウム系、ヨウ素系などがあり、アニオン部分が硫酸エステル系、ホウ酸エステル系、燐酸エステル系、スルホン酸系、ハロゲン系などがあり、その組み合わせにより得られる。
さらに層Aに含まれるイオン液体が、下記のカチオン化合物群に記載のカチオン化合物およびアニオン化合物群に記載のアニオン化合物から構成されるイオン液体であることが好ましい。
(カチオン化合物群) ホスホニウム系カチオン化合物、アンモニウム系カチオン化合物およびピリジニウム系カチオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオン化合物。
(アニオン化合物群) 含フッ素系アニオン化合物、スルホン酸系アニオン化合物、カルボン酸系アニオン化合物および無機酸系アニオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン化合物。
カチオン化合物群のホスホニウム系カチオン化合物の具体例は、テトラアルキルホスホニウムカチオン及び前記アルキル基の一部がアルケニル基に置換されたものなどが挙げられ、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラヘプチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、テトラノニルホスホニウムカチオン、テトラデシルホスホニウムカチオン、テトラドデシルホスホニウムカチオン、トリブチルメチルホスホニウムカチオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムカチオン、トリフェニルメチルホスホニウムカチオン、トリフェニルエチルホスホニウムカチオン、トリフェニルブチルホスホニウムカチオン、トリフェニルヘプチルホスホニウムカチオン、トリフェニルドデシルホスホニウムカチオン、トリフェニルヘキサデシルホスホニウムカチオン、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオンなどがある。アンモニウム系カチオン化合物の具体例は、テトラアルキルアンモニウムカチオン、前記アルキル基の一部がアルケニル基に置換されたもの、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ビピロリジニウムカチオン、ビピペリジニウムカチオンなどが挙げられ、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、テトラオクチルアンモニウムカチオン、テトラノニルアンモニウムカチオン、テトラデシルアンモニウムカチオン、テトラドデシルアンモニウムカチオン、テトラアリルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジデシルジメチルアンモニウムカチオン、ジオレイルジメチルアンモニウムカチオン、トリメチルヘキサデシルアンモニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1,1’−スピロビピロリジニウムカチオンなどがある。ピリジニウム系カチオン化合物の具体例は、1−メチルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−プロピルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−オクチルピリジニウムカチオン、1−デシルピリジニウムカチオン、1−ドデシルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシルピリジニウムカチオン、1−メチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−デシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−デシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−メチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−デシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−デシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3,5−ジエチルピリジニウムカチオン等が挙げられる。
アニオン化合物群の含フッ素系アニオン化合物の具体例は、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン、パーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、パーフルオロアルカンカルボン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、アルカンスルホン酸アニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン、[(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)]イミドアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、ペンタフルオロプロピオン酸アニオン、ヘプタフルオロブタン酸アニオン、ペンタデカフルオロオクタン酸アニオンなどがある。スルホン酸系アニオン化合物の具体例としては、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、オクタンスルホン酸アニオン、パラトルエンスルホン酸アニオン、デシルベンゼンスルホン酸アニオン、ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン、テトラデシルベンゼンスルホン酸アニオンなどがある。カルボン酸系アニオン化合物の具体例としては、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、ブタン酸アニオン、オクタン酸アニオン、デカン酸アニオン、安息香酸アニオン、サリチル酸アニオンなどがある。無機酸系アニオン化合物の具体例としては、過塩素酸アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、ホウ酸アニオンなどがある。
イオン液体は、構成するカチオン化合物とアニオン化合物の種類、または組み合わせを変更することにより、様々な物性を得ることができる。層Aに含まれるイオン液体が上記カチオン化合物群に記載のカチオン化合物およびアニオン化合物群に記載のアニオン化合物から構成されることにより、帯電防止性を発現しながら、オリゴマーブロック性、溶媒密着性を達成することができるため好ましい。
さらに、本発明の積層体は前記層A上に層Bを有する積層体であることが好ましい。なお、層A上に層Bを有する積層体を「離型フィルム」ということもある。
ここで「層B」とは、シリコーン系樹脂を含み、粘着性や接着性を有する層(粘着層、接着層)に接触した状態で使用され、粘着層や接着層の機能を損なうことなく剥離することができ、それにより粘着層や接着層を保護する機能を有する層である。
また、シリコーン系樹脂とは、ジメチルシロキサン骨格を主鎖、または側鎖に含む樹脂であり、その硬化方法により大別することができる。本発明においては、硬化型シリコーン系樹脂が好ましく、剥離力の観点から付加反応型シリコーン系樹脂がより好ましい。詳細については後述する。
以下、本発明の実施の形態について詳細を述べる。
[積層体]
本発明における積層体は、支持基材の少なくとも一方の面に、前述の条件を満たす層Aを有するものであればよく、支持基材の両方の面に層Aを有してもよい。
ここで本発明における「層」とは、前記積層体の表面から厚み方向に向かい、隣接する部位との構成元素の組成、粒子等の含有物の形状、厚み方向の物理特性が不連続な境界面を有することで区別される有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記積層体を表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(FT−IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS、EPMA、EELS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別され、有限の厚みを有する部位を指す。
[層A]
本発明の積層体では、帯電防止性、支持基材からの低分子量成分の表面移行を抑制するオリゴマーブロック性、支持基材との溶媒密着性の観点から、支持基材上に1層以上の層Aを設けることが好ましく、機能に合せて複数の層Aを設けてもよい。また、支持基材の両方の面に層Aを設けてもよい。
層Aの形成方法は、前述の条件を満たすことができれば特に限定されないが、本発明における層A用塗料組成物により形成されていることが好ましい。支持基材の製膜途中で後述する層A用塗料組成物を塗布したフィルムを作成してもよいし、支持基材の製膜後、層A用塗料組成物を支持基材に塗布し、乾燥、巻き取りを行ってもよい。
例えば層Aを塗布により形成する場合、層Aの乾燥塗布厚みは、好ましくは、10〜500nm、より好ましくは15〜200nm、さらに好ましくは15〜100nmである。塗布厚みが10nm〜500nmであると、層Aによって付与したい機能、即ち帯電防止性、オリゴマーブロック性、耐溶媒密着性と優れた塗膜品位を得ることができるため好ましい。
[層A用塗料組成物]
層A用塗料組成物は、支持基材上に塗布、乾燥することで、アルコキシシランおよびオニウム塩を含む層Aを形成することができれば特に限定されないが、層A用塗料組成物のアルコキシシランは、(メタ)アクリロキシアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、アミノアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランを含み、支持基材上に塗布、乾燥することで、その加水分解縮合物を形成できる組成物であることが好ましい。
アルコキシシランの具体例は、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランなどがある。
前記アルコキシシランの加水分解縮合物の縮合体としては、前述のアルコキシシラン、もしくはシランカップリング剤の加水分解物の2量体以上の縮合体で、いわゆるシリコーンオリゴマー、シリコーンレジン、シロキサンポリマーなどを指す。
また、層A用塗料組成物のアルコキシシランは、テトラアルコキシシランを用いることがより好ましい。テトラアルコキシシランは、オリゴマーブロック性の観点から、オリゴマーを用いることがより好ましい。反応性の観点から、オリゴマーとモノマーを併用してもよく、塗料組成物に含まれるモノマーの量は、1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。モノマーの量が1質量%未満であると、反応性向上の効果が得られない場合があり、モノマーの量が50質量%を超えると、シロキサン骨格のランダム構造化が起こりやすく、オリゴマーブロック性が低下する場合がある。
層A用塗料組成物のオニウム塩は、カチオン(陽イオン)化合物とアニオン(陰イオン)化合物を含む塩の一種であり、水素化物のプロトン化により生じたカチオン(陽イオン)化合物を含む塩を指す。オニウム塩の具体例は、ブロモニウム塩、ヨードニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩などがある。
また、層A用塗料組成物のオニウム塩は、イオン液体であることが好ましい。本発明におけるイオン液体とは、カチオン(陽イオン)化合物とアニオン(陰イオン)化合物を含む塩の一種であり、100℃以下で液体状態の塩を指す。イオン液体の具体例は、カチオン部分がイミダゾリウム系、ピリジニウム系、アンモニウム系、スルホニウム系、ホスホニウム系、ヨウ素系などがあり、アニオン部分が硫酸エステル系、ホウ酸エステル系、燐酸エステル系、スルホン酸系、ハロゲン系などがあり、その組み合わせにより得られる。
また、層A用塗料組成物のイオン液体は、前述のカチオン化合物群に記載のカチオン化合物およびアニオン化合物群に記載のアニオン化合物から構成されるイオン液体であることが好ましい。
カチオン化合物は、ホスホニウム系カチオン化合物、アンモニウム系カチオン化合物およびピリジニウム系カチオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのカチオン化合物であることが好ましく、ホスホニウム系カチオン化合物の具体例としては、テトラアルキルホスホニウムカチオン及び前記アルキル基の一部がアルケニル基に置換されたものなどが挙げられ、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラヘプチルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、テトラノニルホスホニウムカチオン、テトラデシルホスホニウムカチオン、テトラドデシルホスホニウムカチオン、トリブチルメチルホスホニウムカチオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムカチオン、トリフェニルメチルホスホニウムカチオン、トリフェニルエチルホスホニウムカチオン、トリフェニルブチルホスホニウムカチオン、トリフェニルヘプチルホスホニウムカチオン、トリフェニルドデシルホスホニウムカチオン、トリフェニルヘキサデシルホスホニウムカチオン、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオンなどがある。アンモニウム系カチオン化合物の具体例としては、テトラアルキルアンモニウムカチオン、前記アルキル基の一部がアルケニル基に置換されたもの、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ビピロリジニウムカチオン、ビピペリジニウムカチオンなどが挙げられ、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、テトラオクチルアンモニウムカチオン、テトラノニルアンモニウムカチオン、テトラデシルアンモニウムカチオン、テトラドデシルアンモニウムカチオン、テトラアリルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジデシルジメチルアンモニウムカチオン、ジオレイルジメチルアンモニウムカチオン、トリメチルヘキサデシルアンモニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1,1’−スピロビピロリジニウムカチオンなどがある。ピリジニウム系カチオン化合物の具体例としては、1−メチルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−プロピルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−オクチルピリジニウムカチオン、1−デシルピリジニウムカチオン、1−ドデシルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシルピリジニウムカチオン、1−メチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−デシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−デシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−メチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−デシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−プロピル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−デシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ドデシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオン、1−メチル−3,5−ジエチルピリジニウムカチオン等が挙げられる。
アニオン化合物は、含フッ素系アニオン化合物、スルホン酸系アニオン化合物、カルボン酸系アニオン化合物および無機酸系アニオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのアニオン化合物であることが好ましく、含フッ素系アニオン化合物の具体例としては、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン、パーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、パーフルオロアルカンカルボン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、アルカンスルホン酸アニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなどが挙げられ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン、[(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)]イミドアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、ペンタフルオロプロピオン酸アニオン、ヘプタフルオロブタン酸アニオン、ペンタデカフルオロオクタン酸アニオンなどがある。スルホン酸系アニオン化合物の具体例としては、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、オクタンスルホン酸アニオン、パラトルエンスルホン酸アニオン、デシルベンゼンスルホン酸アニオン、ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン、テトラデシルベンゼンスルホン酸アニオンなどがある。カルボン酸系アニオン化合物の具体例としては、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、ブタン酸アニオン、オクタン酸アニオン、デカン酸アニオン、安息香酸アニオン、サリチル酸アニオンなどがある。無機酸系アニオン化合物の具体例としては、過塩素酸アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、ホウ酸アニオンなどがある。
具体的なイオン液体の例としては、日本乳化剤(株)のAS100、AS200、AS300、AS400、広栄化学(株)のIL−Pシリーズ、IL−Aシリーズ、IL−Cシリーズ、IL−IMシリーズ、IL−APシリーズ、などが挙げられる。
さらに、本発明に用いられるイオン液体は反応性部位を有していてもよく、反応性部位を有するイオン液体の例としては、日本乳化剤(株)JI62J01、JI62G01、広栄化学(株)のIL−MAシリーズ、IL−Sシリーズなどが挙げられる。
層A用塗料組成物に含まれるイオン液体の量は、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜25質量%であり、さらに好ましくは3〜20質量%の範囲である。イオン液体の量が0.1質量%未満であると、帯電防止性が不十分になる場合があり、イオン液体の量が30質量%を超えると、ブリードアウトが発生する場合がある。
また、本発明における層A用塗料組成物は、金属元素を有する化合物を含むことが好ましい。金属元素を有する化合物を含むことができれば特に限定されないが、層A用塗料組成物中に金属元素を有する化合物としてアルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛および鉄より選ばれる少なくとも1種の金属元素のキレート、またはアルコレートを含有することが好ましく、アルミニウム、チタン、ジルコニウムのキレート、またはアルコレートがより好ましい。
具体的なアルミニウム元素を含むキレート、またはアルコレートの例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が例示される。
具体的なチタン元素を含むキレート、またはアルコレートの例としては、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が例示される。
具体的なジルコニウム元素を含むキレート、またはアルコレートの例としては、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が例示される。
層A用塗料組成物に含まれる金属元素を有する化合物の量は0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%であり、さらに好ましくは3〜15質量%の範囲である。金属元素を有する化合物の量が0.1質量%未満であると、層Aの硬化反応が迅速に進まない場合があり、塗布速度を遅くする必要が生じる場合がある。さらに、層Aの上に層Bを形成した場合、層Bの硬化阻害が発生し、剥離力が低下する場合がある。金属元素を有する化合物の量が30質量%を超えると、塗料組成物の経時安定性の低下、塗膜品位の低下が発生する場合がある。
本発明における層A用塗料組成物の固形分濃度は、特にこれに限定されるものではないが、層A用塗料組成物が溶媒を含む場合には、通常20質量%以下が好ましく、更には0.5〜10質量%であることが好ましい。固形分濃度が0.5質量%未満であると、基材フィルム上でハジキが発生しやすくなる場合があり、固形分濃度が20質量%を超えると粘度が高くなるため、品位が低下する場合がある。
[層B]
本発明の積層体では、帯電防止性、支持基材からの低分子量成分の表面移行を抑制するオリゴマーブロック性、支持基材との溶媒密着性の観点から、支持基材上に1層以上の層Aを設けることが好ましく、さらに層A上に層Bを設けることが好ましい。
層Bの形成方法は特に限定されないが、本発明における層B用塗料組成物により形成されていることが好ましい。層Aを有する積層体の製膜途中で後述する層B用塗料組成物を塗布したフィルムを作成してもよいし、層Aを有する積層体の製膜後、層B用塗料組成物を層A上に塗布し、その後乾燥、巻き取りを行ってもよい。
例えば層Bを塗布により形成する場合、層Bの乾燥塗布厚みは、10〜500nmであることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。層Bを上記範囲とすることで、生産性を低下させにくく安定した離型フィルムとしての基本機能と付加機能を実現させることができる。
[層B用樹脂組成物]
本発明の層B用樹脂組成物は、前述の本発明の層Bに好ましい樹脂組成物を指す。層B、または層B用樹脂組成物として、その組成は特に限定されないが、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、有機系とシリコーン系の混合もしくは共重合樹脂などが好ましく、優れた離型性や耐熱性からシリコーン系樹脂がより好ましく、特に硬化型シリコーン系樹脂が好ましい。
硬化型シリコーン系樹脂には、オルガノハイドロジェンポリロキサンとアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとを白金触媒のもとに、加熱硬化させた「付加反応型」、オルガノハイドロジェンポリロキサンと末端に水酸基を含有するオルガノポリシロキサンとを有機錫触媒を用いて加熱硬化させた「縮重合反応型」、アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとメルカプト基を含有するオルガノポリシロキサンとを光重合触媒を用いて硬化させる「ラジカル付加型」、エポキシ基をオニウム塩開始剤にて光開環させて硬化させる「カチオン重合型」があり、いずれを用いてもよいが、生産性、剥離力の観点から、オルガノハイドロジェンポリロキサンとアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとを、白金触媒のもとに加熱硬化させた付加反応型が好ましい。
本発明における層B用樹脂組成物は、好ましくは後述する層B用塗料組成物を必要に応じて乾燥工程で溶媒を除去の上、硬化することにより形成することができる。
[層B用塗料組成物、層B用樹脂前駆体]
前述の層B用塗料組成物は、前述の層B、もしくは前述の層B用樹脂組成物を形成することができる室温にて液体の性状を示す混合物であり、少なくとも後述する層Bを有する積層体の製造方法によって、層B用樹脂組成物を形成可能な材料(以降これを樹脂前駆体と呼ぶ)と、重合開始剤、硬化剤、硬化触媒を含み、さらに溶媒、粒子、帯電防止剤などの各種添加剤を含んでもよい。
層B用塗料組成物は、その組成は特に限定されないが、前述のように離型性や耐熱性の観点から、シリコーン系樹脂、特に硬化型シリコーン系樹脂を形成可能な樹脂前駆体が好ましく、「付加反応型」、「縮重合反応型」、「ラジカル付加型」、「カチオン重合型」の樹脂前駆体、および重合開始剤、硬化剤、硬化触媒を含む塗料組成物がより好ましく、「付加反応型」が最も好ましい。
付加反応型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、末端にビニル基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンとを含むものが好ましく、信越化学工業(株)社製のKS−3650、KS843、KS847、KS847H、KS847T、X62−2829、KS838、東レ・ダウコーニング(株)社製のSD7333、SRX357、SRX345、LTC310、LTC303E、LTC300B、LTC350G、LTC750A、LTC851、LTC759、LTC755、LTC761、LTC856、などが挙げられる。
縮重合反応型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、末端に水酸基を含有するポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシロキサンとを有機錫触媒を含むものが好ましく、東レダウコーニング(株)社製SRX290やSY LOFF23が挙げられる。
ラジカル付加型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、アルケニル基を含むシロキサンとメルカプト基を含むシロキサンと光重合触媒を含むものが好ましく、東レ・ダウコーニング(株)社製BY24−510HおよびBY24−544などが挙げられる。
カチオン重合型シリコーン系樹脂前駆体と触媒の具体例としては、エポキシ基を含むシロキサンと、オニウム塩開始剤を含むものが好ましく、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TPR6501、UV9300およびXS56−A2775などが挙げられる。
本発明における層B用塗料組成物の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、層B用塗料組成物が溶媒を含む場合には、通常10質量%以下であり、更には0.5〜5質量%であることが好ましい。塗料組成物の固形分濃度が0.5質量%未満であると、支持基材もしくは前述の層A上でハジキが発生しやすくなる場合があり、塗料組成物の固形分濃度が10質量%を超えると表面が粗くなる場合がある。
[その他の塗料組成物添加剤]
前述の層A用塗料組成物と層B用塗料組成物は溶媒を含んでもよく、製造適性の面から溶媒を含むことが好ましい。ここで溶媒とは塗布後の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。本発明の積層体に適した塗料組成物は、溶媒を含んでもよい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下である。
溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2−プロパノールと、n−プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
[支持基材]
本発明における支持基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等が挙げられるが、特に離型フィルムとして用いられる際に好適に使用される支持基材としては、機械的強度、耐熱性、熱寸法安定性および耐薬品性に優れ、且つ経済的である2軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
支持基材の表面には、前記層Aを形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
[積層体、離型フィルムの製造方法]
本発明の積層体における層Aは、層A用塗料組成物を支持基材上に塗布することにより形成する方法が好ましい。また、本発明の離型フィルムにおける層Bは、層A上に塗布することにより形成する方法が好ましい。
支持基材上への塗料組成物の塗布方法は特に限定されないが、塗料組成物をディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などにより支持基材等に塗布することにより層を形成することが好ましい。さらに、これらの塗布方式のうち、グラビアコート法またはダイコート法が塗布方法としてより好ましい。次いで、支持基材等の上に塗布された液膜を乾燥する。得られる積層体中から完全に溶媒を除去することに加え、塗膜の硬化を促進する観点からも、乾燥工程では液膜の加熱を伴うことが好ましい。
乾燥方法については、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)などが挙げられる。この中でも、本発明の製造方法では、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
さらに、熱またはエネルギー線を照射することによるさらなる硬化操作(硬化工程)を行ってもよい。硬化工程において、熱で硬化する場合には、室温から200℃以下であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、より好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは130℃以上200℃以下である。
また、エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)および/または紫外線(UV線)であることが好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100〜3,000mW/cm、好ましくは200〜2,000mW/cm、さらに好ましくは300〜1,00mW/cmとなる条件で紫外線照射を行うことが好ましく、紫外線の積算光量が100〜3,000mJ/cm、好ましくは200〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,500mJ/cmとなる条件で紫外線照射を行うことがより好ましい。ここで、紫外線照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計および被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
[用途]
また、本発明の積層体は、例えばハードコートフィルム、反射防止フィルム、粘着フィルム、透明導電フィルム等に用いることができ、さらに層Bを有する積層体は離型フィルムとして好適に用いることができ、特に偏光板、位相差フィルムの粘着層の保護用の離型フィルムとして好適に用いることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、同一の化合物については特記しない限り同一の製品を用いた。
[支持基材の作成]
[支持基材1]
組成を表1の通りとして、原料を、酸素濃度を0.2体積%としたベント同方向二軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を280℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への予熱温度85℃で1.5秒間予熱を行い、延伸温度115℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度85℃で1.5秒予熱を行い、延伸前半温度115℃、延伸中盤温度135℃、延伸後半温度145℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理温度230℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み19μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これを支持基材1とした。
Figure 0006771747
[塗料組成物の作成]
[層A用塗料組成物a1〜a28の作成]
層A用塗料組成物a1〜a28は、表2に示す材料と比率で混合することにより得た。なお表2中の各原材料の詳細は下記の通りである。
Figure 0006771747
[アルコキシシラン]
A1:3メタクリロキシプロピルトリメトキシシシラン(KBM−503 信越化学工業(株))
A2:3グリシドプロピルトリメトキシシラン(KBM−403 信越化学工業(株))
A3:テトラエトキシシラン(KBE04 信越化学工業(株))
A4:シランオリゴマー(KR500 信越化学工業(株))
A5:シランオリゴマー(メチルシリケート53A コルコート(株))
A6:シランオリゴマー(エチルシリケート48 コルコート(株))。
[オニウム塩]
B1:イオン液体(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株))
B2:イオン液体(KOELIQTMIL-AP3 広栄化学工業(株))
B3:イオン液体(KOELIQTMIL-A2 広栄化学工業(株))
B4:イオン液体(KOELIQTMIL-P14 広栄化学工業(株))
B5:イオン液体(KOELIQTMIL-IM1 広栄化学工業(株))
B6:アクリル基を有するイオン液体(アミノイオンASシリーズJI62J01 日本乳化剤(株))
B7:アルコキシシリル基を有するイオン液体(アミノイオンASシリーズJI62G02 日本乳化剤(株))。
[アルコキシシランの加水分解縮合反応触媒、架橋剤(金属元素を含む化合物)]
C1:アルミニウムトリスアセチルアセトネート(A−1013R マツモトファインケミカル(株))
C2:アルミニウムイソプロポキシド(A−1010 マツモトファインケミカル(株))
C3:チタンアセチルアセトネート(TC−100 マツモトファインケミカル(株))
C4:ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(ZC−150マツモトファインケミカル(株))
C5:鉄アセチルアセトネート(アセトープFe ホープ製薬(株)。
[他添加剤]
D1:光重合開始剤(イルガキュア184 BASFジャパン(株)。
[溶媒]
E1:イソプロピルアルコール
E2:メチルエチルケトン。
[層A用塗料組成物a29の作成] 下記材料を混合し層A用塗料組成物a29を得た。
・ポリエチレングリコールポリグリシジルエーテル:0.885質量部
(SR−4GL 阪本薬品工業(株)製)
・イオン液体:0.088質量部
(アミノイオンAS100 日本乳化剤(株)製)
・アルミニウムトリスアセチルアセトネート:0.027質量部
(A−1013R マツモトファインケミカル(株)製)
・イソプロピルアルコール:49.5質量部
・メチルエチルケトン:49.5質量部。
[層B用塗料組成物b1、b2の作成]
[層B用塗料組成物b1] 下記材料を混合し層B用塗料組成物b1を得た。
・メチルビニルポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液:10質量部 (KS847H 信越化学工業(株)製 固形分濃度 30質量%)
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液:0.1質量部(PL−50T 信越化学工業(株)製)
・トルエン:10質量部
・ヘプタン:10質量部。
[層B用塗料組成物b2] 下記材料を混合し層B用塗料組成物b2を得た。
・メチルヘキシレンポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液:10質量部(LTC750A 東レダウコーニング(株)製 固形分濃度 30質量%)
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液:0.1質量部(SRX212 東レダウコーニング(株)製)
・トルエン:10質量部
・ヘプタン:10質量部。
[積層体の作成]
以下の積層体の作成−c1〜c11にしたがって積層体を得た。
[積層体の作成−c1]
厚み38μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R60)に、層A用塗料組成物を、乾燥・硬化後の塗布厚みが40nmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で3秒乾燥硬化し、積層体を得た。
[積層体の作成−c2]
厚み38μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R60)に、層A用塗料組成物を、乾燥・硬化後の塗布厚みが40nmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で3秒乾燥硬化した。
次いで、5分以内に層B用塗料組成物を、乾燥後の塗布厚みが80nmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化し、積層体を得た。
[積層体の作成−c3]
厚み38μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R60)に、層A用塗料組成物を、乾燥・硬化後の塗布厚みが40nmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で3秒乾燥硬化した。
次いで、5分以内に層B用塗料組成物を、乾燥後の塗布厚みが80nmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化し、次いで高圧水銀灯にて、100mJ/cmの紫外線を照射して積層体を得た。
[積層体の作成−c4]
前記積層体の作成−c1に対し、層A用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを20nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、積層体を得た。
[積層体の作成−c5]
前記積層体の作成−c1に対し、層A用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを60nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、積層体を得た。
[積層体の作成−c6]
前記積層体の作成−c1に対し、層A用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを15nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、積層体を得た。
[積層体の作成−c7]
前記積層体の作成−c1に対し、層B用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを50nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、積層体を得た。
[積層体の作成−c8]
前記積層体の作成−c1に対し、層B用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを150nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、積層体を得た。
[積層体の作成−c9]
前記積層体の作成−c1に対し、層B用塗料組成物の乾燥・硬化後の塗布厚みを30nmとなるようにグラビアコーターで塗布した以外は同様にして、積層体を得た。
[積層体の作成−c10]
前記積層体の作成−c1に対し、層A用塗料組成物を塗布せず、層B用塗料組成物のみを乾燥後の塗布厚みが80nmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化して積層体を得た。
[積層体の作成−c11]
厚み19μmのポリエステルフィルム(支持基材1)に、層A用塗料組成物を、乾燥・硬化後の塗布厚みが40nmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で3秒乾燥硬化した。
次いで、5分以内に層B用塗料組成物を、乾燥後の塗布厚みが80nmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化し、積層体を得た。
以上の方法により実施例1〜35、比較例1〜4の積層体を作成した。各実施例と比較例の層A、層Bの塗料組成物、層A、層Bの厚み、製造方法を表3に記載した。
Figure 0006771747
[積層体の評価]
作成した積層体について、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表4に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において、1つのサンプルにつき場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
[剥離力(常温)]
積層体の層B形成面に粘着テープ(日東電工(株)製、ポリエステルテープ商品名31B:以下31Bテープ)を、5kgfのゴムローラーを1往復させて圧着し、20℃65%RH24時間放置後、引張り試験機を用いて300mm/分の速度で180°剥離した時の応力を測定した。剥離力は0.13mN以下を合格とした。
[耐溶媒密着性1]
テスター産業社製、学振型摩擦試験機II型を用いて、積層体の層A表面に対し、トルエン約1mlを染み込ませた綿布(金巾3号)で荷重200gf×30往復擦過し、積層体についた溶剤を乾燥させた後、目視で下記判定基準により層Aの脱落程度を判定し、2点以上を合格とした。
3点:層Aの脱落がない
2点:層Aの白化が見られるが、脱落はない
1点:層Aの脱落あり。
[耐溶媒密着性2]
テスター産業社製、学振型摩擦試験機II型を用いて、積層体の層B表面に対し、トルエン約1mlを染み込ませた綿布(金巾3号)で荷重200gf×30往復擦過し、積層体についた溶剤を乾燥させた後、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)社製No.31Bテープ、18mm幅)を、5kgfローラーで圧着させながら貼り合わせ、1時間放置し、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の荷重を測定した。この剥離力をトルエン含浸綿布で擦過した後の層B形成面の剥離力とした。
上記測定に用いたサンプルとは別の積層体の層B形成面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)社製No.31Bテープ、18mm幅)を、5kgfローラーで圧着させながら貼り合わせ、1時間放置し、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の荷重を測定し、この剥離力を初期の層B形成面の剥離力とした。
この結果を以下の数式に当てはめて、耐溶媒密着性を計算した。耐溶媒密着性が85%以上を合格とした。
耐溶媒密着性=A/B×100
A:初期の層B形成面の剥離力
B:トルエン含浸綿布で擦過した後の層B形成面の剥離力。
[帯電防止性・・・初期の表面抵抗値]
23℃×65%RH環境下にて、表面抵抗測定機(三菱化学(株)製 ハイレスターUX 検出上限値 9×1014Ω/□)を用い、積層体の層形成面側の任意の3点を測定した。その平均値を初期の表面抵抗値とし、9×1012Ω/□以下を合格とした。
[オリゴマーブロック性・・・ヘイズ上昇値]
積層体を160℃、10分間熱処理を行い、積層体の層形成面と反対面の析出物をエタノールで拭き取り、層形成面だけのオリゴマーによるヘイズを測定した。また、支持基材の両面に層Aが形成されている積層体である場合は、エタノールの拭き取りは実施せず、ヘイズを測定することとする。日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH2000(JIS K7136(2000年版))により、ヘイズを測定した。また、熱処理を行ってない積層体も同様にヘイズを測定し、熱処理した該積層体のヘイズの値から差し引いて、熱処理で発生したオリゴマーによるヘイズの上昇値として評価した。ヘイズの上昇値として0.5%以下を合格とした。
表4に評価結果をまとめた。
Figure 0006771747
本発明の積層体は、例えば偏光板、位相差フィルムの粘着層の保護用途に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 支持基材の少なくとも一方の面に、アルコキシシランおよびオニウム塩を含む層Aを有し、前記層A上に層Bを有し、前記層Bがアルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、及び有機系とシリコーン系の混合または共重合樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含むことを特徴とする、離型フィルム
  2. 前記層Aに含まれるアルコキシシランが、(メタ)アクリロキシアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、アミノアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランであることを特徴とする、請求項1に記載の離型フィルム
  3. 前記層Aに含まれるオニウム塩が、イオン液体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の離型フィルム
  4. 前記層Aに含まれるイオン液体が、下記のカチオン化合物群に記載のカチオン化合物およびアニオン化合物群に記載のアニオン化合物から構成されるイオン液体であることを特徴とする、請求項3に記載の離型フィルム
    (カチオン化合物群) ホスホニウム系カチオン化合物、アンモニウム系カチオン化合物およびピリジニウム系カチオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオン化合物。
    (アニオン化合物群) 含フッ素系アニオン化合物、スルホン酸系アニオン化合物、カルボン酸系アニオン化合物および無機酸系アニオン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン化合物
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