JP6771320B2 - ダム施工用の測量用写真撮影方法、これを利用したダム施工用の出来形管理図生成方法、コンクリート打設量算出方法、出来形管理図生成システム及びコンクリート打設量算出システム並びに出来形管理図生成支援プログラム - Google Patents
ダム施工用の測量用写真撮影方法、これを利用したダム施工用の出来形管理図生成方法、コンクリート打設量算出方法、出来形管理図生成システム及びコンクリート打設量算出システム並びに出来形管理図生成支援プログラム Download PDFInfo
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また、一般に写真測量においては、撮影対象領域を、異なる複数の位置から複数の撮影画像に分割して撮影すると共に隣接する撮影画像で撮影領域の一部が重複(ラップ)するように撮影を行う。そして、この撮影により得られた複数の撮影画像データから、SFM(Structure from motion)やSFIT(Scale-invariant feature transform)などの画像処理をベースとした3次元形状復元技術や撮影位置推定技術を用いて撮影対象領域の3次元点群データを生成する。更に、生成した3次元点群データから、3次元CADソフトを用いてTIN(triangulated irregular network)モデルを生成することで、測量データを得ている。
また、3次元CADソフトを用いて、3次元点群データからTINモデルを生成し、所望の座標情報を取得して必要な出来形管理図を生成するためには、3次元CADソフトの操作をある程度熟知している必要がある。そのため、操作に慣れていない作業者にとっては困難な作業となる。
また、写真測量技術を利用してダム提体の岩着部を含むコンクリート打設区画の出来形管理図を生成する際の3次元CADソフトの操作を支援する出来形管理図生成支援プログラムを提供することを第2の目的としている。
また、上記第6の態様に係る出来形管理図生成支援プログラムによれば、上記出来形管理図の生成に3次元CADソフトを利用する際に、3次元CADソフトの複雑な画面操作を自動化又は半自動化することが可能となるので、3次元CADソフトの操作が不得手な作業者でも手軽に出来形管理図を生成することが可能となる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下、重力式コンクリートダムの施工手順の一部を大まかに説明する。ここで、本実施形態では、ダムの施工方法として拡張レヤ工法を適用した場合を例に挙げて説明する。
(1)図1(a)に示すような河川を囲む地山100の同図中の破線で示すダムサイト100dの範囲内を掘削して岩盤を露出させる。加えて、露出させた岩盤の表層の土砂や風化岩を除去する。これによって、図1(b)に示すように、ダム提体の底面を支持する基礎地盤101、上流側から見てダム提体の右側面を支持する右岸基礎岩盤102及びダム提体の左側面を支持する左岸基礎岩盤103を露出させる。更に、グラウチングを行って、基礎地盤101、右岸基礎岩盤102及び左岸基礎岩盤103の強度、変形性及び遮水性等を改良する。なお、図1(b)中の破線で示す部分が、ダム提体を建設する領域であるダム提体領域104となる。
具体的に、図2に示すように、大区画の上流側及び下流側にそれぞれダム提体の型枠として下流側型枠301及び上流側型枠302(以下、単に「型枠301及び302」と略記する場合がある)を設置する。ここで、下流側型枠301は、ダム提体の下流側の面が傾斜面となるため上流側に向かって斜めに立ち上がっている。なお、図2に示すように、破線で区切られた区画が小区画となり、複数の連続する小区画から大区画が形成される。
(5)型枠301及び302の高さ分のコンクリートの打設を完了後は、型枠301及び302をリフトアップする。そして、リフトアップ後の大区画に対して、コンクリートを打設する。
上記(3)〜(5)を繰り返し、大区画の型枠の設置又はリフトアップ及び一定リフト高さのコンクリートの打設の一連の施工を、本実施形態では、図2に示すように、左岸から右岸に向かって行う。即ち、一度に打設可能な大区画毎に左岸から右岸に向かって面状にコンクリートを打設していく。このようにして、ダム提体を構築する。
また、ダム提体の右岸基礎岩盤102及び左岸基礎岩盤103との岩着部を含むコンクリート打設区画は、型枠301及び302の設置前及びリフトアップ前に、右岸保護部201及び左岸保護部202の一部を掘削する。具体的に、予め設定された範囲(例えば、5〜6リフト分)の保護モルタルを掘削してダム提体の側面を岩着する岩盤面、即ち岩着面を露出させる。
ここで、岩盤面を測量する際に、従来は、TS等の測量機械を用いて作業者2名以上にて1リフト毎に岩着面の測量を行っていた。これに対して、本実施形態では、デジタルカメラによる写真測量を用いて1人の作業者によって複数リフト分を一度に測量する。
岩着区画に型枠を設置する際又は岩着区画に既設の型枠をリフトアップする際に、図3に示すように、まず、ステップS1に移行する。
ステップS1では、型枠の設置前又はリフトアップ前に、予め設定された範囲の保護モルタル部分を掘削する。その後、ステップS2に移行する。
ここで、保護モルタルの掘削範囲は、例えば、ダム提体の総リフト数をN(例えば、N=40)として、Mリフト(Mは2≦M<Nの自然数)分の範囲となる。なお、後述する撮影諸元で精度良く撮影を行うためには、1リフトを1.5[m]としてMを5〜6に設定するのが望ましい。
保護モルタルを掘削することによって、右岸基礎岩盤102のダム提体が岩着する部分である右岸岩着面部102aを露出させる。なお、左岸側を施工する場合も同様に、型枠設置前又はリフトアップ前に、例えば左岸保護部202の5リフト分の保護モルタルを掘削して、左岸基礎岩盤103のダム提体が岩着する部分である左岸岩着面部103aを露出させる。
ステップS2では、右岸岩着面部102a又は左岸岩着面部103aのうち今回の撮影対象の岩着面部を含む撮影対象領域内に3点以上の基準点を設定する。その後、ステップS3に移行する。
ここで、型枠の位置は事前にTS等の測量機械による測量(以下、「型枠測量」と記載する場合がある)によって正確な位置が測量されている。そこで、本実施形態では、この3次元座標が既知の型枠の位置を基準点として利用している。
左岸側も同様に、図5(a)及び図7に示すように、左岸岩着区画RCLに型枠を設置後又は既設の型枠のリフトアップ前に、下流側左型枠部301L及び上流側左型枠部302Lの左岸岩着面部103aと接する端部の上側角部をそれぞれ左岸第1基準点502a及び左岸第2基準点502bに設定する。更に、これらの略中間位置で、かつ左岸岩着面部103a上の任意の高さ位置に、左岸第3基準点502cを設定する。
ここで、本実施形態では、図4(c)及び図6(a)に示すように、撮影対象領域を、地上又は養生後のコンクリート上(ダム提体の既設部上)から、デジタルカメラDCによって撮影する。即ち、岩着区画に型枠301及び302を設置時は、コンクリートの打設前となるため地上から撮影し、岩着区画の型枠301及び302のリフトアップ時は、コンクリートの打設後となるので既設部上から撮影する。
また、撮影前の準備として、撮影諸元の設定を行う。本実施形態では、写真測量によって得た測量データから、最終的に、岩着区画の出来形を3次元モデルで表現すると共に、この出来形のデータから岩着区画の1リフト毎のコンクリート打設量を算出する。そのため、本実施形態では、計測精度を2[cm]に設定する。具体的に、2[cm]の計測精度を確保するため、GSD(Ground Sample Distance:地上サンプル距離)が0.4[cm]以下となるように撮影諸元(焦点距離、撮影距離等)を設定する。
撮影諸元の設定後は、例えば、図6(a)及び(b)に示すように、右岸側の撮影対象領域550を、地上又はダム提体の既設部上の異なる複数の撮影位置から、デジタルカメラDCによって、撮影位置のそれぞれで複数枚ずつ撮影する。加えて、隣接する撮影画像同士で撮影領域の一部が重複(ラップ)するように撮影を行う。これにより、撮影対象領域550が、複数の撮影領域に分割された複数の撮影画像を得る。以下、この撮影方法を「ステレオ撮影」と記載する場合がある。
具体的に、作業者は、図6(b)に示すように、撮影距離をなるべく保ちながら、右岸岩着面部102aの幅方向の一方の側から他方の側に向かって移動しつつ複数箇所で立ち止まり、その立ち止まった際に、図6(a)に示すように、高さ方向の撮影角度を変えながら複数枚の撮影を行う。例えば、幅方向に所定距離(例えば、2[m])を移動しては立ち止まり、立ち止まった位置で複数枚を撮影といった動作を、幅方向の一方の側から他方の側まで繰り返し行う。
また、図6(b)に示すように、撮影対象領域550内には、右岸第1〜第3基準点501a〜501cが含まれており、ラップ状態で連続する複数の撮影領域のいずれかに、これら3つの基準点が必ず写り込むように撮影する。図6(b)の例では、撮影領域560g及び560nに右岸第1基準点501aが、撮影領域560j及び560qに右岸第2基準点501bが、撮影領域560i及び560hに右岸第3基準点501cが含まれている。なお、左岸側も右岸側と同様の要領で撮影を行う。
ステップS5では、ステップS4で生成した3次元点群データから、3次元CADソフトを用いて、撮影対象領域に含まれる岩着区画に対応する出来形管理図を生成する。その後、ステップS6に移行する。
ステップS7では、コンクリート打設量が確定した岩着区画に対して、型枠のリフトアップが必要な場合はリフトアップを行ってから1リフト毎にコンクリートの打設を行う。その後、一連の処理を終了する。
具体的に、図4(d)に示すように、前回の保護モルタルの掘削範囲(例えば、5リフト分)に対してコンクリートの打設が完了し、岩着区画の手前の区画まで型枠のリフトアップが完了したとする。なお、図4(d)中の符号401は、打設済のコンクリートから構成されるダム提体の既設部である。この状況において、岩着区画の型枠のリフトアップを行う前に、例えば、図4(e)に示すように、右岸保護部201の次の範囲の保護モルタルが掘削される。
次に、上記ステップS4〜S6の3次元点群データの生成、出来形管理図の生成、及びコンクリート打設量の算出を行うシステムである、本実施形態に係る岩着部施工情報生成システム1について説明する。
この岩着部施工情報生成システム1は、図8に示すように、出来形情報生成装置2と、点群データ生成装置3とを備える。出来形情報生成装置2と、点群データ生成装置3とは、インターネット700を介して相互にデータ通信可能に接続されている。
出来形情報生成装置2は、3次元CADソフトによって、撮影対象領域の3次元点群データから、岩着面のTINモデルの生成、及び岩着区画の出来形管理図の生成を行う。更に、生成した出来形管理図のデータから撮影対象領域に含まれる岩着区画の1リフト毎のコンクリート打設量を算出する。
次に、出来形情報生成装置2の具体的なハードウェア構成を説明する。
出来形情報生成装置2は、図9に示すように、コンピュータシステムとして、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)21と、ROM(Read Only Memory)22とを備える。加えて、入出力インターフェース(I/F)24と、データ転送用の各種内外バス25とを備える。
このコンピュータシステムは、CPU20、RAM21及びROM22との間を各種内外バス25で接続していると共に、このバス25に入出力I/F24を介して、入力装置40、表示装置41、通信装置42、記憶装置43及びメモリカードリーダ44が接続されている。
入力装置40は、マウスやキーボードなどの周知のヒューマンインターフェースデバイスから構成される。
通信装置42は、LAN、WAN等のネットワーク上の外部装置と通信するためのデバイスであり、一般にLANカード等と呼ばれる周知のネットワークアダプタなどから構成される。通信装置42は、ネットワークケーブルを介してルータやハブ等に接続され、これらを介して、出来形情報生成装置2をインターネット700に接続する。
メモリカードリーダ44は、本実施形態では、デジタルカメラDC等の電子機器で用いられているデータ記憶用のメモリカードからデータを読み出す装置である。
次に、出来形情報生成装置2の具体的な機能構成を説明する。
出来形情報生成装置2の機能構成部50は、図10に示すように、Webブラウザ機能部51と、データ通信制御部52と、出来形管理図生成支援部53と、3次元CAD機能部54と、打設量算出部55とを備える。なお、これら各構成部の機能は、CPU20によって、各種プログラムを実行することで実現される機能となる。
Webブラウザ機能部51は、公知のWebブラウザと同等の機能を有している。本実施形態のWebブラウザ機能部51は、主に点群データ生成装置3の提供する点群データ生成サービスを利用する際に用いられる。即ち、Webブラウザ機能部51は、入力装置40を介した、点群データ生成装置3の提供する3次元点群データ生成サービス用のWebページのURLの入力に応じて、データ通信制御部52を介して、点群データ生成装置3にアクセスする。そして、点群データ生成装置3からWebページのデータを受信し、受信したデータに基づき3次元点群データ生成用のWebページを表示装置41に表示する。
更に、Webブラウザ機能部51は、点群データ生成装置3で3次元点群データが生成された後は、入力装置40を介した作業者の3次元点群データの表示指示の操作入力に応じて、指定された3次元点群データを表示装置41に表示する。
データ通信制御部52は、Webブラウザ機能部51等の機能構成部からのデータ送信要求に応じて、通信装置42を介して、インターネット700に接続された点群データ生成装置3等の外部装置へとデータを送信する。また、インターネット700を介して外部装置から出来形情報生成装置2に送信されてきたデータを、通信装置42を介して受信し、受信したデータを、対応する機能構成部へと出力する。
この画面操作の自動化は、例えば、画像認識技術を用いて行う。即ち、画面操作時にマウスでクリックされるドロップダウンマーク等のマークや文字等を画像認識し、認識した画像位置をマウスでクリックする操作入力情報を生成する。そして、この操作入力情報を、3次元CADソフトに入力することで、作業者がマウスを操作することなく認識された画像をクリックする。この自動化を行うプログラムは、例えば、公知のソフトウェアであるSikuliを利用することで容易に作成可能である。Sikuliは、画像認識を使ってUI(User Interface)の操作を自動化するソフトウェアである。
TINモデル生成部54aは、岩着面部分を含む撮影対象領域の3次元点群データと現場測量データ(CAD平面図データ)とから岩着面部分のTINモデルを生成する機能を有している。なお、このような機能を有する3次元CADソフトとしては、例えば、オートデスク社の「AutoCAD Civil3D(登録商標)」等がある。
等高線座標情報抽出部54bは、岩着面部分のTINモデルから、入力された高度に対応する等高線座標情報を抽出する機能を有している。
打設量算出部55は、岩着区画の出来形管理図から読み取れるコンクリート打設量の算出に必要な情報(岩着区画の平面積又は平面積を算出するのに必要な情報など)の入力に応じて、対応する高度の岩着面部分の1リフト分のコンクリート打設量を算出する。例えば、前回の平面積と今回の平面積とを足して2で割り、この結果に1リフト分の高さ(例えば1.5[m])を乗算することで次に打設する1リフト分のコンクリート打設量を算出する。そして、今回の平面積と算出したコンクリート打設量とを高度情報等と対応付けて記憶装置43に記憶すると共に算出したコンクリート打設量を表示装置41に表示する。
次に、出来形管理図生成支援部53で実行される出来形管理図生成支援処理の処理手順を説明する。
CPU20において、出来形管理図生成支援プログラムが実行され出来形管理図生成支援処理が開始されると、図11に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、出来形管理図生成支援部53において、OKボタン画像及び取消ボタン画像を含む開始選択用のポップアップ画像を表示装置41に表示する。その後、ステップS102に移行する。
ステップS102では、出来形管理図生成支援部53において、入力装置40を介した操作入力によってOKボタン画像が押下されたか否かを判定する。そして、OKボタン画像が押下されたと判定した場合(Yes)は、ステップS104に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS120に移行する。
ここで、第1の操作情報IN1は、例えば、TS等によって測量されたダムサイトの測量図面(CAD平面図)に、3次元点群データを貼り付ける画面操作の入力情報、3次元点群データからTINモデルを生成するための詳細設定をする画面操作の入力情報などが含まれる。
ステップS106では、出来形管理図生成支援部53において、抽出する等高線座標の高度の入力を促すメッセージ画像とOKボタン画像とを含む高度入力用のポップアップ画像を表示装置41に表示する。その後、ステップS108に移行する。
ステップS110に移行した場合は、出来形管理図生成支援部53において、等高線俯瞰表示されたTINモデルから、入力高度に対応する等高線座標情報を抽出するのに必要な画面操作を行う操作入力情報である第3の操作情報IN3を、3次元CAD機能部54の等高線座標情報抽出部54bに入力する。そして、入力高度に対応する等高線座標情報の抽出後に、ステップS112に移行する。
ステップS114では、出来形管理図生成支援部53において、生成された出来形管理図の保存名の入力を促すメッセージ画像とOKボタン画像とを含む保存名入力用のポップアップ画像を表示装置41に表示する。その後、ステップS116に移行する。
ステップS118に移行した場合は、出来形管理図生成支援部53において、入力された保存名で出来形管理図の画像データを記憶装置43に保存するのに必要な画面操作を行う操作入力情報である第5の操作情報IN5を3次元CAD機能部54の出来形管理図生成部54cに入力する。その後、一連の処理を終了する。
一方、ステップS102において、OKボタン画像が押下されずにステップS120に移行した場合は、出来形管理図生成支援部53において、取消ボタン画像が押下されたか否かを判定する。そして、取消ボタン画像が押下されたと判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS102に移行する。
次に、3次元CAD機能部54で実行される出来形管理図生成処理の処理手順を説明する。
CPU20において、3次元CADソフトが起動されると、図12に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、3次元CAD機能部54において、第1の操作情報IN1が入力されたか否かを判定する。そして、第1の操作情報IN1が入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、第1の操作情報IN1が入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS203では、3次元CAD機能部54において、第2の操作情報IN2が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS204に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、第2の操作情報IN2が入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS206では、3次元CAD機能部54において、第3の操作情報IN3が入力されたか否かを判定する。そして、第3の操作情報IN3が入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS208に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、第3の操作情報IN3が入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS210では、3次元CAD機能部54において、第4の操作情報IN4が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS212に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、第4の操作情報IN4が入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS214では、3次元CAD機能部54において、第5の操作情報IN5が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS214に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、第5の操作情報IN5が入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS216に移行した場合は、3次元CAD機能部54の出来形管理図生成部54cにおいて、生成した出来形管理図を、入力された保存名で記憶装置43に保存する。その後、一連の処理を終了する。
次に、図4〜図7を参照しつつ図13〜図15に基づき、本実施形態の動作を説明する。
いま、重力式コンクリートダムの施工中に、岩着区画に既設の型枠301及び302のリフトアップを行うために、図4(e)に示すように、右岸保護部201を構成する5リフト分(例えば地上から6〜10リフト目)の保護モルタルの掘削が行われたとする。
保護モルタルが掘削され右岸岩着面部102aが露出すると、測量用写真を撮影する作業者は、図7に示すように、リフトアップ前の型枠301及び302のそれぞれ右岸側岩着面と対向する端部の上側角部に対空標識600を設置する。これによって、右岸第1基準点501a及び右岸第2基準点501bを設定する。続いて、TS等によって、右岸第1基準点501a及び右岸第2基準点501bの中央位置で、かつ所定高さ位置の右岸岩着面部102a上に対空標識600を設置する。これによって、右岸第3基準点501cを設定する。
作業者は、撮影が可能であると判断すると、撮影距離10[m]以下で、右岸岩着面部102aと、右岸第1〜第3基準点501a〜501cとを含む撮影対象領域を、図6(a)及び(b)に例示した要領でステレオ撮影する。
続いて、作業者は、撮影対象領域の3次元点群データを生成するために、出来形情報生成装置2のメモリカードリーダ44にデジタルカメラDCから取り外したメモリカードを挿入する。
その後、作業者は、入力装置40を操作して、Webブラウザを起動し、Webブラウザ機能部51を機能させる。これにより、表示装置41にブラウザ画面(図示省略)が表示される。続いて、ブラウザ画面のURL入力欄に、3次元点群データ生成サービス用のWebページのURLを入力して、点群データ生成装置3にアクセスする。これによって、点群データ生成装置3からWebページのログイン画面のデータをダウンロードする。これによって、表示装置41に3次元点群データ生成サービス用のログイン画面(図示省略)が表示される。
出来形情報生成装置2は、Webページのデータを受信すると、このデータに基づきWebページを表示装置41に表示する。作業者は、Webページが表示されると、画面の案内に従って、入力装置40を操作し、メモリカードに記憶された複数の撮影画像データからアップロードする撮影画像データを選定する。加えて、基準点の3次元座標情報等の必要な情報を画面の各入力欄に入力する。そして、画面に表示された送信指示ボタン画像を押下する。これによって、選定した撮影画像データ及び入力情報が、インターネット700を介して点群データ生成装置3に送信される。なお、撮影画像データの選定は、右岸岩着面部102aの全域及び右岸第1〜第3基準点501a〜501cが含まれるように行う。
点群データ生成装置3は、3次元点群データ1020を生成後に、出来形情報生成装置2からの3次元点群データ1020のダウンロード要求を受信すると、3次元点群データ1020を出来形情報生成装置2に送信する。
作業者は、3次元点群データ1020をダウンロードすると、3次元CADソフトを起動して、3次元CAD機能部54を機能させる。これによって、3次元CADの操作画面が表示装置41に表示される。引き続き、作業者の入力装置40を介した操作入力によって、出来形管理図生成支援部53を機能させる。これにより、表示装置41には、出来形管理図の生成を開始するためのOKボタン画像、及び取り消すための取消ボタン画像を含む開始選択用のポップアップ画像が表示される。
出来形管理図生成支援部53は、まず、予め指定された3次元点群データからTINモデルを生成するために必要な一連の画面操作を行う操作入力情報である第1の操作情報IN1を、3次元CAD機能部54のTINモデル生成部54aに入力する。
これによって、3次元CADソフトの操作画面が自動で操作され、等高線座標情報抽出部54bにおいて、図13(d)に示すような、TINモデル1021の等高線俯瞰図1022が表示装置41に表示される。その後、3次元CADの操作画面上に、抽出する等高線座標情報の高度を入力する高度入力画面(図示省略)が表示される。
ここでは、作業者が、高度入力用のポップアップ画像の高度入力欄に高度を入力しかつOKボタン画像を押下したとする。
これによって、3次元CADソフトの操作画面が自動で操作され、等高線座標情報抽出部54bにおいて、3次元CADソフトの高度入力画面に高度が入力され、等高線俯瞰図1022から、入力高度に対応する等高線座標情報が抽出される。
これによって、3次元CADソフトの操作画面が自動で操作され、出来形管理図生成部54cにおいて、図14(a)に示す、抽出された等高線座標情報で表される等高線画像1023と、図14(b)に示す、ダム提体断面図1024とが合成される。
具体的に、出来形管理図生成部54cは、等高線画像1023を、ダム提体断面図1024の目盛画像1025上の対応する座標位置に挿入する。これにより、図14(c)に示す、入力高度に対応する岩着区画の出来形管理図1027を生成する。
ここでは、作業者が、保存名入力用のポップアップ画像の保存名入力欄に保存名を入力しかつOKボタン画像を押下したとする。
これにより、出来形管理図生成支援部53は、入力された保存名で出来形管理図1027を保存するのに必要な3次元CADソフトの画面操作を行う操作入力情報である第5の操作情報IN5を、3次元CAD機能部54の出来形管理図生成部54cに入力する。
作業者は、出来形管理図1027が生成されると、対応する岩着区画のコンクリートの打設に必要なコンクリート打設量を算出するための情報を、例えば、3次元CADソフトを用いて、出来形管理図1027から抽出する。例えば、入力高度の岩着区画の平面積を抽出する。そして、抽出した平面積の情報を、入力装置40を介して、打設量算出部55に入力する。
その後、生成した出来形管理図1027や算出したコンクリート打設量を用いて、発注者への報告と確認を行い、算出したコンクリート打設量に対して発注者の認可を得る。
ここで、図15に示すように、上記測量用写真の撮影作業は、岩着面の幅にもよるが、一般的な中型ダムの規模で大体20分ほどかかる。また、上記写真の選定及びアップロード作業は、撮影写真の枚数にもよるが大体40分くらいかかる。また、3次元点群データ1020から出来形管理図1027を生成するまでにかかる作業時間は大体5分となる。一方、上記3次元点群データ1020を生成するまでにかかる時間は、大体6時間ほどとなるが、アップロード後の作業は点群データ生成装置3側で行われるため、作業者の作業時間としては0分となる。従って、測量用写真の撮影から出来形管理図1027を生成するまでにかかる作業者の総作業時間は、大体65分となる。なお、3次元点群データの生成コストは1モデル「750円」となる。
上記実施形態において、岩着部施工情報生成システム1は、ダム施工用の出来形管理図生成システム及びコンクリート打設量算出システムに対応し、メモリカードリーダ44は、撮影画像データ取得部に対応する。
また、Webブラウザ機能部51は、基準点座標取得部に対応し、点群データ生成装置3は、点群データ生成部に対応し、等高線座標情報抽出部54bは、等高線座標情報取得部に対応し、記憶装置43は、提体座標情報記憶部に対応する。
実施形態に係るダム施工用の測量用写真撮影方法によれば、右岸保護部201又は左岸保護部202を構成する保護モルタルのうち予め設定された掘削範囲(例えば5〜6リフト)を掘削後の右岸岩着面部102a又は左岸岩着面部103aを含む撮影対象領域内に、3次元座標情報が既知の1点以上の基準点を設定する。具体的に、右岸岩着面部102a又は左岸岩着面部103a上に1点以上の基準点(右岸第3基準点501c又は左岸第3基準点503c)を設定する。加えて、ダム提体の上流側及び下流側にそれぞれ設置された型枠301及び302の岩盤面と対向する位置の2箇所の型枠部(右岸側は型枠部301R及び302R、左岸側は型枠部301L及び302L)の上角部を基準点として利用する。具体的に、型枠部301R及び302R又は型枠部301L及び302Lの上角部にそれぞれ対空標識600を設置して、撮影対象領域内に3点以上の基準点が含まれるようにする。これによって、左岸第1〜第2基準点501a〜501b又は右岸第1〜第2基準点502a〜502bを設定する。即ち、型枠の位置は型枠測量により正確な位置が既知であることから、型枠部に基準点を設定するようにした。
これにより、写真測量に必要な基準点の測定の手間を軽減することが可能となる。加えて、地上又はダム提体の既設部上から写真撮影する構成としたのでUAVを用いた空撮と比較して低コストで岩着面の測量用写真を撮影することが可能となる。また、写真を撮影すればよいので、従来の測量機械を用いた測量と比較して複数リフト分を一度に測量することが可能となる。
即ち、Mリフト分の範囲を一度に撮影するようにしたので、従来の1リフト毎の測量と比較して、測量にかかるコストを低減することが可能となる。
また、手持ちのデジタルカメラDCにて人手で撮影するようにした。具体的に、作業者が、岩盤面部分の幅方向の一方の側から他方の側に向かって移動しつつ複数箇所で立ち止まり、その立ち止まった際に、高さ方向の撮影角度を変えながら複数枚を撮影することで、複数の撮影画像を得るようにした。
これにより、余計なコストをかけずに人手によって簡易に撮影を行うことが可能となり、例えば、現場での他の作業者への撮影領域からの退避の呼びかけや、現場の作業機械を避けながらの撮影など、現場の状況に合わせた撮影を行うことが可能となる。
また、実施形態に係る岩着部施工情報生成システム1によれば、出来形情報生成装置2が、打設量算出部55によって、等高線座標情報と既設部の座標情報とに基づき、ダム岩着部を含むコンクリート打設区画のコンクリート打設量を算出する。
この構成であれば、TS等の測量機械による測量データを用いてコンクリート打設量を算出した場合と比較して高精度なコンクリート打設量を低コストで算出することが可能となる。
この構成であれば、出来形管理図1027の生成に3次元CADソフトを利用する際に、3次元CADソフトの複雑な画面操作を半自動で行うことが可能となるので、3次元CADソフトの操作に不得手な作業者でも手軽に出来形管理図を生成することが可能となる。
(1)上記実施形態では、型枠設置時の基準点の設定において、岩着区画に設置された型枠の岩着面と接する型枠部に基準点を設定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、図16に示すように、右岸岩着区画RCR又は左岸岩着区画RCLに隣接する区画の岩着区画に最も近い側の型枠部301R及び302R又は301L及び302Lに基準点を設定する構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、型枠部の岩盤面側端部の上側角部の位置に対空標識を設置するようにしたが、この構成に限らない。例えば、対空標識を設置しない構成としてもよい。即ち、岩着面の色と型枠の色との違いや型枠の角部の形状から対空標識を設置することなく基準点を画像中で特定することが可能であれば標識を設置しないことも可能である。
(4)上記実施形態では、重力式コンクリートダムを例に挙げて説明をしたが、重力式コンクリートダムに限らず、岩着区画を有する他のコンクリートダムに本発明を適用してもよい。
(5)上記実施形態では、拡張レヤ工法を用いてダムを施工する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、柱状工法、レヤ工法、RCD(Roller Compacted Dam-Concrete )工法等の他の工法を適用する構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、撮影対象領域内に3点の基準点を設定する構成としたが、この構成に限らず、4点以上の基準点を設定する構成としてもよい。
2 出来形情報生成装置
3 点群データ生成装置
40 入力装置
41 表示装置
42 通信装置
43 記憶装置
44 メモリカードリーダ
51 Webブラウザ機能部
52 データ通信制御部
53 出来形管理図生成支援部
54 3次元CAD機能部
54a TINモデル生成部
54b 等高線座標情報抽出部
54c 出来形管理図生成部
55 打設量算出部
102 右岸基礎岩盤
102a 右岸岩着面部
103 左岸基礎岩盤
103a 左岸岩着面部
201 右岸保護部
202 左岸保護部
301 下流側型枠
301R 下流側右型枠部
301L 下流側左型枠部
302 上流側型枠
302R 上流側右型枠部
302L 上流側左型枠部
501a〜501c 右岸第1〜第3基準点
502a〜502c 左岸第1〜第3基準点
1020 3次元点群データ
1021 TINモデル
1022 等高線俯瞰図
1023 等高線画像
1026 既設部断面図
1027 出来形管理図
Claims (1)
- コンクリートダムのダム提体の側面を岩着する岩盤面の3次元形状を測量するためのダム施工用の測量用写真撮影方法であって、
前記岩盤面を被覆する表面保護部材のうち予め設定された掘削範囲を掘削後の岩盤面部分を含む撮影対象領域内に、3次元座標情報が既知の3点以上の基準点を設定する基準点設定工程と、
前記撮影対象領域を、地上又はダム提体の既設部上の異なる複数の撮影位置から、デジタルカメラによって前記撮影位置のそれぞれで複数枚ずつ且つ隣接する撮影画像同士で撮影領域の一部が重複するように撮影して複数の撮影画像を得る撮影工程と、を含み、
ダム提体の上流側及び下流側にそれぞれ設置された型枠のうち前記岩盤面と対向する位置に設置された2つの型枠の角部も前記基準点として利用して前記撮影領域内に3点以上の前記基準点を含むように撮影するダム施工用の測量用写真撮影方法。
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