以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、気体を吸入して吐出するポンプとしての圧電ブロアに、本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る圧電ブロアの模式的な断面図であり、図2は、図1に示す圧電ブロアの分解斜視図である。まず、これら図1および図2を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aの構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aは、筐体10と、駆動部20Aとを主として備えている。筐体10の内部には、偏平な円柱状の空間である収容空間13が設けられており、駆動部20Aは、この収容空間13に配置されている。
筐体10は、樹脂製または金属製等の円盤状の第1ケース体11と、樹脂製または金属製の偏平な有底円筒状の第2ケース体12とを有している。筐体10は、これら第1ケース体11および第2ケース体12が組み合わされてたとえば接着剤等によって接合されることにより、内部に上述した収容空間13を有している。
第1ケース体11の中央部および第2ケース体12の中央部には、それぞれ外側に向けて突出する第1ノズル部14および第2ノズル部15が設けられている。圧電ブロア1Aの外部の空間と上述した収容空間13とは、これら第1ノズル部14および第2ノズル部15を介してそれぞれ連通している。
駆動部20Aは、第1振動板30と、第2振動板40と、周壁部としてのスペーサ50と、弁体保持部材60と、逆止弁70と、第1圧電素子である駆動体としての圧電素子80とを主として有している。駆動部20Aは、これら部材が互いに積み重ねられた状態で一体化されることで構成されており、上述した筐体10の収容空間13に配置された状態で当該筐体10によって保持されている。ここで、筐体10の収容空間13は、駆動部20Aによって第1ノズル部14側の空間と第2ノズル部15側の空間とに区画されている。
第1振動板30は、たとえばステンレス鋼等からなる金属製の薄板にて構成されており、その外形は平面視円形状である。第1振動板30の周縁部の外端は、たとえば接着剤等によって筐体10に接合されている。第1振動板30の中央部には、1個の第1孔部31が設けられており、第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部には、複数個の第3孔部32が円環状に点列して設けられている。
第2振動板40は、第1振動板30と対向しており、より詳細には、第1振動板30から見て第1ケース体11が位置する側とは反対側に配置されている。第2振動板40は、たとえばステンレス鋼等からなる金属製の薄板にて構成されており、その外形は平面視円形状である。第2振動板40の中央部および周縁部を除く中間部には、複数個の第2孔部41が円環状に点列して設けられている。
スペーサ50は、第1振動板30と第2振動板40との間に位置しており、これら第1振動板30と第2振動板40とによって挟み込まれている。スペーサ50は、たとえばステンレス鋼等からなる金属製の部材にて構成されており、その外形は円環板状である。
スペーサ50は、第1振動板30の上述した外端を除く部分の周縁部と、第2振動板40の周縁部とを接続している。これにより、第1振動板30および第2振動板40は、スペーサ50によって所定の距離だけ隔てて配置されることになる。なお、スペーサ50と第1振動板30とは、たとえば接着剤等によって接合されており、スペーサ50と第2振動板40とは、たとえば接着剤等によって接合されている。
第1振動板30と第2振動板40との間に位置する空間は、ポンプ室21として機能する。当該ポンプ室21は、第1振動板30、第2振動板40およびスペーサ50によって規定されており、偏平な円柱状の空間にて構成されている。ここで、スペーサ50は、ポンプ室21を規定するとともに第1振動板30および第2振動板40を接続する周壁部に該当することになる。
弁体保持部材60は、たとえば接着剤等によって第2振動板40の中央部に貼り付けられており、より詳細には、第2振動板40から見て第1振動板30が位置する側とは反対側に配置されている。弁体保持部材60は、たとえばステンレス鋼等からなる金属製の薄板にて構成されており、その外形は平面視円形状である。弁体保持部材60は、第2振動板40側に位置する主面の周縁部に、第2振動板40から遠ざかる方向に向けて後退した環状段差部61を有しており、当該環状段差部61は、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41に対向している。
逆止弁70は、たとえばポリイミド樹脂等の樹脂製の部材にて構成されており、その外形は円環板状である。逆止弁70は、弁体保持部材60の環状段差部61に遊嵌されることで当該環状段差部61に収容されている。すなわち、逆止弁70は、弁体保持部材60の環状段差部61と、当該環状段差部61に対向する部分の第2振動板40との間に位置している。
これにより、逆止弁70は、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41を開閉できるように弁体保持部材60によって移動可能に保持されている。より詳細には、逆止弁70は、第2振動板40に接近してこれに密着した状態において、複数個の第2孔部41を閉鎖し、第2振動板40から遠ざかった状態において、複数個の第2孔部41を開放する。
圧電素子80は、たとえば接着剤を介して弁体保持部材60に貼り付けられることにより、当該弁体保持部材60を介して第2振動板40の中央部に貼り付けられている。これにより、圧電素子80は、第2振動板40のポンプ室21に面する側とは反対側に位置する主面側に貼り付けられることになる。圧電素子80は、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料からなる薄板にて構成されており、その外形は平面視円形状である。
圧電素子80は、交流電圧が印加されることで屈曲振動するものであり、当該圧電素子80に生じる屈曲振動が第1振動板30および第2振動板40に伝播されることにより、第1振動板30および第2振動板40も屈曲振動することになる。すなわち、圧電素子80は、第1振動板30および第2振動板40を屈曲振動させる駆動体に該当し、所定周波数の交流電圧が印加されることで第1振動板30および第2振動板40をそれぞれ共振周波数で振動させ、これにより第1振動板30および第2振動板40の双方に定在波を発生させる。
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、第1ノズル部14と第2ノズル部15との間にポンプ室21が位置することになり、筐体10の収容空間13のうち、ポンプ室21が設けられた位置よりも第1ノズル部14側の空間とポンプ室21とが、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32によって常時連通した状態にあるとともに、筐体10の収容空間13のうち、ポンプ室21が設けられた位置よりも第2ノズル部15側の空間とポンプ室21とが、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41が逆止弁70によって閉鎖されていない状態において、当該複数個の第2孔部41によって連通した状態にあることになる。
ここで、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、圧電素子80が、第1振動板30の中央部および第2振動板40の中央部に直交する軸線100を中心として第1振動板30および第2振動板40の双方に定在波が発生するように第1振動板30および第2振動板40を屈曲振動させる。
その際、圧電素子80は、当該圧電素子80が貼り付けられた第2振動板40を直接的に駆動し、当該圧電素子80が貼り付けられていない第1振動板30を周壁部としてのスペーサ50を介して間接的に駆動する。このとき、第1振動板30の形状および第2振動板40の形状(特にこれら振動板の厚み)を適切に設計することにより、第1振動板30と第2振動板40とが、それぞれ逆方向に向けて変位することになる。
この逆方向に向けての第1振動板30および第2振動板40の振動により、ポンプ室21は、膨張および収縮を繰り返すことになる。これにより、ポンプ室21の内部において共鳴が発生することになり、これに伴ってポンプ室21に大きな圧力変動が生じることになる。その結果、時間的に交互にポンプ室21に正圧および負圧が発生することになり、この圧力変動によって気体を圧送するポンプ機能が実現されることになる。
図3は、図1に示す圧電ブロアの駆動部の構成および動作時に発生する気流のおおまかな方向を表わした模式図であり、図4は、図1に示す圧電ブロアの駆動部の動作状態およびその際に発生する気流の方向を経時的に表わした模式図である。次に、これら図3および図4を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aの動作状態について詳細に説明する。なお、図3および図4においては、理解を容易とするために、また作図上の都合により、駆動部20Aの構成を簡略化および模式化して図示している。
図3を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、上述したように、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41の各々に逆止弁70が付設されている一方、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32の各々には、逆止弁は付設されていない。
ここで、複数個の第2孔部41の各々に設けられた逆止弁70は、ポンプ室21から筐体10の収容空間13のうちの第2ノズル部15側の空間に向けての気体の流通を許容する反面、その逆方向に向けての気体の流通を許容しないように構成されたものである。そのため、当該逆止弁70の作用により、圧電ブロア1Aの動作時に発生する気流の方向が決定されることになり、当該気流のおおまかな方向は、図3中において矢印にて示す方向となる。
具体的には、図4(A)に示すように、第1振動板30および第2振動板40が互いに遠ざかる方向に変位した状態においては、ポンプ室21が膨張し、これに伴ってポンプ室21に負圧が発生する。この負圧の発生に伴い、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32を介して、ポンプ室21に気体が吸入されることになる。なお、その際、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41に付設された逆止弁70は、ポンプ室21に負圧が発生することに伴って複数個の第2孔部41を閉鎖することになる。
その後、図4(B)に示すように、第1振動板30および第2振動板40が互いに近づく方向に変位した状態においては、ポンプ室21が収縮し、これに伴ってポンプ室21に正圧が発生する。この正圧の発生に伴い、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41に付設された逆止弁70は、複数個の第2孔部41を開放し、これによって当該複数個の第2孔部41を介してポンプ室21から気体が吐出されることになる。
この図4(A)に示す状態と図4(B)に示す状態とが交互に繰り返されるように第1振動板30および第2振動板40が振動することにより、図3において示す気流の向きが圧電ブロア1Aにて発生することになる。そのため、筐体10に設けられた第1ノズル部14が、外部から気体を吸入する吸入ノズルとして機能するとともに、筐体10に設けられた第2ノズル部15が、外部へ気体を吐出する吐出ノズルとして機能することになり、圧電ブロア1Aによって気体が圧送されることになる。
以上において説明した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、図1ないし図4を参照して、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32、ならびに、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41が、以下の関係を満たしている。
第1振動板30には、軸線100の延在方向に沿って見た場合に当該軸線100に重なる位置に1個の第1孔部31が設けられており、当該1個の第1孔部31には、逆止弁は付設されていない。
第2振動板40には、軸線100の延在方向に沿って見た場合に上述した第1孔部31に重ならない複数個の第2孔部41が設けられており、当該複数個の第2孔部41には、逆止弁70が付設されている。また、複数個の第2孔部41は、軸線100の延在方向に沿って見た場合に当該軸線100を中心とした円周上の位置に点列状に配置されている。
第1振動板30には、上述した1個の第1孔部31に加えてさらに、軸線100を中心としつつ当該軸線100の延在方向に沿って見た場合に上述した複数個の第2孔部41が設けられた領域よりも外側の領域に複数個の第3孔部32が設けられており、当該複数個の第3孔部32には、逆止弁は付設されていない。また、複数個の第3孔部32は、軸線100の延在方向に沿って見た場合に当該軸線100を中心とした円周上の位置に点列状に配置されている。
なお、ポンプ室21を規定する第1振動板30、第2振動板40およびスペーサ50には、上述した1個の第1孔部31、複数個の第2孔部41および複数個の第3孔部32以外の孔は設けられていない。
このように構成することにより、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、従来に比して流量の増大を図ることができる。以下、比較形態に係る圧電ブロア1Xと比較しつつ、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aとすることで流量の増大が図られる理由について、詳細に説明する。
図5は、比較形態に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図であり、図6は、上述した本実施の形態に係る圧電ブロアのポンプ室に発生する圧力変動と、以下において説明する比較形態に係る圧電ブロアのポンプ室に発生する圧力変動とを比較したグラフである。
図5に示すように、比較形態に係る圧電ブロア1Xは、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20Xを備えている。駆動部20Xは、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50および圧電素子80を有しているものの、このうちの第1振動板30および第2振動板40の位置、これら第1振動板30および第2振動板40に設けられた孔の位置、および、圧電素子80が設けられた位置等が相違している。
具体的には、比較形態に係る圧電ブロア1Xにおいては、第1振動板30が、第2ノズル部15(図1参照)側の位置に配置されており、第2振動板40が、第1ノズル部14(図1参照)側の位置に配置されている。第1振動板30の中央部には、逆止弁70が付設された1個の孔部35が設けられている。一方、第2振動板40の中央部には、圧電素子80が貼り付けられており、第2振動板40の中央部および周縁部を除く中間部には、各々に逆止弁が付設されていない、円環状に点列して配置された複数個の孔部45が設けられている。
当該構成の圧電ブロア1Xにおいては、第1振動板30および第2振動板40が互いに逆方向に向けて変位するように振動することにより、第2振動板40に設けられた複数個の孔部45を介してポンプ室21に向けて気体が吸入されるとともに、第1振動板30に設けられた1個の孔部35を介してポンプ室21から気体が吐出されることになる。なお、当該構成の圧電ブロア1Xは、前述した特許文献1,2に開示された圧電ポンプの構成を模したものである。
図6に示すように、比較形態に係る圧電ブロア1Xにおいては、ポンプ室21の内部において共鳴が発生する条件を満たすように圧電素子80を駆動させた場合に、ポンプ室21の中央部においてポンプ室21の内部における圧力変動の腹が発生し、ポンプ室21の中央部の外側の所定位置においてポンプ室21の圧力変動の節が発生し、ポンプ室21の外縁部においてポンプ室の内部における圧力変動の腹が発生する。
一方、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、ポンプ室21の内部において共鳴が発生する条件を満たすように圧電素子80を駆動させた場合に、ポンプ室21の中央部近傍の位置においてポンプ室21の内部における圧力変動の節が発生し、これよりも外側の位置においてポンプ室21の内部における圧力変動の腹が発生し、さらにこれよりも外側の位置においてポンプ室21の内部における圧力変動の節が発生し、ポンプ室21の外縁部においてポンプ室21の内部における圧力変動の腹が発生する。
ここで、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、第1振動板30の中央部に設けられる1個の第1孔部31における流路抵抗が小さい場合(すなわち、第1振動板30の厚みが十分に小さくかつ第1孔部31の開口面積が十分に大きい場合)に、ポンプ室21の中央部近傍の位置において、より明確にポンプ室21の内部における圧力変動の節が発生する。
また、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、第1振動板30の中央部に設けられる1個の第1孔部31における流路抵抗が大きい場合(すなわち、第1振動板30の厚みが十分に小さくないか、あるいは第1孔部31の開口面積が十分に大きくない場合)であっても、ポンプ室21の中央部近傍の位置において、ポンプ室21の内部における圧力変動の節が発生する。
そのため、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、比較形態に係る圧電ブロア1Xに比べて、より短い波長(すなわちより高い周波数)でポンプ室21の内部において共鳴が発生することになる。したがって、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aとすることにより、比較形態に係る圧電ブロア1Xとする場合に比べ、ポンプ室21の内部において共鳴が発生する条件を満たす振動板の振動周波数がより高くなることになる。
このように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、従来に比してより高い周波数で圧電素子を駆動することが可能になり、結果として従来に比して流量の増大を図ることができる。なお、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、理論上、比較形態に係る圧電ブロア1Xに比べ、約20%程度の流量の増大を実現することができる。
図7は、図1に示す第1振動板の平面図である。以下、この図7を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいて、流量の増大を図る上でより好ましい構成について説明する。
図7に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、上述したように、第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部に、複数個の第3孔部32が円環状に点列して設けられている。このように構成することにより、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32からなる気体流路の流路抵抗が全体として減少することになるため、流量の増大を図ることができる。
ここで、複数個の第3孔部32は、互いに等間隔に配置された同一開口径の複数個の円柱状の孔にて構成されていていることが好ましい。このように構成することにより、ポンプ室21内における気流の軸対称性、ひいては圧電ブロア1A内における気流の軸対称性が向上することになるため、気流に乱れが生じ難くなり、効率的な気体の流通が実現でき、結果として流量の増大を図ることができる。
また、その場合において、複数個の第3孔部32のうちの隣り合う第3孔部の間の距離Dは、複数個の第3孔部32の各々の開口径Rよりも小さいことが好ましい。このように構成することにより、ポンプ室21内における気流の軸対称性、ひいては圧電ブロア1A内における気流の軸対称性がさらに向上することになるため、さらなる流量の増大を図ることができる。
一方、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31の開口面積は、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41の各々の開口面積の総和よりも大きいことが好ましい。このように構成することにより、ポンプ室21の中央部における圧力振幅が下がり易くなり、より確実にポンプ室21の中央部にポンプ室21の内部における圧力変動の節を発生させることができる。そのため、さらなる流量の増大を図ることができる。
なお、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、逆止弁70が付設された第2孔部41が、円環状に点列して複数個設けられた構成を有している。このように構成することにより、上述した気流の軸対称性を維持しつつ、第2孔部41の総開口面積を増加させることが可能になるため、さらなる流量の増大を図ることができる。
また、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、逆止弁が付設されていない1個の第1孔部31が、第1振動板30に設けられており、逆止弁70が付設された複数個の第2孔部41が、第2振動板40に設けられている。すなわち、第1孔部と第2孔部とは、それぞれ異なる振動板に設けられている。このように構成することにより、第1孔部と第2孔部とを駆動部の外部においてたとえば筐体等によって容易に遮蔽することが可能になるため、流量のさらなる増大を図ることができる。
さらには、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、逆止弁70が付設された複数個の第2孔部41が、第2振動板40に設けられており、逆止弁が付設されていない複数個の第3孔部32が、第1振動板30に設けられている。すなわち、第2孔部と第3孔部とは、それぞれ異なる振動板に設けられている。このように構成することにより、第2孔部と第3孔部とを駆動部の外部においてたとえば筐体等によって容易に遮蔽することが可能になるため、流量のさらなる増大を図ることができる。
また、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、1個の第1孔部31、複数個の第2孔部41および複数個の第3孔部32以外の孔が駆動部20Aに設けられていない構成を有している。このように構成することにより、ポンプ室21からの気体の漏洩が抑制でき、結果としてポンプ室21の圧力をより高めることが可能となる。したがって、当該構成を採用した場合には、吸入圧力および吐出圧力の向上を図ることもできる。
また、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、逆止弁が付設されていない1個の第1孔部31が設けられた第1振動板30に対向する第2振動板40に、第1圧電素子である駆動体としての圧電素子80が貼り付けられた構成を有している。ここで、圧電素子80を第1振動板30に貼り付けることを想定した場合には、圧電素子80に第1孔部31に連通する貫通孔を設ける必要が生じることになり、製造コストおよび信頼性等の面において必ずしも有利な構成とはならない。これに対し、上述のとおりの構成とすれば、圧電素子80に貫通孔を設ける必要がなくなるため、より安価でかつ信頼性に優れた圧電ブロアとすることができる。
加えて、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aにおいては、第1振動板30、第2振動板40および圧電素子80が、いずれも平面視円形状を有するように構成されている。このように構成することにより、ポンプ室21内における気流の軸対称性、ひいては圧電ブロア1A内における気流の軸対称性がさらに向上することになるため、さらなる流量の増大を図ることができる。
なお、上述した本実施の形態に係る圧電ブロア1Aの各部の寸法および第1振動板30および第2振動板40に設けられる各種の孔の数等は特に制限されるものではないが、その一例を示せば、以下のとおりである。
第1振動板30の直径は、たとえば27[mm]であり、このうちポンプ室21を規定する部分の直径は、たとえば23[mm]である。第2振動板40の直径は、たとえば25[mm]であり、このうちポンプ室21を規定する部分の直径は、たとえば23[mm]である。第1振動板30および第2振動板40の厚みは、たとえばいずれも0.3[mm]である。また、スペーサ50の外径および内径は、たとえばそれぞれ25[mm]および23[mm]である。
第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31の直径は、たとえば8[mm]である。第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41は、第2振動板40の中央部からたとえば6[mm]離れた位置に円環状に点列して配置され、各々の開口径は、たとえば0.4[mm]であり、その数は、最大で80個程度である。第1振動板30に設けられた複数個の第3孔部32は、第1振動板30の中央部からたとえば9[mm]離れた位置に円環状に点列して配置され、各々の開口径は、たとえば0.4[mm]であり、その数は、最大で100個程度である。
(変形例)
図8は、上述した実施の形態1に基づいた変形例に係る圧電ブロアの分解斜視図である。以下、この図8を参照して、変形例に係る圧電ブロア1A’について説明する。
図8に示すように、変形例に係る圧電ブロア1A’は、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20A’を備えている。駆動部20A’は、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50、弁体保持部材60、逆止弁70および圧電素子80等を有しているものの、このうちの第1振動板30および第2振動板40に設けられた孔の数が相違している。
具体的には、変形例に係る圧電ブロア1A’においては、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41の数が、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aに比較して大幅に減じられており、その数は合計で3個であり、また、第1振動板30に設けられた複数個の第3孔部32の数が、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aに比較して大幅に減じられており、その数は合計で6個である。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。このように、第2振動板40に設けられる孔の数は、何ら制限されるものではなく、少なくとも1個以上設けられていればよい。
なお、本変形例においては、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aに比較して、第1振動板30に設けられた複数個の第3孔部32の数、および、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41の数の双方が減じられた場合を例示したが、第1振動板30に設けられた複数個の第3孔部32の数、および、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41の数のうちの一方のみが減じられてもよい。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図である。以下、この図9を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Bについて説明する。
図9に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Bは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20Bを備えている。駆動部20Bは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50、逆止弁70および圧電素子80等を有しているものの、第1振動板30に設けられた孔の構成が相違している。
具体的には、本実施の形態に係る圧電ブロア1Bにおいては、第1振動板30の中央部に1個の第1孔部31が設けられており、第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部には、孔が一切設けられていない。すなわち、ポンプ室21を規定する第1振動板30、第2振動板40およびスペーサ50には、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41以外の孔は設けられていない。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。さらには、1個の第1孔部31および複数個の第2孔部41以外の孔が駆動部20Bに設けられていないことにより、ポンプ室21からの気体の漏洩がより効果的に抑制でき、結果としてポンプ室21の圧力をより高めることが可能となる。したがって、当該構成を採用した場合には、吸入圧力および吐出圧力の向上を図ることもできる。このように、第1振動板30には、少なくともその中央部に弁体が付設されていない1個の第1孔部31が設けられていればよく、必ずしも第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部に孔が設けられている必要はない。
なお、本実施の形態のように構成した場合には、第1振動板30の振動状態の軸対称性が向上するため、振動に伴うエネルギーロスを抑制することができ、効率的に圧電ブロアを駆動することができる。特に、第1振動板30の中間部に孔が設けられていない場合には、当該第1振動板30の厚みをより薄くしてもポンプ室21の共鳴が実現できるため、第1振動板30の変位を大きくすることが可能になり、さらなる流量の増大を図ることもできる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図である。以下、この図10を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Cについて説明する。
図10に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Cは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20Cを備えている。駆動部20Cは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50、逆止弁70および圧電素子80等を有しているものの、圧電素子80の配設位置およびその構成が相違している。
具体的には、本実施の形態に係る圧電ブロア1Cにおいては、駆動部20Cが、第2圧電素子である駆動体としての、貫通孔80aが設けられた圧電素子80を有しており、当該圧電素子80が、第1振動板30の中央部に貼り付けられている。より詳細には、圧電素子80は、第1振動板30のポンプ室21に面する側とは反対側に位置する主面に貼り付けられている。
ここで、第1振動板30の中央部に設けられた1個の第1孔部31が圧電素子80によって閉塞されることがないように、圧電素子80は、当該圧電素子80に設けられた貫通孔80aと第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31とが連通するように、第1振動板30に貼り付けられている。
この貫通孔80aが設けられた圧電素子80は、上述した実施の形態1の場合と同様に、所定周波数の交流電圧が印加されることで第1振動板30および第2振動板40をそれぞれ共振周波数で振動させ、これにより第1振動板30および第2振動板40の双方に定在波を発生させるものである。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図である。以下、この図11を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Dについて説明する。
図11に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Dは、上述した実施の形態3に係る圧電ブロア1Cとは異なる構成の駆動部20Dを備えている。駆動部20Dは、上述した実施の形態3に係る圧電ブロア1Cの駆動部20Cと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50、逆止弁70および圧電素子80等を有しているものの、第1振動板30に設けられた孔の構成が相違している。
具体的には、本実施の形態に係る圧電ブロア1Dにおいては、第1振動板30の中央部に1個の第1孔部31が設けられており、第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部には、孔が一切設けられていない。すなわち、ポンプ室21を規定する第1振動板30、第2振動板40およびスペーサ50には、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41以外の孔は設けられていない。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態3において説明した効果に準じた効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。また、本実施の形態のように構成した場合には、上述した実施の形態2において説明した付加的な効果を得ることもできる。
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図である。以下、この図12を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Eについて説明する。
図12に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Eは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20Eを備えている。駆動部20Eは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50、逆止弁70および圧電素子80等を有しているものの、このうちの第1振動板30および第2振動板40の位置、これら第1振動板30および第2振動板40に設けられた孔の位置、および、圧電素子80が設けられた位置等が相違しており、さらに遮蔽部材90を有している点においても、その構成が相違している。
具体的には、本実施の形態に係る圧電ブロア1Eにおいては、第1振動板30が、第2ノズル部15(図1参照)側の位置に配置されており、第2振動板40が、第1ノズル部14(図1参照)側の位置に配置されている。また、遮蔽部材90は、第1振動板30から見て第2振動板40が位置する側とは反対側(すなわち第2ノズル部15側)に配置されており、第1振動板30にたとえば接着剤等によって接合されている。
遮蔽部材90は、中央部に貫通孔91が設けられた金属製または樹脂製の有底円環状の部材からなり、その底部に第3ノズル部92が外側に向けて突設されているとともに、内部に流路部93が設けられている。第3ノズル部92は、筐体10に設けられた第1ノズル部14および第2ノズル部15(図1参照)のうち、吐出ノズルとして機能させる方のノズル部(ここでは、第2ノズル部15とする)に接続されている。なお、当該筐体10の収容空間13のうち、遮蔽部材90を含む駆動部20Eが配置されていない空間については、筐体10に設けられた第1ノズル部14および第2ノズル部15(図1参照)のうち、吸入ノズルとして機能させる方のノズル部(ここでは、第1ノズル部14とする)に接続されている。
第1振動板30の中央部であってかつ遮蔽部材90の貫通孔91に面する部分には、逆止弁が付設されていない1個の第1孔部31が設けられている。また、第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部であってかつ遮蔽部材90の流路部93に面する部分には、逆止弁70が付設された複数個の第2孔部33が設けられている。当該複数個の第2孔部33は、好ましくは円環状に点列して配置される。
一方、第2振動板40の中央部には、圧電素子80が貼り付けられている。より詳細には、圧電素子80は、第1振動板30のポンプ室21に面する側とは反対側に位置する主面側に貼り付けられている。また、第2振動板40の中央部および周縁部を除く中間部には、逆止弁が付設されていない複数個の第3孔部42が設けられている。当該複数個の第3孔部42は、好ましくは円環状に点列して配置される。
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係る圧電ブロア1Eにおいては、第1ノズル部14と第2ノズル部15との間にポンプ室21が位置することになり、筐体10の収容空間13のうち、第1ノズル部14に直接的に連通する部分の空間とポンプ室21とが、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および第2振動板40に設けられた複数個の第3孔部42によって常時連通した状態にあるとともに、筐体10の収容空間13のうち、第2ノズル部15に直接的に連通する遮蔽部材90の第3ノズル部92および流路部93とポンプ室21とが、第1振動板30に設けられた複数個の第2孔部33が逆止弁70によって閉鎖されていない状態において、当該複数個の第2孔部33によって連通した状態にあることになる。
当該構成の圧電ブロア1Eにおいては、第1振動板30および第2振動板40が互いに逆方向に向けて変位するように振動することにより、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および第2振動板40に設けられた複数個の第3孔部42を介してポンプ室21に向けて気体が吸入されるとともに、第1振動板30に設けられた複数個の第2孔部33を介してポンプ室21から気体が吐出されることになる。
したがって、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。なお、上述した遮蔽部材90は、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31と複数個の第2孔部33とが比較的近接して配置されるために、これらの間において気体の逆流が発生しないようにするためのものであり、必ずしも必須のものではない。
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図である。以下、この図13を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Fについて説明する。
図13に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Fは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20Fを備えている。駆動部20Fは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50および逆止弁70等を有しているものの、駆動体としての圧電素子80の構成が相違している。
具体的には、本実施の形態に係る圧電ブロア1Fにおいては、駆動部20Fが、駆動体しての2つの圧電素子80A,80Bを有している。第1圧電素子としての板状の圧電素子80Aは、図示しない弁体保持部材を介して第2振動板40の中央部に貼り付けられている。一方、第2圧電素子としての、貫通孔80aが設けられた圧電素子80Bは、第1振動板30の中央部に貼り付けられている。ここで、圧電素子80Bは、当該圧電素子80Bに設けられた貫通孔80aと、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31とが連通するように、第1振動板30に貼り付けられている。
これら2つの圧電素子80A,80Bは、当該圧電素子80A,80Bが貼り付けられた第2振動板40および第1振動板30が互いに逆方向に向けて変位するように、これら第2振動板40および第1振動板30を個別に共振周波数で振動させるものであり、これにより第2振動板40および第1振動板30の双方に定在波が発生することになる。
したがって、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。また、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1の場合に比べ、第1振動板30および第2振動板40の変位を増大させることが可能になるため、より流量の増大を図ることができる。
(実施の形態7)
図14は、本発明の実施の形態7に係る圧電ブロアの駆動部の構成ならびに動作時に発生する気流のおおまかな方向を示す模式図である。以下、この図14を参照して、本実施の形態に係る圧電ブロア1Gについて説明する。
図14に示すように、本実施の形態に係る圧電ブロア1Gは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aとは異なる構成の駆動部20Gを備えている。駆動部20Gは、上述した実施の形態1に係る圧電ブロア1Aの駆動部20Aと同様に、第1振動板30、第2振動板40、スペーサ50、逆止弁70および圧電素子80等を有しているものの、このうちの第1振動板30および第2振動板40の位置、これら第1振動板30および第2振動板40に設けられた孔の位置、逆止弁70が設けられた位置、および、圧電素子80が設けられた位置等が相違している。
具体的には、本実施の形態に係る圧電ブロア1Gにおいては、第1振動板30が、第2ノズル部15(図1参照)側の位置に配置されており、第2振動板40が、第1ノズル部14(図1参照)側の位置に配置されている。
第1振動板30の中央部には、弁体が付設されていない1個の第1孔部31が設けられており、第1振動板30の中央部および周縁部を除く中間部には、逆止弁が付設されていない複数個の第3孔部32が設けられている。当該複数個の第3孔部32は、好ましくは円環状に点列して配置される。
一方、第2振動板40の中央部および周縁部を除く中間部には、逆止弁70が付設された複数個の第2孔部41が設けられている。当該複数個の第2孔部41は、好ましくは円環状に点列して配置される。
ここで、ポンプ室21に面する側(すなわち、第1振動板30が位置する側)の第2振動板40の主面の中央部には、図示しない弁体保持部材がたとえば接着剤等によって接合されており、当該弁体保持部材によって逆止弁70が移動可能に保持されている。これにより、上述した複数個の第2孔部41に逆止弁70が付設されることになり、逆止弁70によって複数個の第2孔部41が開閉されることになる。
また、ポンプ室21に面しない側(すなわち、第1振動板30が位置する側とは反対側)の第2振動板40の主面の中央部には、圧電素子80が貼り付けられている。
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係る圧電ブロア1Gにおいては、第1ノズル部14と第2ノズル部15との間にポンプ室21が位置することになり、筐体10の収容空間13のうち、ポンプ室21が設けられた位置よりも第1ノズル部14側の空間とポンプ室21とが、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41が逆止弁70によって閉鎖されていない状態において、当該複数個の第2孔部41によって連通した状態にあるとともに、筐体10の収容空間13のうち、ポンプ室21が設けられた位置よりも第2ノズル部15側の空間とポンプ室21とが、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32によって常時連通した状態にあることになる。
当該構成の圧電ブロア1Gにおいては、第1振動板30および第2振動板40が互いに逆方向に向けて変位するように振動することにより、第2振動板40に設けられた複数個の第2孔部41を介してポンプ室21に向けて気体が吸入されるとともに、第1振動板30に設けられた1個の第1孔部31および複数個の第3孔部32を介してポンプ室21から気体が吐出されることになる。
したがって、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果を得ることができ、従来に比して流量が増大した圧電ブロアとすることができる。
(その他)
上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例においては、逆止弁が付設された第2孔部が、いずれも円環状に点列して配置された場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこれを円環状に点列して配置する必要はなく、そのレイアウトは適宜変更が可能である。また、同様に、逆止弁が付設されていない第3孔部についても、必ずしもこれを円環状に点列して配置する必要はなく、そのレイアウトは適宜変更が可能である。
また、上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例においては、駆動体として、貫通孔が形成されていない圧電素子、または、貫通孔が形成された圧電素子、あるいはそれらの両方を用いた場合を例示して説明を行なったが、貫通孔が形成されていない圧電素子を用いることがより好適である。これは、貫通孔が形成されていない圧電素子は、貫通孔がない分、平面視した場合により大きい面積を有することになるため、振動板の変位をより大きくすることができるためであり、また、貫通孔がない分、信頼性および製造コストの面でも有利になるためである。
また、上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例においては、第1振動板の外形、第2振動板の外形および駆動体の外形をいずれも円形状とした場合を例示して説明を行なったが、相当程度の軸対称性が得られる限りにおいては、これを多角形状、楕円形状等に変更することも可能である。
また、上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わせることができる。
さらには、上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例においては、気体を吸入して吐出する圧電ブロアに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、液体を吸入して吐出するポンプや、駆動体として圧電素子以外のものを利用するポンプ(ただし、当然に、振動板の屈曲振動を利用した容積式のポンプに限られる)に本発明を適用することも可能である。
なお、上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例においては、本発明が適用されたポンプおよび流体制御装置のうち、本発明が適用されたポンプのみについて詳細に説明を行なったが、本発明が適用された流体制御装置は、この本発明が適用されたポンプを搭載してなるものである。すなわち、本発明が適用された流体制御装置は、本発明が適用されたポンプ(たとえば、上述した本発明の実施の形態1ないし7およびその変形例に係る圧電ブロア)を一部品として含む流体システムであり、当該ポンプと他の流体制御部品とが協働することにより、用途に応じて流体の挙動を制御するものである。
このように、今回開示した上記実施の形態および変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。