以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、道路を走行する自車両X、第1他車両(他車両)X1、及び第2他車両X2は、車両間で車車間通信を行うことができる。ここでは、図1に示されるように、自車両Xの前方を第1他車両X1が走行し、第1他車両X1の前方を第2他車両X2が走行している。この場合、自車両Xは、前方を走行する第1他車両X1との間で車車間通信を行う。第1他車両X1は、前方を走行する第2他車両X2との間で車車間通信を行う。例えば、自車両X等は、車車間通信の通信結果を用いて車両の走行制御等を行うことができる。
自車両Xは、車車間通信を行うために、自身の情報を含む通信データDを周囲に送信する。同様に、第1他車両X1は、自身の情報を含む通信データD1を周囲に送信する。第2他車両X2は、自身の情報を含む通信データD2を周囲に送信する。例えば、自車両Xが第1他車両X1と車車間通信を行う場合、自車両Xと第1他車両X1との間で送受信される通信データD及びD1に基づいて車車間通信が行われる。
また、説明の都合上、図1に示されるように、自車両Xの前後の端部にそれぞれ設置されたナンバープレートの車両ナンバー(固有識別情報)を[44−55]とし、自車両Xが車車間通信に用いる通信IDをID:778とする。第1他車両X1の前後の端部にそれぞれ設置されたナンバープレートの車両ナンバーを[01−23]とし、第1他車両X1が車車間通信に用いる通信IDをID:100とする。第2他車両X2の前後の端部にそれぞれ設置されたナンバープレートの車両ナンバーを[00−01]とし、第2他車両X2が車車間通信に用いる通信IDをID:001とする。
自車両X、第1他車両X1、及び第2他車両X2には、図2に示される通信装置100がそれぞれ搭載されている。通信装置100は、車車間通信を行う機器である。以下、自車両Xに搭載された通信装置100を用いて説明する。
図2に示される通信装置100は、車車間通信を実行するためのECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU10では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
ECU10には、カメラ(第1検出センサ)1、レーダセンサ(第2検出センサ)2、速度センサ3、及び通信機器4が接続されている。
カメラ1は、自車両Xの前方の領域を撮像する撮像機器である。カメラ1は、自車両Xのフロントガラスの裏側に設けられている。カメラ1は、自車両Xの前方を走行する先行車両(第1他車両X1)に設置されたナンバープレートの車両ナンバーを撮像する。カメラ1は、撮像した撮像情報(検出結果)をECU10へ送信する。なお、自車両Xの前方を走行する先行車両とは、自車両Xの一つ前方を走行する他車両である。
レーダセンサ2は、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自車両Xの前方を走行する先行車両(第1他車両X1)の走行状態を検出する検出機器である。レーダセンサ2には、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサ2は、電波又は光を自車両Xの前方に送信し、前方の他車両で反射された電波又は光を受信することで前方の他車両の走行状態を検出する。レーダセンサ2は、検出した検出情報(検出結果)をECU10へ送信する。
速度センサ3は、自車両Xの速度を検出する検出器である。速度センサ3としては、自車両Xの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。速度センサ3は、検出した速度情報をECU10に送信する。
通信機器4は、自車両Xの周囲の他車両と車車間通信を行うための機器である。
ECU10は、機能的には、ナンバー認識部(識別情報認識部)11、走行状態認識部12、受信部13、特定部14、送信部15、変更部16、及びナンバー登録部(識別情報登録部)17を備えている。
ナンバー認識部11は、カメラ1の撮像情報に基づいて、自車両Xの前方を走行する先行車両(第1他車両X1)の車両ナンバーを認識する。ナンバー認識部11は、車両ナンバーの認識を、例えば周知の画像認識処理等に基づいて行うことができる。
走行状態認識部12は、レーダセンサ2の検出情報に基づいて、自車両Xの前方を走行する先行車両(第1他車両X1)の走行状態を認識する。すなわち、ナンバー認識部11と走行状態認識部12とは、同じ車両(第1他車両X1)を認識の対象とする。本実施形態において、走行状態認識部12は、走行状態として先行車両の速度を認識する。走行状態認識部12は、レーダセンサ2の検出情報に基づく速度の認識を、例えば周知の方法に基づいて行うことができる。また、走行状態認識部12は、認識した先行車両の速度の蓄積結果に基づいて、他車両の速度の変化を認識する。
受信部13は、自車両Xの周囲の他車両(第1他車両X1及び第2他車両X2)から送信された通信データ(通信データD1及びD2)を受信する。ここで、受信部13によって受信される通信データには、次の(1)〜(4)が含まれている。
(1)通信データ送信元の通信ID
(2)通信データ送信元の車両ナンバー
(3)通信データ送信元の車両の速度
(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID
(1)通信データ送信元の通信IDとは、通信データを送信した車両が車車間通信で使用する通信IDであり、車両毎に予め設定されている。(2)通信データ送信元の車両ナンバーとは、通信データを送信した車両のナンバー登録部17に登録された車両ナンバーである。(3)通信データ送信元の車両の速度とは、通信データを送信した車両の速度であり、通信データを送信した車両の速度センサ3で検出された速度である。(4)先行車両の車両ナンバーとは、通信データを送信した車両の一つ前方を走行する車両の車両ナンバーであり、通信データを送信した車両のナンバー認識部11で認識された先行車両の車両ナンバーである。また、(4)先行車両の通信IDとは、通信データを送信した車両の一つ前方を走行する先行車両の通信IDである。
例えば、自車両Xから送信される通信データDには、
(1)通信ID:778
(2)[44−55]
(3)自車両Xの速度センサ3で検出された速度
(4)[01−23]、通信ID:100
が含まれる。
特定部14は、ナンバー認識部11で認識された車両ナンバーと受信部13で受信された通信データとに基づいて、自車両Xの先行車両が送信した通信データを特定する。具体的には、特定部14は、受信部13で受信された通信データに含まれる車両ナンバー((2)通信データ送信元の車両ナンバー)とナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとを比較する。車両ナンバーが一致する通信データがある場合、特定部14は、車両ナンバーが一致する通信データを、ナンバー認識部11で車両ナンバーが認識された他車両(すなわち自車両Xの先行車両)から送信された通信データと特定する。通信データには、通信データの送信元の通信ID((1)通信データ送信元の通信ID)が含まれている。これにより、自車両Xの特定部14は、自車両Xの前方を走行する第1他車両X1と、第1他車両X1が送信した通信データD1とを対応付けて認識できる。すなわち、自車両Xの特定部14は、ナンバー認識部11で車両ナンバーが認識された第1他車両X1の通信IDを特定できる。
このように、特定部14は、先行車両が送信した通信データ(通信ID)が特定されていない場合に、通信データに含まれる通信データ送信元の車両ナンバーを用いて、先行車両が送信した通信データ(通信ID)を特定する。
なお、自車両Xの通信装置100は、特定された第1他車両X1の通信IDを用いることにより、第1他車両X1から送信された通信データD1を特定して取得できる。一方、第1他車両X1は、自車両Xから送信された通信データDに自身(第1他車両X1)の通信ID((4)先行車両の車両ナンバー)が含まれているため、第1他車両X1の後方を走行する自車両Xが送信した通信データDを特定できる。第1他車両X1の通信装置100は、特定された自車両Xの通信IDを用いることにより、自車両Xから送信された通信データDを特定して取得できる。このように、自車両X及び第1他車両X1が互いの通信IDを把握することによって、自車両Xと第1他車両X1とは互いに車車間通信を行うことができる。
送信部15は、上述した(1)通信データ送信元の通信ID、(2)通信データ送信元の車両ナンバー、及び(3)通信データ送信元の車両の速度を含むデータを通信データDとして、通信機器4を介して自車両Xの周囲に送信する。また、送信部15は、特定部14において先行車両(第1他車両X1)の通信IDが特定されている場合、上述した(1)通信データ送信元の通信ID、(2)通信データ送信元の車両ナンバー、及び(3)通信データ送信元の車両の速度に加え、(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信IDを含むデータを通信データDとして送信する。送信部15は、通信データDを、例えば、所定タイミングで繰り返し送信する。上述したように、(4)先行車両の車両ナンバーとは、自車両Xのナンバー認識部11で認識された第1他車両X1の車両ナンバーである。自車両Xが通信データDを周囲に送信することにより、通信データDは、第1他車両X1及び第2他車両X2によってそれぞれ受信される。
ナンバー登録部17には、車両に設置されたナンバープレートの車両ナンバーに対応する車両ナンバーが予め登録されている。ナンバー登録部17に登録された車両ナンバーは、送信部15が通信データDを送信するときの「(2)通信データ送信元の車両ナンバー」となる。この車両ナンバーは、通信装置100が自車両Xに設置されるとき等の所定のタイミングで、ナンバー登録部17に対して予め登録される。ナンバー登録部17に登録された車両ナンバーは、後述するように、変更部16によって書き換えられる。変更部16による車両ナンバーの書き換えについては後述する。
ここで、上述したように、車両が通信データを送信する場合、各車両に搭載された通信装置100のナンバー登録部17に登録された車両ナンバーを、通信データの「(2)通信データ送信元の車両ナンバー」として送信する。しかしながら、ナンバー登録部17への車両ナンバーの誤登録があった場合、車両に設置されたナンバープレートの車両ナンバーと、ナンバー登録部17に登録された車両ナンバーとが一致しないことがある。以下、車両ナンバーが一致しない場合における各部の動作について説明する。
この場合、ナンバー認識部11で認識された車両ナンバーと、受信部13で受信された通信データに含まれる車両ナンバー((2)通信データ送信元の車両ナンバー)とが一致しない。すなわち、受信部13で受信された通信データの中に、ナンバー認識部11で認識された車両ナンバーに一致する車両ナンバーを含む通信データがない。このため、特定部14は、先行車両が送信した通信データを特定できない。そこで、特定部14は、走行状態認識部12で認識された先行車両の走行状態と受信部13で受信された通信データとに基づいて、自車両Xの先行車両が送信した通信データを特定する。
具体的には、特定部14は、受信部13で受信された通信データに含まれる車両ナンバーとナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとが一致しない場合、通信データに含まれる走行状態((3)通信データ送信元の車両の速度)と走行状態認識部12で認識された他車両(すなわち自車両Xの先行車両)の走行状態とを比較する。特定部14は、走行状態認識部12で認識された他車両の走行状態に対して通信データに含まれる走行状態が所定の一致度以上一致する通信データを、走行状態認識部12で走行状態が認識された他車両から送信された通信データと特定する。走行状態が所定の一致度以上一致することとは、例えば、一方の走行状態と他方の走行状態との差が予め定められた範囲以内であることであってもよい。
ここでは、特定部14は、走行状態として速度を用いる。特定部14は、通信データに含まれる速度の変化に対して、走行状態認識部12で認識された他車両の速度の変化が所定の一致度以上一致する他車両を、通信データを送信した他車両と特定する。なお、特定部14は、例えば、通信データに含まれる通信IDに基づいて、通信データを送信した車両毎に速度の変化を認識することができる。速度の変化が所定の一致度以上一致することとは、例えば、一方の速度の変化の状態と他方の速度の変化の状態との差が予め定められた範囲以内であることであってもよい。
例えば、第1他車両X1に設置されたナンバープレートの車両ナンバーは[01−23]であるものの、誤登録のため、第1他車両X1のナンバー登録部17に登録された車両ナンバーが[01−22]であったとする。この場合、第1他車両X1から送信される通信データD1には、
(1)通信ID:100
(2)[01−22]
(3)第1他車両X1の速度センサ3で検出された速度
(4)[00−01]、通信ID:001
が含まれる。
この場合、自車両Xの特定部14は、通信データD1に含まれる車両ナンバー((2)通信データ送信元の車両ナンバー)とナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとが一致しないため、通信データD1を送信した第1他車両X1を特定できない。このため、自車両Xの特定部14は、走行状態認識部12で認識された先行車両(第1他車両X1)の速度の変化に対して通信データに含まれる速度の変化が所定の一致度以上一致する通信データを、走行状態認識部12で認識された先行車両から送信された通信データD1として特定する。通信データには、通信データの送信元の通信IDが含まれている。これにより、自車両Xの特定部14は、自車両Xの前方を走行する第1他車両X1と、第1他車両X1が送信した通信データD1とを認識できる。すなわち、自車両Xの特定部14は、ナンバー認識部11で車両ナンバーが認識された第1他車両X1の通信IDを特定できる。このようにして特定された通信IDを用いて、自車両Xと第1他車両X1との間で車車間通信が行われる。このように、特定部14は、先行車両の通信データ(通信ID)が特定されていない場合に、通信データに含まれる通信データ送信元の車両の速度を用いて、先行車両の通信データ(通信ID)を特定する。
送信部15は、特定部14において走行状態の一致度に基づいて第1他車両X1が送信した通信データD1が特定された場合、通信データD1の送信元の第1他車両X1に対し、ナンバー認識部11で認識された第1他車両X1の車両ナンバーを送信する。具体的には、自車両Xの送信部15は、ナンバー認識部11で認識された第1他車両X1の車両ナンバー((4)先行車両の車両ナンバー)を含む通信データDを自車両Xの周囲に送信する。
自車両Xから送信された通信データDを受信することにより、第1他車両X1の通信装置100は、ナンバー登録部17に登録された車両ナンバーと第1他車両X1の後端部に設置されたナンバープレートの車両ナンバーとが異なっていることを把握できる。なお、第1他車両X1の変更部16は、受信部13で受信された通信データのうち、通信データに含まれる「(4)先行車両の通信ID」に基づいて自車両Xが第1他車両X1に対して送信した通信データDを特定する。すなわち、変更部16は、通信データに含まれる「(4)先行車両の通信ID」が第1他車両X1の通信IDと同じ通信データを通信データDとして特定する。
第1他車両X1の変更部16は、特定した通信データDに含まれる「(4)先行車両の車両ナンバー」がナンバー登録部17に登録されている車両ナンバーと異なる場合、ナンバー登録部17に登録されている車両ナンバーを通信データDに含まれる「(4)先行車両の車両ナンバー」に書き換える。その後、第1他車両X1の送信部15は、書き換えられた車両ナンバーを通信データの「(2)通信データ送信元の車両ナンバー」として用い、第1他車両X1の周囲に通信データD1を送信する。
これにより、第1他車両X1のナンバー登録部17に予め登録された車両ナンバーに誤登録があっても、正しい第1他車両X1の車両ナンバーを含む通信データD1が送信される。
上述した、特定部14における先行車両が送信した通信データを特定して先行車両に通信データを送信する処理、及び、ナンバー登録部17に予め登録された車両ナンバーに誤登録があった場合の書き換え処理は、自車両X、第1他車両X1、及び第2他車両X2に搭載された通信装置100のそれぞれにおいて実行される。
次に、自車両Xの特定部14が先行車両が送信した通信データを特定する処理の流れについて説明する。なお、本処理は、例えば、自車両Xの前方の先行車両の通信IDが特定されていない状態で、自車両Xが先行車両と車車間通信を開始するときなど、所定のタイミングで実行される。図3に示されるように、ナンバー認識部11は、カメラ1の撮像情報に基づいて、先行車両(第1他車両X1)の車両ナンバーを認識する(S101)。走行状態認識部12は、レーダセンサ2の検出情報に基づいて、先行車両(第1他車両X1)の走行状態を認識する(S102)。特定部14は、受信部13で受信された通信データに基づいて、通信データに含まれる「(2)通信データ送信元の車両ナンバー」を認識する(S103)。特定部14は、受信部13で受信された通信データに基づいて、通信データを送信した車両毎に速度の変化を認識する(S104)。
特定部14は、通信データに含まれる車両ナンバーとナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとを比較する(S105)。車両ナンバーが一致する通信データがある場合(S105:YES)、特定部14は、車両ナンバーが一致する通信データを先行車両(第1他車両X1)から送信された通信データD1と特定する。そして、特定部14は、先行車両の通信IDを特定する(S106)。送信部15は、ナンバー認識部11で認識された第1他車両X1の車両ナンバー、及び第1他車両X1の通信IDを含む通信データDを自車両Xの周囲に送信する(S107)。
車両ナンバーが一致する通信データがない場合(S105:NO)、特定部14は、通信データに含まれる走行状態と走行状態認識部12で認識された先行車両の走行状態とを比較する(S108)。走行状態認識部12で認識された先行車両の走行状態に対して通信データに含まれる走行状態が所定の一致度以上一致する通信データがある場合(S108:YES)、特定部14は、走行状態が所定の一致度以上一致する通信データを、先行車両(第1他車両X1)から送信された通信データD1と特定する。そして、特定部14は、先行車両の通信IDを特定する(S109)。そして、送信部15は、上述のS107の処理を行う。
走行状態認識部12で認識された先行車両の走行状態に対して通信データに含まれる走行状態が所定の一致度以上一致する通信データがない場合(S108:NO)、先行車両の通信IDが特定できないとして本処理を終了する。
第1他車両X1及び第2他車両X2に搭載された通信装置100においても、図3を用いて説明した自車両Xの通信装置100で実行される処理と同様の処理が実行される。
次に、第1他車両X1の変更部16がナンバー登録部17に登録された車両ナンバーを書き換える処理の流れについて説明する。なお、本処理は、例えば、第1他車両X1以外の他車両から通信データが受信されたときに開始される。図4に示されるように、変更部16は、受信部13で受信された通信データに「(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID」が含まれているか否かを判定する(S201)。通信データに「(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID」が含まれていない場合(S201:NO)、変更部16は、本処理を終了する。
通信データに「(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID」が含まれている場合(S201:YES)、変更部16は、「(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID」の「先行車両の通信ID」が、第1他車両X1が車車間通信で使用する通信IDと一致するか否かを判定する(S202)。通信IDが一致しない場合(S202:NO)、変更部16は、本処理を終了する。
通信IDが一致する場合(S202:YES)、変更部16は、通信IDが一致する通信データに含まれる「(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID」の「先行車両の車両ナンバー」を取得する。なお、通信IDが一致する「(4)先行車両の車両ナンバー、及び先行車両の通信ID」を含む通信データとは、本実施形態では、自車両Xから送信された通信データDである。変更部16は、取得した「先行車両の車両ナンバー」がナンバー登録部17に記憶された車両ナンバーと一致しているか否かを判定する(S203)。取得した「先行車両の車両ナンバー」がナンバー登録部17に記憶された車両ナンバーと一致する場合(S203:YES)、変更部16は、本処理を終了する。一方、取得した「先行車両の車両ナンバー」がナンバー登録部17に記憶された車両ナンバーと一致しない場合(S203:NO)、変更部16は、ナンバー登録部17に登録された車両ナンバーを通信データから取得した「先行車両の車両ナンバー」に書き換える(S204)。
自車両X及び第2他車両X2に搭載された通信装置100においても、図4を用いて説明した第1他車両X1の変更部16で実行される処理と同様の処理が実行される。
以上のように、通信データに含まれる車両ナンバーとナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとが一致しない場合、通信装置100は、先行車両の走行状態の一致度に基づいて、先行車両が送信した通信データを特定する。走行状態に基づいて先行車両が送信した通信データが特定された場合、送信部15は、当該通信データの送信元の先行車両に対してナンバー認識部11で認識された車両ナンバーを送信する。このように、通信装置100は、先行車両のナンバー登録部17に予め登録された車両ナンバーに誤りがある場合、正しい車両ナンバーを先行車両に知らせることができる。
また、先行車両は、先行車両のナンバー登録部17に予め登録された車両ナンバーに誤りがある場合、後続の車両から送信された通信データに基づいてナンバー登録部17に登録された車両ナンバーを書き換えることができる。このように車両ナンバーが正しく書き換えられることにより、後続の車両は、先行車両が送信した通信データを早期に特定できる。
(第1変形例)
実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例は、実施形態に対して、変更部16がナンバー登録部17に登録された車両ナンバーを書き換える構成が異なっている。以下、自車両Xに搭載された変更部16を用いて説明する。第1変形例に係る変更部16は、受信部13において複数の他車両から受信された通信データのうち、通信データに含まれる「(4)先行車両の通信ID」が自車両Xの通信IDと同じ通信データを特定する。変更部16は、特定された通信データに基づいて、複数の他車両から、一定期間内に連続して同じ「(4)先行車両の車両ナンバー」を含む通信データが所定回数以上受信された場合に、ナンバー登録部17に登録されている車両ナンバーを連続して受信された「(4)先行車両の車両ナンバー」に書き換える。なお、変更部16は、連続して同じ「(4)先行車両の車両ナンバー」を含む通信データが受信されることに限定されず、同じ「(4)先行車両の車両ナンバー」を含む通信データが所定回数以上受信された場合に車両ナンバーの書き換えを行ってもよい。
本変形例では、同じ「(4)先行車両の車両ナンバー」を含む通信データが所定回数以上受信された場合に車両ナンバーの書き換えが行われるため、変更部16は、正しく認識された正確な車両ナンバーを用いてナンバー登録部17の書き換えを行うことができる。
(第2変形例)
実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例は、実施形態に対して、送信部15が送信する通信データの構成、及び変更部16がナンバー登録部17に登録された車両ナンバーを書き換える構成が異なっている。以下、自車両Xに搭載された変更部16及びナンバー登録部17等を用いて説明する。第2変形例に係る変更部16は、受信部13において受信された通信データのうち、通信データに含まれる「(4)先行車両の通信ID」が自車両Xの通信IDと同じ通信データを特定する。変更部16は、特定された通信データの「(4)先行車両の車両ナンバー」がナンバー登録部17に登録された自車両Xの車両ナンバーと異なる場合、通信データに含まれる「(4)先行車両の車両ナンバー」をナンバー登録部17に元々登録されていた車両ナンバーと共に登録する。
このナンバー登録部17に登録される「(4)先行車両の車両ナンバー」とは、速度の変化の一致度に基づいて自車両Xが送信した通信データDが特定され、自車両Xの後続の他車両がカメラ1によって認識した自車両Xの車両ナンバーである。また、変更部16は、「(4)先行車両の車両ナンバー」と共に一致回数をナンバー登録部17に登録する。この一致回数とは、速度の変化の一致度に基づいて自車両Xが送信した通信データDが特定された回数である。一致回数は、後続の他車両と自車両Xとの接続が行われるタイミングで増加する。
以下、説明の都合上、ナンバー登録部17に元々登録されていた車両ナンバーを「(a)元々の車両ナンバー」という。また、「(a)元々の車両ナンバー」と共にナンバー登録部17に登録される「(4)先行車両の車両ナンバー」及び「一致回数」を「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」という。
なお、変更部16は、「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」の「一致回数」が所定の回数以上となった場合、「(a)元々の車両ナンバー」を「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」の車両ナンバーに書き換える。そして、変更部16は、「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」をリセット(ナンバー登録部17から消去)する。
なお、通信IDに基づいて特定された通信データの「(4)先行車両の車両ナンバー」が、ナンバー登録部17に登録された「(a)元々の車両ナンバー」及び「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」と異なる場合がある。この場合、変更部16は、「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」の情報枠を一つ増やして、異なる「(4)先行車両の車両ナンバー」についての「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」をナンバー登録部17にさらに登録してもよい。すなわち、ナンバー登録部17には、車両ナンバーが異なる複数の「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」が登録される。
送信部15は、通信データDを送信する場合、通信データDの「(2)通信データ送信元の車両ナンバー」として、ナンバー登録部17に登録された「(a)元々の車両ナンバー」及び「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」を周囲に送信する。なお、送信部15は、ナンバー登録部17に「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」が複数登録されている場合、すべての「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」を送信する。
自車両Xから通信データDが送信されると、自車両Xの後続の他車両は、通信データDに含まれる「(a)元々の車両ナンバー」及び「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」を用いて、自車両Xが送信した通信データDを特定する。具体的には、自車両Xの後続の他車両の特定部14は、まず、通信データに含まれる「(a)元々の車両ナンバー」とナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとを比較し、比較結果に基づいて実施形態と同様に、先行車両(自車両X)が送信した通信データDを特定する。
通信データに含まれる「(a)元々の車両ナンバー」とナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとが一致しない場合、自車両Xの後続の他車両の特定部14は、「(b)カメラで認識された車両ナンバー」とナンバー認識部11で認識された車両ナンバーとを比較する。そして、特定部14は、比較結果に基づいて実施形態と同様に、先行車両(自車両X)が送信した通信データDを特定する。なお、通信データDに「(b)カメラで認識された車両ナンバー及び一致回数」が複数含まれている場合、特定部14は、「一致回数」が多い「(b)カメラで認識された車両ナンバー」から順番に、ナンバー認識部11で認識された車両ナンバーと比較する。自車両Xの後続の他車両は、自車両Xが送信した通信データDを特定できた場合、実施形態と同様に、通信データを周囲に送信する。
本変形例では、「一致回数」が所定の回数以上となった場合に車両ナンバーの書き換えが行われるため、変更部16は、正しく認識された正確な車両ナンバーを用いてナンバー登録部17の書き換えを行うことができる。
(第3変形例)
実施形態の第3変形例について説明する。図5に示されるように、自車両X10の前方を先行車両(他車両)X11が走行し、自車両X10の後方を後続車両(他車両)X12が走行している。自車両X10は、通信データD10を周囲に送信する。先行車両X11は、通信データD11を周囲に送信する。後続車両X12は、通信データD12を周囲に送信する。自車両X10、先行車両X11、及び後続車両X12は、図6に示される通信装置100Aを備えている。以下、自車両X10に搭載された通信装置100Aを用いて説明する。通信装置100Aの説明において、実施形態における通信装置100と同様の構成要素については同一符合を付して詳細な説明を省略する。
図6に示される通信装置100Aは、カメラ(第1検出センサ)1A、レーダセンサ(第2検出センサ)2A、速度センサ3、通信機器4、及びECU10Aを備えている。カメラ1Aは、自車両X10の前方及び後方の領域を撮像する。レーダセンサ2は、自車両X10の前方及び後方を走行する他車両(先行車両X11,後続車両X12)の走行状態を検出する。
ECU10Aは、ナンバー認識部(識別情報認識部)11A、走行状態認識部12A、受信部13、特定部14A、送信部15A、変更部16A、及びナンバー登録部(識別情報登録部)17を備えている。
ナンバー認識部11Aは、カメラ1Aの撮像情報に基づいて、自車両X10の前方を走行する先行車両X11の車両ナンバー及び後方を走行する後続車両X12の車両ナンバーを認識する。走行状態認識部12Aは、レーダセンサ2Aの検出情報に基づいて、自車両X10の前方を走行する先行車両X11の走行状態及び後方を走行する後続車両X12の車両状態を認識する。
ここで、本変形例において車両間で送受信される通信データには、次の(1)〜(4)が含まれている。
(1)通信データ送信元の通信ID
(2)通信データ送信元の車両ナンバー
(3)通信データ送信元の車両の速度
(4)先行車両の車両ナンバー及び先行車両の通信ID、後続車両の車両ナンバー及び後続車両の通信ID
すなわち、実施形態における通信データに対して、「(4)先行車両の車両ナンバー及び先行車両の通信ID、後続車両の車両ナンバー及び後続車両の通信ID」が異なっている。
特定部14Aは、実施形態と同様に、ナンバー認識部11Aで認識された先行車両X11の車両ナンバー又は走行状態認識部12Aで認識された先行車両X11の走行状態と、受信部13で受信された通信データとに基づいて、先行車両X11が送信した通信データD11を特定する。ここでは、特定部14Aは、先行車両X11が送信した通信データD11を特定したが、同様の方法によって後続車両X12が送信した通信データD12を特定する。具体的には、特定部14Aは、ナンバー認識部11Aで認識された後続車両X12の車両ナンバー又は走行状態認識部12Aで認識された後続車両X12の走行状態と、受信部13で受信された通信データとに基づいて、後続車両X12が送信した通信データD12を特定する。
送信部15Aは、上述した「(4)先行車両の車両ナンバー及び先行車両の通信ID、後続車両の車両ナンバー及び後続車両の通信ID」を含む通信データD10を自車両X10の周囲に送信する。
変更部16Aは、実施形態と同様に、後続車両X12から送信された通信データD12に基づいて、ナンバー登録部17に登録された車両ナンバーの書き換えを行う。ここでは、変更部16Aは、後続車両X12から送信された通信データD12に基づいて車両ナンバーの書き換えを行ったが、同様の方法によって先行車両X11が送信した通信データD11に基づいてナンバー登録部17に登録された車両ナンバーの書き換えを行う。具体的には、変更部16Aは、受信部13で受信された通信データのうち、通信データに含まれる「(4)後続車両の通信ID」に基づいて先行車両X11が自車両X10に対して送信した通信データD11を特定する。変更部16Aは、特定した通信データD11に含まれる「(4)後続車両の車両ナンバー」がナンバー登録部17に登録されている車両ナンバーと異なる場合、ナンバー登録部17に登録されている車両ナンバーを書き換える。
本変形例では、先行車両から送信された通信データ及び後続車両から送信された通信データのいずれの通信データによっても車両ナンバーの書き換えが可能であるため、正しい車両ナンバーへ素早く書き換えることができる。
なお、第3変形例において車両ナンバーを書き換える際に、第1変形例と同様に、同じ「(4)先行車両の車両ナンバー」を含む通信データ又は同じ「(4)後続車両の車両ナンバー」を含む通信データが所定回数以上受信された場合に車両ナンバーの書き換えを行ってもよい。また、第3変形例において車両ナンバーを書き換える際に、第2変形例と同様に、「一致回数」が所定の回数以上となった場合に車両ナンバーの書き換えを行ってもよい。
第3変形例では、先行車両から送信された通信データ及び後続車両から送信された通信データの一方の通信データに基づいて車両ナンバーの書き換えを行ったが、両方の通信データに基づいて車両ナンバーの書き換えが行われてもよい。具体的には、自車両X10の変更部16Aが車両ナンバーを書き換える場合、先行車両X11から送信された通信データD11の「(4)後続車両の車両ナンバー」と、後続車両X12から送信された通信データD12の「(4)先行車両の車両ナンバー」とが一致する場合に、車両ナンバーを書き換えてもよい。
以上、本発明の実施形態及び各変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態及び各変形例に限定されるものではない。例えば、実施形態等においては、カメラ1及びレーダセンサ2によって自車両の前方の先行車両の車両ナンバー及び速度を認識したが、前方の先行車両に限定されず、自車両の周囲の他車両を認識の対象としてもよい。
走行状態認識部12,12Aは、レーダセンサ2,2Aの検出結果に基づいて他車両の走行状態を認識したが、カメラ1,1Aで撮像された撮像情報に基づいて他車両の走行状態を認識してもよい。この場合、走行状態認識部12,12Aは、撮像情報に基づく走行状態の認識を、例えば周知の画像認識処理等に基づいて行うことができる。
上記実施形態等では、車両ナンバーを用いて他車両が送信した通信データを特定したが、車両同士を識別するものであれば、車両ナンバー以外の固有識別情報が用いられてもよい。