<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置を図1〜図13を参照して以下に説明する。
第1実施形態の硬貨処理装置は、機外から投入されたバラ硬貨を識別しつつ計数して金種別に収納するものである。図1に示すように、第1実施形態の硬貨処理装置1は、外部から硬貨が投入される硬貨投入繰出部10を有している。
硬貨投入繰出部10は、水平に配置された回転円盤12と、この回転円盤12の外縁部から鉛直に立ち上がる、一部が切り欠かれた略円筒状の側壁部13と、回転円盤12との間に硬貨一枚分の隙間をもって側壁部13の切欠部分に設けられた分別環14とを有している。
硬貨投入繰出部10には、機外からバラ硬貨が投入される。この状態で回転円盤12が図1における反時計回りに回転すると、その遠心力によって硬貨が側壁部13の内周面に沿って運ばれる。更に、硬貨は、回転円盤12と分別環14との隙間を介して一枚ずつ分離されて硬貨投入繰出部10から外に順次繰り出される。
硬貨投入繰出部10の硬貨繰出位置には、硬貨投入繰出部10から繰り出された硬貨Cを一列状に移動するように案内する搬送路20と、搬送路20上の硬貨Cを搬送するフィードユニット21とが設けられている。
搬送路20は、回転円盤12の接線方向に沿って配置された第1搬送部23(搬送部)と、この第1搬送部23の回転円盤12とは反対側から直交方向に延出する第2搬送部24と、この第2搬送部24の第1搬送部23とは反対側から直交方向に延出する第3搬送部25とを有している。第1搬送部23には、搬送中の硬貨Cの金種を識別しつつ計数する識別装置部27が設けられている。
第2搬送部24には、硬貨Cを落下可能であり落下した硬貨Cを機外に取出可能に案内するリジェクト口28と、識別装置部27で識別不能と識別された硬貨Cをリジェクト口28に落下させるリジェクト部29とが設けられている。リジェクト口28から落下した硬貨Cは、図示略のリジェクト箱に排出される。
第3搬送部25には、識別装置部27で識別され計数された硬貨Cを金種別に選別する選別部32が設けられている。この選別部32は、硬貨Cを落下可能な金種別の選別口32a〜32fを有しており、これら選別口32a〜32fが第3搬送部25の延在方向に並べられて設けられている。これら選別口32a〜32fは、硬貨Cを小さい外径のものから落下させるようになっており、最も上流側の選別口32aが1円硬貨を、その下流側の選別口32bが50円硬貨を、その下流側の選別口32cが5円硬貨を、その下流側の選別口32dが100円硬貨を、その下流側の選別口32eが10円硬貨を、その下流側の選別口32fが500円硬貨を、それぞれ別々に落下させるようになっている。各選別口32a〜32fの直前位置には硬貨Cを検知する硬貨検知センサ33a〜33fが設けられており、硬貨検知センサ33a〜33fの隣り合うもの同士の検知枚数の差から、選別口32a〜32fのうちの間にあるものから落下した硬貨Cの数を計数するようになっている。
フィードユニット21は、複数の搬送ベルト35,36を有しており、これらの搬送ベルト35,36が、硬貨投入繰出部10から繰り出された硬貨Cを上側から搬送路20に押し付けて搬送する。この搬送中、硬貨Cは、まず、識別装置部27で識別され計数されることになる。識別装置部27で識別不能であった硬貨Cは、リジェクト部29によってリジェクト口28から落下させられ、それ以外の硬貨Cは、選別部32の金種別の選別口32a〜32fの対応するものから落下する。
なお、図示は略すが、選別口32a〜32fの下側には、選別口32a〜32fから落下した硬貨Cを機外に返却可能に一時貯留する金種別の一時貯留部と、一時貯留部に貯留された硬貨Cを出金可能に収納する金種別の出金収納部とが設けられている。
識別装置部27は、上記したように、搬送路20の第1搬送部23に設けられている。第1搬送部23は、上面の搬送面39が水平に配置されて回転円盤12の接線方向に直線状に延びる通路部40と、通路部40の通路幅方向両側に立設されて通路部40と同方向に延びる側壁部41,42とを有している。通路部40は、硬貨投入繰出部10から繰り出された硬貨の下面を搬送面39で支持してその移動を案内することになり、側壁部41,42はその際に硬貨が一列状に並ぶように硬貨の外周面を案内する。
以下、識別装置部27を、第1搬送部23の搬送面39上で搬送される硬貨Cの搬送方向を硬貨搬送方向とし、硬貨搬送方向に対して直交する水平方向を通路幅方向として説明する。ここで、以下の説明における「左」は搬送面39上で搬送される硬貨Cの進行方向の左、「右」は、搬送面39上で搬送される硬貨Cの進行方向の右である。搬送面39を含む第1搬送部23は、硬貨Cを上記した硬貨搬送方向に搬送する。各図における矢印Bの方向は硬貨搬送方向上流側、即ち硬貨Cの進行方向の後側を、矢印Fの方向は硬貨搬送方向下流側、即ち硬貨Cの進行方向の前側を、B−Fを結ぶ方向が硬貨搬送方向を、それぞれ示す。各図における矢印Lの方向は通路幅方向の左側を、矢印Rの方向は通路幅方向の右側を、L−Rを結ぶ方向が通路幅方向を、それぞれ示す。
図2に示すように、識別装置部27は、下モジュール51と、下モジュール51の上方に配置される上モジュール52とを有している。下モジュール51は、第1搬送部23の一部を構成するものである。
図3に示すように、下モジュール51は、下モジュール本体55と、下モジュール本体55の下部側を覆うモジュールカバー56と、下モジュール本体55の下部側が挿入された状態のモジュールカバー56を下モジュール本体55に固定する一対のビス57とを有している。
図4に示すように、下モジュール本体55は、一対のガイド部材61L,61Rと、搬送板62と、一対の光吸収シート63L,63Rと、本体ケース65(導光部材)と、磁気センサ66と、センサ支持台67と、セルホックレンズ68と、センサカバー71と、一対の光源搭載基板72B,72Fと、一対の光源搭載基板72B,72Fを本体ケース65に固定する複数の取付ピン73と、光源センサ搭載基板75と、光源センサ搭載基板75を本体ケース65及び一対のガイド部材61L,61Rに固定する複数のボルト76とを有している。
一対のガイド部材61L,61Rは、硬貨搬送方向に延在する状態で、通路幅方向の両側に配置される。一対のガイド部材61L,61Rは、同一部材からなり、表裏反転することで通路幅方向に対称形状をなす。一対のガイド部材61L,61Rには、それぞれ、硬貨搬送方向両側に2カ所の位置決め穴81が厚さ方向に貫通して形成されている。一対のガイド部材61L,61Rには、それぞれ、2カ所の位置決め穴81の間に、上下に貫通する2カ所のネジ穴82が形成されている。一対のガイド部材61L,61Rには、それぞれ、四隅に上下に貫通する取付穴83が形成されている。
通路幅方向一側である左側の一方のガイド部材61Lは、図1に示す側壁部42の一部を構成するものであり、通路幅方向他側である右側の他方のガイド部材61Rは、図1に示す側壁部41の一部を構成するものである。一対のガイド部材61L,61Rは、何れも直線状の板であり、互いの対向面で硬貨Cの外周面に接触してその移動を案内する。
搬送板62は、図1に示す通路部40の一部を構成する。搬送板62は、その上面が搬送面39の一部を構成することになり、搬送面39の他の部分と同様、硬貨Cの下面を案内する。搬送板62は、図5に示すように、ベース板77と、ベース板77の下面に設けられた一対の遮光板78B,78Fとを有している。ベース板77は、透光性の材料からなり、具体的にはサファイアガラス等の透明なガラス板からなっている。図3に示すように、搬送板62はその上面の一対のガイド部材61L,61Rの間に配置される部分が硬貨Cの下面に接触してその移動を案内する搬送面部85となる。搬送面部85は、搬送面39の一部を構成している。
図4に示すように、光源センサ搭載基板75は、光源センサ搭載基板本体91と、光源センサ搭載基板本体91の上面に取り付けられた画像検出部としてのラインセンサ92と、光源センサ搭載基板本体91の上面に取り付けられた一対の光源93L,93Rとを有している。
光源センサ搭載基板本体91は直方体形状であり、厚さ方向に貫通する貫通穴95が、通路幅方向の両端縁部それぞれに、硬貨搬送方向に離間して2カ所ずつ形成されている。
ラインセンサ92は、光源センサ搭載基板本体91の4カ所の貫通穴95の通路幅方向及び硬貨搬送方向の間位置に、通路幅方向に延在するように取り付けられている。ラインセンサ92は、受光方向を鉛直上方に向けている。ラインセンサ92は、通路幅方向において、中心位置を搬送面部85の中心位置と一致させて配置される。
一対の光源93L,93Rは、ラインセンサ92と硬貨搬送方向の位置を合わせている。即ち、光源93L,93Rは、硬貨搬送方向において、中心位置をラインセンサ92の中心位置と一致させている。また、一対の光源93L,93Rは、通路幅方向において、ラインセンサ92を基準に対称状に配置されている。
一対の光源93L,93Rは、それぞれ、通路幅方向の位置を合わせて硬貨搬送方向に並べられた複数(具体的には2個)のLED98を有している。これらLED98は鉛直上方に発光する。光源センサ搭載基板75は、搬送板62の鉛直下方に、ラインセンサ92が搬送面部85と通路幅方向の位置を合わせるように配置されることになる。光源93Lは、ラインセンサ92よりも通路幅方向一側である左側に配置されており、光源93Rは、ラインセンサ92よりも通路幅方向他側である右側に配置されている。LED98は、緑色光を発光させる緑色LEDである。なお、LED98として、赤色光を発光させる赤色LEDを用いることも可能である。
一対の光源搭載基板72B,72Fは、それぞれ、光源搭載基板本体101と、光源搭載基板本体101の上面に取り付けられた光源102とを有している。光源搭載基板本体101は、通路幅方向に長い帯板状であり、光源102の通路幅方向の両外側に上下に貫通する貫通穴103が形成されている。光源102は、硬貨搬送方向の位置を合わせて通路幅方向に直線状に並べられた複数(具体的には9個)のLED104を有している。これらLED104は鉛直上方に発光する。図5に示すように、光源搭載基板72Bは、ラインセンサ92よりも硬貨搬送方向上流側に配置され、光源搭載基板72Fは、ラインセンサ92よりも硬貨搬送方向下流側に配置される。LED104も、緑色光を発光させる緑色LEDである。なお、LED104として、赤色光を発光させる赤色LEDを用いることも可能である。
図4に示すように、センサカバー71は、通路幅方向に長く上下に開口する四角筒状の囲壁部111と、囲壁部111の内側で水平に配置される載置板部112と、囲壁部111の硬貨搬送方向上流側の部分から上方に突出する上流側突出壁部113Bと、囲壁部111の硬貨搬送方向下流側の部分から上方に突出する下流側突出壁部113Fとを有している。載置板部112には、通路幅方向に長い窓穴114が硬貨搬送方向の中央に形成されている。センサカバー71は、囲壁部111でラインセンサ92を水平四方向で覆うように光源センサ搭載基板75の光源センサ搭載基板本体91に載置される。その際に、図5に示すように、センサカバー71は、ラインセンサ92と一対の光源搭載基板72B,72Fとの間に、これらを仕切るように配置される。また、センサカバー71は、図4に示すラインセンサ92と一対の光源93L,93Rとの間に、これらを仕切るように配置される。
セルホックレンズ68は、集光部であり、ラインセンサ92の鉛直上方に配置される。図4に示すように、セルホックレンズ68は、通路幅方向に長い長尺状であり、図5に示すように、本体ケース65の後述する配置長穴161内に固定されている。図4に示すように、セルホックレンズ68は、センサカバー71の載置板部112の窓穴114と硬貨搬送方向及び通路幅方向の位置を合わせて配置される。そして、セルホックレンズ68は、ラインセンサ92と硬貨搬送方向及び通路幅方向の位置を合わせることになる。即ち、図5に示すように、セルホックレンズ68は、硬貨搬送方向において、中心位置をラインセンサ92の中心位置と一致させることになり、通路幅方向においても、中心位置をラインセンサ92の中心位置と一致させている。
セルホックレンズ68と、セルホックレンズ68の下側に配置されたラインセンサ92とが、搬送板62の下側に設けられて搬送面部85上を移動する硬貨Cを光学的に識別する識別部121を構成している。識別部121は、セルホックレンズ68及びラインセンサ92によって、これらの真上の硬貨識別位置にある硬貨Cの通路幅方向に沿う線画像を検出しこの線画像を時系列的につないで硬貨Cの外径及び模様を簡易的に検出して、真偽、正損、金種等を識別する。
センサ支持台67は、光源搭載基板72Fよりも硬貨搬送方向下流側に配置されて光源センサ搭載基板75の光源センサ搭載基板本体91に載置されている。磁気センサ66は、センサ支持台67に載置されている。磁気センサ66は、搬送板62の下側に設けられて搬送面部85上を移動する硬貨Cの磁気的性質を検出して、真偽、金種等を識別する。
図4に示すように、本体ケース65は、光源センサ搭載基板75、一対の光源搭載基板72B,72F、センサカバー71、センサ支持台67及び磁気センサ66の上側に、これらを覆うように配置される。言い換えれば、光源93L,93R及び光源搭載基板72B,72Fの光源102、即ち識別装置部27に設けられた全ての光源が、本体ケース65の下側に配置されている。
本体ケース65は、アクリル等の透明材料からなるもので、搬送面部85上を搬送される硬貨Cに、光源センサ搭載基板75の一対の光源93L,93Rと、一対の光源搭載基板72B,72Fの光源102とからの光を導いて照射するものである。
図7,図8に示すように、本体ケース65は、一つの樹脂材料からなる一体成形品であり、例えば、樹脂射出成形により製造されている。即ち、本体ケース65は、二次接着及び機械的接合されることなく一つの部材の形をなしている。なお、本体ケース65を、一つの一体成形された樹脂材料からなるブロック体から削り出しで形成することも可能である。
図7に示すように、本体ケース65には、その水平な主上面131から十字状をなして若干下方に凹む浅凹部132が形成されている。浅凹部132は、硬貨搬送方向に沿って延在する部分が、図4に示す搬送板62を載置させる載置凹部133となっており、載置凹部133の硬貨搬送方向の中間位置から通路幅方向両側に側方凹部134が延出している。本体ケース65には、載置凹部133と側方凹部134との交差部分に、浅凹部132の底面から下方に凹む中間上凹部135が形成されている。
図5に示すように、載置凹部133に載置された搬送板62は、その遮光板78Bが、中間上凹部135の硬貨搬送方向上流側を覆うように配置され、遮光板78Fが、中間上凹部135の硬貨搬送方向下流側を覆うように配置されている。これら遮光板78B,78Fの間は、上下に開口する窓部130となっており、窓部130は、中間上凹部135の硬貨搬送方向中央位置に配置されている。
図7,図8に示すように、本体ケース65には、載置凹部133の底面の中間上凹部135よりも硬貨搬送方向上流側に、この底面から下方に凹む上流側上凹部136Bが形成されており、載置凹部133の底面の中間上凹部135よりも硬貨搬送方向下流側に、この底面から下方に凹む下流側上凹部136Fが形成されている。これら上流側上凹部136B及び下流側上凹部136Fは、通路幅方向に長い長穴状になっている。
本体ケース65には、通路幅方向左側の側方凹部134の底面の位置に、中間上凹部135よりも通路幅方向一側である左側において、この底面から下方に凹む一側上凹部138Lが形成されており、通路幅方向右側の側方凹部134の底面の位置に、中間上凹部135よりも通路幅方向他側である右側において、この底面から下方に凹む他側上凹部138Rが形成されている。これら一側上凹部138L及び他側上凹部138Rは、硬貨搬送方向に長い長穴状になっている。
本体ケース65には、上流側上凹部136B及び下流側上凹部136Fの通路幅方向両外側の4カ所に、上下に貫通する嵌合穴141が形成されており、これら嵌合穴141のそれぞれの通路幅方向外側となる4カ所に上下に貫通する挿通穴142が形成されている。また、本体ケース65には、硬貨搬送方向両端部の載置凹部133よりも通路幅方向両外側の4カ所に、主上面131から上方に突出する位置決め凸部145が形成されている。
本体ケース65には、図5に示すように、中間上凹部135と硬貨搬送方向及び通路幅方向の位置を合わせて下端面150よりも上方に凹む中間下凹部151と、上流側上凹部136Bと硬貨搬送方向及び通路幅方向の位置を合わせて下端面150よりも上方に凹む上流側下凹部152Bと、上流側下凹部152Bの通路幅方向の中央から更に上方に凹む上流側空間凹部153Bと、下流側上凹部136Fと硬貨搬送方向及び通路幅方向の位置を合わせて下端面150よりも上方に凹む下流側下凹部152Fと、下流側下凹部152Fの通路幅方向の中央から更に上方に凹む下流側空間凹部153Fとが形成されている。本体ケース65には、下流側下凹部152Fよりも硬貨搬送方向下流側に、下端面150よりも上方に凹む下流側凹部155が形成されている。
図7,図8に示す硬貨搬送方向上流側の2カ所の嵌合穴141は、図5に示す上流側下凹部152Bの上流側空間凹部153Bよりも通路幅方向両側に配置されている。上流側下凹部152Bに、硬貨搬送方向上流側の光源搭載基板72Bが、これら嵌合穴141に図4に示す貫通穴103を介して嵌合される2本の取付ピン73で固定される。この状態で、図5に示すように、この光源搭載基板72Bの光源102が上流側空間凹部153B内に配置される。
図7,図8に示す硬貨搬送方向下流側の2カ所の嵌合穴141は、図5に示す下流側下凹部152Fの下流側空間凹部153Fよりも通路幅方向両側に配置されている。下流側下凹部152Fに、硬貨搬送方向下流側の光源搭載基板72Fが、これら嵌合穴141に図4に示す貫通穴103を介して嵌合される2本の取付ピン73で固定される。この状態で、図5に示すように、この光源搭載基板72Fの光源102が下流側空間凹部153F内に配置される。
図8に示すように、中間上凹部135の底部には、硬貨搬送方向の中央に、通路幅方向に長い矩形状の配置長穴161が上下に貫通して形成されている。図5に示すように、配置長穴161は、硬貨搬送方向において、中心位置をラインセンサ92の中心位置と一致させており、通路幅方向においても、中心位置をラインセンサ92の中心位置と一致させている。この配置長穴161内に、セルホックレンズ68が挿入され、接着等で固定されている。
また、図8に示すように、中間上凹部135の底部には、配置長穴161よりも硬貨搬送方向上流となる中間上凹部135の硬貨搬送方向上流の端部位置に、通路幅方向に長い上流側貫通長穴162Bが上下に貫通して形成されている。更に、中間上凹部135の底部には、配置長穴161よりも硬貨搬送方向下流となる中間上凹部135の硬貨搬送方向下流の端部位置に、通路幅方向に長い下流側貫通長穴162Fが上下に貫通して形成されている。図5に示すように、配置長穴161、上流側貫通長穴162B及び下流側貫通長穴162Fは、何れも、中間下凹部151に開口している。
本体ケース65には、その下端面150に、光源センサ搭載基板75が光源センサ搭載基板本体91において当接する。図9に示すように、その際に、中間下凹部151内に、ラインセンサ92とセンサカバー71と光源93L,93Rとが配置される。図5に示すように、センサカバー71は、上流側貫通長穴162B内に上流側突出壁部113Bが挿入され、下流側貫通長穴162F内に下流側突出壁部113Fが挿入されている。また、下流側凹部155内に、センサ支持台67及びこれに載置された磁気センサ66が配置される。本体ケース65の中間上凹部135の底部には、上流側貫通長穴162B及び下流側貫通長穴162Fのそれぞれと配置長穴161との間に遮光板165B,165Fが載置されている。
図7,図8に示すように、本体ケース65は、中間上凹部135と一側上凹部138Lとの間に一側照射部171Lを有している。一側照射部171Lは、本体ケース65において通路幅方向の一側である左側に、硬貨搬送方向に延在して設けられており、硬貨搬送方向において、中心位置を配置長穴161(即ち識別部121)の中心位置と一致させている。
図9に示すように、一側照射部171Lは、光源センサ搭載基板75の光源93Lの鉛直上方にあって光源93Lの発光が入射される入射面172Lと、入射面172Lから入射された光を反射させる反射面173Lと、反射面173Lで反射された光を出射させる出射面174Lとを有している。入射面172Lは、中間下凹部151を形成し、反射面173Lは一側上凹部138Lを形成し、出射面174Lは中間上凹部135を形成している。
入射面172L及び反射面173Lは、何れも硬貨搬送方向に沿う平坦面であり、入射面172Lは、通路幅方向において搬送面部85の中央に近い側ほど上側に位置するように傾斜し、反射面173Lは、上側ほど、通路幅方向において搬送面部85の中央に近づくように傾斜している。
光源93Lからの光を出射させる出射面174Lは、図7,図8に示すように、鉛直に沿っており、硬貨搬送方向に対し傾斜する平坦な傾斜面部176LB,176LFを硬貨搬送方向に対称状に一対有し、これら一対の傾斜面部176LB,176LFの間に硬貨搬送方向に沿う平坦な中間面部177Lを有している。硬貨搬送方向上流側の傾斜面部176LBは、搬送方向下流側ほど通路幅方向において配置長穴161の中央に近づくように傾斜している。硬貨搬送方向下流側の傾斜面部176LFは、搬送方向上流側ほど通路幅方向において配置長穴161の中央に近づくように傾斜している。中間面部177Lは、これら傾斜面部176LB,176LFを繋いでいる。これにより、一側照射部171Lは、傾斜面部176LB,176LF及び中間面部177Lを有する出射側先端部178Lが、通路幅方向に対向する他側照射部171Rに向け突出する凸状をなしている。
図9に示すように、光源93Lの発光が、通路幅方向の一側である左側の一側照射部171Lの入射面172Lに入射されると、この光は、反射面173Lで反射して、出射面174Lから通路幅方向の他方である右側に向け出射される。その際に、この出射光は、硬貨搬送方向から見て、搬送面部85よりも下側にある出射面174Lから若干斜め上方向に、ラインセンサ92の検出範囲である識別部121の鉛直上方の搬送面部85の位置、即ち識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。よって、一側照射部171Lは、光源93Lからの光を、識別部121の検出範囲にある硬貨Cに硬貨搬送方向に直交する通路幅方向の一側から照射する。
このとき、平面視で見ると、図6に示すように、出射光は、中間面部177Lでは屈折せず通路幅方向に沿って識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。また、出射光は、硬貨搬送方向下流側の傾斜面部176LFでは屈折し、硬貨搬送方向上流側に斜めに、識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。更に、出射光は、硬貨搬送方向上流側の傾斜面部176LBでも屈折し、搬送方向下流側に斜めに、識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。これにより、硬貨Cに多角的に光を照射することができる。
硬貨搬送方向に対する傾斜面部176LB,176LFの角度αは、30〜50度が好ましく、37〜48度がより好ましい。具体的には38度を採用している。これにより、傾斜面部176LB,176LFから出射される光によって、搬送面部85におけるラインセンサ92の検出範囲Wの通路幅方向の近傍側の端から反対側の端まで照射を行うことができる。また、最短でも検出範囲Wの通路幅方向の近傍側の端から所定距離の範囲W1(例えば検出範囲Wの1/4)まで照射を行うことができる。
図7,図8に示すように、本体ケース65は、中間上凹部135と他側上凹部138Rとの間に他側照射部171Rを有している。他側照射部171Rは、本体ケース65において通路幅方向の他側である右側に、硬貨搬送方向に延在して設けられており、硬貨搬送方向において、中心位置を配置長穴161(即ち識別部121)の中心位置と一致させている。他側照射部171Rと一側照射部171Lとは、通路幅方向において、配置長穴161(即ち識別部121)の中心を基準に対称形状に形成されている。
図9に示すように、他側照射部171Rは、光源センサ搭載基板75の光源93Rの鉛直上方にあって光源93Rの発光が入射される入射面172Rと、入射面172Rから入射された光を反射させる反射面173Rと、反射面173Rで反射された光を出射させる出射面174Rとを有している。入射面172Rは、中間下凹部151を形成し、反射面173Rは他側上凹部138Rを形成し、出射面174Rは中間上凹部135を形成している。
入射面172R及び反射面173Rは、何れも硬貨搬送方向に沿う平坦面であり、入射面172Rは、通路幅方向において搬送面部85の中央に近い側ほど上側に位置するように傾斜し、反射面173Rは、上側ほど、通路幅方向において搬送面部85の中央に近づくように傾斜している。
光源93Rからの光を出射させる出射面174Rは、鉛直に沿っており、図7,図8に示すように、硬貨搬送方向に対し傾斜する平坦な傾斜面部176RB,176RFを硬貨搬送方向に対称状に一対有し、これら一対の傾斜面部176RB,176RFの間に硬貨搬送方向に沿う平坦な中間面部177Rを有している。硬貨搬送方向上流側の傾斜面部176RBは、搬送方向下流側ほど通路幅方向において配置長穴161の中央に近づくように傾斜している。硬貨搬送方向下流側の傾斜面部176RFは、搬送方向上流側ほど通路幅方向において配置長穴161の中央に近づくように傾斜している。中間面部177Rは、これら傾斜面部176RB,176RFを繋いでいる。これにより、他側照射部171Rは、傾斜面部176RB,176RF及び中間面部177Rを有する出射側先端部178Rが、通路幅方向に対向する一側照射部171Lに向け突出する凸状をなしている。
図9に示すように、光源93Rの発光が、通路幅方向の他側である右側の他側照射部171Rの入射面172Rに入射されると、この光は、反射面173Rで反射して、出射面174Rから通路幅方向の一方である左側に向け出射される。その際の出射光は、硬貨搬送方向から見て、搬送面部85よりも下側にある出射面174Rから若干斜め上方向に、ラインセンサ92の検出範囲であるセルホックレンズ68の鉛直上方の搬送面部85の位置、即ち識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。よって、他側照射部171Rは、光源93Rからの光を、識別部121の検出範囲にある硬貨Cに硬貨搬送方向に直交する通路幅方向の他側から照射する。
このとき、平面視で見ると、出射光は、図6に示す中間面部177Rでは屈折せずに通路幅方向に沿って識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。また、出射光は、硬貨搬送方向上流側の傾斜面部176RBでは屈折し、硬貨搬送方向下流側に斜めに、識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。更に、出射光は、硬貨搬送方向下流側の傾斜面部176RFでも屈折し、搬送方向上流側に斜めに、識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。これにより、硬貨Cに多角的に光を照射することができる。硬貨搬送方向に対する傾斜面部176RB,176RFの角度αも、30〜50度が好ましく、37〜48度がより好ましい。具体的には38度を採用している。
図5に示すように、本体ケース65は、中間上凹部135と上流側貫通長穴162Bと上流側上凹部136Bと上流側空間凹部153Bとの間に、上流側照射部181Bを有している。上流側照射部181Bは、通路幅方向に延在して設けられており、通路幅方向において、中心位置を配置長穴161(即ち識別部121)の中心位置と一致させている。
上流側照射部181Bは、光源搭載基板72Bの光源102の鉛直上方にあってこの光源102の発光が入射される入射面182Bと、入射面182Bから入射された光を反射させる反射面183Bと、反射面183Bで反射された光を出射させる出射面184Bとを有している。入射面182Bは、上流側空間凹部153Bを形成し、反射面183Bは上流側上凹部136Bを形成し、出射面184Bは中間上凹部135を形成している。
入射面182B、反射面183B及び出射面184Bは、何れも通路幅方向に沿う平坦面であり、入射面182Bは、硬貨搬送方向下流側ほど上側に位置するように傾斜し、反射面183Bは、上側ほど硬貨搬送方向下流側に位置するように傾斜している。光源搭載基板72Bの光源102からの光を出射させる出射面184Bは、下側ほど硬貨搬送方向下流側に位置するように傾斜している。
図10に示すように、光源搭載基板72Bの光源102の発光が、硬貨搬送方向の上流側の上流側照射部181Bの入射面182Bに入射されると、この光は、反射面183Bで反射して、出射面184Bから硬貨搬送方向の下流側に向け出射される。その際の出射光は、通路幅方向から見て、搬送面部85よりも下側にある出射面184Bから若干斜め上方向に、ラインセンサ92の検出範囲であるセルホックレンズ68の鉛直上方の搬送面部85の位置、即ち識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。よって、上流側照射部181Bは、光源搭載基板72Bの光源102からの光を、識別部121の検出範囲にある硬貨Cに硬貨搬送方向の上流側から照射する。
図5に示すように、本体ケース65は、中間上凹部135と下流側貫通長穴162Fと下流側上凹部136Fと下流側空間凹部153Fとの間に、下流側照射部181Fを有している。下流側照射部181Fは、通路幅方向に延在して設けられており、通路幅方向において、中心位置を配置長穴161(即ち識別部121)の中心位置と一致させている。上流側照射部181B及び下流側照射部181Fは、硬貨搬送方向において、配置長穴161(即ち識別部121)を基準に対称形状に形成されている。
下流側照射部181Fは、光源搭載基板72Fの光源102の鉛直上方にあってこの光源102の発光が入射される入射面182Fと、入射面182Fから入射された光を反射させる反射面183Fと、反射面183Fで反射された光を出射させる出射面184Fとを有している。入射面182Fは、下流側空間凹部153Fを形成し、反射面183Fは下流側上凹部136Fを形成し、出射面184Fは中間上凹部135を形成している。
入射面182F、反射面183F及び出射面184Fは、何れも通路幅方向に沿う平坦面であり、入射面182Fは、硬貨搬送方向上流側ほど上側に位置するように傾斜し、反射面183Fは、上側ほど硬貨搬送方向上流側に位置するように傾斜している。光源搭載基板72Fの光源102からの光を出射させる出射面184Fは、下側ほど硬貨搬送方向上流側に位置するように傾斜している。
図10に示すように、光源搭載基板72Fの光源102の発光が、硬貨搬送方向の下流側の下流側照射部181Fの入射面182Fに入射されると、この光は、反射面183Fで反射して、出射面184Fから、硬貨搬送方向の上流側に向け出射される。その際の出射光は、通路幅方向から見て、搬送面部85よりも下側にある出射面184Fから若干斜め上方向に、ラインセンサ92の検出範囲であるセルホックレンズ68の鉛直上方の搬送面部85の位置、即ち識別部121の鉛直上方の硬貨Cの下面に向けて出射され、この硬貨Cの下面に窓部130を介して照射される。よって、下流側照射部181Fは、光源搭載基板72Fの光源102からの光を、識別部121の検出範囲にある硬貨Cに硬貨搬送方向の下流側から照射する。
以上により、本体ケース65は、第1搬送部23で搬送される硬貨Cに、光源93L,93R及び光源搭載基板72B,72Fの光源102からの光を導いて照射する。識別部121は、光源93L,93R及び光源搭載基板72B,72Fの光源102からの光が本体ケース65を介して照射された硬貨Cを、その画像を検出して識別する。本体ケース65が一体成形されているため、本体ケース65に含まれる一側照射部171L、他側照射部171R、上流側照射部181B及び下流側照射部181Fが一体的に形成されている。
光源93L,93R及び光源搭載基板72B,72Fの光源102と、本体ケース65の一側照射部171Lと他側照射部171Rと上流側照射部181Bと下流側照射部181Fとが、搬送面部85上を移動して識別部121で識別される硬貨Cに光を照射する照射部190を構成している。
図9に示すように、通路幅方向一側である左側の光吸収シート63Lは、本体ケース65の一側照射部171Lの出射側先端部178Lの下側で、遮光板165B,165Fの間に配置されている。通路幅方向他側である右側の光吸収シート63Rは、本体ケース65の他側照射部171Rの出射側先端部178Rの下側で、遮光板165B,165Fの間に配置されている。
図4に示すように、光源センサ搭載基板75の光源センサ搭載基板本体91上に、センサカバー71及びセンサ支持台67を載置させて、センサ支持台67上に磁気センサ66を載置させた状態で、セルホックレンズ68、光源搭載基板72B,72F及び光吸収シート63L,63Rが予め取り付けられた状態の本体ケース65を光源センサ搭載基板本体91上に載置させる。更に、本体ケース65に搬送板62を載置させて、ガイド部材61Lを、通路幅方向左側の2カ所の位置決め凸部145に2カ所の位置決め穴81を嵌合させて載置させ、ガイド部材61Rを、通路幅方向右側の2カ所の位置決め凸部145に2カ所の位置決め穴81を嵌合させて載置させる。
この状態で、2本のボルト76が、光源センサ搭載基板75の通路幅方向左側の貫通穴95及び本体ケース65の通路幅方向左側の挿通穴142に挿通されてガイド部材61Lのネジ穴82に螺合されることになり、2本のボルト76が、光源センサ搭載基板75の通路幅方向右側の貫通穴95及び本体ケース65の通路幅方向右側の挿通穴142に挿通されてガイド部材61Rのネジ穴82に螺合される。これにより、図3に示すように、下モジュール本体55が組み上がる。
更に、この下モジュール本体55のガイド部材61Lの硬貨搬送方向下流側且つ通路幅方向外側の取付穴83に挿通されたビス57がモジュールカバー56の一方のネジ穴201に螺合され、ガイド部材61Rの硬貨搬送方向上流側且つ通路幅方向外側の取付穴83に挿通されたビス57がモジュールカバー56の他方のネジ穴201に螺合されることで、図2に示すように、モジュールカバー56が下モジュール本体55の下部側を覆うようにガイド部材61L,61Rに取り付けられる。
上モジュール52は、直方体形状の上モジュール本体211と、上モジュール本体211から下方に突出する複数の硬貨押圧部材212(輪転抑制手段)とを有している。図11に示すように、硬貨押圧部材212は二対、合計4個設けられている。これらの硬貨押圧部材212は、何れも硬貨搬送方向に延在する姿勢となっている。一対の硬貨押圧部材212が互いに硬貨搬送方向の位置を合わせて通路幅方向に並び、これらに対し、硬貨搬送方向において識別部121を挟んだ状態で、残りの一対の硬貨押圧部材212が互いに硬貨搬送方向の位置を合わせて通路幅方向に並んでいる。
図12に示すように、通路幅方向において隣り合う硬貨押圧部材212の間に搬送ベルト35の下辺部215が配置されることになる。その結果、硬貨押圧部材212は、搬送ベルト35の下辺部215と硬貨搬送方向の位置を重ね合わせている。図13に示すように、硬貨押圧部材212は、搬送板62の搬送面部85との間に、最小厚さの硬貨Cの一枚分の厚さよりも狭い隙間を有しており、搬送ベルト35の下辺部215の駆動で搬送面部85上を移動する硬貨Cを搬送面部85に押し付ける。これにより、硬貨押圧部材212は、識別部121の鉛直上方を通過する硬貨Cの、搬送面部85上で周方向に回転する輪転と、搬送面部85上で浮き上がる跳ねとを抑制する。硬貨押圧部材212は、例えば、ポリパイルテープ等で構成されている。
以上に述べた第1実施形態の硬貨処理装置1によれば、光源93L,93R及び光源搭載基板72B,72Fの光源102からの光を導いて硬貨Cに照射する本体ケース65は、光源搭載基板72Bの光源102からの光を硬貨搬送方向上流側から硬貨Cに照射する上流側照射部181Bと、光源搭載基板72Fの光源102からの光を硬貨搬送方向下流側から硬貨Cに照射する下流側照射部181Fと、光源93Lからの光を硬貨搬送方向に直交する通路幅方向の一側から硬貨Cに照射する一側照射部171Lと、光源93Rからの光を通路幅方向の他側から硬貨Cに照射する他側照射部171Rとが設けられている。このため、硬貨Cに四方向から多角的に光を照射することができて、硬貨Cの模様が鮮明となり識別部121による識別精度を向上させることができる。しかも、上流側照射部181Bと下流側照射部181Fと一側照射部171Lと他側照射部171Rとが一体的に設けられているため、硬貨Cに四方向から多角的に光を照射しつつも、部品点数及びコストを削減することができると共に、構造を簡素化でき、小型化及び省スペース化を図ることができる。
また、一側照射部171Lは、光源93Lからの光を出射させる出射面174Lが、硬貨搬送方向に対し傾斜する傾斜面部176LB,176LFを有し、他側照射部171Rは、光源93Rからの光を出射させる出射面174Rが、硬貨搬送方向に対し傾斜する傾斜面部176RB,176RFを有するため、通路幅方向に対し、より傾斜する光を硬貨Cに照射することが可能となる。従って、硬貨Cにより多角的に光を照射することができ、照射幅を広くすることができて、硬貨Cの模様が鮮明となり識別部121による識別精度を向上させることができる。
また、一側照射部171Lは、光源93Lからの光を出射させる出射面174Lが、硬貨搬送方向に対し傾斜する一対の硬貨搬送方向に対称状をなす傾斜面部176LB,176LFを有し、他側照射部171Rは、光源93Rからの光を出射させる出射面174Rが、硬貨搬送方向に対し傾斜する一対の硬貨搬送方向に対称状をなす傾斜面部176RB,176RFを有するため、通路幅方向に対し、より傾斜する光を、硬貨搬送方向に対称状に硬貨Cに照射することが可能となる。従って、硬貨Cにより多角的に光を照射することができ、照射幅をより広くすることができて、硬貨Cの模様が鮮明となり識別部による識別精度を向上させることができる。
また、一側照射部171Lは、光源93Lからの光を出射させる出射面174Lが、一対の傾斜面部176LB,176LFの間に硬貨搬送方向に沿う中間面部177Lを有し、他側照射部171Rは、光源93Rからの光を出射させる出射面174Rが、一対の傾斜面部176RB,176RFの間に硬貨搬送方向に沿う中間面部177Rを有するため、通路幅方向に沿う光をも硬貨Cに照射することが可能となる。従って、硬貨Cにより多角的に光を照射することができ、照射幅をより広くすることができて、硬貨Cの模様が鮮明となり識別部による識別精度を向上させることができる。
また、識別部121が、通路幅方向に延在するラインセンサ92を有するため、一体の本体ケース65のうち硬貨搬送方向に延在する一側照射部171L及び他側照射部171Rの長さを短くすることができ、本体ケース65を小型化することができる。
また、搬送ベルト35と硬貨搬送方向の位置を重ね合わせて設けられた硬貨押圧部材212が、搬送面部85上を移動する硬貨Cを搬送面部85に押し付けて、識別部121の鉛直上方を通過しつつ識別部121で識別される硬貨Cの輪転及び跳ねを抑制するため、識別部121による識別の精度を向上可能となる。
また、光源93L,93RのLED98及び光源搭載基板72B,72Fの光源102のLED104が、緑色光を発光させる緑色LEDであるため、硬貨Cに緑色光を照射することができ、従来の赤色光を硬貨Cに照射する場合よりも識別部121による識別精度を向上させることができる。即ち、赤色光を照射すると、銅系の硬貨C(5円硬貨及び10円硬貨)が全体的に明るくなり、下地と模様のコントラストが低下してしまって、特に古く磨耗した硬貨Cは、模様が出難く、コントラストが低下すると識別が困難になってしまうが、緑色光を照射することで、銅系の硬貨Cであっても下地と模様のコントラストを明確にすることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、図14,図15に示すように、本体ケース65の出射面174Lの全体を硬貨搬送方向に沿い且つ鉛直に沿う平坦面とし、出射面174Rの全体を硬貨搬送方向に沿い且つ鉛直に沿う平坦面としている。このような本体ケース65とすることで、本体ケース65を製造するための金型の形状を簡素化でき、コストを低減することができる。
ここで、図7,図8に示すように、出射面174Lが、傾斜面部176LB,176LFと中間面部177Lとを有する第1実施形態と、図14,図15に示すように、出射面174Lの全体が、硬貨搬送方向に沿い且つ鉛直に沿う平坦面である第2実施形態とで、光源93Lからの発光が一側照射部171Lを介して照射する実験を行った。その際に、円板からなりその中心を中心として同心円状の溝が多数形成されたテストピースに光を照射した。
図16(a)に示すように、第2実施形態の場合、テストピースの中心から一側照射部171Lに近い左側では約40度の範囲で光量が規定値以上となり、一側照射部171Lから遠い右側では約25度の範囲で光量が規定値以上となった。これに対し、第1実施形態の場合、図16(b)に示すように、テストピースの中心から一側照射部171L側に近い左側では約60度の範囲で光量が規定値以上となり、一側照射部171Lから遠い右側では約35度の範囲で光量が規定値以上となった。この結果から、第1実施形態の方が、第2実施形態よりも硬貨Cの一層の広範囲を明るく照らすことができることがわかる。
以上の第1,第2実施形態においては、搬送ベルト35の駆動で搬送面部85上を移動する硬貨Cを、搬送ベルト35を挟んで両側に設けられた硬貨押圧部材212で搬送面部85に押し付けた際の摩擦力によって、識別部121で識別する硬貨Cの輪転を抑制する場合を例にとり説明したが、以下の手段によって硬貨Cの輪転を抑制しても良い。
図17に示すように、搬送面部85上にあって識別部121で識別される前の硬貨Cを搬送面部85の通路幅方向の中央に寄せる一対の中央寄せ部材221を設けると共に、搬送ベルト35を平ベルトとし、この搬送ベルト35に、硬貨Cを搬送方向上流側から押圧する桟222(輪転抑制手段)を設ける。そして、この桟222を、搬送ベルト35の通路幅方向の中央部から通路幅方向の両側ほど硬貨搬送方向下流側となるように傾斜する一対の直線状の片部223を有する屈曲形状(V字状)とする。これにより、硬貨Cの外周面の通路幅方向の中央部に対し対称位置に一対の片部223が接触して、摩擦力により硬貨Cの回転を抑制することになる。
なお、桟222を、屈曲形状ではなく、搬送ベルト35の通路幅方向の中央部から通路幅方向の両側ほど硬貨搬送方向下流側となるように円弧形状としても良い。これによっても、硬貨Cの外周面の通路幅方向の中央部に対し対称位置に桟222の両端部が接触して、摩擦力により硬貨Cの回転を抑制することになる。
或いは、桟222を、搬送ベルト35の通路幅方向に離間し、通路幅方向の中央側よりも通路幅方向の両側ほど硬貨搬送方向下流側となるように傾斜する一対の直線状の片部で構成しても良い。これにより、硬貨Cの外周面の通路幅方向の中央部に対し対称位置にこれら片部が接触して、摩擦力により硬貨Cの回転を抑制することになる。
或いは、桟222を、搬送ベルト35の通路幅方向に離間し、通路幅方向に平行な一対の直線状の片部で構成しても良い。これにより、硬貨Cの外周面の通路幅方向の中央部に対し対称位置にこれら片部が接触して、摩擦力により硬貨Cの回転を抑制することになる。
或いは、図18に示すように、桟222を、硬貨Cを搬送方向上流側から押圧する桟本体231と、桟本体231の通路幅方向両側から硬貨搬送方向下流側に延出する一対の押圧片部232とにより構成する。この場合、搬送のために桟本体231で硬貨Cを硬貨搬送方向上流側から押圧すると、桟本体231が硬貨Cの反力でその下端が硬貨搬送方向上流側に位置するように傾斜し、桟本体231に連結された一対の押圧片部232が硬貨搬送方向下流側の端部を下降させて硬貨Cの上面に接触させる。この一対の押圧片部232の摩擦力により硬貨Cの回転を抑制することになる。
硬貨Cの輪転を抑制するのではなく、識別部121で識別する硬貨Cを強制的に輪転させることで、一定の輪転角となるように安定的に輪転させて、輪転角のバラツキを抑え、その補正を正確に行えるようにしても良い。
その場合、図19(a)に示すように、ガイド部材61R,61Lの一方の例えばガイド部材61L(輪転手段)を搬送面部85よりも摩擦係数の高い素材とし、このガイド部材61Lに硬貨Cを押し付ける片寄せ機構240(輪転手段)を設ける。片寄せ機構240は、ガイド部材61R側に硬貨搬送方向に沿って延在するように配置された片寄せ板241と、片寄せ板241を硬貨搬送方向上流側で回動可能に支持する支軸242と、片寄せ板241を硬貨搬送方向下流側ほどガイド部材61Lに近接するように傾斜状態に付勢するバネ等の付勢部材243とを有する。ここで、片寄せ板241は、搬送面部85と同様にガイド部材61Lよりも摩擦係数の低い素材からなっている。これにより、図19(b)に示すように、片寄せ板241で高摩擦係数のガイド部材61Lに硬貨Cの周面を接触させることで硬貨Cのガイド部材61L側に生じる摩擦力を大きくして、搬送ベルト35の下辺部215で押されて搬送される硬貨Cを輪転させる。
なお、ガイド部材61Lのガイド部材61R側の端面の表面粗さの度合いを片寄せ板241よりも大きくして摩擦係数を高くしても良い。また、片寄せ板241をバネ性を有する部材で形成して硬貨搬送方向下流側ほどガイド部材61L側に位置するように傾斜させて支軸242に固定すれば、付勢部材243を省いても硬貨Cをガイド部材61Lに押し付けることが可能となる。
更に、搬送面部85の通路幅方向の一方のガイド部材61L側を、硬貨搬送方向に延在する下高摩擦部材245(輪転手段)で構成すると共に、搬送面部85の通路幅方向の中間部及び他方のガイド部材61R側を下高摩擦部材245よりも摩擦係数の低い下低摩擦部材246で形成して、搬送面部85のガイド部材61L側を、搬送面部85の残りの部分と比べて摩擦係数を高くする。この場合、硬貨Cを、上記と同様に、片寄せ板241でガイド部材61L側に接触させる。これに加えて、搬送ベルト35の下辺部215で搬送面部85に押し付けながら搬送することで、ガイド部材61L側の下高摩擦部材245に硬貨Cのガイド部材61L側の下面を押し付ける。その結果、硬貨Cのガイド部材61L側に生じる摩擦力が更に大きくなるため、硬貨Cを更に安定的に輪転させることができる。
更に、搬送ベルト35の下辺部215(輪転手段)を搬送面部85の通路幅方向の中央よりも他方のガイド部材61R側にずらす遠方配置を行う。これにより、硬貨Cを片寄せ板241で一方のガイド部材61L側に接触させると共に、通路幅方向中央よりも遠方位置の搬送ベルト35の下辺部215で硬貨Cを駆動することになる。その結果、硬貨Cを更に安定的に輪転させることができる。
更に、搬送面部85の通路幅方向の一方のガイド部材61L側の上方のみに、硬貨搬送方向に延在する図示略の上摩擦部材(輪転手段)を設ける。これにより、硬貨Cを、片寄せ板241で一方のガイド部材61L側に寄せると共にその上面のガイド部材61L側に上摩擦部材を接触させることになる。その結果、硬貨Cのガイド部材61L側に生じる摩擦力が更に大きくなるため、硬貨Cを更に安定的に輪転させることができる。
なお、この上摩擦部材にかえて、ガイド部材61Lのガイド部材61R側の端面をガイド部材61R側ほど高さが高くなるように傾斜する傾斜面(輪転手段)としても良い。この場合、硬貨Cは、片寄せ板241で押圧されて、この傾斜面の下側にガイド部材61L側の端部をもぐり込ませることになる。その結果、硬貨Cは、ガイド部材61L側の端部の上面の縁部が傾斜面に接触し、ガイド部材61Lで上から押さえ付けられることになって、ガイド部材61L側の摩擦力が大きくなる。
ここで、一方のガイド部材61Lの高摩擦係数化及び片寄せ機構240の追加のみでも、硬貨Cを一定の輪転角となるように安定的に輪転させることができるため、補正を正確に行うことができて、識別部121による識別の精度を向上可能となる。これに加えて、上記した下高摩擦部材245の追加、搬送ベルト35の遠方配置及び上摩擦部材(ガイド部材61Lの傾斜面)の追加のうちの少なくとも何れか一つを選択的に組み合わせることも可能である。