JP6768064B2 - 照明演出装置、照明システム、照明演出方法および照明演出プログラム - Google Patents
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Description
楽曲に対応した照明を用いた緻密な演出効果を得るためには、楽曲を理解した専属の照明スタッフが操作することが望ましい。しかし、小規模なコンサートやクラブ、イベント等では、費用の都合などから、専属スタッフを常駐させることが困難である。
照明制御データの作成にあたっては、対象となる楽曲データに対して、予め楽曲解析を行い、楽曲のブロック(例えばAメロ、Bメロ、サビなど)に区画し、各ブロックのイメージに適した照明パターンを指定する等がなされている。
さらに、特許文献3では、照明装置が演奏される楽曲の楽譜情報を参照し、演奏の進行度合いに応じて照明演出を進行させている。
従来の照明の自動演出では、依然として楽曲を通しての一様な照明演出が多く、多様な照明演出であっても各ブロックの照明演出がバラバラな印象である場合が多い。その結果、楽曲に対応した照明演出として、十分な効果を得ることができなかった。
とくに、従来の照明演出では、各ブロックの照明パターンどうしを単につなぐだけであり、つなぎ目について任意の演出を設定・制御やつなぎ目の長さについて考慮されていなかった。
さらに、先行する楽曲と後続の別の楽曲とを順次連続的に演奏する際にも、楽曲どうしのつなぎ目において、同様の課題があった。
図1には、クラブ等のライブスペース用の音響照明システム1が示されている。
音響照明システム1は、音楽再生を行う楽曲再生装置10と、ライブスペース内の照明を行う照明装置20と、照明装置20を制御する照明制御装置30とを備えている。
このうち、照明装置20および照明制御装置30が本発明の照明システムに相当する。
楽曲データSDは、ディスク媒体などで楽曲再生装置10に供給されるほか、ネットワーク通信を介して楽曲再生装置10に供給される。
なお、楽曲再生装置10としては、前述のような汎用PCを用いたPCオーディオシステムに限らず、専用のディスク再生装置あるいは音楽データ再生装置であってもよい。
照明器具は、舞台照明に多用される、例えばパーライト、ストロボライト、ムービングヘッドなどである。これらの照明器具においては、それぞれ投光の断続、明るさのほか、器具によって照射方向、動作速度などのパラメータを指定することができる。
これらのパラメータで指定される照明器具ごとの照明動作あるいは照明状態の内容が、本発明の照明演出に相当する。
なお、DMX512規格は舞台照明分野で一般的な規格であるが、照明装置20および後述する照明制御装置30は同規格に限らず、他の規格に基づくものであってもよい。
なお、照明制御装置30にPCを用いる場合、前述した楽曲再生装置10に用いるPCと同じものを共用してもよい。
楽曲情報取得部31は、楽曲再生装置10で再生される楽曲データSDに対し、既存の楽曲解析技術で解析した結果として楽曲情報SSDを抽出する。例えば、図4の中段に示すように、ローパスフィルタでバスドラム等の楽器音を取り出し、ピーク検出により拍位置を検出する。このような楽曲解析は、照明制御装置30に外部接続された機器や、外部ソフトウェアの楽曲解析機能を利用して実行してもよい。
このために、照明演出部32は、第1照明演出設定部321、第2照明演出設定部322、第3照明演出設定部323を備えている。これらの詳細については後述する。
前述した照明制御装置30のうち、照明演出部32は本発明の照明演出装置に相当し、この照明演出部32を構成するために、照明制御ソフトウェアには本発明の照明演出プログラムが含まれる。
以下、本実施形態における楽曲データSDおよび照明制御データLDのブロック構成および照明演出の設定について詳述する。
楽曲データSDのブロックSB1〜SBnに対応して、照明制御データLDにも複数のブロックLB1〜LBnが設定されている。
従って、照明制御データLDの各ブロックLB1〜LBnに、それぞれ照明の指示(照明演出)を設定することで、楽曲データSDの各ブロックに対し、各々のイメージに適した照明を実現することができる。
このような照明効果は、照明装置20に装備された各種の照明器具における照明動作の状態(投光の断続、明るさ、照射方向など)の制御により、実現することができる。
図3において、楽曲データSDの「Aメロ」であるブロックSB2と、「Bメロ」であるブロックSB3とは、互いに印象が異なるパートであり、各々に対応する照明制御データLDのブロックLB2,LB3には、異なる照明演出「Aメロ照明」および「Bメロ照明」が設定される。
楽曲データSDでは、ブロックSB2とブロックSB3との継ぎ目SP3で、「Aメロ」から「Bメロ」に切り替わる。一般に、「Aメロ」末尾のブロックSB2には、継ぎ目SP3にかけて、ブロックSB3に移行するためのフィルイン等が追加され、「Aメロ」から「Bメロ」への移行が聴感上もスムーズに行われる。
そこで、本実施形態では、ブロックLB2およびブロックLB3との継ぎ目LP3に、移行照明のためのブロックLB3Tを割り当て、ブロックLB2の照明演出である「Aメロ照明」と、ブロックLB3の照明演出である「Bメロ照明」とを補間する照明演出を設定する。
第3照明演出区間であるブロックLB3Tは、継ぎ目LP3の前の開始位置LP3T1から、継ぎ目LP3の後の終了位置LP3T2までとされる。
照明制御データLDにおける開始位置LP3T1および終了位置LP3T2は、楽曲データSDにおける開始位置SP3T1および終了位置SP3T2に対応する。これらの各位置は、後述する第3照明演出設定部323により設定される。
第2照明演出設定部322は、第2照明演出区間(ブロックLBn)の照明演出を設定するものである。第2照明演出区間の照明演出の内容は、ユーザ9が第2照明演出区間に希望する照明演出を第2照明演出区間設定92として指定する。
なお、第1照明演出設定部321および第2照明演出設定部322は、動作が同じで対象のブロックが異なるだけであり、各々として同じ処理手段を共用してもよい。
第3照明演出設定部323は、楽曲情報取得部31で検出した楽曲データSDの拍位置情報(図4の中段)を参照して、楽曲データSDに開始位置SP3T1および終了位置SP3T2を特定し(図4の上段)、各々に対応する照明制御データLDの各位置に開始位置LP3T1および終了位置LP3T2を設定する(図4の下段)。
設定された開始位置LP3T1から終了位置LP3T2までの区間が、第3照明演出区間としてのブロックLB3Tとされる。
割り当てる際には、楽曲データSDの楽曲情報SSDに基づき、継ぎ目SP4より一拍分前の前区間Tfと、一拍分後の後区間Trとを、楽曲データSDに設定する。そして、各々の区間Tf,Trにおける音量積算値Vf,Vrを算出し、その差分値dV=Vf−Vrの大きさに応じて、ブロックLB3Tの区間長を設定する。
このように、音量などの変化が大きいブロックSB3,SB4の継ぎ目SP4では、第3照明演出区間であるブロックLB4Tを比較的短い区間長(前後一拍分ずつ)とすることで、第1照明演出区間であるブロックLB3から第2照明演出区間であるブロックLB4への変化を、比較的明確にすることができる。
前述した図5の例と同様に、割り当てる際には、楽曲データSDの楽曲情報SSDに基づき、継ぎ目SP3の前後に前区間Tfおよび後区間Trを設定し、各々における音量積算値Vf,Vrを算出し、その差分値dV=Vf−Vrの大きさに応じて、ブロックLB3Tの区間長を設定する。
このように、音量などの変化が比較的小さいブロックSB2,SB3の継ぎ目SP3では、第3照明演出区間であるブロックLB3Tを十分長い区間長(前後4拍分ずつ)とすることで、第1照明演出区間であるブロックLB2から第2照明演出区間であるブロックLB3への変化を、緩やかにすることができる。
前述した図5の例と同様に、割り当てる際には、楽曲データSDの楽曲情報SSDに基づき、継ぎ目SPmの前後に前区間Tfおよび後区間Trを設定し、各々における音量積算値Vf,Vrを算出し、その差分値dV=Vf−Vrの大きさに応じて、ブロックLBmTの区間長を設定する。
このように、音量などの変化がきわめて大きいブロックSBm−1,SBmの継ぎ目SPmでは、第3照明演出区間であるブロックLBmTを区間長ゼロつまり実質的に設定を解除することで、第1照明演出区間であるブロックLB2から第2照明演出区間であるブロックLB3への変化を直接的に行い、強い変化を印象づけることができる。
また、継ぎ目を基準として前後の区間長が均等である必要はなく、第3照明区間の全区間が4拍である場合に前区間が3拍、後区間が1拍とすることも可能である。
また、第3照明演出区間は、前述のような可変長ではなく、予め長さあるいは拍数を指定しておく固定長としてもよい。例えば、ブロックLB3Tの開始位置SP3T1および終了位置SP3T2の設定情報として、「開始位置SPnT1は継ぎ目SPnの4拍前」および「終了位置SPnT2は継ぎ目SPnの4拍後」と指定しておくことができる。
第3照明演出設定部323は、先ず、継ぎ目LP3の前後のブロックLB2(第1照明演出区間),LB3(第2照明演出区間)の照明演出を調べる。
具体的には、照明装置20の照明器具ごとに、ブロックLB2の状態からブロックLB3の状態に移行するように、漸増あるいは漸減する調整動作が設定される。
天井照明青色LCB2は、ブロックLB2では強発光であったが、ブロックLB3では弱発光の天井照明青色LCB3とされる。従って、ブロックLB3Tでは強発光から弱発光まで漸次減光される。
背景照明青色LGB2は、ブロックLB2では弱発光であったが、ブロックLB3では強発光の背景照明青色LGB3とされる。従って、ブロックLB3Tでは弱発光から強発光まで漸次増光される。
天井照明緑色LCG3は、ブロックLB2では消光されていたが、ブロックLB3では弱発光とされる。従って、ブロックLB3Tでは消光から弱発光まで漸次増光される。
また、第3照明演出区間における照明演出の選択方法としては、複数の照明演出パターンの中からユーザが任意の照明演出パターンを選択してもよいし、予め設定しておいた照明演出の初期設定値に従って照明演出パターンを適用してもよい。
本実施形態では、第1照明演出区間(例えばブロックLB2)と第2照明演出区間(例えばブロックLB3)との間に、移行照明のための第3照明演出区間(例えばブロックLB3T)を追加することができ、第1照明演出区間(ブロックLB2)から第2照明演出区間(ブロックLB3)への移行をスムーズな印象としたり強調したり、様々に制御することができる。
特に、第3照明演出区間の区間長を、継ぎ目の前後の楽曲情報SSDに含まれるいずれかの特徴量(例えば音量積算値Vf,Vr)に応じて変化させることで、継ぎ目における照明演出の変化を楽曲に適したものとすることができる。
この際、前後の区間の照明演出の補間については、各々のブロックLB2,LB3における各照明器具について個別に補間を行うことで、処理を簡略にすることができる。
前述した実施形態では、第3照明演出区間における照明演出として、第1照明演出区間の照明演出および第2照明演出区間の照明演出の補間とし、具体的には各照明器具の照明状態を漸増あるいは漸減させて補間するものとした。しかし、第1照明演出区間の照明演出および第2照明演出区間の照明演出を補間する状態変化のカーブとして、種々のものを利用することができる。
さらに、(F)部に示すように、第1照明演出区間の照明状態を示す値V1と第2照明演出区間の照明状態を示す値V2とを交互に往復させ、値V2となる頻度あるいは時間を徐々に増加させて最終的に値V2に切り替わるような移行動作としてもよい。
さらに、図7の(H)部に示すように、値V1から値V2へと移行するものであれば、任意のカーブを採用することができる。
例えば、先行して再生されている第1の楽曲に続いて、後続の第2の楽曲が再生される場合、先行して再生される第1の楽曲の楽曲データに第1区間を設定し、続けて再生される第2の楽曲の楽曲データに第2区間を設定する。そして、各々の楽曲データに対応する2つの照明演出データに、第1照明演出区間および第2照明演出区間を設定しておく。これらの第1照明演出区間および第2照明演出区間を繋ぐように、第3の照明演出区間を割り当てるようにしてもよい。
Claims (8)
- 楽曲データに対応した照明制御データの区間毎に照明演出を設定する照明演出装置であって、
前記楽曲データを解析し、楽曲情報を取得する楽曲情報取得部と、
前記楽曲データの第1区間に対応する第1照明演出区間の照明演出を設定する第1照明演出部と、
前記楽曲データの第2区間に対応する第2照明演出区間の照明演出を設定する第2照明演出部と、
前記第1区間の前記楽曲情報に含まれる特徴量と前記第2区間の前記楽曲情報に含まれる特徴量との差分値に基づいて、前記第1照明演出区間と前記第2照明演出区間との間に第3照明演出区間を割り当て、かつ前記第3照明演出区間の照明演出として、前記第3照明演出区間の区間長を設定する第3照明演出部と、を備えたことを特徴とする照明演出装置。 - 請求項1に記載の照明演出装置において、
前記楽曲情報取得部は、前記楽曲情報として前記楽曲データの拍位置を取得し、
前記第3照明演出部は、前記拍位置を基準に、前記第3照明演出区間を割り当てることを特徴とする照明演出装置。 - 請求項1または請求項2に記載の照明演出装置において、
前記第1区間は、先行して再生される楽曲の前記楽曲データであり、前記第2区間は、続けて再生される別の楽曲の前記楽曲データであることを特徴とする照明演出装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照明演出装置において、
前記照明演出の要素は、照明装置の光量、色分布、光線方向、投影光形、照明装置の発光エリアのいずれかの照明効果の指定を含むことを特徴とする照明演出装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の照明演出装置において、
前記第3照明演出区間の照明演出は、前記照明演出の要素の変化速度および変化カーブのいずれかを含むことを特徴とする照明演出装置。 - 照明装置と、楽曲再生装置で再生される楽曲データに対応した照明制御データに基づいて前記照明装置を制御する照明制御装置とを有する照明システムであって、
前記照明制御装置は、
前記照明制御データに基づいて前記照明装置を制御する照明制御部と、前記照明制御データの区間毎に照明演出を設定する照明演出部と、を有し、
前記照明演出部が、
前記楽曲データを解析して楽曲情報を取得する楽曲情報取得部と、
前記楽曲データの第1区間に対応する第1照明演出区間の照明演出を設定する第1照明演出部と、
前記楽曲データの第2区間に対応する第2照明演出区間の照明演出を設定する第2照明演出部と、
前記第1区間の前記楽曲情報に含まれる特徴量と前記第2区間の前記楽曲情報に含まれる特徴量との差分値に基づいて、前記第1照明演出区間と前記第2照明演出区間との間に第3照明演出区間を割り当て、かつ前記第3照明演出区間の照明演出として、前記第3照明演出区間の区間長を設定する第3照明演出部と、を備えたことを特徴とする照明システム。 - 楽曲データに対応した照明制御データの区間毎に照明演出を設定する照明演出方法であって、
コンピュータシステムで、
前記楽曲データを解析して楽曲情報を取得する楽曲情報取得ステップと、
前記楽曲データの第1区間に対応する第1照明演出区間の照明演出を設定する第1照明演出ステップと、
前記楽曲データの第2区間に対応する第2照明演出区間の照明演出を設定する第2照明演出ステップと、
前記第1区間の前記楽曲情報に含まれる特徴量と前記第2区間の前記楽曲情報に含まれる特徴量との差分値に基づいて、前記第1照明演出区間と前記第2照明演出区間との間に第3照明演出区間を割り当て、かつ前記第3照明演出区間の照明演出として、前記第3照明演出区間の区間長を設定する第3照明演出ステップと、を実行することを特徴とする照明演出方法。 - コンピュータシステムを請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の照明演出装置として機能させることを特徴とする照明演出プログラム。
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