JP6767838B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
従来、主として製造コストの削減を目的として、冷蔵室および冷凍室への冷気の分配を調整するダンパーを設けずに、冷蔵室に設けた温度センサで検出した冷蔵室温度に基づいて冷却を行う冷蔵庫がある。
このような冷蔵庫の場合、冷蔵室に貯蔵した食品の凍結を防止するために冷蔵室に温度センサを設けざるを得ないが、冷蔵室は相対的に冷却負荷が軽いことから、設置場所の温度(外気温)との温度差が小さい場合には冷却運転の回数が少なくなる。つまり、冷蔵室の温度に基づいて冷却を行う場合には、冷却運転の回数が少なくなって冷凍室が冷却不足になるおそれがある。
そのため、冷蔵室の温度センサを加熱するヒータや外気温を検出するセンサを別途設け、冷却運転の回数を増やすことにより冷凍室の冷却不足の解消を図ることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平5−71846号公報 特開2015−169376号公報
しかしながら、ヒータや外気温を検出するセンサ等を設ける場合には、部品が追加されることから製造コストが増加する。また、例えば外気温を検出するセンサを設ける場合、周囲温度による検出温度のバラつきが比較的大きいことが予想され、その取り付け位置が制限される等の問題も発生する。
そこで、製造コストの増加を招くことなく、冷蔵室の温度に基づいて好適に冷却を行うことができる冷蔵庫を提供する。
実施形態の冷蔵庫は、冷凍室および冷蔵室を有し、1つの蒸発器で生成した冷気により冷凍室および冷蔵室の双方を冷却する一方、冷凍室および冷蔵室への冷気の分配を調整するダンパー機構は備えていない構成であって、蒸発器に接続されている圧縮機と、冷蔵室の温度を検出する冷蔵室温度検出部と、冷蔵室温度検出部で検出した冷蔵室の温度が予め定められている目標温度範囲の上限温度に達すると圧縮機を運転し、冷蔵室の温度が目標温度範囲の下限温度に達すると圧縮機を停止するとともに、圧縮機の運転状況に基づいて目標温度範囲を低温側に変更する制御部と、を備える。
第1実施形態の冷蔵庫の構成を模式的に示す図 冷蔵庫の電気的構成を模式的に示す図 比較例であり、変更処理を行わない場合の温度変化の一例を示す図 変更処理の流れを示す図 変更処理を行った場合の温度変化の一例を示す図 第2実施形態による変更処理の流れを示す図 変更処理を行った場合の温度変化の一例を示す図 第3実施形態による変更処理の流れを示す図 変更処理を行った場合の温度変化の一例を示す図 その他の実施形態による冷蔵庫の構成を模式的に示す図
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位には同一符号を付して説明する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、冷蔵庫1は、本体2の上部側に冷凍室3、下部側に冷蔵室4が配置されている。冷凍室3は、前面側が開口しており、その開口が扉3aによって開閉される。一方、冷蔵室4は、前面側が開口しており、その開口が扉4aによって開閉される。
冷凍室3と冷蔵室4との間は断熱仕切り5によって仕切られており、この断熱仕切り5には冷蔵室4からの冷気の吸い出し口6が設けられている。本体2の背面側に配設されている冷気ダクト7を経由して冷蔵室4内に供給された冷気は、吸い出し口6から吸い出されて冷蔵庫1内を循環する。この冷気は、本体2下部の背面側の機械室に設置された圧縮機8、および本体2上部の背面側の冷却室に設置された蒸発器9を含む冷凍サイクルによって生成される。
より詳細には、冷蔵庫1は、圧縮機8を駆動することにより蒸発器9にて冷気を生成し、蒸発器9の近傍に設けられているファン10を駆動することにより冷凍室3および冷蔵室4に冷気を供給する。このとき、冷蔵室4に供給された冷気は、吸い出し口6から吸い出されて冷却室に到達し、再び蒸発器9によって冷却される。このように、冷蔵庫1では、1つの蒸発器9で生成した冷気を循環させることにより冷凍室3および冷蔵室4の双方を冷却している。ただし、冷蔵庫1は、生成した冷気の冷凍室3および冷蔵室4への分配を調整するためのいわゆるダンパー機構は備えていないため、冷凍室3のみが単独で冷却されることはない。圧縮機8を停止した場合には、冷凍室3および冷蔵室4の双方の冷却が停止することになる。
これら圧縮機8を含む冷蔵庫1全体は、本体2の背面側の制御室に設けられている制御部11によって制御されている。制御部11は、図示しないCPU等を有するマイクロコンピュータで構成されており、図2に示すように、記憶部12およびタイマ13に接続されている。記憶部12は、例えば半導体メモリ等により構成されており、後述する変更処理等、制御部11で実行する各種のプログラムやデータを記憶している。タイマ13は、時刻を取得したり、ある時点から経過した期間を取得したりすることを可能とする計時機能を有している。なお、記憶部12やタイマ13が内蔵されたいわゆるワンチップマイコンを用いて制御部11を構成してもよい。
また、制御部11は、圧縮機8、ファン10、冷蔵室温度検出部としての冷蔵室温度センサ14、冷蔵室扉スイッチ15、および冷凍室扉スイッチ16に接続している。冷蔵室温度センサ14は、図1に示すように冷蔵室4内に設けられており、冷蔵室4の温度(以下、冷蔵室温度(Tr)とも称する)を検出する。この冷蔵室温度センサ14によって検出された冷蔵室温度(Tr)に基づいて、制御部11は圧縮機8の動作を制御している。
具体的には、制御部11は、冷蔵室温度(Tr)が予め定められている目標温度範囲(ΔTr。図3参照)の上限温度(Tr−H。図3参照)に達すると圧縮機8を運転し、冷蔵室温度(Tr)が目標温度範囲の下限温度(Tr−L。図3参照)に達すると圧縮機8を停止する。また、詳細は後述するが、制御部11は、圧縮機8の運転状況に基づいて、目標温度範囲を低温側に変更する変更処理(図4参照)を実行する。
冷蔵室扉スイッチ15は、冷蔵室4の扉4aの開閉状態を検出する。冷凍室扉スイッチ16は、冷凍室3の扉3aの開閉状態を検出する。この冷凍室扉スイッチ16は、開閉検出部に相当する。なお、制御部11は、図示は省略するが、例えば庫内灯など、図2に示した各機能部以外にも冷蔵庫1の動作に必要な機能部に接続されている。
次に上記した構成の作用について説明する。
まず、冷蔵庫1の基本的な制御の流れと、後述する変更処理を行わない場合の冷凍室3および冷蔵室温度(Tr)の変化の一例とについて、図3を参照しながら説明する。
冷蔵庫1には、図3に示すように、冷蔵室4に対する目標温度範囲(ΔTr)と、冷凍室3に対する目標温度範囲(ΔTf)とが設定されている。
なお、一例ではあるが、初期状態つまりは後述する変更処理を行っていない状態においては、冷蔵室4の目標温度範囲(ΔTr)は、その上限温度(Tr−H)が6℃、下限温度(Tr−L)が2℃に設定され、温度差4℃の範囲として設定される。また、冷凍室3に対する目標温度範囲(ΔTf)は、その上限温度(Tf−H)が−11℃、下限温度(Tf−L)が−13℃に設定され、温度差2℃の範囲が設定される。
この場合、冷蔵室温度(Tr)が目標温度範囲(ΔTr)内に収まるように、また、冷凍室3の温度(以下、冷凍室温度(Tf)とも称する)が目標温度範囲(ΔTf)内に収まるように冷却することが望ましい。そのため、制御部11は、グラフG1rにて示すように、冷蔵室温度(Tr)が上昇し、例えば時刻(t2)において目標温度範囲(ΔTr)の上限温度(Tr−H)に到達したとすると、圧縮機8の動作を開始する。以下、圧縮機8が動作している状態を単に「運転」とも称する。これにより、蒸発器9において冷気が生成され、その冷気が冷蔵庫1内を循環することにより、冷蔵室4および冷蔵室4が冷却される。なお、圧縮機8の運転中には、ファン10も運転される。
一方、制御部11は、圧縮機8を動作させたことにより冷蔵室温度(Tr)が低下しておき、例えば時刻(t3)において目標温度範囲(ΔTr)の下限温度(Tr−H)に到達したとすると、それ以上の冷却が不要であることから、圧縮機8の動作を終了する。以下、圧縮機8が動作していない状態を単に「停止」とも称する。このとき、ファン10も停止する。
つまり、冷蔵室4の目標温度範囲(ΔTr)の上限温度(Tr−H)は、圧縮機8を運転するか否かを判定するための温度であり、下限温度(Tr−L)は圧縮機8を停止するか否かを判定するための温度である。そして、制御部11は、冷蔵室温度(Tr)に基づいて、より厳密に言えば、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)あるいは下限温度(Tr−L)に達したか否かに基づいて、圧縮機8の動作を制御する。
ところで、冷蔵室温度(Tr)に基づいて圧縮機8の動作を制御する場合には、冷凍室温度(Tf)が目標温度範囲(ΔTf)を超えてしまう状況、つまりは、冷凍室3を適切に冷却することができない状況が起こり得る。
例えば、グラフG1fにて示すように、冷凍室温度(Tf)が時刻(t2)よりも前の時刻(t1)において上限温度(Tf−H)に到達していたとしても、その時点では冷蔵室温度(Tr)は上限温度(Tr−H)に到達していないため、圧縮機8が運転されることはない。そして、圧縮機8が運転されなければ冷凍室3も冷蔵室4も冷却されないため、冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてさらに上昇してしまう状況が想定される。
あるいは、室温が比較的低い場合には、冷蔵室温度(Tr)との温度差が小さいため、圧縮機8の運転を停止した例えば時刻(t3)以降における冷蔵室温度(Tr)の上昇は緩やかになる。この場合、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達するまでの時間、つまりは、圧縮機8が停止している期間が長くなる。そして、圧縮機8が停止したままであるため冷却が行われず、冷凍室温度(Tf)が例えば時刻(t4)において上限温度(Tf−H)に到達していたとしてもそのまま上昇し続けてしまう状況も想定される。
このように、冷気の分配を調整するダンパー機構を備えていない冷蔵庫1において冷蔵室温度(Tr)に基づいて圧縮機8の動作を制御する場合には、換言すると、冷凍室温度(Tf)を直接的に検出するセンサを設けない構成の場合には、冷蔵室温度(Tr)を目標温度範囲(ΔTr)内に収めることができても、冷凍室温度(Tf)を目標温度範囲(ΔTf)に収めることができないおそれがある。
この場合、冷凍室3にも温度センサを設けたり、冷蔵室温度センサ14を加熱するヒータを設けたり、室温を検出する温度センサを設けたりすることにより、冷凍室3を適切に冷却することができると考えられる。ただし、その場合には、追加の部品が必要となることから製造コストが増加してしまう。また、ヒータ等の加熱手段を設けると、消費電力の増加も招いてしまう。
そこで、本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室温度(Tr)に基づいて圧縮機8の動作を適切に制御することを可能としている。以下、図4および図5を参照しながら、制御部11により繰り返し実行される変更処理、および変更処理を行った場合の温度変化の一例について説明する。
制御部11は、図4に示す変更処理において、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達したか否かを判定しており(S1)、上限温度(Tr−H)に到達したと判定した場合には(S1:YES)、上記したように圧縮機8を運転する(S2)。一方、制御部11は、上限温度(Tr−H)に到達していないと判定した場合には(S1:NO)、ステップS3に移行する。
このステップS3においては、制御部11は、冷蔵室温度(Tr)が下限温度(Tr−L)に到達したか否かを判定しており(S3)、下限温度(Tr−L)に到達していないと判定した場合には(S3:NO)、ステップS1に移行する。一方、制御部11は、下限温度(Tr−L)に到達したと判定した場合には(S3:YES)、上記したように圧縮機8を停止する(S4)。ここでは、図5に示す時刻(ts)にて圧縮機8が停止されたものとする。
制御部11は、圧縮機8を停止すると、冷蔵室4の目標温度範囲(ΔTr)の変更を初期化する(S5)。なお、目標温度範囲(ΔTr)の変更については以下に説明するが、上記したように制御部11は変更処理を繰り返し実行しているため、前回の処理において目標温度範囲(ΔTr)を変更していた場合に、ステップS5においてその変更を初期化する。
続いて、制御部11は、ステップS4にて圧縮機8を停止してから待機期間が経過したか否かを判定する(S6)。この待機期間は、例えば室温が25℃である場合の冷蔵室4の温度変化を試験により予め求めておき、その温度変化に基づいて例えば10分間等の期間が初期値として設定されている。
制御部11は、待機期間が経過していないと判定した場合には(S6:NO)、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達したか否かを判定する(S9)。例えば図5に示す時刻(t17)において外気温(Te)が上昇した場合、時刻(t18)において圧縮機8が停止すると、待機期間が経過する前の時刻(t19)において冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達するような状況が想定される。つまり、待機期間中であっても、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達する状況が発生し得る。
そのため、制御部11は、待機期間の経過を待たなくても圧縮機8を運転可能とするために、ステップS9の判定を行っている。これにより、待機期間が経過するまで単純に待機し続けた結果、グラフG13fにて仮想的に示すように冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまうような状況を抑制できる。
一方、制御部11は、待機期間が経過していないと判定した場合には(S6:YES)、目標温度範囲(ΔTr)を単位期間毎に低温側に変更する(S7)。この状態では圧縮機8が停止していることから、冷蔵室温度(Tr)は徐々に上昇していく。そのため、制御部11は、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達したか否かを判定し(S8)、上限温度(Tr−H)に到達していないと判定した場合には(S8:NO)、ステップS7に移行する。このとき、制御部11は、圧縮機8を停止した状態を維持している。
そして、ステップS7に移行すると、制御部11は、目標温度範囲(ΔTr)を単位期間毎に低温側に変更する。つまり、制御部11は、例えば図5に示す時刻(t10)において待機期間が経過したとすると、時刻(t10)から経過した期間に応じて、つまりは、現在時刻(tn)との差分(tn−t10)に応じて、目標温度範囲(ΔTr)を徐々に低温側に変更していく。
すなわち、制御部11は、圧縮機8の運転状況として圧縮機8を停止してから経過した期間である経過期間を取得し、取得した経過期間が長くなるほど、目標温度範囲(ΔTr)の変更量を大きくしている。また、制御部11は、上限温度(Tr−H)および下限温度(Tr−L)の双方を低温側に変更することにより、目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更している。これにより、目標温度範囲(ΔTr)を変更しない場合に比べて、圧縮機8の運転が開始されるタイミングを前倒しすることができる。
続いて、制御部11は、ステップS8において冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達したか否かを再度判定し、上限温度(Tr−H)に到達していないと判定した場合にはステップS7に移行して、目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更することを繰り返す。
さて、例えば図5に示す時刻(t11)において冷蔵室温度(Tr)が変更された上限温度(Tr−H)に到達したとすると、制御部11は、ステップS8において冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達したと判定することから(S8:YES)、圧縮機8を運転する(S2)。これにより、冷蔵室4および冷凍室3の冷却が行われる。
さて、仮に冷蔵室4の目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更する処理を行わない場合には、冷蔵室温度(Tr)は、図5に破線のグラフG11rにて仮想的に示すように時刻(t12)にて上限温度(Tr−H)に到達することになる。ただし、その場合には、破線のグラフG11fにて仮想的に示すように、冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性がある。
また、仮に冷蔵室4の目標温度範囲(ΔTr)の上限温度(Tr−H)のみを低温側に変更した場合には、図5に示す時刻(t13)において冷却が停止することから、破線のグラフG12r、G12fにて仮想的に示すように冷蔵室温度(Tr)、冷凍室温度(Tf)は上昇する。このとき、冷凍室3の冷却が不十分であると、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達する前に冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態のように冷蔵室4の目標温度範囲(ΔTr)の上限温度(Tr−H)および下限温度(Tr−L)の双方を低温側に変更する場合には、時刻(t14)まで冷却が継続することから、冷凍室3を十分に冷却することができ、冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性を低減できる。
その後、制御部11は、上記したステップS1〜S9の処理を繰り返し、例えば時刻(t15)において待機期間が経過した場合には目標温度範囲(ΔTr)を変更し、時刻(t16)において冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達した場合には圧縮機8を運転する等の制御を繰り返す。
このように、本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵室温度(tr)に基づいて圧縮機8の運転を制御するとともに、圧縮機8の運転状況に基づいて目標温度範囲を低温側に変更している。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
実施形態の冷蔵庫1は、冷凍室3および冷蔵室4を有し、1つの蒸発器9で生成した冷気により冷凍室3および冷蔵室4の双方を冷却する一方、冷凍室3および冷蔵室4への冷気の分配を調整するダンパー機構は備えていない。そして、冷蔵庫1は、冷蔵室温度センサ14で検出した冷蔵室温度(Tr)が予め定められている目標温度範囲(ΔTr)の上限温度(Tr−H)に達すると圧縮機8を運転し、冷蔵室温度(Tr)が目標温度範囲(ΔTr)の下限温度(Tr−L)に達すると圧縮機8を停止するとともに、圧縮機8の運転状況に基づいて目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更する。
これにより、目標温度範囲(ΔTr)を変更しない場合に比べて、圧縮機8の運転が開始されるタイミングを前倒しすることができる。換言すると、圧縮機8の運転間隔の短縮、つまりは、圧縮機8の運転を再開するまでの期間を短くすることができる。
そして、圧縮機8が運転されれば冷凍室3が冷却されるため、冷凍室3の冷却が不十分になるおそれ、すなわち、冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性を低減することができる。また、ダンパー機構を備えていない場合であっても、冷凍室3の温度を検出するセンサを設ける必要も無い。したがって、製造コストの増加を招くことなく、冷蔵室4の温度に基づいて好適に冷却を行うことができる。
また、冷蔵庫1は、運転状況として圧縮機8を停止してから経過した期間である経過期間を取得し、取得した経過期間が長くなるほど目標温度範囲(ΔTr)の変更量を大きくする。これにより、圧縮機8が停止していることから冷却されない期間が長くなるほど、圧縮機8の運転を再開するタイミングがより早くなる。したがって、冷凍室3の冷却が不十分になるおそれを低減することができる。
また、冷蔵庫1は、圧縮機8の運転を停止する際に目標温度範囲(ΔTr)を初期化する。これにより、目標温度範囲(ΔTr)が低温側に変更されたままとなることが防止され、過度に冷却が行われてしまうおそれを低減することができる。
また、冷蔵庫1は、圧縮機8を停止してから予め定められている待機期間が経過した時点で、目標温度範囲(ΔTr)の変更を開始する。このように目標温度範囲(ΔTr)を直ぐに低温側に変更することが抑制され、過度に冷却が行われてしまうおそれを低減することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図6および図7を参照しながら説明する。第2実施形態では、圧縮機8の運転割合を加味して圧縮機8を制御する点において、第1実施形態と異なっている。なお、冷蔵庫1の構成は第1実施形態と共通するので、図1も参照しながら説明する。
第2実施形態の冷蔵庫1は、図6に示す変更処理を繰り返し実行する。なお、図6に示す変更処理では、第1実施形態の変更処理(図4参照)と同一の処理には同一の符号を付しているため、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、第2実施形態の変更処理は、第1実施形態の変更処理にステップS20を追加した流れとなっている。
具体的には、制御部11は、変更処理において、第1実施形態と同様に冷蔵室温度(Tr)に基づいて圧縮機8の運転および停止のタイミングを判定しており(S1〜S4)、圧縮機8を停止すると、運転割合が基準割合を超えているかを判定する(S20)。ここで、運転割合とは、予め設定されている割合判定期間において圧縮機8を運転していた割合である。この割合判定期間は、圧縮機8の運転を停止する時点を含む所定の期間である。
例えば図7に示すように、時刻(t20)以前において目標温度範囲(ΔTr)が低温側に変更されている状態で圧縮機8が運転されており、グラフG20rにて示す冷蔵室温度(Tr)が時刻(t20)にて下限温度(Tr−L)に到達して圧縮機8を停止するとする。このとき、制御部11は、時刻(t20)から所定の期間前の間において圧縮機8を運転していた割合を運転割合として取得し、取得した運転割合が予め定められている基準割合を超えたか否かを判定する(S20)。なお、所定の期間および基準割合は、例えば予め試験等により求めておく等、適宜設定することができる。
制御部11は、運転割合が基準割合を超えていると判定した場合には(S20:YES)、目標温度範囲(ΔTr)の変更を初期化する(S5)。そして、制御部11は、第1実施形態と同様に、待機期間が経過したかの判定等を行い、例えば時刻(t21)にて待機期間が経過した場合には、目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更していき、冷蔵室温度(Tr)が時刻(t22)にて上限温度(Tr−H)に到達すると、圧縮機8の運転を開始する。
これに対して、制御部11は、運転割合が基準割合を超えていないと判定した場合には(S20:NO)、ステップS5を省略して、つまりは、目標温度範囲(ΔTr)の変更を初期化することなく、ステップS6に移行する。この場合、目標温度範囲(ΔTr)は、時刻(t23)以降においても低温側に変更された状態が維持される。
さて、圧縮機8の運転割合が基準割合を超えていないという状態は、圧縮機8が停止していた期間が相対的に長いことを意味している。そして、圧縮機8が停止されていた期間が長いということは、冷凍室3が十分に冷却されていない可能性があることを示している。
そのような状況において、もし仮に時刻(t23)にて目標温度範囲(ΔTr)を初期化した場合、冷蔵室温度(Tr)は、破線のグラフG21rにて仮想的に示すように、その後の例えば時刻(t25)にて上限温度(Tr−H)に到達することになる。しかし、上記したように冷凍室3が十分な冷却されていない可能性がある場合には、グラフG30fにて示す冷凍室温度(Tf)が、時刻(t25)においては、破線のグラフG21fにて仮想的に示すように上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性が高くなる。
そのため、制御部11は、圧縮機8の運転割合が基準値に到達しておらず、冷凍室3が十分に冷却されていない可能性がある場合には、目標温度範囲(ΔTr)を初期化しない。その結果、冷蔵室温度(Tr)が上限温度(Tr−H)に到達するタイミングが早くなり、目標温度範囲(ΔTr)を初期化しない場合の時刻(t25)よりも前倒しされた例えば時刻(t24)にて圧縮機8が運転されることになる。
これにより、圧縮機8の運転間隔が短くなり、冷凍室3が十分に冷却されていない可能性がある場合において、冷凍室3の冷却をより早いタイミングで行うことができる。したがって、第1実施形態と同様に、製造コストの増加を招くことなく、冷蔵室4の温度に基づいて好適に冷却を行うことができる等の効果を得ることができる。
ところで、上記した実施形態では圧縮機8の運転割合に応じて目標温度範囲(ΔTr)の変更を初期化するか否かを判定する例を示したが、目標温度範囲(ΔTr)は初期化するものの、圧縮機8の運転割合に応じてステップS7における目標温度範囲(ΔTr)の変更量を小さくすることもできる。
これは、圧縮機8の運転割合が基準値に到達している場合には、冷凍室3がある程度冷却されていると推測できる。そのため、ある程度冷却されている状態で目標温度範囲(ΔTr)の変更量を大きくすると、つまりは、圧縮機8の運転間隔がより短くなるように目標温度範囲(ΔTr)を変更すると、冷凍室3を必要以上に冷却してしまう可能性が高くなる。このような構成によっても冷蔵室4の温度に基づいて好適に冷却を行うことができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、図8および図9を参照しながら説明する。第3実施形態では、冷凍室3の扉3aの開閉状況を加味して圧縮機8を制御する点において第1実施形態と異なっている。なお、冷蔵庫1の構成は第1実施形態と共通するので、図1も参照しながら説明する。
図8に示すように、第3実施形態の変更処理では、第1実施形態の変更処理にステップS30、S31を追加した流れとなっている。この場合、制御部11は、第1実施形態と同様に冷蔵室温度(Tr)に基づいて圧縮機8の運転および停止のタイミングを判定しており(S1〜S4)、圧縮機8を停止すると、目標温度範囲(ΔTr)を初期化する。
そして、制御部11は、予め定められている扉開放判定期間において、冷凍室3の扉3aが開閉された回数である開閉回数が予め定められている基準開閉回数に到達しているか否か(S30)、および、冷凍室3の扉3aが開放されていた期間である開放期間が予め定められている基準開放期間に到達しているか否か(S31)を判定する。つまり、制御部11は、冷凍室3の扉3aの開閉状況を取得している。
例えば図8に示すように、時刻(t30)において圧縮機8が運転され、時刻(t31)において圧縮機8を停止した場合、制御部11は、時刻(t31)を含む過去の所定の期間を開閉判定期間として、開閉回数および開放期間の判定を行う。なお、開閉判定期間、基準開閉回数および基準開放期間は、例えば予め試験等により求めておく等、適宜設定することができる。
そして、制御部11は、開閉回数が基準開閉回数に到達していると判定した場合(S30:YES)、および、開放期間が基準開放期間に到達していると判定した場合には(S31:YES)、ステップS6を省略して、つまりは、待機期間が経過するのを待機することなく、ステップS7に移行する。
一般的に、冷凍室温度(Tf)よりも室温(Te)の方が高いと想定されることから、冷凍室3の扉3aが開放された場合には、冷凍室温度(Tf)が上昇するものを考えられる。そして、冷凍室3の扉3aの開閉回数が多いほど、また、冷凍室3の扉3aの開放期間が長いほど、冷凍室温度(Tf)の上昇量が大きくなると考えられる。
その一方で、冷蔵室4の場合、扉4aが開閉されていなければ、冷蔵室温度(Tr)の上昇量は大きく変化することがないと考えられる。そのため、例えば時刻(t31)において圧縮機8の運転を停止した後、仮に時刻(t33)において待機期間が経過したとすると、破線のグラフG31fにて仮想的に示すように、冷凍室温度(Tf)が、上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性が高くなる。
そこで、制御部11は、冷凍室3の扉3aの開閉状況を取得し、開閉状況に基づいて、圧縮機の運転を制御する。具体的には、制御部11は、開閉回数が基準開閉回数に到達していると判定した場合、および、開放期間が基準開放期間に到達していると判定した場合には、待機期間の経過を待たずに即座に目標温度範囲(ΔTr)の変更を開始することにより、圧縮機8が運転されるまでの期間を短く。
これにより、待機期間を多岐する場合に比べて早いタイミングで圧縮機8が運転され、冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性を低減することができる。したがって、第1実施形態と同様に、製造コストの増加を招くことなく、冷蔵室4の温度に基づいて好適に冷却を行うことができる等の効果を得ることができる。
この場合、開閉回数あるいは開閉期間の一方を条件として待機時間を待機するか否かを選択することもできる。具体的には、図8に示す変更処理において、ステップS30またはステップS31のいずれか一方の処理を行う構成とすることもできる。
また、待機時間を待機するか否かを選択することに加えて、開閉回数や開閉期間に基づいてステップS7における目標温度範囲(ΔTr)の変更量を変えることもできる。この場合、開閉回数や開閉期間が多ければ冷凍室3の温度上昇が大きいと考えられることから、開閉回数多いほど、あるいは開閉期間が長いほど、目標温度範囲(ΔTr)の変更量を多くすることが考えられる。勿論、この場合も、開閉回数あるいは開閉期間の一方を条件とすることもできる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にて例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に例えば以下のように変形あるいは拡張することができる。
各実施形態では本体2内の上部側に冷凍室3、下部側に冷蔵室4が配置されている冷蔵庫1を例示したが、各実施形態に示した変更処理は、図10に示すように下部側に冷凍室3、上部側に冷蔵室4が配置されている冷蔵庫20にも適用することができる。
各実施形態では、目標温度範囲(ΔTr)を変更する際、上限温度(Tr−H)と下限温度(Tr−L)の双方を低温側に変更する例を示したが、上限温度(Tr−H)のみを低温側に変更することにより目標温度範囲(ΔTr)を変更することもできる。上限温度(Tr−H)のみを変更する場合であっても、変更しない場合に比べて圧縮機8を運転するタイミングを早めることができ、冷凍室温度(Tf)が上限温度(Tf−H)を超えてしまう可能性を低減することができる。
また、状況にもよるものの、下限温度(Tr−L)を変更しないことにより冷却が行われている期間を短くすることができることから、例えば第2実施形態で説明した変更を初期化しない場合には上限温度(Tr−H)のみを変更することにより、過冷却となる可能性をさらに低減できると考えられる。
第1実施形態では待機期間が経過するまで待機し、待機期間が経過した時点(t10)から経過した期間に応じて目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更する例を示したが、図4のステップS7では、圧縮機8を停止した時点(ts)からの経過期間に応じて目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更する構成とすることもできる。これは、経過期間を(tn−t10)として求めても(tn−ts)として求めても、変更量を求める際の係数を変更すればよいだけであり、実質的に共通する処理にて変更量が求まるためである。このような構成によっても冷蔵室4の温度に基づいて好適に冷却を行うことができる。
各実施形態では経過期間の長さに応じて徐々に目標温度範囲(ΔTr)を低温側に変更する例を示したが、例えば待機期間が経過した後に、経過期間の長さに応じて予め設定されている温度まで目標温度範囲(ΔTr)を一度に変更することもできる。
各実施形態で示した目標温度範囲や待機期間などの数値、および温度変化を示すグラフの態様等は一例である。
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1は冷蔵庫、3は冷凍室、3aは扉、4は冷蔵室、8は圧縮機、9は蒸発器、11は制御部、12は記憶部、13はタイマ、14は冷蔵室温度センサ(冷蔵室温度検出部)、16は冷凍室扉スイッチ(開閉検出部)、20は冷蔵庫を示す。

Claims (9)

  1. 冷凍室および冷蔵室を有し、1つの蒸発器で生成した冷気により前記冷凍室および前記冷蔵室の双方を冷却する一方、前記冷凍室および前記冷蔵室への冷気の分配を調整するダンパー機構は備えていない冷蔵庫であって、
    前記蒸発器に接続されている圧縮機と、
    前記冷蔵室の温度を検出する冷蔵室温度検出部と、
    前記冷蔵室温度検出部で検出した前記冷蔵室の温度が予め定められている目標温度範囲の上限温度に達すると前記圧縮機を運転し、前記冷蔵室の温度が前記目標温度範囲の下限温度に達すると前記圧縮機を停止するとともに、前記圧縮機の運転状況に基づいて前記目標温度範囲を低温側に変更する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記運転状況として前記圧縮機を停止してから経過した期間である経過期間を取得し、取得した前記経過期間が長くなるほど前記目標温度範囲の変更量を大きくする冷蔵庫。
  2. 冷凍室および冷蔵室を有し、1つの蒸発器で生成した冷気により前記冷凍室および前記冷蔵室の双方を冷却する一方、前記冷凍室および前記冷蔵室への冷気の分配を調整するダンパー機構は備えていない冷蔵庫であって、
    前記蒸発器に接続されている圧縮機と、
    前記冷蔵室の温度を検出する冷蔵室温度検出部と、
    前記冷蔵室温度検出部で検出した前記冷蔵室の温度が予め定められている目標温度範囲の上限温度に達すると前記圧縮機を運転し、前記冷蔵室の温度が前記目標温度範囲の下限温度に達すると前記圧縮機を停止するとともに、前記圧縮機の運転状況に基づいて前記目標温度範囲を低温側に変更する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記運転状況として予め設定されている割合判定期間において前記圧縮機を運転していた割合である運転割合を取得し、取得した前記運転割合が大きいほど前記目標温度範囲の変更量を小さくする冷蔵庫。
  3. 前記制御部は、前記圧縮機の運転を停止する際、前記目標温度範囲を初期化する請求項1または2記載の冷蔵庫。
  4. 前記制御部は、前記圧縮機の運転を停止する際、予め設定されている割合判定期間において前記圧縮機を運転していた割合である運転割合が予め定められている基準割合に到達している場合には変更した前記目標温度範囲を初期化する一方、前記運転割合が前記基準割合に到達していない場合には変更した前記目標温度範囲を初期化しない請求項1から3のいずれか一項記載の冷蔵庫。
  5. 前記制御部は、前記圧縮機を停止してから予め定められている待機期間が経過した時点で、前記目標温度範囲の変更を開始する請求項1から4のいずれか一項記載の冷蔵庫。
  6. 前記冷凍室の扉の開閉を検出する開閉検出部を備え、
    前記制御部は、予め定められている開閉判定期間において前記冷凍室の扉が開閉された開閉回数が予め定められている基準開閉回数に到達している場合、または、前記開閉判定期間において前記冷凍室の扉が開放されていた開放期間が予め定められている基準開放期間に到達している場合、前記圧縮機の運転を停止した時点で前記目標温度範囲の変更を開始する請求項1から5のいずれか一項記載の冷蔵庫。
  7. 前記制御部は、前記圧縮機の運転状況に加えて、前記開閉判定期間における前記冷凍室の扉の開閉状況に基づいて前記目標温度範囲を変更するものであり、前記開閉状況として前記冷凍室の扉が開閉された回数である開閉回数を取得し、取得した前記開閉回数が多いほど前記目標温度範囲の変更量を大きくする請求項6記載の冷蔵庫。
  8. 前記制御部は、前記圧縮機の運転状況に加えて、前記開閉判定期間における前記冷凍室の扉の開閉状況に基づいて前記目標温度範囲を変更するものであり、前記開閉状況として前記冷凍室の扉が開放されていた期間である開放期間を取得し、取得した前記開放期間が長いほど前記目標温度範囲の変更量を大きくする請求項6または7記載の冷蔵庫。
  9. 前記制御部は、前記上限温度および前記下限温度の双方を低温側に変更することにより、または、前記上限温度のみを低温側に変更することにより、前記目標温度範囲を変更する請求項1から8のいずれか一項記載の冷蔵庫。
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