JP2015072087A - 冷却機用コンプレッサモータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】僅かな温度情報に基づき下降モードでの設定回転数を過不足なく設定させ得る冷却機用コンプレッサモータ制御装置を提供する。【解決手段】本実施例では、僅かな温度情報しか入手できないにも関わらず、様々な工夫によって下降モードの採用を可能とさせている。従って、本実施例では、適切な場面で設定回転数を低下方向へ自動変更できるので、食品貯蔵物の保存状態が守られた上で、コンプレッサモータの電力消費をも抑えることが可能となる。【選択図】図7
Description
本発明は、冷却機用コンプレッサモータ制御装置に関し、特に、コンプレッサモータの回転数を設定する際に用いて好適のものである。
近年、冷凍冷蔵庫の技術分野では、庫内温度の木目細やかな制御を実現させる為、電子式サーモスタットが使用されるようになっている。ここで、電子式サーモスタットは、2点よりも更に多くの温度情報を検出・報知させることが可能であり、DCブラシレスモータを用いた可変速型の装置に有用である。これに対し、機械式サーモスタットは、庫内の上限温度と下限温度のみを検出・報知させるシンプルな動作をするものであって、コンプレッサモータの回転数がAC入力で固定的に定まる装置(非可変速型の装置)で古くから用いられている。
例えば、特開2013−060907号公報(特許文献1)では、機械式サーモスタットと可変速型の制御装置とのミスマッチングについて指摘されており、これを改善する術として、負荷電流に基づいて設定回転数を上昇させている。
しかしながら、特許文献1の技術によれば、下降モードにおけるコンプレッサモータの回転数を設定するロジックが全く記載されていない。本来、食品貯蔵物の保全を優先させる分野では、所定の温度範囲をヒステリシス変化させる定常運転について、オン動作期間で設定回転数を段階的に低下させるメリットは少ない。まして、機械式サーモスタットを用いている場合には、設定回転数の低下を促す信号を殆ど入手できないので、下降モード中に自動降下された設定回転数が熱負荷の状態に合致しなくなる事態を招き、食品貯蔵物の保存状態が悪化してしまう。
本発明は上記課題に鑑み、僅かな温度情報に基づき下降モードでの設定回転数を過不足なく設定させ得る冷却機用コンプレッサモータ制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では次のような冷却機用コンプレッサモータ制御装置の構成とする。即ち、コンプレッサモータの設定回転数を期間経過に基づいて自動変更させる回転数設定処理、を備える冷却機用コンプレッサモータ制御装置において、
前記回転数設定処理は、前記設定回転数を段階的に下降させる下降モードの場面で機能することとする。
前記回転数設定処理は、前記設定回転数を段階的に下降させる下降モードの場面で機能することとする。
好ましくは、前記回転数設定処理は、前記設定回転数を段階的に上昇させる上昇モードの場面、及び、前記設定回転数を段階的に下降させる下降モードの場面、の双方の場面で機能することとする。
好ましくは、前記下降モードで設定回転数から減じる設定幅は、前記上昇モードで設定回転数に加えられる何れかの設定幅よりも、小さく設定されることとする。
好ましくは、前記下降モードで設定回転数から減じる設定幅は、前記上昇モードで設定回転数に加えられる設定幅よりも、小さく設定されることとする。
好ましくは、前記設定回転数は、前記下降モードで自動変更される場合、始動回転数よりも低回転であって且つ非常時設定回転数よりも高回転である臨界回転数にて維持されることとする。
本発明に係る冷却機用コンプレッサモータ制御装置によると、僅かな温度情報しか入手できないにも関わらず設定回転数を段階的に低下させることが可能となった為、食品貯蔵物の保存状態が守られた上で、更に、コンプレッサモータの電力消費をも抑えることが可能となる。
以下、本発明に係る実施の形態等(実施例1〜実施例8)につき図面を参照して具体的に説明する。尚、実施の形態,実施例1〜実施例8は、各々が互いに関係する内容であるところ、既に説明された事項については、重複説明を避ける為に同一符号を付し説明を省略する。
図1は、本実施の形態に係る冷却機用コンプレッサモータ制御装置の回路構成が示されている。冷却機用コンプレッサモータ制御装置100(以下、モータ制御装置と呼ぶ)は、電力変換回路120と制御回路150とから構成される。
このうち、電力変換回路120は、AC電力が一方から入力され、これを変換した3相電流を他方側の直流ブラシレスモータ140(以下、コンプレッサモータと呼ぶ)へ供給している。電力変換回路120は、整流回路,PFC回路,インバータ回路が内蔵されており、インバータ回路によってコンプレッサモータ140に流れる電流パターンが決定され、この電流パターンによって回転子が駆動される。
コンプレッサモータ140は、室外機,キャピラリチューブ,エバポレータと供に冷媒回路を形成するものであって(図示なし)、当該コンプレッサモータ140の回転数を増減させることで、庫内熱負荷に対する吸熱作用を調整させる。以下、制御回路150によって指令される回転数を、設定回転数と呼ぶこととする。
制御回路150は、信号ライン180を介して機械式サーモスタット170に接続される。また、複数の信号ライン160を介して電力変換回路120のパワートランジスタへ接続される。この制御回路は、CPU,AD変換回路,メモリ回路,クロック回路等が内蔵されており、所定の情報に基づき適宜の演算を実施し、其の結果情報・信号をメモリ回路又は外部へと出力させる。
特に、メモリ回路は、制御プログラム、パラメータ情報等が適宜の記憶領域に記録されており、CPUは、この情報を適宜取得して、プログラムのシーケンス順に処理演算を実行していく。本実施の形態に係るメモリ回路には、PWM信号の生成処理,モータオン/オフ判定処理,回転数設定処理R100,モード選定記録処理R200,複合ルーチンR300に関するプログラム,時間に関する閾値情報等が記録されている。そして、制御回路150では、これらプログラムと協働して機能構築が行われ、適宜の処理が実施される。例えば、モータオン/オフ判定処理は、機械式サーモスタットの信号に基づいて、コンプレッサモータをオン動作へ切換えるか、オフ動作へ切換えるかを判定する。また、PWM信号の生成処理は、設定回転数に基づいて算出されたDUTYのPWM信号を生成する。
機械式サーモスタット170は、検査対象の上限温度Th1と下限温度Th2を検出し、これを電気的な信号に変換して出力する。この機械式サーモスタット170は、冷凍冷蔵庫内に設置されており、庫内温度を検出対象としている。上述の如く、本実施の形態で用いられる機械式サーモスタット170は、ACモータを固定的な回転数で運転させる非可変速式装置に広く用いられるサーモスタットであって、上限温度Th1から下限温度Th2に至る途中の温度を検出できるものではない。即ち、この機械式サーモスタット170は、2点のみの温度情報を報知する簡素なものである。
従って、本実施の形態に係るモータ制御装置150は、上限温度Th1から下限温度Th2に至るまで中間的な温度情報を得ることができないので、この間にコンプレッサモータの設定回転数を自動変更できるよう、以下のような工夫が施されている。
図2は、コンプレッサモータの運転に関係する各種状態が示されている。先ず、コンプレッサモータの運転状態とは、コンプレッサモータ140を駆動させる電流が流れているか否かで定まるものであって、これは、機械式サーモスタット170の出力信号に関係する。
即ち、機械式サーモスタット170が上限温度Th1に達した旨の信号(以下、上限信号)を出力させると、制御装置150は、この信号に基づいてコンプレッサモータ140をオンさせ、庫内の冷却を開始させる。一方、機械式サーモスタット170が下限温度Th2に達した旨の信号(以下、下限信号)を出力させると、制御装置150は、この信号に基づいてコンプレッサモータ140をオフさせる。よって、「Th1→Th2」へ変化する場面では、コンプレッサモータ140が駆動状態となり、これを「オン動作期間」と呼ぶ。また、「Th2→Th1」へ変化する場面では、コンプレッサモータ140が停止状態となり、これを「オフ動作期間」と呼ぶ。また、第1回目のオン動作期間とオフ動作期間の一組をSTEP(1)と呼び、第N回目のオン動作期間とオフ動作期間の一組をSTEP(N)と呼ぶ。
設定回転数ωpは、回転数設定処理にて実施されるものであって、当該処理では、一定回転数に設定される始動回転数ωaと、順次回転数を変化させる変更回転数ωbとが準備されている。このうち、始動回転数ωaは、始動回転数設定処理によって設定される。また、変更回転数ωbは、始動回転数ωaのタイムアップ後に設定される回転数であって、変更回転数設定処理にて設定される。尚、STEP(1)については、始動回転数ωaに先立ち、IPD状態検出回転数ωiが設定される。
当該変更回転数設定処理は、段階的且つ自動的に増減させる動作を、規定回転数のタイムアップ毎に逐次実施させる。即ち、変更回転数設定処理は、規定期間毎に設定回転数を変速させる動作、そして、変速動作を複数回実施させる動作を実現させる。
変更回転数ωbが始動回転数ωaに対して増加する動作モード,又は,変更回転数ωbの其れ自身が増加する動作モード,これらを総じて上昇モードと呼ぶ。一方、変更回転数ωbが始動回転数ωaに対して減少する動作モード,又は,変更回転数ωbの其れ自身が減少する動作モード,これらを総じて下降モードと呼ぶ。このようなモード設定は、後述するモード選定処理,選定結果優先設定処理によって行われる。
回転数設定処理は、始動回転数設定処理及び変更回転数設定処理を具備しているので、コンプレッサモータ140の設定回転数を、期間経過に基づいて自動変更させることとなる。従って、オン動作期間の設定回転数ωpは、図2に示す如く、規定期間の到来に応じて適宜変更される。ここで、規定期間とは、一の設定回転数で運転される期間を指し、同図のSTEP(1)によれば、t1〜t1v,t1v〜t1w,t1w〜t1x,t1x〜t1c,の各々を指す。具体的に説明すると、IPD状態検出回転数ωi及び始動回転数ωaには、一の設定回転数が各々与えられることとなる。一方、変更回転数ωbについては、一の設定期間に対応させて一の設定回転数が与えられ、全体として複数の設定回転数が準備されることになる。
また、規定期間は、回転数設定処理にて予め設定されるものである。例えば、STEP(1)にあっては、始動回転数ωaに対応して「t1〜t1v」が規定期間とされており、本実施の形態では30〔min〕とされる。また、同STEP(1)では、変更回転数ωbに対応して「t1v〜t1w,t1w〜t1x,及び,t1x〜t1c」の各々が規定期間とされており、本実施の形態ではこれらが全て15〔min〕とされている。また、STEP(N)〜STEP(N+2)についても、上述した規定期間が予め規定されている。但し、STEP(N+1)にあっては、変更回転数に切換えられる前に庫内温度が上限温度Th1へ達した為、準備されていた変更回転数ωbによる運転が実施されなかった場面である。
このように、本実施の形態に係る回転数設定処理は、規定期間毎に設定回転数が複数準備されているので、この規定期間が到来する毎に設定回転数の変更が複数回実施される。即ち、本実施の形態に係るモータ制御装置100によると、設定回転数が複数準備されることで段階的な回転数設定を可能とさせ、電子式サーモスタットを用いずとも、庫内温度の木目細やかな制御を安価に実現させる。
また、当該回転数設定処理は、規定期間というパラメータのみで設定回転数の決定ロジックが構築されるので、当該決定ロジックの簡素化が図られる。また、規定期間のパラメータ取得については、新たな回路構成を設けることも不要である。
また、本実施の形態に係る変更回転数設定処理は、設定回転数の切換え前後の差Δωが、上昇モードの場合に500〔rpm〕として設定され、下降モードの場合に100〔rpm〕として設定されている。即ち、設定回転数を段階的に上昇させる設定幅(上昇モードのΔω)は、当該回転数を段階的に下降させる設定幅(下降モードのΔω)と比較して大きく設定されている。
先に説明したように、本実施の形態では、機械式サーモスタット170が用いられるので、上限温度及び下限温度以外の中間的な温度を検出できない。このため、当該中間的なタイミングで熱負荷の変動を検知することも困難である。加えて、機械式サーモスタット170を用いたシステムでは、上限温度及び下限温度のみの情報しか入手できないので、冷気の循環状態を把握して設定回転数を適宜調整することも困難である。
従って、本実施の形態にあっては、上昇モードのΔωを大きく設定することで庫内温度の冷却作用を優先させ、庫内へ貯蔵される食品群を保全させている。一方、下降モードにあっては、熱負荷等の変動を把握できないから、冷却作用による吸熱量が熱負荷の熱量を下回らないように、設定値Δωを小さくしている。
このように、本実施の形態では、熱負荷・熱リークの状態を把握できなくとも、各モードに合わせて設定回転数の変化速度を変えて、好ましい設定回転数から大きく逸脱しない工夫が施されている。
尚、本実施の形態では、庫内温度が下限温度Th2に達すると、機械式サーモスタット170から下限信号を受信して、コンプレッサモータ140を停止させる。このオフ動作期間では、運転動作期間の計測値,停止動作直前に設定されていた設定回転数、に関する情報がメモリ回路に記録される。また、これらの情報に基づいて、後述するモード設定処理が実行される。
以下、本実施の形態の更なる特徴点を、実施例1〜実施例7によって詳しく説明する。尚、先にも説明したように、各実施例の技術は本実施の形態の技術を利用したものであるところ、其の重複部分については説明を省略することとする。また、実施例どうしの関係についても、変更箇所を除き、互いに共通する事項が含まれている。
本実施例では、図3及び図4(a)を参照し、IPD動作時の回転数設定について説明する。ここで、IPD動作(Initial Pull Down)とは、制御予定温度(例えば、冷凍室にあっては「−15℃〜−18℃程度」,冷蔵室にあっては「5℃〜3℃程度」)まで急激に冷却させる動作を指し、例えば、庫内温度が外気温度状態から運転開始され定常運転へ至るまでの制御工程を指す。また、定常運転とは、上述した制御予定温度の前後を庫内温度がヒステリシス制御される運転を指す。
図3は、IPD動作期間、即ち、STEP(1)についてのコンプレッサモータの制御状態が示されている。かかる場面におけるコンプレッサモータの回転数は、先ず、IPD状態検出回転数ωiが設定され、その後、段階的に自動上昇する設定回転数ωpが設定される。これらの設定回転数は、IPD動作回転数設定処理によって設定される。
IPD状態検出回転数ωiは、検査回転数設定処理によって設定されるものであって、IPD動作期間に設定される一連の設定回転数のうち、最先に設定されるものである。一方、設定回転数ωpは、回転数設定処理によって設定されるものであって、IPD状態検出回転数ωiの直後、即ち、IPD状態検出回転数ωiの規定期間の満了を待って其の直後から設定される回転数である。
尚、IPD状態検出回転数ωi及び設定回転数ωpは、共に、IPD動作回転数設定処理で与えられる設定回転数に属するものである。但し、IPD動作回転数設定処理におけるこれら双方を総称したときの設定回転数と、IPD動作回転数設定処理のうちの回転数設定処理における設定回転数ωpとを区別して理解できるよう、後者の設定回転数ωpについては、以後、上昇設定回転数ωpと呼ぶこととする。また、当該設定回転数ωpを設定する処理についても、上昇回転数設定処理と呼び換える。
図4(a)は、IPD動作回転数設定処理に関するフローチャートが示されている。かかる処理R100は、冷凍冷蔵庫への電源投入によって起動する。当該処理R100によれば、先ず、検査回転数設定処理S101が実行され、IPD状態検出回転数ωiにてコンプレッサモータの運転が開始する。また、これに限らず、運転情報の履歴がメモリ回路に残ってない場合には、電源投入された直後である可能性が高いので、これを基準にIPD動作回転数設定処理R100を実施させても良い。また、定常運転に移行した履歴が直近情報として残されていない場合、この情報に基づいてIPD動作回転数設定処理R100を実施させても良い。
処理S101が完了すると、変更モード設定処理S102が実行され、設定回転数の変更タイミング毎に当該回転数を上昇させる変更モード、即ち、上昇モードが設定される。これは、IPD動作回転数設定処理R100についてデフォルトとして与えられるモードである。
その後、第1の運転時間計測処理S103では、IPD動作設定回転数の通算時間tins(1)が計測され、これについて規定期間t(th1)を超過したか否かの判定が所定時間毎に実施される。そして、通算時間tins(1)が規定期間t(th1)へ達した時点で、処理S105へ移行する。尚、本実施例では、規定期間t(th1)が30〔min〕に設定されている。
このとき、温度情報監視処理S104では、処理S103が通算時間tins(1)を測定している間、庫内温度が下限温度Th2(OFF指令情報の基礎となる温度)に達したか否かを監視し、このOFF指令情報を受けた場合に、コンプレッサモータの運転を停止させ(S110)、この間の運転情報、即ち、オン動作期間情報Δtc1及び最終設定回転数情報ωrec1をメモリ回路へ記録させる(S111)。ここで、最終設定回転数とは、運転停止される直前の設定回転数を指すものとする。
一般に、IPD状態検出回転数ωiでコンプレッサモータが速やかに停止される場合、IPD動作を必要としない程度に庫内温度が冷却されている状況か、又は、既に定常運転に移行している状況であると考えられる。一方、IPD状態検出回転数ωiの通算期間tins(1)が規定期間t(th1)を超過してしまう場合、IPD動作回転数設定処理が起動されるに至った妥当性が確認されたことになり、この場合には、主たるIPD動作、即ち、以下説明する上昇回転数設定処理に移行した方が好ましい。本実施例では、この技術的事情を利用し、これらを区別する適切な値として規定期間t(th1)が設定されるのである。
従って、本実施例によると、モータ制御装置100では、上限温度Th1より上の温度状況を把握せずとも、規定期間t(th1)を基準としてIPD動作が必要であるか否かの判断が可能となる。
先にも説明したように、IPD状態検出回転数ωiに設定された場面での通算期間tins(1)がタイムアップすると、上昇回転数設定処理が機能する。ここで、上昇回転数設定処理は、処理S105〜処理S108によって構成される。このうち、第1の切換回転数設定処理S105は、IPD状態検出回転数ωiの直後の設定回転数を与えるもので、上述した始動回転数ωaによってコンプレッサモータを運転させる。
かかる始動回転数ωaは、第2の運転時間計測処理S106にて、その通算時間tins(2)が規定期間t(th2)へ達したか否か判定される。尚、この回転数ωaの閾値として与えられる規定期間t(th2)は、15〔min〕に設定される。
処理S106の進行中にあっても、通算期間tins(2)のタイムアップが監視されつつ、これと並行して、庫内温度が下限温度Th2へ達したかについても監視される(S107)。仮に、庫内温度が下限温度Th2へ達した場合には、コンプレッサモータを停止S110させ、所定の運転情報をメモリ回路へ記録させる(S111)。
一方、始動回転数ωaについての通算時間tins(2)が規定期間t(th2)を迎えてしまうと、第2の切換回転数設定処理S108によって、変更回転数ωbに設定される。そして、この変更回転数ωbの通算期間についてもタイムアップを迎えると、更に高回転の変更回転数へと切換えられる。尚、本実施例に係る始動回転数ωa及び変更回転数ωbは、上昇設定幅Δωが500〔rpm〕に設定されている。
本実施例では、4500〔rpm〕を上限として、変更回転数ωbの段階的な上昇を繰返す。この上限の設定回転数を、以下、最高変更回転数ωbhと呼ぶこととする。このように、本実施例によれば、変更回転数ωbについて上限値を設定することで、COP値を悪化させない配慮が為されている。
そして、本実施例では、これまでの工程の何処かのタイミングで庫内温度が下限温度Th2へ達し、この情報によってコンプレッサモータを停止させ(S110)、STEP(1)で把握された運転情報を記録し(S111)、IPD動作回転数設定処理がスリープ状態へ移行する。
ここで、運転情報には、オン動作期間情報Δtc1,最終設定回転数情報ωrec1,この他、IPD運転が完了した履歴情報が設けられても良い。また、本実施例での最終設定回転数情報ωrec1とは、時刻t1cの直前まで設定されていた回転数を指す。また、後述するモード情報も、この運転情報に含まれる。
上述の如く、本実施例に係るIPD運転回転数設定処理によると、IPD状態検出回転数ωiに与えられた規定期間t(th1)は、自動上昇する設定回転数ωpの各々に与えられた規定期間t(th2)よりも長期間とされる。これによれば、庫内温度の冷却勾配が多少緩慢であっても、本システムにとって貴重な情報(下限温度Th2に達したとする情報)を入手しやすくなる。従って、少ない温度情報に基づいて回転数設定を行う本システムでは、この情報を頼りに庫内温度の変化率が把握され、IPD運転の要否が適正に判断されることとなる。
また、IPD状態検出回転数ωiは、「1500〔rpm〕≦ωi≦3000〔rpm〕」の範囲に設定されるのが好ましい。これによれば、IPD状態検出回転数ωiは、冷却作用を極端に低下させた場合に比べてIPD運転動作期間の冗長化を避けられるし、当初から高回転数へ設定するよりもSTEP(1)でのCOP値上昇を抑制させることに貢献する。
尚、コンプレッサモータの設定回転数は、非常時のフェールセーフとして、非常時設定回転数による運転モードが設けられている。かかる非常時設定回転数は、庫内温度を十分に冷却できない回転数、例えば、1200〔rpm〕程度の回転数とされる。このような回転数が設定される場合、冷凍冷蔵庫では、冷却作用を十分発揮できなくなり、冷却勾配を示す貴重な情報(下限温度Th2に達したとする情報)の取得が困難となる。また、かかる低回転から段階的に上昇させる場合、設定回転数の上昇回数を増やさなくてはならず、結果として、IPD運転期間の長期化を招いてしまう。従って、本実施例では、IPD検出用回転数ωiが素早く適正回転数に達するように、非常時設定回転数よりも十分大きな値に設定されるのである。
本実施例は、IPD動作時の回転数設定に関する技術であって、先に説明した実施例1の改変例である。以下、図5及び図6を参照して説明する。先ず、図5には、本実施例に係るIPD動作回転数設定処理のフローチャートさ示されている。当該処理R100には、回転数上昇可否判定処理S112と、第3の切換回転数設定処理S113とが追加構成されている。
説明の前提として、最高変更回転数ωbh(本実施例では、4500〔rpm〕)に設定されている場面で、上昇回転数設定処理が行われているものとする。この場面で、回転数ωbhの通算期間tins(2)が規定期間t(th2)へ達したことを確認すると(S106)、回転数上昇可否判定処理S112が機能し、更なる回転数の上昇が可能であるか否かを判定する。但し、この場面では、これより設定回転数を上昇できないので、第3の切換回転数設定処理S113が機能し、現場面より低回転の設定回転数に設定される。
通常、設定回転数を十分上昇させても庫内温度が冷却されない状況下では、熱負荷と冷却能力のミスマッチ,冷媒不足等が原因と考えられる。しかし、想定外の甚大な故障を招いている惧れもあるので、本実施例では、これを回避する動作として、設定回転数を低下させている。
かかる場面の設定回転数は、IPD状態検出回転数ωiよりも低回転に設定されるのが好ましい。そもそも、IPD状態検出回転数ωiは、「下限温度Th2に達した旨の情報取得」を目的としているところ、フェールセーフとして設けられる回転数とは馴染まない。即ち、本実施例に係る処理S113がこのような設定回転数を選んでいるのは、故障個所の悪化を防ぎ且つこれに伴う事故回避を優先させるべきだからであって、これが守られる範囲でコンプレッサモータを駆動させるという思想が之にある。
かかる事情により、処理S113で設定される回転数は、1500〔rpm〕以下であるのが望ましく、本実施例によれば、其の設定回転数が1200〔rpm〕、即ち、非常時設定回転数に設定される。これによれば、コンプレッサモータに著しい負荷を強いることも無く、庫内温度の上昇を幾分でも抑え貯蔵物の品質低下を遅らせることに貢献する。
本実施例では、定常運転時における回転数設定について説明する。図7は、本実施例に係る回転数設定処理、即ち、定常時回転数設定処理R100が示されている。定常時回転数設定処理R100は、オン動作が再開される毎に起動され、定常運転で制御される期間についてこの動作が繰り返される。
かかる処理R100が起動されると、先ず、第1の運転情報記録処理S111aが実施される。当該処理S111aでは、直前のオフ動作期間が記録された情報(以下、オフ動作期間情報Δtsと呼ぶ)をメモリ回路へ記録させる。この「第1の運転情報」は、先に説明した運転情報に属する情報であって、後述するモード設定の際に利用されるものである。
処理S111aが完了すると、始動回転数設定処理S101が実行される。この処理S101は、設定回転数ωpのうち始動回転数ωaを決定させ、当該回転数ωaにてコンプレッサモータを運転させる。本実施例での処理S101は、メモリ回路に記録された運転情報のうち直近の最終設定回転数情報ωrecを抽出し、この値を始動回転数ωaの設定値としてコンプレッサモータを運転させる。従って、処理S101では、直前の最終設定回転数情報ωrecが適正であれば、始動回転数ωaがこの回転数情報ωrecに一致することになる。
処理S101が完了すると、変更モード設定処理S102が実行される。但し、本実施例に係る処理S102では、IPD動作での処理S102とは異なり、所定の判定ロジックによって上昇モードとするか下降モードとするかが決定される。尚、モード設定に係る判定ロジックについては、追って詳述することとする。
本実施例では、処理S102の後、第4の運転時間計測処理S114が実行される。当該処理S114では、始動回転数ωaまたは変更回転数ωbについての通算期間tins(4)を計測する。そして、当該処理S114では、比較基準である規定期間t(th4)が設定されており、通算期間tins(4)と規定期間t(th4)との比較を行う。尚、ここでは、基準期間t(th4)が15〔min〕に設定されていることとする。
ここで、通算期間t(th4)が規定期間t(th4)に達すると、第4の切換回転数設定処理S115によって所定設定幅Δωを加算又は減算させ、再度、処理S114が実行される。より具体的に説明すると、処理S115では、上昇モードが設定されているとき、設定回転数ωpに設定幅Δω1(例えば、Δω1=500rpm)を加算させる。また、下降モードが設定されているとき、設定回転数ωpに設定幅Δω2(例えば、Δω2=100rpm)を減算させる。即ち、本実施例では、設定回転数のシフトアップ又はシフトダウンといった動作を、15〔min〕毎に繰り返し行うことになる。
また、温度情報監視処理S107は、処理S114でのタイムチェックと並行して、庫内温度が下限温度Tth2まで低下したか否かを判定する。そして、当該処理S107では、ある設定回転数ωpでの通算期間計測中に庫内温度が下限温度Tth2まで低下すれば、上述したシフト変更に関する動作を中断させ、その後、コンプレッサモータを停止させ(S110)、第2の運転情報に関する記録処理を実施させる(S111b)。
尚、第2の運転情報には、オン動作期間情報Δtc,最終設定回転数情報ωrec,モード変更に関する情報等が含まれる。特に、これら情報は、処理R100の起動中に取得された情報である。例えば、最終設定回転数情報ωrecにあっては、起動中の処理R100での最後尾の設定回転数、即ち、コンプレッサモータがオフ動作へ移行する直前の設定回転数である。
上述の如く、本実施例に係る定常時回転数設定処理によると、始動回転数ωaが最も直近の最終設定回転数と一致するよう制御される。このため、起動中の定常時回転数設定処理では、最新の熱負荷の状態を反映させることとなり、定常運転が進行するにつれ始動回転数ωaの設定値が熱負荷の状況に追従することとなる。また、このような始動回転数ωaの制御によって、其の後段で設定される変更回転数ωbの大幅な変更を避けることができるので、定常運転におけるオン動作期間の冗長化を回避できる。
尚、本実施例では、処理R100で設定される始動回転数ωaを、「始動回転数ωa=直近の最終設定回転数」としている。しかし、これに限らず、処理R100で設定される始動回転数ωaを、最終設定回転数に基づいて算出するようにしても良い。例えば、処理R100で設定される始動回転数ωaは、最終設定回転数に所定値だけオフセットさせた値としても良く、最終設定回転数を用いた適宜の関数で算出されるようにしても良い。
ここで、下降モードでの設定回転数に着目すると、下降モードでの設定幅Δω2は、其の値が100〔rpm〕に設定されているところ、上昇モードでの設定回転数Δω1(500〔rpm〕)より小さく設定されることになる。これによれば、下降モードにおける設定回転数の自動変更が慎重に進められ、熱負荷を冷却するに足る設定回転数から逸脱して当該設定回転数が低回転となる危険度を低下させている。
これは、設定幅Δω2が全ての設定回転数Δω1より小さく設定されているのが好ましいが、必ずしも之が守られるべきものではない。例えば、上昇モードの設定幅Δω1については複数の設定値が与えられることもあるので、其のうちの主たる設定幅Δω1よりもΔω2の設定値が小さければ、上述した効果は確実に現れる。即ち、かかる効果を生じせしめるにあたって、設定幅Δω2が全ての設定回転数Δω1より小さく設定されていることは、絶対的な条件足り得ないのである。然るに、設定幅Δω2は、複数準備されているうちの何れかのΔω1よりも小さければ、上述した効果が其の範囲において奏されることとなる。
また、始動回転数ωaが直前の最終設定回転数ωrecによって決定される処理も、熱負荷を冷却するに足る設定回転数(これを、理想設定回転数と呼ぶ)から逸脱させない動作へ恩恵を与えている。仮に、オン動作のスタート時(再開時)に設定される始動回転数ωaが、理想設定回転数から低回転側に大きく逸脱して設定されているとする。そうすると、下降モードの場合、その直後の変更回転数ωbは当該回転数ωaから段階的に低下していくので、理想設定回転数との差が短まることはない。これに対して、本実施例では、始動回転数ωaが直前の最終設定回転数ωrecに追従するので、理想設定回転数との差は抑えられることになる。加えて、設定幅Δω2が小さく設定されていることも加味すれば、理想設定回転数との差が効果的に抑えられることは容易に理解できよう。
更に、本実施例では、下降モードで設定回転数が自動変更される場合、この動作が繰り返される条件が続いても、設定回転数が1500〔rpm〕に達するとこの回転数(以下、臨界回転数と呼ぶ)で維持されることとなる。このような動作も、理想設定回転数から逸脱させない対策の一つである。何故なら、本実施例では僅かな温度情報を頼りに回転数の設定を行っているので、正しいモード設定を選択できないことも起こり得る。従って、連続して設定回転数を低下させる動作が継続する場合には、設定中の回転数が理想設定回転数から大きく逸脱している確率が高い。
このため、本実施例では、臨界回転数を設けて、設定中の回転数と理想設定回転数との乖離拡大を防いでいる。また、臨界回転数が設けられているからこそ、その前段で、下降モードを設けることが許されるわけである。尚、臨界回転数は、始動回転数よりも低回転であって、且つ、非常時設定回転数よりも高回転であるのが好ましい。このような回転数とされることで、消費電力を抑える回転域まで下降モードが機能し、且つ、下降モード中の冷却作用が著しく損なわれることも回避できる。
そして、本実施例では、僅かな温度情報しか入手できないにも関わらず、上述した様々な工夫によって下降モードの採用を可能とさせている。従って、本実施例では、適切な場面で設定回転数を低下方向へ自動変更できるので、食品貯蔵物の保存状態が守られた上で、コンプレッサモータの電力消費をも抑えることが可能となる。
ここでは、上述した実施例1〜実施例3について、設定回転数を自動的に上昇させるか下降させるかを決定するモード選定処理について説明する。尚、冷却制御のフェーズとは、庫内の冷却過程を示すものであり、上述した、IPD動作及び定常運転動作等がこれに相当する。また、定常運転動作については、その場面毎に、異なるフェーズとして認識される場合もある。
先ず、IPD動作時のモード選定について、図4(b)を参照して説明する。同図には、変更モード選定記録処理R200が示されている。この変更モード選定記録処理R200は、第3のモード選定処理S201、モード情報記録処理S202〜S203、によって構成される。
第3のモード選定処理S201は、コンプレッサモータのオフ動作移行直前に設定されていた最終設定回転数情報ωrecに基づいて、設定回転数ωpを自動上昇させる上昇モード、又は、設定回転数ωpを自動下降させる下降モード、の何れとするかを選定する。特に、本実施例では、最終設定回転数情報ωrecについての閾値情報ωthが「ωth=3500」として与えられており、実際の最終設定回転数情報ωrecが閾値情報ωthより大きい場合、熱負荷が大きいとして、冷却作用に有利な上昇モード情報を選択・記録する(S202)。また、実際の最終設定回転数情報ωrecが閾値情報ωthより小さい場合、熱負荷が小さいとして、節電に有利な下降モード情報を選択・記録する(S203)。
このモード情報は、オフ動作期間に入ってからモード選定処理が実施される為、当該オフ動作期間の次に到来するオン動作期間の制御に反映される。当該モード選定処理は、他の処理によってBUSY状態であれば、変更回転数ωbの開始前までに選定結果が得られていれば良い。これらの事項は、定常運転時のモード選定処理にあっても同様である。
IPD動作に関する場面(フェーズ)では、入手できる情報が非常に限られているので、最終設定回転数情報ωrecのみに基づいてモード選定が行われる。このように、本実施例では、IPD運転時には最も簡素な情報を用いて、モード選定できるような工夫が施されている。
次に、定常運転時のモード選定について、図8を参照して説明する。同図には、変更モード選定記録処理R210が示されている。この変更モード選定記録処理R210は、第2のモード選定処理S210、モード情報記録処理S213〜S215、によって構成される。尚、定常運転時に現れるオン動作期間のうち、先のオン動作期間を第1のオン動作期間ton1と呼び、これより後のオン動作期間を第2のオン動作期間ton2と呼ぶ。但し、この呼び方は、所定の2つのオン動作期間について相対的な関係を表現したに過ぎず、第2のオン動作期間ton2の後に第3のオン動作期間ton3が現れる場合、ここでの第2のオン動作期間が特許請求の範囲における第1のオン動作期間に相当し、ここでの第3のオン動作期間が特許請求の範囲における第2のオン動作期間に相当する。
第2のモード選定処理S210は、処理S211及び処理S212から構成され、この各々は、第1のオン動作期間ton1と第2のオン動作期間ton2との比較値に基づいて、上昇モード又は下降モードの何れか一方を選定する。処理S211では、閾値Δth1が与えられ、「ton2≧ton1+Δth1」のとき上昇モードを選定し、処理213では、この情報モードが選択された旨のモード情報を記録する。一方、処理S211では、「ton2<ton1+Δth1」のとき、処理S212に対し後段の選定処理を委ねる。
処理S212は、閾値Δth2が与えられ、「ton2<ton1−Δth2」のとき下降モードを選定し、処理214では、この情報モードが選択された旨のモード情報を記録する。一方、「ton2≧ton1−Δth2」のとき、処理S215へ移行され、其処では、モード情報の変更を行わず、そのままのモード情報が維持される。
このように、本実施例に係る第2のモード選定処理S210は、第2のオン動作期間ton2が第1のオン動作期間ton1よりも幾分増加している場合、即ち、オン動作時間tonが継時的に増加方向へ変化していれば、熱負荷の冷却が不十分であるとして、上昇モードを選択する。また、第2のオン動作期間ton2が第1のオン動作期間ton1よりも幾分減少する場合、即ち、オン動作時間tonが継時的に減少方向へ変化すれば、熱負荷が十分に冷却されたとして、下降モードを選択する。また、オン動作期間tonの変化が微量の場合には、設定中の変更モードが適切であるとして、其のモード設定を維持させる。
上述の如く、本実施例では、オン動作期間の比較値に基づいて、モードの選定が行われる。但し、この比較値は、本実施例のように差分値に限られることなく、「ton2/ton1」のような期間の変化を割合で示したパラメータであっても良い。
この処理S210は、オン動作期間tonがメモリ回路に2個以上記録されている場面(フェーズ)で機能させることができる。また、後述するオフ動作期間toffについての記録情報が整っていない場面で利用することも有用である。また、本実施例に係るモード選定処理S210では、2つのオン動作期間の情報を有効活用することで、当該モード選定処理における選定結果が妥当なものとなる。
特に、双方のオン動作期間ton1及びton2は、オフ動作期間を挟んで連続する動作期間であるのが好ましい。これにより、モード選定処理S210は、最も直近の情報に基づいてモード選定することになるから、其の時における温度変化の状況を正確に把握でき、上述選定結果の妥当性がより確かなものとなる。
次に、定常運転時の他のモード選定について、図9を参照して説明する。同図には、変更モード選定記録処理R220が示されている。この変更モード選定記録処理R220は、第3のモード選定処理S220、モード情報記録処理S223〜S225、によって構成される。尚、定常運転時に現れるオフ動作期間のうち、先のオフ動作期間を第1のオフ動作期間toff1と呼び、これより後のオフ動作期間を第2のオフ動作期間toff2と呼ぶ。
第1のモード選定処理S220は、処理S221及び処理S222から構成され、この各々は、第1のオフ動作期間toff1と第2のオフ動作期間toff2との比較値に基づいて、モード選定を実施する。処理S221では、閾値Δth4が与えられ、「toff2<toff1−Δth4」のとき上昇モードを選定し、選定されたモード情報が処理S223にて記録される。一方、「toff2≧toff1−Δth4」のとき、処理S222に対し後段の選定処理を委ねる。
処理S222は、閾値Δth3が与えられ、「toff2≧toff1+Δth3」のとき下降モードを選定し、選定されたモード情報が処理S224にて記録される。一方、「toff2<toff1+Δth3」のとき、モード情報の変更を行わずそのまま維持される。
このように、本実施例に係る第1のモード選定処理S220は、オフ動作時間toffが継時的に減少方向へ変化していれば、熱負荷が十分に冷却されたとして、下降モードを選択する。また、オフ動作時間toffが継時的に増加方向へ変化すれば、熱負荷の冷却が不十分であるとして、上昇モードを選択する。また、オフ動作期間toffの変化が微量の場合には、其のモード設定が維持される。
本実施例に係る処理S230は、オフ動作期間toffがメモリ回路に2個以上記録されている場面(フェーズ)で機能させることができる。また、前述したオン動作期間tonについての記録情報が整っていない場面で利用することも有用である。特に、オフ動作期間toffは、当該期間直後のオン動作期間にとって、最も直近の熱負荷状態を現すものである。このため、モード選定処理S220は、モード情報の選定結果を更に妥当なものとさせる。
特に、双方のオフ動作期間toff1及びtoff2は、オン動作期間を挟んで連続する動作期間であるのが好ましい。これにより、モード選定処理S220は、最も直近の情報に基づいてモード選定することになるから、其の時における温度変化の状況を正確に把握でき、上述選定結果の妥当性がより確かなものとなる。
上述の如く、本実施例に係るモータ制御装置100によると、モード選定に係る選定ロジックが冷却制御の各フェーズに対応しているので、僅かな情報しか取得できなくても、この状況下に相応しいモード選定処理が適用され、これにより、適切なモード設定が可能となる。また、フェーズの進行に応じて入手可能な情報が増えると、其の情報を有効に利用してモード選定が行われるので、モード選定に関する妥当性が確かなものとなる。
通常は、熱負荷の熱量及び熱リーク量を想定して設定回転数が設けられる為、下降モードの際に、冷却作用の吸熱量が熱負荷の熱量を下回らないように配慮されている。しかし、熱負荷を庫内へ投入するタイミング,パッキン劣化に伴う熱リークの上昇,又は,外気温の異常上昇等が原因し、下降モード中の冷却作用では熱負荷を十分に冷却できない場合が稀に生じる(図11(a)参照)。本実施例では、このような不具合を解消する為、定常運転の動作について以下の工夫が施されている。
以下、図11(b)及び図12を参照して、本実施例に係る回転数設定処理について説明する。尚、本実施例は、下降モードでの課題を解決させる技術であるところ、この下降モードについてのみ説明を行う。また、本実施例では、変更回転数設定処理が、処理S107,処理S114〜S118から構成されるものとする。
先の定常運転に係る実施例と同様、本実施例では、STEP(M)のオン動作期間の開始時刻に達すると、直前のオフ動作期間を記録し(S111a)、始動回転数ωaにてオン動作を開始する(S101)。尚、本実施例では、始動回転数ωaが3000〔rpm〕であるとする。また、変更モード設定処理S102では、下降モードが設定されていることとする。
その後、始動回転数ωaの運転についての期間tins(4)が計測され(S114)、期間の満了(規定期間t(th4))を迎えると、始動回転数ωaから変更回転数ωbへと切換えられる(S115)。本実施例にあっても、変更回転数ωbを下降させる設定幅Δωが100〔rpm〕とされており、この場面では、3000〔rpm〕から規定期間のタイムアップ毎に100〔rpm〕ずつ低下する。また、ここでの規定期間t(th4)は、15〔min〕に設定されている。
本実施例では、図12に示す如く、第5の運転時間計測処理S116,第5の切換回転数設定処理S117,及び,処理S118が新たに追加されている。このうち、第5の運転時間計測処理S116は、期間に関する所定閾値Δtσ5が与えられており、始動時刻t(m)を起算点とする積算期間Σtinsを計数し、この積算期間Σtinsが所定閾値Δtσ5(所定積算期間)に達したか否かを判別する。即ち、第5の運転時間計測処理S116は、設定回転数が段階的に下降している期間を計数し、この期間について閾値判定を実施する。尚、本実施例では、所定積算期間Δtσ5が30〔min〕に設定されており、この時刻の経過後に、第5の切換回転数設定処理S117が実施される。
当該処理S117は、所定積算期間Δtσ5に達した時点での設定回転数よりも上昇させる。以下、処理S117で上昇設定される設定回転数を離脱設定回転数ωcと呼ぶこととする。この離脱設定回転数ωcは、この処理が機能してから500〔rpm〕上昇するように、離脱時設定幅が与えられている。従って、下降モードにて設定回転数を下降させるときの設定幅Δω(下降側設定幅)よりも、上昇側に転じる離脱設定幅の方が大きく与えられているので、冷却作用が十分に機能しない場面でも、これを一気に解消させ、其の冷却作用を適正な状態へ逸早く回復させることができる。
尚、離脱時回転数ωcの設定にあたっては、上述した手法の他、当該離脱時回転数ωcを始動回転数ωaに一致させることも有用である。始動回転数ωaは、直前のオン動作期間にて下限温度Th2へ冷却させた適正温度であるところ、熱負荷が急激に変化しない限り、この設定回転数ωaに戻すことで、前回同様の冷却作用が発揮されると予測できるからである。また、これによれば、離脱時回転数ωcへ転じる迄の設定回転数の低下量を抑えることで、必要最小限の設定変更にして十分な冷却作用を回復させ得る。
本実施例は、上述した定常運転時における回転数設定処理の一部が変更されている。本実施例に係る定常時回転数設定処理R100は、オン動作の開始当初に設定されるモード設定(S102)に応じてその後の処理が異なるものとされる。以下、オン動作当初に上昇モードが設定される場合、第1の定常時回転数設定処理R101による回転数設定が実施されるものとし(図13参照)、オン動作当初に下降モードが設定される場合、第2の定常時回転数設定処理R102による回転数設定が実施されるものとする(図14参照)。
第1の定常時回転数設定処理R101は、実施例3(図7)と比較して、第4の運転時間計測処理S114の代わりに第6の運転時間計測処理S120が設けられている。また、第4の切換回転数設定処理S115の代わりに第6の切換回転数設定処理S121が設けられている(図13参照)。
第6の運転時間計測処理S120は、始動回転数ωaの運転についての通算期間tins(6)が計測され(S120)、また、この期間に関するパラメータに対し複数の閾値が設定されている。この複数の閾値は、其の性質の違いが考慮されて設けられたものであって、本実施例では規定期間情報t(th6p)と変動期間情報t(th6q)とから成る。これら複数の閾値情報は、熱負荷状態の解析ツールとして準備されるものである。
規定期間情報t(th6p)は、特許請求の範囲における第1の閾値を現す情報であって、予め設定された固定的な時刻又は期間を現す情報である。一方、変動期間情報t(th6q)は、実際の熱負荷に応じて定まる変動的な情報であって、特許請求の範囲における第2の閾値に属する閾値情報である。このように、双方の閾値情報は、熱負荷状態を解析する情報であることに変わりはないが、絶対的な値として閾値を与えるか又は相対的な値として閾値を与えるかといった性質上の違いがある。
第1の定常時回転数設定処理R101では、上述した期間経過のパラメータに対する比較基準、即ち、閾値情報が複数設定される。この為、当該パラメータtins(6)と閾値情報との比較結果も複数取得される。そして、測定された通算期間tins(6)が上記の何れか一方(又は、双方)に達していれば、処理S121へ移行させ、設定回転数を一段階シフトアップさせる。
このように、本実施例に係る定常時回転数設定処理R101は、限られた温度情報に基づいて作成される一のパラメータtins(6)に対して、複数の閾値情報を設定する処理が構成されている。従って、本実施例によると、異なる性質の閾値情報を用いることで、一のパラメータに対する多面的な解析が可能となり、設定回転数の最適設定を実現させる。
例えば、本実施例では、直前のオフ動作期間(第1の期間パラメータ)が変動期間情報t(th6q)として設定されている。一方、規定期間情報t(th6p)が15〔min〕として設定されている。従って、本実施例では、直前のオフ動作期間(第1の期間パラメータ)が15〔min〕より著しく長かったとしても、規定期間情報t(th6)によって設定回転数のシフトアップが行われる。また、直前のオフ動作期間が15〔min〕より短かった場合、固定的閾値を用いた判定結果を待たずしても、変動的な閾値情報t(thq)によって素早く回転数の設定変更を行える。このような相補的補完動作は、コンプレッサの冗長運転を防止できるので、デフロスト期間を確保するにあたりメリットとなる。
尚、本実施例では、コンプレッサモータのオフ期間が変動期間情報t(th6q)とされている。このようにすることで、最も直前の情報を用いて回転数設定を行えるからである。しかし、直前のオフ動作期間の情報が得られない場合、オン動作期間を用いるようにしても良い。
次に、第2の定常時回転数設定処理R102は、実施例5(図12)と比較して、第4の運転時間計測処理S114の代わりに第6の運転時間計測処理S120が設けられている。また、第4の切換回転数設定処理S115の代わりに第6の切換回転数設定処理S121が設けられている。また、第5の運転時間計測処理S116の代わりに第7の運転時間計測処理S122が設けられている。また、同処理R102では、実施例5における処理S117〜S118が除かれ、その代り、モード変更確認処理S123と上昇モード設定処理S124が追加されている。
第6の運転時間計測処理S120は、処理R101と同様、始動回転数ωaの運転についての通算期間tins(6)が計測され(S120)、この期間に関するパラメータに対し複数の閾値が設定されている。本実施例では、規定期間情報t(th6r)と変動期間情報t(th6s)とが設定され、これらの値は熱負荷を解析するツールとして適宜に与えられる。
本実施例では、直前のオフ動作期間の1/2倍(第2の期間パラメータ)が変動期間情報t(th6s)として設定されている。一方、規定期間情報t(th6r)が10〔min〕として設定されている。従って、本実施例では、第2の期間パラメータが10〔min〕より長かったとしても、規定期間情報t(th6r)に基づいて設定回転数のシフトダウンが行われる。また、直前情報の期間パラメータが10〔min〕より短かった場合、固定的閾値情報を用いた判定結果を待たずして、変動的な閾値情報t(th6s)によって素早く回転数の設定変更を行える。
第7の運転時間計測処理S122は、期間に関する所定閾値Δtσ7が与えられており、始動時刻を起算点とする積算期間Σtinsを計数し、この積算期間Σtinsが所定閾値Δtσ7(所定積算期間)に達したか否かを判別する。本実施例では、この所定積算期間Δσ7が「第1の期間パラメータの2倍」とされている。
従って、「処理S120→処理S121→処理S122」を繰返す一連の循環処理では、多面的な解析結果に基づいて設定回転数の最適設定が行われ、その後、処理S122では、積算期間Σtinsが所定積算期間Δσ7へ達したか否かチェックする。
積算期間Σtinsが所定積算期間Δσ7へ達すると、モード変更確認処理S123が実行される。このとき、第2の定常時回転数設定処理R102は、モード設定が下降モードに維持されていれば、処理S120に戻し、所定積算期間Δtσ7に達するまでシフトダウン動作を期間経過毎に繰り返す。一方、同処理R102は、初めて所定積算期間Δtσ7に達すると、モード設定を上昇モードへ切換え、設定回転数を一段シフトアップさせた上で、当該設定回転数の継続期間を測定する。更に、同処理R102は、既に上昇モードに設定されていれば、設定回転数のシフトアップ動作を期間経過毎に繰り返す。
上述の如く、本実施例によると、下降モードで運転中に上昇モードへ切換えて回転数設定を行えるので、既に行われた設定モードが現状の熱負荷に対応していなくとも、このモード切換によってモード設定ミスを解消させ、設定回転数の適正化を図ることができる。そして、かかる如く設定回転数のリカバリーが行われるので、庫内温度の上昇が最小限に抑えられ、好ましい状態で食品貯蔵物が保存されることとなる。
ここでは、より高度なモード設定処理について説明する。図15には、本実施例に係る変更モード選定記録処理が示されている。この変更モード選定記録処理R240は、図示の如く、現モード判別処理S230と、第4のモード選定処理S240と、モード情報記録処理S242〜S246とから構成される。尚、変更モード選定記録処理R240は、オフ動作期間に入ってからモード選定処理が実施され、これによって選定されたモード情報は、当該オフ動作期間の次に到来するオン動作期間の制御に反映される。
現モード判別処理S230は、処理S240が起動される直前のオン動作期間tonでの選定モード(以下、現選定モード又は現選定モード情報と呼ぶ)を把握する為、メモリ回路へアクセスし現選定モード情報を取得する。これにより、現モード判別処理S230では、現在のモード設定が上昇モードであるか下降モードであるかを把握する。
第4のモード選定処理S240は、現選定モードが上昇モードである場合に機能する処理S241と、現選定モードが下降モードである場合に機能する処理S244とから構成される。これらのモード選定処理S241及びS244は、メモリ回路に記録されている回転数変更情報を取得し、直近の設定回転数がどのように変更されたかを把握する。具体的には、設定回転数を上昇するように自動変更させて現在に至るか、又は、設定回転数を下降するように自動変更させて現在に至るか、何れであるかを把握する。
尚、この回転数変更情報は、設定回転数以外に特段設けられた情報に限られるものではない。例えば、メモリ回路に設定回転数の履歴が残されていたとすると、この直近の連続する2つの設定回転数を利用すれば、設定回転数が現在迄に変更した様を把握することが可能である。ここで記される回転数変更情報は、このように、設定回転数の変更過程を把握することのできるものであれば良い。また、回転数変更情報及び現選定モード情報については、先に説明した「運転情報」に属するものである。
モード情報記録処理S242〜S246は、選定結果に相当するモード選定情報をメモリ回路へ記録させる。具体的には、処理S242及び処理S246では上昇モードに相当するモード情報を記録させ、処理S243及び処理S245では下降モードに相当するモード情報を記録させる。
第4のモード選定処理S240は、現選定モードがどのように設定されているかという第1の条件と、設定回転数の変更過程に関する第2の条件と、の双方の条件を踏まえて次回のオン動作で反映される選定モードを決定する。即ち、第4のモード選定処理S240では、現選定モード情報と回転数変更情報との双方に基づいて、モード選定が実施されるのである。
本実施例によれば、例えば、現選定モードが上昇モードであり且つ設定回転数を上昇させてからオフ動作期間に入った場合、更なる冷却が必要と認められるので、上昇モードを設定し次回の運転期間に備える。また、現選定モードが上昇モードであり且つ設定回転数の上昇(シフトアップ)を行わずにオフ動作期間に入った場合、熱負荷が十分に冷却されたとして、下降モードを設定し次回の運転期間に備える。また、現選定モードが下降モードであり且つ設定回転数の上昇(シフトアップ)を実施してからオフ動作期間に入った場合、熱負荷が庫内へ投入された可能性があるので、上昇モードを設定し次回の運転期間に備える。また、現選定モードが下降モードであり且つ設定回転数を下降させてからオフ動作期間に入った場合、熱負荷は内部まで十分冷却されていると考えられるので、下降モードを設定し次回の運転期間に備える。
このように、本実施例に係るモード選定処理R240によると、異なる情報を有効に利用し、且つ、複数の判別処理を介してモード設定を行っているので、より細かな判定ロジックを取入れることが可能となり、モード選定に関する妥当性が更に確かなものとなる。
尚、上述した判定ロジックは、現モード判別処理S230と第4のモード選定処理S240との組合せに限定されるものではなく、実施例4に記される種々のモード選定処理を適宜に組合せ、モード選定に関する妥当性を更に確かなものとさせることができる。
また、上述した各種モード判定ロジックに対し、以下の「第5のモード選定処理S250」を組合せても良い(図16参照)。この第5のモード選定処理S250は、オフ動作期間について、其の開始タイミングt0からの通算期間tins(f)を計測している。また、第5のモード選定処理S250では、閾値t(thf)が適宜に設定されており、これと通算期間tins(f)とが比較され、モード設定が決定される(S251,S252)。
本実施例では、閾値t(thf)が前回のオフ動作期間tins(e)よりもΔtだけ短期間側にオフセットされ、これを基準に、熱負荷が大きいか否か、即ち、熱負荷の冷却状態が判定される。このようなモード選定処理S250によれば、オフ動作期間中に新たな熱負荷が投入されたか否かが判別できるため、これを上述したモード判定ロジックの一つとすることは非常に有用である。
本実施例は、実施例3(図7),及び,実施例4(図4(b),図8,図9)を利用した適用技術である。以下、これらの技術を前提とし、図10を参照しながら本実施例についての説明を行う。図10には、本実施例に係る複合ルーチンが示されている。複合ルーチンR300は、実施例4にて説明されたモード選定記録処理R200,R210,及び,R220と、実施例3にて説明された回転数設定処理R100と、本実施例の特徴部である優先モード選定処理S310とから構成される。
モード選定記録処理R200は、最終設定回転数ωrecに基づいてモード設定を実施する処理であって、これを、第3のモード選定記録処理R200と呼び換える。また、モード選定処理R210は、オン動作期間tonの増減変化に基づいてモード設定を実施する処理であって、これを、第2のモード選定処理R210と呼び換える。また、モード選定記録処理R220は、オフ動作期間toffの増減変化に基づいてモード設定を実施する処理であって、これを、第1のモード選定記録処理R210と呼び換える。尚、同図に示される回転数設定処理R100は、図7に沿って説明を行うが、これに限らず、他の箇所にて説明された回転数設定処理(図12〜図14等)であっても良い。
本実施例に係る複合ルーチンR300は、モード選定記録処理R200〜R220を具備しているところ、上昇モード又は下降モードといったモード設定を用いてコンプレッサモータの制御を行う。また、同複合ルーチンR300は、モード選定記録処理R200〜R220といった複数のモード選定記録処理が準備されている。
第1のモード選定記録処理R220は、オフ動作期間toffを観測する第1のモード選定処理S220を具備したものである(図9参照)。当該第1のモード選定処理S220は、オフ動作期間toffに関する閾値(選定基準)によって、モード情報の選定が行われる。第2のモード選定記録処理R210は、オン動作期間tonを観測する第2のモード選定処理S210を具備したものである(図8参照)。当該第2のモード選定処理S210は、オン動作期間tonに関する閾値(選定基準)によって、モード情報の選定が行われる。第3のモード選定記録処理R200は、最終設定回転数をチェックする第3のモード選定処理S200を具備したものである(図4(b)参照)。当該第3のモード選定処理S200は、設定回転数に関する選定基準によって、モード情報の選定が行われる。
このように、複数設けられたモード選定処理は、各々が個別の選定基準を有し、これに基づいてモード情報を選定・作成する。これらのモード情報は、先の実施例にて説明したように、各々がモード設定に係る一定水準以上の信憑性を具備した処理結果である。尚、モード情報の作成とは、モード情報を現すデータをメモリ回路又はCPUのレジスタ等にデータ作成することを言う。
優先モード選定処理S310は、図示の如く、処理S311〜処理313によって構成される。このうち、処理S311は、第1のモード選定記録処理R220による直近のモード情報(第1のモード情報)が作成されていると、当該第1のモード情報を優先モード情報として設定させる(S313)。処理S312は、第2のモード選定記録処理R210による直近のモード情報(第2のモード情報)が作成されていると、第1のモード情報が優先モード情報でなければ、当該第2のモード情報を優先モード情報として設定させる(S313)。また、処理313では、第1のモード情報又は第2のモード情報の何れも取得できない場合、第3のモード選定記録処理R200で作成されたモード情報(第3のモード情報)を優先モード情報として設定する。
第3のモード情報は、設定回転数による判定結果であるから、温度の変化速度を直接的に監視できる他のモード情報と比べて信憑性が幾分低くなる。一方、第1のモード情報は、オフ動作期間がオン動作期間よりも更に直近の情報を伝えるものであるから、第2のモード情報よりも信憑性が高いと考えられる。このように、モード情報の信憑性は、第1のモード情報が最高位であり、第2のモード情報が其の次の順位であり、第3のモード情報が第2の其れの後位となる。即ち、優先モード選定処理S310は、信憑性の高い順に一のモード情報を選択して、これを優先モード情報とするのである。
回転数設定処理R100は、実施例3(図7)で説明したように、変更モード設定処理S102によってモード情報の確認が行われ、其のモード情報(上昇モード情報,下降モード情報)に基づいて回転数の変更モードを決定する。特に、本実施例によると、変更モード設定処理S102は、複数記録されているモード情報のうち、優先モード情報を抽出してこれをモード情報として設定回転数を自動変化させる。即ち、回転数設定処理R100では、記録されているモード情報のうち優先モード情報が上昇モード情報である場合、設定回転数の自動変化を上昇モードにてシフトアップさせる。一方、上述した優先モード情報が下降モード情報である場合、設定回転数の自動変化を下降モードにてシフトダウンさせる。
上述の如く、本実施例に係るモータ制御装置100によると、信憑性の優位なモード選定処理により選択されたモード情報を優先させるので、この情報に基づくモード設定は、熱負荷の状態に合致したものとなり回転数の最適設定に貢献する。また、このモータ制御装置は、複数のモード選定処理によってモード情報が各々作成され、これらのモード情報は、各々がモード設定に係る一定水準以上の信憑性を具備した処理結果であることに変わりない。従って、当該モータ制御装置は、最も信憑性の優位なモード選定処理の結果が得られない場合、次に準備されているモード情報を用いて熱負荷の状態に合致した制御を実現させる。
また、本実施例によると、モード情報が最も優先されるモード選定処理は、コンプレッサモータのオフ動作期間についての選定基準が与えられたものである。当該モード情報は、熱負荷の変化状態について最新の情報を反映させた情報となるので、これに基づいて実施される設定回転数の変更モードは、冷却作用を高めたいとき上昇モードを設定させ、冷却作用が十分であるとき下降モードを設定させるといったように、熱負荷に合致した設定が確実に行われる。
更に、本実施例によると、設定回転数又はTth1〜Tth2へ至る期間に基づいてモード設定が行われるので、モータ制御回路100では、少ない温度情報によって当該モード設定を実施することが可能である。従って、本実施例に係るモータ制御回路100は、機械式サーモスタットを用いたシステムで有用である。
尚、本実施例では、第1のモード選定処理S220,第2のモード選定処理R210,及び,第3のモード選定処理S201の組合せによって、優先モード情報の設定を行っている。但し、特許請求の範囲に記載される技術的思想は、これに限定されるものでなく、種々の改変が可能である。例えば、図17に示す如く、第1のモード選定記録処理R220の代わりに第5のモード選定記録処理R250を最優先のモード選定処理とし、第2のモード選定記録処理R210の代わりに第4のモード選定記録処理R240を其の後位のモード選定処理としても良い(実施例4参照)。
かかる場合にあっても、モード情報が最も優先されるモード選定処理は、コンプレッサモータのオフ動作期間についての選定基準が与えられたものである。従って、先に説明したように、設定回転数の変更モードでは、熱負荷に合致した設定が確実に行われる。
100 コンプレッサモータ制御装置, 120 電力変換回路, 160 制御回路, 170 機械式サーモスタット, R100 回転数設定処理, R200 モード選定処理。
Claims (5)
- コンプレッサモータの設定回転数を期間経過に基づいて自動変更させる回転数設定処理、を備える冷却機用コンプレッサモータ制御装置において、
前記回転数設定処理は、前記設定回転数を段階的に下降させる下降モードの場面で機能することを特徴とする冷却機用コンプレッサモータ制御装置。 - 前記回転数設定処理は、前記設定回転数を段階的に上昇させる上昇モードの場面、及び、前記設定回転数を段階的に下降させる下降モードの場面、の双方の場面で機能することを特徴とする請求項1に記載の冷却機用コンプレッサモータ制御装置。
- 前記下降モードで設定回転数から減じる設定幅は、前記上昇モードで設定回転数に加えられる何れかの設定幅よりも、小さく設定されることを特徴とする請求項2に記載の冷却機用コンプレッサモータ制御装置。
- 前記下降モードで設定回転数から減じる設定幅は、前記上昇モードで設定回転数に加えられる設定幅よりも、小さく設定されることを特徴とする請求項2に記載の冷却機用コンプレッサモータ制御装置。
- 前記設定回転数は、前記下降モードで自動変更される場合、始動回転数よりも低回転であって且つ非常時設定回転数よりも高回転である臨界回転数にて維持されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の冷却機用コンプレッサモータ制御装置。
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JP2013208098A JP2015072087A (ja) | 2013-10-03 | 2013-10-03 | 冷却機用コンプレッサモータ制御装置 |
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