JP6767207B2 - シートおよび冊子体 - Google Patents
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Description
特許文献1によればこのような構成により、一種類の簡単な貫通孔付き冊子体で多様なファイルに綴じることができることが記載されている。また、特許文献1には、種々の補強対策により用紙の貫通孔部が損傷することを防止できると記載されている。
特許文献2によればこのような構成により、ノート用紙と透明フィルムを交互に綴じれば、ノート用紙に記載されているものを添削するとき、透明フィルムに添削内容を記載し、ノート用紙が汚れることを防ぐことができると記載されている。また、ノート用紙は、リングから破り切り離すことができることも記載されている。
ここで、一側縁に沿って2個以上の貫通孔が並んで配置されたシートを重ね合わせてリングで綴じた冊子体から、所望のタイミングのみにシートを切り取りやすく、かつ、意図せずシートが切り取られることが抑制されることが望まれている。
本発明者は、冊子体の通常の使用態様では、一側縁に直交する方向(貫通孔が並んでいる方向に直交する方向)に意図せずシートを引っ張られることが、一側縁に平行な方向(貫通孔が並んでいる方向)に意図せずシートを引っ張られることよりも、圧倒的に多く、冊子体からシートを切り取るときは、シートが一側縁に平行な方向に引き裂かれることを見出した。そこで、リングで綴じられて冊子体にされた場合に一側縁に直交する方向に切れにくく、かつ、一側縁に平行な方向に切れやすいシートを提供するという新規課題を解決できれば、所望のタイミングのみにシートを切り取りやすく、かつ、意図せずシートが切り取られることが抑制された冊子体を提供する目的を達成できることを見出すに至った。
なお、特許文献3には、ノートに正方形、矩形、三角、丸、ハート等の形状の貫通孔を設けることが記載されているものの、シートの貫通孔をリングで綴じて冊子体にすること、およびシートの貫通孔を起点にしてシートを破断することにより冊子体から切り離すことは検討されていない。
[1] 一側縁に沿って2個以上の貫通孔が並んで配置されたシートであって、
一側縁に直交する方向のJIS K7161:1994で規定される引張破壊ひずみが200%以上であり、
下記式1を満たし、
式1
一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみ/一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみ>1
貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する、シート。
[2] 貫通孔の形状のうち、シートの一側縁に最も近い部分から一側縁に直交する方向に沿って貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を有する、[1]に記載のシート。
[3] 貫通孔の形状のうち、シートの貫通孔の50%の長さを示す補助線から一側縁に直交する方向に沿って貫通孔の110%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を有しない、[2]に記載のシート。
[4] 貫通孔どうしの間隔が、貫通孔の一側縁に平行な方向の長さ以上である、[1]または[2]に記載のシート。
[5] 少なくとも2枚以上の[1]〜[4]のいずれか一項に記載のシートと、
リングとを有し、
シートは互いに貫通孔の位置を一致させて重ねられ、
重ねられたシートが、それぞれ貫通孔およびシートの一側縁を通るリングで綴じられた、冊子体。
[6] リングが一重リングである、[5]に記載の冊子体。
[7] リングがコイルリングである、[5]に記載の冊子体。
本明細書において、シート面内において、一側縁に沿って2個以上の貫通孔が並んで配置されるものとする。シート面内で2個以上の貫通孔が並んで配置される方向に平行な方向を「一側縁に平行な方向」とする。また、シート面内で2個以上の貫通孔が並んで配置される方向に直交する方向を、シートの「一側縁に直交する方向」とする。
本発明のシートは、一側縁に沿って2個以上の貫通孔が並んで配置されたシートであって、
一側縁に直交する方向のJIS K7161:1994で規定される引張破壊ひずみが200%以上であり、
下記式1を満たし、
式1
一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみ/一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみ>1
貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する形状である、シートである。
このような構成により、リングで綴じられて冊子体にされた場合に一側縁に直交する方向に切れにくく、かつ、一側縁に平行な方向に切れやすいシートを提供することができる。
リングとを有し、
シートは互いに貫通孔の位置を一致させて重ねられ、
重ねられたシートが、それぞれ貫通孔およびシートの一側縁を通るリングで綴じられた、冊子体である。
以下、本発明のシートおよび冊子体の好ましい態様について説明する。
本発明の好ましい構成を、図面を用いて説明する。
以下において図面に示した態様を代表例として説明するときがあるが、本発明は図面に示した態様に限定されるものではない。
本発明のシートは、貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する形状である。
突起は、貫通孔の内包から外方に向かって伸びることが好ましい。線分と線分の突合せであることが好ましい。線分と線分の突合せは、多角形の頂点も含む。
少なくとも1つの突起を有する形状としては、円周に複数の突起を有する形状、楕円周に複数の突起を有する形状、多角形状などを挙げることができる。
少なくとも1つの突起を有する形状としては、円周に複数の突起を有する形状または多角形状であることが好ましい。
図2に示した冊子体の一例では、シート1に設けられた貫通孔2の形状が少なくとも1つの突起(図1では符号は省略)を有する形状であり、具体的にはひし形である。
さらに、貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する形状であると、シートが切れた場合にシート切れ端のリング残りを抑制できる。そのメカニズムを図3〜図6を参照して説明する。
図3では、シートの一側縁に直交する方向に向けて手で引っ張った態様を示す。図3および図4に示した冊子体をシートの一側縁に直交する方向に引っ張る場合、貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する形状であるため、シートの一側縁に最も近い(リングに最も近い)突起部分のみに手とリングとの間の張力が集中してかかり、一側縁に平行な方向にシートが裂けることによって、突起部分からシートの一側縁に向けて切込みが入る。そのため、シートは貫通孔ごとに1点のみで切れやすく、シート切れ端のリング残りを抑制できる。具体的には、図3および図4では、シート(1枚目)の裏面1Aに配置された1番目の貫通孔2Aは、1番目のリング3Aに最も近い突起部分の1点のみからシートの一側縁に向けて切込みが入る態様が示されている。同様に、2番目の貫通孔2Bおよび3番目の貫通孔2Cは、それぞれ、2番目のリング3Bおよび3番目のリング3Cに最も近い突起部分の1点のみからシートの一側縁に向けて切込みが入る態様が示されている。
なお、貫通孔ごとに2点以上で切れたり、隣合う貫通孔どうしが繋がるように切れたりすると、シート切れ端のリング残りが生じやすい。
シート(2枚目)11以降の重なっている複数のシートは、重ねられているために張力が各シートに分散される。そのため、シート(1枚目)1側が、シート(2枚目)11以降の重なっている複数のシートよりも、先に切れることとなる。
図5では、一側縁に平行な方向にシートを切る場合の自然な人間の手の動きとして、シートをシート面に対して垂直方向にめくるように持ち上げつつ、シート(1枚目)の裏面1Aを一側縁に平行な方向に向けて手で引っ張った態様を示す。
図5および図6に示した冊子体を、シートをめくるように一側縁に平行な方向に引っ張る場合も同様に、貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する形状であるため、シートの一側縁に最も近い(リングに最も近い)突起部分のみに手とリングとの間の張力が集中してかかり、一側縁に平行な向きにシートが裂けることによって突起部分からシートの一側縁に向けて切込みが入る。そのため、シートは貫通孔ごとに1点のみで切れやすく、シート切れ端のリング残りを抑制できる。具体的には、図5および図6では、シート(1枚目)の裏面1Aに配置された1番目の貫通孔2Aは、1番目のリング3Aに最も近い突起部分の1点のみからシートの一側縁に向けて切込みが入った態様が示されている。図5および図6には示していないが、2番目の貫通孔2Bおよび3番目の貫通孔2Cも、それぞれ、2番目のリング3Bおよび3番目のリング3Cに最も近い突起部分の1点のみからシートの一側縁に向けて切込みが入ることとなる。
特に従来の貫通孔の形状が突起を有さない形状(例えば円形)の場合は、一側縁に平行な方向にシートを切るときに貫通孔ごとに2点以上で切れたり、隣合う貫通孔どうしが繋がるように切れたりしやすく、シート切れ端のリング残りが生じやすい。
図7は、本発明の冊子体の他の一例の貫通孔の概略図である。図7には、貫通孔の形状が、シート内で異なる形状である態様が示されている。
(A)貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を1つのみ有する態様。
(B)貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を2つ以上有する態様。
なお、貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域は、冊子体にした場合にシートの一側縁からリングの内側までの領域に相当する長さであることが好ましい。冊子体にした場合にシートの一側縁からリングの内側までの領域に相当する長さは、貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の5%の長さを示す補助線までの長さとすることがより好ましい。
(A)貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を1つのみ有する態様の例としては、図7の紙面左側から1〜4番目および7番目の貫通孔の形状を挙げることができる。
具体的には、多角形状(頂点が突起に相当する)、および、任意の形状に貫通孔の10%以上の長さの突起が設けられた形状を挙げることができる。本発明では、(A)の態様の場合、貫通孔の形状が多角形状であることが好ましい。
(A)の態様の場合、1つの突起が、シートの一側縁に最も近くなるように配置することが好ましい。中でも1つの突起の中心線(突合せを構成する角の二等分線)が、シートの一側縁と直交することが好ましい。
さらに、貫通孔どうしの間隔が、貫通孔の一側縁に平行な方向の長さ以上である態様にしやすい観点から、一側縁に平行な方向の対角線が一側縁に直交する方向の対角線よりも短いひし形がより特に好ましい。
ひし形の1つの頂点の角度は、10〜80°であることが好ましく、20〜70°であることがより好ましく、30〜60°であることが特に好ましい。
(A)の態様であり、かつ、貫通孔の形状が多角形状である場合は、突起の長さは貫通孔の10%以上の長さであることが好ましく、20%以上の長さであることがより好ましい。貫通孔の大きさとは、貫通孔の重心と、シートの一側縁に最も近い頂点との距離のことをいい、多角形の突起の長さとは、シートの一側縁に最も近い頂点の、隣合う2つの頂点を結んだ線分との距離のことを言う。
(B)貫通孔の形状のうち、シートの一側縁に最も近い部分から貫通孔の10%の長さまでの領域において、貫通孔の形状が突起を2つ以上有する態様の例としては、図7の紙面左側から5番目、6番目および8番目の貫通孔の形状を挙げることができる。
具体的には、円周に複数の突起を有する形状、楕円周に複数の突起を有する形状、および、多角形状を挙げることができる。本発明では、(B)の態様の場合、貫通孔の形状が円周に複数の突起を有する形状であることが好ましい。
また、貫通孔の形状が円周に複数の突起を有する形状である場合、円周に8〜100個の突起を有することが好ましく、10〜50個の突起を有することがより好ましく、15〜40個の突起を有することが特に好ましい。
(B)の態様であり、かつ、貫通孔の形状が多角形状である場合、3〜8角形が好ましく、3〜6角形がより好ましく、4〜6角形が特に好ましい。
貫通孔の一側縁に直交する方向の配置は特に制限はない。図7に示すように、それぞれの貫通孔が、貫通孔の形状のうち、シートの一側縁に最も近い部分から貫通孔の50%の長さを示す補助線の上に揃うように配置されることが好ましい。
本発明のシートは、一側縁に沿って(好ましくは平行な方向に)2個以上の貫通孔が並んで配置されたシートである。
一側縁に沿った方向(好ましくは平行な方向)に有する貫通孔の数は特に制限はなく、2〜50個であることが好ましく、3〜30個であることがより好ましく、5〜15個であることが特に好ましく、6〜10個であることがより特に好ましい。
貫通孔どうしの間隔が、貫通孔の一側縁に平行な方向の長さの1.2〜4倍であることが好ましく、1.5〜3倍であることがより好ましい。
貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を1つのみ有し、リングが二重リングであることが好ましい。すなわち、貫通孔の形状が(A)の態様である場合は、リングが二重リングであることが、リングの強度および意匠性の観点から、好ましい。なお、貫通孔の形状が(A)の態様である場合に一重リングを用いても、シートが切れた場合にシート切れ端のリング残りを抑制する観点からは、特に問題はない。
本発明では、貫通孔の形状のうち、シートの一側縁から貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、貫通孔の形状が突起を2つ以上有し、リングが一重リングであることが好ましい。すなわち、貫通孔の形状が(B)の態様である場合は、リングが一重リングであることが、シートが切れた場合にシート切れ端のリング残りを抑制しやすい観点から、好ましい。
リングは、貫通孔およびシートの一側縁を通るリングが存在することにより、通常の使用態様において冊子体が分離しないように綴じられればよく、リングは非連続の部材であってもよいが、冊子体としたときにシートを揃いやすくする観点から、各々のリングが連結された連続の部材であることが好ましい。連続の部材であるリングの例としては、コイルリングが挙げられる。
リングは、2つ以上の貫通孔に対して、1つのリングが設けられていてもよい。
リングの形状は、円であっても、楕円であっても、頂点を有していてもよい。楕円または頂点を有する形状とすると、シートを切りやすい。リングの断面形状は、リングの内側に頂点を有すると、貫通孔から一側縁に向かって押し切るように進みやすいことから好ましい。用途に応じて、リングの形状は適宜選択することができる。
本発明のシートは、一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみが200%以上であり、220%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましい。ただし、シートの引張破壊ひずみはJIS K7161:1994に従って測定した値である。一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみが下限値以上であることが、リングで綴じられて冊子体にされた場合に一側縁に直交する方向に切れにくくできる観点から好ましい。
中でも所望のタイミングのみにシートを切り取りやすく、かつ、意図せずシートが切り取られることが抑制される観点から、一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみが70〜300%であることがより好ましく、100〜250%であることが特に好ましい。
式1
一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみ/一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみ>1
式1を満たすことで、リングで綴じられて冊子体にされた場合にシートが一側縁に平行な方向に切れやすくなる。
一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみ/一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみの値は、1.1〜12であることが好ましく、1.2〜10であることがより好ましく、1.3〜10であることがさらに好ましく、1.4〜8であることがさらに好ましい。一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみ/一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみの値が上限値以下であることが、筆記性の観点から好ましい。
シートの引張破壊応力は特に制限はなく、冊子体の用途に応じて適宜設定することができる。
例えば、一側縁に直交する方向の引張破壊応力は5〜100Nであることが好ましく、7〜80Nであることがより好ましく、10〜60Nであることが特に好ましい。
例えば、一側縁に平行な方向の引張破壊応力は5〜100Nであることが好ましく、7〜80Nであることがより好ましく、10〜60Nであることが特に好ましい。
本発明のシートの組成は、引張破壊ひずみを上述の範囲に制御することができれば特に制限はない。
例えば、特許第3499652号の[0006]〜[0033]、特許4739487号の[0011]〜[0038]、特許5461614号の[0015]〜[0087]に記載の製造方法で得られるシートと同程度の組成であることが好ましい。この公報の内容は、参照して本明細書に組み込まれる。
具体的には、以下のシートが好ましい。
シートに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などのほか、再生樹脂なども使用できる。特定の熱可塑性樹脂のみでは混練溶融物の流動性をさらに改良する必要がある場合には、無機物質粉末高配合による混練溶融物の流動性低下に対し改善の効果がある熱可塑性樹脂を、配合する熱可塑性樹脂の総量に対し0〜50質量%の範囲で組み合わせてもよい。
シートは、無機微粉末または有機フィラーを含有することが好ましい。これにより、シートの引張破壊ひずみを上述の範囲に制御しやすい。特に、無機微粉末や有機フィラーが添加された熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなるシートは、無機微粉末や有機フィラーを核とした微細な空孔が内部に多数形成されており、シートの引張破壊ひずみを上述の範囲に制御しやすい。
無機微粉末および有機フィラーは、0.5〜15μmの平均粒子径を有することが好ましい。
無機微粉末および有機フィラーは、無機物質粉末であることが好ましい。
無機微粉末が、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、酸化チタン、タルク、カオリン、水酸化アルミニウムからなる群から選択される一種類以上の無機微粉末であることが好ましく、炭酸カルシウムであることがより好ましい。
樹脂および無機微粉末または有機フィラーの合計量:100質量%を基準にして、樹脂を20質量%〜54質量%、無機微粉末または有機フィラーを45質量%〜80質量%含むことが好ましく、樹脂を25質量%〜45質量%、無機微粉末または有機フィラーを55質量%〜75質量%含むことがより好ましい。
補助剤の配合率は、樹脂および無機微粉末または有機フィラーの合計量:100質量%を基準にして、0.05質量%〜4.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3.0質量%である。
例えば、表層および/または裏層からなるスキン層と、コア層との3つ若しくは2つの層からなるシートを挙げることができる。
また、多層構造のシートは、そのうち少なくとも一層が延伸フィルムであることが好ましい。また、無機微粉末および有機フィラーの少なくとも一方を55〜75質量%含む層が、シート全体の坪量の40〜80質量%を占めることが好ましい。
本発明のシートを製造する方法としては、特に制限はない。
例えば、貫通孔を設ける前のシートを製造する工程と、シートに貫通孔を設ける工程を行って、本発明のシートを製造することができる。
貫通孔を設ける前のシートを製造する工程としては、特に制限はない。
シートの材料(樹脂組成物)の溶融混練、延伸方法、延伸温度、延伸速度等は、たとえば特許第3499652号の[0030]〜[0033]、特許4739487号の[0029]〜[0035]、特許5461614号の[0048]〜[0062]および[0083]に記載の製造工程を参照することができる。
一側縁に平行な方向の延伸倍率は、それぞれ独立に、1.5倍〜5倍であることが好ましく、1.5倍〜4.5倍であることがより好ましく、2.0倍〜4倍であることが特に好ましい。
上記の比較的低い延伸倍率であることが、得られるシートの一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみと一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみを、上述の範囲に制御しやすい観点から好ましい。
なお、シート製造時のフィルム搬送方向を、シートの一側縁に直交する方向とすることが好ましい。シート製造時のフィルム搬送方向に直交する方向を、シートの一側縁に平行な方向とすることが好ましい。
シートに貫通孔を設ける工程としては特に制限はない。
例えば、カッターなどの刃によって、シートに任意の形状の貫通孔を設けてもよい。
また、パンチ機等の型刃によって、シートに任意の形状の貫通孔を設けてもよい。
その他、公知のレーザーなどによって貫通孔を設けてもよい。
冊子体は、本発明のシートを互いに貫通孔の位置を一致させて重ね、2枚以上重ねられたシートを、それぞれ貫通孔およびシートの一側縁を通るリングで綴じられて、製造されることが好ましい。
本発明の冊子体の用途は、特に制限はない。
例えば、本発明の冊子体は、連続帳票、メモ帳、ノート、スケッチブック、カレンダーおよびシステム手帳として用いることができる。特に、メモ帳やカレンダーなど、冊子体からシートを切る回数が多い冊子体として、好ましく用いることができる。
<引張破壊ひずみおよび引張破壊応力>
シートの引張破壊ひずみおよび引張破壊応力を、JIS K7161:1994に従って測定した。
(株)大創産業から市販されている耐水メモ帳80枚を用いた。耐水メモ帳80枚は、一側縁に平行な方向に7個の貫通孔が並んで配置されたシートとリングとを有する冊子体である。
シート(本体)の材質は、炭酸カルシウムおよびHDPE(High Density Polyethylene、高密度ポリエチレン)樹脂である。耐水メモ帳80枚のシート物性を、下記表1に示した。
貫通孔の形状は、円形であり、突起を有していない(5μm未満の長さの円周の凹凸は、突起としてみなさないこととした)。
貫通孔どうしの間隔は、貫通孔の幅未満である。
リングはスチール製であり、二重リングのコイルリングである。
オキナ株式会社から市販されている耐水メモSP(品番:PW1532)を用いた。耐水メモSPは、一側縁に平行な方向に8個の貫通孔が並んで配置されたシートとリングとを有する冊子体である。
シート(本体)の材質は、台湾で製造され、株式会社TBMが輸入販売するストーン紙「Keeplus」であり、石灰石(炭酸カルシウム)および樹脂である。耐水メモSPのシート物性を、下記表1に示した。
貫通孔の形状は、円形であり、突起を有していない(1μm未満の長さの円周の凹凸は、突起としてみなさないこととした)。
貫通孔どうしの間隔は、貫通孔の幅未満である。
リングはスチール製であり、二重リングである。
<シートの製造>
熱可塑性樹脂としては次のものを使用した。
(1)プロピレン単独重合体1:商品名「ノバテックPP MA−8」、日本ポリプロ社製、融点164℃
(2)高密度ポリエチレン1:商品名「ノバテックHD HJ360」、日本ポリプロ社製、融点115℃
プロピレン単独重合体1を40質量%、高密度ポリエチレン1を4質量%、および平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末56質量%よりなる樹脂組成物(a)を二軸混練機にて260℃で溶融混練して3層Tダイに供給した。一方、プロピレン単独重合体1を85質量%、高密度ポリエチレン1を14質量%、および平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末1質量%よりなる樹脂組成物(b)を2台の二軸混練機にて260℃で溶融混練して3層Tダイに供給した。次に3層Tダイ内で樹脂組成物(b)/樹脂組成物(a)/樹脂組成物(b)となるように積層してダイよりフィルム状に押し出し、鏡面ロールで約50℃の温度となるまでフィルムを冷却した。このフィルムを約140℃に再度加熱したのち、ロール群の周速度を利用してフィルム搬送方向(縦方向)に1.2倍延伸して、三層構造の一軸延伸フィルムを得た。
この三層構造の一軸延伸フィルムをテンターオーブンに導き、155℃に加熱した後、テンターを用いてフィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に2倍延伸し、次いで164℃で熱セット(アニーリング)して、さらに55℃迄冷却し耳部をスリットして厚さ75μm(2.5μm/70μm/2.5μm)の熱可塑性樹脂フィルム(貫通孔無しのシート1)を得た。
得られた貫通孔無しのシート1の物性を測定し、実施例1のシートの物性として下記表1に示した。
パンチ機には、円周に複数の突起を有する形状の刃がついており、貫通孔無しのシート(i)を10枚重ね、円周に複数の突起を有する形状の刃を押し当てて貫通させることにより、上述の形状の貫通孔を形成した。
上述の形状の貫通孔は、貫通孔の形状のうち、シートの一側縁に最も近い部分から貫通孔の10%の長さまでの領域において、貫通孔の形状が突起を2つ以上有する形状であった。上述の形状の貫通孔の形状の概略は、図2の貫通孔2の形状のとおりであり、ぎざぎざの略円形状であった。
得られたシートを実施例1のシートとした。
得られた冊子体を実施例1の冊子体とした。
オキナ株式会社から市販されている耐水メモSP(品番:PW1532)のシートを取り外し、天地を逆にして貫通孔無しのシート2とした。貫通孔無しのシート2の物性は比較例と同じであり、これを下記表1に示した。
貫通孔無しのシート2に対し、実施例1と同様にしてぎざぎざの略円形状の貫通孔を形成した。
10枚の実施例2のシートを互いに貫通孔の位置を一致させて重ね、一重リングで綴じて、冊子体を製造した。
得られた冊子体を実施例2の冊子体とした。
<切れやすさ>
(一側縁に直交する方向)
各実施例および比較例の冊子体から、1枚のシート1を、図3に示すようにシートの一側縁に直交する方向に向けて、手で引っ張った。
「切れやすい」:出来るだけ多くの貫通孔に応力がかかるようにした状態から一気に引っ張る方法で5回シートを引っ張った際に4回以上、切れる。
「切れにくい」:出来るだけ多くの貫通孔に応力がかかるようにした状態から一気に引っ張る方法で5回シートを引っ張った際に4回未満しか切れない。
「全く切れない」:最も左の貫通孔に応力がかかるようにした状態から一気に引っ張る方法で5回シートを引っ張った際に1回も切れない。
引っ張るときの速度はおおむね100〜150m/minである。
得られた結果を、下記表1に記載した。
各実施例および比較例の冊子体から、1枚のシート1を、図5に示すようにシートの一側縁に平行な方向に向けて、右手で左から右に引っ張った。
「切れやすい」:最も左の貫通孔に応力がかかるようにした状態から一気に引っ張る方法で5回シートを引っ張った際に4回以上、切れる。
「切れにくい」:最も左の貫通孔に応力がかかるようにした状態から一気に引っ張る方法で5回シートを引っ張った際に1〜4回、切れる。
「全く切れない」:最も左の貫通孔に応力がかかるようにした状態から一気に引っ張る方法で5回シートを引っ張った際に1回も切れない。
引っ張るときの速度はおおむね100〜150m/minである。
得られた結果を、下記表1に記載した。
切れやすさの評価を行った際に、切れたシートの切れ端がリングに残るか否かを、目視にて観察した。
「あり」:10回シートを引っ張った際に1回以上、切れたシートの切れ端がリングに残る。
「なし」:10回シートを引っ張った際に0回、切れたシートの切れ端がリングに残る。
得られた結果を、下記表1に記載した。
切れやすさの評価を行った際に、貫通孔形状の変形の程度を、目視にて観察した。
「無」:切れやすさの評価の期間を通じて貫通孔形状の変形がない。
「小」:切れるまでにシートが伸びて貫通孔形状が変形するが、一側縁の変形はない。
「大」:切れるまでに貫通孔形状から大きく変形し、一側縁も伸びて変形する。
一方、比較例1より、一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみが本発明で規定する下限値未満であり、貫通孔の形状が突起を有さない円状であり、式1を満たさない場合は、リングで綴じられて冊子体にされた場合に、一側縁に直交する方向に切れやすく、シート切れ端のリング残りがあり、一側縁に平行な方向に切れにくいことがわかった。
比較例2より、貫通孔の形状が突起を有さない円状である場合は、リングで綴じられて冊子体にされた場合に一側縁に直交する方向には全く切れず、一側縁に平行な方向に切れにくいことがわかった。一側縁に平行な方向に切るとき、貫通孔は伸びて変形しており、一側縁で切れた数と、隣接する貫通孔との間で切れる数との比率はおおむね4:3であった。
なお、実施例1および2において、二重リングの代わりにコイルリングを用いた場合も、それぞれ実施例1および2と同じ傾向の結果であった。
1A シート(1枚目)の裏面
2 貫通孔
2A 1番目の貫通孔
2B 2番目の貫通孔
2C 3番目の貫通孔
3 リング
3A 1番目のリング
3B 2番目のリング
3C 3番目のリング
11 シート(2枚目)
21 突起
31 貫通孔の形状のうち、シートの一側縁に最も近い部分から貫通孔の50%の長さを示す補助線
Claims (7)
- 一側縁に沿って2個以上の貫通孔が並んで配置されたシートであって、
前記一側縁に直交する方向のJIS K7161:1994で規定される引張破壊ひずみが200%以上であり、
下記式1を満たし、
式1
前記一側縁に直交する方向の引張破壊ひずみ/前記一側縁に平行な方向の引張破壊ひずみ>1
前記貫通孔の形状が少なくとも1つの突起を有する、シート。 - 前記貫通孔の形状のうち、前記シートの一側縁に最も近い部分から前記一側縁に直交する方向に沿って前記貫通孔の10%の長さを示す補助線までの領域において、前記貫通孔の形状が突起を有する、請求項1に記載のシート。
- 前記貫通孔の形状のうち、前記シートの前記貫通孔の50%の長さを示す補助線から前記一側縁に直交する方向に沿って前記貫通孔の110%の長さを示す補助線までの領域において、前記貫通孔の形状が突起を有しない、請求項2に記載のシート。
- 前記貫通孔どうしの間隔が、前記貫通孔の一側縁に平行な方向の長さ以上である、請求項1または2に記載のシート。
- 少なくとも2枚以上の請求項1〜4のいずれか一項に記載のシートと、
リングとを有し、
前記シートは互いに前記貫通孔の位置を一致させて重ねられ、
重ねられた前記シートが、それぞれ前記貫通孔および前記シートの一側縁を通る前記リングで綴じられた、冊子体。 - 前記リングが一重リングである、請求項5に記載の冊子体。
- 前記リングがコイルリングである、請求項5に記載の冊子体。
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