JP6766767B2 - 溶融除染されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法 - Google Patents
溶融除染されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6766767B2 JP6766767B2 JP2017138839A JP2017138839A JP6766767B2 JP 6766767 B2 JP6766767 B2 JP 6766767B2 JP 2017138839 A JP2017138839 A JP 2017138839A JP 2017138839 A JP2017138839 A JP 2017138839A JP 6766767 B2 JP6766767 B2 JP 6766767B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slag
- concentration
- metal
- clearance
- radioactivity concentration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Measurement Of Radiation (AREA)
Description
そして、放射性金属廃棄物を溶融して減容化して再利用する技術に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
溶融による除染とは、放射性物質が、その核種によって溶融状態での挙動が異なることを利用したものであり、例えばセシウムやストロンチウムは、スラグとの親和性が高いため溶融することで放射性物質をスラグに移行させ、スラグと分離した溶融金属を凝固させることでクリアランス金属とすることができる。
クリアランス金属を上述したように市中のスクラップ業者等を経て製鉄業者等で形鋼や線材の原料として実際に使用するにはクリアランス金属の放射能濃度を測定する必要がある。現在、廃炉や事故原発によって、放射性物質で汚染された金属を溶融した結果得られる除染金属は、NaIシンチレーションやGe半導体検出器を用いて、放射能濃度を測定している。しかし、クリアランスレベル以下の放射能濃度を有する金属の放射能濃度を、測定スピードを速くして精度よく計測することは、例えば非特許文献1でも触れられているように現状では難しいという問題がある。
数十(Bq/kg)程度の放射能濃度を精度よく測定するには、Cs-137のようなガンマ線を放出する核種の場合、ガンマ線スペクトロメトリの方法であるGe半導体検出器の測定時間を数十時間以上の測定時間が必要とされている。また、Sr-90のようなベータ線を放出する核種では、事前に、イオン交換法、発煙硝酸法またはシュウ酸塩法等により前処理を行い、低バックグラウンド2πガスフロー計数装置によって定量を行う。そのため、数百時間の前処理時間が必要とされている。
前記クリアランス金属を生成する過程で生成されるスラグの放射能濃度を測定するスラグ放射能濃度測定工程と、
前記クリアランス金属中のスラグ濃度を測定するスラグ濃度測定工程と、
該スラグ濃度測定工程で算出されたスラグ濃度と前記スラグ放射能濃度測定工程で測定されたスラグの放射能濃度とに基づいて、前記クリアランス金属の放射能濃度を推定する放射能濃度推定工程とを備えたことを特徴とするものである。
また、測定時間を短くすることで、放射能濃度を精度よく推定したクリアランス金属を溶融除染後、短い期間で、市場に提供することができる。
以下、本発明の各工程を説明するに先だって溶融除染について概説する。
溶融除染は、放射性金属廃棄物を溶融して、放射性物質をスラグに移行させ、溶融金属はクリアランス金属として回収するものである。
クリアランス金属は、放射性金属廃棄物を溶融除染して得られる金属であって、放射能濃度がクリアランスレベル以下の金属である。
ここで、放射性金属廃棄物とは、主として金属からなる放射性廃棄物をいう。原子力発電所で発生する放射性金属廃棄物は、たとえば、施設内に設置等されていたものであって、その施設の廃止、修理、変更、事故等に伴って廃棄されたものである。使用形態としては、タンク、配管類、歩廊、ダクト、支柱やポンプ、モーター等があり、これらには、放射性セシウムや放射性ストロンチウム等の放射性核種が付着している。
溶融炉1に放射性金属廃棄物等の汚染金属を投入して溶融する(図1(a))。溶融炉1としては、例えば低周波、中周波および高周波誘導炉、プラズマ炉、アーク炉、ガス炉、キュポラ等が適用可能である。
なお、溶融除染の対象となる核種は溶融金属3に溶解せずにスラグ5に移行するものであり、例えば以下のものが挙げられる。
α核種 U-235、U-238、Pu-241、Am-24、Th-231、Th-234、Pa-234m
β/γ核種 Sr-90、Cs-134、Cs-137、Ag-110m
放射性物質が移行したスラグ5と、溶融金属3は密度がそれぞれ、2.7t/m3、7t/m3と大きく異なるため、溶融炉1内で密度差により二層に分離している。
前述したように、スラグ5と溶融金属3は、密度がそれぞれ、2.7t/m3、7t/m3と大きく異なるため、レードル7内で密度差により上側にはスラグ5層、下側には溶融金属3層の二層に分離できる。溶融金属3中には主としてスラグ5や脱酸剤に起因する介在物9(主として酸化物)が存在するが、適切な静置時間をとれば、介在物9の粒径は、100μm以下となり、溶融物中に均一に分散する。そして、この介在物9の例としては、Al2O3、SiO2、MnO、CaO等である。この介在物9にはスラグ5の一部が混入しており、スラグ5に移行した放射性物質がスラグ5と共に溶融金属3に移行していると考えられる。
溶融金属3中に存在した介在物9は、クリアランス金属に存在し、このためクリアランス金属は放射能濃度が完全にゼロにはならず、ごく低い放射能濃度が存在する。
スラグ放射能濃度測定工程は、クリアランス金属を生成する過程で生成されるスラグ5の放射能濃度を測定する工程である。
放射能濃度の測定には、例えば前述したGe半導体検出器を用いる。スラグ5には放射性金属廃棄物に付着していた放射性物質のかなりの量が移行しており、放射能濃度が高い。そのため、Ge半導体検出器の測定時間は、ごく短時間で行うことができる。
例えば、スラグ5の放射能濃度が3000(Bq/kg)のときには約0.5時間程度である。
スラグ濃度測定工程は、クリアランス金属中のスラグ濃度を測定する工程である。具体的には、クリアランス金属をハロゲン分解法にて分解した後、ろ過しその残渣中のCa濃度を測定し、別途測定したスラグ5のCa含有量から前記クリアランス金属中のスラグ濃度を算出する工程である。
ハロゲン分解法とは、金属等に含まれる介在物9を化学的に抽出分離する方法であり、1g程度のサンプルをクリアランス金属から切削等で取り出し、ハロゲン溶解(臭素-メタノール溶液、よう素-メタノール溶液、臭素-酢酸メチル溶液等)で溶解し、ろ過し、残渣中のカルシウム(Ca)濃度を分析する。
ここで、Ca濃度を測定しているのは、溶融金属3の介在物9にはスラグ5とスラグ5以外の例えば脱酸剤等が含まれているが、前述したようにCa分はスラグ5に起因するものであるため、Ca濃度はスラグ濃度と相関があるからである。
カルシウム濃度が測定されると、これに基づいてクリアランス金属中のスラグ濃度を算出する。
例えば、別途分析したスラグ5中のCaの含有率がA(wt%)であり、残渣濃度がB(mg/kg)で、この残渣中のCaがC(wt%)であったとすると、スラグ濃度は、B(mg/kg)×C(wt%)/A(wt%)として求めることができる。
放射能濃度推定工程は、スラグ濃度測定工程で算出されたスラグ濃度と前記スラグ放射能濃度測定工程で測定されたスラグ5の放射能濃度とに基づいて、クリアランス金属の放射能濃度を推定する工程である。
例えば、スラグ5の放射能濃度がD(Bq/kg)で、クリアランス中のスラグ濃度がE(mg/kg)であれば、クリアランス金属の放射能濃度は、D×E×0.000001(Bq/kg)と推定される。
を得る方法が適用可能である。
溶融除染の過程で得られたスラグ5の成分は、表1に示す通りであった。
したがって、クリアランス金属の放射能濃度は、154×3,305×0.000001=0.51(Bq/kg)と推定される。
この推定値の値が正しいかどうかを検証するため、クリアランス金属を粉砕してGe半導体検出器で230時間かけて測定した。このときの、Ge半導体検出器チャートを図3に示す。
測定結果は、0.58(Bq/kg)であり、推定値と極めて近い値であった。これによって、本発明の推定方法が高精度であることが実証された。
3 溶融金属
5 スラグ
7 レードル
9 介在物
Claims (2)
- 溶融除染によって生成されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法であって、
前記クリアランス金属を生成する過程で生成されるスラグの放射能濃度を測定するスラグ放射能濃度測定工程と、
前記クリアランス金属中のスラグ濃度を測定するスラグ濃度測定工程と、
該スラグ濃度測定工程で算出されたスラグ濃度と前記スラグ放射能濃度測定工程で測定されたスラグの放射能濃度とに基づいて、前記クリアランス金属の放射能濃度を推定する放射能濃度推定工程とを備えたことを特徴とするクリアランス金属の放射能濃度推定方法。 - 前記スラグ濃度測定工程は、前記クリアランス金属をハロゲン分解法にて分解した後、ろ過しその残渣中のCa濃度を測定して、該測定値と別途測定した前記スラグのCa含有量とに基づいて前記残渣中のスラグ濃度を算出することを特徴とする請求項1記載のクリアランス金属の放射能濃度推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017138839A JP6766767B2 (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 溶融除染されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017138839A JP6766767B2 (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 溶融除染されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019020256A JP2019020256A (ja) | 2019-02-07 |
JP6766767B2 true JP6766767B2 (ja) | 2020-10-14 |
Family
ID=65354139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017138839A Active JP6766767B2 (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 溶融除染されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6766767B2 (ja) |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3338554B2 (ja) * | 1993-11-04 | 2002-10-28 | トピー工業株式会社 | 溶融金属の固化分析試料の放射線測定装置 |
DE19546789A1 (de) * | 1995-12-14 | 1997-06-19 | Siemens Ag | Verfahren zur Verwertung kontaminierter Metallteile |
JP2001264493A (ja) * | 2000-03-16 | 2001-09-26 | Hitachi Ltd | 放射性廃棄体の放射能測定装置 |
JP2002116296A (ja) * | 2000-10-06 | 2002-04-19 | Taisei Corp | アスベストおよび金属を含む混合廃棄物の処理方法 |
JP2002340885A (ja) * | 2001-05-16 | 2002-11-27 | Kobe Steel Ltd | 鋼中のCaO含有介在物の分析方法 |
JP2004317338A (ja) * | 2003-04-17 | 2004-11-11 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶解炉副生成物製品の品質管理方法 |
JP2005114620A (ja) * | 2003-10-09 | 2005-04-28 | Japan Nuclear Cycle Development Inst States Of Projects | 放射能汚染された鉄系金属材の除染方法 |
JP6718683B2 (ja) * | 2016-01-07 | 2020-07-08 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 放射性廃棄物計測システムおよび方法 |
-
2017
- 2017-07-18 JP JP2017138839A patent/JP6766767B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019020256A (ja) | 2019-02-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Croudace et al. | Rapid procedure for plutonium and uranium determination in soils using a borate fusion followed by ion-exchange and extraction chromatography | |
KR101212063B1 (ko) | NaI 측정기를 이용한 주괴 내의 방사능물질 측정방법 | |
Delmore et al. | Cesium isotope ratios as indicators of nuclear power plant operations | |
KR101212062B1 (ko) | HPGe 측정기를 이용한 주괴 내의 방사능물질 측정방법 | |
Snow et al. | 135Cs/137Cs isotopic composition of environmental samples across Europe: environmental transport and source term emission applications | |
KR101184701B1 (ko) | 용융제염을 이용한 방사성금속폐기물의 처분방법 | |
Braysher et al. | Complete dissolution of solid matrices using automated borate fusion in support of nuclear decommissioning and production of reference materials | |
JP6150278B2 (ja) | セシウム除染法 | |
JP6766767B2 (ja) | 溶融除染されたクリアランス金属の放射能濃度推定方法 | |
JP6918076B2 (ja) | 金属溶融方法および金属溶融システム | |
Kinard et al. | Radiochemical analyses for the defense waste processing facility startup at the Savannah River Site | |
Rosenberg et al. | Detection of fuel release in a nuclear accident: a method for preconcentration and isolation of reactor-borne 239Np using ion-specific extraction chromatography | |
Huntley | Sequential separation of americium, curium, plutonium, neptunium and uranium in various matrices from the electrometallurgic treatment of spent-nuclear fuel | |
JP2013257209A (ja) | 核分裂生成ガスの測定値を用いた未臨界濃度監視の方法 | |
Read et al. | Implementation of a strategy for managing radioactive scale in the China Clay industry | |
Restani et al. | Characterisation of PWR cladding hulls from commerical reprocessing | |
Simpson et al. | Management of salt waste from electrochemical processing of used nuclear fuel | |
Sofilić et al. | Monitoring of radionuclides in carbon steel blooms produced by EAF process | |
JP6659796B1 (ja) | 金属溶融方法および金属溶融システム | |
Manohar et al. | Radioactive Waste Management | |
Kim et al. | Development of a method for nuclide leaching from glass fiber in HEPA filter | |
Stroes-Gascoyne et al. | Release of 14C from the gap and grain-boundary regions of used CANDU fuels to aqueous solutions | |
Roudil et al. | Rim instant release radionuclide inventory from French high burnup spent UOX fuel | |
JP2005338019A (ja) | 放射化黒鉛の核種分析前処理方法、核種分離方法及び核種分析前処理装置 | |
JP2024084344A (ja) | 鉄鋼スクラップのクリアランス処理方法および鉄鋼スクラップの再利用方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190813 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200728 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200818 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200831 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6766767 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |