JP2013257209A - 核分裂生成ガスの測定値を用いた未臨界濃度監視の方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】核分裂の自発核分裂によるものと中性子による連鎖反応による核分裂とで、核分裂生成ガスの核種組成が異なることに着目し、生成ガスをフィルターで収集し放射線検出器で放出されるガンマ線を測定し核種組成比を求め、その結果得られる自発と連鎖の核分裂の比率を用いて未臨界度を推定し臨界を監視する。
【選択図】図2
Description
反応に伴い発生する中性子とそれを吸収して起こる核分裂により発生するものとがある。後者の中性子は核燃料に吸収されてまた核分裂を起こすという連鎖反応を起こし中性子を増倍させるので、臨界に発展する可能性がある。前者の反応で発生する中性子と後者の反応の結果発生する中性子の数の比率が中性子増倍率で、それが1.0未満であれば未臨界、1.0で臨界、それ以上では超臨界ということになる。核燃料の取り扱いは通常未臨界の状態で行われなければならない。
反応により発生する中性子は、自発核分裂により発生する中性子より小さい場合が多いので、後で補正するとして、自発核分裂で発生した中性子が核燃料に吸収されて連鎖反応を起こすとして中性子増倍率を計算する。前者と後者の核分裂により発生するガス(FPガス)の構成核種は異なる。このガスの構成核種のガンマ線強度を測定することによりこの核種組成を同定し、核分裂の自発核分裂によるものと連鎖反応によるものの割合を求め、中性子増倍率を推定し、未臨界度を監視する方法を考案した。未臨界度が分かれば、臨界からどの程度離れているかが分かる。
{課題を解決するための手段}
核分裂生成ガスは1000核種以上の核種からなっており、この中で今回重要なのは希ガスです。希ガスは化学的に不活性であるので、周囲の物質と化学反応を起こさないので、隙間を通り抜けて出てくる。キュリウム244(Cm-244)の自発核分裂(SF)の場合とウラン235(U-235)の熱中性子による核分裂(NF)の場合の核分裂生成物の生成割合(核分裂収率)を核データライブラリーJENDL-4から引用して図1に示す。ここで、着目するのは、キセノン133(Xe-133)とクリプトン88(Kr-88)の生成割合の比で、前者(SFの場合)が16.64に対し後者(NFの場合)は2.36と大きく異なる。
Cm-244の自発核分裂による中性子強度を
、U-235の連鎖反応による中性子強度を
とすると、場の中性子強度S(Keff)は下記で表現できる。
S(Keff)=
(1)
Xe-133とKr-88の生成量を
とすると、
(2)
ここで、
はI核種が核分裂したときJ核種を生成する収率です。
は中性子増倍率です。
式(1)と式(2)の関係を用いると、
(3)
ここで、
である。 (4)
核分裂生成核種の比(例えばXe-133とKr-88の比)は分裂核種固有の値であり、
は分裂核種の割合により決まります。
Xe及びKrの生成量の比率R0を測定値から求めることにより中性子増倍率Keffが求まる。臨界に近づけば、式(1)から
となるので、式(2)から
となり式(3)の右辺はゼロに近づくので、Keffは1に近づくことが分かる。
放出されるガスを適当な場所で捕集し、そこから放出されるガンマ線を測定し同位体の量を求める。ガスの捕集はチャコールフィルターで、ガンマ線の測定はゲルマニウムカウンターでしばしば行われている。測定される同位体の量の絶対値はガス採取場所や周囲状況の変化により異なるが、
など希ガスの場合、それらの比率
は、減衰補正は必要ですが、減衰係数は核種固有の定数であるので、何処で、何時測ってもほとんど変わりません。従って、測定値での比率Rから発生値の比率R0を推定することは容易です。ヨウ素等希ガスでない分裂生成ガスを用いる場合には化学反応による減少を補正する必要があります。
Kr-88とXe-133の生成率をみると、特にKr-88の生成率のCm-244とU-235核分裂による違いが大きい。測定は格納容器から引き出したガスをチャコールフィルターで捕集しゲルマニウム検出器でガンマ線を計測する。その結果から捕集されたガスのKr-88とXe-133の比率が分かり、減衰補正をしてそれら核種の生成の比率を推定する。Kr-88とXe-133は希ガスであり、放出源から検出器までの移行の途中で周囲物質と化学反応を起こさないので減衰補正が比較的容易である。この減衰補正されたKr-88とXe-133からR0が求まる。即ち、Kr-88の割合が少なければCm-244による自発核分裂の割合がU-235による核分裂の割合より相対的に大きいことがわかる。この結果はkeff/(1-keff)になっており式(3)から中性子増倍率(keff)が求まる。例として、Xe-133と Kr-88の放射性濃度の実測値が7×10-6Bq/
と0.8×10-6Bq/
であったとする。即ち、核種濃度の比率
(Xe/Kr)は415。ガス発生源から測定位置までのガスの移行時間が核種に関係なしに20時間を要したとして減衰補正したとすると発生源における放射性核種濃度の比率
(Xe/Kr)は3.5となり、
(Xe/Kr)とkeffの関係式(3)を用いるとkeff=0.64となる。
重核種 1F1炉心全体(kg) 50%
損壊時(kg)
U-234 0.09
U-235 1062.80
U-236 243.65
U-238 64790.00
Pu-238 6.58
Pu-239 267.80
Pu-240 74.15
Pu-241 65.37
Pu-242 23.68
Np-237 22.19
Am-241 2.31
表1 溶融燃料の核種組成(g/1tonHM)
表2:溶解
表2:溶解槽中の核種組成(g/1tonHM)
2.使用済燃料再処理施設では核燃料を非密封で取り扱うことが多く、各工程の臨界監視には本方法は利用可能と考える。
3.使用済燃料長期保管施設または処分施設では、燃料の破損を想定する必要があり、この場合の臨界監視には本方法は利用可能と考える。
4.高レベル廃棄物貯蔵施設には多くの核分裂性物質が含まれる場合もあり、この場合の臨界監視にも本方法は利用可能と考える。
核分裂生成ガスは1000核種以上の核種からなっており、この中で今回重要なのは希ガスです。希ガスは化学的に不活性であるので、周囲の物質と化学反応を起こさないので、隙間を通り抜けて出てくる。キュリウム244(Cm-244)の自発核分裂(SF)の場合とウラン235(U-235)の熱中性子による核分裂(NF)の場合の核分裂生成物の生成割合(核分裂収率)を核データライブラリーJENDL-4から引用して図1に示す。ここで、着目するのは、キセノン133(Xe-133)とクリプトン88(Kr-88)の生成割合の比で、前者(SFの場合)が16.64に対し後者(NFの場合)は2.36と大きく異なる。
Cm-244の自発核分裂による中性子強度をS0(Cm)、U-235の連鎖反応による中性子強度をS1(U)とすると、場の中性子強度S(Keff)は下記で表現できる。
S(Keff)=S0(Cm)+ (Keff× S0(Cm))/(1-
Keff) = S0(Cm) + S1(U) (1)
Xe-133とKr-88の生成量をq0とすると、
q0(Xe) = Ycm(Xe)S0 + YU(Xe)S1
q0(Kr) = Ycm(Kr)S0 + YU(Kr)S1
(2)
ここで、Y1(j)はI核種が核分裂したときJ核種を生成する収率です。Keffは中性子増倍率です。
式(1)と式(2)の関係を用いると、
(1-Keff)/Keff=(YU(Xe)-R0(Xe/Kr)xYU(Kr))/(Ycm(Kr)xR0(Xe/Kr)-Ycm(Xe)) (3)ここで、R0(Xe/Kr)
≡ q0(Xe)/ q0(Kr)
である。 (4)
核分裂生成核種の比(例えばXe-133とKr-88の比)は分裂核種固有の値であり、R0は分裂核種の割合により決まります。
Xe及びKrの生成量の比率R0を測定値から求めることにより中性子増倍率Keffが求まる。臨界に近づけば、式(1)からS0(Cm) << S1(U)となるので、式(2)からR0 ≒ YU(Xe)/
YU(Kr)となり式(3)の右辺はゼロに近づくので、Keffは1に近づくことが分かる。
放出されるガスを適当な場所で捕集し、そこから放出されるガンマ線を測定し同位体の量を求める。ガスの捕集はチャコールフィルターで、ガンマ線の測定はゲルマニウムカウンターでしばしば行われている。測定される同位体の量の絶対値はガス採取場所や周囲状況の変化により異なるが、XeやKrなど希ガスの場合、それらの比率Rは、減衰補正は必要ですが、減衰係数は核種固有の定数であるので、何処で、何時測ってもほとんど変わりません。従って、測定値での比率Rから発生値の比率R0を推定することは容易です。ヨウ素等希ガスでない分裂生成ガスを用いる場合には化学反応による減少を補正する必要があります。
Kr-88とXe-133の生成率をみると、特にKr-88の生成率のCm-244とU-235核分裂による違いが大きい。測定は格納容器から引き出したガスをチャコールフィルターで捕集しゲルマニウム検出器でガンマ線を計測する。その結果から捕集されたガスのKr-88とXe-133の比率が分かり、減衰補正をしてそれら核種の生成の比率を推定する。Kr-88とXe-133は希ガスであり、放出源から検出器までの移行の途中で周囲物質と化学反応を起こさないので減衰補正が比較的容易である。この減衰補正されたKr-88とXe-133からR0が求まる。即ち、Kr-88の割合が少なければCm-244による自発核分裂の割合がU-235による核分裂の割合より相対的に大きいことがわかる。この結果はkeff/(1-keff)になっており式(3)から中性子増倍率(keff)が求まる。例として、Xe-133と Kr-88の放射性濃度の実測値が7×10-6Bq/cm3と0.8×10-6Bq/cm3であったとする。即ち、核種濃度の比率R(Xe/Kr)は415。ガス発生源から測定位置までのガスの移行時間が核種に関係なしに20時間を要したとして減衰補正したとすると発生源における放射性核種濃度の比率R0(Xe/Kr)は3.5となり、R0(Xe/Kr)とkeffの関係式(3)を用いるとkeff=0.64となる。
Claims (4)
- 核分裂生成ガスはクリプトンやキセノンの同位体など多数の核種からなっているが、それらの核分裂による生成率はキュリウム等の自発核分裂によるものとウラン等の連鎖反応によるもので異なるので、核分裂生成ガスを捕集し、その放出ガンマ線を測定することにより生成ガスの核種を同定し、核分裂の自発核分裂によるものと中性子による連鎖反応によるものとの比率を求めることにより未臨界度を推定することを特徴とする未臨界度監視の方法、
- 生成ガスの同位体の相関をとることにより未臨界度を推定するので、核分裂数の絶対値は必要としないという特徴を利用した未臨界度監視の方法、
- 核分裂生成ガスのうち、希ガスは生成場所から測定場所まで移動する間に周囲物質と化学反応をしないので、測定場所のガスの核種組成からガスの生成場所の核種組成が希ガスの移動時間と核種毎の減衰係数から求まるという特性を利用した未臨界度監視の方法、
- 核分裂生成ガスのうち、希ガスは生成場所から測定場所まで移動する間に周囲物質と化学反応しないので、途中の僅かな隙間を抜けて、測定位置までたどり着くので、核燃料が中性子遮蔽材等に包まれていて中性子を測定するのに困難な体系やバックグランドが大きくガンマ線測定が困難な体系でも、生成ガスを引き出すことによりガンマ線が測定できるという特性を利用した未臨界度監視の方法。
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CN104036834A (zh) * | 2014-06-20 | 2014-09-10 | 中国科学院合肥物质科学研究院 | 一种次临界系统次临界度的测量方法 |
JP2016008844A (ja) * | 2014-06-23 | 2016-01-18 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 原子力プラントの排ガス監視システム |
JP2017058236A (ja) * | 2015-09-16 | 2017-03-23 | 株式会社ナイス | 未臨界度を監視する方法 |
-
2012
- 2012-06-12 JP JP2012133052A patent/JP2013257209A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104036834A (zh) * | 2014-06-20 | 2014-09-10 | 中国科学院合肥物质科学研究院 | 一种次临界系统次临界度的测量方法 |
JP2016008844A (ja) * | 2014-06-23 | 2016-01-18 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 原子力プラントの排ガス監視システム |
JP2017058236A (ja) * | 2015-09-16 | 2017-03-23 | 株式会社ナイス | 未臨界度を監視する方法 |
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