JP6764780B2 - エンジンシステム用制御装置、及びエンジンシステム - Google Patents
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Description
加速時にエンジンの高い応答性を得るためには、例えば、エンジンシステムを構成する過給機のタービンのノズルを絞ることが有効である。一方、全負荷運転時には過給機の回転数および空気供給圧力を抑制し、過給機やシリンダにかかる負荷を抑制する必要がある。
特許文献1では、バルブを開閉させることで、加速時におけるエンジンの応答性が高く、かつ定常運転時に高い負荷に耐え得ることが可能であることが開示されている。
これにより、2段の過給機(具体的には、低圧用圧縮機及び低圧用タービンよりなる過給機、及び高圧用圧縮機及び高圧用タービンよりなる過給機)を有するエンジンシステムの燃費を向上できる。
また、作動曲線のうち、エンジンシステムの作動効率が最も高くなるときの圧縮機間圧力比を所定圧力比として排気流量調節部を制御することで、2段の過給機を有するエンジンシステムの燃費を向上できる。
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るエンジンシステム10について説明する。
エンジンシステム10は、低圧用の過給機11、及び高圧用の過給機12(2段の過給機)を備える。エンジンシステム10は、供給ライン13と、低圧用圧縮機14と、第1の冷却部16と、第1の圧力検出部17と、温度検出部18と、高圧用圧縮機22と、第2の冷却部23と、第2の圧力検出部25と、エンジン27と、排気ライン29と、低圧用タービン31と、第1の回転軸33と、高圧用タービン34と、第2の回転軸36と、排気流量調節部38と、エンジンシステム用制御装置39と、を有する。
第1供給ライン13Aは、一端が空気を吸い込むことが可能な状態とされており、他端が低圧用圧縮機14の吸込口と接続されている。
なお、第1の実施形態では、一例として、吸気が空気である場合を例に挙げて説明する。
第1の冷却部16は、第2供給ライン13Bを流れる圧縮された空気を冷却する。圧縮及び冷却された空気は、高圧用圧縮機22の吸込口に供給される。
第2の冷却部23は、第3供給ライン13Cを流れる圧縮された空気を冷却する。圧縮及び冷却された空気は、エンジン27の吸込口に供給される。
第1排気ライン29Aは、一端がエンジンと接続されており、他端が高圧用タービン34の吸込口と接続されている。
高圧用タービン34は、排気ライン29に設けられている。高圧用タービン34は、エンジン27と低圧用タービン31との間に配置されている。高圧用タービン34は、排気により第2の回転軸36を回転させることで、高圧用圧縮機22を回転駆動させる。本実施形態では、高圧用タービン34の入口側の圧力を圧力P5、高圧用タービン34の出口側の圧力を圧力P6とする。
なお、開度信号には、弁本体44の開度を最大にする信号や弁本体44を閉じる信号も含まれる。
弁43としては、例えば、電磁弁を用いることが可能である。
パラメータ受付部47は、低圧用圧縮機14の圧力比(=(低圧用圧縮機14の出口側の圧力P2)/(低圧用圧縮機14の入口側の圧力P1))、及び高圧用圧縮機の圧力比(=(高圧用圧縮機22の出口側の圧力P4)/(高圧用圧縮機22の入口側の圧力P3))の取得に必要なパラメータを受け付ける。
作動曲線記憶部51には、圧縮機間圧力比(=(高圧用圧縮機22の圧力比)/(低圧用圧縮機14の圧力比))とエンジンシステム10の作動効率との関係を示す複数の作動曲線(図3参照)が記憶されている。
図3では、圧縮機管圧力比を横軸とし、エンジンシステム10の過給システム効率ηtc(過給システムのシステム効率)を縦軸としている。
エンジンシステム10の過給システム効率ηtcは、下記(1)式に基づいて得ることができる。
また、上記(1)式において、Rは空気のためのガス定数(=287J/kg・K)、Kaは低圧用圧縮機14の入口側の空気の温度t(=298K)、Teは高圧用タービン34の入口側の空気の温度(K)をそれぞれ示している。
また、高圧用圧縮機22の出口側の圧力P4、高圧用圧縮機22の入口側の圧力P3としたとき、上記(1)式に示す圧力比πcはP2/Paとなり、圧力比πtはP4/P3となる。なお、Paは、先に説明した大気圧Paである。
複数の作動曲線は、上に凸の曲線とされている。作動曲線Aの場合、エンジンシステム10の過給システム効率が最も高くなるときの圧縮機間圧力比は、図3に示すBとなる。Bは、エンジンシステム10の作動効率が最適となる所定圧力比(以下、「所定圧力比B」という)である。
制御部54は、アクチュエータ45に開度の変位量に関する信号を送信することで、弁本体44の開度を制御する。
エンジンシステム用制御装置39は、入力インターフェース56と、メモリ57と、CPU59と、出力インターフェース61と、を有する。
入力インターフェース56は、図2に示すパラメータ受付部47に対応する部分である。メモリ57には、図2に示す作動曲線記憶部51を含んだ部分であり、エンジンシステム10を駆動させるためのプログラム等が格納されている。
CPU59は、図2に示す圧力比取得部49及び圧縮機間圧力比取得部52と、制御部54の一部(弁本体44の開度の変位量を取得する部分)と、に対応する部分である。
出力インターフェース61は、制御部54の残部(取得した弁本体44の開度の変位量を排気流量調節部のアクチュエータ45に送信する部分)に対応している。
図5に示す処理が開始されると、S1では、温度検出部18、第1の圧力検出部17、及び第2の圧力検出部25により、温度t、圧力P1、及び圧力P4を取得する。なお、図5のフローチャートの場合、低圧用圧縮機14の入口側の圧力P1は、大気圧Pa(1気圧)とする。取得された温度t、圧力P1(=大気圧Pa)、及び圧力P4に関する情報は、パラメータ受付部47に送信される。
次いで、S4では、制御部54が、温度tに対応する作動曲線(作動曲線記憶部51に記憶された作動曲線)に基づいて、エンジンシステム10の作動効率が最適となる所定圧力比を取得する。
その後、S6では、S5で取得した弁本体44の開度の変位量に基づいて、制御部54により、排気流量調節部の弁本体の開度の制御を行う。これにより、図5に示す処理は、終了する。
なお、図5に示す処理は、所定時間経過後に繰り返し行ってもよいし、連続的に行ってもよい。
これにより、2段の過給機(具体的には、過給機11,12)を有するエンジンシステム10の燃費を向上させることができる。
或いは、温度検出部18を用いて低圧用圧縮機14の入口側の温度を検出し、低圧用圧縮機14の入口側の温度に対応する作動曲線を用いてもよい。
つまり、温度検出部18は、供給ライン13の所定位置の温度(1箇所の温度)を測定すればよい。
エンジンシステム65は、バイパスライン41の分岐位置と接続位置を異ならせたこと以外は、第1の実施形態のエンジンシステム10と同様に構成されている。
バイパスライン41は、第2排気ライン29Bから分岐されており、第3排気ライン29Cと接続されている。バイパスライン41は、低圧用タービン31をバイパスさせるためのラインである。
エンジンシステム70は、バイパスライン41の接続位置を異ならせたこと以外は、第1の実施形態のエンジンシステム10と同様に構成されている。
バイパスライン41は、第3排気ライン29Cと接続されている。バイパスライン41は、低圧用タービン31及び高圧用タービン34をバイパスさせるためのラインである。
図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係るエンジンシステム80について説明する。図8では、先に説明した第1の実施形態のエンジンシステム10と同一構成部分には同一符号を付す。
ハウジング83は、排気が導入される導入口83Aと、排気を導出する導出口(図示せず)と、を有する。複数の動翼84は、第2の回転軸36の周囲に設けられている。
複数の可変式ノズル86は、複数の動翼84から離間した状態で、複数の動翼84の周囲を囲むように配置されている。複数の可変式ノズル86は、エンジンシステム用制御装置39と電気的に接続されている。複数の可変式ノズル86は、エンジンシステム用制御装置39により開度が調節可能な構成とされている。
また、第2の実施形態のエンジンシステム80は、第1実施形態のエンジンシステム10と同様な効果を得ることができる。
或いは、低圧用タービン及び高圧用タービンの両方のタービンが複数の可変式ノズル86を有するタービンであってもよい。これらの場合も第2の実施形態のエンジンシステム80と同様な効果を得ることができる。
図11及び図12を参照して、本発明の第3の実施形態のエンジンシステム90について説明する。図11では、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。図12では、図11に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
Q=f(P4/P1,N) ・・・(2)
P1=Pa・ΔP ・・・(3)
なお、上記(2)式において、Qは空気の流量を示している。また、上記(3)式において、Paは大気圧(1気圧)、ΔPは圧損をそれぞれ示している。
そして、圧力比取得部49は、推定した低圧用圧縮機14の入口側の圧力P1、及び高圧用圧縮機22の入口側の圧力P3に基づいて、低圧用圧縮機14の圧力比を取得する。
次いで、S2では、圧力Pa、圧力P4、及び圧力P1を用いて、圧力比取得部49により、低圧用圧縮機14の圧力比、及び高圧用圧縮機22の圧力比を取得する。
その後、第1の実施形態の図5で説明したS3〜S6の処理を順次行うことで、図13に示す処理は完了する。
これにより、圧縮機間圧力比の精度を高めることが可能となるので、2段の過給機11,12を有するエンジンシステム90の燃費をさらに向上させることができる。
よって、複数の流量計を設ける替りに、1つの回転数検出部91を設けることで、簡便な構成で、圧力P1を推定することができる。
優先モード信号には、燃費優先モード信号と、エンジン27の応答速度を優先させる応答速度優先モード信号と、エンジン保護優先モード信号と、がある。制御部54には、上記3つの優先モード信号のうちの1つの優先モード信号が入力される。
S9において、制御部54に燃費優先モード信号が入力されると、処理はS10へと進む。制御部54に応答速度優先モード信号が入力されると、処理はS11へと進む。制御部54にエンジン保護優先モード信号が入力されると、処理はS12へと進む。
S11では、エンジン27の応答優先モードの運転が開始され、その後、処理はS13へと進む。S13では、エンジンシステム用制御装置39の制御部54により、弁本体44が全閉状態となるように制御される。
S12では、エンジン保護応答優先モードの運転が開始され、その後、処理はS14へと進む。S14では、エンジンシステム用制御装置39の制御部54により、弁本体44が全開状態となるように制御される。
なお、図15に示す運転は、第1及び第2の実施形態で説明したエンジンシステム10,65,70,80にも適用可能であり、第3の実施形態と同様な効果を得ることができる。
まず、エンジン27の入口側の空気の温度に応じた飽和蒸気圧力及び相対湿度に基づいて、エンジン27の入口側の空気に含まれる水分量(以下、「水分量G1」という)を算出する。
次いで、第1の冷却部16の出口側の温度に応じた飽和蒸気圧力に基づいて、第1の冷却部16の出口側の空気に含まれる水分量(以下、「水分量G2」という)を算出する。
第1の冷却部16の出口側における凝縮水の発生量は、水分量G1から水分量G2を引くこと(引き算すること)で求められる。
その後、第2の冷却部23の出口側の温度に応じた飽和蒸気圧力から第2の冷却部23の出口側の空気に含まれる水分量(以下、「水分量G4」という)を算出する。第2の冷却部23の出口側における凝縮水の発生量は、水分量G1から水分量G2を引くこと(引き算すること)で求められる。
具体的には、下記手法を用いて、上記所定圧力比を取得する。
まず、第1の冷却部16における熱交換量の低下量は、第1の冷却部16の出口側における凝縮水の発生量(=G1−G2)に蒸発潜熱を乗じる(掛け算する)ことで算出する。
第2の冷却部23における熱交換量の低下量は、第2の冷却部23の出口側における凝縮水の発生量(=G3−G4)に蒸発潜熱を乗じる(掛け算する)ことで算出する。
次いで、上記低圧用圧縮機14の圧縮比、及び高圧用圧縮機22の圧力比を用いて、第1及び第2の冷却部16,23の熱交換量の低下量が考慮された圧縮機間圧力比を取得する。
次いで、作動曲線に基づいて、エンジンシステム10の作動効率が最適となる所定圧力比を取得する。
その後、S6では、S5で取得した弁本体44の開度の変位量に基づいて、制御部54が弁本体44の開度を制御する。
特に、湿度が高い運転環境下では、第1及び第2の冷却部16,23において凝縮水が発生しやすいため、上記第2変形例に係るエンジンシステム用制御装置39の処理を行うことが好適である。
Claims (10)
- エンジンと、吸気を圧縮する低圧用圧縮機と、前記低圧用圧縮機で圧縮された吸気をさらに圧縮して前記エンジンに供給する高圧用圧縮機と、前記エンジンからの排気で駆動され、かつ前記高圧用圧縮機を回転駆動させる高圧用タービンと、前記高圧用タービンからの排気で駆動され、かつ前記低圧用圧縮機を回転駆動させる低圧用タービンと、前記高圧用タービン及び前記低圧用タービンのうち、少なくとも一方を通過する排気の流量を調節する排気流量調節部と、を備えたエンジンシステムを制御するエンジンシステム用制御装置であって、
前記低圧用圧縮機の圧力比、及び前記高圧用圧縮機の圧力比の取得に必要なパラメータを受け付けるパラメータ受付部と、
前記パラメータに基づいて、前記低圧用圧縮機の圧力比、及び前記高圧用圧縮機の圧力比を取得する圧力比取得部と、
前記高圧用圧縮機の圧力比、及び前記低圧用圧縮機の圧力比に基づいて得られる圧縮機間圧力比を取得する圧縮機間圧力比取得部と、
前記圧縮機間圧力比が前記エンジンシステムの作動効率が最適となる所定圧力比となるように、前記排気流量調節部を制御する制御部と、
を備え、
前記圧縮機間圧力比と前記エンジンシステムの作動効率との関係を示す作動曲線が記憶された作動曲線記憶部を有しており、
前記制御部は、前記作動曲線のうち、前記エンジンシステムの作動効率が最も高くなるときの圧縮機間圧力比を前記所定圧力比として前記排気流量調節部を制御するエンジンシステム用制御装置。 - 前記作動曲線記憶部は、前記エンジンと接続され、かつ前記低圧用圧縮機及び前記高圧用圧縮機が設けられた供給ラインの所定位置の温度に対応した複数の前記作動曲線を記憶しており、
前記制御部は、複数の前記作動曲線のうち、前記所定位置の温度に対応した作動曲線を用いる請求項1記載のエンジンシステム用制御装置。 - 前記パラメータ受付部は、前記高圧用圧縮機の入口側の圧力、及び前記高圧用圧縮機の出口側の圧力を受け付け、
前記圧力比取得部は、前記低圧用圧縮機の入口側の圧力として大気圧を用いる請求項1または2記載のエンジンシステム用制御装置。 - 前記パラメータ受付部は、前記高圧用圧縮機の入口側の圧力、前記高圧用圧縮機の出口側の圧力、及び前記低圧用圧縮機の回転数を受け付け、
前記圧力比取得部は、前記高圧用圧縮機の入口側の圧力、前記高圧用圧縮機の出口側の圧力、及び前記低圧用圧縮機の回転数に基づいて、前記低圧用圧縮機の入口側の圧力を推定し、推定した前記低圧用圧縮機の入口側の圧力、及び前記高圧用圧縮機の入口側の圧力に基づいて、前記低圧用圧縮機の圧力比を取得する請求項1または2記載のエンジンシステム用制御装置。 - 前記制御部は、前記エンジンシステムの燃費を向上させたい場合には、前記所定圧力比となるように前記排気流量調節部を制御し、前記エンジンの応答速度を高めたい場合には前記排気流量調節部を全閉する制御を行い、前記高圧用圧縮機から吐出される圧縮された吸気から前記エンジンを保護したい場合には前記排気流量調節部を全開する制御を行う請求項1または2記載のエンジンシステム用制御装置。
- 請求項1ないし請求項5のうち、いずれか1項記載のエンジンシステム用制御装置と、
前記エンジンと、
前記エンジンと接続された前記高圧用圧縮機及び前記高圧用タービンを含む高圧用の過給機と、
前記高圧用の過給機と接続された前記低圧用圧縮機及び前記低圧用タービンを含む低圧用の過給機と、
前記低圧用圧縮機と前記低圧用タービンとを接続する第1の回転軸と、
前記高圧用圧縮機と前記高圧用タービンとを接続する第2の回転軸と、
前記エンジンシステム用制御装置と電気的に接続された前記排気流量調節部と、
前記エンジンと接続され、前記低圧用圧縮機及び前記高圧用圧縮機が設けられた供給ラインと、
前記エンジンと接続され、前記低圧用タービン及び前記高圧用タービンが設けられた排気ラインと、
前記高圧用圧縮機の入口側の圧力を検出し、検出した圧力の情報を前記エンジンシステム用制御装置に送信する第1の圧力検出部と、
前記高圧用圧縮機の出口側の圧力を検出し、検出した圧力の情報を前記エンジンシステム用制御装置に送信する第2の圧力検出部と、
を備えたエンジンシステム。 - 前記供給ラインの所定位置を流れる前記吸気の温度を検出し、検出した温度の情報を前記エンジンシステム用制御装置に送信する温度検出部を有する請求項6記載のエンジンシステム。
- 前記第1の回転軸の回転数を検出し、検出した前記回転数の情報を前記エンジンシステム用制御装置に送信する回転数検出部を有する請求項6または7記載のエンジンシステム。
- 前記排気流量調節部は、両端が前記排気ラインと接続され、前記低圧用タービン及び前記高圧用タービンのうち、少なくとも一方をバイパスさせるバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられ、前記制御部と電気的に接続された弁と、
を有する請求項6ないし8のうち、いずれか1項記載のエンジンシステム。 - 前記低圧用タービン及び前記高圧用タービンは、それぞれタービン本体を備えており、
前記排気流量調節部は、前記低圧用タービン及び前記高圧用タービンのうち、少なくとも一方の前記タービン本体の内側に設けられた可変式ノズルである請求項6ないし8のうち、いずれか1項記載のエンジンシステム。
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