JP6763545B2 - 標的化両親媒性ナノキャリア及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、標的化両親媒性ナノキャリア及びその製造方法に関する。
癌をはじめとした難治性疾患治療において薬物療法の急速な発展に伴い、微量で非常に優れた治療効果を示す医薬品が数多く開発されてきた。こうした医薬品は、治療効果が得られる反面、重篤な有害事象を発現するものが多いためその利用は制限されているのが現状である。そのことから、治療薬としての適用には治療効果を減弱することなく有害事象の発現を低下させる工夫が必要であり、こうした問題に対し、従来からリポソームをはじめとした薬物キャリアに治療薬を封入することでより安全性を確保した治療薬の開発が行われてきた。しかしながら、利用されている薬物キャリア自体は、疾患部位に対する標的特異性は乏しく、標的特異性の向上を目的に抗体や特定分子に結合特異性をもつタンパク質、ペプチドを修飾することで標的指向性を付与し、薬物動態を制御しようと試みられている。
こうした薬物キャリアへのタンパク質、ペプチド修飾は、[1]標的化ポリペプチドを発現する遺伝子の構築、[2]これら目的の遺伝子を発現する遺伝子組み換え生物からのリガンドを精製する過程、[3]精製物を疎水性物質などと化学的に結合させる過程、[4]疎水化された標的化ポリペプチドをリポソームなどと混合する過程を経る、といった多段階に渡る調製過程が必要であり、各操作が煩雑であることから標的指向型薬物キャリアの収率も低いといった問題を抱えている。
特許文献1〜5は、標的化ポリペプチドと疎水性化合物とをリンカーを介して薬物キャリアに修飾する調製法に関するものであり、また、特許文献6はアビジン修飾した標的化ポリペプチドとビオチン修飾した脂質をアビジン・ビオチンの特異的な結合親和性を利用することで標的指向型薬物キャリアを調製するものである。また、特許文献7〜10は、標的指向型薬物キャリアであるイムノリポソームの造影剤、治療薬としての利用方法を開示する。
WO2009/020094 WO2009/020093 WO2009/008489 特開2011-115167 特表2008-536944 特表2009-512696 特表2013-534814 特表2010-507361 特表2001-527534 特表2000-510836
本発明は、標的に結合することができる両親媒性ナノキャリアを容易に得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、標的に結合することができる両親媒性ナノキャリアを提供することを目的とする。
本発明者は、標的化ポリペプチドに膜結合性ドメインを融合した融合タンパク質を設計し、無細胞タンパク質発現システムを用いることで、標的化ポリペプチドの発現と同時に脂質のシャペロン様活性による自発的な脂質膜への組込みを利用することで、一段階で簡便に標的指向型薬物キャリアの調製法を提供する。
脂質膜存在下、無細胞タンパク質合成システムを用いることで膜タンパク質の発現と同時に、脂質のシャペロン様活性によって膜タンパク質が脂質膜に組込まれることを利用する。標的化ポリペプチドと膜結合ドメインを融合した融合タンパク質発現カセットを設計・構築し、無細胞タンパク質合成システムを利用することで、一段階の操作で脂質キャリアに標的化ポリペプチドを組込むことができる。
本発明は、以下の両親媒性ナノキャリア及びその製造方法に関する。
項1. 標的化ポリペプチドと膜結合性ドメインの融合タンパク質を結合した標的化両親媒性ナノキャリア。
項2. 標的化ポリペプチドがペプチドホルモン、受容体のリガンド、抗体又はその抗原結合性フラグメントである、項1に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
項3. 標的化ポリペプチドが、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体断片(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)又はCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗原結合性フラグメントである、項1に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
項4. 標的化ポリペプチドが一本鎖抗体断片(scFv)である、項3に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
項5. 両親媒性ナノキャリアがリポソームである、項1〜4のいずれか1項に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
項6. 融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−scFv−膜結合性ドメイン(2つの膜結合性ドメインは、同一であっても異なっていてもよい)の構造を有する、項1〜5のいずれか1項に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
項7. 両親媒性ナノキャリアの存在下で、標的化ポリペプチドと膜結合性ドメインの融合タンパク質を無細胞タンパク質合成系で合成させることを特徴とする、前記融合タンパク質が結合された標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
項8. 標的化ポリペプチドがペプチドホルモン、受容体のリガンド、抗体又はその抗原結合性フラグメントである、項7に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法
項9. 標的化ポリペプチドが、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体断片(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)又はCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗原結合性フラグメントである、項7に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
項10. 標的化ポリペプチドが一本鎖抗体断片(scFv)である、項9に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
項11. 両親媒性ナノキャリアがリポソームである、項7〜10のいずれか1項に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
調製操作が一段階であることから、調製に要する時間も大幅に短縮され、標的指向型薬物キャリアの収率も高い。加えて、疎水性、親水性標的化ポリペプチドを問わず融合タンパク質の設計は同様に行えることから、その応用の幅は広く、複数種の標的指向性の付与も容易である。また、遺伝子情報さえ既知であれば、短時間で標的指向型薬物キャリアの調製が可能であることからテーラーメイド医薬品としても発展可能である。
(A)融合タンパク質(antiEGFR scTab)発現ベクター(pDNA)、(B)antiEGFR scTab組込みリポソームの調製法、および精製法の概念図 (A) リポソーム存在下、無細胞タンパク質合成系における融合タンパク質 合成後の各フラクションのウェスタンブロット分析、Wは精製前(whole)である。(B)リポソーム非存在下、無細胞タンパク質合成系における融合タンパク質合成後の各フラクションのウェスタンブロット分析 (C) 無細胞タンパク質合成系における脂質量とscTabのリポソームへの組込み相関 (A)antiEGFR scTab提示リポソームのEGFRに対する結合親和性(B)antiEGFR scTab提示リポソームのhEGFR、mEGFR、HSAに対する結合親和性 antiEGFR scTab提示リポソームとEGFR発現細胞とのインキュベーション後のフローサイトメトリー分析 antiEGFR scTab提示リポソームとHeLa細胞とのインキュベーション後の共焦点レーザー顕微鏡像 HeLa細胞, MCF7細胞, Jurkat E6細胞のEGFR発現レベルを示す図。 膜結合ドメインを変化させたantiEGFR scTab発現用ベクター(pDNA) 種々のscTabを無細胞タンパク質合成系で発現させた後の各フラクションのウェスタンブロット分析 種々のscTab提示リポソームのEGFRに対する結合親和性 種々のscTab提示リポソームとHeLa細胞とのインキュベーション後のフローサイトメトリー分析 scTab提示リポソームをマウス尾静脈内投与した後の血漿中プロファイル scTab提示リポソームを固形腫瘍モデルマウスの腫瘍内投与した後の腫瘍からの消失
本明細書において、標的化両親媒性ナノキャリアは標的化ポリペプチドと膜結合性ドメインとの融合タンパク質および両親媒性ナノキャリアで構成される。
標的化ポリペプチドの標的としては、細胞が挙げられ、特にがん細胞などの疾患に関連する細胞が挙げられる。
標的化ポリペプチドとしては、ペプチドホルモン、受容体のリガンド、抗体又はその抗原結合性フラグメントが挙げられ、抗体又はその抗原結合性フラグメントが好ましく例示される。抗体としては、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEなどのいずれでもよく、ヒト、サル、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなどの哺乳動物由来の抗体、ヒト化抗体などが挙げられ、ヒト抗体、ヒト化抗体が好ましく例示される。また、フタコブラクダ抗体、ヒトコブラクダ抗体、ラマ抗体などの1種類のタンパク質で構成される抗体も好ましい。抗体が軽鎖と重鎖を有する場合、軽鎖又は重鎖、好ましくは重鎖に膜結合性ドメインを結合させればよい。
抗体の抗原結合性フラグメントとしては、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体断片(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)、CDRを含むペプチドなどが挙げられ、scFvが好ましい。
膜結合性ドメインとしては、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD28、CD29、CD30、CD40、CD44、CD45、CDw52、CD56、CD58、CD69、CD72、TNFαR、RGFβR、TSHR、VEGFR/VPFR、FGFR、EGFR、PTHrPR、PDGFR、EPO-R、GCSF-Rなどの膜タンパク質に存在する膜貫通ドメイン、コネキシンが挙げられ、CD28、PDGFRの膜貫通ドメインが好ましい。
本発明の標的化ポリペプチドと膜結合性ドメインとの融合タンパク質は、リーダー配列を有していてもよい。
両親媒性ナノキャリアとしては、リポソーム、エキソソーム、バイセル、ナノディスク、高分子ミセル 高分子リポソーム、ナノゲルなどが挙げられ、リポソームが好ましい。
本発明の製造方法では、両親媒性ナノキャリアを先に製造し、融合タンパク質の無細胞タンパク質合成系(インビトロでのタンパク質合成系)に加えてもよく、両親媒性ナノキャリアの合成系と融合タンパク質の無細胞タンパク質合成系を共存させて、両方の合成系を同時に進行させてもよい。
ここで、無細胞タンパク質合成系とは、転写反応と翻訳反応とを一つのチューブ内で共役させ、タンパク質を合成する系を意味する。例えば、エッペンドルフチューブなどで、細胞抽出液、タンパク質合成に必要な基質類(ヌクレオチドやアミノ酸)、緩衝液や塩類、融合タンパク質をコードするDNA(融合タンパク質遺伝子)及びRNAポリメラーゼを混合し、適切な温度に加温すると、転写・翻訳反応がおこり、融合タンパク質が合成される。細胞抽出液としては、大腸菌抽出液、大腸菌再構築型無細胞タンパク質合成系(PURE system)ウサギ網状赤血球、コムギ胚芽の細胞抽出液、昆虫細胞抽出液を使用することができる。また、両親媒性ナノキャリアの合成系として、例えばリボソーム合成系は、リポソームを構成する脂質をジエチルエーテル、イソプロピルエーテル又はクロロホルムなどの有機溶媒に溶解した後、有機溶媒を減圧下で蒸発除去して薄膜とした後に、リポソーム内部に封入する有効成分を含む水溶液を加えて、相転移温度よりやや高め温度で混合することでリポソームを合成する系が挙げられる。
融合タンパク質がインビトロで合成された時点でリポソームなどの両親媒性ナノキャリアが存在すると、両親媒性ナノキャリアの脂質膜に融合タンパク質の膜結合性ドメインが組込まれ、抗体又はその抗原結合性フラグメントなどの標的化ポリペプチドが両親媒性ナノキャリアの外側に向けて提示されることになる。標的化ポリペプチドは、膜結合性ドメインがリポソームに組込まれたときに外側を向くような位置(膜結合性ドメインの N 末端側もしくはC末端側)で膜結合性ドメインに融合される。
本発明で使用する両親媒性ナノキャリアは公知であるので、公知の方法に従い製造されるか、市販品を使用することができる。
本発明で使用する両親媒性ナノキャリアの内部に、核酸、タンパク質、薬物などの生理活性物質などの有効成分を含有させることができる。
以下に、両親媒性ナノキャリアとしてリポソームを例にとり説明するが、リポソーム以外の両親媒性ナノキャリアも同様に使用できる。
リポソームは、多重層リポソーム、一枚膜リポソームのいずれであってもよい。リポソームの大きさは40nm〜100μm程度、好ましくは50nm〜50μm程度、特に60nm〜10μm程度である。リポソームは、通常のナノメートルサイズのリポソームとジャイアントリポソームのいずれを使用してもよい。ジャイアントリポソームのサイズは通常1〜100マイクロメーター程度である。通常のナノメートルサイズのリポソームの大きさは、40nm〜300nm程度、好ましくは50nm〜200nm程度、特に60nm〜150nm程度である。リポソームのサイズ(粒子径)は、エクストルーダーを用いて、孔径の小さいフィルターを通過させることによって調節可能である。
リポソームは超音波処理法、逆相蒸発法、凍結融解法、脂質溶解法、噴霧乾燥法などの従来公知の任意の方法により製造することができる。
リポソームの構成成分としては、リン脂質、コレステロール類などが挙げられる。
リン脂質としては、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)などのホスファチジルエタノールアミン類;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)などのホスファチジルコリン類;ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)などのホスファチジルセリン類;ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などのホスファチジン酸類、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)などのホスファチジルイノシトール類などが挙げられ、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン等の天然リン脂質、あるいはこれらを常法によって水素添加したものを使用することができる。
リン脂質として、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を有するリン脂質、例えばDSPE PEG, mPEG(メトキシPEG)-DSPE(PEGの分子量、750, 1000, 2000, 5000,10000,20000, 30000, 40000)を使用することができる。
コレステロール類としては、コレステロール(Chol)、3β−[N−(ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−(トリメチルアンモニオエチル)カルバモイルコレステロール(TC−Chol)、或いはCholesterol PEG, mPEG(メトキシPEG)- Cholesterol(PEGの分子量、1000, 2000, 5000,10000,20000, 30000, 40000)などのポリエチレングリコール(PEG)鎖を有するコレステロールが挙げられる。
リポソームの構成成分は、これらの脂質を単独であるいは組み合わせて使用することができる。
リポソームには、少なくとも1種のカチオン性脂質を包含させることができる。
カチオン性脂質としては、DC-6-14(O,O’-ditetradecanoyl-N-(α-trimethylammonioacetyl)diethanolamine chloride)、DODAC(dioctadecyldimethylammonium chloride)、DOTMA(N-(2,3-dioleyloxy)propyl-N,N,N-trimethylammonium)、DDAB(didodecylammonium bromide)、DOTAP(1,2-dioleoyloxy-3-trimethylammonio propane)、DC-Chol(3β-N-(N',N',-dimethyl-aminoethane)-carbamol cholesterol)、DMRIE(1,2-dimyristoyloxypropyl-3-dimethylhydroxyethyl ammonium)、DOSPA(2,3-dioleyloxy-N-[2(sperminecarboxamido)ethyl]-N,N-dimethyl-1-propanaminum trifluoroacetate)等が挙げられる。
リポソームの構成成分として、DSPE-PG10G、DSPE-PEG350やPEG-コレステロールのようにPEGなどで修飾されたリン脂質やコレステロール誘導体を使用することもできる。PEGで修飾されたリン脂質やコレステロール誘導体は、PEG鎖がリポソーム表面を覆うことで免疫系により攻撃されなくなり長期血中滞留性となる、いわゆるステルスーリポソームを構築することができる。
両親媒性ナノキャリアの内部に封入される薬物は任意の薬物が使用され特に限定されないが、例えば、抗腫瘍剤、抗高血圧剤、抗低血圧剤、抗精神病剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗躁剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、抗癲癇剤、オピオイドアゴニスト、喘息治療剤、麻酔剤、抗不整脈剤、関節炎治療剤、鎮痙剤、ACEインヒビター、鬱血除去剤、抗生物質、抗狭心症剤、利尿剤、抗パーキンソン病剤、気管支拡張剤、抗利尿剤、利尿剤、抗高脂血症剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、制吐剤、抗感染症剤、抗新生物剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗糖尿病剤、抗アレルギー剤、解熱剤、抗痛風剤、抗ヒスタミン剤、止痒剤、骨調節剤、心血管剤、コレステロール低下剤、抗マラリア剤、鎮咳剤、去痰剤、粘液溶解剤、鼻詰り用薬剤、ドパミン作動剤、消化管用薬剤、筋弛緩剤、神経筋遮断剤、副交感神経作動剤、プロスタグランジン、興奮薬、食欲抑制剤、甲状腺剤又は抗甲状腺剤、ホルモン、抗偏頭痛剤、抗肥満剤、抗炎症剤などとして作用し得るものが挙げられる。好ましい薬物は抗腫瘍剤である。抗腫瘍剤としては、ホルモン療法剤(例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェンなど)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタンなど)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミドなど)、5α−レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリドなど)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロンなど)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾールなど)などが挙げられ、なかでもLH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど))、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシン)、代謝拮抗剤(例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールなど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン)、抗癌性抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン)、植物由来抗癌剤(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、ビノレルビン、カンプトテシン、塩酸イリノテカン)、免疫療法剤(BRM)(例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール)、細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤(例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標);抗HER2抗体)、ZD1839(イレッサ)、グリーベック(GLEEVEC)などの抗体医薬)が挙げられる。抗腫瘍剤の対象となる癌の種類としては、結腸・直腸癌、肝臓癌、腎臓癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、胆道癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍等が挙げられ、好ましくは結腸・直腸癌、胃癌、頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、胆道癌、肝臓癌が挙げられる。
これらの薬剤、核酸、タンパク質などの生理活性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
核酸としては、特に制限はなく、DNA、RNA、DNAとRNAのキメラ核酸、DNA/RNAのハイブリッド等いかなるものであってもよい。また、核酸は1〜3本鎖のいずれも用いることができるが、好ましくは1本鎖又は2本鎖である。核酸は、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のオリゴマー(例えば、市販のペプチド核酸(PNA)等)または特殊な結合を含有するその他のオリゴマー(但し、該オリゴマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などであってもよい。さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチドなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレート化合物(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。好ましい核酸としては、siRNAなどのRNAが挙げられる。
siRNAとは、標的遺伝子のmRNAもしくは初期転写産物のヌクレオチド配列又はその部分配列(好ましくはコード領域内)(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)に相同なヌクレオチド配列とその相補鎖からなる二本鎖オリゴRNAである。siRNAに含まれる、標的ヌクレオチド配列と相同な部分の長さは、通常、約18塩基以上、例えば約20塩基前後(代表的には約21〜23塩基長)の長さであるが、RNA干渉を引き起こすことが出来る限り、特に限定されない。また、siRNAの全長も、通常、約18塩基以上、例えば約20塩基前後(代表的には約21〜23塩基長)の長さであるが、RNA干渉を引き起こすことが出来る限り、特に限定されない。
標的ヌクレオチド配列と、siRNAに含まれるそれに相同な配列との関係については、100%一致していてもよいし、塩基の変異があってもよい(少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%以上の同一性の範囲内であり得る)。
siRNAは、5’又は3’末端に5塩基以下、好ましくは2塩基からなる、塩基対を形成しない、付加的な塩基を有していてもよい。該付加的塩基は、DNAでもRNAでもよいが、DNAを用いるとsiRNAの安定性を向上させることができる。このような付加的塩基の配列としては、例えばug-3’、uu-3’、tg-3’、tt-3’、ggg-3’、guuu-3’、gttt-3’、ttttt-3’、uuuuu-3’等の配列が挙げられるが、これに限定されるものではない。
siRNAは任意の標的遺伝子に対するものであってよいが、本発明の核酸導入剤を疾患の予防・治療剤として用いる場合には、エキソソーム中に封入されるsiRNAは、その発現亢進が対象疾患の発症および/または増悪に関与する遺伝子を標的とするものであることが好ましく、より具体的には、その遺伝子に対するアンチセンス核酸が、臨床もしくは前臨床段階に進んでいる遺伝子や新たに知られた遺伝子を標的とするもの等が挙げられる。
siRNAは、1種のみで使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
タンパク質としては、酵素、受容体、抗体、抗原、インターフェロン、インターロイキンなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明が実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
(1)融合タンパク質発現のためのベクターの調製
抗EGFR一本鎖抗体遺伝子は、抗体遺伝子ライブラリーからファージディスプレイ法を用いて抽出した。無細胞タンパク質合成システムを用いてリポソームへ直接抗体を組み込むために、標的化ポリペプチドと3種類の膜結合ドメインからなる4種類の融合タンパク質をデザインし、それらを発現するベクター(pDNA)を構築した(図1A)。融合タンパク質のデザインにあたり、標的化ポリペプチドとしては抗EGFR抗体のアミノ酸配列を選択し、N末端の膜結合性ドメインとしてはキメラ抗原受容体に用いられているCD28 TMDと生体膜に存在することが知られている血小板由来成長因子受容体(PDGFR)の膜貫通ドメイン(PDGFR TMD)を選択した。また分泌シグナルであるヒト免疫グロブリンGリーダー配列(LS)も膜結合性ドメインの1つとして選択し、併せてLSを挿入したベクターを構築した。各融合タンパク質の構成と番号を表1に示す。
Figure 0006763545
(2)融合タンパク質のリポソームへの組込みによる標的化両親媒性ナノキャリアの製造
各antiEGFR scTab発現プラスミド、リポソーム、再構成型無細胞発現系(PURESYSTEM)を混合し、37℃、4時間インキュベートした(図1B)。無細胞タンパク質合成系は、T7 プロモータ依存的なmRNAの転写に必要なT7RNAポリメラーゼ、アミノ酸、tRNA、リボソームの混合液(キット製品でマスターミックスになっているもの)にT7 プロモータを有するscTab発現プラスミドを200ngとリポソームを添加することで最終的な反応溶液量が25μLになるように調製した溶液である。scTabリポソームの精製・単離は、無細胞タンパク質合成後の反応溶液と密度媒体iodixanol(製品名OptiPrepTM)の濃度が42% w/vになるように混合した溶液1mLの上に25% w/v iodixanol 3mLを積層した。続いて100mM HEPES緩衝溶液0.5mLを積層し、197,000×g、4℃、2時間超遠心分離を行った。超遠心分離後の溶液を液面よりフラクション1−6として分画回収することで、scTabリポソームを単離した。
(3)融合タンパク質のリポソームへの組込み評価
各antiEGFR scTabのリポソームへの組込み評価は、DOPCリポソーム存在下、PURESYSTEMを用いて各antiEGFR scTabの発現を行い、超遠心法で分離することで各分画を得て、western blot法にて行った。(図2A)。その結果、アミノ末端にLSを含むLS-antiEGFR scTab-PDGFR、あるいはLS-antiEGFR scTab-CD28は上清分画に各融合タンパク質由来のバンドが認められたことから、DOPCリポソームに組込まれることが明らかになった。一方、アミノ末端に LS を含まないantiEGFR scTab-PDGFR、あるいはantiEGFR scTab-CD28は上清分画に各融合タンパク質由来のバンドが認められるものの、LSを有するscTabと比べその存在量は少なかったことからもDOPCリポソームに組込まれにくいことが明らかになった。また、リポソーム存在下での製造において、上清分画に認められたLS-antiEGFR scTab-PDGFR、あるいはLS-antiEGFR scTab-CD28がDOPCリポソームのシャペロン活性による凝集抑制によるものかを検証する為に、リポソーム非存在下で無細胞タンパク質合成を行った(図2B)。その結果、リポソーム非存在下では沈殿分画にのみ各融合タンパク質が認められたことから、上清分画に存在する各融合タンパク質はリポソームに組込まれることで可溶化され、上清分画に移行したと考えられる。
以上のことから、タンパク質翻訳開始直後に疎水性のLSが発現することで、翻訳初期から膜結合性ドメインのアミノ末端とリポソームの脂質が相互作用することができ、融合タンパク質はリポソーム近傍に捕捉されたまま翻訳が進行するため、組込み効率が向上したと考えられる。細胞内において、シグナルドメインを持つタンパク質の合成は粗面小胞体で行われる。粗面小胞体には、膜に近接するようにリボソームが存在し、リボソームで合成されるタンパク質は、翻訳と同時に種々の因子と協奏的に疎水性シグナルドメインが貫通する形で小胞体に受け渡される。このことからも、今回アミノ末端に膜結合性ドメインを付加した結果は、細胞と異なり小胞体膜へ輸送する因子は存在しないが、細胞内でタンパク質が小胞体膜へ輸送される現象を一部反映する形でリボソーム膜に提示されたと考えられる。また、アミノ末端にLSを有さないantiEGFR scTab-PDGFR、antiEGFR sc Tab-CD28はLSを有するLS-antiEGFR scTab-PDGFR、LS-antiEGFR scTab-CD28それぞれと比べ融合タンパク質合成量が少ないことも明らかとなった。
続いて融合タンパク質のリポソームへの組込みが脂質量依存的に変動するかを検証する為に、添加するDOPCリポソームの量を変え、LS-antiEGFR scTab-CD28発現プラスミドを用いて無細胞タンパク質合成を行った後、上述の通り組込み評価を行った(図2C)。その結果、脂質濃度依存的な組込み効率の増大が認められ、終濃度10mM以上の脂質濃度で発現融合タンパク質の殆どがリポソームに組込まれることが明らかとなった。
(4)標的化両親媒性ナノキャリアのEGFR結合特異性
リポソームへ組込まれた融合タンパク質(LS-antiEGFR scTab-PDGFR、LS-antiEGFR scTab-CD28)が標的タンパク質(EGFR)特異的に結合活性を有するかを検証するために、LS-antiEGFR scTab-PDGFRおよびLS-antiEGFR scTab-CD28提示DOPCリポソームをそれぞれプレートに固定化し、ELISA法にて確認した(図3A)。その結果、LS-antiEGFR scTab-CD28提示DOPCリポソームはLS-antiEGFR scTab-PDGFR提示DOPCリポソームより多くのEGFRと結合できることが明らかとなった。抗体と抗原との結合親和性の強度は用いている一本鎖抗体可変領域(scFv)のアミノ酸配列、強いては、その立体構造により規定される。膜結合性ドメインとしてPDGFRを用いた場合、疎水性が高いためリポソームへの組込みは安定されるが、EGFRとの結合親和性が低下するような抗原認識部位の立体構造が変化したと考えられる。そのことからも、単に疎水性の高い膜結合性ドメインを用いてリポソームへの組込みを安定させるだけではなく、scFvの結合親和性の低下を避けることが可能な活性と挿入のバランスに優れた疎水性ドメインを用いることが融合タンパク質提示DOPCリポソームの調製にあたり望まれた。
そこで、以降の検討ではEGFR結合活性がより強いLS-antiEGFR scTab-CD28提示DOPCリポソームを用いた。LS-antiEGFR scTab-CD28提示DOPCリポソームの結合特異性を調べるため、ヒトEGFR(hEGFR)、マウスEGFR(mEGFR)、ヒト血清アルブミン(HSA)を用いてELISAを行った(図3B)。その結果、LS-antiEGFR scTab-CD28提示リポソームはhEGFRに対して強い結合親和性を示した。抗原ではないHSAとは結合親和性が認められず、また、LS-antiEGFR scTab-CD28提示DOPCリポソームの代わりに単なるDOPCを固定化した場合ではEGFRの非特異的な吸着が認められなかった。加えて、マウスEGFRを添加した場合ヒトEGFR添加と同様LS-antiEGFR scTab-CD28提示DOPCリポソームとの結合が認められたことからLS-antiEGFR scTab-CD28はヒトとマウスのEGFRに交差性を持つことが明らかとなった。
続いて、リポソーム1粒子あたりどのくらいのLS-antiEGFR scTab-CD28が組込まれているか、約160nm粒子径を持つDOPCリポソームを用いてLS-antiEGFR scTab-CD28を組込み、タンパク質定量、リン脂質定量を行ったところ、リポソーム1粒子あたり約 30分子のLS-antiEGFR scTab-CD28が組込まれていることが明らかとなった。scFv作製は、遺伝子工学的に行われているため、分子量が小さく、また改変が容易であるという利点がある。しかしながら、scFv抗体1分子が持つ抗原との結合能は抗原結合部位が1つしかないために、抗原との親和性は低く、その利用には多価化するなどの改変について考案されてきた。本発明の方法で調製したLS-antiEGFR scTab提示リポソームは、多くのscTabがリポソームに組込まれていることから、多価化に成功しており、前述のような課題を克服した。
(5)標的化両親媒性ナノキャリアのEGFR発現細胞に対する結合親和性
ローダミンBで蛍光標識したリポソーム(DOPC/DMPE-RhoB)にLS-antiEGFR scTabを提示したリポソーム(DOPC/DMPE-RhoB/LS-antiEGFR scTab)を用いて、EGFR発現細胞とDOPC/DMPE-RhoB/ LS-antiEGFR scTab-CD28リポソームとの結合親和性に関して、図6に示すEGFR発現量が異なる細胞株を用いてフローサイトメトリー(図4)と共焦点レーザー顕微鏡観察(図5)を行った。フローサイトメトリーの結果より、各細胞のEGFR発現量に依存的なDOPC/DMPE-RhoB/LS-antiEGFR scTabリポソームの結合が認められた。このことから、 LS-antiEGFR scTab提示リポソームは細胞膜に存在するEGFRを認識して細胞と結合することが明らかとなった。
また、DOPC/DMPE-RhoB/抗EGFR scFv-myc-CD28をHeLa細胞に添加した後、共焦点レーザー顕微鏡観察を行った結果、フローサイトメトリーと同様の傾向が認められた。特に、DOPC/DMPE-RhoB/LS-antiEGFR scTabリポソームを添加した細胞では、細胞膜上にローダミンB由来の強い蛍光シグナルが認められることから、LS-antiEGFR scTab提示リポソームはEGFRに強い親和性を示した。
実施例2
(1)融合タンパク質発現のためのベクターの調製
リポソーム膜への組込み効率と結合親和性のバランスが調和した融合タンパク質の創出を目的に、LS-antiEGFRscTab-CD28(#2)を設計鋳型とし、標識化ポリペプチドにantiEGFR scFvを選択し、標的化ポリペプチドのN末端ドメインにはCD28 TMDとLSを選択した。また、標的化ポリペプチドのC末端ドメインにCD28 TMDとする融合タンパク質をデザインし、それらを発現するベクターを構築した。併せて、膜結合性ドメインを有さない融合タンパク質発現ベクターも構築した (図7)。各融合タンパク質の構成と番号を表2に示し、以降では融合タンパク質を番号で記載する。
Figure 0006763545
(2)融合タンパク質のリポソームへの組込みによる標的化両親媒性ナノキャリアの製造および組込み評価
上記ベクターを用いて、実施例1(2)の製造法と同様な無細胞蛋白質合成システムを用いて、各融合タンパク質がリポソームに組込まれた標的指向型キャリアを製造し、リポソームへの組込みを評価した(図8)。その結果、膜結合ドメインを有さない#4 scFv, #11 scFvではDOPCリポソームの添加に依らず、発現した融合タンパク質は上清分画には存在せず、全て沈殿分画に存在した。この結果より、実施例1(2)で明らかとなった#1 scTab、 #2 scTab、 #PD1 scTab、 #PD2 scTabのDOPCリポソームへの組込みは、標的化ポリペプチドは関係なく、膜結合性ドメインの有無のみで決定することが明らかとなった。また、LSしか膜結合性ドメインを有さない#3 scTabにおいては非常に僅かであるが、DOPCリポソームの添加によってDOPCリポソームへの組込みが認められた。以上の結果は、実施例1(2)で明らかとなったLSを有する#2 scTab、#PD2 scTabの方が、LSを有さない#1 scTab、#PD1 scTabより組込み効率が良いという結果を裏付けるものであり、LSにより翻訳途中のscTabが緩やかにリポソーム膜と相互作用し、続く翻訳によりTMDが合成されscTabがリポソーム膜に強固に組込まれると考えられる。一方で、CD28 TMDを有する他のscTab(#5 scTab, #6 scTab, #9 scTab, #10 scTab)は、CD28 TMDの融合部位に依らず良好な組込み効率を示した。また、#8 scTabの発現量は非常に少なく、リポソームへの組込みを評価する量の#8 scTabを得ることが出来なかった。
良好な組込み効率を示した#PD2、#2、#5、#6、#7、#9、#10 scTabについてscTab提示DOPCリポソームの物性を評価したところ(表3)、いずれのscTabを組込んだDOPCリポソームも提示前のDOPCリポソームと比べ粒子径の変化は認められなかった。また、DOPCリポソーム1粒子あたり組込まれたscTab量は約20 − 50分子であることが明らかとなった。
Figure 0006763545
(3)標的化両親媒性ナノキャリアのEGFR結合親和性およびEGFR発現細胞に対する結合親和性
実施例1(3)と同様にscTab提示DOPCリポソームをマイクロプレートに固定化し、抗原であるEGFRとの結合親和性を評価した(図9)。検討にあたり、各ウェルあたりタンパク質量で33nM scTabを50μL添加し、固定化した。その結果、いずれのscTab 提示DOPCリポソームを固相化した場合でもEGFRとの結合親和性が認められ、特にN末端とC末端に膜結合性ドメインを有する融合タンパク質(#2、#6、#PD2、#7scTab)提示リポソームは強い結合親和性を示した。しかしながら、scTab分子内に膜結合性ドメインが1つしかない#5 scTab、#9 scTab 提示リポソームにおいては、EGFRとの結合親和性は低いものであった。scFvは熱力学的に不安定であり、タンパク質の構造変化によりそのままでは抗原との結合親和性が容易に減弱することが知られている。以上より、scTabが結合親和性を示すには、scFvの自由度を制限することで熱力学的な安定性をもたらすことが重要であり、それを可能とすると考えられるscFvの両末端に膜結合性ドメインを有することが望まれる。
続いて、リポソーム膜ヘの良好な組込みと、EGFRとの結合親和性をともに示した#PD2 scTab、#2 scTab、#6 scTab、および、#10 scTab発現プラスミドを用いて実施例1(4)と同様に、ローダミンBで蛍光標識したリポソーム(DOPC/DMPE-RhoB)にscTabを提示したリポソーム(DOPC/DMPE-RhoB/ antiEGFR scTab)を製造し、EGFR陽性細胞であるHeLa細胞との結合親和性をフローサイトメトリーによって評価した(図10)。その結果、HeLa細胞との結合親和性は上述のELISAの結果と同様の傾向を示し、#PD2 scTab提示リポソーム、#2 scTab提示リポソーム、#6 scTab提示リポソームが優れた結合親和性を示した。
(4)標的化両親媒性ナノキャリアの体内動態
上記#2 scTabベクターを用いて、実施例1(4)の製造法と同様な無細胞蛋白質合成システムを用いて、#2 scTabがDOPC/DMPE-RhoBリポソームに組込まれた標的化両親媒性ナノキャリアを製造し、正常マウスへ尾静脈内投与を行い血中からの消失を評価した(図11)。その結果、静脈内投与後のリポソームの血漿中プロファイルはDOPC/DMPE-RhoBリポソーム、#2 scTab組込みDOPC/DMPE-RhoBリポソームにおいて大きな差は認められなかった。
続いて、HeLa細胞を背部皮下に移植することで作製した固形腫瘍モデルマウスへ#2 scTab組込みDOPC/DMPE-RhoBリポソームを腫瘍内投与し、腫瘍組織からの両親媒性ナノキャリアの消失を評価した結果(図12)、腫瘍内投与初期ではDOPC/DMPE-RhoBリポソーム投与マウスと比べ、#2 scTab提示DOPC/DMPE-RhoBリポソームを投与したマウスにおいて腫瘍からの両親媒性ナノキャリアの消失は速やかであった。しかしながら、6時間後においてDOPC/DMPE-RhoBリポソーム投与マウスの腫瘍ではリポソームの存在が認められなかったのに対し、#2 scTab提示DOPC/DMPE-RhoBリポソーム投与マウスの腫瘍ではscTab提示リポソームの存在が認められた。このことから、腫瘍組織で発現が亢進しているEGFRに対する結合親和性を有するantiEGFR scTabをリポソームへ組込むことで、antiEGFR scTabリポソームは腫瘍組織内のEGFRと結合し、より効率的に腫瘍組織に滞留したと考えられる。
患者個人個人に適したテーラーメイド医療が提供可能である。また、薬物キャリアに蛍光物質や放射性同位体を用いることで、造影剤や細胞膜タンパク質の発現を診断可能である。特定分子の除去が可能となる透析膜や濾過膜を作製することが可能である。

Claims (10)

  1. 標的化ポリペプチドと膜結合性ドメインの融合タンパク質を結合した標的化両親媒性ナノキャリアであって、前記融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−標的化ポリペプチド−膜結合性ドメイン(2つの膜結合性ドメインは、同一であっても異なっていてもよい)の構造を有する、標的化両親媒性ナノキャリア
  2. 前記融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−scFv−膜結合性ドメイン(2つの膜結合性ドメインは、同一であっても異なっていてもよい)の構造を有する、請求項1に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
  3. 前記融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−標的化ポリペプチド−膜結合性ドメイン(1つの膜結合性ドメインは、リーダー配列である)の構造を有する、請求項1に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
  4. 標的化ポリペプチドがペプチドホルモン、受容体のリガンド、抗体又はその抗原結合性フラグメントである、請求項1に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
  5. 両親媒性ナノキャリアがリポソームである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の標的化両親媒性ナノキャリア。
  6. 両親媒性ナノキャリアの存在下で、標的化ポリペプチドと膜結合性ドメインの融合タンパク質を無細胞タンパク質合成系で合成させる工程を含み、前記融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−標的化ポリペプチド−膜結合性ドメイン(2つの膜結合性ドメインは、同一であっても異なっていてもよい)の構造を有することを特徴とする、前記融合タンパク質が結合された標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
  7. 前記融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−scFv−膜結合性ドメイン(2つの膜結合性ドメインは、同一であっても異なっていてもよい)の構造を有する、請求項6に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
  8. 前記融合タンパク質が、膜結合性ドメイン−標的化ポリペプチド−膜結合性ドメイン(1つの膜結合性ドメインは、リーダー配列である)の構造を有する、請求項6に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
  9. 標的化ポリペプチドがペプチドホルモン、受容体のリガンド、抗体又はその抗原結合性フラグメントである、請求項6に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
  10. 両親媒性ナノキャリアがリポソームである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の標的化両親媒性ナノキャリアの製造方法。
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