JP6763138B2 - 温度時間積算型インジケータ用組成物、温度時間積算型インジケータ、及び温度時間積算量の測定方法 - Google Patents

温度時間積算型インジケータ用組成物、温度時間積算型インジケータ、及び温度時間積算量の測定方法 Download PDF

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本発明は、温度時間積算型インジケータ用組成物、温度時間積算型インジケータ、及び温度時間積算量の測定方法に関する。
近年、食品の品質管理の必要性が増してきている。特に、生ものや弁当等の所謂、足が早いものに対する鮮度管理や品質管理は、重要視されている。これらの管理を行うことによって、消費者に対する安全性の確保だけでなく、廃棄物の抑制といった産業的価値も認識されつつある。
品質管理は、工場(製造時)だけなく、物流、小売、消費者のそれぞれで行うことが望まれているため、物品毎に品質管理できるツールが必要となる。また、品質管理は、様々な商品に対して行うことが望まれているため、オンデマンドに多品種少ロットの商品に対して品質管理できるツールが必要となる。
品質管理の中で最も重要視されるパラメータとして、温度がある。従来の温度管理のツールとしては、温度と時間を最も精度よく管理できることから、データロガーが使用されている。しかしながら、データロガーは比較的大きく、高価であることから、物品毎に温度管理を行うことはできない。
物品毎に温度管理を行うツールとしては、ロイコ染料を用いた温度管理インジケータがある(例えば特許文献1)。しかしながら、この温度管理インジケータは、例えば温度が閾値を超えたかどうかの温度の管理はできるが、時間の概念がないため、温度と時間の積算量を管理することはできなかった。そのため、食品等の鮮度管理には不適切であった。
温度と時間の積算量を管理できるツール、所謂、TTI(Time Temperature Indicator;温度時間積算型インジケータ)としては、スピロピラン等のフォトクロミック色素を含む検出材料が知られている(例えば特許文献2)。スピロピランは、温度帯によって色が変わる材料であり、それを含む検出材料の色の変化によって温度と時間の積算量を管理することができる。このようなTTIを用いることで、食品等の鮮度管理を個別に行うことができる。
特許第5110900号公報 特開2011−59120号公報
しかしながら、特許文献2で示されるような従来のTTIを構成する色素層の多くは、フォトクロミック色素のみで構成されている。そのようなTTIでは、熱による変色速度(光照射により異性化した分子が、熱により元の分子に戻るときの速度)は、フォトクロミック色素の種類のみに依存する。フォトクロミック色素の変色速度は、アレニウスの式に基づいて決定される。従って、従来のTTIで測定可能な温度−時間の積算量の範囲は、フォトクロミック色素の種類のみに依存し、狭い範囲に限られていた。従って、従来のTTIは、多品種少ロットの商品の品質管理には適さないという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、熱による変色速度を自在に調整することができ、多品種少ロットの商品の品質管理に適した温度時間積算型インジケータを提供することを目的とする。
[1] 熱により可視光の吸収スペクトルが変化するフォトクロミック色素と、硫黄系酸化防止剤と、バインダ樹脂とを含む、温度時間積算型インジケータ用組成物。
[2] 前記硫黄系酸化防止剤は、下記一般式(1)又は(2)で表される、[1]に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
Figure 0006763138
(一般式(1)の
は、独立してアルキレン基又はアリーレン基を表し、
及びRは、それぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、
mは、1又は2を表し、mが2であるとき、複数のR同士又は複数のR同士は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい)
Figure 0006763138
(一般式(2)中、
は、独立してアルキレン基又はアリーレン基を表し、
は、独立してアルキル基又はアリール基を表し、
は、独立してn価のアルキル基又はn価のアリール基を表し、
nは、1〜4の整数を表し、nが2以上であるとき、複数のR同士及び複数のR同士は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい)
[3] 前記バインダ樹脂の波長200〜360nmの光の平均透過率が30%以上である、[1]又は[2]に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
[4] 前記フォトクロミック色素は、スピロピラン類である、[1]〜[3]のいずれかに記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
[5] 前記フォトクロミック色素、前記バインダ樹脂及び前記硫黄系酸化防止剤の合計100質量部に対して、前記フォトクロミック色素を2〜20質量部、前記硫黄系酸化防止剤を1〜4質量部、及び前記バインダ樹脂を76〜97質量部を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
[6] 前記硫黄系酸化防止剤の含有量は、前記フォトクロミック色素に対して10〜50質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の温度時間積算型インジケータ用組成物を含む、温度時間積算型インジケータ。
[8] [7]に記載の温度時間積算型インジケータが付与された被測定物を得る工程と、 前記被測定物に付与された前記温度時間積算型インジケータに、波長200〜380nmの光を照射する工程と、前記光が照射された前記被測定物を保存する工程と、前記保存する工程の前後における前記温度時間積算型インジケータの色の変化から、前記保存する工程において被測定物が受けた温度と時間の積算量を測定する工程とを含む、温度時間積算量の測定方法。
本発明によれば、熱による変色速度を自在に調整することができ、多品種少ロットの商品の品質管理に適した温度時間積算型インジケータを提供することができる。
本発明の温度時間積算型インジケータの一例を示す図である。
1.温度時間積算型インジケータ用組成物
本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物は、フォトクロミック色素と、硫黄系酸化防止剤と、バインダ樹脂とを含む。
1-1.フォトクロミック色素
フォトクロミック色素は、光によって色が変化する色素であり、異なる吸収スペクトルをもつ2つの化学種AとBの間を可逆的に変化し、そのうち少なくとも一方向の変化は光によって引き起こされる現象(フォトクロミズム)を示す色素をいう。具体的には、特定の吸収波長を有する分子(化学種A)は、光照射により基底状態から励起状態へと変化する。励起された分子の一部は、分子内反応によって一部構造が変化し、吸収波長が異なる分子(化学種B)へと異性化する。異性化した分子は、光又は熱によって元の分子へと戻る。このような現象を示す色素をフォトクロミック色素という。
フォトクロミック色素には、P型とT型の2つがある。P型のフォトクロミック色素は、光照射によって、異性化した分子から元の分子に戻るものであり;T型のフォトクロミック色素は、熱によって、異性化した分子から元の分子に戻るものをいう。温度と時間の積算量を測定するインジケータを得る観点では、本発明に用いるフォトクロミック色素は、T型のフォトクロミック色素が好ましい。
即ち、T型のフォトクロミック色素は、熱により可視光域(波長380〜760nm)の吸収スペクトルが変化するフォトクロミック色素である。T型のフォトクロミック色素は、光照射により吸収波長が異なる分子(化学種B)へと異性化し、例えば着色状態となる(下記スキーム参照)。異性化した分子は、熱によって元の分子(化学種A)へと戻り、例えば無色状態に戻る(下記スキーム参照)。このように、温度時間積算型インジケータに光照射した後の色の変化量によって、異性化した分子が熱により元の分子に戻る割合を定量化することで、温度時間の積算量を測定することができる。
Figure 0006763138
T型のフォトクロミック色素の例には、ジアリールエテン類、フルギド類、アゾベンゼン類、ヘキサアリールビイミダゾール類及びスピロピラン類が含まれる。
ジアリールエテン類は、下記式(a)で表される化合物であり得る。
Figure 0006763138
一般式(a)のR、R、R及びRは、独立してアルキル基を表す。RとR、又はRとRとが、互いに結合してベンゼン環をさらに形成してもよい。一般式(a)のR及びRは、独立してシアノ基を表すか、RとRとが互いに結合して芳香族ヘテロ5員環を形成してもよい。芳香族ヘテロ5員環の例には、フラン−2,5−ジオン、ピロール−2,5−ジオン及びフッ素原子で置換されたシクロペンタ−1−エンが含まれる。
ジアリールエテン類の例には、2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物、2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイミド、シス−1,2−ジシアノ-1,2-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)エテン、1,2-ビス[2-メチルベンゾ[b]チオフェン-3-イル]-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-1-シクロペンテン及び1,2-ビス(2,4-ジメチル-5-フェニル-3-チエニル)-3,3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-1-シクロペンテン等が含まれる。
フルギド類は、下記式(b)で表される化合物であり得る。
Figure 0006763138
一般式(b)のR及びRは、独立してアルキル基を表す。RとRは、互いに結合して脂肪族環をさらに形成してもよい。
フルギド類の例には、(E)-3-(アダマンタン-2-イリデン)-4-[1-(2,5-ジメチル-3-フリル)エチリデン]ジヒドロ-2,5-フランジオン等が含まれる。
アゾベンゼン類は、下記式(c)で表される化合物であり得る。
Figure 0006763138
一般式(c)のAr及びArは、独立して、置換されていてもよいアリール基を表す。アリール基は、好ましくはフェニル基である。アリール基が有する置換基は、アルキル基、ハロゲン原子又はジアリール置換アミノ基であり得る。
アゾベンゼン類の例には、4-[ビス(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)アミノ]アゾベンゼン等が含まれる。
ヘキサアリールビイミダゾール類は、下記式(d)で表される化合物であり得る。
Figure 0006763138
一般式(d)のAr〜Arは、独立して、置換されていてもよいアリール基を表す。アリール基は、好ましくはフェニル基である。アリール基が有する置換基は、アルキル基、ハロゲン原子又はジアリール置換アミノ基であり得る。
ヘキサアリールビイミダゾール類の例には、2,2'-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール等が含まれる。
スピロピラン類は、下記式(e)で表される化合物であり得る。
Figure 0006763138
一般式(e)のR及びRは、独立して、アルキル基を表す。Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。複数のRは、互いに結合してベンゼン環を形成してもよい。
スピロピラン類の例には、1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等が含まれる。
これらの中でも、T型のフォトクロミック色素として機能しやすく、不可逆性を高める観点では、アゾベンゼン類、スピロピラン類及びヘキサアリールビイミダゾール類が好ましく、可視光に対する安定性が高いことから、スピロピラン類がより好ましい。構造が安定的であり、高温域で使用されるTTIに適している観点では、ジアリールエテン類が好ましい。
T型のフォトクロミック色素が、TTIとして高度に機能するためには、光照射により異性化した分子(例えば化学種B)が、光により元の分子(例えば化学種A)に戻る割合ができるだけ少ないこと、即ち不可逆性が高いことが好ましい。そのような観点から、T型のフォトクロミック色素が、異性化した分子(例えば化学種B)から光により元の分子(例えば化学種A)に戻るときの量子収率は、1.0×10−4以下であることが好ましい。フォトクロミック色素の量子収率は、絶対PL量子収率測定装置 C9920-02(浜松フォトニクス)により測定することができる。
Figure 0006763138
フォトクロミック色素の含有量は、フォトクロミック色素、硫黄系酸化防止剤及びバインダ樹脂の合計100質量部に対して1〜30質量部とし得る。フォトクロミック色素の含有量が1質量部以上であると、得られるインジケータに光照射したときの色濃度が十分であるため、温度履歴を経た後の色の変化を把握しやすい。フォトクロミック色素の含有量が30質量部以下であると、熱による結晶化が生じにくい。フォトクロミック色素の含有量は、フォトクロミック色素、硫黄系酸化防止剤及びバインダ樹脂の合計100質量部に対して2〜20質量部であることがより好ましい。
従来のTTIを構成する色素層は、フォトクロミック色素からなるか、フォトクロミック色素とバインダ樹脂とからなるものである。そのため、従来のTTIの熱による変色速度(光照射により異性化した分子が熱により元の分子に戻るときの速度)は、フォトクロミック色素の種類のみに依存していた。従って、測定可能な温度−時間の積算量の範囲は狭い範囲に限られていた。
これに対して本発明者らは、フォトクロミック色素と、硫黄系酸化防止剤と、バインダ樹脂とを組み合せることで、フォトクロミック色素の熱による変色速度を幅広く調整できることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、フォトクロミック色素は光照射により異性化すると、ラジカル状態となって着色する。硫黄系酸化防止剤は、異性化したフォトクロミック色素に水素(プロトン)を供与して安定化させやすく、異性化した分子を元の分子に戻しやすくし得るので、変色速度を速めることができる。一方、バインダ樹脂は、フォトクロミック色素を動きにくくし、元の分子に戻りにくくし得るので、変色速度を遅らせることができる。また、バインダ樹脂は、熱によるフォトクロミック色素の結晶化や硫黄系酸化防止剤の凝集を抑制し得るので、特に高温領域でのフォトクロミック色素と硫黄系酸化防止剤との相分離を抑制し、それによる変色速度の低下を抑制し得る。
つまり、フォトクロミック色素と、硫黄系酸化防止剤と、バインダ樹脂とを組み合わせ、且つそれらの含有比率を自在に調整することで、フォトクロミック色素が熱により異性化した分子から元の分子に戻るときの速度(変色速度)を幅広く調整することができる。従って、従来のようにフォトクロミック色素の変色速度が、フォトクロミック色素の種類のみに依存しないので、多品種少ロットの商品の品質管理に好適な温度時間積算型インジケータを得ることができる。
従って、本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物は、フォトクロミック色素に加えて、硫黄系酸化防止剤と、バインダ樹脂とを含む。
1-2.硫黄系酸化防止剤
硫黄系酸化防止剤は、分子内にチオエーテル基を有する酸化防止剤であり、チオエーテル基含有カルボン酸のアルコールエステルであることが好ましい。
チオエーテル基含有カルボン酸のアルコールエステルにおける「アルコール」は、一価若しくは多価の脂肪族アルコール、又は一価若しくは多価の芳香族アルコールであり、好ましくは一価若しくは多価の脂肪族アルコールである。一価の脂肪族アルコールの例には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコールが含まれる。多価の脂肪族アルコールの例には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等が含まれる。
チオエーテル基含有カルボン酸のアルコールエステルにおける「チオエーテル基含有カルボン酸」は、一価若しくは多価の脂肪族カルボン酸、又は一価若しくは多価の芳香族カルボン酸であり、好ましくは一価若しくは多価の脂肪族カルボン酸である。一価の脂肪族カルボン酸の例には、アルキルチオプロピオン酸、及びアルキルチオブタン酸等が含まれる。多価の脂肪族カルボン酸の例には、ジアルキルチオジプロピオン酸、及びジアルキルチオジブタン酸等が含まれる。
これらの中でも、チオエーテル基含有多価カルボン酸の一価アルコールエステル又はチオエーテル基含有一価カルボン酸の多価アルコールエステルが好ましい。
即ち、硫黄系酸化防止剤は、一般式(1)又は(2)のいずれかで表されることが好ましい。
Figure 0006763138
一般式(1)のRは、独立してアルキレン基又はアリーレン基であり、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
一般式(1)のR及びRは、それぞれ独立してアルキル基又はアリール基であり、好ましくは炭素原子数12〜18のアルキル基である。炭素原子数12〜18のアルキル基の例には、ドデシル基、テトラデカニル基、オクタデカニル基等が含まれる。
一般式(1)のmは、1又は2を表し、好ましくは2である。mが2であるとき、複数のR同士及び複数のR同士は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(1)は、一般式(1A)で表されることがより好ましい。一般式(1A)のR、R及びmは、一般式(1)におけるR、R及びmとそれぞれ同義である。
Figure 0006763138
一般式(1)又は(1A)で表される化合物の例には、ジアルキルチオジプロピオネート(例えばジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート及びジステアリルチオジブチレート等が含まれる。
一般式(2)のR及びRは、一般式(1)のR及びRとそれぞれ同義である。
一般式(2)のRは、独立してn価のアルキル基又はアリール基であり、好ましくは炭素原子数2〜12のn価のアルキル基である。n価のアルキル基は、イソシアヌレート基等の置換基をさらに有してもよい。n価のアルキル基の例には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートから誘導される基が含まれる。
一般式(2)のnは、1〜4の整数を表し、好ましくは3又は4である。nが2以上であるとき、複数のR同士及び複数のR同士は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(2)で表される化合物の例には、ペンタエリスリルテトラキス−3−ラウリルチオプロピオネート等が含まれる。
一般式(1)又は(2)で表される化合物は、市販品であってもよい。市販品の例には、Sumilizer TL、TPS、TPL-R、TPM及びTP-D(いずれも住友化学社製)が含まれる。
硫黄系酸化防止剤の分子量(Fw)は、例えば500〜1200とし得る。硫黄系酸化防止剤の分子量が500以上であると、熱を加えたときに拡散して硫黄系酸化防止剤同士が凝集するのを抑制し、色素の変色速度の制御効果が損なわれにくい。硫黄系酸化防止剤の分子量が1200以下であると、硫黄系酸化防止剤の1分子あたりの仕事量の低下が少なく、色素の変色速度の制御効果が損なわれにくい。硫黄系酸化防止剤の分子量は、分子式に基づいて原子量の総和をとることによって求めることができる。
硫黄系酸化防止剤の含有量は、インジケータに求められる変色速度に応じて設定されるが、フォトクロミック色素、硫黄系酸化防止剤及びバインダ樹脂の合計100質量部に対して1〜10質量部とし得る。硫黄系酸化防止剤の含有量が1質量部以上であると、フォトクロミック色素の変色速度を十分に高め得るので、半減期の制御を十分に行いやすい。硫黄系酸化防止剤の含有量が10質量部以下であると、熱による酸化防止剤同士の凝集が生じにくく、それによる色素の変色速度の低下を抑制し得る。硫黄系酸化防止剤の含有量は、フォトクロミック色素、硫黄系酸化防止剤及びバインダ樹脂の合計100質量部に対して1〜4質量部であることがより好ましい。
硫黄系酸化防止剤の含有量は、広い温度域でTTIとして機能させやすくする観点では、フォトクロミック色素に対して5〜100質量%であることが好ましい。硫黄系酸化防止剤の含有量がフォトクロミック色素に対して5質量%以上であると、フォトクロミック色素の変色速度を十分に高め得るので、半減期の制御を十分に行いやすい。硫黄系酸化防止剤の含有量がフォトクロミック色素に対して100質量%以下であると、フォトクロミック色素の含有量が少な過ぎることによる色濃度の低下を抑制できる。硫黄系酸化防止剤の含有量は、フォトクロミック色素の含有量に対して10〜50質量%であることがより好ましい。
硫黄系酸化防止剤の含有量は、広い温度域でTTIとして機能させやすくする観点では、バインダ樹脂の含有量に対して0.5〜10質量%であることが好ましい。硫黄系酸化防止剤の含有量がバインダ樹脂に対して0.5質量%以上であると、フォトクロミック色素の変色速度を十分に高めやすい。硫黄系酸化防止剤の含有量がバインダ樹脂に対して10質量%以下であると、熱による硫黄系酸化防止剤の凝集やフォトクロミック色素の結晶化を十分に抑制しやすい。硫黄系酸化防止剤の含有量は、バインダ樹脂の含有量に対して1〜5質量%であることがより好ましい。
1-3.バインダ樹脂
バインダ樹脂は、熱によるフォトクロミック色素の結晶化や硫黄系酸化防止剤の凝集を抑制したり、フォトクロミック色素の変色速度を調整したりする機能を有する。
バインダ樹脂は、光や湿度によって劣化しにくい熱可塑性樹脂であることが好ましい。そのような熱可塑性樹脂の例には、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸系(共)重合体(例えばポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体及びエチレン−アクリル酸共重合体等)、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体(例えばポリ(メタ)アクリル酸エステル(ポリメタクリル酸メチル等)、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)、スチレン系(共)重合体(例えばポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、及びスチレン−無水マレイン酸共重合体等)、ビニルナフタレン(共)重合体(例えばビニルナフタレン−アクリル酸共重合体及びビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等)、酢酸ビニル(共)重合体(例えばポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及び酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等)及びそれらの塩、セルロースエステル系樹脂(例えばセルローストリアセテート、セルロースジアセテート及びセルロースアセテートプロピオネート等)、並びに天然水溶性樹脂(ゼラチン、増粘多糖類及びカゼイン等)が含まれる。バインダ樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、光照射時のフォトクロミック色素の異性化を阻害しにくくする観点から、光吸収性が低いバインダ樹脂、具体的には、波長200〜360nmの光の平均透過率が30%以上であるバインダ樹脂が好ましい。そのようなバインダ樹脂の例には、スチレン系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、セルロースエステル系樹脂(例えばセルローストリアセテート)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール等が含まれ、好ましくはポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート及びポリビニルアルコールである。このように、光透過率が高いバインダ樹脂を用いることで、フォトクロミック色素の異性化(着色)が容易に行えるだけでなく、光照射時間を短縮できるので、過剰な光照射によるフォトクロミック色素やバインダ樹脂の分解等も抑制できる。
バインダ樹脂の光の平均透過率は、以下の方法で測定することができる。
1)バインダ樹脂を、それを溶解可能な溶媒(例えばポリスチレンであればトルエン)に溶解させた溶液を、ガラス基板上に塗布した後、乾燥させて、厚み100μmの塗膜を得る。
2)得られた塗膜を剥がし取り、日立ハイテクロノジー社製分光光度計U-3300を用いて波長200〜360nmの領域の平均透過率を測定する。得られた測定値を「波長200〜360nmの光の平均透過率」とする。
バインダ樹脂の重量平均分子量は、バインダ樹脂の種類にもよるが、例えば1000〜250000とし得る。バインダ樹脂の重量平均分子量が1000以上であると、インジケータ用組成物の成形物に良好な機械強度を付与しやすく、250000以下であると、それを含む組成物の粘度が過度に上昇せず、塗布性が損なわれにくい。バインダ樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によりポリスチレン換算にて測定することができる。
バインダ樹脂の含有量は、フォトクロミック色素、硫黄系酸化防止剤及びバインダ樹脂の合計100質量部に対して70〜100質量部とし得る。バインダ樹脂の含有量が70質量部以上であると、熱によるフォトクロミック色素の結晶化や硫黄系酸化防止剤の凝集を十分に抑制できるだけでなく、得られるインジケータに光照射したときのフォトクロミック色素の変色速度を十分に調整しやすい。バインダ樹脂の含有量が100質量部以下であると、光照射による発色が損なわれにくい。バインダ樹脂の含有量は、フォトクロミック色素、硫黄系酸化防止剤及びバインダ樹脂の合計100質量部に対して76〜97質量部であることがより好ましい。
1-4.その他の成分
本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物は、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、溶媒や他の添加剤(紫外線吸収剤や安定化剤等)が含まれる。
溶媒の例には、フォトクロミック色素や硫黄系酸化防止剤を良好に溶解し得るものであればよく、トルエン等の炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、アルコール、イソプロパノール等のアルコール類、及びメチルエチルケトン等のケトン類が含まれる。
1-5.物性
本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物は、インクであってもよいし、シート、ラベル又は印刷層であってもよい。
本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物がインクである場合、25℃における粘度は、例えばインクジェット方式による印刷性の観点から、1〜10mPa・sであることが好ましい。25℃における粘度は、E型粘度計により測定され得る。
2.温度時間積算型インジケータ
本発明の温度時間積算型インジケータは、本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物を含む。具体的には、本発明の温度時間積算型インジケータは、本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物からなる色素層Aを含み、必要に応じて基材層B、粘着剤層C及び保護層Dのいずれか一以上をさらに含んでもよい。
2-1.色素層A
色素層Aは、本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物からなる層である。
色素層Aの厚みは、用途にもよるが、例えば5〜200μm程度とし得る。色素層Aの厚みが5μm以上であると、光照射により十分な色濃度を得ることができるので、温度履歴を経た後の色の変化を把握しやすい。色素層Aの厚みが200μm以下であると、インジケータの厚みが過剰に大きくなるのを抑制し得る。色素層Aの厚みは、10〜100μmであることがより好ましい。
2-2.基材層B
基材層Bは、寸法安定性がよく、光や熱に耐えるものであればよく、前述のバインダ樹脂と同様の樹脂を主成分とするフィルム、紙、布、及びアルミノシリケートガラス、石英ガラス等の無機物を主成分とするシート等を用いることができる。中でも、良好な耐熱性を有し、且つ基材層Bを介した光照射を可能とし得る観点から、透明な樹脂フィルムが好ましく、セルロースエステル系樹脂フィルムがより好ましい。
基材層Bの厚みは、2〜200μmであることが好ましい。基材層Bの厚みが2μm以上であると、基材層Bのハンドリング性を良好とし得る。基材層Bの厚みが200μm以下であると、温度時間積算型インジケータが厚くなり過ぎない。基材層Bの厚みは、20〜100μmであることがより好ましい。
基材層Bの表面は、色素層Aの接着性を改善したり、色素の染着を防止したりする観点から、ポリマーからなる下引き層をさらに含んでもよい。
2-3.粘着剤層C
粘着剤層Cは、基材層Bの裏面(色素層Aが積層される面とは反対側の面)又は色素層Aの表面に配置され得る。粘着剤層Cの表面は、さらに離型シートで覆われている。それにより、温度時間積算型インジケータから離型シートを剥がした後、露出する粘着剤層Cの面を被測定物に貼り付けることで、被測定物に色素層Aを付与することができる。
粘着剤層Cを構成する粘着剤の例には、ゴム系共重合樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、及びアクリル系共重合樹脂が含まれる。離型シートの例には、シリコーン紙、離型処理ポリエステルフィルム等が含まれる。
2-4.保護層D
保護層Dは、温度時間積算型インジケータの最表面に配置され得る。保護層Dは、例えば2枚の温度時間積算型インジケータを重ねた際に、一方の温度時間積算型インジケータの最表面にある色素層Aと、他方の温度時間積算型インジケータの基材層Bとが粘着するのを防止したり、色素層Aの表面に傷が付くのを防止したりし得る。
保護層Dは、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明樹脂層であり得る。透明樹脂層は、透明樹脂フィルムをラミネートしたものであってもよいし、透明樹脂を塗布形成したものであってもよい。
2-5.層構成
前述の各層は、任意に配置され得る。前述の各層は、それぞれ1層だけであってもよいし、2層以上あってもよい。本発明の温度時間積算型インジケータの層構成の例には、以下のものが含まれる。
基材層B/色素層A
基材層B/色素層A/保護層D
基材層B/色素層A/粘着剤層C
粘着剤層C/基材層B/色素層A
粘着剤層C/基材層B/色素層A/保護層D
図1は、本発明の温度時間積算型インジケータの一例を示す図である。図1に示されるように、温度時間積算型インジケータ10は、基材層11と、その一方の面に配置された色素層13と、他方の面に配置された粘着剤層15とを含む。
2-6.製造方法
本発明の温度時間積算型インジケータは、本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物を基材に塗布した後、乾燥させて本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物からなる色素層Aを得る工程を経て得ることができる。
2-7.形態
本発明の温度時間積算型インジケータの形態は、特に制限されず、シート、ラベル、又は印刷層であり得る。シートの例には、包装紙、布、及び衣服等が含まれる。
3.温度時間積算量の測定方法
本発明の温度時間積算量の測定方法は、1)本発明の温度時間積算型インジケータが付与された被測定物を得る工程と、2)被測定物に付与された温度時間積算型インジケータに、波長200〜380nmの光を照射する工程と、3)光が照射された被測定物を保存する工程と、4)保存する工程の前後の温度時間積算型インジケータの色の変化から、保存する工程において被測定物が受けた温度と時間の積算量を測定する工程とを含む。
1)の工程について
本工程では、本発明の温度時間積算型インジケータが付与された被測定物を得る。
本発明の温度時間積算型インジケータが付与された被測定物を得る方法は、特に限定されず、例えばラベル状の温度時間積算型インジケータを被測定物に貼り付ける方法、温度時間積算型インジケータが付与された包装紙で被測定物を包装する方法、又は被測定物に前述の本発明の温度時間積算型インジケータ用組成物を印刷したりする方法であり得る。
例えば、被測定物にラベル状の温度時間積算型インジケータを貼り付ける場合、離型シート付き粘着剤層Cを有する温度時間積算型インジケータを用いることが好ましい。温度時間積算型インジケータから離型シートを剥がした後、露出した粘着剤層Cを被測定物に貼り付けることで、温度時間積算型インジケータが付与された被測定物を得ることができる。
2)の工程について
本工程では、被測定物の温度時間積算型インジケータに光を照射して測定トリガを付与し、測定を開始する。具体的には、温度時間積算型インジケータに光を照射することで、それに含まれるフォトクロミック色素を異性化させて、元の色(例えば無色状態)とは異なる色(例えば着色状態)に変化させる。
照射する光は、波長200〜380nmの光であることが好ましく、UV−B(波長280〜315nm)又はUV−C(波長200nm以上280nm未満)の波長領域の光であることがより好ましい。光の照射量は、温度時間積算型インジケータに含まれるフォトクロミック色素を異性化させ得る程度であればよく、例えば50〜2000mW/cmとし得る。
3)の工程について
本工程では、光が照射された被測定物を所定の時間保存する。その間、温度時間積算型インジケータにおいて、上記2)の工程で異性化したフォトクロミック色素が、熱により徐々に元の分子状態に戻ることにより、色素層Aが褪色又は変色する。
4)の工程について
本工程では、上記3)の工程の前後の温度時間積算型インジケータの色の変化から、上記3)の工程で被測定物が受けた温度と時間の積算量を測定する。上記3)の工程の前後における温度時間積算型インジケータの色の変化は、温度時間積算型インジケータに含まれるフォトクロミック色素が、異性化した分子(例えば着色状態)から元の分子(例えば無色状態)に戻る量に依存し、元の分子に戻る量は、当該色素に付与された熱量(温度と時間の積算量)に依存する。そのため、上記3)の工程の前後の温度時間積算型インジケータの色の変化を測定することで、上記3)の工程で被測定物が受けた温度と時間の積算量を推定できる。
色の変化量は、例えば3)の工程の前後の温度時間積算型インジケータの色濃度を、反射濃度計Macbeth RD−918にて測定して得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.温度時間積算型インジケータ用組成物の材料
実施例/比較例で用いた各成分を、以下に示す。
1)フォトクロミック色素
Figure 0006763138
2)酸化防止剤
2-1)硫黄系酸化防止剤
Figure 0006763138
2-2)フェノール系酸化防止剤
AO−30:ADEKA社製、アデカスタブAO−30(フェノール系酸化防止剤、分子量545)
3)バインダ樹脂
ポリスチレン:ナカライテクス社製、重量平均分子量(Mw)2000
セルローストリアセテート、重量平均分子量(Mw)230000
バインダ樹脂の光の平均透過率を、以下の方法で測定した。
(光の平均透過率の測定)
1)バインダ樹脂をトルエンに溶解させた溶液を、ガラス基板上に塗布した後、乾燥させて、厚み100μmの塗膜を得た。
2)得られた塗膜を剥がし取り、日立ハイテクロノジー社製分光光度計U-3300を用いて、波長200〜360nmの領域の平均透過率を測定した。
その結果、ポリスチレンの波長200〜360nmの光の平均透過率は32%であり、セルローストリアセテートの波長200〜360nmの光の平均透過率は42%であった。
2.温度時間積算型インジケータの作製
<実施例1>
(温度時間積算型インジケータ用組成物の作製)
フォトクロミック色素として化合物(1−1)8質量部と、バインダ樹脂としてポリスチレン(ナカライテスク社製、Mw=2000)90質量部と、硫黄系酸化防止剤としてSumilizer TP−D(住友化学社製)2質量部とを、トルエン200質量部に溶解させて、温度時間積算型インジケータ用組成物を得た。
(インジケータサンプルの作製)
上記作製した組成物を、ガラス基板上にスピンコート法により塗布した後、乾燥させて、厚み300μmの薄膜を形成した。それにより、インジケータサンプルを得た。
<実施例2>
フォトクロミック色素の種類を、表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
<実施例3〜6>
酸化防止剤の種類を、表1に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
<実施例7〜8、10>
酸化防止剤の含有量を、表1に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
<実施例9>
バインダ樹脂の種類を、表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
<比較例1>
酸化防止剤を含まず、且つフォトクロミック色素とバインダ樹脂の含有比率を表1に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
<比較例2>
バインダ樹脂を含まず、且つフォトクロミック色素と酸化防止剤の含有比率を表1に示されるように変更した以外は実施例2と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
<比較例3>
表1に示される酸化防止剤を用いた以外は実施例2と同様にして温度時間積算型インジケータ用組成物を調製し、インジケータサンプルを得た。
実施例1〜10及び比較例1〜3で得られたインジケータサンプルの60℃、80℃及び100℃で保存したときの半減期を、それぞれ以下の方法で測定した。
(半減期の測定)
1)得られたインジケータサンプルの薄膜に、波長254nmの光を100mW/cmの条件で照射した。その直後、インジケータサンプルの薄膜の色濃度を、反射濃度計Macbeth RD-918にて測定した。
2)このインジケータサンプルを、60℃、80℃又は100℃で一定時間保存した。そして、一定時間毎にインジケータサンプルの薄膜の色濃度を、前述と同様にして測定した。
3)そして、保存後の色濃度が、保存前の色濃度(上記1)で測定した色濃度)の50%の値となるまでに要する時間(褪色に要する時間)を測定し、半減期とした。
実施例1〜10及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 0006763138
表1に示されるように、実施例1〜10のインジケータサンプルは、比較例1〜3のインジケータサンプルと比べて広い温度領域で褪色速度が短縮されており、褪色速度を十分に調整できることがわかる。
これに対して比較例1のインジケータサンプルは、酸化防止剤を含まないことから、いずれの温度域においても半減期が比較的長く、TTIとして十分には機能していないことがわかる。比較例2のインジケータサンプルは、バインダ樹脂を含まないことから、特に高温域において極端に半減期が短く、当該温度域においてTTIとしては十分に機能していないことがわかる。比較例3のインジケータサンプルは、フェノール系酸化防止剤を含むことから、特に中、低温域における半減期が比較的長く、当該温度域においてはTTIとしては十分に機能していないことがわかる。
また、実施例1と2の対比から、スピロピラン類を含む実施例2のインジケータサンプルのほうが、フルギド類を含む実施例1のインジケータサンプルよりも広い温度域で半減期が短く、TTIとしてより好適であることがわかる。
また、実施例1と9の対比から、バインダ樹脂としてセルローストリアセテートを用いるほうが、ポリスチレンを用いるよりも半減期を短くし得ることが示される。これは、主にバインダ樹脂の立体配位による影響によると考えられる。このように、バインダ樹脂の選択によっても半減期の制御が可能であることがわかる。
また、実施例2、7、8及び10の対比から、酸化防止剤の含有量を10〜50質量%とすることで、10質量%未満とするよりも半減期を短くし得ることが示される。
本発明によれば、熱による変色速度を自在に調整することができ、多品種少ロットの商品の品質管理に適した温度時間積算型インジケータを提供することができる。
10 温度時間積算型インジケータ
11 基材層
13 色素層
15 粘着剤層

Claims (7)

  1. 熱により可視光の吸収スペクトルが変化するフォトクロミック色素と、硫黄系酸化防止剤と、バインダ樹脂とを含み、
    前記硫黄系酸化防止剤は、下記一般式(1)又は(2)で表される、
    温度時間積算型インジケータ用組成物。
    Figure 0006763138
    (一般式(1)中、
    は、独立してアルキレン基又はアリーレン基を表し、
    及びR は、それぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、
    mは、1又は2を表し、mが2であるとき、複数のR 同士又は複数のR 同士は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい)
    Figure 0006763138
    (一般式(2)中、
    は、独立してアルキレン基又はアリーレン基を表し、
    は、独立してアルキル基又はアリール基を表し、
    は、独立してn価のアルキル基又はn価のアリール基を表し、
    nは、1〜4の整数を表し、nが2以上であるとき、複数のR 同士及び複数のR 同士は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい)
  2. 前記バインダ樹脂の波長200〜360nmの光の平均透過率が30%以上である、
    請求項に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
  3. 前記フォトクロミック色素は、スピロピラン類である、
    請求項1または2に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
  4. 前記フォトクロミック色素、前記バインダ樹脂及び前記硫黄系酸化防止剤の合計100質量部に対して、
    前記フォトクロミック色素を2〜20質量部、
    前記硫黄系酸化防止剤を1〜4質量部、及び
    前記バインダ樹脂を76〜97質量部を含む、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
  5. 前記硫黄系酸化防止剤の含有量は、前記フォトクロミック色素に対して10〜50質量%である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の温度時間積算型インジケータ用組成物を含む、
    温度時間積算型インジケータ。
  7. 請求項に記載の温度時間積算型インジケータが付与された被測定物を得る工程と、
    前記被測定物に付与された前記温度時間積算型インジケータに、波長200〜380nmの光を照射する工程と、
    前記光が照射された前記被測定物を保存する工程と、
    前記保存する工程の前後における前記温度時間積算型インジケータの色の変化から、前記保存する工程において被測定物が受けた温度と時間の積算量を測定する工程とを含む、
    温度時間積算量の測定方法。
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