JP6762575B2 - イオン濃度測定装置及びイオン濃度測定方法 - Google Patents

イオン濃度測定装置及びイオン濃度測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、計測対象物に存在するイオン濃度を得るイオン濃度測定装置及びイオン濃度測定方法に関する。
農業分野では、特定の成分を多く含むいわゆる機能性野菜が注目されている。近年の研究結果は、野菜に含まれる成分と土壌中の特定のイオンとに関係があることを示している。特定のイオンの濃度を計測する技術として、例えば、炎光光度計や液体クロマトグラフィーなどが知られている。
さらに、イオン濃度の計測技術を利用する分野では、計測作業の簡便化が望まれていた。このような技術には、土壌又は培地から標本を採取し、当該標本を利用してイオン濃度を測定する技術がある。例えば、可搬型のカリウムイオン計測器は、土壌中の水をスポイトを用いて採取し、当該水を利用してイオン濃度を測定する。また、酸化還元反応を利用した計測器も知られている。
R. Ishimatsu, A. Izadyar, B. Kabagambe, Y. Kim, J. Kim, and S.Amemiya, J. Am. Chem. Soc., vol. 133, Issue 40, pp. 16300-16308 , 2011. S. Mizutani, S. Takahashi, A. Kono, T. Hattori, T. Iwata, M. Ishida, K. Sawada, IEEE Sensors 2015 Conference, Busan, South Korea, Nov. 1-4, 2015.
しかしながら、標本採取による測定は、標本の採取と計測作業とに手間を要する。従って、標本採取による測定は、土壌中のイオン濃度を継続的に監視するといった用途には不向きである。そこで、土壌そのものに計測器を配置して、イオン濃度を測定する技術が検討されている。このようなイオン濃度を測定する技術として、イオン選択膜を利用して測定対象のイオンを選択し、選択されたイオンの濃度を電圧又は電流を利用して得る手法がある。
電圧を利用する手法(以下「電圧検出型」と呼ぶ)の計測レンジは、単位容積(1リットル)あたり10μmolから0.1mol程度である。一方、電圧検出型は、イオン濃度の変化に対する電圧の変化が小さい。従って、イオン濃度の微小な変化を検出することが困難である。具体的には、電圧検出型において、イオン濃度が一桁変わったときの電圧の変化は理論的に59mVである。従って、電圧検出型を利用した測定は、ノイズの影響を受けやすい。
電流を利用する手法(以下「電流検出型」と呼ぶ)は、酸化還元電流を利用する。例えば、電流検出型に関する技術として、PEDOT構造(非特許文献1)及び、当該PEDOT構造を利用した電流検出型のセンサ(非特許文献2)が知られている。電流検出型では、電流値がイオン濃度に比例する。従って、電流検出型は、電圧検出型よりも高い分解能を有する。しかし、電流検出型を利用した測定は、電流のピークを利用してイオン濃度を得る。従って、電流検出型を利用した測定は、スパイクノイズの影響を受けやすい。
本発明は、ノイズの影響を抑制し、計測対象物に含まれたイオン濃度を直接に測定できるイオン濃度測定装置及びイオン濃度測定方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係るイオン濃度測定装置は、計測対象物に正の電圧と負の電圧とを交互に提供する第1の電極部と、電圧を発生させる電圧発生部と、計測対象物に提供される電圧に対応して選択的に捕捉されるイオンに基づく電流を発生させるセンサ部と、電圧発生部を制御すると共に、センサ部から出力される電流に基づいて、計測対象物に存在するイオンの濃度を得る制御部と、を備え、制御部は、計測対象物へ正の電圧が提供されたときにセンサ部が発生する第1の電流値と、計測対象物へ負の電圧が提供されたときにセンサ部が発生する第2の電流値と、を得る電流値取得部と、第1の電流値と第2の電流値との差分を得る差分取得部と、差分に基づいてイオンの濃度を得る濃度取得部と、有する。
この測定装置では、電圧発生部により発生された正の電圧及び負の電圧が第1の電極部から計測対象物に提供される。センサ部は、計測対象物に提供された電圧に対応して選択的に捕捉されるイオンに基づく電流を発生させる。従って、この測定装置は、電流検出型のイオン濃度の検出を行うことができる。この検出構成によれば、計測対象物が有する電荷の影響が抑制される。従って、測定装置は、ノイズの影響を低減できる。さらに、測定装置は、計測対象物に正の電圧を提供したときの第1の電流値と、計測対象物に負の電圧を提供したときの第2の電流値と、の差分を利用して、イオン濃度を得る。この差分を利用すれば、第1の電流値と第2の電流値とに重畳するノイズを相殺することが可能である。従って、測定装置は、ノイズの影響をさらに低減できる。よって、測定装置は、ノイズの影響を低減する2つの構成を有する。従って、測定装置は、ノイズが多く発生する環境においても、計測対象物に含まれたイオン濃度を直接に測定することができる。
センサ部は、イオンを選択的に捕捉するイオノフォアを含む捕捉部と、捕捉部に電気的に接続され、捕捉部に捕捉されたイオンに対応する媒介イオンを捕捉部へ提供すると共に、媒介イオンを捕捉部から回収する導電部と、導電部及び接地部に電気的にそれぞれ接続され、捕捉部へ提供された媒介イオンに対応する電子を導電部に提供すると共に、電子を導電部から回収する第2の電極部と、を備えてもよい。この構成によれば、陽イオンの検出を例に示すと、捕捉部にイオンが捕捉されたとき、補足イオンに対応する媒介イオンは、導電部から捕捉部に提供される。そして、捕捉部に提供された媒介イオンに対応する電子は、接地部から第2の電極部を介して導電部に提供される。一方、捕捉部からイオンが解放されたとき、解放されたイオンに対応する媒介イオンは、捕捉部から導電部に回収される。そして、導電部に回収された媒介イオンに対応する電子は、第2電極部から接地部に移動する。従って、捕捉部に捕捉されたイオンを接地部と第2の電極部との間を流れる電流の値として得ることができる。また、捕捉部から解放されたイオンを接地部と第2の電極部との間を流れる電流の値として得ることができる。なお、陰イオンの検出方法はその反対となる。従って、測定装置は、電流検出型のイオン濃度の検出を行うことができる。
センサ部は、基板をさらに有し、第2の電極部は、基板に設けられ、導電部は、第2の電極部上に設けられ、基板、第2の電極部、導電部には、基板の裏面から導電部の主面に至る貫通孔が設けられ、捕捉部は、導電部の主面と貫通孔と基板の裏面とに一体的に設けられてもよい。この捕捉部によれば、導電部の主面側に設けられた捕捉部と、基板の裏面側に設けられた捕捉部とが貫通孔に設けられた捕捉部によって連結されている。従って、第2の電極部と導電部とは、一体化された捕捉部によって包み込まれる。この構成によれば、計測対象物に対するセンサ部の差し込みと引き抜きが繰り返されたとき、第2の電極部と導電部との間に隙間が発生することが抑制される。従って、第2の電極部と導電部との間の電気的な接続を維持することが可能になる。従って、測定装置は、センサ部の機能を長期間に亘って維持することができる。
導電部は、電子とイオンとを可逆的に授受可能な導電性高分子を含んでもよい。この構成によれば、媒介イオンを好適に捕捉部へ提供することができる。さらにこの構成によれば、媒介イオンを捕捉部から回収することができる。
本発明の別の形態に係るイオン濃度測定方法は、計測対象物に第1の電極部を介して正の電圧を提供することにより、正の電圧に対応して選択的に捕捉されるイオンに基づく電流を発生させるセンサ部が発生する第1の電流値を得るステップと、計測対象物に第1の電極部を介して負の電圧を提供することにより、センサ部が発生する第2の電流値を得るステップと、第1の電流値と第2の電流値との差分を得るステップと、差分に基づいてイオンの濃度を得るステップと、を有する。
この測定方法は、計測対象物に正の電圧を提供したときに、捕捉部に捕捉されたイオンに対応する第1の電流値を得る。また、計測対象物に負の電圧を提供したときに、捕捉部から解放されたイオンに対応する第2の電流値を得る。従って、この測定方法は、捕捉部に捕捉されたイオン及び捕捉部から解放されたイオンを接地部と第2の電極部との間を流れる電流の値として得る電流検出型のイオン濃度の検出を行うことができる。この測定方法によれば、計測対象物が有する電荷の影響が抑制されるので、ノイズの影響を低減できる。さらに、この測定方法は、第1の電流値と第2の電流値との差分を利用して、イオン濃度を得る。差分を得るステップによれば、第1の電流値と第2の電流値とに重畳するノイズが相殺される。従って、ノイズの影響をさらに低減できる。よって、この測定装置によれば、ノイズの影響を低減する2つの作用を有するので、ノイズが多く発生する環境においても、計測対象物に含まれたイオン濃度を直接に測定することができる。
本発明によれば、ノイズの影響を抑制し、計測対象物に含まれたイオン濃度を直接に測定できるイオン濃度測定装置及びイオン濃度測定方法が提供される。
図1は、実施形態に係るイオン濃度測定装置の構成を示す機能ブロック図である。 図2は、センサ部の具体的な構造を示す斜視図である。 図3は、センサ部の断面を示す図である。 図4は、計測対象物に提供される電圧と、センサ部から出力される電流との関係を例示する図である。 図5は、実施形態に係るイオン濃度測定方法の主要な工程を示すフロー図である。 図6の(a)部は計測対象物に正の電圧を提供したときのセンサ部の動作を説明するための図であり、図6の(b)部は計測対象物に負の電圧を提供したときのセンサ部の動作を説明するための図である。 図7は実験例1に係る結果を示すグラフであり、図7の(a)部は計測対象物に提供される電圧を示す図であり、図7の(b)部は溶液におけるイオン濃度を示す図であり、図7の(c)部はセンサ部から出力される電流を示す図である。 図8は、溶液におけるイオン濃度とセンサ部から出力される電流との関係を示すグラフである。 図9は、実験例2に係るモデルを説明するための図である。 図10は、実験例3の結果を示すグラフである。 図11は、実験例4の結果を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付す。また、重複する説明は、省略する。
図1に示されるように、イオン濃度測定装置1は、計測対象物100に含まれたイオンの濃度を得る。計測対象物100は、水101を含む。水101は、イオンを含む。計測対象物100は、例えば、農作物が植えられた土壌である。土壌は、所定量の水を含む。この水は、カリウムイオン102といった種々のイオンを含む。以下、土壌中のカリウムイオン102の濃度を測定するイオン濃度測定装置1を例に、本実施形態に係るイオン濃度測定装置1を説明する。なお、イオン濃度測定装置1によって測定されるイオンは、カリウムイオンに限定されることはない。測定対象であるイオンは、計測の目的に応じて所望のイオンを選択できる。また、イオン濃度(T)とは、単位体積当たりに含まれるイオンの物質量(もしくはモル数)である。以下の説明では、単位体積を1リットルとする。そして、1リットルあたりに含まれるカリウムイオンの物質量(もしくはモル数)(mol)を、イオン濃度(mol/L)とする。
イオン濃度測定装置1は、物理的な構成要素として、第1の電極部2と、センサ部3と、計測ユニット4と、を有する。計測ユニット4は、電圧発生部6と、電流計7と、制御部8、とを有する。
第1の電極部2は、計測対象物100の内部に配置される。第1の電極部2は、計測対象物100に対して所定の電圧を提供する。第1の電極部2は、例えばプラチナにより構成される。なお、第1の電極部2は、ガラス参照電極や金により構成されてもよい。第1の電極部2は、計測対象物100である土壌中の水101に電圧を提供する。第1の電極部2には、電圧発生部6が接続される。電圧発生部6は、正のパルス電圧又は負のパルス電圧を発生する。そして電圧発生部6は、正のパルス電圧又は負のパルス電圧を第1の電極部2へ提供する。第1の電極部2から計測対象物100に対して提供される電圧は、電圧発生部6から提供される。第1の電極部2は、計測対象物100に対して正の電圧(E1)及び負の電圧(E2)を交互に繰り返し提供する。例えば、第1の電極部2は、正の電圧(E1)として+0.5mVを提供する。また、第1の電極部2は、負の電圧(E2)として−0.5mVを提供する(図7の(a)部参照)。正の電圧(E1)と負の電圧(E2)とは繰り返し交互に提供される。その周期は一例として100秒である。
センサ部3は、計測対象物100の内部において、第1の電極部2から離間している。従って、センサ部3と第1の電極部2との間には、計測対象物100の一部が配置される。具体的には、センサ部3と第1の電極部2との間には、土壌中の水101が配置される。センサ部3は、電流を発生させる。この電流は、第1の電極部2から計測対象物100に提供された電圧に対応する。また、この電流の値は、センサ部3に接続された電流計7により取得される。センサ部3は、捕捉部9と、導電部11と、第2の電極部12と、を有する。
捕捉部9は、水に存在するイオンを選択的に捕捉する。すなわち、捕捉部9は、イオン選択性の機能膜である。捕捉部9は、イオノフォアを含む基材により構成される。イオノフォアを含む基材は、イオンを選択的に捕捉する機能を有する。一例として、捕捉部9は、カリウムイオン102を選択的に捕捉する。従って、捕捉部9は、カリウムイオン感応膜である。カリウムイオンを選択的に捕捉するイオノフォアとして、バリノマイシンが挙げられる。捕捉部9は、ドーパントを含む。ドーパントには、過塩素酸テトラn−ブチルアンモニウム(TBAClO)が挙げられる。
導電部11は、捕捉部9に媒介イオンを提供する。また、導電部11は、捕捉部9から媒介イオンを回収する。導電部11は、導電性高分子材料により構成される。導電性高分子材料は、電子とイオンとを可逆的に授受する。導電性高分子材料として、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が挙げられる。導電部11は、ドーパントを含む。ドーパントとして、過塩素酸テトラn−ブチルアンモニウム(TBAClO)が挙げられる。
第2の電極部12は、電流計7を介して接地部13に接続される。電流計7は、計測対象物100の外部に配置される。第2の電極部12は、導電部11に対して電子を提供する。また、第2の電極部12は、導電部11から電子を回収する。第2の電極部12は、導電性を有する金属材料により構成される。金属材料として、金、銅、アルミニウムが挙げられる。
第1の電極部2に正の電圧(E1)が提供されたとき、正の電荷を有するカリウムイオン102は、捕捉部9に捕捉される。捕捉部9にカリウムイオン102が捕捉されたとき、捕捉部9は正の電位に帯電する。この捕捉部における正の帯電を打ち消すように、導電部11は、負の電位を有する媒介イオンを捕捉部9に提供する。導電部11が媒介イオンを捕捉部9に提供したとき、導電部11は正の電位に帯電する。この導電部11における正の帯電を打ち消すように、第2の電極部12は、負の電荷を有する電子を導電部11に提供する。この電子は、接地部13から提供される。接地部13と第2の電極部12との間には、電流計7が設けられる。従って、接地部13から第2の電極部12へ電子が提供されたとき、電流が発生する。この電流の大きさは、捕捉部9に捕捉されたカリウムイオン102の量に対応する。従って、カリウムイオン102の濃度は、電流計7により取得される電流の大きさを利用することにより得られる。
ここで、センサ部3の具体的な構造を例示する。図2に示されるように、センサ部3は、上述した捕捉部9と導電部11と第2の電極部12とに加えて、さらに回路基板14を有する。回路基板14は、導電パターンを含む。導電パターンは、第2の電極部12と電流計7との電気的な接続を確保する。また、回路基板14は、計測対象物100に差し込まれる。そこで回路基板14の先端部は、鋭利な形状を有する。この形状によれば、回路基板14を土壌へ容易に差し込むことができる。回路基板14は薄板形状を有する。回路基板14の主面14a上には、円形状の第2の電極部12が設けられる。なお、第2の電極部12の形状は円形に限定されることはない。第2の電極部12は、矩形状といった所望の形状としてもよい。例えば、第2の電極部12は、主面14a上に設けられたランドであってもよい。第2の電極部12上には、円形状の導電部11が設けられる。導電部11は、一例として無電解めっきにより形成される。
図3に示されるように、捕捉部9は、捕捉面9aと第1の接続面9bとを有する。捕捉面9aは、計測対象物100に接触する。第1の接続面9bは、捕捉面9aとは逆側の面である。導電部11は、第2の接続面11aと第3の接続面11bとを有する。第3の接続面11bは、第2の接続面11aとは逆側の面である。第2の接続面11aは、捕捉部9の第1の接続面9bと対面する。第2の接続面11aは、第1の接続面9bに対して電気的に接続される。第2の電極部12は、第5の接続面12aを有する。第5の接続面12aは、導電部11の第3の接続面11bと対面する。第5の接続面12aは、第3の接続面11bに対して電気的に接続される。
複数の貫通孔21は、回路基板14、第2の電極部12及び導電部11にそれぞれ設けられる。具体的には、複数の貫通孔21は、孔部14cと孔部12cと孔部11cとを含む。孔部14cは、回路基板14に設けられる。孔部12cは、第2の電極部12に設けられる。孔部11cは、導電部11に設けられる。貫通孔21は、導電部11の第2の接続面11aから回路基板14の裏面14bに至る。
捕捉部9は、回路基板14と第2の電極部12と導電部11とを覆うように設けられる。具体的には、捕捉部9は、回路基板14の主面14a上と、導電部11の第2の接続面11a上と、貫通孔21の内部と、回路基板14の裏面14b上と、に設けられる。従って、導電部11の第2の接続面11a上に設けられた捕捉部9は、センサ部3においてカリウムイオン102を捕捉する機能を有する。上述した箇所に設けられた捕捉部9は、一体化される。
ここで、第2の電極部12は金属材料により形成される。一方、導電部11は高分子材料により形成される。従って、第2の電極部12と導電部11との接合強度を高めることは難しい。上述した捕捉部9によれば、導電部11の第2の接続面11a側に設けられた捕捉部9と、回路基板14の裏面14b側に設けられた捕捉部9とが貫通孔21に設けられた捕捉部9によって連結されているとも言える。そして、第2の電極部12と導電部11とは、一体化されて回路基板14から剥がれ落ちにくい捕捉部9によって包み込まれる。従って、計測対象物100である土壌に対するセンサ部3の差し込みと引き抜きが繰り返されたとき、第2の電極部12と導電部11との間に隙間が発生することが抑制される。従って、イオン濃度測定装置1は、センサ部3の機能を長期間に亘って維持することができる。
図1に示されるように、制御部8は、電圧発生部6の動作を制御する。また、制御部8は、電流計7から提供される電流値に基づいてカリウムイオン102の濃度を得る。制御部8は、一例としてコンピュータシステムである。制御部8は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、キーボード等の入力デバイス、ディスプレイ等の出力デバイス、ハードディスク等の補助記憶装置などを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。後述する制御部8の各機能は、CPU、RAM、ROM等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御の元で入力デバイス及び出力デバイスを動作させると共に、主記憶装置や補助記憶装置におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
制御部8は、機能的構成要素として、記録部16と、電流値取得部17と、差分取得部18と、濃度取得部19と、を有する。記録部16は、例えば、ROMである。記録部16は、電流計7から提供される電流値と、電圧発生部6に提供される駆動信号とを関連付けて記録する。また、記録部16は、変換係数(D)を記録する。変換係数(D)は、電流値を利用してイオン濃度(T)を得るために用いられる。記録部16は、電流計7に接続される。そして記録部16は、電流値を受け取る。記録部16は、電圧発生部6に接続される。そして記録部16は駆動信号を受け取る。また、記録部16は、電流値取得部17に接続される。そして記録部16は、互いに関連付けられた駆動信号と電流値とを電流値取得部17へ提供する。また記録部16は、濃度取得部19に接続される。そして記録部16は、変換係数(D)を濃度取得部19へ提供する。
電流値取得部17は、電流値を得る。この電流値は、イオン濃度(T)の取得に必要な電流値の差分(ΔC)を得るためのものである。電流値取得部17は、記録部16に接続される。そして電流値取得部17は、時間と電流値とが関連付けられた情報を得る。なお、電流値取得部17は、駆動信号と電流値とが関連付けられた情報を得てもよい。電流値取得部17は、第1の電流値(C1)と第2の電流値(C2)とを得る。電流値取得部17は、第1の電流値(C1)と第2の電流値(C2)とを差分取得部18に出力する。
第1の電流値(C1)は、第1の電極部2に正の電圧(E1)が提供されたときにセンサ部3において発生する電流の値である。具体的には、第1の電流値(C1)は、正の電圧(E1)から負の電圧(E2)に切り替わる直前のタイミングにおける電流値である。第2の電流値(C2)は、第1の電極部2に負の電圧(E2)が提供されたときにセンサ部3において発生する電流の値である。具体的には、第2の電流値(C2)は、負の電圧(E2)から正の電圧(E1)に切り替わる直前のタイミングにおける電流値である。
差分取得部18は、イオン濃度(T)の取得に必要な電流値の差分(ΔC)を得る。差分取得部18は、電流値取得部17に接続される。そして差分取得部18は、第1の電流値(C1)と第2の電流値(C2)とを受け取る。差分取得部18は、第1の電流値(C1)と第2の電流値(C2)との差分(ΔC=C1−C2)を算出する。差分取得部18は、当該差分(ΔC)を濃度取得部19に出力する。
濃度取得部19は、イオン濃度(T)を得る。濃度取得部19は、記録部16に接続される。そして濃度取得部19は変換係数(D)を受け取る。さらに濃度取得部19は差分取得部18に接続される。そして濃度取得部19は差分(ΔC)を受け取る。濃度取得部19は、変換係数(D)と差分(ΔC)とを利用して、イオン濃度(T=D×ΔC)を得る。濃度取得部19は、イオン濃度(T)を記録部16に出力する。ここで、変換係数(D)とは、電流値の差分(ΔC)を濃度(T)に変換する係数である。変換係数(D)は、予備的な試験を実施して予め取得される。そして、変換係数(D)は、記録部16に記録される。
次に、イオン濃度測定装置1を利用したイオン濃度(T)の測定方法について、図4、図5及び図6を参照しつつ説明する。
まず、第1の電極部2とセンサ部3とを計測対象物100の内部に配置する(図5:ステップS1)。例えば、第1の電極部2とセンサ部3とが棒状である場合には、それらをそれぞれ計測対象物100である土壌へ差し込む。このとき、第1の電極部2とセンサ部3とは、互いに1cm程度離間させる。
次に、計測対象物100に正の電圧(E1)を提供する(図5:ステップS2)。このステップS2は、制御部8と電圧発生部6と第1の電極部2とにより行われる。制御部8は、駆動信号を提供する。この駆動信号は、電圧発生部6に正の電圧(E1)を出力させる情報を含む。電圧発生部6は、駆動信号に基づいて正の電圧(E1)を発生させる。そして電圧発生部6は、第1の電極部2に提供する。そして、第1の電極部2は、正の電圧(E1)を計測対象物100に提供する。
ここで、計測対象物100に正の電圧(E1)を提供したときにおけるセンサ部3の動作について詳細に説明する。
図6の(a)部に示されるように、計測対象物100には、カリウムイオン102が存在する。カリウムイオン102は、正の電荷を有する。このカリウムイオン102は、本実施形態に係る測定方法の測定対象である。第1の電極部2に正の電圧(E1)が提供されたとき、正の電荷を有するカリウムイオン102は、第1の電極部2から遠ざかる。そしてカリウムイオン102は、センサ部3の捕捉部9に捕捉される。ここで、捕捉部9はカリウムイオン102を選択的に捕捉するイオノフォア22を含む。従って、カリウムイオン102とは異なる別のイオンが捕捉部9に捕捉されることはない。
捕捉部9にカリウムイオン102が捕捉されたとき、捕捉部9は、正の電荷を有する。このとき、捕捉部9の帯電を解消するように、導電部11から媒介イオンが捕捉部9に提供される。媒介イオンは、負の電荷を有する。本実施形態における媒介イオンは、塩素イオン104である。塩素イオン104は、捕捉部9と導電部11とにドープされたTBACLOに基づく。導電部11から捕捉部9に負の電荷を有する塩素イオン104が提供されたとき、導電部11は、正の電荷を有する。このとき、導電部11の帯電を解消するように、第2の電極部12から電子103が導電部11に提供される。電子103は、接地部13から提供される。接地部13から第2の電極部12に電子103が移動するとき、電流が発生する。電流の大きさは、電流計7により得られる。電流計7は、接地部13と第2の電極部12との間に配置される。電流計7により得た電流値は、制御部8に出力される。
次に、第1の電流値(C1)を得る(図5:ステップS3)。このステップS3は、センサ部3と、電流計7と、制御部8の電流値取得部17とにより行われる。制御部8は、正の電圧(E1)を提供している期間に亘って、電流計7を利用してセンサ部3から出力される電流値を取得する。そして制御部8は、取得した電流値を記録部16に保存する。図4の(b)部に示されるように、記録部16に記録される電流値の絶対値は、正の電圧(E1)を提供した直後にスパイク状に増加する。その後、電流値の絶対値は、指数関数的に減少する。そして、電流値の絶対値は、所定の値に収束する。ステップS3では、電流値取得部17が収束した値(点P1)を第1の電流値(C1)として得る。なお、収束した値(点P1)を第1の電流値(C1)として得る方法は、種々の方法を取り得る。例えば、収束期間における電流値の平均を得てもよい。また、正の電圧(E1)から負の電圧(E2)に切り替わる直前の電流値を得てもよい。
次に、計測対象物100に負の電圧(E2)を提供する(図5:ステップS4)。このステップS4は、制御部8と電圧発生部6と第1の電極部2とにより行われる。制御部8は、駆動信号を提供する。この駆動信号は、電圧発生部6に負の電圧(E2)を出力させる情報を含む。電圧発生部6は、駆動信号に基づいて負の電圧(E2)を発生させる。そして電圧発生部6は、第1の電極部2に提供する。そして、第1の電極部2は、負の電圧(E2)を計測対象物100に提供する。
ここで、計測対象物100に負の電圧(E2)を提供したときにおけるセンサ部3の動作について詳細に説明する。負の電圧(E2)を提供したときには、正の電圧(E1)を提供したときとは逆の動作が行われる。
図6の(b)部に示されるように、負の電圧(E2)が提供される直前、カリウムイオン102は捕捉部9に捕捉されている。そして、第1の電極部2に負の電圧(E2)が提供されたとき、正の電荷を有するカリウムイオン102は、負の電圧(E2)が提供された第1の電極部2に引き寄せられる。すなわち、カリウムイオン102は、捕捉部9から解放される。捕捉部9からカリウムイオン102が解放されたとき、塩素イオン104が導電部11に回収される。塩素イオン104は、捕捉部9の電位のバランスを保つために捕捉部9に存在している。塩素イオン104が導電部11に回収されたとき、電子103が第2の電極部12に回収される。電子103は、導電部11の電位のバランスを保つために導電部11に存在している。第2の電極部12に回収された電子103は、接地部13に移動する。この第2の電極部12から接地部13への電子の移動は、電流を生じさせる。この電流の向きは、正の電圧(E1)を提供したときに生じる電流の向きと逆である。電流の大きさは、電流計7により得られる。電流計7は第2の電極部12と接地部13との間に配置される。電流計7により得た電流値は、制御部8に出力される。
次に、第2の電流値(C2)を得る(図5:ステップS5)。このステップS5は、センサ部3と、電流計7と、制御部8の電流値取得部17とにより行われる。制御部8は、負の電圧(E2)を提供している期間に亘って、センサ部3から出力される電流値を電流計7を利用して取得する。そして制御部8は、取得した電流値を記録部16に保存する。図4の(b)部に示されるように、記録部16に記録される電流値の絶対値は、負の電圧(E2)を提供した直後にスパイク状に増加する。その後、電流値の絶対値は、指数関数的に減少する。そして、電流値の絶対値は、所定の値に収束する。ステップS5では、電流値取得部17が収束した値(点P2)を第2の電流値(C2)として得る。
次に、電流値の差分(ΔC)を得る(図5:ステップS6)。このステップS6は、制御部8の差分取得部18が行う。差分取得部18は、第1の電流値(C1)と第2の電流値(C2)との差分(ΔC=C1−C2)を得る。
次に、イオン濃度(T)を得る(図5:ステップS7)。このステップS7は、制御部8の濃度取得部19が行う。濃度取得部19は、差分(ΔC)と変換係数(D)とを利用して、カリウムイオン102の濃度(T=D×ΔC)を得る。
以上のステップS1〜S7を行うことにより、カリウムイオン102の濃度が得られる。
本実施形態に係るイオン濃度測定装置1及びイオン濃度測定方法では、捕捉部9にカリウムイオン102が捕捉されたとき、塩素イオン104が導電部11から捕捉部9に提供される。塩素イオン104は、カリウムイオン102の数に対応する。捕捉部9に提供された塩素イオン104の数は、電子103に対応する。この電子103は、接地部13から第2の電極部12を介して導電部11に提供される。一方、捕捉部9からカリウムイオン102が解放されたとき、塩素イオン104が捕捉部9から導電部11に回収される。導電部11に回収された塩素イオン104の数は、電子103に対応する。そして、この電子103は第2の電極部12から接地部13に移動する。従って、捕捉部9に捕捉されたカリウムイオン102の数及び捕捉部9から解放されたカリウムイオン102の数を得ることにより、接地部13と第2の電極部12との間を流れる電流の値が得られる。従って、イオン濃度測定装置1は、電流検出型のイオン濃度(T)の検出を行うことができる。この構成によれば、計測対象物100が有する電荷の影響が抑制される。従って、イオン濃度測定装置1は、ノイズの影響を低減できる。さらに、このイオン濃度測定装置1は、計測対象物100に正の電圧(E1)を提供したときの第1の電流値(C1)と、計測対象物100に負の電圧(E2)を提供したときの第2の電流値(C2)と、の差分(ΔC)を利用して、イオン濃度(T)を得る。この差分(ΔC)によれば、第1の電流値(C1)と第2の電流値(C2)とに重畳するノイズを相殺することが可能である。従って、イオン濃度測定装置1は、ノイズの影響をさらに低減できる。イオン濃度測定装置1は、ノイズの影響を低減する2つの構成を有する。従って、イオン濃度測定装置1は、ノイズが多く発生する環境においても、計測対象物100に含まれたイオン濃度(T)を直接に測定することができる。すなわち、イオン濃度測定装置1は、イオン濃度のオンサイト・リアルタイム計測が可能である。
ここで、計測対象物100である土壌に含まれる水101は、所定の電荷を有することがある。例えば、電圧検出型の測定装置を利用してイオン濃度(T)を得るとき、水が有する電荷の影響も測定値に含まれてしまう。そこで、まず、測定サンプルとして水を採取する。続いて、採取した水を所定時間放置する。この放置により、水の電荷が放電される。そして、放置の後に、イオン濃度(T)の測定を行う。従って、電圧検出型の測定装置は、土壌中のイオン濃度(T)を連続的に測定することには不向きである。また、土壌中の水の状態は、灌水などによって変化する。例えば、水が有する電荷の状態は、灌水などによって変化する。従って、電圧検出型の測定装置は、測定する毎に測定装置の測定値が変動することもある。
一方、本実施形態に係るイオン濃度測定装置1及びイオン濃度測定方法は、イオン濃度(T)を電流値として得る電流検出型の装置及び方法である。従って、イオン濃度測定装置1及びイオン濃度測定方法は、計測対象物100が有する電荷の影響を低減できる。従って、イオン濃度測定装置1及びイオン濃度測定方法は、経時的に計測対象物100中の水が移動する環境であっても、イオン濃度(T)を安定して得ることができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
植物体などのイオン吸収率は複数のイオン同士の比率にも関係する。本実施形態に係るミネラルセンサは特定イオン濃度の絶対値を取得できるが、センサ部に複数種類のセンサを配置しその比率によりデータ処理する手法も行える。
本実施形態に係る装置及び方法は、培地内など水分量が100%より小さい場合の計測ができるという特徴を有する。水分量100%より小さい培地内を計測する時、水分量センサを用いて計測データの補間を行うことにより、水分量が100%、即ち溶液のみのデータへと変換ができる。これにより、計測データを追肥のための肥料の調合へと役立てることができる。例えば、水分量50%、計測データが1mmol/Lと得られた場合、1/0.5=2mmol/Lが溶液100%時の濃度と算出できる。
本実施形態に係る装置は、特定イオン濃度を計測する本センサに総イオン濃度を計測できるECセンサをさらに備えてもよい。このECセンサによれば、全体イオン濃度に対する比率を算出できる。これにより、適正な肥料濃度(全体イオン濃度)管理に特定イオン濃度調整を追加できる。
また、本実施形態に係る装置は、その目的に応じて上述した構成を適宜選択してよい。さらに、本実施形態に係る装置は、上述した構成を全て備えてもよい。
<実験例1>
実験例1では、イオン濃度測定装置1を利用して、イオン濃度(T)と差分(ΔC)との関係を確認した。この実験例1では、図7の(a)部に示されるように、計測対象物100に正の電圧(E1:+0.5V)と負の電圧(E2:−0.5V)とを繰り返し提供した。周期は100秒である。このような電圧が提供された計測対象物100のイオン濃度(T)を第1の濃度(T:0.1mM)、第2の濃度(T:1.0mM)、第3の濃度(T:5mM)、第4の濃度(T:10mM)に段階的に変化させた(図7の(b)部参照)。その結果、図7の(c)部に示される電流値の時間履歴が得られた。
第1の濃度(T:0.1mM)であるときの第1の電流値(C1:(+0.143μA)と第2の電流値(C2:−0.17μA)とを得た。そして、第1の差分(ΔC1:0.31μA)を得た。第2の濃度(T:1.0mM)であるときの第1の電流値(C1:+0.15μA)と第2の電流値(C2:−0.18μA)とを得た。そして、第2の差分(ΔC2:0.33μA)を得た。第3の濃度(T:5.0mM)であるときの第1の電流値(C1:+0.20μA)と第2の電流値(C2:−0.56μA)とを得た。そして、第3の差分(ΔC3:0.76μA)を得た。第4の濃度(T:10mM)であるときの第1の電流値(C1:+0.45μA)と第2の電流値(C2:−1.40μA)とを得た。そして、第3の差分(ΔC3:1.85μA)を得た。この結果、イオン濃度(T)が大きくなるに従って、差分(ΔC)も大きくなることがわかった。
<実験例2>
実験例2では、イオン濃度測定装置1を利用してイオン濃度(T)と差分(ΔC)との関係を確認した。図8は、イオン濃度(T)と電流値の差分(ΔC)とを示すグラフである。図8に示されるように、イオン濃度(T)と電流値の差分(ΔC)との間には、比例関係があることが確認できた。この傾きは、変換係数(D)である。具体的には、図8に示される近似直線は、ΔC=2.92×10−4×T+2×10−6として示される。従って、検量線はT=3.4×10×ΔC−6.8×10−3であった。
<実験例3>
実験例3では、共通の測定環境において、本実施形態に係るイオン濃度測定装置1で得た結果と、既存の電流検出型のイオン濃度測定装置で得た結果を比較した。既存の電流検出型のイオン濃度測定装置として、HORIBA製コンパクトカリウムイオンメータ:B−731を用いた。図9に示されるように、モデル106を準備した。モデル106は、イオンを含んだ水を有する土壌を模擬している。モデル106は、ロックウールである。ロックウールには、本実施形態に係るイオン濃度測定装置1の第1の電極部2とセンサ部3とを差し込んだ。また、ロックウールから排出される水は、ロックウールの下方に配置された容器107を用いて回収した。この回収された水のイオン濃度は、既存の電圧検出型のイオン濃度測定装置108を用いて得た。
図10は、水の滴下量とイオン濃度測定装置1との関係を示すグラフである。また、図10は、水の滴下量とイオン濃度測定装置108との関係も示すグラフである。プロットB1は水の積算滴下量を示す。プロットB2はイオン濃度測定装置1のセンサ出力を示す。プロットB3はイオン濃度測定装置108のセンサ出力を示す。また、領域K1は、イオン濃度が17mMである水を滴下した期間を示す。領域K2は、イオン濃度が8.5mMである水を滴下した期間を示す。図10を参照すると、イオン濃度(T)が17mMである溶液の滴下を開始してしばらくすると、イオン濃度測定装置1のセンサ出力(プロットB2)が増加する変化が現れた。続いて、イオン濃度(T)が8.5mMである溶液の滴下を開始して所定時間が経過した後に、イオン濃度測定装置1のセンサ出力(プロットB2)が減少する変化が現れた。従って、イオン濃度(T)が高い溶液からイオン濃度(T)が低い溶液に変化した場合であっても、イオン濃度測定装置1はそのイオン濃度(T)の変化に対応したセンサ出力が得られることがわかった。
そして、イオン濃度測定装置1のセンサ出力(プロットB2)と、既存のイオン濃度測定装置のセンサ出力(プロットB3)とを比較すると、略同様の傾向を示すことが確認できた。従って、本実施形態に係るイオン濃度測定装置1は、土壌を模擬した環境において連続的にイオン濃度(T)を測定できることがわかった。
<実験例4>
実験例4では、本実施形態に係るイオン濃度測定装置1のセンサ出力の安定性を確認した。実験例4では、まず、イオン濃度測定装置1の第1の電極部2とセンサ部3とを栽培現場の土壌中に差し込んだ。その後、センサ出力を経時的に取得した。この期間中は、灌水等の作業を行っていない。すなわち、計測対象物100である土壌中のイオン濃度(T)は安定した状態である。図11は、イオン濃度測定装置1のセンサ出力の経時変化を示す。図11に示されるように、センサ出力には、外乱ノイズに起因すると考えられる有意な変動は確認されなかった。従って、イオン濃度(T)が安定した状態に配置されたイオン濃度測定装置1は、安定した値を出力できることがわかった。
本発明に係るイオン濃度測定装置は、要するに、計測対象物に存在するイオンの濃度を得るイオン濃度測定装置であって、前記計測対象物に配置されて、前記計測対象物に正の電圧と負の電圧とを交互に提供する第1の電極部と、前記正の電圧と前記負の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記計測対象物において前記第1の電極から離間して配置され、前記計測対象物に提供される電圧に対応した電流を発生させるセンサ部と、前記電圧発生部を制御すると共に、前記センサ部から出力される電流に基づいて、前記計測対象物に存在する前記イオンの濃度を得る制御部と、を備え、前記センサ部は、前記イオンを選択的に捕捉するイオノフォアを含む捕捉部と、前記捕捉部に電気的に接続され、前記捕捉部に捕捉された前記イオンに対応する媒介イオンを前記捕捉部へ提供すると共に、前記媒介イオンを前記捕捉部から回収する導電部と、前記導電部及び接地部に電気的にそれぞれ接続され、前記捕捉部へ提供された前記媒介イオンに対応する電子を前記導電部に提供すると共に、前記電子を前記導電部から回収する第2の電極部と、を有し、前記制御部は、前記計測対象物へ前記正の電圧が提供されたときに前記センサ部が発生する第1の電流値と、前記計測対象物へ前記負の電圧が提供されたときに前記センサ部が発生する第2の電流値と、を得る電流値取得部と、前記第1の電流値と前記第2の電流値との差分を得る差分取得部と、前記差分に基づいて前記イオンの濃度を得る濃度取得部と、を有する。
また、本発明に係るイオン濃度測定方法は、計測対象物に存在するイオンの濃度を得るイオン濃度測定方法であって、前記計測対象物に第1の電極部を介して正の電圧を提供することにより、前記計測対象物において前記第1の電極から離間して配置され、前記計測対象物に提供される電圧に対応した電流を発生させるセンサ部が発生する第1の電流値を得るステップと、前記計測対象物に前記第1の電極部を介して負の電圧を提供することにより、前記センサ部が発生する第2の電流値を得るステップと、前記第1の電流値と前記第2の電流値との差分を得るステップと、前記差分に基づいて前記イオンの濃度を得るステップと、を有し、前記第1の電流値を得るステップでは、前記計測対象物に前記正の電圧が提供されることにより、前記イオンを選択的に捕捉するイオノフォアを含む捕捉部が前記イオンを捕捉し、前記捕捉部に前記イオンが捕捉されることにより、前記捕捉部に捕捉された前記イオンに対応する媒介イオンを前記捕捉部へ提供する導電部が前記媒介イオンを前記捕捉部へ提供し、前記捕捉部へ前記媒介イオンが提供されることにより、前記捕捉部へ提供された前記媒介イオンに対応する電子を前記導電部に提供する第2の電極部が前記電子を前記導電部へ提供し、前記第2の電流値を得るステップでは、前記計測対象物に前記負の電圧が提供されることにより、前記捕捉部に捕捉された前記イオンが前記捕捉部から解放され、前記捕捉部から前記イオンが解放されることにより、前記導電部が前記媒介イオンを前記捕捉部から回収し、前記捕捉部から前記媒介イオンが回収されることにより、前記第2の電極部が前記電子を前記導電部から回収する。
1…イオン濃度測定装置、2…第1の電極部、3…センサ部、4…計測ユニット、6…電圧発生部、8…制御部、9…捕捉部、11…導電部、12…第2の電極部、13…接地部、14…回路基板、21…貫通孔、16…記録部、17…電流値取得部、18…差分取得部、19…濃度取得部、22…イオノフォア、100…計測対象物、101…水、102…カリウムイオン、103…電子、104…塩素イオン(媒介イオン)。

Claims (5)

  1. 計測対象物に正の電圧と負の電圧とを交互に提供する第1の電極部と、
    前記電圧を発生させる電圧発生部と、
    前記計測対象物に提供される電圧に対応して選択的に捕捉されるイオンに基づく電流を発生させるセンサ部と、
    前記電圧発生部を制御すると共に、前記センサ部から出力される電流に基づいて、前記計測対象物に存在する前記イオンの濃度を得る制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記計測対象物へ前記正の電圧が提供されたときに前記センサ部が発生する第1の電流値と、前記計測対象物へ前記負の電圧が提供されたときに前記センサ部が発生する第2の電流値と、を得る電流値取得部と、
    前記第1の電流値と前記第2の電流値との差分を得る差分取得部と、
    前記差分に基づいて前記イオンの濃度を得る濃度取得部と、を有する、イオン濃度測定装置。
  2. 前記センサ部は、
    前記イオンを選択的に捕捉するイオノフォアを含む捕捉部と、
    前記捕捉部に電気的に接続され、前記捕捉部に捕捉された前記イオンに対応する媒介イオンを前記捕捉部へ提供すると共に、前記媒介イオンを前記捕捉部から回収する導電部と、
    前記導電部及び接地部に電気的にそれぞれ接続され、前記捕捉部へ提供された前記媒介イオンに対応する電子を前記導電部に提供すると共に、前記電子を前記導電部から回収する第2の電極部と、を有する、請求項1に記載のイオン濃度測定装置。
  3. 前記センサ部は、基板をさらに有し、
    前記第2の電極部は、前記基板に設けられ、
    前記導電部は、前記第2の電極部上に設けられ、
    前記基板、前記第2の電極部、前記導電部には、前記基板の裏面から前記導電部の主面に至る貫通孔が設けられ、
    前記捕捉部は、前記導電部の主面と前記貫通孔と前記基板の裏面とに一体的に設けられる、請求項2に記載のイオン濃度測定装置。
  4. 前記導電部は、電子とイオンとを可逆的に授受可能な導電性高分子を含む、請求項2又は3に記載のイオン濃度測定装置。
  5. 計測対象物に第1の電極部を介して正の電圧を提供することにより、前記正の電圧に対応して選択的に捕捉されるイオンに基づく電流を発生させるセンサ部が発生する第1の電流値を得るステップと、
    前記計測対象物に前記第1の電極部を介して負の電圧を提供することにより、前記センサ部が発生する第2の電流値を得るステップと、
    前記第1の電流値と前記第2の電流値との差分を得るステップと、
    前記差分に基づいて前記イオンの濃度を得るステップと、
    を有する、イオン濃度測定方法。
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