以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
[第1の実施形態]
<懸垂式燃料供給所>
図1は、第1の実施形態における懸垂式燃料供給所100を例示する図である。懸垂式燃料供給所100では、作業員110によって車両120への給油が行われる。なお、懸垂式燃料供給所100には複数の作業員110がいてもよい。
懸垂式燃料供給所100の敷地1には、事務所30等を含む建屋2、給油作業を行う給油エリア3等が設けられ、例えば天井、キャノピ、又は梁等からなる高所4が給油エリア3の上方に形成されている。
油液通路を構成する配管5は、一端側が地下タンク6に通じ、他端側が高所4に設けられているデリベリユニット14に通じるように設けられている。配管5を含む油液通路には、ポンプ用モータ7によって駆動されるポンプ8を含む送液手段や、流量発信器10が付設された流量計9を含む計量手段が設けられている。また、流量計9の流出側には、油液を予め設定された油量分だけ自動的に給油するプリセット給油等の給油停止に用いられる比例電磁弁11が設けられている。
図2は、第1の実施形態におけるデリベリユニット14の構成を例示する図である。
デリベリユニット14は、高所4に設けられ、先端に給油ノズル12を備える給油ホース13を昇降可能に吊り下げている。デリベリユニット14は、図2に示されるように、ホース導出口を備える長箱状のケーシング15内にホースリール16が回転自在に軸支され、ホースリール16に給油ホース13がその基端側を固定されて巻き回されている。給油ホース13は、ポンプ8から高所4まで延設されている配管5に基端側が連通されている。給油ホース13及び給油ノズル12には、ポンプ8から吐出されて流量計9を通った油液が配管5を通じて供給される。
また、デリベリユニット14のケーシング15内には、ホースリール16を正/逆回転させて給油ノズル12を昇降させる昇降用モータ17が設けられている。昇降用モータ17は、正/逆回転可能なモータであり、チェーン等の伝達機構18により接続されているホースリール16を回転させる。
例えば昇降用モータ17が駆動してホースリール16を正方向に回転させると、給油ホース13がホースリール16から繰り出されて給油ノズル12が下降する。また、例えば昇降用モータ17が駆動してホースリール16を逆方向に回転させると、給油ホース13がホースリール16に巻き取られて給油ノズル12が上昇する。給油ノズル12は、このように昇降用モータ17が駆動することで給油エリア3に対して昇降する。
デリベリユニット14のケーシング15内には、給油ノズル12の昇降位置を検出する昇降量検出器19が設けられている。昇降量検出器19は、チェーン等の伝達機構20によりホースリール16又は昇降用モータ17に接続されている。昇降量検出器19は、ホースリール16の回転量を計測して給油ホース13の繰り出し量又は巻き取り量から給油ノズル12の昇降量を求め、給油ノズル12の位置を検出する。
昇降量検出器19は、例えば、2相パルス列出力方式のロータリエンコーダであり、ホースリール16の回転量及び回転方向(正回転/逆回転)を検出できる。昇降量検出器19は、回転方向の検出結果に基づいてホースリール16から給油ホース13が繰り出されているか巻き取られているかを判別する。
また、デリベリユニット14のケーシング15内には、給油ノズル12の昇降量を検出する際の基準となる基準位置を検出する基準位置検出機構21が設けられている。
基準位置検出機構21は、周面の所定位置にノッチ22が形成された円板状カム23、及び円板状カム23の周面に対向して設けられている検出スイッチ24を有する。検出スイッチ24は、不図示の作動片が円板状カム23のノッチ22に係合することで出力が変化し、円板状カム23の所定の回転位置である基準位置を検出する。
円板状カム23は、不図示の減速機構を介してホースリール16の回転に比例して減速回転するように構成されている。本実施形態における減速機構は、例えば、ホースリール16が回転して給油ノズル12が上端位置から下端位置まで昇降する間において円板状カム23の回転数が1回転未満となるように、ホースリール16の回転を減速して円板状カム23に伝達する。このような構成により、給油ノズル12が上端位置と下端位置との間で昇降移動する間に検出スイッチ24の出力変化が2回以上発生しないため、検出スイッチ24の出力が変化した時を基準位置として給油ノズル12の位置を検出できる。
デリベリユニット14に設けられている昇降用モータ17、昇降量検出器19、及び基準位置検出機構21の検出スイッチ24は、懸垂式燃料供給所100内に設けられている制御装置40に接続されている。制御装置40は、昇降量検出器19や検出スイッチ24の検出結果に基づいて昇降用モータ17を制御し、給油ノズル12を昇降させる。なお、昇降用モータ17、昇降量検出器19、及び検出スイッチ24は、制御装置40と有線接続されてもよく、無線送信器等を介して無線接続されてもよい。
図3は、第1の実施形態における給油ノズル12の昇降位置を例示する図である。
まずデリベリユニット14の高所4への設置時には、図3(A)に示されるように、給油ホース13のほぼ全てがホースリール16に巻き取られ、給油ノズル12は「上端位置」に位置する。また、デリベリユニット14の設置後に、図3(B)〜(D)に示されるように、給油エリア3からデリベリユニット14までの間で、例えば「格納位置」、「待機位置」、及び「給油位置」等の給油ノズル12の昇降位置が設定される。
「格納位置」は、例えば、デリベリユニット14に近く、作業員110や車両120等が届かない高さに設定される(図3(B))。給油ノズル12は、車両120への給油作業が行われない非給油時には、作業員110や車両120等に接触して傷付けることがないように「格納位置」に格納される。
「待機位置」は、例えば、作業員110の手が届く高さに設定される(図3(C))。給油ノズル12は、給油エリア3に進入してきた車両120への給油が行われる場合に、「格納位置」から「待機位置」に下降して作業員110により操作されるのを待機する。
また、「給油位置」は、例えば、車両120の給油口付近の高さに設定される(図3(D))。作業員110は、「給油位置」にある給油ノズル12を操作して車両120への給油作業を行う。給油ノズル12は、車両120への給油作業終了後に、「給油位置」から「格納位置」に移動する。
作業員110は、車両120への給油を行う際に、給油ホース13の給油ノズル12側端部に設けられている給油操作器26を用いて、給油ノズル12の昇降や車両120への給油といった作業を行う。
図4は、第1の実施形態における給油操作器26を例示する図である。
図4に示されるように、給油操作器26は、ワイヤスイッチ29、UPボタン31、給油開始ボタン32、給油停止ボタン33を有する。給油操作器26は、制御装置40に接続され、作業員110による操作に応じた信号を制御装置40に送信する。
ワイヤスイッチ29は、給油操作器26から吊り下げられているワイヤと、給油操作器26の内部に設けられてワイヤの上端が接続されているスイッチとを含む。ワイヤスイッチ29は、作業員によりワイヤが引き下げられると、給油操作器26内部のスイッチがONとなる。
給油ノズル12が「待機位置」に下降した状態で作業員110によりワイヤスイッチ29が引き下げられると、制御装置40が昇降用モータ17等を制御して給油ノズル12を「待機位置」から「給油位置」に下降させる。また、給油ノズル12が「給油位置」に下降した状態で作業員110によりワイヤスイッチ29が引き下げられると、制御装置40が昇降用モータ17等を制御して給油ノズル12を「給油位置」から「待機位置」に上昇させる。
給油ノズル12が「給油位置」に下降した状態で作業員110により給油開始ボタン32が押下されると、制御装置40がポンプ用モータ7を制御してポンプ8を駆動させて給油ノズル12に送液する。また、作業員110により給油停止ボタン33が押下されると、制御装置40がポンプ用モータ7を制御してポンプ8を駆動停止させて給油ノズル12への送液を停止する。
車両120への給油終了後に作業員110によりUPボタン31が押下されると、制御装置40が昇降用モータ17等を制御して給油ノズル12を「給油位置」から「格納位置」に上昇させる。
懸垂式燃料供給所100には、図1に示されるように、上記したデリベリユニット14等以外に、給油量表示器35、車両検出器51、給油エリア内報知器52、事務所内報知器53、立入禁止ランプ55、受信器112が設けられている。
給油量表示器35は、制御装置40に接続され、車両120に供給された給油量を表示する。懸垂式燃料供給所100には複数のデリベリユニット14及び給油ノズル12が設けられており、給油量表示器35は給油ノズル12ごとの給油量を表示する。給油量表示器35は、制御装置40により表示内容が制御される。
車両検出器51は、給油エリア3に進入してきた車両120や給油エリア3における火気の検出に用いられる。本実施形態における車両検出器51は、サーモグラフィであり、高所4に取り付けられて給油エリア3全体の温度分布画像を取得する。制御装置40は、車両検出器51によって得られた温度分布画像に基づいて、車両やタバコ等の火気を検出する。
なお、車両検出器51は、給油エリア3内に進入してきた車両を検出可能であれば、赤外線センサ等であってもよい。また、車両を検出する車両検出器と、火気を検出する火気検出器とが、例えば同一又は異なる方式のセンサ等でそれぞれ個別に設けられてもよい。
給油エリア内報知器52は、例えば高所4に取り付けられ、車両検出器51によって車両120が検出された場合に、車両120が来所したことを給油エリア3にいる作業員110に報知する。また、給油エリア内報知器52は、車両検出器51によって火気が検出された場合に、火気の持ち込みに対する警報を鳴らす。事務所内報知器53は、事務所30内に取り付けられ、給油エリア内報知器52と同様に、車両120の来所や火気の持ち込み等を事務所30にいる作業員110に報知する。
立入禁止ランプ55は、例えば建屋2に取り付けられ、車両検出器51によって火気が検出された場合に点灯し、例えばくわえタバコの顧客や侵入者等、給油エリア3内に火気を持ち込んだ者に退出を促す。
受信器112は、例えば建屋2に取り付けられ、作業員110が所持している送信器111から送信される信号を受信する。送信器111と受信器112とは、例えば狭域通信と呼ばれるDSRC(Dedicated Short Range Communications)により給油エリア3において無線通信できるように設定されている。
送信器111の送信範囲は、給油エリア3内で受信器112との間の通信が成立し、事務所30等の給油エリア3外では受信器112との間の通信が成立しないように設定されている。このような設定により、送信器111を作業員110に常時所持させることで、送信器111と受信器112との間の通信の成否に基づいて給油エリア3における作業員110の存在の有無を確認できる。
懸垂式燃料供給所100に複数の作業員110がいる場合には、各作業員110に送信器111を所持させ、各送信器111と受信器112との間の通信の成否に基づいて給油エリア3における各作業員110の存在の有無を確認する。
なお、懸垂式燃料供給所100に設けられるデリベリユニット14、給油量表示器35、車両検出器51、給油エリア内報知器52、事務所内報知器53、立入禁止ランプ55等の位置や数等の構成は、本実施形態において例示される構成に限られるものではない。また、給油エリア3における作業員110の存在を確認する手段は、上記した送信器111及び受信器112を用いた方法に限られない。
<懸垂式燃料供給所システム>
図5は、第1の実施形態における懸垂式燃料供給所システム101を例示する図である。
図5に示されるように、懸垂式燃料供給所システム101は、流量発信器10、昇降量検出器19、給油操作器26、車両検出器51、送信器111、受信器112、制御装置40、ポンプ用モータ7、比例電磁弁11、昇降用モータ17、給油量表示器35、給油エリア内報知器52、事務所内報知器53、立入禁止ランプ55を含む。
制御装置40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリ等を含んで構成される。制御装置40の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることで実現される。なお、制御装置40の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。また、制御装置40は、複数の装置等により構成されてもよい。本実施形態では、制御装置40が建屋2に設けられているが、事務所30内に管理PCとして設けられてもよい。
制御装置40は、給油ノズル位置制御部41、送液制御部42、給油量演算部43、車両検出部44、火気検出部45、作業員確認部46を有する。
給油ノズル位置制御部41は、給油操作器26の操作や、車両検出部44による車両検出結果に応じて、昇降用モータ17を駆動させて給油ノズル12を昇降させる。給油ノズル位置制御部41は、昇降量検出器19によって検出される昇降量に基づいて給油ノズル12の位置を把握し、給油ノズル12を「格納位置」、「待機位置」、又は「給油位置」の間で昇降させる。
送液制御部42は、給油操作器26の給油開始ボタン32が押下された場合に、ポンプ用モータ7や比例電磁弁11を送液制御してポンプ8から給油ノズル12への送液を開始させる。また、送液制御部42は、給油操作器26の給油停止ボタン33が押下された場合や、設定された油量分だけ自動的に給油するプリセット給油が終了した場合に、ポンプ用モータ7や比例電磁弁11を送液停止制御して給油ノズル12への送液を停止する。
給油量演算部43は、車両120への給油中に、例えば流量計9に付設されている流量発信器10から送信される単位流量パルスに基づいて給油量を演算する。給油量演算部43は、求めた給油量を給油量表示器35に表示させる。また、給油量演算部43は、メンテナンス時期やタンク6内の油液補給時期等を管理するために、給油開始当初から現在までの積算給油量を記憶する給油量積算カウンタとしても機能する。
車両検出部44は、車両検出器51によって取得された温度分布画像に基づいて、給油エリア3への車両120の進入を検出する。また、車両検出部44は、車両検出器51による温度分布画像に基づいて、給油エリア3内における車両120の位置を検出する。車両検出部44は、車両120を検出した場合には、給油エリア内報知器52及び事務所内報知器53から音声等を出力させ、車両120が来所したことを作業員110に報知する。
火気検出部45は、車両検出器51によって得られた温度分布画像に基づいて、給油エリア3におけるタバコやライターの火等といった火気を検出する。火気検出部45は、火気を検出した場合には、立入禁止ランプ55を点灯させ、給油エリア内報知器52及び事務所内報知器53に音声や警報等を出力させ、火気を持ち込んだ顧客や侵入者に対して給油エリア3内からの退出を促す。また、火気検出部45は、立入禁止ランプ55や、給油エリア内報知器52及び事務所内報知器53を作動させることで、作業員110に対して火気への対応を促す。
作業員確認部46は、作業員110に所持されている送信器111と受信器112との間の通信の成否に基づいて、給油エリア3内における作業員110の存在の有無を確認する。作業員確認部46は、受信器112が作業員110に所持されている送信器111から送信された信号を受信した場合に、作業員110が給油エリア3内に存在していると判定する。また、受信器112が作業員110に所持されている送信器111から送信された信号を受信できない場合に、作業員110が事務所30等の給油エリア3外におり、給油エリア3に作業員110が不在であると判定する。
本実施形態における懸垂式燃料供給所システム101では、非給油作業時には給油ノズル12が「格納位置」に格納され、給油エリア3に車両120が進入し、給油エリア3に作業員110が存在する場合に、給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」に自動的に下降して給油作業を開始可能な状態になる。
したがって、給油ノズル12は、非給油作業時には人の届かない「格納位置」に位置するため、作業員110や車両120の不在中に給油ノズル12が侵入者等により勝手に操作されるといったことを防ぎ、安全性や防犯性を向上させることができる。また、車両120の来所及び作業員110の存在に応じて給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」まで自動的に下降するため、作業員110は短時間で効率良く車両120への給油を開始できる。
さらに、給油ノズル位置制御部41は、車両検出部44によって検出される給油エリア3における車両120の位置に応じて、複数の給油ノズル12のうち車両120の停止位置に近い給油ノズル12を下降させるように制御してもよい。車両120への給油作業をより効率良く開始することが可能になる。
<燃料供給処理>
図6は、第1の実施形態における燃料供給処理のフローチャートを例示する図である。
図6に示されるように、本実施形態における燃料供給処理では、まずステップS101にて、火気検出処理が実行される。
(火気検出処理)
図7は、第1の実施形態における火気検出処理のフローチャートを例示する図である。
図7に示されるように、本実施形態における火気検出処理では、まずステップS11にて、火気検出部45が車両検出器51による給油エリア3の温度分布画像に基づいて火気の検出を行う。
火気検出部45は、火気を検出した場合(ステップS11:YES)には、ステップS12にて、火気検出フラグESを1とする。次にステップS14にて、火気検出部45は、立入禁止ランプ55を点灯させ、例えばくわえタバコ等で給油エリア3に入って来た顧客等に給油エリア3からの退出を促す。また、ステップS15にて、火気検出部45は、給油エリア内報知器52を作動させて火気に対する警報等を出力させる。さらに、ステップS16にて、火気検出部45は、事務所内報知器53を作動させて火気に対する警報等を出力させる。
給油エリア3に火気を持ち込んだ顧客等は、給油エリア内報知器52からの警報に応じて、給油エリア3から退出するかタバコ等の消化等を行う。また、給油エリア3に火気を持ち込んだ顧客等が退出するか消化等しない場合には、給油エリア内報知器52又は事務所内報知器53からの警報に応じて、作業員110が給油エリア3内における火気に対応する。
火気を検出しなかった場合(ステップS11:NO)には、ステップS13にて、火気検出部45が火気検出フラグESを0(ゼロ)として火気検出処理を終了する。
以上で説明した火気検出処理により、火気検出結果に基づいて給油エリア3内の火気に即座に対応することが可能になり、懸垂式燃料供給所100における事故発生を低減して安全性を高めることができる。
図6に示される燃料供給処理に戻り、ステップS101において上記した火気検出処理が実行されると、次にステップS102にて、車両検出処理が実行される。
(車両検出処理)
図8は、第1の実施形態における車両検出処理のフローチャートを例示する図である。
図8に示されるように、本実施形態における車両検出処理では、まずステップS21にて、車両検出部44がレーン番号用変数nを1に設定する。なお、懸垂式燃料供給所100の給油エリア3には、複数の給油ノズル12の配置に応じて車両120を給油停車位置まで導く給油レーンが複数設けられている。
ステップS22では、車両検出部44が第nレーンにおける車両120の有無を確認する。第nレーンで車両120を検出した場合(ステップS22:YES)には、ステップS23にて、車両検出部44が第nレーンに対応する車両有無フラグXnを1とする。また、第nレーンで車両を検出しなかった場合(ステップS22:NO)には、ステップS24にて、車両検出部44が第nレーンに対応する車両有無フラグXnを0(ゼロ)とする。次にステップS25にて、車両検出部44がレーン番号用変数nをインクリメント(n=n+1)する。
車両検出部44は、レーン番号用変数nが給油エリア3に設けられている給油レーン数を超えるまで、ステップS22からステップS25までの処理を繰り返し実行する。レーン番号用変数nが給油エリア3に設けられている給油レーン数を超えた場合(ステップS26:YES)には、処理を終了する。
図6に示される燃料供給処理に戻り、ステップS102において上記した車両検出処理が実行されると、次にステップS103にて、車両検出部44が車両有無フラグXnの合計を求める。1つ以上の給油レーンに車両120が停車し、車両有無フラグXnの合計が1以上となった場合(ステップS103:YES)には、ステップS104に進む。車両120が各給油レーンに存在せず、車両有無フラグXnの合計が0(ゼロ)の場合(ステップS103:NO)には、ステップS101に戻る。
ステップS104では、車両検出部44が、事務所内報知器53を作動させて車両120が給油エリア3に到来したことを報知する。作業員110は、事務所30にいた場合には車両120への給油作業のために給油エリア3の車両120が進入した給油レーンに移動する。
次にステップS105にて、作業員確認部46が、給油エリア3における作業員110の存在の有無を確認する。作業員110に所持されている送信器111と受信器112との間の通信が成立し、作業員確認部46により給油エリア3における作業員110の存在が確認された場合(ステップS105:YES)には、ステップS106に進む。ステップS106では、給油ノズル位置制御部41が給油ノズル12を「格納位置」から「待機位置」に移動させる。
給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」に下降し、作業員110により給油操作器26のワイヤスイッチ29が引き下げられると(ステップS107:YES)、ステップS108に進む。ステップS108では、給油ノズル位置制御部41が、給油ノズル12を「待機位置」から「給油位置」に下降させる。
次に、作業員110により給油操作器26の給油開始ボタン32が押下されると(ステップS109:YES)、ステップS110にて、給油量演算部43が給油量表示器35の車両120に給油を行う給油レーンの表示をリセットする。
ステップS111では、送液制御部42が、ポンプ用モータ7や比例電磁弁11を送液制御し、ポンプ8から給油ノズル12に送液して車両120への給油を開始する。
ステップS112では、ステップS101と同様に図7に示される火気検出処理が実行される。また、ステップS113では、ステップS102と同様に図8に示される車両検出処理が実行される。
給油レーンの車両有無フラグXnが0(ゼロ)だった場合(ステップS114:YES)、すなわち給油中に車両120が給油レーンから移動した場合には、ステップS117にて、送液制御部42が送液停止して当該給油レーンにおける給油を停止させる。また、作業員110によって給油操作器26の給油停止ボタン33が押下された場合(ステップS115:YES)にも、ステップS117にて、送液制御部42が送液停止して当該給油レーンにおける給油を停止させる。さらに、火気検出フラグESが1の場合(ステップS116:YES)には、給油エリア3内の火気により事故が発生する可能性があるため、ステップS117にて、送液制御部42が送液停止して給油を停止させる。
ステップS114、ステップS115、及びステップS116が何れも「NO」の場合には、ステップS112以降の処理が実行される。ステップS117にて車両120の給油が停止されても、車両120が給油レーンに戻ったり、火気が消されたりした後に給油操作器26の給油開始ボタン32が押下された場合(ステップS118:YES)には、ステップS111に戻って再び車両への給油が開始される。
給油が再開されない場合(ステップS118:NO)には、ステップS119にて、ワイヤスイッチ29がONになったか否かを判定する。作業員110によりワイヤスイッチ29が引き下げられてONになった場合(ステップS119:YES)には、ステップS120にて、給油ノズル位置制御部41が給油ノズル12を「給油位置」から「待機位置」に移動させる。ワイヤスイッチ29がONになっていない場合(ステップS119:NO)には、ステップS118に戻る。
ステップS121では、作業員確認部46が、給油エリア3における作業員110の存在の有無を確認する。作業員110が給油エリア3に存在する場合(ステップS121:YES)には、ステップS107に戻る。また、作業員110が給油エリア3から立ち去って不在の場合(ステップS121:NO)には、ステップS122にて、給油ノズル位置制御部41が給油ノズル12を「待機位置」から「格納位置」に移動させ、処理を終了する。
上記した燃料供給処理によれば、給油エリア3に車両120が進入して給油エリア3における作業員110の存在が確認された場合に、給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」に下降する。給油エリア3に作業員110や車両120が不在の場合には、給油ノズル12が「格納位置」に格納されるため、非給油作業時における侵入者等による操作が防止され、懸垂式燃料供給所100における安全性や防犯性が向上する。
また、車両120が来所して給油エリア3に作業員110がいる場合には給油ノズル12が「待機位置」に自動的に下降するため、作業員110が給油作業を短時間で効率良く開始することが可能になっている。
さらに、給油エリア3において火気が検出された場合には、立入禁止ランプ55の点灯や、給油エリア内報知器52や事務所内報知器53からの警報等によって、給油エリア3に火気を持ち込んだ者に退出や消化等が促される。また、作業員110が火気の存在を認識して即座に対応することが可能になる。このため、給油エリア3におけるタバコ等の火気に起因する事故の発生を低減できる。
以上で説明したように、第1の実施形態における懸垂式燃料供給所システム101によれば、懸垂式燃料供給所100における安全性や防犯性が向上し、作業員110が車両120への燃料供給を効率良く行うことが可能になる。
なお、給油ノズル位置制御部41は、非給油作業時には給油ノズル12を「格納位置」に格納し、車両検出部44によって車両120が検出された場合、又は作業員確認部46によって給油エリア3における作業員110の存在が確認された場合に、給油ノズル12を「格納位置」から「待機位置」に移動させてもよい。
非給油作業時には給油ノズル12を「格納位置」に位置させることで、非給油作業時における侵入者等による給油ノズル12の操作を防止し、懸垂式燃料供給所100における安全性や防犯性を向上させることができる。また、給油エリア3への車両120の進入に応じて給油ノズル12を「待機位置」に移動させることで、作業員110による車両120への給油作業を短時間で効率良く開始することが可能になる。また、作業員110が給油エリア3にいる場合には給油ノズル12を「待機位置」に移動させておくことで、安全性や防犯性を保ちながら、作業員110による車両120への給油作業を短時間で効率良く開始することが可能になる。
また、図9に示すように、給油エリア3に進入してきた車両120が検出された場合に、車両120を空いている給油レーンに導くように、例えば空いている給油レーンの給油ノズル12を選択して下降させてもよい。車両120を空いている給油レーンに導いて停車させることで、給油作業を円滑に開始することが可能になる。この場合には、給油エリア3に進入してきた車両120の検出に要する時間を短縮するために、例えば検出範囲が給油エリア3の出入口付近となるように車両検出器51を設置してもよい。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する。
<懸垂式燃料供給所>
図10は、第2の実施形態における懸垂式燃料供給所200を例示する図である。第2の実施形態における懸垂式燃料供給所200には、作業員110の確認操作を受け付ける作業員確認装置130が建屋2に設けられている。なお、作業員確認装置130は、作業員110が給油エリア3において操作可能であれば、建屋2以外の異なる位置に設けられてもよい。
図11は、第2の実施形態における作業員確認装置130を例示する図である。
図11(A)に示されるように、作業員確認装置130は、箱型の筐体前面の扉131に錠132が設けられている。作業員110は、所持している鍵で錠132を開錠して扉131を開けることができる。
図11(B)に示されるように、作業員確認装置130の筐体内には、確認ボタン133が設けられている。作業員110は、給油エリア3への車両120の進入を確認した後に、作業員確認装置130の扉131を開けて内部の確認ボタン133を押下する。作業員110により確認ボタン133が押下されると、給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」に下降して給油作業を行うことが可能になる。
確認ボタン133は、例えば接触した人の静電気を除去可能な抵抗値以下の導電性材料を用いた静電気除去部材で形成されており、筐体を通じて接地されている。作業員110は、確認ボタン133の押下時に静電気が除去されるため、給油作業時に改めて静電気除去を行う必要がなく、給油作業を円滑に効率良く開始することが可能になる。
作業員110の静電気除去をより確実に行うために、確認ボタン133が例えば1秒以上継続して押下された場合に作業員確認装置130から制御装置40に確認信号が送信される設定であってもよい。作業員110から静電気を除去して給油作業の安全性を高めることができる。
なお、作業員確認装置130の扉131に設けられている錠132は、作業員110以外による確認ボタン133の操作を制限する制限手段の一例である。制限手段としては、例えばICカードや指紋認証等で作業員110を確認して確認ボタン133の操作を許可する構成であってもよい。
<懸垂式燃料供給所システム>
図12は、第2の実施形態における懸垂式燃料供給所システム201を例示する図である。
図12に示されるように、懸垂式燃料供給所システム101は、流量発信器10、昇降量検出器19、給油操作器26、車両検出器51、作業員確認装置130、制御装置40、ポンプ用モータ7、比例電磁弁11、昇降用モータ17、給油量表示器35、給油エリア内報知器52、事務所内報知器53、立入禁止ランプ55を含む。
制御装置40は、給油ノズル位置制御部41、送液制御部42、給油量演算部43、車両検出部44、火気検出部45を有する。
本実施形態における給油ノズル位置制御部41は、車両120への給油を行わない非給油作業時には、給油ノズル12を「格納位置」に格納させる。また、給油ノズル位置制御部41は、車両検出部44により車両120が検出され、作業員110によって作業員確認装置130の確認ボタン133が押下された場合に、給油ノズル12を「格納位置」から「待機位置」に下降させる。
<燃料供給処理>
図13は、第2の実施形態における燃料供給処理のフローチャートを例示する図である。
燃料供給処理のステップS201からS204までの処理は、第1の実施形態における燃焼供給処理のステップS101からS104までの処理と同様である。
第2の実施形態における燃料供給処理では、給油エリア3に車両120が進入し(ステップS203:YES)、車両120を確認した作業員110によって作業員確認装置130の確認ボタン133が押下された場合(ステップS205:YES)に、ステップS206にて、給油ノズル位置制御部41が給油ノズル12を「格納位置」から「待機位置」に下降させる。ステップS207からステップS220までの処理は、第1の実施形態におけるステップS107からステップS120までの処理と同様である。
第2の実施形態における燃料供給処理では、ステップS221にて、制御装置40が給油操作器26のUPボタン31が押下されたか否かを判定する。作業員110によりUPボタン31が操作されていない場合(ステップS221:NO)には、ステップS218に戻る。また、作業員110によりUPボタン31が押下された場合(ステップS221:YES)には、給油ノズル位置制御部41が給油ノズル12を「待機位置」から「格納位置」に移動させ、処理を終了する。
第2の実施形態における燃料供給処理では、上記したように、給油エリア3に車両120が進入して作業員110により確認ボタン133が押下されると、給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」に下降する。作業員確認装置130は、錠132等の制限手段により作業員110以外は開錠して確認ボタン133を押下できないように構成されている。したがって、例えば侵入者等は給油ノズル12を操作することはできないため、懸垂式燃料供給所100における安全性及び防犯性が高められている。
また、給油エリア3に進入してきた車両120を確認した作業員110が確認ボタン133を押下することで、給油エリア3における作業員110の存在が確認されて給油ノズル12が「格納位置」から「待機位置」に自動的に下降する。したがって、作業員110は車両120への給油を円滑に効率良く開始することが可能になっている。
以上で説明したように、第2の実施形態における懸垂式燃料供給所システム201では、作業員110以外による給油ノズル12の操作を防止し、懸垂式燃料供給所100の安全性及び防犯性を高めることができる。また、車両120への給油を効率良く開始することが可能になっている。
以上、実施形態に係る懸垂式燃料供給所システムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
例えば、上記した実施例では給油に関する説明を行ったが、車両に供給される燃料は、LPG等の他の液体燃料であってもよく、CNG等の気体燃料等であってもよい。
また、給油ノズル位置制御部41は、作業員110によるワイヤスイッチ29又はUPボタン31の操作に応じて、給油ノズル12を「作業位置」から「待機位置」又は「格納位置」に移動させてもよく、「待機位置」から「格納位置」に移動させてもよい。また、給油操作器26に下降ボタンを設け、下降ボタンが押下された場合に給油ノズル12を「待機位置」から「作業位置」に下降させてもよいのはもちろんである。