JP6761563B2 - 除染装置および除染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、殺菌処理とエンドトキシン不活化処理とを行う除染装置に関する。
医療分野やバイオテクノロジー分野で用いる機器類や設備類は、衛生管理のため殺菌処理やエンドトキシン不活化処理が行われる。エンドトキシンはグラム陰性菌の外膜に存在し、リボ多糖を構成成分とする、自然界に広く存在する発熱性物質である。エンドトキシン不活化処理としては、化学処理、放射線照射、熱処理、オゾン処理と紫外線照射との複合処理等が提案される。
化学処理の例として、特許文献1には、医用高分子化合物等の化学物質の粗製物を塩基性条件下に液状物質と混合し、析出した上記化学物質を分離することで粗製物中のエンドトキシンに対する不活化・除去を行う、化学物質の精製方法が開示される。特許文献2は、隔膜式電気分解法により生成され、有効塩素濃度が200ppm以上の酸性電解水によってエンドトキシンを不活化する方法が開示される。
特許文献3には、エンドトキシン含有タンパク質溶液を界面活性剤で処理する方法が開示される。特許文献4には、酸もしくは塩基を含む有機溶媒をβ-1,3グルカンに加え、60℃以下で撹拌する方法が開示される。特許文献5には、エンドトキシンが含有する試料の溶液に水酸化四級アンモニウム等を添加する方法が開示される。特許文献6には、エンドトキシンを不活化ないし除去する箇所に電解強酸性水を接触させる方法が開示される。しかし、これらの化学処理によるエンドトキシン不活化処理は、再現性が低い。またいずれも湿式処理である。
非特許文献1には、オゾン処理と紫外線照射との複合処理の例が開示される。この複合処理は、水溶液中のエンドトキシン不活化処理に関するものである。また特許文献7には、高飽和水蒸気条件下、処理温度106〜150℃程度で行われるソフト水熱プロセスが開示される。上記のとおり、従来のエンドトキシン不活化処理は、湿式処理が多数である。
一方で、乾式処理として熱処理がある。熱処理条件の例として処理温度250℃程度で30分間程度行われる場合がある。そのような熱処理は、主に金属、ガラス、無機物等を被処理物として行われる。しかし有機材料を用いる被処理物や有機物は耐熱性が低いため、上記の乾熱処理は適さない。また放射線照射によるエンドトキシン不活化処理は大量の照射量が必要なため周辺部材への悪影響が出やすい。上記の通り、効果的な乾式処理は見出されていない。
殺菌方法としては、高温殺菌、オゾンや過酸化水素等の酸化剤で酸化処理する方法、紫外線、電子線を照射する方法が提案される。しかしいずれの殺菌方法も、乾式処理によるエンドトキシン不活化処理として利用するには実用的でない。すなわち、殺菌処理とエンドトキシン不活化処理とを一括して行う除染方法は確立されていない。
特開2006-321890号公報 特開2004-89448号公報 特開2003-342294号公報 特開平8-269102号公報 特開2000-72659号公報 特開平10-180256号公報 特開2010-75619号公報
PDA Journalof Pharmaceutical Science and Technology, 1991, 45 183-186
本発明の課題は、被処理物の殺菌処理と同時期にエンドトキシン不活化処理を行う除染装置と除染方法とを提供することである。
本発明は、チャンバーと、チャンバーにそれぞれ接続する過酸化水素蒸気発生装置と、オゾンガス発生装置とを備える除染装置である。該除染装置は、チャンバー内の相対湿度として、みかけの相対湿度と実質相対湿度とのいずれか一つ以上を測定する測定装置を備えることが好ましい。
上記の過酸化水素蒸気発生装置は、過酸化水素濃度調節機能を備えることが好ましい。またオゾンガス発生装置は、オゾンガス濃度調節機能を備えることが好ましい。さらに本発明は、チャンバー内を減圧する減圧装置と、チャンバー内の相対湿度を調節する調湿装置と、チャンバー内の温度を調節する調温装置とのいずれか一つ以上を備えることが好ましい。またチャンバーから排出される過酸化水素とオゾンとのいずれか一つ以上を分解する分解装置を備えることが好ましい。
本発明の除染装置は、チャンバー内の温度条件が20〜60℃であることが好ましい。本発明は、チャンバー内の50℃でのみかけの相対湿度が50〜99.9%RHである除染装置を包含する。より好ましくは、チャンバー内の50℃でのみかけの相対湿度は90〜99.9%RHである。またチャンバー内の30℃でのみかけの相対湿度が50〜99.9%RHである除染装置を包含する。本発明は、チャンバー内の50℃での実質相対湿度が、45〜70%RHである除染装置を包含する。またチャンバー内の30℃での実質相対湿度が、25〜70%RHの除染装置を包含する。
本発明は、チャンバー内に過酸化水素蒸気を供給する過酸化水素蒸気供給工程と、チャンバー内にオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程とを含み、チャンバー内で被処理物と過酸化水素蒸気とオゾンガスとを接触させて、被処理物を殺菌し、かつ被処理物を汚染するエンドトキシンを不活化する除染方法を包含する。
本発明の除染方法においては、チャンバー内の温度条件を20〜60℃にして行うことが好ましい。またチャンバー内の50℃でのみかけの相対湿度を50〜99.9%RHにして行うことが好ましく、より好ましくは、90〜99.9%RHにして行う。また、チャンバー内の30℃でのみかけの相対湿度を50〜99.9%RHにして行うことが好ましい。さらにチャンバー内の50℃での実質相対湿度を45〜70%RHにして行うことが好ましい。またチャンバー内の30℃での実質相対湿度を25〜70%RHにして行うことが好ましい。
本発明は、殺菌処理と同時期にエンドトキシン不活化処理を行える除染装置と、除染方法である。
本発明の除染装置の例を示す模式図である。 本発明の過酸化水素蒸気とオゾンガスとの供給モデル図である。 本発明の実施例のエンドトキシン不活化率とBI殺菌結果を示す図である。 本発明の実施例のエンドトキシン不活化率とBI殺菌結果を示す図である。 本発明の除染装置の例を示す模式図である。 本発明の実施例の補足試験結果を示す図である。 本発明の実施例のBI殺菌のD値を示す図である。 本発明の実施例のBI殺菌のD値を示す図である。 本発明の実施例のエンドトキシン不活化率とBI殺菌結果を示す図である。 本発明の実施例の補足試験結果を示す図である。
[除染装置]
本発明の除染装置は、チャンバーと、チャンバーにそれぞれ接続する過酸化水素蒸気発生装置と、オゾンガス発生装置とを備える。これにより本発明は、殺菌処理とエンドトキシン不活化処理とを同時期に行える。本発明は、チャンバー内の相対湿度として、みかけの相対湿度と実質相対湿度とのいずれか一つ以上を測定する測定装置を備えることが好ましい。本発明においてチャンバー内の相対湿度とは、過酸化水素蒸気とオゾンガスとの供給開始時から供給終了時までのチャンバー内の所定の温度における平均相対湿度を意味する。さらに詳しくは、みかけの相対湿度の平均値または実質相対湿度の平均値である。
相対湿度の測定装置は、感応部にチャンバー内に供給された過酸化水素蒸気が吸着して、チャンバー内の実質的な水分量よりも多い水分量で測定値が示される場合がある。そのような測定値を、本発明においては「みかけの相対湿度」という。これに対し「実質相対湿度」とは、過酸化水素蒸気の感応部への吸着の影響を抑制できる測定装置により示される相対湿度をいう。
本発明において相対湿度の測定装置は、必要に応じて、みかけの相対湿度と実質相対湿度とのいずれかを測定できる装置を装備すればよい。また両方の相対湿度を測定する場合は、みかけの相対湿度の測定装置と実質相対湿度の測定装置とを併用してもよく、単一の測定装置で双方の相対湿度を測定できる場合は、これを用いてもよい。
本発明は、チャンバー内の過酸化水素蒸気やオゾンガスの量、この他水分量等を除染装置に装備される装置によって適宜調節できる。過酸化水素濃度を調節する場合、過酸化水素濃度調節機能を備える過酸化水素蒸気発生装置を装備することが好ましい。蒸発器を備える過酸化水素蒸気発生装置における過酸化水素濃度調節機能の例としては、蒸発器への過酸化水素水溶液の滴下量の調節機能が挙げられる。またオゾンガス濃度を調節する場合、オゾンガス濃度調節機能を備えるオゾンガス発生装置を装備することが好ましい。オゾンガス濃度調節機能の例としては、オゾンガス発生装置におけるオゾンガス出力量調節機能が挙げられる。
さらに本発明は、チャンバー内を減圧する減圧装置と、チャンバー内の相対湿度を調節する調湿装置と、チャンバー内の温度を調節する調温機能とのいずれか一つ以上を備えることが好ましい。これにより上記の殺菌処理とエンドトキシン不活化処理との効率を向上させることができる。またチャンバーから排出される過酸化水素とオゾンとのいずれか一つ以上を分解する分解装置を備えることも好ましい。
図1は、本発明の除染装置の例を示す模式図である。図1において、1は除染装置、2は過酸化水素蒸気発生装置、3はオゾンガス発生装置、4は被処理物を収容するチャンバーである。過酸化水素蒸気発生装置2とオゾンガス発生装置3とはそれぞれチャンバー4に接続し、チャンバー4内に過酸化水素蒸気とオゾンガスとを供給する。5はチャンバー4内を調湿する調湿装置、6はチャンバー4から排出されたオゾンや過酸化水素を分解する分解装置である。分解装置6にはオゾンや過酸化水素の分解を促進する触媒を充填する。7はチャンバー内を減圧する減圧装置である。なおオゾンガス発生装置3は不図示の酸素ボンベを連通させ、任意の切替手段により酸素をチャンバー内に供給可能にしてもよい。また本発明は、図1において不図示の調温装置を備え得る。調温装置を備える本発明の例は図5に示す。
図5は、本発明の除染装置の例を示す模式図である。8は相対湿度の測定装置であり、9は恒温槽である。10は調温装置である。図5においては相対湿度の測定装置8を一つ装備した状態を示す。ただしみかけの相対湿度と実質相対湿度とを測定する場合、必要に応じて二つ以上の測定装置を装備させてもよい。
過酸化水素蒸気発生装置は、少なくとも過酸化水素水溶液を収容し、滴下可能な容器と、該容器から過酸化水素水溶液が滴下されて過酸化水素蒸気を生成する蒸発器とを備える。オゾンガス発生装置は、少なくとも酸素供給機構と放電機構とを備える。
本発明は、チャンバー内に過酸化水素蒸気とオゾンガスとを導入し、互いを接触させることでヒドロキシラジカルを生成できる。ヒドロキシラジカルは酸化力が強い。そのため本発明は、チャンバー内に収容される被処理物をヒドロキシラジカルと接触させることにより、被処理物の殺菌処理とエンドトキシン不活化処理とを同時期に行える。すなわち本発明は、オゾン促進酸化法を利用した乾式処理による除染装置である。本発明は、被処理物を処理液中に浸漬させたり、混合させたりする必要がない。そのため簡便に殺菌処理とエンドトキシン不活化処理とを行える。
本発明においては、被処理物と接触するヒドロキシラジカルの量が多いほど、殺菌効果とエンドトキシン不活化効果とを向上できる。そのためチャンバー内でのヒドロキシラジカルの生成量は多いほど好ましい。また、できるだけ被処理物の近傍でヒドロキシラジカルを生成することが好ましい。
ヒドロキシラジカルの生成量を向上させる観点からは、チャンバー内の温度条件と湿度条件とを調節し、結露を発生させない範囲でチャンバー内を高湿度にしておくことが好ましい。温度条件は、被処理物や本発明の装置部材の耐熱温度より低温であればよい。チャンバー内の温度条件を20〜60℃にして行うことが好ましい。より好ましくは25〜55℃にし、さらに好ましくは30〜50℃にして行う。本発明は、室温に近い条件で所望の作用効果が得られるため、装置構成の複雑化を回避できる。
本発明は、チャンバー内の湿度条件について、チャンバー内の50℃でのみかけの相対湿度を50〜99.9%RHにして行うことが好ましく、90〜99.9%RHにして行うことがより好ましい。チャンバー内の30℃でのみかけの相対湿度を50〜99.9%RHにして行うことも好ましい。またチャンバー内の50℃での実質相対湿度を45〜70%RHにして行うことが好ましく、50〜70%RHにして行うことがより好ましい。みかけの相対湿度を99.9%RH以下に、または実質相対湿度を70%RH以下に設定することで、チャンバー内の結露を抑制できる。しかしみかけの相対湿度が50%RH未満の場合、また実質相対湿度が45%RH未満の場合、所望のエンドトキシン不活化効果を得られなくなる。
チャンバー内で処理する被処理物の表面が結露すると、被処理物表面近傍でオゾンと過酸化水素とが接触し難くなる。その場合、被処理物表面近傍でのヒドロキシラジカル生成量が少なくなるため、殺菌効果とエンドトキシン不活化効果とがいずれも不十分になる。本発明はチャンバー内を上記の好ましいみかけの相対湿度や実質相対湿度を保つことにより、殺菌効果とエンドトキシン不活化効果とを同時期に得られる。
実質相対湿度は、みかけの相対湿度と比較して理論値に近い傾向がある。そのため、エンドトキシン不活化効果向上に好適な相対湿度を見出す観点からは、実質相対湿度の測定が有用である。一方、結露防止の観点からは、みかけの相対湿度に基づいて調湿することが効率的である。その理由は、過酸化水素蒸気の特徴として、その濃度が高いほど理論値が100%RH以下でも結露する傾向があり、また、みかけの相対湿度は実質相対湿度より高い測定値を示す傾向があるためである。
なお本発明の湿度条件は、温度条件が30℃の場合や50℃の例に限定されない。他の温度条件においても高湿度に、例えばみかけの相対湿度を90%RH以上、または実質相対湿度を45%RH以上に設定することが好ましい。ただし結露が発生しないことが条件である。チャンバー内のみかけの相対湿度や実質相対湿度は、乾湿計で測定できる。
所定の温度条件下における相対湿度は、チャンバー内に供給される過酸化水素蒸気に含有される水分量、オゾンガスの供給量等に応じて変動する。したがって相対湿度の調節は、チャンバーに供給する過酸化水素水溶液の水分量やオゾンガス流量の調節等によって行える。なお既述のとおり、装備する測定装置により、同じ雰囲気であっても、みかけの相対湿度と実質相対湿度とでは、異なる値が示され得る。
さらにチャンバー内の相対湿度を安定させるため、減圧装置や調湿装置を付加してもよい。減圧装置としては、真空ポンプ等の公知の減圧装置を用いることができる。調湿装置としては、公知の加湿器や除湿器を用いることができる。チャンバーに調温手段を付加することも好ましい。調温手段としては、ヒーターやクーラー等の公知の調温装置が挙げられる。これにより、チャンバー内を所望の好ましい湿度条件に調節しやすくなり、安定的にヒドロキシラジカルを生成できる。
本発明においてチャンバーに供給される過酸化水素蒸気は、従来公知の過酸化水素蒸気発生装置を用いて発生させることができる。過酸化水素蒸気の濃度は、300〜1000ppmが好ましく、600〜800ppmがより好ましい。300ppmより低濃度の場合、ヒドロキシラジカルの生成量が不十分になり、エンドトキシン不活化効果が低下する。1000ppmより高濃度の場合、被処理物の材料劣化が顕著になる。
本発明においてチャンバーに供給されるオゾンガスは、従来公知のオゾンガス発生装置を用いて発生させることができる。オゾンガスの濃度は、300〜3000ppmが好ましく、600〜1600ppmがより好ましい。3000ppmより高濃度の場合、被処理物の材料劣化が顕著になる。300ppmより低濃度の場合、エンドトキシン不活化効果が低下する。また過酸化水素とオゾンとの供給量比(所定時間内の供給量の積分値比)として、少なくとも1:0.5〜1:2の場合に、より好ましくは1:1〜1:2の場合に、優れた殺菌効果とエンドトキシン不活化効果とを得られる。
本発明の殺菌効果の指標として、チャンバー内に設置したバイオロジカルインジケーター(BI)の試験結果を用いることができる。例えば初菌数が106CFUの場合、菌数が105CFU以下、さらに104CFU以下に減少していれば、殺菌効果があったと認められる。0CFUになった場合は、滅菌できたと認められる。すなわち初菌数の90%以下になれば、少なくとも殺菌効果があったと判定する。
エンドトキシン不活化効果は、第十六改正日本薬局方第一追補エンドトキシン試験法に準拠するリムルス試験を用いて、エンドトキシン残存活性を測定することで評価できる。すなわち、エンドトキシン残存活性に基づき、未処理時の回収率を100%としてエンドトキシン不活化率を計算できる。エンドトキシン不活化率は95.0%以上であることが好ましく、99.9%以上であることがより好ましい。エンドトキシン不活化率99.9%とは、エンドトキシン回収率0.1%と同じとみなせる。
[エンドトキシン不活化率]
A:除染方法実施前のエンドトキシン活性(EU/ml)
B:除染方法実施後のエンドトキシン活性(EU/ml)
エンドトキシン不活化率(%)=[(A-B)/A]*100
他の殺菌効果の指標として、D値が挙げられる。D値とは、特定の微生物数の90%を減少させる、または10分の1に減少させる滅菌処理単位をいう。D値が小さいほど滅菌能力が高いと評価できる。
本発明のチャンバーとしてはグローブボックス、滅菌庫等が挙げられる。その他、医療分野やバイオテクノロジー分野、食品分野、農業分野の実験設備や生産設備等でもよい。チャンバーの容積や、被処理物の形状、大きさ、材料種により、過酸化水素蒸気とオゾンガスとのチャンバーへの供給条件は適宜調節される。グローブボックスへの供給は、ポンプ、ファン等が用いられる。これにより、チャンバー内の調湿を行いやすくなる。そのためポンプ等による過酸化水素蒸気の供給は、ヒドロキシラジカル生成量の向上に寄与する。
[除染方法]
本発明の除染方法は、チャンバー内に過酸化水素蒸気を供給する過酸化水素蒸気供給工程と、チャンバー内にオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程とを含み、チャンバー内で被処理物と過酸化水素蒸気とオゾンガスとを接触させて、被処理物を殺菌し、かつ被処理物を汚染するエンドトキシンを不活化する除染方法である。
チャンバー内の温度条件は、20〜60℃であり、25〜55℃がより好ましく、30〜50℃がさらに好ましい。本発明においてチャンバー内の温度とは、過酸化水素蒸気とオゾンガスとの供給開始時から供給終了時までのチャンバー内の平均温度を意味する。上記の好ましい範囲内で除染方法を行うことにより、装置コストやエネルギーコストを低減して、殺菌効果とエンドトキシン不活化効果とを得られる。
チャンバー内の湿度条件は、50℃でのみかけの相対湿度が50〜99.9%RHであることが好ましく、90〜99.9%RHであることがより好ましい。チャンバー内の30℃でのみかけの相対湿度が50〜99.9%RHであることも好ましい。さらにチャンバー内の50℃での実質相対湿度が45〜70%RHであることが好ましく、50〜70%RHであることがより好ましい。チャンバー内の30℃での実質相対湿度が25〜70%RHであることが好ましく、35〜70%RHであることがより好ましい。
上記の好ましいみかけの相対湿度の範囲から外れると、ヒドロキシラジカルの生成量が少なくなる。その場合、十分な殺菌効果とエンドトキシン不活化効果とが得られない。チャンバー内の温度とみかけの相対湿度とは、公知の温湿度計を用いて測定できる。
過酸化水素蒸気供給工程では、チャンバーに接続された所定の過酸化水素蒸気発生装置から、過酸化水素ガスをチャンバーへ供給する。該工程では、過酸化水素水溶液の水分量の調節や蒸発器への過酸化水素水溶液の滴下量の調節により、チャンバーへの過酸化水素蒸気供給量を調節できる。チャンバー内の過酸化水素蒸気の濃度は、所定の温度条件下で好ましい範囲内のみかけの相対湿度にしやすい濃度に調節することが好ましい。
本発明において過酸化水素蒸気の濃度は、300〜1000ppmが好ましく、600〜800ppmがより好ましい。300ppmより低濃度の場合、ヒドロキシラジカルの生成量が不十分になり、エンドトキシン不活化効果が低下する。1000ppmより高濃度の場合、被処理物の材料劣化が顕著になる。過酸化水素蒸気の濃度は、公知の濃度計で測定できる。
オゾンガス供給工程では、チャンバーに接続された所定のオゾンガス発生装置から、オゾンガスをチャンバーへ供給する。オゾンガス発生装置からチャンバーへのオゾンガスの流量を調節することにより、チャンバー内へのオゾンガスの供給量を調節できる。チャンバー内のオゾンガスの濃度は、300〜3000ppmが好ましく、600〜1600ppmがより好ましい。3000ppmより高濃度の場合、被処理物の材料劣化が顕著になる。300ppmより低濃度の場合、エンドトキシン不活化効果が低下する。オゾンガスの濃度は、公知のオゾン濃度計で測定できる。
過酸化水素とオゾンとのチャンバーへの供給量比について、少なくとも、1:0.5〜1:2の時にヒドロキシラジカルが生成されることが確認できる。好ましくは1:1〜1:2とすることで、本発明所望の殺菌効果とエンドトキシン不活化効果を得るために十分量のヒドロキシラジカルを生成できる。過酸化水素とオゾンとのチャンバーへの供給量比は、それぞれの濃度と供給速度とを調節することで、上記の好ましい範囲内の供給量比にできる。
過酸化水素蒸気供給工程とオゾンガス供給工程とは、いずれを先行させてもよく、並行させてもよい。すなわち、過酸化水素蒸気とオゾンガスとは混合後にチャンバーに供給してもよく、それぞれ別々にチャンバーに供給してもよい。ヒドロキシラジカルの生成量を向上させる観点からは、過酸化水素蒸気供給工程を先行させることが好ましい。被処理物の近傍に予め過酸化水素と水とを存在させることで、オゾンガスがチャンバー内に供給されたとき、被処理物の近傍でヒドロキシラジカルを生成させやすくなる。これにより良好な殺菌効果とエンドトキシン不活化効果が得られる。
過酸化水素蒸気供給工程における過酸化水素蒸気と、オゾンガス供給工程におけるオゾンガスとは、連続的に供給してもよく不連続的に供給してもよい。図2は、本発明における過酸化水素蒸気とオゾンガスとの供給モデル図である。図2(a)ないし図2(c)の縦軸に示される「供給量」は、所定の供給時における過酸化水素蒸気とオゾンガスとの一つ以上の瞬間的な供給量である。また破線で囲まれる面積は、所定の供給時間内の過酸化水素蒸気の供給量の積分値を表す。実線で囲まれる面積は、所定の供給時間内のオゾンガスの供給量の積分値を表す。
図2(a)は、過酸化水素蒸気とオゾンガスとをいずれも連続的に供給する供給モデルである。図2(a)の供給モデルでは、過酸化水素蒸気とオゾンガスとの供給モデルが矩形で表される。図2(b)は、オゾンガスを連続的に供給し、過酸化水素ガス(温水ガス)を不連続的に供給する供給モデルである。図2(c)は、オゾンガスと過酸化水素蒸気とを交互に不連続的に供給する供給モデルである。図2(b)と図2(c)とでは、過酸化水素蒸気やオゾンガスが不連続的に供給される場合について、正弦波状の供給モデルで表される。不連続的な供給は、矩形波状の供給モデルであってもよい。
本発明においては、上記に例示する供給モデルに限定されず、本発明の作用効果を得られる必要量のヒドロキシラジカルを安定的に生成できる供給モデルが適宜選択される。なおヒドロキシラジカルの生成量は、公知の方法により測定できる。
上記の過酸化水素蒸気供給工程とオゾンガス供給工程とにより、チャンバー内の殺菌処理とエンドトキシン不活化処理とを同時期に行える。被処理物を汚染するエンドトキシンの不活化は、第十六改正日本薬局方第一追補エンドトキシン試験法に準拠するリムルス試験を用いてその効果を確認できる。ヒドロキシラジカルは、過酸化水素やオゾンガスと比較して酸化力が強い。そのため本発明は、過酸化水素蒸気とオゾンガスとのいずれか一方をチャンバー内に供給する場合と比較して、エンドトキシン不活化率が高いと推察される。
また本発明は、上記のエンドトキシン不活化効果と同時期に得られる殺菌効果も過酸化水素蒸気とオゾンガスとのいずれか一方をチャンバー内に供給する場合と比較して良好である。すなわち本発明は、短時間で被処理物を殺菌でき、ヒドロキシラジカルとの接触量を増加させることにより滅菌も可能である。
本発明を、実施例を用いてさらに説明する。なお本発明は以下に説明する実施例に限定されない。
[実施例1ないし実施例8、比較例1ないし比較例5]
実施例1ないし実施例8と比較例1ないし比較例5との除染装置では、チャンバーとしてステンレス製容器を用いた。各チャンバーは恒温槽に設置した。各チャンバーには過酸化水素蒸気発生装置とオゾンガス発生装置とを接続させ、チャンバー内に過酸化水素蒸気とオゾンガスとを別々の供給口から供給できるようにした。また上記の装置の排気ラインには、分解装置を設けた。
[過酸化水素蒸気発生装置]澁谷工業製HYDEC相当品
乾熱処理済みの36mm2のガラス板を担体として準備した。担体にEscherichia coli ATCC 23501由来のエンドトキシンを10ng塗布し、乾燥させたものをEI (Endotoxin Indicator)として、実施例1ないし実施例8と比較例1ないし比較例5とで用いた各除染装置のチャンバー内にそれぞれ3個設置した。実施例1と実施例3と実施例6ないし実施例8とのチャンバー内には、さらにBIを3個設置した。BIの指標菌は、Geobacillus stearothermophilus ATCC 12980で、初菌数は、106CFU/Discであった。
過酸化水素蒸気発生装置で、水で1〜35%に希釈した過酸化水素水溶液を、滴下速度0.03〜0.80ml/minで蒸発器に滴下して過酸化水素蒸気を発生させ、チャンバー内に供給した。過酸化水素蒸気の供給速度は、2〜5l/minとした。チャンバー内の過酸化水素蒸気の濃度が安定した後、オゾンガスを供給速度2〜5l/minでチャンバー内に供給した。なお実施例6ないし実施例8においては、過酸化水素水溶液の水分量や過酸化水素蒸気発生装置での蒸発器への滴下速度を調節して、図3に示す条件に調節した。
過酸化水素蒸気の濃度は、電気化学式センサ(ドレーゲル社製ポリトロン7000相当品)を用いて計測した。オゾンガスの濃度は、紫外線吸収式オゾンモニタ(荏原実業株式会社製EG2001B相当品)を用いて観察した。チャンバー内の温度と湿度とは、温湿度計(エスペックミック株式会社製RS-13H、RSH-30103相当品)を用いて観察した。チャンバー内の過酸化水素蒸気とオゾンガスとの濃度と、みかけの相対湿度と、温度とを図3に示す条件になるように調節した。なお図3では、みかけの相対湿度を「相対湿度」と記載している。
図3に示す条件を満たした時から60分後、過酸化水素蒸気とオゾンガスとの供給を同時に終了し、EIとBIを各チャンバーから全て取り出した。EIは第十六改正日本薬局方第一追補エンドトキシン試験法に準拠するリムルス試験を行い、上記の方法でエンドトキシン不活化率を算出した。実施例1ないし実施例8のエンドトキシン不活化率は、いずれも極めて良好であった。
BIは7日間培養した後、指標菌数を確認した。実施例1と実施例3と実施例6ないし実施例8とのBI殺菌結果は全て6D、すなわち陰性であった。指標菌の残数は0CFU/Discであった。これにより、本発明の殺菌効果を確認できた。実施例1ないし実施例8と比較例1ないし比較例5とのエンドトキシン不活化率とBI殺菌結果とを、図3と図4とに記載した。図3と図4とに示すエンドトキシン不活化率は、各実施例ごとと、各比較例ごととの平均値である。
[補足試験1]
実施例1ないし実施例8と比較例1ないし比較例5(以下、「実施例1等」と記載する場合がある。)について、実質相対湿度を補足するための補足試験1を行った。補足試験1の実施方法では、二種類の測定装置をチャンバーに装備し、相対湿度を観察した。第一の測定装置は実施例1等で用いたものと同じで、みかけの相対湿度を測定した。第二の測定装置と第一の測定装置との相違点は、感応部に過酸化水素を分解する触媒のフィルターが設けられていることである(ヴァイサラ社製NMT338相当品)。これにより第二の測定装置は、チャンバー内の過酸化水素の吸着の影響を抑制できる。したがって第二の測定装置で実質相対湿度を測定した。
補足試験1を行った除染装置は、実施例1で用いた除染装置のオゾンガス発生装置に乾燥酸素ガスボンベを連通させ、任意のタイミングでチャンバー内に供給する気体をオゾンガスと乾燥酸素ガスとで切替可能にした。なお、過酸化水素蒸気発生装置には乾燥空気ガスボンベを連通させ、過酸化水素蒸気を乾燥空気ガスによってチャンバー内に供給した。過酸化水素蒸気の濃度は、実施例1等と同じものを用いて測定した。
補足試験1は実質相対湿度の補足を目的とするため、チャンバー内の雰囲気中の水分量を実施例1等と同等になるように調整して行った。具体的には、まずチャンバー内に乾燥酸素ガスを供給し、続いて過酸化水素蒸気を供給した。オゾンガスと乾燥酸素ガスとはいずれも湿度0%である。そのため、チャンバー内の相対湿度の測定の観点からはオゾンガスを乾燥酸素ガスに代替可能である。
過酸化水素蒸気は、過酸化水素蒸気発生装置で、水で1〜13倍に希釈した過酸化水素水溶液を滴下速度0.03〜0.80ml/minで蒸発器に滴下して発生させ、チャンバー内に供給した。過酸化水素蒸気の供給速度は、2〜8l/minとした。続いて乾燥酸素ガスを供給速度2〜5l/minでチャンバー内に供給した。
過酸化水素蒸気の供給開始からおよそ10分後、過酸化水素濃度が安定し始めたときのみかけの相対湿度と実質相対湿度とを確認した。測定時の過酸化水素濃度とみかけの相対湿度と実質相対湿度とを図6に示す。図6では実施例1、実施例2と同等の条件で実施した実施例を実施例1S、実施例2Sとし、比較例3、4と同等の条件で実施した比較例を比較例3S、比較例4Sとし、実施例6、7と同等の条件で実施した実施例を実施例6S、実施例7Sとして示した。
図3の実施例7と、これらにそれぞれ対応する図6の実施例7Sとのみかけの相対湿度を比較すると、その差は2.2%で近似している。上記の差分は計測誤差の範囲内であるため、実施例7と実施例7Sとはチャンバー内の雰囲気の水分量が同等であったとみなせる。これにより実施例7の実質相対湿度は、実施例7Sの実質相対湿度と同じであると考えられる。他の実施例と対応する補足試験1の測定結果とのみかけの相対湿度の差も、いずれも計測誤差の範囲内であり、おおむね近似する。したがって補足試験1の測定結果から対応する実施例の実質相対湿度を推定できる。
なお図6には実施例3、実施例4に対応する実施例3S、実施例4Sが示されていない。しかし実施例3と実施例4との過酸化水素蒸気濃度が実施例2と同じであるため、実施例2Sの測定結果から実施例3と実施例4との実質相対湿度を推定できる。同様に実施例8の実質相対湿度は、図6の実施例7Sの測定結果から推定できる。
[実施例9ないし実施例12]
本発明の滅菌効果を確認するため実施例9ないし実施例12を行い、BI殺菌のD値を算出した。実施例9ないし実施例12においては、D値の滅菌処理単位を時間で示した。
D値は、フラクションネガティブ法により算出した。フラクションネガティブ法とは、目的とする微生物の全てが死滅せず、一部が生残し、または一部が死滅するような条件で処理を行った後に、培養試験を行い、全処理数中の陽性(または陰性数)と実施した滅菌処理単位との関係から、所定の計算式を用いてD値を算出する方法をいう。実施例9ないし実施例12においては、処理後の培養試験を55℃で7〜14日間行い、陰性数を判定した。
D値の計算式を以下に示す。この式により、無菌試験法で全数陽性、部分陰性、全数陰性の条件を見つけて、部分生残1点の条件から、最確値法により生残菌数を推定できる。下記のD値の計算式において、Nは初菌数、nは部分陰性条件の試料数、rは部分陰性条件の陰性数、Tは接触時間(処理時間、曝露時間、供給時間)である。
(D値の計算式)
D=T/(logN-log(In(n/r))
実施例9ないし実施例12は、図7に示す実施条件で、それぞれ3回ずつ行った。そのため図7においては、実施例9の一回目の実施を実施例9-1、二回目の実施を実施例9-2、三回目の実施を実施例9-3とした。実施例10ないし実施例12も同様に記載した。図7と図8とに示すD値は、3回の実施でそれぞれ得られたD値の平均値である。実施例1と同様にして行った条件や用いた装置については、記載を省略した。
実施例9ないし実施例12では、一回の実施につき検体として下記のBIを10個ずつ準備した。
BI:芽胞菌(Mesa Labs社製、菌種:Geobacillus stearothermophilus ATCC 12980)
担体:ステンレス(Tyvek袋入り)
菌数:およそ1.0×106
BIを収納した滅菌ボックスをチャンバー内に静置し、チャンバー内の過酸化水素蒸気に続いてオゾンガスの供給を開始し、滅菌ボックスを開放してBIをチャンバー内雰囲気に曝露した。チャンバーから取り出したBIを実施例1と同様に培養し、その後陰性数を確認した。確認した陰性数を用いて上記の式に基づきD値を算出した。
D値が小さいほど,滅菌効果が高いことを意味する。図7、図8からはオゾンガス濃度が高いほど過酸化水素との促進酸化が進み、D値が小さく滅菌効果が高くなる傾向を読み取れる。
[実施例13ないし実施例17]
実施例13ないし実施例17を行い、エンドトキシン不活化率とBI殺菌結果とを得た。BI殺菌結果は、実施例1と同様の方法で得た。実施例13ないし実施例17のBI殺菌結果を図9に示す。エンドトキシン不活化率は、下記の方法で得た。
(エンドトキシン不活化率)
E. coli ATCC 23501 由来LPSをエンドトキシン試験用水に溶解し、ガラス板(6×6×1 mm)の片面に5μL塗布した後、室温で風乾し、EIとした。図9に示す実施条件のチャンバー内にEIを静置した。その後、チャンバーから取り出したEIは、ガラス製試験管に入れ、エンドトキシン試験用水1.0mlを加えた。続いて4℃の水浴中で10分間の超音波処理を行い、エンドトキシンを溶液中に回収した。
回収したエンドトキシンに対し、第十六改正日本薬局方第一追補エンドトキシン試験法に準拠したマイクロプレートカイネティック比色法によるリムルス試験を行った。リムルス試験用ライセート試薬としてはエンドスペシーES-50Mセット(生化学工業株式会社)を用いた。測定機器はウェルリーダーMP-96(生化学工業株式会社)を用いた。エンドトキシン標準溶液で作成した検量線より濃度を算出し、エンドトキシンユニット(EU)を算出した。最小エンド卜キシン濃度は0.001EU/mlで、0.002〜0.1EU/mlの範囲で再現性のある定量が可能であった。
実施例13ないし実施例17のエンドトキシン不活化率は、A:除染方法実施前のエンドトキシン活性(EU/ml)と、B:除染方法実施後のエンドトキシン活性(EU/ml)との対数減少値(log[A(EU/ml)]-log[B(EU/ml)])を百分率化した値である。算出したエンドトキシン不活化率を図9に示す。
図9に実施条件とエンドトキシン不活化率とBI殺菌結果を示す。実施例1と同様の条件、用いた装置については記載を省略した。実施例14ないし実施例17のBI殺菌試験は行わなかったが、実施例13のBI殺菌結果が陰性であるため、実施例13よりオゾンガス濃度が高い実施例14ないし実施例17においても陰性となると推定できる。
[補足試験2]
実施例13ないし実施例17について実質相対湿度を補足するため、図10に示す条件で補足試験1と同様の試験を行った。得られた実質相対湿度を図10に示す。なお実施例16は、実施例15と過酸化水素蒸気濃度を同じにするため、その実質相対湿度は、実施例15Sの実質相対湿度と同等になると推定できる。
実施例で確認された殺菌効果は、ヒドロキシラジカルの強い酸化力に由来すると推察できる。このヒドロキシラジカルの酸化力は、チャンバー内でエンドトキシンに対しても作用する。これにより本発明は、優れた殺菌効果とエンドトキシン不活化効果が得られると推察できる。
1 除染装置
2 過酸化水素蒸気発生装置
3 オゾンガス発生装置
4 チャンバー
5 調湿装置
6 分解装置
7 減圧装置
8 相対湿度の測定装置
9 恒温槽
10 調温装置

Claims (10)

  1. チャンバーと、
    前記チャンバー接続する過酸化水素蒸気発生装置と、
    前記チャンバーに接続するオゾンガス発生装置と
    前記チャンバー内のみかけの相対湿度を測定する測定装置と、
    を備え、
    前記測定装置は、過酸化水素を分解する触媒のフィルターが設けられていない感応部を備える、除染装置。
  2. 前記みかけの相対湿度の測定結果に基づいて、前記チャンバー内を結露が発生しないように調節する調湿機能を備える、請求項1記載の除染装置。
  3. 前記チャンバー内を減圧する減圧装置と、前記チャンバー内の温度を調節する調温装置とのいずれか一つ以上を備え
    前記チャンバー内の前記みかけの相対湿度が調整される、請求項1記載の除染装置。
  4. 前記チャンバー内の前記みかけの相対湿度が、30〜50℃において、90〜99.9%RHになるように調節される、請求項1記載の除染装置。
  5. 前記過酸化水素蒸気発生装置は、
    過酸化水素水溶液から過酸化水素蒸気を発生させるものであって、
    前記過酸化水素水溶液の水分量や滴下量の調節により、過酸化水素蒸気の濃度やみかけの相対湿度の調節機能を備える、
    請求項2の記載の除染装置。
  6. チャンバー内に過酸化水素蒸気を供給する過酸化水素蒸気供給工程と、
    チャンバー内にオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程と、
    前記チャンバー内のみかけの相対湿度を測定するみかけの相対湿度測定工程と、
    を含み、
    前記測定工程は、前記過酸化水素蒸気中の過酸化水素を水分量に含めて相対湿度を測定し、
    前記チャンバー内で被処理物と過酸化水素蒸気とオゾンガスとを接触させて、被処理物を殺菌し、かつ被処理物を汚染するエンドトキシンを不活化する、除染方法。
  7. 前記みかけの相対湿度の測定結果に基づいて、前記チャンバー内を結露が発生しないように調節する調湿工程を含む、請求項6記載の除染方法。
  8. 前記チャンバー内を減圧する減圧工程と前記チャンバー内の温度を調節する調温工程とのいずれか一つ以上を備え、
    前記チャンバー内の前記みかけの相対湿度を調整する、請求項6記載の除染方法。
  9. 前記チャンバー内の前記みかけの相対湿度を、30〜50℃において、90〜99.9%RHになるようにする調節工程を含む、請求項6記載の除染方法。
  10. 前記過酸化水素蒸気供給工程は過酸化水素水溶液から過酸化水素蒸気を発生させるものであって、
    前記過酸化水素水溶液の水分量や滴下量を調節できる工程を含み、
    過酸化水素蒸気の濃度やみかけの相対湿度を調節できる工程を含む、
    請求項7の記載の除染方法。
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