以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1及び図2に示されるように、分光器1Aは、光検出素子20と、支持体30と、第1反射部(第1光学部)11と、第2反射部(第2光学部)12Aと、分光部(第3光学部)40Aと、カバー50と、を備えている。光検出素子20には、光通過部21、第1光検出部22、複数の第2光検出部26及び0次光捕捉部23が設けられている。支持体30には、第1光検出部22及び第2光検出部26に対して電気信号を入出力するための配線13が設けられている。支持体30は、光通過部21、第1光検出部22、複数の第2光検出部26及び0次光捕捉部23との間に空間Sが形成されるように光検出素子20に固定されている。一例として、分光器1Aは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれの方向の長さが10mm以下である直方体状に形成されている。なお、配線13及び支持体30は、成形回路部品(MID:Molded Interconnect Device)として構成されたものである。
光通過部21、第1反射部11、第2反射部12A、分光部40A、第1光検出部22及び0次光捕捉部23は、光通過部21を通過する光L1の光軸方向(すなわち、Z軸方向)から見た場合に、X軸方向に延在する基準線RLに沿って並んでいる。分光器1Aでは、光通過部21を通過した光L1は、第1反射部11及び第2反射部12Aで順次反射されて分光部40Aに入射し、分光部40Aで分光されると共に反射される。そして、分光部40Aで分光されると共に反射された光のうち、0次光L0以外の光L2は、第1光検出部22に入射して第1光検出部22で検出され、0次光L0は、0次光捕捉部23に入射して0次光捕捉部23で捕捉される。光通過部21から分光部40Aに至る光L1の光路、分光部40Aから第1光検出部22に至る光L2の光路、及び分光部40Aから0次光捕捉部23に至る0次光L0の光路は、空間S内に形成される。
光検出素子20は、基板24を有している。基板24は、例えば、シリコン等の半導体材料によって矩形板状に形成されている。光通過部21は、基板24に形成されたスリットであり、Y軸方向に延在している。0次光捕捉部23は、基板24に形成されたスリットであり、光通過部21と第1光検出部22との間においてY軸方向に延在している。なお、光通過部21における光L1の入射側の端部は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの方向において、光L1の入射側に向かって末広がりとなっている。また、0次光捕捉部23における0次光L0の入射側とは反対側の端部は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの方向において、0次光L0の入射側とは反対側に向かって末広がりとなっている。0次光L0が0次光捕捉部23に斜めに入射するように構成することで、0次光捕捉部23に入射した0次光L0が空間Sに戻るのをより確実に抑制することができる。
第1光検出部22は、基板24における空間S側の表面24aに設けられている。より具体的には、第1光検出部22は、基板24に貼り付けられているのではなく、半導体材料からなる基板24に作り込まれている。つまり、第1光検出部22は、半導体材料からなる基板24内の第一導電型の領域と、該領域内に設けられた第二導電型の領域とで形成された複数のフォトダイオードによって、構成されている。第1光検出部22は、例えば、フォトダイオードアレイ、C−MOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等として構成されたものであり、基準線RLに沿って並んだ複数の光検出チャネルを有している。第1光検出部22の各光検出チャネルには、異なる波長を有する光L2が入射させられる。各第2光検出部26は、第1光検出部22と同様に、基板24に作り込まれたフォトダイオードであり、第2反射部12Aを包囲する領域に配置されている。基板24の表面24aには、第1光検出部22及び第2光検出部26に対して電気信号を入出力するための複数の端子25が設けられている。なお、第1光検出部22及び第2光検出部26は、表面入射型のフォトダイオードとして構成されていてもよいし、或いは裏面入射型のフォトダイオードとして構成されていてもよい。
図3に示されるように、複数の第2光検出部26は、光通過部21を通過する光L1の光軸方向から見た場合に、基準線RLに平行な方向及び基準線RLに垂直な方向のそれぞれの方向において、第2反射部12Aを挟んで互いに対向している。基準線RLに平行な方向において互いに対向する第2光検出部26のそれぞれは、Y軸方向に延在する長尺状の形状を有している。基準線RLに垂直な方向において互いに対向する第2光検出部26のそれぞれは、X軸方向に延在する長尺状の形状を有している。
図1及び図2に示されるように、支持体30は、ベース壁部31と、一対の側壁部32と、一対の側壁部33と、を有している。ベース壁部31は、空間Sを介して、Z軸方向において光検出素子20と対向している。ベース壁部31には、空間S側に開口する凹部34、空間S側とは反対側に突出する複数の凸部35、及び空間S側とその反対側とに開口する複数の貫通孔36が形成されている。一対の側壁部32は、空間Sを介して、X軸方向において互いに対向している。一対の側壁部33は、空間Sを介して、Y軸方向において互いに対向している。ベース壁部31、一対の側壁部32及び一対の側壁部33は、AlN、Al2O3等のセラミックによって一体的に形成されている。
第1反射部11は、支持体30に設けられている。より具体的には、第1反射部11は、ベース壁部31における空間S側の表面31aのうち凹部34の内面34aの球面状の領域に、成形層41を介して設けられている。第1反射部11は、例えば、Al、Au等の金属蒸着膜からなり且つ鏡面を有する凹面ミラーであり、空間Sにおいて、光通過部21を通過した光L1を第2反射部12Aに対して反射する。なお、第1反射部11は、成形層41を介さずに、凹部34の内面34aの球面状の領域に直接設けられていてもよい。
第2反射部12Aは、光検出素子20に設けられている。より具体的には、第2反射部12Aは、基板24の表面24aのうち光通過部21と0次光捕捉部23との間の領域に、設けられている。第2反射部12Aは、例えば、Al、Au等の金属蒸着膜からなり且つ鏡面を有する平面ミラーであり、空間Sにおいて、第1反射部11で反射された光L1を分光部40Aに対して反射する。
分光部40Aは、支持体30に設けられている。より具体的には、以下のとおりである。すなわち、ベース壁部31の表面31aには、凹部34を覆うように成形層41が配置されている。成形層41は、凹部34の内面34aに沿って膜状に形成されている。内面34aのうち球面状の領域に対応する成形層41の所定領域には、例えば、鋸歯状断面のブレーズドグレーティング、矩形状断面のバイナリグレーティング、正弦波状断面のホログラフィックグレーティング等に対応するグレーティングパターン41aが形成されている。成形層41の表面には、グレーティングパターン41aを覆うように、例えば、Al、Au等の金属蒸着膜からなる反射膜42が形成されている。反射膜42は、グレーティングパターン41aの形状に沿って形成されており、この部分が、反射型グレーティングである分光部40Aとなっている。なお、成形層41は、成形材料(例えば、光硬化性のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン、有機・無機ハイブリッド樹脂等のレプリカ用光学樹脂等)に成形型を押し当て、その状態で、成形材料を硬化(例えば、UV光等による光硬化、熱硬化等)させることで、形成される。
以上のように、分光部40Aは、ベース壁部31の表面31aのうち凹部34の内面34aの球面状の領域に、設けられている。分光部40Aは、基準線RLに沿って並んだ複数のグレーティング溝を有しており、空間Sにおいて、第2反射部12Aで反射された光L1を第1光検出部22に対して分光すると共に反射する。なお、分光部40Aは、上述したように、支持体30に直接形成されたものに限定されない。例えば、分光部40Aと、分光部40Aが形成された基板と、を有する分光素子が、支持体30に貼り付けられることで、分光部40Aが支持体30に設けられていてもよい。
各配線13は、第1光検出部22及び第2光検出部26側の端部13aと、第1光検出部22及び第2光検出部26側とは反対側の端部13bと、接続部13cと、を有している。各配線13の端部13aは、光検出素子20の各端子25と対向するように、各側壁部32の端面32aに位置している。各配線13の端部13bは、ベース壁部31における空間S側とは反対側の表面31bのうち各凸部35の表面に、位置している。各配線13の接続部13cは、各側壁部32における空間S側の表面32b、ベース壁部31の表面31a、及び各貫通孔36の内面において、端部13aから端部13bに至っている。このように、配線13が支持体30における空間S側の表面を引き回されることで、配線13の劣化を防止することができる。
対向する光検出素子20の端子25と配線13の端部13aとは、例えば、Au、半田等からなるバンプ14によって接続されている。分光器1Aでは、複数のバンプ14によって、支持体30が光検出素子20に固定されていると共に、複数の配線13が光検出素子20の第1光検出部22及び第2光検出部26に電気的に接続されている。このように、各配線13の端部13aは、光検出素子20と支持体30との固定部において、光検出素子20の各端子25に接続されている。
カバー50は、光検出素子20の基板24における空間S側とは反対側の表面24bに固定されている。カバー50は、光透過部材51と、遮光膜52と、を有している。光透過部材51は、例えば、石英、硼珪酸ガラス(BK7)、パイレックス(登録商標)ガラス、コバールガラス等、光L1を透過させる材料によって、矩形板状に形成されている。遮光膜52は、光透過部材51における空間S側の表面51aに形成されている。遮光膜52には、Z軸方向において光検出素子20の光通過部21と対向するように、光通過開口52aが形成されている。光通過開口52aは、遮光膜52に形成されたスリットであり、Y軸方向に延在している。分光器1Aでは、遮光膜52の光通過開口52a及び光検出素子20の光通過部21によって、空間Sに入射する光L1の入射NAが規定される。
なお、赤外線を検出する場合には、光透過部材51の材料として、シリコン、ゲルマニウム等も有効である。また、光透過部材51に、AR(Anti Reflection)コートを施したり、所定波長の光のみを透過させるフィルタ機能を持たせたりしてもよい。また、遮光膜52の材料としては、例えば、黒レジスト、Al等を用いることができる。ただし、0次光捕捉部23に入射した0次光L0が空間Sに戻ることを抑制する観点からは、遮光膜52の材料として、黒レジストが有効である。
また、カバー50が、光透過部材51における空間S側とは反対側の表面に形成された遮光膜を更に有していてもよい。その場合、Z軸方向において光検出素子20の光通過部21と対向するように、当該遮光膜に光通過開口を形成することで、当該遮光膜の光通過開口、遮光膜52の光通過開口52a及び光検出素子20の光通過部21を用いて、空間Sに入射する光L1の入射NAをより精度良く規定することができる。当該遮光膜の材料としては、遮光膜52と同様に、例えば、黒レジスト、Al等を用いることができる。また、カバー50が、上述した遮光膜を更に有する場合には、Z軸方向において光検出素子20の0次光捕捉部23と対向するように、遮光膜52に光通過開口を形成してもよい。その場合、0次光捕捉部23に入射した0次光L0が空間Sに戻ることをより確実に抑制することができる。
基板24の表面24aと各側壁部32の端面32a及び各側壁部33の端面33aとの間には、例えば樹脂等からなる封止部材15が配置されている。また、ベース壁部31の貫通孔36内には、例えばガラスビーズ等からなる封止部材16が配置されていると共に、樹脂からなる封止部材17が充填されている。分光器1Aでは、光検出素子20、支持体30、カバー50及び封止部材15,16,17を構成として含むパッケージ60によって、空間Sが気密に封止されている。分光器1Aを外部の回路基板に実装する際には、各配線13の端部13bが電極パッドとして機能する。なお、基板24の表面24bにカバー50を配置することに代えて、基板24の光通過部21に光透過性の樹脂を充填することで、基板24の光通過部21を気密に封止してもよい。また、ベース壁部31の貫通孔36内に、例えばガラスビーズ等からなる封止部材16を配置せずに、樹脂からなる封止部材17のみを充填してもよい。
以上説明したように、分光器1Aでは、光検出素子20及び支持体30によって形成された空間S内に、光通過部21から第1光検出部22に至る光路が形成される。これにより、分光器1Aの小型化を図ることができる。更に、複数の第2光検出部26が、第2反射部12Aを包囲する領域に配置されている。これにより、第2反射部12Aを包囲する領域において、分光される前の光L1の状態をモニタすることが可能となり、光通過部21を通過する光L1の入射NA及び入射方向等を適切に調整することができる。よって、分光器1Aによれば、検出精度の低下を抑制しつつ小型化を図ることが可能となる。
また、分光器1Aでは、複数の第2光検出部26が、光通過部21を通過する光L1の光軸方向から見た場合に、基準線RLに平行な方向及び基準線RLに垂直な方向のそれぞれの方向において、第2反射部12Aを挟んで互いに対向している。これにより、基準線RLに平行な方向及び基準線RLに垂直な方向のそれぞれの方向において、第2反射部12Aに入射する光L1のずれ方をモニタすることが可能となる。
なお、図4に示されるように、複数の第2光検出部26は、第2反射部12Aを包囲するように第2反射部12Aの外縁に沿って並んでいてもよい。この場合、第2反射部12Aの周囲全体において、第2反射部12Aに入射する光のずれ方をモニタすることが可能となる。また、図5の(a)に示されるように、複数の第2光検出部26は、基準線RLに平行な方向における第2反射部12Aの両側、及び基準線RLに垂直な方向における第2反射部12Aの両側において、1次元状に配列されていてもよい。この場合、基準線RLに平行な方向及び基準線RLに垂直な方向のそれぞれの方向において、第2反射部12Aに入射する光L1のずれ方をより詳細にモニタすることが可能となる。また、図5の(b)に示されるように、複数の第2光検出部26は、第2反射部12Aを包囲する領域において、2次元状に配列されていてもよい。この場合、第2反射部12Aの周囲全体において、第2反射部12Aに入射する光L1のずれ方をイメージとしてモニタすることが可能となる。
また、分光器1Aでは、光通過部21を通過した光L1が第1反射部11及び第2反射部12Aで順次反射されて分光部40Aに入射することになる。これにより、分光部40Aに入射する光L1の入射方向、及び当該光L1の広がり乃至収束状態を調整することが容易となるため、分光部40Aから第1光検出部22に至る光路長を短くしても、分光部40Aで分光された光L2を精度良く第1光検出部22の所定位置に集光させることができる。
また、分光器1Aでは、第1反射部11が凹面ミラーとなっている。これにより、第1反射部11で光L1の広がり角が抑えられるため、光通過部21を通過する光L1の入射NAを大きくして感度を高くしたり、分光部40Aから第1光検出部22に至る光路長をより短くして分光器1Bの更なる小型化を図ったりすることができる。具体的には、次のとおりである。すなわち、第1反射部11が凹面ミラーである場合、光L1は、コリメートされたような状態で分光部40Aに照射される。そのため、光L1が広がりつつ分光部40Aに照射される場合に比べ、分光部40Aが第1光検出部22に光L2を集光する距離が短くて済む。そこで、当該光L1の入射NAを大きくして感度を高くしたり、分光部40Aから第1光検出部22に至る光路長をより短くして分光器1Bの更なる小型化を図ったりすることができる。
また、分光器1Aでは、支持体30に、第1光検出部22及び第2光検出部26に電気的に接続された配線13が設けられている。そして、配線13における第1光検出部22及び第2光検出部26側の端部13aが、光検出素子20と支持体30との固定部において、光検出素子20に設けられた端子25に接続されている。これにより、第1光検出部22及び第2光検出部26と配線13との電気的な接続の確実化を図ることができる。
また、分光器1Aでは、支持体30の材料がセラミックとなっている。これにより、分光器1Aが使用される環境の温度変化、第1光検出部22及び第2光検出部での発熱等に起因する支持体30の膨張及び収縮を抑制することができる。したがって、分光部40Aと第1光検出部22との位置関係にずれが生じることに起因する検出精度の低下(第1光検出部22で検出された光におけるピーク波長のシフト等)を抑制することができる。分光器1Aでは、小型化が図られていることから、わずかな光路の変化であっても、光学系に大きな影響を及ぼし、検出精度の低下に繋がるおそれがある。そのため、特に、上述したように、分光部40Aが支持体30に直接形成されている場合には、支持体30の膨張及び収縮を抑制することは極めて重要である。
また、分光器1Aでは、光検出素子20及び支持体30を構成として含むパッケージ60によって、空間Sが気密に封止されていている。これにより、湿気による空間S内の部材の劣化及び外気温の低下による空間S内での結露の発生等に起因する検出精度の低下を抑制することができる。
また、分光器1Aでは、ベース壁部31の表面31aのうち凹部34の周囲に平坦な領域(若干傾いていてもよい)が存在している。これにより、第1光検出部22で反射光が生じたとしても、当該反射光が第1光検出部22に再度到達することを抑制することができる。また、樹脂に成形型を押し当てて凹部34の内面34aに成形層41を形成する際、及び、基板24の表面24aと各側壁部32の端面32a及び各側壁部33の端面33aとの間に、樹脂からなる封止部材15を配置する際に、当該平坦な領域が余分な樹脂の逃げ場となる。このとき、ベース壁部31の貫通孔36に余分な樹脂を流し込むようにすれば、例えばガラスビーズ等からなる封止部材16が不要となり、当該樹脂が封止部材17として機能する。
ここで、第1光検出部22を包囲する領域にではなく、第2反射部12Aを包囲する領域に複数の第2光検出部26を配置することによるメリットについて、より詳細に説明する。例えば、基準線RLに平行な方向において、第1光検出部22を挟んで互いに対向するように複数の第2光検出部26が配置されていると、複数の第2光検出部26は、分光された光L2のうち短波長の光又は長波長の光を検出することになるため、検出波長が限定され、また、検出強度がばらつくことになる。また、基準線RLに垂直な方向において、第1光検出部22を挟んで互いに対向するように複数の第2光検出部26が配置されていると、Y軸方向における光路のずれをモニタすることはできるものの、分光部40Aの位置のずれ、グレーティング溝の方向のずれ等を含んだ結果をモニタすることになる。
このように、第1光検出部22を包囲する領域に複数の第2光検出部26が配置されていると、分光された光L2を検出することになるため、光路のずれが、光検出素子20と支持体30との位置ずれに起因するものなのか、或いは支持体30における分光部40Aの位置ずれ等に起因するものなのか、判断することができない。
それに対し、第2反射部12Aを包囲する領域に複数の第2光検出部26が配置されていると、分光される前の光L1を検出することになるため、第1光検出部22による光L2の検出結果と併せて、より詳細な光路のずれ情報を取得することが可能となる。特に、基準線RLに平行な方向における光路のずれは、検出精度の劣化に繋がり易いため、少なくとも基準線RLに平行な方向おいて第2反射部12A(後述する第2実施形態では、分光部40B)を挟んで互いに対向するように、複数の第2光検出部26を配置することが重要である。
また、第1反射部11の領域及び分光部40Aの領域を光L1の入射NAに対して広いものとし、第2反射部12Aの領域の広さで光L1の入射NAを規定する場合、例えば、光検出素子20と支持体30とに位置ずれが生じたとしても、第1反射部11で全ての光L1が反射されることになる。更に、第2反射部12Aでは、規定した入射NA分の光L1しか反射されないため、分光部40Aには、規定した入射NA分の光L1が入射することになる。このとき、第2反射部12Aを包囲する領域に配置された複数の第2光検出部26を用いて、第2反射部12Aでの光路のずれをモニタすることができる。
また、支持体30に対して光検出素子20が傾斜している場合、第1反射部11で反射された光L1の反射角度が変わるため、複数の第2光検出部26によって当該反射角度のずれ方向を知得することができる。支持体30に対して光検出素子20が傾斜していると、第1反射部11による光L1のコリメート状態のくずれに繋がり易く、分解能を低下させるZ軸方向への位置ずれにも繋がり易い。複数の第2光検出部26による光L1の検出結果と第1光検出部22による光L2の検出結果とを併せることで、単にZ軸方向に位置ずれが生じているのか、或いは、支持体30に対して光検出素子20が傾斜しているのか等を知得することが可能となる。
また、第2反射部12Aで規定する入射NAよりも大きい入射NAで第2反射部12Aに光L1を入射させる場合に、複数の第2光検出部26で光L1が検出されないように分光器1Aに入射させる光L1の入射NAを調整していけば、検出精度をより向上させることが可能となる。また、分光器1Aに入射させる光L1の入射方向にずれが生じている場合にも、複数の第2光検出部26で光L1の状態をモニタしながら、当該入射方向の調整を行うことが可能となる。
また、分光器1Aを製造する際には、第1反射部11及び分光部40Aが設けられた支持体30を用意し(第1工程)、光通過部21、第2反射部12A、第1光検出部22及び複数の第2光検出部26が設けられた光検出素子20を用意し(第2工程)、それらの後に、空間Sが形成されるように支持体30と光検出素子20とを固定することで、光通過部21から第1光検出部22に至る光路を空間S内に形成する(第3工程)。このように、支持体30と光検出素子20とを固定するだけで、空間S内に、光通過部21から第1光検出部22に至る光路が形成される。よって、分光器1Aの製造方法によれば、検出精度の低下を抑制しつつ小型化を図ることができる分光器1Aを容易に製造することが可能となる。なお、支持体30を用意する工程及び光検出素子20を用意する工程の実施順序は任意である。
特に、分光器1Aを製造する際には、支持体30に設けられた配線13の端部13aを光検出素子20の端子25に接続するだけで、配線13と第1光検出部22及び第2光検出部26との電気的な接続だけでなく、支持体30と光検出素子20との固定、及び光通過部21から第1光検出部22に至る光路の形成が実現される。
[第2実施形態]
図6に示されるように、分光器1Bは、光検出素子20に分光部(第2光学部)40Bが設けられており且つ支持体30に第2反射部(第3光学部)12Bが設けられている点で、上述した分光器1Aと主に相違している。
分光器1Bでは、第1反射部11は、ベース壁部31の表面31aのうち所定角度で傾斜する平坦な傾斜面37に、成形層41を介して設けられている。第1反射部11は、例えば、Al、Au等の金属蒸着膜からなり且つ鏡面を有する平面ミラーであり、空間Sにおいて、光通過部21を通過した光L1を分光部40Bに対して反射する。なお、第1反射部11は、成形層41を介さずに、支持体30の傾斜面37に直接設けられていてもよい。
分光部40Bは、基板24の表面24aのうち光通過部21と第1光検出部22との間の領域に、設けられている。分光部40Bは、反射型グレーティングであり、空間Sにおいて、第1反射部11で反射された光L1を第2反射部12Bに対して分光すると共に反射する。
第2反射部12Bは、ベース壁部31の表面31aのうち球面状の凹面38に、成形層41を介して設けられている。第2反射部12Bは、例えば、Al、Au等の金属蒸着膜からなり且つ鏡面を有する凹面ミラーであり、空間Sにおいて、分光部40Bで分光されると共に反射された光L1を第1光検出部22に対して反射する。なお、第2反射部12Bは、成形層41を介さずに、支持体30の凹面38に直接設けられていてもよい。
図7に示されるように、複数の第2光検出部26は、分光部40Bを包囲する領域に配置されている。より具体的には、複数の第2光検出部26は、光通過部21を通過する光L1の光軸方向から見た場合に、基準線RLに平行な方向及び基準線RLに垂直な方向のそれぞれの方向において、分光部40Bを挟んで互いに対向している。基準線RLに平行な方向において互いに対向する第2光検出部26のそれぞれは、Y軸方向に延在する長尺状の形状を有している。基準線RLに垂直な方向において互いに対向する第2光検出部26のそれぞれは、X軸方向に延在する長尺状の形状を有している。
図6に示されるように、分光部40Bで分光されると共に反射された光のうち0次光L0は、ベース壁部31の表面31aのうち所定角度で傾斜する平坦な傾斜面39上の成形層41で反射される。傾斜面39上の成形層41の反射面は、0次光反射制御部41bとして機能する。傾斜面39を傾斜面37及び凹面38と異なる面とすることで、0次光L0の多重反射を抑制することができる。なお、分光器1Aと同様に、光検出素子20に0次光捕捉部23を設けてもよい。
0次光反射制御部41bは、ベース壁部31の表面31aのうち分光部40Bから0次光L0が入射する領域に設けられている。分光器1Bでは、0次光反射制御部41bは、光通過部21を通過する光L1の光軸方向(すなわち、Z軸方向)から見た場合に、基準線RLに平行な方向(すなわち、X軸方向)において、第1反射部11と第2反射部12との間に位置している。0次光反射制御部41bの傾きは、0次光を第1光検出部22に入射させないように、設定されている。よって、0次光を第1光検出部22に入射させない傾きであれば、0次光反射制御部41bは、第1光検出部22側に0次光L0を反射させるような傾きを有していてもよい。勿論、0次光の影響を確実に排除する観点からは、0次光反射制御部41bは、第1光検出部22側とは逆側に0次光L0を反射させるような傾きを有していることが好ましい。
なお、分光器1Bの製造工程においては、上述したように、成形型を用いて、ベース壁部31の傾斜面37に平滑な成形層41を形成し、その成形層41に第1反射部11を形成している。同時に、ベース壁部31の傾斜面39に平滑な成形層41を形成し、その成形層41の表面を0次光反射制御部41bとしている。通常、支持体30の表面よりも成形層41の表面のほうが、凸凹が少なく平滑であるため、第1反射部11及び0次光反射制御部41bをより精度良く形成することができる。ただし、成形層41を介さずに、ベース壁部31の傾斜面37に第1反射部11を直接形成したり、ベース壁部31の傾斜面39を0次光反射制御部41bとしたりしてもよい。この場合、成形層41に用いる成形材料を減らすことができ、また、成形型の形状を単純化することができるため、成形層41を容易に形成することが可能となる。
以上のように構成された分光器1Bによれば、上述した分光器1Aと同様の理由により、検出精度の低下を抑制しつつ小型化を図ることが可能となる。また、分光器1Bでは、光通過部21、第1光検出部22及び第2光検出部26と共に分光部40Bが光検出素子20に設けられているため、光通過部21、分光部40B、第1光検出部22及び第2光検出部26の相互の位置関係を精度良く維持することができる。更に、第1反射部11及び第2反射部12Bに比べて製造が複雑化し易い分光部40Bを、光通過部21、第1光検出部22及び第2光検出部26と共に光検出素子20に設けることで、支持体30の歩留まり、延いては分光器1Bの歩留まりを向上させることができる。
分光部40Bについては、基板24の表面24aに一括で形成することが可能であるため、フォトプロセス(ステッパー等を使用)、ナノインプリントプロセス等を用いて、曲面に形成する場合よりも高精度に分光部40Bを形成することが可能となる。したがって、分光部40Bのアライメント等が容易となり、高い位置精度が得られる。一方、支持体30には分光部を形成する必要がなくなるため、支持体30の形成は容易となる。
なお、複数の第2光検出部26は、分光部40Bを包囲するように分光部40Bの外縁に沿って並んでいてもよい。この場合、分光部40Bの周囲全体において、第2反射部12Aに入射する光のずれ方をモニタすることが可能となる。また、複数の第2光検出部26は、基準線RLに平行な方向における分光部40Bの両側、及び基準線RLに垂直な方向における分光部40Bの両側において、1次元状に配列されていてもよい。この場合、基準線RLに平行な方向及び基準線RLに垂直な方向のそれぞれの方向において、分光部40Bに入射する光L1のずれ方をより詳細にモニタすることが可能となる。また、複数の第2光検出部26は、分光部40Bを包囲する領域において、2次元状に配列されていてもよい。この場合、分光部40Bの周囲全体において、分光部40Bに入射する光L1のずれ方をイメージとしてモニタすることが可能となる。
また、分光器1Bを製造する際には、第1反射部11及び第2反射部12Bが設けられた支持体30を用意し(第1工程)、光通過部21、分光部40B、第1光検出部22及び複数の第2光検出部26が設けられた光検出素子20を用意し(第2工程)、それらの後に、空間Sが形成されるように支持体30と光検出素子20とを固定することで、光通過部21から第1光検出部22に至る光路を空間S内に形成する(第3工程)。このように、支持体30と光検出素子20とを固定するだけで、空間S内に、光通過部21から第1光検出部22に至る光路が形成される。よって、分光器1Bの製造方法によれば、検出精度の低下を抑制しつつ小型化を図ることができる分光器1Bを容易に製造することが可能となる。なお、支持体30を用意する工程及び光検出素子20を用意する工程の実施順序は任意である。
特に、分光器1Bを製造する際には、支持体30に設けられた配線13の端部13aを光検出素子20の端子25に接続するだけで、配線13と第1光検出部22及び第2光検出部26との電気的な接続だけでなく、支持体30と光検出素子20との固定、及び光通過部21から第1光検出部22に至る光路の形成が実現される。
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、空間Sに入射する光L1の入射NAが光検出素子20の光通過部21及び遮光膜52の光通過開口52a(場合によっては、光透過部材51における空間S側とは反対側の表面に形成された遮光膜等)の形状によって規定されていたが、これに限定されない。上記第1実施形態では、第1反射部11、第2反射部12A及び分光部40Aの少なくとも1つの領域の形状を調整することで、空間Sに入射する光L1の入射NAを実質的に規定することができる。第1光検出部22に入射する光L2は回折光であるため、成形層41においてグレーティングパターン41aが形成された所定領域の形状を調整することで、当該入射NAを実質的に規定することができる。上記第2実施形態では、第1反射部11、分光部40B及び第2反射部12Bの少なくとも1つの領域の形状を調整することで、空間Sに入射する光L1の入射NAを実質的に規定することができる。
また、空間Sは、光検出素子20及び支持体30を構成として含むパッケージ60に代えて、光検出素子20及び支持体30を収容するパッケージによって気密に封止されてもよい。その場合にも、湿気による空間S内の部材の劣化及び外気温の低下による空間S内での結露の発生等に起因する検出精度の低下を抑制することができる。ここで、当該パッケージは、複数のリードピンが挿通されたステム、及び光通過部21に光L1を入射させる光入射部が設けられたキャップによって、構成することができる。そして、各リードピンにおけるパッケージ内の端部を、ベース壁部31の表面31bにおいて、支持体30に設けられた各配線13の端部13bに接続することで、対応するリードピンと配線13との電気的な接続、並びにパッケージに対する光検出素子20及び支持体30の位置決めを実現することができる。
なお、光検出素子20及び支持体30がパッケージに収容されることから、上述した分光器1Aのように、封止部材15,16を配置したり、カバー50を設けたりすることが不要となる。また、リードピンにおけるパッケージ内の端部は、ベース壁部31に形成された貫通孔内、又はベース壁部31の表面31bに形成された凹部内に配置された状態で、当該貫通孔内又は当該凹部内に延在する配線13の端部13bに接続されていてもよい。また、リードピンにおけるパッケージ内の端部と配線13の端部13bとは、支持体30がバンプボンディング等により実装された配線基板を介して電気的に接続されていてもよい。この場合、リードピンにおけるパッケージ内の端部は、ステムの厚さ方向(すなわち、Z軸方向)から見た場合に支持体30を包囲するように、配置されていてもよい。また、当該配線基板は、ステムに接触した状態でステムに配置されていてもよいし、或いはステムから離間した状態で複数のリードピンによって支持されていてもよい。
また、支持体30の材料は、セラミックに限定されず、LCP、PPA、エポキシ等の樹脂、成形用ガラスといった他の成形材料であってもよい。また、光検出素子20及び支持体30を収容するパッケージによって空間Sが気密に封止されている場合等には、支持体30は、空間Sを包囲する一対の側壁部32及び一対の側壁部33に代えて、互いに離間する複数の柱部又は複数の側壁部を有するものであってもよい。このように、分光器1A,1Bの各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を適用することができる。
また、分光器1Aでは、第1反射部11が平面ミラーであってもよい。その場合、光通過部21を通過する光L1の入射NAを小さくし且つ「光通過部21を通過した光L1が有する広がり角と同じ広がり角を有する光L1の光路長であって、光通過部21から分光部40Aに至る光路長」>「分光部40Aから第1光検出部22に至る光路長」(縮小光学系)とすることで、分光部40Aで分光される光L2の分解能を高くすることができる。具体的には、次のとおりである。すなわち、第1反射部11が平面ミラーである場合、光L1は、広がりつつ分光部40Aに照射される。そのため、分光部40Aの領域が広くなるのを抑制する観点、及び、分光部40Aが第1光検出部22に光L2を集光する距離が長くなるのを抑制する観点からは、光通過部21を通過する光L1の入射NAを小さくする必要がある。そこで、当該光L1の入射NAを小さくし且つ縮小光学系とすることで、分光部40Aで分光される光L2の分解能を高くすることができる。
また、分光器1Bでは、光検出素子20に第2光検出部26が設けられていなくてもよい。その場合にも、光検出素子20及び支持体30によって形成された空間S内に、光通過部21から第1光検出部22に至る光路が形成されることから、分光器1Bの小型化を図ることができる。更に、光通過部21及び第1光検出部22と共に分光部40Bが光検出素子20に設けられていることから、光通過部21、分光部40B及び第1光検出部22の相互の位置関係が精度良く維持される。よって、その場合にも、検出精度の低下を抑制しつつ小型化を図ることが可能となる。
なお、第2光検出部26が設けられていない分光器1Bにおいて、第1反射部11は、平面ミラーに限定されず、凹面ミラーであってもよい。また、分光部40Bは、平面グレーティングに限定されず、凹面グレーティングであってもよい。また、第2反射部12Bは、凹面ミラーに限定されず、平面ミラーであってもよい。ただし、第1反射部11が平面ミラーであるか凹面ミラーであるかによらず、分光部40Bが平面グレーティングであり且つ第2反射部12Bが凹面ミラーである光学系が、分光器1Bの小型化及び高精度化を図る上で有利である。その理由は、平坦面である基板24の表面24aに、凹面グレーティングである分光部40Bを形成することは困難であり、その場合、光L2を第1光検出部22に集光させるために、第2反射部12Bが凹面ミラーである必要があるからである。更に、第1反射部11が平面ミラーであることが、分光器1Bの小型化を図る上で、より好ましい。その理由は、光L1が所定の広がり角を有しながら分光部40Bに入射することになるからである。
また、第2光検出部26が設けられていない分光器1Bを製造する際には、第1反射部11及び第2反射部12Bが設けられた支持体30を用意し(第1工程)、光通過部21、分光部40B及び第1光検出部22が設けられた光検出素子20を用意し(第2工程)、それらの後に、空間Sが形成されるように支持体30と光検出素子20とを固定することで、光通過部21から第1光検出部22に至る光路を空間S内に形成する(第3工程)。このように、支持体30と光検出素子20とを固定するだけで、空間S内に、光通過部21から第1光検出部22に至る光路が形成される。よって、分光器1Bの製造方法によれば、検出精度の低下を抑制しつつ小型化を図ることができる分光器1Bを容易に製造することが可能となる。なお、支持体30を用意する工程及び光検出素子20を用意する工程の実施順序は任意である。
特に、分光器1Bを製造する際には、支持体30に設けられた配線13の端部13aを光検出素子20の端子25に接続するだけで、配線13と第1光検出部22との電気的な接続だけでなく、支持体30と光検出素子20との固定、及び光通過部21から第1光検出部22に至る光路の形成が実現される。
また、上記各実施形態では、対向する光検出素子20の端子25と配線13の端部13aとがバンプ14によって接続されていたが、対向する光検出素子20の端子25と配線13の端部13aとを半田付けで接続してもよい。また、対向する光検出素子20の端子25と配線13の端部13aとの接続を、支持体30の各側壁部32の端面32aにおいてだけでなく、支持体30の各側壁部33の端面33aにおいて行ってもよいし、或いは支持体30の各側壁部32の端面32a及び各側壁部33の端面33aにおいて行ってもよい。また、分光器1A,1Bにおいて、配線13は、支持体30における空間S側とは反対側の表面を引き回されていてもよい。これにより、空間Sに露出した配線13による光の散乱を防止することができる。