JP6759174B2 - 処理液及びパターン形成方法 - Google Patents

処理液及びパターン形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6759174B2
JP6759174B2 JP2017206450A JP2017206450A JP6759174B2 JP 6759174 B2 JP6759174 B2 JP 6759174B2 JP 2017206450 A JP2017206450 A JP 2017206450A JP 2017206450 A JP2017206450 A JP 2017206450A JP 6759174 B2 JP6759174 B2 JP 6759174B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
treatment liquid
solvent
acetate
forming method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017206450A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018081307A5 (ja
JP2018081307A (ja
Inventor
上村 哲也
上村  哲也
三千紘 白川
三千紘 白川
大松 禎
禎 大松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to TW106137910A priority Critical patent/TWI749094B/zh
Publication of JP2018081307A publication Critical patent/JP2018081307A/ja
Publication of JP2018081307A5 publication Critical patent/JP2018081307A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6759174B2 publication Critical patent/JP6759174B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

本発明は、処理液及びパターン形成方法に関する。
より詳細には、本発明は、IC(Integrated Circuit、集積回路)等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程などに使用される、処理液、及びパターン形成方法に関する。
従来、IC(Integrated Circuit、集積回路)やLSI(Large Scale Integrated circuit、大規模集積回路)などの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。更には、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光(Extreme Ultra Violet、極紫外線)を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
このようなリソグラフィーにおいては、フォトレジスト組成物(感活性光線又は感放射線性組成物や、化学増幅型レジスト組成物とも呼ばれる)により膜を形成した後、得られた膜を現像液により現像すること、現像後の膜をリンス液で洗浄することが行われている。
例えば、特許文献1には、現像液として、ケトン系溶剤やエステル系溶剤から選ばれる第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の混合物を含有する有機系処理液を用いることが開示されている。
特開2012−181523号公報
近年、集積回路の高集積化に伴って、フォトレジスト組成物を用いた微細パターンの形成が求められている。このような微細パターンの形成においては、僅かな欠陥も半導体チップの動作に影響する為に、欠陥を発生しない現像液及びリンス液が求められている。一方、C/Hパターン(コンタクトホールパターン)に於いては、微細化に伴いコンタクトホールの孔径が狭まることで、ホールの縁が繋がる、ホールが全く開口しない、という「抜け不良」が発生しやすい。現像液やリンス液は、L/SパターンやC/Hパターンといったパターンの種類に限定されず、良好な性能を示すことが求められており、低欠陥性能と抜け不良の発生を同時に解消できる現像液やリンス液が求められていた。
しかしながら、微細パターンに於ける低欠陥性能と抜け不良の発生を同時に抑制できる現像液やリンス液は、未だ知られていないのが現状である。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、レジスト上の欠陥の発生とレジストC/Hパターンにおける抜け不良の発生を同時に抑制できるレジスト膜パターニング用の処理液及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、沸点が特定範囲にある有機溶剤を特定の含有量で含む処理液を用いることで、所望の効果が得られることを見出した。
本発明によれば、レジスト上の欠陥発生抑制とレジストC/Hパターンにおける抜け不良の発生を同時に抑制できるレジスト膜パターニング用の処理液及びパターン形成方法を提供できる。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔20〕を提供するものである。
〔1〕(a)感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、(b)上記膜を露光する工程と、(c)処理液を用いて上記露光された膜を処理する工程とを含んだパターン形成方法であって、上記処理液は、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を30質量%以上含むパターン形成方法。
〔2〕上記有機溶剤の標準沸点が175℃以上である〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕上記工程(c)は、上記処理液を用いて上記露光された膜を現像する工程を含む〔1〕または〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕上記工程(c)は、上記露光された膜を現像する工程と、上記現像された膜をリンスする工程とを含み、上記現像する工程及び上記リンスする工程の少なくとも一方において、上記処理液が用いられる〔1〕または〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔5〕上記処理液は、更にエステル系溶剤を含む、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔6〕上記エステル系溶剤が、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸1−メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、イソブタン酸ブチル、及びブタン酸ブチルから選ばれる少なくとも1種を含む〔5〕に記載のパターン形成方法。
〔7〕上記処理液は、更にケトン系溶剤を含む、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕上記ケトン系溶剤が、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、及び2‐ヘプタノンから選ばれる少なくとも1種を含む〔7〕に記載のパターン形成方法。
〔9〕上記組成物は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を備えた樹脂と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物とを含む〔1〕から〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕上記工程(b)はKrF又はArFエキシマレーザーを用いて行われる〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔11〕上記工程(b)はEUV光を用いて行われる〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔12〕(d)上記処理液を用いて処理された膜を加熱することを更に含んだ〔1〕から〔11〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔13〕上記処理液が、沸点が300℃以上の有機不純物を上記処理液全質量に対して0.001〜30質量ppm含む〔1〕から〔11〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔14〕上記処理液の含水率が500ppm以下である、〔1〕から〔13〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔15〕〔1〕から〔14〕のいずれかに記載のパターン形成方法に用いられる処理液であって、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を30質量%以上含む処理液。
〔16〕露光された膜を現像するために用いられる〔15〕に記載の処理液。
〔17〕現像された膜をリンスするために用いられる〔15〕に記載の処理液。
〔18〕上記処理液が、沸点が300℃以上の有機不純物を処理液全質量に対して0.001〜30質量ppm含む〔15〕から〔17〕のいずれかに記載の処理液。
〔19〕上記処理液がFe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有し、各元素の含有量が、上記処理液全質量に対して0.001〜100質量pptである〔15〕から〔18〕のいずれかに記載の処理液。
〔20〕蒸留及びろ過工程を経て生成される〔15〕から〔19〕のいずれかに記載の処理液。
有機溶剤の精製装置である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。従来、ネガ型のパターン形成方法として、基材上にレジスト組成物を用いて膜を形成することと、前記膜を露光することと、処理液を用いて前記露光された膜を処理することとを含む方法が知られている。
本発明者らは、この従来法を用いてパターンを形成した場合に、現像欠陥が比較的生じ易いことを見出した。その理由を鋭意検討した結果、これら現像欠陥の多くが、露光された膜の処理に用いる処理液に由来していることを初めて見出した。そして、当該処理液の組成を以下のように定めることにより、現像欠陥を大幅に減少させ得ることを見出した。
<処理液>
本発明に係る処理液は、(1)標準沸点が172℃以上の有機溶剤を30質量%以上含む。
本発明の処理液は、現像液及び/又はリンス液として用いられることが好ましい。本発明の処理液を用いると、揮発速度が比較的遅い為に、基材、膜又はパターンに付着した不溶物を洗い流す効果が増大する。その結果、現像欠陥を減少させることが可能となる。更に、現像欠陥を抑制する効果に加えてリソグラフィー性能(抜け性)も良化することが見出された。すなわち、欠陥性能とリソグラフィー性能の両立が可能となることが分った。この原因は明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推察する。
本発明の処理液を用いると、標準沸点が172℃以上と高いことによって、ウエアエッジ部での処理液の乾燥速度を遅くすることができ、例えば、現像及び/又はリンス処理の後の処理液の乾燥をウエハ面内でより均一化できると考えられる。乾燥速度が遅いと膜の密度が相対的に高くなるため、形成したパターンを用いて基板側をエッチング加工する際に、エッチングガスによるエッチング速度が遅くなると推察される。即ち、処理液として、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を30質量%以上含有することで、ウエハ面内での現像液及び/又はリンス液の乾燥速度の差をより小さくすることができる。その結果、エッチング後のウエハ面内での線幅またはホール径等の面内均一性をより向上させることができると推察される。
本発明の処理液は、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を95質量%以下とすることが、現像またはリンス処理後の処理残液がベーク時にウエハ上のレジストパターン内に過剰に残留し、抜け性の低減によるパターン形状の悪化を低減させる観点で好ましい。パターン形状の悪化の要因は定かではないが、残留溶媒による可塑化効果に起因してベーク時におけるパターン部のレジスト樹脂の変形を促してパターン形状が変化することが想定される。なお、処理液に対する標準沸点が172℃以上である有機溶剤の含有量は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは30〜60質量%とする。処理液に対する標準沸点が172℃以上の有機溶剤をかかる範囲とすることで、現像欠陥を更に減少させることが可能となる。
標準沸点が172℃以上である有機溶剤としては、例えば、下記表1に示すものが挙げられる。なお、表1には、各々の標準沸点を併記している。
本発明に係る処理液に含有させる上記有機溶剤は、標準沸点が175℃以上であることが好ましく、標準沸点が200℃以上であることがより好ましい。処理液に含有させる有機溶剤の標準沸点の上限値は、限定的ではないが、300℃未満が好ましい。
なお、上記処理液は、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を1種類のみ含んでいてもよく、上記有機溶剤を2種類以上含んでいてもよい。
本発明に係る処理液は、標準沸点が172℃未満である有機溶剤を更に含んでいてもよい。本発明に係る処理液は、γ‐ブチロラクトン及び酢酸ブチルの組み合わせを含むことが好ましい。
以下、種々の有機溶剤を示すが、本発明はこれに限定されない。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤等の溶剤を用いることができる。本発明の処理液に含まれる有機溶剤としては、標準沸点が172℃以上の有機溶剤と、エステル系溶剤又はケトン系溶剤とを含有することが好ましい。
特に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する処理液であることが好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル、酢酸3−メチルブチル)、酢酸2−メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、酢酸イソヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、ブタン酸イソブチル、ブタン酸ペンチル、ブタン酸ヘキシル、イソブタン酸イソブチル、ペンタン酸プロピル、ペンタン酸イソプロピル、ペンタン酸ブチル、ペンタン酸ペンチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクロヘプチル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸シクロペンチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等を挙げることができる。これらの中でも、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、イソブタン酸ブチルが好ましく用いられ、酢酸ブチル、酢酸イソアミル又はイソブタン酸ブチルが特に好ましく用いられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、シクロペンタノン、2,5−ジメチル−4−ヘキサノンを挙げることができ、中でもメチルイソアミルケトン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、及び2‐ヘプタノンが好ましく用いられ、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサン、2−ヘプタノンが更に好ましく用いられ、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンが特に好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−デカノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、4−メチル−2−ヘキサノール、4,5−ジメチル−2−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、7−メチル−2−オクタノール、8−メチル−2−ノナノール、9−メチル−2−デカノール、3−メトキシ−1−ブタノール等のアルコール(1価のアルコール)や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1−メトキシ−2−プロパノール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等の水酸基を含有するグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。これらの中でもグリコールエーテル系溶剤を用いることが好ましい。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記水酸基を含有するグリコールエーテル系溶剤の他、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の水酸基を含有しないグリコールエーテル系溶剤、アニソール、フェネトール等の芳香族エーテル溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、イソプロピルエーテル等が挙げられる。好ましくは、グリコールエーテル系溶剤、又はアニソールなどの芳香族エーテル溶剤を用いる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1−メチルプロピルベンゼン、2−メチルプロピルベンゼン、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、ジプロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
また、炭化水素系溶剤としては、不飽和炭化水素系溶剤も用いることができ、例えば、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ヘキサデセン等の不飽和炭化水素系溶剤が挙げられる。不飽和炭化水素系溶剤が有する二重結合、三重結合の数は特に限定されず、また、炭化水素鎖のどの位置に有してもよい。また、不飽和炭化水素系溶剤が二重結合を有する場合には、cis体及びtrans体が混在していてもよい。
なお、炭化水素系溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤においては、同じ炭素数で異なる構造の化合物の混合物であってもよい。例えば、脂肪族炭化水素系溶媒としてデカンを使用した場合、同じ炭素数で異なる構造の化合物である2−メチルノナン、2,2−ジメチルオクタン、4−エチルオクタン、イソオクタンなどが脂肪族炭化水素系溶媒に含まれていてもよい。
また、上記同じ炭素数で異なる構造の化合物は、1種のみが含まれていてもよいし、上記のように複数種含まれていてもよい。
<処理液と併用可能な現像液及びリンス液>
以下、本発明の処理液と併用可能な現像液及びリンス液について詳述する。
本発明の処理液と併用可能な現像液について詳述する。
現像液は、後述する露光工程においてEUV光(Extreme Ultra Violet)及びEB(Electron Beam)を用いる場合において、レジスト膜の膨潤を抑制できるという点から、炭素数が6以上(6〜14が好ましく、6〜12がより好ましく、6〜10が更に好ましい)、かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
上記エステル系溶剤のヘテロ原子は、炭素原子及び水素原子以外の原子であって、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子数は、2以下が好ましい。
炭素数が6以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤の好ましい例としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、及びイソブタン酸ブチルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、酢酸イソアミル、又はイソブタン酸ブチルを用いることが特に好ましい。
現像液は、後述する露光工程においてEUV光及びEBを用いる場合において、上述した炭素原子数が6以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤に代えて、上記エステル系溶剤及び上記炭化水素系溶剤の混合溶剤、又は、上記ケトン系溶剤及び上記炭化水素系溶剤の混合溶剤を用いてもよい。この場合においても、レジスト膜の膨潤の抑制に効果的である。
エステル系溶剤と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いる場合には、エステル系溶剤として酢酸イソアミルを用いることが好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調製するという観点から、飽和炭化水素系溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカンなど)を用いることが好ましい。
ケトン系溶剤と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いる場合には、ケトン系溶剤としては、ジイソブチルケトン、2,5−ジメチル−4−ヘキサノンを用いることが好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調製するという観点から、飽和炭化水素系溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカンなど)を用いることが好ましい。
上記の混合溶剤を用いる場合において、炭化水素系溶剤の含有量は、レジスト膜の溶剤溶解性に依存するため、特に限定されず、適宜調製して必要量を決定すればよい。
上記の有機溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。本発明の効果を奏する観点で、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、300ppm以下であることが更により好ましく、150ppm以下であることが更により好ましく、実質的に水分を含有しないことが更により好ましく、一方で後述する別の要因から5ppm以上の微量の水分を含むことが好ましい。
また、本発明に係る処理液により現像処理またはリンス処理を行った後に形成したレジストパターンをエッチングマスクとして基板側を加工する際の加工後形状の観点から、含水率が500ppm以下であることが好ましい。含水率が500ppm以下であることで、パターンの抜け性をより良好とすることができ、パターン解像性をより良好にすることができる。抜け性をより向上できるメカニズムは定かではないが、現像処理またはリンス処理時において、含水率をより小さく抑えることで、現像液またはリンス液等の処理液中に溶解するレジスト樹脂成分の溶解性を均一に維持することができるので、現像、リンス、または乾燥処理時にレジスト樹脂が析出したり、基板に付着したりすることが防止でき、良好なパターン形状と、良好な解像性が得られ、レジストの抜け性改良や面内均一性を維持できる。
また、含水率の下限値としては5ppm以上とすることが、エッチング後の欠陥やラフネスへの影響、または下地層へのマイグレーションによる基板材質の電気特性等の物性変化を低減することができる観点から好ましい。これらの要因は定かではないが、処理液中に水分が極微量含まれることで、処理対象となっているレジスト樹脂パターンやレジスト下地膜の表層に偏在している無機不純物(イオン性成分、および親水的な無機粒子成分)を処理液中に取り込んで除去することができ、その結果、エッチング後の欠陥やラフネスへの影響、または下地層へのマイグレーションによる基板材質の電気特性等の物性変化を低減することができると想定される。
現像液における有機溶剤(複数混合の場合は合計)の濃度は、好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。最も好ましくは、実質的に有機溶剤のみからなる場合である。なお、実質的に有機溶剤のみからなる場合とは、微量の界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、消泡剤などを含有する場合を含むものとする。
また、現像液として用いる有機溶剤として、上述したエステル系溶剤のほか、後述する一般式(S1)又は一般式(S2)で表されるエステル系溶剤も好適に挙げることができる。エステル系溶剤としては、なかでも、一般式(S1)で表される溶剤を用いることが更により好ましく、酢酸アルキルを用いることが特に好ましく、酢酸ブチル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル)を用いることが最も好ましい。
0−C(=O)−O−R1 一般式(S1)
一般式(S1)に於いて、R0及びR1は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R0及びR1は、互いに結合して環を形成してもよい。
0及びR1についてのアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基の炭素数は、1〜15の範囲であることが好ましく、シクロアルキル基の炭素数は、3〜15であることが好ましい。
0及びR1としては水素原子又はアルキル基が好ましく、R0及びR1についてのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、及びR0とR1とが互いに結合して形成する環は、水酸基、カルボニル基を含む基(例えば、アシル基、アルデヒド基、アルコキシカルボニル等)、シアノ基などで置換されていてもよい。
一般式(S1)で表される溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等を挙げることができる。
これらの中でも、R0及びR1が無置換のアルキル基であることが好ましい。
一般式(S1)で表される溶剤としては、酢酸アルキルであることが好ましく、酢酸ブチル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル)であることがより好ましく、酢酸イソアミルであることが更に好ましい。
一般式(S1)で表される溶剤は他の有機溶剤1種以上と併用して用いてもよい。この場合の併用溶剤としては、一般式(S1)で表される溶剤に分離することなく混合できれば特に制限は無く、一般式(S1)で表される溶剤同士を併用して用いてもよいし、一般式(S1)で表される溶剤を他のエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤から選択される溶剤に混合して用いてもよい。併用溶剤は1種以上用いることができるが、安定した性能を得る上では、1種であることが好ましい。併用溶剤1種を混合して用いる場合の、一般式(S1)で表される溶剤と併用溶剤の混合比は、質量比で通常20:80〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは60:40〜95:5、最も好ましくは60:40〜90:10である。
現像液として用いる有機溶剤としては、グリコールエーテル系溶剤を用いることができる。グリコールエーテル系溶剤としては、下記一般式(S2)で表される溶剤を用いてもよい。
2−C(=O)−O−R3−O−R4 一般式(S2)
一般式(S2)に於いて、R2及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R2及びR4は、互いに結合して環を形成してもよい。
2及びR4は、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。R2及びR4についてのアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基の炭素数は、1〜15の範囲であることが好ましく、シクロアルキル基の炭素数は、3〜15であることが好ましい。
3は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。R3は、アルキレン基であることが好ましい。R3についてのアルキレン基の炭素数は、1〜10の範囲であることが好ましい。R3についてのシクロアルキレン基の炭素数は、3〜10の範囲であることが好ましい。
2及びR4についてのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、R3についてのアルキレン基、シクロアルキレン基、及びR2とR4とが互いに結合して形成する環は、水酸基、カルボニル基を含む基(例えば、アシル基、アルデヒド基、アルコキシカルボニル等)、シアノ基などで置換されていてもよい。
一般式(S2)に於ける、R3についてのアルキレン基は、アルキレン鎖中にエーテル結合を有していてもよい。
一般式(S2)で表される溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート等が挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることが好ましい。
これらの中でも、R2及びR4が無置換のアルキル基であり、R3が無置換のアルキレン基であることが好ましく、R2及びR4がメチル基及びエチル基のいずれかであることがより好ましく、R2及びR4がメチル基であることが更により好ましい。
一般式(S2)で表される溶剤は他の有機溶剤1種以上と併用して用いてもよい。この場合の併用溶剤としては、一般式(S2)で表される溶剤に分離することなく混合できれば特に制限は無く、一般式(S2)で表される溶剤同士を併用して用いてもよいし、一般式(S2)で表される溶剤を他のエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤から選択される溶剤に混合して用いてもよい。併用溶剤は1種以上用いることができるが、安定した性能を得る上では、1種であることが好ましい。併用溶剤1種を混合して用いる場合の、一般式(S2)で表される溶剤と併用溶剤の混合比は、質量比で通常20:80〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは60:40〜95:5、最も好ましくは60:40〜90:10である。
また、現像液として用いる有機溶剤として、上述したエーテル系溶剤のほか、芳香環を一つ以上含むエーテル系溶剤も好適に挙げることができる。なかでも、下記一般式(S3)で表される溶剤がより好ましく、最も好ましくはアニソールである。
一般式(S3)において、Rは、アルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
現像液に含まれる有機溶剤としては、後述する感活性光線又は感放射線性組成物に用いられる有機溶剤を用いることができる。
本発明の処理液と併用可能なリンス液について詳述する。
リンス液に含まれる有機溶剤としては、現像後の残渣低減に特に有効であるという観点から、上記エステル系溶剤及び上記ケトン系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を用いる態様であってもよい。
リンス液が、エステル系溶剤及びケトン系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する場合、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル)、酢酸n−ペンチル、3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP、エチル−3−エトキシプロピオネート)、及び2−ヘプタノンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤を主成分として含有することが好ましく、酢酸ブチル及び2−ヘプタノンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤を主成分として含有することが特に好ましい。
また、リンス液が、エステル系溶剤及びケトン系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する場合、エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤からなる群より選択される溶剤を副成分として含有することが好ましく、中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、酢酸エチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン、プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネートからなる群より選択される溶剤が好ましい。
この中でも、有機溶剤としてエステル系溶剤を用いる場合には、上記効果が一層発揮されるという点から、2種以上のエステル系溶剤を用いることが好ましい。この場合の具体例としては、エステル系溶剤(好ましくは酢酸ブチル)を主成分として、これとは化学構造が異なるエステル系溶剤(好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))を副成分として用いることが挙げられる。
また、有機溶剤としてエステル系溶剤を用いる場合には、上記効果が一層発揮されるという点から、エステル系溶剤(1種又は2種以上)に加えて、グリコールエーテル系溶剤を用いてもよい。この場合の具体例としては、エステル系溶剤(好ましくは、酢酸ブチル)を主成分として、グリコールエーテル系溶剤(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))を副成分として用いることが挙げられる。
有機溶剤としてケトン系溶剤を用いる場合には、上記効果が一層発揮されるという点から、ケトン系溶剤(1種又は2種以上)に加えて、エステル系溶剤及び/又はグリコールエーテル系溶剤を用いてもよい。この場合の具体例としては、ケトン系溶剤(好ましくは2−ヘプタノン)を主成分として、エステル系溶剤(好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))及び/又はグリコールエーテル系溶剤(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))を副成分として用いることが挙げられる。
ここで、上記の「主成分」とは、有機溶剤の全質量に対する含有量が、50〜100質量%であることをいい、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%であることをいう。
また、副成分を含有する場合には、副成分の含有量は、主成分の全質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
以下、本発明の処理液が含み得る各種添加剤について詳述する。以下の各種添加剤は、勿論、上述した本発明の処理液と併用可能な現像液及び/又はリンス液に含まれていてもよい。
<界面活性剤>
処理液は、界面活性剤を含有していてもよい。これにより、レジスト膜に対する濡れ性が向上して、現像及び/又はリンスがより効果的に進行する。
界面活性剤としては、後述する感活性光線又は感放射線性組成物に用いられる界面活性剤と同様のものを用いることができる。
界面活性剤の含有量は、処理液の全質量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び、カチオン界面活性剤が好ましく、ノニオン界面活性剤がより好ましい。
本発明に係る半導体製造用処理液は、界面活性剤として、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有することにより、レジスト膜に対する濡れ性が向上して、現像及び/又はリンスがより効果的に進行する。
添加剤は、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
〔2−1〕アニオン界面活性剤
アニオン界面活性剤は、例えば、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルプロピオン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアリールエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアリールエーテルプロピオン酸、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸、及び、それらの塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤は、特に限定されないが、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸がより好ましい。
〔2−2〕ノニオン界面活性剤
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリアルキレンオキサイドアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル系界面活性剤、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドからなるブロックポリマー系界面活性剤、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレントリベンジルフェニルエーテル系界面活性剤、及び、アセチレンポリアルキレンオキサイド系界面活性剤等が挙げられる。
〔2−3〕カチオン界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、例えば、第4級アンモニウム塩系界面活性剤、及び、アルキルピリジウム系界面活性剤等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩系界面活性剤は、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及び、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。第4級アンモニウム塩系界面活性剤は、特に限定されないが、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウムが好ましい。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
<酸化防止剤>
処理液は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、公知のものが使用できるが、半導体用途に用いる場合、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N'−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p'−ジ−n−ブチルジフェニルアミン、p,p'−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、p,p'−ジ−t−ペンチルジフェニルアミン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン、p,p'−ジノニルジフェニルアミン、p,p'−ジデシルジフェニルアミン、p,p'−ジドデシルジフェニルアミン、p,p'−ジスチリルジフェニルアミン、p,p'−ジメトキシジフェニルアミン、4,4'−ビス(4−α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−ターシャリブチルフェノール(以下、ターシャリブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールジエステル、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル―オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6―ジメチルベンジル)イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、処理液の全質量に対して、0.0001〜1質量%が好ましく、0.0001〜0.1質量%がより好ましく、0.0001〜0.01質量%が更に好ましい。0.0001質量%以上であるとより優れた酸化防止効果が得られ、1質量%以下であることで、現像後及び/又はリンス後の残渣を抑制できる傾向にある。
<塩基性化合物>
本発明の処理液は、塩基性化合物を含有していてもよい。塩基性化合物の具体例としては、後に述べる感活性光線性又は感放射線性組成物が含み得る塩基性化合物(E)として例示する化合物が挙げられる。
本発明の処理液に含まれ得る塩基性化合物の中でも、以下の含窒素化合物を好ましく用いることができる。
上記含窒素化合物が現像液に含まれる場合、含窒素化合物は、酸の作用によりレジスト膜中に発生する極性基と相互作用し、有機溶剤に対する露光部の不溶性を更に向上させることができる。ここで、上記含窒素化合物と極性基との相互作用とは、この含窒素化合物と極性基が反応して塩を形成する作用、イオン性結合を形成する作用等のことである。
上記含窒素化合物としては、式(1)で表される化合物が好ましい。
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ホルミル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜30の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基又はこれらの基を2種以上組み合わせてなる基である。Rは、水素原子、水酸基、ホルミル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数1〜30のn価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30のn価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基又はこれらの基を2種以上組み合わせてなるn価の基である。nは、1以上の整数である。但し、nが2以上のとき、複数のR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。またR〜Rのいずれか2つが結合して、それぞれが結合する窒素原子と共に環構造を形成してもよい。
上記R及びRで表される炭素数1〜30の鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記R及びRで表される炭素数3〜30の脂環状炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基等が挙げられる。
上記R及びRで表される炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記R及びRで表されるこれらの基を2種以上組み合わせてなる基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の炭素数6〜12のアラルキル基等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数1〜30のn価の鎖状炭化水素基としては、例えば上記R及びRで表される炭素数1〜30の鎖状炭化水素基として例示した基と同様の基から水素原子を(n−1)個除いた基等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数3〜30の脂環状炭化水素基としては、例えば上記R及びRで表される炭素数3〜30の環状炭化水素基として例示した基と同様の基から水素原子を(n−1)個除いた基等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば上記R及びRで表される炭素数6〜14の芳香族炭化水素基として例示した基と同様の基から水素原子を(n−1)個除いた基等が挙げられる。
上記Rで表されるこれらの基を2種以上組み合わせてなる基としては、例えば上記R及びRで表されるこれらの基を2種以上組み合わせてなる基として例示した基と同様の基から水素原子を(n−1)個除いた基等が挙げられる。
上記R〜Rで表される基は置換されていてもよい。具体的な置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロビル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。上記ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば(シクロ)アルキルアミン化合物、含窒素複素環化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物等が挙げられる。
(シクロ)アルキルアミン化合物としては、例えば窒素原子を1つ有する化合物、窒素原子を2つ有する化合物、窒素原子を3つ以上有する化合物等が挙げられる。
窒素原子を1つ有する(シクロ)アルキルアミン化合物としては、例えばn−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、1−アミノデカン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;トリエタノールアミン等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族アミン類が挙げられる。
窒素原子を2つ有する(シクロ)アルキルアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。
窒素原子を3つ以上有する(シクロ)アルキルアミン化合物としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば含窒素芳香族複素環化合物、含窒素脂肪族複素環化合物等が挙げられる。
含窒素芳香族複素環化合物としては、例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチル−1H−イミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、2,2’:6’,2’’−ターピリジン等のピリジン類が挙げられる。
含窒素脂肪族複素環化合物としては、例えばピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、プロリン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、等が挙げられる。
処理液中における、塩基性化合物(好ましくは含窒素化合物)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、処理液全量に対して、10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が好ましい。
なお、本発明において、上記の含窒素化合物は、1種のみを使用してもよいし、化学構造が異なる2種以上を併用してもよい。
上述した処理液は、本願同様の課題解決等を目的に、非化学増幅系のレジストにも好適に適用することができる。
非化学増幅系のレジストとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
(1)g線、h線、i線、KrF、ArF、EBあるいはEUV等の照射によって主鎖が切断し、分子量が低下することにより溶解性が変化するレジスト材料(例えば特開2013−210411号公報の段落0025〜0029、0056や米国特許公報2015/0008211の段落0032〜0036、0063に記載のα−クロロアクリル酸エステル系化合物とα−メチルスチレン系化合物との共重合体を主成分とするレジスト材料等)。
(2)g線、h線、i線、KrF、ArF、EBあるいはEUV等によって生じたシラノール縮合反応を伴うハイドロゲンシルセスオキサン(HSQ)、塩素置換したカリックスアレーン等のレジスト材料
(3)g線、h線、i線、KrF、ArF、EBあるいはEUV等の光に対して吸収を有する金属錯体(マグネシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、セシウム、ジルコニウム、ハフニウム等の錯体であり、チタン、ジルコニウム、ハフニウムがパターン形成性の観点から好ましい)を含み、配位子脱離や光酸発生剤と併用して配位子交換過程を伴うレジスト(特開2015−075500号公報の段落0017〜0033、0037〜0047、特開2012−185485号公報の段落0017〜0032、0043〜0044、米国特許公報2012/0208125の段落0042〜0051、0066等に記載のレジスト材料)等。
また、上述した処理液は、本願同様の課題解決等を目的に、シリコン系のレジストにも好適に適用することができる。
シリコン系のレジストとしては、例えば、特開2008−83384号公報に記載の段落0010〜0062、段落0129〜0165に記載のレジスト材料が挙げられる。
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、感活性光線又は感放射線性組成物(以下「レジスト組成物」ともいう)を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、上記レジスト膜を露光する露光工程と、露光された上記レジスト膜を上述した処理液によって処理する処理工程と、を含む。
本発明のパターン形成方法によれば、上述した処理液を用いるので、レジストL/Sパターンにおけるパターン倒れの発生とレジストC/Hパターンにおける抜け不良の発生を同時に抑制できる。
以下、本発明のパターン形成方法が有する各工程について説明する。また、処理工程の一例として、現像工程及びリンス工程のそれぞれについて説明する。
<レジスト膜形成工程(a)>
レジスト膜形成工程は、感活性光線性又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成する工程であり、例えば次の方法により行うことができる。
感活性光線性又は感放射線性組成物を用いて基板上にレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性組成物膜)を形成するためには、後述する各成分を溶剤に溶解して感活性光線性又は感放射線性組成物を調製し、必要に応じてフィルター濾過した後、基板上に塗布する。フィルターとしては、ポアサイズ0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
感活性光線性又は感放射線性組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)上に、スピナー等の適当な塗布方法により塗布される。その後、乾燥し、レジスト膜を形成する。必要により、レジスト膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、反射防止膜)を形成してもよい。
乾燥方法としては、加熱して乾燥する方法が一般的に用いられる。加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
加熱温度は80〜180℃で行うことが好ましく、80〜150℃で行うことがより好ましく、80〜140℃で行うことが更に好ましく、80〜130℃で行うことが特に好ましい。加熱時間は30〜1000秒が好ましく、60〜800秒がより好ましく、60〜600秒が更に好ましい。
レジスト膜の膜厚は、一般的には200nm以下であり、好ましくは100nm以下である。
例えば30nm以下のサイズの1:1ラインアンドスペースパターンを解像させるためには、形成されるレジスト膜の膜厚が50nm以下であることが好ましい。膜厚が50nm以下であれば、後述する現像工程を適用した際に、パターン倒れがより起こりにくくなり、より優れた解像性能が得られる。
膜厚の範囲としてより好ましくは、15nmから45nmの範囲である。膜厚が15nm以上であれば、十分なエッチング耐性が得られる。膜厚の範囲として更に好ましくは、15nmから40nmである。膜厚がこの範囲にあると、エッチング耐性とより優れた解像性能とを同時に満足させることができる。
なお、本発明のパターン形成方法においては、レジスト膜の上層に上層膜(トップコート膜)を形成してもよい。上層膜は、例えば、疎水性樹脂、酸発生剤、塩基性化合物を含有する上層膜形成用組成物を用いて形成することができる。上層膜及び上層膜形成用組成物については、後述のとおりである。
<露光工程(b)>
露光工程は、上記レジスト膜を露光する工程であり、例えば次の方法により行うことができる。
上記のようにして形成したレジスト膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する。なお、電子ビームの照射では、マスクを介さない描画(直描)が一般的である。なお、製膜後、露光工程の前に、露光前ベーク工程(塗布後ベーク工程ともいう(PB;Prebake))を含むことも好ましい。
活性光線又は放射線としては特に限定されないが、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線(EB)等である。露光は液浸露光であってもよい。
<ベーク>
本発明のパターン形成方法においては、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後ベーク工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。露光後ベーク工程により露光部の反応が促進され、感度やパターン形状がより良好となる。
加熱温度は80〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、80〜130℃が更に好ましい。
加熱時間は30〜1000秒が好ましく、60〜800秒がより好ましく、60〜600秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
なお、上述した露光前ベーク工程の加熱温度及び加熱時間についても、上述の露光後ベーク工程の加熱温度及び加熱時間と同様である。
<露光された膜を処理する工程(c)>
<<現像工程>>
現像工程は、露光された上記レジスト膜を現像液によって現像する工程である。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
現像時間は未露光部の樹脂が十分に溶解する時間であれば特に制限はなく、通常は10〜300秒であり、好ましくは20〜120秒である。
現像液の温度は0〜50℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。
現像工程で用いられる現像液としては、上述した処理液を用いることが好ましい。現像液については、上述した通りである。処理液を用いた現像に加えて、アルカリ現像液による現像を行ってもよい(いわゆる二重現像)。
<<リンス工程>>
リンス工程は、上記現像工程の後にリンス液によって洗浄(リンス)する工程である。
リンス工程においては、現像を行ったウエハを上記のリンス液を用いて洗浄処理する。
洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転吐出法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転吐出方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
リンス時間には特に制限はないが、通常は10秒〜300秒であり、好ましくは10秒〜180秒であり、最も好ましくは20秒〜120秒である。
リンス液の温度は0〜50℃が好ましく、15〜35℃が更に好ましい。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
さらに、現像処理又はリンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する溶剤を除去するために加熱処理を行うことができる。加熱温度は、良好なレジストパターンが得られる限り特に限定されるものではなく、通常40〜160℃である。加熱温度は50〜150℃が好ましく、50〜110℃が最も好ましい。加熱時間に関しては良好なレジストパターンが得られる限り特に限定されないが、通常15〜300秒であり、好ましくは、15〜180秒である。
本発明のパターン形成方法においては、現像液及びリンス液の少なくとも一方が上述した処理液であるが、特にリンス液が上述した処理液であることが好ましい。
なお、一般的に、現像液及びリンス液は、使用後に配管を通して廃液タンクに収容される。その際、例えば、現像液としてエステル系溶剤、リンス液として炭化水素系溶剤を使用すると、現像液中に溶解したレジストが析出してしまい、ウエハ側背面や、配管側面などに付着してしまい、装置を汚してしまう。
上記問題を解決するためには、再度、レジストが溶解する溶剤を配管に通す方法がある。配管に通す方法としては、リンス液での洗浄後に基板の背面や側面などをレジストが溶解する溶剤で洗浄して流す方法や、レジストに接触させずにレジストが溶解する溶剤を配管を通るように流す方法が挙げられる。
配管に通す溶剤としては、レジストを溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば上述した現像液として用いられる有機溶剤が挙げられる。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−ヘプタノン、乳酸エチル、1−プロパノール、アセトン等が挙げられる。中でも、PGMEA、PGME、シクロヘキサノンが好ましい。
[感活性光線又は感放射線性組成物(レジスト組成物)]
次に、本発明の処理液を組み合わせて用いることが好ましい感活性光線性又は感放射線性組成物について詳細に説明する。
(A)樹脂
<樹脂(A)>
本発明の処理液と組み合わせて用いることが好ましい感活性光線性又は感放射線性組成物としては、樹脂(A)を含有することが好ましい。樹脂(A)は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を備えた樹脂であることが好ましく、少なくとも(i)酸の作用により分解してカルボキシル基を生じる基を有する繰り返し単位(更に、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有してもよい)、又は、少なくとも(ii)フェノール系水酸基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。
なお、酸の作用により分解してカルボキシル基を有する繰り返し単位を有すると、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大し、有機溶剤に対する溶解度が減少する。
樹脂(A)が有するフェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(I)で表される繰り返し単位が挙げられる。
式中、R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、−COO−、又は−CONR64−を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1〜5の整数を表す。
一般式(I)におけるR41、R42、R43のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。
一般式(I)におけるR41、R42、R43のアルキル基は、環状であってもよく、単環型でも、多環型でもよい。R41、R42、R43のアルキル基が環状である場合、好ましくは置換基を有していてもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜8個で単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
一般式(I)におけるR41、R42、R43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、R43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、R43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などの炭素数6〜18のアリーレン基、あるいは、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む芳香環基を好ましい例として挙げることができる。これらは、更に置換基を有していてもよい。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基及び(n+1)価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、一般式(I)におけるR41、R42、R43で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;等が挙げられる。
により表わされる−CONR64−(R64は、水素原子、アルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
としては、単結合、−COO−、−CONH−が好ましく、単結合、−COO−がより好ましい。
におけるアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
Arとしては、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香環基がより好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、ビフェニレン環基が特に好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。即ち、Arは、ベンゼン環基であることが好ましい。
樹脂(A)が有するフェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、好ましくは、下記一般式(p1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(p1)におけるRは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。一般式(p1)中のRとしては水素原子が特に好ましい。
一般式(p1)におけるArは芳香族環を表し、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香族ヘテロ環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環が最も好ましい。
一般式(p1)におけるmは、1〜5の整数を表し、好ましくは1である。
以下、樹脂(A)が有するフェノール性水酸基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。式中、aは1又は2を表す。

フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0〜50モル%が好ましく、より好ましくは0〜45モル%、更に好ましくは0〜40モル%である。
樹脂(A)が有する酸の作用により分解してカルボキシル基を生じる基を有する繰り返し単位は、カルボキシル基の水素原子が酸の作用により分解して脱離する基で置換された基を有する繰り返し単位である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
樹脂(A)が有する、酸の作用により分解してカルボキシル基を生じる基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(AI)において、Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、各々独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。ただし、Rx〜Rxの全てがアルキル基(直鎖若しくは分岐)である場合、Rx〜Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Xaにより表される、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基又は−CH−R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子など)、ヒドロキシル基又は1価の有機基を表し、例えば、炭素数5以下のアルキル基、炭素数5以下のアシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは、一態様において、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基等である。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xaが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Tが単結合を表す繰り返し単位)である。より好ましくは、Rx〜Rxが各々独立に、直鎖又は分岐のアルキル基を表す繰り返し単位であり、更に好ましくは、Rx〜Rxが各々独立に、直鎖のアルキル基を表す繰り返し単位である。
樹脂(A)が有する、酸の作用により分解してカルボキシル基を生じる基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbは各々炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。pは0又は正の整数を表す。Zにより表される極性基を含む置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基又はスルホンアミド基を有する、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、水酸基を有するアルキル基である。分岐状アルキル基としてはイソプロピル基が特に好ましい。
酸の作用により分解してカルボキシル基を生じる基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、15〜90モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましく、25〜80モル%が更に好ましく、30〜70モル%が更により好ましい。
樹脂(A)は、更にラクトン基を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
ラクトン基としては、ラクトン構造を含有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を含有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。
下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては一般式(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)で表される基である。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRb2は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は、水素原子又はメチル基が好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。好ましくは、単結合、−Ab1−CO2−で表される連結基である。Ab1は、直鎖、分岐アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくは、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のうちのいずれかで示される基を表す。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中Rxは、水素原子、‐CH基、−CHOH基または―CF基を表す。
ラクトン基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜65モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%が更に好ましく、5〜20モル%が更により好ましい。
樹脂(A)は、極性基を有する有機基を含有する繰り返し単位、特に、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を更に有することができる。
これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。極性基で置換された脂環炭化水素構造としてはアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。
極性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
樹脂(A)が、極性基を有する有機基を含有する繰り返し単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%が更に好ましくは、5〜20モル%が更により好ましい。
更に、上記以外の繰り返し単位として、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(光酸発生基)を有する繰り返し単位を含むこともできる。この場合、この光酸発生基を有する繰り返し単位が、後述する活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)にあたると考えることができる。
このような繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
41は、水素原子又はメチル基を表す。L41は、単結合又は2価の連結基を表す。L42は、2価の連結基を表す。Wは、活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生させる構造部位を表す。
以下に、一般式(4)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
そのほか、一般式(4)で表される繰り返し単位としては、例えば、特開2014−041327号公報の段落<0094>〜<0105>に記載された繰り返し単位が挙げられる。
樹脂(A)が光酸発生基を有する繰り返し単位を含有する場合、光酸発生基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜35モル%、更に好ましくは5〜30モル%である。
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤;後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンなどの感活性光線性又は感放射線性組成物を溶解する溶媒;等が挙げられる。より好ましくは感活性光線性又は感放射線性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応物の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。
反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液液抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈殿法や、濾別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000、最も好ましくは5,000〜15,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化したりすることを防ぐことができる。
樹脂(A)の重量平均分子量の特に好ましい別の形態は、GPC法によるポリスチレン換算値で3,000〜9,500である。重量平均分子量を3,000〜9,500にすることにより、特にレジスト残渣(以降、「スカム」ともいう)が抑制され、より良好なパターンを形成することができる。
分散度(分子量分布)は、通常1〜5であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1.2〜3.0、特に好ましくは1.2〜2.0の範囲のものが使用される。分散度の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
感活性光線性又は感放射線性組成物において、樹脂(A)の含有量は、全固形分中50〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは60〜99.0質量%である。
また、感活性光線性又は感放射線性組成物において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
また、樹脂(A)は、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
一般式(VI)中、R61、R62及びR63は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R62はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR62は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、−COO−、又は−CONR64−を表す。R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R62と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
は、n≧2の場合には各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(VI−A)で表される構造がより好ましい。
ここで、L及びLは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキレン基とアリール基とを組み合わせた基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。
Q、M、Lの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
上記一般式(VI)で表される繰り返し単位は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(3)において、Arは、芳香環基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基又はヘテロ環基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
、M及びRの少なくとも二つが結合して環を形成してもよい。
Arが表す芳香環基は、上記一般式(VI)におけるnが1である場合の、上記一般式(VI)におけるArと同様であり、より好ましくはフェニレン基、ナフチレン基であり、更に好ましくはフェニレン基である。
以下に一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂(A)は、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を含むことも好ましい。
一般式(4)中、R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R42はLと結合して環を形成していてもよく、その場合のR42はアルキレン基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表し、R42と環を形成する場合には3価の連結基を表す。
44及びR45は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基又はヘテロ環基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
、M及びR44の少なくとも二つが結合して環を形成してもよい。
41、R42及びR43は、前述の一般式(V)中のR51、R52、R53と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
は、前述の一般式(V)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
44及びR45は、前述の一般式(3)中のRと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
は、前述の一般式(3)中のMと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
は、前述の一般式(3)中のQと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
、M及びR44の少なくとも二つが結合して形成される環としては、Q、M及びRの少なくとも二つが結合して形成される環があげられ、また好ましい範囲も同様である。
以下に一般式(4)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、樹脂(A)は、下記一般式(BZ)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
一般式(BZ)中、ARは、アリール基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。RnとARとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキルオキシカルボニル基を表す。
以下に、一般式(BZ)により表される繰り返し単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
上記酸分解性基を有する繰り返し単位は、1種類であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A)における酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は、上記樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して5モル%以上80モル%以下であることが好ましく、5モル%以上75モル%以下であることがより好ましく、10モル%以上65モル%以下であることが更に好ましい。
樹脂(A)は、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
式中、R及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基又はアシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(−OCOR又は−COOR:Rは炭素数1〜6のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。
は0〜6の整数を表す。
は0〜4の整数を表す。
はメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。
一般式(V)又は一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
樹脂(A)は、更に、側鎖に珪素原子を有する繰り返し単位を更に有していても良い。側鎖に珪素原子を有する繰り返し単位としては、例えば、珪素原子を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位、珪素原子を有するビニル系繰り返し単位などが挙げられる。側鎖に珪素原子を有する繰り返し単位は、典型的には、側鎖に珪素原子を有する基を有する繰り返し単位であり、珪素原子を有する基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリストリメチルシロキシシリル基、トリストリメチルシリルシリル基、メチルビストリメチルシリルシリル基、メチルビストリメチルシロキシシリル基、ジメチルトリメチルシリルシリル基、ジメチルトリメチルシロキシシリル基、又は下記のような環状もしくは直鎖状ポリシロキサン、又はカゴ型あるいははしご型もしくはランダム型シルセスキオキサン構造などが挙げられる。式中、R、及び、R1は各々独立に、1価の置換基を表す。*は、結合手を表す。
上記の基を有する繰り返し単位は、例えば、上記の基を有するアクリレート又はメタクリレート化合物に由来する繰り返し単位や、上記の基とビニル基とを有する化合物に由来する繰り返し単位を好適に挙げることができる。
珪素原子を有する繰り返し単位は、シルセスキオキサン構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、これにより、超微細(例えば、線幅50nm以下)であり、かつ、断面形状が高アスペクト比(例えば、膜厚/線幅が3以上)のパターンの形成において、非常に優れた倒れ性能を発現することができる。
シルセスキオキサン構造としては、例えば、カゴ型シルセスキオキサン構造、はしご型シルセスキオキサン構造(ラダー型シルセスキオキサン構造)、ランダム型シルセスキオキサン構造などが挙げられる。なかでも、カゴ型シルセスキオキサン構造が好ましい。
ここで、カゴ型シルセスキオキサン構造とは、カゴ状骨格を有するシルセスキオキサン構造である。カゴ型シルセスキオキサン構造は、完全カゴ型シルセスキオキサン構造であっても、不完全カゴ型シルセスキオキサン構造であってもよいが、完全カゴ型シルセスキオキサン構造であることが好ましい。
また、はしご型シルセスキオキサン構造とは、はしご状骨格を有するシルセスキオキサン構造である。
また、ランダム型シルセスキオキサン構造とは、骨格がランダムのシルセスキオキサン構造である。
上記カゴ型シルセスキオキサン構造は、下記式(S)で表されるシロキサン構造であることが好ましい。
上記式(S)中、Rは、1価の有機基を表す。複数あるRは、同一であっても、異なってもよい。
上記有機基は特に制限されないが、具体例としては、 ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、ブロック化メルカプト基(例えば、アシル基でブロック(保護)されたメルカプト基)、アシル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、シリル基、ビニル基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基、(メタ)アクリル基含有基及びエポキシ基含有基などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜30)、直鎖状又は分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2〜30)、直鎖状又は分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜30)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
樹脂(A)が、上記側鎖に珪素原子を有する繰り返し単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜30モル%が好ましく、5〜25モル%が更に好ましくは、5〜20モル%が更により好ましい。
(B)活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(光酸発生剤)
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤《PAG:Photo Acid Generator》」ともいう)を含有することが好ましい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であっても良く、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、樹脂(A)の一部に組み込まれても良く、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
本発明において、光酸発生剤が、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、活性光線又は放射線、好ましくは電子線又は極紫外線の照射により、有機酸、例えば、スルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド、又はトリス(アルキルスルホニル)メチドの少なくともいずれかを発生する化合物が好ましい。
より好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。
各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフルオロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、パーフルオロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
また、非求核性アニオンとしては、以下の一般式(AN1)で表されるアニオンも好ましい態様として挙げられる。
式中、Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状の有機基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
一般式(AN1)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体例としては、フッ素原子、CF、C、C、C、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもフッ素原子、CFが好ましい。
特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
、Rのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R、Rの置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもCFが好ましい。
、Rとしては、好ましくはフッ素原子又はCFである。
xは1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。
zは0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基などを挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O−が好ましく、―COO−、−OCO−がより好ましい。
上記一般式(AN1)において、A以外の部分構造の組み合わせとして、SO3−−CF−CH−OCO−、SO3−−CF−CHF−CH−OCO−、SO3−−CF−COO−、SO3−−CF−CF−CH−、SO3−−CF−CH(CF)−OCO−が好ましいものとして挙げられる。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、露光後加熱工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(mask error enhancement factor)向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環が挙げられる。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環由来のものが挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環由来のものが好ましい。
また、環状の有機基としては、ラクトン構造も挙げることができ、具体例としては、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造を挙げることができる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
なお、上記置換基は、上記(LC1−1)〜(LC1−17)においてはRb2に相当する。また、上記(LC1−1)〜(LC1−17)において、n2は0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRb2は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(ZI)において、R201、R202及びR203の有機基としては、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基などが挙げられる。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。R201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等を挙げることができる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
また、一般式(ZII)において、Zは非求核性アニオンを表す。具体的には、一般式(ZI)においてZとして説明したものと同じであり、好ましい形態も同じである。
以下、一般式(ZI)〜(ZIII)の具体例を示すが、これに限定されない。
本発明においては、上記光酸発生剤は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し解像性を良好にする観点から、電子線又は極紫外線の照射により、体積130Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であって、体積190Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが更に好ましく、体積400Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが特に好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は、2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることが更に好ましい。上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて求めた。すなわち、まず、各例に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算することができる。なお、1Åは、0.1nmを意味する。
本発明においては、活性光線又は放射線の照射により以下に例示する酸を発生する光酸発生剤が好ましい。なお、例の一部には、体積の計算値を付記している(単位Å)。なお、ここで求めた計算値は、アニオン部にプロトンが結合した酸の体積値である。
光酸発生剤としては、特開2014−41328号公報段落<0368>〜<0377>、特開2013−228681号公報段落<0240>〜<0262>(対応する米国特許出願公開第2015/004533号明細書の<0339>)が援用でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、好ましい具体例として以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは8〜40質量%である。特に、電子線や極紫外線露光の際に高感度化、高解像性を両立するには光酸発生剤の含有率は高いほうが好ましく、更に好ましくは10〜40質量%、最も好ましくは10〜35質量%である。
(C)溶剤
上述した各成分を溶解させて感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製する際には、溶剤を使用できる。使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、炭素数4〜10の環状ラクトン、炭素数4〜10の、環を含有してもよいモノケトン化合物、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルを好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルを好ましく挙げられる。
炭素数4〜10の環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが好ましく挙げられる。
炭素数4〜10の、環を含有してもよいモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン、3−メチルシクロヘプタノンが好ましく挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートが好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
好ましく使用できる溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が挙げられる。具体的には、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。中でもγ―ブチルラクトンと酢酸ブチルの組み合わせが特に好ましい。
溶剤としては、例えば特開2014−219664号公報の段落0013〜0029に記載の溶媒も使用できる。
(E)塩基性化合物
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、(E)塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A1)〜(E1)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
一般式(A1)及び(E1)中、 R200 、R201及びR202 は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
203、R204、R205及びR206 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20のアルキル基を表す。
これら一般式(A1)及び(E1)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンのほか、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくはCH2CH2CH2O−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート等が挙げられるが、中でもハロゲン原子、スルホネートが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2〜6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1〜5の範囲で何れであってもよい。
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、フェノキシ基を有する1又は2級アミンとハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。又は、1又は2級アミンと末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。
(プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA))
本発明に係る組成物は、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう〕を更に含んでいてもよい。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基或いは電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記一般式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここで、プロトンアクセプター性の低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
化合物(PA)の具体例としては、例えば、下記化合物を挙げることができる。更に、化合物(PA)の具体例としては、例えば、特開2014−41328号公報の段落0421〜0428、特開2014−134686号公報の段落0108〜0116に記載されたものを援用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
塩基性化合物の使用量は、感活性光線性又は感放射線性組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
光酸発生剤と塩基性化合物の組成物中の使用割合は、光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
塩基性化合物としては、例えば、特開2013−11833号公報の段落0140〜0144に記載の化合物(アミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等)を用いることができる。
(A’)疎水性樹脂
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、上記樹脂(A)とは別に疎水性樹脂(A’)を有していてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角の制御、アウトガスの抑制などを挙げることができる。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することが更に好ましい。また、上記疎水性樹脂は、炭素数5以上の炭化水素基を含有することが好ましい。これらの基は樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、US2012/0251948A1の段落0519に例示されたものを挙げることが出来る。
また、上記したように、疎水性樹脂は、側鎖部分にCH部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂中の側鎖部分が有するCH部分構造には、エチル基、プロピル基等が有するCH部分構造を包含するものである。
一方、疎水性樹脂の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα−メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH部分構造に包含されないものとする。
疎水性樹脂に関しては、特開2014−010245号公報の<0348>〜<0415>の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
なお、疎水性樹脂としてはこの他にも特開2011−248019号公報、特開2010−175859号公報、特開2012−032544号公報記載のものも好ましく用いることができる。
(F)界面活性剤
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、界面活性剤(F)を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の<0276>に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(DIC(株)製);サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製);GF−300若しくはGF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の<0280>に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0.0001〜2質量%、更に好ましくは0.0005〜1質量%である。
(G)その他の添加剤
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又はカルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、溶解阻止化合物を更に含んでいてもよい。
ここで「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解して有機系現像液中での溶解度が減少する、分子量3000以下の化合物である。
[上層膜(トップコート膜)]
本発明のパターン形成方法においては、レジスト膜の上層に上層膜(トップコート膜)を形成してもよい。
上層膜は、レジスト膜と混合せず、更にレジスト膜上層に均一に塗布できることが好ましい。
上層膜については、特に限定されず、従来公知の上層膜を、従来公知の方法によって形成でき、例えば、特開2014−059543号公報の段落0072〜0082の記載に基づいて上層膜を形成できる。上層膜の形成材料は、特開2014−059543号公報の段落0072に記載されるポリマーの他に、疎水性樹脂等も用いることができる。疎水性樹脂は、例えば、上述した疎水性樹脂(A’)を用いることができる。
現像工程において、有機溶剤を含有する現像液を使用する場合は、例えば、特開2013−61648号公報に記載されたような塩基性化合物を含有する上層膜をレジスト膜上に形成することが好ましい。上層膜が含み得る塩基性化合物の具体的な例は、塩基性化合物(E)が挙げられる。
また、上層膜は、エーテル結合、チオエーテル結合、ヒドロキシル基、チオール基、カルボニル結合及びエステル結合からなる群より選択される基又は結合を少なくとも一つ含む化合物を含むことが好ましい。
更に、上層膜は、光酸発生剤を含んでいてもよい。光酸発生剤としては、感活性光線性又は感放射線性組成物に含まれ得る光酸発生剤(例えば、上述した光酸発生剤(B))と同様のものを使用することができる。
以下、上層膜(トップコート膜)に使用されることが好ましい樹脂について説明する。
(樹脂)
上層膜形成用組成物は樹脂を含有することが好ましい。上層膜形成用組成物が含有することができる樹脂としては、特に限定されないが、感活性光線性又は感放射線性組成物に含まれ得る疎水性樹脂(例えば、上述した疎水性樹脂(A’))と同様のものを使用することができる。
疎水性樹脂に関しては、特開2013−61647号公報の<0017>〜<0023>(対応する米国公開特許公報2013/244438号の<0017>〜<0023>)、及び特開2014−56194号公報の<0016>〜<0165>の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明において、上層膜形成用組成物は、芳香環を有する繰り返し単位を含有する樹脂を含むことが好ましい。芳香環を有する繰り返し単位を含有することで、特に電子線又はEUV露光の際に、二次電子の発生効率、及び活性光線又は放射線により酸を発生する化合物からの酸発生効率が高くなり、パターン形成時に高感度化、高解像化の効果が期待できる。
樹脂の重量平均分子量は好ましくは3000〜100000であり、更に好ましくは3000〜30000であり、最も好ましくは5000〜20000である。上層膜形成用組成物中の樹脂の配合量は、全固形分中、50〜99.9質量%が好ましく、60〜99.7質量%がより好ましく、70〜99.5質量%が更に好ましく、80〜99.0質量%が更により好ましい。
上層膜形成用組成物(トップコート組成物)が複数の樹脂を含む場合、フッ素原子及び/又は珪素原子を有する樹脂(XA)を少なくとも1種含むことが好ましい。
樹脂(XA)に含有されるフッ素原子及び珪素原子の含有量の好ましい範囲は、フッ素原子及び又はケイ素原子を含む繰り返し単位が、樹脂(XA)中10〜100質量%であることが好ましく、10〜99モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましい。
また、フッ素原子及び/又は珪素原子を有する樹脂(XA)を少なくとも1種、及び、フッ素原子及び/又は珪素原子の含有率が樹脂(XA)より小さい樹脂(XB)を上層膜形成用組成物が含むことがより好ましい。これにより、上層膜を形成した際に、樹脂(XA)が上層膜の表面に偏在するため、現像特性や液浸液追随性などの性能を改良させることができる。
樹脂(XA)の含有量は、上層膜形成用組成物に含まれる全固形分を基準として、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.1〜8質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。樹脂(XB)の含有量は、上層膜形成用組成物に含まれる全固形分を基準として、50〜99.9質量%が好ましく、60〜99.9質量%がより好ましく、70〜99.9質量%が更に好ましく、80〜99.9質量%が特に好ましい。
樹脂(XB)としては、フッ素原子及び珪素原子を実質的に含有しない形態が好ましく、この場合、具体的には、フッ素原子を有する繰り返し単位及び珪素原子を有する繰り返し単位の合計の含有量が、樹脂(XB)中の全繰り返し単位に対して0〜20モル%が好ましく、0〜10モル%がより好ましく、0〜5モル%が更に好ましく、0〜3モル%が特に好ましく、理想的には0モル%、すなわち、フッ素原子及び珪素原子を含有しない。
<上層膜形成用組成物(トップコート組成物)の調製方法>
上層膜形成用組成物は、各成分を溶剤に溶解し、フィルター濾過することが好ましい。フィルターとしては、ポアサイズ0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。なお、フィルターは、複数種類を直列又は並列に接続して用いてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。さらに、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。上層膜形成用組成物は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる金属成分の含有量としては、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
上述の<露光工程>において、露光を液浸露光とする場合、上層膜は、感活性光線性又は感放射線性膜と液浸液との間に配置され、感活性光線性又は感放射線性膜を直接、液浸液に接触させない層としても機能する。この場合、上層膜(上層膜形成用組成物)が有することが好ましい特性としては、感活性光線性又は感放射線性膜への塗布適性、放射線、特に193nmに対する透明性、液浸液(好ましくは水)に対する難溶性である。また、上層膜は、感活性光線性又は感放射線性膜と混合せず、且つ、感活性光線性又は感放射線性膜の表面に均一に塗布できることが好ましい。
なお、上層膜形成用組成物を、感活性光線性又は感放射線性膜の表面に、感活性光線性又は感放射線性膜を溶解せずに均一に塗布するために、上層膜形成用組成物は、感活性光線性又は感放射線性膜を溶解しない溶剤を含有することが好ましい。感活性光線性又は感放射線性膜を溶解しない溶剤としては、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)とは異なる成分の溶剤を用いることが更に好ましい。
上層膜形成用組成物の塗布方法は、特に限定されず、従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法などを用いることができる。
上層膜の膜厚は特に制限されないが、露光光源に対する透明性の観点から、通常5nm〜300nm、好ましくは10nm〜300nm、より好ましくは20nm〜200nm、更に好ましくは30nm〜100nmの厚みで形成される。
上層膜を形成後、必要に応じて基板を加熱(PB;PreBake)する。
上層膜の屈折率は、解像性の観点から、感活性光線性又は感放射線性膜の屈折率に近いことが好ましい。
上層膜は液浸液に不溶であることが好ましく、水に不溶であることがより好ましい。
上層膜の後退接触角は、液浸液追随性の観点から、上層膜に対する液浸液の後退接触角(23℃)が50〜100度であることが好ましく、80〜100度であることがより好ましい。
液浸露光においては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があることから、動的な状態における感活性光線性又は感放射線性膜に対する液浸液の接触角が重要になり、より良好なレジスト性能を得るためには、上記範囲の後退接触角を有することが好ましい。
上層膜を剥離する際は、有機系現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、感活性光線性又は感放射線性膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。上層膜の剥離が感活性光線性又は感放射線性膜の現像と同時にできるという点では、上層膜は、有機系現像液により剥離できることが好ましい。剥離に用いる有機系現像液としては、感活性光線性又は感放射線性膜の低露光部を溶解除去できるものであれば特に制限されない。
有機系現像液で剥離するという観点からは、上層膜は有機系現像液に対する溶解速度が1〜300nm/secが好ましく、10〜100nm/secがより好ましい。
ここで、上層膜の有機系現像液に対する溶解速度とは、上層膜を成膜した後に現像液に暴露した際の膜厚減少速度であり、本発明においては23℃の酢酸ブチルに浸漬させた際の速度とする。
上層膜の有機系現像液に対する溶解速度を1nm/sec秒以上、好ましくは10nm/sec以上とすることによって、感活性光線性又は感放射線性膜を現像した後の現像欠陥発生が低減する効果がある。また、300nm/sec以下、好ましくは100nm/secとすることによって、おそらくは、液浸露光時の露光ムラが低減した影響で、感活性光線性又は感放射線性膜を現像した後のパターンのラインエッジラフネスがより良好になるという効果がある。
上層膜はその他の公知の現像液、例えば、アルカリ水溶液などを用いて除去してもよい。使用できるアルカリ水溶液として具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が挙げられる。
[有機不純物の含有量]
有機不純物を含有する有機溶媒を含む処理液を半導体デバイス製造プロセスに適用した場合、有機不純物の中でも特に300℃以上の沸点を有する高沸点の有機不純物が揮発せずに残存し、顕著な程度で基板の欠陥不良の原因になりやすい。
特に、上記沸点が300℃以上の有機不純物は、具体的には、製造装置の部材に用いられたプラスチック材料(例えば、O−リング等)中に含まれる樹脂成分又は可塑剤等が考えられ、製造過程のいずれかの時点で液中に溶出したものと推測される。
処理液全質量に対して上記沸点300℃以上の有機不純物の含有量が、0.001質量ppm〜50質量ppmであれば、半導体デバイス製造プロセスに用いた場合に、現像処理やリンス処理の処理条件の改良により欠陥数を低減可能な欠陥不良の範囲内となることが確認された。処理液中、上記沸点が300℃以上の有機不純物の含有量が、処理液全質量に対して0.001〜30質量ppmであることがより好ましく、0.001質量ppm〜15質量ppmであることが、半導体デバイス製造プロセスに用いた場合に基板の欠陥不良の抑制の観点で更に好ましく、0.001質量ppm〜10質量ppmであることが更により好ましく、0.001質量ppm〜1質量ppmであることが最も好ましい。
上記沸点が300℃以上の有機不純物の含有量が、処理液全質量に対して30質量ppm以下であることが、例えば、上記処理液を現像液として用いて基板に接触させた場合に、上記有機不純物が揮発せずに基板表面に残存し、欠陥不良となることを抑制する観点で好ましい。
上記沸点が300℃以上の有機不純物の含有量が、処理液全質量に対して5質量ppm以下であることが、例えば、上記処理液を現像液として用いて基板に接触させた場合に、ベーク工程後にも沸点が300℃以上の有機不純物が基板上に残存することを防ぐ為、欠陥の原因(現像不良)を抑制する観点で更に好ましい。
処理液中において、300℃以上の有機不純物としては、O−リングから溶出するフタル酸ジオクチル(DOP、沸点385℃)等の成分、フタル酸ジイソノニル(DINP、沸点403℃)、アジピン酸ジオクチル(DOA、沸点335℃)、フタル酸ジブチル(DBP、沸点340℃)、及びエチレンプロピレンゴム(EPDM、沸点300〜450℃)等が確認されている。
処理液中の沸点が300℃以上の有機不純物の含有量は、DI−MS(ダイレクトインジェクションマスクロマトグラフィー)で測定される。
処理液中の沸点が300℃以上の有機不純物の含有量を上記範囲内にする方法としては、後述する精製工程で挙げる方法が挙げられる。
<Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有する金属成分(金属不純物)>
本発明では、また、処理液中、Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有する各金属成分の含有量が、処理液全質量に対して0.001〜100質量pptであることが好ましい。
金属成分は、有機溶媒中に一定程度存在しており、これらを通じて処理液溶液中に混入する場合がある。今般、処理液中に含まれるFe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有する金属成分が、特に欠陥性能に大きく影響を及ぼすことが分かった。
Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有する金属成分の含有量が処理液全質量に対して100質量ppt以下であれば、欠陥抑制能に優れ、1質量ppt以下である場合は、より顕著な欠陥抑制能により優れる効果が得られる。
尚、Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有する金属成分の含有量が処理液全質量に対して100質量pptを超える場合にはメタルパーティクル(欠陥の悪化)を招き、0.001質量pptを超えると、製造管理が安定して行えるため、製造ロットごとの品質が安定する。
Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有する金属成分が複数種含まれる場合、その総量が上記範囲を満たすことが好ましい。
処理液中の金属不純物の含有量は、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)で測定される。尚、測定が1質量pptを下回る場合には原液での測定が困難な為、必要に応じて処理液を濃縮して測定を行った。
処理液中の金属不純物の含有量を上記範囲内にする方法としては、後述する精製工程で挙げる方法(例えば、イオン交換樹脂又は金属吸着部材を用いたフィルタ処理等)が挙げられる。
(基板)
本発明でいう「基板」には、例えば、単層からなる半導体基板、及び、多層からなる半導体基板が含まれる。
単層からなる半導体基板を構成する材料は特に限定されず、一般的に、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのような第III−V族化合物、又はそれらの任意の組み合わせから構成されることが好ましい。
多層からなる半導体基板である場合には、その構成は特に限定されず、例えば、上述のシリコン等の半導体基板上に金属線及び誘電材料のような相互接続構造(interconnect features)等の露出した集積回路構造を有していてもよい。相互接続構造に用いられる金属及び合金としては、アルミニウム及び銅と、合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及びタングステンとが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、半導体基板上に、層間誘電体層、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン及び炭素ドープ酸化シリコン等の層を有していてもよい。
<処理液の製造方法>
本発明の処理液は、金属成分、沸点が300℃以上の有機不純物、及び水の含有量を所望の範囲内にするために、以下の精製工程を実施することが好ましい。
(精製工程)
精製工程は、いずれのタイミングで実施されてもよい。精製工程としては、例えば、以下の精製処理I〜IVが挙げられる。
すなわち、精製処理Iは、処理液を組成する沸点が300℃未満の有機溶媒の製造前において、沸点が300℃未満の有機溶媒の製造に用いられる原材料に対して精製を行う処理である。
また、精製処理IIは、処理液を組成する沸点が300℃未満の有機溶媒の製造時及び/又は製造後に、これの精製を行う処理である。
また、精製処理IIIは、処理液の製造時において、2種以上の沸点が300℃未満の有機溶媒を混合する前に、成分毎に精製を行う処理である。
また、精製処理IVは、処理液の製造時において、2種以上の沸点が300℃未満の有機溶媒を混合した後に、混合物の精製を行う処理である。
前記に記載した通り、目的の処理液を得るには精製を行うことが好ましい。精製は個々の有機溶剤を精製したのちに混合しても良いし、各有機溶剤を混合した後に精製しても良い。特に精製した有機溶剤をブレンドする方法が、有機溶剤のブレンド比を一定に製造できる点で好ましい。
精製処理I〜IVは、それぞれ、1回のみ実施されてもよいし、2回以上実施されてもよい。
また、使用する有機溶剤は、高純度グレード品(特に、上述した有機不純物、金属不純物、水等)の含有量が少ないもの)を購入し、更に、それらに対して後述する精製処理を行って使用することができる。
以下において、精製工程の一例を示す。以下の説明においては、精製工程における精製対象を、単に「被精製液」と総称する。
精製工程の一例として、被精製液のイオン交換処理を行う第1イオン交換処理、第1イオン交換処理後の被精製液の脱水を行う脱水処理、脱水処理後の被精製液の蒸留を行う蒸留処理、蒸留処理後の被精製液のイオン交換処理を行う第2イオン交換処理、及び、第2イオン交換処理後の被精製液の有機不純物除去を行う有機不純物除去処理、をこの順に実施する態様が挙げられる。なお、以下においては、上記の精製工程を一例として説明するが、本発明の溶液を調製する際の精製方法はこれに限定されない。例えば、まず、被精製液の脱水を行う脱水処理を実施し、脱水処理後の被精製液の蒸留を行う蒸留処理、被精製液のイオン交換処理を行う第1イオン交換処理、及び第2イオン交換処理後の被精製液の有機不純物除去を行う有機不純物除去処理、をこの順に実施する態様であってもよい。
第1イオン交換処理によれば、被精製液中のイオン成分(例えば、金属成分等)を除去することができる。
第1イオン交換処理では、イオン交換樹脂等の第1イオン交換手段が用いられる。イオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂を単床で設けたもの、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを複床で設けたもの、及び、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混床で設けたものいずれであってもよい。
また、イオン交換樹脂としては、イオン交換樹脂からの水分溶出を低減させるために、極力水分を含まない乾燥樹脂を使用することが好ましい。このような乾燥樹脂としては、市販品を用いることができ、オルガノ社製の15JS−HG・DRY(商品名、乾燥カチオン交換樹脂、水分2%以下)、及びMSPS2−1・DRY(商品名、混床樹脂、水分10%以下)等が挙げられる。
脱水処理によれば、被精製液中の水を除去できる。また、脱水処理において後述するゼオライト(特に、ユニオン昭和社製のモレキュラーシーブ(商品名)等)を使用した場合には、オレフィン類も除去可能である。
脱水処理に用いられる脱水手段としては、脱水膜、被精製液に不溶である水吸着剤、乾燥した不活性ガスを用いたばっ気置換装置、及び、加熱又は真空加熱装置等が挙げられる。
脱水膜を用いる場合には、浸透気化(PV)又は蒸気透過(VP)による膜脱水を行う。脱水膜は、例えば、透水性膜モジュールとして構成されるものである。脱水膜としては、ポリイミド系、セルロース系及びポリビニルアルコール系等の高分子系又はゼオライト等の無機系の素材からなる膜を用いることができる。
水吸着剤は、被精製液に添加して用いられる。水吸着剤としては、ゼオライト、5酸化2リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸及びソーダ石灰等が挙げられる。
蒸留処理によれば、脱水膜から溶出した不純物、第1イオン交換処理では除去しにくい被精製液中の金属成分、微粒子(金属成分が微粒子である場合には、これも含む)、及び、被精製液中の水を除去できる。
蒸留手段は、例えば、単段の蒸留装置によって構成される。蒸留処理によって蒸留装置内等で不純物が濃縮するが、この濃縮された不純物の一部が流出することを防ぐために、蒸留手段には、不純物が濃縮されている液の一部を定期的に、又は、定常的に外部に排出する手段を設けることが好ましい。
第2イオン交換処理によれば、蒸留装置内で蓄積した不純物が流出した場合にこれを除去できたり、送液ラインとして利用されるステンレス鋼(SUS)等の配管からの溶出物を除去できる。
第2イオン交換手段としては、塔状の容器内にイオン交換樹脂を充填したもの、及び、イオン吸着膜が挙げられ、高流速での処理が可能である点からイオン吸着膜が好ましい。イオン吸着膜としては、ネオセプタ(商品名、アストム社製)が挙げられる。
上述した各処理は、密閉状態でかつ、被精製液に水の混入する可能性が低い不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
また、各処理は、水分の混入を極力抑えるために、露点温度が−70℃以下の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。−70℃以下の不活性ガス雰囲気下では、気相中の水分濃度が2質量ppm以下であるため、溶液(被精製液)中に水分が混入する可能性が低くなるためである。
精製工程としては、上記の処理の他に、国際公開第WO2012/043496号に記載されている、炭化ケイ素を用いた金属成分の吸着精製処理等が挙げられる。
有機不純物除去処理によれば、蒸留処理後の被精製液中に含まれ、蒸留処理では除去しにくい高沸点有機不純物等(沸点が300℃以上の有機不純物も含有する)を除去できる。
有機不純物除去手段としては、例えば、有機不純物を吸着可能な有機不純物吸着フィルタを備えた有機不純物吸着部材により実施することができる。なお、有機不純物吸着部材は、通常、上記有機不純物吸着フィルタと上記不純物吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
有機不純物吸着フィルタは、有機不純物の吸着性能が向上するという観点から、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有すること(換言すると、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格によって表面が修飾されていること)が好ましい。なお、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有する、とは、後述する有機不純物吸着フィルタを構成する基材の表面に上記有機不純物と相互作用可能な有機物骨格が付与されている形態が一例として挙げられる。
有機不純物と相互作用可能な有機物骨格としては、例えば、有機不純物と反応して有機不純物を有機不純物吸着フィルタに捕捉できるような化学構造が挙げられる。より具体的には、有機不純物としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、又はフタル酸ジブチルを含む場合には、有機物骨格としては、ベンゼン環骨格が挙げられる。また、有機不純物としてエチレンプロピレンゴムを含む場合には、有機物骨格としては、アルキレン骨格が挙げられる。また、有機不純物としてn−長鎖アルキルアルコール(溶媒として1−長鎖アルキルアルコールを用いた場合の構造異性体)を含む場合には、有機物骨格としては、アルキル基が挙げられる。
有機不純物吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、活性炭を担持したセルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びフッ素樹脂等が挙げられる。
また、有機不純物除去フィルタには、特開2002−273123号公報及び特開2013−150979号公報に記載の活性炭を不織布に固着したフィルタも使用できる。
また、上記有機不純物除去処理は、上述したような有機不純物を吸着可能な有機不純物吸着フィルタを用いた態様に限定されず、例えば有機不純物を物理的に補足する態様であってもよい。250℃以上の比較的高い沸点を有する有機不純物は粗大である場合が多く(例えば、炭素数8以上の化合物)、このため孔径が1nm程度のフィルタを用いることで物理的に補足することも可能である。
例えば、有機不純物としてフタル酸ジオクチルを含む場合、フタル酸ジオクチルの構造は10Å(=1nm)よりも大きい。そのため、孔径が1nmの有機不純物除去フィルタを用いることで、フタル酸ジオクチルはフィルタの孔を通過できない。つまり、フタル酸ジオクチルは、フィルタによって物理的に捕捉されるので、被精製液中から除去される。このように、有機不純物の除去は、化学的な相互作用だけでなく物理的な除去方法を適用することでも可能である。ただし、この場合には、3nm以上の孔径のフィルタが後述する「ろ過部材」として用いられ、3nm未満の孔径のフィルタが「有機不純物除去フィルタ」として用いられる。
本明細書において、1Å(オングストローム)は、0.1nmに相当する。
また、本発明の精製工程は、さらに、例えば、後述する精製処理V及び精製処理VIを有していてもよい。精製処理V及び精製処理VIは、いずれのタイミングで実施されてもよく、例えば、精製工程IVを実施した後等が挙げられる。
精製処理Vは、金属イオンを除去する目的で金属イオン吸着部材を用いたフィルタリング処理である。
また、精製処理VIは、粗大な粒子を除去するためのろ過処理である。
以下、精製処理V及び精製処理VIについて説明する。
精製処理VIにおいて、金属イオンの除去手段としては、金属イオン吸着フィルタを備えた金属イオン吸着部材を用いたフィルタリングがその一例として挙げられる。
金属イオン吸着部材は、金属イオン吸着フィルタを少なくとも1つ備えた構成であり、また、目的とする精製レベルに応じて金属イオン吸着フィルタを複数重ねた構成であってもよい。金属イオン吸着部材は、通常、上記金属イオン吸着フィルタと上記金属イオン吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
金属イオン吸着フィルタは、被精製液中の金属イオンを吸着する機能を備える。また、金属イオン吸着フィルタは、イオン交換可能なフィルタであることが好ましい。
ここで、吸着対象となる金属イオンとしては、特に限定されないが、半導体デバイスの欠陥の原因になりやすいという点から、Fe、Cr、NiおよびPbであることが好ましい。
金属イオン吸着フィルタは、金属イオンの吸着性能が向上するという観点から、表面に酸基を有することが好ましい。酸基としては、スルホ基およびカルボキシ基などが挙げられる。
金属イオン吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびフッ素樹脂などが挙げられる。
精製処理VIにおいて、ろ過手段としては、除粒子径が20nm以下であるフィルタを備えたろ過部材を用いて実施する態様が一例として挙げられる。被精製液が、上記フィルタを追加することにより、被精製液から粒子状の不純物を除去できる。ここで、「粒子状の不純物」としては、被精製液の製造時に使用される原料に不純物として含まれる塵、埃、有機固形物および無機固形物などの粒子、ならびに、被精製液の精製時に汚染物として持ち込まれる塵、埃、有機固形物および無機固形物の粒子などが挙げられ、最終的に被精製液中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
また、「粒子状の不純物」には、金属原子を含有するコロイド化した不純物も含まれる。金属原子としては、特に限定されないが、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn、および、Pb(好ましくは、Fe、Cr、NiおよびPb)からなる群より選択される少なくとも1種の金属原子の含有量が特に低い場合(例えば、被精製液中の上記金属原子の含有量が各々1000質量ppt以下の場合)、これらの金属原子を含有する不純物がコロイド化しやすい。上記金属イオン吸着部材では、コロイド化した不純物の除去が困難になりやすい。したがって、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)を用いることにより、コロイド化した不純物の除去が効果的に行われる。
粒子状の不純物は、除粒子径が20nm以下であるフィルタで除去されるサイズを有し、具体的にはその直径が20nm以上の粒子である。なお、本明細書において、粒子状の不純物を「粗大粒子」ということがある。
なかでも、上記フィルタの除粒子径は、1〜15nmが好ましく、1〜12nmがより好ましい。除粒子径が15nm以下であることで、より微細な粒子状の不純物を除去でき、除粒子径が1nm以上であることで、被精製液のろ過効率が向上する。
ここで、除粒子径とは、フィルタが除去可能な粒子の最小サイズを意味する。例えば、フィルタの除粒子径が20nmである場合には、直径20nm以上の粒子を除去可能である。
上記フィルタの材質としては、例えば、6−ナイロン、6、6−ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびフッ素樹脂などが挙げられる。
ろ過部材は、さらに、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜)を備えていてもよい。溶液中に、コロイド化した不純物、特に鉄又はアルミニウムのような金属原子を含有するコロイド化した不純物以外にも微粒子が存在する場合には、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)を用いて濾過する前に、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜)を用いて被精製液の濾過を実施することで、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)のろ過効率が向上し、粗大粒子の除去性能がより向上する。
このような各処理を得て得られた被精製液を、本発明の処理液の組成に用いたり、本発明の処理液そのものとして使用できる。
なお、上述した精製工程の一例として、各処理が全て行われる場合を示したが、これに限定されず、上記各処理を単独で行ってもよいし、上記処理を複数組み合わせて行ってもよい。また、上記各処理は、1回行われてもよいし、複数回行われてもよい。
上記精製工程以外に、処理液に含まれる、沸点が300℃以上の有機不純物、金属成分及び水の含有量を所望の範囲内にする方法としては、処理液を組成する沸点が300℃未満の有機溶媒の原材料、又は溶液そのものを不純物の溶出が少ない容器に収容することも挙げられる。また、処理液の製造時の「配管」等からメタル分が溶出しないように、上記配管内壁にフッ素系樹脂のライニングを施す等の方法も挙げられる。
〔容器(収容容器)〕
本発明の処理液は、腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬、そして使用することができる。
容器としては、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。
使用可能な容器としては、具体的には、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに限定されない。この容器の内壁(容器内の溶液と接触する接液部)は、非金属材料により形成されたものであることが好ましい。
非金属材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、及びフッ化ビニル樹脂(PVF)からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
特に、上記のなかでも、内壁がフッ素系樹脂である容器を用いる場合、内壁がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はポリエチレン−ポリプロピレン樹脂である容器を用いる場合と比べて、エチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
このような内壁がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3−502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、及び、国際公開第99/46309号パンフレットの第9頁及び16頁等に記載の容器も用いることができる。
なお、非金属材料の内壁とする場合、非金属材料中の有機成分の処理液への溶出が抑制されていることが好ましい。
また、容器の内壁には、上述した非金属材料の他に、石英又は金属材料(より好ましくは、電解研磨された金属材料。いいかれば、電解研磨済みの金属材料)も好ましく用いられる。
上記金属材料(特に、電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料)は、クロムを金属材料全質量に対して25質量%超で含有するものが好ましく、例えばステンレス鋼が挙げられる。
金属材料におけるクロムの含有量は、金属材料全質量に対して30質量%以上がより好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、一般的に90質量%以下が好ましい。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼を用いることができる。なかでも、ニッケルを8質量%以上含有する合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含有するオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及びSUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2015−227501号公報の段落<0011>−<0014>、及び特開2008−264929号公報の段落<0036>−<0042>等に記載された方法を用いることができる。
金属材料は、電解研磨されることにより表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっているものと推測される。そのため、電解研磨された金属材料で被覆された内壁からは、溶液中に金属成分が流出しにくいため、金属成分(金属不純物)が低減された溶液を得ることができるものと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていることが好ましい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。
なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、金属材料は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
本発明においては、上記容器と、この容器内に収容された上記処理液と、を有するものを、溶液収容体という場合がある。
これらの容器は、処理液を充填前にその内部が洗浄されることが好ましい。洗浄に用いる液体としては、本発明の処理液そのもの、本発明の溶液を希釈したもの、又は、本発明の処理液に含まれる有機溶媒である場合、本発明の効果が顕著に得られる。本発明の処理液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の容器にボトリングし、輸送、保管されてもよい。ガロン瓶はガラス材料を使用したものであってもそれ以外であってもよい。
保管における処理液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(チッソ、又はアルゴン等)で置換しておいてもよい。特に、含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、変質を防ぐため、−20℃から20℃の範囲に温度制御してもよい。
(クリーンルーム)
本発明の処理液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定は、全てクリーンルームで行うことが好ましい。クリーンルームは、14644−1クリーンルーム基準を満たすことが好ましい。ISO(国際標準化機構)クラス1、ISOクラス2、ISOクラス3、及び、ISOクラス4のいずれかを満たすことが好ましく、ISOクラス1又はISOクラス2を満たすことがより好ましく、ISOクラス1を満たすことが更に好ましい。後述する実施例での処理液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定ははクラス2のクリーンルームにて行った。
(フィルタリング)
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒は、沸点が300℃以上の有機不純物、金属成分、及び水の含有量を所望の範囲内にしたり、異物及び粗大粒子等を除去したりするために、フィルタリングされたものであることが好ましい。
フィルタリングに用いられるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド系樹脂、PTFE、及び、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましく、これらの素材により形成されたフィルタを使用することで、パーティクル欠陥の原因となり易い極性の高い異物をより効果的に除去できる他、金属成分(金属不純物)の量をより効率的に減らすことができる。
フィルタの臨界表面張力として、下限値としては70mN/m以上が好ましい。上限値としては、95mN/m以下が好ましい。なかでも、フィルタの臨界表面張力は、75mN/m以上85mN/m以下がより好ましい。
なお、臨界表面張力の値は、製造メーカーの公称値である。臨界表面張力が上記範囲のフィルタを使用することで、パーティクル欠陥の原因となり易い極性の高い異物をより効果的に除去できる他、金属成分(金属不純物)の量をより効率的に減らすことができる。
フィルタリングに用いられるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されない。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.001〜1.0μm程度が好ましく、0.01〜0.5μm程度がより好ましく、0.01〜0.1μm程度が更に好ましい。フィルタの孔径を上記範囲とすることで、ろ過詰まりを抑えつつ、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒に含まれる微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合には、各フィルタは、互いに同じ種類のものであってもよいし、互いに種類の異なるものであってもよいが、互いに種類の異なるものであることが好ましい。典型的には、第1のフィルタと第2フィルタとは、孔径及び構成素材のうちの少なくとも一方が異なっていることが好ましい。
1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照できる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択できる。また、ポリアミド製の「P−ナイロンフィルター(孔径0.02μm、臨界表面張力77mN/m)」;(日本ポール株式会社製)、高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.02μm)」;(日本ポール株式会社製)、及び高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.01μm)」;(日本ポール株式会社製)も使用することができる。
特に限定されないが、例えば、本発明の処理液の効果により優れる観点のほか、精製した処理液の保管において粒子性メタルの増加を抑制する観点からは、本願の一態様で使用される溶液と、フィルタリングに使用するフィルタの材質との関係は、フィルタリングに使用するフィルタの材質から導き出せるハンセン溶解度パラメータ(HSP)空間における相互作用半径(R0)と、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒に含まれる液体から導き出せるハンセン空間の球の半径(Ra)とした場合のRaとR0の関係式(Ra/R0)≦1を満たす組み合わせであって、これらの関係式を満たすフィルタ材質でフィルタリングされた処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒であることが好ましい。(Ra/R0)≦0.98であることが好ましく、(Ra/R0)≦0.95であることがより好ましい。下限としては、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7であることが更に好ましい。メカニズムは定かではないが、この範囲内であると、長期保管時における粒子性メタルの形成、又は、粒子性メタルの成長が抑制される。
これらのフィルタ及び、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒の組み合わせとしては、特に限定されないが、米国特許公報2016/0089622号のものが挙げられる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料で形成されたフィルタを使用できる。上述した第1のフィルタと同様の孔径のものが使用できる。第2のフィルタの孔径が第1のフィルタより小さいものを用いる場合には、第2のフィルタの孔径と第1のフィルタの孔径との比(第2のフィルタの孔径/第1のフィルタの孔径)が0.01〜0.99が好ましく、0.1〜0.9より好ましく、0.2〜0.9が更に好ましい。第2フィルタの孔径を上記範囲とすることにより、溶液に混入している微細な異物がより確実に除去される。
また、本発明において、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒に対して、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Pd、及び、Znからなる群より選択される1種又は2種以上の金属元素の含有量が特に低い場合(例えば、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒に対して、上述の金属元素の含有率が各々1000質量ppt以下の場合)、これらの金属元素を含有する不純物がコロイド化しやすい傾向がある。そのため、イオン吸着膜ではコロイド化した不純物の除去が困難になりやすい。そこで、本発明者らは、孔径が20nm以下の精密濾過膜を用いて精製することにより、コロイド化した不純物成分の除去が可能であることを見出した。
また、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒溶液中に、コロイド化した不純物(特に鉄又はアルミニウムのような金属元素を含有する、コロイド化した不純物)以外にも微粒子が存在する場合には、孔径が20nm以下の精密濾過膜を用いて濾過する前段に、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜を用いて濾過することにより精製することが好ましい。
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒は、上記のようなフィルタの他、イオン吸着手段を用いて精製することが好ましい。イオン吸着手段は、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はフッ素樹脂等の表面が、スルホ基又はカルボキシ基等のアニオン性基、カチオン性基、又は、その両者で変性されているイオン吸着手段であることが好ましい。アニオン性基で変性されたイオン吸着手段は、Naイオン及びCaイオン等の陽イオンを除去することができ、カチオン性基で変性されたイオン吸着手段は、Clイオン等の陰イオン及び酸成分を除去することができる。イオン吸着手段は、目的に応じて、アニオン性基、カチオン性基又はその両者を組み合わせて使用してもよい。イオン吸着手段はフィルタであってもよい。
上記の濾過工程は目的に応じて複数回繰り返してもよい。
また、用いられるフィルタは、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒を濾過する前に処理することが好ましい。この処理に用いられる液体は、特に限定されないが、本発明の溶液そのもの、本発明の溶液を希釈したもの、又は、本発明の処理液に含まれる有機溶媒であると、本発明の所望の効果が顕著に得られる。
フィルタリングを行う場合には、フィルタリング時の温度の上限値は、室温(25℃)以下が好ましく、23℃以下がより好ましく、20℃以下が更に好ましい。また、フィルタリング時の温度の下限値は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。
フィルタリングでは、粒子性の異物又は不純物が除去できるが、上記温度で行われると、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒中に溶解している粒子性の異物又は不純物の量が少なくなるため、フィルタリングがより効率的に行われる。
特に、金属成分(金属不純物)の含有量の調整の観点からは、上記の温度で濾過することが好ましい。メカニズムは定かではないが、金属成分(金属不純物)の多くは粒子性のコロイド状態で存在していることが考えられる。上記の温度でフィルタリングすると、コロイド状に浮遊している金属成分(金属不純物)の一部が凝集するため、この凝集しているものが、フィルタリングにより効率的に除去されるので、金属成分(金属不純物)の含有量を所定の量に調整しやすくなることが考えられる。
濾過圧力は濾過精度に影響を与えることから、濾過時における圧力の脈動は可能な限り少ない方が好ましい。
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒の調製及び精製において、濾過速度は特に限定されないが、本発明の効果により優れる観点から、0.6L/分/m以上が好ましく、0.75L/分/m以上がより好ましく、1.0L/分/m以上が更に好ましい。
フィルタにはフィルタ性能(フィルタが壊れない)を保障する耐差圧が設定されており、この値が大きい場合には濾過圧力を高めることで濾過速度を高めることができる。つまり、上記濾過速度上限は、通常、フィルタの耐差圧に依存するが、通常、10.0L/分/m以下が好ましい。
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒の調製及び精製において、濾過圧力は、本発明の効果により優れる観点から、0.001MPa以上1.0MPa以下が好ましく、0.003MPa以上0.5MPa以下がより好ましく、0.005MPa以上0.3MPa以下が特に好ましい。
特に、孔径が小さいフィルタを使用する場合には、濾過の圧力を上げることで溶液中に溶解している粒子状の異物または不純物の量を効率的に低下させることができる。孔径が20nmより小さいフィルタを使用する場合には、濾過の圧力を0.005MPa以上0.3MPa以下とすることが特に好ましい。
また、濾過フィルタ膜のポアサイズが小さくなると濾過速度が低下するが、例えば、同種の濾過フィルタ膜が搭載されたフィルタを、複数個で、並列に接続することで濾過面積が拡大して濾過圧力を下がるので、これにより、濾過速度低下を補償することが可能になる。
〔除電工程〕
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶媒の調製及び精製においては、さらに除電工程を有していてもよい。除電工程は、原料、反応物、及び精製物からなる群から選択される少なくとも1種(以下「精製物等」という。)を除電することで、精製物等の帯電電位を低減させる工程である。
除電方法としては特に制限されず、公知の除電方法を用いることができる。除電方法としては、例えば、上記精製液等を導電性材料に接触させる方法が挙げられる。
上記精製液等を導電性材料に接触させる接触時間は、0.001〜60秒が好ましく、0.001〜1秒がより好ましく、0.01〜0.1秒が更に好ましい。導電性材料としては、ステンレス鋼、金、白金、ダイヤモンド、及びグラッシーカーボン等が挙げられる。
精製液等を導電性材料に接触させる方法としては、例えば、導電性材料からなる接地されたメッシュを管路内部に配置し、ここに精製液等を通す方法等が挙げられる。
上記除電工程は、原料供給から精製物の充填までのどの時点で実施されてもよく、例えば、原料供給工程、反応工程、調液工程、精製工程、ろ過工程、及び充填工程からなる群から選択される少なくとも1種の工程の前に含有されることが好ましい。特に、上記各工程において使用する容器に精製物等を注入する前に、除電工程を行うことが好ましい。これにより、容器等に由来する不純物が、精製物等に混入するのを抑制することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
なお、後段の現像又はリンスで使用される処理液(表8及び表8−その2に記載の処理液)に対して、硫黄含有化合物の定量分析(例えば、JISK2541−6:2013「硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法により測定)及びリン化合物の定量分析(JISK0102:2013に規定された方法に基づき、全リンとして、吸光光度法により測定)を行ったところ、これらの化合物が実質的に含まれないことが確認できた。
なお、ここで、「実質的に含有しない」とは、これらの化合物の含有量(濃度)を測定可能な方法で測定した場合において、検出されないこと(検出限界値未満であること)をいう。
1.EUV露光(実施例1−1〜1−54、比較例1−1〜1−2)
<樹脂(A)等>
(合成例1)樹脂(A−1)の合成
2Lフラスコにシクロヘキサノン600gを入れ、100mL/minの流量で一時間窒素置換した。その後、重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)4.60g(0.02mol)を加え、内温が80℃になるまで昇温した。次に、以下のモノマーと重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)4.60g(0.02mol)とを、シクロヘキサノン200gに溶解し、モノマー溶液を調製した。モノマー溶液を上記80℃に加熱したフラスコ中に6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。
4−アセトキシスチレン・・・48.66g(0.3mol)
1−エチルシクロペンチルメタクリレート・・・109.4g(0.6mol)
モノマー1・・・22.2g(0.1mol)
反応溶液を室温まで冷却し、ヘキサン3L中に滴下しポリマーを沈殿させた。ろ過した固体をアセトン500mLに溶解し、再度ヘキサン3L中に滴下、ろ過した固体を減圧乾燥して、4−アセトキシスチレン/1−エチルシクロペンチルメタクリレート/モノマー1共重合体(A−1)160gを得た。
反応容器中に上記で得られた重合体10g、メタノール40mL、1−メトキシ−2−プロパノール200mL、及び、濃塩酸1.5mLを加え、80℃に加熱して5時間攪拌した。反応溶液を室温まで放冷し、蒸留水3L中に滴下した。ろ過した固体をアセトン200mLに溶解し、再度蒸留水3L中に滴下、ろ過した固体を減圧乾燥して樹脂(A−1)(8.5g)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(溶媒:THF(tetrahydrofuran))による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は11200、分子量分散度(Mw/Mn)は1.45であった。
用いるモノマーを変更した以外は、上記合成例1と同様の方法で、表1に示す構造を有する樹脂(A−2)〜(A−19)、(A−21)〜(A−23)を合成した。
表1において、樹脂の組成比(モル比)は、H−NMR(核磁気共鳴)測定により算出した。樹脂の重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)はGPC(溶媒:THF)測定により算出した。なお、実施例中に示す他の樹脂についても同様の方法により、重量平均分子量、分散度を測定した。
<疎水性樹脂(A’)>
疎水性樹脂としては、以下のものを用いた。
以下、表中に記載される樹脂(1b)〜(5b)の具体的な構造式を下記に示す。
<光酸発生剤(B)>
光酸発生剤としては、以下のものを用いた。
<塩基性化合物(E)>
塩基性化合物としては、以下のものを用いた。
<溶剤(C)>
レジスト溶剤としては、以下のものを用いた。
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−3:乳酸エチル
C−4:シクロヘキサノン
C−5:アニソール
<レジスト組成物>
下記表5に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させた。これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過して、レジスト組成物を得た。
<上層膜形成用組成物>
下記表6に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させた。これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過して、上層膜形成用組成物を得た。なお、下記表において「MIBC」はメチルイソブチルカルビノールを表す。
以下に使用した樹脂V−1〜V−4、1b及び添加剤X1を示す。それ以外の添加剤は上述したものと同じである。
樹脂V−1〜V−4、1bの組成比、重量平均分子量及び分散度については以下の表7に示す。
<EUV露光評価>
表5に記載のレジスト組成物を用いて、以下の操作によりレジストの現像後欠陥性能及びパターン形成性能を評価した。
〔レジスト組成物の塗布及び塗布後ベーク(PB)〕
12インチシリコンウエハ上に、上記のようにして得られた各レジスト組成物を塗布し、90〜180℃の条件で60秒間ベークし、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
なお、実施例1−24はポジ型のレジスト組成物であり、それ以外はネガ型のレジスト組成物である。
〔上層膜形成用組成物の塗布及び塗布後ベーク(PB)〕
後述する表9及び表9−その2の実施例については、上記表9及び表9−その2に示す上層膜形成用組成物(トップコート組成物)を上記ベーク後のレジスト膜上に塗布し、その後、下記表9及び表9−その2に示すPB温度(単位:℃)で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚40nmの上層膜(トップコート)を形成した。
〔露光〕
(現像後欠陥性能評価)
上記で作製したウエハに、NA(レンズ開口数、Numerical Aperture)0.25、ダイポール照明(Dipole 60x、アウターシグマ0.81、インナーシグマ0.43)でEUV露光を行った。具体的には、ネガ型のレジストに対しては1mJ/cmの露光量にてマスクを介さず全面露光を行い、ポジ型のレジストに対しては200mJ/cmの露光量にてマスクを介さず全面露光を行った。
(CHの抜け性能(CHパターンの抜け性、C/H抜け)評価)
上記で作製したウエハに、NA(レンズ開口数、Numerical Aperture)0.25、Quasar照明(Quasar45、アウターシグマ0.81、インナーシグマ0.51)でEUV露光を行った。具体的には、ウエハ上寸法がピッチ60nm、ホールサイズ30nmのコンタクトホールパターンを形成する為のパターン(C/Hの抜け性評価用)が含まれたマスクを介して、露光量を変えてEUV露光を行った。
〔露光後ベーク(PEB)〕
照射後、EUV露光装置から取り出したら、ただちに、85〜130℃の条件で60秒間ベークした。
〔現像〕
その後、シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、現像液(23℃)を、200mL/分の流量で30秒間スプレー吐出することで、現像を行った。なお、現像液としては、S-1〜S-50のいずれかの処理液を用いた。各実施例および比較例で用いた処理液を表8及び表8−その2に示す。尚、表8及び表8−その2中の混合比は、表8及び表8−その2中に記載の有機溶剤を左側から順に表す。
(エッチング後面内CDバラつき)
表層に100nm厚みの酸化膜を製膜した12インチシリコンウエハ上に、各レジスト組成物からなるレジスト膜にパターン形成したウエハを作成した。尚、パターンはウエハ上に20mm×30mmのショットサイズとなるようなパターンをウエハ全面に、上述の現像後欠陥性能評価に記載の露光方法でEUV露光をした。
作成したパターンをエッチングマスクとして、以下のエッチング条件1、エッチング条件2の条件にて逐次処理を行うことでウエハ上に酸化膜パターンを得た。
エッチング処理後の酸化パターンについて、ウエハ上の80ショット分について走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9380II)を用いて倍率200kで観察し、観察した視野内にてホールサイズおよびライン線幅を求めた。各ショット位置にて得られた線幅またはホールサイズの面内での分布を求め、そのシグマ値を面内のCDバラつきとして、エッチング後の面内CDバラつきを求めた。
(エッチング条件)
装置:AMAT Centura/e−Max Oxide Etcher
(エッチング条件1)
ソース/バイアス:250W/25W
圧力:7.5mTorr
基板温度:35℃
CHF3/SF6/Ar = 40/5/55 sccm
時間:60秒
(エッチング条件2)
ソース/バイアス:250W/25W
圧力:7.5mTorr
基板温度:35℃
O2/Ar = 20/55 sccm
時間:60秒
各処理液は以下の精製を実施した。
処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤の精製には、図1の有機溶剤の精製装置100の第2金属イオン吸着フィルタ34の下流側に「脱水部材」を接続した装置を用いた。
ここで、実施例欄で使用した図1の有機溶剤の精製装置100において、タンク10には、ステンレス鋼の接液部がPTFEでコーティングされているものを使用した。また、ポンプ20には、接液部がPTFEでコーティングされているものを用いた。また、供給管60には、外径12mmのPFA製のチューブを用いた。
また、蒸留部50には、材質がSUS316である棚段方式の蒸留塔(10段(棚板数10段))を用いた。
また、第1金属イオン吸着フィルタ32および第2金属イオン吸着フィルタ34には、Entegris社製の15nm IEX PTFE(PTFE製の基材の表面にスルホ基を有する孔径15nmのフィルタ)を用いた。
また、ろ過部材40には、Entegris社製の12nm PTFE(PTFE製の除粒子径12nmのフィルタである。)を用いた。また、有機不純物吸着部材50には、特開2013−150979号公報に記載の活性炭を不織布に固着したフィルタを用いた。
そして、第1表に記載の各有機溶剤をタンク10に充填した後、図1の矢印の方向にしたがって、被精製物を1回循環させ処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤を得た。
<評価>
〔金属成分(金属不純物)の測定〕
各実施例及び比較例で作製した処理液中の金属不純物に含まれる金属原子の含有量は、Agilent 8800 トリプル四重極ICP−MS(半導体分析用、オプション#200)を用いて測定した。
(測定条件)
各実施例及び比較例で作製した処理液中の金属不純物に含まれる金属原子の含有量の測定のために、石英のトーチと同軸型PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)ネブライザ(自吸用)、及び、白金インターフェースコーンを使用した。クールプラズマ条件の測定パラメータは以下のとおりである。
・RF(Radio Frequency)出力(W):600
・キャリアガス流量(L/min):0.7
・メークアップガス流量(L/min):1
・サンプリング深さ(mm):18
〔沸点300℃以上の有機不純物の測定〕
処理液の沸点が300℃以上の有機不純物の含有量は、DI−MS(ダイレクトインジェクションマスクロマトグラフィー)で測定した。

〔リンス〕
その後、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、リンス液(23℃)を、200mL/分の流量で15秒間スプレー吐出することで、リンス処理を行った。
最後に、2500回転(rpm)で60秒間高速回転してウエハを乾燥させた。なお、リンス液としては、S−1〜S−50のいずれかの処理液を用いた。表9及び表9−その2(組成は表8及び表8−その2)に、各実施例及び比較例で用いたリンス液を示す。表9及び表9−その2(組成は表8及び表8−その2)にリンス液の記載が無い場合、現像後にリンス処理を行っていないことを示す。
〔評価試験〕
以下の項目について、露光、現像処理を施したウエハについて性能評価を行った。結果の詳細は表9及び表9−その2に示す。
(現像後欠陥性能評価)
ウエハ上表面検査装置(SP−5;KLA Tencor製)により、上記で作成した現像後欠陥評価用ウエハ表面に存在する直径19nm以上のパーティクル(以下、これを「欠陥」という。)数を計測し、その後各欠陥をEDAXにて元素分析を行った。このうち、金属成分が含まれているものをメタルパーティクル、金属成分を含まず有機成分のみの欠陥を有機残渣と定義した。メタルパーティクルの現像後欠陥評価と、有機残渣の現像後欠陥評価を、下記基準にて評価した。欠陥数は、少ないほど性能良好であることを示し、下記基準において、評価が「D」以上であれば、半導体デバイス製造プロセスで要求される欠陥レベルを達成している。
「A」:欠陥数が200以下
「B」:欠陥数が200超500以下
「C」:欠陥数が500超1000以下
「D」:欠陥数が1000超1500個以下
「E」:欠陥数が1500超
(CHの抜け性能(CHパターンの抜け性、C/H抜け)評価)
異なる露光量にて露光したコンタクトホールパターンの解像状況を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9380II)を用いて倍率200kで観察し、観察した一視野内にてホールの抜け不良が起こっていない最小のホールサイズを求め、CHの抜け性能の指標とした。この数値が小さいほど、CHの抜け性能が良好であることを示す。

2.ArF液浸露光(実施例2−1〜2−45、比較例2−1〜2−2)
上記表5に記載のレジスト組成物を用いて、以下の操作によりレジストパターンを形成した。
〔レジスト組成物の塗布及び塗布後ベーク(PB)〕
12インチシリコンウエハ上に、上記のようにして得られた各レジスト組成物を塗布し、90〜120℃の条件で60秒間ベークし、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
なお、CHパターン評価を実施する場合は、レジスト膜を塗布する前に、シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(Brewer社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い膜厚86nmの反射防止膜を形成した。
〔上層膜形成用組成物の塗布及び塗布後ベーク(PB)〕
上記表6に示す上層膜形成用組成物(トップコート組成物)を上記ベーク後のレジスト膜上に塗布し、その後、下記表10及び表10−その2に示すPB温度(単位:℃)で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚40nmの上層膜(トップコート)を形成した。
〔露光〕
(現像後欠陥性能評価)
上記で作製したウエハに、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.750、インナーシグマ0.650、Y偏向)を用い、1mJ/cmの露光量にてマスクを介さず全面露光を行った。液浸液としては超純水を用いた。その後、90〜120℃の条件で60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、現像装置(SOKUDO社製;RF)を用い、下記表10及び表10−その2に記載の現像液(各現像液については、表8及び表8−その2参照のこと)で30秒間パドルして現像し、その後、50回転(rpm)でウエハを回転しながら下記表10及び表10−その2に記載のリンス液(各リンス液については、表8及び表8−その2参照のこと)で15秒間リンスした。続いて、2000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させることにより、ウエハ全面に渡ってレジスト膜が現像除去された欠陥評価用ウエハを作成した。
(CHの抜け性能(CHパターンの抜け性、C/H抜け)評価)
上記で作製したウエハに、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.730、インナーシグマ0.630、XY偏向)を用い、ホール部分が65nmであり且つホール間のピッチが100nmである正方配列の6%ハーフトーンマスク(ホール部分が遮蔽されている)を介して、露光量を変えて、レジスト膜のパターン露光を行った。液浸液としては超純水を用いた。その後、90〜120℃の条件で60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、現像装置(SOKUDO社製;RF)を用い、下記表10及び表10−その2に記載の現像液(各現像液については、表8及び表8−その2参照のこと)で30秒間パドルして現像し、その後、50回転(rpm)でウエハを回転しながら下記表10及び表10−その2に記載のリンス液(各リンス液については、表8及び表8−その2参照のこと)で15秒間リンスし、続いて、2000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させることにより、ホールパターンを得た。なお、表においてリンス液の記載が無い場合、現像後にリンス処理を行っていないことを表わす。
(エッチング後面内CDバラつき)
上記EUV露光におけるエッチング後面内CDバラつきの評価方法と、露光方法を上述の現像後欠陥性能評価におけるArF液浸露光とした以外は同様にして、エッチング後面内CDバラつきを評価した。
〔評価試験〕
上述した「EUV露光評価」と同様の項目について、走査型電子顕微鏡として「S−9380II」((株)日立製作所製)を用い、同様の方法でレジストパターンの評価を行った。結果の詳細は表10及び表10−その2に示す。

3.評価結果
上記表9、表9−その2、表10及び表10−その2の各実施例に示す通り、いずれの露光光源を用いた場合においても、沸点172℃以上の有機溶剤を30%以上含有する処理液を用いた場合、メタルパーティクル欠陥性能、及び、CHパターンの抜け性が良好であることが分かった。
これは、沸点172℃以上の有機溶剤がレジスト膜に残存しやすいために、レジスト膜中の不溶成分を洗い流す効果が増大したためと推定される。
また、いずれの実施例も現像後欠陥評価及びエッチング後面内CDバラつきの効果が良好であることが分かった。
また、本発明の処理液は、ネガ型樹脂、ポジ型樹脂のいずれにも適応可能であることが確認できる。
本願発明の処理液を、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム(接液内面;PFA樹脂ライニング)とJFE社製 鋼製ドラム缶(接液内面;燐酸亜鉛皮膜)に特開2014−112176号公報に記載の要領で、常温で14日間保存後に、ウエットパーティクル(現像欠陥評価において検出される欠陥のうち、有機残渣物によるものを示す)、有機不純物濃度分析、メタルパーティクル不純物濃度分析を行うと、JFE社製 鋼製ドラム缶(接液内面;燐酸亜鉛皮膜)よりも、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム(接液内面;PFA樹脂ライニング)の方が良好な結果を得ることができた。
10 タンク
20 ポンプ
32 第1金属イオン吸着フィルタ
34 第2金属イオン吸着フィルタ
40 ろ過部材
50 蒸留部
50 有機不純物吸着部材
60 供給管
100 有機溶剤の精製装置

Claims (29)

  1. (a)樹脂を含有する感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    (b)前記膜を露光する工程と、
    (c)処理液を用いて前記露光された膜を処理する工程と
    を含んだパターン形成方法であって、
    前記処理液は、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を30質量%以上含むパターン形成方法であって、
    前記工程(c)は、未露光部の前記樹脂を溶解し、前記露光された膜を現像する工程を含み、
    前記有機溶剤は、アルコール、γ−ブチロラクトン、グリコールエーテル及びそのアセテート、グライム、アミド、並びに、アルキレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上であるパターン形成方法。
  2. (a)感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    (b)前記膜を露光する工程と、
    (c)処理液を用いて前記露光された膜を処理する工程と
    を含んだパターン形成方法であって、
    前記処理液は、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を2種以上含み、
    前記処理液は、前記有機溶剤を30質量%以上含むパターン形成方法。
  3. (a)感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    (b)前記膜を露光する工程と、
    (c)処理液を用いて前記露光された膜を処理する工程と
    を含んだパターン形成方法であって、
    前記処理液は、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、及び、ジプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上である有機溶剤を30質量%以上含み、
    前記処理液は、更に、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤から選択される少なくとも1種を含むパターン形成方法。
  4. (a)感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    (b)前記膜を露光する工程と、
    (c)処理液を用いて前記露光された膜を処理する工程と
    を含んだパターン形成方法であって、
    前記処理液は、標準沸点が172℃以上である有機溶剤を30質量%以上含み、
    前記処理液が、γ‐ブチロラクトン及び酢酸ブチルを含むパターン形成方法。
  5. 前記感活性光線又は感放射線性組成物が樹脂を含有し、
    前記工程(c)は、未露光部の前記樹脂を溶解し、前記露光された膜を現像する工程を含む請求項2から4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記有機溶剤の標準沸点が175℃以上である請求項1、2または4に記載のパターン形成方法。
  7. 前記工程(c)は、前記処理液を用いて前記露光された膜を現像する工程を含む請求項1から6のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  8. 前記工程(c)は、前記露光された膜を現像する工程と、前記現像された膜をリンスする工程とを含み、前記現像する工程及び前記リンスする工程の少なくとも一方において、前記処理液が用いられる請求項1から6のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  9. 前記処理液は、更にエステル系溶剤を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  10. 前記エステル系溶剤が、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸1−メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、イソブタン酸ブチル、及びブタン酸ブチルから選ばれる少なくとも1種を含む請求項に記載のパターン形成方法。
  11. 前記処理液は、更にケトン系溶剤を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  12. 前記ケトン系溶剤が、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、及び2‐ヘプタノンから選ばれる少なくとも1種を含む請求項11に記載のパターン形成方法。
  13. 前記処理液は、更に、酢酸2−メチルブチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、酢酸1−メチルブチル、2−ヘプタノン、エチル−3−エトキシプロピオネート、酢酸イソアミル、シクロヘキサノン、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、4−メチル−2−ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の溶剤を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  14. 前記工程(c)は、前記露光された膜を現像する工程と、前記現像された膜をリンスする工程とを含み、前記リンスする工程において前記処理液が用いられる、請求項13に記載のパターン形成方法。
  15. 前記処理液が、γ‐ブチロラクトン及び酢酸ブチルを含む請求項1から3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
  16. 記有機溶剤が、プロピレンカーボネート、又はエチレングリコールである、請求項1または3に記載のパターン形成方法。
  17. 前記処理液が、前記露光された膜を現像するための現像液として用いられる、請求項16に記載のパターン形成方法。
  18. 前記組成物は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を備えた樹脂と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物とを含む請求項1から17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  19. 前記工程(b)はKrF又はArFエキシマレーザーを用いて行われる請求項1から18のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  20. 前記工程(b)はEUV光を用いて行われる請求項1から18のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  21. (d)前記処理液を用いて処理された膜を加熱する工程を更に含んだ請求項1から20のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  22. 前記処理液が、沸点が300℃以上の有機不純物を前記処理液全質量に対して0.001〜30質量ppm含む請求項1から21のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  23. 前記処理液の含水率が500ppm以下である、請求項1から17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  24. 請求項1から23のいずれか1項に記載のパターン形成方法に用いられる処理液であって、
    標準沸点が172℃以上である有機溶剤を30質量%以上含む処理液。
  25. 露光された膜を現像するために用いられる請求項24に記載の処理液。
  26. 現像された膜をリンスするために用いられる請求項24に記載の処理液。
  27. 前記処理液が、沸点が300℃以上の有機不純物を前記処理液全質量に対して0.001〜30質量ppm含む請求項24から26のいずれか一項に記載の処理液。
  28. 前記処理液がFe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含有し、各元素の含有量が、前記処理液全質量に対して0.001〜100質量pptである請求項24から27のいずれか1項に記載の処理液。
  29. 蒸留及びろ過工程を経て請求項24から28のいずれか一項に記載の処理液を生成する、処理液の製造方法
JP2017206450A 2016-11-07 2017-10-25 処理液及びパターン形成方法 Active JP6759174B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
TW106137910A TWI749094B (zh) 2016-11-07 2017-11-02 處理液及圖案形成方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016217600 2016-11-07
JP2016217600 2016-11-07

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018081307A JP2018081307A (ja) 2018-05-24
JP2018081307A5 JP2018081307A5 (ja) 2019-04-11
JP6759174B2 true JP6759174B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=62198025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017206450A Active JP6759174B2 (ja) 2016-11-07 2017-10-25 処理液及びパターン形成方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6759174B2 (ja)
TW (1) TWI749094B (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2020040034A1 (ja) * 2018-08-20 2021-09-24 富士フイルム株式会社 薬液収容体
SG11202103130RA (en) * 2018-09-28 2021-04-29 Tokuyama Corp Method for producing organic solvent solution of quaternary ammonium hydroxide
JPWO2020071261A1 (ja) * 2018-10-03 2021-09-24 富士フイルム株式会社 薬液及び薬液収容体
JP7221027B2 (ja) * 2018-11-12 2023-02-13 東京応化工業株式会社 レジスト組成物及びレジストパターン形成方法
WO2021005140A1 (en) * 2019-07-11 2021-01-14 Merck Patent Gmbh Photoresist remover compositions
JP7295251B2 (ja) * 2019-08-29 2023-06-20 富士フイルム株式会社 パターン形成方法、電子デバイスの製造方法
JP2021081545A (ja) * 2019-11-18 2021-05-27 メルク、パテント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツングMerck Patent GmbH レジストパターン間置換液、およびそれを用いたレジストパターンの製造方法
EP4372014A1 (en) * 2021-07-14 2024-05-22 FUJIFILM Corporation Pattern formation method and method for producing electronic device

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8900802B2 (en) * 2013-02-23 2014-12-02 International Business Machines Corporation Positive tone organic solvent developed chemically amplified resist
JPWO2016104565A1 (ja) * 2014-12-26 2017-09-21 富士フイルム株式会社 有機系処理液およびパターン形成方法
JP2018072358A (ja) * 2015-03-02 2018-05-10 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及び感活性光線性又は感放射線性膜

Also Published As

Publication number Publication date
TW201821605A (zh) 2018-06-16
TWI749094B (zh) 2021-12-11
JP2018081307A (ja) 2018-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6759174B2 (ja) 処理液及びパターン形成方法
JP6847123B2 (ja) 処理液及びパターン形成方法
KR102025581B1 (ko) 유기계 처리액 및 패턴 형성 방법
US10562991B2 (en) Developer, pattern forming method, and electronic device manufacturing method
KR102187517B1 (ko) 처리액 및 패턴 형성 방법
TW201635037A (zh) 上層膜形成用組成物、圖案形成方法、光阻圖案及電子元件的製造方法
JP2021077905A (ja) 半導体製造用処理液を収容する収容容器
US20180101100A1 (en) Treatment liquid and pattern forming method
JP6858689B2 (ja) 処理液及びパターン形成方法
US11042094B2 (en) Treatment liquid and pattern forming method
JP7465946B2 (ja) 処理液、パターン形成方法
JP7376610B2 (ja) 処理液、パターン形成方法
WO2021182182A1 (ja) 処理液、パターン形成方法
WO2020203621A1 (ja) 処理液、パターン形成方法
WO2020203670A1 (ja) 処理液、パターン形成方法
TW202147397A (zh) 沖洗液、圖案形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200406

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200901

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6759174

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250