JP7465946B2 - 処理液、パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レジスト膜パターニング用の処理液及びパターン形成方法に関する。
より詳細には、本発明は、IC(Integrated Circuit、集積回路)等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等に使用される、処理液、及び、パターン形成方法に関する。
従来、IC及びLSI(Large Scale Integrated ircuit、大規模集積回路)等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域及びクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。更には、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線、X線、又は、EUV光(Extreme Ultra Violet、極紫外線)を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
このようなリソグラフィーにおいては、感活性光線又は感放射線性組成物(レジスト組成物とも呼ばれる)により膜(レジスト膜)を形成した後、得られた膜を現像液により現像したり、現像後の膜をリンス液で洗浄したりする処理が行われている。
例えば、特許文献1には、所定のSP値を有する2以上有機溶剤を含むリンス液が開示されている。
特開2018-081306号公報
近年、集積回路の高集積化に伴って、レジスト組成物を用いた微細パターン(高解像なパターン)の形成が求められている。このような微細パターンの形成においては、微細化に伴いパターン同士の距離が狭まることで、大きな毛管力が発生し、良質なパターンを形成しにくくなるといった問題がある。以下、解像性に優れるとは、良質なパターンを形成できることを意味する。
更に、微細化に伴ってパターンの膜厚も薄化傾向にあるため、現像処理及びリンス処理の際の「パターンの膜減り」によるパターンの性能低下の解消が従前よりも顕著に求められている。つまり、パターン倒れとパターンの膜減りの発生を同時に解消できる処理液(現像液及び/又はリンス液)が求められている。
また、処理液を適用した際に、得られるパターン上の残渣を抑制できることも求められている。
本発明者らは、特許文献1に具体的に開示されている処理液(酢酸ブチル及びジイソブチルケトンの混合溶剤)を用いた場合、所望の効果が得られないことを知見した。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、レジスト膜に対する現像及び洗浄(リンス)の少なくとも一方に使用された場合に、解像性と膜減り抑制性に優れ、かつ、残渣抑制性にも優れる処理液を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記処理液に関するパターン形成方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、下記構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) 感活性光線又は感放射線性組成物から得られるレジスト膜に対して、露光後の現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用される、レジスト膜パターニング用の処理液であって、
第一の有機溶剤と、第二の有機溶剤とを含み、
第一の有機溶剤は、炭素数8~10のケトン系溶剤、酢酸エステル以外の炭素数8~10のエステル系溶剤、及び、炭素数8~10の芳香族炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
第二の有機溶剤は、炭素数5~7のケトン系溶剤、及び、酢酸エステル以外の炭素数5~7のエステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む、処理液。
(2) 第一の有機溶剤が、
2,5-ジメチル-3-ヘキサノン、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン、炭酸ジブチル、ギ酸ヘプチル、ギ酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸イソペンチル、プロピオン酸ヘキシル、ブタン酸ブチル、ブタン酸イソブチル、イソブタン酸ブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、3,3-ジメチルブタン酸エチル、メシチレン、クメン、プソイドクメン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、及び、p-シメンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)に記載の処理液。
(3) 第二の有機溶剤が、
3-メチル-2-ブタノン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、ジイソプロピルケトン、2-メチル-3-ヘキサノン、5-メチル-2-ヘキサノン、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、ギ酸t-ペンチル、ギ酸ヘキシル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、イソブタン酸エチル、炭酸ジエチル、及び、炭酸ジプロピルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)又は(2)に記載の処理液。
(4) 第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤が、式(1)の関係を満たす、(1)~(3)のいずれかに記載の処理液。
式(1):5.0℃<bp1-bp2<100.0℃
bp1:第一の有機溶剤の沸点
bp2:前第二の有機溶剤の沸点
(5) 第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の少なくとも一方が、分岐鎖状アルキル基を有する、(1)~(4)のいずれかに記載の処理液。
(6) 第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の両方が、分岐鎖状アルキル基を有する、(1)~(5)のいずれかに記載の処理液。
(7) 感活性光線又は感放射線性組成物が、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有する樹脂を含む、(1)~(6)のいずれかに記載の処理液。
(8) 感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
レジスト膜を露光する露光工程と、
露光されたレジスト膜を(1)~(7)のいずれかに記載の処理液によって処理する処理工程とを備える、パターン形成方法。
(9) 感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
レジスト膜を露光する露光工程と、
露光されたレジスト膜を処理する処理工程とを備える、パターン形成方法であって、
処理工程は、
現像液によって現像する現像工程と、
リンス液によって洗浄するリンス工程とを備え、
リンス液が(1)~(7)のいずれかに記載の処理液である、パターン形成方法。
本発明によれば、レジスト膜に対する現像及び洗浄(リンス)の少なくとも一方に使用された場合に、解像性と膜減り抑制性に優れ、かつ、残渣抑制性にも優れる処理液を提供できる。また、本発明によれば、上記処理液に関するパターン形成方法を提供できる。
実施例及び比較例で作製されたパターンの一例を示す顕微鏡写真図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光: Extreme Ultraviolet)、X線、及び、電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及び、EUV光等による露光、並びに、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において表記される2価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる一般式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。また、上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(以下、「分子量分布」ともいう。)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において、沸点とは、1気圧における沸点を意味する。
本明細書において、有機溶剤とは、25℃において液状である有機化合物を意味する。
処理液中に含まれる有機化合物の種類及び含有量等は、例えば、DI-MS(ダイレクトインジェクションマスクロマトグラフィー)で測定される。
[処理液]
本発明の処理液は、感活性光線又は感放射線性組成物(以下、「レジスト組成物」ともいう。)から得られるレジスト膜に対して現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用される、レジスト膜パターニング用の処理液である。本発明の処理液の特徴点としては、所定の第一の有機溶剤と、所定の第二の有機溶剤とを含むことが挙げられる。
レジスト膜を露光及び現像等をしてパターンを形成する際に、パターン上に残渣が発生し得る。このようなパターン上における残渣の発生及び/又は残留を低減するには、処理液(現像液及び/又はリンス液)として、極性の高い有機溶剤を用いることが効果的である。しかし、一方で、高極性の有機溶剤はパターン自体も溶解してパターンの膜減りを引き起こしてしまう場合がある。また、このような高極性な有機溶剤は、単独では揮発性が低いことが多く、特に、密集パターンでの解像性を悪化させる(例えば、密集パターンでのパターン倒れを生じさせる)要因になり得る。
本発明者らは上記知見に基づいて更に検討を行ったところ、所定の第一の有機溶剤と所定の第二の有機溶剤とを含む処理液によれば、形成されるパターンは、残渣の発生及び/又は残留と膜減りと、が同時に抑制され、解像性も向上できることを明らかとした。
所定の第一の有機溶剤は、パターンを溶解させたり膨潤させたりする作用が抑えられており、主に、パターンの溶解抑制による膜減りの抑制性、及び、解像性の改善に寄与していると考えられている。所定の第二の有機溶剤は、主に、残渣抑制性の向上に寄与すると考えられている。
EUV光を用いた露光をしてパターンを形成する場合、本発明の処理液を使用する意義が特に大きいと本発明者らは考えている。
EUV光(波長13.5nm)は、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)等と比べて短波長であるため、レジスト膜の露光において、入射フォトン数が少ない特徴がある。そのため、EUV露光に際して発生する酸のレジスト膜中における密度が、ArF露光を行う場合比較して低密度になりやすい。これを補う方法としてEUV露光が適用されるレジスト膜では、ArF露光が適用されるレジスト膜と比べて、光酸発生剤の含有量が多くなる傾向にある。その結果、EUV露光でパターンを形成した場合には、光酸発生剤に由来するレジスト膜の局所的な溶解性の低下が生じ、残渣が発生しやすい。そのため、残渣抑制性を向上できる第二の有機溶剤も含む本発明の処理液を適用することで、EUV露光でパターンを形成した場合でも、残渣の存在量が抑制されたパターンを得やすい。
また、上記処理液において、第二の有機溶剤として、第一の有機溶剤よりも沸点が低い有機溶剤を選択することが好ましく、例えば、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤とが、後述する式(1)の関係を満たすことがより好ましい。
第二の有機溶剤が、第一の有機溶剤よりも沸点が低い場合、処理液による処理(例えば、リンス処理)後の乾燥時に、第二の有機溶剤が優先的に揮発し、形成されたパターン上における第一の有機溶剤の濃度が高まる。その結果、第一の有機溶剤による効果が最大限発揮され、特に密集パターンでのパターン倒れの抑制効果がより顕著となる。
以下、解像性、膜減り抑制性、及び、残渣抑制性のうちの少なくとも1つ以上が優れることを、本発明の効果が優れるともいう。
本発明の処理液に含まれる第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤について、以下に詳述する。
〔第一の有機溶剤〕
本発明の処理液は、所定の第一の有機溶剤を含む。
第一の有機溶剤は、炭素数8~10のケトン系溶剤、酢酸エステル以外の炭素数8~10のエステル系溶剤、及び、炭素数8~10の芳香族炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む溶剤である。
<炭素数8~10のケトン系溶剤(以下、「第一ケトン系溶剤」ともいう。)>
第一の有機溶剤としての第一ケトン系溶剤の炭素数は、8~10であり、解像性、膜減り抑制性、及び、残渣抑制性の少なくとも1つがより優れる点(以下、単に「本発明の効果がより優れる点」ともいう。)で、9~10が好ましい。
第一ケトン系溶剤としては、例えば、2,5-ジメチル-3-ヘキサノン、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、及び、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第一ケトン系溶剤としては、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、又は、ジイソブチルケトンが好ましく、ジイソブチルケトンがより好ましい。
第一ケトン系溶剤は、直鎖状構造、分岐鎖状構造、又は、環状構造を有していてもよい。
第一ケトン系溶剤は、例えば、直鎖状アルキル基、又は、分岐鎖状アルキル基を有していてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第一ケトン系溶剤は、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。
一方で、揮発性及び/又は溶解性の点で、第一ケトン系溶剤が分子内に有する酸素原子の数は、1が好ましい。また、第一ケトン系溶剤は、アルキル基及びカルボニル結合のみから構成されることが好ましい。更に、第一ケトン系溶剤は、芳香環基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、及び/又は、カルバモイル基を有さないことが好ましい。
第一ケトン系溶剤がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、ハロゲン原子等)を有する場合、ヘテロ原子としては、酸素原子のみが好ましい。
第一ケトン系溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
<酢酸エステル以外の炭素数8~10のエステル系溶剤(以下、「第一エステル系溶剤」ともいう。)>
第一の有機溶剤としての第一エステル系溶剤は、酢酸エステル以外の炭素数8~10のエステル系溶剤である。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第一エステル系溶剤の炭素数は、9~10が好ましい。
なお、本明細書においては、炭酸エステル系溶剤も、エステル系溶剤の範囲に含まれる。
また、酢酸エステルとは、酢酸とアルコールから生成するエステルを意味し、例えば、酢酸ブチルなどが挙げられる。上記第一エステル系溶剤には、酢酸エステルは含まれない。
第一エステル系溶剤は、例えば、炭酸ジブチル、ギ酸ヘプチル、ギ酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸イソペンチル、プロピオン酸ヘキシル、ブタン酸ブチル、ブタン酸イソブチル、イソブタン酸ブチル、イソブタン酸イソブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、及び、3,3-ジメチルブタン酸エチルが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第一エステル系溶剤としては、炭酸ジブチル、ギ酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸イソペンチル、ブタン酸イソブチル、イソブタン酸ブチル、イソブタン酸イソブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸イソブチル、又は、3,3-ジメチルブタン酸エチルが好ましく、ギ酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸イソペンチル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸イソブチル、又は、3,3-ジメチルブタン酸エチルがより好ましい。
第一エステル系溶剤は、直鎖状構造、分岐鎖状構造、又は、環状構造を有していてもよい。
第一エステル系溶剤は、例えば、直鎖状アルキル基、及び、分岐鎖状アルキル基を有していてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第一エステル系溶剤は、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。
一方で、揮発性及び/又は溶解性の点で、第一エステル系溶剤が分子内に有する酸素原子の数は、2~3が好ましく、2がより好ましい。
また、第一エステル系溶剤は、アルキル基、エステル結合、及び、エステル結合中のカルボニル炭素に結合し得る水素原子のみから構成されることが好ましい。更に、第一エステル系溶剤は、芳香環基、オキソ基、アミノ基、及び/又は、カルバモイル基を有さないことが好ましい。
第一エステル系溶剤がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、ハロゲン原子等)を有する場合、ヘテロ原子としては、酸素原子のみが好ましい。
第一エステル系溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
<炭素数8~10の芳香族炭化水素系溶剤(以下、「第一芳香族炭化水素系溶剤」ともいう。)>
第一の有機溶剤としての第一芳香族炭化水素系溶剤の炭素数は、8~10であり、本発明の効果がより優れる点で、9~10が好ましい。
なお、芳香族炭化水素系溶剤とは、芳香環構造を有する炭化水素系溶剤である。芳香族炭化水素系溶剤は、芳香環構造を有していればよく、脂肪族炭化水素基を有していてもよい。
第一芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、メシチレン、クメン、プソイドクメン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、及び、p-シメンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第一芳香族炭化水素系溶剤としては、メシチレン、クメン、又は、p-シメンが好ましく、メシチレンがより好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、第一芳香族炭化水素系溶剤は、直鎖状アルキル基、又は、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。
一方で、揮発性及び/又は溶解性の点で、第一芳香族炭化水素系溶剤は、芳香族環、及び、直鎖状アルキル基若しくは分岐鎖状アルキル基のみから構成されることが好ましい。
第一芳香族炭化水素系溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の効果がより優れる点で、第一の有機溶剤は、ジイソブチルケトン、ヘキサン酸イソプロピル、又は、メシチレンが好ましい。
第一の有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
第一の有機溶剤の含有量は、処理液の全質量に対して、1~90質量%が好ましく、3~75質量%がより好ましく、5~60質量%が更に好ましい。
〔第二の有機溶剤〕
本発明の処理液は、所定の第二の有機溶剤を含む。
第二の有機溶剤は、炭素数5~7のケトン系溶剤、及び、酢酸エステル以外の炭素数5~7のエステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む溶剤である。
<炭素数5~7のケトン系溶剤(以下、「第二ケトン系溶剤」ともいう。)>
第二の有機溶剤としての第二ケトン系溶剤の炭素数は、5~7であり、本発明の効果がより優れる点で、5~6が好ましい。
第二ケトン系溶剤としては、例えば、3-メチル-2-ブタノン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、ジイソプロピルケトン、2-メチル-3-ヘキサノン、及び、5-メチル-2-ヘキサノンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第二ケトン系溶剤としては、3-メチル-2-ブタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、ジイソプロピルケトン、2-メチル-3-ヘキサノン、又は、5-メチル-2-ヘキサノンが好ましく、ジイソプロピルケトンがより好ましい。
第二ケトン系溶剤は、直鎖状構造、分岐鎖状構造、又は、環状構造を有していてもよい。
第二ケトン系溶剤は、例えば、直鎖状アルキル基、又は、分岐鎖状アルキル基を有していてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第二ケトン系溶剤は、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。
一方で、揮発性及び/又は溶解性の点で、第二ケトン系溶剤が分子内に有する酸素原子の数は、1が好ましい。また、第二ケトン系溶剤は、アルキル基及びカルボニル結合のみから構成されることが好ましい。更に、第二ケトン系溶剤は、芳香環基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、及び/又は、カルバモイル基を有さないことが好ましい。
第二ケトン系溶剤がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、ハロゲン原子等)を有する場合、ヘテロ原子としては、酸素原子のみが好ましい。
第二ケトン系溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
<酢酸エステル以外の炭素数5~7のエステル系溶剤(以下、「第二エステル系溶剤」ともいう。)>
第二の有機溶剤としての第二エステル系溶剤は、酢酸エステル以外の炭素数5~7のエステル系溶剤である。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第二エステル系溶剤の炭素数は、5~6が好ましい。
なお、上記第二エステル系溶剤には、酢酸エステルは含まれない。
第二エステル系溶剤としては、例えば、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、ギ酸t-ペンチル、ギ酸ヘキシル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、イソブタン酸エチル、炭酸ジエチル、及び、炭酸ジプロピルが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第二エステル系溶剤としては、ギ酸イソペンチル、ギ酸t-ペンチル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、イソブタン酸エチル、又は、炭酸ジエチルが好ましく、ギ酸イソペンチル、プロピオン酸イソプロピル、又は、プロピオン酸イソブチルがより好ましい。
第二エステル系溶剤は、直鎖状構造、分岐鎖状構造、又は、環状構造を有していてもよい。
第二エステル系溶剤は、例えば、直鎖状アルキル基、又は、分岐鎖状アルキル基を有していてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、第二エステル系溶剤は、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。
一方で、揮発性及び/又は溶解性の点で、第二エステル系溶剤が分子内に有する酸素原子の数は、2~3が好ましく、2がより好ましい。
また、第二エステル系溶剤は、アルキル基、エステル結合、及び、エステル結合中のカルボニル炭素に結合し得る水素原子のみから構成されることが好ましい。更に、第二エステル系溶剤は、芳香環基、オキソ基、アミノ基、及び/又は、カルバモイル基を有さないことが好ましい。
第二エステル系溶剤がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、ハロゲン原子等)を有する場合、ヘテロ原子としては、酸素原子のみが好ましい。
第二エステル系溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の効果がより優れる点で、第二の有機溶剤は、ジイソプロピルケトン、ギ酸イソペンチル、又は、プロピオン酸イソプロピルが好ましい。
第二の有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
第二の有機溶剤の含有量は、処理液の全質量に対して、10~99質量%が好ましく、25~97質量%がより好ましく、40~95質量%が更に好ましい。
また、処理液は、処理液が含む第一の有機溶剤又は第二の有機溶剤と共に、上記有機溶剤の位置異性体(例えば、直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基を有する第一の有機溶剤又は第二の有機溶剤の位置異性体等)を、意図的又は不可避的に含んでいてもよい。上記位置異性体は、第一の有機溶剤又は第二の有機溶剤に該当してもよく、それ以外の成分に該当してもよい。
処理液中に、互いに位置異性体の関係である2種以上の化合物(上記2種以上の化合物のうちの少なくとも1種は第一又は第二の有機溶剤に該当するものとする)が含まれている場合、それらの位置異性体のうちの最も含有量が多い化合物(第一又は第二の有機溶剤に該当する化合物であることが好ましい)の100質量%に対する、その他の位置異性体である化合物の合計含有量は、0質量%超1質量%以下が好ましい。
〔第一の有機溶剤と第二の有機溶剤との関係〕
本発明の処理液中の第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の沸点は、それぞれ独立に、80~250℃が好ましく、80~200℃がより好ましく、90~220℃が更に好ましい。
更に、第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の沸点の差は特に制限されず、第一の有機溶剤の沸点から第二の有機溶剤の沸点を引いた値(bp1-bp2)は0℃以上の場合が好ましく、以下に示す、式(1)の関係を満たすことがより好ましく、式(2)の関係を満たすことが更に好ましい。
式(1): 5.0℃<bp1-bp2<100.0℃
式(2): 20.0℃<bp1-bp2<80.0℃
上記中、bp1は第一の有機溶剤の沸点(℃)を表し、bp2は第二の有機溶剤の沸点(℃)を表す。上記沸点は、1気圧下での沸点である。
処理液が、2種以上の、第一の有機溶剤及び/又は第二の有機溶剤を含む場合、複数存在する第一の有機溶剤と第二の有機溶剤との組み合わせの少なくとも1種(好ましくは全部)において、上記式を満たせばよい。
なかでも、処理液中の、最も含有量が多い第一の有機溶剤と、最も含有量が多い第二の有機溶剤との組み合わせが、上記式を満たすことが好ましい。ここでいう含有量は質量基準の含有量である。
本発明の処理液は、第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の少なくとも一方が、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましく、第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の両方が、分岐鎖状アルキル基を有することがより好ましい。
なお、第一の有機溶剤が分岐鎖状アルキル基を有するとは、第一ケトン系溶剤、第一エステル系溶剤、及び、第一芳香族炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも一つが分岐鎖状アルキル基を有することを意味する。
また、第二の有機溶剤が分岐鎖状アルキル基を有するとは、第二ケトン系溶剤、及び、第二エステル系溶剤からなる群から選択される少なくとも一つが分岐鎖状アルキル基を有することを意味する。
処理液が、2種以上の、第一の有機溶剤及び/又は第二の有機溶剤を含む場合、複数存在し得る第一の有機溶剤の1種以上(好ましくは全種)が、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましく、複数存在し得る第二の有機溶剤の1種以上(好ましくは全種)が、分岐鎖状アルキル基を有することがより好ましい。
なかでも、最も含有量が多い第一の有機溶剤が、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。また、最も含有量が多い第二の有機溶剤が有する基が、分岐鎖状アルキル基を有することが好ましい。ここでいう含有量は質量基準の含有量である。
本発明の処理液は、上記第一の有機溶剤と上記第二の有機溶剤とを少なくとも1種ずつ含んでいればよい。
本発明の処理液は目的に応じて適宜調製できる。
処理液を、現像液として使用する場合は、ある程度の溶解性が必要となるため、第二の有機溶剤の含有量が多いことも好ましい。
一方、処理液を、現像後の洗浄液(以下、「リンス液」ともいう。)として用いる場合には、パターンの膜減りを抑制するため、第一の有機溶剤の含有量が多いことも好ましい。
例えば、第一の有機溶剤の含有量に対する、第二の有機溶剤の含有量の質量比(第二の有機溶剤の含有質量/第一の有機溶剤の含有質量)は、10/90~99/1が好ましく、25/75~97/3がより好ましく、40/60~95/5が更に好ましい。
本発明の処理液中、上記第一の有機溶剤と上記第二の有機溶剤との合計含有量は、処理液の全質量に対して、95.0質量%以上が好ましく、98.0質量%以上がより好ましく、99.0質量%以上が更に好ましく、99.5質量%以上が特に好ましく、99.9質量%以上が最も好ましい。なお、上記合計含有量の上限値としては、例えば、100質量%である。
〔その他の成分〕
本発明の処理液は、上述以外のその他の成分を含んでいてもよい。
<金属成分>
処理液は、金属成分を含んでいてもよい。
金属成分としては、金属粒子及び金属イオンが挙げられ、例えば、金属成分の含有量という場合、金属粒子及び金属イオンの合計含有量を示す。
処理液は、金属粒子及び金属イオンのいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
金属成分に含まれる金属原子としては、例えば、Ag、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Sn、Sr、Ti、及び、Znからなる群から選ばれる金属原子が挙げられる。
金属成分は、金属原子を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
金属粒子は、単体でも合金でもよく、金属が有機物と会合した形態で存在していてもよい。
金属成分は、処理液に含まれる各成分(原料)に不可避的に含まれている金属成分でもよいし、処理液の製造、貯蔵、及び/又は、移送時に不可避的に含まれる金属成分でもよいし、意図的に添加してもよい。
処理液が金属成分を含む場合、金属成分の含有量は、処理液の全質量に対して、0質量ppt超1質量ppm以下が好ましく、0質量ppt超10質量ppb以下がより好ましく、0質量ppt超10質量ppt以下が更に好ましい。
なお、処理液中の金属成分の種類及び含有量は、ICP-MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)で測定できる。
<イオン性液体>
本発明の処理液は、以下のイオン性液体を含んでいてもよい。なお、処理液がイオン性液体を含む場合には、イオン性液体は、第一の有機溶剤、及び、第二の有機溶剤には含まれないものとする。
イオン性液体としては、例えば、陽イオンとして、ピリジニウムイオン若しくはイミダゾリウムイオン等の芳香族系イオン、又は、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン等の脂肪族アミン系イオン等を有する。陰イオンとしては、NO 、CHCO 、BF 、若しくは、PF 等の無機イオン系、又は、(CFSO、CFCO 、若しくは、CFSO 等のフッ素含有有機陰イオン等を有するイオン性液体;4級アンモニウム塩系イオン性液体が好ましい。
イオン性液体の市販品としては、例えば、IL-P14、及び、IL-A2(広栄化学工業社製);エレガンSS-100(日本油脂社製)等の4級アンモニウム塩系イオン性液体等が挙げられる。
イオン性液体は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液がイオン性液体を含む場合、イオン性液体の含有量は、処理液の全質量に対して、0.5~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
<界面活性剤>
本発明の処理液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
処理液が界面活性剤を含む場合、処理液のレジスト膜に対する濡れ性が向上して、現像及び/又はリンスがより効果的に進行する。
界面活性剤としては、後述するレジスト組成物に含まれ得る界面活性剤と同様のものを使用できる。
界面活性剤は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、処理液の全質量に対して、0.001~5質量%が好ましく、0.005~2質量%がより好ましく、0.01~0.5質量%が更に好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の処理液は、酸化防止剤を含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、又は、フェノール系酸化防止剤であることが好ましい。
酸化防止剤は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は、処理液の全質量に対して、0.0001~1質量%が好ましく、0.0001~0.1質量%がより好ましく、0.0001~0.01質量%が更に好ましい。
<塩基性化合物>
本発明の処理液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。
塩基性化合物の具体例としては、後述するレジスト組成物に含まれ得る酸拡散制御剤として例示する化合物が挙げられる。
塩基性化合物は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液が塩基性化合物を含む場合、塩基性化合物の含有量は、処理液全質量に対して、10質量%以下が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
なお、本発明において、上記塩基性化合物は、1種のみを使用してもよいし、化学構造が異なる2種以上を併用してもよい。
<その他の溶剤>
本発明の処理液は、その他の溶剤を含んでいてもよい。
本発明の処理液が現像液として使用される場合、本発明の処理液は、上記第一の有機溶剤、及び、上記第二の有機溶剤以外のその他の有機溶剤を含んでいてもよい。
本発明の処理液がリンス液として使用される場合、本発明の処理液は、上記第一の有機溶剤、及び、上記第二の有機溶剤以外のその他の有機溶剤を含んでいてもよい。
その他の有機溶剤としては特に制限されないが、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び/又は、エーテル系溶剤等の有機溶剤であって、上記第一の有機溶剤及び上記第二の有機溶剤のいずれにも該当しない有機溶剤が挙げられる。
<沸点300℃以上の有機物>
沸点300℃以上の有機物を含む処理液を半導体デバイス製造プロセスに適用した場合、高沸点の上記有機物が揮発せずに残存し、基板の欠陥不良の原因になる場合がある。
沸点300℃以上の有機物は、例えば、製造装置の部材に用いられたプラスチック材料(例えば、O-リング等)中に含まれる樹脂成分又は可塑剤等が考えられ、製造過程のいずれかの時点で液中に溶出したものと推測される。
処理液に沸点300℃以上の有機物を含む場合、上記沸点300℃以上の有機物の含有量が、半導体デバイス製造プロセスに用いた場合に基板の欠陥不良の抑制の点から、処理液全質量に対して、0.001~50質量ppmが好ましく、0.001~30質量ppmがより好ましく、0.001~15質量ppmが更に好ましく、0.001~10質量ppmが特に好ましく、0.001~1質量ppmが最も好ましい。
上記沸点が300℃以上の有機物の含有量が、処理液全質量に対して30質量ppm以下であることが、例えば、上記処理液を現像液として使用して基板に接触させた場合に、上記有機物が揮発せずに基板表面に残存し、欠陥不良となることを抑制する観点で好ましい。
上記沸点が300℃以上の有機物の含有量が、処理液全質量に対して15質量ppm以下であることが、例えば、上記処理液を現像液として使用して基板に接触させた場合に、ベーク工程後にも沸点が300℃以上の有機物が基板上に残存することを防ぐため、欠陥の原因(現像不良)を抑制する観点で更に好ましい。
処理液中、含まれ得る沸点300℃以上の有機物としては、O-リングから溶出するフタル酸ジオクチル(DOP、沸点385℃)等の成分、フタル酸ジイソノニル(DINP、沸点403℃)、アジピン酸ジオクチル(DOA、沸点335℃)、フタル酸ジブチル(DBP、沸点340℃)、及び、エチレンプロピレンゴム(EPDM、沸点300~450℃)等が確認されている。
処理液中の沸点が300℃以上の有機物の含有量を上記範囲内にする方法としては、後述する精製工程で挙げる方法が挙げられる。
〔パターン形成方法〕
本発明は上記処理液を用いたパターン形成方法にも関する。
パターン形成方法は、例えば、
(i)レジスト組成物を使用してレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
(ii)上記レジスト膜を露光する露光工程と、
(iii)露光された上記レジスト膜を上述した処理液によって処理する処理工程と、を備える。
以下、パターン形成方法が有する各工程について説明する。また、処理工程の一例として、現像工程及びリンス工程のそれぞれについて説明する。
<(i)レジスト膜形成工程>
レジスト膜形成工程は、レジスト組成物を使用してレジスト膜を形成する工程である。
レジスト組成物を使用してレジスト膜を形成するにあたっては、例えば、後述する各成分を溶剤に溶解してレジスト組成物を調製し、必要に応じてフィルタろ過した後、支持体(基板)上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する。フィルタの孔径としては、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又は、ナイロンが好ましい。
レジスト組成物は、例えば、支持体(基板)上に、スピナー等の適当な塗布方法により塗布される。その後、塗膜(塗布されたレジスト組成物の塗膜)を乾燥し、レジスト膜を形成する。必要により、レジスト膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、及び、反射防止膜)を形成してもよい。
レジスト膜を形成する支持体は、特に制限されるものではなく、IC等の半導体の製造工程、又は、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程の他、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を使用できる。
支持体の具体例としては、シリコン、SiO、及び、SiN等の無機基板等も挙げられる。
上記基板には、単層からなる半導体基板、及び、多層からなる半導体基板も含まれる。
単層からなる半導体基板を構成する材料は特に制限されず、一般的に、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのような第III-V族化合物、又は、それらの任意の組み合わせから構成されることが好ましい。
多層からなる半導体基板である場合には、その構成は特に制限されず、例えば、上述のシリコン等の半導体基板上に金属線及び誘電材料のような相互接続構造(interconnect features)等の露出した集積回路構造を有していてもよい。相互接続構造に用いられる金属及び合金としては、アルミニウム及び銅と、合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及び、タングステンが挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、半導体基板上に、層間誘電体層、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、及び、炭素ドープ酸化シリコン等の層を有していてもよい。
乾燥方法としては、加熱して乾燥する方法が一般的に用いられる。
加熱温度としては、80~180℃が好ましく、80~150℃がより好ましく、80~140℃が更に好ましく、80~130℃が特に好ましい。
加熱時間としては、30~1000秒が好ましく、60~800秒がより好ましく、60~600秒が更に好ましい。
レジスト膜の膜厚は、一般的には200nm以下であり、100nm以下が好ましい。
例えば30nm以下のサイズの1:1ラインアンドスペースパターンを解像させるためには、レジスト膜の膜厚は、50nm以下が好ましい。膜厚が50nm以下であれば、後述する現像工程を適用した際に、パターン倒れがより起こりにくくなり、より優れた解像性能が得られる。
膜厚は、エッチング耐性と解像性がより優れる点で、15~70nmが好ましく、15~65nmがより好ましい。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜使用できる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用できる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むものが好ましい。また、例えば、特開2014-059543号公報の段落[0072]~[0082]の記載に基づいて上層膜を形成してもよい。
保護膜の膜厚は、10~200nmが好ましく、20~100nmがより好ましく、40~80nmが更に好ましい。
<(ii)露光工程>
パターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
パターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake、以下、「塗布後ベーク」ともいう。)工程を含むことが好ましい。
パターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake、露光後ベークもいう)工程を含むことが好ましい。
パターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
パターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
パターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
パターン形成方法において、(ii)露光工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30~1000秒が好ましく、60~800秒がより好ましく、60~600秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を使用して行ってもよい。
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、及び、電子線等が挙げられる。これらのなかでも遠紫外線が好ましく、その波長は250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1~200nmが更に好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、及び、電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV、又は、電子線が好ましく、EUV又は電子線がより好ましい。
<(iii)露光された膜を処理する工程>
(iii)露光された膜を処理する工程は、通常、(vi)現像液によって現像する現像工程(現像工程)と、(vii)リンス液によって洗浄するリンス工程(リンス工程)とを含む。
本発明の処理液は、現像工程における現像液として使用されてもよいし、リンス工程におけるリンス液として使用されてもよい。なかでも、リンス工程におけるリンス液として使用されることが好ましい。
本発明の処理液をリンス工程におけるリンス液として使用する場合、現像工程における現像液としては、本発明の処理液以外のその他の処理液を使用することが好ましい。
(現像工程)
現像工程は、露光された上記レジスト膜を現像液によって現像する工程である。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
また、現像工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
現像時間としては、10~300秒が好ましく、20~120秒がより好ましい。
現像液の温度としては、0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
現像液としては、上述した処理液を使用してもよいし、その他の現像液を使用してもよい。
処理液を用いた現像に加えて、アルカリ現像液による現像を行ってもよい(いわゆる二重現像)。
≪その他の現像液≫
以下において、その他の現像液(本発明の処理液以外の現像液)について説明する。
現像液に使用される有機溶剤の蒸気圧(混合溶剤である場合は全体としての蒸気圧)は、20℃において、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下が更に好ましい。有機溶剤の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上又は現像カップ内での蒸発が抑制され、基板面内の温度均一性が向上し、結果として基板面内の寸法均一性が良化する。
現像液に使用される有機溶剤としては特に制限されないが、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び、炭化水素系溶剤等の溶剤が挙げられる。
現像液としては、なかでも、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及び、エーテル系溶剤からなる群から選ばれる溶剤を1種以上含むことが好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル、酢酸3-メチルブチル)、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、酢酸イソヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、ブタン酸イソブチル、ブタン酸ペンチル、ブタン酸ヘキシル、イソブタン酸イソブチル、ペンタン酸プロピル、ペンタン酸イソプロピル、ペンタン酸ブチル、ペンタン酸ペンチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクロヘプチル、酢酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸シクロペンチル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、及び、プロピル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられる。
なかでも、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、又は、ブタン酸ブチルが好ましく、酢酸イソアミルがより好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、及び、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。なかでも、2-ヘプタノンが好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、tert―ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-デカノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、5-メチル-2-ヘキサノール、4-メチル-2-ヘキサノール、4,5-ジチル-2-ヘキサール、6-メチル-2-ヘプタノール、7-メチル-2-オクタノール、8-メチル-2-ノナール、9-メチル-2-デカノール、及び、3-メトキシ-1-ブタノール等のアルコール(1価のアルコール);エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1-メトキシ-2-プロパノール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及び、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等の水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤;等が挙げられる。なかでも、グリコールエーテル系溶剤が好ましい。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤の他、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の水酸基を含まないグリコールエーテル系溶剤;アニソール、及び、フェネトール等の芳香族エーテル溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び、イソプロピルエーテル等が挙げられる。なかでも、グリコールエーテル系溶剤、又は、アニソール等の芳香族エーテル溶剤が好ましい。
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及び、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルヘキサン、パーフルオロヘキサン、及び、パーフルオロヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1-メチルプロピルベンゼン、2-メチルプロピルベンゼン、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、及び、ジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;が挙げられる。
また、炭化水素系溶剤としては、不飽和炭化水素系溶剤も使用でき、例えば、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、及び、ヘキサデセン等の不飽和炭化水素系溶剤が挙げられる。不飽和炭化水素系溶剤が有する二重結合又は三重結合の数は特に制限されず、また、炭化水素鎖のいずれの位置に有してもよい。また、不飽和炭化水素系溶剤が二重結合を有する場合には、cis体及びtrans体が混在していてもよい。
なお、炭化水素系溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤においては、同じ炭素数で異なる構造の化合物の混合物であってもよい。例えば、脂肪族炭化水素系溶剤としてデカンを使用した場合、同じ炭素数で異なる構造の化合物である2-メチルノナン、2,2-ジメチルオクタン、4-エチルオクタン、及び、イソオクタン等が脂肪族炭化水素系溶剤に含まれていてもよい。
また、上記同じ炭素数で異なる構造の化合物は、1種のみが含まれていてもよいし、上記のように複数種含まれていてもよい。
現像液としては、上述した露光工程において、EUV光及び電子線を用いる場合にレジスト膜の膨潤をより抑制できるという点で、炭素数が6以上(6~14が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい)、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤が好ましい。
上記ヘテロ原子としては、炭素原子及び水素原子以外の原子であればよく、例えば、酸素原子、窒素原子、及び、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子数は、2以下が好ましい。
炭素数が6以上、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤の具体例としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、イソブタン酸ブチル、及び、イソブタン酸イソブチルからなる群から選ばれるものが好ましく、酢酸イソアミル、又は、イソブタン酸ブチルがより好ましい。
現像液としては、上述した露光工程において、EUV光及び電子線を用いる場合において、レジスト膜の膨潤の抑制をより抑制する点で、上述した炭素数が6以上、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤に代えて、エステル系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤、又は、ケトン系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤を使用してもよい。
上記混合溶剤において、炭化水素系溶剤の含有量は、レジスト膜の溶剤溶解性に依存するため特に制限されず、適宜調製して必要量を決定すればよい。
エステル系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤において、エステル系溶剤としては、酢酸イソアミルが好ましい。炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調整しやすい点で、飽和炭化水素系溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、及び、ヘキサデカン等)が好ましい。
ケトン系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤において、ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及び、プロピレンカーボネート等が挙げられ、ジイソブチルケトン、又は、2,5-ジメチル-4-ヘキサノンが好ましい。炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調整しやすい点で、飽和炭化水素系溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、及び、ヘキサデカン等)が好ましい。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤、又は、水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、実質的に水分を含まないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全質量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
界面活性剤の含有量は、現像液の全量に対して、通常、0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。塩基性化合物の具体例としては、後述するレジスト組成物に含まれ得る酸拡散制御剤として例示する化合物が挙げられる。
現像液として用いる有機溶剤としては、上述したエステル系溶剤以外に、下記一般式(S1)又は下記一般式(S2)で表される溶剤も好ましい。
上記エステル系溶剤としては、一般式(S1)で表される溶剤がより好ましく、酢酸アルキルが更に好ましく、酢酸ブチル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、又は、酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル)が特に好ましい。
R-C(=O)-O-R’ 一般式(S1)
一般式(S1)において、R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、又は、ハロゲン原子を表す。R及びR’は、互いに結合して環を形成してもよい。
R及びR’で表されるアルキル基、アルコキシル基、及び、アルコキシカルボニル基の炭素数としては1~15が好ましく、シクロアルキル基の炭素数としては3~15が好ましい。
R及びR’で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、及び、アルコキシカルボニル基、並びに、RとR’とが互いに結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボニル基を含む基(例えば、アシル基、アルデヒド基、及び、アルコキシカルボニル等)、及び、シアノ基等が挙げられる。
R及びR’としては、なかでも、水素原子又はアルキル基が好ましい。
一般式(S1)で表される溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、及び、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。
なかでも、R及びR’としては、無置換アルキル基が好ましい。
一般式(S1)で表される溶剤としては、酢酸アルキルが好ましく、酢酸ブチル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、又は酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル)がより好ましく、酢酸イソアミルが更に好ましい。
現像液が一般式(S1)で表される溶剤を含む場合、現像液は更に他の有機溶剤(以下、「併用溶剤」ともいう。)を1種以上含んでいてもよい。併用溶剤としては、一般式(S1)で表される溶剤に分離することなく混合できれば特に制限はなく、一般式(S1)で表される溶剤以外のエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び、炭化水素系溶剤からなる群から選択される溶剤が挙げられる。
併用溶剤は1種でも2種以上であってもよいが、安定した性能を得る上では、1種が好ましい。
現像液が一般式(S1)で表される溶剤と1種の併用溶剤との混合溶剤である場合、併用溶剤に対する、一般式(S1)で表される溶剤の含有量の質量比[一般式(S1)で表される溶剤の含有質量/併用溶剤の含有質量]は、通常20/80~99/1であり、50/50~97/3が好ましく、60/40~95/5がより好ましく、60/40~90/10が更に好ましい。
現像液として用いる有機溶剤としては、下記一般式(S2)で表される溶剤も好ましい。
R’’-C(=O)-O-R’’’-O-R’’’’ 一般式(S2)
一般式(S2)において、R’’及びR’’’’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、又は、ハロゲン原子を表す。R’’及びR’’’’は、互いに結合して環を形成してもよい。
R’’及びR’’’’としては、水素原子又はアルキル基が好ましい。
R’’及びR’’’’で表されるアルキル基、アルコキシル基、及び、アルコキシカルボニル基の炭素数としては1~15が好ましく、シクロアルキル基の炭素数としては3~15が好ましい。
R’’’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、アルキレン基が好ましい。
R’’’で表されるアルキレン基の炭素数としては1~10が好ましく、R’’’で表されるシクロアルキレン基の炭素数としては3~10が好ましい。
なお、R’’’で表されるアルキレン基としては、アルキレン鎖中にエーテル結合を有していてもよい。
R’’及びR’’’’で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、及び、アルコキシカルボニル基、R’’’で表されるアルキレン基及びシクロアルキレン基、並びに、R’’とR’’’’とが互いに結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボニル基を含む基(例えば、アシル基、アルデヒド基、及び、アルコキシカルボニル等)、及び、シアノ基等が挙げられる。
一般式(S2)で表される溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、及び、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート等が挙げられる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
これらのなかでも、R’’及びR’’’’が無置換アルキル基であり、R’’’が無置換のアルキレン基であることが好ましく、R’’及びR’’’’がメチル基及びエチル基のいずれかであることがより好ましく、R’’及びR’’’’がメチル基であることが更により好ましい。
現像液が一般式(S2)で表される溶剤を含む場合、現像液は更に併用溶剤を1種以上含んでいてもよい。併用溶剤としては、一般式(S2)で表される溶剤に分離することなく混合できれば特に制限はなく、一般式(S2)で表される溶剤以外のエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び、炭化水素系溶剤からなる群から選択される溶剤が挙げられる。
併用溶剤は1種でも2種以上であってもよいが、安定した性能を得る上では、1種が好ましい。
現像液が一般式(S2)で表される溶剤と1種の併用溶剤との混合溶剤である場合、併用溶剤に対する、一般式(S2)で表される溶剤の含有量の質量比[一般式(S2)で表される溶剤の含有質量/併用溶剤の含有質量]は、通常20/80~99/1であり、50/50~97/3が好ましく、60/40~95/5がより好ましく、60/40~90/10が更に好ましい。
また、現像液として用いる有機溶剤としては、芳香環を一つ以上含むエーテル系溶剤も好ましく、下記一般式(S3)で表される溶剤がより好ましく、アニソールが更に好ましい。
一般式(S3)において、Rは、アルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1~4が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
現像液(その他の現像液)として、水系のアルカリ現像液を使用してもよい。
(リンス工程)
リンス工程は、上記現像工程の後にリンス液によって洗浄(リンス)する工程である。
リンス工程においては、現像を行った基板を上記のリンス液を使用して洗浄処理する。
洗浄処理の方法は特に制限されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転吐出法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、等を適用することができ、このなかでも回転吐出方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000~4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
リンス時間としては、10~300秒が好ましく、10~180秒がより好ましく、20~120秒が更に好ましい。
リンス液の温度としては、0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
リンス液としては、上述した処理液を使用してもよいし、その他のリンス液を使用してもよい。
その他のリンス液としては、例えば、上述のその他の現像液、及び、水が挙げられる。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
更に、現像処理、リンス処理、又は、超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する溶剤を除去するために乾燥処理を実施してもよい。
乾燥温度は、40~160℃が好ましく、50~150℃がより好ましく、50~110℃が更に好ましい。
乾燥時間としては、15~300秒が好ましく、15~180秒がより好ましい。
本発明に関するパターン形成方法においては、現像液及びリンス液の少なくとも一方に本発明の処理液が使用される。なかでも、本発明の処理液がリンス液として使用されることが好ましい。
例えば、現像工程における現像液としてエステル系溶剤を使用し、リンス工程におけるリンス液として本発明の処理液を使用してパターン形成を実施する場合、露光後のレジスト膜に対する現像液とリンス液の供給間隔を1秒以上あけることが好ましい。現像液とリンス液の供給間隔を所定時間以上あけることで、露光後のレジスト膜の未露光領域の溶解性の悪化が抑制でき、かつ、ソルベントショックによる欠陥増加を抑制できる。
また、一般的に、現像液及びリンス液は、使用後に配管を通して共通の廃液タンクに収容される。その際、現像工程における現像液としてエステル系溶剤を使用し、リンス工程におけるリンス液として本発明の処理液を使用すると、現像液中に溶解したレジストが析出してしまい、基板の背面や、配管側面等に付着してしまい、装置を汚してしまう恐れがある。
上記問題を解決するためには、再度、レジストが溶解する溶剤を配管に通す方法がある。配管に通す方法としては、リンス液での洗浄後に基板の背面や側面等をレジストが溶解する溶剤で洗浄して流す方法や、レジストに接触させずにレジストが溶解する溶剤を配管を通るように流す方法が挙げられる。
配管に通す溶剤としては、レジストを溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば上述した現像液として用いられる有機溶剤が挙げられる。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-ヘプタノン、乳酸エチル、1-プロパノール、及び、アセトン等が挙げられる。なかでも、PGMEA、PGME、又は、シクロヘキサノンが好ましい。
また、上記問題を解決するその他の方法としては、使用後に配管を通して廃液タンクへ流される廃液中にてレジストの析出が生じることを未然に防ぐため、使用後に配管に流される現像液とリンス液の量比をレジストが析出しない量比に調整する方法、及び、使用後に配管に流される現像液及びリンス液に、更にレジストに対して高溶解性の溶剤を混合する方法が挙げられる。具体的な方法としては、例えば、現像工程及びリンス工程の間、本発明の処理液中に含まれる第一の有機溶剤及び/又は第二の有機溶剤よりもSP値が高い有機溶剤をウエハの背面に連続して供給することで、使用後に配管を通して廃液タンクへ流される廃液中でのレジストの析出・沈殿を抑制する方法が挙げられる。
更に、現像液及びリンス液は、使用後にそれぞれ別の廃液タンクに収容されることも好ましい。
例えば、現像工程における現像液としてエステル系溶剤を使用し、リンス工程におけるリンス液として本発明の処理液を使用してパターン形成を実施する場合、使用後に配管を通して共通の廃液タンクに収容されると、現像液中に溶解した樹脂等のレジスト組成物に含まれる成分が析出(沈殿・固体化)してしまい、装置の汚染を引き起こし得る。具体的には、析出した成分によって、廃液配管の詰まりの他、処理チャンバー内の汚染が発生する。上記問題を解決するためには、現像液及びリンス液は、使用後に配管切替えにより、又は、処理チャンバーの切替えにより、それぞれ別の廃液タンクに収容されることが好ましい。また、処理チャンバー内は、処理チャンバー内に付着し得るレジスト成分を除去すべく、処理後に、本発明の処理液に含まれる第一の有機溶剤よりもSP値が高い溶剤で洗浄されることが好ましい。
〔レジスト組成物〕
次に、本発明の処理液と組み合わせて使用するレジスト組成物としては、例えば、樹脂、光酸発生剤、及び/又は、酸拡散制御剤等を含む、いわゆる化学増幅型レジスト組成物でもよく、樹脂の代わりに低分子フェノール化合物を含む分子レジスト組成物でもよく、金属酸化物系化合物を含むメタルレジスト組成物でもよく、露光によりポリマー主鎖が切断して低分子量化する主鎖切断型レジスト組成物でもよい。
レジスト組成物は、ネガ型のレジスト組成物でもよく、ポジ型のレジスト組成物でもよい。
以下、本発明の処理液と組み合わせて使用できるレジスト組成物の一形態である、化学増幅型レジスト組成物について詳述する。
なお、以下において、化学増幅型レジスト組成物を指して、単に、レジスト組成物ともいう。
<樹脂(A)>
レジスト組成物は、酸の作用により分解して極性が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「樹脂(A)」ともいう。)を含む。
つまり、パターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
樹脂(A)は、通常、酸の作用により分解し極性が増大する基(以下、「酸分解性基」ともいう。)を含み、酸分解性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫
酸分解性基とは、酸の作用により分解して極性基を生じる基をいう。酸分解性基は、酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有することが好ましい。つまり、樹脂(A)は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する。この繰り返し単位を有する樹脂は、酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解度が増大し、有機溶剤に対する溶解度が減少する。
極性基としては、アルカリ可溶性基が好ましく、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
なかでも、極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又は、スルホン酸基が好ましい。
酸の作用により脱離する脱離基としては、例えば、式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられる。
式(Y1):-C(Rx)(Rx)(Rx
式(Y2):-C(=O)OC(Rx)(Rx)(Rx
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
式(Y1)及び式(Y2)中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、シクロアルキル基(単環若しくは多環)、アルケニル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又は、アリール基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
なかでも、Rx~Rxは、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を表すことが好ましく、Rx~Rxは、それぞれ独立に、直鎖状アルキル基を表すことがより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基等が挙げられる。
Rx~Rxのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成される環としては、シクロアルキル基が好ましい。 Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくは、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくは、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基、又は、ビニリデン基で置き換わっていてもよい。また、これらのシクロアルキル基は、シクロアルカン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
式(Y3)中、R36~R38は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R37とR38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。R36は水素原子であることも好ましい。
なお、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基には、酸素原子等のヘテロ原子及び/又はカルボニル基等のヘテロ原子を有する基が含まれていてもよい。例えば、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、例えば、メチレン基の1つ以上が、酸素原子等のヘテロ原子及び/又はカルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
また、R38は、繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基と互いに結合して、環を形成してもよい。R38と繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基とが互いに結合して形成する基は、メチレン基等のアルキレン基が好ましい。
式(Y3)としては、下記式(Y3-1)で表される基が好ましい。
ここで、L及びLは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とアリール基とを組み合わせた基)を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
なお、L及びLのうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アルキレン基と、アリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、及び、Lの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、Lが2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基、又は、ノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基又はアダマンタン基が挙げられる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)及び活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
式(Y4)中、Arは、芳香環基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。Rn及びArは、互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arはより好ましくはアリール基である。
繰り返し単位の酸分解性が優れる点から、極性基を保護する脱離基において、極性基(又はその残基)に非芳香族環が直接結合している場合、上記非芳香族環中の、上記極性基(又はその残基)と直接結合している環員原子に隣接する環員原子は、置換基としてフッ素原子等のハロゲン原子を有さないのも好ましい。
酸の作用により脱離する脱離基は、他にも、3-メチル-2-シクロペンテニル基のような置換基(アルキル基等)を有する2-シクロペンテニル基、及び、1,1,4,4-テトラメチルシクロヘキシル基のような置換基(アルキル基等)を有するシクロヘキシル基でもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(A)で表される繰り返し単位も好ましい。
は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表し、Rは水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、若しくは、ヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表し、Rは酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。ただし、L、R、及び、Rのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はヨウ素原子を有する。
は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表す。フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基としては、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO-、フッ素原子、又は、ヨウ素原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、アリーレン基等)、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。なかでも、Lとしては、-CO-、又は、-アリーレン基-フッ素原子若しくはヨウ素原子を有するアルキレン基-が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキレン基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、2以上が好ましく、2~10がより好ましく、3~6が更に好ましい。
は、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、若しくは、ヨウ素原子が有していてもよいアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表す。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキル基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、1以上が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
上記アルキル基は、ハロゲン原子以外の酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
は、酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。
なかでも、脱離基としては、式(Z1)~(Z4)で表される基が挙げられる。
式(Z1):-C(Rx11)(Rx12)(Rx13
式(Z2):-C(=O)OC(Rx11)(Rx12)(Rx13
式(Z3):-C(R136)(R137)(OR138
式(Z4):-C(Rn)(H)(Ar
式(Z1)、(Z2)中、Rx11~Rx13は、それぞれ独立に、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基(単環若しくは多環)、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルケニル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx11~Rx13の全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx11~Rx13のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx11~Rx13は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい点以外は、上述した(Y1)、(Y2)中のRx~Rxと同じであり、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、及び、アリール基の定義及び好適範囲と同じである。
式(Z3)中、R136~R138は、それぞれ独立に、水素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基を表す。R137及びR138は、互いに結合して環を形成してもよい。フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基としては、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアリール基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアラルキル基、及び、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)が挙げられる。
なお、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基には、フッ素原子及びヨウ素原子以外に、酸素原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。つまり、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
また、R138は、繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基と互いに結合して、環を形成してもよい。この場合、R138と繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基とが互いに結合して形成する基は、メチレン基等のアルキレン基が好ましい。
式(Z3)としては、下記式(Z3-1)で表される基が好ましい。
ここで、L11及びL12は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアリール基;又はこれらを組み合わせた基(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるアリール基;アミノ基;アンモニウム基;メルカプト基;シアノ基;アルデヒド基;又はこれらを組み合わせた基(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子、及び、酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
式(Z4)中、Arは、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい芳香環基を表す。Rnは、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表す。Rn及びArは、互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、一般式(AI)で表される繰り返し単位も好ましい。
一般式(AI)において、
Xaは、水素原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、シクロアルキル基(単環若しくは多環)、アルケニル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又は、アリール(単環若しくは多環)基を表す。ただし、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状、又は分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環(単環又は多環のシクロアルキル基等)を形成してもよい。
Xaにより表される、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、又は、-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基、又は、1価の有機基を表し、例えば、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアシル基、及び、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルコキシ基が挙げられ、炭素数3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xaとしては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、芳香環基、-COO-Rt-基、及び、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合、又は、-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH-基、-(CH-基、又は、-(CH-基がより好ましい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基等が挙げられる。
Rx~Rxのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基、又は、ビニリデン基で置き換わっていてもよい。また、これらのシクロアルキル基は、シクロアルカン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)等が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xaが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Tが単結合を表す繰り返し単位)である。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、15モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、25モル%以上が更に好ましく、30モル%以上が特に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、90モル%以下好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%が更により好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、式中、XaはH、CH、CF、及び、CHOHのいずれかを表し、Rxa及びRxbは、それぞれ炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を表す。
樹脂(A)は、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
例えば、樹脂(A)は、以下のA群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位、及び/又は、以下のB群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含んでいてもよい。
A群:以下の(20)~(29)の繰り返し単位からなる群。
(20)後述する、酸基を有する繰り返し単位
(21)後述する、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位
(22)後述する、ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位
(23)後述する、光酸発生基を有する繰り返し単位
(24)後述する、一般式(V-1)、又は、下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位
(25)後述する、式(A)で表される繰り返し単位
(26)後述する、式(B)で表される繰り返し単位
(27)後述する、式(C)で表される繰り返し単位
(28)後述する、式(D)で表される繰り返し単位
(29)後述する、式(E)で表される繰り返し単位
B群:以下の(30)~(32)の繰り返し単位からなる群。
(30)後述する、ラクトン基、スルトン基、カーボネート基、水酸基、シアノ基、及び、アルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位
(31)後述する、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位
(32)後述する、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位
レジスト組成物がEUV露光用途又は電子線露光用途で用いられる場合、樹脂(A)は上記A群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
また、レジスト組成物がEUV露光用途又は電子線露光用途で用いられる場合、樹脂(A)は、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含むことも好ましい。樹脂(A)がフッ素原子及びヨウ素原子の両方を含む場合、樹脂(A)は、フッ素原子及びヨウ素原子の両方を含む1つの繰り返し単位を有していてもよいし、樹脂(A)は、フッ素原子を有する繰り返し単位とヨウ素原子を含む繰り返し単位との2種を含んでいてもよい。
また、レジスト組成物がEUV露光用途又は電子線露光用途で用いられる場合、樹脂(A)が、芳香族基を有する繰り返し単位を有するのも好ましい。
レジスト組成物がArF露光用途で用いられる場合、樹脂(A)は上記B群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
また、レジスト組成物がArF露光用途で用いられる場合、樹脂(A)は、フッ素原子及び珪素原子のいずれも含まないことが好ましい。
また、組成物がArF用途で用いられる場合、樹脂(A)は、芳香族基を有さないことが好ましい。
≪酸基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
酸基としては、pKaが13以下の酸基が好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、又は、イソプロパノール基等が好ましい。
また、上記ヘキサフルオロイソプロパノール基は、フッ素原子の1つ以上(好ましくは1~2つ)が、フッ素原子以外の基(アルコキシカルボニル基等)で置換されてもよい。
このように形成された-C(CF)(OH)-CF-も、酸基として好ましい。また、フッ素原子の1つ以上がフッ素原子以外の基に置換されて、-C(CF)(OH)-CF-を含む環を形成してもよい。
酸基を有する繰り返し単位は、上述の酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有する繰り返し単位、及び、後述するラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であるのが好ましい。
酸基を有する繰り返し単位は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい。
酸基を有する繰り返し単位としては、式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
は、水素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基を表す。
フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基としては、-L-Rで表される基が好ましい。Lは、単結合又はエステル基を表す。Rは、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。
は、単結合又はエステル基を表す。
は、(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基、又は、(n+m+1)価の脂環式炭化水素環基を表す。芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環基、及び、ナフタレン環基が挙げられる。脂環式炭化水素環基としては、単環であっても、多環であってもよく、例えば、シクロアルキル環基が挙げられる。
は、水酸基、又は、フッ素化アルコール基(好ましくは、ヘキサフルオロイソプロパノール基)を表す。なお、Rが水酸基の場合、Lは(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
は、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子が挙げられる。
mは、1以上の整数を表す。mは、1~3の整数が好ましく、1~2の整数が好ましい。
nは、0又は1以上の整数を表す。nは、1~4の整数が好ましい。
なお、(n+m+1)は、1~5の整数が好ましい。
酸基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(I)で表される繰り返し単位も好ましい。
一般式(I)中、
41、R42、及び、R43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、-COO-、又は、-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以下のアルキル基が更に好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。なかでも、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の炭素数3~8個で単環型のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、及び、R43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基が挙げられる。置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及び、アントラセニレン基等の炭素数6~18のアリーレン基、又は、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、及び、チアゾール環等のヘテロ環を含む2価の芳香環基が好ましい。なお、上記芳香環基は、置換基を有していてもよい。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n-1)個の任意の水素原子を除してなる基が挙げられる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基、及び、(n+1)価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、一般式(I)におけるR41、R42、及び、R43で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及び、ブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
により表される-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。
としては、単結合、-COO-、又は、-CONH-が好ましく、単結合、又は-COO-がより好ましい。
におけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及び、オクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい。
Arとしては、炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、ビフェニレン環基がより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。Arは、ベンゼン環基であることが好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(1)中、
Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又は、シアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、又は、アリールオキシカルボニル基を表し、複数個ある場合には同じであっても異なっていてもよい。複数のRを有する場合には、互いに共同して環を形成していてもよい。Rとしては水素原子が好ましい。
aは1~3の整数を表す。
bは0~(5-a)の整数を表す。
なかでも、レジスト組成物が含む樹脂は、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。
ヒドロキシスチレン系繰り返し単位としては、例えば、上記一般式(1)において、Aが水素原子を表す繰り返し単位が挙げられる。
以下、酸基を有する繰り返し単位を以下に例示する。式中、aは1又は2を表す。
なお、上記繰り返し単位のなかでも、以下に具体的に記載する繰り返し単位が好ましい。式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは2又は3を表す。
酸基を有する繰り返し単位(好ましくはヒドロキシスチレン系繰り返し単位)の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5モル%以上が好ましく、10モル%以上が好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更に好ましい。
≪フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、上述した≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫、及び、≪酸基を有する繰り返し単位≫とは別に、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位を有していてもよい。また、ここでいう≪フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位≫は、後述の≪ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位≫、及び、≪光酸発生基を有する繰り返し単位≫等の、A群に属する他の種類の繰り返し単位とは異なるのが好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位としては、式(C)で表される繰り返し単位が好ましい。
は、単結合、又は、エステル基を表す。
は、水素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。
10は、水素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位を以下に例示する。
フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、その上限値としては、50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更に好ましい。
なお、上述したように、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位には、≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫、及び、≪酸基を有する繰り返し単位≫は含まれないことから、上記フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量も、≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫、及び、≪酸基を有する繰り返し単位≫を除いたフッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量を意図する。
樹脂(A)の繰り返し単位のうち、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含む繰り返し単位の合計含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上が更に好ましい。上限値は特に制限されないが、例えば、100モル%以下である。
なお、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含む繰り返し単位としては、例えば、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、かつ、酸分解性基を有する繰り返し単位、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、かつ、酸基を有する繰り返し単位、及び、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位が挙げられる。
≪ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、ラクトン基、スルトン基、及び、カーボネート基からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位(以下、総称して「ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位」ともいう。)を有していてもよい。
ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位は、ヘキサフルオロプロパノール基等の酸基を有さないのも好ましい。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればよい。ラクトン構造又はスルトン構造は、5~7員環ラクトン構造又は5~7員環スルトン構造が好ましい。なかでも、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5~7員環ラクトン構造に他の環構造が縮環しているもの、又は、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5~7員環スルトン構造に他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。
樹脂(A)は、下記一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、下記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造の環員原子から、水素原子を1つ以上引き抜いてなるラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
また、ラクトン基又はスルトン基が主鎖に直接結合していてもよい。例えば、ラクトン基又はスルトン基の環員原子が、樹脂(A)の主鎖を構成してもよい。
上記ラクトン構造又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び、酸分解性基等が挙げられる。n2は、0~4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRbは、異なっていてもよく、また、複数存在するRb同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
一般式(AI)中、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1~4のアルキル基を表す。
Rbのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、及び、ハロゲン原子が挙げられる。
Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。Rbは、水素原子又はメチル基が好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又は、これらを組み合わせた2価の基を表す。なかでも、単結合、又は、-Ab-CO-で表される連結基が好ましい。Abは、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、又は、ノルボルニレン基が好ましい。
Vは、一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造の環員原子から水素原子を1つ引き抜いてなる基、又は、一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造の環員原子から水素原子を1つ引き抜いてなる基を表す。
ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位に、光学異性体が存在する場合、いずれの光学異性体を使用してもよい。また、1種の光学異性体を単独で使用しても、複数の光学異性体を混合して使用してもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)は90以上が好ましく、95以上がより好ましい。
カーボネート基としては、環状炭酸エステル基が好ましい。
環状炭酸エステル基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(A-1)中、R は、水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
nは0以上の整数を表す。
は、置換基を表す。nが2以上の場合、複数存在するR は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。上記2価の連結基としては、アルキレン基、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又は、これらを組み合わせた2価の基が好ましい。
Zは、式中の-O-CO-O-で表される基と共に単環又は多環を形成する原子団を表す。
ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位を以下に例示する。
ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、その上限値は特に制限されないが、65モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下が更に好ましく、20モル%以下が特により好ましい。
≪光酸発生基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、上記以外の繰り返し単位として、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(以下、「光酸発生基」ともいう。)を有する繰り返し単位を有していてもよい。
この場合、この光酸発生基を有する繰り返し単位が、後述する活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう。)にあたると考えることができる。
このような繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
41は、水素原子又はメチル基を表す。L41は、単結合、又は、2価の連結基を表す。L42は、2価の連結基を表す。R40は、活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生させる構造部位を表す。
光酸発生基を有する繰り返し単位を以下に例示する。
そのほか、一般式(4)で表される繰り返し単位としては、例えば、特開2014-041327号公報の段落[0094]~[0105]に記載された繰り返し単位が挙げられる。
光酸発生基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
≪一般式(V-1)又は下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位≫
樹脂(A)は、下記一般式(V-1)、又は、下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
下記一般式(V-1)、及び、下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位は上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であるのが好ましい。
式中、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR又は-COOR:Rは、炭素数1~6のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。アルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が好ましい。
は、0~6の整数を表す。
は、0~4の整数を表す。
は、メチレン基、酸素原子、又は、硫黄原子である。
一般式(V-1)又は(V-2)で表される繰り返し単位を以下に例示する。
≪主鎖の運動性を低下させるための繰り返し単位≫
樹脂(A)は、発生酸の過剰な拡散又は現像時のパターン崩壊を抑制できる観点から、ガラス転移温度(Tg)が高い方が好ましい。Tgは、90℃より大きいことが好ましく、100℃より大きいことがより好ましく、110℃より大きいことが更に好ましく、125℃より大きいことが特に好ましい。なお、過度な高Tg化は現像液への溶解速度低下を招くため、Tgは400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。
なお、本明細書において、樹脂(A)等のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、以下の方法で算出する。まず、ポリマー中に含まれる各繰り返し単位のみからなるホモポリマーのTgを、Bicerano法によりそれぞれ算出する。以後、算出されたTgを、「繰り返し単位のTg」という。次に、ポリマー中の全繰り返し単位に対する、各繰り返し単位の質量割合(%)を算出する。次に、Foxの式(Materials Letters 62(2008)3152等に記載)を使用して各質量割合におけるTgを算出して、それらを総和して、ポリマーのTg(℃)とする。
Bicerano法はPrediction of polymer properties, Marcel Dekker Inc, New York(1993)等に記載されている。またBicerano法によるTgの算出は、ポリマーの物性概算ソフトウェアMDL Polymer(MDL Information Systems,
Inc.)を使用して行うことができる。
樹脂(A)のTgを大きくする(好ましくは、Tgを90℃超とする)には、樹脂(A)の主鎖の運動性を低下させることが好ましい。樹脂(A)の主鎖の運動性を低下させる方法は、以下の(a)~(e)の方法が挙げられる。
(a)主鎖への嵩高い置換基の導入
(b)主鎖への複数の置換基の導入
(c)主鎖近傍への樹脂(A)間の相互作用を誘発する置換基の導入
(d)環状構造での主鎖形成
(e)主鎖への環状構造の連結
なお、樹脂(A)は、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位の種類は特に制限されず、Bicerano法により算出されるホモポリマーのTgが130℃以上である繰り返し単位であればよい。なお、後述する式(A)~式(E)で表される繰り返し単位中の官能基の種類によっては、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位に該当する。
(式(A)で表される繰り返し単位)
上記(a)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(A)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
式(A)、Rは、多環構造を有する基を表す。Rは、水素原子、メチル基、又は、エチル基を表す。多環構造を有する基とは、複数の環構造を有する基であり、複数の環構造は縮合していても、縮合していなくてもよい。
式(A)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
上記式中、Rは、水素原子、メチル基、又は、エチル基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’:R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換基を有してもよい。また、Raで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
また、R’及びR’’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’:R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’及びR’’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、―COO-、-CO-、-O-、-S―、-SO-、-SO-、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。
m及びnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。m及びnの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
(式(B)で表される繰り返し単位)
上記(b)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(B)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rb1~Rb4のうち少なくとも2つ以上が有機基を表す。
また、有機基の少なくとも1つが、繰り返し単位中の主鎖に直接環構造が連結している基である場合、他の有機基の種類は特に制限されない。
また、有機基のいずれも繰り返し単位中の主鎖に直接環構造が連結している基ではない場合、有機基の少なくとも2つ以上は、水素原子を除く構成原子数が3つ以上である置換基である。
式(B)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等の有機基が挙げられる。
R’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換基を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
(式(C)で表される繰り返し単位)
上記(c)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(C)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つが、主鎖炭素から原子数3以内に水素結合性の水素原子を有する基である。なかでも、樹脂(A)の主鎖間の相互作用を誘発する上で、原子数2以内(より主鎖近傍側)に水素結合性の水素原子を有することが好ましい。
式(C)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
上記式中、Rは有機基を表す。有機基としては、置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、及び、エステル基(-OCOR又は-COOR:Rは、炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)等が挙げられる。
R’は、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。なお、有機基中の水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
(式(D)で表される繰り返し単位)
上記(d)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(D)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
式(D)中、「cylic」は、環状構造で主鎖を形成している基を表す。環の構成原子数は特に制限されない。
式(D)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換基を有してもよい。また、Rで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
上記式中、R’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は、炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換基を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
(式(E)で表される繰り返し単位)
上記(e)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(E)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
式(E)中、Reは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。
「cylic」は、主鎖の炭素原子を含む環状基である。環状基に含まれる原子数は特に制限されない。
式(E)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換基を有してもよい。また、Rで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換基を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
また、式(E-2)、式(E-4)、式(E-6)、及び、式(E-8)中、2つRは互いに結合して環を形成していてもよい。
式(E)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、60モル%以下が好ましく55モル%以下がより好ましい。
≪ラクトン基、スルトン基、カーボネート基、水酸基、シアノ基、及び、アルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、ラクトン基、スルトン基、カーボネート基、水酸基、シアノ基、及び、アルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)が有するラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位としては、上述した≪ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位≫で説明した繰り返し単位が挙げられる。好ましい含有量も上述した≪ラクトン基、スルトン基、又は、カーボネート基を有する繰り返し単位≫で説明した通りである。
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)~(AIId)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(AIIa)~(AIId)において、
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、又は、ヒドロキメチル基を表す。
2c~R4cは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は、シアノ基を表す。ただし、R2c~R4cのうちの少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c~R4cのうち、1つ又は2つが水酸基で、残りが水素原子である。より好ましくは、R2c~R4cのうち、2つが水酸基で、残りが水素原子である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
樹脂(A)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、及び、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。樹脂(A)がアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含むことにより、コンタクトホール用途での解像性が増す。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、又は、連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位が挙げられる。なお、連結基は、単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位が好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、0モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましい。その上限値としては、20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、RxはH、CH、CHOH、又は、CFを表す。
ラクトン基、水酸基、シアノ基、及び、アルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位として、ラクトン基、水酸基、シアノ基、及び、アルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも2つを有する繰り返し単位が好ましく、シアノ基とラクトン基を有する繰り返し単位がより好ましく、一般式(LC1-4)で表されるラクトン構造にシアノ基が置換した構造を有する繰り返し単位が更に好ましい。
≪脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位≫
樹脂(A)は、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、又は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位等が挙げられる。
≪水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位≫
樹脂(A)は、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
一般式(III)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基、又は、-CH-O-Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基、又は、アシル基を表す。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基、及び、多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3~12(より好ましくは炭素数3~7)のシクロアルキル基、又は、炭素数3~12のシクロアルケニル基が挙げられる。
多環式炭化水素基としては、環集合炭化水素基、及び、架橋環式炭化水素基が挙げられる。
架橋環式炭化水素環としては、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、及び、4環式炭化水素環等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環としては、5~8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
架橋環式炭化水素基として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、又は、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカニル基が好ましく、ノルボニル基又はアダマンチル基がより好ましい。
脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、及び、保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、又は、フッ素原子が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、又は、t-ブチル基が好ましい。
上記アルキル基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、又は、保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
保護基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、及び、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
置換メチル基としては、メトキシメチル基、メトキシチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t-ブトキシメチル基、又は、2-メトキシエトキシメチル基が好ましい。
置換エチル基としては、1-エトキシエチル基、又は、1-メチル-1-メトキシエチル基が好ましい。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、及び、ピバロイル基等の炭素数1~6の脂肪族アシル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基が好ましい。
水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0~40モル%が好ましく、0~20モル%がより好ましい。
一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又は、CFを表す。
≪その他の繰り返し単位≫
更に、樹脂(A)は、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位を有してもよい。
例えば樹脂(A)は、オキサチアン環基を有する繰り返し単位、オキサゾロン環基を有する繰り返し単位、ジオキサン環基を有する繰り返し単位、及び、ヒダントイン環基を有する繰り返し単位からなる群から選択される繰り返し単位を有していてもよい。
このような繰り返し単位を以下に例示する。
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性、及び、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有していてもよい。
樹脂(A)としては、(特に、組成物がArF用途で用いられる場合)繰り返し単位の全てが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されるのも好ましい。この場合、繰り返し単位の全てがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位の全てがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位の全てがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも使用でき、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成できる。
GPC法によりポリスチレン換算値として、樹脂(A)の重量平均分子量は、1000~200000が好ましく、3000~20000がより好ましく、5000~15000が更に好ましい。樹脂(A)の重量平均分子量を、1000~200000とすることにより、耐熱性及びドライエッチング耐性の劣化をより一層抑制できる。また、現像性の劣化、及び、粘度が高くなって製膜性が劣化することもより一層抑制できる。
樹脂(A)の分散度(分子量分布)は、通常1~5であり、1~3が好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.2~2.0が更に好ましい。分散度が小さいものほど、解像度、及び、レジスト形状がより優れ、更に、レジストパターンの側壁がよりスムーズであり、ラフネス性にもより優れる。
レジスト組成物において、樹脂(A)の含有量は、組成物の全固形分に対して、50~99.9質量%が好ましく、60~99.0質量%がより好ましい。
なお、固形分とは、組成物中の溶剤を除いた成分を意図し、溶剤以外の成分であれば液状成分であっても固形分とみなす。
また、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
<活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(光酸発生剤)>
化学増幅型レジスト組成物は、活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤(PAG:Photo Acid Generator)」ともいう。)を含むことが好ましい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であっても良く、重合体の一部に組み込まれた形態あってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
また、光酸発生剤が低分子化合物の形態である場合、光酸発生剤の分子量は、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、樹脂(A)の一部に組み込まれても良く、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
本発明において、光酸発生剤が、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤としては、公知のものであれば特に制限されないが、活性光線又は放射線、好ましくは電子線又は極紫外線の照射により、有機酸、例えば、スルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド、又は、トリス(アルキルスルホニル)メチドの少なくともいずれかを発生する化合物が好ましい。
より好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、及び、(ZIII)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202、及び、R203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
201、R202、及び、R203としての有機基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
また、R201~R203のうち、2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203のうち、2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、及び、ペンチレン基)が挙げられる。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、及び、カンファースルホン酸アニオン等)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、及び、アラルキルカルボン酸アニオン等)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン、及び、脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1~30の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、及び、炭素数3~30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン、及び、芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、炭素数6~14のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、トリル基、及び、ナフチル基等が挙げられる。
上記アルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基は、置換基を有していてもよい。具体例としては、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~7)、アシル基(好ましくは炭素数2~12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1~15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6~20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7~20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10~20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5~20)、及び、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8~20)等が挙げられる。
各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1~15)が挙げられる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、炭素数7~12のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及び、ナフチルブチル基等が挙げられる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンが挙げられる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、又は、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、及び、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等が挙げられ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等が挙げられる。
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及び、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、パーフルオロ脂肪族スルホン酸アニオン(好ましくは炭素数4~8)、又は、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオンがより好ましく、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、パーフルオロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、又は、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンが更に好ましい。
酸強度又は感度の観点から、発生酸のpKaは、-1以下が好ましい。
また、非求核性アニオンとしては、以下の一般式(AN1)で表されるアニオンも好ましい態様として挙げられる。
式中、Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状の有機基を表す。
xは1~20の整数を表し、yは0~10の整数を表し、zは0~10の整数を表す。
一般式(AN1)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基の炭素数としては、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfとしては、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基が好ましい。Xfの具体例としては、フッ素原子、CF、C、C、C、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、及び、CHCHが挙げられる。なかでも、フッ素原子又はCFが好ましい。
特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
及びRのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。なかでも、R及びRのアルキル基は、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基が好ましい。R及びRの置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、及び、CHCHが挙げられる。なかでも、CFが好ましい。
及びRとしては、フッ素原子又はCFが好ましい。
xは1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
yは0~4が好ましく、0がより好ましい。
zは0~5が好ましく、0~3がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に制限されず、―COO-、-OCO-、-CO-、-O-、-S―、-SO―、―SO-、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。なかでも、総炭素数12以下の連結基が好ましい。また、―COO-、-OCO-、-CO-、又は、-O-が好ましく、―COO-、又は、-OCO-がより好ましい。
上記一般式(AN1)において、A以外の部分構造の組み合わせとして、SO3--CF-CH-OCO-、SO3--CF-CHF-CH-OCO-、SO3--CF-COO-、SO3--CF-CF-CH-、及び、SO3--CF-CH(CF)-OCO-が好ましい。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に制限されず、脂環基、アリール基、及び、複素環基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、又は、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、又は、アダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が、露光後加熱工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(mask error enhancement factor)向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、及び、アントラセン環が挙げられる。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及び、ピリジン環由来のものが挙げられる。なかでも、フラン環、チオフェン環、又は、ピリジン環由来のものが好ましい。
また、環状の有機基としては、ラクトン構造も挙げられ、具体例としては、下記一般式(LC1-1)~(LC1-17)で表されるラクトン構造が挙げられる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、アルキル基(直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれであっても良く、炭素数1~12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、及び、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3~20が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及び、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
なお、上記置換基は、上記(LC1-1)~(LC1-17)においてはRbに相当する。また、上記(LC1-1)~(LC1-17)において、n2は0~4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRbは、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(ZI)において、R201、R202、及び、R203の有機基としては、アリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基等が挙げられる。
201、R202、及び、R203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、3つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の他に、インドール残基、及び、ピロール残基等のヘテロアリール基も可能である。R201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、又は、n-ブチル基等が好ましい。シクロアルキル基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又は、シクロへプチル基等が好ましい。これらの基は、更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~7)、アシル基(好ましくは炭素数2~12)、及び、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~7)等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
次に、一般式(ZII)、及び、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、及び、(ZIII)中、R204~R207は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。
204~R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、及び、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及び、ベンゾチオフェン等が挙げられる。
204~R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、ペンチル基)、及び、炭素数3~10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基)が好ましい。
204~R207のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204~R207のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~15)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、及び、フェニルチオ基等が挙げられる。
また、一般式(ZII)において、Zは非求核性アニオンを表す。具体的には、一般式(ZI)においてZとして説明したものと同じであり、好ましい形態も同じである。
以下、一般式(ZI)~(ZIII)の具体例を示すが、これに制限されない。
本発明においては、上記光酸発生剤は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し解像性を良好にする観点から、電子線又は極紫外線の照射により、体積130Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であって、体積190Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが更に好ましく、体積400Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが特に好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は、2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることが更に好ましい。上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を使用して求めた。まず、各例に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算することができる。なお、1Åは、0.1nmを意味する。
本発明においては、活性光線又は放射線の照射により以下に例示する酸を発生する光酸発生剤が好ましい。なお、例の一部には、体積の計算値を付記している(単位Å)。なお、ここで求めた計算値は、アニオン部にプロトンが結合した酸の体積値である。
光酸発生剤としては、特開2014-41328号公報の段落[0368]~[0377]、特開2013-228681号公報の段落[0240]~[0262](対応する米国特許出願公開第2015/004533号公報の段落[0339])が援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、好ましい具体例として以下の化合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
光酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤のレジスト組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1~50質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、8~40質量%が更に好ましい。特に、電子線や極紫外線露光の際に高感度化及び高解像性を両立するには光酸発生剤の含有率は高い方が好ましい。上記観点からは、10~40質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましい。
<溶剤>
上述した各成分を溶解させてレジスト組成物を調製する際には、溶剤を使用できる。使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、炭素数4~10の環状ラクトン、炭素数4~10の、環を含んでいてもよいモノケトン化合物、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及び、エチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、及び、乳酸ブチルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、及び、3-メトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
炭素数4~10の環状ラクトンとしては、例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、β-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-オクタノイックラクトン、及び、α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンが挙げられる。
炭素数4~10の、環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2-ブタノン、3-メチルブタノン、ピナコロン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、2-メチル-3-ペンタノン、4,4-ジメチル-2-ペンタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、5-メチル-3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、3-ノナノン、5-ノナノン、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、5-ヘキセン-2-オン、3-ペンテン-2-オン、シクロペンタノン、2-メチルシクロペンタノン、3-メチルシクロペンタノン、2,2-ジメチルシクロペンタノン、2,4,4-トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、4-エチルシクロヘキサノン、2,2-ジメチルシクロヘキサノン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6-トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2-メチルシクロヘプタノン、及び、3-メチルシクロヘプタノンが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ブチレンカーボネートが挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル、酢酸-2-(2-エトキシエトキシ)エチル、酢酸-3-メトキシ-3-メチルブチル、及び、酢酸-1-メトキシ-2-プロピルが挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、及び、ピルビン酸プロピルが挙げられる。
なかでも、溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が好ましい。具体的には、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸-2-エトキシエチル、酢酸-2-(2-エトキシエトキシ)エチル、及び、プロピレンカーボネートが挙げられる。
上記溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明においては、有機溶剤としては、構造中に水酸基を含む溶剤と、水酸基を含まない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含む溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及び、乳酸エチル等が挙げられる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又は、乳酸エチルが好ましい。
水酸基を含まない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、及び、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、又は、酢酸ブチルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、又は、2-ヘプタノンがより好ましい。
水酸基を含まない溶剤に対する、水酸基を含む溶剤の含有量の質量比[水酸基を含む溶剤の含有質量/水酸基を含まない溶剤の含有質量]は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~60/40が更に好ましい。また、塗布均一性の点で、混合溶剤中の水酸基を含まない溶剤の質量は、50質量%以上が好ましい。
上記溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤であることが好ましく、γ―ブチルラクトンと酢酸ブチルの組み合わせがより好ましい。
溶剤としては、例えば、特開2014-219664号公報の段落[0013]~[0029]に記載の溶媒も使用できる。
<酸拡散制御剤>
レジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、酸拡散制御剤を含むことが好ましい。
酸拡散制御剤としては、例えば、塩基性化合物が挙げられる。
塩基性化合物としては、例えば、下記式(A1)~(E1)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
一般式(A1)及び(E1)中のR200、R201、及び、R202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又は、アリール基(好ましくは炭素数6~20)を表す。なお、R201及びR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
上記置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
203、R204、R205、及び、R206は、同一でも異なってもよく、炭素数1~20のアルキル基を表す。
一般式(A1)及び(E1)中のアルキル基は、無置換であることが好ましい。
一般式(A1)~(E1)で示される構造を有する化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンの他、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、及び、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等が挙げられる。
イミダゾール構造を有する化合物としては、イミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、及び、ベンズイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、及び、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、及び、2-オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシドが挙げられる。具体的には、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t-ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t-ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、及び、2-オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。
オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としては、オニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えば、アセテート、アダマンタン-1-カルボキシレート、及び、パーフルオロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n-ブチル)アミン、及び、トリ(n-オクチル)アミン等が挙げられる。
アニリン化合物としては、2,6-ジイソプロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジブチルアニリン、及び、N,N-ジヘキシルアニリン等が挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等が挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等が挙げられる。
塩基性化合物としては、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、及び、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物も挙げられる。
アミン化合物は、1級、2級、及び、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1~20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又は、アリール基(好ましくは炭素数6~12)が窒素原子に結合していてもよい。
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上であり、3~9個が好ましく、4~6個がより好ましい。
なかでも、オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基(-CHCHO-)、又は、オキシプロピレン基(-CH(CH)CHO-若しくは-CHCHCHO-)が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、又は、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1~20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又は、アリール基(好ましくは炭素数6~12)が窒素原子に結合していてもよい。
アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上であり、3~9個が好ましく、4~6個がより好ましい。なかでも、オキシアルキレン基としては、基(-CHCHO-)、又は、オキシプロピレン基(-CH(CH)CHO-若しくはCHCHCHO-)が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、及び、フォスフェート等が挙げられる。なかでも、ハロゲン原子又はスルホネートが好ましい。ハロゲン原子としては、クロライド、ブロマイド、及び、アイオダイドが好ましい。スルホネートとしては、炭素数1~20の有機スルホネートが好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1~20のアルキルスルホネート、及び、アリールスルホネートが好ましい。アルキルスルホネートのアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、及び、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、及び、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、及び、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、及び、アントラセン環は、置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、又は、炭素数3~6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、及び、シクロアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、及び、シクロヘキシル基等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、及び、アシルオキシ基等が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物、又は、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシルオキシ基、及び、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2~6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1~5の範囲でいずれであってもよい。
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上であり、3~9個が好ましく、4~6個がより好ましい。なかでも、オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基(-CHCHO-)、又は、オキシプロピレン基(-CH(CH)CHO-若しくは-CHCHCHO-)が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、フェノキシ基を有する1級又は2級アミンと、ハロアルキルエーテルとを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出によって得られる。又は、1級又は2級アミンと、末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルとを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出によって得られる。
(プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA))
本発明に係る組成物は、酸拡散制御剤として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう。〕を更に含んでいてもよい。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基、又は、電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記一般式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1~3級アミン、ピリジン、イミダゾール、及び、ピラジン構造等が挙げられる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここで、プロトンアクセプター性の低下、消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
化合物(PA)の具体例としては、例えば、下記化合物が挙げられる。更に、化合物(PA)の具体例としては、例えば、特開2014-41328号公報の段落[0421]~[0428]、及び、特開2014-134686号公報の段落[0108]~[0116]に記載されたものを援用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
酸拡散制御剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
酸拡散制御剤の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.001~10質量%が好ましく、0.005~5質量%がより好ましい。
光酸発生剤と酸拡散制御剤の組成物中の使用割合は、光酸発生剤/酸拡散制御剤(モル比)=2.5~300であることが好ましい。本発明の効果がより優れる点で、モル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。光酸発生剤/酸拡散制御剤(モル比)は、5.0~200がより好ましく、7.0~150が更に好ましい。
酸拡散制御剤としては、例えば、特開2013-11833号公報の段落[0140]~[0144]に記載の化合物(アミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、及び、含窒素複素環化合物等)を使用できる。
<疎水性樹脂>
レジスト組成物は、上記樹脂(A)とは別に疎水性樹脂を含んでいてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角の制御、及び、アウトガスの抑制等が挙げられる。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、フッ素原子、珪素原子、及び、樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することが更に好ましい。また、上記疎水性樹脂は、炭素数5以上の炭化水素基を含むことが好ましい。これらの基は樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、及び、ナフチル基等のアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、US2012/0251948A1の段落[0519]に例示されたものを挙げることができる。
また、上記したように、疎水性樹脂は、側鎖部分にCH部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂中の側鎖部分が有するCH部分構造には、エチル基、及び、プロピル基等が有するCH部分構造を包含するものである。
一方、疎水性樹脂の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα-メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH部分構造に包含されないものとする。
疎水性樹脂に関しては、特開2014-010245号公報の段落[0348]~[0415]の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
なお、疎水性樹脂としてはこの他にも特開2011-248019号公報、特開2010-175859号公報、及び/又は、特開2012-032544号公報に記載の樹脂も好ましく使用できる。
<界面活性剤>
レジスト組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含むことにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(DIC(株)製);サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製);GF-300若しくはGF-150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS-393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX-204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を使用してもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として使用できる。
また、界面活性剤は、上記に示す公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)、又は、オリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を使用して合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として使用してもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002-90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号の段落[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
レジスト組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、組成物の全固形分に対して、0~2質量%が好ましく、0.0001~2質量%がより好ましく、0.0005~1質量%が更に好ましい。
<その他の添加剤>
化学増幅型レジスト組成物は、溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は、現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又は、カルボキシル基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
レジスト組成物は、溶解阻止化合物を更に含んでいてもよい。
ここで「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解して有機系現像液中での溶解度が減少する、分子量3000以下の化合物である。
〔処理液の製造方法〕
本発明の処理液は、金属成分、及び、沸点300℃以上の有機物等の含有量を所望の範囲内にするために、以下の精製工程を実施することが好ましい。
<精製工程>
精製工程は、いずれのタイミングで実施されてもよい。精製工程としては、例えば、以下の精製処理I~IVが挙げられる。
すなわち、精製処理Iは、処理液を組成する有機溶剤の製造前において、上記有機溶剤の製造に用いられる原材料に対して精製を行う処理である。
また、精製処理IIは、処理液を組成する有機溶剤の製造時及び/又は製造後に、これの精製を行う処理である。
また、精製処理IIIは、処理液の製造時において、2種以上の有機溶剤を混合する前に、成分毎に精製を行う処理である。
また、精製処理IVは、処理液の製造時において、2種以上の有機溶剤を混合した後に、混合物の精製を行う処理である。
上述した通り、目的の処理液を得るには精製を行うことが好ましい。精製は個々の有機溶剤を精製した後に混合しても良いし、各有機溶剤を混合した後に精製しても良い。特に精製した有機溶剤をブレンドする方法が、有機溶剤のブレンド比を一定に製造できる点で好ましい。
精製処理I~IVは、それぞれ、1回のみ実施されてもよいし、2回以上実施されてもよい。
また、使用する有機溶剤は、高純度グレード品(特に、上述した有機不純物、金属不純物、及び、水等の含有量が少ないもの)を購入し、更に、それらに対して後述する精製処理を行って使用することができる。
以下において、精製工程の一例を示す。以下の説明においては、精製工程における精製対象を、単に「被精製液」と総称する。
精製工程として、例えば、被精製液のイオン交換処理を行う第一イオン交換処理、第一イオン交換処理後の被精製液の脱水を行う脱水処理、脱水処理後の被精製液の蒸留を行う蒸留処理、蒸留処理後の被精製液のイオン交換処理を行う第二イオン交換処理、及び、第二イオン交換処理後の被精製液の有機不純物除去を行う有機不純物除去処理、をこの順に実施する態様が挙げられる。なお、以下においては、上記の精製工程を一例として説明するが、本発明の処理液を調製する際の精製方法はこれに制限されない。例えば、まず、被精製液の脱水を行う脱水処理を実施し、脱水処理後の被精製液の蒸留を行う蒸留処理、被精製液のイオン交換処理を行う第一イオン交換処理、及び、第二イオン交換処理後の被精製液の有機不純物除去を行う有機不純物除去処理、をこの順に実施する態様であってもよい。
第一イオン交換処理によれば、被精製液中のイオン成分(例えば、金属成分等)を除去することができる。
第一イオン交換処理では、イオン交換樹脂等の第一イオン交換手段が用いられる。イオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂を単床で設けたもの、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを複床で設けたもの、及び、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混床で設けたもの、のいずれであってもよい。
また、イオン交換樹脂としては、イオン交換樹脂からの水分溶出を低減させるために、極力水分を含まない乾燥樹脂を使用することが好ましい。このような乾燥樹脂としては、市販品を使用でき、オルガノ社製の15JS-HG・DRY(商品名、乾燥カチオン交換樹脂、水分2%以下)、及び、MSPS2-1・DRY(商品名、混床樹脂、水分10%以下)等が挙げられる。
脱水処理によれば、被精製液中の水を除去できる。また、脱水処理において後述するゼオライト(特に、ユニオン昭和社製のモレキュラーシーブ(商品名)等)を使用した場合には、オレフィン類も除去可能である。
脱水処理に用いられる脱水手段としては、脱水膜、被精製液に不溶である水吸着剤、乾燥した不活性ガスを用いた曝気置換装置、及び、加熱又は真空加熱装置等が挙げられる。
脱水膜を用いる場合には、浸透気化(PV)又は蒸気透過(VP)による膜脱水を行う。脱水膜は、例えば、透水性膜モジュールとして構成されるものである。脱水膜としては、ポリイミド系、セルロース系、ポリビニルアルコール系等の高分子系、又は、ゼオライト等の無機系の素材からなる膜を使用できる。
水吸着剤は、被精製液に添加して用いられる。水吸着剤としては、ゼオライト、五酸化二リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸、及び、ソーダ石灰等が挙げられる。
蒸留処理によれば、脱水膜から溶出した不純物、第一イオン交換処理では除去しにくい被精製液中の金属成分、微粒子(金属成分が微粒子である場合には、これも含む)、及び、被精製液中の水を除去できる。
蒸留手段は、例えば、単段の蒸留装置によって構成される。蒸留処理によって蒸留装置内等で不純物が濃縮するが、この濃縮された不純物の一部が流出することを防ぐために、蒸留手段には、不純物が濃縮されている液の一部を定期的に、又は、定常的に外部に排出する手段を設けることが好ましい。
第二イオン交換処理によれば、蒸留装置内で蓄積した不純物が流出した場合にこれを除去できる。また、送液ラインとして利用されるステンレス鋼(SUS)等の配管からの溶出物を除去できる。
第二イオン交換手段としては、塔状の容器内にイオン交換樹脂を充填したもの、及び、イオン吸着膜が挙げられる。なかでも、高流速での処理が可能である点からイオン吸着膜が好ましい。
イオン吸着膜としては、ネオセプタ(商品名、アストム社製)が挙げられる。
上述した各処理は、密閉状態で、かつ、被精製液に水の混入する可能性が低い不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
また、各処理は、水分の混入を極力抑えるために、露点温度が-70℃以下の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。-70℃以下の不活性ガス雰囲気下では、気相中の水分濃度が2質量ppm以下であるため、被精製液中に水分が混入する可能性が低くなるためである。
精製工程としては、上記の処理の他に、国際公開第WO2012/043496号に記載されている、炭化ケイ素を用いた金属成分の吸着精製処理等が挙げられる。
有機不純物除去処理によれば、蒸留処理後の被精製液中に含まれ、蒸留処理では除去しにくい高沸点有機不純物等(沸点300℃以上の有機物も含む)を除去できる。
有機不純物除去手段としては、例えば、有機不純物を吸着可能な有機不純物吸着フィルタを備えた有機不純物吸着部材により実施することができる。なお、有機不純物吸着部材は、通常、上記有機不純物吸着フィルタと上記不純物吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
有機不純物吸着フィルタは、有機不純物の吸着性能が向上するという観点から、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有すること(換言すると、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格によって表面が修飾されていること)が好ましい。なお、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有する、とは、後述する有機不純物吸着フィルタを構成する基材の表面に上記有機不純物と相互作用可能な有機物骨格が付与されている形態が一例として挙げられる。
有機不純物と相互作用可能な有機物骨格としては、例えば、有機不純物と反応して有機不純物を有機不純物吸着フィルタに捕捉できるような化学構造が挙げられる。より具体的には、有機不純物として、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、又は、フタル酸ジブチルを含む場合には、有機物骨格としては、ベンゼン環骨格が挙げられる。また、有機不純物としてエチレンプロピレンゴムを含む場合には、有機物骨格としては、アルキレン骨格が挙げられる。また、有機不純物としてn-長鎖アルキルアルコール(溶媒として1-長鎖アルキルアルコールを用いた場合の構造異性体)を含む場合には、有機物骨格としては、アルキル基が挙げられる。
有機不純物吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、活性炭を担持したセルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び、フッ素樹脂等が挙げられる。
また、有機不純物除去フィルタには、特開2002-273123号公報及び特開2013-150979号公報に記載の活性炭を不織布に固着したフィルタも使用できる。
また、上記有機不純物除去処理は、上述したような有機不純物を吸着可能な有機不純物吸着フィルタを用いた態様に制限されず、例えば有機不純物を物理的に補足する態様であってもよい。250℃以上の比較的高い沸点を有する有機不純物は粗大である場合が多く(例えば、炭素数8以上の化合物)、このため孔径が1nm程度のフィルタを用いることで物理的に補足することも可能である。
例えば、有機不純物としてフタル酸ジオクチルを含む場合、フタル酸ジオクチルの構造は10Å(=1nm)よりも大きい。そのため、孔径が1nmの有機不純物除去フィルタを用いることで、フタル酸ジオクチルはフィルタの孔を通過できない。つまり、フタル酸ジオクチルは、フィルタによって物理的に捕捉されるので、被精製液中から除去される。
このように、有機不純物の除去は、化学的な相互作用だけでなく物理的な除去方法を適用することでも可能である。ただし、この場合には、3nm以上の孔径のフィルタが後述する「ろ過部材」として用いられ、3nm未満の孔径のフィルタが「有機不純物除去フィルタ」として用いられる。
また、精製工程は、更に、例えば、後述する精製処理V及び精製処理VIを有していてもよい。精製処理V及び精製処理VIは、いずれのタイミングで実施されてもよく、例えば、精製工程IVを実施した後等が挙げられる。
精製処理Vは、金属イオンを除去する目的で金属イオン吸着部材を用いたフィルタリング処理である。
また、精製処理VIは、粗大な粒子を除去するためのろ過処理である。
以下、精製処理V及び精製処理VIについて説明する。
精製処理VIにおいて、金属イオンの除去手段としては、金属イオン吸着フィルタを備えた金属イオン吸着部材を用いたフィルタリングがその一例として挙げられる。
金属イオン吸着部材は、金属イオン吸着フィルタを少なくとも1つ備えた構成であり、また、目的とする精製レベルに応じて金属イオン吸着フィルタを複数重ねた構成であってもよい。金属イオン吸着部材は、通常、上記金属イオン吸着フィルタと上記金属イオン吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
金属イオン吸着フィルタは、被精製液中の金属イオンを吸着する機能を備える。また、金属イオン吸着フィルタは、イオン交換可能なフィルタであることが好ましい。
ここで、吸着対象となる金属イオンとしては、特に制限されないが、半導体デバイスの欠陥の原因になりやすいという点から、Fe、Cr、Ni、及び、Pbであることが好ましい。
金属イオン吸着フィルタは、金属イオンの吸着性能が向上するという観点から、表面に酸基を有することが好ましい。酸基としては、スルホ基及びカルボキシル基等が挙げられる。
金属イオン吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び、フッ素樹脂等が挙げられる。
精製処理VIにおいて、ろ過手段としては、除粒子径が20nm以下であるフィルタを備えたろ過部材を使用して実施する態様が一例として挙げられる。被精製液が、上記フィルタを追加することにより、被精製液から粒子状の不純物を除去できる。ここで、「粒子状の不純物」としては、被精製液の製造時に使用される原料に不純物として含まれる塵、埃、有機固形物、及び、無機固形物等の粒子、並びに、被精製液の精製時に汚染物として持ち込まれる塵、埃、有機固形物、及び、無機固形物の粒子等が挙げられ、最終的に被精製液中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
また、「粒子状の不純物」には、金属原子を含むコロイド化した不純物も含まれる。金属原子としては、特に制限されないが、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn、及び、Pb(好ましくは、Fe、Cr、Ni、及び、Pb)からなる群から選択される少なくとも1種の金属原子の含有量が特に低い場合(例えば、被精製液中の上記金属原子の含有量がそれぞれ1000質量ppt以下の場合)、これらの金属原子を含む不純物がコロイド化しやすい。上記金属イオン吸着部材では、コロイド化した不純物の除去が困難になりやすい。従って、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密ろ過膜)を用いることにより、コロイド化した不純物の除去が効果的に行われる。
粒子状の不純物は、除粒子径が20nm以下であるフィルタで除去されるサイズを有し、具体的にはその直径が20nm以上の粒子である。なお、本明細書において、粒子状の不純物を「粗大粒子」ということがある。
なかでも、上記フィルタの除粒子径は、1~15nmが好ましく、1~12nmがより好ましい。除粒子径が15nm以下であることで、より微細な粒子状の不純物を除去でき、除粒子径が1nm以上であることで、被精製液のろ過効率が向上する。
ここで、除粒子径とは、フィルタが除去可能な粒子の最小サイズを意味する。例えば、フィルタの除粒子径が20nmである場合には、直径20nm以上の粒子を除去可能である。
上記フィルタの材質としては、例えば、6-ナイロン、6,6-ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び、フッ素樹脂等が挙げられる。
ろ過部材は、更に、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密ろ過膜)を備えていてもよい。被精製液中に、コロイド化した不純物、特に鉄又はアルミニウムのような金属原子を含むコロイド化した不純物以外にも微粒子が存在する場合には、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密ろ過膜)を使用してろ過する前に、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密ろ過膜)を使用して被精製液のろ過を実施することで、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密ろ過膜)のろ過効率が向上し、粗大粒子の除去性能がより向上する。
このような各処理を得て得られた被精製液を、本発明の処理液の調製に使用したり、本発明の処理液そのものとして使用できる。
なお、上述した精製工程の一例として、各処理が全て行われる場合を示したが、これに制限されず、上記各処理を単独で行ってもよいし、上記処理を複数組み合わせて行ってもよい。また、上記各処理は、1回行われてもよいし、複数回行われてもよい。
上記精製工程以外に、処理液に含まれる、沸点300℃以上の有機物、金属成分及び水の含有量を所望の範囲内にする方法としては、処理液を組成する有機溶剤の原材料、又は、処理液そのものを不純物の溶出が少ない容器に収容することも挙げられる。また、処理液の製造時の「配管」等からメタル分が溶出しないように、上記配管内壁にフッ素系樹脂のライニングを施す等の方法も挙げられる。
〔容器(収容容器)〕
本発明の処理液は、腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬、そして使用することができる。
容器としては、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。
使用可能な容器としては、具体的には、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。この容器の内壁(容器内の溶液と接触する接液部)は、非金属材料により形成されたものであることが好ましい。
非金属材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン-エチレン共重合樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、及び、フッ化ビニル樹脂(PVF)からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
特に、上記のなかでも、内壁がフッ素系樹脂である容器を用いる場合、内壁がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂である容器を用いる場合と比べて、エチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
このような内壁がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3-502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、及び、国際公開第99/46309号パンフレットの第9頁及び16頁等に記載の容器も使用できる。
なお、非金属材料の内壁とする場合、非金属材料中の有機成分の処理液への溶出が抑制されていることが好ましい。
また、容器の内壁には、上述した非金属材料の他に、石英又は金属材料(より好ましくは、電解研磨された金属材料。換言すると、電解研磨済みの金属材料)も好ましく用いられる。
上記金属材料(特に、電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料)は、クロムを金属材料全質量に対して25質量%超で含むものが好ましく、例えばステンレス鋼が挙げられる。
金属材料におけるクロムの含有量は、金属材料全質量に対して30質量%以上がより好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、一般的に90質量%以下が好ましい。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼を使用できる。
なかでも、ニッケルを8質量%以上含む合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含むオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及び、SUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、特開2015-227501号公報の段落[0011]~[0014]、及び、特開2008-264929号公報の段落[0036]~[0042]等に記載された方法を使用できる。
金属材料は、電解研磨されることにより表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっているものと推測される。そのため、電解研磨された金属材料で被覆された内壁からは、溶液中に金属成分が流出しにくいため、金属成分(金属不純物)が低減された溶液を得ることができるものと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていることが好ましい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。
なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、金属材料は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び、磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
本発明においては、上記容器と、この容器内に収容された上記処理液と、を有するものを、溶液収容体ともいう。
これらの容器は、処理液を充填する前にその内部が洗浄されることが好ましい。洗浄に用いる液体としては、本発明の処理液自体、又は、本発明の処理液に含まれる有機溶剤である場合、本発明の効果が顕著に得られる。本発明の処理液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の容器にボトリングし、輸送及び保管されてもよい。ガロン瓶はガラス材料を使用したものであってもそれ以外であってもよい。
保管における処理液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(チッソ、又はアルゴン等)で置換しておいてもよい。特に、含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送及び保管に際しては、常温でもよいが、変質を防ぐため、-20℃~20℃の範囲に温度制御してもよい。
〔クリーンルーム〕
本発明の処理液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定は、全てクリーンルームで行うことが好ましい。クリーンルームは、ISO14644-1のクリーンルーム基準を満たすことが好ましい。ISO(国際標準化機構)クラス1、ISOクラス2、ISOクラス3、及び、ISOクラス4のいずれかを満たすことが好ましく、ISOクラス1又はISOクラス2を満たすことがより好ましく、ISOクラス1を満たすことが更に好ましい。後述する実施例での処理液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定は、クラス2のクリーンルームにて行った。
〔除電工程〕
本発明の処理液若しくは処理液に含まれる有機溶剤の調製、及び、精製においては、更に除電工程を有していてもよい。除電工程は、原料、反応物、及び、精製物からなる群から選択される少なくとも1種(以下「精製物等」という。)を除電することで、精製物等の帯電電位を低減させる工程である。
除電方法としては特に制限されず、公知の除電方法を使用できる。除電方法としては、例えば、上記精製液等を導電性材料に接触させる方法が挙げられる。
上記精製液等を導電性材料に接触させる接触時間は、0.001~60秒が好ましく、0.001~1秒がより好ましく、0.01~0.1秒が更に好ましい。導電性材料としては、ステンレス鋼、金、白金、ダイヤモンド、及び、グラッシーカーボン等が挙げられる。
精製液等を導電性材料に接触させる方法としては、例えば、導電性材料からなる接地されたメッシュを管路内部に配置し、ここに精製液等を通す方法等が挙げられる。
上記除電工程は、原料供給から精製物の充填までのいずれの時点で実施されてもよく、例えば、原料供給工程、反応工程、調液工程、精製工程、ろ過工程、及び、充填工程からなる群から選択される少なくとも1種の工程の前に含まれることが好ましく、上記各工程において使用する容器に精製物等を注入する前に、除電工程を行うことがより好ましい。これにより、容器等に由来する不純物が、精製物等に混入するのを抑制することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔感活性光線又は感放射線性組成物(レジスト組成物)〕
以下に示す材料を使用して感活性光線又は感放射線性組成物(レジスト組成物)を調製した。
<樹脂(A)>
(合成例1):樹脂(A-1)の合成
2Lフラスコに、シクロヘキサノン(600g)を入れ、上記シクロヘキサノンに対して、100mL/minの流量で一時間窒素置換した。その後、重合開始剤V-601(和光純薬工業(株)製)(4.60g(0.02mol))を、上記フラスコに加え、上記フラスコの内容物の内温が80℃になるまで昇温した。
次に、4-アセトキシスチレン(48.66g(0.3mol))と、1-エチルシクロペンチルメタクリレート(109.4g(0.6mol))と、モノマー1(22.2g(0.1mol))と、重合開始剤V-601(和光純薬工業(株)製)(4.60g(0.02mol))とを、シクロヘキサノン(200g)に溶解し、モノマー溶液を調製した。
上記モノマー溶液を、上述の通り内温80℃に加熱した上記フラスコ中に6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に内温80℃で2時間反応させた。
反応溶液(上記フラスコの内容物)を室温まで冷却してから、ヘキサン(3L)中に滴下し、ポリマーを沈殿させた混合液を得た。上記混合液をろ過して、固体(ろ物)を得た。得られた固体(ろ物)をアセトン(500ml)に溶解し、再度ヘキサン(3L)中に滴下し、上述したのと同様にして再び固体(ろ物)を得た。得られた固体を減圧乾燥して、4-アセトキシスチレン/1-エチルシクロペンチルメタクリレート/モノマー1共重合体(A-1a)(160g)を得た。
反応容器中に上記で得られた共重合体(A-1a)(10g)、メタノール(40ml)、1-メトキシ-2-プロパノール(200ml)、及び、濃塩酸(1.5ml)を中身が空のフラスコに加え、反応溶液(上記フラスコの内容物)を80℃に加熱して5時間攪拌した。反応溶液を室温まで放冷してから、蒸留水(3L)中に滴下して混合液を得た。上記混合液をろ過して、固体(ろ物)を得た。得られた固体(ろ物)をアセトン(200ml)に溶解し、再度蒸留水(3L)中に滴下し、上述したのと同様にして再び固体(ろ物)を得た。得られた固体を減圧乾燥して樹脂(A-1)(8.5g)を得た。樹脂(A-1)の重量平均分子量は10800であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.55であった。
(合成例2~5):樹脂(A-2)~(A-5)の合成
用いるモノマーを変更する以外は、上記合成例1と同様の方法で、更に、樹脂(A-2)~(A-5)を合成した。樹脂中の各繰り返し単位の組成比(モル比)は、1H-NMR(Nuclear Magnetic Resonance)測定により算出した。
下記表に、レジスト組成物に使用した樹脂を示す。
表中、「組成比(モル比)」欄は、各樹脂を構成する各繰り返し単位の含有量(組成比(モル比))を示す。「構造」欄に示した各繰り返し単位の含有量が、「組成比(モル比)」欄に示した値と、左から順に対応する。
<光酸発生剤>
酸発生剤として、下記成分を使用した。
<塩基性化合物(酸拡散制御剤)>
塩基性化合物として、下記成分を使用した。
<溶剤>
溶剤として、下記成分を使用した。
C-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C-2:プロピレングリコール
C-3:乳酸エチル
C-4:シクロヘキサノン
<その他の添加剤>
その他の添加剤として、下記成分を使用した。
添加剤1:2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸
添加剤2:界面活性剤PF6320(OMNOVA(株)製)
<レジスト組成物の調製>
下記表2に示す各成分を、同表に示す配合で、同表に示す溶剤に溶解させた。得られた混合液を0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを使用してろ過して、レジスト組成物1~7を得た。
[試験]
〔簡易解像性能評価:EB露光評価:実施例1~11及び比較例1~6〕
表2に記載のレジスト組成物1~6を用い、以下の操作により、レジストパターンを形成した。レジストパターン形成条件の詳細は表3及び4に示す。
EB露光とEUV露光はいずれも露光によりレジスト膜がイオン化して二次電子が発生し、発生した二次電子によって光酸発生剤が分解して酸を発生する。そのため、EUV露光の代わりに、簡易露光評価としてEB露光を評価として用いても、EUV露光と同様の結果を再現することができる。
<パターンの作製>
(レジスト組成物の塗布及び塗布後ベーク)
6インチシリコンウエハ上に有機膜形成用組成物(製品名:AL412、Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚20nmの有機膜を形成した。その上に表2に記載のレジスト組成物を塗布し、下記表4に記載の条件でベーク(塗布後ベーク)し、膜厚60nmのレジスト膜を形成した。
(露光)
上述のようにレジスト膜を形成したウエハ(レジスト膜付きウエハ)におけるレジスト膜に、電子線照射装置((株)エリオニクス製 G100;加速電圧100keV、ビーム電流100pA)を使用して、ハーフピッチ22nmのラインアンドスペースパターン(長さ方向0.2mm、描画本数45本)を、表3に記載の各露光量で露光した。具体的には、以下に示す表3中の、それぞれのショット番号に対応する露光量で、それぞれ露光を行った。
レジスト膜に対して、各露光量で露光(ショット)して、各露光量で露光したレジスト膜をそれぞれ以降の工程に供した。
なお、表3における各露光量は、ショット番号順に、それぞれ対数的に等間隔となるように設定している。
評価に用いたレジスト膜の感度が異なるような場合でも、最終的に問題なく解像できたショット数(問題なく解像できた露光量の数)を比較することで、解像性能の比較が可能である。
(露光後ベーク)
露光後、上記ウエハを電子線照射装置から取り出して、ただちに、表4に記載の条件でホットプレート上にて加熱(露光後ベーク)した。
(現像工程)
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を使用して、50rpmで上記ウエハを回転しながら、表4に記載の現像液(23℃)を、200mL/分の流量で上記ウエハ上に10秒間吐出して現像を行った。
(リンス工程)
その後、50rpmで上記ウエハを回転しながら表4に記載のリンス液(23℃)を、200mL/分の流量で、上記ウエハ上に5秒間吐出してリンス処理を行った。ただし、比較例1ではリンス処理は実施しなかった。
最後に、2000rpmで60秒間高速回転して上記ウエハを乾燥させた。
以下に、各実施例又は比較例における、パターン形成の条件を記載した表4を示す。
表4中、「レジスト組成物」欄は、レジスト膜の形成に用いたレジスト組成物の番号を示す。
また、表4に記載の現像液及びリンス液の配合は、後段の表5に示す。
表5に、表4に記載した処理液(現像液又はリンス液)の配合を示す。
表5中、「bp1-bp2」欄は、第一の有機溶剤の沸点(bp1)から、第二の有機溶剤の沸点(bp2)を引いた値(℃)を示す。
表6~8に、表5に記載した処理液(現像液又はリンス液)に使用した有機溶剤の特徴を示す。表6には第一の有機溶剤の特徴を示し、表7には第二の有機溶剤の特徴を示し、表8にはその他の有機溶剤の特徴を示す。
表6~8中、「構造」欄は、第一又は第二の有機溶剤が、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有するか否かを示す。「分岐」の記載は、第一又は第二の有機溶剤が、分岐鎖状アルキル基を有することを意味する。「直鎖」の記載は、第一又は第二の有機溶剤が、直鎖状のアルキル基を有し、分岐鎖状アルキル基を有さないことを意味する。
<評価>
以下の項目について、得られたパターンの評価を行った。結果の詳細は表9に示す。
(感度)
得られたパターンを、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9260)を使用して観察した。22nmの線幅において、ラインとスペースの比率が1:1で分離解像する照射エネルギーをレジスト膜の感度(μC/cm)とした。
(解像コマ数(解像性))
22nmラインアンドスペースパターンの各露光量での解像状況を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9260)を使用して観察した。各露光量で問題なく解像しているショット数をカウントして、解像性を評価した。
図1に、実施例1及び比較例1における、ショット番号3~10の露光量で露光して形成したパターンの顕微鏡写真を示す。
比較例1ではショット番号4の露光量で露光した場合のみ、問題なく解像していると判断した。つまり、比較例1では、問題なく解像できたショット数(解像コマ数)は1であった。
対して、実施例1ではショット番号4~8の露光量で露光した場合に、問題なく解像していると判断した。つまり、比較例1では、問題なく解像できたショット数(解像コマ数)は5であった。
同様の判断基準に基づいて、他の実施例及び比較例についても解像コマ数を求めた。
(残渣(残渣抑制性))
上記ウエハの未露光部分を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9260)を使用して観察し、残渣の有無を確認した。
(形状(膜減り抑制性))
上記の感度を示す照射量における線幅22nmのパターンの形状を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-4800)を使用して観察し、以下指標に従い、得られたパターンの形状を評価した。
パターンの形状が矩形に近いほど膜減りを抑制できていると判断でき、パターンの形状の劣化が著しいほど膜減りが多いと判断できる。
A:矩形
B:わずかに形状が劣化
C:顕著に形状が劣化又は非解像
<結果>
表9に示す結果より、本発明の処理液をリンス液として使用した場合、所望の効果が得られるが確認された。
実施例1及び7~9と実施例10との比較から、第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の両方が、分岐鎖状アルキル基を有する場合、より効果が優れることが確認された。
また、同様の実施例との比較から、式(1)の関係を満たす場合、より効果が優れることが確認された。
実施例3と実施例11との比較から、第二の有機溶剤が、分岐鎖状アルキル基を有する場合、より効果が優れることが確認された。
実施例4と実施例7との比較から、レジスト組成物がヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有する樹脂を含む場合、より効果が優れることが確認された。
〔EUV露光評価(プロセスウィンドウ評価):実施例12~13及び比較例7〕
表2に記載の組成物7を用い、以下の操作により、レジストパターンを形成した。レジストパターン形成条件の詳細は表10に示す。
<パターンの形成>
(レジスト組成物の塗布及び塗布後ベーク)
12インチシリコンウエハ上に有機膜形成用組成物AL412(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚20nmの有機膜を形成した。その上に表2に記載のレジスト組成物7を塗布し、下記表10に記載の条件でベーク(塗布後ベーク)し、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
(露光)
上述のようにレジスト膜を形成したウエハ(レジスト膜付きウエハ)に、EUV露光装置を使用して、HP(ハーフピッチ)28nmのドットパターンを焦点と露光量を変えて露光した。
具体的には、焦点条件は、-0.06~0.10μmの範囲で0.02μmずつ変更し、合計9種類を焦点条件とした。また、露光量条件は、41~69mJ/cmの範囲で1mJ/cmずつ露光量を変更し、合計29種類を露光量条件とした。そして、9種類の焦点条件と29種類の露光量条件をそれぞれ組み合わせて、合計で261種類の露光条件で各露光した。
(露光後ベーク)
露光後、上記ウエハを露光装置から取り出して、ただちに、現像装置(東京エレクトロン(株)製ACT12)に備え付けられたホットプレートを使用して、110℃の条件で60秒間ベーク(露光後ベーク)した。
(現像工程)
現像装置(東京エレクトロン(株)製ACT12)を使用して、50rpmで上記ウエハを回転しながら表10に記載の現像液(23℃)を、200mL/分の流量で、上記ウエハ上に10秒間吐出して現像を行った。
(リンス工程)
その後、50rpmで上記ウエハを回転しながら表10に記載のリンス液(23℃)を、200mL/分の流量で、上記ウエハ上に5秒間吐出してリンス処理を行った。ただし、比較例7ではリンス処理は実施しなかった。
最後に、2000rpmで60秒間高速回転して上記ウエハを乾燥させた。
<評価>
以下の項目について、得られたパターンの評価を行った。結果の詳細は表11に示す。
表中の「感度」欄は、HP(ハーフピッチ)28nmのドットパターンを解像した際の照射エネルギー(露光量、単位:mJ/cm)を示す。
(プロセスマージン評価(解像性、解像コマ数))
得られたパターンを、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9380)を使用して観察した。上記ドットパターンが問題なく解像しているコマ数(解像コマ数;問題なく解像できた露光量の数、及び、焦点深度の数)をカウントした。
上記(露光)にて露光した結果、最も解像コマ数が大きかった焦点の解像コマ数を、露光量方向における解像コマ数として評価した。
また、上記(露光)にて露光した結果、最も解像コマ数が大きかった露光量の解像コマ数を、焦点深度方向における解像コマ数として評価した。
(残渣(残渣抑制性))
上記ウエハの未露光部分を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9260)を使用して観察し、残渣の有無を確認した。
上記評価結果より、本発明の処理液を用いたパターン形成方法は、超微細サイズのパターンを形成することができ、好適に用いることができることが確認された。
本発明の処理液は、上記に記載したリンス液としての用途のみならず、現像液として用いても、解像性能の向上と残渣抑制性の両立が可能となる。
実施例1において、現像液を、S-13とS-1の3:2(体積比)に変更して現像を行っても、同様にパターンが得られた。

Claims (9)

  1. 感活性光線又は感放射線性組成物から得られるレジスト膜に対して、露光後の現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用される、レジスト膜パターニング用の処理液であって、
    第一の有機溶剤と、第二の有機溶剤とを含み、
    前記第一の有機溶剤は、炭素数8~10のケトン系溶剤、酢酸エステル以外の炭素数8~10のエステル系溶剤、及び、炭素数8~10の芳香族炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記第二の有機溶剤は、3-メチル-2-ブタノン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、ジイソプロピルケトン、2-メチル-3-ヘキサノン、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、ギ酸t-ペンチル、ギ酸ヘキシル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、イソブタン酸エチル、炭酸ジエチル、及び、炭酸ジプロピルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、処理液。
  2. 前記第一の有機溶剤が、
    2,5-ジメチル-3-ヘキサノン、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン、炭酸ジブチル、ギ酸ヘプチル、ギ酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸イソペンチル、プロピオン酸ヘキシル、ブタン酸ブチル、ブタン酸イソブチル、イソブタン酸ブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸イソプロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、3,3-ジメチルブタン酸エチル、メシチレン、クメン、プソイドクメン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、及び、p-シメンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の処理液。
  3. 前記第一の有機溶剤及び前記第二の有機溶剤が、式(1)の関係を満たす、請求項1又は2に記載の処理液。
    式(1):5.0℃<bp1-bp2<100.0℃
    bp1:前記第一の有機溶剤の沸点
    bp2:前記第二の有機溶剤の沸点
  4. 前記第一の有機溶剤及び前記第二の有機溶剤の少なくとも一方が、分岐鎖状アルキル基を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の処理液。
  5. 前記第一の有機溶剤及び前記第二の有機溶剤の両方が、分岐鎖状アルキル基を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の処理液。
  6. 感活性光線又は感放射線性組成物から得られるレジスト膜に対して、露光後の現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用される、レジスト膜パターニング用の処理液であって、
    第一の有機溶剤と、第二の有機溶剤とを含み、
    前記第一の有機溶剤は、炭素数8~10のケトン系溶剤、酢酸エステル以外の炭素数8~10のエステル系溶剤、及び、炭素数8~10の芳香族炭化水素系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記第二の有機溶剤は、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、ギ酸t-ペンチル、ギ酸ヘキシル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、イソブタン酸エチル、炭酸ジエチル、及び、炭酸ジプロピルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、処理液。
  7. 前記感活性光線又は感放射線性組成物が、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の処理液。
  8. 前記感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を露光する露光工程と、
    露光された前記レジスト膜を請求項1~のいずれか1項に記載の処理液によって処理する処理工程とを備える、パターン形成方法。
  9. 前記感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を露光する露光工程と、
    露光された前記レジスト膜を処理する処理工程とを備える、パターン形成方法であって、
    前記処理工程は、
    現像液によって現像する現像工程と、
    リンス液によって洗浄するリンス工程とを備え、
    前記リンス液が請求項1~のいずれか1項に記載の処理液である、パターン形成方法。
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