JP7242836B2 - 処理液、パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レジスト膜パターニング用の処理液及びパターン形成方法に関する。
より詳細には、本発明は、IC(Integrated Circuit、集積回路)等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等に使用される、処理液、及びパターン形成方法に関する。
従来、IC(Integrated Circuit、集積回路)及びLSI(Large Scale Integrated circuit、大規模集積回路)等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域及びクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。更には、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線、X線、又はEUV光(Extreme Ultra Violet、極紫外線)を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。
このようなリソグラフィーにおいては、フォトレジスト組成物(感活性光線又は感放射線性組成物、又は化学増幅型レジスト組成物とも呼ばれる)により膜を形成した後、得られた膜を現像液により現像したり、現像後の膜をリンス液で洗浄することが行われている。
例えば、特許文献1には、現像液として、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤から選ばれる第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の混合物を含有する有機系処理液を用いることが開示されている。
特開2012-181523号公報
近年、集積回路の高集積化に伴って、フォトレジスト組成物(感活性光線又は感放射線性組成物)を用いた微細パターンの形成が求められている。このような微細パターンの形成においては、微細化に伴いパターン同士の距離が狭まることで、大きな毛管力が発生し、L/S(line and space)パターンの形成の際に「パターン倒れ」が発生し易いという問題がある。さらに、微細化に伴ってパターンの膜厚も薄化傾向にあるため、現像処理及びリンス処理の際の「露光部の膜減り」によるパターンの性能低下の解消が従前よりも顕著に求められている。つまり、パターン倒れと露光部の膜減りの発生を同時に解消できる現像液及びリンス液が求められている。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、パターン倒れと露光部の膜減りの発生を同時に抑制できるレジスト膜パターニング用の処理液及びパターン形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、下記構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕 感活性光線又は感放射線性組成物から得られるレジスト膜に対して現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用され、有機溶剤を含むレジスト膜パターニング用の処理液であって、
下記条件Aを満たす第一の有機溶剤と、下記条件Bを満たす第二の有機溶剤とを含む処理液。
条件A:
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つ下記式(1)で表されるΔPが15.0以下である、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、若しくはエステル系溶剤であるか、又は、
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つ下記式(1)で表されるΔPが20.0以下であるケトン系溶剤。
条件B:
SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6以上のアルコール系溶剤であるか、又は、
SP値が19.0MPa11/2以上であり、下記式(2)で表されるΔHが20.0以上であり、且つカルボニル基を2個以上含むエステル系溶剤。
式(1): ΔP =δp/(δd+δp+δh)×100
式(2): ΔH =δh/(δd+δp+δh)×100
式(1)及び式(2)中、δdは、ハンセン溶解度パラメータの分散項を表す。δpは、ハンセン溶解度パラメータの極性項を表す。δhは、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項を表す。
〔2〕 上記条件Bにおいて、上記アルコール系溶剤が非環状のアルコール系溶剤を含み、上記エステル系溶剤が非環状のエステル系溶剤を含む、請求項1に記載の処理液。
〔3〕 上記非環状のエステル系溶剤が、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸エステル、及びシュウ酸ジエチルからなる群より選ばれる1種以上を含む、〔2〕に記載の処理液。
〔4〕 上記非環状のアルコール系溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-オクタノール、1-オクタノール、及び1-ヘキサノールからなる群より選ばれる1種以上を含む、〔2〕に記載の処理液。
〔5〕 上記非環状のアルコール系溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む、〔2〕に記載の処理液。
〔6〕 上記非環状のアルコール系溶剤が、分子内に三重結合を有する、〔2〕に記載の処理液。
〔7〕 上記非環状のアルコール系溶剤が、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上を含む、〔6〕に記載の処理液。
〔8〕 上記第一の有機溶剤において、上記炭化水素系溶剤が、炭素数7以上の炭化水素系溶剤を含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の処理液。
〔9〕 上記第一の有機溶剤において、上記炭化水素系溶剤が、エチルシクロヘキサン、メシチレン、1,5-シクロオクタジエン、ウンデカン、及びデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の処理液。
〔10〕 上記第一の有機溶剤において、上記エーテル系溶剤が、アミルエーテル類、ブチルエーテル類、及びジイソプロピルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の処理液。
〔11〕 上記第一の有機溶剤において、上記エーテル系溶剤が、ジイソアミルエーテル及びジイソブチルエーテルの少なくとも1種以上を含む、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の処理液。
〔12〕 上記第一の有機溶剤において、上記エステル系溶剤が、イソ酪酸イソブチル、酪酸ブチル、2-メチル-吉草酸エチル、酢酸ヘキシル、酪酸イソブチル、及びイソ酪酸ブチルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の処理液。
〔13〕 上記第一の有機溶剤において、上記ケトン系溶剤が、ジイソブチルケトン、及び3-オクタノンの少なくとも1種以上を含む、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の処理液。
〔14〕 上記処理液が、リンス液である、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の処理液。
〔15〕 上記感活性光線又は感放射線性組成物が、後述する一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の処理液。
〔16〕 感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
上記レジスト膜を露光する露光工程と、
露光された上記レジスト膜を〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の処理液によって処理する処理工程と、を含む、パターン形成方法。
〔17〕 感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
上記レジスト膜を露光する露光工程と、
露光された上記レジスト膜を処理する処理工程と、を含む、パターン形成方法であって、
上記処理工程は、
現像液によって現像する現像工程と、
リンス液によって洗浄するリンス工程を備え、
上記リンス液が〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の処理液である、パターン形成方法。
〔18〕 上記現像液が、エステル系溶剤を含む、〔17〕に記載のパターン形成方法。
〔19〕 上記エステル系溶剤が、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、イソブタン酸ブチル、及びイソブタン酸イソブチルからなる群より選ばれる1種以上を含む、〔18〕に記載のパターン形成方法。
〔20〕 上記感活性光線又は感放射線性組成物が、後述する一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、〔16〕~〔19〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
本発明によれば、パターン倒れと露光部の膜減りの発生を同時に抑制できるレジスト膜パターニング用の処理液及びパターン形成方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光: Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において表記される二価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる一般式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。また、上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書における酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に定義される。酸解離定数pKaの値が低いほど酸強度が大きいことを示す。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測できる。あるいは、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
1Åは1×10-10mである。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
[処理液]
本発明の処理液は、感活性光線又は感放射線性組成物(以下、「レジスト組成物」ともいう。)から得られるレジスト膜に対して現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用され、有機溶剤を含有するレジスト膜パターニング用の処理液である。本発明の処理液は、後述する条件Aを満たす第一の有機溶剤と、後述する条件Bを満たす第二の有機溶剤と、を含む。
ところで、EUV光(波長13.5nm)は、例えばArFエキシマレーザー光(波長193nm)と比較すると短波長であるため、レジスト膜の露光において、同じ感度としたときに入射フォトン数が少ない特徴がある。これにより、EUV光によるリソグラフィーでは、確率的にフォトンの数がばらつく「フォトンショットノイズ」の影響が大きく、高極性のポリマー残渣等の高極性残渣成分が発生する要因の一つとなっている。この高極性残渣成分は、パターン上の欠陥(特に、ブリッジ欠陥)の原因となる。
今般、本発明者らは、高極性残渣成分の低減には、プロトン性極性溶剤、及び水素結合性の相互作用エネルギーの高いエステル系溶剤が有効であるものの、これらの溶剤は、単独では揮発性が低いことから、特に密集パターンでの解像性を悪化させる(言い換えると、密集パターンでのパターン倒れを生じさせる)要因となることを知見している。
本発明者らは上記知見に基づいてさらに検討を行ったところ、上記第一の有機溶剤と上記第二の有機溶剤とを含む処理液によれば、形成されるパターンは、欠陥(特に、ブリッジ欠陥)とパターン倒れが抑制され、更に露光部の膜減りも抑制されることを明らかとした。なお、上記第一の有機溶剤が、主に、高極性残渣成分の低減に寄与する。
また、上記処理液において、上記第二の有機溶剤としてより揮発性に優れた溶剤を使用して処理液全体の揮発性を向上させた場合、上記処理液による処理(例えば、リンス処理)後の乾燥時間が低減でき、密集パターンでのパターン倒れの抑制効果がより顕著となることも明らかとした。
以下において、まず、第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤について、各々説明する。
〔第一の有機溶剤〕
本発明の処理液は、下記条件Aを満たす第一の有機溶剤を含む。
条件A:
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つ下記式(1)で表されるΔPが15.0以下である、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、若しくはエステル系溶剤(以下、「溶剤A-1」ともいう。)であるか、又は、
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つ下記式(1)で表されるΔPが20.0以下であるケトン系溶剤(以下、「溶剤A-2」ともいう。)。
式(1): ΔP =δp/(δd+δp+δh)×100
式(1)中、δdは、ハンセン溶解度パラメータの分散項を表す。δpは、ハンセン溶解度パラメータの極性項を表す。δhは、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項を表す。
なかでも、パターン倒れがより抑制される点で、ΔPが小さく、且つΔD(δd/(δd+δp+δh)で表される)が大きいほど好ましい。
<SP値>
本明細書において「SP値」とは、「PROPERTIES OF POLYMERS、第二版、1976出版」に記載のFedors法を用いて、以下の式に基づいて計算されたものである。なお、SP値の単位は特に記載が無い限りはMPa1/2である。
SP値(Fedors法)=[(各置換基の凝集エネルギーの和)/(各置換基の体積の和)]0.5
各置換基のパラメータ(凝集エネルギー及び体積)は、「PROPERTIES OF POLYMERS、第二版、1976出版」に記載された各値のほか、文献値等の記載を採用できる。
なお、溶剤は、SP値が小さいものほど低極性となる。つまり、SP値が小さい溶剤ほど、レジスト膜との親和性が低く、レジスト膜への過度な浸透を抑制でき、すなわち膨潤を抑制できる。
<ハンセン溶解パラメータ>
ハンセン溶解度パラメータ(δ)は、(δd、δp、δh)の3次元のパラメータで定義され、下記式(3)により表される。なお、ハンセン溶解度パラメータに係る詳細は、
「PROPERTIES OF POLYMERS」(著者:D.W.VAN KREVELEN、発行所:ELSEVIER SCIENTIFIC PUBLISHING COMPANY、1989年発行、第5版)に記載されている。
式(3) δ=(δd)+(δp)+(δh)
δdは、分散項(London分散力項ともいう。)を表す。δpは、極性項(分子分極項ともいう。)を表す。δhは、水素結合項を表す。
δd、δp、及びδhは、ハンセン溶解度パラメータを提案したハンセン博士のグループによって開発されたプログラムであるHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)を用いて計算することができる。なお、本明細書におけるδd、δp、及びδhは、HSPiP 5th Edition 5.2.06を使用して計算した値である。
本明細書において、上述した式(1)及び後述する式(2)中のδd、δp、及びδhは、各々上述した式(3)中のδd、δp、及びδhと同義である。
<溶剤A-1>
溶剤A-1は、SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つ上記式(1)で表されるΔPが15.0以下である、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、若しくはエステル系溶剤である。本発明の処理液が溶剤A-1を含むことで、形成されるパターンは、パターン倒れが抑制され、且つ、露光部での膜減りが抑制される。なお、SP値の下限値としては、例えば、14.0MPa1/2以上であり、ΔPの下限値としては、例えば、0.0以上である。
以下、溶剤A-1について説明する。
(SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下である炭化水素系溶剤)
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下である炭化水素系溶剤としては、SP値及びΔPが所定値を満たせば、脂肪族炭化水素系溶剤及び不飽和脂肪族炭化水素系溶剤のいずれであってもよい。不飽和炭化水素溶剤が有する二重結合又は三重結合の数は特に限定されず、また、炭化水素鎖のどの位置に有してもよい。また、不飽和炭化水素溶剤が二重結合を有する場合には、cis体及びtrans体が混在していてもよい。
なお、上記炭化水素系溶剤の炭素数としては、形成されるパターンのパターン倒れの抑制及び/又は露光部の膜減り抑制性がより向上する点で、7以上が好ましい。上限値は特に限定されないが、例えば、16以下が挙げられ、14以下が好ましく、12以下がより好ましい。
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下である炭化水素系溶剤の具体例を以下に示す。なお、各数値の単位は省略する。
エチルシクロヘキサン(SP値:16.4、ΔP:0.0)、メシチレン(SP値:18.6、ΔP:3.1)、1,5-シクロオクタジエン(SP値:14.3、ΔP:12.9)、ウンデカン(SP値:15.9、ΔP:0.0)、及びデカン(SP値:15.8、ΔP:0.0)が挙げられる。
上記炭化水素系溶剤としては、なかでも、エチルシクロヘキサン(SP値:16.4、ΔP:0.0)、メシチレン(SP値:18.6、ΔP:3.1)、1,5-シクロオクタジエン(SP値:14.3、ΔP:12.9)、ウンデカン(SP値:15.9、ΔP:0.0)、及びデカン(SP値:15.8、ΔP:0.0)からなる群より選ばれるものが好ましく、エチルシクロヘキサン、メシチレン、1,5-シクロオクタジエン、及びウンデカンからなる群より選ばれるものがより好ましく、エチルシクロヘキサン、メシチレン、及び1,5-シクロオクタジエンからなる群より選ばれるものが更に好ましい。
(SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下であるエーテル系溶剤)
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下であるエーテル系溶剤としては、SP値及びΔPが所定値を満たせば特に制限されない。
なお、エーテル系溶剤とは、分子内にエーテル結合を少なくとも1個以上有する溶剤を意図する。例えば、溶剤が、エーテル結合とエーテル結合以外の官能基を有していた場合、SP値及びΔPが所定値を満たせば、溶剤A-1のエーテル系溶剤とみなす。
上記エーテル系溶剤としては、SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であるアルコール系溶剤が好ましい。なお、ΔDの上限値としては、例えば、100.0以下である。
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下であるエーテル系溶剤の具体例を以下に示す。なお、各数値の単位は省略する。
ジアミルエーテル(別称:ジn-ペンチルエーテル、SP値:16.2、ΔP:14.3)、及びジイソアミルエーテル(SP値:15.6、ΔP:12.1)等のアミルエーテル類;ジブチルエーテル(別称:ジn-ブチルエーテル、SP値:15.9、ΔP:14.2)、及びジイソブチルエーテル(SP値:15.2、ΔP:12.2)等のブチルエーテル類;及びジイソプロピルエーテル(SP値:14.6、ΔP:14.9)が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、なかでも、ジイソアミルエーテル(SP値:15.6、ΔP:12.1)、又はジイソブチルエーテル(SP値:15.2、ΔP:12.2)が好ましく、ジイソアミルエーテルが更に好ましい。
(SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下であるエステル系溶剤)
SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下であるエステル系溶剤としては、SP値及びΔPが所定値を満たせば特に制限されない。
なお、エステル系溶剤とは、分子内にエステル結合を1個以上有する溶剤を意図する。例えば、溶剤が、エステル結合とエステル結合以外の官能基を有していた場合、SP値及びΔPが所定値を満たせば、溶剤A-1のエステル系溶剤とみなす。
SP値が17.8MPa1/2以下であり、且つΔPが15.0以下であるエステル系溶剤の具体例を以下に示す。なお、各数値の単位は省略する。
イソ酪酸イソブチル(SP値:17.1、ΔP:14.2)、酪酸ブチル(SP値:17.8、ΔP:12.0)、2-メチル-吉草酸エチル(SP値:17.4、ΔP:14.8)、酢酸ヘキシル(SP値:17.8、ΔP:11.8)、酪酸イソブチル(SP値:16.8、ΔP:14.3)、イソ酪酸ブチル(SP値:16.8、ΔP:14.5)、イソ吉酢酸イソブチル(SP値:17.7、ΔP:13.1)、イソ酪酸イソアミル(SP値:17.7、ΔP:13.5)、及び酢酸イソアミル(SP値:17.4、ΔP:12.2)等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、炭素数8以上であることが好ましく、炭素数8又は9であることがより好ましく、イソ酪酸イソブチル(SP値:17.1、ΔP:14.2)、酪酸ブチル(SP値:17.8、ΔP:12.0)、2-メチル-吉草酸エチル(SP値:17.4、ΔP:14.8)、酢酸ヘキシル(SP値:17.8、ΔP:11.8)、酪酸イソブチル(SP値:16.8、ΔP:14.3)、イソ酪酸ブチル(SP値:16.8、ΔP:14.5)、イソ吉酢酸イソブチル(SP値:17.7、ΔP:13.1)、イソ酪酸イソアミル(SP値:17.7、ΔP:13.5)、及び酢酸イソアミル(SP値:17.4、ΔP:12.2)からなる群より選ばれるものが更に好ましく、イソ酪酸イソブチル、酪酸ブチル、2-メチル-吉草酸エチル、酢酸ヘキシル、酪酸イソブチル、及びイソ酪酸ブチルからなる群より選ばれるものが特に好ましく、炭素数8以上でΔPがより小さい点で、酪酸ブチルが最も好ましい。
上記エステル系溶剤としては、形成されるパターンのパターン倒れがより抑制される点で、ΔDが64.5MPa1/2以上のものが好ましい。
<溶剤A-2>
溶剤A-2は、SP値が17.8MPa1/2以下であり、且つ、下記式(1)で表されるΔPが20.0以下であるケトン系溶剤である。本発明の処理液が溶剤A-2を含むことで、形成されるパターンは、パターン倒れが抑制され、且つ、露光部での膜減りが抑制される。なお、SP値の下限値としては、例えば、17.0MPa1/2以上であり、ΔPの下限値としては、例えば、0.0以上である。
以下、溶剤A-2について説明する。
(SP値が17.8MPa1/2以下であり、且つ、下記式(1)で表されるΔPが20.0以下であるケトン系溶剤)
17.8MPa1/2以下であり、且つ、下記式(1)で表されるΔPが20.0以下であるケトン系溶剤としては、SP値及びΔPが所定値を満たせば特に制限されない。
なお、ケトン系溶剤とは、分子内にケトン基を少なくとも1個以上有する溶剤を意図する。例えば、溶剤が、ケトン基とケトン基以外の官能基を有していた場合、SP値及びΔPが所定値を満たせば、溶剤A-2のケトン系溶剤とみなす。
SP値が17.8MPa1/2以下であり、且つΔPが20.0以下であるケトン系溶剤の具体例を以下に示す。なお、各数値の単位は省略する。
ジイソブチルケトン(SP値:17.4、ΔP:18.6)、及び3-オクタノン(SP値:17.5、ΔP:18.1)が挙げられる。
溶剤Aとしては、パターン倒れがより抑制できる点及び/又は露光部の膜減りがより抑制できる点で、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる溶剤A-1であることが好ましい。
本発明の処理液は、第一の有機溶剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔第二の有機溶剤〕
本発明の処理液は、下記条件Bを満たす第二の有機溶剤を含む。
条件B:
SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6以上のアルコール系溶剤(以下、「溶剤B-1」ともいう。)であるか、又は、
SP値が19.0MPa11/2以上であり、下記式(2)で表されるΔHが20.0以上であり、且つカルボニル基を2個以上含むエステル系溶剤(以下、「溶剤B-2」ともいう。)。
式(2): ΔH =δh/(δd+δp+δh)×100
<SP値、ハンセン溶解度パラメータ>
SP値の定義、及びハンセン溶解度パラメータ(δd、δp、δh)の定義については、既述のとおりである。
<ClogP>
本明細書において、溶剤のClogPとは、1-オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法及びソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、特に断らない限り、本明細書では、PerkinElmer社のChemDraw ver 16.0.1.4(77)に組み込まれたClogPプログラムを用いることとする。
なお、ClogPが高いことはすなわち水分子よりも疎水性分子(指標として1-オクタノール)との親和性が高いことを表している。
<溶剤B-1>
溶剤B-1は、SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6以上のアルコール系溶剤である。本発明の処理液が溶剤B-1を含むことで、形成されるパターンは、欠陥(特に、ブリッジ欠陥)抑制性に優れる。なお、SP値の上限値としては、例えば、21.0MPa1/2以下であり、ClogPの上限値としては、例えば、4.0以下である。
溶剤B-1としては、なかでも、SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6より大きいアルコール系溶剤であるのが好ましい。
SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6以上のアルコール系溶剤としては、SP値及びClogPが所定値を満たせば特に制限されない。
なお、アルコール系溶剤とは、分子内にアルコール基を少なくとも1個以上有する溶剤を意図する。例えば、溶剤が、アルコール基とアルコール基以外の官能基を有していた場合、SP値及びΔPが所定値を満たせば、溶剤B-1のアルコール系溶剤とみなす。
SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6以上のアルコール系溶剤の具体例を以下に示す。なお、各数値の単位は省略する。
3,7-ジメチル-3-オクタノール(SP値:19.7、ClogP:3.5)、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール(SP値:20.5、ClogP:3.1)、3-エチル-3-ペンタノール(SP値:20.8、ClogP:2.1)、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール(SP値:19.9、ClogP:3.0)、2-エチル-1-ヘキサノール(SP値:20.7、ClogP:2.8)、1-ヘプタノール(SP値:21.4、ClogP:2.4)、2-オクタノール(SP値:20.7、ClogP:2.7)、1-オクタノール(SP値:21.0、ClogP:4.0)、1-ヘキサノール(SP値:21.9、ClogP:2.4)、3-オクタノール(SP値:20.7.0、ClogP:2.7)、1-オクチン-3-オール(SP値:26.9、ClogP:2.1)、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール(SP値:26.1、ClogP:1.8)、1-へプチン-3-オール(SP値:20.5、ClogP:1.6)、及び、7-オクチン-1-オール(SP値:20.3、ClogP:1.6)等が挙げられる。
上記アルコール系溶剤としては、露光部のレジスト溶解抑制の観点から、非環状のアルコール系溶剤が好ましい。
非環状のアルコール系溶剤としては、例えば、以下に示す、第1群に属する溶剤から選ばれる1種以上、第2群に属する溶剤から選ばれる1種以上、又は、第3群に属する溶剤から選ばれる1種以上を含んでいるのが好ましい。
・第1群:3,7-ジメチル-3-オクタノール(SP値:19.7、ClogP:3.5)、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール(SP値:20.5、ClogP:3.1)、3-エチル-3-ペンタノール(SP値:20.8、ClogP:2.1)、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール(SP値:19.9、ClogP:3.0)、2-エチル-1-ヘキサノール(SP値:20.7、ClogP:2.8)、1-ヘプタノール(SP値:21.4、ClogP:2.4)、2-オクタノール(SP値:20.7、ClogP:2.7)、1-オクタノール(SP値:21.0、ClogP:4.0)、及び1-ヘキサノール(SP値:21.9、ClogP:2.4)。
第1群の溶剤としては、なかでも、パターン倒れがより抑制できる点及び/又は露光部の膜減りがより抑制できる点で、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、及び2-オクタノールであるのが好ましく、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、及び2-オクタノールであるのが更に好ましい。
・第2群:2,6-ジメチル-4-ヘプタノール(SP値:19.9、ClogP:3.0)及び3-オクタノール(SP値:20.7.0、ClogP:2.7)。
第2群の溶剤としては、なかでも、パターン倒れがより抑制できる点及び/又は露光部の膜減りがより抑制できる点で、3-オクタノールであるのが好ましい。
・第3群:分子内に三重結合を有する非環状のアルコール系溶剤。
分子内に三重結合を有する非環状のアルコール系溶剤は特に制限されない。上記アルコール系溶剤が有する三重結合の数は特に限定されない。上記アルコール系溶剤としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アルコール系溶剤であるのが好ましい。上記アルコール系溶剤の炭素数としては、形成されるパターンのパターン倒れの抑制及び/又は露光部の膜減り抑制性がより向上する点で、7以上が好ましい。上限値は特に限定されないが、例えば、14以下が挙げられ、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。
第3群の溶剤としては、なかでも、パターン倒れがより抑制できる点及び/又は露光部の膜減りがより抑制できる点で、1-オクチン-3-オール(SP値:26.9、ClogP:2.1)、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール(SP値:26.1、ClogP:1.8)、1-ヘプチン-3-オール(SP値:20.5、ClogP:1.6)、及び7-オクチン-1-オール(SP値:20.3、ClogP:1.6)であるのが好ましい。
<溶剤B-2>
溶剤B-2は、SP値が19.0MPa11/2以上であり、ΔHが20.0以上であり、且つカルボニル基を2個以上含むエステル系溶剤である。本発明の処理液が溶剤B-2を含むことで、形成されるパターンは、欠陥(特に、ブリッジ欠陥)抑制性に優れる。なお、SP値の上限値としては、例えば、21.0MPa1/2以下であり、ΔHの上限値としては、例えば、30.0以下である。
SP値が19.0MPa11/2以上であり、ΔHが20.0以上であり、且つカルボニル基を2個以上含むエステル系溶剤としては、SP値及びΔHが所定値を満たし、カルボニル基を2個以上含めば特に制限されない。
なお、エステル系溶剤とは、分子内にエステル結合を少なくとも1個以上有する溶剤を意図する。例えば、溶剤が、エステル結合とエステル結合以外の官能基を有していた場合、SP値及びΔHが所定値を満たし、且つカルボニル基を2個以上含めば、溶剤B-2のエステル系溶剤とみなす。なお、上記カルボニル基は、エステル結合中に含まれるカルボニル基であってもよい。
SP値が19.0MPa11/2以上であり、ΔHが20.0以上であり、且つカルボニル基を2個以上含むエステル系溶剤の具体例を以下に示す。なお、各数値の単位は省略する。
アセト酢酸エチル(SP値:20.7、ΔH:25.9)、マロン酸ジメチル(SP値:20.6、ΔH:29.1)、ピルビン酸メチル(SP値:21.6、ΔH:24.5)及びピルビン酸エチル(SP値:21.1、ΔH:23.3)等のピルビン酸エステル、並びに、シュウ酸ジエチル(SP値:21.75、ΔH:26.7)等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、露光部のレジスト溶解抑制と残渣除去の両立の観点から、非環状のエステル系溶剤が好ましく、アセト酢酸エチル(SP値:20.7、ΔH:25.9)、マロン酸ジメチル(SP値:20.6、ΔH:29.1)、ピルビン酸メチル(SP値:21.6、ΔH:24.5)、ピルビン酸エチル(SP値:21.1、ΔH:23.3)、及びシュウ酸ジエチル(SP値:21.75、ΔH:26.7)からなる群より選ばれるものが好ましく、パターン倒れがより抑制できる点及び/又は露光部の膜減りがより抑制できる点で、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、又はピルビン酸エチルがより好ましい。
溶剤Bとしては、パターン倒れがより抑制できる点及び/又は露光部の膜減りがより抑制できる点で、溶剤B-1が好ましい。
本発明の処理液は、第二の有機溶剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤の含有量〕
第一の有機溶剤の含有量としては、処理液の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましい。また、その上限値は特に制限されないが、例えば、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
第二の有機溶剤の含有量としては、処理液の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましい。また、その上限値は特に制限されないが、例えば、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
第一の有機溶剤の含有量は、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の合計含有量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が更により好ましく、50質量%以上が特に好ましく、60質量%以上が最も好ましい。また、上限値としては、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
本発明の処理液中、上記第一の有機溶剤と上記第二の有機溶剤との合計含有量は、処理液の全質量に対して、95.0質量%以上が好ましく、98.0質量%以上がより好ましく、99.0質量%以上が更に好ましく、99.5質量%以上が特に好ましく、99.9質量%以上が最も好ましい。なお、上限値としては、例えば、100質量%である。
〔第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の好適態様〕
以下において、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の具体的な好適態様について述べる。
なお、第一の有機溶剤と第二溶剤の最も好適な組み合わせとしては、第一の有機溶剤が、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる溶剤A-1であり、第二の有機溶剤が溶剤B-1のアルコール系溶剤である態様である。
<処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1のエーテル系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合>
処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1のエーテル系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤は、下記A1~下記A8の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
A1:第二の有機溶剤は、
3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む。
A1において、第二の有機溶剤は、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含むのが好ましい。
A2:第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上である(好ましくはジイソアミルエーテルである)。
A3:第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であり、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である。
A4:第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であり、第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、及び3-エチル-3-ペンタノールのいずれか一方を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である。
A5:第二の有機溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、80質量%以下である。
A6:第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%以上である。
A7:第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である。
A8:第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であり、第二の有機溶剤が、2-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である。
<処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1のエーテル系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-2のエステル系溶剤を含む場合>
処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1のエーテル系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-2のエステル系溶剤を含む場合、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤は、下記B1及び/又は下記B2を満たすことが好ましい。
B1:第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、50質量%以上(好ましくは80質量%以上)である。
B2:第二の有機溶剤がアセト酢酸エチルであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、80質量%以上である。
<処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1の炭化水素系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合>
処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1の炭化水素系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤は、下記C1~下記C6の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
C1:第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上(好ましくは、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール)を含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む。
C1において、第二の有機溶剤は、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含むのが好ましい。
C2:第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%(好ましくは60~80質量%)である。
C3:第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール及び3-エチル-3-ペンタノールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%(好ましくは40~80質量%)である。
C4:第二の有機溶剤が、2-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である。
C5:第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である。
C6;第一の有機溶剤が1,5-シクロオクタジエンを含み、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である。
<処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1の炭化水素系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-2のエステル系溶剤を含む場合>
処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1の炭化水素系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-2のエステル系溶剤を含む場合、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤は、下記D1及び/又は下記D2を満たすことが好ましい。
D1:第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、50質量%以上(好ましくは、80質量%以上)である。
D2:第二の有機溶剤がアセト酢酸エチルであり、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、80質量%以上である。
<処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1のエステル系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合>
処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-1のエステル系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤は、下記E1~下記E5の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
E1:第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2-オクタノール、及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上(好ましくは2-オクタノール又は2,6-ジメチル-4-ヘプタノール)を含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む。
E1において、第二の有機溶剤は、2-オクタノールを含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含むのが好ましい。
E1としては、なかでも、第二の有機溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して60質量%以上であるのが好ましい。
E2:第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である。
E3:第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール及び3-エチル-3-ペンタノールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である。
E4:第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、2-オクタノール又は2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む。
E5:第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である。
<処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-2のケトン系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合>
処理液が、第一の有機溶剤として溶剤A-2のケトン系溶剤を含み、且つ第二の有機溶剤として溶剤B-1のアルコール系溶剤を含む場合、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤は、下記F1~下記F4の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
F1:第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2-オクタノール、及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上を含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む。
F1において、第二の有機溶剤は、2-オクタノールを含むか、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含むか、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含むのが好ましい。
F2:第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である。
F3:第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である。
F4:第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である。
〔その他の成分〕
本発明の処理液は、上記第一の有機溶剤と上記第二の有機溶剤とを少なくとも1種ずつ含んでいればよく、上記第一の有機溶剤及び上記第二の有機溶剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。
<イオン性液体>
また、本発明の処理液は、以下のイオン性液体を含んでいてもよい。なお、処理液がイオン性液体を含む場合には、イオン性液体は、第一の有機溶剤、及び第二の有機溶剤には含まれないものとする。
イオン性液体としては、例えば、陽イオンとして、ピリジニウムイオン若しくはイミダゾリウムイオン等の芳香族系イオン、又は、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン等の脂肪族アミン系イオン等を有し、陰イオンとしてNO 、CHCO 、BF 、若しくはPF 等の無機イオン系、又は、(CFSO、CFCO 、若しくはCFSO 等のフッ素含有有機陰イオン等を有したイオン性液体;4級アンモニウム塩系イオン性液体が好ましい。
イオン性液体の市販品としては、例えば、IL-P14、及びIL-A2(以上、広栄化学工業社製);4級アンモニウム塩系イオン性液体である、エレガンSS-100(日本油脂社製)等が挙げられる。イオン性液体は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液がイオン性液体を含む場合、イオン性液体の含有量は、処理液の全質量に対して、0.5~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
<界面活性剤>
本発明の処理液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
処理液が界面活性剤を含む場合、処理液のレジスト膜に対する濡れ性が向上して、現像及び/又はリンスがより効果的に進行する。
界面活性剤としては、後述するレジスト組成物に含まれ得る界面活性剤と同様のものを使用できる。
界面活性剤は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、処理液の全質量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の処理液は、酸化防止剤を含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、又はフェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は、処理液の全質量に対して、0.0001~1質量%が好ましく、0.0001~0.1質量%がより好ましく、0.0001~0.01質量%が更に好ましい。
<塩基性化合物>
本発明の処理液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。
塩基性化合物の具体例としては、後述するレジスト組成物に含まれ得る酸拡散制御剤として例示する化合物が挙げられる
塩基性化合物は、1種を単独使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理液が塩基性化合物を含む場合、塩基性化合物の含有量は、処理液全量に対して、10質量%以下が好ましく、0.5~5質量%が好ましい。
なお、本発明において、上記塩基性化合物は、1種のみを使用してもよいし、化学構造が異なる2種以上を併用してもよい。
<その他の溶剤>
本発明の処理液は、その他の溶剤を含んでいてもよい。
本発明の処理液が現像液として使用される場合、本発明の処理液は、上記第一の有機溶剤、及び上記第二の有機溶剤以外のその他の有機溶剤を含んでいてもよい。
その他の有機溶剤としては特に制限されないが、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤等の溶剤が挙げられる。
本発明の処理液がリンス液として使用される場合、本発明の処理液は、上記第一の有機溶剤、及び上記第二の有機溶剤を含んでいてもよい。
その他の有機溶剤としては特に制限されないが、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤等の溶剤が挙げられる。
[パターン形成方法]
本発明は上記処理液を用いたパターン形成方法にも関する。
本発明のパターン形成方法は、
(i)レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
(ii)上記レジスト膜を露光する露光工程と、
(iii)露光された上記レジスト膜を上述した処理液によって処理する処理工程と、を含む。
以下、本発明のパターン形成方法が有する各工程について説明する。また、処理工程の一例として、現像工程及びリンス工程のそれぞれについて説明する。
〔(i)レジスト膜形成工程〕
レジスト膜形成工程は、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程であり、例えば次の方法により行うことができる。
レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するためには、後述する各成分を溶剤に溶解してレジスト組成物を調製し、必要に応じてフィルター濾過した後、基板上に塗布する。フィルターの孔径としては、ポアサイズ0.1ミクロン以下が好ましく、0.05ミクロン以下がより好ましく、0.03ミクロン以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又はナイロンが好ましい。
レジスト組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)上に、スピナー等の適当な塗布方法により塗布される。その後、乾燥し、レジスト膜を形成する。必要により、レジスト膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、反射防止膜)を形成してもよい。
乾燥方法としては、加熱して乾燥する方法が一般的に用いられる。
加熱温度としては、80~180℃が好ましく、80~150℃がより好ましく、80~140℃が更に好ましく、80~130℃が特に好ましい。
加熱時間としては、30~1000秒が好ましく、60~800秒がより好ましく、60~600秒が更に好ましい。
レジスト膜の膜厚は、一般的には200nm以下であり、100nm以下が好ましい。
例えば30nm以下のサイズの1:1ラインアンドスペースパターンを解像させるためには、レジスト膜の膜厚は、50nm以下が好ましい。膜厚が50nm以下であれば、後述する現像工程を適用した際に、パターン倒れがより起こりにくくなり、より優れた解像性能が得られる。
膜厚は、エッチング耐性と解像性がより優れる点で、15~45nmが好ましく、15~40nmが好ましい。
〔(ii)露光工程〕
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法において、上述した(i)成膜工程、(ii)露光工程、及び(iii)処理工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜用いることができる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用できる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むものが好ましい。
保護膜の膜厚は、10~200nmが好ましく、20~100nmがより好ましく、40~80nmが更に好ましい。
レジスト膜を形成する支持体は、特に制限されるものではなく、IC等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を用いることができる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30~1000秒が好ましく、60~800秒がより好ましく、60~600秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光(EUV)、X線、及び電子線等が挙げられる。これらのなかでも遠紫外光が好ましく、その波長は250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1~200nmが更に好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、又は電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましく、EUV又は電子線がより好ましい。
〔(iii)露光された膜を処理する工程〕
(iii)露光された膜を処理する工程は、通常、(vi)現像液によって現像する現像工程(現像工程)と、(vii)リンス液によって洗浄するリンス工程(リンス工程)を含む。
本発明の処理液は、現像工程における現像液として使用されてもよいし、リンス工程におけるリンス液として使用されてもよい。なかでも、リンス工程におけるリンス液として使用されることが好ましい。
本発明の処理液をリンス工程におけるリンス液として使用する場合、現像工程における現像液としては、本発明の処理液以外のその他の処理液を使用することが好ましい。
<現像工程>
現像工程は、露光された上記レジスト膜を現像液によって現像する工程である。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、又は一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
また、現像工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
現像時間としては、通常は10~300秒であり、20~120秒が好ましい。
現像液の温度としては、0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
現像液としては、上述した処理液を使用してもよいし、その他の現像液を使用してもよいが、その他の現像液を使用することが好ましい。
処理液を用いた現像に加えて、アルカリ現像液による現像を行ってもよい(いわゆる二重現像)。
(その他の現像液)
以下において、その他の現像液について説明する。
現像液に使用される有機溶剤の蒸気圧(混合溶媒である場合は全体としての蒸気圧)は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下が更に好ましい。有機溶剤の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上又は現像カップ内での蒸発が抑制され、基板面内の温度均一性が向上し、結果として基板面内の寸法均一性が良化する。
現像液に使用される有機溶剤としては特に制限されないが、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤等の溶剤が挙げられる。
現像液としては、なかでも、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選ばれる溶剤を1種以上含むことが好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル、酢酸3-メチルブチル)、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、酢酸イソヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、ブタン酸イソブチル、ブタン酸ペンチル、ブタン酸ヘキシル、イソブタン酸イソブチル、ペンタン酸プロピル、ペンタン酸イソプロピル、ペンタン酸ブチル、ペンタン酸ペンチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸イソブチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、ヘプタン酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクロヘプチル、酢酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸シクロペンチル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、及びプロピル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられる。
なかでも、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、又はブタン酸ブチルが好ましく、酢酸イソアミルがより好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、及びγ-ブチロラクトン等が挙げられ、2-ヘプタノンが好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、tert―ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-デカノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、5-メチル-2-ヘキサノール、4-メチル-2-ヘキサノール、4,5-ジチル-2-ヘキサール、6-メチル-2-ヘプタノール、7-メチル-2-オクタノール、8-メチル-2-ノナール、9-メチル-2-デカノール、及び3-メトキシ-1-ブタノール等のアルコール(1価のアルコール);エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1-メトキシ-2-プロパノール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノフェニルエーテル等の水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤;等が挙げられ、グリコールエーテル系溶剤が好ましい。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤の他、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテル等の水酸基を含まないグリコールエーテル系溶剤;アニソール、及びフェネトール等の芳香族エーテル溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及びイソプロピルエーテル等が挙げられる。なかでも、グリコールエーテル系溶剤、及びアニソール等の芳香族エーテル溶剤が好ましい。
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルヘキサン、パーフルオロヘキサン、及びパーフルオロヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1-メチルプロピルベンゼン、2-メチルプロピルベンゼン、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、及びジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;が挙げられる。
また、炭化水素系溶剤としては、不飽和炭化水素系溶剤も用いることができ、例えば、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、及びヘキサデセン等の不飽和炭化水素系溶剤が挙げられる。不飽和炭化水素溶剤が有する二重結合又は三重結合の数は特に制限されず、また、炭化水素鎖のどの位置に有してもよい。また、不飽和炭化水素溶剤が二重結合を有する場合には、cis体及びtrans体が混在していてもよい。
なお、炭化水素系溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤においては、同じ炭素数で異なる構造の化合物の混合物であってもよい。例えば、脂肪族炭化水素系溶媒としてデカンを使用した場合、同じ炭素数で異なる構造の化合物である2-メチルノナン、2,2-ジメチルオクタン、4-エチルオクタン、及びイソオクタン等が脂肪族炭化水素系溶媒に含まれていてもよい。
また、上記同じ炭素数で異なる構造の化合物は、1種のみが含まれていてもよいし、上記のように複数種含まれていてもよい。
現像液としては、上述した露光工程においてEUV光及び電子線を用いる場合にレジスト膜の膨潤をより抑制できるという点で、炭素数が6以上(6~14が好ましく、6~12がより好ましく、6~10が更に好ましい)、且つヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤が好ましい。
上記ヘテロ原子としては、炭素原子及び水素原子以外の原子であればよく、例えば、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子数は、2以下が好ましい。
炭素数が6以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤の具体例としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、イソブタン酸ブチル、及びイソブタン酸イソブチルからなる群より選ばれるものが好ましく、酢酸イソアミル又はイソブタン酸ブチルがより好ましい。
現像液としては、上述した露光工程においてEUV光及び電子線を用いる場合において、レジスト膜の膨潤の抑制をより抑制する点で、上述した炭素原子数が6以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤に代えて、エステル系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤、又は、ケトン系溶剤及び炭化水素溶剤の混合溶剤を用いてもよい。
上記混合溶剤において、炭化水素系溶剤の含有量は、レジスト膜の溶剤溶解性に依存するため特に制限されず、適宜調製して必要量を決定すればよい。
エステル系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤において、エステル系溶剤としては、酢酸イソアミルが好ましい。炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調整しやすい点で、飽和炭化水素溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、及びヘキサデカン等)が好ましい。
ケトン系溶剤及び炭化水素系溶剤の混合溶剤において、ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネート等が挙げられ、ジイソブチルケトン、又は2,5-ジメチル-4-ヘキサノンが好ましい。炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調整しやすい点で、飽和炭化水素溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、及びヘキサデカン等)が好ましい。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、実質的に水分を含まないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
界面活性剤の含有量は現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。塩基性化合物の具体例としては、後述するレジスト組成物に含まれ得る酸拡散制御剤として例示する化合物が挙げられる。
現像液として用いる有機溶剤としては、上述したエステル系溶剤以外に、下記一般式(S1)又は下記一般式(S2)で表されるエステル系溶剤も好ましい。
上記エステル系溶剤としては、一般式(S1)で表されるエステル系溶剤がより好ましく、酢酸アルキルが更に好ましく、酢酸ブチル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、又は酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル)が特に好ましい。
R-C(=O)-O-R’ 一般式(S1)
一般式(S1)に於いて、R及びR’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R及びR’は、互いに結合して環を形成してもよい。
R及びR’で表されるアルキル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基の炭素数としては1~15が好ましく、シクロアルキル基の炭素数としては3~15が好ましい。
R及びR’で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基、並びに、RとR’とが互いに結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボニル基を含む基(例えば、アシル基、アルデヒド基、及びアルコキシカルボニル等)、及びシアノ基等が挙げられる。
R及びR’としては、なかでも、水素原子又はアルキル基が好ましい。
一般式(S1)で表される溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、及び2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。
これらのなかでも、R及びR’としては、無置換のアルキル基が好ましい。
一般式(S1)で表される溶剤としては、酢酸アルキルが好ましく、酢酸ブチル、酢酸アミル(酢酸ペンチル)、又は酢酸イソアミル(酢酸イソペンチル)がより好ましく、酢酸イソアミルが更に好ましい。
現像液が一般式(S1)で表される溶剤を含む場合、現像液は更に他の有機溶剤(以下「併用溶剤」ともいう。)を1種以上含んでいてもよい。併用溶剤としては、一般式(S1)で表される溶剤に分離することなく混合できれば特に制限はなく、一般式(S1)で表される溶剤以外のエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群から選択される溶剤が挙げられる。
併用溶剤は1種でも2種以上であってもよいが、安定した性能を得る上では、1種が好ましい。
現像液が一般式(S1)で表される溶剤と1種の併用溶剤との混合溶剤である場合、一般式(S1)で表される溶剤と併用溶剤の混合比は、質量比で、通常20:80~99:1であり、50:50~97:3が好ましく、60:40~95:5がより好ましく、60:40~90:10が更に好ましい。
現像液として用いる有機溶剤としては、下記一般式(S2)で表される溶剤も好ましい。
R’’-C(=O)-O-R’’’-O-R’’’’ 一般式(S2)
一般式(S2)に於いて、R’’及びR’’’’は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R’’及びR’’’’は、互いに結合して環を形成してもよい。
R’’及びR’’’’としては、水素原子又はアルキル基が好ましい。
R’’及びR’’’’で表されるアルキル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基の炭素数としては1~15が好ましく、シクロアルキル基の炭素数としては3~15が好ましい。
R’’’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、アルキレン基が好ましい。R’’’で表されるアルキレン基の炭素数としては1~10が好ましく、R’’’で表されるシクロアルキレン基の炭素数としては3~10が好ましい。
なお、R’’’で表されるアルキレン基としては、アルキレン鎖中にエーテル結合を有していてもよい。
R’’及びR’’’’で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基、R’’’ で表されるアルキレン基及びシクロアルキレン基、並びに、R’’とR’’’’とが互いに結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、水酸基、カルボニル基を含む基(例えば、アシル基、アルデヒド基、及びアルコキシカルボニル等)、及びシアノ基等が挙げられる。
一般式(S2)で表される溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、及び4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート等が挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
これらのなかでも、R’’及びR’’’’が無置換のアルキル基であり、R’’’が無置換のアルキレン基であることが好ましく、R’’及びR’’’’がメチル基及びエチル基のいずれかであることがより好ましく、R’’及びR’’’’がメチル基であることが更により好ましい。
現像液が一般式(S2)で表される溶剤を含む場合、現像液は更に他の有機溶剤(以下「併用溶剤」ともいう。)を1種以上含んでいてもよい。併用溶剤としては、一般式(S2)で表される溶剤に分離することなく混合できれば特に制限はなく、一般式(S2)で表される溶剤以外のエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群から選択される溶剤が挙げられる。
併用溶剤は1種でも2種以上であってもよいが、安定した性能を得る上では、1種が好ましい。
現像液が一般式(S2)で表される溶剤と1種の併用溶剤との混合溶剤である場合、一般式(S2)で表される溶剤と併用溶剤の混合比は、質量比で、通常20:80~99:1であり、50:50~97:3が好ましく、60:40~95:5がより好ましく、60:40~90:10が更に好ましい。
また、現像液として用いる有機溶剤としては、芳香環を一つ以上含むエーテル系溶剤も好ましく、下記一般式(S3)で表される溶剤がより好ましく、アニソールが更に好ましい。
Figure 0007242836000001
一般式(S3)において、Rは、アルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1~4が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
(リンス工程)
リンス工程は、上記現像工程の後にリンス液によって洗浄(リンス)する工程である。
リンス工程においては、現像を行った基板を上記のリンス液を用いて洗浄処理する。
洗浄処理の方法は特に制限されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転吐出法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、このなかでも回転吐出方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm~4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
リンス時間としては、通常は10秒~300秒であり、10秒~180秒が好ましく、20秒~120秒がより好ましい。
リンス液の温度としては、0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
さらに、現像処理、リンス処理、又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する溶剤を除去するために乾燥処理を実施してもよい。
乾燥温度は、通常、40~160℃であり、50~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。
乾燥時間としては、通常、15~300秒であり、15~180秒が好ましい。
本発明のパターン形成方法においては、現像液及びリンス液の少なくとも一方に本発明の処理液が使用される。なかでも、本発明の処理液がリンス液として使用されることが好ましい。
例えば、現像工程における現像液としてエステル系溶剤を使用し、リンス工程におけるリンス液として本発明の処理液を使用してパターン形成を実施する場合、露光後のレジスト膜に対する現像液とリンス液の供給間隔を1秒以上あけることが好ましい。現像液とリンス液の供給間隔を所定時間以上あけることで、露光後のレジスト膜の未露光領域の溶解性の悪化が抑制でき、且つ、ソルベントショックによる欠陥増加を抑制できる。
また、一般的に、現像液及びリンス液は、使用後に配管を通して共通の廃液タンクに収容される。その際、現像工程における現像液としてエステル系溶剤を使用し、リンス工程におけるリンス液として本発明の処理液を使用すると、現像液中に溶解したレジストが析出してしまい、基板の背面や、配管側面などに付着してしまい、装置を汚してしまう恐れがある。
上記問題を解決するためには、再度、レジストが溶解する溶剤を配管に通す方法がある。配管に通す方法としては、リンス液での洗浄後に基板の背面や側面などをレジストが溶解する溶剤で洗浄して流す方法や、レジストに接触させずにレジストが溶解する溶剤を配管を通るように流す方法が挙げられる。
配管に通す溶剤としては、レジストを溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば上述した現像液として用いられる有機溶剤が挙げられる。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-ヘプタノン、乳酸エチル、1-プロパノール、アセトン等が挙げられる。なかでも、PGMEA、PGME、又はシクロヘキサノンが好ましい。
また、上記問題を解決するその他の方法としては、使用後に配管を通して廃液タンクへ流される廃液中にてレジストの析出が生じることを未然に防ぐため、使用後に配管に流される現像液とリンス液の量比をレジストが析出しない量比に調整する方法、及び、使用後に配管に流される現像液及びリンス液に、更にレジストに対して高溶解性の溶剤を混合する方法が挙げられる。具体的な方法としては、例えば、現像工程及びリンス工程の間、本発明の処理液中に含まれる第一の有機溶剤よりもSP値が高い有機溶剤をウエハの背面に連続して供給することで、使用後に配管を通して廃液タンクへ流される廃液中でのレジストの析出・沈殿を抑制する方法が挙げられる。
更に、現像液及びリンス液は、使用後に各々別の廃液タンクに収容されることも好ましい。
例えば、現像工程における現像液としてエステル系溶剤を使用し、リンス工程におけるリンス液として本発明の処理液を使用してパターン形成を実施する場合、使用後に配管を通して共通の廃液タンクに収容されると、現像液中に溶解した樹脂等のレジスト組成物に含まれる成分が析出(沈殿・固体化)してしまい、装置の汚染を引き起こし得る。具体的には、析出した成分によって、廃液配管の詰まりのほか、処理チャンバー内の汚染が発生する。上記問題を解決するためには、現像液及びリンス液は、使用後に配管切り替えにより、又は、処理チャンバーの切り替えにより、各々別の廃液タンクに収容されることが好ましい。また、処理チャンバー内は、処理チャンバー内に付着し得るレジスト成分を除去すべく、処理後に、本発明の処理液に含まれる第一の有機溶剤よりもSP値が高い溶剤で洗浄されることが好ましい。
〔レジスト組成物〕
次に、本発明の処理液を組み合わせて用いることが好ましいレジスト組成物について詳細に説明する。
<樹脂(A)>
レジスト組成物は、酸の作用により分解して極性が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「樹脂(A)」ともいう)を含む。
つまり、本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
樹脂(A)は、通常、酸の作用により分解し極性が増大する基(以下、「酸分解性基」ともいう)を含み、酸分解性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫
酸分解性基とは、酸の作用により分解して極性基を生じる基をいう。酸分解性基は、酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有することが好ましい。つまり、樹脂(A)は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する。この繰り返し単位を有する樹脂は、酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解度が増大し、有機溶剤に対する溶解度が減少する。
極性基としては、アルカリ可溶性基が好ましく、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基、並びにアルコール性水酸基等が挙げられる。
なかでも、極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又はスルホン酸基が好ましい。
酸の作用により脱離する脱離基としては、例えば、式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられる。
式(Y1):-C(Rx)(Rx)(Rx
式(Y2):-C(=O)OC(Rx)(Rx)(Rx
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
式(Y1)及び式(Y2)中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)、アルケニル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又はアリール基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
なかでも、Rx~Rxは、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すことが好ましく、Rx~Rxは、それぞれ独立に、直鎖状のアルキル基を表すことがより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等の炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びにノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等が挙げられる。
Rx~Rxのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成される環としては、シクロアルキル基が好ましい。Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくは、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくは、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基、又はビニリデン基で置き換わっていてもよい。また、これらのシクロアルキル基は、シクロアルカン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
式(Y3)中、R36~R38は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R37とR38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基等が挙げられる。R36は水素原子であることも好ましい。
なお、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基には、酸素原子等のヘテロ原子及び/又はカルボニル基等のヘテロ原子を有する基が含まれていてもよい。例えば、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、例えば、メチレン基の1つ以上が、酸素原子等のヘテロ原子及び/又はカルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
また、R38は、繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基と互いに結合して、環を形成してもよい。R38と繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基とが互いに結合して形成する基は、メチレン基等のアルキレン基が好ましい。
式(Y3)としては、下記式(Y3-1)で表される基が好ましい。
Figure 0007242836000002
ここで、L及びLは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とアリール基とを組み合わせた基)を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又はこれらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又はカルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
なお、L及びLのうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、及びLの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、Lが2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基又はアダマンタン基が挙げられる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)及び活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
式(Y4)中、Arは、芳香環基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arはより好ましくはアリール基である。
繰り返し単位の酸分解性が優れる点から、極性基を保護する脱離基において、極性基(又はその残基)に非芳香族環が直接結合している場合、上記非芳香族環中の、上記極性基(又はその残基)と直接結合している環員原子に隣接する環員原子は、置換基としてフッ素原子等のハロゲン原子を有さないのも好ましい。
酸の作用により脱離する脱離基は、他にも、3-メチル-2-シクロペンテニル基のような置換基(アルキル基等)を有する2-シクロペンテニル基、及び、1,1,4,4-テトラメチルシクロヘキシル基のような置換基(アルキル基等)を有するシクロヘキシル基でもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(A)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 0007242836000003
は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表し、Rは水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表し、Rは酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。ただし、L、R、及びRのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はヨウ素原子を有する。
は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表す。フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基としては、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO-、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等)、及びこれらの複数が連結した連結基等が挙げられる。なかでも、Lとしては、-CO-、又は-アリーレン基-フッ素原子若しくはヨウ素原子を有するアルキレン基-が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキレン基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、2以上が好ましく、2~10がより好ましく、3~6が更に好ましい。
は、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子が有していてもよいアルキル基、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表す。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキル基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、1以上が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
上記アルキル基は、ハロゲン原子以外の酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
は、酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。
なかでも、脱離基としては、式(Z1)~(Z4)で表される基が挙げられる。
式(Z1):-C(Rx11)(Rx12)(Rx13
式(Z2):-C(=O)OC(Rx11)(Rx12)(Rx13
式(Z3):-C(R136)(R137)(OR138
式(Z4):-C(Rn)(H)(Ar
式(Z1)、(Z2)中、Rx11~Rx13は、それぞれ独立に、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基(単環若しくは多環)、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルケニル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx11~Rx13の全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx11~Rx13のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx11~Rx13は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい点以外は、上述した(Y1)、(Y2)中のRx~Rxと同じであり、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、及びアリール基の定義及び好適範囲と同じである。
式(Z3)中、R136~R138は、それぞれ独立に、水素原子、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基を表す。R137とR138とは、互いに結合して環を形成してもよい。フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基としては、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアリール基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアラルキル基、及びこれらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)が挙げられる。
なお、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基には、フッ素原子及びヨウ素原子以外に、酸素原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。つまり、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又はカルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
また、R138は、繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基と互いに結合して、環を形成してもよい。この場合、R138と繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基とが互いに結合して形成する基は、メチレン基等のアルキレン基が好ましい。
式(Z3)としては、下記式(Z3-1)で表される基が好ましい。
Figure 0007242836000004
ここで、L11及びL12は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアリール基;又はこれらを組み合わせた基(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるアリール基;アミノ基;アンモニウム基;メルカプト基;シアノ基;アルデヒド基;又はこれらを組み合わせた基(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
式(Y4)中、Arは、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい芳香環基を表す。Rnは、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、一般式(AI)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 0007242836000005
一般式(AI)において、
Xaは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状、又は分岐鎖状)、シクロアルキル基(単環若しくは多環)、アルケニル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又はアリール(単環若しくは多環)基を表す。ただし、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状、又は分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環(単環又は多環のシクロアルキル基等)を形成してもよい。
Xaにより表される、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基又は-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基又は1価の有機基を表し、例えば、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアシル基、及びハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルコキシ基が挙げられ、炭素数3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xaとしては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はヒドロキシメチル基が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、芳香環基、-COO-Rt-基、及び-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH-基、-(CH-基、又は-(CH-基がより好ましい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等が挙げられる。
Rx~Rxのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基、又はビニリデン基で置き換わっていてもよい。また、これらのシクロアルキル基は、シクロアルカン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及びアルコキシカルボニル基(炭素数2~6)等が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xaが水素原子又はメチル基を表し、且つ、Tが単結合を表す繰り返し単位)である。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、15モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、25モル%以上が更に好ましく、30モル%以上が特に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、90モル%以下好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%が更により好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、式中、XaはH、CH、CF、及びCHOHのいずれか、Rxa及びRxbはそれぞれ炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
Figure 0007242836000006
Figure 0007242836000007
Figure 0007242836000008
Figure 0007242836000009
Figure 0007242836000010
樹脂(A)は、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
例えば、樹脂(A)は、以下のA群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位、及び/又は以下のB群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含んでいてもよい。
A群:以下の(20)~(29)の繰り返し単位からなる群。
(20)後述する、酸基を有する繰り返し単位
(21)後述する、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位
(22)後述する、ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位
(23)後述する、光酸発生基を有する繰り返し単位
(24)後述する、一般式(V-1)又は下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位
(25)後述する、式(A)で表される繰り返し単位
(26)後述する、式(B)で表される繰り返し単位
(27)後述する、式(C)で表される繰り返し単位
(28)後述する、式(D)で表される繰り返し単位
(29)後述する、式(E)で表される繰り返し単位
B群:以下の(30)~(32)の繰り返し単位からなる群。
(30)後述する、ラクトン基、スルトン基、カーボネート基、水酸基、シアノ基、及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位
(31)後述する、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位
(32)後述する、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位
レジスト組成物がEUV用途で用いられる場合、樹脂(A)は上記A群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
また、レジスト組成物がEUV用途で用いられる場合、樹脂(A)は、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含むことが好ましい。樹脂(A)がフッ素原子及びヨウ素原子の両方を含む場合、樹脂(A)は、フッ素原子及びヨウ素原子の両方を含む1つの繰り返し単位を有していてもよいし、樹脂(A)は、フッ素原子を有する繰り返し単位とヨウ素原子を含む繰り返し単位との2種を含んでいてもよい。
また、レジスト組成物がEUV用途で用いられる場合、樹脂(A)が、芳香族基を有する繰り返し単位を有するのも好ましい。
レジスト組成物がArF用途で用いられる場合、樹脂(A)は上記B群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
また、レジスト組成物がArF用途で用いられる場合、樹脂(A)は、フッ素原子及び珪素原子のいずれも含まないことが好ましい。
また、組成物がArF用途で用いられる場合、樹脂(A)は、芳香族基を有さないことが好ましい。
≪酸基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
酸基としては、pKaが13以下の酸基が好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、又はイソプロパノール基等が好ましい。
また、上記ヘキサフルオロイソプロパノール基は、フッ素原子の1つ以上(好ましくは1~2つ)が、フッ素原子以外の基(アルコキシカルボニル基等)で置換されてもよい。このように形成された-C(CF)(OH)-CF-も、酸基として好ましい。また、フッ素原子の1つ以上がフッ素原子以外の基に置換されて、-C(CF)(OH)-CF-を含む環を形成してもよい。
酸基を有する繰り返し単位は、上述の酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有する繰り返し単位、及び後述するラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であるのが好ましい。
酸基を有する繰り返し単位は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい。
酸基を有する繰り返し単位としては、式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007242836000011
は、水素原子、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基を表す。
フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基としては、-L-Rで表される基が好ましい。Lは、単結合、又はエステル基を表す。Rは、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基、又はこれらを組み合わせた基が挙げられる。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。
は、単結合、又はエステル基を表す。
は、(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基、又は(n+m+1)価の脂環式炭化水素環基を表す。芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環基、及びナフタレン環基が挙げられる。脂環式炭化水素環基としては、単環であっても、多環であってもよく、例えば、シクロアルキル環基が挙げられる。
は、水酸基、又はフッ素化アルコール基(好ましくは、ヘキサフルオロイソプロパノール基)を表す。なお、Rが水酸基の場合、Lは(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
は、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
mは、1以上の整数を表す。mは、1~3の整数が好ましく、1~2の整数が好ましい。
nは、0又は1以上の整数を表す。nは、1~4の整数が好ましい。
なお、(n+m+1)は、1~5の整数が好ましい。
酸基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(I)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 0007242836000012
一般式(I)中、
41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)におけるR41、R42、及びR43のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以下のアルキル基が更に好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及びR43のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。なかでも、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の炭素数3~8個で単環型のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及びR43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及びR43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、R43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及びアントラセニレン基等の炭素数6~18のアリーレン基、又はチオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、及びチアゾール環等のヘテロ環を含む2価の芳香環基が好ましい。なお、上記芳香環基は、置換基を有していてもよい。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n-1)個の任意の水素原子を除してなる基が挙げられる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基、及び(n+1)価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、一般式(I)におけるR41、R42、及びR43で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及びブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
により表される-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。
としては、単結合、-COO-、又は-CONH-が好ましく、単結合、又は-COO-がより好ましい。
におけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及びオクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい。
Arとしては、炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及びビフェニレン環基がより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。即ち、Arは、ベンゼン環基であることが好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007242836000013
一般式(1)中、
Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、置換基を表す。Rで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基が好ましい。なお、式中、Rが複数個存在する場合には、互いに同じであっても異なっていてもよいし、複数個のR同士が互いに結合して環を形成してもよい。
aは、1~3の整数を表す。
bは、0~(5-a)の整数を表す。
以下、酸基を有する繰り返し単位を以下に例示する。式中、aは1又は2を表す。
Figure 0007242836000014
Figure 0007242836000015
Figure 0007242836000016
なお、上記繰り返し単位のなかでも、以下に具体的に記載する繰り返し単位が好ましい。式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは2又は3を表す。
Figure 0007242836000017
Figure 0007242836000018
酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5モル%以上が好ましく、10モル%以上が好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更に好ましい。
≪フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、上述した≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫及び≪酸基を有する繰り返し単位≫とは別に、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位を有していてもよい。また、ここで言う≪フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位≫は、後述の≪ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位≫、及び≪光酸発生基を有する繰り返し単位≫等の、A群に属する他の種類の繰り返し単位とは異なるのが好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位としては、式(C)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007242836000019
は、単結合、又はエステル基を表す。
は、水素原子、又はフッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。
10は、水素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基、又はこれらを組み合わせた基を表す。
フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位を以下に例示する。
Figure 0007242836000020
フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、その上限値としては、50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更に好ましい。
なお、上述したように、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位には、≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫及び≪酸基を有する繰り返し単位≫は含まれないことから、上記フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量も、≪酸分解性基を有する繰り返し単位≫及び≪酸基を有する繰り返し単位≫を除いたフッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量を意図する。
樹脂(A)の繰り返し単位のうち、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含む繰り返し単位の合計含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上が更に好ましい。上限値は特に制限されないが、例えば、100モル%以下である。
なお、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含む繰り返し単位としては、例えば、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、且つ、酸分解性基を有する繰り返し単位、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、且つ、酸基を有する繰り返し単位、及びフッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位が挙げられる。
≪ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、ラクトン基、スルトン基、及びカーボネート基からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位(以下、総称して「ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位」とも言う)を有していてもよい。
ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位は、ヘキサフルオロプロパノール基等の酸基を有さないのも好ましい。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればよい。ラクトン構造又はスルトン構造は、5~7員環ラクトン構造又は5~7員環スルトン構造が好ましい。なかでも、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5~7員環ラクトン構造に他の環構造が縮環しているもの、又はビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5~7員環スルトン構造に他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。
樹脂(A)は、下記一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は下記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造の環員原子から、水素原子を1つ以上引き抜いてなるラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
また、ラクトン基又はスルトン基が主鎖に直接結合していてもよい。例えば、ラクトン基又はスルトン基の環員原子が、樹脂(A)の主鎖を構成してもよい。
Figure 0007242836000021
上記ラクトン構造又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び酸分解性基等が挙げられる。n2は、0~4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRbは、異なっていてもよく、また、複数存在するRb同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造又は一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
Figure 0007242836000022
一般式(AI)中、Rbは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
Rbのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、及びハロゲン原子が挙げられる。
Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。Rbは、水素原子又はメチル基が好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。なかでも、単結合、又は-Ab-CO-で表される連結基が好ましい。Abは、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は単環若しくは多環のシクロアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、又はノルボルニレン基が好ましい。
Vは、一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造の環員原子から水素原子を1つ引き抜いてなる基、又は一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造の環員原子から水素原子を1つ引き抜いてなる基を表す。
ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位に、光学異性体が存在する場合、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)は90以上が好ましく、95以上がより好ましい。
カーボネート基としては、環状炭酸エステル基が好ましい。
環状炭酸エステル基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007242836000023
一般式(A-1)中、R は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
nは0以上の整数を表す。
は、置換基を表す。nが2以上の場合、複数存在するR は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。上記2価の連結基としては、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基が好ましい。
Zは、式中の-O-CO-O-で表される基と共に単環又は多環を形成する原子団を表す。
ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位を以下に例示する。
Figure 0007242836000024
Figure 0007242836000025
Figure 0007242836000026
ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、その上限値は特に制限されないが、65モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下が更に好ましく、20モル%以下が特により好ましい。
≪光酸発生基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、上記以外の繰り返し単位として、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(以下「光酸発生基」ともいう)を有する繰り返し単位を有していてもよい。
この場合、この光酸発生基を有する繰り返し単位が、後述する活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「光酸発生剤」ともいう。)にあたると考えることができる。
このような繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000027
41は、水素原子又はメチル基を表す。L41は、単結合、又は2価の連結基を表す。L42は、2価の連結基を表す。R40は、活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生させる構造部位を表す。
光酸発生基を有する繰り返し単位を以下に例示する。
Figure 0007242836000028
Figure 0007242836000029
そのほか、一般式(4)で表される繰り返し単位としては、例えば、特開2014-041327号公報の段落[0094]~[0105]に記載された繰り返し単位が挙げられる。
光酸発生基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
≪一般式(V-1)又は下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位≫
樹脂(A)は、下記一般式(V-1)、又は下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
下記一般式(V-1)、及び下記一般式(V-2)で表される繰り返し単位は上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であるのが好ましい。
Figure 0007242836000030
式中、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR又は-COOR:Rは炭素数1~6のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。アルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が好ましい。
は、0~6の整数を表す。
は、0~4の整数を表す。
は、メチレン基、酸素原子、又は硫黄原子である。
一般式(V-1)又は(V-2)で表される繰り返し単位を以下に例示する。
Figure 0007242836000031
≪主鎖の運動性を低下させるための繰り返し単位≫
樹脂(A)は、発生酸の過剰な拡散又は現像時のパターン崩壊を抑制できる観点から、ガラス転移温度(Tg)が高い方が好ましい。Tgは、90℃より大きいことが好ましく、100℃より大きいことがより好ましく、110℃より大きいことが更に好ましく、125℃より大きいことが特に好ましい。なお、過度な高Tg化は現像液への溶解速度低下を招くため、Tgは400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。
なお、本明細書において、樹脂(A)等のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、以下の方法で算出する。まず、ポリマー中に含まれる各繰り返し単位のみからなるホモポリマーのTgを、Bicerano法によりそれぞれ算出する。以後、算出されたTgを、「繰り返し単位のTg」という。次に、ポリマー中の全繰り返し単位に対する、各繰り返し単位の質量割合(%)を算出する。次に、Foxの式(Materials Letters 62(2008)3152等に記載)を用いて各質量割合におけるTgを算出して、それらを総和して、ポリマーのTg(℃)とする。
Bicerano法はPrediction of polymer properties, Marcel Dekker Inc, New York(1993)等に記載されている。またBicerano法によるTgの算出は、ポリマーの物性概算ソフトウェアMDL Polymer(MDL Information Systems, Inc.)を用いて行うことができる。
樹脂(A)のTgを大きくする(好ましくは、Tgを90℃超とする)には、樹脂(A)の主鎖の運動性を低下させることが好ましい。樹脂(A)の主鎖の運動性を低下させる方法は、以下の(a)~(e)の方法が挙げられる。
(a)主鎖への嵩高い置換基の導入
(b)主鎖への複数の置換基の導入
(c)主鎖近傍への樹脂(A)間の相互作用を誘発する置換基の導入
(d)環状構造での主鎖形成
(e)主鎖への環状構造の連結
なお、樹脂(A)は、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位の種類は特に制限されず、Bicerano法により算出されるホモポリマーのTgが130℃以上である繰り返し単位であればよい。なお、後述する式(A)~式(E)で表される繰り返し単位中の官能基の種類によっては、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位に該当する。
(式(A)で表される繰り返し単位)
上記(a)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(A)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
Figure 0007242836000032
式(A)、Rは、多環構造を有する基を表す。Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。多環構造を有する基とは、複数の環構造を有する基であり、複数の環構造は縮合していても、縮合していなくてもよい。
式(A)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000033
Figure 0007242836000034
Figure 0007242836000035
上記式中、Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’:R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、Raで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
また、R’及びR’’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’:R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’及びR’’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、―COO-、-CO-、-O-、-S―、-SO-、-SO-、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及びこれらの複数が連結した連結基等が挙げられる。
m及びnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。m及びnの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
(式(B)で表される繰り返し単位)
上記(b)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(B)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
Figure 0007242836000036
式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rb1~Rb4のうち少なくとも2つ以上が有機基を表す。
また、有機基の少なくとも1つが、繰り返し単位中の主鎖に直接環構造が連結している基である場合、他の有機基の種類は特に制限されない。
また、有機基のいずれも繰り返し単位中の主鎖に直接環構造が連結している基ではない場合、有機基の少なくとも2つ以上は、水素原子を除く構成原子の数が3つ以上である置換基である。
式(B)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000037
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基、等の有機基が挙げられる。
R’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
(式(C)で表される繰り返し単位)
上記(c)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(C)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
Figure 0007242836000038
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つが、主鎖炭素から原子数3以内に水素結合性の水素原子を有する基である。なかでも、樹脂(A)の主鎖間の相互作用を誘発するうえで、原子数2以内(より主鎖近傍側)に水素結合性の水素原子を有することが好ましい。
式(C)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000039
上記式中、Rは有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、及びエステル基(-OCOR又は-COOR:Rは炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)等が挙げられる。
R’は、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基、等の有機基が挙げられる。なお、有機基中の水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
(式(D)で表される繰り返し単位)
上記(d)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(D)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
Figure 0007242836000040
式(D)中、「cylic」は、環状構造で主鎖を形成している基を表す。環の構成原子数は特に制限されない。
式(D)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000041
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、Rで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
上記式中、R’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
(式(E)で表される繰り返し単位)
上記(e)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(E)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
Figure 0007242836000042
式(E)中、Reは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基等が挙げられる。
「cylic」は、主鎖の炭素原子を含む環状基である。環状基に含まれる原子数は特に制限されない。
式(E)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000043
Figure 0007242836000044
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、Rで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及びアルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又はカルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
また、式(E-2)、式(E-4)、式(E-6)、及び式(E-8)中、2つRは互いに結合して環を形成していてもよい。
式(E)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、60モル%以下が好ましく55モル%以下がより好ましい。
≪ラクトン基、スルトン基、カーボネート基、水酸基、シアノ基、及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位≫
樹脂(A)は、ラクトン基、スルトン基、カーボネート基、水酸基、シアノ基、及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)が有するラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位としては、上述した≪ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位≫で説明した繰り返し単位が挙げられる。好ましい含有量も上述した≪ラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位≫で説明した通りである。
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)~(AIId)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0007242836000045
一般式(AIIa)~(AIId)において、
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
2c~R4cは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c~R4cのうちの少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c~R4cの内の1つ又は2つが水酸基で、残りが水素原子である。より好ましくは、R2c~R4cの内の2つが水酸基で、残りが水素原子である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0007242836000046
樹脂(A)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。樹脂(A)がアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含むことにより、コンタクトホール用途での解像性が増す。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、又は連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位が挙げられる。なお、連結基は、単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位が好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、0モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましい。その上限値としては、20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、RxはH、CH、CHOH又はCFを表す。
Figure 0007242836000047
ラクトン基、水酸基、シアノ基、及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位として、ラクトン基、水酸基、シアノ基、及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも2つを有する繰り返し単位が好ましく、シアノ基とラクトン基を有する繰り返し単位がより好ましく、一般式(LC1-4)で表されるラクトン構造にシアノ基が置換した構造を有する繰り返し単位が更に好ましい。
≪脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位≫
樹脂(A)は、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位等が挙げられる。
≪水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位≫
樹脂(A)は、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 0007242836000048
一般式(III)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は-CH-O-Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3~12(より好ましくは炭素数3~7)のシクロアルキル基、又は炭素数3~12のシクロアルケニル基が挙げられる。
多環式炭化水素基としては、環集合炭化水素基及び架橋環式炭化水素基が挙げられる。架橋環式炭化水素環としては、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、及び4環式炭化水素環等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環としては、5~8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
架橋環式炭化水素基として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、又はトリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基が好ましく、ノルボニル基又はアダマンチル基がより好ましい。
脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、及び保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、又はフッ素原子が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、又はt-ブチル基が好ましい。上記アルキル基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、又は保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
保護基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、及びアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
置換メチル基としては、メトキシメチル基、メトキシチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t-ブトキシメチル基、又は2-メトキシエトキシメチル基が好ましい。
置換エチル基としては、1-エトキシエチル基、又は1-メチル-1-メトキシエチル基が好ましい。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、及びピバロイル基等の炭素数1~6の脂肪族アシル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基が好ましい。
水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、一般式(III)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0~40モル%が好ましく、0~20モル%がより好ましい。
一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
Figure 0007242836000049
≪その他の繰り返し単位≫
更に、樹脂(A)は、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位を有してもよい。
例えば樹脂(A)は、オキサチアン環基を有する繰り返し単位、オキサゾロン環基を有する繰り返し単位、ジオキサン環基を有する繰り返し単位、及びヒダントイン環基を有する繰り返し単位からなる群から選択される繰り返し単位を有していてもよい。
このような繰り返し単位を以下に例示する。
Figure 0007242836000050
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性、及び感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有していてもよい。
樹脂(A)としては、(特に、組成物がArF用途で用いられる場合)繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されるのも好ましい。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができ、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成できる。
GPC法によりポリスチレン換算値として、樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000~200,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましく、5,000~15,000が更に好ましい。樹脂(A)の重量平均分子量を、1,000~200,000とすることにより、耐熱性及びドライエッチング耐性の劣化をより一層抑制できる。また、現像性の劣化、及び粘度が高くなって製膜性が劣化することもより一層抑制できる。
樹脂(A)の分散度(分子量分布)は、通常1~5であり、1~3が好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.2~2.0が更に好ましい。分散度が小さいものほど、解像度、及びレジスト形状がより優れ、更に、レジストパターンの側壁がよりスムーズであり、ラフネス性にもより優れる。
レジスト組成物において、樹脂(A)の含有量は、組成物の全固形分に対して、50~99.9質量%が好ましく、60~99.0質量%がより好ましい。
なお、固形分とは、組成物中の溶剤を除いた成分を意図し、溶剤以外の成分であれば液状成分であっても固形分とみなす。
また、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
<活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(光酸発生剤)>
レジスト組成物は、活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤《PAG:Photo Acid Generator》」ともいう)を含むことが好ましい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であっても良く、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、樹脂(A)の一部に組み込まれても良く、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
本発明において、光酸発生剤が、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤としては、公知のものであれば特に制限されないが、活性光線又は放射線、好ましくは電子線又は極紫外線の照射により、有機酸、例えば、スルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド、又はトリス(アルキルスルホニル)メチドの少なくともいずれかを発生する化合物が好ましい。
より好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007242836000051
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1~30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3~30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6~14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~7)、アシル基(好ましくは炭素数2~12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1~15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6~20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7~20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10~20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5~20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8~20)等を挙げることができる。
各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1~15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7~12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフルオロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4~8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、パーフルオロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが-1以下であることが、感度向上のために好ましい。
また、非求核性アニオンとしては、以下の一般式(AN1)で表されるアニオンも好ましい態様として挙げられる。
Figure 0007242836000052
式中、Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状の有機基を表す。
xは1~20の整数を表し、yは0~10の整数を表し、zは0~10の整数を表す。
一般式(AN1)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1~10であり、より好ましくは炭素数1~4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体例としては、フッ素原子、CF、C、C、C、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、なかでもフッ素原子、CFが好ましい。
特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
、Rのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1~4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。R、Rの置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、なかでもCFが好ましい。
、Rとしては、好ましくはフッ素原子又はCFである。
xは1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
yは0~4が好ましく、0がより好ましい。
zは0~5が好ましく、0~3がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に制限されず、―COO-、-OCO-、-CO-、-O-、-S―、-SO―、―SO-、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基などを挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO-、-OCO-、-CO-、-O-が好ましく、―COO-、-OCO-がより好ましい。
上記一般式(AN1)において、A以外の部分構造の組み合わせとして、SO3--CF-CH-OCO-、SO3--CF-CHF-CH-OCO-、SO3--CF-COO-、SO3--CF-CF-CH-、SO3--CF-CH(CF)-OCO-が好ましいものとして挙げられる。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に制限されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、露光後加熱工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(mask error enhancement factor)向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環が挙げられる。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環由来のものが挙げられる。なかでもフラン環、チオフェン環、ピリジン環由来のものが好ましい。
また、環状の有機基としては、ラクトン構造も挙げることができ、具体例としては、下記一般式(LC1-1)~(LC1-17)で表されるラクトン構造を挙げることができる。
Figure 0007242836000053
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1~12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3~20が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
なお、上記置換基は、上記(LC1-1)~(LC1-17)においてはRb2に相当する。また、上記(LC1-1)~(LC1-17)において、n2は0~4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRb2は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(ZI)において、R201、R202及びR203の有機基としては、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基などが挙げられる。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。R201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1~10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基等を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等を挙げることができる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~7)、アシル基(好ましくは炭素数2~12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~7)等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204~R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204~R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204~R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1~10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3~10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基)を挙げることができる。
204~R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204~R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~15)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
また、一般式(ZII)において、Zは非求核性アニオンを表す。具体的には、一般式(ZI)においてZとして説明したものと同じであり、好ましい形態も同じである。
以下、一般式(ZI)~(ZIII)の具体例を示すが、これに制限されない。
Figure 0007242836000054
本発明においては、上記光酸発生剤は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し解像性を良好にする観点から、電子線又は極紫外線の照射により、体積130Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であって、体積190Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが更に好ましく、体積400Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが特に好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は、2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることが更に好ましい。上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて求めた。すなわち、まず、各例に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算することができる。なお、1Åは、0.1nmを意味する。
本発明においては、活性光線又は放射線の照射により以下に例示する酸を発生する光酸発生剤が好ましい。なお、例の一部には、体積の計算値を付記している(単位Å)。なお、ここで求めた計算値は、アニオン部にプロトンが結合した酸の体積値である。
Figure 0007242836000055
Figure 0007242836000056
Figure 0007242836000057
光酸発生剤としては、特開2014-41328号公報段落<0368>~<0377>、特開2013-228681号公報段落<0240>~<0262>(対応する米国特許出願公開第2015/004533号明細書の<0339>)が援用でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、好ましい具体例として以下の化合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
Figure 0007242836000058
Figure 0007242836000059
Figure 0007242836000060
Figure 0007242836000061
光酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤のレジスト組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1~50質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、8~40質量%が更に好ましい。特に、電子線や極紫外線露光の際に高感度化及び高解像性を両立するには光酸発生剤の含有率は高い方が好ましい。上記観点からは、10~40質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましい。
<溶剤>
上述した各成分を溶解させてレジスト組成物を調製する際には、溶剤を使用できる。使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、炭素数4~10の環状ラクトン、炭素数4~10の、環を含んでいてもよいモノケトン化合物、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルを好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチルを好ましく挙げられる。
炭素数4~10の環状ラクトンとしては、例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、β-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-オクタノイックラクトン、α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンが好ましく挙げられる。
炭素数4~10の、環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2-ブタノン、3-メチルブタノン、ピナコロン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、2-メチル-3-ペンタノン、4,4-ジメチル-2-ペンタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、5-メチル-3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、3-ノナノン、5-ノナノン、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、5-ヘキセン-2-オン、3-ペンテン-2-オン、シクロペンタノン、2-メチルシクロペンタノン、3-メチルシクロペンタノン、2,2-ジメチルシクロペンタノン、2,4,4-トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、4-エチルシクロヘキサノン、2,2-ジメチルシクロヘキサノン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6-トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2-メチルシクロヘプタノン、3-メチルシクロヘプタノンが好ましく挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートが好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル、酢酸-2-(2-エトキシエトキシ)エチル、酢酸-3-メトキシ-3-メチルブチル、酢酸-1-メトキシ-2-プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
好ましく使用できる溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が挙げられる。具体的には、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸-2-エトキシエチル、酢酸-2-(2-エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含む溶剤と、水酸基を含まない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含む溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含まない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含む溶剤と水酸基を含まない溶剤との混合比(質量)は、好ましくは1/99~99/1、より好ましくは10/90~90/10、更に好ましくは20/80~60/40である。水酸基を含まない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。なかでもγ―ブチルラクトンと酢酸ブチルの組み合わせが特に好ましい。
溶剤としては、例えば特開2014-219664号公報の段落0013~0029に記載の溶媒も使用できる。
<塩基性化合物>
レジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、(E)塩基性化合物を含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A1)~(E1)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
Figure 0007242836000062
一般式(A1)及び(E1)中、 R200 、R201及びR202 は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(好ましくは炭素数6~20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
203、R204、R205及びR206 は、同一でも異なってもよく、炭素数1~20のアルキル基を表す。
これら一般式(A1)及び(E1)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンのほか、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5-トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン、1、8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン等が挙げられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2-オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t-ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t-ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2-オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシド等が挙げられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン-1-カルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート等が挙げられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n-ブチル)アミン、トリ(n-オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6-ジイソプロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジブチルアニリン、N,N-ジヘキシルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1~20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(好ましくは炭素数6~12)が窒素原子に結合していてもよい。
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3~9個、更に好ましくは4~6個である。オキシアルキレン基のなかでもオキシエチレン基(-CH2CH2O-)もしくはオキシプロピレン基(-CH(CH3)CH2O-もしくは-CH2CH2CH2O-)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1~20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(好ましくは炭素数6~12)が窒素原子に結合していてもよい。
アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3~9個、更に好ましくは4~6個である。オキシアルキレン基のなかでもオキシエチレン基(-CH2CH2O-)もしくはオキシプロピレン基(-CH(CH3)CH2O-もしくはCH2CH2CH2O-)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート等が挙げられるが、なかでもハロゲン原子、スルホネートが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1~20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1~20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1~6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2~6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1~5の範囲で何れであってもよい。
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3~9個、更に好ましくは4~6個である。オキシアルキレン基のなかでもオキシエチレン基(-CH2CH2O-)もしくはオキシプロピレン基(-CH(CH3)CH2O-もしくは-CH2CH2CH2O-)が好ましく、更に好ましくはオキシエチレン基である。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、フェノキシ基を有する1又は2級アミンとハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。又は、1又は2級アミンと末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。
(プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA))
本発明に係る組成物は、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう〕を更に含んでいてもよい。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基或いは電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記一般式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 0007242836000063
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1~3級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここで、プロトンアクセプター性の低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
化合物(PA)の具体例としては、例えば、下記化合物を挙げることができる。更に、化合物(PA)の具体例としては、例えば、特開2014-41328号公報の段落0421~0428、特開2014-134686号公報の段落0108~0116に記載されたものを援用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0007242836000064
Figure 0007242836000065
Figure 0007242836000066
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
塩基性化合物の使用量は、レジスト組成物の固形分を基準として、通常、0.001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%である。
光酸発生剤と塩基性化合物の組成物中の使用割合は、光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5~300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)は、より好ましくは5.0~200、更に好ましくは7.0~150である。
塩基性化合物としては、例えば、特開2013-11833号公報の段落0140~0144に記載の化合物(アミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等)を用いることができる。
<疎水性樹脂>
レジスト組成物は、上記樹脂(A)とは別に疎水性樹脂(A’)を有していてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角の制御、アウトガスの抑制などを挙げることができる。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することが更に好ましい。また、上記疎水性樹脂は、炭素数5以上の炭化水素基を含むことが好ましい。これらの基は樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、US2012/0251948A1の段落0519に例示されたものを挙げることが出来る。
また、上記したように、疎水性樹脂は、側鎖部分にCH部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂中の側鎖部分が有するCH部分構造には、エチル基、プロピル基等が有するCH部分構造を包含するものである。
一方、疎水性樹脂の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα-メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH部分構造に包含されないものとする。
疎水性樹脂に関しては、特開2014-010245号公報の<0348>~<0415>の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
なお、疎水性樹脂としてはこの他にも特開2011-248019号公報、特開2010-175859号公報、特開2012-032544号公報記載のものも好ましく用いることができる。
<界面活性剤>
レジスト組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含むことにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の<0276>に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(DIC(株)製);サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製);GF-300若しくはGF-150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS-393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX-204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002-90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の<0280>に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0~2質量%、より好ましくは0.0001~2質量%、更に好ましくは0.0005~1質量%である。
<その他の添加剤>
レジスト組成物は、溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又はカルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
レジスト組成物は、溶解阻止化合物を更に含んでいてもよい。
ここで「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解して有機系現像液中での溶解度が減少する、分子量3000以下の化合物である。
〔上層膜〕
本発明のパターン形成方法においては、レジスト膜の上層に上層膜(トップコート膜)を形成してもよい。上層膜は、レジスト膜と混合せず、更にレジスト膜上層に均一に塗布できることが好ましい。上層膜については、特に制限されず、従来公知の上層膜を、従来公知の方法によって形成でき、例えば、特開2014-059543号公報の段落0072~0082の記載に基づいて上層膜を形成できる。
[有機不純物の含有量]
有機不純物を含む有機溶剤を含む処理液を半導体デバイス製造プロセスに適用した場合、有機不純物のなかでも特に300℃以上の沸点を有する高沸点の有機不純物が揮発せずに残存し、顕著な程度で基板の欠陥不良の原因になりやすい。
特に、上記沸点が300℃以上の有機不純物は、具体的には、製造装置の部材に用いられたプラスチック材料(例えば、O-リング等)中に含まれる樹脂成分又は可塑剤等が考えられ、製造過程のいずれかの時点で液中に溶出したものと推測される。
処理液全質量に対して上記沸点300℃以上の有機不純物の含有量が、0.001質量ppm~50質量ppmであれば、半導体デバイス製造プロセスに用いた場合に、現像処理やリンス処理の処理条件の改良により欠陥数を低減可能な欠陥不良の範囲内となることが確認された。処理液中、上記沸点が300℃以上の有機不純物の含有量が、処理液全質量に対して0.001~30質量ppmであることがより好ましく、0.001質量ppm~15質量ppmであることが、半導体デバイス製造プロセスに用いた場合に基板の欠陥不良の抑制の観点で更に好ましく、0.001質量ppm~10質量ppmであることが更により好ましく、0.001質量ppm~1質量ppmであることが最も好ましい。
上記沸点が300℃以上の有機不純物の含有量が、処理液全質量に対して30質量ppm以下であることが、例えば、上記処理液を現像液として用いて基板に接触させた場合に、上記有機不純物が揮発せずに基板表面に残存し、欠陥不良となることを抑制する観点で好ましい。
上記沸点が300℃以上の有機不純物の含有量が、処理液全質量に対して5質量ppm以下であることが、例えば、上記処理液を現像液として用いて基板に接触させた場合に、ベーク工程後にも沸点が300℃以上の有機不純物が基板上に残存することを防ぐ為、欠陥の原因(現像不良)を抑制する観点で更に好ましい。
処理液中において、300℃以上の有機不純物としては、O-リングから溶出するフタル酸ジオクチル(DOP、沸点385℃)等の成分、フタル酸ジイソノニル(DINP、沸点403℃)、アジピン酸ジオクチル(DOA、沸点335℃)、フタル酸ジブチル(DBP、沸点340℃)、及びエチレンプロピレンゴム(EPDM、沸点300~450℃)等が確認されている。
処理液中の沸点が300℃以上の有機不純物の含有量は、DI-MS(ダイレクトインジェクションマスクロマトグラフィー)で測定される。
処理液中の沸点が300℃以上の有機不純物の含有量を上記範囲内にする方法としては、後述する精製工程で挙げる方法が挙げられる。
<Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含む金属成分(金属不純物)>
本発明の処理液は、金属不純物の含有量が少ないことが好ましい。特に、処理液中、Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含む各金属成分の含有量が、処理液全質量に対して0.001~100質量pptであることが好ましい。
金属成分は、有機溶剤中に一定程度存在しており、これらを通じて処理液溶液中に混入する場合がある。今般、処理液中に含まれるFe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含む金属成分が、特に欠陥性能に大きく影響を及ぼすことが分かった。
Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含む金属成分の含有量が処理液全質量に対して100質量ppt以下であれば、欠陥抑制能に優れ、1質量ppt以下である場合は、より顕著な欠陥抑制能により優れる効果が得られる。
尚、Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含む金属成分の含有量が処理液全質量に対して100質量pptを超える場合にはメタルパーティクル(欠陥の悪化)を招き、0.001質量pptを超えると、製造管理が安定して行えるため、製造ロットごとの品質が安定する。
Fe、Cr、Ni及びPbからなる群から選ばれる元素を含む金属成分が複数種含まれる場合、その総量が上記範囲を満たすことが好ましい。
処理液中の金属不純物の含有量は、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)で測定される。尚、測定が1質量pptを下回る場合には原液での測定が困難な為、必要に応じて処理液を濃縮して測定できる。
処理液中の金属不純物の含有量を上記範囲内にする方法としては、後述する精製工程で挙げる方法(例えば、イオン交換樹脂又は金属吸着部材を用いたフィルタ処理等)が挙げられる。
(基板)
本発明でいう「基板」には、例えば、単層からなる半導体基板、及び、多層からなる半導体基板が含まれる。
単層からなる半導体基板を構成する材料は特に制限されず、一般的に、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのような第III-V族化合物、又はそれらの任意の組み合わせから構成されることが好ましい。
多層からなる半導体基板である場合には、その構成は特に制限されず、例えば、上述のシリコン等の半導体基板上に金属線及び誘電材料のような相互接続構造(interconnect features)等の露出した集積回路構造を有していてもよい。相互接続構造に用いられる金属及び合金としては、アルミニウム及び銅と、合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及びタングステンとが挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、半導体基板上に、層間誘電体層、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン及び炭素ドープ酸化シリコン等の層を有していてもよい。
<処理液の製造方法>
本発明の処理液は、金属成分、沸点が300℃以上の有機不純物、及び水の含有量を所望の範囲内にするために、以下の精製工程を実施することが好ましい。
(精製工程)
精製工程は、いずれのタイミングで実施されてもよい。精製工程としては、例えば、以下の精製処理I~IVが挙げられる。
すなわち、精製処理Iは、処理液を組成する有機溶剤の製造前において、上記有機溶剤の製造に用いられる原材料に対して精製を行う処理である。
また、精製処理IIは、処理液を組成する有機溶剤の製造時及び/又は製造後に、これの精製を行う処理である。
また、精製処理IIIは、処理液の製造時において、2種以上の有機溶剤を混合する前に、成分毎に精製を行う処理である。
また、精製処理IVは、処理液の製造時において、2種以上の有機溶剤を混合した後に、混合物の精製を行う処理である。
上述したした通り、目的の処理液を得るには精製を行うことが好ましい。精製は個々の有機溶剤を精製したのちに混合しても良いし、各有機溶剤を混合した後に精製しても良い。特に精製した有機溶剤をブレンドする方法が、有機溶剤のブレンド比を一定に製造できる点で好ましい。
精製処理I~IVは、それぞれ、1回のみ実施されてもよいし、2回以上実施されてもよい。
また、使用する有機溶剤は、高純度グレード品(特に、上述した有機不純物、金属不純物、水等)の含有量が少ないもの)を購入し、更に、それらに対して後述する精製処理を行って使用することができる。
以下において、精製工程の一例を示す。以下の説明においては、精製工程における精製対象を、単に「被精製液」と総称する。
精製工程の一例として、被精製液のイオン交換処理を行う第1イオン交換処理、第1イオン交換処理後の被精製液の脱水を行う脱水処理、脱水処理後の被精製液の蒸留を行う蒸留処理、蒸留処理後の被精製液のイオン交換処理を行う第2イオン交換処理、及び、第2イオン交換処理後の被精製液の有機不純物除去を行う有機不純物除去処理、をこの順に実施する態様が挙げられる。なお、以下においては、上記の精製工程を一例として説明するが、本発明の処理液を調製する際の精製方法はこれに制限されない。例えば、まず、被精製液の脱水を行う脱水処理を実施し、脱水処理後の被精製液の蒸留を行う蒸留処理、被精製液のイオン交換処理を行う第1イオン交換処理、及び第2イオン交換処理後の被精製液の有機不純物除去を行う有機不純物除去処理、をこの順に実施する態様であってもよい。
第1イオン交換処理によれば、被精製液中のイオン成分(例えば、金属成分等)を除去することができる。
第1イオン交換処理では、イオン交換樹脂等の第1イオン交換手段が用いられる。イオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂を単床で設けたもの、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを複床で設けたもの、及び、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混床で設けたものいずれであってもよい。
また、イオン交換樹脂としては、イオン交換樹脂からの水分溶出を低減させるために、極力水分を含まない乾燥樹脂を使用することが好ましい。このような乾燥樹脂としては、市販品を用いることができ、オルガノ社製の15JS-HG・DRY(商品名、乾燥カチオン交換樹脂、水分2%以下)、及びMSPS2-1・DRY(商品名、混床樹脂、水分10%以下)等が挙げられる。
脱水処理によれば、被精製液中の水を除去できる。また、脱水処理において後述するゼオライト(特に、ユニオン昭和社製のモレキュラーシーブ(商品名)等)を使用した場合には、オレフィン類も除去可能である。
脱水処理に用いられる脱水手段としては、脱水膜、被精製液に不溶である水吸着剤、乾燥した不活性ガスを用いたばっ気置換装置、及び、加熱又は真空加熱装置等が挙げられる。
脱水膜を用いる場合には、浸透気化(PV)又は蒸気透過(VP)による膜脱水を行う。脱水膜は、例えば、透水性膜モジュールとして構成されるものである。脱水膜としては、ポリイミド系、セルロース系及びポリビニルアルコール系等の高分子系又はゼオライト等の無機系の素材からなる膜を用いることができる。
水吸着剤は、被精製液に添加して用いられる。水吸着剤としては、ゼオライト、5酸化2リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸及びソーダ石灰等が挙げられる。
蒸留処理によれば、脱水膜から溶出した不純物、第1イオン交換処理では除去しにくい被精製液中の金属成分、微粒子(金属成分が微粒子である場合には、これも含む)、及び、被精製液中の水を除去できる。
蒸留手段は、例えば、単段の蒸留装置によって構成される。蒸留処理によって蒸留装置内等で不純物が濃縮するが、この濃縮された不純物の一部が流出することを防ぐために、蒸留手段には、不純物が濃縮されている液の一部を定期的に、又は、定常的に外部に排出する手段を設けることが好ましい。
第2イオン交換処理によれば、蒸留装置内で蓄積した不純物が流出した場合にこれを除去できたり、送液ラインとして利用されるステンレス鋼(SUS)等の配管からの溶出物を除去できる。
第2イオン交換手段としては、塔状の容器内にイオン交換樹脂を充填したもの、及び、イオン吸着膜が挙げられ、高流速での処理が可能である点からイオン吸着膜が好ましい。イオン吸着膜としては、ネオセプタ(商品名、アストム社製)が挙げられる。
上述した各処理は、密閉状態でかつ、被精製液に水の混入する可能性が低い不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
また、各処理は、水分の混入を極力抑えるために、露点温度が-70℃以下の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。-70℃以下の不活性ガス雰囲気下では、気相中の水分濃度が2質量ppm以下であるため、被精製液中に水分が混入する可能性が低くなるためである。
精製工程としては、上記の処理の他に、国際公開第WO2012/043496号に記載されている、炭化ケイ素を用いた金属成分の吸着精製処理等が挙げられる。
有機不純物除去処理によれば、蒸留処理後の被精製液中に含まれ、蒸留処理では除去しにくい高沸点有機不純物等(沸点が300℃以上の有機不純物も含む)を除去できる。
有機不純物除去手段としては、例えば、有機不純物を吸着可能な有機不純物吸着フィルタを備えた有機不純物吸着部材により実施することができる。なお、有機不純物吸着部材は、通常、上記有機不純物吸着フィルタと上記不純物吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
有機不純物吸着フィルタは、有機不純物の吸着性能が向上するという観点から、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有すること(換言すると、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格によって表面が修飾されていること)が好ましい。なお、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有する、とは、後述する有機不純物吸着フィルタを構成する基材の表面に上記有機不純物と相互作用可能な有機物骨格が付与されている形態が一例として挙げられる。
有機不純物と相互作用可能な有機物骨格としては、例えば、有機不純物と反応して有機不純物を有機不純物吸着フィルタに捕捉できるような化学構造が挙げられる。より具体的には、有機不純物としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、又はフタル酸ジブチルを含む場合には、有機物骨格としては、ベンゼン環骨格が挙げられる。また、有機不純物としてエチレンプロピレンゴムを含む場合には、有機物骨格としては、アルキレン骨格が挙げられる。また、有機不純物としてn-長鎖アルキルアルコール(溶媒として1-長鎖アルキルアルコールを用いた場合の構造異性体)を含む場合には、有機物骨格としては、アルキル基が挙げられる。
有機不純物吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、活性炭を担持したセルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びフッ素樹脂等が挙げられる。
また、有機不純物除去フィルタには、特開2002-273123号公報及び特開2013-150979号公報に記載の活性炭を不織布に固着したフィルタも使用できる。
また、上記有機不純物除去処理は、上述したような有機不純物を吸着可能な有機不純物吸着フィルタを用いた態様に制限されず、例えば有機不純物を物理的に補足する態様であってもよい。250℃以上の比較的高い沸点を有する有機不純物は粗大である場合が多く(例えば、炭素数8以上の化合物)、このため孔径が1nm程度のフィルタを用いることで物理的に補足することも可能である。
例えば、有機不純物としてフタル酸ジオクチルを含む場合、フタル酸ジオクチルの構造は10Å(=1nm)よりも大きい。そのため、孔径が1nmの有機不純物除去フィルタを用いることで、フタル酸ジオクチルはフィルタの孔を通過できない。つまり、フタル酸ジオクチルは、フィルタによって物理的に捕捉されるので、被精製液中から除去される。このように、有機不純物の除去は、化学的な相互作用だけでなく物理的な除去方法を適用することでも可能である。ただし、この場合には、3nm以上の孔径のフィルタが後述する「ろ過部材」として用いられ、3nm未満の孔径のフィルタが「有機不純物除去フィルタ」として用いられる。
本明細書において、1Å(オングストローム)は、0.1nmに相当する。
また、本発明の精製工程は、さらに、例えば、後述する精製処理V及び精製処理VIを有していてもよい。精製処理V及び精製処理VIは、いずれのタイミングで実施されてもよく、例えば、精製工程IVを実施した後等が挙げられる。
精製処理Vは、金属イオンを除去する目的で金属イオン吸着部材を用いたフィルタリング処理である。
また、精製処理VIは、粗大な粒子を除去するためのろ過処理である。
以下、精製処理V及び精製処理VIについて説明する。
精製処理VIにおいて、金属イオンの除去手段としては、金属イオン吸着フィルタを備えた金属イオン吸着部材を用いたフィルタリングがその一例として挙げられる。
金属イオン吸着部材は、金属イオン吸着フィルタを少なくとも1つ備えた構成であり、また、目的とする精製レベルに応じて金属イオン吸着フィルタを複数重ねた構成であってもよい。金属イオン吸着部材は、通常、上記金属イオン吸着フィルタと上記金属イオン吸着フィルタを固定する基材とを備えて構成される。
金属イオン吸着フィルタは、被精製液中の金属イオンを吸着する機能を備える。また、金属イオン吸着フィルタは、イオン交換可能なフィルタであることが好ましい。
ここで、吸着対象となる金属イオンとしては、特に制限されないが、半導体デバイスの欠陥の原因になりやすいという点から、Fe、Cr、Ni及びPbであることが好ましい。
金属イオン吸着フィルタは、金属イオンの吸着性能が向上するという観点から、表面に酸基を有することが好ましい。酸基としては、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。
金属イオン吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びフッ素樹脂などが挙げられる。
精製処理VIにおいて、ろ過手段としては、除粒子径が20nm以下であるフィルタを備えたろ過部材を用いて実施する態様が一例として挙げられる。被精製液が、上記フィルタを追加することにより、被精製液から粒子状の不純物を除去できる。ここで、「粒子状の不純物」としては、被精製液の製造時に使用される原料に不純物として含まれる塵、埃、有機固形物及び無機固形物などの粒子、ならびに、被精製液の精製時に汚染物として持ち込まれる塵、埃、有機固形物及び無機固形物の粒子などが挙げられ、最終的に被精製液中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
また、「粒子状の不純物」には、金属原子を含むコロイド化した不純物も含まれる。金属原子としては、特に制限されないが、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn、及び、Pb(好ましくは、Fe、Cr、Ni及びPb)からなる群より選択される少なくとも1種の金属原子の含有量が特に低い場合(例えば、被精製液中の上記金属原子の含有量が各々1000質量ppt以下の場合)、これらの金属原子を含む不純物がコロイド化しやすい。上記金属イオン吸着部材では、コロイド化した不純物の除去が困難になりやすい。したがって、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)を用いることにより、コロイド化した不純物の除去が効果的に行われる。
粒子状の不純物は、除粒子径が20nm以下であるフィルタで除去されるサイズを有し、具体的にはその直径が20nm以上の粒子である。なお、本明細書において、粒子状の不純物を「粗大粒子」ということがある。
なかでも、上記フィルタの除粒子径は、1~15nmが好ましく、1~12nmがより好ましい。除粒子径が15nm以下であることで、より微細な粒子状の不純物を除去でき、除粒子径が1nm以上であることで、被精製液のろ過効率が向上する。
ここで、除粒子径とは、フィルタが除去可能な粒子の最小サイズを意味する。例えば、フィルタの除粒子径が20nmである場合には、直径20nm以上の粒子を除去可能である。
上記フィルタの材質としては、例えば、6-ナイロン、6、6-ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びフッ素樹脂などが挙げられる。
ろ過部材は、さらに、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜)を備えていてもよい。被精製液中に、コロイド化した不純物、特に鉄又はアルミニウムのような金属原子を含むコロイド化した不純物以外にも微粒子が存在する場合には、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)を用いて濾過する前に、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜)を用いて被精製液の濾過を実施することで、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密濾過膜)のろ過効率が向上し、粗大粒子の除去性能がより向上する。
このような各処理を得て得られた被精製液を、本発明の処理液の組成に用いたり、本発明の処理液そのものとして使用できる。
なお、上述した精製工程の一例として、各処理が全て行われる場合を示したが、これに制限されず、上記各処理を単独で行ってもよいし、上記処理を複数組み合わせて行ってもよい。また、上記各処理は、1回行われてもよいし、複数回行われてもよい。
上記精製工程以外に、処理液に含まれる、沸点が300℃以上の有機不純物、金属成分及び水の含有量を所望の範囲内にする方法としては、処理液を組成する有機溶剤の原材料、又は処理液そのものを不純物の溶出が少ない容器に収容することも挙げられる。また、処理液の製造時の「配管」等からメタル分が溶出しないように、上記配管内壁にフッ素系樹脂のライニングを施す等の方法も挙げられる。
〔容器(収容容器)〕
本発明の処理液は、腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬、そして使用することができる。
容器としては、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。
使用可能な容器としては、具体的には、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。この容器の内壁(容器内の溶液と接触する接液部)は、非金属材料により形成されたものであることが好ましい。
非金属材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン-エチレン共重合樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、及びフッ化ビニル樹脂(PVF)からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
特に、上記のなかでも、内壁がフッ素系樹脂である容器を用いる場合、内壁がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はポリエチレン-ポリプロピレン樹脂である容器を用いる場合と比べて、エチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
このような内壁がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3-502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、及び、国際公開第99/46309号パンフレットの第9頁及び16頁等に記載の容器も用いることができる。
なお、非金属材料の内壁とする場合、非金属材料中の有機成分の処理液への溶出が抑制されていることが好ましい。
また、容器の内壁には、上述した非金属材料の他に、石英又は金属材料(より好ましくは、電解研磨された金属材料。いいかれば、電解研磨済みの金属材料)も好ましく用いられる。
上記金属材料(特に、電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料)は、クロムを金属材料全質量に対して25質量%超で含むものが好ましく、例えばステンレス鋼が挙げられる。
金属材料におけるクロムの含有量は、金属材料全質量に対して30質量%以上がより好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、一般的に90質量%以下が好ましい。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼を用いることができる。なかでも、ニッケルを8質量%以上含む合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含むオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及びSUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、特開2015-227501号公報の段落<0011>-<0014>、及び特開2008-264929号公報の段落<0036>-<0042>等に記載された方法を用いることができる。
金属材料は、電解研磨されることにより表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっているものと推測される。そのため、電解研磨された金属材料で被覆された内壁からは、溶液中に金属成分が流出しにくいため、金属成分(金属不純物)が低減された溶液を得ることができるものと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていることが好ましい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。
なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、金属材料は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
本発明においては、上記容器と、この容器内に収容された上記処理液と、を有するものを、溶液収容体という場合がある。
これらの容器は、処理液を充填前にその内部が洗浄されることが好ましい。洗浄に用いる液体としては、本発明の処理液そのもの、又は、本発明の処理液に含まれる有機溶剤である場合、本発明の効果が顕著に得られる。本発明の処理液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の容器にボトリングし、輸送、保管されてもよい。ガロン瓶はガラス材料を使用したものであってもそれ以外であってもよい。
保管における処理液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(チッソ、又はアルゴン等)で置換しておいてもよい。特に、含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、変質を防ぐため、-20℃から20℃の範囲に温度制御してもよい。
(クリーンルーム)
本発明の処理液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定は、全てクリーンルームで行うことが好ましい。クリーンルームは、14644-1クリーンルーム基準を満たすことが好ましい。ISO(国際標準化機構)クラス1、ISOクラス2、ISOクラス3、及び、ISOクラス4のいずれかを満たすことが好ましく、ISOクラス1又はISOクラス2を満たすことがより好ましく、ISOクラス1を満たすことが更に好ましい。後述する実施例での処理液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定ははクラス2のクリーンルームにて行った。
(フィルタリング)
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤は、沸点が300℃以上の有機不純物、金属成分、及び水の含有量を所望の範囲内にしたり、異物及び粗大粒子等を除去したりするために、フィルタリングされたものであることが好ましい。
フィルタリングに用いられるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に制限されることなく用いることができる。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。これらのなかでも、ポリアミド系樹脂、PTFE、及び、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましく、これらの素材により形成されたフィルタを使用することで、パーティクル欠陥の原因となり易い極性の高い異物をより効果的に除去できる他、金属成分(金属不純物)の量をより効率的に減らすことができる。
フィルタの臨界表面張力として、下限値としては70mN/m以上が好ましい。上限値としては、95mN/m以下が好ましい。なかでも、フィルタの臨界表面張力は、75mN/m以上85mN/m以下がより好ましい。
なお、臨界表面張力の値は、製造メーカーの公称値である。臨界表面張力が上記範囲のフィルタを使用することで、パーティクル欠陥の原因となり易い極性の高い異物をより効果的に除去できる他、金属成分(金属不純物)の量をより効率的に減らすことができる。
フィルタリングに用いられるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に制限されない。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。これらのなかでも、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.001~1.0μm程度が好ましく、0.01~0.5μm程度がより好ましく、0.01~0.1μm程度が更に好ましい。フィルタの孔径を上記範囲とすることで、ろ過詰まりを抑えつつ、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤に含まれる微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合には、各フィルタは、互いに同じ種類のものであってもよいし、互いに種類の異なるものであってもよいが、互いに種類の異なるものであることが好ましい。典型的には、第1のフィルタと第2フィルタとは、孔径及び構成素材のうちの少なくとも一方が異なっていることが好ましい。
1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照できる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択できる。また、ポリアミド製の「P-ナイロンフィルター(孔径0.02μm、臨界表面張力77mN/m)」;(日本ポール株式会社製)、高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.02μm)」;(日本ポール株式会社製)、及び高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.01μm)」;(日本ポール株式会社製)も使用することができる。
特に制限されないが、例えば、本発明の処理液の効果により優れる観点のほか、精製した処理液の保管において粒子性メタルの増加を抑制する観点からは、被精製液と、フィルタリングに使用するフィルタの材質との関係は、フィルタリングに使用するフィルタの材質から導き出せるハンセン溶解度パラメータ(HSP)空間における相互作用半径(R0)と、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤に含まれる液体から導き出せるハンセン空間の球の半径(Ra)とした場合のRaとR0の関係式(Ra/R0)≦1を満たす組み合わせであって、これらの関係式を満たすフィルタ材質でフィルタリングされた処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤であることが好ましい。(Ra/R0)≦0.98であることが好ましく、(Ra/R0)≦0.95であることがより好ましい。下限としては、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7であることが更に好ましい。メカニズムは定かではないが、この範囲内であると、長期保管時における粒子性メタルの形成、又は、粒子性メタルの成長が抑制される。
これらのフィルタ及び、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤の組み合わせとしては、特に制限されないが、米国特許公報2016/0089622号のものが挙げられる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料で形成されたフィルタを使用できる。上述した第1のフィルタと同様の孔径のものが使用できる。第2のフィルタの孔径が第1のフィルタより小さいものを用いる場合には、第2のフィルタの孔径と第1のフィルタの孔径との比(第2のフィルタの孔径/第1のフィルタの孔径)が0.01~0.99が好ましく、0.1~0.9より好ましく、0.2~0.9が更に好ましい。第2フィルタの孔径を上記範囲とすることにより、溶液に混入している微細な異物がより確実に除去される。
また、本発明において、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤に対して、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Pd、及び、Znからなる群より選択される1種又は2種以上の金属元素の含有量が特に低い場合(例えば、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤に対して、上述の金属元素の含有率が各々1000質量ppt以下の場合)、これらの金属元素を含む不純物がコロイド化しやすい傾向がある。そのため、イオン吸着膜ではコロイド化した不純物の除去が困難になりやすい。そこで、本発明者らは、孔径が20nm以下の精密濾過膜を用いて精製することにより、コロイド化した不純物成分の除去が可能であることを見出した。
また、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤溶液中に、コロイド化した不純物(特に鉄又はアルミニウムのような金属元素を含む、コロイド化した不純物)以外にも微粒子が存在する場合には、孔径が20nm以下の精密濾過膜を用いて濾過する前段に、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密濾過膜を用いて濾過することにより精製することが好ましい。
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤は、上記のようなフィルタの他、イオン吸着手段を用いて精製することが好ましい。イオン吸着手段は、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はフッ素樹脂等の表面が、スルホ基又はカルボキシ基等のアニオン性基、カチオン性基、又は、その両者で変性されているイオン吸着手段であることが好ましい。アニオン性基で変性されたイオン吸着手段は、Naイオン及びCaイオン等の陽イオンを除去することができ、カチオン性基で変性されたイオン吸着手段は、Clイオン等の陰イオン及び酸成分を除去することができる。イオン吸着手段は、目的に応じて、アニオン性基、カチオン性基又はその両者を組み合わせて使用してもよい。イオン吸着手段はフィルタであってもよい。
上記の濾過工程は目的に応じて複数回繰り返してもよい。
また、用いられるフィルタは、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤を濾過する前に処理することが好ましい。この処理に用いられる液体は、特に制限されないが、本発明の処理液に含まれる有機溶剤であると、本発明の所望の効果が顕著に得られる。
フィルタリングを行う場合には、フィルタリング時の温度の上限値は、室温(25℃)以下が好ましく、23℃以下がより好ましく、20℃以下が更に好ましい。また、フィルタリング時の温度の下限値は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。
フィルタリングでは、粒子性の異物又は不純物が除去できるが、上記温度で行われると、処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤中に溶解している粒子性の異物又は不純物の量が少なくなるため、フィルタリングがより効率的に行われる。
特に、金属成分(金属不純物)の含有量の調整の観点からは、上記の温度で濾過することが好ましい。メカニズムは定かではないが、金属成分(金属不純物)の多くは粒子性のコロイド状態で存在していることが考えられる。上記の温度でフィルタリングすると、コロイド状に浮遊している金属成分(金属不純物)の一部が凝集するため、この凝集しているものが、フィルタリングにより効率的に除去されるので、金属成分(金属不純物)の含有量を所定の量に調整しやすくなることが考えられる。
濾過圧力は濾過精度に影響を与えることから、濾過時における圧力の脈動は可能な限り少ない方が好ましい。
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤の調製及び精製において、濾過速度は特に制限されないが、本発明の効果により優れる観点から、0.6L/分/m以上が好ましく、0.75L/分/m以上がより好ましく、1.0L/分/m以上が更に好ましい。
フィルタにはフィルタ性能(フィルタが壊れない)を保障する耐差圧が設定されており、この値が大きい場合には濾過圧力を高めることで濾過速度を高めることができる。つまり、上記濾過速度上限は、通常、フィルタの耐差圧に依存するが、通常、10.0L/分/m以下が好ましい。
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤の調製及び精製において、濾過圧力は、本発明の効果により優れる観点から、0.001MPa以上1.0MPa以下が好ましく、0.003MPa以上0.5MPa以下がより好ましく、0.005MPa以上0.3MPa以下が特に好ましい。
特に、孔径が小さいフィルタを使用する場合には、濾過の圧力を上げることで溶液中に溶解している粒子状の異物又は不純物の量を効率的に低下させることができる。孔径が20nmより小さいフィルタを使用する場合には、濾過の圧力を0.005MPa以上0.3MPa以下とすることが特に好ましい。
また、濾過フィルタ膜のポアサイズが小さくなると濾過速度が低下するが、例えば、同種の濾過フィルタ膜が搭載されたフィルタを、複数個で、並列に接続することで濾過面積が拡大して濾過圧力を下がるので、これにより、濾過速度低下を補償することが可能になる。
〔除電工程〕
本発明の処理液、若しくは処理液に含まれる有機溶剤の調製及び精製においては、さらに除電工程を有していてもよい。除電工程は、原料、反応物、及び精製物からなる群から選択される少なくとも1種(以下「精製物等」という。)を除電することで、精製物等の帯電電位を低減させる工程である。
除電方法としては特に制限されず、公知の除電方法を用いることができる。除電方法としては、例えば、上記精製液等を導電性材料に接触させる方法が挙げられる。
上記精製液等を導電性材料に接触させる接触時間は、0.001~60秒が好ましく、0.001~1秒がより好ましく、0.01~0.1秒が更に好ましい。導電性材料としては、ステンレス鋼、金、白金、ダイヤモンド、及びグラッシーカーボン等が挙げられる。
精製液等を導電性材料に接触させる方法としては、例えば、導電性材料からなる接地されたメッシュを管路内部に配置し、ここに精製液等を通す方法等が挙げられる。
上記除電工程は、原料供給から精製物の充填までのどの時点で実施されてもよく、例えば、原料供給工程、反応工程、調液工程、精製工程、ろ過工程、及び充填工程からなる群から選択される少なくとも1種の工程の前に含有されることが好ましい。特に、上記各工程において使用する容器に精製物等を注入する前に、除電工程を行うことが好ましい。これにより、容器等に由来する不純物が、精製物等に混入するのを抑制することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
なお、後段の現像又はリンスで使用される処理液に対して、硫黄含有化合物の定量分析(例えば、JISK2541-6:2013「硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法により測定)及びリン化合物の定量分析(JISK0102:2013に規定された方法に基づき、全リンとして、吸光光度法により測定)を行ったところ、これらの化合物が実質的に含まれないことが確認できた。
なお、ここで、「実質的に含まない」とは、これらの化合物の含有量(濃度)を測定可能な方法で測定した場合において、検出されないこと(検出限界値未満であること)をいう。
[レジスト組成物1の調製]
〔各種成分〕
<樹脂(A)等>
樹脂(A)としては、下記樹脂(A-1)を使用した。なお、下記樹脂(A-1)中の各繰り返し単位のモル比は、左から順に、40/30/30である。上記モル比は、H-NMR(Nuclear Magnetic Resonance)測定により算出した。
なお、樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(溶媒:THF)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は12,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.5である。
Figure 0007242836000067
<光酸発生剤>
光酸発生剤としては、以下に示す光酸発生剤(B-1)を使用した。
Figure 0007242836000068
<酸拡散制御剤>
酸拡散制御剤としては、以下に示す酸拡散制御剤(E-1)を使用した。
Figure 0007242836000069
<溶剤>
溶剤としては、以下に示す溶剤を使用した。
C-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C-2:乳酸エチル
〔レジスト組成物1の調製〕
上記樹脂(A-1)を0.77g、上記光酸発生剤(B-1)を0.2g、及び上記酸拡散制御剤(E-1)を0.03gを、上記溶剤(C-1)675g及び上記溶剤(C-2)7.5gに溶解させた。これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過して、レジスト組成物1を得た。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価1]
〔パターン形成〕
<レジスト膜形成>
12インチシリコンウエハ上に、上記レジスト組成物1を塗布し、120℃の条件で60秒間ベーク(PB)し、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
<露光>
作製したレジスト膜付きウエハに、NA(レンズ開口数、Numerical Aperture)0.25、ダイポール照明(Dipole60x、アウターシグマ0.81、インナーシグマ0.43)でEUV露光を行った。具体的には、ウエハ上寸法が(1)ピッチ40nm、幅20nmのラインアンドスペースパターン(表2、表4、表6、表8、表10、及び表12中の「密集パターン」形成用マスクに該当する)、又は(2)ピッチ108nm、幅20nmのラインアンドスペースパターン(表2、表4、表6、表8、表10、及び表12中の「疎パターン」形成用マスクに該当する)を形成する為のパターンが含まれたマスクを介して、露光量を変えてEUV露光を行った。照射後、EUV露光装置から取り出したら、ただちに、90℃の条件で60秒間ベーク(PEB)した。
<現像>
その後、シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、現像液(23℃)を、200mL/分の流量で30秒間スプレー吐出することで、現像を行った。なお、現像液としては、酢酸ブチルを用いた。
<リンス>
(処理液の調製)
後述する表1、表3、表5、表7、表9、及び表11に記載のとおり、第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤を所定比率で混合することにより、各処理液を調製した。なお、各処理液にて使用した第一の有機溶剤及び第二の有機溶剤としては、各々半導体グレードのものを使用した。得られた各処理液は、後述するリンス処理におけるリンス液として使用した。
(リンス処理)
その後、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、後述する表1、表3、表5、表7、表9、及び表11に記載された各処理液(23℃)を、200mL/分の流量で15秒間スプレー吐出することで、リンス処理を行った。
最後に、2000回転(rpm)でT秒間高速回転してウエハを乾燥させた。
なお、上記「T秒間」とは、表1、表3、表5、表7、表9、及び表11の「乾燥時間(秒)」欄に記載された乾燥時間(秒)+20秒である。つまり、実施例1の場合、「T秒間」とは、60秒(すなわち40秒+20秒)である。
〔評価試験〕
露光、現像処理、及びリンス処理を施したウエハについて、以下の項目についての性能評価を行った。
<乾燥時間の評価>
以下の手順により、処理液の乾燥時間についての評価を実施した。通常、処理液の乾燥時間が長いほど、毛細管力による影響が大きく倒れが加速されると考えられる。したがって、処理液の乾燥時間が短いほど、パターン倒れが抑制されるため好ましい。
乾燥時間の評価は、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、表1、表3、表5、表7、表9、及び表11に記載された各処理液(23℃)を、200mL/分の流量で5秒間スプレー吐出し、2000回転(rpm)で乾燥させたときに、溶剤が乾燥するのにかかった時間を目視で観察した。結果を表1、表3、表5、表7、表9、及び表11の「乾燥時間(秒)」に示す。
<解像性(パターン倒れ性能:密集パターン、疎パターン)>
異なる露光量にて露光したラインアンドスペースパターンの解像状況を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9380II)を用いて倍率200kで観察し、観察した一視野内にてパターン倒れが起こっていない最小のライン幅を求め、パターン倒れの指標とした。この数値が小さいほど、パターン倒れ性能が良好であることを示す。得られた最少のライン幅を下記の評価基準により評価した。
なお、パターン倒れ性能の評価は、密集パターン形成用マスクを用いて形成されたパターン、及び疎パターン形成用マスクを用いて形成されたパターンのいずれについても実施した。なお、実用上、「C」評価以上であることが好ましい。
(評価基準)
「A」:最小のライン幅が16nm以下
「B」:最小のライン幅が16nm超18nm以下
「C」:最小のライン幅が18nm超20nm以下
「D」:最小のライン幅が20nm超22nm以下
「E」:最小のライン幅が22nm超
<露光部の膜減り>
(評価用サンプルの作製)
各実施例及び比較例において、上述した〔パターン形成〕<露光>において、露光条件を以下に記載の条件に変更した以外は同様の方法によりパターン形成を実施した。
なお、以下の評価では、KrFエキシマレーザースキャナーを用いた。
≪露光条件≫
上記レジスト膜付きウエハに対し、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、露光量40mJ(過露光)で全面露光した。露光後、実施例及び比較例の各処理液に10分間浸漬して、溶解量(Å)を測定した。なお、溶解量は、光学式膜厚測定機ウーラムジャパンM2000により測定した。
得られた溶解量(Å)を浸漬時間(10分)で除することにより溶解速度(Å/分)を算出し、下記評価基準により露光部の膜減りを評価した。この数値が小さいほど、露光部での膜減りが抑制されていることを示す。なお、実用上、「C」評価以上であることが好ましい。
(評価基準)
「A」:3Å/min未満
「B」:3Å/min以上、10Å/min未満
「C」:10Å/min以上、20Å/min未満
「D」:20Å/min以上、40Å/min未満
「E」:40Å/min以上
<ブリッジ欠陥抑制性(ドットの抜け不良)>
以下の手順により、ブリッジ欠陥抑制性評価用のドットパターンを作製した。
(レジスト膜形成)
12インチシリコンウエハ上に、実施例及び比較例の各レジスト組成物1を塗布し、120℃の条件で60秒間ベーク(PB)し、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
(露光)
作製したレジスト膜付きウエハに、NA(レンズ開口数、Numerical Aperture)0.25、Quasar照明(Quasar45、アウターシグマ0.81、インナーシグマ0.51)でEUV露光を行った。具体的には、ウエハ上寸法がピッチ60nm、ドット30nmのドットパターンを形成する為のパターンが含まれたマスクを介して、露光量を変えてEUV露光を行った。照射後、EUV露光装置から取り出したら、ただちに、90℃の条件で60秒間ベーク(PEB)した。
(現像)
その後、シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、現像液(23℃)を、200mL/分の流量で30秒間スプレー吐出することで、現像を行った。なお、現像液としては、酢酸ブチルを用いた。
(リンス処理)
その後、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、後述する表1、表3、表5、表7、表9、及び表11に記載された各処理液(23℃)を、200mL/分の流量で15秒間スプレー吐出することで、リンス処理を行った。
最後に、2000回転(rpm)でT秒間高速回転してウエハを乾燥させた。
なお、「T秒」の定義は既述のとおりである。
(ブリッジ欠陥抑制性(ドットの抜け性能))
ドットサイズが30nmのドットパターンを解像する時の最適露光量にて解像したドットパターンの解像状況を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9380II)を用いてパターン上部から観察し、12インチウエハ内に発生したブリッジ欠陥数(具体的には、抜け不良が生じたドットの数)を求め、ブリッジ欠陥抑制性の指標とした。この数値が小さいほど、ドットの抜け性能が良好であることを示す。
(評価基準)
「A」:ブリッジ欠陥数が10個以下
「B」:ブリッジ欠陥数が10個超、20個以下
「C」:ブリッジ欠陥数が20個超、50個以下
「D」:ブリッジ欠陥数が50個超
<抵抗率(ESD:Electro-Static Discharge)>
超絶縁計SM-8220(HIOKI社製)を使用して、処理液(温度:23℃)の抵抗率(Ω・m)を測定した。得られた抵抗率の数値を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
「A」:5000Ω・m未満
「B」:5000Ω・m~100,000Ω・m
「C」:100,000Ω・m超
更に、表1、表5、表9、及び表11の処理液に対して、以下の解像性(パターン倒れ性能:DOTパターン)評価を実施した。
<解像性(パターン倒れ性能:DOTパターン)>
(レジスト膜形成)
12インチシリコンウエハ上に、実施例及び比較例の各レジスト組成物1を塗布し、120℃の条件で60秒間ベーク(PB)し、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
(露光)
作製したレジスト膜付きウエハに、NA(レンズ開口数、Numerical Aperture)0.25、Quasar照明(Quasar45、アウターシグマ0.81、インナーシグマ0.51)でEUV露光を行った。具体的には、ウエハ上寸法がピッチ60nm、ドット30nmのドットパターンを形成する為のパターンが含まれたマスクを介して、露光量を変えてEUV露光を行った。照射後、EUV露光装置から取り出したら、ただちに、90℃の条件で60秒間ベーク(PEB)した。
(現像)
その後、シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、現像液(23℃)を、200mL/分の流量で30秒間スプレー吐出することで、現像を行った。なお、現像液としては、酢酸ブチルを用いた。
(リンス処理)
その後、50回転(rpm)でウエハを回転しながら、後述する表1、表5、表9、及び表11に記載された各処理液(23℃)を、200mL/分の流量で15秒間スプレー吐出することで、リンス処理を行った。
最後に、2000回転(rpm)でT秒間高速回転してウエハを乾燥させた。
なお、「T秒」の定義は既述のとおりである。
異なる露光量にて露光したドットパターンの解像状況を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9380II)を用いて倍率200kで観察し、観察した一視野内にてパターン倒れが起こっていない最小ドッド幅を求め、パターン倒れの指標とした。この数値が小さいほど、パターン倒れ性能が良好であることを示す。得られた最小ドッド幅を下記の評価基準により評価した。なお、実用上、「C」評価以上であることが好ましい。
(評価基準)
「A」:最小ドッド幅が16nm以下
「B」:最小ドッド幅が16nm超18nm以下
「C」:最小ドッド幅が18nm超20nm以下
「D」:最小ドッド幅が20nm超22nm以下
「E」:最小ドッド幅が22nm超
以下に、表1~表12を示す。
以下において、各処理液の組成を、表1、表3、表5、表7、表9、及び表11に示す。また、表2、表4、表6、表8、表10、及び表12は、各々、表1、表3、表5、表7、表9、及び表11の各処理液を用いて形成したパターンの評価結果に該当する。具体的には、表1の処理液を用いて形成したパターンの評価結果を表2に示し、表3の処理液を用いて形成したパターンの評価結果を表4に示し、表5の処理液を用いて形成したパターンの評価結果を表6に示し、表7の処理液を用いて形成したパターンの評価結果を表8に示し、表9の処理液を用いて形成したパターンの評価結果を表10に示し、表11の処理液を用いて形成したパターンの評価結果を表12に示す。
次に、表1、表3、表5、表7、表9、及び表11に示す各項目について説明する。
各表中における「SP値」は、Fedors法に基づき計算された数値であって、単位は、MPa1/2である。「SP値」の計算方法としては、既述のとおりである。
各表中における「δd」は、ハンセン溶解度パラメータの分散項を表す。
各表中における「ΔP」及び「ΔH」は、各々、下記式(1)及び下記式(2)により求められる。
式(1): ΔP =δp/(δd+δp+δh)×100
式(2): ΔH =δh/(δd+δp+δh)×100
δd:ハンセン溶解度パラメータの分散項
δp:ハンセン溶解度パラメータの極性項
δh:ハンセン溶解度パラメータの水素結合項
ハンセン溶解度パラメータの計算方法については、既述のとおりである。
Figure 0007242836000070
Figure 0007242836000071
Figure 0007242836000072
Figure 0007242836000073
Figure 0007242836000074
表2の結果から、実施例の処理液(溶剤A-1としてエーテル系溶剤を含み、且つ溶剤B-1としてアルコール系溶剤を含む処理液)によれば、パターン倒れが抑制され、露光部の膜減りが抑制され、且つブリッジ欠陥が抑制されたパターンを形成できることが明らかである。また、実施例の処理液は、抵抗率が低く、安全性にも優れていることが明らかである。
また、表2の結果から、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合、パターン倒れがより抑制され、且つ、露光部の膜減りがより抑制されることが明らかである。さらに、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されることが明らかである。
また、表2の結果から、第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上である場合(好ましくはジイソアミルエーテルである場合)、パターン倒れがより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表2の結果から、第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であり、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できるとともに、処理液自体の抵抗率も適切であることが明らかである。
また、表2の結果から、第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であり、第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、及び3-エチル-3-ペンタノールのいずれか一方を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できるとともに、処理液自体の抵抗率も適切であることが明らかである。
また、表2の結果から、第二の有機溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、80質量%以下である場合、パターン倒れがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表2の結果から、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%以上である場合、パターン倒れがより抑制できることが明らかである。また、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である場合、ブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表2の結果から、第一の有機溶剤が、ΔPが13.5以下であり、且つ、ΔDが73.0以上であり、第二の有機溶剤が、2-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
比較例の処理液では、所望の要求を満たさないことは明らかである。
Figure 0007242836000075
Figure 0007242836000076
表4の結果から、実施例の処理液(溶剤A-1としてエーテル系溶剤を含み、且つ溶剤B-2としてエステル系溶剤を含む処理液)によれば、パターン倒れが抑制され、露光部の膜減りが抑制され、且つブリッジ欠陥が抑制されたパターンを形成できることが明らかである。また、実施例の処理液は、抵抗率が低く、安全性にも優れていることが明らかである。
また、表4の結果から、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、50質量%以上(好ましくは、80質量%以上)である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制されたパターンを形成できるとともに、処理液自体の抵抗率も適切であることが明らかである。なかでも、第二の有機溶剤がアセト酢酸エチルであり、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して80質量%以上である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つ、ブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できるとともに、処理液自体の抵抗率も適切であることが明らかである。
比較例の処理液では、所望の要求を満たさないことは明らかである。
Figure 0007242836000077
Figure 0007242836000078
Figure 0007242836000079
Figure 0007242836000080
Figure 0007242836000081
Figure 0007242836000082
Figure 0007242836000083
Figure 0007242836000084
Figure 0007242836000085
表6の結果から、実施例の処理液(溶剤A-1として炭化水素系溶剤を含み、且つ溶剤B-1としてアルコール系溶剤を含む処理液)によれば、パターン倒れが抑制され、露光部の膜減りが抑制され、且つブリッジ欠陥が抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表6の結果から、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されることが明らかである。なかでも、第二の有機溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合、第一の有機溶剤の種類、及び第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量比に関わらず、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されることが明らかである。
また、表6の結果から、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である場合(好ましくは60~80質量%の場合)、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表6の結果から、第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール及び3-エチル-3-ペンタノールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である場合(好ましくは40~80質量%の場合)、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表6の結果から、第二の有機溶剤が、2-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表6の結果から、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。なかでも、第一の有機溶剤が1,5-シクロオクタジエンを含み、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
比較例の処理液では、所望の要求を満たさないことは明らかである。
Figure 0007242836000086
Figure 0007242836000087
表8の結果から、実施例の処理液(溶剤A-1として炭化水素系溶剤を含み、且つ溶剤B-2としてエステル系溶剤を含む処理液)によれば、パターン倒れが抑制され、露光部の膜減りが抑制され、且つブリッジ欠陥が抑制されたパターンを形成できることが明らかである。また、実施例の処理液は、抵抗率が低く、安全性にも優れていることが明らかである。
また、表8の結果から、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、50質量%以上(好ましくは、80質量%以上)である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制されたパターンを形成できるとともに、処理液自体の抵抗率も適切であることが明らかである。更に、第二の有機溶剤がアセト酢酸エチルであり、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、80質量%以上である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つ、ブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できるとともに、処理液自体の抵抗率も適切であることが明らかである。
比較例の処理液では、所望の要求を満たさないことは明らかである。
Figure 0007242836000088
Figure 0007242836000089
Figure 0007242836000090
Figure 0007242836000091
Figure 0007242836000092
Figure 0007242836000093
Figure 0007242836000094
Figure 0007242836000095
Figure 0007242836000096
表10の結果から、実施例の処理液(溶剤A-1としてエステル系溶剤を含み、且つ溶剤B-1としてアルコール系溶剤を含む処理液)によれば、パターン倒れが抑制され、露光部の膜減りが抑制され、且つブリッジ欠陥が抑制されたパターンを形成できることが明らかである。また、実施例の処理液は、抵抗率が低く、安全性にも優れていることが明らかである。
また、表10の結果から、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されることが明らかである。また、処理液は、抵抗率が低く、安全性にも優れていることが明らかである。また、第二の有機溶剤が、2-オクタノールを含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されることが明らかである。さらに、第二の有機溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合)であって、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して60質量%以上である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されることが明らかである。
また、表10の結果から、第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、且つ、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表10の結果から、第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール及び3-エチル-3-ペンタノールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表10の結果から、第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、2-オクタノール又は2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表8の結果から、第一の有機溶剤が、SP値が18.7MPa1/2以下であり、ΔPが15.0以下であり、且つΔDが64.5以上の有機溶剤を含み、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表10の結果から、第一の有機溶剤がΔDが64.5以上の有機溶剤である場合、形成されるパターンの倒れがより抑制されることが明らかである。例えば、ΔDが64.5未満の有機溶剤である酢酸ヘキシルは、構造的にポリマーと相互作用しやすいエステルの官能基が分子の端にあるため、同じ分子式の酪酸ブチルよりもポリマーの分散性が高くレジストを膨潤させやすいと推測される。
比較例の処理液では、所望の要求を満たさないことは明らかである。
Figure 0007242836000097
Figure 0007242836000098
Figure 0007242836000099
Figure 0007242836000100
Figure 0007242836000101
Figure 0007242836000102
Figure 0007242836000103
表12の結果から、実施例の処理液(溶剤A-2としてケトン系溶剤を含み、且つ溶剤B-1としてアルコール系溶剤を含む処理液)によれば、パターン倒れが抑制され、露光部の膜減りが抑制され、且つブリッジ欠陥が抑制されたパターンを形成できることが明らかである。また、実施例の処理液は、抵抗率が低く、安全性にも優れていることが明らかである。
また、表12の結果から、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2-オクタノール、及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノールからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合)、パターン倒れの抑制とブリッジ欠陥の抑制がより一層優れることが明らかである。なかでも、表12の結果から、2-オクタノールを含む場合、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上を含む場合、又は、分子内に三重結合を有する非環状のアルコール溶剤(好ましくは、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上)を含む場合)、第一有機溶剤の種類及び第一有機溶剤と第二有機溶剤の配合比に関わらず、パターン倒れの抑制とブリッジ欠陥の抑制がより一層優れることが明らかである。
また、表12の結果から、第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノールを含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表12の結果から、第二の有機溶剤が、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、及び2-オクタノールからなる群より選ばれる1種以上を含み、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、20~80質量%である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表12の結果から、第二の有機溶剤が、2-エチル-1-ヘキサノールであり、且つ、第一の有機溶剤の含有量が、第一の有機溶剤と第二の有機溶剤の含有量の合計に対して、40質量%未満である場合、パターン倒れがより抑制され、露光部の膜減りがより抑制され、且つブリッジ欠陥がより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
また、表2、表4、表6、表8、表10、及び表12の結果から、溶剤Aが、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる溶剤A-1であり、且つ溶剤Bが溶剤B-1(アルコール系溶剤)である場合、パターン倒れがより抑制されたパターンを形成できることが明らかである。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価2]
実施例A-1のパターン形成において、現像液である酢酸ブチルを表1に示す処理液A-1に変更した以外は同様にしてパターン形成を実施した。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価3]
実施例A-2のパターン形成において、現像液である酢酸ブチルを表1に示す処理液A-2に変更した以外は同様にしてパターン形成を実施した。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価4]
実施例A-3のパターン形成において、現像液である酢酸ブチルを表1に示す処理液A-3に変更した以外は同様にしてパターン形成を実施した。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価5]
実施例E-1のパターン形成において、処理液E-1のイソ酪酸イソブチルを酪酸イソブチルに変更した以外は同様にしてパターン形成を実施した。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価6]
表9に示す処理液E-1(実施例E-1)において、第一の有機溶剤であるイソ酪酸イソブチルを酪酸イソブチル又はイソ酪酸ブチルに変更した以外は同様にして処理液E-1-1及び処理液E-1-2を作製して処理液E-1と同様の評価を実施したところ、処理液E-1(実施例E-1)と同様の結果が得られた。
[パターン形成(EUV露光、ネガ現像)及び評価7]
(実施例A-1’)
樹脂(A-1)の代わりに以下に示す樹脂(A-2)を使用した以外はレジスト組成物1と同様の方法により、レジスト組成物2を調製した。
Figure 0007242836000104
上記樹脂(A-2)中の各繰り返し単位の組成比(モル比)は、左から順に、60/40である。上記モル比は、H-NMR測定により算出した。
また、樹脂(A-2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(溶媒:THF)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は11,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.60である。
レジスト組成物1のかわりにレジスト組成物2を用いた以外、実施例A-1と同様の手順によりパターンの形成を行って評価を実施したところ、パターン倒れの評価は、密集パターンがCであり、DOTパターンがCであり、疎パターンがCであり、露光部膜減りの評価はAであり、ブリッジ欠陥の評価はAであった。
実施例A-1と実施例A-1’との対比から、樹脂が上述した一般式(1)で表される繰り返し単位(ヒドロキシスチレン系繰り返し単位)を含む場合、本発明の効果をより教授できることが確認された。

Claims (12)

  1. 感活性光線又は感放射線性組成物から得られるレジスト膜に対して現像及び洗浄の少なくとも一方を行うために使用され、有機溶剤を含むレジスト膜パターニング用の処理液であって、
    下記条件Aを満たす第一の有機溶剤と、下記条件Bを満たす第二の有機溶剤とを含み、
    前記第一の有機溶剤が、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、及びジイソプロピルエーテルからなる群から選ばれる1種以上であり、
    前記第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-オクタノール、1-オクタノール、1-ヘキサノール、3-オクタノール、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-へプチン-3-オール、及び、7-オクチン-1-オールからなる群から選ばれる1種以上である、処理液。
    条件A:
    SP値が18.7MPa1/2以下であり、且つ下記式(1)で表されるΔPが15.0以下である、エーテル系溶剤。
    条件B:
    SP値が19.0MPa1/2以上であり、且つClogPが1.6以上のアルコール系溶剤。
    式(1): ΔP =δp/(δd+δp+δh)×100
    式(1)中、δdは、ハンセン溶解度パラメータの分散項を表す。δpは、ハンセン溶解度パラメータの極性項を表す。δhは、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項を表す。
  2. 前記第二の有機溶剤が、3,7-ジメチル-3-オクタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3-エチル-3-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-オクタノール、1-オクタノール、及び1-ヘキサノールからなる群より選ばれる1種以上の非環状のアルコール系溶剤を含む、請求項1に記載の処理液。
  3. 前記第二の有機溶剤が、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール及び3-オクタノールのいずれか1種以上の非環状のアルコール系溶剤を含む、請求項に記載の処理液。
  4. 前記第二の有機溶剤が、1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ヘプチン-3-オール、及び7-オクチン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上の分子内に三重結合を有する非環状のアルコール系溶剤を含む、請求項に記載の処理液。
  5. 前記第一の有機溶剤が、ジイソアミルエーテル及びジイソブチルエーテルの少なくとも1種以上を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の処理液。
  6. 前記処理液が、リンス液である、請求項1~のいずれか1項に記載の処理液。
  7. 前記感活性光線又は感放射線性組成物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の処理液。
    Figure 0007242836000105

    式中、Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。Rは、置換基を表す。aは、1~3の整数を表す。bは、0~(5-a)の整数を表す。なお、Rが複数個存在する場合には、互いに同じであっても異なっていてもよいし、複数個のR同士が互いに結合して環を形成してもよい。
  8. 感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を露光する露光工程と、
    露光された前記レジスト膜を請求項1~のいずれか1項に記載の処理液によって処理する処理工程と、を含む、パターン形成方法。
  9. 感活性光線又は感放射線性組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜を露光する露光工程と、
    露光された前記レジスト膜を処理する処理工程と、を含む、パターン形成方法であって、
    前記処理工程は、
    現像液によって現像する現像工程と、
    リンス液によって洗浄するリンス工程を備え、
    前記リンス液が請求項1~のいずれか1項に記載の処理液である、パターン形成方法。
  10. 前記現像液が、エステル系溶剤を含む、請求項に記載のパターン形成方法。
  11. 前記エステル系溶剤が、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチル、イソブタン酸ブチル、及びイソブタン酸イソブチルからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項10に記載のパターン形成方法。
  12. 前記感活性光線又は感放射線性組成物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
    Figure 0007242836000106

    式中、Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。Rは、置換基を表す。aは、1~3の整数を表す。bは、0~(5-a)の整数を表す。なお、Rが複数個存在する場合には、互いに同じであっても異なっていてもよいし、複数個のR同士が互いに結合して環を形成してもよい。
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