JP6759056B2 - 放射線検出装置及び放射線撮像システム - Google Patents

放射線検出装置及び放射線撮像システム Download PDF

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本発明は、放射線検出装置及び放射線撮像システムに関する。
医療画像診断や非破壊検査に放射線検出装置が広く利用されている。この放射線検出装置を用いて、被写体に対してエネルギ成分が異なる放射線の放射線画像を複数取得し、取得した放射線画像の差分から、特定の被写体部分を分離又は強調したエネルギサブトラクション画像を取得する方法が知られている。特許文献1〜3には、エネルギサブトラクション画像を取得するために、2つの放射線撮像パネルを用いて、被写体に対して1回の放射線照射(ワンショット法)で2つの異なるエネルギ成分の放射線の放射線画像を記録する放射線検出装置が提案されている。特許文献1には、2組の放射線撮像パネルの間に放射線の低エネルギ成分を吸収するための部材として銅板を配することが示されている。また、特許文献2、3には、当該部材としてAl,Ti,Ag,Pb,Fe,Ni,Cu,Zn,La,Cs,Ba,Sn,Sb,Tb,CeまたはSmを主成分とし、且つ、50μm〜450μmの厚みを有する金属板を用いることが示されている。
特開平5−208000号公報 特開2011−000235号公報 特開2011−022132号公報
特許文献1に示される銅板では、放射線の高エネルギ成分と低エネルギ成分との分離が不十分な可能性があり、得られるエネルギサブトラクション画像の画質が低下する可能性がある。また、特許文献2、3で示されている金属板を50〜450μmの厚みの範囲で用いた場合も特許文献1と同様の問題がある。更に、特にAg、La、Cs、Ba、Sb、Tb、Ce、Smの金属板は現実的に得られるものではないか、または非常に高価であるため、放射線検出装置の製造コストが増加する可能性がある。
本発明は、放射線検出装置において、2つの放射線撮像パネルを用い、1回の放射線の照射でエネルギサブトラクション画像を取得するために有利な技術を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る放射線検出装置は、筐体と、筐体の中に重ねて配された第1の放射線撮像パネル及び第2の放射線撮像パネルと、第1の放射線撮像パネルと第2の放射線撮像パネルとの間に配された放射線吸収部と、を含む放射線検出装置であって、放射線吸収部は、K吸収端のエネルギが38keV以上かつ60keV以下に存在する元素を含む第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材が、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうち少なくとも1つの元素を含む粒子が添加された樹脂を含み、前記第2部材が、銅、銀、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む金属板を含むことを特徴とする。また、本発明の実施形態に係る放射線検出装置は、筐体と、前記筐体の中に重ねて配された第1の放射線撮像パネル及び第2の放射線撮像パネルと、前記第1の放射線撮像パネルと前記第2の放射線撮像パネルとの間に配された放射線吸収部と、を含む放射線検出装置であって、前記放射線吸収部は、K吸収端のエネルギが38keV以上かつ60keV以下に存在する元素を含む第1部材と、前記元素以外の元素を含む第2部材と、を含み、前記第1部材が、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうちから選ばれたうち少なくとも1つのランタノイドを含む化合物粒子が添加された樹脂を含み、前記第2部材が、銅、銀、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む金属板を含むことを特徴とする。また、本発明の実施形態に係る放射線検出装置は、筐体と、前記筐体の中に重ねて配された第1の放射線撮像パネル及び第2の放射線撮像パネルと、前記第1の放射線撮像パネルと前記第2の放射線撮像パネルとの間に配された放射線吸収部と、を含む放射線検出装置であって、前記放射線吸収部は、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうち少なくとも1つの元素を含む粒子と、樹脂と、を含む第1部材と、銅、銀、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む金属板を含む第2部材と、を含むことを特徴とする。
上記手段によって、放射線検出装置において、2つの放射線撮像パネルを用い、1回の放射線の照射でエネルギサブトラクション画像を取得するために有利な技術が提供される。
本発明の実施形態に係る放射線検出装置の構成例を示す断面図。 ランタノイドの各元素のK吸収端のエネルギを示す図。 X線の線質(RQA3、5、7、9)を示す図。 図1の放射線検出装置の変形例を示す図。 シンチレータの膜厚と、平均エネルギ及び線量比の関係を示す図。 本発明の実施形態に係る放射線検出装置の実施例及び比較例を示す断面図。 本発明の第1〜第3実施例に係る放射線検出装置の放射線吸収部の放射線透過率を示す図。 本発明の放射線検出装置を用いた撮像画像を示す図。 本発明の第4実施例に係る放射線吸収部の放射線透過率を示す図。 本発明の各実施例及び各比較例での2つの放射線撮像パネルにおけるΔEと出力比とを示す図。 本発明の放射線検出装置の実施例及び比較例の評価結果を示す図。 本発明に係る放射線検出装置を用いた放射線撮像システムの構成例を説明する図。
以下、本発明に係る放射線検出装置の具体的な実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。なお、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含みうる。
<実施形態>
図1〜5を参照して、本発明の実施形態による放射線検出装置の構造について説明する。図1は、本発明の実施形態における放射線検出装置100の構成例を示す断面図である。図1(a)に示される放射線検出装置100は、1つの筐体104の中に放射線を検出するための放射線撮像パネル101及び放射線撮像パネル102と、放射線撮像パネル101と放射線撮像パネル102との間に配された放射線吸収部103とを含む。放射線検出装置100は、2つの放射線撮像パネル101、102を備えることによって、被写体に対して1回の放射線の照射(ワンショット法)でエネルギサブトラクション画像の取得が可能な構成を有する。このため、筐体104の放射線105を照射するための入射面106に対する正射影において、放射線撮像パネル101、102は互いに重なるように配される。また、本実施形態の各図に示す構成において、2つの放射線撮像パネル101、102のうち、放射線撮像パネル101の方が、放射線撮像パネル102よりも入射面106に近い放射線の入射する側に配される。
放射線撮像パネル101、102は、互いに同じ構成を有する撮像パネルを用いてもよい。特許文献2、3には、放射線の吸収特性の互いに異なる材料を用いた撮像パネルを用いる構成が示されている。この場合、放射線検出装置に用いる材料や、部品の種類が増え、製造コストが増加する可能性がある。互いに同じ構成を有する放射線撮像パネル101、102を用いることによって、製造コストを抑制できる可能性がある。
放射線撮像パネル101、102が、図1(a)に示すように、入射した放射線を直接、電気信号に変換する変換素子を用いた直接型の撮像パネルであってもよい。この場合、変換素子にはアモルファスセレン(a−Se)などの材料が用いられうる。
また、放射線撮像パネル101、102が、図1(b)に示すように、放射線を光に変換するシンチレータ111、112と、シンチレータ111、112で変換された光を検出する検出部121、122とを含む間接型の撮像パネルであってもよい。図1(b)に示す構成では、放射線撮像パネル101において、シンチレータ111によって放射線から変換された光を検出部121が検出する。同様に、放射線撮像パネル102において、シンチレータ112によって放射線から変換された光を検出部122が検出する。
放射線撮像パネル101、102が間接型の撮像パネルの場合、シンチレータ111で変換された光が検出部122で検出されないように、また、シンチレータ112で検出された光が検出部121で検出されないようにする部材が配されてもよい。例えば、放射線撮像パネル101、102が、シンチレータ111、112で変換された光を遮光するアルミニウムなどの金属や黒色の樹脂などで構成された部材によって覆われていてもよい。また例えば、放射線吸収部103が、シンチレータ111及びシンチレータ112で変換された光が検出部122及び検出部121で検出されることを抑制してもよい。シンチレータ111及びシンチレータ112で変換された光が検出部122及び検出部121され難くなることで、検出部121、122で得られる画質の劣化が抑制されうる。
検出部121、122は、シンチレータ111、112によって放射線105から変換された光に感度を有する銀塩感光フィルムであってもよい。また、検出部121、122は、基板にシンチレータ111、112で変換された光を電気信号に変換するための光電変換素子を含む複数の画素がアレイ状に配された画素アレイを備えるセンサパネルであってもよい。センサパネルには、例えば、ガラスやプラスチックなどの基板上に、シリコンなどの半導体を用いて形成された、pn、pin、MIS型などの光電変換素子と、薄膜トランジスタ(TFT)などのスイッチ素子とを含む複数の画素が配される。また例えば、半導体基板に画素アレイが形成されたセンサパネルを検出部121、122に用いてもよい。センサパネルを検出部121、122として用いる場合、基板上に形成された画素アレイの上にシンチレータ111、112が配されうる。
放射線撮像パネル101、102が間接型の撮像パネルの場合、シンチレータ111、112と検出部121、122との構成は、図1(b)に示すように、シンチレータ111、112が互いに放射線吸収部103を介して互いに向かい合うだけに限られない。例えば、図1(c)のように、放射線撮像パネル101、102ともに、入射面106の側からシンチレータ111、112と検出部121、122との順に並んでいてもよい。この場合、例えば、検出部121及び検出部122ともにセンサパネルであってもよいし、検出部121がセンサパネル、検出部122が銀塩感光フィルムであってもよい。
また例えば、図1(d)に示すように、それぞれの放射線撮像パネル101、102に含まれる検出部121、122が、互いに放射線吸収部103を介して互いに隣接し、向かい合うように配されてもよい。この場合、検出部121、122ともに、センサパネルが用いられてもよい。放射線撮像パネル101、放射線吸収部103を透過した放射線105は、放射線撮像パネル102のシンチレータ112で光に変換される。図1(d)に示す構成では、シンチレータ112での放射線105から光への変換が、シンチレータ112のうち検出部122に近い範囲で行われうる。このため、シンチレータで放射線から変換され検出部122によって検出される光が、シンチレータ112内での散乱の影響を受け難くなり、得られる画像の空間分解能を向上させうる。
次に、放射線吸収部103について説明する。放射線吸収部103は、放射線撮像パネル101と放射線撮像パネル102とで異なるエネルギ成分の放射線画像を取得するために、入射し放射線撮像パネル101を通過した放射線105の低エネルギ成分を吸収するための吸収部材を含む。このため、放射線撮像パネル102には、放射線検出装置100に入射した放射線105のうち高エネルギの成分が入射しやすくなる。結果として、エネルギ成分が異なる複数の放射線画像の差分から得られるエネルギサブトラクション画像の、特定の被写体部分を分離又は強調する能力が向上しうる。
本実施形態において、放射線吸収部103の吸収部材に、K吸収端のエネルギが38keV以上かつ60keV以下に存在する部材を用いる。図2にランタノイドの各元素のK吸収端のエネルギを示す。ランタノイドの各元素は、38.92eVから63.31keVの間にK吸収端のエネルギを有する。このランタノイドの中から、吸収部材は、K吸収端のエネルギが38keV以上かつ60keV以下に存在するランタノイドを適宜選択して用いてもよい。具体的には、吸収部材は、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。ランタノイドの化合物粒子とは、例えばランタノイドの酸化物や窒化物、酸窒化物などであってもよい。また例えば、吸収部材は、ランタノイドの化合物粒子が添加された樹脂であってもよい。吸収部材は、ランタノイドの化合物粒子の充填率が50%以上の部材であってよい。充填率とは、部材中でランタノイドの化合物粒子が占める割合をいう。また吸収部材は、ランタノイド(好ましくはランタノイドの化合物粒子が添加された樹脂)を含む第1部材と、ランタノイドの元素以外の元素を含む第2部材と、を有する複合層であることが好ましい。この複合層を形成するランタノイドの化合物粒子以外の第2部材は、Cu(銅)、Ag(銀)、Zn(亜鉛)、Sns(スズ)のうち少なくとも1つを含む金属板であることが好ましい。
放射線吸収部103の吸収部材は、放射線を吸収する目的を十分に達成するために、入射面106と交差する方向に、100μm以上の膜厚があるとよい。しかしながら、放射線の画像を取得するための高エネルギ成分の放射線を放射線撮像パネル102に透過し、また放射線撮像パネル102で得る画像の空間分解能を確保するために、1000μm以下の膜厚であるとよい。また、より放射線を放射線撮像パネル102に透過するために、300μm以下であってもよい。
吸収部材は、100ミクロン以上と比較的、厚い膜厚を必要とするため、真空蒸着法やスパッタ法を用いて吸収部材を形成することは難しい。そこで、上述の通りランタノイドの化合物粒子を樹脂などに混ぜ込んだペーストを調合し、このペーストを基台上にスクリーン印刷法などを用いて厚膜形成した樹脂のシートを吸収部材として用いることが好ましい。この場合、基台と吸収部材とで放射線吸収部103を構成してもよい。基台は、複合層を形成するランタノイドの化合物粒子以外の吸収部材としての金属板を用いることが好ましく、この場合、金属板の厚みは0.2mm以下であることが好ましい。なお、この金属板は、グランド電位等の固定電位が供給されて電磁シールドとして用いてもよい。また、図1(c)、(d)に示す構成では、放射線吸収部103は独立した部分として示されているが、例えば図1(c)に示す構成において、検出部121に用いられるセンサパネルの基板が、ランタノイドの化合物粒子を含んでいてもよい。また、図1(d)に示す構成において、検出部121、122に用いられるセンサパネルの基板が、ランタノイドの化合物粒子を含んでいてもよい。検出部121、122として用いられるセンサパネルの基板が、ランタノイドの化合物粒子を含むことによって、放射線吸収部103として機能してもよい。
次いで、放射線吸収部103の吸収部材にランタノイドの化合物粒子を用いる本実施形態の効果について説明する。放射線を電荷に変換する光電変換素子とTFTなどのスイッチ素子とを含む画素が配されたセンサパネルを評価する方法としてIEC62220−1がある。この評価方法では、一般撮影領域での放射線であるX線の線質として、IEC61267で規定されたRQA3、5、7、9を使用することが提唱されている。RQA3、5、7、9のエネルギスペクトルを図3(a)に、平均エネルギを図3(b)にそれぞれ示す。図3(a)、(b)に示されるように、RQA3、5、7、9の平均エネルギは38keVから75keV程度である。このことから、38keVから60keV程度にK吸収端を有するランタノイドを含む吸収部材を放射線吸収部103に用いた場合、一般撮影領域において、きわめて有効に放射線のエネルギを分離できることが可能となる。これによって、放射線の低エネルギ成分と高エネルギ成分とを分離し、取得されるエネルギサブトラクション画像の画質を向上することが可能となる。
ここで、放射線吸収部103に用いる吸収部材は、放射線撮像パネル101、102に対して、放射線撮像パネル101、102が感度を有する光を発しないとよい。例えば、吸収部材が可視光を発しないとよい。また例えば、吸収部材が、シンチレータ111、112のように放射線を可視光に変換しないとよい。換言すると、吸収部材は、シンチレータ111、112に用いられる部材とは異なる組成の部材が用いられうる。また、吸収部材が放射線を吸収する際にラジオルミネッセンスを呈し可視光を発する場合、図4に示すように、放射線吸収部103が、吸収部材から放射線撮像パネル101、102への可視光を遮光するための遮光部材401を含んでいてもよい。遮光部材401は、例えば検出部121、122と吸収部材との間のうち少なくとも一方に配されうる。また例えば、遮光部材401は、検出部121、122と吸収部材との間にそれぞれ配されてもよい。また例えば、遮光部材401は、吸収部材の全体を覆うように配されていてもよい。遮光部材401には、例えばアルミニウムなどの金属膜が用いられてもよいし、黒色の樹脂が用いられてもよい。また例えば、センサパネルを用いた検出部121、122の基板が、遮光部材401の機能を有していてもよい。
次に、放射線撮像パネル101、102に含まれるシンチレータ111、112について説明する。エネルギサブトラクション画像を取得する際、上述のように、適切なエネルギを吸収する放射線吸収部103を用いて、入射する放射線105の低エネルギ成分と高エネルギ成分とを分離することが必要である。更に、図1(b)〜(d)に示す、放射線撮像パネル101、102において、シンチレータ111、112を用いる場合、シンチレータ111、112での放射線の吸収量についても考慮する必要がある。具体的には、シンチレータ111で可能な限り低エネルギ成分を吸収し、シンチレータ111で吸収できなかった低エネルギ成分を放射線吸収部103で吸収する。更に、シンチレータ112で、可能な限り高エネルギ成分を吸収し光に変換して検出部122で検出することが必要となる。シンチレータ111において、必要以上に放射線105を吸収した場合、シンチレータ112に到達する放射線105の線量が減少してしまい、信号ノイズ比(SNR)が悪化する可能性がある。
このため、シンチレータ111の放射線の吸収率が、シンチレータ112の放射線の吸収率以下であるとよい。シンチレータ111、112は、互いに異なる材料を用いてもよいし、同じ材料を用いてもよい。例えば、同じ材料を用いてシンチレータ111、112を形成した場合、シンチレータ111の膜厚×充填率とシンチレータ112の膜厚×充填率とが同じ、又は、シンチレータ112の膜厚×充填率の方が大きくなるとよい。異なる材料を用いてシンチレータ111、112を形成した場合、シンチレータ111の膜厚×充填率×密度とシンチレータ112の膜厚×充填率×密度とが同じ、またはシンチレータ112の膜厚×充填率×密度の方が大きくなると良い。シンチレータ111、112の膜厚とは、シンチレータ111、112の入射面106と交差する方向の厚さのことを言う。また、シンチレータ111、112の充填率とは、例えばテルビウム活性化酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S:Tb)のように粒子状の材料が樹脂に添加されているシンチレータの場合、樹脂に対するシンチレータ粒子の占める割合をいう。また、タリウム活性化ヨウ化セシウム(CsI:Tl)のように検出部121、122とシンチレータ111、112との界面から界面と交差する方向に成長する柱状結晶構造のシンチレータの場合の充填率は、次のように定義する。この場合、充填率は、検出部121、122とシンチレータ111、112との界面に対する正射影において、シンチレータ111、112の柱状結晶と柱状結晶同士の間の空隙との合計の面積に対する柱状結晶の占める面積の割合をいう。また、シンチレータ111、112の密度とは、材料の物性値を示しており、単位体積当たりの重量をいう。
図1(d)に示す構成を有する放射線検出装置100において、シンチレータ111、112の膜厚を変化させた場合、それぞれの放射線撮像パネル101、102に入射する放射線105の平均エネルギ差を図5(a)に、線量比を図5(b)にそれぞれ示す。ここで、シンチレータ111、112には、同じ充填率及び密度を有するCsI:Tlを用い、それぞれ膜厚を100μmから600μmまで変化させた場合の結果を示す。
図5(a)から、シンチレータ111及びシンチレータ112の両方の膜厚が厚い場合、平均エネルギ差が大きくなることが分かる。一方で、図5(b)に示されるように、シンチレータ111の膜厚が厚くなるに従い、放射線撮像パネル102のシンチレータ112に入射する放射線105の線量が低下してしまうことが分かる。このことから、シンチレータ111、112に同じ材料を用いた場合、シンチレータ111の膜厚×充填率≦シンチレータ112の膜厚×充填率となるとよい。結果として、シンチレータ111の放射線の吸収率が、シンチレータ112の放射線の吸収率以下となればよい。
シンチレータ111、112として、柱状結晶構造のCsI:Tlを用いた場合、100μmの膜厚で、80%程度の充填率のCsI:Tlが形成できれば、得られる画像の空間分解能が確保されうる。そこで、放射線105の入射する側の放射線撮像パネル101に配されるシンチレータ111は、CsI:Tlを用いた場合、
膜厚[μm]×充填率[%]≦8000[μm・%]
の式を満たしていてもよい。また、このとき、シンチレータ112は、CsI:Tlを用いた場合、
膜厚[μm]×充填率[%]≧8000[μm・%]
の式を満たしていてもよい。
<実施例>
図6〜9を用いて、本実施形態の実施例を説明する。まず、上述の本実施形態に対する比較構造として第1比較例と第2比較例との2つの比較例を説明する。
第1比較例
第1比較例として、図6(b)に示す放射線検出装置600aを作製した。まず、検出部121、122として用いるセンサパネルを形成するために、550mm×445mm×t0.7mmの無アルカリガラスの基板の上に、アモルファスシリコンを用いた半導体層を形成した。次いで、半導体層に光を電気信号に変換するための光電変換素子とTFTとで構成される画素などを含む画素アレイを、真空成膜やフォトエッチングプロセスなどを繰り返すことによって形成した。画素アレイは、2816×3416の画素から構成されている。画素アレイに配された画素のうち、外周部に配された各8画素は検出部121、122の作成時、ドライエッチングなどのプロセスマージンを確保するために形成される所謂ダミー画素である。これらダミー画素は、有効画素領域の外周部に約1.2mmの幅で形成した。その後、画素アレイを保護する目的で、窒化シリコン層及びポリイミド樹脂層を形成し、検出部121、122を得た。
次いで、検出部121、122に形成された配線部などを保護するためのマスキング処理を実施した後、蒸着チャンバ中に検出部121、122を設置した。チャンバ内を10−5Paまで減圧後、検出部121、122を回転させながら、検出部121、122の表面が180℃となるようにランプ加熱を行い、シンチレータ111、112を形成するためにCsIの蒸着を行った。この際、発光中心となるTlも同時に蒸着した。このようにして、検出部121、122の上に、膜厚400μm、Tl濃度1mol%のシンチレータ111、112を形成した。
シンチレータ111、112の形成後、シンチレータ111、112の形成された検出部121、122を蒸着チャンバから取り出した。次いで、シンチレータ111、112の防湿保護と反射率確保のために、シンチレータ111、112を覆うようにロールラミネーターにて50μmのAlシート601を接着した。Alシート601には、接着目的で、25μm厚のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)系粘着剤がコーティングされている。更に、周辺からの湿気混入を防ぐために、Alシート601の周辺部を入念に加圧接着した。その後、気泡を抜くための加圧脱泡処理を行い、しかるべき電気実装と緩衝材の接着、および電気回路の接続、機構部分への実装などを行い、放射線撮像パネル101、102を得た。
次いで、放射線撮像パネル102のAlシート601の形成された側に、10μm厚のPMMA粘着シート602を転写し、離形フィルムを剥離した後、外形基準で位置出しを行い、放射線撮像パネル101の検出部121の側に貼り付けを行った。以上の工程を用いて、2つの放射線撮像パネル101、102を積層し、1ショットでエネルギサブトラクションが可能な放射線検出装置600aを得た。
この放射線検出装置600aに、管電圧140kV、管電流80mA、固定ろ過1.9mm厚Al、付加フィルター無しの条件で、SID(Source Image receptor Distance)175cmの位置から放射線を爆射した。放射線の曝射によって、放射線撮像パネル101、102のそれぞれで放射線画像を取得した。
放射線撮像パネル101のAlシート601上にMTFチャートを載せ、空間周波数2lp/mmのMTFの測定を行ったところ、放射線撮像パネル101のMTFは0.350、放射線撮像パネル102のMTFは0.320であった。
また、放射線撮像パネル101のAlシート601上に、20mm厚のPMMA板、2mm厚のAl板、6mm厚のAl板を載せ、放射線を照射し、放射線撮像パネル101、放射線撮像パネル102からそれぞれ画像を取得した。得られた画像から、下記の原理に従い、計算を行うことにより、20mm厚のPMMA板、2mm厚のAl板、6mm厚のAl板のそれぞれの厚さを算出した。
ここで、入射放射線強度をI0、i成分からなる物質を透過した際の透過放射線強度をI、i成分からなる物質の厚みをti[cm]、i成分からなる物質の線減弱係数をμiとすれば、
Figure 0006759056
で表される。式(1)において、i=2、即ち2成分の場合、二元連立方程式となるため、成分iの厚みtiを計算することができる。例として、2成分である場合、−log(I/I0)=μ1t1+μ2t2で表される。更に、放射線撮像パネル101から得られる画像をL、放射線撮像パネル102から得られる画像をHとすると、放射線撮像パネル101に対しては、−log(IL/I0L)=μ1Lt1+μ2Lt2で表される。一方、放射線撮像パネル102に対しては、−log(IH/I0H)=μ1Ht1+μ2Ht2で表される。上記連立方程式を解くことにより、各成分の厚みを計算することができる。
本比較例では、20mm厚のPMMA板に対して計算された厚みは11.5mm、6mm厚のAl板に対して計算された厚みは3.7mm、2mm厚のAl板に対して計算された厚みは1.1mmであった。
また、放射線スペクトルをEMFジャパン株式会社製EMF123−0で測定した。このスペクトルと構成材料の質量減率係数から、放射線撮像パネル101に入射する放射線と、放射線撮像パネル102に入射する放射線の平均エネルギ差ΔE、及び、線量比を計算した。本比較例の平均エネルギ差ΔEは9.6keV、線量比は23.8%であった。
第2比較例
第2比較例として、図6(c)に示す放射線検出装置600bを作製した。まず、第1比較例と同様の方法で、放射線撮像パネル101、102を得た。次いで、放射線撮像パネル102の検出部122の側に、10μmのPMMA粘着シート602を転写し、離形フィルムを剥離したのち外形基準で位置出しを行い、放射線撮像パネル101の検出部121の側に貼り付けを行った。以上の工程を用いて、2つの放射線撮像パネル101、102を積層し、1ショットでエネルギサブトラクションが可能な放射線検出装置600bを得た。
作製した放射線検出装置600bに対して、第1比較例と同様の条件にて放射線の曝射を行い、放射線撮像パネル101、102のそれぞれで放射線画像を取得した。
放射線撮像パネル101のAlシート601上にMTFチャートを載せ、空間周波数2lp/mmのMTFの測定を行ったところ、放射線撮像パネル101のMTFは0.350、放射線撮像パネル102のMTFは0.340であった。
また、第1比較例と同様の方法で各部材の厚みを計算した。本比較例では、20mm厚のPMMA板に対して計算された厚みは13.0mm、6mm厚のAl板に対して計算された厚みは3.9mm、2mm厚のAl板に対して計算された厚みは1.2mmであった。
また、本比較例の放射線検出装置600bにおいて、放射線撮像パネル101に対する放射線撮像パネル102の平均エネルギ差ΔEは10.4keV、線量比は23%であった。
放射線撮像パネル102のMTFが向上したのは、第1比較例と比較して、シンチレータ112に放射線が入射する前に、放射線が検出部121だけでなく検出部122を透過する。このため、放射線がシンチレータ111に入射した際に発生する低エネルギの2次放射線が、検出部121だけでなく検出部121、122両方の基板に吸収されるためと考えられる。また、材料識別能が向上したのも、同様に低エネルギ成分の2次放射線の影響が抑制されたためと考えられる。
次いで本実施形態の実施例として第1実施例〜第3実施例の3つの実施例を説明する。
第1実施例
第1実施例として、図6(a)に示す放射線検出装置100を作製した。まず、上述の第1比較例、第2比較例と同様の方法で、放射線撮像パネル101、102を得た。また、ランタノイドを用いた吸収部材を含む放射線吸収部103を形成した。本実施形態において、吸収部材に、ランタノイドのうちセリウムの化合物である酸化セリウムの粒子が添加された樹脂を用いた。
放射線吸収部103の形成において、まず、酸化セリウムの塗工ペーストを準備した。具体的には、酸化セリウム粉末2kgを、ターピネオール1kgに添加し、分散、撹拌した。次いで、酸化セリウムの添加された分散液を150℃に加熱しつつ、酸化セリウムの粒子に対する体積比が2.5%となるよう溶剤系ポリビニルブチラール粉末を添加して溶解させ、完全な溶解を確認した後に室温まで自然冷却した。冷却後、25℃、0.3rpmにおける回転粘度が50Pa・sとなるようにブチルカルビトールを添加し、スリットコータ用の酸化セリウムの塗工ペーストを得た。得られた塗工用ペーストを用いて、188μm厚のPETフィルムを基台としてスリットコータ上にセットし、スリットコートによる塗工を行った。塗工後の基板を、IR乾燥機に投入し110℃、45分間乾燥させ、室温まで冷却させた後、乾燥機から取り出し、PETフィルムの基台上に酸化セリウムを用いた吸収部材を含む放射線吸収部103を得た。
この酸化セリウムを用いた放射線吸収部103の吸収部材の膜厚を、株式会社キーエンス製LT−9030レーザー変位計を用いて測定したところ、吸収部材の膜厚は500μm、吸収部材中に含まれる酸化セリウムの膜充填率は50.0%であった。図7に酸化セリウムを用いた吸収部材を含む放射線吸収部103の放射線透過率を示す。図7から、酸化セリウムを用いた吸収部材を含む放射線吸収部103を用いることによって、入射した放射線のうち40KeV近傍にあるセリウムのK吸収端以下の低エネルギ成分を、有効に除去できることがわかる。
放射線吸収部103の形成後、放射線吸収部103の両面に10μmのPMMA粘着シート602を転写し、表面の離形フィルムを剥離し、放射線撮像パネル101の検出部121の側に貼り付けた。更に、裏面の離形フィルムを剥離し、放射線撮像パネル102の検出部122の側に貼り付けた。以上の工程を用いて、2つの放射線撮像パネル101、102を積層し、2つの放射線撮像パネル101、102の間に放射線吸収部103を備えた、1ショットでエネルギサブトラクションが可能な放射線検出装置100を得た。
作製した放射線検出装置100に対して、第1比較例、第2比較例と同様の条件にて放射線の曝射を行い、放射線撮像パネル101、102のそれぞれで放射線画像を取得した。
放射線撮像パネル101のAlシート601上にMTFチャートを載せ、空間周波数2lp/mmのMTFの測定を行ったところ、放射線撮像パネル101のMTFは0.350、放射線撮像パネル102のMTFは0.330であった。
また、本実施例の放射線検出装置100において、第1比較例と同様の方法で各部材の厚みを計算した。本実施例では、20mm厚のPMMA板に対して計算された厚みは19.4mm、6mm厚のAl板に対して計算された厚みは6.0mm、2mm厚のAl板に対して計算された厚みは2.0mmであった。
図8(a)に本実施例で作成した放射線検出装置100の放射線撮像パネル101で撮像した透過画像、図8(b)に放射線撮像パネル101、102で撮像した画像から得た線減弱係数比(μ1/μ2)の画像をそれぞれ示す。通常の透過画像と同様の図8(a)では、20mm厚PMMA板803と6mm厚Al板802とのコントラストが近い。一方、2mm厚Al板801と6mm厚Al板802とで、コントラストに明らかに差があることがわかる。すなわち、結果として通常の透過画像からは物質の識別は不可能であることがわかる。これに対し、図8(b)に示す線減弱係数比(μ1/μ2)の画像では、20mm厚PMMA板803と6mm厚Al板802とで、コントラストが大きく異なっており、また、2mm厚Al板801と6mm厚Al板802とで、コントラストが近いことがわかる。この画像から、放射線検出装置100によって取得された線減弱係数比(μ1/μ2)の画像において、厚みによらず材料の識別ができることを示している。
また、本実施例の放射線検出装置100において、放射線撮像パネル101に対する放射線撮像パネル102の平均エネルギ差ΔEは22.6keV、線量比は9.0%であった。
本実施例において、放射線撮像パネル101、102との間にランタノイドの化合物粒子を含む吸収部材を用いた放射線吸収部103を配することによって、第1比較例、第2比較例と比較して、材料識別能が大きく向上することが分かった。また、放射線吸収部103を配することによってMTFが劣化することもなかった。平均エネルギ差ΔEは、放射線吸収部103が存在するため第1比較例、第2比較例よりも大きくなる。また、本実施例において、第1比較例、第2比較例と同様に、ともに400μmの膜厚のシンチレータ111、112を用いた。このため、シンチレータ111に対するシンチレータ112の線量比が第1比較例、第2比較例よりも低下している。
第2実施例
第2実施例として、シンチレータ111の膜厚が200μm、シンチレータ112の膜厚が600μmであることを除き、第1実施例と同様の構成を有する放射線検出装置100を作製した。
作製した放射線検出装置100に対して、上述の各比較例及び実施例と同様の条件にて放射線の曝射を行い、放射線撮像パネル101、102のそれぞれで放射線画像を取得した。
放射線撮像パネル101のAlシート601上にMTFチャートを載せ、空間周波数2lp/mmのMTFの測定を行ったところ、放射線撮像パネル101のMTFは0.380、放射線撮像パネル102のMTFは0.350であった。
また、本実施例の放射線検出装置100において、第1比較例と同様の方法で各部材の厚みを計算した。本実施例では、20mm厚のPMMA板に対して計算された厚みは19.0mm、6mm厚のAl板に対して計算された厚みは5.8mm、2mm厚のAl板に対して計算された厚みは1.9mmであった。
また、本実施例の放射線検出装置100において、放射線撮像パネル101に対する放射線撮像パネル102の平均エネルギ差ΔEは18.7keV、線量比は17.3%であった。
本実施例において、放射線の入射する側にある放射線撮像パネル101のシンチレータ111の膜厚を薄くすることによって、放射線撮像パネル102に到達する線量が増加した。また、放射線撮像パネル101を透過した放射線を検出する放射線撮像パネル102のシンチレータ112の膜厚を厚くすることによって、検出される線量が増加し、信号ノイズ比の悪化が抑制される。これによって、第1実施例と比較して、平均エネルギ差ΔEと材料識別能は同等である。また、シンチレータ111の膜厚を薄くすることによって、シンチレータ111中での光の拡散が抑制され、第1実施例よりも放射線撮像パネル101のMTFが向上した。また、シンチレータ111の膜厚が薄いため、第1実施例よりも平均エネルギ差が小さくなり、線量比が向上した。
第3実施例
第3実施例として、シンチレータ111の膜厚が100μm、シンチレータ112の膜厚が600μmであることを除き、第1実施例、第2実施例と同様の構成を有する放射線検出装置100を作製した。
作製した放射線検出装置100に対して、上述の各比較例及び実施例と同様の条件にて放射線の曝射を行い、放射線撮像パネル101、102のそれぞれで放射線画像を取得した。
放射線撮像パネル101のAlシート601上にMTFチャートを載せ、空間周波数2lp/mmのMTFの測定を行ったところ、放射線撮像パネル101のMTFは0.390放射線撮像パネル102のMTFは0.370であった。
また、本実施例の放射線検出装置100において、第1比較例と同様の方法で各部材の厚みを計算した。本実施例では、20mm厚のPMMA板に対して計算された厚みは17.0mm、6mm厚のAl板に対して計算された厚みは5.4mm、2mm厚のAl板に対して計算された厚みは1.6mmであった。
また、本実施例の放射線検出装置100において、放射線撮像パネル101に対する放射線撮像パネル102の平均エネルギ差ΔEは13.4keV、線量比は22.1%であった。
本実施例において、放射線の入射する側にある放射線撮像パネル101のシンチレータ111の膜厚を、第2実施例よりも更に薄くすることによって放射線撮像パネル102に到達する線量が増加し信号ノイズ比が第1実施例に比較し大幅に向上した。一方で材料識別能は第1実施例に比べて若干低下した。また、シンチレータ111の膜厚を薄くすることによって、シンチレータ111中での光の拡散が抑制され、第1実施例及び第2実施例よりも放射線撮像パネル101のMTFが向上した。また、シンチレータ111の膜厚が薄いため、第1実施例及び第2実施例よりも平均エネルギ差が小さくなり、線量比が向上した。
第4実施例
第4実施例では、放射線吸収部103が、第3実施例で使用した放射線吸収部103の基台のみが異なる放射線検出装置100を作製した。
第4実施例では放射線吸収部の基台として100μmのCu板を使用し、この上に第1実施例と同様の方法で膜厚500μm、充填率50.0%の酸化セリウム粒子とバインダ樹脂からなる膜を形成している。
作製した放射線検出装置100に対して、上述の各比較例及び実施例と同様の条件にて放射線の曝射を行い、放射線撮像パネル101、102のそれぞれで放射線画像を取得した。
放射線撮像パネル101のAlシート601上にMTFチャートを載せ、空間周波数2lp/mmのMTFの測定を行ったところ、放射線撮像パネル101のMTFは0.390、放射線撮像パネル102のMTFは0.370であった。
また、本実施例の放射線検出装置100において、第1比較例と同様の方法で各部材の厚みを計算した。本実施例では、20mm厚のPMMA板に対して計算された厚みは18.5mm、6mm厚のAl板に対して計算された厚みは5.8mm、2mm厚のAl板に対して計算された厚みは1.8mmであった。
また、第4実施例の平均エネルギ差ΔEは17.0keV、線量比は22.1%であった。
図9に第1〜第3実施例で使用した放射線吸収部103(破線)と第4実施例で使用した放射線吸収部103(実線)の透過率を示す。第4実施例では、放射線吸収部103の基板を100μmのCuに変更したため、40keV以下の透過率が40keV以上の透過率に対し、有意に減少し、更にエネルギの分離能が向上していることがわかる。
また、図10に、第1、2比較例と第1〜第4実施例での平均エネルギ差ΔEに対する輝度比をプロットした結果を示す。図10によると、第1、第2比較例と比較し、第1〜第3実施例がよりこのましい方向、即ちΔEに対して大きい輝度比が得られることがわかり、放射線吸収部103の効果が確認できる。また、第4実施例では、第1〜第3実施例に比べ更に好ましい方向にあり、ランタノイドの化合物粒子を含む層と金属板の複合構成である放射線吸収部103がより優れた特性を示していることがわかる。
1回の放射線の照射でエネルギサブトラクション画像を取得するための放射線検出装置100において、2つの撮像パネルの間にランタノイドの化合物粒子を含む第1部材を含む放射線吸収部103を配する。それによって、放射線の高エネルギ成分と低エネルギ成分とを分離する。また、放射線吸収部103が、ランタノイドの化合物粒子以外の元素を含む第2部材としての金属板を更に含むことにより、放射線の高エネルギ成分と低エネルギ成分とを更に大きく分離することが可能となる。これによって、得られるエネルギサブトラクション画像の材料識別能が向上することが分かった。また、放射線を吸収し、光に変換するシンチレータの厚さを適宜選択することによって、更に材料識別能が向上することが分かった。図11に、各実施例及び各比較例の評価結果を示す。
以上、本発明に係る実施形態、実施例を示したが、本発明はこれらの実施形態、実施例に限定されないことはいうまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態、実施例は適宜変更、組み合わせが可能である。
<放射線撮像システム>
以下、図12を参照しながら本発明の放射線検出装置100が組み込まれた放射線撮像システム1000を例示的に説明する。放射線撮像システム1000は、例えば、放射線検出装置100と、イメージプロセッサなどを含む信号処理部1003と、ディプレイなどを含む表示部1004と、放射線を発生させるための放射線源1001とを含む。放射線源1001から発せられた放射線(例えばX線)は、被験者1002を透過し、被験者1002の体内の情報を含む放射線が、本実施形態の放射線検出装置100によって検出される。これによって得られた放射線画像を用いて、例えば、信号処理部1003は、所定の信号処理を行い、画像データを生成する。この画像データは、表示部1004に表示される。
100 放射線検出装置
101、102 撮像パネル
103 放射線吸収部
104 筐体

Claims (14)

  1. 筐体と
    記筐体の中に重ねて配された第1の放射線撮像パネル及び第2の放射線撮像パネルと、
    前記第1の放射線撮像パネルと前記第2の放射線撮像パネルとの間に配された放射線吸収部と、
    を含む放射線検出装置であって、
    前記放射線吸収部は、K吸収端のエネルギが38keV以上かつ60keV以下に存在する元素を含む第1部材と、第2部材と、を含み、
    前記第1部材が、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうち少なくとも1つの元素を含む粒子が添加された樹脂を含み、
    前記第2部材が、銅、銀、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む金属板を含むことを特徴とする放射線検出装置。
  2. 筐体と、
    前記筐体の中に重ねて配された第1の放射線撮像パネル及び第2の放射線撮像パネルと、
    前記第1の放射線撮像パネルと前記第2の放射線撮像パネルとの間に配された放射線吸収部と、を含む放射線検出装置であって、
    前記放射線吸収部は、K吸収端のエネルギが38keV以上かつ60keV以下に存在する元素を含む第1部材と、前記元素以外の元素を含む第2部材と、を含み、
    前記第1部材が、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうちから選ばれたうち少なくとも1つのランタノイドを含む化合物粒子が添加された樹脂を含み、
    前記第2部材が、銅、銀、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む金属板を含むことを特徴とする放射線検出装置。
  3. 筐体と、
    前記筐体の中に重ねて配された第1の放射線撮像パネル及び第2の放射線撮像パネルと、
    前記第1の放射線撮像パネルと前記第2の放射線撮像パネルとの間に配された放射線吸収部と、
    を含む放射線検出装置であって、
    前記放射線吸収部は、
    ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムのうち少なくとも1つの元素を含む粒子と、樹脂と、を含む第1部材と、
    銅、銀、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む金属板を含む第2部材と、
    を含むことを特徴とする放射線検出装置。
  4. 前記第1部材が、前記第1の放射線撮像パネル及び前記第2の放射線撮像パネルに対して、前記第1の放射線撮像パネル及び前記第2の放射線撮像パネルが感知可能な光を発しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
  5. 前記第2部材が、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及び、ツリウムを含まないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
  6. 前記第1部材が、放射線を可視光に変換しないことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の放射線検出装置。
  7. 前記第1部材が、100μm以上かつ1000μm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の放射線検出装置。
  8. 前記第1の放射線撮像パネル及び前記第2の放射線撮像パネルが、シンチレータと、前記シンチレータで放射線から変換された光を検出するための検出部と、を含むことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の放射線検出装置。
  9. 前記第1の放射線撮像パネル及び前記第2の放射線撮像パネルの少なくとも一方が、前記シンチレータの反射率確保のための部材を更に含み、
    前記第2部材は前記反射率確保のための部材とは別に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の放射線検出装置。
  10. 前記第1の放射線撮像パネル及び前記第2の放射線撮像パネルに含まれる前記検出部が、前記放射線吸収部を介して互いに隣接して配されることを特徴とする請求項9に記載の放射線検出装置。
  11. 前記放射線検出装置は、前記第1の放射線撮像パネルが前記第2の放射線撮像パネルよりも放射線の入射する側に配され、
    前記第1の放射線撮像パネルは、前記シンチレータのうち第1のシンチレータを有し、
    前記第2の放射線撮像パネルは、前記シンチレータのうち第2のシンチレータを有し、
    前記第1のシンチレータの放射線の吸収率が、前記第2のシンチレータの放射線の吸収率以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載の放射線検出装置。
  12. 前記第1のシンチレータは、
    タリウム活性化ヨウ化セシウム(CsI:Tl)を含み、
    前記第1の放射線撮像パネルに配された前記検出部と前記第1のシンチレータとの界面から、前記界面と交差する方向に成長した柱状結晶構造を有し、
    前記界面に対する正射影において、前記第1のシンチレータの柱状結晶と柱状結晶同士の間の空隙との面積に対する前記柱状結晶の占める面積の割合を充填率としたとき、
    前記第1のシンチレータの膜厚[μm]×前記充填率[%]≦8000[μm・%]
    であることを特徴とする請求項11に記載の放射線検出装置。
  13. 前記放射線吸収部が、可視光を遮光する遮光部材を更に含み、
    前記遮光部材が、前記第1の放射線撮像パネルと前記放射線吸収部との間と、前記第2の放射線撮像パネルと前記放射線吸収部との間と、の少なくとも何れかに配されることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の放射線検出装置。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載の放射線検出装置と、
    前記放射線検出装置からの信号を処理する信号処理部と、を備えることを特徴とする放射線撮像システム。
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