JP6758654B2 - 静電容量型の音波発生用デバイス、静電容量型の音波発生装置および静電容量型スピーカー - Google Patents

静電容量型の音波発生用デバイス、静電容量型の音波発生装置および静電容量型スピーカー Download PDF

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Description

本発明は、静電容量型の音波発生用デバイス、静電容量型の音波発生装置および静電容量型スピーカーに関する。
音波発生装置のうち、可聴域の音波を出力するスピーカーとして、電磁力を利用したダイナミックスピーカー(electrodynamic speaker)が多く利用されている(例えば、非特許文献1参照)。ダイナミックスピーカーは、振動板にコイルが取り付けられているため、振動板が重く、音波を出力する際には、強い力で振動板を振動させる必要がある。このとき、振動時の振動板の慣性力が大きくなるため、入力した電気信号と振動板の振動との間にズレが生じてしまうという問題があった。特に、イヤホンなどの小型のスピーカーでは、振動板の慣性力が相対的に大きくなるため、電気信号と振動とのズレがさらに大きくなってしまうという問題があった。
そこで、そのような問題を解決するために、静電容量型スピーカー(electrostatic speaker)が利用されている(例えば、特許文献1乃至5参照)。静電容量型スピーカーは、図8に示すように、振動板51を挟むようにして2枚の固定電極52が配置されている。この静電容量型スピーカーは、例えば、図9(a)および(b)に示すように、振動板51をプラスまたはマイナスに帯電させ、各固定電極52に振動板51とは反対の極性の電気信号を送って帯電させることにより、振動板51と各固定電極52との間に作用する静電引力を利用して振動板51を振動させ、音波を出力するようになっている。静電容量型スピーカーは、振動板51にコイルなどが取り付けられておらず、電気信号に合わせて振動板51を振動させることができる。また、構造がシンプルで、ダイナミックスピーカーと比べて消費電力も少ないという利点もある。
Iman Shahosseini, et al., "Electromagnetic MEMS microspeaker for portable electronic devices", Microsystem Technologies, June 2013, Volume 19, Issue 6, p.879-886
米国特許第6842964号明細書 欧州特許出願公開第2410768号明細書 欧州特許出願公開第2464142号明細書 欧州特許出願公開第2582156号明細書 特許第3281887号公報
しかしながら、特許文献1乃至5に記載のような従来の静電容量型スピーカーは、図8および図9に示すように、振動板51の振動により発生した音波を外部に伝えるために、各固定電極52に1または複数の穴52aを開ける必要があり、その穴52aから塵埃や水、湿気などが振動板51と各固定電極52との間に入り込みやすく、静電気で振動板51や各固定電極52に付着してしまうという課題があった。振動板51や各固定電極52に塵埃や水分等が付着すると、振動板51と各固定電極52とが短絡して放電が発生し、振動板51に傷がついたり、振動板51に穴があいて破損したりする原因となる。
また、穴52aにより各固定電極52の表面積が減少し、作用する静電気力が低下するため、それを補うために振動板51および各固定電極52に印加する電圧を高める必要があり、消費電力が増大してしまうという課題もあった。また、振動板51からの音波が各固定電極52の穴52aを通る際、例えば、各固定電極52の穴52aの大きさや形状により音波の周波数が影響を受けるなどして、音波の波形が乱されるため、音質が低下してしまうという課題もあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、塵埃や水、湿気などが内部に入り込みにくく、消費電力を抑制可能で、音質を高めることができる静電容量型の音波発生用デバイス、静電容量型の音波発生装置および静電容量型スピーカーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスは、板状を成し、厚みを貫通して設けられた1つの貫通孔を有する固定電極と、板状または膜状を成し、前記固定電極と対向するよう、前記固定電極の一方の表面側に配置され、前記固定電極に対して、少なくとも中央部が厚み方向に移動可能に設けられた振動体と、板状または膜状を成し、前記固定電極と対向するよう、前記固定電極の他方の表面側に配置され、前記固定電極に対して、少なくとも中央部が厚み方向に移動可能に設けられた振動電極と、前記振動体と前記振動電極とが同じ方向に移動するよう、前記固定電極の前記貫通孔を通して、前記振動体と前記振動電極とを接続した接続部材とを、有することを特徴とする。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスは、前記固定電極と前記振動体との間の静電引力により前記振動体が移動し、前記固定電極と前記振動電極との間の静電引力により前記振動電極が移動するよう構成されていることが好ましい。
また、本発明に係る静電容量型の音波発生装置は、本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスと、前記固定電極、前記振動体および前記振動電極に電圧を印加可能に設けられた音声信号入力手段とを有することを特徴とする。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、以下の原理で音波を出力することができる。すなわち、本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、図1に示す一例のように、固定電極11を挟むようにして振動体12および振動電極13が配置されており、固定電極11の貫通孔11aを通して、接続部材14が振動体12と振動電極13とを接続している。本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、例えば、図2(a)に示すように、音声信号入力手段により、固定電極11に電圧を印加して、固定電極11をマイナスに帯電させた状態で、振動体12に電圧を印加して、振動体12に固定電極11と反対の極性の電気信号を送ってプラスに帯電させることにより、振動体12と固定電極11との間に静電引力を作用させ、振動体12を固定電極11側に移動させることができる。また、同様に、図2(b)に示すように、振動電極13に電圧を印加して、振動電極13に固定電極11と反対の極性の電気信号を送ってプラスに帯電させることにより、振動電極13と固定電極11との間に静電引力を作用させ、振動電極13を固定電極11側に移動させることができる。このとき、接続部材14を介して振動体12と振動電極13とが同じ方向に移動するため、振動体12を固定電極11とは反対側に移動させることができる。このため、音声信号入力手段で、音声信号に合わせて、振動体12と振動電極13とに電圧を印加することにより、振動体12を振動させることができ、音波を出力することができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、図2に示す態様だけでなく、例えば、固定電極11をプラスに帯電させて、振動体12や振動電極13をマイナスに帯電させてもよい。この場合でも、同様に振動体12を振動させることができ、音波を出力することができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生装置で、音声信号入力手段により固定電極、振動体および振動電極に印加する電圧は、音声信号に合わせて振動体を振動可能であれば、いかなるものであってもよく、例えば、前記音声信号入力手段は、前記固定電極にプラスまたはマイナスのバイアス電圧を印加すると共に、前記バイアス電圧を基準として音声信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号の極性を反転した反転信号を生成し、前記アナログ信号および前記反転信号をそれぞれ前記振動体および前記振動電極、または前記振動電極および前記振動体に印加するよう構成されていてもよい。この場合、図8および図9に示すような、従来の静電容量型スピーカーのそれぞれ振動板51、一方の固定電極52および他方の固定電極52に印加する電圧と同じ電圧を印加することができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、固定電極を挟むようにして振動体および振動電極が配置されており、外側の振動体および振動電極に穴を設ける必要がないため、外側の各固定電極に穴が設けられた従来の静電容量型スピーカーと比べて、塵埃や水、湿気などが、固定電極と振動体または振動電極との間に入り込みにくい。このため、振動体や振動電極、固定電極に塵埃等が付着するのを抑制することができ、放電の発生を防いで、振動体の寿命を延ばすことができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置では、固定電極に設けられた貫通孔は、接続部材を通すためだけに使用されるため、音波を通す穴と比べ、固定電極の表面積に対する割合を非常に小さくすることができる。このため、貫通孔が存在しても、貫通穴による静電引力の低下は小さく、各固定電極の穴による影響が大きい従来の静電容量型スピーカーと比べて、消費電力を抑制することができる。接続部材が通された貫通孔と、その接続部材との隙間は、振動体や振動電極が振動したときの、固定電極の振動体側の空間と振動電極側の空間との間の通気に利用することができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、振動体が固定電極の外側に配置されているため、振動体で出力された音波を、干渉により波形が乱されることなく、外部に伝播させることができ、音質を高めることができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、前記固定電極を、その周縁部で固定すると共に、前記振動体および前記振動電極の少なくとも一方を、その周縁部で支持するよう設けられた支持部を有していてもよい。この場合、振動体および振動電極の双方が支持部で支持されていてもよいが、振動体と振動電極とが接続部材で接続されているため、振動体および振動電極のいずれか一方のみが支持部で支持されていてもよい。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置で、振動体および振動電極は、少なくとも中央部が厚み方向に移動可能に設けられていれば、いかなる構成を成していてもよい。振動体および振動電極は、互いに同じ素材や構成であってもよく、異なる素材や構成であってもよい。例えば、振動体および振動電極は、パレリン(Parylene)やポリエチレン(PE)、金属ガラス(metallic glass)などの、薄く、柔軟な素材の膜から成り、その周縁部が枠状の支持部に固定されていてもよい。この膜は、厚みが、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。また、ヤング率が、80GPa以下であることが好ましく、50GPa以下であることが特に好ましい。
また、振動体および振動電極は、シリコン製やセラミックス製、Al,Cu,Ni等の金属製の硬質の板から成る中央部と、柔軟で薄い素材から成る周縁部とを有し、その周縁部が枠状の支持部に固定されていてもよい。中央部の大きさは、直径100μm以下であることが好ましい。また、振動体および振動電極は、全体が、シリコン製やセラミックス製、Al,Cu,Ni等の金属製の硬質の板から成り、その周縁部が板バネ等により枠状の支持部に固定されていてもよい。板バネ等は、振動体や振動電極と同じ素材から成っていてもよく、異なる素材から成っていてもよい。
また、振動体および振動電極は、音声信号入力手段で電圧を印加したとき電気を通すよう、導体等の低抵抗の材料から成っていることが好ましいが、少なくとも固定電極側の表面に導体層が被覆された絶縁体から成っていてもよい。導体層は、例えば、炭素や金属、不純物がドープされたシリコン等から成っている。
固定電極は、シリコン製やセラミックス製、Al,Cu,Ni等の金属製の硬質の板から成ることが好ましい。接続部材は、少なくとも一部が電気的に絶縁された部分を有することが好ましい。絶縁された部分は、エポキシ樹脂やベンゾシクロブテン等のポリマーや、セラミックス等から成ることが好ましく、抵抗値が1MΩ以上であることが好ましい。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、音波を発生する用途であれば、いかなる用途に利用されてもよい。なお、本明細書中での「音波」とは、可聴域の周波数の弾性波だけでなく、可聴域以外の周波数の弾性波も含むものである。本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置は、例えば、音声信号入力手段による振動体の振動により、可聴域の音波を発生可能に構成された静電容量型スピーカーや、可聴域より高い周波数の超音波を発生可能に構成された超音波発生装置、可聴域より低い周波数の超低周波波を発生可能に構成された超低周波音発生装置などとして構成されていてもよい。なお、可聴域は、人によって異なるが、およそ20Hz〜20kHzである。
本発明によれば、塵埃や水、湿気などが内部に入り込みにくく、消費電力を抑制可能で、音質を高めることができる静電容量型の音波発生用デバイス、静電容量型の音波発生装置および静電容量型スピーカーを提供することができる。
本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置の、音波を出力する原理を示す説明図である。 本発明に係る静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置の、音波を出力する原理を示す(a)振動体と固定電極との間に静電引力を作用させたとき、(b)振動電極と固定電極との間に静電引力を作用させたときの説明図である。 本発明の実施の形態の静電容量型の音波発生装置を示す回路図である。 本発明の実施の形態の静電容量型の音波発生装置の、音声発生部分を示す断面図である。 図4に示す静電容量型の音波発生装置の音声発生部分の製造方法を示す断面図である。 本発明の実施の形態の静電容量型の音波発生装置の、振動体が薄膜から成る変形例を示す断面図である。 図6に示す静電容量型の音波発生装置の音声発生部分の製造方法を示す断面図である。 従来の静電容量型スピーカーの、音波を出力する原理を示す説明図である。 従来の静電容量型スピーカーの、音波を出力する原理を示す(a)振動板と一方の固定電極との間に静電引力を作用させたとき、(b)振動板と他方の固定電極との間に静電引力を作用させたときの説明図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図3乃至図7は、本発明の実施の形態の静電容量型の音波発生用デバイスおよび静電容量型の音波発生装置を示している。
図3および図4に示すように、静電容量型の音波発生装置10は、固定電極11と振動体12と振動電極13と接続部材14と支持部15と音声信号入力手段16とを有している。なお、固定電極11、振動体12、振動電極13、および接続部材14が、本発明の実施の形態の静電容量型の音波発生用デバイスを成している。
図3および図4に示すように、固定電極11は、円板状を成し、中央に厚みを貫通して設けられた貫通孔11aを有している。固定電極11は、端部に端子11bを有している。振動体12は、固定電極11より径が小さく、薄い円板状を成している。振動体12は、固定電極11の一方の表面側に、固定電極11と対向するよう配置されている。振動電極13は、振動体12と同じ径および厚みを有する円板状を成している。振動電極13は、固定電極11の他方の表面側に、固定電極11と対向するよう配置されている。接続部材14は、細長い棒状を成し、固定電極11の貫通孔11aを通して、振動体12と振動電極13とを接続している。接続部材14は、両端がそれぞれ振動体12の中央部と振動電極13の中央部とに固定されている。
図4に示すように、支持部15は、振動体12の周囲を囲うよう設けられた第1の枠体21と、振動電極13の周囲を囲うよう設けられた第2の枠体22と、固定電極11を固定するための固定部材23とを有している。第1の枠体21および第2の枠体22は、間に固定電極11を挟むよう配置されている。第1の枠体21は、内周縁に沿って複数の板バネ24が設けられ、各板バネ24の内側の端部を振動体12の周縁部に固定することにより、振動体12を支持している。第1の枠体21は、端部に端子25を有している。第2の枠体22は、内周縁に沿って複数の板バネ26が設けられ、各板バネ26の内側の端部を振動電極13の周縁部に固定することにより、振動電極13を支持している。第2の枠体22は、端部に端子27を有している。固定部材23は、第1の枠体21と第2の枠体22との間に固定電極11を固定するよう、第1の枠体21と固定電極11の一方の表面との間、および、第2の枠体22と固定電極11の他方の表面との間に、それぞれ複数設けられている。固定部材23は、固定電極11の周縁部に固定されている。
これにより、振動体12は、各板バネ24を介して、固定電極11に対して、厚み方向に振動可能になっている。また、振動電極13は、各板バネ26を介して、固定電極11に対して、厚み方向に振動可能になっている。また、振動体12および振動電極13は、接続部材14により、同じ方向に移動し、同時に振動するようになっている。
なお、図4に示す一例では、固定電極11、振動体12および振動電極13は、低抵抗の導電性シリコン製である。また、接続部材14は、中央部14aが導電性シリコン製であり、それぞれ振動体12と振動電極13とに接続した両端部14bが、絶縁性のエポキシ樹脂のSU−8から成っている。また、第1の枠体21は、低抵抗の導電性シリコンの間に、酸化シリコンの絶縁層42を挟んで形成されている。第2の枠体22は、低抵抗の導電性シリコン製である。固定部材23は、絶縁性のエポキシ樹脂のSU−8から成っている。固定電極11の端子11b、第1の枠体21の端子25、および第2の枠体22の端子27は、導電性のTi/Au層から成っている。
図3に示すように、音声信号入力手段16は、バイアス発生部31と電圧変換部32とを有している。バイアス発生部31は、プラスおよびマイナスのバイアス電圧を発生し、固定電極11の端子11bを介して、プラスのバイアス電圧を固定電極11に供給するようになっている。また、バイアス発生部31は、マイナスのバイアス電圧を電圧変換部32に供給するようになっている。電圧変換部32は、音声入力端子32aから音声信号を入力し、その音声信号を、バイアス発生部31から供給されたマイナスのバイアス電圧を基準として、そのバイアス電位より高い正の電圧またはバイアス電位より低い負の電圧のアナログ信号に変換するようになっている。電圧変換部32は、変換されたアナログ信号を、第1の枠体21の端子25を介して振動体12に供給し、アナログ信号の極性を反転した反転信号を、第2の枠体22の端子27を介して振動電極13に供給するようになっている。これにより、静電容量型の音波発生装置10は、図2に示す原理に従って、振動体12と固定電極11、振動電極13と固定電極11との間に作用する静電引力を利用して振動体12を振動させ、音波を発生するようになっている。
図4に示す静電容量型の音波発生装置10の音声発生部分は、例えば、図5に示す方法に従って製造することができる。すなわち、まず、図5(a)に示すように、厚さ400μmのベースシリコン層41と、その上面に設けられた厚さ5μmの酸化シリコン製の絶縁層42と、その上面に設けられた厚さ20μmのシリコン活性層43とから成るSOI(Silicon on Insulator)基板に対し、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、シリコン活性層43の一部をスリット状に絶縁層42までエッチング除去して、直径1000μmの円形の振動体12と、その周囲を囲う第1の枠体21を形成する。このとき、振動体12と第1の枠体21とを連結する梁状の部分を、エッチング除去せずに複数残し、板バネ24(例えば、幅100μm、長さ100μm)を形成する。また、シリコン活性層43の表面に、第1の枠体21の端子25として、スパッタリング法により、Ti/Au2層膜(Ti 0.3μ/Au 1μm)を形成する。ここで、ベースシリコン層41およびシリコン活性層43は、静電引力を発生させる電極として用いるため、低抵抗(例えば0.02Ωcm)の導電性シリコンから成っている。
次に、図5(b)に示すように、シリコン活性層43の表面に、スピンコート法により、厚さ100μmの感光性エポキシ樹脂(SU-8)層を形成し、フォトリソグラフィーにより、第1の枠体21と振動体12の中央部とに、円柱形状(直径100μm)でSU-8を残し、固定部材23および接続部材14の端部14bを形成する。図5(c)に示すように、固定電極11用の厚さ200μmの低抵抗(抵抗率0.02Ωcm)シリコン基板44を、図5(b)で形成したSU-8(固定部材23および接続部材14の端部14b)の端面に接着するとともに、そのシリコン基板44の表面に、固定電極11の端子11bとして、Ti/Au2層膜(Ti 0.3μ/Au 1μm)を形成する。図5(d)に示すように、振動体12の中央部のSU-8(接続部材14の端部14b)に対応する位置に、フォトリソドライエッチングにより、内径120μm、幅20μmの円形のスリットを形成し、その円形のスリットの内側に、接続部材14の中央部14aを形成する。
図5(e)に示すように、厚さ400μmの低抵抗(抵抗率0.02Ωcm)シリコン基板45に対し、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、深さ20μmまでスリット状にエッチング除去して、直径1000μmの円形の振動電極13と、その周囲を囲う第2の枠体22を形成する。このとき、振動電極13と第2の枠体22とを連結する梁状の部分を、エッチング除去せずに複数残し、板バネ26(例えば、幅100μm、長さ100μm)を形成する。また、そのシリコン基板45の振動電極13とは反対側の表面に、第2の枠体22の端子27として、スパッタリング法により、Ti/Au2層膜(Ti 0.3μ/Au 1μm)を形成する。
図5(f)に示すように、図5(e)で振動電極13の側の面に、スピンコート法により、厚さ100μmの感光性エポキシ樹脂(SU-8)層を形成し、フォトリソグラフィーにより、第2の枠体22と振動電極13の中央部とに、円柱形状(直径100μm)でSU-8を残し、固定部材23および接続部材14の端部14bを形成する。そのSU-8(固定部材23および接続部材14の端部14b)の端面に、図5(d)で形成した固定電極11および接続部材14の中央部14aを接着する。このとき、振動電極13の中央部のSU-8(接続部材14の端部14b)が、固定電極11の中央部の円形のスリットの内側(接続部材14の中央部14a)に配置されるよう接着し、中央部14aおよび両端部14bから成る接続部材14を形成する。
図5(g)に示すように、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、シリコン基板45の振動電極13とは反対側の表面を、第2の枠体22の一部並びに振動電極13および板バネ26を残して、振動電極13および板バネ26を含む範囲で、図5(e)でエッチングした深さまでエッチング除去する。最後に、図5(h)に示すように、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、ベースシリコン層41を、第1の枠体21の一部を残して、振動体12および板バネ24を含む範囲で、絶縁層42までエッチング除去し、さらに振動体12および板バネ24上の絶縁層42を除去する。こうして、図4に示す静電容量型の音波発生装置10の音声発生部分を製造することができる。
静電容量型の音波発生装置10は、固定電極11を挟むようにして振動体12および振動電極13が配置されており、外側の振動体12および振動電極13に穴を設ける必要がないため、外側の各固定電極に穴が設けられた従来の静電容量型スピーカーと比べて、塵埃や水、湿気などが、固定電極11と振動体12または振動電極13との間に入り込みにくい。このため、振動体12や振動電極13、固定電極11に塵埃等が付着するのを抑制することができ、放電の発生を防いで、振動体12の寿命を延ばすことができる。例えば、振動体12の寿命を、従来の静電容量型スピーカーの振動板の寿命の3〜5倍以上に延ばすことができる。
静電容量型の音波発生装置10では、固定電極11に設けられた貫通孔11aは、接続部材14を通すためだけに使用されるため、音波を通す穴と比べ、固定電極11の表面積に対する割合を非常に小さくすることができる。このため、貫通孔11aが存在しても、振動体12で発生する音波の音圧はほとんど低下せず、各固定電極の穴による影響が大きい従来の静電容量型スピーカーと比べて、消費電力を抑制することができる。
静電容量型の音波発生装置10は、振動体12が固定電極11の外側に配置されているため、振動体12で出力された音波を、干渉により波形が乱されることなく、外部に伝播させることができ、音質を高めることができる。静電容量型の音波発生装置10は、小型の静電容量型スピーカーとして使用されると特に効果的であり、例えば、インテリジェントスピーカーやパソコンのスピーカー、携帯端末のスピーカー、補聴器のスピーカーとして使用することができる。なお、図4および図5に示す一例では、駆動電圧は、約200V〜600Vである。
なお、図4および図5に示す静電容量型の音波発生装置10は、振動体12と振動電極13とが同じ構成を成しているため、振動体12と振動電極13とを入れ換えてもよい。また、静電容量型の音波発生装置10は、振動体12と振動電極13とが接続部材14で接続されているため、振動体12および振動電極13のいずれか一方のみが支持部15で支持されていてもよい。
また、図6に示すように、静電容量型の音波発生装置10は、振動体12および/または振動電極13が薄膜から成っていてもよい。この場合でも、図1および図2の原理に従って振動体12を振動させることができ、音波を出力することができる。なお、図6に示す一例では、振動体12が薄膜から成り、振動電極13が板状を成している。薄膜は、厚さ1〜50μm、直径5mm以下であることが好ましい。
図6に示す音声発生部分は、例えば、図5(a)〜(d)および図7に示す方法に従って、製造することができる。すなわち、振動体12と振動電極13の配置を逆にして図5(a)〜(d)の工程を行った後、図7(a)に示すように、厚さ400μmの低抵抗(抵抗率0.02Ωcm)シリコン基板45の表面に、円形のパレリン(Parylene)製の薄膜層46(振動体12)を形成する。また、そのシリコン基板44の薄膜層46とは反対側の表面に、第2の枠体22の端子27として、スパッタリング法により、Ti/Au2層膜(Ti 0.3μ/Au 1μm)を形成する。
図7(b)に示すように、薄膜層46の表面に、スピンコート法により、厚さ100μmの感光性エポキシ樹脂(SU-8)層を形成し、フォトリソグラフィーにより、薄膜層46の周縁部と中央部とに、円柱形状(直径100μm)でSU-8を残し、固定部材23および接続部材14の端部14bを形成する。そのSU-8(固定部材23および接続部材14の端部14b)の端面に、図5(d)で形成した固定電極11および接続部材14の中央部14aを接着する。このとき、薄膜層46の中央部のSU-8(接続部材14の端部14b)が、固定電極11の中央部の円形のスリットの内側(接続部材14の中央部14a)に配置されるよう接着し、中央部14aおよび両端部14bから成る接続部材14を形成する。
図7(c)に示すように、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、薄膜層46の周縁部分を残して、シリコン基板45をエッチング除去する。最後に、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、ベースシリコン層41を、第1の枠体21の一部を残して、振動電極13および板バネ24を含む範囲で、絶縁層42までエッチング除去し、さらに振動電極13および板バネ24上の絶縁層42を除去する。これにより、図6に示す静電容量型の音波発生装置10の音声発生部分を製造することができる。
10 静電容量型の音波発生装置
11 固定電極
11a 貫通孔
11b 端子
12 振動体
13 振動電極
14 接続部材
15 支持部
21 第1の枠体
22 第2の枠体
23 固定部材
24,26 板バネ
25,27 端子
16 音声信号入力手段
31 バイアス発生部
32 電圧変換部
32a 音声入力端子

41 ベースシリコン層
42 絶縁層
43 シリコン活性層
44 シリコン基板
45 シリコン基板
46 薄膜層

51 振動板
52 固定電極

Claims (5)

  1. 板状を成し、厚みを貫通して設けられた1つの貫通孔を有する固定電極と、
    板状または膜状を成し、前記固定電極と対向するよう、前記固定電極の一方の表面側に配置され、前記固定電極に対して、少なくとも中央部が厚み方向に移動可能に設けられた振動体と、
    板状または膜状を成し、前記固定電極と対向するよう、前記固定電極の他方の表面側に配置され、前記固定電極に対して、少なくとも中央部が厚み方向に移動可能に設けられた振動電極と、
    前記振動体と前記振動電極とが同じ方向に移動するよう、前記固定電極の前記貫通孔を通して、前記振動体と前記振動電極とを接続した接続部材とを、
    有することを特徴とする静電容量型の音波発生用デバイス
  2. 前記固定電極と前記振動体との間の静電引力により前記振動体が移動し、前記固定電極と前記振動電極との間の静電引力により前記振動電極が移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の静電容量型の音波発生用デバイス。
  3. 請求項1または2記載の静電容量型の音波発生用デバイスと、
    前記固定電極、前記振動体および前記振動電極に電圧を印加可能に設けられた音声信号入力手段とを、
    有することを特徴とする静電容量型の音波発生装置。
  4. 前記音声信号入力手段は、前記固定電極にプラスまたはマイナスのバイアス電圧を印加すると共に、前記バイアス電圧を基準として音声信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号の極性を反転した反転信号を生成し、前記アナログ信号および前記反転信号をそれぞれ前記振動体および前記振動電極、または前記振動電極および前記振動体に印加するよう構成されていることを特徴とする請求項記載の静電容量型の音波発生装置。
  5. 請求項1もしくは2記載の静電容量型の音波発生用デバイス、または、請求項3もしくは4記載の静電容量型の音波発生装置を備えていることを特徴とする静電容量型スピーカー。
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