特許文献1のヘアードライヤーによれば、切換えスイッチを切換えることで、一定温度の温風を送給している状態において温風の風量を無段階に変更でき、あるいは一定量の温風を送給している状態においてヒーターの発熱量を無段階に変更できる。
本発明の目的は、冷風スイッチか、モード切換えスイッチのいずれかのスイッチ操作で温風モードに復帰させることができる温風乾燥機を提供することにある。
本発明に係る温風乾燥機は、本体ケース1に送風ファン4と、同ファン4を回転駆動するモーター5と、送風ファン4から送給される空気を加熱するヒーター6が設けられている。温風乾燥機の運転モードが、モーター5およびヒーター6を駆動して温風を送給する温風モードと、モーター5のみを駆動して冷風を送給する冷風モードを備えている。本体ケース1の外面に、温風モードにおいて発光表示する温風モード表示体31〜34と、冷風モードにおいて発光表示する冷風モード表示体35が設けられている。温風モードは、温風温度の異なる複数の温風モードを備えている。各温風モードに対応して複数個の温風モード表示体31〜34が設けられている。モード切換えスイッチ9は、複数の温風モードを切り換えることが可能となっている。複数の温風モードにおいて、冷風スイッチ13をオン操作すると冷風モードに切り換るように構成されている。冷風モードにおいて冷風スイッチ13をオン操作するか、モード切換えスイッチ9をオン操作すると、温風モードに切り換えることができる。
本発明に係る温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9と、温風モードで運転されている温風乾燥機を冷風モードに切換える冷風スイッチ13を、本体ケース1およびハンドル3からなるケース構造の離れた位置に配置している。
本発明に係る温風乾燥機は、本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9が配置され、ハンドル3に冷風スイッチ13が配置されている。
本発明に係る温風乾燥機は、複数個の温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を直線列状に配置している。
本発明に係る温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置して、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35とモード切換えスイッチ9を直線列状に配置している。
本体ケース1に送風ファン4と、同ファン4を回転駆動するモーター5と、送風ファン4から送給される空気を加熱するヒーター6と、モーター5およびヒーター6の作動状態を制御する制御部29が設けてある。制御部29は、ヒーター6で加熱された温風の温度を検知する温度センサー25の検知信号、および、ヒーター6の熱出力を調整するコントローラー12の調整信号を受けてモーター5およびヒーター6の駆動状態を制御する。詳しくは、制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力された調整信号に応じてヒーター6の熱出力を調整して、温風温度を増減調整できる。ヒーター6の熱出力が増減変化する状態において、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して温風温度を一定に保持するように構成してある。
ユーザーによるコントローラー12の調整速度の違いによって、調整信号の調整速度が所定値を下回る緩速調整と、調整信号の調整速度が所定値を上回る急速調整とがある。制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を大小に調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持するように構成してある。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合には、制御部29が常態制御から離脱して、所定時間が経過するまでの間予め設定された補正制御へ移行して温風温度を補正し、所定時間が経過したのち常態制御へ復帰して温風温度を一定に保持するように構成してある。
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が低下する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%を越える急速低下調整である場合には、制御部29が常態制御から補正制御へ移行し、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が増加する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最大化して、所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%を越える急速増加調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が低下する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成されている。また、コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が増加する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合には、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最大化して所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成してある。
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合のモーター5の駆動時間T1と、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合のモーター5の駆動時間T2は、不等式(T1<T2)を満足するように設定してある。
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するように構成してある。
コントローラー12が急速増加調整されたのち、一定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するように構成してある。
本体ケース1に複数の温度センサー25を設ける。複数の温度センサー25のうち、最も高い温度を検知した温度センサー25の検知信号に基づき、制御部29が送風ファン4およびヒーター6の駆動状態を制御する。
温風乾燥機の運転モードが、モーター5およびヒーター6を駆動して温風を送給する温風モードと、モーター5のみを駆動して冷風を送給する冷風モードを備えている。運転モードが、冷風モードから温風モードに切換えられた状態において、制御部29が補正制御に移行してヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T3だけ駆動したのち、常態制御に移行して温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を調整するように構成してある。
急速低下調整時のヒーター6の駆動時間T1と、急速増加調整時のヒーター6の駆動時間T2と、補正制御におけるヒーター6の駆動時間T3は、不等式(T1>T3>T2)を満足するように設定する。
図3に示すように、本体ケース1の外面に、温風モードにおいて発光表示する温風モード表示体31〜34と、冷風モードにおいて発光表示する冷風モード表示体35を設ける。温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35は隣接配置する。
温風モードが複数の温風モードで構成されて、各温風モードに対応して複数個の温風モード表示体31〜34が設けてある。温風モード表示体31〜34に隣接してモード切換えスイッチ9を配置する。
温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置する。
温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35は直線列状に配置する。
モード切換えスイッチ9と、温風モードで運転されている温風乾燥機を冷風モードに切換える冷風スイッチ13は、本体ケース1およびハンドル3からなるケース構造の離れた位置に配置する。
図2に示すように、本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9を配置し、ハンドル3に冷風スイッチ13を配置する。
ヒーター6は、絶縁性を備えた板状のヒーター基板22と、ヒーター基板22に螺旋状に巻掛けられるヒーター線23で構成する。温度センサー25は、検知部25aと一対のリード部25bを備えたラジアルリード型のサーミスタからなる。図4に示すように、温度センサー25は、一対のリード部25bがヒーター基板22の表面と裏面に位置する状態でヒーター基板22の端子26に固定する。
複数のヒーター基板22を交差させて、各基板22の周囲にヒーター線23を螺旋状に巻掛ける。温度センサー25のリード部25bを、ヒーター基板22の交差基部に設けた端子26に固定して、検知部25aを風下側のヒーター線23と正対する状態で配置する。
図8に示すように、コントローラー12は、スライド式の可変抵抗器39と、ハンドル3に装着されて可変抵抗器39の操作部39aを往復操作するスライドノブ40を備えている。ハンドル3には、スライドノブ40をスライド案内するガイド部41と、スライドノブ40に摩擦抵抗を付与する抵抗壁42を設ける。スライドノブ40は、ガイド部41でスライド案内されるノブ本体43と、抵抗壁42に摺接する弾性スライド腕45を備えている。往復操作されるスライドノブ40に対して、弾性スライド腕45と抵抗壁42の間の摩擦抵抗を作用させて、スライドノブ40に操作抵抗を付与する。
弾性スライド腕45の往復ストロークの両端に臨む抵抗壁42に、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加する増摩擦部48を設ける。
本発明の温風乾燥機は、冷風モードにおいて冷風スイッチ13をオン操作するか、モード切換えスイッチ9をオン操作すると、温風モードに切り換えることができるので、冷風スイッチ13か、モード切換えスイッチ9のいずれかのスイッチ操作で温風モードに復帰させることができる。
本発明の温風乾燥機は、モード切換えスイッチ9と、温風モードで運転されている温風乾燥機を冷風モードに切換える冷風スイッチ13を、本体ケース1およびハンドル3からなるケース構造の離れた位置に配置しているので、ユーザーの操作ミスや勘違いによる運転モードの切換え間違いを避けることができる。
本発明の温風乾燥機は、本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9が配置され、ハンドル3に冷風スイッチ13が配置されているので、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、空いている側の手でモード切換えスイッチ9を操作して運転モードを切換えることができる。また、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、握り位置を変え、あるいは握り締めた状態のまま親指で冷風スイッチ13を操作して、冷風モードに切換え、あるいは冷風モードから温風モードへ切換えることができる。従って、モード切換えスイッチ9または冷風スイッチ13を操作するとき、操作すべきスイッチを間違える余地がなく、運転モードの切換えをさらに確実に行うことができる。
本発明の温風乾燥機は、複数個の温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を直線列状に配置しているので、各表示体31〜35の発光状況を直視する場合はもちろん、鏡に映っている各表示体31〜35の発光状況を間接的に視認する場合でも、現在の運転モードを明確に判別でき、勘違いを生じる余地がない。
本発明の温風乾燥機は、温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置して、温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35とモード切換えスイッチ9を直線列状に配置しているので、表示部を視認しながらモード切換えスイッチ9を操作できる。
温風乾燥機は、制御部29が温度センサー25の出力信号、およびコントローラー12の調整信号を受けてモーター5およびヒーター6の駆動状態を制御するようにした。詳しくは、制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力される調整信号に応じてモーター5の駆動回転数を調整して、送風ファン4の送風量を増減調整できるようにした。そのうえで、制御部29は送風ファン4の送風量が増減する状態において、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整して、送風ファン4の送風量の増減とは無関係に温風温度を一定に保持できるように構成した。
上記のような制御部29を備えた温風乾燥機によれば、環境温度とは無関係に温風乾燥機の温風温度の調整を自動的に行って、複数の髪処理状態に適合した風量と温度の温風を供給できる。また、ユーザーがコントローラー12を操作して、送風ファン4の送給風量を好みの風量に調整した場合であっても、送風ファン4の送給風量の変化とは無関係に、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整して、温風温度を一定に保持できる。
制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を増減調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持する。このように、コントローラー12が緩速調整される場合に常態制御を行うのは、緩速調整に伴うモーター5の駆動回転数の変化幅が小さいため、モーター5の調整動作に確実に追随してヒーター6の熱出力を常態制御で的確に制御できるからである。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合に補正制御を行うと、モーター5の調整動作に見合う状態でヒーター6の熱出力を適切に制御して、温風乾燥機から送給される温風の温度を目標温度に近づけて、温風温度を一定に保持できるからである。なお、コントローラー12が急速調整されるとき常態制御を継続した場合には、コントローラー12の調整動作に追随してヒーター6の熱出力を迅速に制御できず、温風乾燥機から送給される温風の温度が目標温度から大きく外れてしまう。
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、ヒーター6の熱出力を最小出力化して所定時間T1だけ駆動すると、モーター5の駆動回転数の急激な低下に対応してヒーター6の熱出力を低下できる。これにより、ヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T1が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。ヒーター6の熱出力を最小出力化する場合には、ヒーター6に供給される駆動電流を停止し、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を減少する。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最小出力化すると、ヒーター6の熱出力が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの30%である場合に、補正制御を行ってヒーター6の熱出力を最小出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、ヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T2だけ駆動すると、モーター5の駆動回転数の急激な増加に対応してヒーター6の熱出力を増加できる。これにより、ヒーター6がアンダーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T2が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。ヒーター6の熱出力を最大出力化する場合には、ヒーター6に供給される駆動電流を最大にし、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を増加する。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速増加調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最大出力化すると、ヒーター6の熱出力が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの20%である場合に、補正制御を行ってヒーター6の熱出力を最大出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12が急速低下調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最小出力化し、コントローラー12が急速増加調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最大出力化するようにした。こうした制御形態によれば、コントローラー12による全ての急速調整動作に対応してヒーター6の熱出力を好適化して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持できる。
コントローラー12が急速低下調整されるときのヒーター6の駆動時間T1と、コントローラー12が急速増加調整されるときのヒーター6の駆動時間T2が、不等式(T1>T2)を満足するように設定してあるのは次の理由による。熱出力が最大出力化された状態のヒーター6の温度は、最大出力化される直前の、すでに加熱されて大きな熱量を保持している状態からさらに加熱されて、熱量の増加度合が大きくなる。そのため、より短い時間で目標温度に近づけることができ、オーバーシュートに陥りやすい。そこで、補正制御から常態制御へ早く移行することで、オーバーシュートに陥るのを確実に避けている。従って、時間T1と時間T2の関係は(T1>T2)であればよい。
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がヒーター6の熱出力を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速低下調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってヒーター6の熱出力を最小出力化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T1が経過する前に、コントローラー12が急速増加調整されると、ヒーター6の温度が低下する補正制御が終了する前に、温度が増加する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、ヒーター6の熱出力が最大出力化されるため、ヒーター6がオーバーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はヒーター6の熱出力を最大出力化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
コントローラー12が急速増加調整されたのち、所定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がヒーター6の熱出力を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってヒーター6の熱出力を最大出力化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T2が経過する前に、コントローラー12が急速低下調整されると、ヒーター6の温度が増加する補正制御が終了する前に、温度が低下する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、ヒーター6の熱出力が最小出力化されるため、ヒーター6がアンダーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はヒーター6の熱出力を最小出力化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
別の温風乾燥機は、制御部29が温度センサー25の出力信号、およびコントローラー12の調整信号を受けてモーター5およびヒーター6の駆動状態を制御するようにした。詳しくは、制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力される調整信号に応じてヒーター6の熱出力を調整して、温風温度を増減調整できるようにした。そのうえで、制御部29はヒーター6の熱出力が増減する状態において、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して、ヒーター6の熱出力の変化とは無関係に温風温度を一定に保持できるように構成した。
上記のような制御部29を備えた温風乾燥機によれば、環境温度とは無関係に温風乾燥機の温風温度の調整を自動的に行える。また、ユーザーがコントローラー12を操作して、送風温度を好みの温度に調整した場合であっても、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して、温風温度を一定に保持できる。
制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を増減調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持する。このように、コントローラー12が緩速調整される場合に常態制御を行うのは、緩速調整に伴うヒーター6の熱出力の変化幅が小さく、ヒーター6の調整動作に確実に追随してモーター5の駆動回転数を常態制御で的確に制御できるからである。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合に補正制御を行うと、ヒーター6の調整動作に見合う状態でモーター5の駆動回転数を適切に制御して、温風乾燥機から送給される温風の温度を目標温度に近づけて、温風温度を一定に保持できるからである。なお、コントローラー12が急速調整されるとき常態制御を継続した場合には、コントローラー12の調整動作に追随してモーター5の駆動回転数を迅速に制御できず、温風乾燥機から送給される温風の温度が目標温度から大きく外れてしまう。
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1だけ駆動すると、ヒーター6の熱出力の急激な低下に対応してモーター5の駆動回転数を低下できる。これにより、ヒーター6がアンダーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T1が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。モーター5の駆動回転数を最小化する場合には、モーター5に供給される駆動電流を停止し、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を減少する。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最小化すると、モーター5の駆動回転が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの30%である場合に、補正制御を行ってモーター5の駆動回転を最小出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行し、モーター5の駆動回転数を最大化して所定時間T2だけ駆動すると、ヒーター6の熱出力の急激な増加に対応してモーター5の駆動回転数を増加できる。これにより、ヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T2が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。モーター5の駆動回転数を最大出力化する場合には、モーター5に供給される駆動電流を最大にし、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を増加する。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速増加調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最大化すると、モーター5の駆動回転数が不必要に大きく調整されるのを防止できる。例えば、コントローラー12の単位時間当たりの調整量が、コントローラー12の調整ストロークの20%である場合に、補正制御を行ってモーター5の駆動回転数を最大化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、温風乾燥機から送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12が急速低下調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最小化し、コントローラー12が急速増加調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最大化するようにした。こうした制御形態によれば、コントローラー12による全ての急速調整動作に対応してモーター5の駆動回転数を好適化して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持できる。
コントローラー12が急速低下調整されるときのモーター5の駆動時間T1と、コントローラー12が急速増加調整されるときのモーター5の駆動時間T2が、不等式(T1<T2)を満足するように設定してあるのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整される場合には、ヒーター6の熱出力が急激に増加する。そのため、モーター5の駆動時間T2を長くすることで、温風乾燥機から送給される温風の温度をより短い時間で目標温度に近づけることができる。従って、時間T1と時間T2の関係は(T1<T2)であればよい。
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速低下調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってモーター5の駆動回転数を最小化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T1が経過する前に、コントローラー12が急速増加調整されると、モーター5の駆動回転数が最小化する補正制御が終了する前に、モーター5の駆動回転数が増加する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、モーター5の駆動回転数が最大化されるため、ヒーター6がアンダーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はモーター5の駆動回転数を最大化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
コントローラー12が急速増加調整されたのち、所定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってモーター5の駆動回転数を最大化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T2が経過する前に、コントローラー12が急速低下調整されると、モーター5の駆動回転数が増加する補正制御が終了する前に、モーター5の駆動回転数が低下する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、モーター5の駆動回転数が最小化されるため、ヒーター6がオーバーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はモーター5の駆動回転数を最小化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
複数の温度センサー25で温風温度を検知するのは、より高い温度を検知した温度センサー25の検知信号に基づき、送風ファン4およびヒーター6の駆動状態を制御部29で制御して温風乾燥機の安全性を高めるためである。
運転モードが、冷風モードから温風モードに切換えられた状態において、制御部29が補正制御に移行してヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T3だけ駆動すると、温風温度の立ち上がりを急激にして目標温度に復帰する時間を短縮できる。また、所定時間T3が経過したのちは常態制御へ復帰して、温風乾燥機から送給される温風温度を一定に保持できる。
ヒーター6の駆動時間T1・T2・T3の関係が不等式(T1>T3>T2)を満足するように設定するのは、冷風モードから温風モードへ復帰するときヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止しながら、温風モードへ復帰したときの温風温度の立ち上がりを迅速化するためである。なお、T1=<T3とした場合には、ヒーター6の発熱時間が大きい分だけ発熱量が余分になり、オーバーシュートに陥りやすい。また、T3=<T2とした場合には、ヒーター6の発熱時間が少ない分だけ発熱量が不足し、温風モードへ復帰したときの温風温度が、目標温度になるまでの時間が長引く。
温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35が隣接配置してあると、各LED31〜35の点灯個数と、発光色の違いを一瞥するだけで現在の運転モードを明確に判別できる。
複数個の温風モード表示体1〜34に隣接してモード切換えスイッチ9を近接配置すると、各表示体31〜34を一瞥するだけで現在の運転モードを明確に判別できる。
温風モード表示体31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示体35を配置すると、ユーザーは見間違うこともなく冷風モードであることを確認できる。とくに、冷風モード表示体35の発光色が温風モード表示体31〜34の発光色と大きく異ならせてある場合には、間違いなく冷風モードであることを確認できる。
温風モード表示体31〜34と冷風モード表示体35を直線列状に配置すると、各表示体31〜35の発光状況を直視する場合はもちろん、鏡に映っている各表示体31〜35の発光状況を間接的に視認する場合でも、現在の運転モードを明確に判別でき、勘違いを生じる余地がない。
モード切換えスイッチ9と冷風スイッチ13をケース構造の離れた位置に配置すると、ユーザーの操作ミスや勘違いによる運転モードの切換え間違いを避けることができる。
本体ケース1に温風モード表示体31〜34と、冷風モード表示体35と、モード切換えスイッチ9を配置し、ハンドル3に冷風スイッチ13を配置すると、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、空いている側の手でモード切換えスイッチ9を操作して運転モードを切換えることができる。また、ハンドル3を片手で握り締めた状態において、握り位置を変え、あるいは握り締めた状態のまま親指で冷風スイッチ13を操作して、冷風モードに切換え、あるいは冷風モードから温風モードへ切換えることができる。従って、モード切換えスイッチ9または冷風スイッチ13を操作するとき、操作すべきスイッチを間違える余地がなく、運転モードの切換えをさらに確実に行うことができる。
温度センサー25をラジアルリード型のサーミスタで構成し、一対のリード部25bがヒーター基板22の表面と裏面に位置する状態で、温度センサー25をヒーター基板22の端子26に固定すると、一対のリード部25bをヒーター基板22で隔離できるので、一対のリード部25bが接触して短絡するのを確実に防止できる。また、一対のリード部25bをヒーター基板22で強固に支持して、使用時に検知部25aがずれ動くのを確実に防止できる。
温度センサー25のリード部25bを、ヒーター基板22の交差基部に設けた端子26に固定して、検知部25aを風下側のヒーター線23と正対させると、ヒーター線23に接触して加熱された直後の温風の温度を的確に検知することができる。
スライド式の可変抵抗器39とスライドノブ40を備えたコントローラー12において、往復操作されるスライドノブ40に対して、弾性スライド腕45と抵抗壁42の間の摩擦抵抗を作用させると、スライドノブ40を任意の調整位置において停止保持できる。また、スライドノブ40に適度の操作抵抗を付与することにより、スライドノブ40が過度にスライド操作されるのを抑止して、調整時の操作感を円滑で歯切れのよいものにできる。
弾性スライド腕45の往復ストロークの両端に臨む抵抗壁42に、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加する増摩擦部48を設けると、スライドノブ40の往復ストロークの上下端において、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加して操作抵抗を増加できる。従って、スライドノブ40が急操作される場合でも、可変抵抗器39の操作部39aがスライド溝49の溝端に衝撃的に衝突するのを確実に防止できる。
(実施例1) 図1ないし図14は、本発明に係るヘアードライヤー(温風乾燥機)の実施例1を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2においてヘアードライヤーは、中空筒からなる本体ケース1と、本体ケース1に対して軸2を中心にして折畳み可能に連結したハンドル3を備えており、本体ケース1とハンドル3がヘアードライヤーのケース構造を構成している。本体ケース1の内部には乾燥風を送給する軸流型の送風ファン4と、同ファン4を回転駆動するモーター5が配置され、送風ファン4の下流側にヒーター6が配置してある。図2において、符号52は本体ケース1の吸込口、53は吹出口である。使用状態におけるヘアードライヤーは、送風ファン4によって吸込口52から吸い込まれた空気は、加圧されて吹出口53へ向かって送給され、ヒーター6を通過する間に加熱されて温風化され、吹出口53から吹出し送給される。また、ヒーター6の作動を停止すると、加圧された常温の空気(冷風)が吹出口53から吹出し送給される。
図3に示すように、本体ケース1の右側面の上部には、ヘアードライヤーの運転モードを切換えるモード切換えスイッチ9と、各運転モードに応じて点灯表示する表示ユニット10が設けてある。図2に示すようにハンドル3の前面には、モーター5およびヒーター6を起動するメインスイッチ11と、モーター5の駆動回転数を調整するコントローラー12が設けてある。また、ハンドル3の後面には、ヘアードライヤーの運転状態を温風モードから冷風モードに切換える冷風スイッチ13が設けてある。ヒーター6の上方には、左右一対のイオン発生用の放電電極14と、ペルチェ素子15およびヒートシンク16などが設けてある。図2において符号17はトランス、18は電源−制御基板、19は温度制御基板である。上記のように、モード切換えスイッチ9を本体ケース1の右側面の上部に配置し、冷風スイッチ13をハンドル3の背面に配置して、両スイッチ9・13をケース構造の離れた位置に配置するのは、ユーザーの操作ミスや勘違いによる運転モードの切換え間違いを避けるためである。
図4に示すようにヒーター6は、絶縁性を備え十文字状に組まれたヒーター基板22と、ヒーター基板22に螺旋状に巻掛けられるヒーター線23と、絶縁材で形成した導風筒24で構成する。ヒーター基板22には2個の温度センサー25が配置してある。温度センサー25は、検知部25aと一対のリード部25bを備えたラジアルリード型のサーミスタからなり、一対のリード部25bがヒーター基板22の表面と裏面に位置する状態で、ヒーター基板22の端子26に固定してある。この状態の検知部25aは、図4の拡大図に示すように、風下側のヒーター線23と正対しており、これによりヒーター線23に接触して加熱された直後の温風の温度を的確に検知することができる。また、一対のリード部25bをヒーター基板22で隔離できるので、リード部25bが接触して短絡するのを確実に防止できる。さらに、一対のリード部25bをヒーター基板22で強固に支持して、使用時に検知部25aがずれ動くのを確実に防止できる。なお、検知部25aがヒーター線23の巻線領域の内側あるいは外側に臨んで配置してある場合には、検知部25を通過する温風の温度が低くなるため、温風の温度制御を的確に行えなくなる。
モーター5、ヒーター6、ペルチェ素子15の作動状態を制御するために個別に制御回路5C・6C・15Cを設けている(図5参照)。また、モード切換えスイッチ9、コントローラー12、冷風スイッチ13、温度センサー25から出力される信号を受けて、各制御回路5C・6C・15Cに作動指令信号を出力し、モーター5(送風ファン4)、ヒーター6、ペルチェ素子15の駆動状態を制御するマイコン製の制御部29を備えている。なお、放電電極14はメインスイッチ11のオン−オフ操作に応じて起動し、あるいは作動を停止する。先に説明したように、温度センサー25は2個配置するが、これは、より高い温度を検知した温度センサー25の検知信号に基づき、送風ファン4およびヒーター6の駆動状態を制御回路5C・6Cで制御して安全度を高めるためである。
メインスイッチ11をオン操作すると、商用の交流電流を電源−制御基板18に供給して、モーター5、ヒーター6、放電電極14などを作動させるための電流を調整する。また、コントローラー12の調整信号に応じて、制御部29がモーター5の駆動回転数を大小に切換える。メインスイッチ11をオン操作した状態では、ヒーター6の発熱量が最大の第1モードになっており(図7参照)、100度Cの温風が吹出口53から送出される。なお、ヒーター6に供給される駆動電流はパルス電流であり、パルス幅、および単位時間当たりのパルス数を制御部29で制御して、ヒーター6の発熱量を調整している。この状態でモード切換えスイッチ9をオン操作するごとに、図6に示すように第2モード(90度C)、第3モード(80度C)、第4モード(60度C)に切換って、括弧内の温度の温風が吹出口から送出される。また、各温風モードにおいて冷風スイッチ13をオン操作すると、第5モード(冷風モード)に切換わってヒーター6への通電が遮断され、常温の乾燥風が吹出口から送出される。さらに、第5モードにおいて、再度冷風スイッチ13をオン操作するか、モード切換えスイッチ9を操作すると、温風モード(第1〜第4モード)に切換えることができる。
上記の各運転モードに応じて発光表示するために、表示ユニット10を設けている。図3に示すように、表示ユニット10は、前後に長いLED基板30に4個のLED(温風モード表示体)31・32・33・34と、1個のLED(冷風モード表示体)35を等間隔おきに実装して構成してあり、第1モード〜第4モードの各運転モードに応じて、各LED31・32・33・34が点灯される。詳しくは、図7に示すように、第1モードにおいては3個のLED31・32・33が赤色の光を発光し、第2モードにおいては2個のLED32・33が赤色の光を発光し、第3モードにおいては1個のLED33が赤色の光を発光する。第4モードにおいては、先の各LED31・32・33が発光を停止し、LED34が緑色の光を発光する。冷風スイッチ13がオン操作されて第5モードに切換わった状態では、図3において後端に位置するLED35が点灯されて青色の光を発光する。従って、ユーザーは各LED31〜35の点灯個数と、発光色の違いから現在の運転モードを判別することができる。本体ケース1には、各LED31〜35の外面を覆う透明の窓板36が固定してある。
上記のように、5個のLED31〜35は一定間隔おきに隣接する状態で直線列状に配置してあり、その配列線の延長上にモード切換えスイッチ9が配置してある。換言すると、温風モード表示用のLED31〜34に隣接してモード切換えスイッチ9を配置し、温風モード表示用のLED31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示用のLED35を配置している。
上記のように、温風モード表示用のLED31〜34と冷風モード表示用のLED35が隣接配置してあると、各LED31〜35の点灯個数と、発光色の違いを一瞥するだけで現在の運転モードを明確に判別できる。また、温風モード表示用のLED31〜34に隣接してモード切換えスイッチ9が近接配置してあるので、LED31〜34の点灯状態(運転モード)を明確に視認しながらモード切換えスイッチ9を切換え操作でき、運転モードの切換えを的確に行える。さらに、温風モード表示用のLED31〜34とモード切換えスイッチ9の間に、冷風モード表示用のLED35が配置してあるので、その発光色が唯一青色であることも加わって、ユーザーは見間違うこともなく冷風モードであることを確認できる。温風モード表示用のLED31〜34と冷風モード表示用のLED35が直線列状に配置してあるので、各LED31〜35の点灯状況を直視する場合はもちろん、鏡に映っている各LED31〜35の点灯状況を間接的に視認する場合でも、現状の運転モードを明確に判別でき、勘違いを生じる余地がない。
図8および図9に示すようにコントローラー12は、スライド式の可変抵抗器39と、ハンドル3に装着されて可変抵抗器39の操作部39aを往復操作するスライドノブ40を備えている。ハンドル3の前表面には、スライドノブ40をスライド案内するガイド部41が凹み形成され、ハンドル3の内面壁の左右にスライドノブ40に摩擦抵抗を付与する抵抗壁42が設けてある。スライドノブ40は、ガイド部41でスライド案内されるノブ本体43と、ハンドル3の内面壁に沿ってスライド移動するスライドベース44と、スライドベース44の左右に形成した弾性スライド腕45を一体に備えている。弾性スライド腕45の上下中途部には、抵抗壁42に密着する状態でノブ本体43と同行移動する摩擦突起46が設けてある。また、弾性スライド腕45の往復ストロークに臨む抵抗壁42には、弾性スライド腕45を弾性変形させる摩擦部47が設けてあり、摩擦部47の上下両端に、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加する増摩擦部48が設けてある。符号49は操作部39aをスライド案内するスライド溝である。
可変抵抗器39をスライドノブ40で往復操作するとき、摩擦部47で弾性スライド腕45を弾性変形させて、スライドノブ40に摩擦抵抗を付与すると、可変抵抗器39の操作部39aを任意の調整位置において停止保持できる。また、スライドノブ40に適度の操作抵抗を付与することにより、スライドノブ40が過度にスライド操作されるのを抑止して、調整時の操作感を円滑で歯切れのよいものにできる。弾性スライド腕45の往復ストロークの上下端においては、弾性スライド腕45の弾性変形量を増加して操作抵抗を増加できるので、スライドノブ40が急操作される場合でも、可変抵抗器39の操作部39aがスライド溝49の溝端に衝撃的に衝突するのを確実に防止できる。なお、可変抵抗器39の出力は、摩擦突起46が摩擦部47と接触している状態でのみ大小に変化し、摩擦突起46が摩擦部47から増摩擦部48へ乗りあがって、ストローク端へ移動する間はモーター5の駆動回転数が変化しないように制御部29で制御している。
(温風モード)
環境温度の変化とは無関係にヘアードライヤーの風量調整や温度調整を自動的に行って、複数の髪処理状態に適合した風量と温度の温風を供給するために、制御部29は以下のようにして運転制御を行う。メインスイッチ11をオン操作すると、各制御回路5C・6C・15Cが制御部29の作動指令信号を受けて、モーター5、ヒーター6、ペルチェ素子15を作動させ、放電電極14に高圧の放電電流を供給する。このときヒーター6は最大の熱出力になるように駆動電流が供給されており、モーター5はコントローラー12の出力信号に応じた回転数で回転駆動されて、第1モードを維持している。この状態でモード切換えスイッチ9を切換えて、ヘアードライヤーの運転モードを第2モード〜第4モードに切換えることができる。
例えば、洗髪後に髪を乾燥したい場合には、ヘアードライヤーの運転モードを第1モードにした状態で高温(100℃)の温風を吹出し送給する。この状態のモーター5の駆動回転数が最小回転数になっていた場合には、吹出し送給される温風の風量が少ないため、スライドノブ40を上側へスライド操作してモーター5の駆動回転数を増加することで、吹出し送給される温風の風量を増強することができる。しかし、モーター5の駆動回転数が増加すると、送給風量が増加した分だけ温風の温度が低下してしまう。このような温度低下を防ぐために制御部29は、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増加調整して、温風温度を100度Cに保持する。
以上のように、実施例1では、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、制御部29がコントローラー12から出力される調整信号に応じてモーター5の駆動回転数を調整して、送風ファン4の送風量を増減調整するようにした。また、送風ファン4の送風量が増減する状態において、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整して(図1におけるステップS1〜S3)、送風ファン4の送風量の増減とは無関係に温風温度を一定に保持できるようにした(以下、この制御を常態制御と言う)。季節によってヘアードライヤーを使用する環境の温度が大きく変化するが、その場合でも、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整することで、温風温度を目標温度の100度Cに保持できる。第2モード〜第4モードの各運転モードにおいても、制御部29は上記と同様の常態制御を行って、ヘアードライヤーから送給される温風の温度が、各運転モードにおいて設定された目標温度になるようにしている。
(緩速調整と急速調整)
ユーザーによるコントローラー12の調整速度の違いによって、調整信号の調整速度が所定値を下回る場合(以下、緩速調整と言う)と、調整信号の調整速度が所定値を上回る場合(以下、急速調整と言う)がある。調整信号の調整速度は、可変抵抗器39における単位時間当たりの電圧変化量で判別することができ、例えば、単位時間当たりの電圧変化量が、0.1秒当たり5%変化する場合を所定値(基準)として、緩速調整と急速調整を判別する。図1に示すように、スライドノブ40が緩速調整される場合には、制御部29は先に述べた常態制御を行って、各運転モードにおける温風温度を目標温度に調整する。しかし、スライドノブ40が急速調整される場合には、制御部29は常態制御から離脱して所定時間が経過するまでの間予め設定された補正制御へ移行して温風温度を補正し、所定時間が経過したのち常態制御へ復帰して温風温度を一定に保持する。補正制御とは、常態制御状態から予め設定されている最小出力、または最大出力の設定値、あるいはそれに近い設定値まで、制御状態を強制的に変更することである。補正制御においては、スライドノブ40の調整方向が低下する側か、増加する側かで制御の仕方が異なる。
(急速低下調整と急速増加調整)
急速調整には、スライドノブ40が増加位置から減少位置へ向かって急速に操作される場合(以下、急速低下調整と言う)と、スライドノブ40が減少位置から増加位置へ向かって急速に操作される場合(以下、急速増加調整と言う)とがある。いずれの場合にも、スライドノブ40の単位時間当たりの調整量が小さい場合には、送風ファン4の駆動回転が大きく変動することはないので、制御部29は常態制御を維持する。しかし、スライドノブ40(コントローラー12)の調整量が、摩擦部47におけるスライドノブ40(コントローラー12)の調整ストロークの50%以上の急速調整である場合は、制御部29は以下の補正を行ってヒーター6の発熱量を制御する。
詳しくは、図1および図10に示すように、スライドノブ40の調整量が調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合(図1のステップS4においてYES)には、モーター5の駆動回転数が急激に低下するため、送風ファン4の送風量が急減し、ヒーター6がオーバーシュート(過剰上昇)に陥るおそれがある。これを避けるために、制御部29はスライドノブ40の調整量が調整ストロークの50%以上になった時点で、常態制御から補正制御へ移行し(図1のステップS5)、ヒーター6の熱出力を最小出力化して(図11のステップS11)、所定時間T1(0.8秒)が経過したのち常態制御へ復帰する(図11のステップS13においてYES)。ヒーター6の熱出力を最小出力化する場合の制御部29は、ヒーター6に供給される駆動電流を停止し、あるいは駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を減少する。ヒーター6の熱出力を最小出力化するときには、駆動電流の供給を完全に停止してヒーター6の熱出力をゼロ(Low)にする。または、駆動電流の供給をゼロに近い値にして、ヒーター6の熱出力をゼロではないが、ゼロに近い値にする。例えば、駆動電流のパルス幅を小さくしてヒーター6の熱出力をゼロに近づけ、あるいは単位時間当たりのパルス数を減少してヒーター6の熱出力をゼロに近づける。
スライドノブ40の調整量が急速調整であり、かつ、その調整量が予め設定された設定値以上の場合に、常態制御から補正制御に移行する。スライドノブ40で調整操作された可変抵抗器39の出力電圧は、2V(100%)から0V(0%)の範囲内で電圧が変化する。これを基にして、可変抵抗器39の出力電圧が1.0V(50%)以上変化した場合であり、しかもスライドノブ40の調整速度、つまり可変抵抗器39の調整速度が急速調整である場合に、必要な補正制御を行う。具体的には、単位時間当たりの電圧変化量が、0.1秒当たり5%変化する場合に、制御部29は急速調整であると判定し、さらに、急速低下調整であるか、急速増加調整であるかを判定して必要な補正制御を行う。例えば、可変抵抗器39の出力電圧が1.9Vであった場合に、スライドノブ40が急速調整されて出力電圧が0.8Vまで低下した場合には、制御部29は急速調整であることと、低下する方向の調整であることを判定して、常態制御から補正制御へ移行する。このように、制御部29は、急速調整であることと、調整量が設定値以上であることを満足し、さらに調整方向(増減方向)を判定して、補正制御に移行するか否かを判定する。
コントローラー12の調整ストロークと、可変抵抗器39の出力電圧の変化量は比例関係にある。従って、「コントローラー12の調整ストローク」は、「可変抵抗器39の出力電圧の変化量」と読み換えることができる。
上記とは逆に、図10の右半部に示すように、スライドノブ40の調整量が調整ストロークの50%を越える急速増加調整である場合(図1のステップS6においてYES)には、モーター5の駆動回転数が急激に増加するため、送風ファン4の送風量が急増し、ヒーター6の温度がアンダーシュート(過剰低下)に陥るおそれがある。これを避けるために、制御部29はスライドノブ40の調整量が調整ストロークの50%を越えた時点で、常態制御から補正制御へ移行し(図1のステップS7)、ヒーター6の熱出力を最大出力化して(図12のステップS21)、所定時間T2(0.55秒)が経過したのち常態制御へ復帰する(図12のステップS23においてYES)。ヒーター6の熱出力を最大出力化する場合の制御部29は、ヒーター6に供給される駆動電流をHiにする。あるいは、ヒーター6に供給される駆動電流のパルス幅、および単位時間当たりのパルス数を増加する。詳しくは、ヒーター6の熱出力を最大出力化するときには、駆動電流の供給をHi状態にしてヒーター6の熱出力を最大にする。または、駆動電流の供給を最大に近い値にして、ヒーター6の熱出力を最大ではないが最大に近い状態にする。例えば、駆動電流のパルス幅を大きくしてヒーター6の熱出力をHi状態に近づけ、あるいは単位時間当たりのパルス数を増加してヒーター6の熱出力を最大に近づける。
上記のように、スライドノブ40が急速低下調整され、あるいは急速増加調整される場合に補正制御を行い、さらに急速低下調整である場合のヒーター6の駆動時間T1と、急速増加調整である場合のヒーター6の駆動時間T2が、不等式(T1>T2)を満足するように設定してあると、ヒーター6がオーバーシュートやアンダーシュートに陥るのを確実に防止して、目標温度に対する温風温度のばらつき幅を小さくできる。
スライドノブ40による可変抵抗器39の調整方向は、元来、任意の調整位置から上側(増加する側)か下側(減少する側)のいずれか一方を選定する。しかし、ユーザーの操作ミスや勘違いなどにより、スライドノブ40が急速低下調整されたのち所定時間T1内に急速増加調整されることがある(図11のステップS15においてYES)。こうした場合には、図13に示すように、急速低下調整時のスライドノブ40の調整量が調整ストロークの50%を越えた時点で、制御部29は常態制御から補正制御へ移行するものの、急速増加調整が確定した時点で、制御部29は補正制御から離脱して常態制御へ復帰し(図11のステップS14)、ヒーター6の熱出力を常態制御の状態へ戻す。同様に、スライドノブ40が急速増加調整されたのち一定時間T2内に急速低下増加調整された場合(図12のステップS25においてYES)には、急速増加調整時のスライドノブ40の調整量が調整ストロークの50%を越えた時点で、制御部29は常態制御から補正制御へ移行するものの、急速低下調整が確定した時点で、制御部29は補正制御から離脱して常態制御へ復帰し、ヒーター6の熱出力を常態制御の状態へ戻す。
(冷風モード)
ヘアードライヤーが任意の運転モードの常態制御状態で運転されているとき、冷風スイッチ13をオン操作すると、図6および図14に示すように、制御部29はヒーター6への通電が遮断され、常温の乾燥風が吹出口から送出される。この後、冷風スイッチ13がオフ操作(もう一度オン操作)されると、制御部29が補正制御に移行し、ヒーター6の熱出力を最大出力にして所定時間T3(0.75秒)だけ駆動したのち、常態制御に移行して温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を調整し、冷風モードに切換る直前の温風モードに復帰する。例えば、冷風モードに切換る直前の温風モードが第2モードであった場合には、第2モードの制御状態に復帰してモーター5およびヒーター6の作動状態を制御する。
上記のように、冷風スイッチ13がオフ操作されて冷風モードから温風モードに復帰するとき、補正制御へ移行してヒーター6の熱出力を最大出力化して所定時間T3だけ駆動すると、温風温度の立ち上がりを急激にして目標温度に復帰する時間を短縮できる。補正制御におけるヒーターの駆動時間T3と、先に説明した補正制御における所定時間T1、T2の関係は、不等式(T1>T3>T2)を満足するように設定してある。例えば、T3=<T2とした場合には、ヒーター6の駆動時間が少ない分だけ発熱量が不足し、温風モードへ復帰したときの温風温度が目標温度に到達するまでの時間が長引いてしまう。こうした、発熱不足を補うために、T3>T2としている。なお、ヘアードライヤーの使用時に、吸込口52がタオルや布団などで覆われて、温風温度が例えば120℃まで異常に高くなることがある。こうした場合には、温度センサー25の出力信号を受けた制御部29は、モーター5およびヒーター6の作動を直ちに停止し、温風モード表示用のLED31〜34と冷風モード表示用のLED35を点灯し、あるいは点滅させてヘアードライヤーが異常状態で停止していることをユーザーに知らせる。この異常表示状態は、メインスイッチ11をオフ操作することで解除することができ、メインスイッチ11を再びオン操作すると、ヘアードライヤーを通常通り作動することができる。なお、別途以上表示用の表示体(LED)を設け、表示体を点灯ないしは点滅させて、ヘアードライヤーが異常状態で停止していることをユーザーに知らせてもよい。
(実施例2) 上記の実施例1においては、コントローラー12の調整信号に応じてモーター5の駆動回転数が大小に調整されるとき、温度センサー25の検知信号に基づきヒーター6の熱出力を自動的に増減調整して、温風温度を目標温度に保持できるようにした。しかし、コントローラー12の調整信号に応じてヒーター6の熱出力を調整して、温風温度を増減調整するように構成することができる。その場合には、コントローラー12の調整信号に応じてヒーター6の熱出力が大小に調整されるとき、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して、温風温度を目標温度に保持することができる。つまり実施例2では、ヒーター6の熱出力をコントローラー12で調整し、モーター5の駆動回転数を温度センサー25の検知信号に基づき制御する点が実施例1と異なり、他の構成は実施例1と同じである。また、実施例2では制御部29の制御内容に関して、実施例1で説明した制御内容の説明において、モーター5の駆動回転とヒーター6の熱出力を読み換えるとよいので、その説明を省略する。
実施例2におけるヘアードライヤーは、以下の実施態様で実施することができる。本体ケース1に送風ファン4と、同ファン4を回転駆動するモーター5と、送風ファン4から送給される空気を加熱するヒーター6と、モーター5およびヒーター6の作動状態を制御する制御部29が設けてあるヘアードライヤーである。制御部29は、ヒーター6で加熱された温風の温度を検知する温度センサー25の検知信号、および、ヒーター6の熱出力を調整するコントローラー12の調整信号を受けて送風ファン4およびヒーター6の駆動状態を制御する。さらに制御部29は、モーター5およびヒーター6が駆動される運転状態において、コントローラー12から出力された調整信号に応じてヒーター6の熱出力を調整して、温風温度を増減調整できるように構成してある。ヒーター6の熱出力が増減変化する状態において、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して温風温度を一定に保持するように構成してあることを特徴とする。
上記のような制御部29を備えたヘアードライヤーによれば、環境温度とは無関係にヘアードライヤーの温風温度の調整を自動的に行って、複数の髪処理状態に適合した風量と温度の温風を供給できる。また、ユーザーがコントローラー12を操作して、送風温度を好みの温度に調整した場合であっても、制御部29が温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を自動的に増減調整して、温風温度を一定に保持できるので、常に適温の温風を送給しながら髪処理を的確に行える。
ユーザーによるコントローラー12の調整速度の違いによって、調整信号の調整速度が所定値を下回る緩速調整と、調整信号の調整速度が所定値を上回る急速調整とがある。制御部29は、コントローラー12の調整状態が緩速調整である場合には、温度センサー25の検知信号に基づきモーター5の駆動回転数を大小に調整する常態制御を行って、温風温度を一定に保持するように構成する。また制御部29は、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合には、制御部29が常態制御から離脱して、所定時間が経過するまでの間予め設定された補正制御へ移行して温風温度を補正し、所定時間が経過したのち常態制御へ復帰して温風温度を一定に保持するように構成する。
上記のように、コントローラー12が緩速調整される場合に常態制御を行うのは、緩速調整に伴うヒーター6の熱出力の変化幅が小さく、ヒーター6の調整動作に確実に追随してモーター5の駆動回転数を常態制御で的確に制御できるからである。また、コントローラー12の調整状態が急速調整である場合に補正制御を行うと、ヒーター6の調整動作に見合う状態でモーター5の駆動回転数を適切に制御して、ヘアードライヤーから送給される温風の温度を目標温度に近づけて、温風温度を一定に保持できるからである。なお、コントローラー12が急速調整されるとき常態制御を継続した場合には、コントローラー12の調整動作に追随してモーター5の駆動回転数を迅速に制御できず、ヘアードライヤーから送給される温風の温度が目標温度から大きく外れてしまう。
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が低下する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合には、制御部29は補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成する。
上記のように、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1だけ駆動すると、ヒーター6の熱出力の急激な低下に対応してモーター5の駆動回転数を低下できる。これにより、ヒーター6がアンダーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T1が経過したのちは常態制御へ復帰して、ヘアードライヤーから送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合には、制御部29は常態制御から補正制御へ移行し、所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成する。
上記のように、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速低下調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最小化すると、モーター5の駆動回転が不必要に大きく調整されるのを解消できる。例えば、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの30%である場合に、補正制御を行ってモーター5の駆動回転を最小出力化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、ヘアードライヤーから送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰して、ヘアードライヤーから送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が増加する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合には、制御部29は補正制御へ移行し、モーター5の駆動回転数を最大化して、所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成する。
上記のように、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合に、制御部29が補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最大化して所定時間T2だけ駆動すると、ヒーター6の熱出力の急激な増加に対応してモーター5の駆動回転数を増加できる。これにより、ヒーター6がオーバーシュートに陥るのを防止できる。また、補正制御を開始して所定時間T2が経過したのちは常態制御へ復帰して、ヘアードライヤーから送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%を越える急速増加調整である場合には、制御部29は補正制御へ移行して、所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成する。
上記のように、コントローラー12の調整量が、コントローラー12の調整ストロークの50%以上の急速増加調整である場合に、制御部29が常態制御から補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最大化すると、モーター5の駆動回転数が不必要に大きく調整されるのを解消できる。例えば、コントローラー12の単位時間当たりの調整量が、コントローラー12の調整ストロークの20%である場合に、補正制御を行ってモーター5の駆動回転数を最大化すると、補正のための制御が過剰になり、制御結果が目標温度から大きくばらついてしまう。その結果、ヘアードライヤーから送給される温風温度が目標温度に落ち着くのに時間がかかる。制御部29は、補正制御を開始してから所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰して、ヘアードライヤーから送給される温風温度を一定に保持する。
コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が低下する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合には、制御部29は補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最小化して所定時間T1が経過したのち常態制御へ復帰するように構成する。コントローラー12が任意の調整位置からヒーター6の熱出力が増加する側へ調整されるとき、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合には、制御部29は補正制御へ移行して、モーター5の駆動回転数を最大化して所定時間T2が経過したのち常態制御へ復帰するように構成する。
上記のように、コントローラー12が急速低下調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最小化し、コントローラー12が急速増加調整されるとき、制御部29が補正制御へ移行してモーター5の駆動回転数を最大化するようにした。こうした制御形態によれば、コントローラー12による全ての急速調整動作に対応してモーター5の駆動回転数を好適化して、ヘアードライヤーから送給される温風温度を一定に保持できる。
コントローラー12の調整状態が急速低下調整である場合のモーター5の駆動時間T1と、コントローラー12の調整状態が急速増加調整である場合のモーター5の駆動時間T2は、不等式(T1<T2)を満足するように設定する。
上記のように、コントローラー12が急速低下調整されるときのモーター5の駆動時間T1と、コントローラー12が急速増加調整されるときのモーター5の駆動時間T2が、不等式(T1<T2)を満足するように設定してあるのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整される場合には、ヒーター6の熱出力が急激に増加する。そのため、モーター5の駆動時間T2を長くすることで、温風乾燥機から送給される温風の温度をより短い時間で目標温度に近づけることができる。従って、時間T1と時間T2の関係は(T1<T2)であればよい。
コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合には、制御部29はモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するように構成する。
上記のように、コントローラー12が急速低下調整されたのち、所定時間T1内にコントローラー12が急速増加調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速低下調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってモーター5の駆動回転数を最小化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T1が経過する前に、コントローラー12が急速増加調整されると、モーター5の駆動回転数が最小化する補正制御が終了する前に、モーター5の駆動回転数が増加する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、モーター5の駆動回転数が最大化されるため、ヒーター6がアンダーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はモーター5の駆動回転数を最大化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
コントローラー12が急速増加調整されたのち、一定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合には、制御部29はモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するように構成する。
上記のように、コントローラー12が急速増加調整されたのち、所定時間T2内にコントローラー12が急速低下調整される場合に、制御部29がモーター5の駆動回転数を常態制御に基づき制御するのは次の理由による。コントローラー12が急速増加調整された状態では、制御部29は一旦補正制御に切換ってモーター5の駆動回転数を最大化する。しかし、補正制御に切換って所定時間T2が経過する前に、コントローラー12が急速低下調整されると、モーター5の駆動回転数が増加する補正制御が終了する前に、モーター5の駆動回転数が低下する向きの補正制御を行わねばならなくなる。そうした場合には、モーター5の駆動回転数が最小化されるため、ヒーター6がオーバーシュート状態に陥りやすい。こうした不具合を防ぐために、制御部29はモーター5の駆動回転数を最小化することなく、温度センサー25の検知信号に基づく常態制御を行う。
上記の実施例では、スライド式の可変抵抗器39を使用してコントローラー12を構成したがその必要はなく、ダイヤル式の可変抵抗器を使用してコントローラー12を構成してもよい。上記の実施例では送風ファン4が軸流型のファンである場合について説明したが、その必要はなく、送風ファン4はターボファンやシロッコファンであってもよい。またヘアードライヤーは手持式のヘアードライヤーである必要はなく、据え置き式のヘアードライヤーであってもよい。温風乾燥機とは、ヘアードライヤー以外に、足用乾燥機、手指用乾燥機、爪用乾燥機、動物用ドライヤーなどを含む概念である。
実施例1における補正制御では、急速低下調整時に常態制御状態から予め設定されている最小出力の設定値、あるいはそれに近い設定値まで、制御状態を強制的に変更したが、その必要はない。例えば、予め設定されている最小出力は、Hi状態の半分の熱出力に設定してあってもよい。つまり、最小出力化とは、予め設定されている最小の熱出力の設定値、あるいはそれに近い設定値まで熱出力を下げることであって、必ずしもゼロやそれに近い値に限定されるものではない。同様に、急速増加調整時に常態制御状態から予め設定されている最大出力の設定値、あるいはそれに近い設定値まで、制御状態を強制的に変更したが、その必要はない。例えば、予め設定されている最小出力は、Hi状態の半分の熱出力に設定してあってもよい。つまり、最小出力化とは、予め設定されている最大の熱出力の設定値、あるいはそれに近い設定値まで熱出力を上げることであって、必ずしもHi状態やそれに近い値に限定されるものではない。