JP6757531B2 - 自己集光機能を有する紫外線照射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、集光ミラーや集光レンズを用いることなく照射対象に対して光源からの強力な紫外光束を集中照射できるようにした自己集光機能を有する紫外光源装置に関し、更に詳細には紫外発光ガス放電チューブのアレイをからなるフレキシブルな面光源を利用した自己集光機能を有する紫外線照射装置に関するものである。
従来、産業用や医療用、殺菌・滅菌用などの分野で紫外線が広く応用されているが、光源デバイスとしては高圧水銀ランプやエキシマ放電ランプのほかには実用的なものが無いのが実情である。水銀レス構造として注目される紫外発光LEDは、未だ開発途上にあって十分な発光強度のものが得られていないが、例えば、特許文献1に開示のように複数のLED発光素子からの光束を湾曲した反射ミラーで集光して照射強度を高める技術が知られている。また、特許文献2には外部電極構成のガス放電チューブを利用した紫外発光用平面光源デバイスも提案されているが、同じく発光強度の向上が望まれている。
特開2012−199055号公開特許公報 特開2011−040271号公開特許公報
上記のように、LEDを利用した従来の光源デバイスでは湾曲した反射ミラーによって装置全体が大型となって利用範囲が制限され、また、ガス放電チューブを利用した従来の平面光源は、電極構成が複雑であるほか、発光効率や発光出力の点で未だ実用の域に達していない。
従って、本発明は、高強度の照射光が得られる水銀レスの光源デバイスを提供しようとするものであり、特に、反射ミラーや集光レンズを用いることなく自己集光機能を有する光源デバイスの提供を目的とするものである。また、本発明は、特に、水や空気などの流体に高強度の紫外線を照射するに適した安価なミラーレス構造の自己集光機能を有する紫外線照射装置の提供をするものである。
本発明は、細長いガラス管の長手方向に沿って設けた一対の長電極間で放電を発生させるようにした外部電極型の新しい紫外発光ガス放電チューブをベースとするものである。この新しい紫外発光ガス放電チューブは、従来の平面光源に用いられた発光チューブとは電極構造並びに放電形式が異なり、発光効率の大幅な改善が図られている。また、複数本の発光チューブを共通の電極対上に配列して面光源を構成した場合、アルミニウム箔のような反射性の電極材料で発光チューブの背面側の80%以上をカバーすることが可能となるので、一層高い集光機能を得ることができる。
かくして本発明は、上記のような新しい構成の紫外発光ガス放電チューブを複数本それぞれの照射光束が照射対象に向けて収束するよう湾曲面又は屈曲面上に配列し、照射対象位置において最大の照射強度が得られるようにしたことを骨子とするものである。発光面の湾曲を可能とするよう隣接チューブ間には等間隔又は部分的に異なる間隔の隙間が設けられる。紫外発光ガス放電チューブは、紫外領域で発光する蛍光体層を備えたものに限らず、照射用途に応じて可視域の発光チューブを混在させた構成とすることもできる。
更に具体的に述べると、本発明による自己集光機能を有する紫外線照射装置は、絶縁基板上に少なくとも1対の帯状電極対を平行に配置した電極構造体と、内部底面に紫外蛍光体層を有し、内部に放電ガスを封入してなる複数の紫外発光ガス放電チューブを隣接チューブ間に微小間隔を隔てて1つの面上に平行に配列したチューブアレイ構造体とを備え、前記電極構造体の上に複数の前記放電チューブの底面側が位置して前記帯状電極対を横切る方向となるよう前記チューブアレイ構造体を組み合わせてフレキシブルな紫外線発光構造体を構成し、各放電チューブの照射光束が照射対象に向けて収束するよう前記チューブアレイ構造体の放電チューブの配列面の少くとも一部を湾曲又は屈曲させたことを特徴とするものである。
前記紫外発光ガス放電チューブの配列面は、照射対象を挟むように形成された複合平面でもよいし、円筒又は角筒などの筒状面であってもよい。紫外発光ガス放電チューブの配列面を筒状に構成する場合、前記配列面を紫外線透過性のガラス筒やメッシュ構造体で構成してもよい。ガラス筒又はメッシュ構造体の内部に同じくガラス又はメッシュのパイプを複数本挿通したマルチパイプ構成として、その強度を全体として補うこともできる。内部のパイプには非照射対象となる液体や気体を流して周りからの紫外線照射により殺菌・滅菌作用を行うことができる。
本発明の紫外線照射装置によれば、水銀レスの達成は勿論、集光ミラーや集光レンズのような光学素子を組み合わせることなくシンプルな構造で自己集光機能を実現することができる。その結果、安全で且つ安価な構成で高強度の紫外線を対象面に照射することが可能となり、医療用途や殺菌・滅菌用途など産業上の実用範囲が大幅に拡大する。
本発明による紫外線照射装置に用いる紫外発光ガス放電チューブを利用した面光源デバイスの基本構成を説明する説明図である。 本発明の参考実施形態1としての紫外線照射装置の発光面の構成と照射プロファイルを示す説明図である。 参考実施形態2としての紫外線照射装置の使用例を示す模式的斜視図である。 本発明の参考実施形態3としての紫外線照射装置の発光面の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態としての紫外線照射装置の構成を示す横断面図である。
以下、図面を用いて、本発明を詳述する。これによって、この発明が限定されるものではない。
1(a)は、本発明の紫外線照射装置に用いる紫外発光ガス放電チューブの基本構成を示す断面図、図1(b)は該紫外発光ガス放電チューブを複数本配列して構成した面光源デバイスの基本構成を示す斜視図、図1(c)はその駆動原理を説明する説明図である。
〔紫外発光ガス放電チューブ〕
図1(a)に示すように、新しい紫外発光ガス放電チューブ(以下、発光チューブという)1は、扁平楕円形状の横断面を有する細長いガラス管2を主体とし、その内部底面に紫外蛍光体層3を備えると共に、内部にネオンとキセノンを混合した放電ガスが封入され、両端が封止されている。ガラス管2は、酸化珪素(SiO2)と酸化硼素(B2O3)を主成分とする硼珪酸系ガラスを材料とした、例えば長径2mm、短径1mm程度の扁平楕円断面を持つ細管で、肉厚を300μm以下に制限して紫外線に対する十分な透過率を実現している。
紫外蛍光体層3に、ガドリリュウム賦活蛍光体(LaMgAl11O19 : Gd) を用いた場合、産業用や医療用に有効なUV-Bバンドの波長レンジである311nmの紫外発光を得ることができる。また、プラセオジム賦活の蛍光体(YBO3 : PrまたはY2SiO5 : Pr)を用いれば殺菌・滅菌効果のあるUV-Cバンドの波長レンジの261nmまたは270nmの紫外発光を得ることができる。
〔フレキシブル面光源デバイス〕
ガラス管2を主体とした発光チューブ1が、図1(b)に示すようにチューブの長手方向と交差する方向に複数本平行に並べられてアレイ構成の面光源デバイス(発光チューブアレイ構造体)10が作られる。図1(a)の断面図との関連において一層明らかなように、発光チューブアレイ構造体10を構成する各発光チューブ1は、耐熱性の薄い絶縁フィルム11の上にシリコーン樹脂のような熱伝導性の良好な粘着剤12により離脱可能な粘着状態で配置されている。隣接する発光チューブ1の相互間には発光面の湾曲を可能とするため同じ幅又は部分的に異なる幅の隙間が設けられている。
他方、発光チューブアレイ構造体10の下には、例えば、ポリイミド系樹脂製のフレキシブルな絶縁基板13と、その上に形成された電極対14とからなる電極構造体15が非接着状態で配置されている。電極対14は、発光チューブアレイ構造体10を構成する各発光チューブ1の底部背面に対向して、共通の電極スリットGを挟んで両側に広がる帯状のX電極14XとY電極14Yとからなる。
即ち、X電極14XとY電極14Yは、全体としては各発光チューブ1の長手方向と交差する方向に延びる共通の電極パターンを有するが、個々の発光チューブ1に対しては、そのチューブ内に初期放電を発生させる0.1〜10mm程度の電極スリットGを挟んで長手方向の両側に対称的に延びる長電極対の構成をもつ。X電極14X、Y電極14Yのチューブ長手方向における長さは電極スリットGの幅の5〜10倍またはそれ以上となる。
因に、発光チューブ1を長径2mm、短径1mmの扁平楕円断面を持つ長さ5cmのガラス細管で構成し、これを1mm間隔で20本平行配列して図1(b)に示すような発光チューブアレイ構造体10を構成した場合、X電極14XとY電極14Yは、3mm幅の放電スリットGの両側にそれぞれ23.5mmの幅を持って各発光チューブ1と交差する方向に延びるパターンで設けられる。この結果、5×6=30cm2の発光面の背面側は、電極スリットGの幅に対応した0.3×6=1.8cm2の隙間を除いて全て電極面でカバーされた形となる。発光面積に対する電極のカバー率は94%に相当する。
X電極14XとY電極14Yは、絶縁基板13の上に銀ペースト等の導電性インクを印刷して直接形成してもよいし、あらかじめ整形した銅やアルミニウム等の金属導体箔を粘着または接着して構成してもよい。
発光チューブ1をアレイ状に支持する絶縁フィルム11としてテフロン(登録商標)などのフッ素系透明樹脂で構成した場合、X、Y電極14X、14Yには高い光反射率の材料を用いることが好ましく、その意味では特にアルミニウム箔を用いるのが効果的である。この場合、電極スリットGが下方に開いた窓となって紫外発光が裏へ抜けるおそれがあるので、電極スリットGの対応部を電極材料と同等の光反率を持った絶縁材料、例えば光反射テープで塞ぐことが好ましい。
また、電極対14を形成した絶縁基板13上に直接シリコーン樹脂等の粘着性絶縁層を設けて発光チューブ1を配置するようにしてもよい。それによって、発光チューブ1と電極対14との間が非接着状態で滑り可能になるので、フレキシブルな面光源デバイスを湾曲させる場合に絶縁基板13に加わる引っ張り力を吸収することができる。
〔駆動原理〕
本発明による紫外線照射装置の基本単位となる新しい形式の発光チューブ1は、外部電極型であり、正弦波電圧で駆動する。即ち図1(c)に示すように電極対14の一方のX電極14Xを接地した状態で他方のY電極14Yに正弦波電圧を印加するようにインバータ電源17を接続する。正弦波電圧の上昇過程において電極スリットGで電極近接端間の電圧が対応ガス空間の放電開始電圧を超えた時点でトリガ放電が発生する。
このトリガ放電からの空間電荷の供給による種火効果で近傍の放電開始電圧が低下するので、印加正弦波電圧の上昇と相俟って新たな放電がX電極14XとY電極14Yの両端方向に拡張していく。
一方、外部電極型放電デバイスの特徴として放電した電極対応部分の内壁には印加電圧の極性と反対極性の電荷(電子と陽イオン)が壁電荷として蓄積し、この内部電界が当該対応部分に印加された外部電圧の電界を打ち消す結果、一旦発生した放電は順次停止していくことになる。この動作原理は本発明者等が先に出願した特願2015-148622号(特許第6,103,730号)に更に詳しく述べられている。
印加される正弦波駆動電圧の極性が反転すると、壁電荷による内部電界が外部印加電圧の電界に加算される結果、再度、電極スリットGの対応部で放電が始まった後、上記と同様に印加正弦波電圧の逆方向への上昇に伴う放電の拡張と停止が、電極対14の両端方向に進行する。この動作の繰り返しでガス放電とそれに伴う発光が行われる。
因に、正弦波駆動電圧の周波数は、負荷となるガス空間の容量や電極間容量の関係から10KHz乃至40KHz、例えば25KHzに設定される。また、ピーク電圧は電極スリットGに対応したガス空間の放電開始電圧よりも高い1000V乃至はそれ以上となるが、長電極対上での放電の広がり長さと、電極スリット部16の耐圧を超えた損傷防止との両方のバランスを考慮して決めるのが望ましい。
因に、先に例示した5cm長、20本の発光チューブからなる面光源デバイスを駆動するには、12Vの直流電圧(電池)を20KHzの正弦波に変換するインバータ回路と、この正弦波をピーク電圧2000Vまで昇圧する小型トランスを含む小型のインバータ電源で十分である。
〔自己集光機能〕
ところで、図1に示した発光面が平面の面光源デバイス10では、照射対象物を発光面に接近させて配置しても個々の発光チューブ1の発光強度以上の照射強度は得られない。本発明は発光面を曲げることによって複数本の発光チューブ1の光束を照射対象に向けて収束させるようにした自己集光機能を有する構成を特徴とする。これは発光チューブアレイ構造体である面光源デバイス10がフレキシブルである利点を最大限利用するものである。
参考実施形態1
図2は本発明の参考実施形態1による紫外線照射装置の発光面構成と照射強度プロファイルを示す説明図である。先に説明したような複数本の発光チューブ1のアレイからなる面光源20は、湾曲した発光面を持つよう全体が図2のように湾曲している。この湾曲面を実現するには、前述したように隣接チューブ間に絶縁フィルム11や電極基板13の湾曲を吸収する隙間が必須となる。
即ち、隣接する発光チューブ1同志が当接するまでフレキシブルの光源デバイスを湾曲させて圧縮力を吸収することができるので、半円状の発光面を得る場合には等間隔配列とし、両サイドの曲率を小さくした湾曲面を得る場合には中間部に比べて両サイドでの配列間隔を広くすることになる。また湾曲時における絶縁基板13と発光チューブ配列を支持する絶縁フィルム11との間は単に重ねた状態でコンタクトしているだけであり機械的な固着手段で固着されていないので湾曲時の張力は両者間の滑りによって吸収されることになる。
発光面を湾曲させたことにより、各発光チューブの発光中心軸(以下、光軸という)22は湾曲面の内側に向けて収束する。その結果、平坦な受光面23に対しては、図2(a)に示すように、湾曲した発光面に対応して、ほぼ均等且つ強度の高い照射強度プロファイル24を得ることができる。従って、受光面23の代わりに立体的な照射対象物25を置けば、図2(b)に示すように、照射強度プロファイル26で対象物25の表面全体にほぼ均等に紫外線照射を行うことが可能となる。
参考実施形態2
図3は、本発明の参考実施形態2としての自己集光機能を有する紫外線照射装置を示す概略説明図である。
図3(a) において、トンネル形状に湾曲した紫外線照射装置30が、自動搬送機(ベルトコンベア)35の走行路の一部を覆う形で配置されている。紫外線照射装置30は、フレキシブルな電極支持体とその上(図では下面側)に配列した複数の発光チューブ1からなる紫外光源デバイスの発光面を内側に向けて湾曲させた構成を持ち、各発光チューブ1の光軸は、搬送機35に載せられた立体形状の照射対象物36に向けて収束した形となる。
この参考実施形態によれば、自動搬送機35に載置した立体形状の照射対象物36に対して殺菌効果のある紫外線を強い強度で直接照射可能な照射装置を提供することができる。特に、紫外線照射装置30は、主体となる光源デバイスが発光チューブ1の長手方向と交差する方向にフレキシブルであり、また発光面の幅を発光チューブの配列本数で決定することができる点から、自動搬送機で搬送する照射対象物36の大きさに見合った設計対応が可能である。
図3(b)は、図3(a)に示す参考実施形態の変形例である。自動搬送機35の走行路に沿って2つの紫外線照射装置30が走行路をトンネル状に直列にカバーする形で設けられている。かくして搬送機35に載せられて移動する照射対象物36は2つの照射装置30からの紫外線照射に連続して2回曝される。連続照射の構成は、自動搬送機35の速度を速めて処理速度を向上させる点と、低速でトータル照射線量を増やす点で効果的である。
なお、2つの紫外線照射装置30とは同じ構成でもよいが、互いに発光波長や発光波長幅の異なる構成とすることも可能である。発光波長は、単位発光源となる各発光チューブ1の蛍光体層3(図1(a)参照)の材料を調整することで実現する。
図3(c)は、図3(a)に示す参考実施形態更に別の変形例であり、自動搬送機35の走行路に沿って、2つの紫外線照射装置30が搬送路を上下から包むように配置されている。搬送機35に載せられて移動する立体的な照射対象物36は、湾曲した発光面を下に向けた照射装置30と、湾曲した発光面を上に向けた照射装置30のそれぞれから収束して照射される紫外線に両面を曝され、全表面の照射処理が行われる。この場合、搬送機37は、少なくとも照射対象物を載置する部分において下側の照射装置30からの照射紫外線を透過させることが必要である。
従って、搬送機35の搬送ベルトをメッシュ構成のものとするほか、載置部分を紫外線透過性のフッ素系樹脂膜で構成するなどの対策が採られる。また図3(b)の場合と同様、上下の紫外線照射装置30を搬送機の走行路に沿って更に増設することにより照射処理効率を上げることも可能であるし、それぞれの発光スペクトルを異ならせておくことも可能である。
参考実施形態
図4(a)及び(b)は、それぞれ本発明の参考実施形態3としての紫外線照射装置の2種類の構成を示す概略斜視図である。この参考実施形態は、2つ以上の平坦発光面を角度を持って組み合わせて自己集光機能を得るようにした複合発光面を特徴とするものである。
即ち図4(a)には、発光チューブアレイ構造体の平面光源デバイスをそのほぼ中央の発光チューブの長手方向に沿うライン41で発光面側に2つに折り曲げた紫外線照射装置40が示されている。折り曲げられて形成された2つの発光面10Aと10Bを構成する各発光チューブ1の光軸22は、折り曲げライン41の垂直面に向けて互いに収束する方向となり、中央垂直面の延長位置に置いた照射対象物に効果的な紫外線照射を行うことができる。
図4(b)の紫外線照射装置70は、矩形状に折り曲げた3つの複合発光面10A、10B、及び10Cからなり、各発光面を構成する発光チューブ1の光軸は発光面で囲まれた照射空間に集まる形となる。
折り曲げられた複合発光面10A、10B及び10Cは、それぞれ独立した面光源デバイスとして構成してもよいし、電極配置基板13を各発光面に共通とした構成にしてもよい。複合発光面で囲まれた照射空間に図示しない搬送ベルトを通すことにより、移動する搬送ベルト上の被照射物に効果的に紫外線照射を行うことが可能となる。
実施形態
5は、本発明による実施形態として、筒状の発光面の中に閉じた照射空間を構成するようにした紫外線照射装置の異なる2つの構成例を示す横断面図である。
即ち、図5(a)は、図1(b)に示した基本構成の面光源デバイス、つまり発光チューブアレイ構造体10を円筒状に丸めて構成した流体殺菌用の紫外線照射装置50を横断面の形で示している。図のように、紫外線透過ガラスのパイプ51の外周を囲むようにパイプの長手方向に沿った複数本の発光チューブ1を配列し、更にその周囲をフレキシブルな電極支持基板53で共通に取り巻くことで各発光チューブ1の光軸をパイプ51の中に向けて収束させることができる。この円筒状に曲げた紫外線照射装置50によれば、パイプ51中に被殺菌流体、例えば水又は空気を流通させながら当該流体に紫外線を照射して殺菌・滅菌作用を効果的に行うことができる。
ところで、上記円筒状発光面の紫外線照射装置50を構成する場合、内側に配置する外パイプ51は紫外線透過材料とする必要から石英ガラスが適したものとなる。しかしながら石製ガラスは高価であり、パイプ径の増大に伴って肉厚が厚くなると、紫外線照射装置全体としてのコストが著しく高いものとなる。この点、図5(a)の構成では、薄い肉厚の外パイプ51の中に薄肉の細径パイプ52を複数本挿通してマルチパイプを構成し全体としての強度を確保している。
マルチパイプを構成する外パイプ51及び内側の細径パイプ52は石英ガラスで構成してもよいが、ポピュラーで安価な硼珪酸系ガラスを素材としたパイプでもそれぞれの肉厚を300μm若しくはそれ以下にすることで照射紫外線を十分透過させることができる。
また、外パイプ51の中で補強機能を果たす細径パイプ52は必ずしも流体透過のガラス製である必要はなく、パイプ成形された樹脂メッシュのものでもよい。円筒状発光空間の中に流通させる被照射流体を水などの液体とするか、空気のような気体とするかによってマルチパイプの構成材料をガラスと樹脂メッシュで適宜選択組み合わせる。また、場合によっては円筒状発光空間の中に直接複数本の細径パイプ52の束を配置して外側のパイプ51を省略した構成とすることもできる。
図5(b)は、発光面を扁平な角筒内に配置したマルチパイプに照射光を自己集光させるようにした流体殺菌用紫外線照射装置60の概略横断面図である。
図5(b)に示す実施形態では、4つの面光源デバイス61A、61B、61C及び61Dからなる長方形筒状断面の複合面光源デバイスの中にマルチパイプとして断面形状を保持する矩形断面の外側パイプ63が設けられ、その中に設けられた4本の被照射流体の流通パイプ64が配置されている。外側パイプ63のみの場合に比べて内側の流通パイプ64が補強機能を持つので肉厚を薄いものとして紫外線の透過損失を減らすことができる。
また、円筒状の流通パイプの場合には周辺部に比べて中心部まで距離が長くなり、紫外線の照射に流通部分による差が生じるが、図5(b)の扁平四辺形断面のマルチパイプ構成であれば、流通路がパイプ毎に分割されて上下から均等な照射が受けられる。流通パイプ64は必ずしも円筒状のパイプである必要はなく方形断面のパイプでもよい。
4つの面光源デバイス61A、61B、61C及び61Dは、図5(b)のようにそれぞれ独立した発光チューブアレイ構造体の光源デバイスとして、4辺別々の電極基板を備えた構成としてもよいが、4つの面光源デバイスの全周をカバーする本数の発光チューブ1を連続した共通のフレキシブル電極基板に上に配列して細長い面光源デバイスを用意し、これを外側パイプ63の外周に巻き付ける形で構成することもできる。更に、隣接する短辺と長辺を連続させた面光源デバイスを1対組み合わせて扁平四辺形の筒状照射装置としてもよい。
その他の変形例
本発明の自己収光機能を有する紫外線照射装置は、最初に述べたようにガス放電を利用した発光チューブを複数本並べて構成したアレイ状のフレキシブルな面光源デバイスを基本構成とし、その発光面を湾曲面状、又は角度をつけた複合平面状に曲げて各発光チューブの発光軸を照射対象に向けて収束させたことを特徴とするものである。
図1に例示した光源デバイスの基本構成では、細長いガラス管2に対してその長手方向を2分して1対のX電極14XとY電極14Yを直列配置しているが、更に電極を複数対直列配置して発光チューブの長尺化に対応することができる。因に、ガラス管2の長さを20cm余りとした場合、ガラス管の長手方向にそれぞれ電極スリットGを挟んだ長さ5cmのXY電極対を所定間隔で2対直列配置することにより、有効発光長が20cmの紫外発光チューブを構成することができる。
図1に示す電極支持用の絶縁基板13については、フレキシブルな樹脂フィルムが好適であるが、予め発光面の曲がり具合に沿った曲面又は複合平面のそれぞれに対応した面を持つリジッドなガラス又はセラミック基板で代替してもよい。また、発光チューブ1の配列方向に延びる帯状の共通X電極14XとY電極14Yの背面パターンに対応してそれぞれ独立した形状の金属放熱フィンのような放熱エレメントを電極基板の裏側に密着するよう設けることにより光源デバイスの放熱を促進して発光効率を安定に保つことができる。
紫外線照射強度は複数の発光チューブの光軸が照射対象に向けて収束させることで強められるが、その強度調整は、図1(c)に示すインバータ電源17から駆動正弦波電圧をバースト形式で間欠的に印加する際のデューティ比を変えることで行うことができる。また、図3の参考実施形態に示したような自動搬送機35に載置されて移動する照射対象物に紫外線を照射する構成では、駆動正弦波電圧の印加を照射対象物の搬送速度に同期した通過時間幅で間欠的に行うことにより光源デバイスの発熱を抑制することができる。
いずれにしても本発明の紫外線照射装置によれば、反射ミラーや集光レンズ等の光学素子を用いることなく発光面自体の形状で集光機能を制御できるメリットが得られ、紫外線応用面の拡大に極めて有益である。
1:紫外発光ガス放電チューブ(発光チューブ)
2:ガラス管
3:紫外蛍光体層
10:発光チューブアレイ構造体(面光源デバイス)
11:絶縁層
12:粘着剤
13:絶縁基板
14:電極対
14X:X電極
14Y:Y電極
15:電極構造体
17:交番電源
20:面光源
G:電極スリット

Claims (5)

  1. 細長い紫外発光ガス放電チューブを複数本平行に配列して成る面光源デバイスにおいて、前記各紫外発光ガス放電チューブが内部底面に長手方向に沿った紫外蛍光体層を有する放電ガスを封入されたガラス管から成り、かつ前記各紫外発光ガス放電チューブは、紫外蛍光体層を設けた側の底部外管面に対向して当該各紫外発光ガス放電チューブの長手方向に共通の電極スリットを挟んで当該電極スリット幅の5倍以上の長さを持って両側に対象的に広がる1対の電極を共通に配置したフレキシブルな基板上に、隣接する紫外発光ガス放電チューブ相互間に隙間を設けて配列され、更に前記面光源デバイスを各紫外発光ガス放電チューブの光軸が照射対象に向けて収束するよう、各紫外発光ガス放電チューブの管軸と直交する方向に湾曲させて形成した筒状の発光面の中に筒状に閉じた照射空間を構成して成ることを特徴とする自己集光機能を有する紫外線照射装置。
  2. 前記複数本の紫外発光ガス放電チューブが隣接チューブ間に部分的に異なる隙間を空けて配列されていることを特徴とする請求項1記載の自己集光機能を有する紫外線照射装置。
  3. 前記面光源デバイスを円筒状に丸めて形成した発光面の中に照射対象を囲む円筒状に閉じた照射空間を構成して成ることを特徴とする請求項1記載の自己集光機能を有する紫外線照射装置。
  4. 前記光源デバイスは、複数本の紫外発光ガス放電チューブを背面側から支持する絶縁基板を有し、該絶縁基板は前記複数の紫外発光ガス放電チューブを共通に横切る電極スリットを挟んで両側に対象的に広がる1対の電極を有し、該電極の配置面積が前記紫外発光ガス放電チューブの背面側配列総面積の80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の自己集光機能を有する紫外線照射装置。
  5. 記電極は、光反射機能を有する金属箔から成り、各紫外発光ガス放電チューブの長手方向における電極スリットを挟んで該電極スリットの8倍以上の長さを持って両側に対象的に広がる電極対を構成することを特徴とする請求項1または4に記載の自己集光機能を有する紫外線照射装置。
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