以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る試算装置及び試算方法について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、後述する各種画面(例えば、図1A及び図1Bに図示の入力画面や図8に図示の出力画面)のデザインやレイアウト等については、あくまでも一例であり、ユーザの嗜好や機器仕様に応じて適宜変更され得る。
また、以下では、既存の住宅を建物の一例に挙げて説明することとする。ただし、住宅は建物の一例に過ぎず、本発明は、他の建物(例えば商業ビル、工場内の建屋、店舗や公共施設等)にも適用可能なものである。
<<本実施形態に係る試算装置の概要>>
先ず、本実施形態に係る試算装置(以下、本装置1)の概要について説明する。本装置1は、コンピュータによって構成され、本実施形態では、リフォーム工事受託会社の従業員(以下、単に従業員)が利用するパソコンによって構成されている。
具体的に説明すると、従業員は、リフォーム工事の商談支援ツールとして本装置1を用いる。より詳しく説明すると、従業員が勤める営業所に住宅の居住者(以下、商談相手)が来店したとき、従業員は、その商談相手に対してリフォーム工事の内容やリフォームによるメリット等を紹介する。この際、従業員は、本装置1を操作してリフォーム後の光熱費を確認し、確認した光熱費を商談相手に提示する。
ここで、「リフォーム」とは、本発明の「改修」に相当し、具体的には、建物の内部及び外部における構造・仕様の変更、新規設備の導入、既存設備の撤去、交換若しくは増設が該当し、また建物の増築を含む概念である。
本装置1の利用方法について概説すると、本装置1には、光熱費試算用のプログラム(以下、試算プログラム)がインストールされており、本装置1の利用に際して当該試算プログラムが起動する。試算プログラムが起動すると、本装置1のディスプレイに図1A及び図1Bに図示の入力画面が描画される。図1A及び図1Bは、光熱費試算用の入力画面の一例を示す図である。なお、図1Aに図示の画面と、図1Bに図示の画面とは、画面スクロール操作によって切り換え自在である。
そして、従業員は、上記の入力画面を通じて光熱費試算に必要な各種情報を入力する。具体的には、商談相手が居住している住宅の現状に関する情報(すなわち、リフォーム前の住宅に関する情報)、及び、リフォーム後の住宅に関する情報を図1Aに図示の入力画面上で入力する。また、現在の住宅(すなわち、リフォーム前の住宅)における光熱費の実績値を図1Bに図示の入力画面上で入力する。なお、入力情報の詳細については、後の項で説明する。また、入力情報の内容については、図1A及び図1Bに図示された内容に限定されず、同図中に図示された内容以外のものが含まれていてもよい。
入力完了後、従業員が入力画面中に設けられた試算実行ボタンBをクリックすると、本装置1が、入力情報に基づいてリフォーム後の光熱費(すなわち、リフォーム後の住宅におけるエネルギー使用料金)を試算するためのデータ処理を実行する。このデータ処理は、上述の試算プログラムに規定されたものである。そして、当該データ処理が実行される結果、本装置1のディスプレイにリフォーム後の光熱費の試算結果(試算値)が表示されるようになる。
従業員は、ディスプレイに表示されたリフォーム後の光熱費の試算値を見ると共に、当該試算値と現在の住宅における光熱費の実績値とを対比する。これにより、従業員は、リフォーム前後の光熱費の変化量(改善量)を特定し、その特定結果をリフォームのメリットとして商談相手に提示する。
なお、本実施形態では、試算対象としての光熱費(エネルギー使用料金)は、ガス料金及び電気料金である。ただし、これに限定されるものではなく、ガスや電気以外のエネルギーについての使用料金を試算対象に含めてもよく、例えば、水道料金や灯油代が含まれていてもよい。
<<本実施形態に係る試算装置の構成について>>
次に、本装置1の構成について図2を参照しながら説明する。図2は、本装置1のハードウェア構成を示す図である。本装置1は、前述したようにコンピュータによって構成され、より具体的には従業員が利用するパソコンによって構成されている。当該パソコンのハードウェア構成は、一般的なパソコンと同様の構成となっており、図2に示すように、CPU1a、ROMやRAMからなるメモリ1b、ハードディスクドライブ1c、キーボードやマウス等からなる入力機器1d、ディスプレイ等からなる出力機器1eが備えられている。
なお、上記のパソコンに外付けされたプリンタが出力機器1eとして更に備えられていてもよい。また、ハードディスクドライブ1c以外の記憶装置(例えば、ソリッドステートドライブ等)がハードディスクドライブ1cの代わりに、あるいはハードディスクドライブ1cと共に備わっていてもよい。
また、ハードディスクドライブ1cには、上述の試算プログラムが格納されている。この試算プログラムがCPU1aに読み取られて実行されることにより、本装置1を構成しているパソコンが試算装置として機能するようになる。
本装置1の機能、特に光熱費試算に関する機能について説明すると、本装置1は、下記3つの機能を具備している。
(1)実績値補完機能
(2)光熱費試算機能
(3)買い取り料金試算機能
上記の各機能について説明すると、実績値補完機能は、リフォーム前の光熱費(すなわち、リフォーム前の住宅におけるエネルギー使用料金)についての実績値の一部が欠落しているときに当該欠落部分の実績値を補間する機能である。より詳しく説明すると、本実施形態では、リフォーム前の光熱費が月別(一カ月単位)で一年間分取得されることになっている。一方、ある月の実績値が何らかの事情によって得られていない場合、その月の実績値を、その前後一カ月の実績値から補間することになっている。
光熱費試算機能は、入力画面上で入力された情報に基づいて、リフォーム後の光熱費についての試算値を試算する機能である。本実施形態では、住宅内で利用されるエネルギーの種類毎に試算値を試算し、具体的に説明すると、ガス料金及び電気料金をそれぞれ一カ月単位で試算することになっている。なお、本実施形態では、リフォーム後の光熱費の試算値を試算するにあたり、リフォーム前の光熱費の試算値及び実績値を取得し、両方の値に基づいてリフォーム後の光熱費を試算する。
また、本実施形態では、リフォームによって住宅で使用されるエネルギーの種類が変更された場合の光熱費を試算することが可能である。具体的に説明すると、所定の用途(例えば、給湯や調理等)において互いに代替可能な二種類のエネルギーであるガス及び電気のうち、電気のみを使用する状態(いわゆる「オール電化」の状態)からガス及び電気を併用する状態(いわゆる「ガス併給」の状態)へ住宅をリフォームする場合、リフォーム前後の光熱費の試算値を試算することが可能である。
買い取り料金試算機能は、住宅に発電装置(具体的には太陽光発電装置)が備えられている、又はリフォームの際に新規導入される場合において当該発電装置の発電電力が買い取られたときの買い取り料金(すなわち、売電額)を試算する機能である。本実施形態では、発電電力をすべて買い取ってもらうケース(全量買取)、及び、発電電力の余剰分を買い取ってもらうケース(余剰買取)のうちのいずれか一方を選択し、選択されたケースに応じた買い取り料金を一カ月単位で試算することになっている。
次に、本装置1の構成を機能面から改めて説明する。本装置1は、図3に図示の機能部を備えており、具体的には、入力情報取得部11と、試算用データ記憶部12と、補間部13と、第一試算部14と、第二試算部15と、出力部16とを有する。図3は、本装置1の機能についての説明図である。
上記の各機能部は、本装置1を構成するコンピュータのハードウェア機器(具体的には、CPU1a、メモリ1b、ハードディスクドライブ1c、入力機器1d及び出力機器1e)がソフトウェアとしての試算プログラムと協働することで実現される。以下、それぞれの機能部について説明する。
入力情報取得部11は、光熱費や買い取り料金を試算するのに必要な情報として、図1A及び図1Bに図示した入力画面を通じて入力される情報を取得する。具体的に説明すると、入力情報取得部11は、商談相手が居住している住宅の地域に関する情報と、住宅の現状に関する情報と、リフォーム後の住宅に関する情報と、料金単価に関する情報と、を入力情報として取得する。さらに、入力情報取得部11は、リフォーム前の光熱費等についての実績値を取得する。かかる意味で、入力情報取得部11は、本発明の「実績値取得部」に相当する。
入力情報の詳細について図1A及び図1Bを参照しながら説明すると、商談相手が居住している住宅の地域に関する情報(以下、地域情報)は、図1Aに図示した画面中、上段部で入力される情報である。具体的には、住宅の所在地、及び当該所在地が属する地域区分(住宅事業建築主判断基準にて定められた地域区分)等が地域情報として入力される。
住宅の現状に関する情報(以下、現状情報)は、図1Aに図示した画面において地域情報の入力エリアの下方に位置するエリアのうち、左側半分の範囲で入力される情報である。具体的には、現時点での住宅の構造や仕様に関する情報と、現時点で住宅に備わっている太陽光発電装置やその他の設備に関する情報等が現状情報として入力される。
現状情報のうち、住宅の構造や仕様に関する情報としては、例えば、当該住宅の断熱等性能等級(住宅の品質確保の促進等に関する法律にて定められた等級)、屋根形状、延床面積、空調様式(全館空調であるか否か)、各部屋の広さ、各部屋の暖房様式、各部屋の主な利用者等が挙げられる。
また、現状情報のうち、太陽光発電装置に関する情報としては、例えば、各方位別の発電容量、発電電力の買い取り様式(全量買取であるか余剰買取であるか)、買い取り料金の単価等が挙げられる。なお、現時点での住宅に太陽光発電装置が備えられていない場合には、太陽光発電装置に関する現状情報の入力が省略される(すなわち、情報取得がなされない)ことになる。
また、現状情報のうち、太陽光発電装置以外の設備に関する情報としては、換気設備の有無、調理設備や給湯設備の種類(オール電化対応の設備であるか否か)、HEMS(Home Energy Management System)の有無、蓄電池の有無等が挙げられる。なお、上記の情報のうち、調理設備や給湯設備の種類に関する情報は、現在の住宅のエネルギー利用状態が「オール電化」の状態及び「ガス併給」の状態のいずれであるのかを特定するための情報である。
リフォーム後の住宅に関する情報(以下、リフォーム情報)は、図1Aに図示した画面において地域情報の入力エリアの下方に位置するエリアのうち、右側半分の範囲で入力される情報である。リフォーム情報の内容は、現状情報の内容とほぼ共通しており、リフォーム後の住宅の構造や仕様に関する情報と、リフォーム後の住宅に備わる太陽光発電装置やその他の設備に関する情報等が含まれている。このうち、リフォーム後の住宅に備わる設備(具体的には、調理設備及び給湯設備)に関する情報は、リフォーム後の住宅のエネルギー利用状態が「オール電化」の状態及び「ガス併給」の状態のいずれであるのかを特定するための情報である。
また、リフォーム情報のうち、住宅の構造や仕様に関する情報には、断熱リフォーム工事の有無、及び、工事有りの場合の施工内容(全面リフォーム及び一部リフォームのいずれであるか)を示す情報が含まれている。なお、断熱リフォームに関する情報については、住宅単位で入力されてもよく、あるいは部屋毎に入力されてもよい。
料金単価に関する情報(以下、料金単価情報)は、図1Bに図示した入力画面中、上段部で入力される情報である。具体的には、電気料金について適用される料金プラン、ガス料金について適用される料金プラン等が料金単価情報として入力される。なお、料金単価情報については、現在適用されている料金プラン等を示す情報と、リフォーム後に適用することが可能な料金プラン等を示す情報とが入力されることになっている。
リフォーム前の光熱費等についての実績値に関する情報(以下、実績値情報)は、図1Bに図示した画面において料金単価情報の入力エリアの下方に位置するエリアで入力される情報である。本実施形態では、実績値情報として、直近一年分の光熱費等の実績値が入力されることになっている。具体的には、直近一年分の電気料金及びガス料金の実績値が月別で入力される。換言すると、入力情報取得部11は、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅における光熱費についての実績値として、直近一年分の電気料金及びガス料金の実績値を取得する。
ここで、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅のエネルギー利用状態が「オール電化」の状態、つまり、ガス及び電気のうち、電気のみを利用する状態である場合には、電気料金の実績値のみが入力される。換言すると、現在の住宅が「オール電化」の状態である場合、入力情報取得部11は、住宅において電気のみを使用したときの光熱費についての実績値を取得することになる。
また、本実施形態では、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅において太陽光発電装置が既に設置されており、発電電力を買い取ってもらっている場合には、現在の住宅における実際の買い取り料金(以下、買い取り料金実績値)が実績値情報として入力される。具体的には、直近一年分の買い取り料金実績値が月別で入力される。換言すると、現在の住宅において既に発電電力を買い取ってもらっている場合、入力情報取得部11は、直近一年分の買い取り料金実績値を取得する。なお、当然ながら、現在の住宅において太陽光発電装置が設置されていない場合、あるいは太陽光発電装置の発電電力が買い取られない場合、買い取り料金実績値の入力は行われないことになる。
試算用データ記憶部12は、光熱費や発電電力の買い取り料金を試算する際に参照されるデータ(以下、試算用データ)を記憶している。試算用データの中には、上述した地域情報とエネルギー使用量(具体的には電気使用量やガス使用量)との対応関係を示すデータ、上述した現状情報やリフォーム情報とエネルギー使用量との対応関係を示すデータ、太陽光発電装置に関する情報と発電量との対応関係を示すデータ、試算時に適用される演算式や数値又は試算用の数理モデルを示すデータ等が含まれている。
補間部13は、入力情報取得部11によって取得された入力情報のうち、光熱費の実績値に関する欠落部分を補間する。具体的に説明すると、入力情報取得部11は、光熱費の実績値を取得する際、本来であれば直近一年分の実績値を取得する。この際、何らかの影響によりいずれか一月分の実績値が欠落しているとき、補間部13は、その月の前後一月における光熱費の実績値に基づいて、欠落した月の光熱費についての実績値を補間する。以下、図4を参照しながら、補間部13による補間方法について説明する。図4は、補間処理の手順についての説明図であり、図中の上段が補間前の光熱費の実績値を示しており、下段が補間後の実績値を示している。なお、以下では、六月分の光熱費の実績値を補間するケースを例に挙げて説明する。
補間部13は、図4の上段に示すように、直近一年分(すなわち、十二カ月分)の光熱費の実績値が得られていない場合、当該実績値が欠落している月を特定する。その後、補間部13は、特定した月の前後一月の光熱費の実績値を平均(厳密には、相加平均)する。この平均値を、特定された月(すなわち、光熱費実績値の欠落月)における光熱費の実績値とする。この結果、図4の下段に示すように、光熱費の実績値の欠落が補間されるようになる。
なお、本実施形態では、光熱費の実績値が欠落している月について、その前後一月における光熱費の実績値が得られている場合に、当該月の実績値欠落に対する補間処理が行われる。換言すると、本実施形態において、光熱費の実績値が欠落している月が二月以上連続している場合には補間処理が行われない。ただし、これに限定されず、光熱費の実績値が欠落している月が二月以上連続している場合であっても、各月の欠落を補間するようにしてもよい。
また、補間部13は、入力情報取得部11によって取得された入力情報のうち、買い取り料金実績値に関する欠落部分を補間する。つまり、本来であれば直近一年分の買い取り料金実績値を取得するところ、何らかの影響によりいずれか一月分の実績値が欠落しているとき、補間部13は、その月の前後一月分の買い取り料金実績値に基づいて当該月分の買い取り料金実績値を補間する。なお、買い取り料金実績値についての欠落部分を補間する方法は、上述した光熱費の実績値についての欠落部分を補間する方法と同様である。
また、本実施形態では、買い取り料金実績値が欠落している月について、その前後一月分の買い取り料金実績値が得られている場合に、買い取り料金実績値の欠落に対する補間処理が行われる。換言すると、本実施形態において、買い取り料金実績値が欠落している月が二月以上連続している場合には補間処理が行われない。ただし、これに限定されず、買い取り料金実績値が欠落している月が二月以上連続している場合であっても、各月の欠落を補間するようにしてもよい。
第一試算部14は、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅における光熱費についての試算値(改修前試算値に相当)を試算する。具体的に説明すると、第一試算部14は、入力情報取得部11が取得した地域情報、現状情報及び現在適用されている料金プラン等を示す料金単価情報と、試算用データ記憶部12に記憶された試算用データとを参照して、現在の光熱費の試算値を試算する。本実施形態において、試算値は、直近1年分(つまり、試算実行日から1年間遡った期間分)、月別で試算される。
また、本実施形態において、第一試算部14は、光熱費としての電気料金及びガス料金のそれぞれについて、個別に試算値を試算する。なお、現在の住宅のエネルギー利用状態が「オール電化」の状態である場合には、当然ながら、電気料金の試算値のみを試算することになる。
また、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅に太陽光発電装置が備えられ、当該発電装置の発電電力が買い取られている場合、第一試算部14は、現在の住宅における発電電力の買い取り料金についての試算値(改修前買い取り料金試算値に相当)を試算する。
具体的に説明すると、第一試算部14は、入力情報取得部11が取得した現状情報のうち、太陽光発電装置に関する情報を解析して、現在の住宅に太陽光発電装置が設置されているかどうかを判定する。そして、太陽光発電装置が有ると判定した場合、第一試算部14は、入力情報取得部11が取得した地域情報、太陽光発電装置に関する現状情報、及び、試算用データ記憶部12に記憶された試算用データを参照して、現在の買い取り料金の試算値を試算する。なお、本実施形態において、買い取り料金の試算値は、直近1年分(つまり、試算実行日から1年間遡った期間分)、月別で試算される。
また、第一試算部14は、現在の買い取り料金の試算値を試算するにあたり、入力情報取得部11が取得した現状情報から、現在適用されている発電電力の買い取り様式(全量買取か余剰買取)を特定し、特定された様式に応じた買い取り料金の試算値を試算する。
第二試算部15は、リフォーム後の住宅における光熱費についての試算値(改修後試算値に相当)を試算する。本実施形態において、第二試算部15は、リフォーム後の光熱費についての試算値を試算するにあたり、仮の試算値(以下、一次試算値)を試算する。その後、第二試算部15は、必要に応じて一次試算値を補正する。この際、第二試算部15は、第一試算部14が試算した直近一年分の光熱費についての試算値と、入力情報取得部11が取得した実績値情報が示す直近一年分の光熱費の実績値と、に基づいて一次試算値を補正する。その後、第二試算部15は、最終的な試算値(以下、二次試算値)を決定する。
以下、一次試算値の試算処理、補正処理及び二次試算値の決定処理について、それぞれ説明する。
先ず、一次試算値の試算処理について説明する。一次試算値の試算処理は、本発明の「第一処理」に相当する。一次試算値の試算処理において、第二試算部15は、入力情報取得部11により取得された地域情報、リフォーム情報及びリフォーム後に適用可能な料金プラン等を示す料金単価情報と、試算用データ記憶部12に記憶された試算用データとを参照して一次試算値を試算する。本実施形態では一次試算値を月別で一年分試算することになっている。
また、本実施形態において、第二試算部15は、電気料金及びガス料金のそれぞれについて個別に一次試算値を試算する。具体的に説明すると、リフォーム後の住宅の状態が「オール電化」の状態となる場合、第二試算部15は、電気料金の一次試算値のみを試算する。他方、リフォーム後の住宅の状態が「ガス併給」の状態となる場合、第二試算部15は、電気料金及びガス料金のそれぞれについて一次試算値を試算する。
次に、補正処理について説明する。補正処理は、本発明の「第二処理」に相当する。補正処理において、第二試算部15は、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅における光熱費についての試算値及び実績値の双方を用いた補正方法に従って一次試算値を補正する。ここで、補正方法は、複数種類設定されており、本実施形態では二種類の補正方法が設定されている。第二試算部15は、二種類の補正方法のうちのいずれか一方、若しくは両方の補正方法を用いて一次試算値を補正する。
ここで、二種類の補正方法の各々の詳細について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、第一の補正方法に従って一次試算値を補正する際の手順を示す図である。図5中の(a)は、現在の住宅における光熱費についての試算値を示し、(b)は、現在の住宅における光熱費についての実績値を示し、(c)は、現在の住宅における光熱費についての試算値及び実績値の間の差分を示し、(d)は、補正前の一次試算値を示し、(e)は、補正後の一次試算値を示している。なお、図5では、説明の都合上、試算値や実績値及び補正過程で算出される値について、一部の情報(具体的には、5月〜7月分の情報)のみを図示している。
図6は、第二の補正方法に従って一次試算値を補正する際の手順を示す図である。図6中の(a)は、現在の住宅における光熱費についての試算値を示し、(b)は、当該試算値中、従量料金に相当する分を示し、(c)は、現在の住宅における光熱費についての実績値を示し、(d)は、当該実績値中、従量料金に相当する分を示し、(e)は、補正前の一次試算値を示し、(f)は、一次試算値中、従量料金に相当する分を示し、(g)は、所定の倍率が乗じられた従量料金を示し、(h)は、補正後の一次試算値を示している。なお、図6では、説明の都合上、試算値や実績値及び補正過程で算出される値について、一部の情報(具体的には、8月〜10月分の情報)のみを図示し、また、光熱費のうち、電気料金の情報のみを図示している。
二種類の補正方法のうち、第一の補正方法は、現在の住宅における光熱費についての試算値及び実績値から求めた加減値だけ一次試算値を加減する方法である。具体的に説明すると、第二試算部15は、直近一年の各月について、第一試算部14が試算した試算値(図5中の(a)に図示)と、入力情報取得部11が取得した実績値又は補間部13が補間した実績値(図5中の(b)に図示)とを対比し、後者の値から前者の値を差し引いて両値の差分(図5中の(c)に図示)を算出する。この月別に算出された差分が、本発明の「加減値」に相当する。
その後、第二試算部15は、リフォーム後の光熱費について月別に試算された一次試算値(図5中の(d)に図示)を、同じく月別で求めた上記の差分のうち、対応する月の差分だけ加算する。この結果として得られる値(図5中の(e)に図示)が、第一の補正方法を適用した場合の補正後の試算値に相当する。
二種類の補正方法のうち、第二の補正方法は、現在の住宅における光熱費の試算値及び実績値から求めた倍率を一次試算値に応じた値に乗じる方法である。具体的に説明すると、第二試算部15は、第一試算部14が試算した各月の試算値について、従量料金に相当する分を算出する。より詳しく説明すると、第一試算部14が試算した各月の試算値(図6中の(a)に図示)は、基本料金と従量料金が合算された値になっており、さらに料金割引が適用されるケースでは割引額が引かれた値となっている。第二試算部15は、第一試算部14が試算した各月の光熱費の試算値から基本料金及び割引額を除き、各月の従量料金の試算値(図6中の(b)に図示)を特定する。
なお、基本料金や割引額に関するデータについては、料金プラン別に試算用データ記憶部12に記憶されているとよい。このような構成では、入力情報取得部11が取得した現状情報から現在適用の料金プランを特定し、試算用データ記憶部12に記憶された上記のデータから、現在適用の料金プランに応じた基本料金や割引額を求めることが可能となる。
同様に、第二試算部15は、月別に取得した現在の光熱費の実績値(補間部13により補間された実績値を含む。)について、従量料金に相当する分を特定する。より詳しく説明すると、入力情報取得部11が取得した情報が示す光熱費の実績値(図6の(c)に図示)には、基本料金が含まれており、また、料金割引が適用されるケースでは所定の割引額が引かれている。第二試算部15は、各月の光熱費の実績値から基本料金及び割引額を除き、各月の従量料金の実績値(図6の(d)に図示)を特定する。
各月の光熱費のうちの従量料金について試算値及び実績値を特定した後、第二試算部15は、両値の比率(=実績値/試算値)を月別に算出する。この月別に算出される比率が、本発明の「倍率」に相当する。
さらに、第二試算部15は、月別に試算されたリフォーム後の光熱費の一次試算値(図6中の(e)に図示)のそれぞれについて、基本料金及び割引額を除いた従量料金を特定する。ここで、一次試算値中の従量料金(図6中の(f)に図示)は、当該一次試算値に応じた値に相当する。
その後、第二試算部15は、月別に試算された光熱費の一次試算値のそれぞれについて、同じく月別に算出された上記の比率のうち、対応する月の比率を当該月の一次試算値中の従量料金の値に乗じる。そして、上記の比率が乗じられた従量料金(図6中の(g)に図示)に基本料金を付加し、また、料金割引が適用される場合には所定の割引額を差し引く。この結果として得られる値(図6中の(h)に図示)が、第二の補正方法を適用したときの補正後の試算値に相当する。
以上のように、本実施形態における補正処理では、二種類の補正方法の各々に従って一次試算値を補正するケースがある。かかるケースにおいて、第二試算部15は、補正後の試算値を補正方法別に算出し、具体的には補正後の試算値として二種類の試算値を算出することになる。
なお、本実施形態では、補正処理の実行の有無が試算条件(光熱費試算の条件)に応じて切り替わることになっており、ある条件の下では補正処理が行われないことがある。また、二種類の補正方法の中からどの方法を適用するのかについても試算条件に切り替わることになっている。換言すると、適用される補正方法の種類や数は、試算条件に応じて変化する。
また、補正処理において、ある種類のエネルギーの使用料金の一次試算値を補正する際には、原則として、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅において同種類のエネルギーを使用した分の光熱費の試算値及び実績値に基づいて補正する。分かり易く説明すると、電気料金の一次試算値を補正する際には、原則として、現在の電気料金についての試算値及び実績値に基づいて補正する。同様に、ガス料金の一次試算値を補正する際には、原則として、現在のガス料金についての試算値及び実績値に基づいて補正する。
一方、オール電化の状態からガス併給の状態へのリフォームを行う場合には、リフォーム前のガス料金についての実績値が存在しないことになる。つまり、上記のリフォームを行う場合には、リフォーム後の住宅におけるガス料金の試算値(一次試算値)を、リフォーム前のガス料金の試算値及び実績値に基づいて補正することができない。そこで、本実施形態では、上記のリフォームを行う場合のガス料金の試算値(一次試算値)を、リフォーム前の電気料金(つまり、オール電化状態の住宅において電気のみを使用したときの光熱費)の試算値及び実績値に基づいて補正することとしている。
以上のように、本実施形態では、オール電化の状態からガス併給の状態へ住宅をリフォームした場合の光熱費を試算する際、電気料金及びガス料金のいずれについても、リフォーム前の電気料金の実績値を用いて一次試算値を補正する。これにより、リフォーム前の住宅におけるガス使用の実績がなくとも、リフォーム前の電気料金の実績値を代用してガス料金の一次試算値を補正することが可能となる。
次に、二次試算値の決定処理について説明する。二次試算値の決定処理は、本発明の「第三処理」に相当する。二次試算値の決定処理において、第二試算部15は、リフォーム後の光熱費についての最終的な試算値(二次試算値)を決定する。
具体的に説明すると、第二試算部15は、補正処理により光熱費の一次試算値を補正した場合、補正後の補正値に基づいて二次試算値を決定する。ここで、上記二種類の補正方法の各々に従って一次試算値を補正した場合には、前述したように、補正後の試算値が補正方法別に算出される。この場合、第二試算部15は、補正方法別に算出された補正後の試算値に基づいて二次試算値を決定する。詳しく説明すると、第二試算部15は、第一の補正方法を適用して算出した補正後の試算値と、第二の補正方法を適用して算出した補正後の試算値とを平均(相加平均)し、その平均値を二次試算値に決定する。
以上のように本実施形態では、リフォーム後の光熱費の試算値について、補正方法別に補正後の試算値を算出し、これらの試算値(すなわち、複数算出された補正後の試算値)に基づいて最終的な試算値を決定する。これにより、二種類の補正方法のうち、いずれか一方の補正方法のみを採用して最終的な試算値を決定する場合に比して、光熱費の試算精度をより高めることが可能となる。
具体的に説明すると、第一の補正方法を適用して補正する場合と、第二の補正方法を適用して補正する場合とで、補正後の試算値が大きく異なることがある。例えば、現在の光熱費についての試算値及び実績値が著しく相違しているとき、第一の補正方法を適用した場合には補正後の試算値を過小評価してしまう傾向がある。他方、第二の補正方法を適用した場合には補正後の試算値を過大評価してしまう傾向がある。
これに対して、本実施形態では、前述したように補正方法別に補正後の試算値を算出し、これらの試算値を平均して最終的な試算値を決定する。この結果、最終的な試算値がより妥当な値となる(過小評価や過大評価がなされなくなる)。
以上のように本実施形態では、リフォーム後の光熱費についての試算値を試算するにあたり、リフォーム前の光熱費について実績値を用いて試算値を補正することにより、当該実績値を考慮した試算値が得られるようになる。また、本実施形態では、異なる種類の補正方法を適用して補正後の試算値を補正方法別に算出し、補正方法別に算出された補正後の試算値を平均して最終的な試算値を決定する。これにより、リフォーム後の光熱費についての試算値を、より高い精度にて試算することが可能となる。
なお、最終的な試算値である二次試算値については、月別で一年分試算される。また、本実施形態において、第二試算部15は、電気料金及びガス料金のそれぞれについて個別に二次試算値を決定する。具体的に説明すると、リフォーム後の住宅の状態が「ガス併給」の状態となる場合、第二試算部15は、電気料金及びガス料金の双方について二次試算値を決定する。他方、リフォーム後の住宅の状態が「オール電化」の状態となる場合、第二試算部15は、電気料金の二次試算値のみを決定する。
また、本実施形態では、前述したように、補正処理の実行の有無、及び、二種類の補正方法の中からどの方法を適用するのかが試算条件(光熱費試算の条件)に応じて切り替わることになっている。ここで、補正処理が行われないケースでは、一次試算値をそのまま最終的な試算値(二次試算値)として決定することになる。また、二種類の補正方法のうちのいずれか一方の補正方法のみを用いて一次試算値を補正するケースでは、補正後の試算値が一つのみであるため、当該補正後の試算値をそのまま最終的な試算値(二次試算値)として決定することになる。
以上までに説明してきたように、第二試算部15は、リフォーム後の住宅における光熱費についての試算値を試算する。さらに、リフォーム後の住宅に太陽光発電装置が設けられ、当該発電装置の発電電力が買い取られる場合、第二試算部15は、リフォーム後の買い取り料金についての試算値(改修後買い取り料金試算値)を試算する。
具体的に説明すると、第二試算部15は、入力情報取得部11が取得したリフォーム情報のうち、太陽光発電装置に関する情報を解析し、リフォーム後の住宅における太陽光発電装置の有無を判定する。そして、太陽光発電装置が有ると判定した場合、第二試算部15は、入力情報取得部11が取得した地域情報、太陽光発電装置に関するリフォーム情報、及び、試算用データ記憶部12に記憶された試算用データを参照して、リフォーム後の買い取り料金の試算値を試算する。なお、本実施形態において、第二試算部15は、買い取り料金の試算値を月別で一年分だけ試算する。
また、リフォーム前後(改修前後)で住宅に太陽光発電装置が設置され、かつ、その発電電力が買い取られる場合には、第一試算部14が現在の買い取り料金の試算値を試算し、入力情報取得部11が現在の買い取り料金の実績値を示す情報(実績値情報)を取得し、第二試算部15がリフォーム後の買い取り料金の試算値を試算する。この際、第二試算部15は、現在の買い取り料金の試算値及び実績値に基づいて、リフォーム後の買い取り料金の試算値を試算する。
具体的に説明すると、第二試算部15は、リフォーム後の買い取り値料金の試算値を試算するにあたり、仮の買い取り料金試算値(以下、一次買い取り料金試算値)を試算する。その後、第二試算部15は、必要に応じて一次買い取り料金試算値を補正する。この際、第二試算部15は、第一試算部14が試算した直近一年分の買い取り料金についての試算値と、入力情報取得部11が取得した実績値情報が示す直近一年分の買い取り料金についての実績値と、に基づいて一次買い取り料金試算値を補正する。その後、第二試算部15は、最終的な買い取り料金試算値(以下、二次買い取り料金試算値)を決定する。
以下、一次買い取り料金試算値の試算処理、買い取り料金試算値の補正処理、及び二次買い取り試算値の決定処理について、それぞれ説明することとする。
先ず、一次買い取り料金試算値の試算処理について説明する。一次買い取り料金試算値の試算処理は、本発明の「第四処理」に相当する。一次買い取り料金試算値の試算処理において、第二試算部15は、入力情報取得部11が取得した地域情報、太陽光発電装置に関するリフォーム情報、及び、試算用データ記憶部12に記憶された試算用データを参照して一次買い取り料金試算値を試算する。本実施形態では、一次買い取り料金試算値を月別で一年分試算することになっている。
次に、買い取り料金試算値の補正処理について説明する。買い取り料金試算値の補正処理は、本発明の「第五処理」に相当する。買い取り料金試算値の補正処理において、第二試算部15は、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅における買い取り料金についての試算値及び実績値の双方を用いた補正方法(以下、買い取り料金補正方法)に従って一次買い取り料金試算値を補正する。
ここで、買い取り料金補正方法の種類は、複数設定されており、本実施形態では、光熱費の試算値に対する補正方法と同様に二種類設定されている。第二試算部15は、二種類の買い取り料金補正方法のうちのいずれか一方、若しくは両方の買い取り料金補正方法を適用して一次買い取り料金試算値を補正する。以下、各買い取り料金補正方法について図7を参照しながら説明する。
図7は、リフォーム後の買い取り料金試算値を試算する際の手順を示す図である。図7中の(a)は、現在の住宅における買い取り料金の試算値を示し、(b)は、現在の住宅における買い取り料金の実績値を示し、(c)は、現在の住宅における買い取り料金についての試算値及び実績値の間の差分を示し(d)は、一次買い取り料金試算値を示し、(e)は、第一の買い取り料金補正方法に従って補正された一次買い取り料金試算値を示し、(f)は、第二の買い取り料金補正方法に従って補正された一次買い取り料金試算値を示している。なお、図7では、説明の都合上、試算値や実績値及び補正過程で算出される値について、一部の情報(具体的には、5月〜7月分の情報)のみを図示している。
二種類の買い取り料金補正方法のうち、第一の買い取り料金補正方法は、光熱費の試算値に対する第一の補正方法と同様の補正方法である。具体的に説明すると、第二試算部15は、直近一年の各月について、現在の住宅における買い取り料金試算値(図7中の(a)に図示)と買い取り料金実績値(図7中の(b)に図示)とを対比する。なお、買い取り料金実績値の中には、補間部13によって補間された実績値も含まれる。そして、第二試算部15は、買い取り料金実績値から買い取り料金試算値を差し引いて両値の差分(図7中の(c)に図示)を月別に算出する。その後、第二試算部15は、リフォーム後の買い取り料金について月別に試算した一次買い取り料金試算値(図7中の(d)に図示)を、同じく月別で求めた上記の差分のうち、対応する月の差分だけ加算する。この結果として得られる値(図7中の(e)に図示)が、第一の買い取り料金補正方法を適用した場合の補正後の買い取り料金試算値に相当する。
二種類の買い取り料金補正方法のうち、第二の買い取り料金補正方法は、光熱費の試算値に対する第二の補正方法と略同様の補正方法である。具体的に説明すると、第二試算部15は、直近一年の各月について、現在の住宅における買い取り料金試算値及び買い取り料金実績値の間の比率(=買い取り料金実績値/買い取り料金試算値)を月別に算出する。そして、第二試算部15は、月別に試算された一次買い取り料金試算値のそれぞれについて、同じく月別に算出された上記比率のうち、対応する月の比率を当該月の一次買い取り料金試算値に乗じる。この結果として得られる値(図7中の(f)に図示)が、第二の買い取り料金補正方法を適用した場合の補正後の買い取り料金試算値に相当する。
以上のように、買い取り料金試算値の補正処理では、二種類の買い取り料金補正方法の各々に従って一次買い取り料金試算値を補正するケースがある。かかるケースにおいて、第二試算部15は、補正後の買い取り料金試算値を買い取り料金補正方法別に算出し、具体的には補正後の買い取り料金試算値として二種類の試算値を算出することになる。
なお、本実施形態では、二種類の買い取り料金補正方法の中からどの方法を適用するのかが試算条件(買い取り料金試算の条件)に切り替わることになっている。具体的に説明すると、リフォーム後の発電電力の買い取り様式が全量買取である場合には、第二の買い取り料金補正方法のみを適用する。他方、リフォーム後の発電電力の買い取り様式が余剰買取である場合には、二種類の買い取り料金補正方法の双方を適用する。
次に、二次買い取り料金試算値の決定処理について説明する。二次買い取り料金試算値の決定処理は、本発明の「第六処理」に相当する。二次買い取り料金試算値の決定処理において、第二試算部15は、リフォーム後の買い取り料金について最終的な試算値(二次買い取り料金試算値)を決定する。
具体的に説明すると、第二試算部15は、補正処理により一次買い取り試算値を補正した場合、補正後の買い取り料金試算値に基づいて二次買い取り料金試算値を決定する。ここで、上記二種類の買い取り料金補正方法の各々に従って一次買い取り料金試算値を補正した場合には、前述したように、補正後の買い取り料金試算値が買い取り料金補正方法別に算出される。この場合、第二試算部15は、買い取り料金補正方法別に算出した補正後の買い取り料金試算値に基づいて二次買い取り料金試算値を決定する。より詳しく説明すると、第二試算部15は、第一の買い取り料金補正方法を適用して算出した補正後の買い取り料金試算値と、第二の買い取り料金補正方法を適用して算出した補正後の買い取り料金試算値とを平均(相加平均)し、その平均値を二次買い取り料金試算値に決定する。
以上のように本実施形態では、リフォーム後の買い取り料金試算値について、買い取り料金補正方法別に補正後の試算値を算出し、これらの試算値(すなわち、複数算出された補正後の買い取り料金試算値)に基づいて最終的な買い取り料金試算値を決定する。これにより、買い取り料金の試算精度をより高めることが可能となる。
なお、最終的な試算値である二次買い取り料金試算値については、月別で一年分試算される。また、本実施形態では、前述したように、二種類の買い取り料金補正方法の中からどの方法を適用するのかが試算条件(買い取り料金試算の条件)に応じて切り替わることになっている。例えば、リフォーム後の発電電力の買い取り様式が全量買取である場合には、第二の買い取り料金補正方法のみを適用することになっている。この場合、補正後の買い取り料金試算値が一つのみ算出されるため、当該補正後の買い取り料金試算値をそのまま最終的な試算値(二次買い取り料金試算値)として決定することになる。
出力部16は、本装置1のディスプレイに図8に図示の出力画面を描画し、当該出力画面にリフォーム後の光熱費及び買い取り料金についての試算値を表示する。図8は、出力画面の一例を示す図である。
出力画面における表示内容について説明すると、当該出力画面にて表示される試算値は、第二試算部15によって決定された光熱費の二次試算値、及び二次買い取り料金試算値である。また、現在の住宅における光熱費及び買い取り料金について実績値が得られた場合には、図8に示すように、リフォーム後の試算値と現在の実績値の双方を対比可能な状態で表示するのが望ましい。
なお、本実施形態では、光熱費や買い取り料金の試算値を出力する方法として、当該試算値を表示画面に表示する方法を採用しているが、これに限定されるものではない。上記以外の出力方法、例えば、試算値が記載された帳票を不図示のプリンタにて印刷する方法を採用してもよい。
<<本実施形態に係る試算方法の構成について>>
次に、本装置1を用いてリフォーム後の光熱費や買い取り料金(以下、光熱費等)を試算する試算方法について説明する。本実施形態に係る試算方法は、本装置1を構成するコンピュータにおいてCPU1aが試算プログラムを実行することによって実現される。
より詳しく説明すると、試算プログラムによって規定されているデータ処理(以下、光熱費等試算フロー)が実行されることにより、本装置1を構成するコンピュータが本実施形態に係る試算方法に則ってリフォーム後の光熱費等を試算する。つまり、光熱費等試算フローでは、本実施形態に係る試算方法が採用されており、同フロー中の各工程は、本実施形態に係る試算方法の構成要素をなしている。
以下では、本実施形態に係る試算方法についての説明として、光熱費等試算フローの流れについて説明することとする。
光熱費等試算フローは、本装置1を構成するコンピュータ(具体的にはパソコン)が従業員に操作されることによって開始される。光熱費等試算フローは、図9及び図10に図示された流れに従って進行する。図9及び図10は、光熱費等試算フローの流れを示す図である。以下では、図9及び図10に図示された流れに沿って光熱費等試算フローを説明する。
光熱費等試算フローが開始されると、本装置1を構成するコンピュータのディスプレイに、図1A及び図1Bに図示の入力画面が描画される。従業者は、入力画面を通じて、リフォーム後の光熱費等を試算する上で必要となる情報を入力する。これにより、上記のコンピュータは、入力画面を通じて、従業者が入力した情報(入力情報)を取得する(S001)。
取得される入力情報には、商談相手が居住している住宅の地域に関する地域情報、当該住宅の現状に関する現状情報、及び、リフォーム内容に関するリフォーム情報、リフォーム前後の料金単価に関する料金単価情報が含まれている。さらに、入力情報の中には、現在の住宅における光熱費についての実績値に関する情報(実績値情報)が含まれている。かかる意味で、入力情報を取得するステップS001は、リフォーム前の住宅における光熱費についての実績値を取得する工程に相当すると言える。
さらにまた、商談相手が居住している住宅に既に太陽光発電装置が設けられており、かつ、その発電電力の一部又は全部を買い取ってもらっている場合には、現在の買い取り料金の実績値を示す情報を入力情報として取得する。
次に、本装置1を構成するコンピュータは、ステップS001にて取得した入力情報(厳密には地域情報、現状情報及び料金単価情報)と、同コンピュータ内に記憶された試算用データとに基づいて、商談相手が現在居住している住宅における光熱費の試算値、すなわち改修前試算値を試算する(S002)。本ステップS002において、上記のコンピュータは、現在の住宅において使用されているエネルギーの種類毎に、直近一年分の使用料金についての試算値を月別に試算する。
その後、本装置1を構成するコンピュータは、リフォーム後の住宅(リフォームされた後の商談相手の住宅)における光熱費の試算値を試算する。具体的に説明すると、上記のコンピュータは、ステップS003〜S012を通じて、リフォーム後の光熱費についての試算値を試算する。換言すると、ステップS003〜S012は、改修後試算値を試算する工程に相当する。
ステップS003〜S012の各々について説明すると、本装置1を構成するコンピュータは、ステップS001にて取得した入力情報(厳密には地域情報、リフォーム情報及び料金単価情報)と、同コンピュータ内に記憶された試算用データとに基づいて、リフォーム後の光熱費についての仮の試算値、すなわち一次試算値を試算する(S003)。本ステップS003において、上記のコンピュータは、リフォーム後の住宅において使用されているエネルギーの種類毎に、十二カ月分の使用料金についての一次試算値を試算する。
その後、上記のコンピュータは、ステップS001にて取得した入力情報の中に現在の住宅における光熱費の実績値情報が含まれているか否かを判定する(S004)。実績値情報が取得済みの入力情報中に含まれていないと判定した場合、上記のコンピュータは、ステップS012に移行し、リフォーム後の光熱費について最終的な試算値、すなわち、二次試算値を決定する(S012)。かかる場合、ステップS003にて試算した一次試算値がそのまま二次試算値として決定される。
他方、現在の住宅における光熱費の実績値情報が取得済みの入力情報中に含まれていると判定した場合、上記のコンピュータは、さらに、当該実績値情報に欠落があるか否か(分かり易くは、直近1年の中で、光熱費の実績値が入力されていない月があるかどうか)を判定する(S005)。そして、実績値の欠落があると判定した場合、上記のコンピュータは、補間処理を実行する(S006)。補間処理では、実績値が欠落された月について、当該月の前後一月の実績値を平均し、その平均値を実績値として補間する。
なお、本実施形態では、実績値が欠落した月が二月以上連続している場合には補間処理を実行しないことになっているが、以下の説明では、実績値が欠落した月が二月以上連続することはないものとする。
補間処理の完了後、若しくはステップS005において実績値の欠落がないと判定した場合、上記のコンピュータは、ステップS001にて取得したリフォーム情報を解析してリフォームの内容を特定し、当該内容がオール電化の状態からガス併給の状態へ住宅をリフォームするものであるか否かを判定する(S007)。その後、上記のコンピュータは、ステップS003にて試算した一次試算値をステップS007での判定結果に応じて補正する。
具体的に説明すると、オール電化の状態からガス併給の状態へのリフォームではない場合(S007でNo)、上記のコンピュータは、通常の補正処理を実行する。ここで、リフォーム前後における住宅の状態がガス併給の状態であるケースを例に挙げて、通常の補正処理について説明する。上記のケースにおいて、ステップS001では、現在の住宅におけるガス料金の実績値を示す実績値情報と、電気料金の実績値を示す実績値情報と、をそれぞれ取得する。また、ステップS002では、ガス料金及び電気料金の各々について現在の試算値を試算する。同様に、ステップS003では、ガス料金及び電気料金の各々についてリフォーム後の試算値(一次試算値)を試算する。
その後、補正処理では、現在の光熱費についての試算値及び実績値の双方に基づいて一次試算値を補正する。通常の補正処理では、あるエネルギーの使用料金についての一次試算値を補正する際に、同じ種類のエネルギーの使用料金についての現在の試算値及び実績値に基づいて補正する。具体的に説明すると、通常の補正処理において、ガス料金についての一次試算値を補正する際には、現在のガス料金についての試算値及び実績値に基づいて補正し、電気料金についての一次試算値を補正する際には、現在の電気料金についての試算値及び実績値に基づいて補正する。
なお、補正処理の手順について説明すると、通常の補正処理では、先ず、第一の補正方法にて一次試算値を補正する(S008)。具体的に説明すると、ガス料金の現在の試算値及び実績値の差分を求め、当該差分をガス料金の一次試算値に加算する。また、電気料金についても上記と同様の演算を実施する。以上の結果、ガス料金及び電気料金の各々について、第一の補正方法を適用したときの補正後の試算値が得られるようになる。
次に、第二の補正方法にて一次試算値を補正する(S009)。具体的に説明すると、ガス料金の現在の試算値及び実績値の各々について、基本料金及び割引額を除く従量料金を算出し、従量料金同士の比率を求める。その後、ガス料金の一次試算値中の従量料金を算出し、その従量料金に上記の比率を乗じて得られる金額に、基本料金及び割引額を適用する。また、電気料金についても上記と同様の演算を実施する。以上の結果、ガス料金及び電気料金の各々について、第二の補正方法を適用したときの補正後の試算値が得られるようになる。
一方、オール電化の状態からガス併給の状態へのリフォームである場合(S007でYes)、上記のコンピュータは、特別の補正処理を実行する。この特別の補正処理は、現在のガス料金についての実績値が得られない場合に実行される。
より詳しく説明すると、現在(すなわち、リフォーム前)の住宅の状態がオール電化状態である場合、ステップS001では、現在の住宅における電気料金の実績値を示す実績値情報が取得される一方で、ガス料金についての実績値情報は取得されないことになる。同様の理由により、ステップS002では、電気料金についての現在の試算値を試算する一方で、ガス料金についての現在の試算値は試算されないことになる。これに対して、リフォーム後の住宅の状態がガス併給の状態となる場合、ステップS003では、ガス料金及び電気料金の各々についてリフォーム後の試算値(一次試算値)を試算することになる。
以上の理由から、オール電化の状態からガス併給の状態へ住宅をリフォームする場合には、通常の補正処理と同様の補正処理を実行することができないため、特別の補正処理を実行する。具体的に説明すると、特別の補正処理では、ガス料金及び電気料金の各々についての一次試算値を補正する際に、電気料金についての現在の試算値及び実績値に基づいて補正する。すなわち、特別の補正処理において電気料金についての一次試算値を補正する際には、現在の電気料金についての試算値及び実績値に基づいて補正する。他方、ガス料金についての一次試算値を補正する際には、現在のガス料金についての試算値及び実績値がないため、現在の電気料金についての試算値及び実績値を代用し、これらに基づいて補正する。
特別の補正処理の手順については、通常の補正処理の手順と略共通しており、先ず、第一の補正方法にて一次試算値を補正し(S010)、次いで、第二の補正方法にて一次試算値を補正する(S011)。なお、特別の補正処理において第一の補正方法にて一次試算値を補正するステップS011では、電気料金についての一次試算値のみを補正することとし、ガス料金についての一次試算値は補正しない(換言すると、ガス料金についての一次試算値に対しては第一の補正方法を適用しない)。これに対し、特別の補正処理において第二の補正方法にて一次試算値を補正するステップS011では、現在の電気料金についての試算値及び実績値に基づいて、電気料金についての一次試算値、及び、ガス料金についての一次試算値を補正する。
補正処理の終了後、本装置1を構成するコンピュータは、補正後の試算値に基づいて、リフォーム後の光熱費の試算値(二次試算値)を決定する(S012)。具体的に説明すると、補正処理として通常の補正処理が実行された場合、上記のコンピュータは、ステップS012を実行するまでの間に、ガス料金及び電気料金の各々について(若しくは電気料金について)補正後の試算値を補正方法別に算出する。かかる場合、ステップS012では、上記のコンピュータが補正方法別に算出された補正後の試算値を平均し、その平均値を二次試算値として決定する。
また、補正処理として特別の補正処理が実行された場合、上記のコンピュータは、ステップS012を実行するまでの間に、電気料金について補正方法別に補正後の試算値を算出する一方で、ガス料金については一つの補正後の試算値(厳密には、第二の補正方法を適用したときの補正後の試算値)のみを算出する。かかる場合、ステップS012において、電気料金に関しては、補正方法別に算出された補正後の試算値を平均し、その平均値を二次試算値として決定する。一方、ガス料金に関しては、第二の補正方法を適用したときの補正後の試算値をそのまま二次試算値として決定する。
二次試算値の決定処理が終了した後、本装置1を構成するコンピュータは、ステップS001にて取得したリフォーム情報のうち、太陽光発電装置に関する情報を解析し、リフォーム後の住宅において太陽光発電装置の発電電力が買い取られるか否かを判定する(S013)。リフォーム後に発電電力が買い取られないと判定した場合、上記のコンピュータは、ステップS024に移行する。他方、リフォーム後に発電電力が買い取られると判定した場合、上記のコンピュータは、ステップS001にて取得した入力情報(厳密には地域情報、リフォーム情報中の太陽光発電装置に関する情報)と、同コンピュータ内に記憶された試算用データとに基づいて、リフォーム後の買い取り料金についての仮の試算値、すなわち一次買い取り料金試算値を試算する(S014)。
その後、上記のコンピュータは、ステップS001にて取得した現状情報のうち、太陽光発電装置に関する情報を解析し、現在の住宅において太陽光発電装置の発電電力が既に買い取られているか否かを判定する(S015)。また、現在の住宅において太陽光発電装置の発電電力が既に買い取られていると判定した場合、上記のコンピュータは、さらに、ステップS001にて取得した入力情報の中に現在の住宅における買い取り料金の実績値情報が含まれているか否かを判定する(S016)。
そして、ステップS015において現在の住宅では発電電力が買い取られていないと判定した場合、あるいは、ステップS016において買い取り料金の実績値情報が取得済みの入力情報中に含まれていないと判定した場合、上記のコンピュータは、ステップS023に移行し、リフォーム後の買い取り料金について最終的な試算値、すなわち、二次買い取り料金試算値を決定する(S023)。かかる場合、ステップS014にて試算した一次買い取り料金試算値がそのまま二次買い取り料金試算値として決定される。
他方、ステップS016において買い取り料金の実績値情報が取得済みの入力情報中に含まれていると判定した場合、上記のコンピュータは、さらに、当該実績値情報に欠落があるか否か(分かり易くは、直近1年の中で、買い取り料金の実績値が入力されていない月があるかどうか)を判定する(S017)。そして、実績値の欠落があると判定した場合、上記のコンピュータは、補間処理を実行する(S018)。補間処理では、買い取り料金の実績値が欠落された月について、当該月の前後一月の実績値を平均し、その平均値を実績値として補間する。
なお、本実施形態では、実績値が欠落した月が二月以上連続している場合には補間処理を実行しないことになっているが、以下の説明では、実績値が欠落した月が二月以上連続することはないものとする。
補間処理の完了後、若しくはステップS017において実績値の欠落がないと判定した場合、上記のコンピュータは、ステップS001にて取得したリフォーム情報のうち、太陽光発電装置に関する情報を解析し、リフォーム後に適用される発電電力の買い取り様式が余剰買取であるか否かを判定する(S019)。その後、上記のコンピュータは、ステップS014にて試算した一次買い取り料金試算値を、ステップS019での判定結果に応じて補正する。
具体的に説明すると、リフォーム後の買い取り様式が余剰買取以外の様式、すなわち全量買取である場合(S019でNo)、上記のコンピュータは、二種類の買い取り料金補正方法中、第二の買い取り料金補正方法のみを適用して一次買い取り料金試算値を補正する(S020)。第二の買い取り料金補正方法では、現在の住宅における買い取り料金の試算値及び実績値を対比して両値の比率を求め、当該比率をリフォーム後の買い取り料金の試算値(一次買い取り料金試算値)に乗じる。以上の結果、第二の買い取り料金補正方法を適用したときの補正後の買い取り料金試算値が得られるようになる。
一方、リフォーム後の買い取り様式が余剰買取である場合(S019でYes)、上記のコンピュータは、二種類の買い取り料金補正方法を適用して一次買い取り料金試算値を補正する。つまり、先ず、第一の買い取り料金補正方法に従って一次買い取り料金試算値を補正し(S021)、次いで、第二の買い取り料金補正方法に従って一次買い取り料金試算値を補正する(S022)。これにより、補正後の買い取り料金試算値が買い取り料金補正方法別に算出される。
なお、第一の買い取り料金補正方法では、現在の住宅における買い取り料金の試算値及び実績値の間の差分を求め、当該差分をリフォーム後の買い取り料金の試算値(一次買い取り料金試算値)に加算する。以上の結果、第一の買い取り料金補正方法を適用したときの補正後の買い取り料金試算値が得られるようになる。
買い取り料金に関する補正処理の終了後、本装置1を構成するコンピュータは、補正後の買い取り料金試算値に基づいて、リフォーム後の買い取り料金についての試算値(二次買い取り料金試算値)を決定する(S023)。具体的に説明すると、リフォーム後の買い取り様式が余剰買取である場合、上記のコンピュータは、ステップS023を実行するまでの間に、補正後の買い取り料金試算値を買い取り料金補正方法別に算出する。かかる場合、ステップS023では、上記のコンピュータが買い取り料金補正方法別に算出された補正後の買い取り料金試算値を平均(相加平均)し、その平均値を二次買い取り料金試算値として決定する。
また、リフォーム後の買い取り様式が全量買取である場合、上記のコンピュータは、ステップS023を実行するまでの間に、一つの補正後の買い取り料金試算値(厳密には、第二の買い取り料金補正方法を適用したときの補正後の買い取り料金試算値)のみを算出する。かかる場合、ステップS023において、第二の買い取り料金補正方法を適用したときの補正後の買い取り料金試算値をそのまま二次買い取り料金試算値として決定する。
以上までに説明してきた一連の工程がすべて完了すると、本装置1を構成するコンピュータは、ディスプレイに図8の出力画面を描画する。そして、上記のコンピュータは、出力画面を通じて各種の試算結果、つまり、ステップS012にて決定したリフォーム後の光熱費の試算値、及び、ステップS023にて決定したリフォーム後の買い取り料金の試算値を出力(表示)する(S024)。
そして、試算結果の出力が完了した時点で光熱費等試算フローが終了する。
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明の試算装置の構成例について説明してきたが、上記の実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられる。例えば、上記の実施形態では、一台のコンピュータが試算装置としての機能をすべて担っていることとした。すなわち、上記の実施形態では、本装置1が有する機能(具体的には、入力情報取得部11、試算用データ記憶部12、補間部13、第一試算部14、第二試算部15及び出力部16)が一台のコンピュータによって実現されていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、複数台のコンピュータによって本発明の試算装置が構成されていてもよい。例えば、本装置1が有する機能のうち、試算用データ記憶部12を実現するコンピュータが不図示のサーバコンピュータによって構成されており、それ以外の機能を実現するコンピュータとは別機器をなしていてもよい。この場合、両コンピュータは、互いに通信可能に接続されることで本発明の試算装置として機能するようになる。
また、上記の実施形態では、現在の住宅における光熱費や買い取り料金についての実績値が、本装置1を構成するコンピュータの操作者(具体的には、従業員)の操作を通じて入力されることとした。ただし、これに限定されるものではなく、実績値が自動的に入力される構成であってもよい。例えば、住宅内に電力消費量、ガス使用量及び発電量を計測するセンサを設置し、かかるセンサからの出力信号を受信して解析することで光熱費や買い取り料金が自動的に算出される構成において、その算出結果を入力値として用いてもよい。
また、上記の実施形態では、リフォーム後の光熱費についての試算値を試算する際に、現在(すなわち、リフォーム前)の光熱費についての試算値も併せて試算することとした。ただし、これに限定されるものではなく、現在の光熱費についての試算値については予め試算しておき、リフォーム後の光熱費についての試算値を試算する前段階で所定の記憶先に記憶しておいてもよい。
また、上記の実施形態では、リフォーム後の光熱費についての試算値(一次試算値)を補正する方法が二種類あることとした。また、二種類の補正方法のうちの一方(具体的には、第一の補正方法)では、現在の光熱費についての試算値及び実績値に基づいて求めた加減値を用いて補正し、他方(具体的には、第二の補正方法)では、現在の光熱費についての試算値及び実績値に基づいて求めた倍率を用いて補正することとした。ただし、補正方法の種類数や各補正方法での補正内容については、特に限定されるものではない。同様に、リフォーム後の買い取り料金についての試算値(一次買い取り料金)を補正する方法の種類数や補正内容についても、上記の実施形態に限定されるものではない。
また、上記の実施形態では、リフォーム後の光熱費について最終的な試算値(二次試算値)を決定するにあたり、複数の補正方法のそれぞれを適用して一次試算値を補正し、補正方法別に補正後の試算値を算出することとした。そして、補正方法別に算出された補正後の試算値を平均し、その平均値を二次試算値として決定することとした。ただし、補正方法別に算出された補正後の試算値に基づいて二次試算値を決定する要領については、上記の内容に限定されるものではなく、例えば平均以外の演算を用いて二次試算値を決定してもよい。
また、上記の実施形態では、現在(すなわち、リフォーム前)の光熱費についての実績値を取得した場合には、当該実績値を用いてリフォーム後の光熱費についての試算値を補正することとした。ここで、上記の実績値を用いた補正処理を実行させるかどうかについては、本装置1のユーザの意思に応じて自由に選択し得るのが望ましい。つまり、現在の光熱費についての実績値を取得した場合、当該実績値を用いてリフォーム後の光熱費についての試算値を補正するモード、及び、補正しないモードの中からいずれか一つを選択し、選択されたモードに応じて光熱費の試算が行われてもよい。
また、上記の実施形態では、リフォーム工事に関する商談支援ツールとして本装置1を用いるケースを例に挙げて説明したが、本装置1の用途については特に限定されるものではない。例えば、住宅の居住者が当該住宅のリフォームを計画する際の支援ツールとして本装置1を用いてもよい。