以下、実施形態に係る編組加工装置及び編組付ケーブル加工方法について説明する。
<編組付ケーブルについて>
説明の便宜上、加工対象となる編組付ケーブルについて説明する。図1は編組付ケーブル10の端部に端子が取付けられた状態を示す概略断面図である。
編組付ケーブル10は、例えば、自動車などの車両に搭載されるワイヤーハーネスの一部品となる車両用ツイスト電線である。具体的には、編組付ケーブル10は、ケーブル中心部としての撚り合せ部12と、撚り合せ部12の外周を覆う編組14と、編組14の外周を覆うシース16とを備える。
撚り合せ部12は、複数(ここでは2本)の絶縁電線13が撚り合わされた構成とされている。絶縁電線13は、線状の導体である芯線13aとその芯線13aの周囲を覆う絶縁被覆13bとを有している。絶縁被覆13bは、シース16の内側で芯線13a各々を個別に覆う一次被覆である。芯線13aは、例えば、複数の導電性の素線が撚り合わされた撚り線で構成される。もっとも、芯線は、単線であることも考えられる。
2本の絶縁電線13は、同軸の螺旋を描きつつ撚り合わされている。編組付ケーブル10の中心線は、絶縁電線13各々が沿う螺旋の軸である。2本の絶縁電線13の各端部には端子20が圧着されている。
編組14は、撚り合せ部12の外周を覆うシールド層である。編組14は、銅、銅合金等の金属線が筒状をなすように編まれることによって形成されている。かかる編組14は、シース16の内周側で撚り合せ部12を覆う筒形状をなしているが、シースから露出した状態では、各網目の間を広げるようにして拡径変形することができる。
シース16は、樹脂を編組14の外周に押出成形等することにより形成された絶縁体である。シース16は、編組14の外周で、複数の絶縁電線13を束ねた状態に維持すると共に編組14を筒形状に保つ部分である。
上記のような編組付ケーブル10は、イーサネット(登録商標)規格に準拠する高速通信用のケーブル等として適用され得る。
もっとも、編組付ケーブル10が上記構成であることは必須ではない。
ケーブル中心部には、1本の電線のみ含まれていてもよいし、3本以上の電線が含まれていてもよい。ケーブル中心部において複数の電線が撚り合わされず、並列状態に束ねられていてもよい。撚り合せ部12と編組14との間に絶縁層が介在していてもよい。編組付ケーブルは、中心導体の周囲に内部絶縁層を形成し、この周囲に編組を形成し、その周囲にシースを形成したもの、いわゆる同軸ケーブルと呼ばれるものであってもよい。
編組付ケーブル10の端部において、部分的にシース16が剥ぎ取られて2本の絶縁電線13が露出している。さらに、2本の絶縁電線13の各端部において、絶縁被覆13bが剥ぎ取られて芯線13aが露出している。
端子20は、銅、銅合金等の金属板材を適宜プレス加工等することにより形成されている。端子20の表面には、スズ、ニッケル等のメッキ層が形成されていてもよい。端子20は、相手側接続部22と電線接続部24とが直線状に連なる形状に形成されている。
相手側接続部22は、相手側の端子等と接続される部分である。ここでは、相手側接続部22は、全体に箱状の形状、いわゆるメス端子としての形状に形成されている。そして、この相手側接続部22に、ピン状或はタブ状の接続部を有する相手側端子(いわゆるオス端子)が挿入接続される。もっとも、相手側接続部22は、ピン状或はタブ状の形状、いわゆるオス端子としての形状に形成されていてもよい。オス端子もピン状或はタブ状の基端部に箱部が形成される。
電線接続部24は、絶縁電線13の端部に圧着されて絶縁電線13と接続される部分である。ここでは、電線接続部24は、芯線バレル部25と、被覆バレル部26とを含む。もっとも、電線接続部24において、被覆バレル部26は省略されることもあり得る。
芯線バレル部25は、底板部の両側部から一対の芯線圧着片が立ち上がる形状に形成されており、その内部に露出した芯線13aが配設された状態で、一対の芯線圧着片が内向きに曲げられる。これにより、芯線バレル部25が露出した芯線13aに圧着される。
被覆バレル部26は、底板部の両側部から一対の被覆圧着片が立ち上がる形状に形成されており、その内部に絶縁被覆13bの端部が配設された状態で、一対の被覆圧着片が内向きに曲げられている。これにより、被覆バレル部26が絶縁被覆13bの端部に圧着される。
2本の絶縁電線13のそれぞれの端部に端子20が圧着されている。2つの端子は、樹脂等で形成された誘電体ケース30内に収容される。誘電体ケース30は、2つの端子20が直接接触しないようにそれらの間を仕切ると共に、外周を覆う。誘電体ケース30の先端側には、2つの端子20に対応する2つの開口が形成されており、相手側の2つの端子を2つの開口のそれぞれに挿入して、対応する端子20に接続することができる。
また、誘電体ケース30の外周は、外導体端子40によって覆われている。外導体端子40は、銅、銅合金等の金属板材を適宜プレス加工等することにより形成されている。外導体端子40の表面には、スズ、ニッケル等のメッキ層が形成されていてもよい。外導体端子40は、誘電体ケース収容部42と、編組圧着部44とが直線状に連なる形状に形成されている。
誘電体ケース収容部42は、箱形状に形成されており、誘電体ケース30の外周囲を内部に収容することができるようになっている。
誘電体ケース収容部42の一端部からシース16の端部に向けて編組圧着部44が延出している。編組圧着部44は、例えば、底板部の両側部から一対の編組圧着片が立ち上がる形状に形成されている。そして、編組14のうちシース16の端部から露出する編組14(以下、露出編組14aということがある)を、シース16の端部に被せるように反転させる。ここでは、シース16の外周に金属スリーブ18を被せ、露出編組14aを金属スリーブ18の外周に被せている。金属スリーブ18は省略されてもよい。そして、シース16の端部、金属スリーブ18及びその外周に被せられた露出編組14aを編組圧着部44内に配設し、この状態で、一対の編組圧着片が内向きに曲げられる。これにより、編組圧着部44がシース16の端部、金属スリーブ18及び露出編組14aに圧着される。この編組圧着部44は、シース16の端部の外周で露出編組14aに接触しているため、編組14と電気的に接触した状態に保たれる。金属スリーブ18が省略され、露出編組14aがシース16の端部の外周に接触するように反転されてもよい。
ここでは、露出編組14aに対して外導体端子40が圧着される構成で説明したが、他のアース接続用の金属リングが圧着される構成であることも考えられる。
上記のように、露出編組14aの端部をシース16の外周に反転させるにあたっては、図2に示すように、編組付ケーブル10の端部において、シース16を部分的に除去して編組14を露出させ、その後、露出編組14aを反転させることになる。
露出編組14aを反転させてこれに編組圧着部44を圧着した状態で、露出編組14aの先端部が編組圧着部44から不揃いにはみ出ないようにするためには、露出編組14aの先端部を切揃える必要がある。
本実施形態に係る編組加工装置及び編組付ケーブル加工方法は、シース16から露出した露出編組14aの先端部を切揃えるための技術に関する。
<編組加工装置の全体構成について>
図3は編組加工装置50の全体構成を示す概略図である。編組加工装置50は、ケーブル端部搬送機構52と、編組起し機構60と、剪断機構80と、反転機構100とを備える。
ケーブル端部搬送機構52は、切断された編組付ケーブル10の両端部を搬送方向Pに沿って搬送する。この搬送方向Pに沿って上流側から下流側に向けて編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100がこの順で設けられている。
編組起し機構60の上流側には、シース16に金属スリーブ18を外嵌めする金属スリーブ外嵌め機構、編組付ケーブル10の両端部のそれぞれにおいてシース16を部分的に皮剥するシース皮剥装置等を含む前処理機構120が設けられている。このため、編組起し機構60に対して搬送される編組付ケーブル10の両端部は、シース16が除去されてその除去部分に露出編組14aが露出し、かつ、シース16の端部に金属スリーブ18が外嵌めされた状態となっている。上記前処理機構120が省略され、シース16の除去、金属スリーブ18の外嵌め等が手作業によって行われた編組付ケーブル10の端部がケーブル端部搬送機構52にセットされてもよい。
また、反転機構100の下流側には、絶縁電線13の端部の絶縁被覆13bの皮剥を行う皮剥装置、端子の圧着を行う端子圧着装置等を含む後処理機構130が設けられている。これにより、編組付ケーブル10の端部において、露出編組14aの切揃え、反転等の加工処理がなされた後、絶縁電線13の絶縁被覆13bの皮剥、端子圧着処理等が続いて自動的になされる。もちろん、後処理機構130が省略され、絶縁電線13の絶縁被覆13bの皮剥、端子圧着処理等が手作業によって行われてもよい。上記誘電体ケース30の装着作業、外導体端子40の圧着作業等も手作業によって行うことができる。
ケーブル端部搬送機構52は、ケーブル端部把持部54と、ケーブル端部進退駆動部56と、ケーブル端部搬送駆動部58とを備える。
ケーブル端部把持部54は、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用したチャック等によって構成されており、開閉駆動可能な一対の把持片54aを備えている。そして、一対の把持片54aを閉じる方向に移動させることで、編組付ケーブル10のシース16の端部であって上記露出編組14aが反転される部分よりも延在方向中央寄りの部分を把持する。
ケーブル端部進退駆動部56は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、ケーブル端部把持部54を、編組起し機構60、剪断機構80、反転機構100に対して進退移動させる。すなわち、ケーブル端部搬送機構52の一側に、編組起し機構60、剪断機構80、反転機構100が設けられており、ケーブル端部進退駆動部56は、ケーブル端部把持部54を、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100から退避させた退避位置と、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100側に進出移動させた進出位置との間で駆動させる。ケーブル端部把持部54を退避位置に移動させた状態では、ケーブル端部把持部54に把持された編組付ケーブル10の端部は、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100とは干渉せず、搬送方向Pに沿って移動させることができる。ケーブル端部把持部54を進出位置に移動させた状態では、ケーブル端部把持部54に把持された編組付ケーブル10の端部は、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100によって加工可能な位置に送込まれる。
ケーブル端部搬送駆動部58は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータ、環状ベルト又は環状チェーンを循環移動させる送り機構等によって構成されており、ケーブル端部把持部54を搬送方向Pに沿って間欠的に移動させる。
ここでは、2つのケーブル端部把持部54が、ケーブル端部進退駆動部56を介して可動台59上に支持されている。そして、1つの編組付ケーブル10の両側の端部を、2つのケーブル端部把持部54で別々に把持した状態で、搬送方向Pに沿って順次間欠的に搬送していくことができる。この際、2つのケーブル端部把持部54は、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100における各加工位置の間隔に応じた間隔で、可動台59上に支持されている。このため、一方のケーブル端部把持部54で把持された編組付ケーブル10の一方の端部を編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100のいずれか1つで加工中に、その隣で、他方のケーブル端部把持部54で把持された編組付ケーブル10の他方の端部を加工することができる。
ケーブル端部搬送機構52により搬送される編組付ケーブル10の端部は、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100をこの順で経て加工される。
編組起し機構60は、露出編組14aをケーブル中心部である撚り合せ部12から外周側に向うように起すように構成されている。なお、2つの絶縁電線13が撚り合わされた撚り合せ部12は、露出編組14aが形成された部分で撚りが解かれる形態となりうることがある。シース16の端部から露出する2つの絶縁電線13について、撚り合わされた状態に保たれているか否かを問わず、ケーブル中心部としての撚り合せ部12であるとして説明する。剪断機構80は、起された露出編組14aの先端部を環状外刃84bと環状内刃86bとの間で剪断して切揃えるように構成されている。反転機構100は、切揃えられた露出編組14aをシース16の外周(ここでは、シース16に外嵌めされた金属スリーブ18の外周)側に反転させるように構成されている。起された露出編組14aの先端部を剪断機構80によって切揃えるため、当該露出編組14aの端部をなるべく精度よく切揃えることができる。
なお、上記ケーブル端部搬送機構52、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100等の各部は、CPU、ROMおよびRAM等を備え、予め格納されたソフトウェアプログラム及び所定の設定値に従って演算処理を実行するマイクロコンピュータによって構成される制御ユニット51によって動作制御される。
以下、編組起し機構60、剪断機構80及び反転機構100の各構成について説明する。
<編組起し機構について>
編組起し機構60について説明する。図4は編組起し機構60を示す概略斜視図であり、図5〜図12は編組起し機構60の動作を示す説明図である。図5〜図7、図9〜図12は平面視における各部の位置関係を示しており、図8は加工対象となる編組付ケーブル10の軸方向における各部の位置関係を示している。
編組起し機構60は、露出編組14aを撚り合せ部12から外周側に向うように起すものであり、押し起し機構62と、挟込み起し機構70とを備える。
上記ケーブル端部搬送機構52によって搬送された編組付ケーブル10の端部が編組起し機構60に向けて搬送されると、押し起し機構62は、露出編組14aを外周側から撚り合せ部12に向けて押して起すように構成されている。押し起し機構62によって、露出編組14aは、シース16の端部開口から絶縁電線13の端部に向けて徐々に広がるように起される。
続けて、挟込み起し機構70は、撚り合せ部12の外周側で、ある程度起された露出編組14aを、編組付ケーブル10の軸方向両側から挟込むことで、露出編組14aを編組付ケーブル10の軸方向に対して直角に近い角度となるように起す。これにより、露出編組14aが、シース16の端部開口から編組付ケーブル10の軸方向に対してなるべく直交する方向に環状に起されるようになる。
なお、ここでの説明においては、ケーブル端部把持部54、編組付ケーブル10の各位置は、編組起し機構60に向けて編組付ケーブル10を送るケーブル端部把持部54の位置及び当該ケーブル端部把持部54によって保持された編組付ケーブル10の位置を基準として説明する。
より具体的には、押し起し機構62は、転動体64と、転動体接離移動機構66と、転動体旋回機構68とを備える。
転動体64は、樹脂等によってローラ形状に形成されている。ここでは、転動体64は、ケーブル端部搬送機構52によって送られた編組付ケーブル10の端部の露出編組14aの周囲を囲むように複数(ここでは3つ)設けられている。3つの転動体64は、編組付ケーブル10の中心軸周りに均等間隔で設けられている。各転動体64は、次述する転動体接離移動機構66の転動体支持部66bによって編組付ケーブル10の軸方向に沿った軸周りに回転自在に支持されている。転動体64は、回転自在に支持された球体であってもよい。
転動体接離移動機構66は、転動体64を撚り合せ部12に向けて接近離隔移動可能に構成されている。
より具体的には、転動体接離移動機構66は、駆動本体部66aと、転動体支持部66bとを備える。
転動体支持部66bは、各転動体64に対応して複数(ここでは3つ)設けられている。ここでは、転動体支持部66bは、板状に形成されており、その一側部が駆動本体部66aに対して編組付ケーブル10の中心軸を中心として均等間隔で支持されている。各支持箇所において、転動体支持部66bは、編組付ケーブル10の中心軸を中心とする円の径方向に沿って延在して当該方向にし、かつ、その径方向に沿って移動可能に支持されている。
転動体支持部66bの他側部のうち編組付ケーブル10の中心軸寄りの位置に、当該中心軸に向う支持片66cが形成されており、当該支持片66cに転動体64が回転可能に支持されている。
駆動本体部66aは、上記各転動体支持部66bを、編組付ケーブル10の中心軸を中心とする円の径方向に沿って、当該中心軸に向う方向及び遠ざかる方向に移動駆動可能に構成されている。かかる駆動本体部66aとしては、各転動体支持部66bに対応してエアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータを設け、当該各リニアアクチュエータによって別々に転動体支持部66bを往復駆動する構成、或は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ、回転電機モータ等のアクチュエータの駆動力を、ギヤ、リンク機構等の伝達機構を介して各転動体支持部66bに伝達して、各転動体支持部66bを同期して往復駆動する構成等を採用することができる。
転動体旋回機構68は、回転電機モータ等を備えており、装置本体に対して一定位置に固定されている。転動体旋回機構68は、駆動本体部66aの背部を支持しており、転動体旋回機構68の回転駆動によって、転動体接離移動機構66が編組付ケーブル10の中心軸周りに回転する。これにより、転動体接離移動機構66によって支持された各転動体64も、編組付ケーブル10の中心軸、即ち、撚り合せ部12の周りに旋回する。
上記押し起し機構62により、各転動体64が露出編組14aを押しつつ露出編組14a周りに回転することができる。この際、ケーブル端部搬送機構52のケーブル端部進退駆動部56は、ケーブル端部把持部54を、編組付ケーブル10の先端側に向けて移動させる。これにより、転動体64が露出編組14aの先端部から基端部に向けて相対移動する。つまり、ケーブル端部進退駆動部56は、各転動体64が露出編組14aを押しつつ露出編組14a周りに回転する際に、転動体64を露出編組14aの先端部から基端部に向けて相対移動させる移動機構として動作する。もちろん、上記転動体64を、押し起し機構62等と共に編組付ケーブル10の軸方向に沿って露出編組14aの基端部側に移動させる別の移動機構を採用してもよい。
挟込み起し機構70は、起し用環状部材72と、起し用環状受部材74pとを備える。
起し用環状部材72は、撚り合せ部12と露出編組14aとの間に入り込んで露出編組14aを起す部材である。ここでは、金属パイプ等によって構成された部材であり、編組付ケーブル10の先端部に対向する位置に支持されている。ここでは、起し用環状部材72は、駆動本体部66aのうち編組付ケーブル10の先端部に対向する部分に支持されている。起し用環状部材72の先端部は、編組付ケーブル10の先端部に向けて開口している。起し用環状部材72の中心軸は、編組付ケーブル10の中心軸と一致している。起し用環状部材72の内径寸法は、撚り合せ部12を囲む外接円の外径寸法と同じかこれよりも大きく設定され、その内部に撚り合せ部12を挿入配置できるようになっている。また、起し用環状部材72の内径寸法は、上記押し起し機構62によって起される露出編組14aの外径寸法よりも小さく設定されている。これにより、撚り合せ部12を起し用環状部材72内に挿入配置するように、編組付ケーブル10と起し用環状部材72とを相対的に接近移動させると、露出編組14aが起し用環状部材72の開口周囲の端面に当接して、より大きく起されるようになる。
また、起し用環状部材72とケーブル端部把持部54との間に、センタリング機構74が設けられている。センタリング機構74は、一対のセンタリング支持部74aと、開閉駆動部74bと、進退駆動部74cとを備える。
一対のセンタリング支持部74aは、長尺形状に形成されており、開閉駆動部74bによって垂下状態で開閉可能に支持されている。一対のセンタリング支持部74aの先端部の対向部分には、開閉方向外側に向けて凹む凹部74gが形成されている。ここでは、凹部74gはV字状に凹む溝形状に形成されている。一対のセンタリング支持部74aが閉じた状態では、一対の凹部74gが編組付ケーブル10のシース16部分を囲む環状部分74pを構成する。この環状部分74pは、シース16の部分を囲むが当該シース16を挟持しない程度(シース16の中心軸をある程度位置決めするがその軸方向の移動を妨げない程度)の大きさに設定されている。このため、一対のセンタリング支持部74aを閉じた状態で、環状部分74pによって編組付ケーブル10のシース16をある程度一定の範囲に支持しつつ、当該環状部分74pが編組付ケーブル10のシース16に沿って移動していくことができる。
開閉駆動部74bは、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用したチャック等によって構成されており、一対のセンタリング支持部74aを開閉駆動する。
進退駆動部74cは、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータ等によって構成されており、開閉駆動部74b及び一対のセンタリング支持部74aを、編組付ケーブル10の中心軸方向に沿って往復移動させる。
そして、露出編組14aを起し用環状部材72の開口周囲の端面に当接させた状態で、環状部分74pを起し用環状部材72の開口周囲の端面に向けて移動させると、撚り合せ部12の外周側で起し用環状部材72と環状部分74pとの間で露出編組14aが挟まれる。つまり、環状部分74pは、起し用環状受部材74pとしての機能を有している。
本編組起し機構60の動作について説明する。
まず、初期状態においては、図5に示すように、各転動体64は、編組付ケーブル10の中心軸から離れた位置に存在している。この状態で、編組付ケーブル10のいずれか一方の端部が編組起し機構60に送られる。すなわち、ケーブル端部進退駆動部56の駆動により、ケーブル端部把持部54によって把持された編組付ケーブル10の端部が複数の転動体64の中心箇所に向けて送られる。編組付ケーブル10の端部が送込まれた直後の状態では、編組付ケーブル10の軸方向において、転動体64が露出編組14aの先端部に当接可能な位置に配設される。
この後、図6に示すように、開閉駆動部74bの駆動により一対のセンタリング支持部74aが閉じられ、シース16が環状部分74pによって囲まれた状態となる。
この後、図7及び図8に示すように、駆動本体部66aの駆動により各転動体64が露出編組14aに向けて移動し、各転動体64が露出編組14aの先端部の外周を押す。すると、露出編組14aの周りに複数の転動体64が均等間隔で配置された状態となる。
この後、図7〜図9に示すように、次の3つの動作を同時に実行する。1つ目は、駆動本体部66aの駆動により各転動体64を露出編組14aに向けて接近移動させて露出編組14aの外周を押した後、当該露出編組14aから遠ざかる動作を繰返す動作である。これにより、露出編組14aが各転動体64によって複数回押されることになる。2つ目は、転動体旋回機構68の駆動により各転動体64を編組付ケーブル10の中心軸周りに回転させる動作である。このため、転動体64は、露出編組14aの外周周りを回転しつつ当該露出編組14aを押すことになる。転動体64が露出編組14aに接触している間にも転動体64は露出編組14a周りを旋回することになるが、転動体64は編組付ケーブル10の軸方向に沿った軸周りに回転自在に支持されているため、露出編組14aの外周部に接触しつつ従動回転することができる。このため、露出編組14aに、転動体64の旋回による捩れ力等が伝わり難い。3つ目は、転動体64を露出編組14aの先端部から基端部に向けて相対移動させる動作である。ここでは、ケーブル端部進退駆動部56の駆動によって、編組付ケーブル10を把持したケーブル端部把持部54を、編組付ケーブル10の先端側に移動させることで、転動体64を露出編組14aの先端部から基端部に向けて相対移動させる。これにより、各転動体64は、露出編組14aの外周でその先端部から基端部に向う螺旋を描きつつ、露出編組14aの外周を間欠的に押す。
これにより、露出編組14aが先端部から基端部に向けて転動体64によって順次押される。露出編組14aが押された部分では、内側に凹むように変形するところ、露出編組14aの基端部はシース16によって固定されているため、露出編組14aの先端部が撚り合せ部12から離れるように開くことになる。転動体64によって、露出編組14aがその先端部から基端部に向けて螺旋状に順次押されていくため、結果、露出編組14aは、図10に示すように、先端側に向けて順次拡開するように、例えば、ラッパ状に開きく。もって、露出編組14aが撚り合せ部12からある程度起される。
この後、駆動本体部66aの駆動により各転動体64を露出編組14aから離れる方向に移動させる。そして、ケーブル端部進退駆動部56の駆動によって、編組付ケーブル10を把持したケーブル端部把持部54を、起し用環状部材72に向けて移動させる。すると、図11に示すように、撚り合せ部12が起し用環状部材72内に挿入配置されると共に、露出編組14aが起し用環状部材72の開口周囲の端面に当接して、より大きく起されるようになる。
なお、起し用環状部材72を一定位置に支持された編組付ケーブル10に向けて移動させるようにしてもよい。
次に、図12に示すように、進退駆動部74cの駆動によって、一対のセンタリング支持部74aを起し用環状部材72に向けて移動させる。すると、起し用環状部材72と環状部分74pとの間で露出編組14aが挟まれ、露出編組14aが編組付ケーブル10の軸方向に対してより直交する姿勢となるように、起される。
なお、起し用環状部材72及び編組付ケーブル10を移動させて、起し用環状部材72と環状部分74pとの間に露出編組14aを挟込むようにしてもよい。
このように、露出編組14aが起された編組付ケーブル10の端部は、ケーブル端部搬送機構52によって剪断機構80に向けて送られる。
<剪断機構について>
剪断機構80について説明する。図13は剪断機構80を示す概略斜視図であり、図14〜図18は剪断機構80の動作を示す説明図である。図14〜図18は平面視における各部の位置関係を示している。
剪断機構80は、外刃体82と、内刃体86と、刃駆動部88とを備える。
上記ケーブル端部搬送機構52によって搬送された編組付ケーブル10の端部の露出編組14aが編組起し機構60によって環状に起されると、ケーブル端部搬送機構52は、編組付ケーブル10の端部を剪断機構80に向けて送る。
なお、ここでの説明においては、ケーブル端部把持部54、編組付ケーブル10の各位置は、剪断機構80に向けて編組付ケーブル10を送るケーブル端部把持部54の位置及び当該ケーブル端部把持部54によって保持された編組付ケーブル10の位置を基準として説明する。
外刃体82には、撚り合せ部12に外接する円の外径寸法よりも大きい内径寸法の環状外刃84bが形成されている。また、環状外刃84bの内径寸法は、編組付ケーブル10の外周側に環状に起された露出編組14aの外径寸法よりも小さい。ここで、環状に起された露出編組14aの外径寸法は、例えば、撚り合せ部12に外接する円の半径(通常は、シース16の内径寸法)に、シース16を剥離することにより形成された露出編組14aの長さ寸法(露出長さ寸法)を加算した値となる。
より具体的には、外刃体82は、金属等で形成された方形板状に形成されており、その両面側に貫通するように貫通孔84が形成されている。貫通孔84のうち一方側開口縁部、即ち、編組付ケーブル10の挿入方向前側の開口縁部が環状外刃84bとされている。
外刃体82が方形板状に形成されていることは必須ではなく、環状形状に形成されていてもよい。もっとも、外刃体82が方形板状に形成されていることで、後述する覆い部90と共に剪断箇所を囲うことができる。
内刃体86は、撚り合せ部12を挿入可能な挿入空間を有すると共に外周部に環状外刃84bとの間で露出編組14aの先端部を剪断可能な環状内刃86bが形成された構成とされている。
より具体的には、内刃体86は、金属等で形成された筒状部材に形成されており、その一端部側開口端面は、その中心軸に対して垂直な面に形成されている。内刃体86の内径寸法は、撚り合せ部12に外接する円の外径寸法よりも大きい内径寸法に形成されており、内刃体86の内部空間が撚り合せ部12を挿入可能な挿入空間とされている。
また、内刃体86の外径寸法は、環状外刃84bの内径寸法と同じか、環状外刃84bの内径寸法よりも、環状外刃84bとの間で露出編組14aを剪断可能な程度の隙間分小さく設定されている。内刃体86の一方側開口の端面の外周縁部が環状外刃84bとされている。
刃駆動部88は、内刃体86を、環状外刃84bに向けて相対移動させるものであり、ここでは、内刃体86を環状外刃84bに向けて移動させる。
より具体的には、刃駆動部88は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、外刃体82に対して、ケーブル端部把持部54とは反対側に設けられている。
内刃体86の基端部は、刃駆動部88によって往復進退駆動可能に支持されている。より具体的には、内刃体86は、その中心軸を環状外刃84bの中心軸と一致させた状態で、外刃体82に対してケーブル端部把持部54とは反対側で進退駆動可能に支持されている。
そして、編組付ケーブル10の端部を貫通孔84内に挿入し、環状に起された露出編組14aを、その基端側の主面が撚り合せ部12周りで環状外刃84bに接触するように配設する。この状態で、刃駆動部88の駆動により内刃体86を環状外刃84bに向けて移動させる。すると、環状外刃84bと環状内刃86bとの間で、環状に起された露出編組14aの先端部が剪断される。つまり、環状に起された露出編組14aのうち環状外刃84bよりも外周側に位置する部分が剪断される。
なお、ここでは、刃駆動部88によって、内刃体86を移動させているが、外刃体82及び編組付ケーブル10の端部を内刃体86に向けて移動させる移動機構を採用してもよい。
また、本実施形態では、剪断機構80に、環状外刃84bと環状内刃86bとの間で、露出編組14aの剪断箇所の周囲のうち少なくとも両側を覆う覆い部90が設けられている。ここでは、覆い部90は、一対の側壁部92と、対向壁部94とを備える。一対の側壁部92は、金属等で形成された方形板状部材であり、外刃体82の両側部から内刃体86が存在する側に向けて延在している。対向壁部94は、金属等によって形成され、外刃体82と同様の広がりを有する方形板状部材に形成されており、一対の側壁部92のうち外刃体82とは反対側の側部間を塞いでいる。なお、対向壁部94には、内刃体86が貫通する貫通孔94hが形成されており、内刃体86は貫通孔94h内を通って進退移動する。
これにより、露出編組14aの剪断箇所の周囲4方が、外刃体82、及び、一対の側壁部92と対向壁部94とを含む覆い部90によって覆われている。このため、露出編組14aを剪断することにより生じた剪断屑が周囲に散らばり難いようになっている。剪断箇所の周囲4方が覆い部90によって覆われていることは必須ではないが、隣の加工箇所に剪断屑が散らばり難いようにするためには、剪断箇所の周囲のうち少なくとも両側を覆うことが好ましい。もっとも、覆い部90が設けられていることは必須ではない。
また、本実施形態では、覆い部90内でエアの流れを生じさせるエア流れ生成部96が設けられている。エア流れ生成部96は、エア供給部97とエア排気部98とを備える。
エア供給部97は、エアコンプレッサ等によって構成されており、覆い部90の上側に設けられている。そして、覆い部90で覆われた空間内に、上方からエアを供給し、当該空間内で上方から下方に向うエアの流れを生成する。
エア排気部98は、エアコンプレッサ等によって構成されており、覆い部90の下側に設けられている。そして、覆い部90で覆われた空間の下方に負圧を生じさせ、当該空間内で上方から下方に向うエアの流れを生成する。
これにより、剪断箇所で生じた剪断屑が、覆い部90で覆われた空間内に生じるエアによって下方に案内され、外部に排出される。
上記エア流れ生成部96が設けられることは必須ではない。エア流れ生成部96が設けられるとしても、上記エア供給部97及びエア排気部98の両方が設けられることは必須ではなく、それらの一方のみが設けられていてもよい。
なお、外刃体82とケーブル端部把持部54との間には、上記センタリング機構74と同様のセンタリング機構が設けられている。図13においては、一対のセンタリング支持部74aが図示されている。
本剪断機構80における動作について説明する。
まず、初期状態においては、図14に示すように、内刃体86は、外刃体82に対してケーブル端部進退駆動部56とは反対側で当該外刃体82から離れた位置に存在している。ケーブル端部把持部54は、露出編組14aが環状に起された編組付ケーブル10の端部を把持している。
この状態で、図15に示すように、編組付ケーブル10のいずれか一方の端部が剪断機構80に向けて送られる。すなわち、ケーブル端部把持部54によって把持された編組付ケーブル10の端部がケーブル端部進退駆動部56の駆動によって外刃体82の環状外刃84b内に向けて送られる。環状に起された露出編組14aの外径寸法は、環状外刃84bの内径寸法よりも大きいため、環状に起された露出編組14aの外周部は、外刃体82の貫通孔84の内周部に接触しつつ当該貫通孔84を通る。このため、環状に起された露出編組14aは、シース16側に反るように曲ることもあり得る。編組付ケーブル10は、一旦、環状に起された露出編組14aが環状外刃84bを越えるまで送られる。
次に、図16に示すように、ケーブル端部進退駆動部56の駆動によって、ケーブル端部把持部54によって把持された編組付ケーブル10の端部が戻される。この際、環状に起された露出編組14aの基端部が、外刃体82のうち環状外刃84bが形成された側の面の延長上に位置する程度まで、編組付ケーブル10が戻される。これにより、環状に起された露出編組14aの外周側端部が、環状外刃84bの外周側において、外刃体82のうち環状外刃84bが形成された側の面に接触する。このため、環状に起された露出編組14aが、シース16側に反るように曲っていたとしても、ある程度編組付ケーブル10の軸方向に対して直交する方向に延在するように戻される。
そして、図17に示すように、刃駆動部88の駆動によって、内刃体86を進出移動させる。すると、環状に起された露出編組14aの先端部が環状外刃84bと環状内刃86bとの間で剪断される。剪断屑14dは、覆い部90内において生成されているエアの流れによって、下方に送られ、外部に排出される。
この後、図18に示すように、ケーブル端部進退駆動部56の駆動によって、ケーブル端部把持部54によって把持された編組付ケーブル10の端部が貫通孔84から脱出するように戻される。また、刃駆動部88の駆動によって、内刃体86を環状外刃84bから退避移動させる。これにより、編組付ケーブル10の端部において、露出編組14aの先端部が切揃えられたものが製造される。
この編組付ケーブル10は、ケーブル端部搬送機構52によって反転機構100に向けて送られる。
<反転機構について>
反転機構100について説明する。図19は反転機構100を示す概略斜視図であり、図20〜図22は反転機構100の動作を示す説明図である。図20〜図22は平面視における各部の位置関係を示している。
反転機構100は、起された露出編組14aを、シース16とは反対側(つまり、編組付ケーブル10の端部側から)シース16の外周側に向けて反転させる機構である。
編組付ケーブル10の端部において環状に起された露出編組14aの先端部が、剪断機構80によって切揃えられると、ケーブル端部搬送機構52は、編組付ケーブル10の端部を反転機構100に向けて送る。
なお、ここでの説明においては、ケーブル端部把持部54、編組付ケーブル10の各位置は、反転機構100に向けて編組付ケーブル10を送るケーブル端部把持部54の位置及び当該ケーブル端部把持部54によって保持された編組付ケーブル10の位置を基準として説明する。
反転機構100は、反転用穴102hが形成された反転用部材102を備える。そして、編組付ケーブル10の端部に露出する撚り合せ部12及びシース16の端部(ここでは、金属スリーブ18が被せられた部分)を反転用穴102h内に挿入するによって、起された露出編組14aを反転用部材102のうち反転用穴102hの開口の周縁部で押して、シース16の端部(ここでは金属スリーブ18)の外周側に反転させることができるように構成されている。
より具体的には、反転機構100は、反転用部材102と、反転用部材駆動部104とを備える。
反転用部材102は、シース16の端部(ここでは金属スリーブ18)を挿入可能な反転用穴102hを有する部材に形成されている。ここでは、反転用部材102は、金属等で形成された筒状部材に形成されており、その一端部側開口端面は、その中心軸に対して垂直な面に形成されている。反転用部材102の内径寸法は、編組付ケーブル10のうち露出編組14aの反転先となる箇所の外径寸法に露出編組14aの厚み寸法の2倍を加算した程度の大きさに設定されている。編組付ケーブル10のうち露出編組14aの反転先となる箇所は、上記金属スリーブ18が装着されている場合には当該金属スリーブ18であり、金属スリーブ18が無い場合にはシース16の端部である。
ここでは、反転用穴102hは、筒状部材に形成されているが、板状部材又はブロック状部材に上記反転用穴102hが形成された構成であってもよい。
反転用部材駆動部104は、反転用部材102を、編組付ケーブル10に向けて相対移動させるものであり、ここでは、反転用部材102を編組付ケーブル10に向けて移動させる。
より具体的には、反転用部材駆動部104は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、ケーブル端部把持部54によって支持された編組付ケーブル10の端部から離れた位置に設けられている。
反転用部材102は、反転用部材駆動部104によって往復駆動される可動部102aによって支持されている。より具体的には、反転用部材102は、その中心軸をケーブル端部把持部54によって支持された編組付ケーブル10の中心軸と一致させた状態で、編組付ケーブル10の端部に対向する姿勢で進退駆動可能に支持されている。
そして、ケーブル端部把持部54によって編組付ケーブル10を支持した状態で、反転用部材駆動部104によって反転用部材102を編組付ケーブル10の端部に向けて進出移動させる。すると、編組付ケーブル10の端部の撚り合せ部12及びシース16の端部(ここでは金属スリーブ18を含む)が反転用穴102h内に挿入される。同時に、環状に起された露出編組14aが、反転用部材102の開口端面に押され、シース16の端部(ここでは金属スリーブ18)の外周に被さるように反転される。
なお、ここでは、反転用部材駆動部104によって、反転用部材102を移動させているが、編組付ケーブル10の端部を反転用部材102に向けて移動させる移動機構を採用してもよい。この移動機構としては、ケーブル端部進退駆動部56を用いてもよい。
反転機構100の動作をより具体的に説明する。
まず、初期状態においては、図20に示すように、反転用部材102は、ケーブル端部把持部54によって把持された編組付ケーブル10の端部から離れた位置に存在している。
この状態で、図21に示すように、反転用部材駆動部104の駆動によって反転用部材102を編組付ケーブル10の端部に向けて移動させる。そして、編組付ケーブル10の端部の撚り合せ部12及びシース16の端部(ここでは金属スリーブ18を含む)を反転用穴102h内に挿入する。撚り合せ部12から外周側に向うように起されると共に端部が剪断された露出編組14aが、反転用部材102の端面であって上記反転用穴102hの開口の周縁部によって、シース16の端部(ここでは金属スリーブ18)の外周側に向けて押込まれる。これにより、露出編組14aがシース16の端部(ここでは金属スリーブ18)の外周側に被さるように反転する。
この後、図22に示すように、反転用部材駆動部104の駆動によって、ケーブル端部把持部54によって把持された編組付ケーブル10の端部が反転用穴102hから脱出するように戻される。
これにより、編組付ケーブル10の端部において、露出編組14aがシース16の端部(ここでは金属スリーブ18)に被さるように反転されたものが製造される。
この編組付ケーブル10は、ケーブル端部搬送機構52によって下流側の工程に搬送されるか、一旦外部に排出され、手作業等による下流工程に供される。
ここでは、露出編組14aをシース16の端部(ここでは金属スリーブ18)の外周に反転させているが、これは必ずしも必須ではない。ケーブル中心部に内部絶縁層が設けられている場合には、端部が切揃えられた露出編組14aを、シース16とは反対側の内部絶縁層側に戻して、露出編組14aが当該内部絶縁層を覆う状態としてもよい。
<効果等>
以上のように構成された編組加工装置及び編組付ケーブル加工方法によると、露出編組14aを撚り合せ部12から外周側に向うように起し、その露出編組14aの一方主面が撚り合せ部12周りで環状外刃84bに接触する状態で、内刃体86を環状外刃84bに向けて相対移動させると、露出編組14aの先端部が環状内刃86bと環状外刃84bとの間で剪断される。このため、編組付ケーブル10において露出編組14aの端部を、環状内刃86b及び環状外刃84bに沿ってなるべく精度よく切揃えることができる。また、内刃体86と外刃体82とによって露出編組14aの先端部を剪断する構成であるため、比較的簡易かつ安価な構成することができる。
また、編組起し機構60は、露出編組14aを外周側から撚り合せ部12に向けて押して起す押し起し機構62を含むため、露出編組14aが撚り合せ部12の外周に沿っておりそれらの間の隙間が小さい場合でも、露出編組14aを起し易い。
しかも、押し起し機構62は、転動体64を撚り合せ部12に向けて接近させて露出編組14aを押しながら、当該撚り合せ部12周りに旋回させるため、露出編組14aを効果的に起すことができる。特に、転動体64を撚り合せ部12周りに旋回させることによって、露出編組14aをその周方向全体でまんべんなく起すことができる。
この際、転動体64を繰返し接近離隔させることで、露出編組14aを叩くように押すことができ、露出編組14aを効果的に起すことができる。
なお、露出編組を押す部材を露出編組周りに旋回させると、露出編組に捩れの力等が作用してしまい、露出編組が乱れてしまう。これを回避するためには、露出編組を押す部材を露出編組に当てる際、旋回を停止させることが考えられる。しかしながら、この場合、旋回時間が長時間化し、露出編組を起す作業時間が長時間化してしまう。
そこで、ここでは、転動体64で露出編組14aを押している。これにより、転動体64が露出編組14aを押す際、当該転動体64は、露出編組14aに当って従動回転することができる。このため、転動体64の旋回を止めずに連続的に旋回させつつ、転動体64で露出編組14aを押す作業を継続できる。このため、露出編組14aを短時間で起すことができる。
また、上記転動体64は、露出編組14aの先端部から基端部に向けて相対移動しつつ露出編組14aを押すため、露出編組14aが先端部から基端部に至る広い領域で起され、より確実に大きく起される。
また、起し用環状部材72で露出編組14aを撚り合せ部12から起し、起し用環状部材72と起し用環状受部材74pとの間で露出編組14aを挟んでいる。このため、露出編組14aをより確実に起すことができる。
また、環状外刃84bと環状内刃86bとの剪断箇所の周囲のうち少なくとも両側が覆い部90によって覆われるため、剪断屑14dが周囲に散らばり難い。
しかも、環状内刃86bが形成された外刃体82が、上記覆い部90と共に剪断箇所の周囲を覆うため、なるべく簡易な構成で剪断箇所を囲むことができる。
また、覆い部90で囲まれた箇所に、エア流れ生成部96によってエアの流れが生成されているため、剪断屑14dを当該エアでエアの流れに沿った箇所に排出することができ、剪断屑14dが周囲に散らばり難いようにすることができる。
また、反転機構100によって、切揃えられた露出編組14aを、シース16の端部(ここでは金属スリーブ18)の外周側に被さるように反転させることができる。
また、本装置によって、露出編組14aの端部の切揃え及び反転工程を自動で行うことができる。
{変形例}
なお、上記実施形態では、内刃体86とは別に、反転機構100を設ける例を説明したが、図23及び図24に示すように、内刃体86に対応する内刃体186が露出編組14aを反転させるようにしてもよい。
上記内刃体186の外径寸法は、内刃体86の外径寸法と同様に設定されている。この内刃体86の一端側の外周縁部に環状内刃86bが形成されている。
内刃体186には反転用穴186hが形成されている。この反転用穴186hの内径寸法は、反転用部材102の反転用穴102hの内径寸法と同様に設定されている。好ましくは、反転用穴186hの開口部には、開口外側に向けて徐々に拡がるテーパ状周面186haが形成されている。このテーパ状周面186haにより、シース16、金属スリーブ18及び露出編組14aを容易に反転用穴186h内に誘い込むことができる。本テーパ状周面186haは、反転用部材102の反転用穴102hに形成されていてもよい。
そして、図23に示すように、内刃体186が環状外刃84bに向けて進出移動して、環状外刃84bと環状内刃86bとの間で露出編組14aの先端部を剪断した後、内刃体186がさらに進出移動する。すると、内刃体186の先端部が、起されると共に切揃えられた露出編組14aをシース16の端部(金属スリーブ18)の外周側に向けて押す。これにより、露出編組14aが、シース16の端部(金属スリーブ18)の外周側に被さるように反転される。
これにより、切揃えられた露出編組14aを、内刃体186によってシース16の端部(金属スリーブ18)の外周側に被さるように反転させることができ、装置構成の簡素化等を実現することができる。
また、上記実施形態では、編組起し機構60は、押し起し機構62と挟込み起し機構70とを備えていたが、その一方のみ備える構成であってもよい。また、押し起し機構62において、転動体64を旋回させることは必須ではないし、転動体64を繰返し接近離隔移動して露出編組14aを叩くようにすることは必須ではない。これらの一方によっても、露出編組14aをある程度起すことができる。
また、上記実施形態においては、編組付ケーブル10の端部の露出編組14aの先端部を切揃える例で説明したが、編組付ケーブル10の延在方向中間部において編組が露出しており、その露出部分の一端部が他の編組から切断されている場合にも、上記と同様に当該露出編組を起して先端部を切揃えることができる。この場合、上記環状外刃及び環状内刃等を貫通する孔の周縁部に形成すればよい。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。