JP6756315B2 - イオン源 - Google Patents
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Description
このことから、上述したフィラメント配置であると、例えば電子が長手方向に沿って下方から上方にドリフトする場合、最もドリフト方向側、すなわち最も上方に位置するフィラメントから放出された電子は、その位置からさらに上方にドリフトするので、その電子が引出領域よりもさらに上方にドリフトしていると、その電子により生成されたプラズマは、引出領域から引き出されるイオンビームにあまり寄与していないことになる。また、電子が長手方向に沿って上方から下方にドリフトする場合は、最もドリフト方向側である最も下方に位置するフィラメントから放出された電子により生成されたプラズマが、イオン引出領域から引き出されるイオンビームにあまり寄与しないことになる。
これにより、第1フィラメントから放出される電子のExBドリフトによる行き詰まりが緩和されるので、プラズマ生成容器内におけるドリフト方向側のプラズマ密度が濃くなることを抑えることができ、ドリフト方向側に位置するフィラメントの長寿命化を図れる。
そのうえ、プラズマ生成容器の長手方向中央から長手方向の最も他方側に位置する第2フィラメントまでの距離よりも、当該長手方向中央から長手方向の最も一方側に位置する第2フィラメントまでの距離の方が短いので、上述した最もドリフト方向側の第1フィラメントと同様、最もドリフト方向と逆側に位置する第2フィラメントの長寿命化を図るととともに、その第2フィラメントが放出した電子により生成されたプラズマから効率良くイオンビームを引き出すことができる。
このような構成であれば、第1フィラメントを、第2の側壁中央に配置された磁石と第3の側壁中央に配置された磁石とを結ぶ仮想線よりもプラズマ生成容器の内側に挿入しているので、プラズマ生成容器のより中心に近い位置でプラズマを生成することができ、プラズマをプラズマ生成容器内の全体に亘って生成することができる。
本実施形態の磁石30は、側壁それぞれに取り付けられた概略矩形平板状の支持板31により支持された永久磁石であるが、電磁石を用いても構わない。
さらに本実施形態では、左側壁10b及び右側壁10cにおいて、複数の磁石30がイオン引出し方向に沿って極性が互いに異なるように略等間隔に配列されており、後側壁10dにおいて、複数の磁石30がイオン引出し方向と直交し且つプラズマ生成容器10の長手方向と直交する方向に沿って極性が互いに異なるように略等間隔に配列されている。なお、磁石30の配置態様は、例えば図2に示した磁石30それぞれの磁極を逆にしたり、各側壁10b、10c、10dに配列した磁石30の個数や間隔を変更したりするなど適宜変更可能である。
以下、各角部10Kに設けられたフィラメント40を区別する場合、左側壁10b及び後側壁10dの間に形成された角部10Kに設けられたフィラメント40を第1フィラメント40Aといい、右側壁10c及び後側壁10dの間に形成された角部10Kに設けられたフィラメント40を第2フィラメント40Bという。
さらに本実施形態では、第1フィラメント40Aの先端は、プラズマ生成容器10の横断面において、左側壁10bに配置された磁石30と後側壁10dに配置された磁石30とを結ぶ仮想線Z1よりもプラズマ生成容器10の内側に位置している。また、第2フィラメント40Bの先端も同様に、右側壁10cに配置された磁石30と後側壁10dに配置された磁石30とを結ぶ仮想線Z2よりもプラズマ生成容器10の内側に位置している。このように、各フィラメント40の先端をプラズマ生成容器10の中心付近に位置させることにより、プラズマ生成容器10のより中心に近い位置でプラズマを生成することができ、プラズマ生成容器10内の全体に亘ってプラズマを生成することが可能となる。
さらに言い換えると、最も下方に位置する第1フィラメント40Aは、第1フィラメント40Aから放出された電子の最もドリフト方向と逆側に位置する第1フィラメント40Aであり、最も上方に位置する第1フィラメント40Aは、第1フィラメント40Aから放出された電子の最もドリフト方向側に位置する第1フィラメント40Aである。
これにより、第1フィラメント40Aは、全体として下方に偏って配置されている。すなわち、本実施形態の第1フィラメント40Aは、中央仮想線Oの上方よりも下方において密に配置されている。
さらに言い換えると、最も上方に位置する第2フィラメント40Bは、第2フィラメント40Bから放出された電子の最もドリフト方向と逆側に位置する第2フィラメント40Bであり、最も下方に位置する第2フィラメント40Bは、第2フィラメント40Bから放出された電子の最もドリフト方向側に位置する第2フィラメント40Bである。
これにより、ドリフト方向側の第1フィラメント40A及び第2フィラメント40Bから放出される電子のドリフトによる行き詰まりが緩和されるので、プラズマ生成容器10内におけるドリフト方向側のプラズマ密度が濃くなることを抑えることができ、ドリフト方向側に位置する第1フィラメント40A及び第2フィラメント40Bの長寿命化を図れる。
第2フィラメント40Bに関しても同様であり、最もドリフト方向側に位置する第2フィラメント40Bを長手方向中央に近づけているので、この第2フィラメント40Bから放出された電子を引出領域Xよりも下方にドリフトする前にイオン源ガスと反応させてプラズマを生成できるようになり、このプラズマからイオンビームIBを効率良く引き出すことができる。
具体的には、例えばS極の磁石30及びN極の磁石30の配置を前記実施形態とは逆にするなどして、第1フィラメント40Aから放出された電子が長手方向に沿って上方から下方にドリフトし、第2フィラメント40Bから放出された電子が長手方向に沿って下方から上方にドリフトするように構成されていても良い。
10 ・・・プラズマ生成容器
20 ・・・引出し電極系
30 ・・・磁石
10K・・・角部
40A・・・第1フィラメント
40B・・・第2フィラメント
Claims (6)
- 長尺状のプラズマ生成容器と、
前記プラズマ生成容器の内部にカスプ磁場を形成する複数の磁石と、
前記プラズマ生成容器の長手方向に沿って列状に設けられるとともに、前記プラズマ生成容器の内部に挿入された複数の第1フィラメントとを具備し、
前記第1フィラメントから放出された電子が、前記長手方向の一方側から他方側に向かってExBドリフトするように構成されており、
前記プラズマ生成容器の前記長手方向中央から前記長手方向の最も一方側に位置する第1フィラメントまでの距離よりも、前記プラズマ生成容器の前記長手方向中央から前記長手方向の最も他方側に位置する第1フィラメントまでの距離の方が短いイオン源。 - 前記第1フィラメントと平行に設けられるとともに、前記プラズマ生成容器の内部に挿入された複数の第2フィラメントをさらに具備し、
前記第2フィラメントから放出された電子が、前記長手方向の他方側から一方側に向かってExBドリフトするように構成されており、
前記プラズマ生成容器の前記長手方向中央から前記長手方向の最も他方側に位置する第2フィラメントまでの距離よりも、前記プラズマ生成容器の前記長手方向中央から前記長手方向の最も一方側に位置する第2フィラメントまでの距離の方が短い請求項1記載のイオン源。 - 前記プラズマ生成容器の前記長手方向中央から前記長手方向の最も一方側に位置する第1フィラメントまでの距離よりも、前記プラズマ生成容器の前記長手方向中央から前記長手方向の最も一方側に位置する第2フィラメントまでの距離の方が短い請求項2記載のイオン源。
- 前記第1フィラメント及び前記第2フィラメントが、前記長手方向に沿って非等間隔に配置されている請求項2又は3記載のイオン源。
- 前記第1フィラメント及び前記第2フィラメントが、互いに点対照な配置である請求項2乃至4のうち何れか一項に記載のイオン源。
- 前記プラズマ生成容器が、略直方体形状をなし、前記長手方向に沿った第1の側壁にイオンの引出し口が形成されたものであり、
前記複数の磁石が、前記第1の側壁に垂直な前記長手方向に沿った第2の側壁及び前記第1の側壁に対向する第3の側壁それぞれの中央に前記長手方向に沿って配置されており、
前記第1のフィラメントが、前記第2の側壁及び前記第3の側壁により形成される角部から前記プラズマ生成容器の内部に挿入されており、その先端が、前記プラズマ生成容器の横断面において、前記第2の側壁中央に配置された磁石と前記第3の側壁中央に配置された磁石とを結ぶ仮想線よりも前記プラズマ生成容器の内側に位置している請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のイオン源。
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