JP6755038B2 - 有機/金属ハイブリッドポリマーと層状ケイ酸塩とからなる複合体、それを用いたエレクトロクロミックデバイス、および、それらの製造方法 - Google Patents

有機/金属ハイブリッドポリマーと層状ケイ酸塩とからなる複合体、それを用いたエレクトロクロミックデバイス、および、それらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機/金属ハイブリッドポリマーと層状ケイ酸塩とからなる複合体、それを用いたエレクトロクロミックデバイス、および、それらの製造方法に関する。
近年、ディスプレイ材料としてエレクトロクロミック材料が注目されている。このようなエレクトロクロミック材料として、種々の有機/金属ハイブリッドポリマーが開発され、それを用いたエレクトロクロミックデバイスが知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。特許文献1および2では、有機配位子がターピリジン基あるいはフェナントロリン基であり、これに金属イオンが配位した有機/金属ハイブリッドポリマーおよびそのエレクトロクロミックデバイスが開示されている。しかしながら、これらのエレクトロクロミックデバイスがより低い動作電圧で動作し、長時間のメモリ特性を有することが望まれている。
層状粘土鉱物の層間にポリアニリン、ポリアニリン誘導体、ポリピロール又はポリピロール誘導体の高分子化合物を有するエレクトロクロミック表示素子が開発されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、特許文献3においても、動作電圧やメモリ特性の改善には至っていない。
特開2007−112957号公報 特開2012−188517号公報 特開平10−239714号公報
以上から、本発明の課題は、低い動作電圧でもエレクトロクロミズムを発現し、メモリ特性に優れた、有機/金属ハイブリッドポリマーを用いた複合体、それを用いたエレクトロクロミックデバイス、および、それらの製造方法を提供することである。
本発明による少なくとも層間にポリマーをインターカレートした層状ケイ酸塩を含有する複合体は、前記ポリマーは、有機配位子と、前記有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーであり、前記層状ケイ酸塩は、3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩であり、これにより上記課題を解決する。
前記スメクタイト系層状ケイ酸塩は、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ソーコナイトおよびスインホルダイトからなる群から選択されてもよい。
前記スメクタイト系層状ケイ酸の長手方向の大きさが、20nm以上50nm以下の大きさを有してもよい。
前記層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量(CEC)に対する前記有機/金属ハイブリッドポリマーの有する正電荷量の割合は、12.5%以上100%以下の範囲であってもよい。
前記有機配位子は、ターピリジン基、フェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基およびこれらの誘導体からなる群から選択されてもよい。
前記金属イオンは、Pt、Cu、Ni、Pd、Ag、Mo、Fe、Co、Ru、Rh、Eu、ZnおよびMnからなる群から選択される金属イオンであってもよい。
前記有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(I)、(II)および(III)からなる群から選択される一般式で表される有機/金属ハイブリッドポリマーであってもよい。

前記式(I)において、Mは金属イオンを示し、Rは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数であり、
前記式(II)において、M〜M(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に酸化還元電位の異なる金属イオンを示し、R〜R(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、n〜nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数であり、
前記式(III)において、Mは金属イオンを示し、Aは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのフェナントロリン基を直接接続するスペーサを示し、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
前記複合体は、エレクトロクロミック材料であってもよい。
本発明による上述の複合体の製造方法は、3八面体型であるスメクタイト系層状ケイ酸塩が分散した水溶液に、有機配位子と、前記有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーを含有する溶液を添加するステップを包含し、これにより上記課題を解決する。
本発明によるエレクトロクロミックデバイスは、第1の電極と、前記第1の電極上に位置するエレクトロクロミック層と、前記エレクトロクロミック層上に位置する電解質層と、前記電解質層上に位置する第2の電極とを備え、前記エレクトロクロミック層は、上述の複合体を含有し、これにより上記課題を解決する。
本発明による上述のエレクトロクロミックデバイスを製造する方法は、第1の電極上に、請求項1に記載の複合体を含有するエレクトロクロミック層を形成するステップと、前記エレクトロクロミック層上に電解質層および第2の電極を形成するステップとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記エレクトロクロミック層を形成するステップは、上述の複合体を含有する溶液を前記第1の電極上に付与するステップであって、前記複合体は、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(ACN)、メタノールおよび2−プロパノールからなる群から選択される溶媒に含有されてもよい。
前記電解質層および第2の電極を形成するステップは、第2の電極上に電解質層を形成するステップと、前記エレクトロクロミック層が形成された第1の電極と、前記電解質層が形成された第2の電極とを、前記エレクトロクロミック層と前記電解質層とが対向すうるように貼り合せるステップとをさらに包含してもよい。
本発明による複合体は、有機配位子と、有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーが、少なくとも層間にインターカレートした3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩を含有する。これにより、有機/金属ハイブリッドポリマーは、低い動作電圧においてもエレクトロクロミズムを発現でき、メモリ特性が向上する。したがって、本発明の複合体はエレクトロクロミック材料として機能し、エレクトロクロミックデバイスに有利である。さらに、本発明の複合体は層状ケイ酸塩を含有するので、本発明の複合体をエレクトロクロミックデバイスのエレクトロクロミック層に採用した場合に、エレクトロクロミック層から電解質層への有機/金属ハイブリッドポリマーの滲み出しを抑制できる。この結果、長期間にわたって低い動作電圧で優れたエレクトロクロミック特性を発揮するエレクトロクロミックデバイスを提供できる。さらに、本発明による複合体は、単に、3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩を分散した水溶液に有機/金属ハイブリッドポリマーを含有する溶液を添加するだけで生じるので、特別な装置や熟練の技術を不要とし、有利である。
本発明によるエレクトロクロミックデバイスの製造方法は、エレクトロクロミック層として上述の複合体を付与するだけでよいので、特別な装置を不要とし、有利である。特に、複合体を所定の溶媒に含有させた溶液を付与することにより、良質なエレクトロクロミック層が形成される。
本発明の複合体を示す模式図 本発明の複合体の製造工程を示すフローチャート 本発明によるエレクトロクロミックデバイスを示す模式図 本発明のエレクトロクロミックデバイスの製造工程を示すフローチャート 実施例1の複合体および比較例2のFe−MEPEのサイクリックボルタモグラムを示す図 実施例1のエレクトロクロミックデバイスの発色の変化を示す図 実施例1のエレクトロクロミックデバイスの紫外・可視吸収スペクトルを示す図 実施例1のエレクトロクロミックデバイスの酸化還元を繰り返した際の波長580nmにおける透過率の変化を示す図 実施例1および比較例2のエレクトロクロミックデバイスの発色の変化を示す図 実施例1および比較例2のエレクトロクロミックデバイスのサイクリックボルタモグラムを示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の複合体およびその製造方法について詳述する。
図1は、本発明の複合体を示す模式図である。
本発明の複合体100は、少なくとも層間にポリマーをインターカレートした層状ケイ酸塩を含有する。ここで、ポリマーは、有機配位子と、有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマー110であり、層状ケイ酸塩は、3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩(以降では簡単のため、単に層状ケイ酸塩と称する)120である。有機/金属ハイブリッドポリマー110は、酸化還元反応によって含有される金属イオンの価数が変化し、それ単独でもエレクトロクロミズムを発現し得るが、本願発明者らは、このような特定の組み合わせにより、有機/金属ハイブリッドポリマー110の酸化還元電位が低減し、エレクトロクロミックデバイスの動作電圧を小さくでき、かつ、メモリ特性が改善することを見出した。
有機/金属ハイブリッドポリマー110における有機配位子とは、金属イオンを配位でき、重合によって高分子化可能である有機化合物であれば、特に制限はないが、好ましくは、ターピリジン基、フェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基およびこれらの誘導体からなる群から選択される。これらの有機配位子が金属イオンと配位し、錯形成することによって、有機配位子と金属イオンとが交互に連結した状態となり有機/金属ハイブリッドポリマー110を構成する。
ターピリジン基は、代表的には、2,2’:6’,2”−ターピリジンであるが、これに、種々の置換基を有した誘導体であってもよい。例示的な置換基は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基、置換アミド基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、C〜C10等の直鎖または分岐のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が例示でき、さらに置換基としてこれらの炭化水素基にメチル基、エチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基であるが、これに限らない。
ビピリジン基は、2,2’−ビピリジン、3,3’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、2,3’−ビピリジン、2,4’−ビピリジン、3,4’−ビピリジンであるが、これに種々の置換基を有した誘導体であってもよい。ここでも例示的な置換基は、上述したとおりである。
イミノ基は、C=Nを有し、これに種々の置換基を有した誘導体であり得る。例示的な誘導体は、上述したとおりである。
フェナントロリン基は、フェナントレンのうちの任意の2つの炭素原子を窒素原子で置換されたものであるが、これに種々の置換基を有した誘導体であってもよい。例示的な置換基は、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、チエニル基、ビチエニル基、ターチエニル基、フェニルアセチル基等であるが、これに限らない。
金属イオンは、酸化還元反応によって価数を変化させる任意の金属イオンであり得るが、好ましくは、Pt、Cu、Ni、Pd、Ag、Mo、Fe、Co、Ru、Rh、Eu、ZnおよびMnからなる群から選択される金属イオンである。これらの金属イオンは、上述の有機配位子と配位する。より好ましくは、有機配位子が、ターピリジン基またはその誘導体である場合には、6配位の金属イオンが選択され、有機配位子がフェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基またはこれらの誘導体である場合には、4配位の金属イオンが選択される。
有機/金属ハイブリッドポリマー110は、好ましくは、一般式(I)、(II)および(III)からなる群から選択される一般式で表される。
式(I)および式(II)で表される有機/金属ハイブリッドポリマーは、いずれも、有機配位子としてターピリジン基またはその誘導体とそれに配位された金属イオンとからなる。式(III)で表される有機/金属ハイブリッドポリマーは、有機配位子としてフェナントロリン基またはその誘導体とそれに配位された金属イオンとからなる。
式(I)において、Mは金属イオンを示し、Rは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
式(II)において、M〜M(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に酸化還元電位の異なる金属イオンを示し、R〜R(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、n〜nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数である。
ここで、式(I)および式(II)における金属イオンは、好ましくは、Fe、Co、Ni、ZnおよびRhからなる群から選択される金属イオンであり得る。これらの金属イオンは6配位であるので、有機配位子との錯形成を可能にする。
式(I)および式(II)におけるスペーサが炭素原子および水素原子を含むスペーサである場合、このようなスペーサは炭素原子および水素原子を含む二価の有機基であり得る。例示的には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基等が挙げられる。中でも、フェニレン基、ビフェニレン基などのアリーレン基が好ましい。また、これらの炭化水素基はメチル基、エチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。ま
た、このようなスペーサは、酸素原子や硫黄原子をさらに含んでいてもよい。酸素原子や硫黄原子は修飾能を有するので、有機/金属ハイブリッドポリマーの材料設計に有利である。
二価のアリーレン基の中でも以下に示すアリーレン基が好ましい。これらであれは、有機/金属ハイブリッドポリマーが安定化する。
スペーサを構成する脂肪族炭化水素基としては、例えば、C〜C等のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が例示でき、さらにスペーサを構成する二価の有機基としてこれらの基にメチル基、エチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基を有するものを用いてもよい。
式(I)のR〜Rおよび式(II)のR 〜R 、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基、置換アミド基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、C〜C10等の直鎖または分岐のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が例示でき、さらに置換基としてこれらの炭化水素基にメチル基、エチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基を有するものを用いてもよい。
式(I)において、nは重合度を示す2以上の整数であり、例えば2〜5000、好ましくは10〜1000である。式(II)において、n〜nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数であり、その合計n+n・・・+nは、例えば2〜5000、好ましくは10〜1000である。
式(III)において、Mは金属イオンを示し、Aは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのフェナントロリン基を直接接続するスペーサを示し、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
ここで、式(III)における金属イオンは、Pt、Cu、Ni、AgおよびPdからなる群から選択される金属イオンであり得る。これらの金属イオンは4配位であるので、有機配位子との錯形成を可能にする。
式(III)におけるスペーサが炭素原子および水素原子を含むスペーサである場合、スペーサは、以下に示すように、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、チエニル基、ビチエニル基、ターチエニル基が代表例として挙げられる。また、ビス(フェナントロリン)誘導体の溶解性を高めるために、アルキル基(炭素数1から16)やアルコキシ基(炭素数1から16)で修飾したスペーサを用いることも望ましい。さらに、ジオキソアルキル基(炭素数2から16)でフェニル基間が連結されたスペーサを用いることもできる。
式(III)におけるRおよびRは、以下に示すように、水素、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、チエニル基、ビチエニル基、ターチエニル基が挙げられる。式(III)におけるRおよびRは、水素、フェニル基、フェニルアセチル基が挙げられる。
式(III)において、nは重合度を示す2以上の整数であり、例えば2〜5000、好ましくは10〜1000である。
有機/金属ハイブリッドポリマー110は、それ自身正電荷を有しており、通常、カウンターアニオン(式(I)〜(III)において図示せず)によって電気的に安定化している。例えば、式(I)および式(II)におけるカウンターアニオンは、酢酸イオン、リン酸イオン、塩素イオン、六フッ化リンイオン、四フッ化ホウ素イオン、および、ポリオキソメタレートからなる群から選択され得る。例えば、式(III)におけるカウンターアニオンは、過塩素酸イオン、トリフラートイオン、四フッ化ホウ素イオン、塩化物イオンおよび六フッ化リン酸イオンからなる群から選択され得る。しかしながら、本発明の複合体100においては、有機/金属ハイブリッドポリマー110の有する正電荷と、後述する層状ケイ酸塩120の有する負電荷とによって電荷補償されている。ただし、有機/金属ハイブリッドポリマー110および層状ケイ酸塩120の量によってはカウンターアニオンが存在し、電荷補償する場合もある。
層状ケイ酸塩120は、八面体シートが2枚の四面体シートに挟まれた層(2:1型)を基本構造としている。ここで、八面体シートは、少なくともMg2+、Fe2+およびZn2+からなる群から選択される陽イオンを6つのOHまたはO2−が囲んだ八面体が、稜を共有した構造を有する。四面体シートは、Si4+またはAl3+を4つのO2−が囲んだ四面体が4つの頂点のうち3つを隣接する四面体と共有した構造を有する。八面体シートが上述の2価の陽イオンからなる群から選択されることから、3八面体型と称される。
層状ケイ酸塩120は、これらの八面体シートおよび四面体シートによって全体として負電荷を有しており、通常、層間に水和したカウンターカチオンが取り込まれることにより電気的に安定化している。しかしながら、本発明の複合体100においては、上述した有機/金属ハイブリッドポリマー110の有する正電荷と、層状ケイ酸塩120の有する負電荷とによって電荷補償されている。ここでもやはり、有機/金属ハイブリッドポリマー110および層状ケイ酸塩120の量によってはカウンターカチオンが存在し、電荷補償する場合もあることを理解されたい。なお、カウンターカチオンは、例えば、Na、Li、KおよびRbからなる群から選択される1価の金属イオンであり、Ca2+等の2価の金属イオンである。
層状ケイ酸塩120は、次式で表されてもよい。
[(MLi1−x(SiAl1−y10{(OH)1−zt−
ここで、Mは、Mg2+、Fe2+およびZn2+からなる群から選択される2価の金属イオンであり、xは、0<x≦1であり、yは、0≦y≦1であり、zは、0<z≦1であり、0<t≦1である。
層状ケイ酸塩120は、好ましくは、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ソーコナイト、および、スインホルダイトからなる群から選択される。これらの層状ケイ酸塩は、スメクタイト系であり、3八面体型を満たす。中でも、サポナイトは、入手が容易であるとともに、本発明の複合体100を製造しやすい。例えば、層状ケイ酸塩120がサポナイトである場合、Mは、Mgであり、xは1であり、yは0.91であり、zは1であり、tは0.33である。
層状ケイ酸塩120は、好ましくは、長手方向に10nm以上500nm以下の範囲の大きさを有する。長手方向の大きさとは、図1の水平方向の長さを意図する。長手方向の大きさが、500μmを超えると、本発明の複合体100内の電荷の移動距離が大きくなるため、エレクトロクロミズムを発現しにくくなり得る。長手方向の大きさが10nmよりも小さくなると、層状ケイ酸塩120のサイズ制御が難しくなるため、製造が困難になり得る。より好ましくは、層状ケイ酸塩120は、10nm以上100nm以下の範囲であり、さらに好ましくは、20nm以上50nm以下の範囲の大きさを有する。この範囲であれば、確実にエレクトロクロミズムを発現し得る。
本発明の複合体100において、層状ケイ酸塩120の陽イオン交換容量(CEC)に対する有機/金属ハイブリッドポリマー110の有する正電荷量の割合は、好ましくは、5%以上100%以下である。5%未満の場合、有機/金属ハイブリッドポリマー110が少ないため、エレクトロクロミズムが発現しない場合がある。100%を超えると、有機/金属ハイブリッドポリマー110が層状ケイ酸塩120の層間にインターカレートしなくなるので、低動作電圧および優れたメモリ特性の効果が得られず非効率となり得る。好ましくは、この割合は、12.5%以上100%以下の範囲である。この範囲であれば、複雑な制御をすることなく、エレクトロクロミック特性に優れた本発明の複合体100が得られる。さらに好ましくは、この割合は50%以上100%以下である。この範囲であれば、さらに優れたエレクトロクロミック特性を有する本発明の複合体100が得られる。
なお、本発明の複合体100は、この割合が100%未満の場合、上述したカウンターアニオンによって電荷補償がされた状態であり、割合が100%の場合、上述したカウンターアニオンおよびカウンターカチオンが存在せず、割合が100%を超えると、カウンターカチオンによって電荷補償がされた状態となる。
本発明の複合体100において、好ましくは、含有される層状ケイ酸塩120の含有量(質量%)は、1.5質量%以上40質量%以下である。これにより、層状ケイ酸塩120の層間に少なくとも有機/金属ハイブリッドポリマー110が層間に位置することができる。
本発明の複合体100は、有機/金属ハイブリッドポリマー110を含有するので、金属イオンから有機配位子への電荷移動吸収に基づき呈色を示す。すなわち、本発明の複合体100は、電気化学的に酸化されると発色が消えた消色状態となり、電気化学的に還元されると発色状態となる。この現象は繰り返し起こすことが可能である。したがって、本発明の複合体100は、エレクトロクロミック材料として機能する。
さらに、本発明の複合体100は、少なくとも有機/金属ハイブリッドポリマー100が層状ケイ酸塩120の層間にインターカレートしているので、有機/金属ハイブリッドポリマー100単独に比べて動作電圧が低減され、メモリ特性に優れる。
また、本発明の複合体100は、有機/金属ハイブリッドポリマー100の有する正電荷と、層状ケイ酸塩120の有する負電荷との静電相互作用により強く結合しているため、本発明の複合体100をエレクトロクロミックデバイスのエレクトロクロミック層に用いた際に、有機/金属ハイブリッドポリマー100がエレクトロクロミック層から電解質層へ滲みだすことを抑制できる。
なお、図1では、分かり易さの観点から、層状ケイ酸塩120の層間にのみ有機/金属ハイブリッドポリマー110が位置するように示すが、本発明では、少なくとも層状ケイ酸塩120の層間に有機/金属ハイブリッドポリマー110が位置してさえいればよく、層状ケイ酸塩120の周りに有機/金属ハイブリッドポリマー110が位置していてもよい。
次に、本発明の複合体の製造方法を説明する。
図2は、本発明の複合体の製造工程を示すフローチャートである。
ステップS210:3八面体型であるスメクタイト系層状ケイ酸塩が分散した水溶液(単に、層状ケイ酸塩溶液と称する)に、有機配位子と、有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーを含有する溶液(単に、有機/金属ハイブリッドポリマー溶液と称する)を添加する。
3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩は、上述した層状ケイ酸塩120と同様であるが、インターカレート前であるため、層間に水和したカウンターカチオンが存在することが異なる。例えば、層状ケイ酸塩は、次式で表されてもよい。
(W(1−p)/2[(MLi1−x(SiAl1−y10{(OH)1−z
ここで、Wは、Na、Li、KおよびRbからなる群から選択される1価の金属イオンであり、Aは、Ca2+イオンであり、Mは、Mg2+、Fe2+およびZn2+からなる群から選択される2価の金属イオンであり、xは、0<x≦1であり、yは、0≦y≦1であり、zは、0<z≦1であり、pは、0<p≦1であり、qは、0<q≦1である。Wおよび/またはAで表される金属イオンは、上述のカウンターカチオンである。
なお、層状ケイ酸塩120は層間に水分子を有してもよいが、水分量(w)は、雰囲気の相対湿度によって、大きく変化するために、特定の値を示して代表させることが難しく、上式においては、層間の水分量を表す項(wHO)を省略していることを理解されたい。
層状ケイ酸塩を分散させる水溶液は、純粋、超純水、蒸留水等の水単独であってもよいし、水とともに水に可溶な有機溶媒を用いてもよい。このような有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、アセトン等である。このような水溶液中では、上述の層状ケイ酸塩は、層間に水分子を取り込み、巨大水和膨潤した状態となる。
有機/金属ハイブリッドポリマーは、上述した有機/金属ハイブリッドポリマー110と同様であるが、インターカレート前であるため、カウンターアニオンが存在することが異なる。有機/金属ハイブリッドポリマーは、例えば、特許文献1および特許文献2を参照して合成した有機/金属ハイブリッドポリマーを用いることができる。
有機/金属ハイブリッドポリマーを含有させる溶媒は、水、エタノールおよびメタノールからなる群から選択される溶媒である。これらの溶媒であれば、有機/金属ハイブリッドポリマーは溶解し得る。
本発明の複合体の製造方法によれば、単にこれらを混合するだけで、水和膨潤した層状ケイ酸塩の層間におけるカウンターカチオンと、有機/金属ハイブリッドポリマーとが陽イオン交換され、少なくとも層間にインターカレートした層状ケイ酸塩を得ることができる。このように、本発明による複合体は、単に混合するだけで製造されるので、特別な装置を不要とし、有利である。
好ましくは、層状ケイ酸塩溶液における層状ケイ酸塩の電荷濃度は、1×10−6eM以上1×10−2eM以下の範囲に調整され、有機/金属ハイブリッドポリマー溶液にける有機/金属ハイブリッドポリマーの濃度は、1×10−6eM以上1×10−2eM以下の範囲に調製される。これにより、陽イオン交換が促進され、本発明の複合体が得られる。なお、本明細書において単位「eM」とは、溶液1Lあたりにおける対象とする層状ケイ酸塩あるいは有機/金属ハイブリッドポリマーの電荷量を意図する。
層状ケイ酸塩溶液における層状ケイ酸塩の濃度を、1g/L以上10g/L以下の範囲に調製してもよい。層状ケイ酸塩の種類によってモル濃度は変化し得るが、上記範囲の質量/体積濃度を使用すれば、簡便に所望の複合体が形成され得る。
有機/金属ハイブリッドポリマー溶液における有機/金属ハイブリッドポリマーの濃度を、1g/L以上5g/L以下の範囲に調製してもよい。有機/金属ハイブリッドポリマーの種類あるいは重合度によってモル濃度は変化し得るが、上記範囲の質量/体積濃度を使用すれば、簡便に所望の複合体が形成され得る。
好ましくは、有機/金属ハイブリッドポリマー溶液における有機/金属ハイブリッドポリマーに対する層状ケイ酸塩溶液における層状ケイ酸塩の質量比が、0.015以上0.7以下となるように調製される。これにより、陽イオン交換が促進され、本発明の複合体が得られる。
なお、添加に先立って、層状ケイ酸塩溶液における層状ケイ酸塩のカウンターカチオンの50mol%以上がLiイオンに陽イオン交換されていることが好ましい。これにより、カウンターカチオンと、有機/金属ハイブリッドポリマーとの陽イオン交換が促進する。
添加の条件は、10℃以上40℃以下の室温において、層状ケイ酸塩溶液に有機/金属ハイブリッドポリマー溶液を滴下すればよい。これにより、本発明の複合体が分散したスラリー状の溶液が得られる。これを遠心分離により沈降させ、濾過および洗浄によって、粉末状の本発明の複合体が得られる。
なお、本発明の複合体が分散したスラリー状の溶液を、基板等に塗布し、溶媒を除去すれば、本発明の複合体からなる膜を得ることができる。この場合、本発明の複合体は、好ましくは、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(ACN)、メタノールおよび2−プロパノールからなる群から選択される溶媒に分散される。これらの溶媒を用いれば、本発明の複合体が均一に分散するので、均一な膜を形成できる。中でも、DMFは、本発明の複合体を溶解するので、極めて均一な膜が得られ、このような膜をエレクトロクロミックデバイスのエレクトロクロミック層に用いれば、優れたエレクトロクロミック特性を発揮できる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明の複合体をエレクトロクロミック層に用いたエレクトロクロミックデバイスおよびその製造方法について詳述する。
図3は、本発明によるエレクトロクロミックデバイスを示す模式図である。
図3のエレクトロクロミックデバイス300は、第1の電極310と、第1の電極310上に位置するエレクトロクロミック層320と、エレクトロクロミック層320上に位置する電解質層330と、電解質層330上に位置する第2の電極340とを備える。ここで、エレクトロクロミック層320は、実施の形態1で説明した本発明の複合体を含有する。
第1の電極310および第2の電極340の少なくとも一方は、任意の透明電極であるが、電極材料として、SnO膜、In膜またはInとSnOとの混合物であるITO膜が好ましい。第1の電極310および第2の電極340は、任意の物理的気相成長法または化学的気相成長法によって、ITO等の透明電極材料をプラスチック等の樹脂基板、ガラス基板等の透明基板上に形成することによって得られる。
エレクトロクロミック層320は、上述したように実施の形態1で説明した本発明の複合体を含有し、本発明の複合体については説明を省略する。
電解質層330は、少なくとも、高分子および支持塩を含有する。好ましくは、電解質層330は、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチレン、γ−ブチロラクトン、および、スクシノニトリルからなる群から選択される可塑剤を含有する。これにより、高分子のネットワークに上述の可塑剤および支持塩が存在し、ゲル電解質層を構成できるので、フレキシブルなエレクトロクロミックデバイスを提供できる。
より好ましくは、電解質層330は、アセトニトリル、アセトン、および、テトラヒドロフランからなる群から選択される溶媒に上述の高分子および支持塩を溶解させ、キャストしたのちに溶媒を除去することで作製される。これにより、高分子、可塑剤、および、支持塩が均一に分散して存在したゲル電解質層を構成できるので、エレクトロクロミックデバイス特性の向上と安定化につながる。
高分子は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニリデンフルオライド−co−ヘキサフルオロイソプロピル)(PVdF−co−PHFP)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカーボネート、および、ポリアクリロニトリルからなる群から選択される。これらの高分子はゲル電解質層の構成に有利である。
支持塩は、好ましくは、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、リチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(LiTFSI)、LiCHCOO、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClOおよびMg(BFからなる群から選択される。これらの支持塩は、本発明の複合体における有機/金属ハイブリッドポリマーのカウンターアニオンとして効果的に機能する。
本発明のエレクトロクロミックデバイス300は、エポキシ樹脂および/またはシリコン樹脂からなる封止剤により封止されていてもよい。これにより、エレクトロクロミックデバイス300の酸素や水に対するバリア性が向上する。
本発明のエレクトロクロミックデバイス300は、次のように動作する。第1の電極310および第2の電極340が電源(図示せず)に接続され、エレクトロクロミック層320と電解質層330とに所定の電圧を印加する。これにより、エレクトロクロミック層320の酸化還元を制御できる。すなわち、エレクトロクロミック層320を構成する本発明の複合体における有機/金属ハイブリッドポリマーの金属イオンの酸化還元が制御され、発色および消色を発現できる。
ここで、エレクトロクロミック層320が、本発明の複合体を含有するので、低い動作電圧で動作し、メモリ特性に優れたエレクトロクロミックデバイス300が提供される。エレクトロクロミック層320から有機/金属ハイブリッドポリマーが電解質に滲み出すことはないので、長期間の使用に耐えるエレクトロクロミックデバイス300が提供される。
本発明のエレクトロクロミックデバイス300を複数組み合わせてマトリクス状に配置して用いてもよい。
次に、本発明のエレクトロクロミックデバイス300の例示的な製造方法を説明する。本発明のエレクトロクロミックデバイス300は、第1の電極310(図3)上に少なくとも実施の形態1で説明した本発明の複合体を含有するエレクトロクロミック層320(図3)を形成し、次いで、この上に電解質層330(図3)および第2の電極340(図3)を形成することによって製造される。より具体的に説明する。
図4は、本発明のエレクトロクロミックデバイスの製造工程を示すフローチャートである。
ステップS410:第1の電極310(図3)上に少なくとも実施の形態1で説明した本発明の複合体100(図1)を含有するエレクトロクロミック層320(図3)を形成する。具体的には、第1の電極310上に、本発明の複合体100を含有する溶液を付与する。付与は、第1の電極上にエレクトロクロミック層が形成される限り手段は問わないが、塗布、浸漬、キャスト、スプレー、スピンコート等の手段である。付与は、例示的には、エレクトロクロミック層の厚さが10nm以上10μm以下となるように行われる。この範囲であれば、エレクトロクロミック層中に十分な量の複合体が含有されるので、高いエレクトロクロミック特性を発揮できる。
本発明の複合体は、好ましくは、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(ACN)、メタノールおよび2−プロパノールからなる群から選択される溶媒に含有される。これらの溶媒であれば、本発明の複合体が均一に分散するので、均一な膜を形成できる。中でも、DMFは、本発明の複合体を溶解するので、極めて均一な膜が得られ、優れたエレクトロクロミック特性を発揮できる。
好ましくは、溶液中の本発明の複合体の濃度は、0.17g/L以上3.4g/L以下の範囲に調製される。このような濃度であれば適度な粘性により、均一な膜を形成できる。
ステップS420:別の基板上に形成された第2の電極440上に電解質層330(図3)を形成する。電解質層330の形成は、電解質層330を構成する電解質材料を第2の電極440上に付与すればよいが、付与は、塗布、浸漬、ドロップキャスト、スプレー、電解重合等の手段を用いることができ、厚さ10nm以上10mm以下となるように行われる。
ステップS430:エレクトロクロミック層320が形成された第1の電極310と、電解質層330が形成された第2の電極340とを、エレクトロクロミック層320と電解質層330とが対向するように貼り合わせる。
なお、ステップS410に続いて、あるいは、ステップS420に続いて、または、ステップS430に続いて、放置あるいは加熱によって過剰な溶媒を除去してもよい。これにより、エレクトロクロミックデバイス300のエレクトロクロミック特性が向上する。
このように、本発明によるエレクトロクロミックデバイス300は、エレクトロクロミック層320として本発明の複合体を含有する溶液を付与するだけでよいので、特別な装置を不要とし、有利である。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[材料]
以降の実施例および比較例で用いた材料について説明する。なお、すべての材料は特級試薬であり、精製することなく用いた。ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA、重量平均分子量=350kg/mol)、および、インジウムスズ酸化物(ITO)でコートされたガラス基板(以降では簡単のため、ITO基板と称する。抵抗率=8〜12Ω/cm)を、Sigma−Aldrich Co.LLC.から購入した。
メタノール、アセトニトリル(ACN)、ポリカーボネート、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンおよび2−プロパノールを、和光純薬工業株式会社より購入した。過塩素酸リチウム(LiClO)を関東化学株式会社から購入した。
層状ケイ酸塩としてサポナイト(Li0.33Mg(Si3.67Al0.33)O10(OH))およびモンモリロナイト(Li0.33(Al1.67Mg0.33)Si10(OH))をクニミネ工業株式会社から購入した。なお、必要に応じて、篩などの分級によってサイズを調整した。
有機/金属ハイブリッドポリマーとして次式で示される高分子材料(以降では簡単のため、Fe−MEPEと称する)を用いた。Fe−MEPEは、特許文献1あるいはF.S.HanらのJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(6),pp2073−2081を参照し、株式会社ナード研究所が製造した。式(I)において、有機配位子はターピリジン基であり、金属イオンは鉄(Fe)イオンであり、カウンターアニオンが酢酸イオンであった。
<実施例/比較例1〜4:本発明の複合体の有効性の検討>
[実施例1]
実施例1では、有機/金属ハイブリッドポリマーとしてFe−MEPEと、3八面体型スメクタイト層状ケイ酸塩としてサポナイトとを含有する複合体を合成した。
サポナイト(50mg、長手方向の大きさは20nm以上50nm以下であった)を蒸留水(10mL)に分散させた水溶液(5g/L、5×10−3eM)に、Fe−MEPE(179μg)をエタノール(100μL)に分散させた溶液(1.8g/L、5×10−3eM)に添加した(図2のステップS210)。ここで、サポナイトの陽イオン交換容量(CEC)に対するFe−MEPEの有する正電荷量の割合が100%となるように、サポナイト含有水溶液と同体積のFe−MEPE含有溶液を添加した(すなわち、サポナイト含有水溶液:Fe−MEPE含有溶液=1:1(体積比)であった)。添加すると、凝集が生じ、スラリー状の溶液となった。これを遠心分離により沈降させ、濾過および洗浄し、粉末状の生成物を得た。
粉末状の生成物が、サポナイトの層間にFe−MEPEがインターカレートした複合体であることを、粉末X線回折による格子定数、および、吸光スペクトルのピークシフト等により確認した。
次に、得られた複合体の動作電位を、サイクリックボルタモグラム測定装置CV50W(BAS製、Japan)を用いて調べた。測定用の作用電極は、グラッシーカーボン電極に本発明の複合体(1mg、0.5ml)が溶解したエタノール20μlを滴下し、乾燥させて調整した。対極としてPtカウンター電極を、参照電極としてAg/Agを、電解溶液としてACN/TBAPを用いた。いずれも電極は、BAS製であった。電位は、0〜1.5V vs.Ag/Agの範囲で印加し、電位の挿引速度は、0.1V/sであった。結果を図5に示す。
次に、本発明の複合体を用いてエレクトロクロミックデバイスを製造した。本発明の複合体(640μg)をエタノール(500μL)に分散させた溶液を、キャスト法により、第1の電極310(図3)としてITO基板(2.5cm×2.5cm)上に付与し、エレクトロクロミック層320(図3)を形成した(図4のステップS410)。なお、本発明の複合体を含有する溶液には、粒子が分散している様子が認められた。付与されたエレクトロクロミック層は、均一な層であった。
次いで、第2の電極340(図3)として別のITO基板(2.5cm×2.5cm)上に、電解質層330(図3)を形成した(図4のステップS420)。LiClOをACNに溶解し、PMMAを添加して、PMMAが完全に溶解するまで激しく撹拌し、電解質材料を得た。この電解質材料は、無色、透明な半ゲル状の粘性の液体であった。なお、PMMAとLiClOとACNとの重量比は、7:3:27:70であった。この電解質材料をドロップキャスト法で別のITO電極に付与し、電解質層を形成した。
次いで、エレクトロクロミック層と電解質層とが対向するようにITO電極を貼り合わせ、室温で72時間放置し、不溶な溶媒を除去し、エレクトロクロミックデバイス300(図3)を得た。
得られたエレクトロクロミックデバイスについて、エレクトロクロミック特性を調べた。得られたエレクトロクロミックデバイスに電圧を印加し、その発色の変化を確認した。結果を図6に示す。次に、エレクトロクロミックデバイスに所定の電圧(−3から3V)を印加しながら、UV−VISスペクトロメータ(UV2600、Shimadzu、Japan)を用いて、透過モードで紫外・可視吸収スペクトルを波長400nm〜800nmの範囲にて測定した。結果を図7に示す。
得られたエレクトロクロミックデバイスの発色と消色との変化速度、および、スイッチング特性について測定した。紫外・可視吸収スペクトル測定と同様に、UV−VISスペクトロメータ(UV2600、Shimadzu、Japan)を用いて、所定の電圧(−3Vおよび+3V)を800回繰り返し試料に印加し、発色と消色との変化速度、および、発色時の吸光度の変化を調べた。結果を図8に示す。
得られたエレクトロクロミックデバイスのメモリ特性を調べた。電圧(+3.0V)を印加後、電圧を除去してからの発色の変化を調べた。結果を図9に示す。
得られたエレクトロクロミックデバイスの動作電圧を、サイクリックボルタモグラム測定装置を用いて調べた。エレクトロクロミックデバイスの一方のITO基板を作用電極とし、他方のITO基板を対極とした2極測定を行った。電圧を−3.0V〜3.0Vの範囲で印加し、電圧の挿引速度は、0.1V/sであった。結果を図10に示す。
[比較例2]
比較例2では、層状ケイ酸塩を用いなかった以外は、実施例1と同様であった。実施例1と同様に、動作電位を調べた。結果を図5に示す。得られたエレクトロクロミックデバイスの電圧印加による発色の変化、紫外・可視吸収スペクトル、メモリ特性およびサイクリックボルタモグラムを調べた。結果を図9および図10に示す。
[比較例3]
比較例3では、サポナイトに代えて2八面体型スメクタイト層状ケイ酸塩であるモンモリロナイト(43mg、5×10−3eM、長手方向の大きさは20nm以上50nm以下であった)を用いた以外は、実施例1と同様であった。得られたエレクトロクロミックデバイスに電圧を印加し、その発色の変化を確認したところ、発色せず、エレクトロクロミズムが発現しなかった。
[比較例4]
比較例4では、サポナイトに代えて2八面体型スメクタイト層状ケイ酸塩であるモンモリロナイト(43mg、5×10−3eM、長手方向の大きさは100nm以上150nm以下であった)を用いた以外は、実施例1と同様であった。得られたエレクトロクロミックデバイスに電圧を印加し、その発色の変化を確認したところ、発色せず、エレクトロクロミズムが発現しなかった。
[実施例5]
実施例5では、サポナイトの陽イオン交換容量(CEC)に対するFe−MEPEの有する正電荷量の割合が12.5%となるように、サポナイト含有水溶液:Fe−MEPE含有溶液=8:1(体積比)となるよう混合した以外は、実施例1と同様であった。実施例1と同様に、動作電位を調べた。得られたエレクトロクロミックデバイスの電圧印加による発色の変化、紫外・可視吸収スペクトル、メモリ特性およびサイクリックボルタモグラムを調べた。
以上の実施例/比較例1〜5の実験条件を、簡単のため、表1に示し、結果を説明する。
図5は、実施例1の複合体および比較例2のFe−MEPEのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
実施例1の複合体の酸化電位および還元電位は、それぞれ、+0.75および+0.70Vであり、比較例2のFe−MEPE単独の酸化電位および還元電位は、それぞれ、+0.86および+0.62Vであった。このことから、実施例1の複合体の酸化還元電位は、比較例2のFe−MEPEのそれよりも小さく、Fe−MEPEと層状ケイ酸塩との複合体とすることにより動作電圧が低減することが示された。図示しないが、実施例5の複合体も、実施例1と同様の酸化還元電位であった。
図6は、実施例1のエレクトロクロミックデバイスの発色の変化を示す図である。
還元状態では、紫色の発色を示した(図6左図)。エレクトロクロミックデバイスに0Vから+3Vを印加し、挿引したところ、+0.7V印加した時点で、酸化反応を起こし、紫色の発色が消色し、無色となった(図6右図)。このように目視にて色の発色および消色が確認された。図示しないが、比較例2および実施例5のエレクトロクロミックデバイスも同様の発色を示し、Fe−MEPEに基づく特性であることが分かった。なお、図6は、グレースケールで示すが、左図においてコントラストが暗く示される領域が、紫色の発色に相当し、右図においてコントラストが明るく示される領域が、紫色の発色が消色し、無色となった領域である。
図7は、実施例1のエレクトロクロミックデバイスの紫外・可視吸収スペクトルを示す図である。
図7によれば、電圧を印加しない0V(すなわち還元状態)において、波長580nmに明瞭なピークを示した。このピークは、図6で観察された紫色の発色に相当する。紫色の発色は、本発明の複合体中のFe−MEPE中のFe2+イオンから配位子への電荷移動に起因する。図示しないが、3.0V(すなわち酸化状態)印加時におけるスペクトルは、波長580nmにおける吸収を示さなかった。本発明の複合体中のFe−MEPEは、完全に酸化状態にあるため、Fe−MEPE中の鉄イオンはすべてFe3+となり、紫色の発色に寄与したFe2+イオンから配位子への電荷移動は存在しなかった。
図8は、実施例1のエレクトロクロミックデバイスの酸化還元を繰り返した際の波長580nmにおける透過率の変化を示す図である。
図8によれば、実施例1のエレクトロクロミックデバイスの酸化還元を800回繰り返しても、その還元状態における透過率の値は、実質的に変化せず、耐久性に優れていた。なお、図8の1回目酸化還元サイクルの透過率の変化から、応答特性(発色時間および消色時間)およびコントラスト比を求めたところ、既存のエレクトロクロミックデバイスのそれらに匹敵することを確認した。図示しないが、実施例5のエレクトロクロミックデバイスの応答特性は、実施例1のエレクトロクロミックデバイスのそれよりも悪くなった。このことから、層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量(CEC)に対する有機/金属ハイブリッドポリマーの有する正電荷量の割合は、12.5%以上100%以下が好ましいことが示された。
以上の図5〜図8の結果、および、比較例3および4の複合体(すなわち、2八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩を用いた例)がエレクトロクロミズムを発現しなかった事実から、少なくとも層間に有機/金属ハイブリッドポリマーをインターカレートした3八面体型層状ケイ酸塩を含有する複合体は、低い動作電圧でエレクトロクロミズムを発現し、エレクトロクロミック材料として有効であることが示された。
図9は、実施例1および比較例2のエレクトロクロミックデバイスの発色の変化を示す図である。
図9は、図6と同様に、グレースケールで示すが、コントラストが暗く示される領域が、紫色の発色に相当し、コントラストが明るく示される領域が、紫色の発色が消色し、無色となった領域に相当する。図9(A)〜(H)において、それぞれ左図に示す画像が比較例2のエレクトロクロミックデバイスの発色の様子であり、右図に示す画像が実施例1のそれの様子である。
図9(A)に示されるように、製造直後は、いずれのエレクトロクロミックデバイスも、還元状態にあり、コントラストの暗い紫色の発色を示した。図9(B)に示されるように、いずれのエレクトロクロミックデバイスも、電圧印加後に酸化状態となり、コントラストの明るい無色を示した。
その後、電圧を取り去ると、比較例2のエレクトロクロミックデバイスは、図9(C)に示されるように、5分後には、コントラストが暗くなり始め、図9(E)に示されるように、20分後には完全にコントラストが暗くなり、紫色の発色となり、還元状態となった。
一方、実施例1のエレクトロクロミックデバイスは、図9(E)に示されるように、電圧印加後、電圧を取り去って20分後であっても、コントラストが明るく、白色の状態を維持した。最終的に、実施例1のエレクトロクロミックデバイスは、図9(H)に示されるように、60分経過後であっても、コントラストが比較的明るく、白色の状態を維持した。このことは、実施例1の複合体は、電圧を印加しない状態でのメモリ特性(すなわち、不揮発性)に優れていることが分かった。
図9の結果から、少なくとも層間に有機/金属ハイブリッドポリマーをインターカレートした3八面体型層状ケイ酸塩を含有する複合体は、低い動作電圧でエレクトロクロミズムを発現し、かつ、メモリ特性に優れたエレクトロクロミック材料として有効であり、不揮発性のエレクトロクロミックデバイスを提供できることが示された。
図10は、実施例1および比較例2のエレクトロクロミックデバイスのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
実施例1のエレクトロクロミックデバイスの酸化電位は、+2.2Vであり、比較例2のエレクトロクロミックデバイスの酸化電位は、+2.8Vであった。このことから、実施例1の複合体を用いたエレクトロクロミックデバイスは、比較例2のFe−MEPEを用いたエレクトロクロミックデバイスより低い動作電圧で動作することが示された。図示しないが、実施例5のエレクトロクロミックデバイスも、実施例1のエレクトロクロミックデバイスと同様のCV挙動を示した。この結果は、図5に示した結果に良好に一致した。
<実施例/比較例1、6〜12:本発明の複合体を分散させる分散媒の検討>
[実施例6]
実施例6では、エタノールに代えてDMF(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。得られたエレクトロクロミックデバイスは、電圧の印加にともなって、紫色の発色および消色することを確認した。
[比較例7]
比較例7では、エタノールに代えてDMSO(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。エレクトロクロミック層が不均一であり、得られたエレクトロクロミックデバイスのエレクトロクロミズムは確認できなかった。
[実施例8]
実施例8では、エタノールに代えてTHF(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。得られたエレクトロクロミックデバイスは、電圧の印加にともなって、紫色の発色および消色することを確認した。
[比較例9]
比較例9では、エタノールに代えてジオキサン(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。エレクトロクロミック層が不均一であり、得られたエレクトロクロミックデバイスのエレクトロクロミズムは確認できなかった。
[実施例10]
実施例10では、エタノールに代えてACN(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。得られたエレクトロクロミックデバイスは、電圧の印加にともなって、紫色の発色および消色することを確認した。
[実施例11]
実施例11では、エタノールに代えてメタノール(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。得られたエレクトロクロミックデバイスは、電圧の印加にともなって、紫色の発色および消色することを確認した。
[実施例12]
実施例12では、エタノールに代えて2−プロパノール(500μL)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイスを得た。本発明の複合体を含有する溶液、および、これによって得られたエレクトロクロミック層の外観を観察した。結果を表2に示す。得られたエレクトロクロミックデバイスは、電圧の印加にともなって、紫色の発色および消色することを確認した。
表2には、実施例/比較例1、6〜12の複合体を含有する溶液の様子とそれによって得られたエレクトロクロミック層の様子とを示す。表2によれば、本発明の複合体を含有させる溶媒によって、得られるエレクトロクロミック層の品質が異なることが分かる。詳細には、溶媒が、エタノール、DMF、THF、ACN、メタノールおよび2−プロパノールからなる群から選択される場合、本発明の複合体は均一に分散し、均一なエレクトロクロミック層を形成できることが分かった。中でも、溶媒がDMFである場合、本発明の複合体は完全に溶解するので、さらに均一なエレクトロクロミック層が得られ、良質なエレクトロクロミックデバイスを提供できる。
本発明による複合体は、低い動作電圧でエレクトロクロミズムを発現し、かつ、優れたメモリ特性を有するので、その発色および消色を利用した任意の装置に可能であり、具体的には、表示素子、調光素子、電子ペーパに適用可能である。
100 複合体
110 有機/金属ハイブリッドポリマー
120 3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩
300 エレクトロクロミックデバイス
310 第1の電極
320 エレクトロクロミック層
330 電解質層
340 第2の電極

Claims (13)

  1. 少なくとも層間にポリマーをインターカレートした層状ケイ酸塩を含有する複合体であって、
    前記ポリマーは、有機配位子と、前記有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーであり、
    前記層状ケイ酸塩は、3八面体型スメクタイト系層状ケイ酸塩である、複合体。
  2. 前記スメクタイト系層状ケイ酸塩は、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ソーコナイトおよびスインホルダイトからなる群から選択される、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記スメクタイト系層状ケイ酸の長手方向の大きさが、20nm以上50nm以下の大きさを有する、請求項1に記載の複合体。
  4. 前記層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量(CEC)に対する前記有機/金属ハイブリッドポリマーの有する正電荷量の割合は、12.5%以上100%以下の範囲である、請求項1に記載の複合体。
  5. 前記有機配位子は、ターピリジン基、フェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基およびこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の複合体。
  6. 前記金属イオンは、Pt、Cu、Ni、Pd、Ag、Mo、Fe、Co、Ru、Rh、Eu、ZnおよびMnからなる群から選択される金属イオンである、請求項1に記載の複合体。
  7. 前記有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(I)、(II)および(III)からなる群から選択される一般式で表される有機/金属ハイブリッドポリマーである、請求項1に記載の複合体。

    前記式(I)において、Mは金属イオンを示し、Rは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数であり、
    前記式(II)において、M〜M(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に酸化還元電位の異なる金属イオンを示し、R〜R(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R 、R 〜R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、n〜nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数であり、
    前記式(III)において、Mは金属イオンを示し、Aは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのフェナントロリン基を直接接続するスペーサを示し、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数であり、XおよびX 〜X は、それぞれ、カウンターアニオンである。
  8. 前記複合体は、エレクトロクロミック材料である、請求項1に記載の複合体。
  9. 請求項1に記載の複合体の製造方法であって、
    3八面体型であるスメクタイト系層状ケイ酸塩が分散した水溶液に、有機配位子と、前記有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーを含有する溶液を添加するステップ
    を包含する、方法。
  10. 第1の電極と、前記第1の電極上に位置するエレクトロクロミック層と、前記エレクトロクロミック層上に位置する電解質層と、前記電解質層上に位置する第2の電極とを備えたエレクトロクロミックデバイスであって、
    前記エレクトロクロミック層は、請求項1に記載の複合体を含有する、エレクトロクロミックデバイス。
  11. 請求項10に記載のエレクトロクロミックデバイスを製造する方法であって、
    第1の電極上に、請求項1に記載の複合体を含有するエレクトロクロミック層を形成するステップと、
    前記エレクトロクロミック層上に電解質層および第2の電極を形成するステップと
    を包含する、方法。
  12. 前記エレクトロクロミック層を形成するステップは、
    請求項1に記載の複合体を含有する溶液を前記第1の電極上に付与するステップであって、前記複合体は、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(ACN)、メタノールおよび2−プロパノールからなる群から選択される溶媒に含有される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記電解質層および第2の電極を形成するステップは、
    第2の電極上に電解質層を形成するステップと、
    前記エレクトロクロミック層が形成された第1の電極と、前記電解質層が形成された第2の電極とを、前記エレクトロクロミック層と前記電解質層とが対向するように貼り合せるステップと
    をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
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